TOPIC No.7-15 南沙諸島問題(スプラトリー諸島)

01.スプラトリー諸島 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02.南沙諸島問題について by国際紛争
03.南沙諸島問題について by 中井 浩之のホームページ
04.南沙諸島 @ 衛星写真集by宇宙から見た地球
05. 南シナ海の領土紛争 
06.中国の膨張主義はヒトラーと同じ(2006/03/12) by依存症の独り言
07.今日の南沙は明日の尖閣(2002.08.20) by国際派日本人養成講座
08.南シナ海と東シナ海に進出する中国 その戦略と目的 平松茂雄(杏林大学社会科学部教授) by日本財団図書館

米、南シナ海問題で中国けん制 ASEAN拡大国防相会議

2010年10月12日 中国新聞ニュース

 12日、ハノイで開かれたASEAN拡大国防相会議で会談したベトナムのフン・クアン・タイン国防相(左)とゲーツ米国防長官(ロイター=共同)

 【ハノイ共同】東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日中韓や米ロなど域外8カ国による初のASEAN拡大国防相会議が12日、ハノイで開かれ、ASEANの一部加盟国と中国の領有権紛争を抱える南シナ海問題について、ゲーツ米国防長官が「実力行使なしに、外交を通じ国際法に沿って解決されるべきだ」と訴え、名指しは避けながらも中国をけん制した。

 韓国や、中国との間に尖閣問題を抱える日本をはじめ多くの国が南シナ海に言及したが、中国の梁光烈国防相は同問題には触れず、反論などはなかったという。会議は同日、アジア地域の安全保障協力の強化を打ち出す「ハノイ共同宣言」を採択し、閉幕した。

 南シナ海ではベトナムなどが中国と南沙(英語名スプラトリー)諸島などの領有権を争う。ゲーツ長官は「領有権問題でどちらの肩も持たない」としながらも、多国間協議による解決を主張。「航行の自由が妨害されてはならない」と南シナ海で活動を活発化させている中国をけん制した。会議筋によると、日米など7カ国が南シナ海問題に触れ、航行の自由にはインドなど5カ国が言及したという。

中国、ASEMで攻勢 人権、南シナ海に抵抗

2010.10.03  MSN産経新聞

 ブリュッセルで4、5の両日開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議をめぐり、中国が水面下で攻勢を掛けている。人権や南シナ海など中国にとって敏感な問題に関して議長声明の文言修正などを要求する一方、気候変動対策の会合などの自国開催を提案、積極的な貢献もアピールしている。

 菅直人首相はASEMで、沖縄県・尖閣諸島付近で起きた中国漁船衝突事件での日本の立場を主張する考えだが、中国のしたたかな動きに翻弄される可能性もある。

 会議筋によると、中国は議長声明案にある「国際的な人権の基準と民主的な原則を守る責任」とのくだりを、単に「人権の基準を守る責任」と修正することや、「民主的社会の堅持」との文言の削除を要求した。また、海賊対策に関する部分では、原案にあった「南シナ海」が中国の要求で削除された。中国はさらに「海上の自由の確保」との表現を「海上の安全保障の確保」とすることも強く求めた。(共同)

きょう首脳会談 「南シナ海」焦点 米の関与嫌う中国

2010.9.23 MSN産経新聞

 ■当事国間の平和的解決を主張

 【北京=川越一】沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖で起きた中国漁船衝突事件により日中関係が悪化する中、中国の温家宝首相は23日、訪問先のニューヨークでオバマ米大統領と会談する。米国は、尖閣諸島を「日米安全保障条約の適用対象」と位置づけているうえ、中国が「核心的利益」とみなす南シナ海への関与姿勢も強めている。日、米、東南アジア諸国による対中包囲網の形成を阻みたい温首相としては、中国国内の強硬世論をにらみつつ、微妙なかじ取りを迫られそうだ。

 温首相とオバマ大統領との会談では、過小評価されている人民元相場問題や、北朝鮮、イラン問題も協議される見通し。

 会談を前に、中国外務省の姜瑜報道官は21日の定例記者会見で、東シナ海の尖閣諸島と同様、南シナ海に浮かぶ諸島や周辺海域についても、中国が「争いのない主権」を有していると強調。当事国間の友好的な協議による平和的解決を主張した。つまり、当事国ではない米国は介入するな−というシグナルである。

 今年に入って南シナ海を台湾、チベット、新疆ウイグル自治区と並ぶ、自国の領土保全などにかかわる「核心的利益」と呼ぶようになった中国にとって、目障りなのは米国の存在だ。

 米国は、クリントン国務長官が7月、ベトナムで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)の閣僚会議で、「南シナ海の航行の自由は米国の国家利益だ」と発言。航行権をたてに、南シナ海への関与姿勢を打ち出した。米国の本音は、同海域で軍事活動を活発化させ、海洋権益の獲得を推し進める中国への警戒を強めることにある。

 オバマ大統領が、温首相との会談の翌24日に主宰する米・ASEAN首脳会議では、南シナ海への米国の関与強化が共同声明に盛り込まれるかが焦点となる。オバマ大統領としては、ASEAN首脳と会議をすること自体、中国への牽制(けんせい)を狙ったものだ。

 これに対し、温家宝首相は23日のオバマ大統領との会談などを通じ、南、東シナ海の領有権問題における従来からの中国の主張を繰り返しつつ、米側に“不関与”を促すものとみられる。温首相がどのようなボールを投げ込むのか、反日で沸き立つ中国国内も注視しているだけに、引き続き“弱腰”の姿勢をみせるわけにはいかない、という事情もある。

米 南シナ海の中国行動に警戒

2010年09月20日 NHK

 アメリカ海軍第7艦隊の揚陸部隊の司令官は、NHKとのインタビューで、「中国が南シナ海でほかの国の船舶の自由な航行を脅かす態度を取っている」と述べ、中国の行動に警戒感を示しました。

 アジア太平洋地域を管轄するアメリカ海軍第7艦隊の揚陸部隊、第7水陸両用艦隊のランドルト司令官は、19日、グアムでNHKのインタビューに答えました。

 この中で、ランドルト司令官は「中国は、世界の大国として見なされたいのなら、責任ある行動を取るべきだ。特に、海上での船舶の自由な航行を支援すべきだが、中国は、南シナ海でむしろ自由な航行を脅かす態度を取っている」と述べ、中国の行動に警戒感を示しました。

 ランドルト司令官は、中国の具体的な行動について言及しませんでしたが、南シナ海で、アメリカ海軍の調査船が、去年、中国の艦船に取り囲まれ、航路を妨害するなどの嫌がらせを受けたことや、ベトナムの漁船が中国側にだ捕されるケースが相次いでいることなどが念頭にあるものとみられます。

 また、ランドルト司令官は、中国の行動に備えて、「アジア・太平洋地域でアメリカ軍のプレゼンスを維持することが重要だ」と述べ、中国と南シナ海の領有権を争っている東南アジアの国と合同軍事演習などを行って関係強化に努めていく考えを示しました。

中国、西沙諸島に常駐監視船

2010.09.17 中国新聞ニュース

 中国政府はベトナムと領有権を争っている南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島海域に漁業監視船を常駐させることを決め、広東省広州市の造船所で400トン級の大型船舶の建造を始めた。新華社が17日までに伝えた。

 同海域は1974年の中国とベトナムの軍事衝突以降、中国が実効支配している。主要島の永興島には中国が滑走路や埠頭を建設し、ベトナム側が反発している。

 中国農業省高官は「西沙海域で漁業管理と主権保護の任務が日増しに重くなっている」と述べた。(共同)

台湾、南シナ海の東沙諸島を公開 国際的に主権訴え

2010/09/15 47News【共同通信】

 【東沙島共同】台湾政府は15日、台湾が実効支配し、中国も領有権を主張する南シナ海の東沙諸島を海外メディアに公開した。サンゴ環礁で囲まれた同諸島を台湾は2007年に「国家公園」に指定し整備を進めている。

 南シナ海をめぐっては、中国が今年に入り「核心的利益」と位置付ける態度を明確にし、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国などとの領有権争いも強まる中、台湾としてあらためて東沙諸島の主権を国際社会にアピールするのが狙いだ。

 同諸島は台湾南部の高雄市から約450キロ南西に位置。国民党政府が戦後に統治を始め、「南シナ海の主権を守るための重要拠点」(台湾軍関係者)とされる。

 直径25キロのサンゴ環礁に囲まれ、主要な島の東沙島には、戦時中に占領した旧日本軍がつくり、その後整備したという滑走路など軍施設がある。駐留するのは海岸巡防署(海保)の部隊と軍人、公務員100人以上という。

フィリピン:南沙諸島調査へ 実効支配の9島施設など

2010年09月15日 毎日新聞 東京朝刊

 【マニラ矢野純一】フィリピン国軍は14日、中国やベトナムなどが領有権を主張している南シナ海の南沙諸島で、フィリピンが実効支配する島の施設を改修するための調査を近く行うと発表した。同海域で権益を主張する中国側が反発する可能性がある。

 フィリピンが実効支配するティツ島にあるふ頭や、老朽化した滑走路などが対象。空軍機を使って上空から調査を行うとしている。

 100余りの島からなる南沙諸島では、フィリピンが9カ所の島を実効支配している。

【湯浅博の世界読解】太平洋の覇権 許さぬ米

2010.09.15 MSN産経新聞

 1980年代の終わり。星条旗を持ったアンクルサムの歩みが停滞し、メガネのビジネスマンが日章旗を掲げて肉薄してきた。世界第2位の日章旗が近づいてきたというだけで、「米国は世界一を維持できるか」と大騒ぎだった。連邦議会はさまざまな学者を動員して、世界一を維持する法を論じあっていた。

 米国が危機感を抱いたときのパワーアップはすさまじいものがあった。

 いま米国は、国内総生産(GDP)で日本を抜いて世界第2位に躍り出る中国に、それ以上の警戒感をみせる。人類の5人に1人は中国人だし、面積は全欧州よりも広い。その経済大国が、同時に軍事大国としても台頭してきた。

 米有力研究所CNASの上席研究員、ロバート・カプラン氏は米外交誌で、「海軍力が牽引(けんいん)する東半球における大中華圏の形成」であると警戒する。問題は北京との対立を回避しながら、どう「域内の同盟国を守り、大中華圏出現の抑制ができるか」である。

 いま米国は、中国が南シナ海のほぼ8割を領海と主張し、沿岸国を威嚇しはじめたことに注意を払う。この南シナ海をチベットや台湾なみに「核心的利益」と宣言し、東シナ海でも傲慢(ごうまん)な振る舞いが目立つ。

 そこで、米国論壇で議論されている地図を見ていただきたい。

 西太平洋に引かれた2本の線は最高実力者だったトウ小平の懐刀、劉華清の戦略に沿ったおなじみの仮想ラインだ。しかし、よく見ると、左側のラインが少しばかり長くのび、南でU字型に跳ね上がっていることにお気づきだろう。

 第1列島線と呼ぶこの線は、日本列島の南端からフィリピンあたりまでのびる。さらに、中国が自国の領海と主張する南シナ海のU字型ラインとつながっていく。彼らの新しい近海防御戦略は、第1列島線を経て、右の第2列島線の防御ラインへと突き進む。これらで米国海軍の接近を拒否し、台湾の防衛を弱体化させるという。

