統合失調症とはどんな病気ですか。
以前は、「精神分裂病と言われていました。平成14年8月以降、「統合失調症」と呼称が変更されました。「精神分裂病」という言葉の与えるイメージは非常に悪く、長年にわたり、この病気に関する誤解と偏見を与えてきました。「統合失調症」の言葉の背景には、「治らない病気」ではなく、「回復する可能性のある病気」という意味合いがこめられています。
■統合失調症は、精神科の医師からみると、非常に多くの人がかかる、決してまれではないポピュラーな病気です。精神科病院には、「統合失調症」と診断されている患者さんが、多く入院されていらっしゃいます。
■繰り返しやすい傾向のある慢性疾患です。長期にわたって気長に治療を受ける必要があります。適切な治療により、かなり回復する可能性がありますが、また、再発も起きやすい特徴があります。しかし、これもいくつかの点に注意することでかなり防ぐことができます。
■意味不明のことを言ったり、暴れるとのイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。いつ発病したか特定することが困難で少しずつ社会や家族から引きこもっていくタイプもあります。誰から見てもすぐ普通ではないと感じられるものから、専門の医師が注意深く観察して初めて診断がつくような場合まであります。また、かなり長期経過をとるものから、ほんの数日ですっかり激しい症状がとれてしまうものまでさまざまです。要するに、一口に「統合失調症」と言っても、その程度や経過は千差万別です。
やっかいな問題は、病気の症状を自覚しにくいことです。そのため、周囲からみて明らかに精神変調をきたしているように見える場合でも、「自分はおかしくない」と言い張ることが多くみられます。従って、なかなか受診に結びつけられないことがあります。また、治療途中で中断してしまうことがあります。「病気であることを受け入れられるようになること」「病気とうまくおつきあいできるようになること」は最も大切な治療目標と考えられます。この目標が達成できれば、もう大丈夫と言っても過言ではありません。
■具体的な症状や診断については、別項目を参照してください。
(2003.9.14)