TOPIC No.2-144  台湾新幹線/ 台湾高速鉄道/ 台湾高鐡/ 高鐡/ THSR(Taiwan High Speed Rail)

01. 台湾高速鉄道(台湾新幹線)の乗り方 (2009-10-09 01:40) by続・国道な日々 旅が好きな人のために
03. 2010年 「台湾新幹線(台湾高速鉄道)」乗車記(1)by 中国遼寧省大連で生きるおっさん
01. 台湾高速鉄道 by Wikidpediaフリ−百科事典
02. 台湾高鐡(Taiwan High Speed Rail)
03. 台湾を小さくする『台湾新幹線』に乗ろう!(2007年06月01日) byAll about
04. 台湾新幹線開業記念
05. 台湾鉄道紀行 - 高速鉄道開通 前夜の在来線風景

台鉄と台湾高鉄を結ぶ沙崙支線、1月2日に開通

2011年01月03日 17時48分 RTIブログ

台湾鉄道情報沙崙支線の開通式が1月2日に行われ、呉敦義・行政院長(左)、馬英九・総統(左から二人目)、毛治国・交通部長(右から二人目)、頼清徳・台南市長(右)が共にスタートボタンを押した。

 台湾の在来線と台湾の新幹線こと、台湾高速鉄道とを結ぶ台湾鉄道の沙崙支線が2日午後に開通した。開通式は馬英九・総統と呉敦義・行政院長主催の下で行われた。馬・総統らは最初の列車に乗って台湾高速鉄道から台湾鉄道に乗り換える際の便利さをいち早く体験した。台南市の頼清徳・市長は開通式の挨拶で、台南市民は沙崙支線の開通のほかに、複数の重大な交通建設も期待している。これらの重要な交通建設はいずれも中央政府の協力が必要だと呼びかけた。頼清徳・市長が大いに期待を寄せている交通建設は台湾鉄道の新営駅から沙崙支線の中洲駅までの区間で運行される列車のMRT化、便利な市内バスシステムの構築、及び台湾高速鉄道の特定エリアの開発案など。

 馬・総統は台湾高速鉄道と台湾鉄道とを繋ぐ沙崙支線の交通建設における重要性を評価し、それは模範建設だと讃え、今後もより多くの交通路線を建設して台湾の交通網を更に完備し、みな利便性の高い公共交通機関を利用できるよう図る方針を明らかにした。馬・総統はまた、中央政府は全力をあげて軌道交通を推進しているが、地方政府は公共交通機関の利用を習慣付けるよう努力し、まずバスのシステムの完備を図ってから軌道交通を建設するよう提案した。

 交通部の毛治国・部長は沙崙支線は台湾鉄道と台湾高速鉄道を結ぶ初めての支線で、台湾鉄道が南回り鉄道開通後20年来初めて増加した新たな鉄道の支線だ。全長は6.52キロしかないが、沿線で台湾が開発した鉄道立体交差システムが建設され、高速鉄道の高架橋や橋などをまたがっており、工事が非常に難しいと説明。毛治国・部長はまた、沙崙支線開通後、台湾高速鉄道の台南駅から台湾鉄道の台南駅までの所要時間は20分間に(現在台南市からバスに乗って台湾高速鉄道の台南駅まで行くには50分かかる)、そして台南サイエンスパークまでは40分に短縮され、道路を利用する時間より半分短くなるため、台南市民は今後更に便利になると期待している。

 カラフルな塗装が施されるEMU600が毎日70本運行されている

 総工費58億4300万元の沙崙支線の始発駅は中洲駅、終点駅は沙崙駅、途中台湾で唯一大学のキャンパスと直結している駅、長栄駅がある。沙崙支線では毎日、カラフルな塗装が施されるEMU600が70本運行されている。そのうち、台湾鉄道の台南駅から沙崙駅までは36本、台南サイエンスパーク駅から沙崙駅までが30本、嘉義駅から沙崙駅までが4本。所要時間だが、沙崙駅から中洲駅までは8分間、沙崙駅から台南駅までは20分間、沙崙駅から台南サイエンスパーク駅は38分。沙崙駅は台湾高速鉄道の台南駅と隣り合っており、台湾高速鉄道の二階には両駅を結ぶ通路と切符の自動販売機があるため、乗り換えるには非常に便利だ。沙崙支線は1月15日までは無料乗車できる。

 台湾で唯一大学のキャンパスにある駅、長栄駅

 台湾鉄道によると、現在、工事中の内湾支線の竹中駅と台湾高速鉄道の新竹駅(六家駅)とを結ぶ支線は今年10月に開通する予定。そして建設計画中の台湾高速鉄道苗栗駅は台湾鉄道の豊富駅の北方にあり、台湾高速鉄道の線路は台湾鉄道の線路の上方を通る。台湾鉄道は台中の新烏日駅のパターンに沿って台湾高速鉄道の苗栗駅と直結する新たな駅を建設する予定。なお、台北市と新北市の市民の通勤、通学の足となる、台北新交通システムMRTのIC組み込み型乗車券イージーカード(悠遊?)は沙崙支線でも使用可能。(旺)

台湾新幹線、乗客1億人に=日本の技術輸出第1号

2010/08/04-21:08 時事ドットコム

 【台北時事】台湾高速鉄道(台湾新幹線)を運営する台湾高速鉄路は4日、新幹線の乗客数が3日夜に延べ1億人を突破したと発表した。同新幹線は日本の新幹線技術の輸出第1号として、2007年1月に営業を開始。在来線に比べて所要時間が半分以下で済む利便性などが受け、開通から3年半でビジネスや観光などに欠かせない交通手段としてすっかり定着した。

 台湾新幹線の延べ乗客数は、開通1年目は運行本数が少なかったことから1550万人にとどまった。だが、2年目の08年は3050万人、09年には3230万人に増え、今年も昨年を上回るペースで推移している。

台湾新幹線はトヨタ製…あれ?

2009年12月21日 23時45分 | 台湾日記 台湾の情報ならお任せ RTIブログ

(台湾新幹線はトヨタ製か…、って違うでしょ!)

 12月のはじめのことだった。ある日、取材のために台湾新幹線こと、台湾高速鉄道に乗って南部に行った。いつものように切符を買ってプラットホームで列車を待っていた。しばらくすると、列車が入ってきた。でも、列車の車体は以前と違う。車窓の上の部分に「TOYOTA」という赤い字があったからだ。台湾高速鉄道はJR東海、JR西日本共同開発の700系の改良型列車で、日本の新幹線の初めての海外輸出。製造は川崎重工、日立製作所、日本車輌製造のはずだが、なぜ、「TOYOTA」なのか?

 実はこれ車体広告。「TOYOTA」という赤い文字のほかに、トヨタのロゴ、ALL NEW、希望・無限などのキャッチフレーズ、そして新発売の自動車の写真まで。台湾の新幹線に車体広告が出るのは初めて。新幹線の車体広告は日本でも聞いたことが無い気がする。見間違いではないだろうかとも思ったが、よく見ると見間違いでも夢でもない。台湾高速鉄道では高級なイメージを定着させてきた。バスのような車体広告はイメージダウンにつながると心配していたのだ。だが、赤字経営の現実についに屈したか。

 最近、台湾高速鉄道は列車に車体広告を施すため、一編成の列車を二日間ほど運行停止にしたほか、その車両内部にも家庭電気器具の広告を掲載した。台湾高速鉄道に融資している金融機関も広告のスポンサーになった。選挙のコマーシャルでなければ何でもいいようで、今後はお酒の広告や食品の広告も登場するそうだ。(ちなみに車内でビールは売っていない!)

 しかし、台湾高速鉄道における初の車体広告は決して安くない。三ヶ月間の費用は台湾元3000万元。日本円にして約8000万円だ。車内広告も一年間で台湾元2000万元、日本円約5400万円。トヨタは広告自体の効果よりも「一番乗り」の話題性を狙ったのかもしれない。

 (トヨタの自動車「WISH」の広告。「全新改款、耀眼登場(全面的モデルチェンジ、まぶしく登場)」というキャッチフレーズが勇ましいが、台湾高速鉄道の苦境と対照的なイメージだ)

 台湾の一部のインターネット利用者は今回のスポンサー「TOYOTA」の発音をもじって、台湾高速鉄道のことを「頭又大(北京語の発音では“トウ・ヨウ・ダア”。また、頭が大きくなった。また、悩みが増えたという意味)」と皮肉っている。それもそのはず。開業から赤字経営に悩んでいる台湾高速鉄道、一日に台湾元1億元(日本円約2億7000万円)の利息を支払わなければならないのだ。何もしなくても1億元。支出を減らせないのなら、手元の資源を利用して収入を増やすしかない。車体広告のほか、台湾高速鉄道はビジネスクラスの車両の利用率を高めるため、最近、ある大手銀行とタイアップして乗車券のグレードアップ販促イベントを行っている。その銀行のクレジットカードを使って乗車券を買った場合、一般の指定席からビジネスクラスにグレードアップされるというのだ。

 開業して三年近く。台湾高速鉄道はついに赤字を素直に受け入れて本格的に動き出したという感じ。台湾高速鉄道、頑張って!(旺)

台湾新幹線:開業1年半、累積赤字2000億円 政府管理下で再建

2009年10月17日 19:06 毎日jp(毎日新聞) Still Laughin'

 日本の新幹線技術の初の輸出例となった台湾高速鉄道(台湾新幹線)が経営難に陥り、政府の管理下に置かれることが決まった。

 政府の財政負担を増やさない台湾初のBOT(民間による建設と一定期間の運営、その後の政府への移譲)事業として注目されたが、利用者数は計画の半分以下の1日約8万人にとどまる。

 不況で経営好転への起爆剤は見つからず、今後も厳しい運営が予想される。

経営危機に陥った台湾新幹線民間資金が担う国家プロジェクトの限界

2009.10.15(Thu)  林 正宏 JB Press

台湾行政院(内閣)は、2007年1月に民間企業として営業運転を開始した台湾高速鉄道(台湾新幹線)の経営テコ入れに乗り出す。

台湾の2大都市、台北−高雄を約1時間半で結ぶ〔AFPBB News〕

 台湾新幹線は首都台北と、南部の最大都市高雄の間345キロメートルを90分で結ぶ。財政難から民間資金を活用するBOT方式で、総事業費約1兆5000億円の一大国家プロジェクトを実現したものの、運営主体である「台湾高速鉄路(高鉄)」が多額の利払いと減価償却費で深刻な財政危機に見舞われ、政府が強制的に再建を主導することになったのだ。

 開業から3年近く、大きな事故もなく運営してきたことなどから、新幹線自体に対する評価は決して低くない。日本は新幹線技術の輸出成功例として、台湾新幹線の実績を海外への売り込みでアピールしたいところだろうが、経営面での挫折は、今後の国際セールスに水を差しかねない。

地震対策で日本の新幹線が逆転勝利

 ここで、台湾新幹線開業までの経緯を振り返っておこう。

 高速鉄道の計画は、国民党・李登輝政権時代の1990年代初頭に本格化した。当時の政府は財政支出を抑制するため、事業にPFI(民間資金による社会資本整備)の一種であるBOT (Build Operate Transfer)方式を採用した。政府が用地の買収・整備をした上で、設計や資金調達、建設、事業運営を民間企業に任せ、資金を回収した上で35年後に政府に資産を引き渡す仕組みだ。

 1997年に実施された競争入札では、独・仏の欧州勢と組んだ企業連合・台湾高鉄が、日本と組んだ中華高鉄との激しい戦いに競り勝った。その背景には、台湾高鉄が政府の財政支出を一切不要とする条件を提示したことに加え、台湾政府には兵器の重要供与先であるフランスとの関係を強化する狙いもあった。

 ところが、契約翌年の1998年にドイツの高速鉄道ICEが約100人の死者を出す脱線事故を起こす。さらに、1999年に台湾中部大地震が発生。営業運転開始以降、1人の死亡事故も起こしていない日本の新幹線への再評価機運が一挙に高まった。

東海道・山陽新幹線の「のぞみ」がベースの車両〔AFPBB News〕

 台湾高鉄は政府の指導の下、耐震性に優れる上に、地形や天候が台湾と近い日本の新幹線の導入に方針転換したのだ。しかし、これに欧州勢が大反発、「車両は日本、システムは欧州」という和洋折衷案の採用を迫られることになった。これが事業運営に深刻な禍根を残し、開業時期が1年以上も遅れるという事態を招くことになる。

台湾新幹線の行き詰まりでBOTに疑問

2009年09月27日 23時51分 RTIブログ

(開業当初の台湾高速鉄道。BOTは無理だったか)

