TOPIC No.7-1-5 不審船事件-海上警備

不審船 リンク集

No.
内         容
01.
奄美大島近海不審船事件 by YAHOO!ニュース
02.ニュース特集 不審船 by YOMIURI ON-LINE
03.【不審船沈没】by asahi.com
04.不審船 by NNA Gloval Comunities
05.九州南西海域不審船情報 2001/11/22 by海上保安庁
06.能登半島沖不審船 1999年3月23日 第九管区海上保安本部
07.(2)不審船対策 by平成13年度 国土交通白書
08.不審船への対処 by防衛白書(2001年版)

都合により、asahi.comのニュースを削除します。

相次ぐ摘発…北朝鮮への密輸、福岡ルートが急浮上 2004年03月09日 The Sankei Shimbun
 物資の不足が深刻な北朝鮮に対する不正輸出が相次いでおり、「福岡」が有力な密輸ルートとして急浮上している。背景として警察幹部は「監視が厳しくなった東京や横浜、神戸、新潟の港は避け、地理的に近い福岡が狙われている」と指摘する。盗難車を福岡から北に輸出しようとした事件では、警視庁公安部などに逮捕された禹時允容疑者(57)=韓国籍=が、沈没した北の工作船に残されていた携帯電話を以前使用していたことも判明、警視庁などでは禹容疑者と北の工作員とのつながりについても調べる。

≪端緒≫  禹容疑者が逮捕された事件は、福岡県警が昨年9月に四輪駆動車の窃盗グループを摘発したのが端緒だった。

 福岡県新宮町の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系商社がグループから盗難車を購入し、実質的に所有している貨物船「第38コスモスター」で北に輸出していたことが分かり、禹容疑者がグループから購入した盗難車8台をこの商社を通じて北に輸出しようとしていたことを突き止めた。

 同県警は昨年10月、北にトレーラーの荷台を不正輸出した関税法違反容疑で、福岡県大野城市の自動車販売会社の実質的経営者らを逮捕している。トレーラーは移動式ミサイル発射台に転用される疑いがあるという。

 一昨年末から昨年1月にかけ、北を経由してシリアにミサイル関連部品を輸出しようとしていた商社のひとつも、本社が福岡県内にあった。

≪覚醒剤≫  北の工作船は平成13年12月、東シナ海で海上保安庁の巡視船と銃撃戦の末、自沈。海保は船内から日本のプリペイド式携帯電話を押収し、通話先が携帯電話と固定電話の計15台だったことを割り出した。

 名義は在日韓国、朝鮮人や暴力団関係者などだったが、うち3台が禹容疑者の弟名義で、押収した携帯電話も以前は禹容疑者が使っていた。工作船は覚醒(かくせい)剤などの密輸に使われていた疑いもあり、警視庁公安部は禹容疑者との関連を調べる。

 広島県警は昨年10月、北に輸出するため約600台の中古自転車を盗んだ鳥取県境港市の会社役員を逮捕したが、この役員は覚せい剤取締法違反容疑でも再逮捕された。

 捜査関係者は「北への不正輸出に関与した人間が北の覚醒剤密輸に関係しているケースは少なくないのでは」と推測する。

≪逼迫≫  禹容疑者が輸出しようとしていた四輪駆動車は、北の軍上層部など一部富裕層に人気があるとされる。関係者は「車でも自転車でも、盗難品に手を出さなければならないほど北の財政状況は逼迫(ひっぱく)している」と指摘する。

 2月には、家電量販大手のヨドバシカメラとビックカメラがリサイクル家電の回収を委託した運送会社が、家電リサイクル法に違反して回収品を横流しし、北に不正輸出していた事実も発覚。この運送会社も福岡県内の業者だった。

 横流しされた洗濯機やテレビも北の富裕層向けだった可能性があるが、冷蔵庫のフロンガスはICチップの洗浄に転用できるほか、盗難自転車もリサイクル品としての利用価値以外に、車軸からは、回転構造をもつ兵器に転用可能なベアリングが得られる。

 経済産業省では「一般的な汎用品でも兵器開発に転用可能」としており、警察当局と連携した一層の規制強化が急務となっている。

≪逮捕の禹容疑者 朝鮮総連のビジネスパートナー≫  禹時允容疑者(57)は複数の暴力団関係者と交友関係にあったことが八日、分かった。

 昨年10月、貨客船「万景峰92」で日本へ麻薬密輸を図ったとして北朝鮮で調査を受けていると報じられた指定暴力団関係者とも面識があるとされる。

 韓国の捜査当局者や情報筋によると、禹容疑者は韓国籍だが、朝鮮からの転籍は数年前。

 朝鮮総連に加わった形跡はないものの、「商用」と称して過去約5年の間にソウルや北京を経由し、北に約40回、渡航していたという。

 また、貨物船「第38コスモスター」の事実上の所有者とは「ビジネスパートナーだった」(公安当局者)という。

 東京・滝野川のマンションは韓国籍の女性の名義で、新宿・歌舞伎町にも活動拠点となるマンションを確保。さらに荒川区内にも拠点を借りていた。滝野川のマンション近くの人は、「3、4人の男女が出入りしていた。暴力団員風の人もいて、怖く感じたこともあった」と話している。

北朝鮮工作船と連絡か 盗難車輸出計画の男 2004年03月08日 The Sankei Shimbun
 福岡県警外事課と警視庁などの合同捜査本部は7日、盗難車と知りながら車を購入したとして、盗品等有償譲り受けの疑いで韓国籍で東京都北区滝野川、禹時允容疑者(57)を逮捕、自宅など5カ所を家宅捜索した。

 公安当局によると、2001年12月、鹿児島県・奄美大島沖で起きた北朝鮮工作船の銃撃・沈没事件で船内から回収された携帯電話の通話履歴に、禹容疑者の携帯電話や、親族の自宅や携帯電話の番号が残っていたという。禹容疑者が工作船と何らかの関係があるとみて調べている。

 車は各地でRV車を盗んだとして窃盗罪で公判中の石丸弘昭被告(34)らの窃盗グループから買い、北朝鮮に輸出しようとしていたという。

 調べでは、禹容疑者は2001年5月、盗品と知りながら、石丸被告らからRV車など8台を800万円で購入する契約を結び、翌6月に代金の一部400万円を支払い、車を譲り受けた疑い。

 自動車は同年5月下旬、福岡県新宮町にある車両置き場に搬入させた。同町には同じ窃盗グループから盗難車を購入、北朝鮮に輸出していた貿易業者(57)=盗品等有償譲り受け罪で公判中=の会社があり、同社の貨物船で北朝鮮に輸出する計画だったが、税関で盗難車と発覚した。

 これまでの調べでは、石丸被告らのグループは九州や中部、関東など各地でRV車を中心に盗んでは転売していた。

「北工作船」公開 予想超える反響で2カ月展示延長

2003年08月31日 The Sankei Shimbun
 東京・お台場の「船の科学館」に展示、一般公開されている東シナ海から引き揚げられた北朝鮮の工作船の展示期間が11月24日まで延長されることになった。予想を超える反響を踏まえての2カ月延長で、関係者の間で調整が図られてきた。一方で、傷みの激しい工作船の恒久展示や保存をめざす活動も本格化しており、一般見学者だけでなく全国からの募金を呼びかけている。

 今年5月末から始まった一般公開は、来場者が1日平均1万人という予想以上のペースで推移している。今月28日までに87万6107人が、東シナ海で工作船と海上保安庁の巡視船との間で繰り広げられた銃撃戦の激しさを残す船体を目に焼き付けた。夏休み最後の土曜日となった30日も家族連れらが多数見学に来た。

 来場者らからは「大阪にも巡回展示を」「もっと長く展示して」といった声が多数あり、海上保安庁の関連財団「海上保安協会」が展示費を助成した日本財団と調整を続けた結果、展示期間の2カ月延長が決まった。

 また、保存を求める意見も多数寄せられ、同協会が「保存募金」を開設。すでに一般公開の見学者らからの募金は計約1300万円に達している。

 しかし、工作船は予想以上に腐食が進み、屋外での保存は困難な状況。保存には大型施設が必要で、その建設に約4億円がかかると見込まれることから、同協会は今月中旬から賛助団体や企業への個別訪問を始めたほか、一般から広く募金を呼びかけている。同協会の増田昭夫総務部長は「少なくとも今後、1年以上は募金活動を粘り強く続け、市民の熱意に期待したい」と話している。

 募金は郵便振替、京橋郵便局、口座番号00190−7−333114「海上保安協会工作船保存募金」(手数料は協会負担)。

川口外相が工作船視察

2003年08月12日 The Sankei Shimbun
 川口順子外相は12日午前、都内の「船の科学館」を訪れ、奄美大島沖で一昨年12月に海上保安庁の巡視船と銃撃戦を展開して沈没し、昨年9月に引き揚げられた北朝鮮工作船を視察した。

 外相は「思っていたよりも大きい」と驚いた様子で「機銃の精度は」「船の時速は」と、海上保安庁職員に熱心に質問していた。

 視察後、記者団に対して「多国間の協議も始まることなので、こういうことが2度と起こらないように、対話によって解決をしなければならないという思いを強くした」と述べ、北朝鮮をめぐる6カ国協議を前に工作船問題などの解決に決意を新たにしたようだった。

海保が臨検訓練参加へ 大量破壊兵器拡散防止で

2003年07月31日 The Sankei Shimbun
 政府は31日、米、英、豪など11カ国による「拡散防止構想(PSI)」の一環として、9月以降に地中海などで行われる「臨検」の合同訓練に、海上保安庁の巡視船を参加させる方針を固めた。訓練への参加で捜査能力の向上を図るとともに、国際社会に対して大量破壊兵器の拡散防止に主体的に取り組む姿勢を明確にする。外貨獲得を目的としてミサイル技術の輸出を活発化させている北朝鮮を牽制(けんせい)するねらいもある。

 日米英など11カ国による「臨検」の合同訓練は、9月以降に行われる予定で、インド洋、オーストラリア沖の太平洋、地中海で実施。日本政府はいずれの訓練にも参加する方向で、海上保安庁の巡視船派遣を検討している。

 合同訓練の具体的な内容は、大量破壊兵器を搬送中の不審船が現れたケースを想定。各国の海軍、沿岸警備当局の艦艇やヘリコプターが共同で臨検に当たる形式をとり、銃砲などによる攻撃を受けた際の反撃や船内捜索、乗組員の逮捕など“実戦方式”で行う予定だ。PSIはブッシュ米大統領が今年5月末、ポーランドでの演説で提唱し、7月31日に来日したボルトン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)が主導している。1日の竹内行夫外務事務次官との会談や定例の「日米軍備管理・軍縮・不拡散検証委員会」でも、北朝鮮による核兵器開発問題とともに、PSIの具体的方策として公海上での「臨検」策を主要議題に取り上げる。

 PSIはすでに2度の会合を開いており、大量破壊兵器の運搬による拡散を防止するため、現行の国際法や各国の国内法に基づき対応措置をとることで合意している。

 ただ、北朝鮮はこうした「臨検」について「(北朝鮮を)孤立させるための全面的な経済制裁であり、戦争を意味する」と批判しており、外務省内には「多国間協議を控え、訓練実施でいたずらに北朝鮮を刺激するのは得策ではない」(幹部)との慎重論もある。

海保:武装船取り締まりなど総合訓練

2003年07月19日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 武装した違反船の取り締まりと海難救助を重点に置いた第1管区海上保安本部(北海道小樽市)の総合訓練が19日、2日間の日程で小樽港沖で始まった。今年は乗船見学の市民1000人を初めて公募。同日午後と20日午前の訓練を巡視船「つがる」から見学する。