 中国海軍の最近の動きは、左ラインの内側すべてを「中国の海」として振る舞っているようだ。日本の尖閣諸島も含まれ、中国漁船の領海侵犯問題に対する高圧的な態度がそれを証明している。丹羽宇一郎駐中国大使を休日未明に呼びつけた戴秉国国務委員は、今年3月にも米高官に「核心的利益」発言をした張本人である。

 米戦略予算センターのクレピネビッチ所長はこれらの戦略について、冷戦期にソ連が欧州で策したように、東アジアで「中国によるフィンランド化の脅威がはじまった」と米紙で警告した。フィンランドは戦後、名目上は独立国家でもソ連の外交規範に従わなければならなかった。

 米国は歴史的に、大東亜戦争で日本をたたいたようにアジア太平洋の覇権国の台頭を許さない。すでに、クリントン国務長官は1月の演説で「アジア回帰」を宣言した。

 次いで7月には、中国が嫌う南シナ海の領有権をめぐる多国間交渉の支持、航行の自由の確保が米国の国益であると宣言した。海洋政策研究財団の上野英詞調査役のいう「核心的利益」に対する「航行の自由」の戦いである。(東京特派員)

【日々是世界 国際情勢分析】東南アジアの軍拡と「核心的利益」

2010.09.14 MSN産経新聞

7月下旬、中国は南シナ海で実弾演習を実施した (AP)

 東南アジアなどが軍備拡張を加速させている。領有権と海底資源の確保を理由に、周辺国が対立する南シナ海で高まる中国の軍事的脅威が背景だ。南シナ海は日本のシーレーン(海上交通路)と重なる上、南シナ海での地政学的影響は東シナ海にも及ぶだけに、日本は重視する必要がある。

 東南アジア各国が5年で軍事費をほぼ倍増させた−と伝えたのは米紙ワシントン・ポスト。スウェーデンのシンクタンクによると、2005〜09年の5年間で、04年までの5年間に比べ、マレーシアで8倍、シンガポールで2倍、インドネシアで84%増だ。

 パラセル(中国名・西沙)諸島でも中国と対峙(たいじ)するベトナムは、ロシア製戦闘機スホイ30を12機、キロ級潜水艦を6隻購入することを決めている。

 ベトナムは米国との軍事・経済協力を急速に深めているが、中国側は「ベトナムは交戦も辞さない構えで、米国の力により中国を牽制(けんせい)する考えだ。しかし、中越が正面から対立すればどんな国の空母もベトナムを守れない」(中国紙環球時報)と威嚇する。

 マレーシアは、スホイ30に加え、欧州のスコルペン級潜水艦を導入する。インドネシアはミサイル駆逐艦の建造に着手するほか、スホイ30とロシア製などの潜水艦12隻を配備する計画。

 ワシントン・ポストなどによると、インドネシア領ナトゥナ諸島沖合で6月下旬、インドネシア海軍に拿捕(だほ)された中国漁船をめぐり、中国が、軍艦を改装した大型漁業監視船を急行させ、拿捕した漁船を解放しなければ攻撃すると威嚇したという。警備艇を派遣したインドネシア海軍は結局、漁船を解放したとされ、中国に対する不満は高まっている。

 中国は軍事戦略を念頭に、インド洋周辺国で港湾整備を支援する「真珠の首飾り」戦略を進め、先月にはスリランカのハンバントタで港湾施設をほぼ完成させるなど、隣国インドを刺激している。インドは、中国軍が建造を進める空母が将来、南シナ海だけでなくインド洋に進出することを強く警戒しており、ロシアから戦闘機ミグ29や軽空母を購入した。

 東南アジアの経済発展に伴い、中国をにらんだ域内の軍拡は続く見通しで、南シナ海を舞台に中国との対立は激しくなるだろう。

 中国もこの趨勢(すうせい)を認識、3月には南シナ海での海洋権益を、台湾、ウイグル、チベットと並ぶ「核心的利益」と位置づけた。国家戦略の最重要課題と規定したわけで、一歩も引かない構えだ。

 中国軍は南シナ海で7月下旬に大規模な軍事演習を実施した。海南島にも大規模な原潜基地を基本的に完成させており、演習は増加するだろう。

 今年5月、奄美大島の沖合で中国の海洋調査船が海上保安庁の測量船に対し、調査の中止を要求した。東シナ海の日中中間線の日本側で中国が調査中止を要求したのは初めて。将来、東シナ海も「核心的利益」の範疇(はんちゅう)に含める可能性がのぞく。

「南シナ海の行動規範」求める 米・ASEAN会議声明案

2010/09/10 47News【共同通信】

 【バンコク共同】今月24日に米ニューヨークで開かれる第2回米・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が採択する共同声明の原案が10日、明らかになった。

 ベトナムなどASEANの一部加盟国と中国が南沙(英語名スプラトリー)諸島などの領有権を争う南シナ海情勢を取り上げ、同海域での「航行の自由」をあらためて確認。領有権問題の平和的解決に向け、法的拘束力のある「南シナ海の行動規範」に中国とASEANが合意するよう米が促す内容になっている。

 米国としてはASEANと手を組んで、南シナ海での軍事活動を活発化させている中国をけん制する狙いだが、この海域を台湾、チベットと並ぶ「核心的利益」と位置付け、領有権を絶対に譲らない姿勢を明確にしている中国の反発は必至だ。

中国、漁民保護名目に漁業監視船派遣

2010年09月10日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【バンコク=若山樹一郎、北京=関泰晴】東シナ海・尖閣諸島周辺の日本領海内で、中国漁船が日本の巡視船と衝突した問題で、同諸島の領有権を主張する中国は、漁民保護を名目に漁業監視船を派遣した。

 係争海域での漁民保護は「主権」を誇示する行為だ。同時に、国に守られて動く漁船は、実効支配拡大の先兵となる。係争水域が大半を占める南シナ海では、中国の漁船団護衛も本格化している。

 中国紙によると、中国南部海域から南シナ海にかけて操業する漁船は、約3万隻に上るという。

 監視船母港のある海南島の漁民によると、スプラトリー(南沙)、パラセル(西沙)両諸島など係争海域に出漁する船には、全地球測位システム(GPS)が装備され、当局が漁船の位置を常に管理している。

米空軍、グアムに無人偵察機配備 中国軍を監視

2010/09/08 47News【共同通信】

 【ワシントン共同】米空軍が今月1日から米領グアムのアンダーセン基地に無人偵察機グローバルホーク1機を初めて配備したことが8日、分かった。南シナ海や東シナ海での活動を拡大する中国軍を念頭に、アジア太平洋地域の空からの監視態勢を強化、船舶の安全航行を確保するのが主な狙い。

 米太平洋空軍(司令部・ハワイ州)によると、既に同基地内に地上施設を整備、来年の早い段階に計3機でアジア太平洋全域をカバーする態勢を整える。地域での迅速な災害救援や北朝鮮動向の偵察も可能となる。

 グローバルホークは6万フィート(約1万8千メートル)上空を飛行、高性能カメラに加え、高感度の通信傍受機能を備えている。地上施設のパイロットにより「連続28時間以上の運用が可能」(米軍)で、攻撃能力はない。

 太平洋空軍の広報担当は配備理由について「太平洋地域は米国にとって死活的に重要だ。同盟国とともに、災害救援を含むあらゆる緊急事態に効果的に対応できるよう最新鋭装備を導入する」と指摘した。米軍はグアムの拠点基地化を進めており、アンダーセン基地にはF22戦闘機やC17輸送機も配備されている。

中国海軍、南シナ海で核武装潜水艦増強 英戦略研

2010.09.07 MSN産経新聞

 【ロンドン=木村正人】英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は7日、国際情勢に関する報告書「戦略概観2010」を発表した。この中で、中国海軍が領海を越えた作戦を頻繁に展開し、米国や東南アジア諸国を警戒させていると分析。中国の軍備拡張とその不透明さが脅威になるとの疑念が膨らんでいると指摘した。

 報告書は、石油・天然ガスが豊富に埋蔵され、海上輸送の要衝でもある南シナ海で、中国海軍は核武装した潜水艦の配備数を増やして軍事的影響力を拡大させていると明記した。ベトナムやインドネシア、フィリピンなどの周辺国は中国が2002年に武力行使放棄と現状維持を約束した「行動宣言」を破って、再び南シナ海の領有権を主張することへの警戒心をあらわにしているという。

 これに対し、ゲーツ米国防長官は今年6月、南シナ海で経済活動を行う米国や他国の企業に対する中国の恫(どう)喝(かつ)的な行動を牽(けん)制(せい)している。

 中国の示威行為として、中国の潜水艦2隻と駆逐艦8隻が4月、日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)近海に向かう途中、日本政府への通告なしに沖縄本島と宮古島の間を通過した事例も紹介。中国艦艇の艦載ヘリが警戒監視中の日本の護衛艦に接近し、日本のメディアや政府関係者を刺激した。

 その一方で中国海軍がソマリア沖・アデン湾での海賊対策に参加したことは、中国が国際社会への協力を強化しようとしている前向きな兆候だと評価した。

 このほか、報告書は沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題で鳩山由紀夫前首相の対応が迷走し、日米同盟は「危機をはらんでいる」と警鐘を鳴らした。

 日本側の対応に業を煮やしたクリントン米国務長官が藤崎一郎駐米大使を呼びつけ、雪の中で待たせたという報道を紹介。日米安全保障条約改定署名50周年でも日米首脳は別々に声明を出し、二国間同盟の重要性を再確認しただけだったと述べ、日米関係は急速に悪化していると指摘した。

【正論】中国軍事専門家・平松茂雄 戦うことも厭わない中国の本質

2010.08.25 MSN産経新聞
2010. 02:47

 これまで南シナ海への中国海軍の進出に直接関与することを控えてきた米国が、積極的な動きを示し始めた。去る8月11日、南シナ海の中国の海南島と西沙諸島を望むベトナム中部のダナン沖で、米国海軍とベトナム海軍が捜索救難などの合同訓練を実施した。

 その1カ月ほど前、ベトナムのハノイで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)の関連会議で、クリントン米国務長官は「南シナ海の航行の自由は米国の国益であり、軍事的脅威に反対する」と明言していた。

 背景には、最近の中国の目に余る海洋進出がある。

 ◆米国のベトナム撤退直後から

 1973年のベトナム停戦で米国はベトナムから撤退し、92年にはフィリピンのスービック基地からも去った。こうした米軍の後退による力の真空を埋めるように中国が南シナ海に進出してきた。

 74年1月には早くも、西沙諸島に進出して、それらを支配下に収める。80年代に入ると、中国海軍の艦艇が南沙諸島海域に出没するようになった。同年代末までにベトナム南部海域に、90年代に入るとフィリピン海域に海軍の活動拠点をそれぞれ設置した。

 中国は西沙諸島中心部の島に2600メートルの本格的な滑走路、南沙諸島のベトナムに近いサンゴ礁に早期警戒レーダーを設置する。フィリピンのパラワン島に近いサンゴ環礁には、海軍の基地を建設した。さらに海南島には、原子力潜水艦が潜水したまま出入できる新しい海軍基地が建設されている。

