TOPIC No.7-14 海賊対策/ソマリア沖・海賊襲撃

01. 海賊のカモにされる日本(ドイツに感謝) 1/3 by 防人の道 今日の自衛隊 −平成20年05月16日号より抜粋 チャンネル桜のYouTubeチャンネル
02. 海賊のカモにされる日本(ドイツに感謝) 2/3 by チャンネル桜のYouTubeチャンネル
03. 海賊のカモにされる日本(ドイツに感謝) 3/3 by チャンネル桜のYouTubeチャンネル
06. マラッカ海峡の海賊たち(2007年10月号)by National Geographic
04. 海賊・誘拐がソマリアの主要産業に:今年の「儲け」はすでに30億円(2008年09月18日)WIRED VISION
05. ソマリア沖の海賊 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
06. ソマリア海賊対策と自衛隊派遣問題 by arsiv.com
07. 海賊及び海上武装強盗情報
08. 海賊インフォーメーション by日本船主協会
09. TOPIC No.7-14-1 海賊対策/マラッカ海峡


台湾の漁船乗っ取りか ソマリア海賊、インド洋

2010年12月31日01時11分 中国新聞ニュ−ス

 【ナイロビ共同】ソマリア近海で海賊対策を行う欧州連合(EU)部隊は30日、マダガスカルの北東約220キロのインド洋で25日朝、26人が乗り組んだ台湾の漁船がソマリアの海賊に襲撃され、漁船との通信がその後途絶えていることを明らかにした。EU部隊は漁船が乗っ取られたとみている。

 乗組員は台湾人と中国人、ベトナム人で安否は不明。漁船は小型ボートに乗った海賊に襲撃されたという。

 EU部隊によると、現在、ソマリア近海で乗っ取られた26隻の計613人が海賊に拘束されている。

ソマリア海賊、2万トン級タイ貨物船乗っ取る

2010/12/27 (01:56) Newsclip.be

【タイ】アラブ首長国連邦からバングラデシュに向かっていたタイ海運大手トーレセンタイ・エージェンシー(TTA)の貨物船「トー・ネクサス」(2万377トン)が24日、インド洋でソマリア海賊に乗っ取られ、タイ人船員27人が人質となった。船はソマリア海岸に向かっており、周辺海域で海賊対策にあたっているタイ海軍の補給艦「シミラン」(2万2000トン)が追跡中という。

 アフリカ東部ソマリア沖一帯では貨物船、漁船が海賊に乗っ取られる事件が頻発し、米国、欧州、日本などが艦艇を派遣し、警備にあたっている。タイは今年9月から「シミラン」と巡視船「パタニー」(1635トン)を同海域に送り、海賊対策に協力している。

 今年11月にはタイの漁船がソマリア沖で海賊の襲撃を受け沈没し、タイ人船員1人とイエメン人の警官4人が行方不明になった。他の船員22人とイエメン人の警官1人は漂流中にタイ海軍の艦艇に救助された。

ロケット弾使い乗っ取り ソマリア海賊、インド洋で

2010/12/21 06:00 47News【共同通信】

【ハルツーム共同】ソマリア近海で海賊対策を行う欧州連合(EU)部隊によると、アフリカ東方にある島国セーシェルの北東約740キロのインド洋で20日、ソマリアの海賊が携行式ロケット弾を発射するなどして、パナマ船籍の貨物船(2万7915トン)を乗っ取った。

 貨物船はアラブ首長国連邦(UAE)の会社が所有。海賊は2隻の小型モーターボートで襲撃し、少なくとも4人が貨物船に乗り込んだ。貨物船の乗組員の数や国籍などは不明だが、人的被害は出ていないとみられる。

 ソマリアの海賊には大型船で遠洋まで航行し、機動性のある小型ボートで襲撃する船団が出現、活動範囲の拡大が指摘されている。

ジブチ大統領、日本の海賊対策を評価

< 2010年12月21日 23:16 日テレNews

 アフリカ・ソマリア沖の海賊対策の拠点として、日本が護衛艦部隊と航空部隊を派遣しているジブチ。来日中のゲレ大統領が21日、東京都内で日本テレビの単独インタビューに応じ、日本を含む国際社会の海賊対策を評価した。

 ゲレ大統領は21日、日本テレビの単独インタビューに対し、日本が去年からジブチを拠点としてソマリア沖の海賊対策に取り組んでいることを高く評価した。その上で、日本が望めば、自衛隊の派遣が長期化することも歓迎する意向を示し、今後も治安や安全対策に関する協力は惜しまないと明言した。

 ゲレ大統領は、20日に行われた菅首相との首脳会談でも、自衛隊の活動に今後も協力することを約束している。

 また、ゲレ大統領は、海賊問題の解決には、無政府状態が続くソマリアの安定化が必要だとして、現在、日本の支援を受けて、ソマリアの治安部隊の訓練施設を建設中であることを明らかにした。

インド洋海域、海賊にパナマ籍貨物船が乗っ取られる

2010-12-13 13:25 cri [A A A]

 アデン湾ソマリア沖で護衛任務にあたっているEU・欧州連合海軍は12日、パナマ籍の貨物船が11日にインド洋上で海賊に乗っ取られたことを明らかにしました。25人の船員はすべてフィリピン籍だということです。

 1991年から、ソマリアでは戦乱が続いているため、沿海海域で航行する船舶から武力で金品を略奪する海賊行為が頻発しています。統計によりますと、2009年の一年間、ソマリア沿海での海賊襲撃事件は214回発生し、47隻の船が海賊により乗っ取られており、世界で発生した海賊被害総数の半分を占めています。(万、小野)

ソマリア海賊が米会社運航コンテナ船乗っ取り

2010.12.11 13:58 MSN産経新聞

 ソマリア近海で海賊対策を行う欧州連合(EU)部隊によると、アフリカ南部モザンビークとタンザニアの国境の東約150キロの海上で10日、ソマリアの海賊が、米国の会社が運航するリベリア船籍のコンテナ船を乗っ取った。

 同船にはミャンマー人23人が乗り組んでいたが安否は不明。2台の小型モーターボートに5人が分乗した海賊は、携帯用ロケット弾を使用して襲撃した。EU部隊は「活動範囲を拡大している海賊が、ソマリアから最も南に遠い海域で行った襲撃の一つ」としている。

 コンテナ船はタンザニアのダルエスサラームから、モザンビークのベイラに向かう途中だった。(共同)

7次隊「きりさめ」「ゆうだち」が出発 アデン湾海賊対処

2010/12/09 朝雲ニュース

 船団護衛のためソマリア沖アデン湾に向け出発する7次隊の護衛艦「きりさめ」と、帽振れで見送る基地隊員ら(12月1日、海自佐世保基地で)

 アデン湾で民間船舶の護衛活動を行っている海自海賊対処水上部隊と交代するため、7次隊の護衛艦「きりさめ」(艦長・水谷宋和2佐)、同「ゆうだち」(艦長・林田嘉信2佐)が12月1日、佐世保から出発した。7護隊司令の伊藤弘1佐を指揮官とする約390人で、海上保安官8人も同乗。

 2隻は2、3週間かけてソマリア沖に到着、6次隊(指揮官・三船忍1佐以下約420人)の護衛艦「せとぎり」(艦長・西脇匡史2佐)、同「まきなみ」(艦長・秋元辰夫2佐)から任務を引き継ぐ。

海賊への支払い、最高額 ソマリア、解放の韓国船

2010.11.07 19:20 MSN産経新聞

 4月にソマリアの海賊に乗っ取られ、今月6日に解放が確認された韓国のタンカーについて、ロイター通信は7日までに、海賊側に支払われた金額は950万ドル(約7億7千万円)で、海賊が船舶への襲撃を激化している近年で最高額だったと報じた。

 海賊への取材や、海賊情報を収集する民間組織「東アフリカ船員援助計画」(ケニア)の話として伝えた。同組織によると海賊側は当初、2千万ドルを要求していた。タンカーには韓国人とフィリピン人計24人が乗り組んでいた

 また今年6月に海賊に乗っ取られたシンガポールの船の解放も確認された。同船には中国人20人前後が乗り組んでいたが、英BBC放送によると、海賊側には280万ドルが支払われた。

 韓国の聯合ニュースは、韓国のタンカーの解放には900万ドルが支払われたと報じていた。(共同)

日本郵船/海賊対策訓練

2010年09月13日 LNEWS

 日本郵船グループは9月10日、海上保安庁などと合同で、南シナ海を航行中の同社所有自動車専用船「ヘリオス・リーダー(Helios Leader)」(載貨重量トン数: 1万8692トン)で海賊対策訓練を実施した。

 最近の海賊・テロ情勢における脅威の高まりを受け、同社グループは海賊対策だけでなく、あらゆる不測の事態に対応するため、今後は積極的に各国の海上保安当局や官公庁などの関係者との共同訓練を実施していく考えだ。

 訓練はまず、ベトナム東方海域の南シナ海公海上で不審な高速ボートの追跡を受けたヘリオス・リーダーがSSAS(船舶保安警報装置)を作動、海上保安庁と船舶管理会社であるNYK SHIPMANAGEMENT社に緊急連絡した。

 海上保安庁は、付近を航行していた巡視船「しきしま」に現場への急行と安全確保を指示。「しきしま」が船体や付近海域の安全確認を実施、ヘリオス・リーダーが船内の安全確認を実施。乗組員、船体と周辺海域に異常がないことが確認され、関係者に本船の無事を連絡した。

 本船からのSSASを受け、同社とグループの船舶管理会社NYK SHIPMANAGEMENT社は対策本部を設置し、連携して対応に当たった。海上保安庁、国土交通省海事局外航課、日本船主協会、アジア海賊対策地域協力協定も訓練に参加し、海賊襲撃時のそれぞれの役割を再確認した。

南シナ海の海賊事件が急増 国際海賊団の存在も

2010.09.06 MSN産経新聞

 【シンガポール=宮野弘之】南シナ海での海賊事件が急増している。2005年以降、周辺各国の努力で減少していたが、今年は8月末の段階で104件(未遂含む)と昨年1年間の101件を早くも上回った。日本関係の船舶の被害も今年は9隻目。背景には07、08年の世界的な景気低迷の影響からなお抜け出せない周辺の島々に住む貧しい漁民らの存在に加え、各国にまたがる海賊組織の存在も指摘されており、関係各国は警戒を強めている。

 日本の国土交通省によると、インドネシアのアナンバス諸島沖で5日未明、飯野海運(東京)が運航するケミカルタンカーが刃物を持った海賊に襲われ、現金約2万ドルなどが奪われた。船はシンガポールから中国に向かう途中で乗組員らにけがはなかった。

 同海域はマレー半島東側でシンガポールから日本や中国だけでなく太平洋へ抜ける重要な航路にあたる。かつて海賊事件はマレー半島西側のマラッカ海峡付近が多かったが、最近は同海域に集中している。手口はナイフなどを持った男数人が船尾から乗り込み、船員を脅して現金や時計、カメラなどを奪うもので、積み荷には一切手をつけない。

 06年に設置されたアジア海賊対策地域協力協定(RECAAP)情報共有センター(ISC)のまとめでは、05年に148件あった海賊事件はその後、減少傾向にあったが09年から増加に転じ、今年は6月末までに71件。7月11件、8月22件。9月も今回を含めすでに5件と5日現在で109件に上る。狙われるのはばら積船やケミカルタンカー、コンテナ船などが大型船が多いが、今年は取り回しの簡単なタグボートの被害が増えている。

 最近の事件ではシンガポールを出たタグボートがインドネシア沖で海賊に襲われ、乗組員は引いていた積み荷とともに置き去りにされた。船は2週間後にフィリピンで再塗装され、使われているのが見つかった。最初から転売先を決めて奪ったとみられ、シンガポール〜インドネシア〜フィリピンをつなぐ国際的な組織の存在が指摘されている。

甲板上に「爆発」痕跡なし…商船三井タンカー

2010年07月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 オマーン領海内のホルムズ海峡で、商船三井が運航する大型原油タンカー「M・STAR」(全長333メートル、16万トン)が航行中、船体後部が損傷した事故で、同社は29日、被害を受けた右舷後部の甲板上では爆発の痕跡が見つからなかったことを明らかにした。

 タンカーはアラブ首長国連邦(UAE)の港に停泊中で、同社の技術者のほか、米英の海軍関係者も乗船して原因究明に当たるという。

 同社は29日、タンカーの被害状況を公表。被害は右舷後部の居住区に集中しており、衝撃で天井や壁の一部もはがれ落ちていたが、甲板上には爆発でできる焦げた跡などは見つからなかったという。喫水線近くの船体側面で見つかったへこみは爆発前にはなく、甲板上の救命艇が落下した際、船体にぶつかってできた可能性も否定できないという。

 同社では当初、爆発の直前に乗組員が洋上でせん光を目撃したとしていたが、29日、目撃したのは爆発後だったと説明した。

商船三井タンカー損傷「潜水艦、機雷の可能性」

2010年07月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【カイロ=田尾茂樹】オマーン領海内のホルムズ海峡で28日、商船三井が運航する大型タンカー「M・STAR」が船体の損傷を受けたことについて、タンカーが損傷調査のために停泊しているアラブ首長国連邦フジャイラの港湾責任者は29日、記者会見を開き、「(右舷後部のへこみは)何かがタンカーに衝突してできたもの」と述べ、潜水艦との衝突や機雷に接触した可能性に触れた。

 ロイター通信が伝えた。

 責任者は「タンカーの船長は『事故が起きた際、暗くて付近に他の船などがいたかはわからない』と話している」とも述べた。

 一方、中東一帯の海域を管轄する米海軍第5艦隊司令部(バーレーン)の報道官は、同通信に、「タンカー付近にいた米艦艇はなかった」と語り、米艦艇との衝突の可能性を否定した。

商船三井タンカー爆発、米第5艦隊が周辺警戒

2010年07月28日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【カイロ=田尾茂樹】ホルムズ海峡を航行中の商船三井のタンカーで起きた爆発を受け、中東一帯の海域を管轄する米海軍第5艦隊司令部(バーレーン)は28日、周辺海域の警戒を強化、アラブ首長国連邦のフジャイラ港に向かったタンカーが安全に航行できるよう監視を続けるという。

 司令部の声明によると、艦隊はタンカーに緊急援助を申し出たが、自力航行が可能としてタンカー側から不要との連絡を受けたという。「爆発の原因や被害の範囲は不明」としている。

タンカーで爆発、1人軽傷 ホルムズ海峡、海賊攻撃か

2010/07/28 中国新聞ニュ−ス

 28日午前5時半ごろ、ペルシャ湾につながるホルムズ海峡を航行していた商船三井の原油タンカーで爆発が起き、1人が軽傷を負った。国土交通省によると、海賊から攻撃された可能性がある。

 国交省と商船三井によると、タンカーの乗組員は、インド人15人とフィリピン人16人の計31人で、日本人は乗っていなかった。

 爆発は比較的小規模で、船体後部の救命艇付近で発生した。積んでいた原油の流出はなく、自力航行が可能という。

ソマリア海賊対策船に給油検討 政府、特措法制定も

2010/06/22 中国新聞ニュ−ス

 政府は22日、アフリカ東部ソマリア沖のアデン湾で海賊対策に当たる各国艦船への自衛隊による給油活動の本格的な検討に入った。菅政権として国際貢献に積極的に取り組む姿勢をアピールする狙い。ただ海賊対策での外国艦船への給油に関してはニーズはあるものの根拠法が必要となる。早ければ次期臨時国会に新たな特別措置法案か海賊対処法改正案を提出したい考えだ。

 仙谷由人官房長官、岡田克也外相、北沢俊美防衛相が22日午前、今後の国際貢献について首相官邸で協議。仙谷氏は海賊対策での給油に加え、国連平和維持活動(PKO)スーダン派遣団(UNMIS)への陸上自衛隊ヘリコプター部隊派遣に前向きな意向を示した。だがスーダンへのヘリ部隊派遣は自衛隊が治安情勢などを理由に消極的。北沢氏も難色を示しており、当面は給油を軸に実現可能性を探る。

 菅首相は、カナダで27日に予定される日米首脳会談で、オバマ大統領に新たな国際貢献策を提示したい考えだ。

 ソマリア沖での海賊対処の根拠法である海賊対処法は、海上警備行動で認められない日本に無関係の外国船も護衛対象とした。武器使用基準も一部緩和し、警告射撃などにもかかわらず民間船接近を続ける海賊船への射撃を容認している。ただ海賊対処に当たる外国艦船への給油活動については規定していない。

 海賊対策艦船への給油をめぐっては、北沢氏が昨年10月、インド洋でテロリスト掃討作戦を続ける各国艦船への給油に代わる自衛隊活動として検討を表明。だが鳩山由紀夫前首相や社民党が対テロ作戦とは関係ないなどとして否定的な見解を示し、断念した経緯がある。

呉に海賊対策の第1陣帰国 指揮官「緊迫した任務」

2009/08/17 中国新聞ニュ−ス

 ソマリア沖海賊対策で、第1陣として自衛隊法の海上警備行動に基づき日本関連船舶の警護を行った海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」(4650トン)など2隻が16日、呉市の呉基地に帰港。指揮官の五島浩司ごとう・ひろし1等海佐はインタビューで「武器使用の可能性を常に心に置いていた緊迫感の中の任務だった」と出港以来の約5カ月を振り返った。

 五島1佐は不審な小型船が民間船を追跡した場面で「そのまま(船への)侵入を続ければ警告射撃を行う可能性もあったと思う」と指摘。海賊対処法に基づき7月下旬から、日本と無関係の外国船も警護対象としている第2陣について「対象船舶が増えており、同じ2隻で警護するなら工夫が必要だ」と強調した。

 第1陣は3月30日から活動し計41回、延べ121隻の日本関連船舶を警護。一方、海警行動では警護対象外の外国船を船員法の「人道的措置」を根拠に6回救助し、「グレーゾーン」でのなし崩し的な任務拡大を懸念する声も上がった。

 呉基地では家族ら約千人が出迎え、子ども2人を連れた主婦黒岩理恵くろいわ・りえさん(26)は「海賊が出たというニュースを見ると心配だった。無事に帰ってきてよかった」と夫との再会を喜んでいた。

海賊対策、海自の活動拡大=見えない「出口」に不安も

2009/06/19 時事ドットコム

 海賊対処法の成立により、武器使用基準の緩和や護衛対象船舶の拡大など、アフリカ・ソマリア沖での海上自衛隊の活動は、大幅に「自由度」を増すことになる。その一方で、活動の長期化は必至で「出口」が見通せないことに現場から不安の声も上がっている。

 「自衛隊がより適切かつ効果的に海賊対処を行うことが可能になる」。浜田靖一防衛相は19日午後、国会内で記者団に対し、同法成立の意義を強調した。

 ソマリア沖で活動中の海自の護衛艦は、3月末の任務開始以来、同日現在で28回、計87隻の日本関係船舶の護衛を実施した。護衛対象が日本と関係のない外国船舶まで拡大することで、その数は大幅に膨らむ見通しだ。

 ただ、護衛の機会が増せば、海賊との銃撃戦に発展する機会が生じ、自衛隊が海外で初めて武器を使用する可能性も否定できない。近隣を航行中の船舶からの救助要請は「1日に10件以上」(防衛省関係者)に上るとされ、隊員の負傷など「不測の事態」への懸念は尽きないのが実態だ。

 ソマリア沖の海賊行為は最近、一段と増加傾向にあり、活動終了の時期は見通せない。政府は「ある程度持続可能な形で部隊を運用できる」(防衛省幹部)と強調するが、現場からは「海外活動が5年、10年となると、人員や艦船が不足し通常任務に支障を来す」(海自幹部)との声が漏れる。

ソマリア沖海賊対策、7月にも海自護衛艦2隻交代へ

2009年06月19日 asahi.com

 ソマリア沖・アデン湾の海賊対策をめぐって、護衛対象に外国船舶も含めることなどを盛り込んだ海賊対処法案が19日にも成立する見通しとなったことを受け、防衛省は7月にも同法に基づいて派遣する海上自衛隊の護衛艦を、「あまぎり」(京都・舞鶴基地)と「はるさめ」(神奈川・横須賀基地)の2隻とする方針を固めた。現在派遣されている「さざなみ」「さみだれ」と7月中にも交代、第2次の派遣部隊となる。

 現在、アデン湾で海賊対策にあたっている海自の護衛艦やP3C哨戒機は、自衛隊法の海上警備行動に基づき派遣されている。護衛対象が日本関係船舶に限られ、危害射撃も正当防衛か緊急避難のみとなっている。

 海賊対処法案では、外国商船も護衛できるようになるほか、海賊とみられる船舶が停船に応じなければ、正当防衛や緊急避難でなくても危害射撃できるようになる。

海賊法案が参院委で否決 19日に再議決、成立へ

2009.06.18 MSN産経新聞

参院外交防衛委で答弁する麻生首相=18日午前

 ソマリア沖などの海賊対策で自衛隊派遣を随時可能にする海賊対処法案が18日の参院外交防衛委員会で野党の反対多数で否決された。法案は19日午前の参院本会議でも否決されるが、憲法の規定により、同日午後の衆院本会議で3分の2以上の賛成で再可決され、成立する見通しだ。

 政府はソマリア沖海賊対策のため、自衛隊法に基づく海上警備行動で海上自衛隊の護衛艦2隻とP3C哨戒機2機を派遣しているが、同法成立後に派遣根拠を切り替える方針。

 麻生太郎首相は18日午前の委員会で、自衛隊派遣に関わる国会関与について「(国会報告で)国会への説明責任は十分果たすことはできる」と指摘。国会が撤収を議決した場合の対応について「その意思を重く受け止めるのは当然のことだ」と述べ、国会の判断を尊重する考えも示した。

 海賊対処法案は、海上警備行動で日本関係船舶に限られている護衛対象を外国船にも拡大。武器使用基準を緩和し、警告射撃にもかかわらず民間船に接近を続ける海賊船への船体射撃を認める。民主党は自衛隊派遣の際の国会事前承認を盛り込む修正を求めたが、与党との協議は整わず、他の野党と反対に回った。

海賊と対峙する最前線 ソマリア沖の海自艦

2009/06/07 中国新聞ニュ−ス

 【アデン湾6日共同=黒崎優人】ソマリア沖の海賊対策で、海上自衛隊が船舶の警護任務を始めてから2カ月余り。海賊被害が多発するアデン湾で6日、海自の護衛艦に同乗した。最前線で海賊と対峙たいじする前例のない任務に就く派遣部隊には緊張感が漂っていた。