 1管本部のほか道、小樽税関支署、小樽署、日本水難救済会が初めて参加する大がかりな訓練で、巡視船・巡視艇、監視艇、警備艇、ヘリコプター、航空機を動員し、総勢約350人が連携して取り組んだ。

 午前中は予行訓練を実施。違反船捕捉訓練は、高速で逃走する違反船を巡視船などが追いかけ、停船命令を無視し小銃を発砲して抵抗する違反船に巡視船も小銃で対抗し、特別警備隊員が乗り移り逮捕した。空砲とはいえ、銃声が海上に響き渡り緊張感がみなぎった。

 高速機動連携訓練は、巡視船艇とヘリコプターが息を合わせて航行。捜索・救助訓練では、貨物船に見立てた巡視船からヘリコプターが負傷者をつり上げ救助した。 【西端栄一郎】

工作船見学者30万人超す

2003年07月01日 The Sankei Shimbun

 日本財団は1日、東京・お台場の「船の科学館」で5月31日から一般公開している北朝鮮工作船の見学者数の累計が、30万人を超えたと発表した。

 見学者は幅広い世代で、修学旅行などの小中学生のほか大学生、旅行者も多いという。

 工作船は鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げられた。搭載されていた上陸用とみられる小型船や武器類とともに展示されている。公開は9月30日まで。無料。

警備訓練:原発テロを想定 海上保安庁と警察庁が共同で

2003年06月13日[毎日新聞]
 海上保安庁と警察庁は13日、不審船による原発テロを想定した図上での共同訓練を16日に鹿児島県警で行うと発表した。両庁は米同時多発テロ以来、連携して原発など沿岸重要施設の警備を行ってきたが、共同訓練をするのは初めて。

 訓練は鹿児島県川内市の九州電力川内原発の沖合に、武装した不審船が来たと想定。海上での巡視船の追跡や、陸上での機動隊などとの連携した行動を、約5時間半にわたって図上で訓練する。訓練は同県警本部大会議室で行い、第10管区海上保安本部(鹿児島市)の警備救難部長や同県警警備部長ら約40人が参加する。【前田博之】

安倍官房副長官が北工作船を視察「予想以上の重武装」

2003年06月11日 The Sankei Shimbun
 安倍晋三官房副長官は11日午前、鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げられ、東京・お台場の「船の科学館」で公開されている北朝鮮の工作船を視察した。

 赤くさびつき、巡視船の威嚇射撃の弾痕が生々しい船体や、最高時速約90キロの小型船、搭載されていたロケット砲や自動小銃などの武器について説明を受けた安倍氏は終始、険しい表情。上陸用ゴムボートを見て「もしかしたらこういうボートに乗せられたのかもしれないね」と、拉致被害者の苦労を思いやった。

 安倍氏は記者団に対し「予想以上の重武装だ。事前に情報を把握して対応しないと、こちら側に犠牲者が出る。金正日総書記の『2度と出さない』との日朝首脳会談での約束を信じたいが、海の守りはしっかりやっていく」と述べ、テロ、ゲリラ、不審船などへの対応策づくりを早急に進める必要性を強調した。

拉致被害者家族が北工作船を見学

2003年06月04日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者の蓮池薫さん(45)の兄、透さん(48)と、田口八重子さん=失跡当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(64)らが四日、鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げられ、東京・お台場の「船の科学館」で公開されている北朝鮮工作船を見学した。

 同種の工作船で訓練を受けたという北朝鮮の元工作員、安明進氏も同行し、銃撃戦の跡が生々しい船体や上陸用の小型船、武器について説明。

 自爆スイッチなどを熱心に見入っていた透さんは「こういう船で日本人が拉致されたと思うと忌まわしい。北朝鮮の悪事の象徴だ」と厳しい口調で話した。

 飯塚さんは「あんな狭くて暗いところに押し込められたら、気がおかしくなってしまう」と険しい表情だった。

 横田めぐみさん=失跡当時(13)=の母、早紀江さん(67)は「とても正視できない」として、見学を断ったという。

船の科学館で北の工作船を一般公開

2003年05月31日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖から引き揚げられた北朝鮮工作船の一般公開が31日午前、東京・お台場の「船の科学館」で始まった。

 午後からの公開予定だったが、雨の中、科学館の開館と同時に約100人が列をつくったため、公開を約2時間繰り上げ、午前11時のスタートとなった。

 公開されたのは、工作船や搭載されていた上陸用とみられる小型船、船内から見つかった武器類のほか、暴力団関係者との通話記録が残っていた携帯電話などで、初めての展示品もある。

 鹿児島県出身で、横浜市在住の会社員、坂元義純さん(59)は「鹿児島にいたころ父親とよく船で魚釣りに行っていたが、あんな重武装の工作船が日本近海に来ていたなんて…。恐怖を感じた」と話した。

 公開は9月末まで。

北の工作船 東京・お台場に到着 31日から公開

2003年05月27日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖から引き揚げられた北朝鮮の工作船が27日、東京での一般公開に向け展示会場の東京・お台場「船の科学館」に到着した。

 31日から9月末日まで、搭載されていた武器や上陸用小型船などととも無料で見学できる。

 鹿児島から船で運ばれた工作船は27日午前8時ごろ、科学館脇の桟橋に到着。小型船を降ろした後、巡視船との銃撃戦による100カ所以上の弾痕が残る長さ約30メートル、重さ約44トンの工作船本体をクレーンでつり上げる準備が行われた。周辺では巡視艇や警視庁の警備艇が警戒に当たった。

 工作船は東京に先立ち、鹿児島で公開され、昭和53年に鹿児島県の吹上浜から北朝鮮に拉致された市川修一さん=失跡当時(23)=の家族ら申し込みのあった約3000人が見学した。

 公開が終わった後の取り扱いは未定。

 船体を譲り受けた海上保安協会は永久保存を目指し、展示会場で保存費用の寄付を募る。

工作船、東京でも一般公開へ 鹿児島から移送

2003年05月23日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で2001年12月、海上保安庁の巡視船と銃撃戦の末に沈没した北朝鮮の工作船が23日、東京での一般公開へ向けて鹿児島市内のドックで貨物船に積み込まれた。

 東京港に到着後、31日から9月30日まで、東京都品川区の「船の科学館」で展示される。

 工作船は、昨年9月に引き揚げられた後、第十管区海上保安本部(鹿児島)などによる事件処理のため、ドックの格納庫に収納。今月17、18両日、一般公開された。

 この日は、海上保安庁の職員や港湾関係者が見守る中、午前8時から積み出しの作業を開始。格納庫から引き出された工作船は、茶色くさびた船体が傷つかないよう、ゆっくり大型クレーンでつり上げられ、慎重に貨物船の船倉内に下ろされた。東京港到着は26日の予定。

北の工作船を一般公開 31日から東京・船の科学館で

2003年05月13日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は13日、鹿児島県・奄美大島沖で巡視船との銃撃戦の末に沈没、引き揚げられた北朝鮮の工作船を今月31日から9月末日まで、東京・お台場の、船の科学館で一般公開すると発表した。

 科学館の屋外展示場に設置されるため、無料で見学できる。巡視船に向け発砲された銃器や対戦車ロケット砲なども展示する。

 工作船は、海上保安官に対する殺人未遂容疑で鹿児島地検に書類送検された乗員が被疑者死亡で不起訴となったのを受け、船体と武器類以外の証拠品を海上保安協会が、武器類は海保が所有権を引き継ぎ、一般公開の準備を進めていた。

 船体の腐食が進んでおり、公開後の取り扱いは未定だが、扇千景国土交通相は13日の閣議後会見で「できれば永久保存したい」と述べた。

 問い合わせは海上保安協会業務部、電話03(3542)3678。

イルカかも…また不審潜水艦目撃? 兵庫・豊岡市沖の日本海

2003年04月27日 The Sankei Shimbun
 27日午前10時15分ごろ、兵庫県豊岡市の津居山漁港の沖約2キロで釣りをしていたプレジャーボートの男性から「潜水艦のようなものが東に進んでいる」と第八管区海上保安本部(舞鶴)に通報があった。

 同本部が巡視船2隻、巡視艇2隻、航空機1機、ヘリコプター1機を現地に向かわせ捜索したが潜水艦は発見できなかった。

 現場付近で操業中の約60隻の漁船から同様の目撃情報はなく、潜水艦が昼間浮上して航行するとは考えにくいことなどから、同本部はイルカを見間違えた可能性もあるとみている。

 日本海側では24日にも島根県沖で4隻の潜水艦目撃情報があったが確認できなかった。

北朝鮮の工作船お台場に、海保が一般公開へ

2003/04/26 読売新聞 Yomiuri On-Line
 工作船が東京・お台場に出現へ――。鹿児島県奄美大島沖の東シナ海で一昨年12月に起きた北朝鮮工作船事件で、海上保安庁は、引き揚げた工作船を鹿児島から東京に運び、無料で一般公開する方針を決め、関係団体との調整を進めている。6月上旬にも、お台場の「船の科学館」(品川区東八潮)で、小型舟艇を格納した工作船が世界で初めて公開されることになる。

 海保は先月、工作船の乗組員10人を殺人未遂容疑などで容疑者死亡のまま鹿児島地検に書類送検し、押収した工作船や武器類は同地検の管理下に移された。

 刑事訴訟法によると、保管の必要がなくなった押収物は、銃や薬物など不法品目以外は所有者に還付するのが原則。同地検は来週にも容疑者死亡で不起訴処分を決めるが、その後の工作船の扱いが問題になった。

 通常、所有者が分からない押収物は、6か月間、公告し、還付請求がなければ国のものになる。工作船は北朝鮮籍と断定されており、関係者の間では「北朝鮮が返せと言ってくる可能性がゼロではなく、公告手続きが必要では」との意見もあった。しかし、船は自爆し沈んだことから、検察当局は「所有権を放棄した無価値物」として扱うことにした。

 船は海上保安協会が、武器類は海保が引き取り、一緒に秋ごろまで公開する計画だという。

工作船乗組員10人書類送検 覚せい剤密輸などにかかわる?

2003年03月14日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県の奄美大島沖で2001年12月に起きた北朝鮮の工作船銃撃・沈没事件で、第十管区海上保安本部(鹿児島)と鹿児島県警の合同捜査本部は14日、海上保安官への殺人未遂と漁業法違反(立ち入り検査忌避)の疑いで、工作船の乗組員10人を容疑者死亡のまま書類送検した。

 事件時に撮影したビデオ映像から10人を容疑者とした。鹿児島地検は容疑者死亡で不起訴処分とする方針。

 これまでの調べで、船内で見つかったプリペイド式携帯電話の発信先には暴力団関係者のほか在日韓国・朝鮮籍の人物が含まれていることが判明。韓国籍に偽装したパスポートで契約されたレンタル携帯電話への発信記録もあった。捜査本部はこうした人物が国内での協力者となり、工作船が覚せい剤密輸などにかかわっていたとみている。

 携帯電話は01年2月以降に岐阜県内で販売され、同年5月から11月にかけて百数十回の発信記録があった。

 捜査本部は(1)工作船は1998年、日本漁船を装い日本の暴力団関係者と覚せい剤を洋上取引した「第12松神丸」と断定される(2)船内から昭和50年代に国土地理院が作成した地図を基にした防水加工の鹿児島県・薩摩半島南東部沿岸の地形図が見つかった−などと併せ、国内の協力者が携帯電話を準備し、覚せい剤の受け渡しなどで暴力団関係者と連絡をとっていた可能性が高いとみている。