 こうした島嶼(とうしょ)の基地整備とともに中国海軍が南シナ海に進出して活発に活動している。

 ◆冷戦後の世界秩序に積極関与

 他方、中国の大規模な漁船団が、軍艦とみまがうような大型監視船に守られて、南シナ海海域に展開して漁労に従事している。その数は多い時には1千隻に達するという。

 そうしたなかで今年7月中旬、中国海軍の北海、東海、南海の3艦隊からなる「多兵種協同」の実弾演習が南シナ海の某海域で実施された。北海艦隊と東海艦隊の艦艇が二手に分かれる。台湾海峡を通過して南シナ海に直行するものと、東シナ海から、わが国の沖縄本島・宮古島の間の海域を通って西太平洋に出、西航して台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通って南シナ海に入るものとが確認されている。

 演習を観閲した陳炳徳総参謀長(中国中央軍事委員会員)は「情勢の変化に高度の関心を維持し、戦争準備に万全を期さなければならない」と指示している。

 こうした南シナ海での中国の断固たる姿勢は、今年3月、中国を訪問した米国の国防関係の要人らに、中国政府の要人が、南シナ海は中国の領土保全の「核心的利益」と表明した発言にはっきりと表明されていた。

 南沙諸島に進出した1988年末に、中国は「新しい国際秩序」の形成を提示した。戦後世界を支配した米ソ冷戦体制の崩壊を前にして、その後の国際秩序の構築に中国が積極的に参画するとの意思表示であったが、日本で当時関心を示したものは筆者以外にはほとんどいなかった。

 それから20余年を経て中国は米国要人に向かって、台湾、チベット、新疆と並べて南シナ海を「核心的利益」と規定し、「新しい国際秩序」の核心をなすこれらの地域の領土保全を国家存亡の最重要課題とみなし、他国とのいかなる妥協も拒否する一貫した立場を示したのである。

 総参謀長の発言は、南シナ海の主権および海洋権益を守るためには、戦うことも厭(いと)わないという中国の強い立場を明確にしたものといえる。

 ◆「核心的利益」を着々と拡大

 しかし、中国のいう「核心的利益」とは南シナ海にとどまることはない。放置しておけば、それほど遠くない将来に、東シナ海、黄海、さらには西太平洋にまで拡大していく可能性が強い。

 5月21日付本欄で、東シナ海における中国の活動の重大な変化に触れたが、昨年からこれまでに数回にわたり、中国の艦隊が沖縄〜宮古島の海域を南下して、わが国の最南端の領土である沖ノ鳥島の西方海域で、軍事訓練や対抗演習を実施し始めた。

 東シナ海の中間線より内側の海域、および西太平洋の日本寄りの海域は、公海とはいえ、わが国の排他的経済水域(EEZ)である。わが国が積極的に対処しないと、この種の訓練演習は常態化することになろう。

 中国がこれらの海域に艦隊を派遣する目的は、それほど遠くない将来、具体化をもくろむ「台湾の統一」に向けて米国の軍事介入を阻止することにある。

 南シナ海と西太平洋は、日本への海上の輸送ルート、シーレーンが通っているわが国の「生命線」ともいうべき海域である。前首相がご執心の「友好の海」とか「東アジア共同体」とか、暢気なことを言っていられない厳しい現実を冷静にみつめて適切に対応する必要がある。その時に動いても遅いのだ。(ひらまつ しげお)

米空母がベトナム沖合に 南シナ海、中国を刺激

2010/08/08 47News【共同通信】

 米韓合同軍事演習のため、釜山港から韓国東方沖の日本海に向かう米原子力空母ジョージ・ワシントン=7月(聯合=共同)

 【ハノイ共同】AP通信によると、米海軍横須賀基地配備の米原子力空母ジョージ・ワシントンが8日、ベトナム中部ダナン沖合の南シナ海94件に到着した。南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)、西沙(同パラセル)両諸島の領有権をめぐってベトナムと対立する中国を強く刺激しそうだ。

 また米国は同空母を米韓合同軍事演習の一環として、中国の「玄関先」である黄海に派遣する方針を既に表明しており、中国の反発が一段と高まる可能性もある。

 APによると、同空母の訪問は、米国とベトナムの国交正常化15年祝賀の一環とされる。ベトナム戦争を戦った両国だが、2003年には米軍艦船が戦後初めてベトナムに寄港、両国の軍事協力は活発化している。

 南シナ海94件での領有権をめぐっては中国とベトナム、フィリピンなどが対立。ベトナムで先月開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議でも討議の焦点となり、クリントン米国務長官は米国の南シナ海への関与を強化する考えを表明した。ベトナムと米国が、中国けん制で一致したとみられている。

日越戦略対話を開催へ 南シナ海の動向注視

2010年07月24日 中国新聞ニュース

 【ハノイ共同】岡田克也外相とファム・ザー・キエム副首相兼外相が24日午後(日本時間同)、ハノイで会談し、外務、防衛両当局者が出席する日越戦略対話を近く開催する考えで一致した。中国とベトナムなどが争っている南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島領有権問題をめぐり、緊密に情報交換するとみられる。

 南シナ海は日本など各国のタンカーが頻繁に航行する海域で、海洋資源が豊富とされる。岡田氏は「日本として南シナ海の問題に無関心でいられない」と指摘。キエム氏はベトナム側の立場について理解と協力を求めたもようだ。

 ベトナム国会で否決された日本の新幹線方式による「南北高速鉄道」建設計画に関しては、岡田氏が「新幹線の採用に期待している」と発言。キエム氏は「将来的には(新幹線を)両国の協力のシンボルにしたい」と応じた。

南シナ海は「核心的利益」 中国、米高官に初表明

2010/07/04 中国新聞ニュース

 【ワシントン共同=芹田晋一郎】中国政府が今年3月、北東アジアとインド洋を結ぶ軍事・通商上の要衝で、アジア各国による係争地域を抱える南シナ海について、中国の領土保全などにかかわる「核心的利益」に属するとの新方針を米政府高官に初めて正式に表明していたことが3日、分かった。関係筋が明らかにした。

 中国はこれまで台湾や独立運動が続くチベット、新疆ウイグル両自治区などを「核心的利益」と位置付け、領土保全を図る上で死活的に重要な地域とみなし、他国に対する一切の妥協を拒んできた。新たに南シナ海を加えたことで、この海域の海洋権益獲得を強硬に推し進める国家意思を明確に示した。

 中国は南シナ海に連なる東シナ海でも、日中双方が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)海域周辺での活動を活発化させており、海洋権益をめぐり日本との摩擦が激化する恐れもある。

 関係筋によると、中国側は3月上旬、訪中したスタインバーグ国務副長官とベーダー国家安全保障会議アジア上級部長に対し、この新方針を伝達した。両氏は北京で、戴秉国たい・へいこく国務委員や楊潔〓よう・けつち外相、崔天凱さい・てんがい外務次官らと会談しており、外交実務を統括する立場にある戴氏が米側に伝えたとみられる。

 米国防総省は昨年3月、米海軍調査船が中国海南島南方の南シナ海の公海上で調査活動中、中国艦船5隻に航行を妨害されたなどと発表し、中国に抗議。中国も「米側の行為は国際法違反」(馬朝旭ば・ちょうきょく外務省報道局長)とやり返し、双方の非難合戦に発展した。

 中国軍は現在、弾道ミサイルを搭載できる原子力潜水艦の新たな基地を海南島に建設中。軍事筋は、中国が南シナ海を「核心的利益」に含めたことについて「海洋権益確保のため、強い意思を示しておく必要があると判断したのだろう」と分析している。

 【お断り】〓は、たけかんむりに上から「厂」「虎」と書きますが、JISコードにないため表示できません。

台湾・陳総統が初の南沙諸島視察、「主権国家」をアピール

2008年02月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾の陳水扁総統は2日、中国やベトナムなどが領有権を争う南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島の太平島に軍用機で上陸、同島を視察した。

 台湾総統の視察は初めて。

 陳総統は1月に完成が確認された軍用空港で演説し、「台湾は南シナ海にかかわる当事国として、南シナ海の紛争を、国連憲章と国連海洋法条約に基づいて平和的に解決することを周辺各国に求めたい」と呼びかけた。

 台湾当局が実効支配する太平島は南沙諸島最大の島。陳総統は、南沙問題を巡る話し合いが、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)間だけで行われていることに不快感を表明。「南沙で最大の島を領有している国が排除され、台湾の権益が損なわれている」と述べ、「主権国家」としての台湾の存在を強くアピールした。

南沙最大の島に滑走路 台湾が建設、中国反発か

2008/01/28 FujiSankei Business i.

 台湾・国防部(国防省)のスポークスマン、虞思祖少将は、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島最大で、台湾が実効支配する太平島に昨年末、軍用滑走路が完成、21日に台湾南部、屏東基地を飛び立った輸送機C−130が初めて着陸したことを明らかにした。滑走路完成により、台湾軍が同島付近での活動を活発化させれば、南沙諸島の領有権を主張する中国やベトナムなどが反発しそうだ。

 台湾紙、聯合報は、陳水扁総統が台湾の主権を誇示するため3月の総統選前に太平島訪問を検討していると伝えたが、国防部筋は「まだ何も連絡は受けていない」としている。国防部などによると、滑走路の全長は1150メートルで、物資補給や海難事故への対応のため2006年建設に着手。ベトナム政府は主権侵害と抗議していた。

 南沙諸島は領有権を主張する関係国によって分割、実効支配されている。太平島は台湾の南西約1600キロにあり、東西1285メートル、南北約400メートル。第二次大戦中は日本軍、戦後は台湾が実効支配。平時は漁業基地とされ、有事には軍用艦船や航空機の補給・中継基地になるとして重要視されている。(台北 共同)

ベトナムで異例の反中国デモ…南沙、西沙諸島領有権

2007/12/11 FujiSankei Business i.

