PSW(精神科ケースワーカー)とは、いったい何をする人ですか。
PSWといっても、病院や施設によって、その業務内容と範囲はさまざまです。ここでは、私の勤務先のPSWが行っている業務を中心に紹介します。

★入院や受診の際の窓口になります。最初に、受診したいとかご家族が相談したいという依頼があった時、おそらく電話が多いと思われますが、概略をお聞きして医師との連絡をとったり、状況により適切な他の医療機関や施設を紹介致します。また、来院された場合は予診をとることがあります。
★入院時の手続きを行います。医療保護入院の場合は、保護者選任手続きの説明や援助をします。
★療養上のさまざまな心理・社会的問題の相談に応じます。
★経済的な問題についての相談に応じます。入院された時、入院費のことが気になりゆっくり療養できないと困ります。また、通院の場合でも、精神科の場合は長期にわたることが多いため、診療費がけっこうかかってしまいます。このような場合、利用しうる制度について説明します。
★就労に関する相談に応じます。
★住居に関する相談に応じます。
★通院医療費公費負担制度や福祉手帳制度の説明を致します。
★家族や勤務先、学校との関係調整への援助を行う場合があります。
★精神保健福祉室、福祉事務所、保健センターなど、外部公的機関との折衝に当たります。
★施設や作業所、社会復帰クラブなど利用できる社会資源について情報提供します。
★老人の精神障害については、精神科病院でいつまでもお預かりするのではなく、病状がある程度良くなったり歩けなくなると老人ホームや一般の老人病院に移っていただきますが、その際の相談に応じます。
★書類の受け渡しの窓口になります。我々が書く書類は、入院届、定期病状報告、退院届、生活保護入院要否意見書、通院公費負担制度や福祉手帳の診断書、入院証明書、傷病手当にかかわる診断書、障害年金受給の申請や更新のための診断書、その他、職場などに提出する診断書など多数あります。
★訪問看護指導やデイナイトケアのスタッフとして関わります。
★院内断酒会の開催に関わっています。
★家族会の受付窓口を行っています。
★病棟レクなどに参加します。
★患者さん単独での外出や、家族同伴でも外出が困難な場合、状況に応じて金融機関や福祉事務所、自宅などへの外出に同行します。
★病棟カンファレンスや看護者申し送り、地域医療連絡会など院内のさまざまな会議に出席します。
★作業所運営会議など院外のさまざまな会議に出席します。
★福祉系大学などの病院実習に関わっています。

以上のように業務内容は非常に多岐にわたります。PSWのいる医療相談室の電話は1日中、鳴り続け、患者さんやご家族がひっきりなしに出入りし、PSWは、病棟へ医局へ外来へ院外へととても忙しく動き回っています。もちろん他の職種もそうではありますが、PSWなしでは全く診療は成り立たないのが現状です。PSWと連絡をとらない日は有り得ないのです。私は、精神科の病院がどれだけ機能しているかは、その病院のPSWの活躍によるところが大きいと考えています。是非、今後もますますがんばって欲しいものです。

なお、平成10年4月1日より、精神保健福祉士法が実施され、平成11年1月23日、24日に第1回精神保健福祉士国家試験が施行され、4338名の精神保健福祉士が誕生しました。精神保健福祉士については、以下のホームページを参照して下さい。
精神保健福祉士及び精神保健福祉士現任者講習会について(厚生省)
精神保健福祉士−資格制度の概要−(社会福祉振興・試験センター)
福祉系資格ガイド(東京アカデミー)