 台湾の新幹線こと、台湾高速鉄道は2007年に開業、北部の台北市と南部の高雄左営を最短90分で結び、台湾の南北を日帰り生活圏にした。出張や帰省を手軽にする一方、在来線の台湾鉄道のサービス向上や長距離バスの値下げ、国内線航空各社の経営の見直し(路線廃止、価格調整)を促し、広範囲に影響を及ぼした。 また、日本の新幹線初の海外輸出として国際的に注目を集めたばかりでなく、日本の人たちの台湾への親近感アップにも貢献、さらには開業当時の民進党政権の施政実績のシンボル的意味合いもあった。

 台湾高速鉄道は「世界最大のBOT案」。BOTとはビルト・オペレーション・トランスファーで、民間が建設し、一定期間運営した後で政府に移譲する方式。政府は土地を調達して提供するだけで、建設資金はすべて民間がまかなうことから、財政負担を増やさない方式として採用された。事業体である台湾高速鉄道公司による運営は1998年から35年間(特別許可期間)なので2033年には政府に渡すことになる。

(フレッシュなイメージで好感を呼んだが・・・。オレンジ色基調のユニフォーム)

 しかし、台湾高速鉄道公司は累積赤字がすでに台湾元702億元となり資本の2/3を食いつぶした形に。原因は輸送人数不足。現在、一日あたりの乗客数は延べ約8万人。これは計画時の想定18万人を大きく下回る。また、同社が経営権を握る(2038年まで)各駅での開発事業が進んでいないこと。そして財務上の原因である、建設資金の借り入れ利息と減価償却費の重い負担。開業が1年半遅れたことも影響した。(当初は2005年10月の予定)

 結局、当初からの株主がこれ以上の資金をつぎ込めないとしたことから、11月にも経営が破たんする恐れが出て、9月22日の臨時役員会で同社のシンボル的存在だった殷h・董事長が辞任、政府系の株主代表で執行長を務めていた欧晋徳氏が引き継ぐこととなった。政府は資本参加しないはずだったが、台湾高速鉄道公司の資金調達がスムーズに進まなかったため、国営企業や政府系企業などを通じて株式を購入、持ち株比率37.4%の実質的大株主になっていたのだ。政府系の株主代表の董事長就任で、事実上、政府が経営の主導権を握ることになった。

(新たな董事長=会長に就任した欧晋徳氏。「人生最後の任務」と決意を)

 同社の負債は4000億元と伝えられ、立て直しに国民の税金が注ぎ込まれるとの憶測もある。23日、初の記者会見を開いた欧晋徳・新董事長は、負債3899億元に対して資産は4168億元あり、国に負債だけを残すのではないと説明、借り入れ金利の引き下げや原価償却期間の合理的な延長に期待した。欧・董事長によると、累積赤字702億元のうち400億元は設備の減価償却費によるもの。土木施設は150年、機械設備は60年使用可能だが、26年で償却することになっているという。
 また、交通部は24日、利息と減価償却、税金を支払わない条件ならば台湾高速鉄道の利益率は香港の地下鉄や日本のJR東日本などを上回るとその潜在力を強調、台湾高速鉄道は収入増加と支出削減に取り組むと共に、利息と償却面で合理的な解決策を探らねばならないと指摘した。

 馬英九・総統、呉敦義・行政院長のいずれも、台湾高速鉄道の運行をストップさせず、利用者の権益を守ることを最優先するとしており、どのような形であれ、「台湾新幹線」は今後も運行される見通しだ。しかし、無視できないのは、計画当初の輸送人数、利息負担、原価償却負担の予測が「甘すぎた」こと。殷h・前董事長は辞任前の取材に対して、「景気が悪くなり、収入があがらなかった。甘すぎた」と答えている。

(高雄新交通システムよ、お前もか!?)

 これでにわかにクローズアップされたのが、台湾南部・高雄の新交通システム。地下と地上を走る通勤電車のようなものだが、これが「第二の台湾高速鉄道」になるというのだ。2008年4月に開業して以来、年間25億元の損失を出しているという。これもBOT方式で建設されたものだが、事業体の高雄捷運公司の株主構成では政府系が55%を握り、運営を維持するかどうかは政府の態度次第。減価償却や権利金負担を除いても毎月8000万元の赤字が出ている。現在の一日当たりの輸送人数は10万人足らずで、想定した36万人にまったく届かない。ここでも輸送人数の見誤りか。

 そして、台北市でのドーム型球場建設計画も問題に。台北市は2006年にBOT方式での建設契約を終えた。その後、近隣の反対などでのびのびとなっていたが、今年いよいよ着工の見通しがたったところだった。しかし、今月になって監察院が規定違反と指摘したことを受けて台北市が作業をストップ、事業体の遠雄巨蛋事業公司ともめている。理由は行政院公共工程委員会の専門知識不足で台北市政府が事業体に対して妥協する結果を招いたこと、ドームの設計が国際基準に合わない恐れがあることなど。
 計画では4万人収容可能な体育館(野球、コンサート、見本市)とショッピングセンター、ホテル、事務所ビルを建てるはずだったが不透明になった。監察院の指摘はともかく、心配なのはドーム型球場を作って野球の試合に人が集まるのかということだ。現在、台湾のプロ野球は一試合当たりの観客数が4000人程度。台湾のプロ野球は各試合での収入と支出が主催チーム(一塁側)に帰属する。台北市のドーム型球場を借りるコストを考えると、ここで試合をしようとする球団はあるのか。試合をしたところで、全試合テレビ中継される中で、どれだけの観客がやってくるのか。

 BOT方式は成算があってはじめて実現するはずのもの。台湾高速鉄道の問題で、台湾では「BOT方式に適したプロジェクトと適さないプロジェクトがある」という議論も起きている。いずれにせよ、立派な大人が集まり、専門家も加わって進められる大規模なプロジェクトである。「見込み違いだった」との言い訳を笑う子供たちの声が聞こえてくる気がする。(U)

台湾高速鉄道、経営難で会長が辞任 親中・馬英九政権の懲罰人事か

2009.09.23 23:26 MSN産経新聞

 【台北=山本勲】深刻な経営難に陥っている台湾高速鉄道(高鉄、台湾新幹線)は22日の取締役会議で、殷キ・董事長(会長)の辞任と、欧晋徳・執行長の董事長昇格を決めた。殷氏は累積負債4600億台湾元(約1兆3000億円)にのぼる経営悪化の責任を問われていたが、8月の「ダライ・ラマ14世訪台に積極的にかかわったことで馬英九政権から“詰め腹”を切らされた」(民主進歩党筋)との声も聞かれる。

 日本の新幹線技術が海外で初採用され、台北と高雄の間を最短90分で結ぶ高鉄は、2007年3月に全線で営業運転を開始したが、赤字経営が続いている。鉄道建設費や銀行融資の金利負担などを抱え、加えて開業以来の累積赤字も702億元(約2000億円)にのぼっている。

 主な原因は(1)日欧技術の混在などで開業が2年近く遅れた(2)乗客見積もりの大幅な狂い(1日平均28万人の計画に対し、現在は8万7千人)(3)駅周辺商業施設開発の失敗−などだ。

 殷氏は1998年5月の高鉄発足以来、董事長職を務めてきたが、これら事業経営を失敗した責任を問われてきた。

 殷氏はまた、陳水扁前民進党政権との関係が緊密で、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマが先月、台湾を訪問した際に台北から高雄までダライ・ラマのために専用列車を走らせるなど、積極的な役割を果たした。このことが親中政策をとる馬英九政権の神経を逆なでしたとの見方もある。

 後任の欧晋徳氏は、馬英九総統が台北市長時代に副市長を務めた腹心の一人。高鉄はシステムの建設と運営は民間が行い、35年後に当局に移管される、いわゆるBOT方式の民間企業だが、欧董事長のもとで当局の支援体制を強化し、経営危機の打開を図ることになる。(殷キのキは「王」へんに「其」)

台湾高速鉄道の経営を政府が引き継ぎ、董事長は殷h氏から欧晋徳氏に交代へ

2009.09.21 台湾通信

 馬英九政権は、深刻な赤字に陥っている台湾高速鉄道の経営を引き継ぐことを決定したもよう。台湾高速鉄道の殷h・董事長(会長)が辞任し、政府の法人代表として同社の欧晋徳・執行長(CEO)が董事長に就任する見込み。

 融資の再編が行き詰まっていること、民間株主が増資に応じないことから、政府は政府持ち株を利用して強制的に経営権を引き継ぐことを決意したもよう。現在、台湾高速鉄道の董事(取締役)14人のうち、政府持ち株は5人にとどまっており、政府が経営権を引き継ぐ場合、他の民間株主の同意を受ける必要がある。

 政府が経営権を引き受けた場合も現在の政府持ち株、民間株主の株主構成はそのままで、政府は追加投資を行わない。殷h氏は創立時の他の4人の株主代表と共に、董事(取締役)にとどまる。

 同社は今年6月の時点で、累積赤字が702億元に達している。同社の資本金(1053億2200万元)の6割以上を占めている。さらに利子支出は664億元、減価償却が424億元あり、財務困難が深刻化している。

 当初の計画では、1カ月当たりの収入が60〜70億元だったが、現在、実際には20億元程度にとどまっている。

台湾高速鉄道は、台湾で過去最大のBOT(建設―運営―委譲)案。総投資額は約5000億元。累計債務は4000億元を超えている。台湾高速鉄道は政府との契約で経営35年後に台湾高速鉄道は政府に引き渡されることになっていた。しかし今回、経営開始からわずか約10年で政府が経営権を引き継いだ場合、予定より25年早まることになる。

政府が経営権の引継ぎを決意したのは、台湾高速鉄道の経営継続が主な目的。これについて今年5月、毛治国・交通部長は行政院と協議を繰り返しており、「政府による接収は最後の手段だ」と指摘していた。

 同社は22日に次回の董事会(取締役会)を開催する予定。

 欧晋徳氏は、馬英九総統が台北市長時代の副市長で、馬英九総統の側近だったが、馬英九政権発足後は政権入りしていなかった。今回の行政院長交代の際には、院長の有力候補として名前が挙がったことがある。

 殷h・董事長はかつての民進党の陳水扁政権を支持し、また台風8号水害の被災者慰問のためダライ・ラマ14世が台湾を訪問した際には自ら接待するなど、馬英九政権の意向に合わない行動を取っていた。

<台湾高速鉄道の株主構成>

名称          投資額     持ち株比率

政府          約400億元    38%

大陸工程        約75.2億元    7.14%

長栄(エバーグリーン) 約42.9億元    4.07%

太平洋電線電纜     約39.4億元    3.74%

富邦          約58.1億元    5.52%

東元          約51.5億元    4.89%

その他         約386億元    36%

資本金       約1053.22億元     ―

*資料:台湾高速鉄道  <2009.09.20 聯A1、中A1、自由A1>

台湾新幹線の最近情報

2009年07月31日 HIWAVEひろしま産業振興機構日記

台北 ビジネスサポーター 皆川 榮冶

 2007年1月5日に開業した台湾新幹線〔台湾高速鉄路(股)公司…略称台湾高鉄〕は当初わずか1日38往復(片道48分に1本)全車指定席制で運行を開始しました。今年3月には1日最高142往復(片道約14分に1本)にまで増便し、今や台湾の基幹交通機関として重要な地位を占めるに至っています。一般の旅行客のみならず、日本や中国からの旅行客にも多数利用され、人気と信頼を勝ち取っています。今回は最近の台湾新幹線の状況を5点報告します。先ず第1は発着の時間が日本並みに正確であることです。新幹線開業前の台湾鉄道では時間の遅延が常態化していましたが、新幹線では見事に改善され、「1秒の誤差もなく」と言って良い程正確に発着しています。今までの台湾式の観念が新幹線では一掃されたと言って良いでしょう。

 第2に自由席の採用です。開業1年10ヶ月後の08年11月から自由席が設けられ、それまでの指定席車より安い運賃で乗れる様になり、乗客数の拡大に貢献しました。開業から15ヶ月後の08年4月に2300万人の乗客を数えましたが、それから9ヶ月後の09年1月には累計4650万人に達したことを見ても、自由席車の果たした役割は明確です。しかし、台湾新幹線の自由席には立ち席がなく、席数以上の乗車券は発売しません。これは席の取り合いなどが起こることを防止する措置だと言われていますが、旧正月前後や連休前後は乗車できない人が翌日の切符を買う為に列をつくって並んでいるのを見ると改善の余地がありそうです。

 第3に65才以上の乗客は外国人でも半額になることです。国家や会社に尽くして来た人達をいたわり、尊重しようとの精神で65才以上の人には有難いシステムです。日本から来る友人達もこの恩恵に浴して大変喜んでいます。

