精神分裂病の患者さんは糖尿病を合併しやすいのですか。
精神分裂病と糖尿病は全く別の病気であり、直接の関連はありません。しかし、精神分裂病の患者さんに糖尿病になられる方が一般の方よりも多いのは違いないことでしょう。
これには、いくつかの理由が考えられます。(1)抗精神病薬そのものが血糖を上昇させる可能性があること、それから(2)分裂病の患者さんに肥満者が多いことです。(1)については明確にはされていません。(2)の肥満については、(A)抗精神病薬の体重増加作用と食欲亢進作用(B)病状の改善に伴う体重増加(C)病状としての意欲や活動性の低下により運動量やエネルギー消費が少ないこと、すなわち動かずに食べることが多いことが考えられると思います。
対策としては、肥満を防ぐことになるでしょう。そのためには食べ過ぎを防ぐこと、適切な運動を続けることです。しかし、なかなか実行できないことが問題です。その必要性がなかなか理解していただけないことが原因かもしれません。理解力には精神症状も関連しています。決して積極的に食事制限をすればいいだけではありません。食べる楽しみを奪うことが余計ストレスになり病状の増悪につながることもあるからです。ここがむずかしい点でしょう。精神病院に入院したばっかりに一般の糖尿病者以上の血糖管理が行われ、入院しているだけでも苦しいのに、さらに楽しみを奪うことがあってはならないと思います。従って通常とは異なる指導法が必要かもしれません。糖尿病について知識を持つことが大切です。また、定期的に検尿などを行うことで早期発見に努めることは重要です。喉の渇きや飲水が多い場合、ただ薬の副作用だけではなく糖尿病の可能性も考え検査を受けることです。
かなり高血糖の分裂病患者さんでも、減量に努めみごとに血糖が正常化あるいはそれに近い状況にまで回復される場合も多い印象を持っています。
糖尿病者は日本で約690万人と推定されています。糖尿病については、「糖尿病ネットワーク」のホームページが参考になるでしょう。