 ベトナムの首都ハノイにある中国大使館前で9日、ベトナムや中国などが領有権を主張する南シナ海の南沙(英語名スプラトリー、ベトナム名チュオンサ)、西沙(同パラセル、同ホアンサ)諸島をめぐり、ベトナムの領有権を訴える市民ら約300人が両諸島は「ベトナムのものだ」「中国に抗議する」などと叫び、約1時間にわたってデモを行った。ベトナムで反中国デモが起きたのは極めて異例。共産党一党体制のベトナムでは、政治的な主張を掲げた集会などは厳しく規制されるのが通例だが、今回は警官隊監視のもとで黙認された。南沙、西沙諸島をめぐっては、11月に中国が西沙諸島で軍事演習を行ったとしてベトナム政府が抗議。中国政府は「ベトナム側の非難に道理はない」と一蹴(いっしゅう)していた。(ハノイ 共同)

中国艦船が越漁船銃撃 領有権争いの南沙諸島

2007/07/21 中国新聞ニュース

 【ハノイ21日共同=平林倫】中国やベトナムなど数カ国が領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で今月九日、中国の艦船がベトナムの漁船に銃撃し、ベトナム人乗組員五人が負傷していたことが二十一日、分かった。複数のベトナム政府関係者が明らかにした。

 中国、ベトナム両政府は銃撃について一切公表していない。ベトナムのファム・ザー・キエム副首相兼外相は共同通信に「事件は詳細を調査中」と語り、銃撃があったことを事実上認めた。在ベトナム中国大使館は「何も情報がない」としている。

 銃撃されたのはベトナム中部クアンナム省の漁船。銃撃当時の詳しい状況や、中国艦船の種別などは不明だが、同諸島の中国が実効支配する海域での操業に対する銃撃の可能性が高い。

 石油や天然ガスなど天然資源が豊富な南沙諸島をめぐっては、中国、ベトナム、フィリピン、台湾、マレーシア、ブルネイが領有権を主張。一九八八年三月には中国とベトナムの海軍が軍事衝突、双方で百人以上の死者、行方不明者が出るなど対立が続いてきた。

 ベトナム政府高官は「中国との協定に基づき、事件を表立てずに外交チャンネルなどを通じて問題を処理している」と説明している。

 南沙諸島ではベトナムが英石油大手BPと天然ガスパイプライン建設計画を進めており、中国政府は今年四月に抗議。これに対しベトナムも「南沙諸島は歴史的にベトナム領土」と反論している。

外交部:ベトナムの南沙諸島への介入を注視

2007/04/12 中国情報局

 10日、北京で行われた外交部の定例記者会見の席上、秦剛報道官は記者の質問に答えて、「中国政府は南沙諸島におけるベトナムの一連の行動を注視している」と述べた。

 南沙諸島は南シナ海に浮かぶ数百の島々からなる諸島で、1970年代に海底油田の存在が確認されて以降、中国、ベトナム、マレーシア、フィリピン、ブルネイの5カ国が次々に領有権を宣言している。(CNSPHOTO)

台湾、東沙諸島「国家公園」に

2007/04/11 (読売朝刊)遊爺雑記帳
 

 台湾の陳水扁政権は、台湾当局が実効支配する南シナ海の東沙諸島を「国家公園」(国立公園)にすることを決めた。サンゴ礁などの環境保護が表向きの目的だが、「台湾の主権」を国際的にアピールする狙いもありそうで、やはり領有権を主張する中国の反発を呼ぶ可能性もある。

 東沙諸島は台湾南部の高尾市から約430キロメートルで、高尾市の管轄となっている。住民はいないが、海巡署(海上保安庁に相当)署員200人以上が常駐している。

 台湾当局は、「世界的に珍しいほどの見事なサンゴ礁が広がっている」として、「東沙環礁」(約 8万ヘクタール)と周辺海域一帯を、台湾で 7番目の「国家公園」に指定、4月中に管理組織を発足させる。

<中略>

 内政部(内政省)国家公園課は「近年は、ダイナマイトを使う中国漁船の違法操業の影響でサンゴ礁破壊が急速に進んでいる」と指摘、サンゴ礁保護の必要性を訴えた。

 台湾は、南シナ海の東沙、中沙、西沙、南沙の四つの諸島の領有権を主張しており、そのうち、東沙諸島と、南沙諸島の中の太平島を実効支配している。

 だが、近年の中国海軍力増強に危機感も深めており、国際世論の反発が少ない「環境保護」を前面に出すことで、台湾の「主権」確保を目指しているようだ。

中国政府:領土問題でベトナムに「抗議」−南沙諸島

2007/04/11 中国情報局

 ベトナム政府が英石油大手BP社と南沙諸島(スプラトリー諸島)で天然ガス開発を行うことを計画している問題に絡み、中国外交部の秦剛副報道局長は10日の定例記者会見で「厳正な態度でベトナム側と交渉した」と述べ、事実上の抗議を申し入れたことを明らかにした。

 更に秦副報道局長は「南沙諸島とその付近海域に対する中国の主権は疑う余地もない。南沙諸島への中国の主権を侵害する行為は違法であり、意味のないものだ」と語った。(編集担当・菅原大輔)

係争中の南沙諸島で中国が油田開発計画

2006/09/01 VIET JO 「2006年8月25日 BBC Vietnamese]

 中国石油天然ガス(CNPC)傘下のペトロチャイナ(PetroChina)が、中国、ベトナム、フィリピンなど6カ国が主権を争う南沙諸島付近の海域で油田開発を計画しており、中国外務省に同区域の探査許可を求めていると、国際的なオイル・ガス業界専門紙、アップストリーム(Upstream)紙が報じた。

 南沙諸島は現在「係争中」の地域であるため、ベトナムをはじめとする関係各国への配慮から中国外務省は今年初め、ペトロチャイナの申請を却下した。しかしペトロチャイナはベトナム国営企業のペトロベトナムと早期交渉を希望し、ペトロベトナムは既に今月末の会合に向け北京へ使節団を送った、と報じられている。一方ペトロベトナムは、この事実を否定している。

 さらに同紙はペトロチャイナ関係者からの情報として、開発予定区域の原油埋蔵量はおよそ300億バレルだが採掘できるのはその10%ほどであること、ペトロチャイナは2010年までこの区域で一日当たり4万バレルを産出する計画であることなどを報じている。ペトロチャイナは南シナ海に総面積およそ12万7000キロ平方メートル、約20の鉱区を保有する予定だが、そのうちいくつかの鉱区はマレーシア及びベトナムとの係争地域内にあるという。

「国家安全報告」抜粋A 台湾周辺海域の脅威

2006年06月14日 台湾週報

 台湾は西太平洋第一列島線の中央に位置し戦略的に重要なポジションにあるだけでなく、豊かな海洋資源をも有している。1994年の「国連海洋法条約」施行後、各国は相次いで排他的経済水域を宣言し、みずからの海洋権益の確保に乗り出したため、それに伴う海洋紛争も増えており、台湾も例外ではない。海洋大国が台湾海峡の動向を重視するようになると中国も海洋進出に目を向け始め、台湾と周辺海域を国家戦略の重点に据えるようになった。

 こうした地理的要因に加え、歴史的背景も台湾海峡の不安定要素となっている。台湾海峡では清の時代から日本の植民統治時代まで、各種の政治的理由や海賊の横行などから海上での活動が規制されていた。戦後も中国と対峙するなか戒厳時代において海岸線と周辺海域は厳しい監視下に置かれていたため、国民の海洋に対する認識は低く、政府の国家戦略も資源の運用も陸地を中心に考えられてきた。このため、国民も政府も海洋への知識は不十分で、海洋の戦略的重要性と海洋資源がもたらす無限の可能性について政府は十分にこれを理解していなかった。

 こうした歴史的背景や地理的要因、急速に変化する国際競争の波のなかで、海洋における台湾の主権と資源は徐々に侵食され、社会においては密航者の増加や海洋資源の保護問題に直面し、これらは台湾の国家安全と将来の発展に深刻は影響を及ぼしている。

1、 海洋主権と資源の衝突という脅威

 中国は80年代以降、積極的に海軍の建て直しを進めており、海洋での軍事力の拡大 や海洋エネルギーの資源採掘において明らかな拡大主義が認められる。たとえば「春暁ガス田」の開発では、台湾周辺海域に観測船を航行させ資源の試掘や情報収集を行っており、漁業資源においても底網漁により台湾の領海内で違法操業を行っている。 これらの行為は海洋生態を破壊しているだけでなく、台湾の漁業権益も損なっている。 また、中国は東沙諸島海域に廃船を置いたり、竹で小屋を造るなどしてみずからの漁場であることを主張している。台湾の政府が強力に排除してもこうした行為は頻繁に繰り返される可能性が高く、台湾における海洋の生態と漁業資源を脅かしている。

 中国の海洋進出と資源略奪という脅威に加え、台湾は排他的経済水域のオーバーラップや資源開発をめぐり、日本やフィリピンなど近隣諸国との間で争議がある。台湾は実務的な姿勢で主権問題と漁業問題とを分けて処理しているが、日本は尖閣諸島が日本の領土であると主張しており、台湾の主権を大きく損なっている事実は無視できない。

 一方、南シナ海の問題は東シナ海より複雑である。台湾が1949年に発表した「南シナ海諸島図」には、東沙諸島、西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島はすべて台湾の領海であることが示されている。1970年以降、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシアは海洋利益を確保するため、次々とそれらの島々を占拠したり、飛行場などを建設している。2002年末、関係国間で「南シナ海における関係国の行動宣言」が宣言されたものの、各国がこれを遵守していないため、南シナ海における台湾の権益は著しく損なわれ、地域の不安定要素ともなっている。

 排他的経済水域のオーバーラップ以外に、台湾の遠洋漁業も国際社会の関心を集めている。現在、各国は世界および地域レベルで海洋資源の保護条約を制定し、共同で資源を管理し、漁獲量の割り当てを通じ生態環境の保護に努めている。だが台湾の遠洋漁業は少数の不正業者のため、大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)などの国際組織から制裁を受け、台湾の名声と合法業者の権益が損なわれている。

2、 テロと密輸および密航者による脅威

 反テロ活動は国際社会の共通の関心事である。台湾は東アジアにおける海上交通の中枢に位置しているため、テロリストによるオイルタンカーや危険物掲載船への攻撃と脅迫、港や海岸の重要施設の破壊の的となる可能性があり、それは台湾の国民の生命と財産だけでなく、経済全体、さらに国際貿易にも深刻な影響を及ぼすものとなりうる。こうしたテロ行為の標的が台湾ではなくわが国の水域を通過する他国の船舶であったとしても、それらが地域の平和と安定を脅かすことに変わりはない。

 台湾を取り巻く海岸線は金門、馬祖両島を含め全長1,820キロメートルに及び、海岸国境線の防衛は極めて重要である。一衣帯水の関係にある中国からの密航者や拳銃、ドラッグの密輸は台湾の新たな治安問題となっているだけでなく、伝染病ウイルスの侵入や情報収集などのスパイ行為にもつながるもので、国家の安全を大きく脅かしている。

3、環境汚染と海洋気候の変化に伴う脅威

 近年、台湾海域において環境汚染事故が頻発している。2001年、ギリシャ船籍「MV AMORGOS」が懇丁沖で座礁し、重油が大量に漏出した事故をはじめ、緑島、蘭嶼島の周辺海域でも外国船籍による廃油放出が後を絶たず、台湾の海岸環境と海洋生態を脅かしている。また中国の廃棄物投棄に対する管理が徹底していないため、珠江や揚子江においてそれらの投棄による海洋汚染はしばしば対岸の台湾へも拡散し、わが国の海域にも大きな影響を及ぼしている。

 海洋気候の変化は台湾にさまざまな脅威をもたらしている。とくに台風は毎年のように台湾へ襲来し、尊い生命と財産が損なわれている。また、台湾は太平洋プレートの西側に位置するため津波の脅威に晒されており、観測と予防措置の強化が求められている。

沙諸島の安全強化で3カ国が協議

2006/05/24 VIET.JO

 ベトナム、中国、フィリピンの3カ国は、南沙諸島(ベトナム名 Truong Sa、英語名 Spratly)における安全確保のため、協力関係を強化することで合意した。

 フィリピンのヘネロ・センガ軍参謀総長は「我々は海賊、密輸、国家主権侵犯といった問題を解決するために引き続き対話を続けることで意見の一致をみた。」と明らかにした。4月末に海賊の襲撃により中国漁船の乗組員4人が死亡、3人が怪我をした事件を受けて、先週末、センガ軍参謀総長は中国とベトナムの担当者たちと協議を行っていた。