 ただ全てが順調かと言うとそうでもなく、連休やラッシュ時以外の時間帯では乗車率が低く、時間帯によってはガラガラの列車もあります。その為か、台湾高鉄公司の過去2年間の業績は赤字が続いています。これが4つ目の報告です。新幹線の利便性や有用性も充分認識されている一方で、平行路線においてもまだまだ旧鉄道やバスが多く利用されており、「時間をお金で買う」との観念が一般社会にまで及んでいない台湾の現実があります。

 最後に、この赤字経営から脱出する為に、この3月から昼間の減便、人員削減、給与カット、物品販売の拡大等多くの努力を始めていますが、なかでも6月初めから新幹線車内でビールの販売が開始されました。と言うと日本人は驚かれるでしょうが、台湾では従来旧鉄道でも新幹線でも列車内では酒類の販売はありませんでした。酔っ払って大騒ぎすることを避ける為です。しかし、この程新幹線車内ではせいぜい2時間の旅ですから、「少しくらい良いではないか?」と開始されました。但し、1車輌に付き缶ビール8本のみの限定販売です。

 台湾には列車内でお酒に酔って騒いでいると直近の駅で下車させられ、覚めるまで乗せて貰えない法律があります。日本からの皆様くれぐれも台湾新幹線で酔っ払わない様にいたしましょう。

台湾新幹線の赤字原因:The Exodus of Taiwanese Businessmen

2009-07-19 | グローバル経済 世界の動きを英語で追う

 2年前に開業してから、発展途上国の「新幹線モデル」となりつつあった台湾高速鉄道は、技術的には快走を続けているが、商業的には、乗客数の伸び悩みから、採算分岐点に達せず、赤字が累積していると、Financial Timesが報じている。

 このプロジェクトは、民間セクターが自己資金で、建設(build)し、一定期間操業(operate)して収益を上げたあとに、所有権を、政府に移管(transfer)するというBOT(Build-Operate-Transfer)と呼ばれている官民合同の開発手法がとられている。

 台湾新幹線は、総工費約1.5兆円に達する世界最大のBOTプロジェクトである面からも、その操業状況は世界から注視されているが、現在のところ、台湾高速鉄道の債務は、1兆1700億円で、累積損失が2000億円に達している。

 台北・高雄間の月間航空機利用者は、新幹線開通によって260万人から35万人程度に激減した。一方、操業初年度の急激な伸びを記録した後、新幹線利用客数は、280万人で頭打ちになっている。その結果、新幹線の月間営業収入は、採算分岐点90億円に対し、現在最高でも75億円にしか達しないという。

 FTは、元台湾政府の新幹線担当局長の談話として、「乗客数の見込み違いは、ビジネス客として期待した、実業界の人々が、大陸の方に、大挙して移動してしまった」からだと、理由を説明している。開業とほぼ同時に、サブプライムローンに発する、世界金融危機が始まったことの影響をさしているのであろう。

 台湾政府は、救済のため債務の一部に対して低利資金への借り換え融資に踏み切る方針である。このままの経営状況が続けば、プロジェクト自身も、政府が予定よりずっと早く「接収して」直接運営することになるかも知れないとも観測されている。

 1980年代より、「ワシントンコンセンサス」と呼ばれる米国の世界戦略に立脚して、米国財務省・IMF・世銀が、発展途上国の外資導入・民営化・貿易自由化を「強力に指導」した時代が終わり、「やはり公共投資は政府中心」へと時計は、逆に回りつつあるのが、世界の潮流である。

台湾新幹線が運行本数削減へ、平日運賃と役員給与もカット

2009年02月28日 17:33 発信地:台北/台湾 AFPBB News

【2月28日 AFP】台湾新幹線を運営する台湾高速鉄道(Taiwan High Speed Rail Corporation)は28日、コスト削減と合理化を目指し、運行本数の削減、一部料金の値下げ、および経営陣の給与削減をすると発表した。

 3月16日に実施される新ダイヤでは、これまで週に942本だった新幹線の便を13%減の816本にする一方で、平日の乗車料金を15%値下げする。

 台湾高速鉄道のNita Ing会長は2月から給与を辞退している。経営陣の給与については3月から10-20%カットする。

 台湾新幹線は日本の新幹線が初めて輸出された事例。2007年に開業したが、累積赤字は530億台湾ドル(約1480億円)に上っていた。(c)AFP


利子支出を減らすため、台湾高速鉄道が外国銀行から3500億を借金

[2008-10-10 万象 「龍ねっと」日中通信社

 台湾高速鉄道(台湾高鉄)は28日発表した財政報告によると、上半期の累積赤字が資本金の半分以上の535億新台湾ドル(約1814億円)に達し、そのうち利子、及び設備の減価償却にかかる支出が510億新台湾ドル(約1729億円)を占めた。

 台湾高鉄が銀行団から受けた融資の利払いは8%で、市場平均の3%より大幅に割高である。支出を減すため、台湾高鉄は外国銀行から3500億新台湾ドル(約1兆1865億円)を超える借金をすることを決めた。

 賈先徳副総裁によれば、同社の輸送量・営業収入は増え続けているが、過重な利子負担と、100年使用可能な建物などの減価償却を35年以内に終えなければならないことが、巨額の累積赤字を生んでいると言う。

【中国時報】航空路線の撤退続々 背景に台湾新幹線開通も

2008年02月25日 琉球新報

 今年に入り台湾の南北を結ぶ航空路線の撤退が相次いでいる。

 1月末に立栄航空が「台北―高雄」路線を停止したのに続いて、3月1日から遠東航空が「台北―台南」と「高雄―花蓮」路線から、華信航空が「台中―台東」路線から撤退することになった。これで「台中―台東」路線は消滅することになった。残る南北の路線は復興航空のみで、1日7便の運航となる。

 現在、台湾新幹線の「台中―高雄」間は1日56便、台湾鉄道の自強号の「高雄―台東」間は1日5便が運航しており、「台中―台東」間は飛行機を使わなくても便利に乗り換え可能になる。

 撤退の背景には台湾新幹線の開通や東部幹線の改善がある。交通部の統計では国内の飛行機による旅客人数は昨年に比べて200万人余り減少し、ここ15年で最低の数字を記録した。

【台湾】 台湾新幹線、5日で開業1年・1555万人が利用〜庶民の足としてすっかり定着

2008/01/05 MSN産経新聞

 日本製の新幹線車両を海外で初採用し、台湾の台北―高雄間を南北に結んだ「台湾新幹線」が5日、開業から1年を迎えた。運営会社の台湾高速鉄路によると、2007年末までに台湾の人口の7割近くに相当する延べ1555万人が乗車し、庶民の足としてすっかり定着した。

 人身事故などの目立った問題はなく、昨年末までに運行された2万4400本の列車の99.46%が時刻表通りに発着した。5日は記念式典などはなかったが、中華圏の帰省シーズンである2月上旬の春節(旧正月)休みの切符が一斉に発売され、新幹線が台湾社会の一部にとけ込んだことを印象づけた。(台北=山田周平)(19:30)

【台湾】台北−高雄間を90分で結ぶ…台湾新幹線が開業1年、台湾の交通地図塗り替える

2008/01/04 MSN産経新聞

 日本の新幹線技術を海外で初採用した台湾高速鉄道(台湾新幹線)が開業し、5日で1周年を迎える。昨年末までの累積乗客数は1555万人に達するなど、台湾西部全域で「1日生活圏」を実現した高速鉄道は人の流れを変え、台湾の交通地図を大きく塗り替え始めた。

 台北−高雄間(345キロ)を最短90分で結ぶ高速鉄道は、三井物産や川崎重工業など7社の日本企業連合が基幹部分を請け負い、車両は東海道・山陽新幹線の700系のぞみをベースにした12両編成を導入。営業は延期に次ぐ延期となり、安全面で不安を残したまま開業を迎えたが、昨年11月からは自由席も導入され、平均利用者は1日約4万3000人にまで増えた。

 運転本数も増え続けており、19往復にとどまった開業当初に対し、今月18日のダイヤ改正では週末が1日60往復に増便される。事業主体となる台湾高速鉄路によると、帰省客が急増する2月の春節(旧正月)連休中は、最大63往復にまで輸送力を強化するという。

 事業計画の88往復を大幅に下回っており、なお多くの課題を残しているが、当局は昨年11月、駅周辺に研究機関などを誘致する新たな開発コンセプトを発表。存在感を増す高速鉄道は、低迷する地域経済の活性化を促しそうだ。一方、高速鉄道の開通で航空4社が運行するローカル便の利用率がほぼ半減。長距離バスも巻き込み、競合各社の間で生存競争が激化している。

台湾新幹線で感謝式典…開通9カ月、日欧技術混在も安全運行

2007/10/25 FujiSankei Business i.

 日本の新幹線システムが初めて海外に輸出され、今年1月に開通した台湾新幹線の事業主体、台湾高速鉄道公司は24日、日欧の鉄道会社やメーカーなど、技術導入元の幹部らを招き「感謝式典」を開催した。

 日本が欧州勢に逆転受注した経緯から日欧の技術が混在、安全性を懸念する声もあったが、開通から9カ月余りで大きなトラブルはなく、関係者は「安全性に問題なく、プロジェクトは大成功」と声をそろえた。

 台湾新幹線は台北、高雄の南北2大都市間の345キロを最速1時間半で結ぶ。開通時は1日38本だったが現在は91本。来月は113本に増やす。運転士も開通時は外国人ばかり約30人だったが、これまでに台湾人55人を養成し総勢約100人になった。

 1日の乗客数は現在、平均約5万人。採算ラインとして1日12万人を目指す。

 24日は日本統治時代の99年前、基隆−高雄間の鉄道開通を祝った式典が開かれた日。台北市内でのこの日の式典には、輸出元の三井物産や川崎重工業など7社のほかJR東海幹部、日華議員懇談会メンバーら日本からの約200人を含む約600人が出席、台湾の陳水扁総統も参加した。

 日本の企業連合、台湾新幹線の佐藤和夫会長は式典で「日欧の技術アプローチに違いもあったが、興味深い異文化研究で、協力の成果に満足している」とあいさつした。(台北 共同)

開業1年 新幹線が台湾を変えた 「分断経済圏」進む融合

2008年02月01日 ファステック360の最前線!

 日本から初めて海外に輸出された新幹線システムを使った台湾高速鉄道(台湾新幹線)が1日、正式営業開始から1年を迎える。欧州技術との併用で当初は安全面が不安視されたが、大きなトラブルもなく、乗客数を順調に伸ばしている。台湾の南北345キロを最短90分で結ぶ高速列車は社会、経済に予想以上のインパクトを与え、「台湾を変えた」とも評されている。

 各駅では毎朝、背広姿の会社員が目立つ。台湾ネスレで働く台中在住の梁家昌さん(47)は「仕事や出張のスタイルが変わった」と話す。

 出張の多い梁さんは以前、バスや車で台北まで2時間以上、高雄には3時間以上かかり、宿泊が前提だった。新幹線ならいずれも1時間以内。日帰りで日程が作れるようになった。

 台湾経済研究院の黄崇哲研究員は「台湾は主に交通の不便さから北部、中部、南部で経済圏が分断されていた。新幹線の登場で初めて『全台湾圏』が誕生した」と指摘する。

 黄氏によると、台湾で盛んなIT産業は南部の工場と北部の本部の行き来が容易になり、台北にいる弁護士や会計士ら専門職の南部進出が進むなど、人の移動が活発化しているという。

 一方、最大の被害者は国内航空各社。全体で約6割の顧客を失った。台北―台中や台北―嘉義の両路線は早々と運航停止。新幹線並みの価格に値下げした台北―高雄も立栄航空が全面撤退を表明するなど壊滅に近い。

 新幹線の昨年の累計乗客数は台湾人口の3分の2にあたる1555万人。12月は単月の乗客数が初めて200万人を超えた。本数は開業当時の1日19往復から現在は63往復に増加。まだ赤字だが、運営する民間会社「台湾高速鉄路」の賈先徳スポークスマンは「目標の1日88往復まで増やし、年末に収支均衡を達成したい」と強気だ。

 営業開始まで数度の延期など難航したが、現時点で重大なトラブルはなく、発着も正確だ。しかし、不安がないわけではない。

 最大の問題は運転士の確保だ。現在は仏人ら外国籍35人と台湾籍54人。本数増に伴い増員は不可欠で、台湾籍を100人まで増やす計画だ。ただ、運転士の教育は平均8カ月が必要とされ、追いつかない。台湾高鉄はJRなどにOB運転士の派遣を希望しているが日本側は消極的とされる。