 工作船は01年12月22日、奄美大島沖の東シナ海で海上保安庁の巡視船の停船命令に応じず逃走。乗組員は巡視船を銃撃し、海上保安官3人にけがを負わせた。

北朝鮮工作船:乗組員を被疑者不詳で送検へ 鹿児島県警と海保

2003年03月02日 Mainichi INTERACTIVE
 鹿児島県・奄美大島沖の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船事件で、第10管区海上保安本部(鹿児島市)と鹿児島県警の合同捜査本部は今月中旬、工作船の乗組員約10人を被疑者不詳のまま、海上保安官を銃撃した殺人未遂と漁業法違反(立ち入り検査の忌避)容疑で鹿児島地検に書類送検する方針を固めた。鹿児島地検は不起訴処分にする見通し。

 「約10人」は海上保安庁が撮影した工作船の映像で、巡視船を銃撃する様子が確認できた人数。捜査本部は船内や現場海域で収容した遺体(4体)と遺骨から数を確定することも検討し、計8人分との鑑定結果も出た。しかし遺体・遺骨の人物が銃撃したことを裏付ける証拠がないため見送った。

 調べでは、乗組員らは中国漁船に偽装した工作船で日本の排他的経済水域内を航行中の01年12月22日午後、巡視船の停船命令を無視して逃走。同日午後10時9分、奄美大島の西北西約390キロの東シナ海で、工作活動の発覚を恐れて巡視船を自動小銃などで銃撃して、海上保安官3人を負傷させた疑い。

 工作船は銃撃戦の4分後に沈没し、昨年9月に引き揚げられた。海保は工作船は98年に東シナ海で発見され、覚せい剤取引にかかわったとされる北朝鮮籍の「第12松神丸」とほぼ同一と断定しており、今回の目的も麻薬取引と見ている。

工作船の引き揚げで中国に「協力金」

2002年12月27日 Yomiuri On-Line
 日中両国政府は27日までに、鹿児島県奄美大島沖で沈没した北朝鮮工作船の引き揚げに関連し、日本政府が中国側に「協力金」として1億5000万円を支払うことで合意した。

 中国側は工作船の沈没後、中国の排他的経済水域(EEZ)である沈没現場の周辺で漁船の操業ができなくなったと主張。EEZでは沿岸国の権益に配慮するとした国連海洋法条約などを根拠に約4億6000万円の漁業補償を要求していた。

 日本政府は「日本側に国際法上の違法行為はなく、漁業補償の義務はない」(外務省)としながらも、<1>中国側が認めなければ、引き揚げはできなかった<2>引き揚げ作業中、中国側の漁船が周辺海域へ入らないように中国当局が協力した――ことなどから、協力金の支払いを決めた。

 金額については、「損失を積み上げたものではない」(外務省)が、中国側の要求額や、中国側が補償問題の妥結前に引き揚げに同意した点なども考慮したとしている。

不審船対策「船隊」編成、高速巡視船10隻建造へ

2002年12月19日 Yomiuri On-Line
 財務省は19日、2003年度予算の財務省原案に、不審船対策費として高速巡視船10隻の建造費など約130億円を計上する方針を固めた。40ミリ機関砲を搭載した巡視船なども認めて、沿岸警備体制の充実を急ぐ。

 来年度予算では海上保安庁が「不審船対策」などとして、計14隻、総額214億円を要望していた。財務省はその一部を認めるもので、海上保安庁が計画していた「高速巡視船隊」が誕生する見通しとなった。

 財務省が予算計上を認める船隊は、40ミリ機関砲を搭載した約1800トンのヘリ甲板付き高速大型巡視船のほか、小型の高速特殊警備船など1チーム3―4隻で構成される。ヘリも活用し、チームで機動的に不審船を捕らえる体制を目指す。

 防衛庁が不審船対策として要望しているP3C哨戒機の機能拡充のための経費も一部認める。

 保安庁は現在、約120隻の巡視船を保有しているが、6割以上が建造後20年以上たち老朽化が進んでいる。また、不審船追尾に必要な速度を出せるのは3隻しかなく、増強を要望していた。

工作船:子船からTNT火薬40キロ 「自爆攻撃用」の見方も

2002年12月07日 Mainichi INTERCTIVE
 鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げられた北朝鮮の工作船に格納されていた小型舟艇(子船)から見つかった爆発物2個は、いずれも信管がセットされたTNT(トリニトロトルエン)火薬で、1個の重量が約20キロであることが、第10管区海上保安本部(鹿児島市)と鹿児島県警の合同捜査本部の調べで分かった。自沈用としては破壊力が強く、その用途も含め詳しく分析している。

 関係者によると、TNT火薬の爆発物計約40キロは、単純計算で、74年8月の三菱重工爆破事件で使われた爆弾の数倍の威力があるとみられる。同事件では、爆弾2個に塩素酸塩系の混合爆薬が計約55キロ詰められ、死者8人、重軽傷者380人が出た。

 調べでは、爆発物は円筒形で、子船の操縦席の前後に設置されていた。2つはコードでバッテリーにつながれ、スイッチの箱にはハングルで「自爆」と書いてあった。

 子船は元来、上陸用とみられているが、強力な爆発物を積んでいたことから「いざという場合には洋上特攻にも使う可能性もある」(捜査関係者)とみている。

 TNT火薬は、第二次世界大戦ごろから砲弾や爆弾に使われている高性能爆薬で、テロにも使われる。イエメン沖のアデン湾で今年10月に発生した仏タンカーの爆破事件でもTNT火薬の残留物が見つかったという。

 兵器研究家の床井雅美さんの話 だ捕直前に爆発させ相手の船や人員に被害を与える目的がまず考えられる。また、爆発物をわざわざ小分けにしているので、必要とあらば陸上に持ち込む可能性も否定はできない。重量が20キロならば、武装した兵士1人でも運ぶことは可能になる。

北朝鮮工作船、薬物密輸に関与濃厚

2002年12月06日 Yomiri On-Line
 鹿児島県奄美大島沖の東シナ海で昨年12月に起きた北朝鮮の工作船事件で、海上保安庁は、1998年の覚せい剤密輸事件に使われた北朝鮮籍の船と同一と断定し、薬物の密輸など重大犯罪に関与していた疑いが強いとする調査結果をまとめた。

 扇国土交通相が6日の閣僚懇談会で概要を明らかにした。

 今回の工作船は、98年8月に東シナ海の公海上で、暴力団関係者に覚せい剤300キロを密輸しようとした北朝鮮籍船「第12松神丸」と船形や装備などが酷似しており、同庁で写真分析の結果、同一の船であると確認した。さらに、船内から見つかったプリペイド式携帯電話は、100回以上の発信記録が残され、相手先には、関東地方など複数の暴力団関係者がいたことから、同庁は「第12松神丸」に新たな塗装を施して薬物密輸を行っていた可能性が高いとしている。

 また、エンジン4基を備えた工作船の馬力は、普通の漁船の10倍近い4000馬力で、30ノット(時速約56キロ)以上の高速航行が可能なことも新たに判明した。

 一方、谷垣国家公安委員長も同日の閣議後会見で、「現在は第3次覚せい剤ブームで、北朝鮮を仕出し地としたものが大量に国内に入っている。純度が高く、こん包もしっかりしており、かなりの組織力や資金的背景があるとみられる」と指摘した。

海保、これまでに不審船21隻を確認

2002年12月06日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は6日、鹿児島県・奄美大島沖で昨年12月に起きた工作船銃撃・沈没事件を含め、過去に確認した北朝鮮の工作船や、工作船とみられる不審船計21隻の概要を公表、発見日や追跡時の状況を明らかにした。

 海保によると、1963−2001年に21隻を確認。現場は、北海道から九州北部にかけての日本海と、九州南部に集中している。うち90年10月に福井県の海岸に漂着した木造小型船1隻と奄美大島沖の工作船を除く19隻は、追跡を振り切って逃走するなどし、見失った。

 最初に確認したのは63年6月。山形県酒田市の沖合約1キロで無灯火の船が見つかり、停船を命じたが従わずに逃走した。

 中には工作船の特徴の1つ「観音開き」の合わせ目とみられる縦のラインが船尾にある船もあった。

 海上保安庁はこれまで、奄美大島沖の工作船と、99年に能登半島沖で確認され、追跡を振り切って逃走した2隻の工作船などを除き「安全保障上、支障がある」として詳細な情報を公表していなかった。

 確認されたのは63年と70年が1隻ずつ。71年が3隻、72年と75年は1隻ずつで、77年は2隻だった。80年は6隻、81、85、90年の各年は1隻ずつ。さらに99年の2隻と続き、昨年12月の1隻で計21隻となる。

高速巡視船を前倒し要望

2002年11月27日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は27日、政府の本年度補正予算に、不審船などに対応できる高速の巡視船5隻を盛り込むよう財務省に要望した。来年度予算に要求している巡視船11隻の中から、前倒しの予算化を求めた。金額は80億円。

 5隻は保安庁が現在3隻保有している高速特殊警備船と同様のタイプ。最高速力40ノット(時速約74キロ)以上で、災害時の消防や緊急物資輸送にも活用できるという。

 来年度予算にはこのほか40ミリ機関砲を搭載した約1、800トンの新型巡視船3隻などを要求している。

武装工作員が上陸…道警と陸自が初の治安出動図上演習

2002年11月18日 Yomiuri On-Line
 治安出動を想定した警察と自衛隊による初の合同訓練(図上演習)が18日午前、札幌市の北海道警本部で始まった。道警と陸上自衛隊北部方面隊の計約40人が参加、地図やモニターを使いながら、出動時の役割分担や法手続きなどについて検討する。

 訓練は、小銃や機関銃、ロケット砲などで武装した工作員が北海道沿岸から上陸したとの想定。まず道警が対応に当たり、北部方面隊は情報収集を分担するが、道警が工作員に圧倒される事態になって、治安出動した北部方面隊と道警が共同作戦を展開する。道警が住民の避難誘導や検問を行い、北部方面隊は工作員の逮捕、制圧にあたるシナリオで進められた。

 訓練会場では、全国の警察、防衛庁関係者など約70人が視察する中、石田勝彦・道警警備部長と伊藤隆・北部方面隊防衛部長がそれぞれを指揮。両組織で異なる通信手段や用語、装備品についても相互に確認した。

 治安出動を想定した訓練は、陸自が1960年の安保闘争前後に実施したことがあるが、国会や世論の反発を招き、その後は行われていない。今年4月、道警本部長と北部方面総監が全国で初めて治安出動に備える新たな現地協定を結び、訓練の準備を進めていた。

昭和50年代日本海 不審船、海保振り切る

2002年11月10日 The Sankei Shimbun
秋田、兵庫沖
前後に工作員3人逮捕

 拉致事件が相次いだ昭和五十年代に北朝鮮工作員が逮捕された二件の事件の際、日本海に工作船とみられる不審船が出現、海上保安庁の巡視船の追跡を振り切って逃走していたことが九日分かった。工作員逮捕を伴う不審船事件が明らかになったのは初めて。当時、警察当局は工作員の逮捕を発表したが、工作員と同船との関係は明らかになっていなかった。海上保安庁は、この二件の不審船事件について「公表できない」としている。

 公安関係者によると、一件目は五十五年六月十一日、兵庫県香住町沖の領海を侵犯しようとしていた工作船とみられる船を海上保安庁の巡視船が発見。追跡したが、二十五ノットの速度で北へ逃げ、見失った。

 同県警が警戒していたところ、翌十二日夜、香住町の海岸で不審な男二人を逮捕。供述から、一人は工作員教育を受けるため北朝鮮に脱出しようとしていた在日韓国人、もう一人は案内役の工作員と判明。自宅から日本海沿岸のパノラマ写真やモールス符号メモが押収された。二人は出入国管理令違反と外国人登録法違反の罪で懲役六月、執行猶予三年の判決を受けた。

 二件目は五十六年八月五日夜、秋田県男鹿市の脇本海岸に不審な三人がいるのを警察官が発見。二人はゴムボートで逃走し、一人は海に飛び込んだ後、捕まった。翌六日、巡視船のレーダーが日本と北朝鮮の中間付近を航行する船影をとらえ、約七キロまで接近したが、三十ノットの高速で逃走したため追跡を断念した。三人が乗ってきた工作船とみられる。