米メジャーと中国が激しいつばぜり合い 南沙諸島石油開発で 埋蔵量はサウジ級の2000億バレルか

2006年01月23日 日刊ベタリ

 【マニラ新聞特約23日=加治康男】昨年、米国に衝撃を与えた中国最大の石油探査・採掘企業、国営中国海洋石油(CNOOC)による米オイルメジャー、ユノカル買収騒動がフィリピンでの石油開発事業に大きな影響を与えている。領有権問題で揺れる南シナ海・南沙諸島(英語名・スプラトリー諸島)海域で比石油公社(PNOC)と〇五年に初の石油共同探査を開始したCNOOCは、PNOCとの比領海内での共同事業を相次ぎ提起。一方、対比投資先行組のユノカルは米豪企業と連合してこれに対抗、比をめぐる米中企業の資源開発競争は激しいつばぜり合いとなっている。

陳総統が東沙諸島を視察

2005年07月28日 台湾週報

 陳水扁総統は7月28日、東沙諸島を視察し、行政院海岸巡防署(海巡署)海洋巡防総局の第5海巡隊東沙分隊の表札を掛けた。 陳総統は東沙諸島に到着後、東沙巡防指揮部から東沙海域の情勢に関するブリーフィングを受けた。その後、現地で唯一の廟である「大王廟」で額を贈呈して祈りを捧げ、青桐の植樹をおこない、風と日照りに強く、常緑のその特性が島の緑化に役立つよう祈念した。

 陳総統は駐留軍の兵士との昼食会に参加する前に、東沙埠頭を訪れ、東沙埠頭の計画と建設に関し報告を受け、海に出て環礁海域の蘇生状況を視察した。陳総統は就任後二回目となった東沙諸島の視察について、「これまで例のないことであり、国の指導者としての、国家の領土と主権保護に対する私の強い決意と使命感を具体的に示したものである」と述べた。また、「政府は、東沙諸島、南沙諸島およびその他の海域に属する小島および列島に対し、国の主権保護と海域資源の運用について非常に重視している。今後積極的に予算を拡大し、海上の巡視と保安におけるソフト、ハード面の整備を引き続き強化し、海巡署の担当勤務と海域の安全保護に対するキャパシティーを大幅に引き上げ、『海洋を護り、海洋資源を営み、海洋に向かって進む』という目標を早期に実現する」と国民に約束した。

以下は、昼食会における陳総統の挨拶全文である。

          ○          ○           ○

 本日は、私が中華民国総統に就任して以来、前回の民国89年(2000年)12月21日に続き、二回目の東沙諸島視察となった。これは、過去に例のないことであり、私の国家の指導者としての、国の領土と主権に対する強い決心と使命感を具体的に示したものである。

  前回東沙諸島を訪れてから5年近くが経とうとしている。東沙の風光明媚な景色は当時のままだが、一方で各種の建設や防衛面の整備に関しては、長足の進歩を見ることができる。駐留軍の生活と勤務の条件は徐々によくなり、士気もさらに高まっており、この数年、東沙諸島は海巡署の努力と、海・空軍の駐屯機関との緊密な協調により、すでに新たな様相を呈している。ここに、海上の巡視と保安に携わるすべての人々と軍の関係者に、心からの謝意と賞賛を表すとともに、皆さんに次のことを約束したい。すなわち政府は、東沙諸島、南沙諸島およびその他の海域に属する小島および列島に対し、国の主権保護と海域資源の運用について非常に重視している。今後積極的に予算を拡大し、海上の巡視と保安におけるソフト、ハード面の整備を引き続き強化し、海巡署の担当勤務と海域の安全保護能力を大幅に向上させ、『海洋を護り、海洋資源を営み、海洋に向かって進む』という目標を早期に実現する。

  皆さんはご存じないと思うが、東沙諸島の戸籍と住所は「高雄市旗津区中興里31號」となっている。しかしそれは中興里のその他の地区とは船でまる一晩かかるほど離れており、台北から飛行機で行っても2時間近くかかるほどだ。今回の視察を通して、きっと皆さんに、台湾の国土の広さについて認識を新たにしてもらえると思う。東沙諸島の陸地面積は1.74平方キロメートルしかないが、それは南シナ海の群島のなかで最大の島であり、南沙群島のなかで最大の面積を持つ太平島よりさらに大きい。また、東沙諸島は台湾本土でもっとも近い高雄とは240海里離れているが、中国広東省の汕頭とは140海里、香港とは170海里しか離れていない。こうした特殊な地理的環境のもとで、海域防衛の責任を担うことは非常に困難なことである。

 以前、中国と香港の漁船が度々東沙諸島の環礁内に侵入し、毒物や爆薬などを使用した違法な漁獲をおこない、東沙の海洋生態を著しく破壊した。また彼らの廢棄した貨物船が環礁に乗り上げ、わが国の領土と主権が侵される事態を招いた。民国89(2000)年に海巡署が進駐して以来、海域の浄化が積極的におこなわれ、また高雄市が同地での漁獲を全面禁止することを宣言したことで、現地の魚群と海底の珊瑚礁の回復が促された。本日、われわれはボートで海に出た際も、その成果を見ることができ、私は非常に喜ばしく感じ、安心した。海巡署が今後ともいっそう関連の漁業および学術研究機関と協力し、東沙諸島を熱帯の海洋生物と生態の研究センターに生まれ変わらせるよう積極的に努力し、「東沙海洋国家公園」の建設に向けて、早急にこれを推進するよう希望する。

 今年5月、20日間という短い間に、中国の海洋調査船が二度も東沙諸島の海域に侵入し、わが国が海上巡視船を派遣し立ち退きを要求した後、ようやくその場から離れた。中国はその経済的、軍事的な台頭に伴い、ここ数年、近隣海域への勢力を拡張しており、東シナ海および南シナ海などの地域での海底資源の探索に対し、日増しに積極的になっている。このことはすでに、周辺情勢の緊張を生み出しており、われわれはこれに十分に注意し、慎重に対処する必要がある。

 台湾は島国であり、四方を海に囲まれ、また多くの群島、列島と珊瑚礁を有しているため、近隣諸国との間で領土と主権に関する争議や、経済海域のオーバーラップなどの問題が生じるのはやむを得ないことである。これらの問題は台湾だけの問題ではなく、国際社会全体に普遍的に存在する課題であり、世界各国でも長期にわたって協議と交渉を通し、関連の共同行為準則を締結してきた。台湾は海洋国家として、海洋問題の処理に対し、国際社会と協力し、世界とともに、国際法および関連の慣例に基づいて、「協議」を「対抗」に代える方法を積極的に模索し、とくに武力衝突あるいは戦争の発生を極力回避しなければならない。これこそが責任を全うし、政府としてとるべき行動なのである。

 海巡署は、主権の尊厳と海域の安全を第一線で護る守護神であり、時々刻々と国から指示される使命を果たし、またいかなる武力衝突をも発生させずに、高度な知恵と決意、忍耐をもってこの厳しい任務を遂行しなければならない。今回の視察に際し、私はとくに、総統府の報道を担当する記者に同行を要請した。これは、海洋巡防機関と軍の皆さんの長年にわたる奉仕の精神と貢献、努力を直に体験してもらい、国民全員がそれに対する理解を深めるよう忠実な報道をしてほしいと考えたからである。皆さんの苦労と心遣いは、必ずや全国民の支持と激励、評価を勝ち取るものと確信している。

 最後に、私はここで皆さんとともに杯を挙げ、東沙諸島海域の永遠の安泰と、わが国の未来と繁栄を謹んで祝うとともに、皆さんのこの昼食会への参加に改めて感謝の意を申し上げる。

          ○          ○           ○

  陳総統は、記者との談話のなかで、ともに南海の真珠・東沙諸島を訪問できたことに感謝を述べ、とくに2008年の任期満了後、ボランティアに参加したい意向を明らかにした。陳総統は「私のボランティアとしての経験は豊富であり、よい働きをする自信がある」と語った。2008年の件に対し、陳総統は自身が2000年の総統選挙に参選した経験を挙げ、「多くのことがらは事前に計画できるものではないが、強い忍耐と精神力を持ってこそ真の英雄であり、陳総統が植樹した青桐の樹のように、強風や日照りに絶え抜き、永遠に青々とした緑をたたえることができる。もっとも重要なのは、信念を貫くことだ」と強調した。

温家宝:ベトナムら3国の南シナ海油田共同探査で合意

2005/07/05 中国情報局

 中国の温家宝・首相は4日、雲南(うんなん)省・昆明(こんめい)市でベトナムのファン・ヴァン・カイ首相と会談し、フィリピンを含めた3カ国で南シナ海(中国語名は南海)の油田の共同探査を早期に開始することで合意した。5日付で東方早報が伝えた。

 温・首相は、メコン川流域探査計画(GMS)第2回首脳会議に出席し、カイ首相のほか、ラオスのブンニャン・ヴォーラチット首相、ミャンマーのソー・ウイン首相らとも会談した。

 温・首相はカイ首相に対し、「中国とベトナムは、政治的な相互信頼を強め、ともに恩恵を受けられるような協力関係を強化し、積極的に南シナ海の油田を共同で探査するべきだ」と主張。さらに、ベトナムのWTO(世界貿易機関)への加盟を支持する考えを示した。

 それに対して、カイ首相は、中国の支持に対し感謝の意を示すと同時に、3国が南シナ海の油田の共同探査を推進する方針についても前向きな姿勢を示した。(編集担当:田村まどか)

中国「海洋戦略」の脅威

2005年05月01日号 YomiuriWeeklyより

「反日デモ」が収まる気配のない中国。今回の騒動は歴史問題が端緒だったが、日中間のトゲは、それだけではない。中国側の一方的な開発阻止に向けて、日本政府が試掘手続きに入った東シナ海の天然ガス田問題、尖閣諸島の領有権問題、沖ノ鳥島周辺などでの中国による我が物顔の海洋調査……。今や東シナ海から太平洋にかけた海域は、日中の「対立の海」と化している。その背後に、台湾統一までを視野に入れた中国の壮大な海洋戦略がある。 中国問題取材班/撮影 読売新聞写真部

 「今後、ガス田は有望なエネルギー源だ。中国との関係もあり、対立の海から協力の海にしていこうという狙いがある」

 中国側が開発を進める東シナ海の天然ガス田問題。4月13日、日本の民間開発業者に試験採掘を認める「試掘権」設定の手続きを始めたことについて、小泉首相は、そう話した。

 言うまでもなく日本は、四方を海に囲まれた島国だ。「協力の海」であるに越したことはない。が、中国の野望が、それを許してくれそうにない。後述するが、中国は東シナ海から南シナ海、そして太平洋までを視野に入れた壮大な海洋戦略を抱いている。それを頭に入れないことには、天然ガス問題や尖閣諸島の領有権問題、果ては、台湾の独立問題も理解できない。

 まず、東シナ海だが、ここでは、日本が主張する排他的経済水域(EEZ=沿岸から200カイリ)の境界線である「日中中間線」の中国側で、中国が1990年代から複数の石油・ガス田を開発し、一部は操業してきた(図1)。

 採掘地点が日中中間線のすぐ近くにあるガス田の構造が、中間線の日本側まで海底で連続していることが日本政府の調査で判明。日本側の資源まで吸い取られかねない懸念が高まってきたのだ。

 「資源小国」の日本にとって、この海域に眠る天然ガスなどを活用する意味は大きく、60年代後半から、帝国石油など複数の民間企業が試掘権の設定を日本政府に出願した。しかし、政府は、日中間の紛争につながりかねないとして、40年近く手続きを保留してきた。一方で、中国側に開発作業の中止と地質データの提供などを求めてきた。