 また、用地買収の事情などから駅の多くは市街から離れており、市街と結ぶ公共交通も乏しい。台湾高鉄は無料シャトルバスを今年から拡充、利用者の不満解消を図っている。

       ◇

〈台湾新幹線〉

 計画は90年代に始まり、仏独企業連合がいったん受注したが、地震対策などを考慮し99年に日本の新幹線システムの採用が決定。日欧の方式が混在する格好になった。07年1月5日に板橋―左営(高雄)間で試験営業が始まり、2月1日から正式営業、3月2日に台北まで全面開通した。総事業費は民間鉄道では世界最大級の1兆8000億円。08年1月上旬時点で平均乗車率は44.7%で、1日当たりの旅客は4.3万人。

【中国時報】台湾新幹線の屏東延長決定 政府交通部

2007年09月24日 琉球新報

 台湾政府交通部(国交省)は17日、台湾高速鉄道(通称台湾新幹線)を南端の屏東の潮州まで延長することを決めた。完成すれば、台北と潮州を2時間25分で結ぶことになる。

 延長部分には、在来線のレールの外側にもう1本レールを敷き、3本のレールのうち1本を狭軌の在来線と広軌の新幹線が共用するという方式を取る。日本、ドイツ、スイス、オーストリアなどでも採用されている方式で、在来線に乗り入れる形での延長のため、建設費を大幅に節減でき、40億元(約140億円)まで抑えられるとみている。

 交通部関係者は、「この建設方法は在来線と駅舎も共用でき、乗り換えも非常に便利だ」と利点を強調。新幹線の高雄駅予定地を商業用地に転用することもできるため、経済効果は44億元(約155億円)に上るとみている。

台湾で「鉄ちゃん」になってみる 台湾鉄道旅行記

2007-08-31 OhmyNews 小澤 健二

 先日、台湾旅行に行ったときに日帰りで高雄まで行った。

 乗ること1時間、新竹駅に到着。この駅舎は台湾で現存している最古の駅舎だという。日本統治時代からの建物で、設計したのも日本人である。この街は台北と違い、いたるところに昔からの建物があると聞いてやってきたのだ。

 駅から歩くこと約5分、新竹のランドマーク、東門城がある。ここは韓国の南大門と同じく、昔の城の門で、ここを中心にし、道が放射状に伸びていく。

 そこからさらに歩くと新竹市役所がある。ここも日本統治時代からの建物で、県の重要建築物に指定されているようだ。

 そんな風情のある街、新竹からタクシーに乗り、新幹線の新竹駅から台湾新幹線に乗って高雄へ向かう。乗った印象は日本の新幹線によく似ているというものだったが、それも当然の話で、日本の新幹線から技術協力を受けているのである。

 新竹から新幹線で1時間弱、終点左営駅に到着。そこからタクシーに乗り、高雄市内へ。中心街を歩いていると、台湾名物の夜市を発見。

 いろいろな夜店が並んでとても賑(にぎ)わっていた。その中で日本人を見たが、みんな団体で、台湾人のガイドと一緒に巡っていた。おそらく個人で来ているのは僕だけだろう。ツアーは確かに効率よく色んな所をまわれるのが長所だが、あまりに簡単に行けるので、後々印象に残らないと言う「短所」もある。

 僕の持論で「旅は多少苦労しないと面白くないし、記憶に残らない」というものがある。苦労すればするほど、その旅は記憶に残り、いつまでも覚えているものだ。

 高雄の街も満喫して、高雄駅から普通列車に乗って新左営駅へ。そこに直結している新幹線の左営駅(同じ駅なのに在来線と新幹線で駅名が違うというのは非常に紛らわしい!)から最終の新幹線で台北に戻った。冒頭に出てきた「自強号」で4時間以上かかった台北──高雄間をわずか1時間半で結び、日帰り旅行も可能になった。台北だけでは飽き足らないという人には新幹線は有効だ。しかしながら問題点もある。

 最大の問題は新幹線の駅と在来線の駅とのアクセスだ。先ほど在来線の新竹駅から新幹線の新竹駅までタクシーで行ったことは書いた。このように、主要駅で台北駅以外新幹線と在来線が一緒に乗り入れている駅がない。

 高雄の場合、数年後には両駅が地下鉄で結ばれるというが、ほかの駅はそんな計画すらないようだ。新幹線と在来線の駅をタクシーで行くというのが現状だ。こうなるとシャトルバスを頻繁に運行するとか、利便性を考えないと利用者はそのうち頭打ちになるだろう。

 そういった面で「詰めが甘い」といった感は否めないが、台湾に旅行した際はぜひとも乗ってもらいたい乗り物だ。

台湾新幹線が中堅航空会社を追い詰める

2007-07-02 OhmyNews

戦略再構築を迫られる台湾航空業界米重 克洋

 台湾の中堅航空各社が、2007年1月の台湾新幹線開業で打撃を受けている。

 台湾新幹線は、台湾北部の首都・台北と南部の大都市・高雄を結び、台湾西部を南北に縦断するように走っている。この新幹線の開業で、航空会社は従来ドル箱路線だった台北=高雄線のシェアの2割を新幹線に奪われ、各社が運賃の2〜3割値下げを余儀なくされた、というのだ。

新幹線が航空路線を駆逐する

 新幹線が、航空路線を駆逐するのは、交通経済学の要諦から考えれば当然のことである。交通経済学では、長距離交通において鉄道で、4時間以上の移動の場合、航空利用へと乗客がシフトするとされている。

 日本の場合、都心から都心へと高速で移動する新幹線という特殊要因があるため、更に航空路線には肩身の狭い市場環境が出来る。

 例えば、前出の台北=高雄間の距離は日本の東京=大阪間よりも短いが、東京=大阪間の移動は、新幹線が8割強を占める。

 この例から見れば、台湾新幹線がより多くの輸送量と安定性、定時性を保つようになれば、航空利用のシェアが、さらに侵食されることは間違いない。今は2割食われたというが、2割で済むはずがないのだ。

 日本でも、東京=名古屋の定期航空路線があったが、東海道新幹線の開業で姿を消した(現在は、成田=中部空港線をエアー・セントラルが運航)。

 高速鉄道としては、世界最悪の安定性・定時性・事故トラブル率を誇る韓国の新幹線KTXでさえ、ソウル=釜山間の旅客流動の3割を航空から奪った、とされている。

中堅航空会社が生き残るには

 4月30日付の日本経済新聞の記事では、こうした指摘もある。

 「4社(中華航空系の華信(マンダリン航空)、エバー航空系の立栄、遠東、復興)は、海外路線の運航を、拡大することも対応策に掲げる。しかし、香港や東京行きなどの基幹路線は、中華航空、長栄航空(エバー航空)の大手2社が運航枠を牛耳っている」

 台湾の状況としては、日本の航空業界とそっくりで、時代遅れの規制の弊害を、体現しているような話だ。

 それでも台湾の航空自由化は、日本の10歩先くらいは行っている。しかし、台湾のように狭いところでは、高速鉄道の影響力は計り知れない。

 台湾の中堅航空4社が、4社とも独自に生き残れる道などもはや残っておらず、大手主導の航空再編が間もなく起こるだろう。いくら規制を緩めても、これは止められない。狭さゆえの悲劇、というべきか。

 当局や大手2社も含めて参考となるのは、香港のキャセイ・パシフィック航空(CX)やシンガポール航空(SQ)のように、国際線のみで十分な収益をあげる国際航空会社としてのビジネスモデルだ。

 通常、世界のメガキャリアは、季節変動が少なく安定した国内線の収益に頼って、不安定な国際線を展開している。全日空の国際線は、スタート以来18年間赤字だったが、こうした例は枚挙に暇がない。

 ところが、逆に先に挙げた2社(CXとSQ)が、国際航空会社として安定した経営を成立させているのは(CXは数年前まで深刻な赤字企業だった)、それぞれが香港、シンガポールというハブ空港をもち、数多い国際路線と旅客をそこに集約して、季節の需要変動や燃油価格変動のショックを軽減しているからだ。

 加えてシンガポール航空は、サービスの品質管理(TQM戦略)に成功し、利幅の薄いYクラス(一般に言うエコノミークラスのこと)を、上級クラスでカバーすることで、高く安定した収益を確保した。

 こうした努力はいうまでもなく、官民一体となって取り組まねば、実を結ばないものだが、台湾にも、そして、将来的には日本にも、非常に示唆に富む前例だ。

【レポート】時速300kmの空間でケータイは使えるか!? - 台湾新幹線で携帯電話を試す

2007/06/15 マイコミジャーナル 山根康宏

(1) 乗ってみました"台湾高鉄"

2007年2月1日、日本の新幹線技術を取り入れた「台湾高鉄」が開業した。3月1日には台北までが開通し、台湾の大動脈として台北 - 高雄(左営)間を最速1時間30分で結んでいる。新しい高速鉄道のため、既存の鉄道路線とは離れた山間部などにも路線が建築されている。最高速度は台湾の鉄道としては初となる時速300Km。さて、この新しい路線と高速下で携帯電話は利用できるのだろうか。"台湾新幹線"に実際に乗車して、車内で携帯電話の使用状況をテストしてみた。

台湾新幹線の座席は全席指定だ。切符はあらかじめ前売りで買えるほか、当日も空席があれば発車の5分前でも購入できる。価格は指定券と乗車券がセットとなっており、標準(エコノミー)と商務(ビジネス)の2種類。台北 - 左営間は前者が1,490台湾ドル(約5,600円)、後者が2,440台湾ドル(約9,000円)だ。なお窓口は常時混みあっているので、急ぎの場合は自動販売機も利用したい。表示画面は英語にもなるため操作は難しくないだろう。支払いは現金と台湾発行のクレジットカードに対応している。

自動改札を通り抜けた後は発車10分くらい前まで改札付近で待機することになり、発車時間が近づくとようやくホームに上がることができる。新幹線ホームは以前の台湾国鉄と平行してホームが設置されているため、地下とはいえホーム上での携帯電話の感度は良好で問題なく利用できた。なおホームは狭くて売店もなく、車内販売も飲料が中心のため、車内で食事を取りたい場合は、入場前に売店であらかじめ弁当などを買っておいたほうがよいだろう。

今回、行きはエコノミーを利用した。座席は2 + 3配列と日本の新幹線の普通車と同じ配列である。なお座席のクッションは若干固めに感じるが、最長でも2時間の乗車なので問題のないレベルだろう。

(2) トンネルを抜けるとまたトンネル…アンテナが立たないぞ!!

 定刻8:00、107号列車は台北駅を出発した。この列車は途中板橋、台中のみに停車する最速列車で左営までは1時間半だ。列車種別は全部で4系統あるが日本のように系統ごとの愛称名はない。ちなみに列車番号は100番台が最速列車、200番台が台中以南各駅停車、400番台が全駅停車、500番台が台中発着の各駅停車である。

 台北から次の板橋間は全線が地下で、わずか9分の距離だ。日本で言えば東京 - 品川といったところだろうか。車内での携帯電話の利用は禁止されていない。さっそく台北発車と同時に音声通話を開始したが、数分しないうちにいきなり回線が切れてしまった。あわてて携帯電話のアンテナマークを見るとゼロになっている。その後板橋駅に近づくと復活したが、どうやら地下のトンネル内には携帯電話のアンテナがまだ完全に敷設されていないようで、地下の区間では携帯電話の利用はできないと考えたほうがよさそうだ。

 板橋駅出発後、しばらくすると地上に出る。新幹線は次の台中に向けてぐんぐん加速を開始する。ここからは途中の桃園、新竹駅は通過となり、さっそく最高速度の300Kmを体感することができる。ゆれは若干あるが乗り心地が悪いということはない。しかしこの区間もトンネルが多く、トンネルに入ると携帯のアンテナマークがなくなることがほとんど。これはGSMでもW-CDMAでも同様の傾向であり、台北 - 台中間は車内で携帯電話を常時使うことはやや難しいようだ。

 8:50、台中着。ここで降りる乗客も多いが、平日の午前ということもあって乗り込んでくる客も多く、車内は台北発車時と同様、ほぼ100%の乗車率で台中を発車した。

 台中を出てしばらくするとまたトンネルがあり電波が切れてしまうが、次の嘉義駅手前あたりからは田園風景の広がるのどかな光景の中を走る。アンテナ感度もその後落ちることなく問題なく携帯電話を利用することができた。そして台中からわずか42分、定刻9:36に左営駅に到着。ここから中心部である高雄までは鉄道などに乗り換えて数駅だ。
(3) 課題は台北 - 台中間の回線状況改善か

さて帰りは奮発してビジネスを選択した。ビジネス車は12両編成中の6号車1両で、日本のグリーン車同様の2 + 2配列だ。座席のクッションもやわらかく前後感覚も広いためかなり快適である。また座席と座席の間には電源コンセントがあるため、車内でノートPCを利用して仕事するときなどに便利だろう。料金はエコノミーの約2倍弱となるため乗客の数は少なく、混雑時やゆったりしたいときなどはこちらを選ぶのもいいかもしれない。