 逮捕されたのは在日韓国人で、「北で一カ月間の工作員教育を受け、工作船で戻ってきた直後だった」と供述。出入国管理令違反の罪で懲役十月、執行猶予二年の判決を受けた。

 警察庁は工作員逮捕を公表しているが、海上保安庁は不審船について「海保発足以来、確認した不審船・工作船は計二十一隻だが、個別の内容については、昨年の奄美大島沖事件など報道されているもの以外は公表できない」としている。

海保の情報管理不十分

2002年11月10日 The Sankei Shimbun
53年 地村さんの父に目撃説明
現在 「不審船発見ゼロ」と否定

 北朝鮮による拉致事件のほとんどは工作船を使って行われたが、海上保安庁の情報公開は十分とはいえない。

 昭和五十三年七月、福井県小浜市で拉致された地村保志さんの父、保さんは同年秋、手がかりを求めて第八管区海上保安本部(京都府舞鶴市)を訪れた。保さんによると、応対した担当者は「息子さんの失跡後、若狭湾で不審な船が目撃され、巡視船が追跡したが見失った。発信されていた電波から北朝鮮の工作船と思われる」と説明したという。しかし現在、八管本部は「当時の資料は残っていない」、海上保安庁は「五十三年の不審船発見件数はゼロ」と否定している。

 「救う会」幹事の西岡力・現代コリア編集長は「工作員が海を渡って自由に出入りできる状況の中で拉致事件が相次いだにもかかわらず、海上保安庁の説明は不誠実だ。本当に五十三年に不審船を確認していないのか。五十年代の不審船出没の状況を詳細に公表すべきだ」と話している。

工作船:海保、船体や武器などを公開 鹿児島

2002年10月20日Mainichi INTERACTIVE
 第10管区海上保安本部(鹿児島市)は20日、鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げられた北朝鮮の工作船と、船内に格納されていた小型舟艇などを、鹿児島市の民間ドックで公開した。

 小型舟艇は全長11メートル、幅3メートルの木造船で、側面は白色、甲板は深緑色。ところどころ色あせていたが、爆発によるとみられる船首右舷の穴以外に大きな損傷はなかった。

 中央部の操縦席は1メートル四方で、ハンドルなどが残っていた。すぐ後ろには直径約30センチのGPS(全地球測位システム)のアンテナがあり、直径約30センチのスクリューと一体化した船尾のエンジンには、スウェーデン・ボルボ社のシールが張られていた。

 一方、工作船の船底には、緊急時に船を沈めたり、エンジンの冷却水を取り入れるキングストンバルブ(自沈弁)が四つあったが、大きな損傷はなかった。引き揚げ時にも自沈弁付近から海水の流出はなく、自沈弁が沈没原因に関連する可能性は低いとみられる。

 武器類や工作船内にあった日本製ゴムボート、日本製缶詰なども公開された。 【河津啓介】

「重装備、日朝交渉で説明求める」工作船視察の国交相

2002年10月07日 Yomiuri On-Line
 鹿児島県奄美大島沖の北朝鮮工作船事件で、扇国土交通相は7日、船体が陸揚げされた鹿児島港のドックを視察、工作船や船内に格納されていた小型舟艇などを視察した。小型舟艇は報道陣にも公開され、3機のスクリューなどが初めて写真撮影された。

 小型舟艇は工作船船尾の観音開きの扉内に格納されており、長さ約11メートル、幅約3メートル。スウェーデン・ボルボ社製のエンジン3機を搭載し、それぞれに3枚バネのスクリューがついていた。

 扇国交相は、工作船の地対空ミサイルやロケット砲などの武器類も見て回り、視察後の会見で「死者が出なかったのが不思議に思えるほどの重武装。今後の日朝交渉で説明を求めていきたい」と話した。

工作船:鹿児島港に陸揚げ 航行目的などの解明目指す

2002年10月06日 Mainichi INTERACTIVE
 鹿児島県・奄美大島沖の北朝鮮の工作船が6日、鹿児島市の鹿児島港に陸揚げされた。両側面にエンジンの排気口を取り付けるという特異な構造が改めて明らかになった。第10管区海上保安本部(鹿児島市)は今後、船舶工学の専門家などにも鑑定を依頼、航行目的や性能、沈没原因などの解明を目指す。

 作業は6日午前7時に始まり、工作船を収容した台船を鹿児島市沖から鹿児島港の民間ドックまでえい航。台船のクレーンでプール内の船体をつり上げ約30分かけて旋回させ、午後2時ごろ、岸壁の台車に下ろした。同3時40分にドック内格納庫への収容を完了した。

 台船上のプールから姿を現した工作船は、青色だった船体の大部分にさびが浮き、昨年12月に巡視船の機関砲を浴びた船首部には約2〜3センチ大の弾痕が無数にあった。

 前後の機関室の左右両側には、4基のエンジン配置に合わせて排気口(直径約30センチ)が喫水線の上部に二つずつ並んでいる。排気口にはスライド式のふたが付いていた。もともとあった船橋部の煙突は偽装用と判明しており、逃走時に船側から煙が出ていたため、側面に排気口がある可能性が指摘されていた。

 また、甲板は船橋があった中央部が盛り上がっていたほか、近くの右舷部がめくれあがっており、爆発が起きた際にできたとみられる。

 一方、船尾の観音開きの扉は、長さ約30センチの蝶番(ちょうつがい)がついた本体外板との接合部に20センチほどのすき間が開いていたが、小型舟艇がある格納庫は暗く、内部の様子はうかがえなかった。

 10管は小型舟艇についても近く船外に出して詳しく調査する。 【河津啓介】

工作船:改めて北朝鮮製と断定 同国製を示す証拠を多数回収

2002年10月04日 Mainichi INTERACTIVE
 海上保安庁は4日、鹿児島県・奄美大島沖の海底から引き揚げた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船の調査状況を発表した。重武装が際立つとともに、北朝鮮製を示す証拠も多数回収され、改めて同国製と断定した。政府は今月末に再開する日朝国交正常化交渉で事実解明を求めるとともに、工作船の活動目的の特定などの調査を進める。

 海保は武器や装備品など計700点以上を回収。武器は地対空ミサイルや対戦車無反動砲など7種類17個にのぼり、砲弾や弾丸も多数発見された。ロケット砲や自動小銃には、丸の中に星が描かれた北朝鮮製を示すマークが刻印され、日用品などにも同国製を示すハングル表記があった。遺体も鑑定で朝鮮人と推定された。

 回収品には無線機やレーダーなど日本製の電子機器も多く、海保と鹿児島県警の合同捜査本部は流出ルートを調べる。

 活動目的に関連しては、覚せい剤や麻薬が発見されていない一方で、小型舟艇や水中スクーターなど上陸用の装備は多数見つかっている。合同捜査本部は、工作船を6日に鹿児島港のドックに陸揚げして調査を続行するとともに、回収した日本国内用のプリペイドカード式携帯電話の通話記録や2台のGPS(全地球測位システム)の解析などを進める。

 一方、工作船の活動について北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記は9月17日の日朝首脳会談で軍の特殊部隊が行ったことを認め、「今後こうしたことは起こりえない」と言明。実態調査と特殊部隊の整理を約束した。こうした経緯から福田康夫官房長官は4日の記者会見で「事案の解明は正常化交渉の中で行われるのが適切だ」と述べ、ただちに抗議などはせず、正常化交渉や日朝安保協議の場で約束の履行を迫る考えを示した。小泉純一郎首相も4日夜、記者団に「もう金委員長(総書記)との会談で抗議している」と語った。 【窪田弘由記、三岡昭博】

工作船、6日にも陸揚げ

2002年10月03日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で引き揚げられた北朝鮮の工作船について、第十管区海上保安本部(鹿児島)は3日、船体を6日にも陸揚げすると発表した。陸揚げ後は鹿児島市内の民間ドックに収容し、さらに詳しく調べる。

 十管は先月15日から、鹿児島湾内の台船上で工作船に爆発物が残されていないかなどの安全確認作業を実施、安全が確認された後に陸揚げするとしていた。

工作船から金日成バッジを発見

2002年10月01日 The Sankei Shimbun
 第十管区海上保安本部(鹿児島)は1日、鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げた北朝鮮の工作船の安全確認作業中に、機関室から北朝鮮の故金日成主席の肖像画が入ったバッジを発見、回収した。

 十管によると、バッジは機関室にあった歯磨きチューブなど日用品入りの黒色ポーチの中にあった。大きさは約2センチ四方で地色は赤。十管の黒木正警備救難部長は「国籍特定の重要な証拠物だが、(国籍は)引き揚げた船体などこれまでの証拠品を分析し、総合的に判断したい」と述べた。

 また十管はこの日、9月30日に甲板上の格納スペースで確認した、工作員の上陸用とみられるゴムボートを、同じ場所でもう1隻確認した。ゴムボートはいずれも黒色で長さ約3・5メートル、幅約1・5メートル。機関室では部位不明の人骨3点も見つかった。

 安全確認作業は9月15日から鹿児島湾の起重機台船上で始まり、これまでに工作船の小型船収納スペースから爆発物や水中スクーター、軽機関銃やロケット砲などの武器を回収した。工作船の陸揚げは早ければ今週末の見込み。

工作船からゴムボート発見

2002年09月30日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は30日、鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げた北朝鮮の工作船内で、工作員の上陸用とみられるゴムボートを発見したと発表した。

工作船:船体からGPS、携帯型コンピューターなど発見

2002年09月28日 Mainichi INTERACTIVE
 鹿児島県・奄美大島沖の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船事件で、船体本体から全地球測位システム(GPS)が発見された。搭載されていた小型舟艇からは既にGPSが見つかっており、二つのGPSから航海経路が分かる可能性がある。また、船内からは携帯型のコンピューターも見つかった。海上保安庁と鹿児島県警の合同捜査本部は、工作活動の内容を記した文書などが保存されていないか調べる方針。

 GPSは複数の人工衛星から届く電波を使って現在地を特定する装置で、工作船のGPSは船内で発見された。

 一方、携帯型コンピューターには小さなモニターが付いていた。コンピューターの記録が捜査を進展させた例としては、1995年3月、滋賀県警が逮捕したオウム真理教(アレフに改称)信者が所持していた記録ディスク60枚とパソコンに、信者の個人データや教団組織図、通達などの極秘資料が含まれていた例がある。

 船内からは携帯電話も見つかった。比較的旧式のものといい、着信記録などが残っていないか調べる。

北工作船、内部の小型舟艇の中に水中スクーター

2002年09月22日 Yomiuri On-Line
 鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げた北朝鮮工作船の安全確認作業を進めている第10管区海上保安本部(鹿児島)は22日、船尾部分に格納している小型舟艇から水中スクーター1基を発見した。1990年10月に福井県美浜町の松林で見つかったのとほぼ同型で、10管は工作員の上陸用だったとみている。

 水中スクーターは長さ約170センチ、直径約40センチで、深い緑色。魚雷のような形をしており、前部にハンドル、後部にスクリューが付いていた。工作船の沈没現場からは、水中スクーターを使う際に必要な潜水用の空気ボンベ2本もすでに回収されている。

 美浜町のケースでは、今回と構造が酷似した小型舟艇の漂着現場近くで、水中スクーターが見つかった。工作船から小型舟艇で近づき、上陸に使ったらしい。

不審船:佐渡島で目撃証言が続々 ハングルの船も

2002年09月22日 Mainichi INTERACTIVE
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による拉致事件で、5人目の生存者の可能性が強い新潟県真野町出身の曽我ひとみさん(行方不明時19歳)=現在は43歳=が母のミヨシさん(同46歳)とともに姿を消したのは佐渡島。北朝鮮と日本海でつながる離島には、曽我さん親子が行方不明になる以前から北朝鮮の工作船とみられる不審な船影がしばしば目撃されていた。 【田中義宏、鳴海崇、作田総輝】