 ところが、中国側は要請に応じず、今年夏にも一部ガス田の新たな操業開始が予想される。そこで、日本も「試掘権設定」という対抗措置に乗り出したのだ。中国で反日デモが続くなか、あいまいな態度を続けていては、中国に誤ったメッセージを与えてしまう、との判断も政府内で高まった。

 日本側の狙いは、「対等条件」での日中共同開発に持ち込むことだが、見通しは険しい。

 問題の場所は、日中が領有権を争う尖閣諸島に近い海域。実は、ガス田問題は「尖閣問題」ともかかわっているのだ。

 そもそも、中国が70年代に、突然、尖閣諸島の領有権を主張し始めた背景には、東シナ海のエネルギー開発への関心があったとみられている。この二つの問題の経緯を、ひもといてみよう。

「尖閣問題」の発端も海洋資源

 事の発端は68年に行われた、国連アジア極東経済委員会などによる東シナ海の学術調査だった。領有権問題に詳しい、芹田健太郎・愛知学院大学教授(国際法)は、

 「この調査で、尖閣諸島周辺を含む広い海域の海底に、石油資源が豊富に埋蔵されている可能性が指摘された。中国外務省が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、その3年後。エネルギー問題で急に尖閣諸島に関心を持ち始めたとしか思えません」。

 中国政府の領有権主張の根拠は、何なのか。中国の主張をまとめると、次のようになる。

 「尖閣諸島は、明の時代から中国の領域で、日清戦争で清朝の敗北が確定的になった1895年に、日本が『かすめとった』。戦後、沖縄返還協定の返還区域に尖閣諸島が組み入れられたことは、中国の領土と主権の侵害である」

 これに対し、日本政府は、

 「1885年以来10年、数回にわたり、沖縄県を通じて尖閣諸島を実地に調査し、清国に所属する形跡がないことを慎重に確認して、1895年1月の閣議決定で尖閣諸島を沖縄県の所管にした」

 と真っ向から反論。日本は連合国占領期を除き、一貫して実効支配を続けている。

 ところが、90年代後半から中国、台湾、香港などの活動家が、海上保安庁の警告を無視して、たびたび尖閣諸島周辺の領海に侵入。昨年3月には諸島の一つ、魚釣島に活動家数人が不法上陸し、日本側が逮捕、強制送還する事態が起きているのだ。

 今回の反日デモにも中国の“尖閣活動家”が関与していた。

 尖閣諸島をめぐる日中の主張はかみ合わないが、双方の主張を分析した芹田教授は、中国側の主張には無理があると、次のように指摘する。

 「中国側の古文書を見ても尖閣諸島の名があったりなかったりして、明確な領有意識があったようには見えない。しかも、中国側は終戦後の45年10月、それまで日本統治下にあった台湾周辺地域を自国領に回復・編入する措置を取ったが、その際に尖閣諸島を除外している。

 翌46年1月、連合国軍総司令部(GHQ)が、米軍が軍事占領する沖縄県の範囲に尖閣諸島を明記した覚書を出してからも、中国が抗議を申し入れた形跡はない。当時は、中国側にも尖閣諸島は日本領だという認識があったとしか考えられません」

 このように、日本側から見れば、かなり無理のある主張をしてまで尖閣諸島にこだわり、海洋資源の獲得に中国が乗り出した理由は明白だ。13億人という世界第1位の人口を抱える中国の経済成長にとって、エネルギー資源の獲得が至上命題だからだ。

70年代に始まった海洋進出

 もともと中国には、黄海、東シナ海、南シナ海はすべて「中国の海」という考え方があるという。そうした中華思想的な発想を根底に、70年代から周辺海域への進出を続けてきた。最初に手を付けたのは南シナ海だ。

 70年代前半、中国は南シナ海の西沙諸島を押さえ、諸島に飛行場を建設した。さらに80年代後半には、南沙諸島へと進出。同諸島に高床式の建物を造って人が常駐したが、ベトナム、フィリピンなどとの間で領有権紛争が続いている。

 同時に、80年代から東シナ海の20か所近くでボーリングを行うなど、東への布石も打ち始めた。中国側は、東シナ海の石油・天然ガス田からパイプラインを通じて上海に天然ガスや石油を送る計画を立て、90年代後半以降、日中中間線の中国側でガス田などの操業を相次いで開始したのだ。

 中国の事情について、日本エネルギー経済研究所の十市勉・常務理事は、

 「中国は世界6位の産油国だが、急激な経済成長に伴う国内消費で、93年に石油の輸入分が輸出分を超過する純輸入国に転じ、2003年には日本を抜いて、米国に次ぐ世界第2の石油消費国となった。一方、2020年には経済規模を2000年の4倍増にすることを国家目標に掲げ、必要なエネルギー確保のため、中東・アフリカ産油国やロシアと石油・ガス田開発や資源輸入を進める資源外交を活発に展開している。東シナ海は、上海など東南部沿海地域のエネルギー供給地と位置づけているのです」。

 日本側としては、ガス田開発だけが問題ではない。90年代後半から、日中中間線の日本側海域で、中国が我が物顔に行っている海洋調査も座視できないのだ。

太平洋で軍事目的の海洋調査?

 国連海洋法条約では、他国のEEZ内で科学調査を行う場合、相手国の了解を得るよう定めている。日中間では01年から、調査の際の「事前通報制度」が作られたが、中国は事前通報のない調査をたびたび行っており、昨年は尖閣諸島周辺など東シナ海で4件、沖ノ鳥島周辺など太平洋沖で18件の「違法調査」が確認されたのだ。

 沖ノ鳥島について、中国は日本の領土と認めているが、国連海洋法条約でEEZを持てない「岩」であると、昨年から主張し始めた。EEZ以外の公海での海洋調査は自由だからだ。

 ここで気になるのは、中国の海洋調査が東シナ海にとどまらず、太平洋側の日本近海にまで及んでいることだ。

 中国問題に詳しい、杏林大学の平松茂雄教授は、こう話す。

 「海上保安庁の巡視船の中止要求を無視して、中国側は調査を行っている。奄美大島西方での調査は大陸棚の石油探査だが、沖縄本島と宮古島間の海域から太平洋側では、円筒形の観測機器などを海中に投入する調査を繰り返している。水温や塩分分析をしているようだが、この方法を見ると、潜水艦の航行や、対潜水艦作戦に必要な情報収集を行っている疑いが極めて強いのです」

 中国の海洋調査は、単なる資源確保だけでなく、軍事目的もあるというのだ。

 「中国の南シナ海への進出も、きっかけは石油などの海洋資源だが、もう一つの狙いは南シナ海の支配権を確保すること。台湾南側のバシー海峡を抜けると太平洋に出られるため、南シナ海は中国の戦略上、非常に重要。そして、もう一つ、重要なのが、東シナ海から太平洋にかけた海域です。中国は90年代に東シナ海の調査をほぼ終えて、21世紀に入ると、小笠原諸島や沖ノ鳥島周辺など太平洋側の広い海域の調査に乗り出したのです」(平松教授)

 中国にとって日本近海の太平洋が、なぜ重要なのか。平松教授は、台湾統一問題と密接な関係があると言う。

 「この海域は、横須賀やグアム基地の米空母が、台湾周辺へと展開する際のルートに当たっているからです」

台湾統一にらむ壮大な戦略

 中国が、日本近海の太平洋を戦略的に重視し始めたきっかけは、96年3月の台湾総統選だったようだ。

 台湾で初めて行われた総統選で、再選されたのは「台湾の独立」を掲げる李登輝氏だった。台湾の独立傾向が高まるのを懸念した中国は、95年から96年にかけて台湾近海でミサイル発射などの軍事演習を繰り返し、威嚇した。これに対し、米国は、横須賀と中東にいた空母2隻を台湾近海に派遣し、中国を牽制したのである。

 「この時の経験は、中国にとって屈辱だった。中国は、台湾有事の際に米国の介入を阻止するには、台湾近海への米空母の派遣を、潜水艦でブロックできる体制を整える必要があると痛感した。そのため、日本近海の太平洋で潜水艦航行のための調査を進めているとみられます。しかし、中国側の行動に、日本政府はこれまで、有効な対抗策を取ってきていません」(平松教授)

 昨年11月に大騒ぎになった中国原潜の日本領海侵入も、軍事目的の調査とみられている。

 中国が台湾統一での軍事オプションを捨てていないことは、今年3月に採択された「反国家分裂法」を見ても明らかだ。この法律で、中国は、台湾独立阻止のための武力行使の枠組みを整えた。

 ただ、現在の両国の軍事バランスでは、中国が台湾を武力制圧するのは困難、というのが専門家の見方だ。しかし、2020年ごろには中国の軍事力が台湾を圧倒し、武力制圧も可能な状況が生まれるとみられている。

 「そうした状況で米国の介入も阻止されれば、台湾は大坂夏の陣の豊臣方と同じ。外堀も内堀も埋められたら、本丸は自然に落ちる。『戦わずして勝つ』のが孫子の兵法。これが中国の究極の狙いでしょう。台湾の陳水総統は、それに気づいていたからこそ独立を急いでいた、とみることができます」(平松教授)

 図2の海洋地図を、よく見てほしい。日本ではあまり意識されないが、台湾は中国大陸周辺の海域のほぼ真ん中に位置し、南方には、ゴム、錫、石油など重要な戦略物資の産地である東南アジアの島々がある。中東の石油が日本、韓国などに運ばれるシーレーンもすぐ南側を通っている。

 台湾が“外国”であり続ける限り、中国は大洋への出入り口をふさがれている。しかし、中国が台湾を統一すれば、これまで台湾南方のバシー海峡と、東シナ海から沖縄本島・宮古島間の海域、という二つの狭いルートを通らないと出られなかった太平洋に、中国海軍がすぐに出られるようになるのだ。

 「中国にとって、台湾の戦略的重要性は極めて高い。中国の台湾統一により、シーレーンも含め東アジアは完全に中国の影響下に入るでしょう。日本にとって、台湾統一は決して他人事ではないのです」(平松教授)

 このような見方をすれば、中国の一連の動きは、単なるエネルギー問題や領有権問題にとどまらず、21世紀半ばにおける、東アジアでの中国の“覇権”確立を目指した壮大な戦略に基づいていることになる。

 いたずらに「中国脅威論」をあおることは賢明ではないが、「事なかれ主義」では解決できない、重大な問題が日中間に横たわっていることは確かだ。日中の良好な関係を保ちつつも、中国の壮大な戦略にどう対処し、日本の海洋権益を守っていくのか。極めて難しい舵取りを日本政府は迫られている。

中国の胡主席、比で南沙諸島周辺の合同開発推進を強調

2005年04月28日 日刊ベタリ

 【まにら新聞特約28日=ベリタ通信】フィリピンを公式訪問中の中国の胡錦涛国家主席は27日午後、ケソン市の下院本会議場で演説し、比中両国などが領有権を争っている南シナ海南沙(英語名スプラトリー)諸島問題に関して「中比両国が南シナ海合同開発への道を開き、南シナ海を友好と協力の海へ変えるため前進し始めた」と述べ、領有権問題を一時棚上げして同諸島周辺の合同資源開発を先行させる方針を強調した。