 この左営→台北間では携帯電話の画面を凝視するのをやめ、待受画面のスクリーンショットを1分おきに自動保存してみた。こうすることにより走行中のアンテナ状況が自動的に保存できるわけだ。帰りの410号列車は各駅タイプで台北までは2時間、保存した待受画面を見てみると、行きの台北→左営間と同様の感度状況を確認することができた。

 台湾は携帯電話普及率が100%を超えており、誰もが日常的に携帯電話を利用している。台湾新幹線は今後国内の都市間移動手段としてさらに利用者が増えていくだろう。その車内で携帯電話が利用できない区間 - とくに人の移動の多い台北←→台中 - があるのは残念だ。まだ開業して間もないこともあるが、今後地下やトンネル内でも途切れず携帯電話が利用できるようにぜひ改善してほしいものだ。

高速化の台湾、新幹線に続き「振り子」も導入

2007/04/04 Iza

 台湾の鉄道当局は5月8日にダイヤ改正を行い、日本から導入した振り子式列車「タロコ(太魯閣)号」の運行を始める。今年1月に開業した台湾高速鉄道(台湾新幹線)に続き、台湾では日本が磨いた鉄道技術の粋を集め、交通インフラの近代化と高速化が進んでいる。

 在来特急などを運行する台湾鉄路(台鉄)は昨年12月、日立製作所笠戸工場(山口県)で製造されたタロコ号を導入。JR九州の「白いかもめ」が搭載する振り子技術を採用し、今年2月から樹林(台北県)〜花蓮間で試験運用が始まった。

 カーブが多い東部路線だが、振り子技術の投入で平均時速は約15キロアップし、所要時間の短縮を実現した。

 試験運転では振り子技術は未使用だが、正常稼働する5月のダイヤ改正以降は、台北〜花蓮間が2時間45分から1時間44分に、台北〜台東間は5時間が3時間39分に縮まるという。

 台鉄は2008年までに振り子式列車計48両を導入し、東部を中心に高速化による輸送力の強化を推進する。

 経営的にも西部を縦断して客足を奪う高速鉄道に対抗し、東部で利用客の拡大とともに関係業界との連携で新たな市場開拓をすすめ、収益確保を図る方針だ。

 振り子式列車はカーブで速度を落とさず、車体を傾けて走るが、その分、車内では揺れを激しく感じる特性がある。

 このため、台鉄は乗り物酔いをしやすい人は在来特急を利用するよう呼びかけるが、東部は70年代の日本製客車が現役で走る鉄道ファンにはたまらないエリアでもある。

 台北駅では3月中旬からタロコ号開通を記念する駅弁の限定販売も始まった。     (台北 長谷川周人)

【中国時報】台湾新幹線が不調 月々14億円の赤字

2007年03月19日 琉球新報

 交通部(国交省)の蔡堆部長(大臣)は12日、行政院の交通委員会で、高速鉄道の1月と2月の営業収入がそれぞれ6億元(約21億円)と低調で、月々4億元(約14億円)の赤字であることを明らかにした。

 赤字の原因としては、現在便数が1日19本と少なく、乗車率も当初の目標であった65%を下回る63%にとどまっていることを挙げた。

 蔡部長は今月中にも25便に増やし、年内には80便以上に増便。今月20日には電話での予約受付を開始して利用者の便宜を図り、来年内には在来線との共通切符を発売するなどして経営の改善を図るとしている。

 野党の議員は「高速鉄道は4千億元(14兆円)の借款があり、少なくとも年間130億元の営業収入が必要だが、現在の利用状況では100億元がせいぜい。利子の支払いにも足りない」と強く経営の不調を批判した。

台湾新幹線:客乗らず、赤字拡大「火の車」

2007/03/14(水) 17:06 Searchina

 2007年1月に開業した台湾新幹線で苦戦が続いている。利息の返済だけでも毎月10億台湾ドルが必要であるにも関わらず、1カ月の売上高は約6億台湾ドルにとどまっている。14日付で中国新聞社が伝えた。

 開業時には盛況だった駅構内も、最近は人影のまばらさが目に付く。当初の計画では1分間で自動改札を通過する乗客数が40人と見込んでいたが、現在は12人足らず。3月11日までの平均乗車率は63%で、目標よりも2ポイント低い。

 何とか乗客を集めようと同社では今後、電話やネットで予約を受けつけるサービスを開始する計画だ。写真は開業を前に乗車券を求めて並ぶ市民。(編集担当:菅原大輔)

台湾新幹線が全線開通 運転本数、計画の4分の1に

2007/03/03 FujiSankei Business i.

 【台北=長谷川周人】台湾の2大都市、台北−高雄間(345キロ)を結ぶ台湾高速鉄道(台湾新幹線)が2日、遅れていた台北−板橋(台北県)間(約5キロ)が正式開通し、全線で営業運転に入った。

 日本の新幹線技術が海外で初採用された高速鉄道は、南北の大動脈を最短90分で結び、台湾の交通地図を大きく塗り替える。年初に初試乗した陳水扁総統も「日本の新幹線輸出は成功した」と述べ、「日帰り圏」を実現した世界最大の民間鉄道プロジェクトの成果を強調した。

 安全性への危惧が指摘されたが、運転本数を当初計画の4分の1程度に抑えており、人の移動が急増した春節(旧正月)の大型連休も辛うじて乗り切り、いまのところ大きな混乱は起きていない。

台湾新幹線が全面開通 南北90分で結ぶ大動脈完成

2007/03/02 The Sankei Shimbun Web-Site


台湾新幹線、遅れていた全線開業は3月2日

2007/02/06 The Sankei Shimbun Web-Site


難産の台湾新幹線 きょう1カ月 開業効果じわり加速

2007/02/05 FujiSankei Business i.

発券窓口では切符は完売続きだが、なぜか空席が目立つ車内。開業当初からの発券トラブルは依然改善されていない。

 台北−高雄間(345キロ)を最短90分で結ぶ台湾高速鉄道(台湾新幹線)が5日、営業運転開始から1カ月を迎える。だが、重複発券など開業時からのトラブルが後を絶たず、台北駅への乗り入れも大幅に遅れそう。ただ、今月から沿線で進められる開発計画も本格始動する方向で、「産みの苦しみ」を味わう高速鉄道も今後は徐々に存在感を増しそうだ。(台北 長谷川周人)

 ≪春節の全通断念≫

 相次ぐ開業延期の末、先月5日の営業運転にこぎ着けた高速鉄道だが、欠陥が指摘される発券システムなどに起因するトラブルが続いている。先月は車内の配電盤から白煙が噴き出す事故が起きたほか、ドイツから導入したポイントの開閉感知装置で不具合が頻発するなど、建設当初から不安視された安全性の確保に課題を残したままだ。

 開業が遅れている板橋(台北県)−台北間(約5キロ)の区間についても、交通部(交通省)は今月1日に営業を認可したが、運営会社側は今月中旬に始まる旧正月(春節)の休暇期間中の運行は見送る方針だ。

 多発するトラブルの拡大を避ける措置とみられるが、9連休となる今年の春節休みは例年に増して人の大移動が予想され、乗り入れの先送りは関係者に広がる心理的な失望感に加え、収益面でも痛手となるのは避けられない。

 ≪沿線開発始まる≫

 ただ、大惨事につながるような大きな問題は起きておらず、今月上旬から沿線で進められる主要開発計画の入札説明会も始まる。交通部(交通省)によると、IT(情報技術)産業の集積地である新竹の駅前開発区の分譲は3月に行われる予定だ。

 また、同部が年明けに認可した開発計画によると、“首都空港”として機能する台湾桃園国際空港に近い桃園駅周辺では、国際見本市会場を核とする開発を推進。台中駅は中部科学園区と連携する大型ショッピングモールの建設が盛り込まれ、台南駅周辺では台南科学園区を補完する環境産業の誘致を目指すという。

 ≪空の便は再編へ≫

 一方、高速鉄道と競合する域内の各航空路線はこの1カ月で利用客が急減し、航空4社によると、1月の利用率は前年比で24〜31%減となった。人の移動が一服する春節以降は一段の減少が予想され、航空各社はさらなる減便や運航停止などの自衛措置をとる。

 台湾では高速鉄道の開業が引き金となり、域内の各航空路線の抜本的な見直しが始まっているが、日台関係者によると「空港機能の再編成が急務となるなか、台北の松山空港から羽田空港へのチャーター便の乗り入れを目指し、日本当局と折衝に入った」という。

 [台湾新幹線]「まずは安全運行の実績作りだ」

2007年01月21日 読売新聞社説 Yomiuri On-Line

 安全な運行システムを確立して欲しい、というのが日本や台湾の関係者の心境だろう。

 日本の新幹線技術を海外で初めて採用した台湾高速鉄道が、今月から開業した。

 車両は「700系のぞみ」がベースで最高時速は300キロ。これまで4時間以上かかった台北〜高雄約345キロを最短1時間半で結ぶ。沿線開発など、経済効果への期待は大きい。

 開業時期は、当初2005年10月だった。だが、工事の大幅な遅れから1年延期された。さらに、脱線事故などで再び延期となって、ようやく営業運転にこぎ着けた。

 今は正規運賃の半額で“慣らし運転”中だが、乗車券の二重発券、ドアの誤操作といったトラブルが続いている。わずかながら未開通区間も残る。直近の世論調査では、台湾市民の7割強が「運行に不安を覚える」と答えている。

 安全運行の実績を積み重ねて利用者の不安を払拭(ふっしょく)する。それが台湾新幹線の当面の最重要課題である。

 当初、高速鉄道事業を受注したのは独仏企業の欧州連合だった。99年9月の台湾大地震後、地震に強い新幹線システムが再評価され、三井物産や三菱重工業などの日本企業連合が逆転受注した。

 その結果、レールや無線、自動列車制御装置(ATC)などのシステムに日独仏3国の技術が混在して、日欧間の設計調整に手間取り、開業が大幅に遅れた。運転士の養成も遅れて運行本数が減り、収益計画にも狂いが出ている。

 日本側では、新幹線モデルの一括輸出を果たせず、「寄せ集め」「別物になった」との不満がくすぶる。

 だが、台湾での経験は、次の輸出商戦に貴重な財産となるのではないのか。

 新幹線は超高速列車を数分間隔で走らせているが、海外にそうしたニーズはない。車両、軌道など部分ごとの輸出にならざるを得ない。

 中国やロシア、ベトナムなどが新たな輸出先の候補とされる。とくに壮大な高速鉄道網計画の進む中国では、日欧勢がすでに車両受注などを競っている。

 その中国は、海外の先進技術を移転させ、自主開発につなげる戦略だ。日本企業連合は在来線高速化向けに、車両を受注した。だが、完成車両として輸出したのはごく一部で大半は部品や技術提供による現地生産となった。

 ほかの国も現地化に熱心で混在型になる可能性が高い。それだけに、安全への責任は輸出先に負ってもらわねばならない。万一、事故が起きても、日本の責任を追及される事態は避けるべきだ。

トラブル続出 そろりスタート 台湾新幹線

2007/01/05 The Sankei Shimbun Web-Site

 【台北=長谷川周人】台北、高雄の南北二大都市を90分で結ぶ台湾高速鉄道(台湾新幹線)は、台湾の地域経済に大きな経済効果をもたらすと期待されるが、その一方で開業は遅れに遅れ、2日から始まった乗車券の予約販売でもトラブルが続出するなど、不安を抱えてのスタートとなった。

 高速鉄道は当初、一昨年10月の開業を予定したが、運営会社の台湾高速鉄路は、工事の遅れなどから1年間の延期を決定。にもかかわらず、審査手続きなどに手間取って12月にずれ込み、同月上旬に設定した開通式も直前になって中止を余儀なくされた。

 相次ぐ計画変更の背景には、混在する日欧の技術調整などがあるが、同時に台湾側の計画性の欠如を指摘する声もある。

 事実上、「ぶっつけ本番」となった乗車券の予約販売では、券売システムが軒並みダウン。券売機に紙幣を入れると、いきなりコインが吐き出し続けるなどのハプニングも起き、地元紙は「スロットマシン」と皮肉った。こうした混乱の中での乗車券入手に「10時間待ち」という人もおり、「これではバスの方がよっぽど速い」との苦情も聞かれる。

 事業者側は正規営業を5日間延期し、この間に改善策を講じるとしているが、開業初日の5日も、予約乗車券の過剰販売であふれた乗客に対応するために臨時便を増発するなど、波乱含みの幕開けとなっている。