 アラビア半島のある港から海自の補給艦「ときわ」に乗り約21時間。アデン湾の東端で、護衛艦「さざなみ」(4650トン)「さみだれ」(4550トン)と合流した。

 強い日差しが照り付け、日中の最高気温は30度を超える。ときわから「蛇管」という補給用ホースが伸び、強風でうねる海を並んで航行する護衛艦側につなぐ。隊員が甲板に据え付けられた12・7ミリ機関銃で警戒する中、給油や給水を行った。

 補給艦ときわは新テロ対策特別措置法に基づきインド洋で各国の海軍艦艇への洋上給油を続ける一方で、海賊対策の派遣部隊にも給油する“両面作戦”に従事。海自の国際任務の増加を物語る。

 正午すぎ、補給艦ときわから艦載ヘリコプターで護衛艦さざなみに乗り移った。インタビューに応じた派遣部隊指揮官、五島浩司ごとう・ひろし1等海佐(50)は「民間船舶から無線で寄せられる不審船情報は多い日は10件以上ある」と、世界中の海賊被害の約3分の1が集中するソマリア沖の実態を明かした。

 速度が遅く、海面から舷までの高さが5メートル以下で、海賊がはしごをかけやすい「ハイリスク船」からの通報が多く、「追跡されている」などの情報に基づき哨戒ヘリを出動させ、はしごを積んでいる小型船を確認したケースもあったという。

 現在、約20カ国の海軍艦艇が活動中だが、海賊側は警戒が手薄な海域を狙うなど、いたちごっこが続いているようだ。

 年間の航行船舶約2万隻の約1割を日本関連のタンカーや貨物船などが占めるアデン湾。従来の自衛隊の海外派遣が「対米協力」「国際貢献」「後方支援」の色合いが濃かったのに対し、今回は「国益」を意識し、最前線で武装した海賊と向き合い、自衛隊が初めて海外で武器を使用する可能性も指摘されている。

 五島1佐は「米軍の補給艦が発砲されるなど、海賊側が軍艦やヘリを恐れなくなっている」とした上で「(海賊船に)警告射撃を行う可能性は高まっており、隊員にプレッシャーはあると思う」と話した。

【写真説明】木造船(左奥)の脇を、水しぶきをあげながら通過する海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」=6日午前、オマーン沖のアデン湾(共同)

漁船被害防止で日韓合意 ソマリア沖海賊対策

2009年06月06日 中国新聞ニュ−ス

 ソマリア沖の海賊対策をめぐり日韓両政府は5日までに、タンカーや貨物船だけでなく漁船にも被害が拡大しつつある現状に対応し、漁船の被害防止策整備に乗り出すことで合意した。米国や中国などソマリア沖に艦船を派遣している各国にも参加を呼び掛ける。政府関係者が明らかにした。

 今年1月、麻生太郎首相と李明博大統領が申し合わせた海賊対策協力強化の一環。日米韓3カ国や国際海事機関(IMO)など約40カ国・国際機構の代表が参加して9日からソウルで開かれる高官級会議で提案する方向だ。日本からは西村康稔外務政務官、日本かつお・まぐろ漁業協同組合の代表者らが出席する。

 具体的には、海賊対策で艦船を派遣している各国が保有する海賊情報をIMOに集約し、船舶無線やファクスなどで漁船に提供。漁船からも海賊とみられる不審船を目撃した日時や位置などをIMOに通報してもらう。

 外務省によると、ソマリア沖海賊対策で各国は、インド洋と紅海をつなぐ交通の要衝、アデン湾の警備に力を入れてきた。しかし海賊の出没海域はアデン湾の外の東アフリカ沖合に拡散。付近はメバチマグロなどの好漁場で、操業している日韓両国や中国、欧州の漁船が危険にさらされるようになったという。

海賊対処法案:自民、民主で修正協議開始 参院外交防衛委

2009年06月04日 中国新聞ニュ−ス

 参院外交防衛委員会の自民、民主両党の理事は4日、海賊対処法案の修正協議を始めた。民主党の浅尾慶一郎筆頭理事が、「海賊対処本部」の新設や国会の事前承認規定などを盛り込んだ修正案を、自民党の木村仁筆頭理事に提示した。同法案の修正を巡り、両党は衆院でも同様の交渉をしたが、決裂した経緯がある。【仙石恭】

海賊国際法廷の設置を提唱 オランダ

2009.05.30 MSN産経新聞

 オランダからの報道によると、同国政府は29日、ソマリア沖で続発する海賊事件を審理する国際法廷を設立し、オランダに誘致する構想を明らかにした。

 同国のフェルハーヘン外相は既に日米など20カ国以上の国と国際機関からなる「ソマリア沖海賊連絡調整グループ」にこの構想を伝え、6月にオランダ・ハーグで開く専門家会合で詳細を協議することで合意した。オランダ外務省は「国際社会は主に軍事面で海賊取り締まりを図っているが、オランダは国際司法の面からも有効な貢献ができると考えている」として、国際法に基づいた海賊事件の解明、訴追が不可欠との見解を示した。

 「国際司法の首都」とも呼ばれるハーグには国際司法裁判所(ICJ)、国際刑事裁判所(ICC)のほか、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷などが設置されている。(共同)

海賊法案、参院審議入り 6月下旬までに成立か

2009/05/27 中国新聞ニュ−ス

 政府、与党が重要法案と位置付けるソマリア沖などの海賊対策で随時自衛隊派遣を可能にする海賊対処法案が二十七日午前、参院本会議で審議入りした。同法案は四月二十三日に衆院を通過しており、野党が採決に応じなくても、国会の会期を延長すれば、六月二十二日に「六十日ルール」による衆院再可決、成立が可能となる。

 政府はソマリア沖海賊対策のため現在、自衛隊法に基づく海上警備行動として海自護衛艦二隻を派遣。二十八日にはP3C哨戒機二機を派遣し、海と空から日本関連船を警護する態勢をとっている。

 海上警備行動は、日本に関係のない外国船は護衛対象外だが、海賊対処法案は護衛対象を外国船にも拡大。武器使用基準も一部緩和し、警告射撃などにもかかわらず民間船に接近を続ける海賊船への射撃を容認している。法成立後は派遣根拠を切り替え、現地での活動の幅を広げる方針だ。

 法案は国会の関与について、首相が自衛隊派遣を承認した際と活動終了後に国会に報告すると規定。民主党は国会事前承認に改めるよう求めたが、衆院での修正協議は決裂した。

P3Cの関連資材を空輸 ソマリア沖海賊対策

2009.05.20 MSN産経新聞

 ソマリア沖海賊対策で海上自衛隊のP3C哨戒機が派遣されるのを受け、仙台空港で20日、活動拠点のアフリカ・ジブチで使うP3Cの関連資材などが大型輸送機アントノフに搬入され、同機は現地に向けて飛び立った。

 防衛省統合幕僚監部の担当者によると、搬入品はP3C哨戒機の整備に必要なけん引車やトラックなどの車両のほか、ジブチ空港で使用する事務用品など。

 自衛隊は23、26両日も、民間航空機で仙台空港から備品を空輸する予定。

ソマリア沖海賊対策でジブチへ P3C部隊の先遣隊が出発

2009.05.18 MSN産経新聞

同僚の見送りを受け、ジブチへ向け離陸するC130輸送機=18日午後、愛知県の空自小牧基地

 ソマリア沖海賊対策で今月下旬に派遣される海上自衛隊のP3C哨戒機2機が活動拠点とするアフリカ・ジブチで、部隊の受け入れ準備をする先遣隊が18日、成田空港を出発した。

 また、P3Cの整備機材などを積み込んだ航空自衛隊のC130輸送機が同日、小牧基地(愛知県)からジブチへ輸送を始めた。

 先遣隊はP3Cを運用する海自隊員約20人と、ジブチ空港で警護に当たる陸自隊員約15人。本隊派遣を控え、現地で隊員が生活する隊舎の状況を確認するなど受け入れ準備をする。

 先遣隊長を務める横田一哉二等海佐は出発前に成田空港で「初めて行く地域なので、本隊が円滑に任務に移行できるよう準備を進めたい。現地の治安は安定していると聞いており、特に心配はしていない」と述べた。

陸自部隊がソマリア派遣で結成式

2009.05.16 MSN産経新聞

 ソマリア沖海賊対策で海上自衛隊のP3C哨戒機が派遣されることを受け、活動拠点のアフリカ・ジブチ空港で機体警護などに当たる陸上自衛隊部隊の結成式が16日、陸自宇都宮駐屯地(宇都宮市)で行われ、火箱芳文幕僚長は「海自と連携して任務を完遂し、米軍や欧州連合(EU)諸国軍との情報交換や信頼関係を深め国際活動能力を向上させてほしい」と訓示した。

 派遣されるのは中央即応連隊を主体とする約50人。同連隊は海外派遣で先遣隊を務めたり、災害やゲリラ攻撃対処、国際平和協力活動への取り組みを強化したりするため発足した中央即応集団(司令部・陸自朝霞駐屯地)の中核で、初の海外での実任務となる。

 活動根拠となる自衛隊法の海上警備行動は、海上での治安維持活動が目的だが、防衛省は「警備や補給・整備も重要で陸自の活動も海上警備行動」と説明。隊員は小銃を携行し、軽装甲機動車2両も持ち込む。

防衛相がP3C派遣を命令 6月中旬にアデン湾で任務開始

2009.05.15 MSN産経新聞

 浜田靖一防衛相は15日午前、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で海上警備行動に基づき海上自衛隊のP3C哨戒機2機の派遣を命令した。P3Cは今月28日にも派遣され、6月からジブチを拠点に海賊船の警戒監視にあたる。

 派遣部隊の規模は約150人。海自は整備要員を含め約100人がジブチ国際空港に駐留。駐機場警備のため約50人の陸上自衛隊員も同行し、拳銃、小銃のほか、軽装甲車2台を持ち込む。必要に応じ、航空自衛隊のC130輸送機も派遣し、要員や整備機材などの空輸にあたる。

 浜田防衛相は派遣命令発令後の記者会見で、「ソマリア沖アデン湾は非常に広大で、日本関係船舶の護衛をより効果的に実施するためには湾内の警戒監視、情報収集が必要」と指摘。「P3C派遣により日本国民の生命財産を保護するという政府の重要な責務をより効果的に果たすことができる」と派遣の意義を強調した。

 訓練を除く実際の任務でP3Cが海外派遣されるのは初めて。ソマリア沖では既に、自衛隊法上の海上警備行動に基づき、海自の護衛艦2隻が日本関係船舶の護送にあたっている。政府は海賊対策で自衛隊派遣を随時可能にする海賊対処法案を衆院通過させており、成立後に派遣根拠を切り替える方針。

ヨットマン米子さん拘束か セーシェル沖、米紙報じる

2009年05月09日 中国新聞ニュ−ス

 【ロサンゼルス8日共同】米カリフォルニア州のサンタクルーズ・センチネル紙(電子版)は8日、隻腕のヨットマンとして知られる米子昭男さんとみられる日本人男性が、アフリカ東部沖の島国セーシェル近くをヨットで航海中、海賊に拘束された可能性があると報じた。

 外務省邦人テロ対策室は、米子さんが4月28日にセーシェルから出航して以来、連絡が取れなくなっているが、「海賊の被害に遭ったかどうかは分からない」としている。

 同紙が米子さんの知人から得た情報によると、米子さんは他のヨットと共にセーシェルを出港。海賊に最近拘束された2隻のうち1隻に米子さんが乗っていたとみられるという。

 米子さんは小型ヨットで数々の冒険に挑戦。1997年に大西洋・太平洋単独横断に成功した功績で「植村直己冒険賞」を受賞した。

 セーシェル近海のインド洋では最近、ソマリアの海賊による船の乗っ取り事件が活発化している。

海賊11人をケニアに引き渡し フランス海軍

2009.04.23 MSN産経新聞

 フランス海軍フリゲート艦が22日、ケニアのインド洋沿岸モンバサに寄港、ソマリア近海でリベリア船籍の商船を襲撃したとして拘束した海賊容疑者11人をケニア当局に引き渡した。11人はケニアと欧州連合(EU)の合意に基づき、ケニアの法廷で裁かれる。

 ケニア当局は、11人が使用していた小型モーターボート2隻のほか、自動小銃などを押収した。(共同)

日本など所有のタンカー5カ月ぶりに解放 ソマリア沖

2009.04.22 MSN産経新聞

 ソマリア沖で昨年11月に海賊に乗っ取られていた日本とフィリピンが所有するケミカルタンカー「MTストルト・ストレンクス」が21日、約5カ月ぶりに解放された。フランス公共ラジオが伝えた。

 同船はノルウェーの海運会社がチャーターし、フィリピン人23人が乗り組んでいた。身代金が支払われた可能性があるが金額などは不明。乗組員はいずれも無事という。(共同)

ソマリア沖海賊対策のP3Cは厚木基地から派遣

2009.04.21 MSN産経新聞

 ソマリア沖海賊対策で防衛相が派遣準備を指示した海上自衛隊のP3C哨戒機2機について、赤星慶治海上幕僚長は21日の定例会見で、海自厚木基地(神奈川県)の第4航空群から派遣することを明らかにした。

 赤星海幕長は「P3Cの活用で船舶の安全を確保できる。実任務では初めての海外派遣なので準備に万全を期したい」と強調した。防衛省は5月中にも派遣し、6月にもジブチを拠点に活動を開始させる方針。

海賊に乗っ取られたソマリア支援船が解放

2009.04.20 MSN産経新聞

 AP通信などによると、ソマリアへの食糧支援に向かう途中、同国沖で海賊に乗っ取られたトーゴ船籍の貨物船が20日までに解放された。同日、世界食糧計画(WFP)の担当者が明らかにした。

 身代金が支払われたかどうかは不明。貨物船は14日、小型ボート数隻に囲まれて乗っ取られ、17日に解放された。ソマリア支援に使われる予定の食料約7300トンを積み込もうと、インド・ムンバイに向かう途中だったという。

韓国軍が海賊追い払う

2009.04.17 MSN産経新聞

 聯合ニュースによると、ソマリア沖で16日から海賊対策活動を始めた韓国海軍の駆逐艦「文武大王」の艦載ヘリが17日午後、デンマーク船籍の商船を襲おうとしていた海賊を追い払った。

 商船が国際無線で「海賊に追われている」と救助を求めているのを探知し、狙撃手を乗せたヘリが急行。海賊船2隻に対し射撃態勢を取るなどして警告し、商船から20キロ以上離れた海上まで追跡した。途中で米軍ヘリも合流したという。(共同)

海賊の武器使用割合が倍増 海賊対策ビジネスも流行

2009.04.17 MSN産経新聞

 【ロンドン=木村正人】アフリカ・ソマリア沖で多発する海賊問題で、海賊が昨年に比べ活動範囲を近海からセーシェルなどインド洋に拡大させ、武器を使用する割合も倍増していることが国際海事局(IMB)の調べで分かった。現場海域の天候が安定してきた3月以降、海賊の発生件数は激増。海賊を撃退するため、海軍経験者を乗船させたり、船長や船員に自衛訓練を施すなどの海賊対策ビジネスも流行している。

 IMBは20日に今年の海賊情報を公表するが、本紙の事前取材によると、海賊の襲撃は今年に入り世界で126件発生(昨年1年間では293件)。うち90件がソマリア沖周辺に集中、アラビア半島とアフリカ大陸の間のアデン湾にモンスーンが吹く1−2月には発生は減少していたが、3月以降、激増しているという。

 主な発生海域はアデン湾51件(同92件)▽ソマリア沖29件(同19件)。海賊は欧州連合(EU)や米国が警戒する近海を避け、活動範囲をインド洋北西部に拡大させている。船が乗っ取られたのは19件(同49件)▽海賊がロケット弾や自動小銃など武器を使用した例は37件(同46件)。乗っ取り成功率は横ばいだったが、海賊の武器使用率は15%から30%に跳ね上がっていた。

 欧米の艦艇が警戒できる範囲が限られていることや海賊がエジプトなどの漁船を母船として乗っ取ったり、雇い入れたりするなど手口が巧妙化していることを受け、船側の自衛能力を高める海賊対策ビジネスが流行。英国では10社から40社近くに急増したといわれる。

 英民間海上警備コンサルタント会社MUSCは、1973年に海事問題を扱う会社として発足したが、海賊の横行で海賊対策も手掛けるようになった。同社のハンキー氏によると、海賊を刺激する恐れがあるため、武装警備員を乗船させるケースは全体の約5%に過ぎず、代わりに航海前2週間にわたって、船長や船員に海賊撃退用の大音量発生装置使用法などを世界各国で講習しているという。

 しかし、これらの対策の実効性には疑問もつきまとう。国際船舶雑誌の中東特派員、ウィルソン氏は「実績を持つ一部の会社を除くと、便乗組が目立つ。海軍経験者だからといって海賊対策に精通しているわけではない」と指摘。船の旗国や航海海域の主権国家によって武器携帯の法制度が異なるという問題点もある。

海賊対策艦船への攻撃訴え アルカーイダ、ソマリア沖で

2009.04.16 MSN産経新聞

 国際テロ組織アルカーイダ系の「アラビア半島のアルカーイダ」は15日、海賊対策のためイエメンやソマリア沖などに派遣されている欧米の海軍艦艇などへの攻撃を、周辺地域のイスラム教徒に呼び掛ける音声声明をウェブサイト上で発表した。

 アルカーイダが、同海域で活動する海賊対策の艦船を攻撃の標的とするよう明確に呼び掛けるのは初めてとみられる。「アラビア半島のアルカーイダ」は最近、活動を活発化。日本政府も同海域に海上自衛隊の護衛艦を派遣しており、警戒を迫られそうだ。

 アブソフィアン・アズディ副司令官の名前で出された声明は、ソマリア沖の海賊対策の名目で派遣された欧米などの艦船について「おまえたち(イスラム教徒)に戦争を仕掛け、アラビア半島を支配するためにアラビア海やアデン湾にやってきた」と指摘した。(共同)

海賊の資産凍結検討へ 米、ソマリアの海賊対策で

2009.04.16 MSN産経新聞

 クリントン米国務長官は15日、ソマリア沖で頻発する海賊事件を受け、海賊の資産凍結を検討するなど4項目の対策を発表した。長官は「米国は海賊に譲歩したり、身代金要求に屈したりはしない」と強調した。

 長官は、日米などでつくる「ソマリア沖海賊連絡調整グループ」の緊急会合を呼び掛け、海賊の資産を追跡して凍結する方法を協議する考えを示した。

 国務省の担当チームがソマリア暫定政府や地域指導者に海賊対策を強化するよう働き掛けたり、海運会社や保険業界と連携して被害撲滅に取り組むことも盛り込んだ。(共同)

米国で高まるソマリアへの関与論 海賊、米商船再び襲撃

2009.04.15 MSN産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】アフリカ東部ソマリア沖を航行していた米国船籍の貨物船「リバティ・サン号」が14日、海賊に襲撃された。この海域での米国商船の襲撃は、8日のコンテナ船に続き1週間で2件目。米国は国連の平和執行任務を担ったソマリア派兵(1993年)が失敗して以来、ソマリアの政情混乱にかかわることを避けてきたが、相次ぐ商船襲撃で、米国内では海賊根絶に向けて再び同国へ介入するようオバマ政権に求める声が高まり始めた。

 ソマリアの海賊組織は、コンテナ船の船長を救出した米軍に海賊3人が射殺されたことを逆恨みし、米国を「敵の筆頭」として「報復」を宣言している。周辺を管轄する米第5艦隊のゴートニー司令官は、さきの船長救出が「この海域での暴力をエスカレートさせる」と警告したが、事態はこれを裏付けつつある。

 ロイター通信などによると、襲撃でリバティ・サン号は乗っ取りを免れたものの、ロケット弾、自動小銃の攻撃を受け被弾した。航行に大きな支障はなく、コンテナ船襲撃の際に船長救出にあたった米ミサイル駆逐艦の護衛を受け、目的地のケニアに向かっている。

 海賊はこのほか、週明けからトーゴ船籍の貨物船など商船2隻を乗っ取っており、活動をにわかに活発化させている。

 米国商船への攻撃を受け、オバマ米大統領は「海賊には確実に罪の責任を取らせる」として、海賊対策に本腰を入れる構えを見せていた。米国防総省では、海軍艦艇の増派を念頭に対応策を検討しており、とりわけ、洋上で小型艇を支援する海賊「母船」の攻撃に関心を強めている。

 だが、ゲーツ国防長官は、海賊の基地を抱える沿岸国政府の協力で制圧に成功したマラッカ海峡での経験が、事実上の無政府状態にあるソマリアでは生かせない難点を指摘。米政権や軍当局では、派遣米兵が武装勢力に惨殺された93年の第2次国連ソマリア活動(UNOSOM2)の悪夢から、同国への介入を避けたい本音が、この十数年間受け継がれていた。

 しかし、米国商船を含む海賊の襲撃が、今年少なくとも66件に達する状況に、米紙ワシントン・ポスト(14日付社説)は、「ソマリア政府と治安部隊の立ち上げ」こそが、「アフリカの角で海賊とテロの脅威を終結させる唯一の道だ」とし、対ソマリア関与への方針転換を促した。

 また、同日付のワシントン・タイムズ紙社説は、「陸上にある海賊の聖域にまで(強攻対象を)広げるべきだ」として、ソマリアへの関与をオバマ政権に訴えている。

ソマリア沖アデン湾で海賊が未明に貨物船乗っ取り

2009.04.14 MSN産経新聞

 ロイター通信によると、ソマリア沖アデン湾で14日未明、セントビンセント・グレナディーン船籍でギリシャ人が所有する貨物船が、海賊に乗っ取られた。北大西洋条約機構(NATO)軍当局者が明らかにした。

 海賊情報を収集する「東アフリカ船員援助計画」(本部ケニア)の関係者によると、乗組員ら22人にけがはないという。NATO軍当局者はロイターに「海賊が真夜中に行動するのは大変珍しい」と語った。(共同)

米海軍、人質のコンテナ船長を救出 海賊3人は射殺

2009.04.13 MSN産経新聞

12日、無事救出され米海軍当局者と握手するフィリップス船長(右)(AP)

