精神分裂病と診断されています。もう病気はすっかり良くなっているのに、どうして薬を飲む必要があるのですか。
精神分裂病の治療に、お薬が非常に重要であることは別の項で述べました。お薬には、大きく分けて2つの意味があります。1つは、病気の症状を改善させる目的、もう一つは、病気が再発するのを予防する目的です。精神分裂病は、繰り返しやすい病気です。再発を予防するのに少量の抗精神病薬を飲み続けることが非常に効果があります。風邪薬は続けて飲んでも風邪の予防効果はありません。この点が抗精神病薬が他のお薬と違う点でしょう。我々が診療をやっていて、規則的にお薬を飲まれている方の再発率が低い事は確実だと実感できています。薬にたよりたくないと思う人がおられるかもしれませんが、逆に薬にたよることで充実した普通の生活ができる方が幸せだという考え方もできます。糖尿病や高血圧、高脂血症、喘息などお薬をずっと飲んでいる方は、たくさんおられます。「お薬を飲む事イコールいけない事」という考え方は捨てましょう。本人の周囲の方が「薬は良くない」と言うのに動かされて服薬を中断し、病気が悪化する例をみることはとても多いのです。また、薬を飲み続けるには、やはり飲みやすさが条件です。本当にピッタリと薬が合えば、服薬し続けても何も不都合を感じません。主治医の先生との共同作業で、自分に合った飲みやすい処方を作ることが大切になってきます。