台湾で新幹線が開業 台湾の南北を最短90分で結ぶ

2007/01/05 The Sankei Shimbun Web Site

 【板橋(台北県)=長谷川周人】台湾の南北を最短90分で結び、西部全域を「1日生活圏」とする台湾高速鉄道(台湾高速)が5日、営業運転を開始した。当面の起点となる板橋駅(台北県)では午前7時(日本時間同8時)、関係者が見守る中、1番列車が南端の左営駅(高雄市)に向けて滑るように発車した。

 日本人として“乗客第1号”となった愛知県知立市から来た中学校教員、竹口史恭さん(43)はこの日、高雄への日帰り旅行を楽しむため、家族3人と高速鉄道に乗り込んだ。詰めかけた日台の報道陣に感想を聞かれると、「偶然にも一番列車に乗れた」と嬉しそう。一番列車の運転を担当したフランス人運転士も、台湾に貢献ができたと胸を張った。

 台北−高雄間(345キロ)の大動脈を結ぶ高速鉄道は、日本の新幹線技術が海外で初めて採用され、三井物産など7社の日本企業連合が基幹部分を請け負った。車両は東海道・山陽新幹線の「700系」のぞみをベースにした12両編成(定員989人)で、最高時速300キロが生み出す距離感覚は域内移動の常識を一変し、地域にもたらす経済効果が期待される。

 日欧の技術が混在する高速鉄道の安全性を危ぶむ声もあるが、陳水扁総統は元旦の初試乗で事実上の開業を宣言。この中で「日本初の新幹線輸出は成功です」と述べ、安全性を強調するとともに、プロジェクトを日台経済の絆と位置付け、今後の関係強化に期待感を示していた。

台湾新幹線、年初開通か 交通部、年内に営業許可

2006年12月24日 中国新聞ニュース

 【台北24日共同】台湾の交通部(交通省)は24日、日本が新幹線システムを初めて海外に輸出した巨大プロジェクト、台湾高速鉄道(新幹線)の事業主体に対し、1週間以内に営業許可を出すと発表した。関係筋によると、同鉄道は試験営業を経て来年1月初めに開通の見通し。

 開通式典は今月7日に行われる予定だったが、訓練運転中に小さな事故が続発するなどしたため開通日時は決まってなかった。

 交通部は安全確保のため式典を延期した上、11月28日、同24日の事故から「1カ月間、無事故で試験運転を行う」ことを営業許可の条件としていた。

 関係筋によると、日本の政治家や財界人を招いた開通式典は営業運転が軌道に乗るとみられる2月以降に行う予定という。

台湾新幹線、開業遅れる 脱輪トラブル、運転士養成不足…

2006/12/02 The Sankei Shimbun Web Site

 【台北=長谷川周人】日本の新幹線技術を海外で初採用し、台北−高雄間を最短90分で結ぶ台湾高速鉄道(台湾新幹線)が11月30日、内外の報道機関に公開された。開業後は台湾西部が「日帰り圏」となり、経済効果が期待されるが、開業は遅れに遅れている。12月7日の開通式も相次ぐ事故の影響で延期された。

 試験走行は、台北側で当面の発着駅となる板橋駅(台北県)から左営駅(高雄市)の間で行われた。「のぞみ700系」がベースの試乗車両(12両編成=定員989人)はこの日、最高時速300キロに迫ったが、日本の東海道・山陽新幹線と同様、滑らかで安定した乗り心地だった。

 桃園駅の運行管理センターも公開されたが、事業主体となる台湾高速鉄路(高鉄)の担当者は、今年8月からの試験走行は100万キロを突破したことを強調した。

 しかし、高速鉄道は昨年10月の開業延期に続き、工事の遅れなどから今年10月末の開業も断念。台北駅への乗り入れを先送りして12月から板橋から左営までの部分開業を目指したが、相次ぐ脱輪トラブルの影響で営業認可が12月下旬にずれ込み、開通式も延期された。

 これについて試乗に同行した高鉄の欧晋徳執行人(CEO)は、「来賓を失望させたが、まず安全第一で訓練を積み、信頼を得たい」と話し、開業遅延の一因である運転士の養成遅れに関しては、「1年以内に台湾人だけで対応できるようにする」と述べた。試験運転は現在、台日独仏などの混成部隊で行われ、試乗列車も運転はフランス人とカナダ人が担当、管制官はフランス人が務めた。

 板橋からの部分開業は最短でも12月下旬になる見込みだが、今回の開通式は今月9日の台北・高雄市長選の2日前に設定され、「開業が政治利用された」との批判を招いた。高鉄側も「式典と開業を別々に行えば政治的な意味があると誤解される」としており、式典開催は全線開通が見込まれる来年1月以降となりそうだ。

台湾新幹線、開通式を延期

2006/11/30 The Sankei Shimbun Web Site

 【台北=長谷川周人】台北と高雄を結ぶ台湾高速鉄道(台湾新幹線)の事業本体である台湾高速鉄路は29日夜、12月7日に予定していた開通式を延期すると発表した。

 交通部(交通省)は高鉄による脱輪など度重なる事故を受けて28日、営業許可の発布を少なくとも1カ月凍結すると決めた。

 式典延期はこれを受けた措置で、新たな開催日時は今後、正式な開業日が決定した段階で再調整するという。式典に向けて台湾側は、小泉純一郎前首相ら日本の政財界人にも招待状を発送している。

台湾新幹線12月7日開通式 小泉前首相らに招待状

2006/10/26 中国新聞ニュース

 【台北26日共同】日本の対台湾交流機関、交流協会台北事務所の池田維代表は26日、日本の新幹線システムが初めて海外に輸出されたプロジェクト、台湾高速鉄道(新幹線)の開通式典が12月7日に同鉄道台中駅で行われることを明らかにした。

 同鉄道の営業主体、台湾高速鉄道公司から池田代表に連絡があった。同公司は小泉純一郎前首相ら日本の政治家や鉄道関係者らに式典招待状の発送を始めたという。

 同鉄道は最高時速300キロで台北−高雄間(約345キロ)を約1時間半で結ぶ。関係者によると、台北−板橋(台北県)間の約7キロを除く板橋−高雄間で11月下旬から試運転を開始。開通式典後の12月中旬、正式な営業運転に入る予定だ。

初輸出新幹線、軌道乗るか 台湾で試験走行3カ月遅れ

2005年02月11日asahi.com

 日本が世界に誇る新幹線技術の「初輸出」となった台湾高速鉄道(台湾新幹線)の試験走行が、予定より3カ月遅れて27日、台湾南部で始まった。当初、欧州連合が受注し、途中で日本のシステムが逆転する形で採用された「日欧混在システム」。意思疎通の難しさもあって「10月開業」を目指す工事は遅れ、安全性の面で懸念の声も出ているが、中国大陸やアジアへの新幹線輸出に向けた「試金石」として日本側の期待は大きい。(台北=永持裕紀、後藤絵里)

 白とオレンジのツートンカラーの目立つ車体が、時速30キロで台南駅に滑り込んできた。事業の中心役、台湾高鉄の殷キ(インチー)会長が、駅内に集まった台湾や日本の要人を前に「10月に開業する目標は変わらない」。予定通りの開業は難しいという見方をうち消した。

 とはいえ、試験区間への通電は2日前。この日の試験にようやく間に合った。車両、信号など日本の企業連合が請け負う中心システムの進捗(しんちょく)率はまだ全体の4割を下回る。

 「5回も6回も設計図面を出しても(台湾高鉄の)OKが出ない」。日本の技術陣は嘆く。車両や信号、通信設備などの承認基準は、欧州の高速鉄道に沿ったもの。チェックするのは、台湾高鉄に雇われた仏国鉄経験者など欧州人が中心だ。

 運行や通信方法なども、欧州人スタッフの意向が取り入れられた(「台湾新幹線の欧州の影響」参照)。設計は難航。建設は大幅に遅れた。

 「欧州の影響」が残ったのは、台湾に高速鉄道構想が現れた90年代前半にフランスが先行、ドイツと組んでの欧州連合で請け負うことが97年に決まった経緯からだ。99年秋、死者2千人を超えた大地震で「地震にも強い日本の新幹線」への世論の関心が高まり、欧州よりコストも安い日本勢が逆転受注した。

 欧州勢は多額の損害賠償を求めた。当時、世界貿易機関(WTO)加盟を控えていた台湾は欧州の支持も必要とした。こうした諸要素が生んだ「日欧混在システム」(台湾メディア)の上に台湾新幹線は建設されている。

 試験走行開始で、その安全性を検討すべきだという声は高まりそうだ。

 殷会長は27日、「混在」について「日欧の良い所を採ったベストミックス」とかわした。だがゼネコン経営者2世の殷会長ら台湾高鉄に鉄道事業経験者は少ない。

 「東海道新幹線も64年の開業後1年間はゆっくり走るならし運転をした。鉄道には『なじみ』や調整が必要だ」。「新幹線生みの親」とされる故・島秀雄氏の次男で自らも新幹線設計に携わった島隆氏(台湾高鉄顧問)は、日欧混在という難しい条件で進む建設工事の「拙速」を戒めている。

 ○アジア進出の「試金石」

 新幹線技術を将来、中国大陸やアジアなどに輸出したい国土交通省にとって、台湾新幹線は「今後市場に出ていけるかどうかの試金石」(洞駿<ほらはやお>・国土交通審議官)だ。システム混在などの難しさも、海外展開を視野に今後予想される文化や風土の違いを考えれば、「日本のシステムを100%採用するのはまれ。海外の輸出事業にはつきもののことだ」(森下保寿・技術審議官)と冷静に受け止めている。

 日本側には、昨年、全土に高速鉄道網を敷く中長期計画を策定した中国への関心が高い。中国には鉄道建設の実績があり、独自技術へのこだわりも強い。独力で補えない部分を外国から導入する姿勢で、台湾以上に「技術の寄せ集め」となる可能性もある。このため、台湾で課題を乗り越えて安全な新幹線づくりを目指すことが国交省の「命題」だ。

 ただ工期の遅れについては今月初め、台湾交通部の幹部と協議した鉄道局の大野正人・車両工業企画室長も台湾側から尋ねられ、「各社とも社運を賭けているから心配ない。むしろ開業までの準備が大切」と逆にソフト面の準備の念を押した。運転手の養成や職員訓練などの準備状況は外から見えないためだ。

 すでに、台湾側の求めに応じ、鉄道事業法などの法令類や、昨春の九州新幹線(新八代−鹿児島中央)開業時に行った準備作業を説明した資料などを提供している。

 ■台湾高速鉄道建設の経緯

 1992年 6月 台湾当局が建設計画策定

   97年 9月 欧州連合の建設受注が事実上決まる

   99年 9月 台湾大地震

      12月 車両・信号など中心システムに日本の新幹線方式を採用

 2000年 3月 土木工事開始

   01年 1月 契約変更の補償(8億ドル)を求め、欧州連合が国際商業会議所に仲裁を申請

 ■台湾新幹線の欧州の影響

 ○運行方式

 <台湾> 一本の軌道で双方向の運転可能(フランスと同じ)

 <日本> 一方向のみ

 ○通信システム

 <台湾> 無線方式(欧州鉄道網と同じ)

 <日本> 線路の横の同軸ケーブルを使った有線方式

 ○軌道

 <台湾> 駅前後のポイントは鋼鉄(ドイツ製のため)

 <日本> ポイントはマンガン合金

 ○運転台

 <台湾> 前面の表示灯は15個(欧州鉄道の運転方式採用の結果)

 <日本> 8個

 ◇キーワード

 <台湾新幹線> 台北と高雄間の約350キロを最短90分で結ぶ(在来線は約4時間半)。車両を川崎重工業が、信号・通信などを三菱重工業が、変電・運行管理システムなどを東芝がそれぞれ担当。3社に三井物産、三菱商事、丸紅、住友商事を合わせた7社の日本連合(台湾新幹線株式会社)が中心システムを請け負う。鉄道全体の建設・運営主体は台湾のゼネコン、金融集団、航空会社などが出資した台湾高速鉄道(台湾高鉄)。 (朝日新聞東京本社発行 1月28日付朝刊)

台湾版新幹線 きょう試運転

2005年01月27日 Yomiuri On-LIne

日欧合作 相性は?  

