Q | 閉鎖病棟に入れられたり、本人の意思に反して入院させられるのは人権侵害にならないんですか。 |
A |
憲法により人は誰しも他人の行動を制限する事はできません。ところが、精神障害がある方の治療のためには、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(略称:精神保健福祉法)により、本人の意思によらずとも入院させたり行動制限をすることが可能です。普通、一般科では医者にかかって治療を受けるか受けないかは本人の自由であり、本人が治療を拒否すれば強制的に治療を行う事はできません。しかし、精神科の場合には前記のようにそれが可能です。なぜかということですが、精神科の病気の場合は、特に状態が悪い時は、なかなか自分の状態が理解できず、「自分は正常だ」と主張して治療を拒否することが多いからだと思われます。病状が良くなると治療を受け入れることが可能です。本来の本人なら受け入れることができるのに、病気のためにそれができず、どんどん病気が悪化してしまうのを防ごうというわけです。つまり病気を患った患者さんにとっての利益を考えているわけです。私の経験からすると、最初は本人の意思に反して強制的な治療を開始しても、治療経過が良好で本当に状態が良くなれば、逆に「あの時、入院していて良かった」と感謝されることが多いものです。最初は「なんてひどいことをするんだ」と思うかもしれませんが、将来のことを考えると結果的には、その方が幸せになれるわけです。目先のことばかりにとらわれず本当に患者さんのことを配慮して我々は動いています。精神保健福祉法では、入院や隔離室の使用など詳細に規定されており、人権には十分留意されています。理由もなく閉じ込められることは絶対にありません。どうしても納得がいかない場合には、県や市、人権擁護委員会や弁護士会に意見を述べることも可能です。 ●なお、精神保健福祉・精神障害者福祉に関する法律・省令・通知・告示などは、高知女子大学の住友雄資先生の「精神保健福祉・精神障害者福祉に関するホームページ」で見ることができます。非常によくできたホームページでしばしば更新されており、精神保健福祉士に関してもいろんな情報が取り上げられています。 |