非定型精神病とは、どんな病気ですか。
何を「非定型精神病」と診断するかに関してさえ、さまざまな意見があります。「非定型精神病」を積極的に認める立場とそうでない立場があります。精神科医によって必ずしも統一した考え方がされているとは限りません。すなわち、やや混乱した領域と言えます。
精神病を「精神分裂病」と「躁うつ病」の2つに大きく分けた場合、そのどちらにも当てはめることのできない場合がどうしても出てきます。そこで非定型な現象をとるものをまとめようとする考え方が出てきます。精神分裂病のように見えるが、精神分裂病というよりも、「躁うつ病がより悪化した急性精神病」あるいは「精神分裂病像を伴った躁うつ病」という印象です。「急性一過性精神病」や「分裂感情障害」などが含まれます。
特に以下の特徴を持つような疾患群を「非定型精神病」とすることが多いと思われます。
その特徴とは、
(1)発症は急性である。
(2)精神分裂病の緊張病症候群と同様の症状を呈する。
(3)幻覚や妄想があったり気分が極端に不安定で興奮したり錯乱状態、夢幻様状態になる。病像としては、情動・精神運動性障害が中心となる。
(4)意識の曇りがあるように見える。あとで覚えていないことがある。
(5)比較的治りは良く、長くても3〜6か月でいったん落ち着くと全くもとどおりの人になる
(6)もともとは、社会適応が良く、話がとてもよく通じる人である。エネルギッシュな頑張りやさんで、何かにとりくむとのめり込んでいく傾向がある。
(7)多くの場合は、心理的要因や身体的な疲労がきっかけで発病する。
(8)繰り返すことはある。
(9)女性に多く、特に産褥期や月経前に起こりやすい。
(10)抗精神病薬は無効のことがあり、治療上の工夫が必要である。
北里大学の「精神医学電子教科書」の「非定型精神病」の項も参照してください。