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精神科に限らないことですが、やはり主治医の先生との信頼関係ができることが一番大切だと思います。不安なことや心配事、疑問点などを気楽に話せるような関係を作ることです。病気は医師だけが治すものではありません。患者さんと医師との共同作業により治していくものです。確かに、おおまかには一般的、教科書的な治療法はありますが、患者さんによりおかれている環境や家族関係はさまざまです。従って、患者さん一人一人に応じて考えなければならぬこともたくさんあります。また、医師の方も日々の診療の中で患者さんに教えられることは多いものです。一方的に指示ばかりしているわけではありません。教えられたことを、その後の診療に生かしています。よく、主治医を変わって欲しいなどという訴えがありますが、これまでの経過や病状、その人の背景などを一番よく知っているのが主治医です。安易に主治医を変わるのはよくありません。複数の医師が診療している病院で、毎回診てもらう先生が違うような場合は、さまざまな診断書を依頼する時などにむずかしくなることがあります。ただ、相性というものがありますから、どうしてもうまくいかない場合は、医師や病院を変えてみてうまくいくようになることがあるのも否定はできません。
精神科では、さまざまな病気を扱っており、病気の種類により治療法が異なります。精神科の病気は気から起こる病であるから、気の持ちようで治るとか、宗教で治そうとか考える方がおられます。一般的に、薬にたよりたくないとか、薬以外で治したいと希望されることがありますが、まず薬を使うことが第一選択の場合があります。たとえば、精神分裂病では、まず薬物療法を検討すべきであり、薬物療法を抜きにした治療は通常は考えられません。一方、薬物によらず精神療法やカウンセリングが主になる疾患もあります。精神科といっても医学という学問を基盤にしていますから、やはり素人判断せずに、精神医学の専門家の話をよく聞いていただきたいと思います。
医師によっても病院によっても得意不得意があります。アルコール依存症や薬物乱用、あるいは境界性人格障害や思春期特有の問題などは、それぞれの専門病院で治療を受けるのがよいと思います。 |