 【ワシントン=山本秀也】アフリカ東部ソマリア沖の海上で、コンテナ船の米国人船長が海賊の人質となっていた事件で、米海軍は現地時間の12日夕(日本時間13日未明)、「人質の危険が迫った」として救出作戦を強行し、船長を無事救出した。海賊3人はその場で射殺され、残る1人は米海軍に身柄を拘束された。

 米メディアによると、今月8日から小型救命艇内に監禁されていたリチャード・フィリップス船長に対し、海賊はAK47自動小銃を突きつけ、付近で監視に当たっていた米海軍の駆逐艦に対して身代金などを要求していた。事件発生から5日目を迎えたことで、海軍当局は救出作戦の強行を決断し、海軍特殊部隊が実行した。

 作戦の強行はオバマ大統領の許可を得て行われた。作戦終了後、大統領はホワイトハウスで人質救出の報告を受けた。

 保護されたフィリップス船長は「健康に問題はなく、生気を取り戻しつつある」(海軍当局者)という。拘束された海賊は、強襲揚陸艦に身柄を移された。

 同船長が乗り組んでいた米国船籍のコンテナ船「マースク・アラバマ号」は、ケニアに向け航行中、海賊の襲撃を受けた。船員の抵抗で船の乗っ取りは免れたものの、船長が船の小型救命艇で海賊に連れ去られていた。

 マースク海運では船長の無事救出を受け、「フィリップス氏の家族は関係の方々に感謝している」との声明を発表した。

ソマリア海賊:海自派遣 2度目の外国船救援 大音響で追跡防ぐ

2009年04月12日 毎日新聞 東京朝刊

 防衛省は11日、東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策に派遣された海上自衛隊の派遣部隊が、海賊の疑いのある不審船に追われた護衛対象外の外国船舶から助けを求められ、大音響で警告する装置を用い追跡を防いだと発表した。同様のケースは3月30日の派遣以来2度目。

 防衛省によると、11日午後3時8分(現地時間同午前9時8分)ごろ、派遣部隊が、アデン湾西部の日本関係船舶の集合海域で待機中、近くを東方へ航行中のマルタ船籍商船が無線で周囲の船に「海賊船に追われている」と救援を求めてきた。

 護衛艦「さみだれ」が不審船まで約5・5キロに接近し、同3時半ごろ特殊なスピーカーを使って現地のソマリ語で海自艦艇と名乗ると、不審船は追跡を停止。4時40分過ぎ、艦載ヘリで上空から確認して不審船が追跡をあきらめたと判断、さみだれは現場を離れたという。不審船は半分沈没した小舟をえい航していた。【本多健】

ソマリア沖海賊、米人船長を人質に 船体は船員が自力で奪還 2009.04.09 MSN産経新聞

コンテナ船「マースク・アラバマ」=撮影日時不明(AP)

 【ワシントン=山本秀也】米海軍などによると、アフリカ・ケニア向けの援助物資を積んでソマリア沖を航行していた米国船籍のコンテナ船「マースク・アラバマ号」(1万7000トン)が7日、一時海賊に乗っ取られた。積み荷を含む船体は船員が自力で奪還したが、米国人の船長が同船の救命ボートで連れ去られた。

 海賊行為の頻発するソマリア沖だが、米国の大型商船襲撃という事態を重く見た中東バーレーンの米第5艦隊司令部は、人質となった船長の救出に向けて駆逐艦を現場水域に派遣した。

 マークス・アラバマ号は、ケニアのモンバサ港に陸揚げされる国連食糧計画(WFP)、米政府などの援助物資を積んで航行中だった。同船には連れ去られたリチャード・フィリップス船長ら約20人の米国人船員が乗り組んでいた。

 AK47自動小銃で武装した海賊は、現地時間の7日朝、小型船で接近して同船を制圧した。襲われた船員は非武装だったとされるが、4人組の海賊のうち3人を排除し、1人を身柄拘束したという。これまで負傷者はいないもようだが、対応に当たったフィリップス船長が逃亡する3人の海賊に連行された。

海自護衛艦、オマーン到達…まもなく警護活動スタート

2009年03月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 アフリカ・ソマリア沖の海賊対策を巡って、防衛省は30日、海上警備行動に基づいて派遣された海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」が、オマーンの港湾都市サラーラの沖合に到達したことを明らかにした。

 同日深夜(現地時間同日夕)から5隻の「日本関係船」を対象に初の警護活動をスタートさせる。国土交通省の「海賊対策連絡調整室」には、これまでに計2595隻から警護の希望が寄せられており、同省は、2隻の護衛艦では対応しきれないとして、P3C哨戒機による空からの警護を実施する方向で調整している。

 防衛省によると、初の警備対象となる5隻は、いずれも外国船籍だが、国内の船会社が管理しており、うち2隻に日本人が乗船している。この海域では昨年だけで計111件の海賊事件が発生しており、5隻は隊列になって航行し、前後を護衛艦にはさまれながら湾内を約900キロにわたって西に進み、2日後にジブチ沖に到達する見通し。

 警護はそこで終了し、護衛艦2隻は、湾内から湾の外に向かう別の日本関係船団と待ち合わせ、サラーラ沖まで引き返すことになる。2隻は9月ごろまで活動を続けるとみられる。

 2隻には、12・7ミリ機関銃や127ミリ速射砲などが装備されているが、今回の任務は海上警備行動による派遣のため、武器の使用は、日本船籍や日本企業が運航するなど日本関係船が襲撃に遭った場合だけに限られ、警告射撃以外に船体を狙って銃撃する時は、相手が攻撃してくるなど「正当防衛」と「緊急避難」のケースしか認められない。

 今月13日に閣議決定された海賊対処法案は対象を日本関係船だけでなく、すべての船舶に広げ、海賊が停船命令に応じなければ、正当防衛に当たるかどうかにかかわらず船体への射撃も可能としている。

ソマリア派遣の海自隊員に特別手当、防衛省が新設へ

2009年03月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 防衛省は25日、アフリカ・ソマリア沖の海賊対処に当たる海上自衛隊員の特別手当を新設することを決めた。

 日本関係船の護衛活動は日額2000円など、業務内容に応じて日額400〜4000円を支給する。27日の閣議で政令を決定し、これを受け、月内に訓令を施行する。

 海自は護衛艦2隻を現地に派遣しており、今月30日をメドに護衛活動を始める。約400人の乗組員には乗組手当と旅費に代わる航海手当が支給されるが、特別手当はこれに上乗せされる。

 インド洋で給油活動に従事する海自隊員には日額400〜4000円の特別手当があるが、海賊対処のための特別手当はなかったため、新設を検討していた。

インド洋に向け補給艦出港 海賊対策艦にも給油

2009.03.16 MSN産経新聞

インド洋での給油活動とともに、ソマリア沖で海賊対策に当たる海自護衛艦への補給も担当するため出港する海上自衛隊の補給艦「ときわ」=16日午前、神奈川県横須賀市の海上自衛隊横須賀基地

 新テロ対策特別措置法に基づく海上自衛隊のインド洋での給油活動で、現在派遣中の部隊と交代する補給艦「ときわ」(8150トン)が16日午前、神奈川県の横須賀基地を出港した。ソマリア沖で海賊対策に当たる海自護衛艦への補給も担当する。

 ときわは17日に広島県の呉基地を出発する護衛艦「あけぼの」と合流後、4月上旬に現場海域に到着する予定。

 横須賀基地では、自衛艦隊の泉徹司令官が「テロを封じ込め、平和な世界の構築に結び付く重大な責務に自信を持ち、職責を果たしてほしい」と訓示。岸壁で乗組員の家族や同僚ら約280人が見送った。

【主張】海自派遣 任務完遂に解釈見直しを

2009.03.15 MSN産経新聞

 自国の関連船舶や海上交通路(シーレーン)を海賊から守るという国家として当然の行為にようやく日本も乗り出した。海上警備行動に基づき、海上自衛隊の護衛艦2隻が14日、アフリカ・ソマリア海域に向けて広島・呉基地を出港した意味合いだ。

 2隻は4月上旬から、現地で日本関連船舶の護衛任務に就く。

 アジアと欧州を結ぶこの海域を航行する船舶は年間2万隻だ。うち約1割を日本関連船舶が占める。だが、これまでは他国海軍が護衛する船団に紛れ込んで安全を確保していた。日本船主協会は「現場の乗組員の安心感は計り知れない」と謝意を表明した。

 麻生太郎首相が海賊対処に海自を活用すると表明してから5カ月近いが、国際社会の共同行動に参加できたことを歓迎したい。

 護衛艦の乗組員は合計で約400人だ。海賊の逮捕など司法警察権を持つ海上保安官8人が同乗する。海自と海保が一体になって行動する初のケースだ。円滑な協力により成果をあげてほしい。

 問題は、自衛隊法82条による海上警備行動では、(1)日本関連船舶しか守れない(2)武器使用が正当防衛と緊急避難を除き、相手に危害を与えることはできない−と解釈されていることだ。

 近くで外国船が海賊に襲撃されていたとしても他国海軍に通報する程度しか対処できないという。近づいてくる海賊に対し、警告射撃を行っても抑止できない場合、一体どうするのか、などの問題点が山積している。

 これらは13日に国会提出された「海賊対処法案」で大筋打開できる。すべての船舶を保護対象としたことや、停船命令に応じず民間船舶に接近してくる海賊に船体射撃が認められる−との規定が盛り込まれているからだ。

 この法案の早期成立がいかに必要かを物語るが、それまで海自隊員は厳しい条件下で任務の遂行を求められる。ただ、海上警備行動は「海上における人命若(も)しくは財産の保護又は治安の維持のため」と規定されている。これまでの政府解釈は「守れるのは日本人の人命と財産」と狭く扱ってきたのではなかったか。外国船を守ることも治安維持と読めなくはない。

 麻生首相は呉基地で「任務を果たし、全員無事で帰ることを心から祈る」と訓示した。政府解釈の是正が首相の喫緊の課題であることを示していよう。

中国「対抗意識」の見方も 海自ソマリア派遣

2009.03.15 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】海上自衛隊の護衛艦2隻が14日、日本関係の船舶を海賊から守るためにソマリア海域に向かったことを受け、中国のネットに「軍国主義の復活を警戒せよ」といった反応が殺到した。一方、「この派遣は中国への対抗意識から行われた」と分析する国際政治学者も多く、「中日両国の海軍が世界の海で競合する時代の幕開けを意味する」といった見方もある。

 15日付の中国各紙は、護衛艦が出港したことを伝えたほか、日本国内の学者や野党などの反対意見を多く取り上げ、「日本の国内外で自衛隊の海外派遣の制限緩和につながると心配する声が少なくない」などと伝えた。

 中国メディアはこれまで自衛隊の海外派遣に神経をとがらせてきた。しかし昨年12月、中国海軍がソマリアに向かった際に、新聞とテレビは「責任ある大国として当然の行為」「世界平和に対する義務」などとその必要性を宣伝したため、今回、同じ行動をとる日本に対し、公式メディアは批判的コメントをしづらいようで、日本を批判したり、警戒を表明したりする論評は少ない。北京紙、北京晨報は「日本の憲法は海外に軍事力を派遣することを禁じているが、1990年以後それが徐々に緩和された」と淡々と伝えた。

 北京大学国際関係学院の梁(りよう)雲翔(うんしよう)助教授は「日本は国際協力という錦の旗の下、大国としての地位を守ろうとしている。自衛隊の海上での軍事力は決して弱くなく、今回のソマリアへの派遣は中国と競争する意味が含まれている」との見方を示した。軍事問題専門家の戴(だい)旭(きよく)氏は広州日報で、三国志の中で周(しゆう)瑜(ゆ)が諸葛孔明(しよかつこうめい)(名は亮(りよう))に対抗心を燃やしていたことを指す言葉「瑜亮情結」を使って日本の気持ちを分析している。

 一方、中国の各軍事系ネットには、ソマリアで展開する中国の軍艦と今回派遣された海自の護衛艦の写真がはられ、「戦ったら、どちらが強いか」について熱い議論が戦わされている。

自衛艦4月から展開 ソマリア沖、14日出港

2009/03/14  中国新聞ニュ−ス

 防衛省はソマリア沖海賊対策のための海上警備行動発令を受け、十四日午後、海上自衛隊の護衛艦二隻を広島県呉市の呉港から出港させる。二週間余りで現場海域に到着し、四月上旬ごろに日本関連船の護衛を開始する予定。十三日に閣議決定し国会に提出された「海賊対処法案」が成立すれば、活動の根拠をこれに切り替える方針だ。同法案は海賊対策で自衛隊派遣を随時可能とし、護衛対象に外国船を含めた。

 麻生太郎首相は十三日、共同通信とのインタビューで「法律にいろいろな不備があるため、派遣される自衛官とか海上保安庁の人たちが危険な目に遭うのは明らかに政治の怠慢だ。法整備を含め、きちんとやり上げないといけない」と述べ、海賊対処法案の早期成立に強い意欲を示した。

 派遣するのは海自第八護衛隊(呉基地)所属の「さざなみ」(四、六五〇トン)と「さみだれ」(四、五五〇トン)の二隻で、いずれにも哨戒ヘリコプター二機を搭載。特殊部隊の特別警備隊員のほか、海賊の身柄確保に備え司法警察権を持つ海上保安官が同乗する。

 ソマリア沖を通過する日本関連船は年間約二千隻。護衛対象船は国土交通省を通じて船舶運航事業者から警護要請を受けて決定する。警護する民間船に船団を組ませ、護衛艦二隻が船団の前後に分かれて護衛し、哨戒ヘリも警戒。ソマリア沖約九百キロの海域を片道二日程度かけて伴走する。

 海上警備行動では、相手に危害を与える武器使用は正当防衛、緊急避難に限定。立証責任も自衛隊側にあるため、武器を使用した際の合法性を早急に検証するため、撮影した映像や音声を日本に送信する衛星通信機材も護衛艦に装備した。

 一方、海賊対処法案での武器使用は正当防衛、緊急避難を基本とする一方、警告射撃などしても船舶に接近を継続する海賊船への船体射撃を容認する。ただ、逃走した海賊に対する追跡や武器使用は認めない。

海上警備行動では武器使用に制約 「海賊新法」も成立見通し立たず

2009.03.13 MSN産経新聞

 政府は13日、海賊行為が頻発しているアフリカ・ソマリア沖への海上自衛隊の護衛艦派遣を決定し、海賊対処法案(海賊新法)も閣議決定した。しかし、海賊新法が成立するまでは武器使用に制約があるほか、その海賊新法も成立への見通しは立っていない。(赤地真志帆)

 ■対物狙撃銃を用意

 派遣される護衛艦には哨戒ヘリ各2機を搭載。2隻の護衛艦が前方と後方から商船団を挟む形で、片道2日のアデン湾を護送する。海警行動は危害射撃を正当防衛、緊急避難時しか認めていないため、海賊船を哨戒ヘリで早期に発見し、接近をくい止めるための威嚇射撃が重要となる。

 護衛艦が持つ速射砲や機関砲では破壊力が大きいため、部隊は船の左右に2台ずつ据えられた12・7ミリ機関銃で対処するが、急遽(きゅうきょ)対物狙撃銃を持ち込むことになった。威嚇射撃が外れて死傷者が出れば、隊員が法律違反で裁かれることになりかねないためだ。

 新法が成立すれば、停船命令に従わず接近してくる海賊船に対し、危害射撃が可能となるが、それまでの間制約を抱えての任務が続くことになる。

韓国駆逐艦が出航 ソマリア派遣

2009.03.13 MSN産経新聞

 韓国海軍によると、ソマリア沖で海賊対策にあたる駆逐艦「文武大王」(4500トン級)が13日、韓国南部の鎮海の基地を出航した。4月中旬からアデン湾での船舶の護衛任務を始める。(共同)

海賊対策で14日に海上警備行動を発令、護衛艦出動へ/h3>2009.03.12 MSN産経新聞

 アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、政府は13日午前に安全保障会議と閣議を開き、海上自衛隊の護衛艦派遣を決定する。これを受け、浜田靖一防衛相が同日中に現行自衛隊法に基づく海上警備行動を発令、海自第4護衛隊群(呉基地)所属の護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」が14日に広島県・呉港を出港する。

 海警行動では護衛対象が日本関係船に限られる。このため、政府は外国船の護衛も可能とする海賊対処法案(海賊新法)についても13日に閣議決定し、成立後護衛艦の派遣根拠を切り替える。

 護衛艦2隻には自衛官約400人と海上保安官8人が乗艦し、2〜3週間でソマリア沖に到着する。各艦は哨戒ヘリ2機、特殊ボート2艇を搭載、射撃能力に優れた海自特殊部隊「特別警備隊」の要員も分乗する。

ソマリア沖海賊対策:護衛艦2隻、400人派遣

2009年03月04日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 防衛省は4日、東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策として海上警備行動で派遣する海上自衛隊の活動計画の概要を明らかにした。護衛艦2隻に自衛官約400人と海上保安官8人が乗艦し、活動地域をソマリア沖のアデン湾としている。

 テロ対策でインド洋に派遣している補給艦から「必要な場合に補給を実施する」としたが、政府は昨年の改正新テロ対策特措法の国会審議では海賊対策に触れておらず、野党から「なし崩しの活動拡大だ」と批判も出そうだ。

 また商船の護衛任務以外に、アデン湾のパトロールも必要に応じて実施するとした。

警告無視の海賊船に射撃限定  自衛隊派遣新法案の概要判明

2009年02月25日  中国新聞ニュ−ス

 ソマリア沖などの海賊対策のため自衛隊派遣を随時可能にする新法案の概要が25日、明らかになった。海賊船を積極的に探索し、武器を使用して拿捕する事態は想定せず、威嚇や警告の射撃にもかかわらず民間船に接近してくる海賊船への射撃に武器使用を基本的に限定している。与党は同日のプロジェクトチーム会合で、こうした規定を新法案に盛り込むことを了承した。

 新法案は大幅な武器使用の緩和を見送ったが、自衛隊の活動を定める実施計画や要領で具体的にどのような場合に船体攻撃の武器使用を認めるかが焦点となりそうだ。

 概要によると、自衛隊法の海上警備行動では日本関連船に限定される護衛対象に外国船も加える。ただ政府関係者によると、運用では、自衛隊が護衛する日本関連船の船団に外国船が加わる場合などに限定する見通し。

 船体射撃など相手に危害を与える攻撃は、海上警備行動と同様、正当防衛、緊急避難に限られる警察官職務執行法7条を「基礎とする」と準用を明記。その上で無線や海面への射撃による警告をしても、接近してくる海賊船を停船させる目的で船体射撃を容認する規定を設ける。

 この規定は「著しく接近する船舶を停止させるため、ほかに手段がない」事態で「合理的に必要と判断される限度」で船体射撃が可能と明記。

対海賊新法案の概要

2009年02月25日  中国新聞ニュ−ス
 

 海賊対策新法案の概要は次の通り。

 一、航行中の船舶の強奪、運航支配、船内の財物の強奪を目的として、船舶へ著しく接近することを海賊行為とし、処罰規定を整備する。

 一、武器使用については警察官職務執行法7条の規定を基礎とする。

 一、海賊目的で船舶に著しく接近する船舶を停止させるため、ほかに手段がないと信じるに足る相当理由があるときには、合理的に必要と判断される限度で武器使用を可能とする。

 一、海賊行為には海上保安庁が対処する。

 一、防衛相は、特別の必要があるときには首相の承認を得て自衛隊に対処を命じる。首相は承認したときに国会報告する。

ソマリア海賊対策で合同訓練

2009/02/20  中国新聞地域ニュ−ス

 アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で海上自衛隊の護衛艦が派遣されるのを前に、海自と海上保安庁による初の合同訓練が20日、呉市沖で始まり、海自隊員や海上保安官計約250人が参加した。

 訓練は1日で、海自隊員と司法警察権をもつ海上保安官との連携を目的に実施。派遣される護衛艦さざなみ、さみだれが所属する第8護衛隊の五島浩司司令ら両艦の乗員約15人と海上保安官約20人らが、訓練用の護衛艦たかなみ(4,650トン)に乗艦。特殊部隊「特別警備隊」の一部要員も参加している。

 海上では、海上保安庁の巡視艇と巡視船を海賊船と商船に見立て、商船に迫る海賊船への対応や拘束した海賊の引き渡しなどの訓練をしている。

米長官「外国船も護衛を」 海賊対策新法案で防衛相に要請

2009年02月17日  中国新聞ニュ−ス

 浜田靖一防衛相は17日午後、クリントン米国務長官と都内で会談した。クリントン氏は日本政府が検討しているソマリア沖などでの海賊対策の新法案に、海上警備行動では護衛対象外の外国船も含める規定を盛り込むよう求めた。

 クリントン氏が「他国の船も守れるように検討してもらいたい」と要請。浜田氏は「それを考え、新法を検討している」と護衛対象に加える考えを表明した。

 また、クリントン氏は日本の国連平和維持活動(PKO)について「日本に制約があるのは分かっているが、PKOにより深く関与したらいいのではないか」と積極的な派遣を求めた。浜田氏は「日本が今出している要員の数は適正とは言えない。できることをしっかり考えたい」と応じた。

 両氏は在日米軍再編の着実な実施と、日米同盟強化でも一致した。

ソマリア沖へ揚陸艦派遣へ シンガポール

2009年02月12日  中国新聞ニュ−ス

 【クアラルンプール12日共同】シンガポールのテオ・チーヒエン国防相は12日、各国海軍と協力してソマリア沖での海賊対策に当たるため、ヘリコプター2機を搭載した揚陸艦1隻を3カ月間派遣することを国会で明らかにした。

 派遣理由について、国防相は「シンガポールは海洋国家として海賊に関する国際社会の懸念を共有している」と述べた。

ソマリア海賊対策の調査団出発 活動拠点選定に情報収集

2009/02/08 中国新聞ニュ−ス

 ソマリア沖海賊対策で護衛艦とP3C哨戒機の派遣に向け、現地の情報を収集する防衛省の調査チームが八日、成田空港を出発した。

 二十日までの日程で、海賊が活動するアデン湾周辺のジブチ、イエメン、オマーンのほか、米海軍第五艦隊司令部があるバーレーンを訪問。港湾、空港施設や食糧の確保先など、活動拠点を決める上で必要な情報を集め、海賊取り締まり状況の情報交換をする。

 調査チーム代表を務める防衛省統合幕僚監部の南孝宜みなみ・たかのぶ一等海佐は「日本の関係船舶を守るとしても各国との情報共有は必要で、その点もしっかり見てきたい」と話した。