比・中・越、南沙海域の共同油田探査で合意

2005/03/15 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【マニラ=中谷和義】フィリピン、中国、ベトナム3か国の国営石油会社は14日、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島海域での油田探査を共同で行うことで合意した。

 スプラトリーは、これら3か国を含む6か国・地域が領有権を主張し、東南アジアの火薬庫と呼ばれる場所。中比は、昨年9月に共同探査で合意しており、これにベトナムが参加した形となった。計画では今後3年かけて、同諸島周辺の14万3000平方キロの海域で石油と天然ガスを探査する。費用は3か国が等分に負担する。

ベトナムに「強い不満」、南沙諸島資源問題で

2004/10/21 中国情報局

 中国外交部の章啓月・報道官は20日、南シナ海にある南沙(スプラトリー)諸島周辺の資源調査に関して、ベトナムに対して強い不満をあらわした。中国新聞社が伝えた。

 ベトナムが、石油資源の探査に関して、国際入札をはじめることに対しての発言。章・報道官は、「南シナ海及び周辺諸島の権益は中国にある。中国の国家主権と管轄権を侵犯する行為だ」と主張した。

 さらにベトナムに対し、「誤った認識を訂正する」ことを要求。南沙群島領有権問題の平和的解決を謳った「南海各方行為宣言」に基づき、領有権および権益に関する論争を早期に解決し、平和的発展を実現させたいと述べた。

 同時に、各国の石油会社に対しても、「中国政府の立場を尊重し、中国の権益を侵す行為を控えるべきだ」と警告した。

 南沙諸島とその周辺海域に関しては、中国、マレーシア、フィリピン、ベトナムなどが領有権を主張。台湾も同様の主張をしている。(編集担当:田村まどか)

中国が南沙諸島の資源共同開発を提案、ベトナムは反対

2004/10/08 日刊毒舌ニュウス

 中国の温家宝首相は7日、訪問先のハノイで、ベトナムのファン・バン・カイ首相と会談し、中越両国などが領有権を主張する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島問題で資源探査の共同開発を提案した。しかし、「国家主権に干渉する」などとしてカイ首相が反対した模様で、進展はなかった。中国は当事国による共同開発方式で同諸島の資源開発を狙っているが、ベトナムから早くもひじ鉄を食らった形だ。

 同諸島は海底石油資源などが有望視され、中国、ベトナム、フィリピン、台湾、マレーシア、ブルネイが領有権を主張している。

 経済成長に伴う原油輸入急増で資源確保を急ぐ中国は、領有権で対立するフィリピンと今年9月、共同調査実施で合意するなど、共同方式による探査・開発の方策を探っている。

 同諸島をめぐり、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国は2002年の首脳会議で、問題を複雑化させる行動の自制を確認する「南シナ海行動宣言」に調印した。その一方で中国は、多国間交渉を通じた問題解決には時間がかかるとして、共同方式の資源開発を働きかける現実路線を取っており、今後もベトナム以外の当事国に対して「資源外交」を強めていくと見られる。

南沙諸島の海底資源調査 中比、共同実施で合意

2004/09/09 The Sankei Shimbun

 【シンガポール=藤本欣也】東シナ海でガス田開発を進める中国が、豊富な海底油田が眠っているとみられる南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島でも資源調査を本格化させることになった。領有権をめぐり対立していたフィリピンと海底の共同調査で合意した。一方、ベトナムも南沙諸島の実効支配を既成事実化するため、定期航空便の開設を計画するなど、南沙諸島をめぐる動きは再び活発化してきた。

 南沙諸島は、サンゴ礁など約100の小島からなる。東アジアとインド洋を結ぶ重要なシーレーン(海上交通路)に位置しているうえ、豊かな漁場で、10億バレルの海底石油資源も有望視されていることから、中国、ベトナム、フィリピン、台湾、マレーシア、ブルネイが領有権を主張している。

 こうした中、中国の胡錦濤国家主席は今月1日、訪中したフィリピンのアロヨ大統領と北京で会談、南沙諸島を含む南シナ海の海底調査を共同で行うことで合意。中国海洋石油とフィリピン国営石油公社が3年間の共同探査計画に調印した。

 南沙諸島の領有権問題では中国はこれまで、多国間協議による終わりのない主権論争ではなく、二国間の個別協議を重視、海底資源などの共同調査・利用を呼びかける現実路線をとってきた。

 英紙フィナンシャル・タイムズは「南沙諸島が領土問題ではなく資源問題として扱われたのは今回が初めてだ」とし、中国にとって前進だっただけでなく南沙諸島問題の転換点となる可能性があるとの見方を伝えた。

 現在、東シナ海の「日中中間線」付近でガス田開発を進める中国だが、南沙諸島海域では「東南アジア諸国が1000以上の油田を探索・開発している。しかし中国の参加は少ない」(中国誌「新聞週刊」)と出遅れ感がある。今後、中国主導で共同調査を展開、国策でもあるエネルギー資源獲得を有利に進める構えだ。

 フィリピンは今回の訪中で、中国企業と総額4億7000万ドルの投資契約を結んでいる。領有権をめぐり長年対立してきた中国の要求をフィリピン側が受け入れた背景には、単独では大規模な海底調査を進める国力がない点も影響している。

 ベトナム政府も着々と布石を打っている。今年4月、南沙諸島で同国が占拠している島への観光船ツアーを強行。8月には、ベトナムとの間を結ぶ定期航空便を開設する計画も判明。実効支配の既成事実化を図る狙いとみられている。

中国海洋石油:南シナ海で天然ガス資源を発見

2004/08/12 中国情報局

 中国海洋石油総公司の香港子会社である中国海洋石油有限公司[香港上場、中国海洋石油(CNOOC)、0883]は12日、南シナ海の東部海域で探査を進めていた海底油井の番禺34−1−2で天然ガス資源を発見した。香港・経済通が伝えた。

 同社の張国華・高級副総裁は、番禺34−1では番禺30−1に次ぐ重大な天然ガス資源の発見があったと発表。掘削を進めていけば、両油井とも同社に大きな利益をもたらすだろうと述べた。(編集担当:石井一三)

ベトナムが南沙諸島に飛行場建設 中国の反発必至

2004/05/14 The Sankei Shimbun

 ロイター通信によると、ベトナムの観光当局者は14日、ベトナムや中国など6カ国・地域が領有権を主張する南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島にベトナムが小規模な飛行場の建設を始めた、と述べた。中国の反発は必至だ。

 ベトナムは今年4月、南沙諸島への観光ツアーを実施。その際にも中国は「中国の領土を侵犯する行為」と非難し、「強い不満」を表明した。

 同観光当局者によると、ベトナムは南沙諸島の島の一つに、長さ600メートルの滑走路を持つ飛行場を建設中。今年末までに完成する見通しという。(共同)

南沙諸島にベトナムが航路開通へ 外交部が見解発表

2004年04月17日「人民網日本語版」

外交部の孔泉スポークスマンは16日、ベトナムによる南沙諸島への観光用航路の開通は、中国の領土主権を侵害するものであるとの見解を示した。

報道によると、ベトナムは4月中旬に南沙諸島への観光用航路を開通させ、19日に第1便を運行する予定。

孔スポークスマンは、「中国は南沙諸島とその付近の海域に対して争いの余地のない主権を持ち、ベトナム側のこうしたやり方は中国の領土主権を侵害するものである」と主張した。

王毅副外交部長は16日、陳文律ベトナム駐中国大使と会見し、この問題についてベトナム側に厳重な申し入れをした。中国側はこれに先立ち、この問題への関心と反対をすでに何度も表明している。

孔スポークスマンは、「中国側はベトナム側に双方の共通認識を守り、(南沙諸島の領土問題に関する各国が調印した)『南海各方行為宣言』の合意事項を適切に履行し、情勢の複雑化を招く可能性のあるいかなる行動を取ることも直ちに止めるよう望む」との見解を表明した。(編集SN)

南沙諸島の中国主権に争う余地なし 外交部報道官

2004年03月19日「人民網日本語版」

外交部の孔泉報道官は18日の記者会見で、南沙諸島周辺海域での資源採掘について次のような質問に答えた。

――最近、複数の国が南中国海の主権論争のある海域を一方的に区割りして、石油・天然ガスの資源を採掘する国際入札を進めようとしている。いくつかの国際石油メジャーはこの入札への参加をすでに意思表示していると聞くが、中国側の見解をお聞きしたい。

われわれはこの問題を非常に重視している。われわれは中国が南沙諸島とその周辺海域に争う余地のない主権を持つことを何度も強調してきた。また、「論争を暫時停止して、共同開発を進める」という精神で、南中国海の問題を解決する道筋や方法を関係諸国と積極的に模索していく意思があることも、一貫して表明してきた。

いくつかの国々が論争のある南中国海の海域で一方的に石油・天然ガス資源採掘の入札を募集したやり方に、中国政府は強い懸念を寄せている。こうした国々ができるだけ早期にこの誤りを正し、南中国海がさらに複雑な情勢になることを避けてほしい。同時にわれわれも、これに関わる国際石油メジャーが中国政府のこの問題に関わる厳正な立場を切実に尊重し、中国の主権と海洋権益を損なういかなる行動も取らないようと望む。(編集ZX)


フィリピン大統領 南海問題の平和解決に期待

2001年03月03日(北京時間) 「人民網日本語版」

 フィリピンのアロヨ大統領はこのほど、中国とフィリピンが南沙諸島問題について異議を持っているが、両国はすでに問題を平和的に解決していくことで合意したと発表した。

 アロヨ大統領はまた、南沙諸島問題での中国に対する外交的圧力を否定するとともに、東南アジア諸国連合(ASEAN)やその他の協力国と南海の行動準則策定を進めていることを明らかにし、外交ルートを通じた問題の平和的解決に努力していく考えを示した。

外交部スポークスマン、「南沙諸島は中国の領土」

2001年02月14日「人民網日本語版」

ベトナムが南沙諸島に地方政府建設を計画しているという一連の報道を受けて、外交部の朱邦造スポークスマンは13日、中国政府はこれらの報道に強い関心を寄せていることを明らかにした。中国政府はこの問題について、ベトナム側の説明を求めている。

朱スポークスマンは、南沙諸島およびその近海の主権が中国にあるのは、疑いようのない事実だと強調。「南沙諸島でのいかなる国の活動も、中国領土への侵犯行為であり、違法である」と語った。

中国とASEAN、「南シナ海行動基準」で共同草案作成

2000/05/27 asahi.com

 中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が南シナ海の紛争防止策を協議する作業部会の第1回会合が26日、クアラルンプールで開かれ、軍人の交流などを盛り込んだ「地域行動基準」の共同草案をまとめた。双方がこれまでに出していた案を一本化した。しかし、中国が主張する「共同演習の事前通告」にASEANが難色を示すなど一部で合意できず、11月のASEAN首脳会議での最終合意を目指すことになった。

 共同草案には、南シナ海の安全保障をめぐる信頼醸成措置として、(1)軍人を含む対話の促進(2)(海域で操業する漁船などへの)威嚇行為の禁止などが盛り込まれた。協力を進める分野として、「海洋の環境保護」「麻薬密輸や海賊対策」などがうたわれた。しかし、ASEANが強く求める「これ以上の(岩礁などの)占拠の禁止」については、中国側は「表現が適切でない」とし、8月に中国で開く次回会合で検討することになった。