 曽我さん親子が行方不明となった78年前後には真野町沖で不審船が目撃された。曽我さんの親せきの一人は「家族が、ボートでもない、腐ったような木の船で、むしろとこもをかぶったような船が沖にいたのを見た。船のことを思うと気持ち悪いと言ってます」と話した。

 他にも目撃証言がある。真野町豊田、漁業、本間忠義さん(61)は「24、25年前には、シケになると20〜30トンぐらいの船が真野湾の入り口に停泊していたのを年に4〜5回見かけた。ハングル文字が船体に入ってたのもあった」と話す。

 また、姫津漁協組合長、森川森之助さん(72)=相川町姫津=は、「二十数年前、黒い鉄製のおかしな船が沖で見かけられ、うわさになった。当時は(不審船が)人さらいするなんて想像もつかんかった。今思えば本当に恐ろしい」と語った。

 曽我さん親子が行方不明になった6年前の72年3月13日夜。真野町から約20キロ離れた島南端に位置する小木町宿根木の岩場で朝鮮籍の2人の男が潜んでいるのが発見された。うち1人は外国人登録証を所持していなかったため、相川署に外国人登録法違反の疑いで逮捕された。地元では、北朝鮮に戻ろうと工作船が迎えに来るのを待っていたのではないかと推測された。

 小木町の別の入り江は、北朝鮮関係者が「工作船の基地」と証言したことがある。

「北、軍クーデターの恐れ」

2002年09月21日 The Sankei Shimbun
米、日朝首脳会談前後の情勢分析
拉致謝罪に不満 金総書記と確執
 【ロンドン21日=野口裕之】英米情報筋は二十一日、日朝首脳会談前後の情勢を分析した米政府が、北朝鮮での軍部によるクーデターの可能性を懸念、偵察衛星による朝鮮半島の監視を強化している実態を明らかにした。

 同筋によると、米政府は韓国の金大中大統領やロシアのプーチン大統領が二年前の夏に訪朝した際には軍高官が制服姿で多数出迎え、会談の席上にも認められたのに対し、日朝首脳会談ではほとんどその姿を確認できなかったことなどに注目。「ソフトムードへの演出」であることを認める一方で、軍高官と金正日総書記との間に「拉致問題の扱い」をめぐって溝が深まっているとの見方を示した。

 その理由について、同筋は「拉致は一九七〇年代後半から八〇年代前半という金日成体制下で実行された。当時、金総書記もこうした工作活動を知る立場にあったが、具体的なすべての指令や日本人の死亡などの情報を伝えられていたとは限らない」と述べた。

 さらに「そうした経緯で拉致問題に関して金総書記が軍の反対を押し切って安否情報を出し、責任者の処罰とおわびを発表したとすれば、軍には大きな不満が残る」と説明した。

 英米情報筋はまた、「米大統領の場合、米中央情報局(CIA)が要人暗殺を謀る際は説明を受けるが、工作のすべてを知っているわけではない」としたうえで、「“裸の王様”の金総書記ならなおのことで、実権の掌握後、しばらくは末端工作までは知らなかった可能性がある。金総書記は現在も、三軍で百万を超す軍をおさえ切れるのかどうか、緊張しているはずだ」と分析した。

         ◇

≪能登沖工作船 工作員収容が目的≫

 一方、同筋は今回の首脳会談に先立ち能登半島沖に出没した四隻の工作船について、日本国内で活動していた工作員を引き揚げさせるための船だったと、日米両政府が工作船の交信内容から分析していると証言した。

 同筋によれば、米軍事偵察衛星情報で明らかになった工作船四隻は、北朝鮮側と「これより収容を開始する」という内容の交信をしていたもようだ。日米両政府では、そうした交信内容やその後の北朝鮮の動向を傍受・分析した結果、北朝鮮側が(1)八月以前に、首脳会談での「工作船の再発防止」を約束する方針を決めた(2)工作船が首脳会談以降も目立っては得策ではないと判断(3)首脳会談を控えた八月末に工作船を出港させ、日本国内に送り込んだ工作員の可能な限りの引き揚げを決行した−との結論に達したという。

 一連の金総書記の方針は「拉致」と「工作船」という軍情報機関の“功績”を事実上否定したことから、「米政府は軍部によるクーデターの可能性も否定していない」(同筋)という。

工作船:爆発物の回収作業終わらず 陸揚げは延期へ

2002年09月21日 Mainichi INTERACTIVE
 鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げられた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船の安全確認作業で、第10管区海上保安本部(鹿児島市)は21日、工作船に搭載された小型舟艇内にあった爆発物の回収を試みたが、作業は終わらなかった。10管は他の場所も爆発物の有無を入念に調べる方針で、連休明けにも予定していた陸揚げが遅れるのは確実になった。

 10管によると、爆発物は操縦席と後方のエンジンの間に取り付けられている。作業空間を確保したり、爆発物から出ているコードがどこに延びているかを確認した。爆発物の外側は金属製で、98年に韓国沖で韓国軍に撃沈された潜水艇に取り付けられていたものと酷似しているという。 【河津啓介】

工作船:真相解明を北朝鮮に要求へ 防衛庁

2002年09月19日 Mainichi INTERACTIVE
 日朝首脳会談で新設が決まった両国の安全保障協議で、防衛庁は19日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船の目的、役割、具体的な活動の実態を明らかにするよう北朝鮮側に求めていくことを決めた。金正日総書記の「特殊部隊の訓練」という説明に、防衛庁は強い疑念を抱いており、交渉の前提として工作船の真相解明が不可欠と判断した。

 首脳会談で金総書記は「特殊部隊が自発的に訓練として行った」とし、自国の船だったことを明らかにしたが、工作船とは認めていない。

 しかし、昨年12月に奄美大島沖で銃撃戦の末に沈没した工作船は、高速航行のために四つのエンジンを備え、船内に小型船も収納されていた。防衛庁は装備や性能面から「何らかの対日工作のための船だったことは明らか」(同庁幹部)と見ている。

 奄美大島沖から引き揚げられた不審船は、海上保安庁が中心となり、船体や回収物の分析を進めている。これまでは、麻薬の密輸や対日工作員の輸送などに使われたのではないかと見られていた。

 防衛庁幹部は「訓練とはどんな訓練なのか。拉致事件と同様、実態が明らかにされなければ北朝鮮との懸案事項は解消されず、交渉は進まない」と話している。【宮下正己】

北朝鮮工作船から爆発物 自爆用か?

2002年09月18日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁によると、鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げられた北朝鮮の工作船に搭載された小型船の中から18日、爆発物が見つかった。自爆用の可能性もあるとみられる。

【日朝会談】不審船は特殊部隊の自発的訓練

2002年09月17日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の金正日総書記は17日の日朝首脳会談で、不審船事件について「特殊部隊が自発的に訓練として行っていた。今後は起こりえない」と表明した。(共同)

不審船:回収の無線機、日本製と判明 流通経路の解明進める

2002年09月16日 Mainichi INTERACTIVE
 鹿児島県・奄美大島沖の不審船事件で、5月の潜水調査で回収された無線機が日本製だったことが分かった。不審船は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)船籍の可能性が強まっているが、第10管区海上保安本部と鹿児島県警の合同捜査本部は、同国製の船体に、先進国の機器を取り入れてハイテク化を図っているとみて、回収品の製造番号などを元に、流通経路の解明を進める。

 回収された無線機は、大阪に本社のある大手無線機メーカーが製造した据え置き型で、受話器は別の場所で見つかった。比較的薄型で、最新のものではなかったという。13日に回収されたレーダースキャナー(レーダー用アンテナ)は兵庫県のメーカー製と分かった。

 90年10月、福井県美浜町の海岸に漂着し、福井県警が北朝鮮の工作子船と断定した船も、レーダーが日本製で、エンジンは米国製。一緒に見つかったゴムボートのエンジンも日本製だった。

 96年9月に北朝鮮の武装ゲリラが小型潜水艇で韓国に侵入した事件では、遺留品に日本、米国、カナダ、スイス、ドイツ、ロシアなど9カ国の製品があった。

 98年6月に韓国に拿捕(だほ)された北朝鮮の潜水艇からは、1958点の装備品中、GPS(全地球測位システム)など287点の日本製品が見つかった。98年12月に対馬沖で韓国軍に撃沈された北朝鮮の半潜水艇は、762点の装備品中、GPSやレーダー、水深測定器など70点が日本製品で、無線機は今回と同じ大阪のメーカー製。エンジンは米国製だった。

 一方、不審船の船体は、自国で建造された可能性が強い。北朝鮮は中古漁船を日本などから輸入しており、不審船は輸入船を改造しているという説もあった。しかし、海保の説明では、不審船は船底が高速航行に適したV字形で、漁船とは大きく異なる。公安関係者によると、北朝鮮は同型船を多数所有し、鋼鉄船の製造技術を持つのに加え、不審船の建造に携わった北朝鮮関係者の証言などもあるため、さびで傷んだ中古漁船の大幅改造より、コストが安い新規建造をしていると指摘する。

 このため、中古漁船の輸入は、高機能の船舶機器などを入手するためとみられる。

不審船:合同捜査本部、安全確認作業を開始 自動小銃など押収

2002年09月15日 Mainichi INTERACTIVE
 第10管区海上保安本部と鹿児島県警の合同捜査本部は15日、鹿児島湾に運んだ不審船の安全確認作業を始めた。この日は甲板上の一部を調査し、自動小銃1丁、手りゅう弾5個、弾帯などを発見、回収した。

 海保との銃撃戦での殺人未遂容疑の家宅捜索令状を得て調査した。作業は不審船を収容した台船のプールの水を少しずつ抜きながら進められた。

                   ◇

 第10管区海上保安本部は、現場海域での遺体収容を「これ以上の発見は見込めない」と14日で打ち切った。海中に消えた乗組員は少なくとも16人。遺体収容は4体で他は骨1片の収容にとどまった。

 不審船が巡視船との銃撃戦の後に爆沈したのは昨年12月22日。翌朝収容された2遺体は「筋肉質で鍛え抜かれた東洋系の男性」(海保職員)だった。海面や着衣からは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の地名が印刷された菓子袋とたばこが回収された。

 2月、カメラだけの無人水中調査で、海底に8体、船内と甲板上に各1体が写った。波間に見えた15人と船内に残った遺体から、乗組員は最低16人と推定された。

 5月の有人潜水調査の際に収容を目指したが、遺体は白骨化し始めていた。マジックハンドで海面近くまで上げ、甲板から別のダイバーが飛び込み、遺体を抱きかかえた。海中は視界が悪く水流も速かったため、8日間で収容できたのは2体だけだった。

 6月末、引き揚げ作業が始まった。遺体は骨になって散らばっているとみられたが、海保は「海難者」として収容作業を続けた。しかし度重なる台風などで船体近くに遺骨は見当たらず、見つかったのは1片だけ。9月14日、かごに入れ海底から引き揚げられた。

 4遺体は鹿児島市の市営墓地で無縁仏として眠っている。 【安達一成、河津啓介】

不審船:船内の小型舟艇は福井の工作船と酷似

2002年09月15日 Mainichi INTERACTIVE
 
 鹿児島県・奄美大島沖の海底から引き揚げた不審船の中から見つかった小型舟艇は、福井県美浜町で90年10月に回収された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の上陸用工作船とされる木造小型船に酷似していることが14日、分かった。海上保安庁と鹿児島県警の合同捜査本部は、小型舟艇内に国籍や目的を特定する手がかりが残っていないかなどを詳しく調べる。