 浜田靖一防衛相は一月二十八日、海自などに派遣準備を指示。現地調査や訓練など一カ月程度の準備をした上で、海上警備行動が発令されれば護衛艦二隻を派遣し、その後P3C三機前後も派遣する方針だ。

海上警備行動は3月上旬発令 浜田防衛相、海賊対策で

2009年02月08日  中国新聞ニュ−ス

 【ミュンヘン7日共同】浜田靖一防衛相は7日夜(日本時間8日未明)、訪問先のドイツ南部ミュンヘンで同行記者団と懇談し、ソマリア沖海賊対策として準備中の海上警備行動の発令時期について「3月上旬には出せる」と述べた。発令は海賊対策新法案の国会提出の後になるとの見方を示した。浜田氏が発令時期を明言したのは初めて。

 派遣に向け準備中の護衛艦2隻がソマリア沖に到着するのは3月末以降になる。

 新法案の武器使用基準については「任務をするために広げてもらいたいが、政府内の判断でストップがかかったり、新法を早く成立させるために難しい部分はカットすることもありえる」と指摘。海上警備行動では相手に危害を与える攻撃は正当防衛、緊急避難に限定されるが、新法案でも内閣法制局との調整や公明党の意向に配慮し、基準を緩和したとしても限定的になるとの見方を示した。

海賊対策で連携確認 シンガポール国防相と会談

2009年02月07日  中国新聞ニュ−ス

 【ミュンヘン7日共同】浜田靖一防衛相は7日午後(日本時間同日夜)、訪問先のドイツ・ミュンヘンでシンガポールのテオ・チーヒエン国防相と会談し、ソマリア沖海賊対策で両国が連携していくことを確認した。引き続き英国のハットン国防相とも会談した。

 テオ氏との会談で浜田氏は、海賊対策のための海上警備行動について「護衛艦2隻の派遣準備をしている。今後お世話になることもあるだろう」と述べた。テオ氏は「シンガポールも艦船の派遣を検討しており、情報交換する機会もあるかもしれない」と応じた。防衛省によると、ソマリアへ向かう護衛艦が補給のためシンガポールに寄港する可能性があるという。

 浜田氏は「海上警備行動による自衛隊の派遣は新法ができるまでの措置」として、応急措置であることを強調した。

 ハットン氏との会談でも、海賊対策で既に艦船などを派遣している英国と緊密に連携していくことを確認する見通しだ。

海自艦の早期派遣を 海賊対策で海運関係者

2009/02/04  中国新聞ニュ−ス

 与党の海賊対策に関するプロジェクトチーム(PT)が三日開いた会合で海運関係者が、海自艦の早期派遣を要請した。政府側は「部隊編成、現地調査などに全力で取り組んでいる」と述べ、準備ができ次第派遣する考えを示した。

 PTは関係者からソマリア沖の状況を聴取。日本船主協会の飯塚孜副会長は「艦船の伴走だけでも海賊への抑止効果は期待できる。一日も早い派遣を」と訴えた。また日本船長協会の森本靖之会長は、他国の商船とともに外国艦船に守られている現状について「コバンザメのようだ。わが国に能力がないかというとそんなことはないはずだ」と述べた。

 これに関連し、PT共同座長の自民党の中谷元・元防衛庁長官、公明党の佐藤茂樹衆院議員らが八―十三日まで、各国の艦船の拠点となっているジブチなどを視察することが固まった。

護衛艦ソマリア派遣 海自呉

2009/02/04  中国新聞ニュ−ス

 アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で防衛省海上幕僚監部が、呉基地(呉市)からの護衛艦2隻の派遣を公表した3日、地元に緊迫感が増した。海上警備行動により活動に制約が残ったままでの決定。市民からは派遣の必要性を認めながらも、早急な法整備を求める声が相次いだ。

 呉地方総監部は公表に合わせ、護衛艦さみだれ、さざなみを報道関係者に公開。隊員は黙々と艦艇を整備していたが、甲板に海賊対策用とみられる機銃を置く台が新設されるなど物々しさも漂った。

 海上警備行動では武器使用が正当防衛や緊急避難に限られる。海自隊を支援する呉水交会の大之木英雄会長(86)は「国際貢献として日本も役割を担うのは当然」とする一方、「海上保安官を乗せるなど現行法での派遣は苦肉の策。隊員が混乱なく活動できるよう新たな法整備が急務」と指摘する。

 市内の海自OB阿南明さん(81)は外国船を護衛できない問題点を強調。「目の前で船が襲われているのに人として知らん顔はできないはず。現場は難しい判断を迫られるのではないか」と懸念する。

 市民の間からも心配の声は漏れる。会社員新本敬子さん(50)は「制約の多い中で隊員が危険になる場面があるのではないか。どこまで活動できるか政府が示す必要がある」と話した。

海自艦「さざなみ」など2隻派遣 海賊対策で海幕長

2009/02/03 Nikkei NeT

 赤星慶治海上幕僚長は3日の記者会見で、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で現行の自衛隊法に基づく海上警備行動が発令された場合、第4護衛隊群(広島・呉基地)所属の護衛艦「さざなみ」「さみだれ」を派遣すると正式に発表した。能登半島沖の不審船事件を機に設けた特殊部隊「特別警備隊」の投入検討も表明。今後は隊員の訓練など準備を進め、4月ごろの活動開始を目指す。

 防衛省は2月中旬までに補給基地候補のジブチやオマーンなどに調査団を派遣。ジブチを拠点にP3C哨戒機の派遣も検討しており、外務省を通じて相手国との地位協定締結交渉などにも着手したい考えだ。

ソマリア派遣、対応遅い民主 いまさら「海賊の定義」議論

2009.02.03 MSN産経新聞

 民主党は3日、外交防衛部門会議を開き、アフリカ・ソマリア沖の海賊被害の実態について外務、防衛両省、海上保安庁からのヒアリングを行った。自衛隊法の海上警備行動で海上自衛隊の護衛艦を派遣するとした政府の方針に社民、国民新両党などが反対する中、民主党は依然態度を明確にできないままだが、会議では、いまさらのように「海賊の定義」を問う質問が飛び出すありさま。同党の海賊問題への対応の遅れが一層浮き彫りになった。

 民主党は昨年12月に2回、部門会議で海賊問題について議論したが、年明けから政府・与党内でソマリア沖への自衛隊派遣論議が熱を帯び始めてからは初めての会議となった。与党が海賊対策プロジェクトチームを8日から13日の日程で現地視察のためにジブチやバーレーンに派遣するほか、自衛艦派遣の根拠となる海賊対策新法の整備に向けた作業も進めているのに、民主党はようやく対応の検討に入ったわけだ。

 しかし、この日の部門会議では、足踏み状態から脱出したとはいえる議論はなかったようだ。藤田幸久参院議員が「海賊の定義は何か。犯罪なのか。テロなのか。組織性はあるのか」と外務省に問いただせば、谷岡郁子参院議員も「まず民間船舶会社の自己責任と国の責任の区別をきちっとすべきだ」と主張するなど、「そもそも論」が噴出したのだ。

 同党は政府が新法を提出することを見据え、3月中にはスタンスを固めたい考えだが、寄り合い所帯ゆえに党内でも見解は真っ二つに分かれており、意見集約は容易ではない。自民党からは「民主党はいまごろ『海賊って何だ』という議論をしていて、大丈夫なのか」とあきれる声が上がっている。

防衛相、海自に準備指示 ソマリア沖海賊対策

2009/01/28  中国新聞ニュ−ス

 浜田靖一防衛相は二十八日午前、斎藤隆統合幕僚長らに対し、ソマリア沖海賊被害対策として現行の自衛隊法に基づく海上警備行動で海上自衛隊部隊を派遣するための準備に入るよう指示した。これを受け防衛省は海自艦に加え、P3C哨戒機も派遣する方向で検討に入った。同時に、部隊派遣に向けた調査団を来月上旬にジブチなどソマリア周辺国へ派遣する方針を固めた。

 一カ月余りの準備期間を経て、浜田氏が正式に派遣命令を出す。現場海域で海自艦が活動するのは三月下旬以降になる見通しだ。

 政府は準備指示に先立って開いた安全保障会議で、派遣方針を確認。浜田氏は準備指示の際「海賊は日本を含む国際社会への脅威で、早急に対応すべき課題だ」と指摘。この後、記者団に「海上警備行動は新法整備までの応急措置。自衛隊による海賊対処は新法整備が基本だ」と述べ、海賊対策で自衛隊の派遣を随時可能とする新法制定の必要性を強調した。

 政府、与党は新法案の三月上旬の国会提出を目指すが、武器使用基準の緩和に公明党や野党から異論が出る可能性もある。

 一方、P3Cは海賊船の動きを監視して海自艦に知らせ、日本関連船舶の護衛を側面支援する。海上警備行動で海自艦が護衛の対象とするのは日本関連船舶だけで、外国船は対象外。このため、国際協調の面で問題との指摘があり、P3Cで得た情報を各国軍艦に提供することで、批判をかわす狙いもありそうだ。

 P3Cの拠点はソマリア隣国のジブチを想定。ここには欧州連合(EU)部隊の拠点がある。調査団の訪問先はジブチのほか、周辺のイエメン、オマーンが候補で、海自艦の補給基地を探る。

 防衛省は準備期間内に警察庁、海上保安庁と連携し、正当防衛、緊急避難に危害攻撃が限定される武器使用基準を策定。どの段階で警告射撃、危害を与える射撃が可能かが課題となりそうだ。

禍根残す「脱法行為」 海自のソマリア派遣

2009/01/28  中国新聞ニュ−ス

 【解説】政府はソマリア沖海賊被害対策として、新法を待たずに、自衛隊法に基づく海上警備行動で海自艦船などを初めて海外派遣する準備に入ったが、防衛省内部ですら「緊急避難的な脱法行為」(幹部)との指摘があり、将来に禍根を残しかねない。

 海上警備行動は領海内の事案を想定している。政府は海外派遣について法的に問題ないとしているものの、制服組幹部は「強い違和感を感じる」と本音を漏らす。今回の拙速な対応は、政治による自衛隊の無原則な派遣を助長しかねない。

 海上警備行動は、対象の船舶が領海外に出て、再び領海侵犯の恐れがないと判断された段階で解除されるのが通例だ。今回は海賊活動がなくなるまで派遣が続く可能性もあり、海上自衛隊では「いつ撤収できるのか分からない」と懸念する声が広がっている。

 浜田靖一防衛相は麻生太郎首相から自衛隊派遣を検討するよう指示を受けた昨年末以来、海上警備行動発令に終始慎重な考えを示してきた。武器使用が正当防衛と緊急避難に限られ外国船を護衛できず、国際協調の面で問題があるとの認識からだ。政府、与野党は新法の是非も含めて議論を深める必要がある。

豪華客船護衛へ月内に準備指示 海賊対策で海警行動

2009年01月16日  中国新聞ニュ−ス
 

 政府は16日、ソマリア沖の海賊被害対策として、自衛隊法に基づく海上警備行動で海自艦を派遣するため月内にも自衛隊に準備指示を出し、3月中にも現場海域で活動させる方針を固めた。4月下旬から5月初めにかけて日本の豪華客船2隻がソマリア沖を通過予定になっており、この護衛を当面の大きな課題と位置付けている。

 これに関連し、麻生太郎首相は同日夜、与党の結論がまとまり次第、海上警備行動で派遣する考えを表明。海賊対策の与党プロジェクトチームは20日に会合を開き、海上警備行動に関する結論を出す見通しだ。

 ソマリア沖を通過するのは乗客乗員約1100人が乗るとみられる郵船クルーズの「飛鳥2」と、同じく500−600人が乗船する見込みの日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびいなす」。2隻とも世界一周クルーズの客船。

駐日米大使、ソマリア沖海賊対策への日本の参加促す

2009年01月09日 AFPBB News 発信地:東京

【1月9日 AFP】アフリカ・ソマリア沖での海賊対策で日本政府が海上自衛隊の艦船派遣を検討していることについて、トーマス・シーファー(Thomas Schieffer)駐日米大使が、平和憲法に抵触するかどうかの議論に時間を費やさず日本も直ちに参加すべきだとの見解を示した。  8日付けの読売新聞(Yomiuri Shimbun)とのインタビューでシーファー大使は、海賊被害をなくすため日本の貢献を希望すると発言。(自衛隊法上の)海上警備行動発令では護衛対象が日本国籍船または日本人が乗船する船舶に限られる点について、「相手が国家(の海軍)なら憲法9条の問題が存在するのは理解できるが、自分自身や自国民を海賊から守ることができないというのは理解できない」と語った。

 ソマリア沖での海賊被害は2008年だけで100隻以上に上り、世界の船舶運輸業にも経済的打撃を与えている。同海域での海賊対策には米国、欧州連合(EU)、中国がそれぞれ艦船を派遣している。

 こうした中、麻生太郎(Taro Aso)首相は前月、ソマリア沖への海自派遣を検討するよう指示したが、海賊に対する武力行使を可能にする新法をめぐっては、与党内で内容を検討中の段階だ。(c)AFP

ソマリア沖の海賊対策、専従部隊を設立 多国籍海軍

2009年01月09日 Nikkei NeT

 【ドバイ=太田順尚】米英などでつくる多国籍海軍(司令部バーレーン)は8日、アフリカ・ソマリア沖での海賊対策に専従する多国籍海上部隊を設けたと発表した。まずは米海軍のみが参加し、1月中旬に任務を始めるが、司令部には将来的に約20カ国が参加する見通しとしている。

 多国籍海軍はこれまで、インド洋などでテロ海上阻止行動に従事する部隊が海賊対策にも当たっており、専従部隊がなかった。ただ、ソマリア沖での海賊被害が拡大しており、各国海軍などとの連絡調整にあたりながら実力行使ができる専従部隊が必要と判断した。

ソマリア沖派遣で新法 海賊対策 与党、3月提出目指す

2009年01月07日 東京新聞 夕刊

 自民、公明両党は七日午前の政策責任者会合で、アフリカ東部・ソマリア沖の海賊被害に対応するため、新法制定を目指すことで一致した。近く与党プロジェクトチームの初会合を開き、三月末までに法案を取りまとめ、今国会提出を目指す。

 ただ、新法の内容に関し、自民党側は海上自衛隊の派遣を想定しているのに対し、公明党側は海賊対策について「一義的には海上保安庁の任務」(同党幹部)として海上自衛隊の派遣には慎重で、法案の取りまとめは難航が予想される。

 公明党の山口那津男政調会長は会合後、記者団に「国連海洋法条約に基づいて国内法を整備する義務がある。海賊行為抑止の協力義務に基づく国内法整備が課題だ」と、新法は海上自衛隊派遣を必ずしも前提としていないことを強調した。

 麻生太郎首相は先月、浜田靖一防衛相に対し、自衛隊法の海上警備行動発令による海上自衛隊艦艇派遣を検討するよう指示した。

中国がソマリアに艦艇派遣へ 海賊対策、初の遠洋警備

2008年12月18日 中国新聞ニュ−ス

 【北京18日共同】中国外務省の劉建超報道局長は18日の定例会見で、海賊対策のためのソマリア周辺海域への中国海軍艦船派遣について「積極的に準備作業を進めている」と述べ、政府として派遣を決めたことを確認した。中国海軍として初の遠洋での警備活動となる。

 18日付の中国紙、環球時報によると、中国海洋当局に近い消息筋は、派遣されるのは駆逐艦2隻と大型補給艦1隻の計3隻と述べた。当面は約3カ月をめどに、海上監視や船舶保護などに当たるという。

 ソマリアの周辺海域では11月、日本人が船長を務める中国漁船が海賊とみられるグループに乗っ取られており、中国政府は対策強化の必要性を強調していた。

撃沈の「海賊船」、実は漁船 ソマリア沖でインド海軍

2008年11月26日 中国新聞ニュ−ス

 【シンガポール26日共同】国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)は26日、インド海軍がソマリア沖で18日に「海賊船」として撃沈した船が、タイの水産会社に所属するトロール漁船(566トン)だったと明らかにした。乗り組んでいたカンボジア人1人が救助されたが、タイ人1人が死亡、14人が行方不明になっているという。

 ソマリア沖では海賊事件が続発し、各国海軍がパトロールを強化、日本でも海上自衛隊派遣論が出ているが、今回は海賊に乗っ取られた漁船を海賊船と誤認して攻撃したとみられる。

 海賊情報センターによると、センターは18日にこの漁船が海賊に乗っ取られたとの情報を受け、付近をパトロールする米海軍などの多国籍艦隊に漁船の写真などの情報を伝えた。しかし、独自にパトロールをしているインド、ロシアなどは直接の通報ルートに入っていなかった。

韓国軍:「姜邯賛」ソマリア派遣、海軍特殊部隊も同行

2008/11/24 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 ユ・ヨンウォン記者

 ソマリアの海賊掃討のための国際協調という次元から、早ければ来年1月末ごろ、韓国型駆逐艦「姜邯賛(カン・ガムチャン)艦」が現地に派遣される予定だ。派遣される「姜邯賛」(5000トン級)は、米第5艦隊司令部隷下に編成された連合海軍司令部の傘下に3個置かれたCTF(Combined Task Forces=統合任務部隊)の一つであるCTF150に所属し、作戦行動を取ることが分かった。

 CTF150では、十余カ国から派遣された2000‐4000トン級の艦艇10隻余りが活動している。韓国海軍は、別に軍需支援艦を派遣しない予定で、「姜邯賛」は米軍などから補給支援を受けるという。

 4‐5カ月間の活動を予定し派遣される「姜邯賛」は、通常なら2週間おきに燃料などの補給を受ける必要がある。軍当局によれば、「姜邯賛」は米第 5艦隊司令部が置かれているバーレーン港や軍需基地として活用し得るジブチ港に寄港し、補給を受けられるようにする計画だ。燃料については費用後払いで米軍から支援を受け、コメなど主食は数カ月分を艦艇に積んで行き、副食などは港に停泊した際に供給を受ける予定だ。海上で長期にわたり作戦行動を取らなければならない場合には、米軍の軍需支援艦から海上で燃料を補給してもらうことになる。燃料費など派遣に要する予算は年間60億ウォン(約3億8000万円)以上に達するものと推定されている。「姜邯賛」の乗組員は、合わせて200人余りだ。

 海賊が夜間に小型艇で「姜邯賛」近くまで隠密裏に接近し、ロケット推進擲弾(てきだん)発射機(RPG‐7)などで攻撃してきた場合の対応策も、軍当局が苦心している点だ。「姜邯賛」には射程距離100キロをはるかに超えるスタンダードSM2艦対空ミサイル32発や、射程距離150キロに達する国産の艦対艦ミサイル「海星」8発などが搭載されている。しかし、小さな海賊船を捕捉するのに「海星」ミサイルを使うのは、「蚊を見て剣を抜く」のも同然だ。

 このため、艦の前甲板に搭載されている127ミリ艦砲や口径30ミリのゴールキーパーCIWS(近接防御火器システム)などが、比較的離れた場所にいる海賊船への攻撃に活用されるだろう、と分析されている。近くまで接近してきた海賊船は、これらの武器より口径が小さい12.7ミリK6機関銃などで対処することになる。また、フランスが特殊部隊を投入し海賊を掃討したように、「姜邯賛」にも韓国海軍の最精鋭特殊部隊UDT/SEALの要員30人余りが乗り組む。特殊部隊は高性能の狙撃銃などで武装し、海賊を制圧する。

 海軍特殊部隊が効果的に作戦を展開しようとすれば輸送用のヘリコプターが必要になるが、「姜邯賛」には対潜ヘリコプター・リンクスだけが搭載されており、UDT/SEALの空中投入には限界がある。特殊部隊の投入に有用なUH60など輸送用ヘリについては、米軍に支援してもらう必要がある、とみられている。「姜邯賛」に最大2機が搭載されるリンクスは、最大射程距離25キロのシー・スクア空対艦ミサイルを装備し、海賊船の攻撃に威力を発揮する。

ソマリア海賊、取り締まり難航させる謎と現状

2008.11.21 MSN産経新聞

 アフリカ東部ケニア沖で、サウジアラビアの超大型石油タンカー「シリウス・スター」が海賊に乗っ取られた事件は22日で1週間となる。身代金をめぐる交渉も詳細は不明だ。各国は警備体制を強化したが、すべての海賊を取り締まるのは難しい。事件をめぐる現状と見通しをまとめた。

 ◆タンカーはどこに?