 台湾を南北に縦断する台湾版新幹線「台湾高速鉄道」が二十七日、試運転を始める。日本の新幹線システムが初めて輸出される大型プロジェクトで、外交関係がない日台経済協力のシンボルとして期待が高いが、欧州と日本のシステムが混在する「台湾式」がうまく機能するかどうかも課題だ。

 台湾版新幹線は、十二両編成の車両が最高時速三百キロで、台北―高雄間(約三百四十五キロ・メートル)を一時間半で結ぶ。東海道・山陽新幹線を走る「700」系「のぞみ」をベースにした新型車両が走行する予定。事業主体の「台湾高速鉄路(台湾高鉄)」は今年十月末の開通を目指す。

 受注は曲折を経た。台湾高鉄は一九九七年、独仏企業連合の欧州システムを採用する契約を締結。三菱重工など日本企業連合が九九年に中核システムを逆転受注した。

 このため、各国のシステムが複雑に混在する。車両や信号、変電設備、レールは日本式だが、ポイントと駅構内はドイツ式、通信はフランス式無線を採用する。自動列車制御装置(ATC)は、一つの線路で往復が可能な欧州式に合わせ改造する台湾式となる。

 課題は安全性の確保だ。関係者は「日本側は『継ぎはぎ』と批判し、トラブルが発生したら、国際的に『新幹線ブランド』が傷つくことを恐れ、日本式採用を求めている」と証言する。これに対し、江金山・台湾高鉄副社長(45)は本紙に対し、「日本とは湿度や温度が違う。日本システムを修正する必要がある」と指摘した。

 台湾版新幹線の運転士は、鉄道運転の経験がない新人が多く、その分、運転室の計器数は日本より多い。「運転士の負担が増える」と見る日本に対し、台湾は「より多くの情報を把握できる」と反論する。

 試運転は高雄と台南の一部区間(約六十キロ・メートル)で低速で行われ、システムの安全性が検証される。

「台湾新幹線」が試験走行を開始・日本製車両公開

2005/01/24 NIKKEI NET

 【台南(台湾南部)=山田周平】台湾の台北―高雄間(全長345キロ)を結ぶ新幹線計画の事業会社、台湾高速鉄路は27日午前、台南駅で車両の試験走行式を開いた。白を基本色にオレンジと黒の線をあしらった車両は日本製。日本の新幹線が初めて海外で走行する姿が公開された。

 車両は「700T型」と呼ばれ、川崎重工業などの日本メーカーが東海道・山陽新幹線の「のぞみ」に使われる700系車両をベースに開発した。台南駅のプラットホームに時速30キロほどのスピードで入り、式典に臨んだ。

 式典には高速鉄路の殷董事長のほか、葉菊蘭行政院副院長(副首相)ら約500人が参加した。殷董事長は「試験走行は日本の新幹線にとっても歴史的な一歩だ」とあいさつした。

 台湾新幹線は三井物産、三菱重工業、川重などの日本企業連合が車両や信号システムを総額5000億円以上で受注しており、今年10月末の開業に向け試験走行を繰り返す。試験は昨年9月に始まる予定だったが、送電系統の整備の遅れのため1月末までずれ込んだ。

台湾:新幹線の試運転がスタート

2005年01月27日 毎日新聞 東京夕刊

 【台南(台湾南部)飯田和郎】日本の新幹線システムが海外で初めて採用された台湾高速鉄道(台湾新幹線)の試験走行が27日、台南−高雄間で始まった。電気系統など整備の遅れから、試運転開始が当初計画から約3カ月延期されたが、事業主体の台湾高速鉄道会社は予定どおり10月末に開業できるとしている。

 台南駅ホームでは27日午前、記念式典が開かれ、台湾高速鉄道の殷〓会長ほか、日本側から車両、信号、軌道などの事業体でつくる企業連合、台湾新幹線会社(TSC)の佐藤和夫会長らも出席。東海道・山陽新幹線「のぞみ」型車両を改良した700T型(12両編成)の発車式が行われた。当面は時速30キロ程度でテストし、次第に速度を上げる。台湾新幹線は台北−高雄間345キロを最高時速300キロ、最速1時間半で結ぶ。総事業費は日本円で約1兆6000億円。

台湾新幹線、開業遅れ示唆

2004年11月1日(月) Kyoto Shimbun News
給電されず

 【台北1日共同】来年10月に開業予定の台湾高速鉄道(台湾新幹線)について台湾高速鉄道公司(台北)のカナダ人ジョン・ポポフ副社長は1日までに共同通信の取材に応じ「現在も電力が供給されていない。開業は(来秋ではなく)来年末を目指している」と遅れる見通しを示した。

 さらに「(今年10月末に予定されていた)試験走行も12月末か、年明けの1月に行う予定だ」と語った。

 電力会社から台湾南部・燕巣の新幹線車両検査所の変電所への電力の供給が、手続き上の遅れから予定通り行われないため。日本から台湾へ運ばれた4編成の新幹線車両は今も自力で走行できず、車庫に置かれている。(共同通信)

台湾新幹線開業遅れか 4カ月ずれ込みと台湾紙

2004/07/31 The Sankei Shimbun
 31日付の台湾紙、聯合報は、台湾の台北−高雄間(345キロ)を約1時間半で結ぶ台湾高速鉄道(新幹線)の開業時期が当初予定の2005年10月から4カ月後の06年2月にずれ込む見通しになった、と報じた。

 電気・機械系統の工事の遅れが原因で、三井物産、川崎重工業など日本連合7社が設立した台湾新幹線株式会社関係者がこのほど、工事請負業者に説明したという。

 事業主体の台湾高速鉄道当局者は30日、同紙に「開業延期の情報は聞いていない。今のところ、すべての作業は来年10月の開業を目標に行われている」と述べた。

 聯合報が業者の話として報じたところによると、今年9月に高雄−台南間で行われる予定だった試運転も10月に延期される見通しという。

 同紙によると、高速鉄道の工事全体の進ちょく率は5月末現在、約60%に達しているが、電気・機械系統の工事については規格をめぐるトラブルで予定の3分の1程度しか進んでいない。

 総工費も当初見積もりに比べ、少なくとも約600億台湾元(約1980億円)増えたとされる。

 高速鉄道の車両は5月に台湾に搬入された。(共同)

台湾新幹線車両が高雄到着 9月から試運転

2004年5月25日(共同通信)

 台湾で2005年10月に開業予定の台湾高速鉄道(新幹線)向けに、川崎重工業などが製造した車両を貨物船から降ろす作業が25日、  台湾南部の高雄港で始まった。

 日本の新幹線型車両が海外に輸出されたのは初めて。新幹線は台北−高雄間(345キロ)を最高時速300キロ、約1時間半で結ぶ計画で、9月に高雄−台南間で試運転が行われる見通し。

 貨物船は19日に神戸港を出港、24日に高雄港に到着した。1編成12両の車両は、白の側面に黒とオレンジの線が入った流線形で定員は989人。 輸出された車両は東海道・山陽新幹線「のぞみ」の「700系」をベースに川崎重工業と日立製作所、日本車両製造が製造。3社は台湾向けに 計30編成、360両を手掛けるという。

台湾新幹線車両を輸出…神戸港で船積み開始

2004年5月18日(共同通信)

 台湾で2005年10月に開通する予定の台湾高速鉄道(新幹線)に使うため、川崎重工業などが 製造した車両を、台湾行きの貨物船に積み込む作業が18日、神戸市中央区の神戸港で始まる。

 日本の新幹線型車両が海外に輸出されるのは初めて。車両を積んだ貨物船は19日夜に神戸港を出港し、 24日に台湾・高雄港に到着する。

 輸出される車両は東海道・山陽新幹線の「のぞみ」で使われている「700系」をベースに川崎重工業と 日立製作所、日本車両製造が昨年8月から製造した。3社は台湾向けに計360両を製造するという。

日通 台湾新幹線の軌道敷設工事に着工

(2004/03/19)

 当社は、「台湾新幹線」の軌道敷設工事(第2工区)をTST J/V殿(Taiwan Shinkansen Trackwork Joint Venture=三菱重工業殿、東芝殿、川崎重工業殿、他日本企業7社連合)から受注しております。これに伴い、昨年11月には、台湾において当社の「工事事務所」を登記・開設して、現地の法制にもとづく手続きや工事開始の準備をすすめておりました。このたび、3月8日に同工事の「着工式」が開催され、台湾新幹線軌道敷設工事における当社の本格作業が開始いたしました。

 「台湾新幹線」は、台北−高雄間の全長345kmを結ぶ台湾初の高速鉄道で、当社はすでに、2001年から関東重機建設支店を中心として、東京国際輸送支店・横浜国際輸送支店等の国内各支店と台湾における現地法人・台湾日通国際物流との共同作業により、日本から台湾への建設資機材の国際一貫輸送などを実施しております。また、現地における建設工事は台北を起点とした第1工区から第5工区まで5区間に分けられ、当社が軌道敷設工事を行う第2工区は、全長約93kmとなります。工期は約1年間の予定で、当社グループとして、日本からの派遣者は通常約20人、台湾日通等を含めると総勢約50人の体制で作業を行ってまいります。

 3月8日の「着工式」には、当社から山崎勝英副社長が出席し、関係者によるテープカットのほか、工事の安全と予定工期での完成を祈って、工事車両に清酒をかける日本式のお清めも行われました。

 当社は、日本における新幹線工事とその関連輸送の実績と経験を活かし、台湾新幹線の開通に向けて、高度な技術をもって建設・輸送業務を推進してまいります。

横浜ゴム:台湾新幹線床材にアルミハニカム納入

2004/02/18(水)中国情報局

 横浜ゴム株式会社(本社:東京都港区、社長:冨永靖雄、以下横浜ゴム)は17日、同社製品のアルミハニカムが、日本の新幹線技術を導入した台湾高速鉄道の車両用床材に採用されたと発表した。

 アルミハニカムは、蜂の巣状のアルミ箔材を2枚のアルミ板ではさんだサンドイッチ構造のパネルである。航空機や新幹線、リニアモーターカーなどの構造材に使用され、軽量で剛性が高いのが特徴。

  今回、横浜ゴムは台湾高速鉄道の車両168両分を受注し、2004年2月から納入を開始する予定である。(編集担当:佐藤妙子)

台湾新幹線向け光ケーブルを三菱重工から受注

2003年12月02日 古河電工

 古河電工はこのほど、台湾新幹線向け光ケーブル約1,000km分を、三菱重工業株式会社よりほぼ全量受注しました。当社は世界シェア第2位の光ファイバを中心に、光関連事業の競争力強化に世界規模で取組んでいますが、今回は幹線用の36心ファイバの光ケーブルを、米国子会社のOFSキャロルトン工場(ジョージア州)から供給することで、技術面、コスト面で高い評価を得ました。

 通信システム、信号システムなどに使用される約1,000kmの光ケーブルは既に作り込みが開始されており、2005年10月の開業に向け、2003年9月から約1年をかけて納入する予定です。

 台湾新幹線は、台北−高雄間(全長345km)を約90分(最高運行速度300km/h)で結ぶもので、日本の新幹線システムが全面的に採用されています。


台湾新幹線、日本連合がシステム受注 東京で調印式

2000.12.12 asahi.com

 日本の新幹線にとって初の海外進出になる台湾新幹線(台北―高雄、345キロ)向けの車両や信号、無線など運行システム供給契約の調印式が12日、東京で開かれた。三井物産や三菱重工業など7社でつくる「日本連合」と新幹線を建設・運営する台湾高鉄の代表者らが出席した。契約によると、供給する運行システムの総額は約3320億円。日本側が来春以降、台湾高鉄に1割程度出資することも決めた。

 台湾新幹線には最新型の700系のぞみを導入し、台北―高雄間を1時間半で結ぶ。総事業費は約1兆5000億円で、2005年の完成を目指し、すでに一部の工事が始まっている。日本連合には、2社のほかに、東芝、川崎重工業、三菱商事、丸紅、住友商事が参加している。台湾新幹線の運行システムをめぐっては、独仏連合との激しい競り合いの末、昨年12月に日本連合の受注が内定した。

日本の新幹線が台湾へ 覚書調印

2000.06.13 asahi.com

 日本の新幹線が初めて海外進出する台湾新幹線の覚書調印式が13日、台北市内で行われた。700系の車両システムを提供する日本側の「台湾新幹線企業連合」から三井物産の佐藤和夫副社長らが出席した。事業主体である台湾高速鉄道公司の殷キ理事長は、「正式契約は7月末、遅くても8月初めに締結する」という。

 覚書の内容は公表されていないが、佐藤副社長によると、車両システムの総額は約950億台湾ドル(約3300億円)。日本側は特定目的会社を設立し、同公司に出資する。台湾側は同公司の最終的な資本金の10%に相当する「135億台湾ドル(約470億円)」と説明する。

 また、車両システム総額の85%相当部分に対する国際協力銀行による公的融資について、佐藤副社長は「全額、円建てを提案しているが、まだ協議中」と語る。これに対し、殷理事長は「米ドル、円、台湾ドルの混合になる。その比率はまだ公表できない」とした。