 関係者によると、エンジンの取り付け方や船尾部分の形状が酷似しているという。今回の不審船から見つかった小型舟艇と、美浜町で見つかった小型舟艇は既に、ともに後部に3基のエンジンを備えている点などで共通点があることが分かっていた。

 美浜町の小型船からは、船内から暗号解読用の乱数表などが見つかったほか、漂着地近くに上陸用と見られる水中スクーターもあった。2人の北朝鮮の特殊工作員が遺体で確認されている。

 一方、今回の引き揚げでは潜水用ボンベも回収されている。漁船が潜水用ボンベを積むことはないため、不審船は北朝鮮のもので、目的の一つに日本でのスパイ活動があった可能性が高い。

証拠物回収作業を終了

2002年09月14日 The Sankei Shimbun
 第十管区海上保安本部(鹿児島)は14日、不審船が沈んでいた鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海での証拠物回収を続行し、船の推進器などを引き揚げた。「今後、重要証拠物の回収は見込めない」として作業を終え、作業船団は同日、現場から撤収した。

 十管は鹿児島湾に到着した不審船船体の安全確認を、15日から開始する。作業は船体が収容された水槽内の水を排出しながら実施。爆発物処理の専門知識を持つ海上保安庁職員が担当するという。

 十管によると、14日の作業で回収したのは推進器のほか、破損したレーダーの表示部分や人骨の一部、缶詰など約70点。推進器はスクリューなど一部分でエンジンは付いておらず、船外に取り付けるタイプではないという。

 航路解明に重要としていた衛星利用測位システム(GPS)は発見されていないとしている。

 船橋(ブリッジ)は崩れて、原形をとどめていなかった。2月の水中カメラによる調査の際には、船橋はまだ脱落していなかったという。船橋の側壁の一部も同日引き揚げた。

不審船載せた台船が鹿児島湾内入り

2002年09月14日 Yomiuri On-Line
 鹿児島県・奄美大島沖で不審船を収容した起重機台船「第六十吉田号」(1万5850トン)は14日午前7時ごろ、3隻のえい航船にひかれて鹿児島湾内に入り、午後1時、鹿児島市沖約2・5キロの海上に停泊した。第10管区海上保安本部(鹿児島)が約1週間かけて安全確認作業を行った後、不審船を陸揚げする。

 不審船を入れた船上の特設プールは灰色のシートで覆われ、船体は見えない。巡視船が台船を取り囲み、厳戒態勢を敷いている。

不審船:レーダースキャナなど20点回収

2002年09月13日 Mainichi INTERACTIVE
 第10管区海上保安本部(鹿児島市)は13日、鹿児島県・奄美大島沖で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船とみられる不審船の船橋天井(縦4メートル、横3メートル)と後部甲板室天井(同6メートル、同4メートル)、日本製のレーダースキャナ(レーダー用アンテナ)など約20点を回収した。現場は11日に引き揚げた不審船が沈んでいた近くの海底で、不審船本体の次に大きな構造物となる。軽機関銃1丁も初めて回収した。10管は14日も作業を続け、GPS(全地球測位システム)や電子機器類がないかどうかを含め、残存物の回収を進める。

 二つの天井部分はいずれも鉄製で、船体のあった場所から約20メートル離れた地点で発見。船体と同じ青色で焼けこげた痕跡はなかった。船橋にはレーダースキャナを支えるマストや白い手すりが付いていた。甲板室天井にはガスボンベのようなものが2本残っていた。

 ただ、アンテナにつながっていた機器やモニター画面は見つからなかったという。GPSなど航行経路解明につながる航法装置の捜索を続ける。

 一方、不審船を収容したクレーン付き台船「第60吉田号」(1万5850トン)は14日午前、鹿児島湾に到着する。 【河津啓介、内田久光】

不審船の8遺体確認を公表

2002年09月12日 The Sankei Shimbun
 第十管区海上保安本部(鹿児島)は12日、鹿児島県・奄美大島沖で沈没した不審船の引き揚げ作業の開始以前に、乗組員とみられる8遺体を船内や船体周辺で確認していたことを明らかにした。

 十管によると、遺体は機関室内で1体、甲板上で1体、船体周辺の海底に6体の計8体で、2月に実施した水中カメラによる調査などで確認したという。船体周辺の6体のうち2体は、5月の潜水調査の際に収容し、その事実も発表している。

 十管は、機関室の1体は船内に泥や油が流れ込んでいて視界が悪いため引き揚げ時には見えなかったとしており、残り5体も引き揚げの際には確認できなかったという。十管はこれら5体についても可能なかぎり収容したいとしている。

 一方、十管は12日、不審船を積んで鹿児島港に向けて出発した起重機台船以外の作業船を使い、引き続き現場海域に残された証拠物の回収作業を行った。

 十管は船体の引き揚げ作業時に障害となるものを海底に設置した3つのバスケットに集めていたが、1つは既に回収済みで、この日は残る2つを引き揚げた。

 また、十管は船体から分かれている船橋部分について、できれば原形のまま引き揚げたいとしているが、不可能なら、不審船の航路の解明につながる衛星利用測位システム(GPS)など今後の捜査に必要なものを選んで回収する方針を示した。

不審船船体、鹿児島へ 14日ごろ到着予定

2002/09/12 中国新聞
 鹿児島県・奄美大島沖の海底から引き揚げられた不審船を収容している起重機台船「第60吉田号」は十二日昼前に鹿児島港へ向け出発した。十四日ごろには鹿児島港に着く見込みだ。

 作業船の一部は、引き続き現場海域にとどまり、気象条件が整えば船橋部分など現場海域に残された証拠物を回収する。

 不審船は十一日午後、水深九〇メートルの海底から吉田号のクレーンで引き揚げられた。その後、空気に触れて腐食が進むことや船内に残された爆発物が暴発するのを防ぐため、甲板上に設置された水槽に収容された状態になっている。

 第十管区海上保安本部(鹿児島)は、船内などの安全確認を約一週間かけて行ってから、鹿児島市内に船体を陸揚げ。船籍や武装の程度、船体構造などについて詳しく調べる。

 吉田号は十二日朝から係留を解く作業を実施。予定の午後一時を一時間半早めて出発した。

不審船内に小型船1隻を発見

2002年09月11日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は11日、鹿児島県・奄美大島沖の海底から引き揚げた不審船の中に、小型船1隻が格納されていたと発表した。小型船は、船尾にある観音開きの扉の中に入っており、エンジンとスクリューがそれぞれ3基あるという。

 また、不審船は通常の漁船では考えられない特殊な船底の形をしており、高速航行に適した性能を持っていたことも判明した。船底の断面はV字形で、「滑走型」と呼ばれる軍艦などにみられる形状という。

 同庁は過去に日本近海で確認された北朝鮮の工作船とみられる不審船と、共通した特徴を有していたとみて詳しく調べる。

 海上保安庁によると、引き揚げられた不審船は外見上は中国漁船を偽装していた。しかし、通常の漁船は船底が「排水量型」と呼ばれる丸みを帯びた形をしており、「滑走型」はモーターボートや軍艦、巡視船などにしか使われない。

 同庁は不審船全体の特徴も公表。船体は鋼鉄製で、全長約30メートル、幅約5メートル。船首部にある機関室の屋根部分がなくなっており、エンジン4基が2基ずつ並んで前後に配置してあるのを確認した。

 不審船は、爆発を起こした後、3、4分で沈没したとみられるが、船体には爆発に伴うとみられる穴などは確認できなかった。

 引き揚げ後の会見で海上保安庁警備救難部の渡辺典正管理課長は「船底に穴がなかったのは意外だった。何らかの理由で船尾の観音開きの扉が開き、浸水し沈没した可能性もある」と述べた。

不審船を引き揚げ 銃撃・沈没から8カ月半

2002/09/11 中国新聞
 鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で昨年十二月、銃撃戦の末に沈没した朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船とみられる不審船の引き揚げで、第十管区海上保安本部(鹿児島)は十一日午後一時すぎ、クレーンを使った船体の引き揚げを終え、台船に収容した。船体は約八カ月半ぶりに、姿を現した。

 現場海域は中国の排他的経済水域内のため、中国船四隻や中国機も作業を監視した。

 海上保安庁によると、船体には三枚羽根のスクリュー四本が並んでおり、左右にはかじとみられる板が付いていた。また船尾にある観音開きの扉には中国浙江省の漁港「石浦」という地名が記されており、中国漁船を装っていたことが裏付けられた。

 船体の状況は、船橋部分は完全に脱落していたが、船底にはほとんど損傷はなく、作業で開けた水抜き穴以外の穴はなかった。

 引き揚げ後、船体を鹿児島湾に運び、約一週間かけて安全確認を行うことになっており、陸揚げは二十日前後になるとみられる。焦点は船籍の確定や船体構造の解明などに移る。

 十七日に行われる小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日総書記の首脳会談で、日本側は不審船を議題に取り上げる方針で、影響を与えそうだ。

 海上保安庁は、六月二十七日から作業を開始。度重なる台風の接近で何度も中断され、一カ月と見込まれていた作業期間は大きくずれ込んだ。

 不審船は昨年十二月、奄美大島の西北西約三百九十キロの東シナ海で、海上保安庁の巡視船と銃撃戦の末に沈没。これまでの調査で、十管は乗組員とみられる四遺体のほかロケット砲などを回収した。

 不審船はエンジンを四基搭載しており、上陸用のボートを収容するスペースを持つほか、携帯用の対空ミサイルを装備するなど重武装だったことが分かっている。

 十管によると、午前四時二十分ごろ、起重機台船「第60吉田号」からつり上げ用のワイヤを海中に下ろして作業を開始。同九時すぎからつり上げ始めた。

 途中でワイヤが絡んだため一時作業はストップしたが、ダイバーがほどいて、間もなく再開された。

 船体は船内の海水を抜いた上で、腐食防止などのため、台船甲板上の水槽に収容された。

船籍特定後、抗議の是非は慎重判断…不審船で政府

2002年09月11日 Yomiuri On-Line
 政府は11日、鹿児島県・奄美大島沖に沈没した不審船の引き揚げを受け、船籍の特定作業を進める一方で、船籍特定後の対応については慎重に検討する構えだ。

 政府内では、不審船の船籍について、「装備品などからみて北朝鮮であることに間違いない」(防衛庁幹部)と見ているものの、正式な特定は、安全確認などに時間がかかることを理由に、20日以降の不審船の陸揚げ以降に先送りする方針。17日の日朝首脳会談を控え、「不審船問題で日朝関係が暗礁に乗り上げるのは避けたい」(首相周辺)との判断があるためだ。

 船籍特定後、北朝鮮に抗議するかどうかも、訪米中の小泉首相が帰国してから慎重に判断する。

 一方、中国の排他的経済水域(EEZ)内に沈没した不審船引き揚げ作業に対して、中国側は、中国漁船が現場海域で操業できないことを理由に日本側に補償を要求。政府は「引き揚げ作業が終わることで、中国側も損害額をまとめるだろう」(外務省筋)とみており、中国側との協議を早急に進めたい意向だ。

不審船を引き揚げる起重機台船、現場に到着

2002年09月10日 Yomiuri On-Line
 鹿児島県・奄美大島沖で沈没した不審船を引き揚げる起重機台船「第60吉田号」(1万5850トン)は10日午前4時40分ごろ、現場海域に到着。午前7時過ぎからいかりを下ろし、船体を固定する作業を始めた。第10管区海上保安本部(鹿児島)によると、11日午前から引き揚げ作業に着手する見込みで、順調に進めば同日午後、9か月ぶりに海上に姿を現す。