 乗っ取られた当初、タンカーはソマリア北部のエイルに向かったとされたが、海賊の仲間の1人は20日、ロイター通信に「シリウス・スター号」はソマリア中部のハラデレの東28キロにあるガーンという場所に係留され、仲間30人が乗り込んでいると語った。

 ただ、タンカーを保有するサウジ国営石油会社アラムコの子会社ヴェラ社はいまだに船の場所を発表していない。解放後に別の海賊に襲われるのを恐れ、情報を開示しないよう関係当局に要請しているという。

 ◆手数料まで高騰

 海賊側はシリウス・スターの解放の条件として、身代金2500万ドル(約24億円)を10日以内に支払うよう要求しているとされる。サウジのファイサル外相は、船会社が海賊側と交渉していることは認めたが、身代金額や交渉の内容などは明らかにしていない。

 海賊保険を扱う英国の保険会社幹部が、米ABC放送に語ったところでは、交渉は船主と海賊が直接行うのではなく、それぞれの代理人の間で行われるが、ソマリアの海賊との交渉が急増したため、代理人の手数料も高騰しているという。

 身代金交渉の専門家によると、交渉がまとまれば、身代金は現金で海賊に支払われることが多い。ただ、指定された海域に、梱包(こんぽう)した現金を落とすという一般的な支払い方法では別の海賊に奪われる可能性が高い。このため、ケニアには、身代金よりも高い手数料を取って、海賊の手元まで身代金を運ぶ専門業者も現れたという。

 ◆海上行動も制限

 インド海軍は18日、アデン湾で海賊の母船を交戦の末に撃沈した。インドは海賊の攻撃に対する正当防衛だと説明。海運関係者も、海賊に対する警告になったとインドの行動を評価している。ただ、海賊の襲撃から各国艦船を守るため、ソマリア沖に展開している各国海軍は、その行動を厳しく制限されている。拘束された乗員の安全確保を最優先とし、乗っ取られた船を強制的に停戦させて乗り込むことは、多くの国が認めていない。また、武器使用基準もバラバラで、統一行動を取るのは難しい。

 ◆地上作戦には及び腰

 ロシアのロゴージンNATO(北大西洋条約機構)大使は19日、海賊掃討のためにはソマリアでの地上作戦が必要と強調した。しかし、地上作戦を認める新たな国連決議ができても、実際に軍隊を派遣することには各国とも消極的だ。

 いまのところ、海賊が国際テロ組織アルカーイダとつながっている証拠はないが、米欧各国が介入すれば、一気に海賊をアルカーイダの側へ押しやることになりかねない、との懸念もある。(シンガポール 宮野弘之)

海賊増加のソマリア、安保理が反人道勢力への制裁決議

2008年11月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=白川義和】国連安全保障理事会は20日、東アフリカのソマリアでの紛争激化や海賊事件増加を受け、同国情勢を不安定化させたり、人道支援活動を妨害したりした個人・団体に、資産凍結や渡航禁止の制裁を科す決議案を全会一致で採択した。

 国際海事機関(IMO)のミトロプロス事務局長は同日の安保理会合で、海賊事件は今年、120件以上発生し、35隻以上の船舶が乗っ取られ、600人以上の乗組員が人質に取られたことを明らかにした。

ソマリア沖の海賊対策、紅海沿岸6か国が連携に合意

2008年11月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【カイロ=加藤賢治】ソマリア沖海域で頻発する海賊事件を受け、紅海沿岸の6か国は20日、カイロで初の実務者会議を開き、領海内の警備強化や航路の安全確保での連携で合意した。

 エジプト、サウジアラビア、ヨルダン、イエメン、スーダン、ジブチの外務省高官らが出席。海賊対策を提言する専門委員会の設置や、公海を含む紅海の安全確保で協力することで一致したが、具体策の検討は来年1月の次回会議に持ち越した。

 海賊事件は、紅海の出入り口にあたるアデン湾などで続発している。エジプトは、主要な外貨収入源であるスエズ運河の通航量が減る事態を憂慮、会議を開催した。サウジアラビアの大型石油タンカー乗っ取り事件後、ノルウェーの海運会社はスエズ運河の通航をやめ、アフリカ南端の喜望峰を回る航路に変更している。

安保理、ソマリア海賊問題協議へ

2008.11.20 MSN産経新聞

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会は20日午前、ソマリア近海で多発する海賊行為に関する公開協議を行う。同近海での最新情勢について国連事務局の担当者が最新状況を報告、安保理として新たにどのような措置がとれるかなどについて協議を行う。

 安保理は今年6月にソマリア領海内での海賊取り締まりのため、外国船舶が領海内に入ることを半年間の期限つきで認める決議案を採択、10月には武力行使を含む必要な措置をとるよう加盟各国に求める決議案を採択した。後者の決議には期限は設けられていない。

 また、潘基文事務総長は19日までにソマリア情勢に関する報告書を安保理に提出。今年に入ってソマリア沖で65隻の商船が海賊に襲われ、推定で総額2500〜3000万ドル(約24億〜29億円)の身代金が支払われたとした。

ソマリア沖の商船、露海軍が有料での警護検討

2008年11月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【モスクワ=緒方賢一】20日付のロシア紙「ガゼータ」によると、露海軍は、ソマリア沖を航行する他国商船の警護を有料で請け負う検討を始めた。

 海賊対策が新ビジネスとなる可能性もあり、論議を呼びそうだ。

 ロシアは北大西洋条約機構(NATO)諸国やインドなどとともに、自国艦船警護のためソマリア沖にフリゲート艦などを派遣しているが、海軍当局者は、中東などの複数国から「商業ベース」で貨物船警護の依頼を受けたことを明らかにした。ロシアが有料警備に乗り出せば、各国の「需要」を生む可能性がある。

ケニア沖乗っ取り、中国マグロ漁船の写真を米海軍が配布

2008年11月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】中国共産党機関紙「人民日報」が運営するニュースサイトなどは19日、日本人船長の久貝豊和さんが乗り込み、ケニア沖で海賊とみられる武装グループに乗っ取られた中国のマグロ漁船「天裕8号」の写真を報じた。

 17日に撮影された写真を米海軍が配布したもので、銃を構えた武装グループの監視の下、船員ら約10人が船首の甲板に座らされている様子が写っている。ただ、船員らの中に久貝さんが含まれているかどうかは不明。

 新華社電によると、「天裕8号」は日本時間の今月14日未明、ケニア沖で操業中、武装グループに乗っ取られた。久貝さんのほか、中国人16人(うち台湾人1人)やフィリピン人3人、ベトナム人4人が乗っている。

繁栄するソマリア海賊の町 高級車にネットカフェも

2008/11/20 47News 【共同通信】

 【カイロ20日共同】高級自動車にインターネットカフェ。人質には洋食の出前も−。AP通信は、事実上の無政府状態が続き、貧困にあえいでいたソマリアの沿岸部の町が、身代金を得た海賊たちの落とす金で繁栄を謳歌(おうか)していると伝えた。海賊行為の根絶を求める国際社会の呼び掛けにもかかわらず、地元住民たちは“豊かさ”をもたらしてくれる海賊たちに感謝の念を隠していないという。

 「合法的に金が入ってこようが、違法だろうが、それで私たちはこの町で生活ができる」とハラデレに住むシャムソ・モアリムさん(36)。5人の子どもの母親だ。「子どもたちは食べ物の心配もなく学校にも行ける。みんな幸せよ」

 ソマリアは、イスラム原理主義勢力と暫定政府軍との戦闘などで治安が極度に悪化、中央政府は約20年もの間ほとんど機能していない。平均寿命は46歳。4人に1人が5歳になる前に死亡する。

 だが、沿岸部のハラデレやエイル、ボサソなどの町は“海賊経済”で栄え、中には4輪駆動車を乗り回し、石造りの家を建てる海賊も。海賊行為はここでは“よい生活”を得る手段だ。

インド海軍、オマーン沖で海賊船1隻を撃沈

2008年11月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューデリー=永田和男】インド国防省は19日、対海賊哨戒にあたるインド海軍艦艇がオマーン沖で海賊船の一団と交戦し、1隻を撃沈したと発表した。 Click here to find out more!

 東アフリカ・ソマリア沖で急増する海賊被害にはインド人船員も多数巻き込まれており、インド海軍は10月下旬から周辺海域に艦艇を派遣していた。

 インド国防省によると、フリゲート艦「タバール」は18日夜、オマーン南部の都市サラーラの南西約530キロの海上で不審な船団を発見。停止を求めたところ発砲を受けたため、船団の母船に砲撃を加えた。母船は、砲撃によって搭載していた火薬類が爆発、炎上したが、その間に小型高速艇2隻が逃走した。母船や高速艇の甲板上では、小銃や携帯型ロケット砲で武装した海賊多数の姿が見られたという。

 インド政府は、9月中旬、ソマリア沖で香港船籍のケミカルタンカーが強奪されインド人船員18人が人質となった事件を契機に海軍艦艇による哨戒を始め、インド籍だけでなく、要請があれば他国の船舶の護衛も行っている。「タバール」は、今月11日に、サウジアラビアとインド船籍の船舶に迫っていた海賊船を相次ぎ駆逐した。

首相、海賊対策で法整備検討

2008.11.19 MSN産経新聞

 麻生太郎首相は18日、尾形武寿日本財団理事長や中谷元・元防衛庁長官らと首相官邸で会談し、アフリカ東部ソマリア沖で頻発する海賊対策について「日本の船舶が海賊に襲われたり、人質になってからでは遅い。早急に対応を検討しなければならない」と述べ、海上自衛隊艦艇の活用などを念頭に、法整備を検討する考えを示した。

ソマリア沖で香港貨物船乗っ取り

2008.11.19 MSN産経新聞

 中国国営新華社通信は18日、ソマリア沖のアデン湾で香港の貨物船が海賊に乗っ取られたと報じた。貨物船は乗組員25人。小麦3万6000トンを積みイランに向かっている途中だったという。

 今月14日には、ソマリアに隣接するケニアの沖合で日本人船長を含む24人が乗った中国の漁船が乗っ取られた。(中国総局)

ソマリア海賊“増長” 警戒海域外でのタンカー襲撃に衝撃

2008.11.18 MSN産経新聞

 【シンガポール=宮野弘之】アフリカ東部のケニア沖で海賊に乗っ取られたサウジアラビアの大型石油タンカー「シリウス・スター」は18日、海賊が拠点とするソマリア中部のハラドヒアの港に入った。フランス通信(AFP)が伝えた。これまで海賊に乗っ取られた船舶の中で最大だったこと以上に、警戒していたソマリア沿岸200カイリ(約370キロ)から大きく離れた海域での犯行に、各国は衝撃を受けている。

 同タンカーは現地時間15日朝、ケニア・モンバサの南東沖450カイリ(約830キロ)の公海上で乗っ取られた。これまで、ソマリアの海賊は小型のスピードボート数隻を使って襲撃していたが、ロイター通信によると、海賊は3隻のトロール船を保有しており、襲撃の“母船”として使うことで、活動海域をさらに広げたもようだ。身代金の獲得が目的とみられる。

 シリウス・スター級のタンカーの場合、通常、海面から甲板までの高さは20メートル弱。だが、今回はサウジアラビアから200万バレルの石油を満載し、喜望峰回りで米国に向かう途中で、海面からの高さは10メートル程度に下がっていたとみられる。このため、海賊がロープやはしごを使って乗り込むことができたという。

 ロイター通信によると、米海軍第5艦隊報道官は事件について「予想していなかった」と述べ、インド洋に展開する各国海軍と新たな対策の検討に入ったことを明らかにした。ただ、マレン米統合参謀本部議長は17日の記者会見で、「海賊の到達距離に呆然(ぼうぜん)とした。いったん乗り込まれると(海賊を)排除することは難しい」と述べ、警備の難しさを指摘した。

 米国の警備会社が武装警備員を乗せることを提案したが、「海賊がさらに重装備して襲ってくる可能性が高く、発砲の権限など問題も多いため、実際に乗せた船はまだない」(海運関係者)という。

 このため、海運業者や船主は各国海軍が警備する海域を使うほか、乗り込まれないよう甲板全体を覆うカバーをつけるなど船自体を改造して対応してきた。さらに、ソマリア沖のアデン湾からスエズ運河という航路を避け、遠回りで喜望峰を回る船も出始めていた。

 シリウス・スター号は30万トン級と巨大なため、スエズ運河を通過する予定はなかっただけに、今回の事件は、警備のすきをついた犯行といえる。

 ソマリア沖では今年、60隻以上が海賊に乗っ取られている。ロシア製戦車などを積んだまま乗っ取られたウクライナの貨物船も含め、なお12隻以上が海賊の手にあるとされる。

サウジの31万tタンカー、海賊乗っ取り…ケニア沖

2008年11月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【カイロ=福島利之】米海軍第5艦隊は17日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ所有の大型石油タンカー(31万トン)がケニアのモンバサ沖で15日に海賊に襲撃され、乗っ取られたことを明らかにした。

 同艦隊の報道官は本紙に対し、同船はソマリア沖に向かっており、ソマリア人海賊の犯行の可能性が高いと語った。

 海賊情報などを収集する国際海事局(IMB)によると、周辺海域で乗っ取られた船としては最大級だという。同船は解放されたとの情報もあるが、米海軍やアラムコ社は確認していない。同船は石油200万バレルを積載しているとみられ、英、クロアチアなどの国籍の乗員25人が乗っている。

「海自艦艇の早期派遣を」 ソマリア沖海賊対策緊急会議が提言 /h3>2008.11.17 MSN産経新聞

 ソマリア近海で多発する海賊行為に、日本としての対応策を練ろうと、都内で「ソマリア沖海賊対策緊急会議」(主催・日本財団、海洋政策研究財団)が開催され、中東・欧州方面と日本を結ぶシーレーンと日本船舶の安全確保を図るため、海上自衛隊艦艇の早急な派遣などを求める提言をまとめた。

 ソマリア沖では、タンカーや貨物船を乗っ取り、船員の身代金を船舶会社などに要求する“誘拐ビジネス”が盛んだ。ソマリアの政情不安などから収入を絶たれた漁民らが武装、海賊になっており、今年9月までに、昨年1年間の約1・5倍に達する63件が発生している。

 ソマリア沖ではすでに、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)が船舶の護衛を実施。ロシア、マレーシアなども海軍の艦艇を派遣している。

 最近の状況について日本海難防止協会ロンドン事務所の若林邦芳所長は緊急会議で「海賊は身代金を奪うため人質に危害を与えなかったが、最近のケースでは、海賊側が船舶を護衛していた英軍艦艇に発砲してきた。海賊行為の質が変わりつつあり、人質の命も危うい」と指摘した。

 緊急会議では、ソマリア近海を通航する日本国籍船や日本人搭乗船を守るために、(1)海上自衛隊艦艇の派遣を速やかに実施する(2)海難救助や海賊船への立ち入り検査などのため、自衛隊法の「海上における警備行動」を発令し適切に対処する(3)海賊船への威嚇射撃を可能にする特別法を制定する−ことを求める提言がまとめられた。

ソマリアに艦艇派遣審議へ 海賊対策で韓国

2008.11.17 MSN産経新聞

 韓国国防省は17日、ソマリア沖で頻発している海賊行為による船舶被害に関連し、12月の国会で海軍艦艇の派遣同意案を上程すると明らかにした。聯合ニュースによると、同意案が可決されれば、来年初めにも派遣される見通しだ。

 一方、外交通商省報道官は同日、日本の海運会社が管理する貨物船がソマリア沖で乗っ取られた事件で武装グループ側と接触しており、韓国人乗組員5人の無事が確認されたと発表した。(共同)

ソマリア沖で日本船乗っ取り 韓国外交通商省当局者

2008/11/16 中国新聞ニュース

 【ソウル16日共同】韓国外交通商省当局者は十六日、日本の船舶会社が所有するパナマ船籍の貨物船がソマリア沖で十五日に、海賊とみられる武装グループに乗っ取られたと述べた。船舶会社名は不明で、日本人は乗船していないもようだ。

 同当局者によると、船は二万トン級で、乗組員は船長を含む韓国人五人とフィリピン人十八人の計二十三人とみられる。聯合ニュースによると、船名は「チェムスター・ビーナス」。

日本人船長含め全員無事 中国マグロ漁船乗っ取りで情報

2008/11/16 中国新聞ニュース

 【北京15日共同】アフリカ東部ケニア沖で日本人船長らが乗船した中国天津市の「天津市遠洋漁業」所属のマグロ漁船天裕8号が海賊とみられるグループに乗っ取られた事件で、中国外務省や漁業協会などは十五日、ケニア政府などと連絡を取りながら乗組員の安否を含めた情報収集に全力を挙げた。

 中国漁業協会は、関係ルートを通じて得た情報として、十五日夕(日本時間同)現在、ケニア沖で乗っ取られたマグロ漁船の乗組員は日本人船長を含め全員無事だ、と明らかにした。

 同社の担当者は同日までの共同通信の取材に対し、日本人船長の名字を明らかにし「久貝」さんだと語った。中国では近年、マグロの消費量が増加するのに応じ、中国漁船による漁も活発化しており、日本人船長がマグロ漁に関する知識や技術を持つとして起用された可能性がある。

 中国メディアの報道などによると、同社は二十二隻の大型、中型漁船を所有。事件にあった天裕8号は四年前から操業していたという。

 また、中国当局は乗っ取りがあったケニア沖などソマリア付近の海上で操業している漁船に対し現場海域から離れるよう呼び掛ける緊急通知を出した。在北京の日本大使館も情報収集に当たっているが「事件の性質上、日本人が含まれるかどうかも含め明らかにできない」としている。

 乗っ取りは日本時間十四日午前三時ごろ発生。乗組員は日本人船長、中国人十六人(台湾人一人を含む)、ベトナム人四人、フィリピン人三人の計二十四人。

ソマリア海賊の犯行急増 元は漁師、無政府状態で失業

2008年11月15日 asahi.com

 【ナイロビ=古谷祐伸】事実上の無政府状態にあるアフリカ東部ソマリアの周辺海域で、海賊が暴れ回っている。13日にも日本人船員1人の乗った中国の漁船が乗っ取られた。人質を取り、身代金を要求する「海賊ビジネス」。その多くは、地元の元漁師たちの犯行だという。

 中国国営新華社通信によると、ケニア沿岸で13日夜(日本時間14日未明)、日本人1人を含む24人が乗った中国天津市の「遠洋漁業」所属の漁船、天裕8号が乗っ取られた。他の乗組員は中国人が15人、ベトナム4人、フィリピン3人、台湾1人。けがはなく、ソマリア沿海を航行するよう求められているという。付近で犯行を繰り返している海賊の犯行の可能性が高い。

 世界の海賊事件を調べている国際海事局(IMB)によると、今年1〜9月にソマリア沖で起きた海賊事件は63件。世界全体の199件の3分の1を占める。イエメン沿岸警備隊のまとめでは、未遂事件も日本郵船の大型原油タンカー「高山」襲撃を含め100件以上あった。

 中でも、注目を集めるのがウクライナの会社が運航する貨物船、MVファイナの乗っ取り事件だ。33台ものT72型戦車など兵器を満載していたことが判明。人質20人は、乗っ取りから1カ月半たった今もソマリア中部の漁港ホビョの沖合で60人を超す海賊に拘束されたままだ。

 海賊に詳しいソマリア人記者によると、海賊の大半はハラゼレやホビョなど中部の漁村を拠点にしている。自動小銃やロケット砲で武装し、複数の高速艇で襲いかかるのが手口だ。約15年前から出没し始め、この1、2年で急増。漁業会社がそのまま漁船を使って「海賊会社」に衣替えしたケースがほとんどで、複数の武装集団に全体で300人ほどが属しているという。

 ソマリア沖で海賊が横行する背景には、約3千キロもの長い海岸線に監視の目を光らせることの難しさがある。ソマリアは91年以来、無政府状態。国内には武器が横行し、海上警備も対岸のイエメン任せだ。イエメンとの間のアデン湾は年間2万隻もの船が通航する要所でもある。

 海賊の狙いは人質にとった船員の身代金で、実際に人質に危害を加えたと報じられた事例はほとんどない。英シンクタンク、王立国際問題研究所は08年だけで海賊が3千万ドル(約29億円)近い身代金を得たと報告している。

 金はソマリアのイスラム系武装勢力、シャバブに流れているとの情報も。米国政府が2月に「テロ組織」と認定し制裁の対象にした組織だ。

 相次ぐ被害に、国際社会も動き始めた。AFP通信によると、エジプトの首都カイロで20日、紅海沿岸諸国による海賊対策の国際会議が開かれる。国連安全保障理事会は10月、積極的取り締まりを関係国に求める決議を全会一致で採択。共同提案した日本政府も、海賊対策の新法を検討する意向で、海上自衛隊を派遣する可能性が出ている。

 だが、海賊による事件は10月以降も、今月12日までに21件起きており、防ぎ切れていないのが実情だ。

邦人乗船の漁船乗っ取り ケニア沖、24人乗り

2008/11/14 中国新聞ニュース

 【北京14日共同】中国の交通運輸省によると、アフリカ東部ケニア沿岸で、日本時間十四日午前三時ごろ、日本人一人を含む二十四人が乗船した中国のマグロ漁船天裕8号が身分不詳のグループに乗っ取られた。新華社電が伝えた。

 天裕8号は中国天津市の「遠洋漁業」所属の漁船。乗っ取ったのは海賊とみられ、北方のソマリア南部沖に向かうよう要求しているという。

 漁船には日本人一人のほか中国人十六人(台湾人一人を含む)、ベトナム人四人、フィリピン人三人が乗っている。

 ソマリア沖では海賊による船舶被害が多発している。

紅海沿岸諸国、ソマリア沖の海賊対策で会合開催へ

2008/11/14 NIKKEI NeT

 イエメンのキルビ外相は13日、同国やエジプトなど紅海の沿岸諸国がソマリア沖での海賊被害の対策を話し合うため、20日にカイロで会合を開くと明らかにした。今年に入りソマリア沖の海賊被害は昨年比で倍増しており、北大西洋条約機構(NATO)が10月に艦船を派遣している。(ドバイ支局)

トルコタンカー乗っ取り、イエメン沖で海賊

2008.11.13 MSN産経新聞

 トルコのアナトリア通信などによると、中東イエメン沖約25キロの海域で12日、トルコの海運会社が所有するタンカーが海賊に乗っ取られた。14人のトルコ人船員が乗船している。

 タンカーは化学製品4500トンを積んで、インドのムンバイに向かっていた。

 トルコ政府は、周辺海域を警備している北大西洋条約機構(NATO)に救援を求めた。イエメン、ソマリア沖では海賊事件が多発、10月末にもトルコの会社が所有する船が海賊に乗っ取られた。(共同)

海賊対策でソマリア沖に艦船 EU、7隻派遣へ

2008/11/11 47News【共同通信】

 【ブリュッセル11日共同】欧州連合(EU)の外相・国防相合同理事会が10日、ブリュッセルで開かれ、加盟27カ国は、海賊による被害が深刻化しているソマリア周辺海域に12月から7隻の艦船を派遣、世界食糧計画(WFP)の輸送船などを警備することを決めた。国連安全保障理事会の決議に基づく措置。

 既に10月から7隻の艦船で同様の作戦を行っている北大西洋条約機構(NATO)などと協力態勢を組む。英国に作戦本部を置き、同国のジョーンズ海軍少将が司令官役を務めるという。

横浜港で海賊退治訓練 海保、東南アジアなどの当局者らと 2008.10.30 MSN産経新聞

 海賊対策などに取り組む東南アジア、中国、中東の海上警察当局者を対象にした海上保安庁による海上犯罪取り締まり研修が30日、横浜港の巡視船「やしま」で始まった。

 研修にはマラッカ海峡周辺国のインドネシア、マレーシア、シンガポールや、中東から日本に向かうシーレーン周辺国のイエメン、インド、ベトナム、フィリピン、中国各国の海上警察、海運局、沿岸警備隊の指揮官クラス11人が参加。この日は、海保の救難艇に乗船して湾内パトロール訓練や救難艇から「やしま」に縄ばしごを使って乗り込む「立ち入り検査想定訓練」などを行った。

 研修に参加したインドネシア海上保安調整会議の法執行官、スダルソ・デヴィ氏(36)は「マラッカ海峡での凶悪な海賊は減少傾向にあり、今は食糧などを無心する“海賊”が増えている。こうした手合いは食糧を与えれば危害を加えることなく去っていく」とマラッカ海峡の現状を分析。

