Q | 炭酸リチウムについて教えて下さい。 |
A |
■リチウムは天然の物質で、1949年に躁病の治療に使えることが見つけられました。現在、抗躁剤に分類されていますが、躁状態の治療のみならず、うつの治療でも使われたり、躁うつ病や繰り返すうつ病の予防に非常に効果を発揮します。 ■私自身も、診療の中で、炭酸リチウムがみごとに気分の変動を押さえ躁やうつの再発を予防することを実感しています。さほど押さえられる感じがなく飲みやすいお薬です。 ■強力に押え込むという感じではありません。激しい躁状態の時には、レボメプロマジン、バルネチール、ゾテピンなどの抗精神病薬を併用します。 ■吐き気や嘔吐、胃部不快、食欲不振、のどの渇き、体の震えなどの副作用が飲み始めに現れることがあります。 ■また、時々血液の中の濃度を測定する必要があります。なぜなら適切な濃度の幅がせまいからです。0.3〜1.0mEq/lが適切な濃度とされます。濃度が低すぎると効果がないし、高すぎると中毒が起きます。 ■血中濃度が1.6mEq/lを超えると要注意です。力が抜けたり、意識が曇ったり、手足が大きく震えたり、嘔吐や下痢が起きます。周囲から見ても普通ではないとわかります。 ■リチウム服用中の注意点としては、水分や塩分が不足しないようにしなければいけません。また、汗をかくような運動も用心しなければなりません。リチウムの血中濃度が高くなりすぎることがあるからです。 ■さらに、リチウムは妊娠初期や妊娠を期待している女性は服用すべきではありません。 ■なお、リチウムの予防効果が乏しい場合は、てんかんの治療薬である、カルバマゼピン(商品名としてテグレトール)、バルプロ酸ナトリウム(商品名としてデパケン、バレリン)、クロナゼパム(商品名としてリボトリール、ランドセン)が使われます。 |