    ◇ 

 10日午前8時前。現場海域に近づくと、吉田号が朝もやの中に浮かび上がってきた。クレーンの紅白のストライプが青い海に映える。中央には、不審船を引き揚げた後に保管する大きなプールも見える。周囲には、4、5隻の作業船が待機。数キロ離れたところでは、海上保安庁の巡視船数隻が警戒に当たっていた。(本社機から、西島 太郎)

作業船団、不審船沈没海域へ向け出航

2002年09月08日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の不審船引き揚げで、台風の影響を避けるため熊本県沿岸に避難していた作業船団が8日、現場海域に向け出航した。

 この日は、午前6時に船体をつり上げる起重機台船と、無人潜水艇を搭載した作業船が出航し、午後2時すぎにダイバーの支援母船が出航した。

 起重機台船以外の作業船は9日午後、台船は10日早朝に奄美大島の西北西約390キロの現場海域に着く予定で、最も早ければ11日にも引き揚げとなる。

 これまでの作業で、引き揚げの準備はすべて終了しているが、台風15、16号が相次いで接近したため先月27日以降、作業が中断していた。

能登沖不審船 4隻編成、出港か

2002年09月08日 The Sankei Shimbun
 能登半島沖日本海の不審船問題で、海上自衛隊哨戒機に撮影された不審船と同一とみられる工作船を含む計4隻が先月末、北朝鮮東岸の軍港を相次いで出港した形跡があることが7日、米当局から日本側に提供された偵察衛星情報で明らかになった。この4隻は、工作船が訓練を含む作戦行動に出る場合にみられる編成で、今回の不審船が北朝鮮工作船であることを示す有力情報という。政府、防衛庁など日本の安全保障当局もこの情報を把握しているもようだが、日朝首脳会談への影響を懸念、今後、分析に活用されず“凍結”される可能性も指摘されている。

 安保当局者によると、出港した形跡があるのは、30メートル級の工作船3隻と補給船1隻。北朝鮮の主要な軍港や軍事拠点などを監視しているNRO(米国家偵察局)の衛星が、先月末、それまで清津港の桟橋に停泊していた50メートル級貨物船に偽装した補給船が姿を消していることを把握した。

 また、4日に能登半島沖で海自哨戒機P3Cが撮影した不審船と同一とみられる工作船も清津港に停泊していたが、先月末から姿が見えなくなり、同じころ、さらに2隻の工作船も順次、消えていたという。

 北朝鮮工作船は、目的に応じて複数で出動することがあるが、作戦行動が長期間に及ぶ場合は、それらの工作船に洋上で食糧、燃料などを補給する補給船も同行するとみられる。

 能登沖での不審船の活動に関する情報は、こうした動きを受け、米当局から今月2日までに日本の安保当局にもたらされたとみられる。

 清津は北朝鮮東岸北部の港湾都市で、朝鮮労働党の工作機関「作戦部」が管理する工作拠点「清津連絡所」があるとされる。作戦部は対南(韓国)、対日工作を担当する工作員の上陸や収容の支援、戦闘員の訓練、偵察などを担当する機関。

 北朝鮮亡命者らによると、その工作船は、工作活動以外にも洋上訓練のため、日本海を頻繁に航行しているとされる。今回、能登半島沖で発見された不審船は、船尾の観音開きの扉や、推定されるスクリューの位置などから過去に確認されている工作船に酷似。北朝鮮による洋上訓練か対日陽動工作との見方もある。

 しかし政府、防衛庁関係者は「煙突部分に北朝鮮国旗の塗装があり、意図や船籍も含め、すべての情報、判断を慎重に取り扱う必要がある」としている。

 政府がこのような慎重姿勢を取る理由は「日朝首脳会談を控え、北朝鮮を刺激したくないため」(外交筋)とみられるが、在日米軍関係者は「こうした状況下では衛星による工作船情報の分析や安全保障上の判断が停止し、工作船の活発な活動実態などがうやむやにされかねない」と指摘する。

不審船、11日引き揚げへ準備着々

2002年09月07日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の不審船引き揚げで、第十管区海上保安本部(鹿児島)は7日、台風16号の影響を避けるため熊本県沿岸に避難していた作業船団を8日に、現場に向けて出航させることを決めた。

 船体をつり上げる起重機台船や無人潜水艇を搭載した作業船などは午前6時に、ダイバーの支援母船は午後3時に出航する。起重機台船以外の作業船は9日午後、台船は10日早朝、それぞれ現場に着く予定。最も早ければ、11日にも引き揚げとなる。

 これまでの作業で、つり上げワイヤの船体への取り付けなど引き揚げの準備はすでに完了していたが、台風15号の接近に伴い先月27日に作業船団が現場から避難。その後、台風16号も発生したため、2週間近く作業は中断されていた。

 先に着いた作業船が、潜水艇で不審船船体の状況などが中断の間に変わっていないか確認。起重機台船到着後、十数時間かけて台船などを係留し、船体のつり上げに取り掛かる。

 扇千景国土交通相は3日の閣議後会見で、早ければ11日にも引き揚げが可能との見方を示している。十管も「10日早朝から波が静まる予測になっている」として早期の引き揚げに意欲を見せている。

 船体は鹿児島まで運ばれ、約1週間の安全確認の後に陸揚げされる予定。

不審船引き揚げ、12日以降に

2002年09月06日 Yomiuri On-Line

 鹿児島県・奄美大島沖の不審船引き揚げで、第十管区海上保安本部(鹿児島)は6日、台風16号の接近で避難していた作業船団の出港が8日以降になると発表した。これにより早ければ11日とみられていた船体引き揚げは12日以降にずれ込む見通しとなった。

 十管によると、台風16号の速度が遅く、現場海域では波の高い状態が続いているため、予定していた避難先からの7日の出港を見送った。

 作業船団の出港後、すべての船が東シナ海の現場海域に到着するまでに3日間かかる。十管は潜水艇などで、不審船船体の状況が作業中断の間に変わっていないかを確認した上で、起重機台船などを係留し、船体のつり上げに取り掛かる。

不審船数隻、北朝鮮を出港…日米が電波傍受

2002年09月06日 Yomiuri On-Line
 石川県・能登半島沖の不審船問題で、不審船が一時、日本の排他的経済水域(EEZ)内を航行していたことと、海上自衛隊が発見する数日前、この不審船を含む数隻が北朝鮮の港を出航していたことが明らかになった。米国から日本政府への情報提供に基づいた確認作業で分かった。政府はこれまで不審船はEEZ外で発見され、その前の航跡は不明だとしてきた。また、北朝鮮から出港したことも伏せてきた。

 複数の政府筋によると、北朝鮮の港を常時監視している米国の軍事用の静止衛星が数日前、複数の不審船がほぼ同時に出航したことを確認し、防衛庁などに伝えた。これを受け、日米両政府は日本国内の電波傍受施設をフル稼働させて不審船に関する情報収集を進めたが、一時、捕捉不能となった。

 4日になって日米両国の傍受施設が、秋田県・男鹿半島沖の約370キロ付近で北朝鮮特有の電波を発して航行している不審船を発見した。この段階では漁業法違反などに問うことが可能なEEZ内だった。

 ただ、電波傍受では電波を発信している不審船の正確な位置を限定することが出来ないため、同日午後、海自の哨戒機P3Cを現場海域に派遣した。同日夕、P3Cが不審船を視認した時には、すでにEEZの外に出ていた。発見された不審船以外の船については、現在までどこに位置しているのか確認されていない。

不審船対策室を設置

2002年09月04日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は横山鉄男警備救難部長を本部長とする「日本海中部海域不審船対策室」を設置した。

不審船か、船艇15隻出動

2002年09月04日 The Sankei Shimbun
 日本海に不審船が現れたとの情報があり、4日、海上自衛隊のP3C哨戒機などが出動した。海上保安庁によると、午後5時15分、防衛庁から「能登半島北北西約400キロの海域で、不審な船を発見」との情報を入手、巡視船艇15隻に出動を命じた。

 海上保安庁は横山鉄男警備救難部長を室長とする「日本海中部海域不審船対策室」を設置した。同庁によると、防衛庁から通報のあった不審船の位置は、日本の排他的経済水域(EEZ)の外側。

 海上自衛隊は鹿児島県の鹿屋基地所属のP3Cを現場海域に派遣、追跡を続けていた。

 福田康夫官房長官は4日午後の記者会見で、不審船の情報について「わたしどもは確認していない」とし、自衛隊や海上保安庁からの報告内容についても「申し上げられない」と述べた。

不審船、早ければ11日に引き揚げ

2002年09月03日 The Sankei Shimbun
 扇千景国土交通相は3日の閣議後会見で、鹿児島県・奄美大島沖で沈没した不審船について、早ければ11日にも引き揚げが可能との見通しを示した。

 扇国交相によると、台風16号が5日ごろに現場海域を通過するとみられ、8日から現場での作業を再開。11日ごろに船体を引き揚げて台船に回収。鹿児島沖に回航し、船体の安全確認をした後に陸揚げするという。

 不審船の船籍特定の時期については明言しなかったが「作業は淡々と進めており(17日の)日朝首脳会談に合わせて作業を遅らせているということはない」と述べた。

不審船:政府、国籍特定されても制裁見送る方針

2002年09月02日 Mainichi INTERACTIVE
 政府は1日、東シナ海で引き揚げ作業中の不審船が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)船籍と断定された場合でも、対応は抗議にとどめ、98年のテポドンミサイル発射時のような制裁措置は見送る方針を固めた。日本一国の制裁措置では効果が限られることに加え、17日の日朝首脳会談など関係改善の動きを通じ工作船活動をやめさせるのが現実的と判断した。

 不審船について政府は捜索で見つかった北朝鮮製のたばこなどから、北朝鮮船籍との見方を強めている。「日本の安全保障に重大な脅威」として与党から制裁を含む厳しい対処要求があるが、政府内では「対話の流れを止めることが日本の利益になるのか考える必要がある」(外務省幹部)との意見が強まった。

 北朝鮮への制裁措置はテポドン発射時にチャーター航空便の運航停止などを実施、99年の工作船による日本領海侵犯で制裁を継続したが、北朝鮮の国際社会への関与を求める国際世論の下でなし崩し的に解除した。

不審船引き揚げは9月にずれ込み

2002年08月26日 The Sankei shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の不審船引き揚げで、第十管区海上保安本部(鹿児島)は26日、日本近海に接近している台風15号の影響を避けるため、近日中に作業船を現場海域から避難させると発表した。今週中にも行われる見通しだった引き揚げは、9月にずれ込むことが確実になった。

 十管の黒木正警備救難部長は会見で「8月中には事実上引き揚げはできない」と話した。既に、船体をつり上げる起重機台船は、台風を避けるため25日に奄美大島付近の待機場所を離れている。

 十管によると、引き揚げに向けた準備作業は最終段階に入っており、この日は午前5時すぎから、ダイバーが既に取り付けられた船尾側のつり上げワイヤを束ねた後、船体左舷の中央に縦10センチ、横30センチの水切り穴を2カ所開けた。

 午前8時半ごろから潮流が速くなったため作業を一時中断したが、同日夕に再開、右舷側に水切り穴を2カ所開ける作業などをした。

ワイヤ取り付けて不審船引き揚げ準備

2002年08月24日Yomiuri On-Line
 第十管区海上保安本部(鹿児島)は24日、鹿児島県・奄美大島沖に沈没している不審船をつり上げるためのワイヤ2本を船体に取り付ける作業を終えた。引き揚げ準備は、船内の海水を抜く穴を開ける作業などを残し、大半が終了した。