 台湾新幹線は2005年10月の完成を目指す。すでに一部の土木工事が着工した。最高時速300キロで台北―高雄を90分で結ぶ。

台湾新幹線、陳次期総統が日本政府の支援求める

May 01, 2000

 台湾の陳水扁・次期総統は1日、台北市内で村上正邦・自民党参院議員会長らと会談し、日本の企業連合が受注を内定した台湾新幹線について「日本と台湾の協力はこれからだが、日本政府はまだ積極的な態度ではない。国会や民間だけの力では足りず、日本政府の支援が必要だ」と述べた。日本の政府系金融機関である国際協力銀行による低利融資の条件などをめぐり、日本政府の後押しを求めた発言とみられる。

 陳氏は、20日の総統就任式に日本の与党代表も出席するよう要請した。

新幹線で欧州側が抗告

2000年02月12日【台北・共同】

 12日付の台湾夕刊紙「中時晩報」によると、「台湾新幹線」の車両システム受注で日本側と争う欧州高速鉄道連盟は11日、事業主体の台湾高速鉄道公司と日本企業連合との交渉などの停止を求めた仮処分申請が却下されたことを不服として、台湾高等法院に抗告した。

 台北地裁は1日、欧州側の申請を却下し、11日が抗告の提出期限だった。

欧州側の仮処分申請却下

2000年02月01日【台北・共同】

 台北地方裁判所は1日、欧州高速鉄道連盟(ユーロトレイン)が、台湾新幹線の事業主体、台湾高速鉄道公司(台湾高鉄)に対し、日本企業連合に車両受注の優先交渉権を与えたのは合意違反として、交渉停止などを求めた仮処分申請を却下する決定を出した。

台湾企業が初の大型訪日団

2000年01月21日【台北共同】

 日本財界との交流強化を目指して台湾の大企業が設立した「三三会」の大型代表団が25日に初めて日本を訪問、大企業幹部との交流を深める。一行は29日までの日程で、「台湾新幹線企業連合」の中核となっている三井物産、三菱商事などのトップと会談するほか、日本商工会議所などを訪問し、将来の日台経済交流の在り方などについて意見を交換する。

3日以内に仮処分決定へ

2000年01月13日【台北・共同】

 台北地方裁判所は13日、ドイツ企業などで構成する欧州高速鉄道連盟(ユーロトレイン)が、台湾新幹線の事業主体苻p高速鉄道公司(台湾高鉄)を相手に、日本企業連合に優先交渉権を与えたことは合意違反として{連合との正式契約の停止を求める仮処分を申請したことを確認、3日以内に出す方針を明らかにした。

台湾新幹線、独仏が日本との協議中止求めて仮処分を申請

January 13, 2000

 13日付の台湾紙、聯合報などによると、台湾新幹線の受注に敗れた独仏連合のユーロトレインは12日、台北地方裁判所に対し、事業主体の台湾高速鉄道公司と日本の企業連合との間で進んでいる契約に向けた最終協議の中止を求める仮処分申請を提出した。同公司は、「裁判所の判断に従う」としており、契約への影響も懸念される事態になつてきそうだ。

 昨年12月28日、同公司は日本連合に「優先協議権を与える」と発表、新幹線初の海外輸出を目指した日本が事実上、受注を内定した。今月末の最終契約を目指し、10日から詰めの協議が始まっていた。

 報道によると、ユーロトレイン側は、1997年の同公司との契約書で「同公司は合理的な価格で、ユーロトレインが提供する車両システムを購入する」となつていたとされる。このため、日本新幹線システムの採用は「契約違反」と訴えている。

 同公司は、「これから申請内容を検討するが、日本側との協議が影響を受けるかどうかは、すべて裁判所の判断に従う」としている。

新幹線問題で中国政府、台湾の「政治利用」をけん制

December 30, 1999

 台湾の高速鉄道計画に日本の新幹線システムの導入が内定した問題で、中国外務省の章啓月・副報道局長は30日の定例会見で、改めて見解を発表し、同プロジェクトが「民間」の枠組みで実施されるよう求め、台湾がこの問題を「政治利用」することに対してクギを刺した。

 同プロジェクトでは日本側が国際協力銀行を通じた政府資金の低利融資を検討しているとも伝えられる。章副局長は「日本は中日共同声明、中日平和友好条約の原則に厳格に照らして問題を処理し、台湾当局に政治利用させないよう希望する」と述べ、日中間で約束した日台関係の原則の厳守を求めた。

新幹線で欧州側が訴訟検討

1999.12.29【台北29日=共同】

 中央通信社によると、台湾高速鉄道(新幹線)の車両システム入札で日本勢と受注を争った欧州高鉄連盟(ユーロトレイン)のフランス・アルストム社スポークスマンは二十八日、台湾高速鉄道公司が日本側に優先交渉権を与えたことについて「法律専門家と相談し、あらゆる必要な措置を検討している」と述べ、台湾高鉄側を訴える可能性を示唆した。

 二年前、事業主体の入札で日本側と争った際、台湾高鉄側は欧州勢に優先交渉権を与えたとされ、今回の決定が違約に当たるかどうかの検討をしているとみられる。

高速鉄路敷設の土地整備契約の一部を日本、韓国、台湾勢に発注へ=台湾高速鉄路

1999年12月28日[台北 28日 ロイター]

 台湾高速鉄路は28日、高速鉄道敷設の土地整備に関する12契約のうち、最初の3契約について、日本、韓国、台湾勢に発注することにした、と発表した。  発表によると、これらの12契約は、総額1600億台湾ドル(約51億米ドル)に上る。

 発表によると、第1と第2の契約は、日本の大林組と台湾のFu Tsu Constructionに、第3の契約は、韓国のSamsung EngineeringとHanjungおよび台湾のInternational Engineering & Constructionに発注される。3契約とも1月に調印される。  高速鉄道プロジェクト全体の予算は4460億台湾ドル。

台湾高速鉄道の優先交渉権、日本が獲得

December 28, 1999

 北―高雄間を結ぶ台湾初の高速鉄道(台湾新幹線)を建設する民間事業体の台湾高速鉄道公司は28日、三菱商事、三井物産、三菱重工、東芝などからなる日本の「台湾新幹線企業連合」に車両システム採用の優先交渉権を与えたと発表した。細部の詰めを行い1月末に正式契約の運びで、事実上の内定といえる。いったんは独仏連合のユーロトレインで決まっていたのをくつがえし、新幹線技術の初の海外輸出が実現することになった。

 同公司の劉国治・総経理(社長)は、日本に決めた理由について、「日本の方が価格と融資面の条件が有利だった。土木工事の進展に合わせる弾力性もあった」と説明。2400人を超す死者を出した9月21日の台湾大地震も影響し、「同じ地震多発国の早期地震警報システムは台湾でも有用。総合判断の中に入った」という。

 台湾新幹線は台北―高雄間の約340キロを1時間半で結ぶ。総事業費は約5500億台湾ドル(約1兆8150億円)で民間鉄道事業としては世界最大規模となる。日本が請け負う車両、信号・通信系統、人員訓練、維持補修サービスなどの受注総額は「正式契約まで確定しない」(劉総経理)が、950億台湾ドル(約3135億円)とされる「予定価格とそう違いない」という。2005年10月の開業予定。同日、土木工事の区間入札の結果も発表となり、台湾企業と組んだ日本の大林組などの落札が確実になった。

 ユーロトレインは、仏アルストム社と独シーメンス社の混合システムを提案していた。

 日本政府は国際協力銀行による低利融資に積極姿勢を見せた模様で、外交関係のない台湾に対する初めての大型政府融資になる。このため、同じく日本勢と欧州勢で競り合っている北京―上海間の高速鉄道計画で、「ひとつの中国」を主張する中国政府の出方に関心がもたれる。

台湾新幹線、日本逆転受注の背景に李登輝総統の意向も

December 28, 1999

 日本の新幹線システムが台湾初の高速鉄道として導入されることが28日、事実上決まったが、1度は独仏連合のユーロトレインにほぼ決まった商業的判断を翻しての逆転受注だった。

 事業主体である台湾高速鉄道公司は同日、「純粋に商業的な判断で、部外から特別な指示はなかった」と強調したが、李登輝総統はかねて、「政治的な観点からもアメリカや日本が台湾に投資することはきわめて意義がある」と、台湾の安全保障などを考慮して日本との関係強化を目指す姿勢を強調してきた。こうした政治的環境が、新幹線システムの導入に追い風になった面は否定できない。

 台湾新幹線は同公司が請け負い、建設、運営する民間事業。1997年に締め切った入札では、仏アルストム社と独シーメンス社からなるユーロトレインと組んだ同公司が優先交渉権を獲得した。日本連合と組んだ台湾企業体は「価格面で太刀打ちできず」(台湾紙)、1度は完敗した。これで欧州システム導入で決着と理解された。

 だが、98年6月にドイツで起きた脱線転覆事故が影響したと推測されるが、欧州連合と組んだままの同公司が99年4月、改めて日本と欧州勢に新たな提案書を出すよう指示するという、極めて異例の仕切り直しになった。

 また、その背景には、李登輝総統が5月に出版した著書「台湾の主張」の中で、台湾新幹線の導入条件は「第1が価格、第2が安全性、第3が政治的配慮。政治的配慮とは、民間プロジェクトには違いないが、日本政府の姿勢も示してもらいたいということだ」と特に指摘していたことがあげられる。李総統は、関係閣僚が台湾入りする熱心なドイツ政府と比べ、中国への配慮から政府が前面に出ようとしない日本のやり方に不満を示していた。

 日本側の働きかけは、表面に出たものでは、11月22日に自民党の村上正邦・参院議員会長ら「与党を代表する」という自民、自由の国会議員4人が、李総統や交通部、同公司に陳情している。

与党4議員、李台湾総統に日本の新幹線売り込み

November 22, 1999

 自民党の村上正邦・参院議員会長ら自民、自由の国会議員4人は22日、台北で李登輝総統と会い、台北―高雄間に建設する台湾高速鉄道に日本の新幹線システムを採用するよう要請した。李総統は「日本システムの導入には、台湾国民の理解を得なければならない。日本側はもっとその努力をして欲しい」と語ったという。

 日本は北京―上海間の高速鉄道の受注にも積極的で、台湾の受注には政治的な要因が絡むとの観測があるが、村上会長は「経済のことであり、政治的な影響はない。我々が来たのは、与党が取り組んでいるということだ」と語った。

 台湾の高速鉄道計画には、新幹線初の海外輸出を目指す日本勢と独仏の欧州勢が応札した。

 欧州勢は、ミュラー独経済相とゲソー仏運輸相が近く台湾を訪れ、中国に遠慮する日本政府が閣僚クラスを派遣できない「弱点」を突いて政府と一体となった売り込みを図る。

台湾新幹線、日本と欧州勢に再見積もり要求

November 10, 1999

 台北―高雄間を走らせる台湾高速鉄道(台湾新幹線)の事業主体である台湾高速鉄道公司は11日、車両システムの受注を争う日本勢と独仏の欧州勢に対し、12月3日までに再見積もり額を提示するよう求める。年末までに決め、来年1月に契約する予定だ。車両システムの費用は約950億台湾ドル(約3130億円)とみられている。10日付の台湾各紙が報じた。

 新幹線初の海外輸出を目指す日本勢は、JR東海、JR西日本と商社、メーカーで台湾新幹線企業連合を結成している。欧州勢は、独シーメンス社と仏アルストム社を中心とする欧州高速鉄道連盟(ユーロトレイン)。

 見積もり価格を含む提案書は6月15日に提出済みで、9月末に決定する予定だった。しかし、資金調達の問題や台湾大地震による影響で延期されていた。

台湾高速鉄道 車両選定は11月中旬に

1999年10月18日【台北・共同通信社】

 18日付の台湾経済紙、経済日報は、台北〜高雄を結ぶ台湾高速鉄道の車両選定に当たる台湾高速鉄道公司(台湾高鉄)が、今週から月末にかけ日本勢と欧州勢と融資条件などの詰めの交渉に入り、車両選定は11月半ばになると伝えた。

台湾の経済建設委員会主任、会見 台湾新幹線など語る

August 13, 1999

 台湾の江丙坤・経済建設委員会主任(経企庁長官に相当)は13日、台北駐在の日本人記者と会い、日本勢と欧州勢が受注を争っている「台湾新幹線」について、「価格、技術移転、融資条件が受注のポイントになる。特に価格が重要だ」と語った。台北―高雄間に建設する台湾新幹線は、最終決定の9月に向けて専門家の審査が行われている。

 また、「沖縄県の発展に、台湾からの投資や観光が役立てる」と述べ、「稲嶺知事を招き、台湾経済界トップの集まり『三三会』で講演してもらおうと申し入れた。実現すれば自然とビジネスにつながるだろう」と語った。「三三会」は先月、江主任の呼びかけで発足した。東大に留学し、農業経済博士号を取得した日本通の江主任が、日台の次世代の橋渡し役を務める。

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