抗うつ薬について教えて下さい。
うつ病の治療薬だが、他の疾患の治療にも使われる
基本的には、うつ病の治療薬です。したがってこれを飲むことにより、さまざまなうつ病の症状を改善させることができます。正常な人が飲んでも副作用が出るだけで気持ちがよくなるようなことはありません。時々「気分が高揚するような薬が欲しい」と言われることがありますが、うつ病でない人が飲んでも効果はありません。また、抗うつ薬は、不安性障害、強迫性障害、慢性疼痛、夜尿などの治療にも使うことがあります。
■効果が出るまでは時間がかかる
効果が出るまでに、最低1〜2週間はかかります。つまり、鎮痛剤や解熱剤のように1回飲んだらすぐ効くわけではありません。
■十分量を使う必要がある
十分な量を最低1か月は使用してみなければなりません。ある程度の量を使用しなければ効果があがりません。調子が良ければ飲まず、調子の悪い時だけ飲むといった気まぐれな飲み方では効果が出ません。続けて飲むことで、ある程度の血中濃度が上がることが必要です。
■副作用もある
もちろん副作用があります。効果が表れるよりも先に、つまり飲みはじめるとまもなく起こってきます。しだいに慣れが出てきます。皆に出るわけでもありません。具体的には口渇、眠気、立ちくらみ、便秘などがあげられます。しかし、常用量では比較的安全な薬です。長期服用による副作用は少ないですが、自殺企図などでの大量服薬は非常に危険です。また、躁うつ病の場合は、躁状態に移行させることがあります。これを躁転と言いますが、このような場合は直ちに抗うつ薬を中止しなければなりません。また、精神分裂病の症状を悪化させることも時にはあるので注意は必要です。
■どのようなものがあるか
代表的な抗うつ薬をあげます。
分類一般名商品名備考
三環系塩酸イミプラミンイミドール、トフラニール世界初の抗うつ薬。
塩酸アミトリプチリントリプタノール、ノーマルン重いうつ病にも効くが副作用も強い。
塩酸クロミプラミンアナフラニール注射剤がある。
アモキサピンアモキサンノルアドレナリンの働きを強めドパミンの働きを弱める。
四環系塩酸マプロチリンルジオミールノルアドレナリンの働きを強める。
塩酸ミアンセリンテトラミド日本では1983年に発売。
マレイン酸セチプチリンテシプールミアンセリンに近い。
非三・四環系塩酸トラゾドンデジレル、レスリンきわめて稀ではあるが、持続性勃起が起きることがある。
SSRIマレイン酸フルボキサミンデプロメール、ルボックス強迫神経症にも効果。日本では1999年に発売。
塩酸パロキセチン水和物パキシル1日1回投与が可能。パニック障害にも効果。日本では2000年11月に発売。
SNRI塩酸ミルナシプラントレドミン日本では2000年10月に発売。