 インドネシア海上警察C級巡視艇のシャーリー・アングライニ指揮官(27)は「初めての研修で、学ぶことはとても多い」と真剣な表情で海上保安官の説明に聞き入っていた。

 参加者は31日には横浜沖で行われる海賊想定訓練で、日本の貨物船から金品と人質を奪って逃走する海賊船に対する情報収集、捜索発見、停戦処置、移乗・制圧・逮捕の研修を行う。

 海保では「今回の研修を通じてよい経験を積んで、各々の国での仕事に役立ててほしい」としている。

船員大国フィリピン、海賊直撃 3カ月で人質120人

2008年10月24日 asahi.com

 【マニラ=松井健】「船員大国」のフィリピンがアフリカ東部のソマリア沖で多発する海賊被害に悲鳴を上げている。襲われる船の所有者は世界中に広がるが、実際人質になる船員の多くがフィリピン人だからだ。経済を出稼ぎ者に依存するフィリピンだが、有効な対策を打ち出せず、頭を抱えている。

 15日、ソマリア沖のアデン湾で韓国貨物船が海賊に襲われた。フィリピン外務省によると、乗組員21人全員がフィリピン人。先月17日に襲われたギリシャのタンカーも26人全員がフィリピン人だった。

 同省の調べでは、3カ月余りに乗っ取られた10隻の乗組員約230人のうち127人がフィリピン人で、うち1人が襲撃時に死亡。その後、6隻が解放されたが、4隻の66人が人質になったままだ。

 フィリピンは毎年100万人以上が海外に働きに出かけ、その送金が国内総生産(GDP)の1割に上るとされる「出稼ぎ大国」。とりわけ船員は陸上の建設労働者などに比べ、給料が高いため人気がある。海外雇用庁などによると、海外で働く船舶労働者は約26万6500人(07年)。世界の船員の約3分の1を占めるとされる。

 フィリピン船員連合のラミレス委員長は「フィリピン人は英語ができて柔軟性がある。我々が供給しなければ世界経済はマヒする」と話す。

 だが海賊被害が相次ぎ、船員からは「危険な海域を通る際は船団を組み、米軍などの艦艇に護衛してもらいたい」(ラミレス委員長)と訴えの声が上がる。

 しかし他国の船に船員を供給するだけのフィリピンに効果的な対策はない。海賊が要求する身代金を支払うのは船主で、フィリピン政府も「身代金は支払わない」という姿勢を貫く。外務省は「ソマリア沖を通る船への乗船を禁止する」と提案したが、海外雇用庁は「契約に明記するのは無理」との立場だ。

 船主側に「危険手当」の増額を求める案も上がっているが、手当が増えれば危険を承知で行く人がさらに増える可能性もあり、効果は疑問視されている。

■身代金8億円、21日後に解放

 フィリピン人船員のマーク・アントニー・アバロスさん(31)とアルトロ・ニコラスさん(43)は8月、米国からオマーンに材木や機械を運ぶドイツ船に乗り、アデン湾を航行中に海賊に襲われた。

 海賊が乗った小さなボートから最大速度で逃げようとしたが、簡単に追いつかれた。海賊たちはロープを投げ込み、乗り込んできた。銃声が聞こえ、自動小銃やピストル、ロケット砲を持った3人がロシア人船長に銃を突きつけ、船を止めさせた。

 海賊は全員黒人。裸足でTシャツ姿だった。1人は英語を話したが、あとは何を言っているのか分からなかった。

 所持金や携帯電話、デジタルカメラなどを奪われ、ソマリア東部の海岸に移動させられた。同様に捕まった船を少なくとも7隻見た。

 身代金800万ドル(約8億円)を要求された。英語を話す海賊が「支払わなければ殺す」と脅し、眠れない夜を過ごした。21日後、「解放される」と船長が言った。「グッバイ」「アイラブユー」。海賊たちは覚えたての英語を口にして船を離れていった。

             ◇

 〈ソマリアの海賊〉 長引くソマリア内戦の影響で、ソマリア沖などで海賊事件が多発。23日の国際海事局の発表では、今年1月から9月までに全世界で報告された199件の被害のうち、約3分の1にあたる63件がアデン湾とソマリア東岸に集中する。日本船籍のタンカーも銃撃を受けた。日本政府が海上自衛隊の派遣を検討しているほか、国連安保理が取り締まりを求める決議を採択するなど、国際的な問題になっている。

ソマリア沖で海賊9人を捕そく、武器類も押収 フランス海軍

2008.10.24 CNN/AP

 ケニア・ナイロビ――アフリカ東部、ソマリア沖で頻発する海賊被害で、フランス国防省は23日、同国北部のアデン湾で小型ボート2隻に乗っていた海賊9人を拘束、ソマリア当局に身柄を引き渡したと述べた。AP通信が報じた。

 捕そくしたのはソマリア陸地から約185キロ離れた海域。攻撃型ライフル銃、ロケット弾発射装置、船体にひっかけるフックやはしごなどを押収した。

 北大西洋条約機構(NATO)は22日、ソマリア沖に派遣したNATO軍用船7隻が数日中に貨物船護衛の任務を開始すると述べていた。フランスはこの派遣には加わっていないが、インド洋での対テロ戦争の作戦には艦船が参加している。

 ソマリア沖では9月、旧ソ連の戦車や砲弾、小火器を積載しているウクライナの貨物船が乗っ取られ、身代金を要求する海賊と解放交渉が続いている。兵器がソマリアのイスラム反政府武装勢力の手に落ちることを警戒する米海軍艦船が付近で監視を続けている。

 この貨物船を乗っ取った海賊は23日、NATO艦船から攻撃を受けた場合は乗組員を殺害するとも警告した。

海賊対策で海自護衛艦派遣、新法検討へ 自民党

2008.10.24 MSN産経新聞

 自民党は24日、国防関係合同会議を開き、アフリカ東部ソマリア沖で頻発する海賊対策として海上自衛隊の護衛艦を派遣するための法整備に向け、プロジェクトチーム設置を決めた。

 会合で、防衛省は護衛艦の派遣は自衛隊法で定める海上警備行動の発令で可能であり、現行法で十分対応できるとの見解を示した。これに対し、出席議員からは、「海上警備行動は日本周辺での事態を想定している」「護衛艦は日本船舶しか守れないので他の海軍と協力する上で問題が生じる」などの異論が続出。新法制定を前提に今後プロジェクトチームで検討していくことになった。

NATO、ソマリア沖に艦船7隻派遣 NATO、海賊対策で

2008.10.24 MSN産経新聞

 北大西洋条約機構(NATO)は24日、海賊による被害が深刻化しているソマリア沖に7隻の艦船を派遣し、世界食糧計画(WFP)の輸送船を警備する作戦を開始したと発表した。NATO国防相理事会が9日、国連安全保障理事会などの要請を受け、作戦を承認した。

 イタリアの駆逐艦とギリシャ、英国のフリゲート艦の計3隻が輸送船の近くで警護に当たり、ドイツ、トルコ、米国の計四隻の艦船は周辺海域のパトロールなどを担当するという。(共同)

ソマリア沖で海賊事件急増 今年1−9月に63件

2008年10月23日 中国新聞ニュース

 【シンガポール23日共同】国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)は23日、今年1−9月にソマリア沖と同国北部アデン湾の海域で海賊事件(未遂も含む)が計63件発生し、前年同期比で27件増加、世界全体(199件)の約3分の1に上ったと発表した。

 同センターによると、無政府状態が続くソマリアを拠点とする海賊によって日本の会社の管理するケミカルタンカーなど26隻が乗っ取られ、537人が人質となったほか、21隻が自動小銃などで発砲された。23日現在も10隻、200人以上が解放されておらず、船主らが海賊側と交渉中。

 この海域にはアジアやペルシャ湾岸とスエズ運河を結ぶ重要航路が通っており、IMB幹部は「すべての国に、海賊とその母船の活動阻止を自国海軍に指示するよう要請する」と述べた。

【コラム】傭兵に頼る世界第9位の軍事大国(上)

2008/10/23 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 趙正薫(チョ・ジョンフン)社会部次長待遇

 今年4月28日、アフリカ北東部ソマリア付近のアデン湾。鉄鉱石20万トンを積みオーストラリアからオランダへ向かっていたH海運所属の貨物船の周辺に、小型快速艇が現れた。悪名高きソマリアの海賊だ。

 海賊たちは、RPG(ロケット推進擲弾)1発を貨物船のすぐ横に発射し、威嚇した。「止まれ」という合図だった。だが、船長は船を止めず航海を続けた。海賊たちは、今度は船長が船を指揮する船橋に向けRPGを発射した。鉄板に大きな穴が開いた。幸いなことに、船の舷側が高かったため海賊たちは船に乗り込むことに失敗し、貨物船は乗っ取られる最悪の状況を免れた。東遠号、マブノ1号・2号に続き、韓国船がソマリアの海賊に乗っ取られる3度目の事例となるところだった。

 海賊による危険性が深刻だと判断したH海運は、イギリスの警護専門会社に依頼し、傭兵を雇うことにした。今年6月1日、石炭15万トンを積みオランダのロッテルダムに向けオーストラリアのグラッドストーンを出発した運搬船には、イギリス人の警護専門家4人が初めて乗船した。アデン湾を通り抜ける1 週間、警備のために9万ドル(現在のレートで約878万円、以下同)を要した。しかし、付帯費用などを含めると20万ドル(約1952万円)程度かかった、というのが会社側の説明だ。

 傭兵たちは、「映画のように」銃や手りゅう弾で武装してはいなかった。殺傷用兵器を携帯して乗船する場合、外交通商部に申告しなければならないだけでなく、入港や出港の際の手続きも複雑になるからだ。音波を使って相手を退治する装備「MAD」が唯一の武器だった。

 しかし、イギリス人が船に乗船しているということだけでも、海賊の接近を予防する効果は十分だった。アデン湾に派遣されたイギリス海軍が、自国民が安全な海域へ抜け出すまで「保護」するシステムを稼動させているからだ。H海運の関係者は「少なくとも、傭兵を雇った4度の航海では海賊の攻撃そのものがなかった、ということだけでも効果はあったとみている」と語った。

【コラム】傭兵に頼る世界第9位の軍事大国(下)

 これまで好況だった海運業界は、最近になって不況の直撃を受けている。穀物や鉱物を運搬する貨物船の一種・バルク船の市況を示すバルチック海運指数(BDI)は、20日には1355ポイントに墜落した。今年の最高点(5月、1万1793ポイント)に比べ89%も落ちており、2002年10月以来6年ぶりの最低水準となった。

 ただでさえ一銭も無駄にできない状況にある海運業界だが、ついに「傭兵の共同雇用」という前例のない自助策まで用意した。不況でよろめきながらも傭兵を雇うのは、海賊に乗っ取られた場合の被害が途方もなく大きいからだ。船舶価格だけでも普通は1億ドル(約97億円)かかり、船員たちの身代金として海賊に対し通常300万ドル(約2億9000万円)ほどの金を払わなければならない。海賊による被害には、保険は適用されない。一般の中小企業の場合、船が海賊に乗っ取られると直ちに倒産へとつながりかねない。

 世界各国は、ソマリアの海賊被害に見舞われた自国の船舶のため迅速な対応を行っている。既に21カ国の軍艦がソマリア海域で活動中だ。

 ところが韓国政府は、依然「検討中」という言葉を繰り返すばかりだ。今月末ごろ合同実査団をソマリア海域に派遣した後、調査の結果を基に艦艇を派遣するかどうかを決定するという。

 その間に韓国国民は、自らの財産と生命を守るための自助策として「外国の傭兵」を雇わなければならなくなった。米国中央情報局(CIA)の「2007世界軍事力報告書」で世界第9位の軍事大国という評価を受けた韓国の、異常な現実だ。

韓国海運業界、海賊対策のため傭兵雇用へ(上)

2008/10/22 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 趙正薫(チョ・ジョンフン)記者

韓国政府はソマリアへの軍艦派遣に消極的

 韓国の海運会社164社の集まりである韓国船主協会が、ソマリアの海賊から自分たちの船を守るために警備を行う傭兵を共同で雇用することを積極的に検討している。

 韓国政府が海軍艦船の派遣についての決定を遅らせる中、海運会社が乗組員の安全と会社の財産を守るためとして海外の傭兵の力を借りることにしたものだ。

 韓国船主協会の関係者は「現在40社余りの会員企業が、傭兵の雇用に共同で参加したいと申し出ている。今月末までに海外の警備会社と細かい契約内容についての交渉を終わらせたい」と、21日に明らかにした。

 船舶がソマリア東部アデン湾の海賊出没地域を通過する際、警備会社に船舶の警護を依頼した場合にかかる費用は1回につき10万ドル(約1000万円)から20万ドル(2000万円)だが、共同で雇用した場合には2割から3割ほど費用を抑えることができる見込みだという。船主協会によると、この海域を通過する韓国籍の船は年間460隻ほどに上る。

 ソマリア沖での海賊による船の乗っ取り事件は、2005年から今年8月までに170件以上も発生している。そのうち韓国船が乗っ取られた回数は3 件。06年から07年にかけてはトンウォン号とマブノ1号・2号が乗っ取られた。その際トンウォン号の船員は117日、マブノ1号・2号は174日間人質として捕えられた。また今年9月10日にはブライト・ルビー号が乗っ取られ、船員たちは37日間捕えられた。 韓国海運業界、海賊対策のため傭兵雇用へ(下)

韓国政府はソマリアへの軍艦派遣に消極的

 一方、韓国政府は間接的な支援を行うだけで、身代金などはすべて船主が負担した。テロ集団とは交渉を行わないという原則があるからだ。

 ソマリア沖はアフリカ大陸を迂回せずに欧州とアジアを結ぶスエズ運河へとつながる主要航路だ。ソマリアは長い内戦の末2004年に臨時政府が樹立されたが、地方にまでその支配が及んでいないことから、海賊が周辺海域で盛んに活動している。

 英国の警備会社と独自に契約を行い、傭兵の警備を4回受けたことのあるH海運によると、船舶の警備に当たる傭兵は銃や手りゅう弾などの殺傷用兵器は使用しない。その代わりにMADと呼ばれる装備を携帯して乗船する。MADとは音波によって相手を撃退するものだ。

 しかし何よりも効果があるのは、海賊対策として英国人が乗船するという事実そのものだ。英国人警備員らは乗船と同時にGPSで自らの位置をソマリア周辺で警備活動を行う英国の軍艦に知らせ、軍艦は自国の国民が安全に危険海域を通過できるよう見守ってくれるからだ。結果的に警備会社は、軍事力を背景にした予防効果を利用して収益を上げていることになる。

 現在外交通商部は、ソマリア周辺海域で活動を行っている20カ国以上の連合海軍との協力という観点から軍艦の派遣に積極的だ。しかし国防部は救出作戦の失敗への恐れから、慎重な立場を崩していないという。

 韓国船主協会専務のキム・ヨンム氏は、「傭船料(海運会社が船主から船舶を借りる際にかかる費用)が5月に比べて10分の1にまで落ち込んでいる状況では、船主たちが傭兵を雇う費用まで負担するのはかなり苦しい。警護費用という名目で外貨が流出するのを防ぐためにも、政府には一日も早く軍艦を派遣してほしい」と述べた。

ソマリア沖でまた海賊、インド貨物船乗っ取る、今年30隻目

2008.10.21 CNN/AP

 クアラルンプール――国際海事局の国際海賊情報センター(本部クアラルンプール)は21日、アフリカ東部のソマリア沖で、高速ボートに乗った海賊がインドの帆船型の貨物船を襲い、乗っ取ったと報告した。同船はアジアからソマリアへ向かっていたもので、乗組員は13人。

 乗っ取りは先週末に発生したが、同センターは20日、第三者を通じ、同帆船が発した救難信号を確認した。

 ソマリア沖は世界最悪の海賊多発海域。これで同国沖で今年これまで起きた海賊事件は計74件となった。うち、30隻が乗っ取られ、10隻は依然、海賊の手中にある。拉致されている乗組員は約200人。

 ソマリア沖での海賊頻発を受け、北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)は国連の要請も受け、警戒や摘発強化で軍用艦船を同国周辺海域に派遣することで合意。NATO艦船は19日にソマリア沖に到着している。

【主張】海賊制圧 海自活用し国際責務担え

2008.10.18 MSN産経新聞

 麻生太郎首相がアフリカ・ソマリア沖で続発する海賊被害に対応するため、海上自衛隊艦船の活用について前向きに検討する意向を表明した。

 この海域では今年、日本のタンカーを含め20隻以上が海賊の被害を受けている。中東に原油の9割を依存する日本にとって、シーレーン(海上交通路)の安全は死活的に重要だ。国際社会は海賊を取り締まる行動を取っており、日本としても国際共同行動に参加できるとすれば、意味は大きい。

 自国のタンカーなどの護衛は、どの国にとっても当たり前のことだが、日本は海自にそうした任務を与えていなかった。自国船を守ることすら他国に依存せざるを得ないのが悲しい現実である。

 こうした海賊行為を排除することができない法的な不備は一刻も早く是正されねばならない。首相がこうした問題の解決に意欲を示したことを率直に評価したい。

 首相の答弁は、インド洋での給油活動を継続する新テロ対策特別措置法改正案を審議する衆院テロ防止特別委員会で行われた。

 民主党の長島昭久氏が「自衛隊艦艇によるエスコートは(海賊対策に)かなり効果がある」と提案したのに対し、首相は「こういう提案はすごくいい。検討させてもらう」と述べた。

 同じ民主党の浅尾慶一郎「次の内閣」防衛相も他国船の護衛を含む新法整備を検討すべきだとの考えを示した。民主党が給油継続に反対の姿勢を示しているのは残念だが、海賊取り締まりに日本がいかなる役割を担うべきかを問題提起したことは意義がある。

 首相は「法制上どういう問題があるかを含めて検討する」と語った。海賊掃討を含め、国際平和協力のための恒久法策定は必要とされながらも、与野党による具体案作りは進んでいない。

 自民、民主両党は海賊問題への関与を詰めるとともに恒久法でも合意をまとめてほしい。

 海自の給油活動は月内の法案再可決により継続の見通しだ。

 だが、欧州連合(EU)が今月1日の国防相理事会でソマリア沖での海上パトロールをフランス、英国、ドイツなど10カ国で行うことを決めたように、国際社会は具体的な行動を展開している。

 国連安保理も海賊制圧の決議を行っている。日本は共同提案国だ。世界の平和と安定のための役割をきちんと担いたい。

海賊対策に海自活用検討 首相、民主提案に前向き

2008/10/17 中国新聞ニュース

 麻生太郎首相は十七日の衆院テロ防止特別委員会で、アフリカ東部ソマリア沖で頻発する海賊被害に対応するため、海上自衛隊艦艇の活用を前向きに検討する考えを示した。

 民主党の長島昭久氏が「自衛隊艦艇によるエスコートは(海賊対策に)かなり効果がある。武力行使目的の派遣でない」と提案。首相は「こういう提案はすごくいいことだ。検討させてもらう」と述べた。

 民主党の浅尾慶一郎「次の内閣」防衛相も同委員会で「海賊の取り締まりは(給油活動よりも)より国際社会にアピールできる」と指摘、他国船の護衛を含む新法整備を検討すべきだとの考えを示した。

 ソマリア沖は海賊被害が国際問題化しており、日本関連船舶の被害も相次いでいる。

 首相は海上自衛隊によるインド洋での給油活動を延長するための新テロ対策特別措置法改正案について「日本のためにも給油継続が必要。日本だけが撤収することは考えられない。国際社会からの評価も高い」と述べ、成立に理解を求めた。

 民主党の小沢一郎代表が先の衆院本会議での代表質問で「日本の安全保障は最終的には国連の平和維持活動によって担保される」と表明したことに関しては「疑問を持たざるを得ない。国連を自国の安全保障の最終的なよりどころにする国連中心主義の下で、国民の安寧を守ることはできない」と批判した。自民党の小池百合子元防衛相に対する答弁。

ソマリア沖の海賊取り締まり求め決議 国連安保理

2008年10月09日 asahi.com

 【ニューヨーク=松下佳世】ソマリア沖で外国船への襲撃や乗っ取りが横行していることを受け、国連安全保障理事会は7日、海賊行為を非難し、関係国に軍による積極的な取り締まりを求める決議を全会一致で採択した。フランスが起草、日本も共同提案国になった。

 安保理は6月にも半年の期限付きで同海域における実力行使を含む取り締まりを認める決議を採択した。今回は無期限で、こうした制圧行為を関係国に要請する内容だ。

ソマリア沖海賊に米ロ欧が“共同戦線” 戦車強奪で軍艦続々派遣

2008年10月03日 東京新聞朝刊

 【ロンドン=星浩】ソマリア沖で先月二十五日、旧ソ連製戦車三十三台を積んだウクライナの貨物船が海賊に乗っ取られた事件は、米ロ海軍が駆逐艦などを現場海域に展開する事態に発展している。欧州連合(EU)も海軍艦船を派遣する方針で、国際海運の脅威となっている同海域の海賊に対し“共同戦線”が張られつつある。

 海賊は当初、貨物船と乗組員の身代金として三千五百万ドル(三十六億円)を要求し、その後二千万ドルに引き下げた。ソマリアの海賊が手にする身代金は年間二千万−三千万ドルとされており、今回は戦車を取引材料に荒稼ぎを狙っている。

 戦車がソマリアやスーダンなどの紛争当事者に渡れば、地域安定化の深刻な脅威となるため、米国は駆逐艦を含む三隻を現場海域に派遣。既に海賊船を包囲し、荷揚げできないようにしている。ロシアもバルチック艦隊の駆逐艦を派遣中で、特殊部隊が乗船しているという情報もある。

 EUも二日まで開かれた非公式国防相会合で、今年に入って倍増している海賊行為の根本的な解決のため、加盟国が海軍艦船を派遣することを確認。来月に第一陣を送り込む予定で、ソマリア沖の海賊対策が一気に進む可能性もある。

ソマリアの海賊対策どうする 貨物船乗っ取り1週間 国連安保理決議も決め手なし

2008.10.02 MSN産経新聞

 【シンガポール=宮野弘之】ロシア製のT72型戦車33両や武器を積んだウクライナの貨物船が9月25日にソマリア沖で海賊に乗っ取られてから2日で1週間経過したが、依然として膠着(こうちゃく)状態が続いている。今回の事件は欧州とアジアを結ぶ重要航路であるソマリア沖の海賊問題の解決が、国際社会にとって極めて重要であることを浮き彫りにした。さらに、事実上の無政府状態にあるソマリア自体も、イスラム原理主義勢力の伸長で、アフガニスタンに続く新たなテロリストの温床になるとの懸念も指摘され始めている。