 米国は東南アジアでの軍事協力を重視し、フィリピンとの共同演習も4年ぶりに再開した。これに対し中国は、事前に準備した「地域行動基準」の中国側草案に「南シナ海および付近海域での軍事演習の禁止」を盛り込み、対抗する姿勢を見せた。この日の会合で中国は、ASEAN側の抵抗が強いとみて、要求を「共同演習の事前通告」へと落としたが、合意には至らなかった。

 ASEANは米国務省高官とも25日にクアラルンプールで対話を行い、「南シナ海問題の平和的解決」を盛り込んだ共同声明を発表するなど、米中両にらみの姿勢を貫いている。

米が南沙情勢を懸念

2000年01月08日 [ワシントン共同]

 米国務省のロス次官補(東アジア太平洋担当)は7日、ワシントンで外国人記者らと会見し、昨年アジアの安全保障問題で状況が悪化した地域として、領有権争いが続く南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島を挙げ、「紛争解決のため効果のある外交的道筋がない」と憂慮を示した。次官補は、南沙諸島で昨年「4つの国が軍事的な施設を建設、拡充した」と指摘。

比空軍機をマレーシア戦闘機が追跡 南沙諸島上空

1999/10/30

 東南アジア諸国連合(ASEAN)内の4カ国と中国、台湾が所有権を主張する南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島上空で28日、定期飛行中の比空軍機が、マレーシア空軍機に数分間追跡されたことが明らかになった。同諸島では今月、比空軍偵察機にベトナム軍が発砲する事件があったばかりだが、所有権問題に絡む国同士の軍用機が遭遇したのは初めてだという。

 フィリピン国軍筋によると、28日午前9時ごろ、パラワン島から飛び立った比空軍のプロペラ機2機がインベスティゲーター礁の上空2400メートル付近を飛行していたところ、マレーシア空軍の戦闘機2機が「非常に近い距離」まで近づいてきた。戦闘機はそのまま数分間、比空軍機を追跡して消えたという。マレーシアは今年6月、同礁上に新たな建造物を構築したことがわかっている。

比軍艦が中国漁船沈める

1999年7月20日 共同通信社【北京・共同】

 中国共産党機関紙、人民日報が主宰するインターネットのホームページは、20日、フィリピンの軍艦が19日午後7時ごろ、南シナ海で操業中の中国漁船2隻を発砲しながら追跡、1隻を衝突、沈没させ、1隻を連行したと速報した。

「地域行動基準」に反発必至 南シナ海領有権問題

1999/07/20

 シンガポールで23日から始まる東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議に先立ち、話し合いのなかで重要事項のひとつとなる南シナ海の領有権問題に関し、フィリピンとベトナムが提示する予定の「地域行動基準」案の全容が19日までに、明らかになった。朝日新聞社が入手した草案によると、南シナ海地域での新たな建造物の構築を事実上不可能にしているほか、船舶同士の過度な接近も防ぐ内容になっている。

 草案によると、「地域行動基準」は「海上の航行と情報伝達の安全」「資源の調査、開発、活用」など15条項にも及ぶ。

 このうち、最も議論となりそうなのは「海洋環境の保護」の条項だ。「関係国は島や岩礁などでの海洋調査を続けて良い」としながらも、「新たな構造物の構築活動は、2国以上の共同なものとする」としている。

 同意すれば、海洋調査以外の目的で独自に建造物を構築することはできない。最近新たにヘリポートを造ったマレーシアや、ミスチーフ礁に建物を造るなどした中国からの反発も予想される。

 「事件の防止」の条項では、「関係国の船舶は、他の関係国民がいる設備の500メートル以内に近づかないよう奨励する」としている。南シナ海では今年5月、スカボロー礁海域でフィリピン海軍の警備艇が中国漁船を追跡、漁船が沈没した。船舶同士の接近を阻むことで、こうした事件を防ぐことが目的とみられる。

 また、「軍の対話と協力」では、「指揮所にいる者同士で電話番号やラジオ周波数を交換し、ホットラインを作る」としている。関係国同士の情報交換を促し、監視効果も狙ったものだ。

 今回のASEAN外相会議で、草案をもとにした本格的な「地域行動基準」のためのワーキンググループ結成が見送られれば、11月にマニラで開かれるASEAN非公式首脳会議の場に持ち越されることもあるという。

南沙問題で多国間協定提案

1999年07月19日 共同通信社【シンガポール共同】

 23日からシンガポールで開かれる東南アジア諸国連合外相会議に向け、フィリピン政府は19日までに6カ国・地域が領有権を主張する南沙(英語名スプラトリー)諸島問題に関する多国間協定の草案をまとめた。

 草案は、南シナ海の平和と安定に向け、当事国・地域が共同で海洋資源の調査や軍事協力、海賊取り締まりなどに取り組むことを規定。

紛争抑止狙い「行動基準」提示へ 南シナ海領有権問題

1999/07/17

 シンガポールで23日から始まる東南アジア諸国連合(ASEAN)の第32回外相会議で、スプラトリー(中国名・南沙)諸島など南シナ海の領有権問題に関し、紛争の拡大に歯止めをかけるための「地域行動基準」の草案が示されることが17日、わかった。フィリピンとベトナムが共同で作成した。多国間協議に訴えることで、緊張感が高まっている所有権問題を少しでも進展させるのが狙いだ。最近、岩礁に新たな建造物を構築したマレーシアをはじめ、関係国の同意が得られるかが注目される。

 フィリピンのシアゾン外相によると、「地域行動基準」の草案は、1995年にフィリピンと中国が共同声明として発表し、その後フィリピン・ベトナム間でも合意した「行動基準の原則」をASEAN全体にまで広げたもの。5月に行われた高級事務レベルの集まりで、ベトナムから草案を作成することが提案され、参加10カ国すべてから承認を得たという。

 フィリピン政府筋によると、フィリピンがベトナムと共同で作成した今回の草案には、「岩礁上に建造物を構築することを一時停止すること」が含まれており、これまでに踏み込まなかった領有権問題に言及している。南シナ海での各国の航行状況や、活動を制限すべき海域、科学調査を行う際の取り決めなどまで細かく定めているという。95年の「原則」より、かなり詳細な内容だとみられる。

 草案は、高級事務レベル会合での検討を経たうえで、23日からの外相会議で提示される予定。合意が得られれば、各国によるワーキンググループを結成し、本格的な「地域行動基準」の作成へ移る。

 石油などの資源が豊富とされる南シナ海の領有権問題には、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの6カ国・地域が関係している。

 このうち、軍事・経済力が最も弱いフィリピンには新たな建造物を構築する予算がなく、苦肉の策として使えなくなった古い海軍の艦船を岩礁に乗せている。また、92年の外相会議で採択した「南シナ海に関するASEAN宣言」を中心になって作成したことから、フィリピンは「強硬手段」を取りにくい立場にある。

南沙諸島問題で専門家部会

1998年(平成10年)11月17日 華声和語第226号

 14日の共同通信によると、アジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議出席のためマレーシアのクアラルンプールを訪れている唐家せん外相は14日、 シアゾン・フィリピン外相と会談し、南沙諸島の領有権問題をめぐり、二国間の 信頼醸成に向け、新たな専門家部会を発足させることで合意した。

 シアゾン外相によると、会談で同外相は中国が同諸島ミスチーフ礁で建設作業を行っている問題について、あらためて懸念を表明。唐外相は「施設はあくまで 漁業目的であり、いずれ各国の漁民にも開放する」と説明、軍事目的ではないことを強調した。

 会談後、シアゾン外相は「中国側の説明を認めたわけではないが、建設中の施設は巨大であり、今後の推移を見守る必要がある」と指摘、専門家部会でさらに協議することを明らかにした。

[社説]ASEANに地歩得た中国−−南沙諸島問題

1992/07/23 (毎日新聞朝刊) 日本財団図書館

 二十一、二十二日マニラで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議で最大の焦点になったのは、南シナ海に散在する南沙諸島の主権、開発を巡る諸問題だった。

 この問題が緊急の課題として浮上したために、今回の外相会議では、域外からのゲストである中国が、最大の主役としてスポットライトを浴びることになった。

 中国は南沙諸島に争う余地のない主権を持っているとして、領海法にその領有を明記している。だがこの諸島はベトナムがチュオンサ諸島の名で全面領有を主張、ほかにマレーシア、フィリピン、ブルネイと台湾が部分領有を主張している。

 ブルネイを除く関係諸国・地域は軍隊を送って部分的に実効支配を行っているほか、この諸島はスプラトリー諸島と呼ばれることが多いほどで、領有権が国際法上確定しているといえるかどうかは難しい。

 諸島とはいっても島と呼べるほどの広がりを持っているものは少なく、ほとんどは岩礁、環礁のたぐいである。だが、周辺海域に石油・ガス資源の埋蔵が見込まれるのと、インド洋と太平洋をつなぐルート上に位置するのとで、関係国の姿勢は強硬で、領有権で妥協する気配はない。

 周辺国だが領有を主張していないインドネシアの仲介で、これまで三回にわたって関係国が非公式協議を重ね、領有権問題を棚上げして共同開発を進めることで合意ができていた。

 ところが今年に入って、中国は領海法を制定して南沙諸島を領土に組み込み、米国企業とこの海域での海底油田探査の契約を結び、さらに軍隊を出動させて岩礁の一つに領土標識を立てるなど、一方的な行動に出て周辺諸国を緊張させている。

 こうした状況下で開かれたASEAN外相会議に、ゲストとして招かれた銭其〓・中国外相は、領有権問題を棚上げにし、当事国間で共同開発を進めるという、従来の中国政府の立場を再確認した。

 おそらく中国は領有権を放棄する気はないだろうが、共同開発を認めることで、中国がこの海域、ひいては東南アジアに利害を持っていることを、ASEAN諸国に確認させる意図があったものと思われる。

 中国は東アジアの大国ではあるが、東南アジアの国ではない。しかし今回のASEAN外相会議で、この地域に直接的利害を持つ重要関係国としての地位を認めさせることに成功した。この結果、将来必ず議題にのぼってくるはずのASEAN安保構築に、発言権を確保するきっかけをつかんだと、いえるのではないか。

 南沙諸島でのかなり強引な行動と、ASEAN外相会議での柔軟な態度の組み合わせで、中国は対東南アジア外交に大きな成果を収めたといえよう。 最近中国は急速な軍事力拡大に乗り出している。ロシアから最新鋭のスホイ27型戦闘爆撃機を導入しつつあるほか、ウクライナから新造空母を購入するとの情報も伝えられている。海軍の行動範囲拡大には極めて意欲的で、すでに西沙諸島の一部に基地を建設したとされる。アジアの軍事大国への道を着実に整えつつあるようだ。

 ASEAN諸国は、フィリピンのスビック海軍基地から年内に米軍が引き揚げることになっていることから、この地域に生じる軍事的空白に神経質になっている。マレーシアが南沙諸島の現実に合わせて、ロシアからミグ29型機を緊急購入するといわれるように、この地域には、軍備拡張に火がつきかねない危険があるのが気にかかる。

 欧州がすでに卒業したかに見える軍備拡張合戦を、アジアでこれから始める愚行を犯さぬよう、アジア人の知恵の深さが問われるところである。

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