 貨物船はパナマ船籍でウクライナの会社が運航。ウクライナとロシア、ラトビア人の船員21人が乗船し、ケニアのモンバサ港に向かう途中、ソマリア沖で武装した海賊に乗っ取られた。現在ソマリア中部のホブヨ沖に停泊。米第5艦隊の艦船が監視を続けている。

 ケニアのナイロビで海賊問題を追っている東アフリカ船員支援計画の当局者によると、海賊とウクライナの船主側の交渉は電話で行われており、2000万ドルを要求する海賊側にウクライナの船主側は減額を求め、決着にはなお時間がかかるという。

 今回の事態を受け、ソマリア暫定政府当局者は、米国はじめ周辺海域に展開するフランス、英国などに海賊摘発を求めたが、各国とも自国民が直接かかわっておらず、逮捕してもソマリア国内での裁判さえ難しいため手をこまねいている。

 国連安全保障理事会は6月、ソマリア領海内で海賊行為の取り締まりを行う権限を各国に与える決議を採択したが、「具体的な手段を定めず各国に判断を任せており、実効性に乏しい」(海運関係者)というのが実情だからだ。

 ソマリア周辺海域とくにイエメンとの間にあるアデン湾は、欧州とアジアを結ぶスエズ運河に通じ、年間2万隻以上が通過する国際海運の要衝だ。しかし、ソマリアは首都モガディシオ周辺と一部地域以外、沿岸部はほとんどイスラム勢力が掌握。海賊は、沿岸部の港湾都市エイルなどを拠点にイエメン近海にまで出向いて船を襲撃している。

 マレーシアの国際海事局(IMB)海賊情報センターによると、ソマリア沖では今年だけで30隻以上が乗っ取られ、未遂に終わったのも含めると、被害はそれ以上だ。海賊被害が続くことで、ここに来て船荷の保険料が1年前の10倍に上げられたという。

 さらに、今回の事件では船に積まれていたロシア製戦車や武器が、ケニア経由で、スーダン南部の反政府勢力に流されるものだったとの疑惑が浮上。ケニアの地元紙ネーション(電子版)も2日、信頼できる軍関係者の話として、戦車や武器はモンバサ港から陸路でスーダンのジューバに運ばれる予定だったと伝えた。同紙はさらにこれまでもロシアの武器がケニア経由でスーダンに送られていると指摘した。

 ケニア政府は否定しているが、ソマリアの海賊問題が地域の新たな問題を浮かび上がらせた格好だ。

  ■ソマリア 面積は約63万8000平方キロ、人口約870万人。英国保護領だった北部とイタリア保護領だった南部がそれぞれ独立した1960年にソマリア共和国として統合された。しかし、部族間の対立が激化し91年にバーレ政権が崩壊、内戦に突入した。同時に旧英領が「ソマリランド共和国」として独立を宣言したが、南部と異なり治安も安定しているという。2004年に発足したユセフ大統領率いる暫定政府は、06年12月にエチオピアの支援で首都モガディシオを掌握した。だが、いずれも国家として承認されていない。

「海賊に戦車渡すな」米海軍が貨物船包囲 緊張ソマリア沖

2008.09.30 MSN 産経新聞

 海賊事件が頻発しているアフリカ東部ソマリア沖で、ロシア製T72戦車33両や弾薬などを運んでいたベリーズ船籍の貨物船が海賊に乗っ取られた事件で、戦車がソマリアの武装勢力の手に渡るのを阻止しようと、米軍が駆逐艦などで貨物船を包囲し、緊張が高まっている。

 ソマリアからの報道などによると、貨物船にはウクライナ人やロシア人ら計21人が乗り組んでおり、25日にウクライナからケニアへ向かう途中に襲われた。犯人グループは2000万ドルの身代金を要求している。

 貨物船は現在、ソマリア中部沖合で停泊中。米海軍は29日、駆逐艦や巡洋艦で貨物船を包囲、貨物船の上空に米軍のヘリコプターが飛び交っているという。乗組員のうち1人が病死したとの情報もある。(共同)

【コラム】武装海賊に放水で対抗しろとは…(上)

2008/09/29 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 社会部=趙正薫(チョ・ジョンフン)次長待遇

 今月10日、韓国の貨物船「ブライト・ルビー号」(1万5000トン)はアフリカ北部・ソマリア近くのアデン湾で海賊に拉致された。それからすでに約20日間が経過している。

 拉致された後、韓国人8人を含む船員21人の消息が伝えられたのは1回だけ。それも拉致から二日後、船長が船会社との電話で「全員無事だ」と語った一言だけだ。なぜならば、外交通商部が「海賊と円満に交渉を進めるため」という理由でかん口令を敷いたからだ。そのため船員の家族もメディアとの接触を避け、沈黙を守っている。

 韓国人船員がソマリアの海賊に拉致されるのはこれで3度目だ。2006年4月に拉致された第628東遠号の船員は117日ぶりに解放された。07年5月に拉致されたマブノ1号・2号の船員は、国民の募金のおかげで174日ぶりに家族の元に戻ることができた。

 問題は、3回も同じ拉致事件を経験しながら、政府の対応策が改善されていないということだ。現在の対策は、極めて形式的で初心者レベルにとどまっている。外交通商部はシン・ガクス第2次官主宰で対策会議を開き、ソマリアに最も近い在外公館の駐ケニア韓国大使館に現地非常対策本部を設置した。しかし、果たしてソマリアの海賊とホットラインを持つ外交通商部当局者がいるのかどうか、気になるところだ。

 国土海洋部はこのほど、船主協会と海賊被害予防のための懇談会を開いた。このとき、国土海洋部の関係者は「拉致のほとんどが昼間に発生するため、できるだけ夜間に船を航行させてほしい」「海賊など怪しい船舶を発見したら、空中に放水し、警戒態勢を強化していることをアピールするように」と勧告したという。ロケット砲や機関銃で武装している海賊に放水で対抗しろとは、海賊を街中のデモ隊くらいにしか考えていないようだ。

【コラム】武装海賊に放水で対抗しろとは…(下)

 そうした中、国民の反響が大きかった対策は、「軍艦派遣」だった。関係部処(省庁)対策会議でソマリア近海に軍艦を派遣する案が出たというニュースが伝えられると、大きな反響が寄せられた。国連安保理が6月、ソマリア海賊対策として外国の軍艦にソマリア領海進入を承認する決議案を通過させているだけに、軍を派遣し、活動させることにあまり大きな制約はないとみられる。既に自国船舶保護のため活動している米国・フランス・日本の艦艇と協力すれば、その効果は絶大だろう。しかし、担当部署の国防部は「実務的に検討していない」としている。

 韓国政府が軍事力動員に生ぬるい対応をしている状況の下では、船員が海賊から解放される唯一の方法は交渉だ。だが、韓国には海賊と交渉する能力を持つ専門家がいない。第628東遠号拉致事件のとき、政府はイギリス出身の交渉専門家を雇い、辛うじて事件を解決した。また、マブノ号事件では、船主のアン・ヒョンスさん自らが立ち上がり、海賊との交渉で身代金を支払い、船員たちを救い出した。国民が募金を集め手渡しても、政府は当時1ウォンも支援していないというわけだ。

 政府は「テロ集団との交渉はない」という論理を掲げている。だが、船主や船主側に交渉の「お荷物」を押し付けたり、後ろに隠したりするのは卑怯だ。

 国民の愛国心は、国が国民を守るために努力する時、初めて高揚する。国民の財産や生命を守るのをおろそかにしたまま、愛国心や団結を訴えるのは話にならない。

ソマリア 海賊、無法地帯への逃げ込み図る

2008.9.28 MSN産経新聞

 アフリカ東部のソマリア沖で戦車や弾薬を積んだウクライナの貨物船が海賊に乗っ取られ、船員ら21人が人質になった事件で、貨物船が米海軍などの軍艦3隻に包囲されている可能性が高いことがわかった。上空には軍用機も飛んでいるという。AP通信などが伝えた。米軍も貨物船を目視で捕捉していることは認めているが、貨物船は「海賊の楽園」と呼ばれる北東部エイル周辺への逃げ込みを狙っているとみられ、緊迫した状況が続いている。

 AP通信は衛星電話での貨物船船長の話として、船員1人が高血圧で死亡したと報じた。事実なら事件に絡んだ初の死亡者となる。

 フランス通信(AFP)によると、海賊のスポークスマンを名乗る男は28日、貨物船からの衛星電話で「(身代金の)要求額は2000万ドル(約21億円)だ。3隻の軍艦に囲まれており、遠方にも複数の艦船が見える」と語った。

 3隻のうち1隻は、米海軍第5艦隊に所属し、多国籍艦隊としてソマリア沖をパトロールする駆逐艦「ハワード」。英BBC放送によると、第5艦隊の副報道官も、ハワードが貨物船から約8キロの位置にあるソマリア中部のホブヨ沖合に停泊していることを認めた。

 ただ、副報道官は米軍が事件に介入する可能性については明言を避けている。事件を受け、ロシア軍がミサイルフリゲート艦を現場に派遣しており、AP通信は「(ハワードは)ロシア艦船到着までの監視役とみられる」と伝えた。ロシア艦の到着まで約1週間かかるとみられている。

 一方、米CNNテレビは隣国ケニアの海運関係者の話として、海賊が身代金額を引き下げたと報じた。海賊は当初、3500万ドル(約37億円)を要求していたが、(1)乗組員が米国人ではない(2)接岸できなければ荷降ろしができない−などの理由で減額したという。

 海賊の目的地とみられるエイルは、海賊ビジネスが“主要産業”の無法地帯。BBCによると、現地では小型パソコンにスーツ姿の海賊用会計士や交渉人が闊歩(かつぽ)し、街には人質用の特別レストランもあるという。(犬塚陽介)

ウクライナから戦車33両を輸送中、貨物船乗っ取られる 露バルト艦隊、ソマリア沖へ

2008.09.27 MSN産経新聞

 【モスクワ=佐藤貴生】アフリカ東部のソマリア沖で、30両以上の戦車や大量の弾薬を積んだウクライナの貨物船が海賊に乗っ取られる事件があり、イタル・タス通信などは27日、海賊は貨物船と乗組員を解放する見返りとして3500万ドル(約37億円)の身代金を要求したと伝えた。ソマリア近海では海賊による外国船乗っ取り事件が頻発、エネルギーを中東に依存する日本の貨物船が標的になる事件も起きており、わが国にとっても決して人ごとではない。

 貨物船はウクライナ南部の黒海の港を出航し、ケニアのモンバサに向かう途中の洋上で25日乗っ取られた。ウクライナのエハヌロフ国防相は26日、船にはケニアに輸出するT72型戦車33両や大量の弾薬、迫撃砲などが積まれていたことを明らかにした。国防相は、積み荷の兵器・弾薬類は正しい法的手続きをへて輸出されたもので、ソマリア沿岸から遠く離れた航路を進んでいたと強調した。

 船にはウクライナ人17人、ロシア人3人、ラトビア人1人が乗っていた。ロシア海軍は今後、ロシアの船舶やロシア人に危害が及びかねないとして、バルト艦隊所属のミサイルフリゲート艦をソマリア沖に派遣した。ソマリア近海では、フランスやカナダ、マレーシアなどが海上で警戒活動を行っている。

 10年以上も無政府状態が続くソマリアでは、特に今年に入ってから、イスラム原理主義勢力「イスラム法廷」とエチオピアが後押しする暫定政府の軍による戦闘が激化、治安は悪化の一途をたどっている。乗っ取られた船の解放交渉が頓挫すれば、積み荷の兵器・弾薬類がソマリアや他のアフリカ周辺の戦闘地域に流出する事態も想定される。

 イタル・タス通信によると、貨物船は多くの海賊が拠点とするソマリア北東部プントランド地方の港エイルに向かっている。海賊は通常、エイルから船主らと連絡を取り、身代金交渉を行っているという。

 英BBCによると、エイルには現在も乗っ取られた船10隻以上が停泊している。現地は乗っ取った船の解放交渉のさいに多額の身代金をかすめ取る「海賊ビジネス」で好況に沸いており、邸宅が立ち並び高級車も売れているという。乗っ取りで年1億ドル以上を稼いでいるとの推計もある。

 ソマリアとイエメンの間に位置するアデン湾は、世界の石油の全輸送量の3割以上が通過するエネルギーの大動脈だが、昨年は海賊の襲撃急増で保険料も10倍に跳ね上がったとされる。

 こうしたなか、イタル・タス通信は27日、プントランド地方政府高官の話として、今年7月に乗っ取られた日本企業所有の貨物船「ステラ・マリス号」が、身代金200万ドルを支払い解放されたと報じた。

 ソマリア沖では、4月にタンカー「高山」が、8月に貨物船「AIZU(あいづ)」が相次ぎ襲われるなど、日本がかかわる船舶への襲撃も後を絶たないのが実態で、日本としても対岸の火事として傍観できる事態ではなさそうだ。

【萬物相】海軍艦艇のソマリア沖派遣

2008/09/26 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 キム・ドンソプ論説委員

 今年4月、ソマリアのアデン湾でフランスの豪華ヨット「ル・ポナン」が海賊に乗っ取られた。3日後、サルコジ大統領はヨーロッパ最高の特殊部隊とされる GIGN(国家憲兵隊治安介入部隊)を急派した。さらにフランスにいたヨットのオーナーに、海賊に対し人質の身代金200万ドル(現在のレートで約2億 1000万円、以下同)を送らせた。乗組員30人が解放されるや、特殊部隊の隊員50人余りが金の入ったかばんを載せた海賊の車をヘリコプター5機で追跡し、金の入ったかばんとともに海賊6人を捕らえ、フランスに連行した。

 アフリカ東岸に位置するソマリアの近海は、紅海とインド洋を結ぶ原油輸送ルートに当たり、ソマリアが内戦に突入してからは海賊の巣くつと化してしまった。1000人を超える海賊が出没し、各国の船舶を乗っ取り、昨年だけでも人質の身代金として3000万ドル(約31億9000万円)を手に入れたという。この金で快速艇を買い入れ、衛星電話、GPS(衛星利用測位システム)、機関銃のほか、対戦車ロケット砲までそろえている。今年に入り乗っ取られた船舶は30隻を超えている。

 韓国も例外ではない。2006年には韓国人船員8人が乗った東遠号が乗っ取られ、117日後に解放された。昨年5月と10月にも、韓国人船員が乗った船舶が乗っ取られた。また昨年は、北朝鮮の貨物船が銃撃戦まで繰り広げた末に海賊の襲撃から逃れている。事態を座視できなくなったフランス・カナダ・マレーシアは、軍艦を送ってこの海域を航行する自国の船舶を護衛している。フランスのGIGNは今月15日にも、ヨットで航行中に拉致されたフランス人夫婦を、作戦開始からわずか10分で救出している。

 今月10日、韓国人8人が乗った貨物船ブライト・ルビー号がまたしてもソマリアの海賊に乗っ取られ、韓国でも海軍の艦艇を送ろうという話が出ている。今月22日に開かれた関係部処会議で一部の部処がこれを提案したが、国防部は実務検討していないという。派兵するなら、排水量5500トンクラスの「李舜臣(イ・スンシン)」艦級駆逐艦が候補に挙げられる。イージス艦「世宗大王」艦に次いで大きな駆逐艦で、海軍は3隻を有している。ヘリコプター2機やハープーン艦対艦ミサイル、SM2艦対空ミサイルを積み、280人が乗り組む。

 駆逐艦が派遣されるとすると、3カ月から6カ月ごとに交代させる方式になると推定される。平常時には韓国の船舶を護衛し、船舶が乗っ取られれば、直ちに特殊部隊UDTや海兵隊がヘリコプターや高速ボートに乗り込み、救出作戦を展開することができる。これまで海外で起こった韓国国民の人質事件で、政府には国民の生命や安全を守ろうという意志が不足している、という批判を受けてきた。費用がばかにならない艦艇派遣を行うのでなくとも、人質の救出や海賊の鎮圧を陣頭指揮するサルコジ大統領のように、断固とした姿を見せる必要がある。

海賊?日本関係貨物船が発砲される

2008年08月23日 SPORTS NIPPON

 国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)に入った連絡によると、ソマリア沖のアデン湾で23日、日本企業が運航するパナマ船籍の貨物船が海賊とみられる高速艇2隻に追跡され、発砲を受けた。乗組員に日本人はおらず、ケガ人の情報はない。

 貨物船は速度を上げるなどして高速艇側から乗り込まれるのを回避したという。

 アデン湾では19〜21日にも、日本企業が管理するケミカルタンカーなど4隻が、相次いで海賊に乗っ取られている。 (共同)

海賊がまた乗っ取り ソマリア沖で独関係貨物船

2008.08.22 MSN産経新聞

 ソマリア沖のアデン湾で21日、ドイツ企業が運航するアンティグア・バーブーダ船籍の貨物船が海賊に乗っ取られた。国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)が22日、明らかにした。乗組員の国籍などは公表していない。

 アデン湾では19日にマレーシアのタンカーが、21日にはイランの貨物船と日本企業が管理するケミカルタンカーが相次いで海賊に乗っ取られた。(共同)

【主張】タンカー乗っ取り やはり給油支援は重要だ

2008.08.22 MSN産経新聞

 日本のシーレーン(海上交通路)の安全がいかに脅かされているかを如実に示す事件だ。アフリカ・ソマリア沖で東京の海運会社が運航するパナマ船籍タンカーが21日、海賊に乗っ取られた。

 スエズ運河に直結し、欧州と中東、アジアを結ぶこの海域の安全は極めて重要だ。日本の国益そのものである。

 忘れてならないのは、安全を守っているのが欧米などの多国籍海軍であり、海上自衛隊の給油支援を受けていることだ。

 日本は法的な制約から、自国タンカーを守ることすら他国に依存せざるを得ない。海賊行為を排除することができない法的な不備は一刻も早く是正されねばならない。だが、現状では来年1月に期限が切れる給油支援を延長し、国際社会の一員としての責務を果たさなくてはなるまい。

 問題は国際共同行動を担うという政治の意思がいまだにはっきり見えないことだ。公明党だけでなく、自民党内からも新テロ対策特別措置法の延長に慎重論が強まっている。臨時国会の会期幅が決まらないのもそのためである。

 公明党は新テロ法延長の再議決を前提にした会期には反対との考えを自民党に伝えたが、国際平和協力を放り出そうというのか。太田昭宏公明党代表が昨年12月、「テロ新法は必要」と述べ、再議決に賛成したのは一体何だったのかと疑問を持たざるを得ない。

 シーファー駐日米大使は20日、麻生太郎自民党幹事長と会談し、新テロ法延長について「日米同盟だけでなく日本と国際社会との関係においても重要だ」と強調したことを重く受け止めたい。

 ソマリア沖では今年4月、日本郵船の15万トンタンカーが海賊船から、5発の対戦車ロケット砲を発射され、被弾した。あわやというとき、駆けつけたのはドイツの駆逐艦だった。

 昨年10月には東京の海運会社のケミカルタンカーが海賊に乗っ取られた。追跡し、海賊の逃走用ボートを沈めたのは米駆逐艦であった。海自の給油支援を中断した場合、日本はシーレーンの安全をどこに委ねるというのだろうか。

 国連安保理は6月、各国に海賊行為の制圧を求める決議を採択した。国連決議を重視する民主党は海賊掃討のための枠組みを主張すべきではなかったか。

 与野党とも日本が置かれている立場をもっと直視すべきだ。

ソマリア沖で海賊行為が頻発 1カ月では7隻

2008.08.21 MSN産経新聞

 【シンガポール=宮野弘之】マレーシアの国際海事局(IMB)海賊情報センターに入った連絡によると、アフリカ東部ソマリア沖のアデン湾で21日、イランの貨物船と、日本の海運会社が管理するパナマ船籍のタンカー、さらにドイツの企業が管理する貨物船の計3隻が海賊に相次いで乗っ取られた。同海域で1日に3隻が乗っ取られたのは初めて。この1カ月では7隻が乗っ取られたことになる。インド洋に展開する多国籍軍の艦船が救助に向かっている。

 同タンカーを管理する興洋海運(東京都港区)によると、乗っ取られたのは、ケミカルタンカー「アイリーン」(7373トン)。日本時間21日午後1時50分ごろ、船長から「15、16人の海賊が乗り込んできてソマリアへ向かうよう命じられた」との連絡があったのが最後だという。フランスからインドに向け、スエズ運河を通り、アデン湾のイエメン寄りを航行中だった。

 同タンカーにはフィリピン人16人のほか、ロシア人2人、クロアチア人1人の計19人が乗っており、日本人の乗組員はいない。

 海賊情報センター当局者がAP通信に語ったところでは、21日朝、イランの貨物船が海賊に銃撃を加えられて乗っ取られ、直後にタンカーが襲われた。その後ドイツ企業の管理するタンカーが乗っ取られたという。

 同当局者によると、現在インド洋で海賊やテロ集団摘発のため展開している米英独仏とカナダ、パキスタン海軍の多国籍軍艦船が、乗っ取られた船舶の捜索・救助活動に向かった。多国籍軍艦船に対しては海上自衛隊が補給支援活動を行っており、2月の活動再開から7月末までに累計で艦船用燃料6925キロリットル、水1115トンなどを補給した。

 ソマリア沖では19日から20日にかけ、39人が乗ったマレーシアのタンカーが乗っ取られたばかり。同海域では7月20日に、やはり日本企業が管理する、パナマ船籍でフィリピン人船員ら20人乗り組みのタンカーが海賊に乗っ取られた後、タイの貨物船やナイジェリアの船舶が襲われている。

 海賊はこれまではいずれも身代金を要求してきているが、今回はまだ、何も要求は来ていないという。

 こうした事態について、海賊情報センターの当局者は、同海域が非常に危険な状態になりつつあるとして警戒を呼びかけるとともに、同海域での脅威を取り除くため、国連や各国が真剣に取り組むべきだとしている。

ソマリア沖でまた海賊事件2件、日本のタンカーも乗っ取られる

2008.08.21 CNN/AP

 クアラルンプール――クアラルンプールに本部がある国際海事局の国際海賊情報センターは21日、アフリカ東部のソマリア沖で日本の海運会社が運航するタンカーとイランの貨物船が同日、海賊に乗っ取られたと報告した。

 現場海域は中東イエメンのアデン湾上でイラン船は発砲を受け、海賊が船上に乗り込んだ。この約1時間後、同じ海域で日本のタンカーが襲われたという。タンカーには乗組員19人がいる。日本人はいないとの情報がある。

 同センターは直ちにテロ対策で近海を警戒中の多国籍軍艦船に連絡した。この多国籍軍には米国、フランス、ドイツ、パキスタン、英国とカナダが参加している。

 ソマリア沖では19日、ヤシ油を積んだマレーシア船籍のタンカーが海賊の襲撃を受け、乗組員39人と共に乗っ取られる事件があったばかり。ソマリア沿岸は世界でも最悪の海賊多発海域で、事件が起きたのは8月だけで6件目となった。

 海賊情報センターによると、ソマリア沖での海賊事件は今年上半期で24件に達している。

海賊がタンカー乗っ取り 日本企業管理、ソマリア沖

2008/08/21 中国新聞ニュース

 【シンガポール21日共同】国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)に入った連絡によると、ソマリア沖のアデン湾で二十一日、日本の興洋こうよう海運(東京都港区)が管理するパナマ船籍のケミカルタンカー「アイリーン」(七、三七三トン)が海賊に乗っ取られた。

 同船にはフィリピン人やロシア人ら計十九人が乗り組み、日本人はいない。

 日本の国土交通省などによると、高速艇二隻に乗った海賊がアイリーンを襲撃、十―十五人が乗り込み、ロシア人船長に「ソマリアへ行け」と指示した。同船はフランスからインドに向かっていた。

 アデン湾では、無政府状態の続くソマリアを拠点にする海賊が横行。この日、イランの貨物船も乗っ取られたほか、今月十九日にはマレーシアのタンカーが乗っ取られた。四月には日本の会社が管理するパナマ船籍のケミカルタンカーと日本のタンカーが、海賊とみられる船から相次いで銃撃を受けている。

 海賊情報センター幹部は「周辺を航行するすべての船舶に、追加的な保安措置を取るよう呼び掛けた」と話している。

別のタンカーも被弾 イエメン沖、日本の会社管理

2008/07/12 中国新聞ニュース

 【シンガポール11日共同】日本郵船(東京都千代田区)のタンカー「高山」が四月二十一日に海賊とみられる船から発砲された中東イエメン沖のアデン湾で、同月一日にも船舶管理会社ソーラージャパン(同)の管理するパナマ船籍のケミカルタンカー「サンシャイン・スカイ」(一五、○一五トン)が同様の攻撃を受け被弾していたことが十一日、分かった。

 国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)などによると、四月一日朝、海賊とみられる高速ボート三隻が接近しロケット弾などを発砲、一発が煙突に当たり穴があいた。銃弾一発も居住区の窓ガラスを貫通したが、韓国人とミャンマー人の乗組員二十人にけがはなかった。

 タンカーはジグザグ航行などでボートを振り切ったが、一時間後に再び五隻が追跡してきた。ボートは海賊の「母船」とみられる船から発進していたという。通報を受けた海賊情報センターの連絡で、パトロール中のパキスタン海軍の軍艦が現場に向かった。

 同センターによると、アデン湾の海賊事件(未遂を含む)は今年上半期に十九件発生し、前年同期の七件から急増。海賊は、無政府状態の続く同湾南方のソマリアを拠点にしているとみられる。

世界の海賊発生件数、19%増の62件と 今年の第2四半期

2008.07.11 CNN/AP

 クアラルンプール――国際海事局の海賊情報センター(本部・クアラルンプール)は11日、今年4月─6月期の発生件数が1月─3月期に比べ、19%増の計62件を記録したと報告した。ソマリア、ナイジェリア沖合での増加が主因だが、前年同期の85件からは減っている。

 1月─3月期は52件だった。また、今年上半期の件数は114件で、前年同期の126件からは減少した。

 上半期での国別の発生数を見ると、ソマリアの24件が最高。ナイジェリア18件、インドネシア13件などと続いた。海賊が船に乗り込んだのは71隻で、シージャックされたのは12隻。人質となった船員は190人で、7人が殺害され、7人が行方不明となっている。

 海賊多発の海域として悪名高かったマラッカ海峡では減少の基調が目立ち、上半期では2件と昨年同期と同じだった。沿岸国であるインドネシア、マレーシア、シンガポールの共同監視作戦が功を奏していると指摘した。

ソマリア沖でまた海賊、ヨット襲い人質を取り山間へ逃亡

2008.06.24 CNN

 アフリカ東部、ソマリア政府当局者は24日までに、同国北部の沖合で欧州人4人が乗ったヨットが海賊に乗っ取られたと述べた。現場海域は紅海のアデン湾で、連れ去られたのは男性と女性が各1人、子供1人と操舵手で、フランスもしくはドイツ人とみられている。

 ソマリア沖は、世界最悪の海賊多発地域。ヨットは燃料切れの後、海賊に襲われていた。ソマリア北部で独立を一方的に宣言しているソマリランド共和国当局者によると、海賊は近くの漁港に寄った後、人質を山間部に連れていったという。

 同共和国の軍兵士らが行方を捜している。ソマリア北東部では一部の部族が「プントランド共和国」の自治を宣言。海賊が立ち寄った漁港は同共和国とソマリア政府が境界線を争い、年初には武装衝突していた。

 ソマリアの海賊には、政府軍と争うイスラム教強硬派勢力の関与も指摘される。同国沖合での海賊頻発を受け、国連安保理は6月初旬、ソマリア政府の承認があれば外国艦船が同国領海に進入し海賊摘発や追跡を実施出来る決議を採択している。

 国際海事局によると、ソマリア沖で発生した海賊は今年これまで20件以上で、うち9件は船舶が乗っ取られている。

【一筆多論】中静敬一郎 メルケル首相ありがとう

2008.06.23 MSN産経新聞

 やはり残念なことだった。

 福田康夫首相が6月1日、ドイツでメルケル首相と会談した際、日本船を助けてくれたことへの謝意を伝えることができなかったことである。

 4月21日未明、日本郵船の15万トンタンカー「高山」はイエメン・アデン沖の公海上で、海賊船に40分間追い回され、5発の対戦車ロケット砲を発射された。至近弾により船尾に直径20ミリの穴があき、あわやというそのとき、急行したのはドイツ駆逐艦「エムデン」だった。

 エムデンが飛ばしたヘリコプターを見るや、海賊船は一目散に逃げた。日本人7人ら乗組員23人は窮地を脱した。ドイツのメディアは大々的に報じた。

 だが、約1時間の日独首脳会談は洞爺湖サミットを前にして、主要課題の気候変動、食糧問題などに費やされ、「海賊事件は話題にならなかった」(外務省欧州局)という。

 福田首相の真意はわからないが、日本のシーレーン(海上交通路)の安全への関心はそう高くないことがうかがえる。

 ここに問題の本質が見え隠れしている。世界各国は、海賊行為のような自国や自国民に対する急迫不正の侵害を除去するため、あらゆる措置を取ろうとする。一方、日本はこうした問題に目をそむけ続けている。福田首相の対応にそれが反映されているといえなくはない。

 当時、この周辺海域にはテロリストなどを監視する多国籍海軍への給油支援のため、海上自衛隊の補給艦と護衛艦が派遣されていた。高山を救うには距離が離れていたにせよ、本来は海自が駆けつけねばならない。

 しかし、新テロ特別措置法は海自に給油任務しか与えていない。そもそも海自には海賊行為を抑圧する任務がない。

 海賊取り締まりは、海上保安庁と同じ権限を与える海上警備行動が発令されれば、できるが、警察行動でしかなく、海賊撃退はできない。撃退は自衛権の発動である防衛出動が首相から命じられ、初めて可能だ。

 ただ、これも組織的かつ計画的な武力攻撃が条件になっており、海賊には適用されない。

 これらは自衛権発動の要件を「わが国に対する急迫不正の侵害がある」などと、極めて狭く解釈した結果だ。ほとんどの国は、自衛権とは国家が自国または自国民に対する急迫不正の侵害を除去するため、やむを得ず行う防衛の権利としている。

 日本がこれを適用しないのは、自衛権が明記されていない憲法の解釈によるためだ。それに伴い、海賊などに対処する「平時の自衛権」や「自国民侵害」対応がすっぽり抜け落ちてしまった。海自は海賊行為を座視するしかないのが現実だ。

 一方で日本は海賊行為抑止を国際的に約束している。12年前、日本が批准した国連海洋法条約第100条は「すべての国は、最大限に可能な範囲で、公海その他の場所における海賊行為の抑止に協力する」とうたっているからだ。

 6月2日には国連安全保障理事会が、ソマリア沖での海賊行為制圧に向け「必要なあらゆる措置」を取る権限を各国に与える決議を採択した。日本は共同提案した16カ国に連なった。

 これは奇怪としかいいようがない。矛盾を抱える日本がのたうちまわり、結果として信頼を失うのは目に見えている。海賊などへの実効的対処を含め、国際共同行動に参加する法整備が求められるゆえんである。

海賊から食料守れ!輸送船護衛に協力要請

2008年06月16日 Sponichi Annex

 世界食糧計画(WFP)は16日までに、食料危機が深刻化しているソマリアの沖で海賊行為が頻発し、船舶による援助食料輸送が途絶する恐れがあるとして各国に船舶護衛への協力を呼び掛けた。輸送が完全に止まれば約200万人が飢餓状況に置かれると警告している。

 WFPとの協定により、昨年11月以来オランダ海軍が支援食料を運ぶ船舶を護衛してきたが、今月25日の協定失効後は護衛がなくなる。

 WFPのソマリアへの支援食料の80%が海上輸送によるもので、今年末までに22万トンを海上輸送する計画。ソマリアは食料価格高騰や現地通貨の下落、干ばつなどの影響で食料事情が危機的な状況にある。 (共同)

【コラム】危機のフランス軍が教えてくれた教訓(上)

2008/06/12 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 ユ・ヨンウォン軍事専門記者

 「最新鋭戦車の稼働率41%」「飛行可能なヘリは37%のみ」

 このほどフランスのあるメディアが軍の機密文書を引用し報道した、衝撃的なフランス軍の実態だ。仏日刊紙「ル・パリジャン」は、「戦車“ルクレール”346台のうち、稼働可能な状態にあるのは142台だけで、ヘリコプター“プーマ”のうち飛行可能なのは半数以下であることが分かった」と報じた。ルクレールは米国のM1A1、ドイツのレオパルド2と共に、世界で最も優秀な戦車の一つに挙げられている。

 フランスは原子力空母や、弾道ミサイルを搭載可能な原子力潜水艦をも所有するヨーロッパの軍事大国だ。だが、最近のル・パリジャン紙や英日刊紙「デイリー・テレグラフ」電子版の報道によると、フランス軍は軍事大国の名が泣くような体たらくであることが分かる。今年4月にはフランス特殊部隊がソマリアの海賊に拉致されたフランスの豪華ヨットを救出し称賛されたが、その実態は救出作戦の失敗を招きかねないピンチの連続だったという。特殊部隊の隊員を乗せた護衛艦2隻はエンジンが故障し、海賊を追いかけた対潜哨戒機「アトランティック2」もエンジンの故障でイエメンに緊急着陸していた。

 こうした事実は、17日のサルコジ大統領の国防白書発表を控え明らかになった。各メディアによると、サルコジ大統領は国防白書発表と共に軍改革案として兵力・戦闘機の削減、一部軍事基地の閉鎖といった方針を明らかにする可能性もあるという。

 フランス軍の厳しい現実は、数年前にも話題になったことがある。2002年には予算不足でフランス軍ヘリコプター戦力の50%、空軍戦力の 40%、海軍戦力の50%を運用できず、「今や先進国の軍隊とは呼べない」とまで言われた。新型艦艇17隻の建造予算の確保が困難になると、フランス国防省は一時、民間銀行から20年間の長期融資を受け、軍艦を建造する案までも検討した。

【コラム】危機のフランス軍が教えてくれた教訓(下)

2008/06/12 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 ユ・ヨンウォン軍事専門記者

 なぜフランス軍はこのようになってしまったのだろうか。専門家の中には、フランスが意欲的に推進してきた国防改革の問題点をその原因に挙げる人が多い。

 フランスは1997年から2015年まで、3段階に分けて国防改革を推進している。第1段階(1997‐2002年)では、まず兵力を削減し、徴兵制の代わりに志願兵制を導入する措置を取った。ところが、新型武器を導入するための国防予算増額はままならず、新型兵器の導入はもちろん、既にある武器の維持にも困難を来たすようになったのだ。短期間の無理な兵力削減(50万人→35万人)で歩兵の戦闘力が大きく損なわれ、志願兵制導入による人件費増加のため戦力増強もさらに難しくなった。「まず兵力を削減し、それから戦力を増強する」というやり方に行き詰まってしまったのだ。

 問題は、こうしたフランス式の国防改革に韓国も無縁ではないということだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に立てられた韓国軍国防改革計画「国防改革2020」は、フランスをモデルにしている。同計画は、2020年までに兵力を68万人から50万人に削減する代わり、国防費621兆ウォン(約64 兆7000億円)を投じ、ハイテク兵器システムを中心にした先進国型の軍隊にするというものだ。

 韓国国防部は「フランス方式をそっくりそのまま模倣したわけではなく、韓国の状況に合わせて変更し適用した」と強調している。しかし、韓国がフランスの二の舞を踏むようなことにならないよう、もう一度細かく検討すべきだ。

海賊船、中東アデン湾で日本タンカー襲撃 けが人なし

2008/04/21 中国新聞ニュース

 二十一日午前十時十分(日本時間)ごろ、中東イエメンのアデンの東約四百四十キロの沖合で、日本郵船(東京都千代田区)の大型原油タンカー「高山」(一五〇、〇五三トン、乗組員二十三人)が海賊とみられる小型不審船から発砲を受け、被弾した。けが人はなく、航行に支障もない。

 高山からの連絡によると、発砲は被弾後も少なくとも四発あり、高山はジグザグ航行するなどして逃走。しばらくして不審船は離れ、見えなくなったという。

 海上保安庁には当初、運航を管理しているTMM(東京都港区)から「ロケットランチャーで撃たれた」と一報があったが、武器の種類は確認できていない。

 船体後部で燃料が漏れており、左舷後部のバラストタンクと燃料タンクの間にある金属壁に指先程度の穴が見つかった。被弾した際に、弾が外壁を貫通してできた穴とみられる。

 高山は西に向かっており、近くの安全な海域に入った後、停泊して詳しい被害状況を調べる。

 イエメン国営サバ通信によると、高山はソマリアの海賊から攻撃を受けたとみられる。イエメン沿岸警備当局が高山の救援に当たった。海上保安庁は高山が日本に帰港し次第、当時の状況を乗組員から聴き、器物損壊などの容疑で捜査する。

 日本郵船によると、現地時間の二十一日未明、高山は発砲の約二十五分前にレーダーで不審船を発見。サーチライトを照らすなどして警告したが、不審船は無視し攻撃してきたという。

 高山の日本人乗組員は七人で、四日に韓国の蔚山ウルサン港を出港、原油を積むサウジアラビアに向け空荷で航行しているところだった。現場はイエメンと対岸のソマリアに囲まれた「アデン湾」の中央部の公海上で、海賊被害の報告が多い海域。

仏帆船の人質、解放 ソマリア沖

2008.04.11 MSN産経新聞

 東アフリカのソマリア沖でフランスの大型帆船「ルポナン」が海賊とみられるグループに乗っ取られた事件で、フランス大統領府は11日、人質になっていた乗員約30人が解放されたことを明らかにした。

 大統領府の声明によると「混乱はなかった」といい、乗員は無事とみられる。フランス外務省はできるだけ早く乗員を帰国させる手続きを取るとしている。解放の経緯、条件などは明らかにされていない。フランス公共ラジオによると、武力行使はなく、交渉を通じて解放されたもよう。

 同船はフランスの大手海運会社CMA−CGMの系列会社に所属する豪華帆船。4日、客を乗せずにインド洋のセーシェルから地中海へ向かっているところを乗っ取られた。乗員約30人のうち、22人はフランス人。(共同)

アジアの海賊被害、26%減少

2008/03/01 FujiSankei Business i.

 アジア海賊対策情報共有センター(本部・シンガポール)がまとめた、アジア域内の海賊被害(未遂含む)に関する統計によると、2007年の総件数は100件で、前年の135件から26%減少した。

 主な海域別の発生件数は、マラッカ海峡が21件(06年は13件)、インド周辺が10件(同3件)とそれぞれ増加。バングラデシュ・チッタゴン港周辺は12件(同30件)に減少し、ボルネオ島東岸のマカッサル海峡は6件(同7件)だった。(シンガポール 時事)

ソマリア海賊に拉致された韓国人船員ら、6カ月ぶり解放

2007.11.05 - AP

 ソウル(AP) 韓国外務省は4日、ソマリア沖で5月に拉致された同国の漁船2隻の船員24人が全員解放されたと発表した。船員のうち4人は韓国人。

 同省によると、残る船員は中国人10人、ベトナム人とインド人各3人、インドネシア人4人で、全員無事が確認された。韓国政府の要請により、米海軍艦が2隻を先導して、イエメンのアデン港に向かったという。

 同省は声明の中で、「罪のない船員らを公海上で拘束し、長期にわたって監禁した海賊行為を非難する」と述べたうえで、船員解放に向けた米、ソマリア両政府の協力に感謝の意を表明した。

 韓国メディアによれば、拉致グループは約8000万‐1億円の身代金を要求していたとされるが、解放に至った経緯や身代金が支払われたかどうかは明らかでない

海賊船に発砲、ヘリ発進 米軍がソマリア沖で大捕物

2007/10/31 中国新聞ニュース

 【シンガポール31日共同】海賊事件の相次ぐソマリア沖で、米海軍が駆逐艦などを繰り出して海賊制圧作戦を展開していることが米海軍の発表で三十一日、分かった。日本の会社が運航するケミカルタンカーを乗っ取った海賊の船は米艦の発砲で炎上。北朝鮮貨物船にはヘリコプターが発進、負傷者を救助した。

 米海軍などによると、二十八日、ドーヴァル海運(東京)が運航するケミカルタンカー「ゴールデン・ノリ」(六、二五三トン)の救難信号を受け、誘導ミサイル駆逐艦「ポーター」が現場に急行、海賊の小型船に二五ミリ砲を数回発砲、炎上させた。タンカーには韓国人ら二十三人が乗り組んでおり、米海軍などは監視を続けている。

 三十日には、国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)から、北朝鮮の貨物船「ダイ・ホン・ダン」が乗っ取られたとの連絡を受け、現場から約九十キロの海域にいた駆逐艦「ジェームズ・E・ウィリアムズ」が現場に向かい、海賊に武器を置いて投降するよう無線で命じた。

 その際、乗組員が海賊に抵抗して船を奪還し駆逐艦に医療支援を要請、駆逐艦はヘリで重傷の乗組員三人を収容するなどした。乗組員は、奪還の過程で海賊二人が死亡し、五人が拘束されたと話している。

 ソマリア沖などでは米英などの多国籍海軍が海上治安作戦としてパトロールを行っている。

北朝鮮船貨物船乗っ取り ソマリア沖、海賊か

2007年10月30日 中国新聞ニュース

 【シンガポール30日共同】国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)に30日入った情報によると、アフリカ東部ソマリア沖で北朝鮮の貨物船が何者かに乗っ取られた。海賊事件とみられる。

 IMBは北朝鮮政府や同海域をパトロールしている米軍など多国籍軍の海軍と連絡を取り合っている。現場では「大掛かりな作戦」(IMB幹部)が展開されているという。

 ソマリア沖では28日にも、日本の海運会社(東京)が管理、運航するケミカルタンカーが海賊とみられる集団に乗っ取られたばかり。

日本関係タンカー乗っ取り ソマリア沖で海賊事件

2007/10/29 中国新聞ニュース

 【シンガポール29日共同】国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)によると、ソマリア沖のアデン湾で二十八日、パナマ船籍で日本企業が管理するケミカルタンカー「ゴールデン・ノリ」(六、二五三トン)が何者かに乗っ取られた。IMBは海賊事件とみて、米海軍などと連絡を取り、調査している。

 乗組員は韓国人、フィリピン人、ミャンマー人の二十三人で、日本人はいないという。

 IMB幹部によると、タンカーは日本時間二十八日午前十一時十六分に救難信号を発した。IMBが交信を試みたが、応答しなかった。乗っ取り犯からの要求などもない。IMBは現場海域をパトロールする米海軍などにも事件発生を連絡した。

 現場付近では二十一日に香港船籍の液化石油ガス(LPG)タンカー、二十二日にはインド船籍のタンカーがそれぞれ発砲や追跡を受けたが、乗っ取りは免れたという。

 IMBによると、無政府状態が続くソマリアでは今年一―九月に未遂も含む二十六件の海賊事件が発生、前年同期の八件から急増した。

海賊事件、中東、アフリカ急増

2007年08月30日 地球法廷

(ソマリア沖に不審船、乗っ取りに注意)

 国際海事局の海賊情報センター(マレーシア)が発する海賊情報の場所に変化が起きている。映画にもなった(カリブの海賊)はとうの昔になりを潜め、今の主流はマラッカ海峡を中心とする東南アジアだ。

 最近では中東、アフリカ、南アジアでの発生も急増している。同センターによると2006年の世界の海賊事件は前年比13%減の239件。

 国別で最多のインドネシア(50件)も前年より29件減った。一方、2位のバングラデシュは47件で同26件増加。イラクやアフリカ東部のソマリア周辺では2年前から大幅に増えている。

 スマトラ沖地震の打撃、マラッカ海峡の取り締まり強化などが背景にある。さらにはイスラム過激派やテロリストが海賊船を使って移動していると専門家は指摘する。

 海賊犯罪はナイフや銃による強奪が多く、凶悪化しているのも近年の傾向。06年は全世界で15人が殺害され、誘拐、身代金要求の事件も前年の13件から77件に増加した。

 地球裁定、今、この地域での船舶は、自分の船は自分で守るしか方法が無い状態。大小無数にある島々から海賊を特定するのは非常に難しい。又、この地域が貧困にあえいでいる事も問題、漁民が生活のために海賊に手を染める人も多い、お互い船舶同士が情報交換し、警戒していかなければいけない。なによりもテロ集団の手に落ちたくない。

HOME、国際