 十管は今週中の引き揚げを目指しているが、太平洋上に台風15号が発生したため、気象状況を見極めながら実施日を慎重に検討している。

防衛庁:無人偵察機の導入検討 不審船対策

2002年08月18日 Mainichi INTERACTIVE
 防衛庁は不審船対策として、航空自衛隊と陸上自衛隊にそれぞれ無人偵察機(UAV)を初導入する方向で検討に入った。不審船の発見、監視、識別などに活用する。昨年12月に東シナ海で沈没し、引き揚げ作業中の不審船から対空ミサイルなど強力な武器が見つかったため、今後、有人機での接近は危険と判断した。空自では、米軍のアフガニスタン攻撃で注目された無人偵察機「プレデター」タイプの独自開発も検討している。

 防衛庁はこれまで、海自の哨戒機P3Cで不審船の警戒・監視を行ってきた。東シナ海の不審船もP3Cが発見した。

 しかし沈没した不審船はミサイルや対空機関砲を搭載。P3Cで撮影するには、船に約500メートルまで接近しなければならず、対空武器の射程内に入り撃墜される危険性が指摘されていた。

 空自は、技術研究本部がこのほど試作した多用途小型無人機(固定翼ジェット機、全長4・7メートル)をベースに日本版「プレデター」を開発する方向。現在は戦闘機に搭載し空中発射するタイプだが、これを陸上発着型に改良、GPS(全地球測位システム)などの誘導システムで数千メートルの高度をマッハ1弱で飛ぶ。センサーで目標物を見つけ、画像データを陸上施設にリアルタイムで送ることを考えている。

 火山噴火や大規模地震など災害時も活用できる。今年度中に運用方法や技術面を詰める方針で、導入は最短でも4年後の見通しだ。機体価格は数億円程度という。

 一方、陸自は小型の回転翼式を検討中。主に有事の際に敵地を偵察し、相手の規模や動きを把握するのが目的で、沿岸部での不審船や武装工作員の動向もとらえる。独自開発か海外からの購入かの検討を進め、早ければ来年度予算案に費用を計上する方針だ。

 ただ、導入に向けては、飛行の信頼性や安全性の問題も含め、解決しなければならない課題もある。 【宮下正己】

<プレデター>

 赤外線探知機やカメラ、全天候型レーダーを搭載して3000〜6000メートルの低空を飛行し、撮影した映像をリアルタイムで送信、攻撃機の素早い展開を助けることが主な役割。全長約8メートルで、目的地の上空で最高約40時間活動できる。米空軍が開発し、CIAが運用している。ただ、エンジン音が大きく発見されやすい欠点も指摘されている。ミサイルを備えた「攻撃型プレデター」もあるが、詳細は明らかになっていない。米空軍を中心とした99年のコソボ空爆で、約600機が初めて実戦投入された。

不審船引き揚げ作業船が現場離脱

2002年08月18日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の不審船引き揚げで、第十管区海上保安本部(鹿児島)は17日、台風13号の影響で気象条件が悪くなるとして、つり上げ用ワイヤを船体に取り付ける作業を中断し、作業船などを現場海域から離脱させることを決めた。同日中に避難を開始した。

 この日は朝から、ダイバーが不審船船体の後部につり上げ用ワイヤを取り付けるための準備作業などを実施。既にこれまでの作業で、船体前部にはつり上げ用ワイヤが取り付けられている。

 作業再開後に後部のワイヤを取り付け、船体に水切り穴を開ければ、不審船引き揚げの準備が整う。

不審船:鋼鉄製で、エンジン4基搭載 造船技術に制約

2002年08月11日 Mainichi INTERACTIVE
 鹿児島県・奄美大島沖に沈む不審船は、材質が鋼鉄製の「鋼船(こうせん)」で、エンジンを4基搭載していることが分かった。重量がある鋼船を超高速で航行させるために、エンジンを通常の倍に増やしたとみられる。ただ、不審船は逃走時に低速航行しかしておらず、捜査当局は船体引き揚げによって、その理由の解明も目指している。

 海上保安庁と鹿児島県警の合同捜査本部がこれまでに実施した有人潜水調査の結果、不審船は船体の下回りや甲板上の部分まで、すべて鋼鉄製だった。また、エンジンは船首付近に2基ずつ縦列に配置されていた。これだと時速40ノット(約75キロ)以上の超高速航行が可能になる。また、前部にエンジンを置くことで高速時の船体の安定が図られ、後部に別の小船を格納するスペースも確保できるとみられている。

 造船関係者によると、漁船の材質は現在、鋼鉄から、強度があって軽いFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やアルミが主流になりつつある。しかし、造船や改造を行う場合、鉄に比べて特別な設備と技術が必要になるという。

 不審船は、回収物などの分析から朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のものである可能性が高い。米国の情報機関や日本の捜査当局は最近、日本から中古漁船2隻を輸入した北朝鮮の会社が「我が国ではFRPやアルミを取り扱うことができない」として返却した事実を把握している。アルミ溶接設備はココム(対共産圏輸出調整委員会)や、96年にそれを引き継いだ「ワッセナー取り決め」の輸出規制品でもあり、北朝鮮では鋼船しか建造できなかったのではないかとの見方を強めている。

 一方、引き揚げ作業は今月2日に船体下部にワイヤを通す作業に入ったものの、波が荒れて2日後に中断して以降、再開されていない。残る作業は18日間程度あるため、引き揚げが9月にずれこむ可能性も出ている。

船の画像データベース整備 不審船対策で海保

2002年08月08日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は8日、北朝鮮の工作船とみられる不審船が、日本の漁船などを偽装しても、すぐに見破れるよう船舶の画像データベースを整備することを決めた。来年度予算の概算要求に整備費を盛り込む方針。

 同庁によると、不審船は100トン前後の漁船を装っていることが多い。このため海上保安庁のホストコンピューターに国内外の漁船の船名や船籍などとともに、船の写真を取り込んだデータベースを整備。巡視船や航空機から電送されてきた不審船の画像と照らし合わせ、普通の漁船を装ってもすぐに識別できるようにする。

 当面、約1万隻あるとされる日本船籍の100トン前後の漁船のデータベースを作り、その後、外国の漁船なども対象に加える。日本漁船のデータベースを完成するのに1年前後かかる見通し。

 1999年に能登半島沖で発見された2隻の不審船は、船籍が抹消されるなどした日本漁船名が船体に書かれており、昨年12月に鹿児島県・奄美大島沖で巡視船との銃撃戦の末に沈没した不審船は中国の漁船を装っていた。

 海上保安庁は画像データベース以外にも、武装した不審船への対処のため、巡視船艇の防弾対策や高速大型巡視船の整備なども進める。

海保新長官:「今月末までに不審船引き揚げ」 就任会見で決意

2002年08月01日 Mainichi INTEARACTIVE
 海上保安庁の深谷憲一新長官(55)が1日、東京・霞が関の同庁で就任会見を行った。相次ぐ台風で遅れ気味の不審船の引き揚げ作業について、「今月末までには完了させたい。(作業の越年や断念などは)考えていない」と述べ、船の国籍や活動目的の解明に強い決意を表した。

 また、不審船による新たな領海侵犯事件が発生した場合の防衛庁との連携などについて、「情報は共有するが、第一に海保で対応する考えに変わりはない。領海侵犯事件については、国内法令や国際条約で許される範囲で今後も毅然と対応する」と話した。

 不審船の重武装ぶりが明らかになっていることについては、「厳しい財政事情だが、船底の大型化や武器の高機能化など、必要な装備の充実に理解を求めたい」と述べた。

 深谷長官は71年京都大法卒。国土交通省航空局長を経て現職。【窪田弘由記】

不審船:銃撃受けた巡視船の船体の一部を公開 横浜

2002年07月28日 Mainichi INTEARACTIVE
 昨年12月に鹿児島県奄美大島沖で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)船籍とみられる不審船に銃撃された巡視船「あまみ」の船体の一部が28日、横浜市中区新港町の横浜海上防災基地で一般公開された。海上保安庁が被弾した船橋部分などを切断して、19日の北海道小樽市を皮切りに、全国9カ所で巡回展示している。

 訪れた人たちは「やっぱり映像よりも、実物はすごいですね」と、くもの巣状になったガラスなどを食い入るように見つめていた。 【米田堅持】

作業再開へ向け出航 不審船引き揚げ

2002年07月28日 The Sankei Shimbun
 台風の影響を避けるため避難していた不審船引き揚げの作業船4隻が28日、作業再開のため奄美大島沖の現場海域へ向けて出航した。

 第十管区海上保安本部(鹿児島)によると、4隻は同日午後3時ごろ、避難先から出航。29日夜に現場に到着する予定で、気象条件などが整えば、30日朝にも作業を再開する。

 再開後は、ダイバーによる不審船船上にある障害物の除去を予定している。

 4隻は台風の影響を避けるため、23日夜に避難。十管は避難先を明らかにしていない。

不審船船体、上下2つに分離

2002年07月27日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海に沈没している不審船の船体が、船橋を含む船体上部と、それより下の本体部分の2つに割れて分離していることが27日、分かった。船体の引き揚げ作業の委託を受けているサルベージ会社の担当者が、月刊誌「世界の艦船」(海人社)9月号に報告した。

 今後の引き揚げ作業に影響が出る可能性もあるが、第十管区海上保安本部(鹿児島)は「(沈没から半年以上たち)完全な原形であるはずはないだろうが、具体的にはコメントできない」としている。

 報告によると、これまでのダイバーや水中カメラによる潜水調査で、不審船は海底に埋まることもなく(ぐらぐらせず)安定した状態だが、船橋を含む上部構造物は本体から分離していることが確認できたという。

 これまでの十管の調査などによると、水中視界が悪いことなどから船室内部の様子は分かっていないが、船橋には航海記録が残された計器類がある可能性もある。

不審船引き揚げ作業 20日ぶり再開

2002年07月21日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は21日朝、台風などの影響で今月2日から中断していた鹿児島県・奄美大島沖の不審船引き揚げ作業を20日ぶりに再開した。

 同日朝から、同島沖西北西約390キロの現場海域で、無人潜水艇を使い、水深約90メートルに沈んでいる不審船周辺の障害物除去作業を始めた。

 また、作業の遅れを取り戻すため、追加派遣される無人潜水艇を載せた作業船「あせあん丸」(1、380トン)も同日朝、北九州市の門司港を出港した。あせあん丸は23日朝には現場海域に到着し、これまでに投入された作業船など4隻と合流。搭載した全長2・3メートルの無人潜水艇を使い、不審船周辺の障害物除去などを行う。

 引き揚げ作業は、当初7月末に終了する予定だったが、相次ぐ台風の影響などで大幅に遅れている。

不審船引き揚げ 無人潜水艇1隻を追加派遣

2002年07月20日 The Sankei Shimbun
 第十管区海上保安本部(鹿児島)は20日、台風などの影響で今月2日から中断している鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海の不審船の引き揚げ作業に、新たに無人潜水艇1隻を追加派遣すると発表した。潜水艇は無人、有人合わせて計3隻となり、作業の遅れを取り戻したいとしている。

 新たに派遣されるのは無人潜水艇の支援母船「あせあん丸」(1、380トン)。搭載している全長2・3メートルの無人潜水艇を使い、引き揚げに向け不審船周辺の障害物の除去などを行う。

 あせあん丸は21日午前6時、北九州市の門司港を出港し、奄美大島西北西390キロの作業現場に、23日朝到着する予定。

 作業にはこれまで、有人、無人潜水艇各1隻と、ダイバーの作業船と支援船が各1隻投入されており、天候の状況を見ながら、21日朝にも作業再開を予定している。

不審船対応:海自と海保が高速船艇で初の合同訓練

2002年07月17日 Mainichi INTERACTIVE
 相次ぐ不審船事件に対応するために新造された海上自衛隊舞鶴地方隊(京都府舞鶴市)の高速ミサイル艇「はやぶさ」「わかたか」(いずれも200トン)と舞鶴海上保安部(同)の巡視船(高速特殊警備船)「ほたか」(220トン)が17日、舞鶴市沖の若狭湾で、初めての合同訓練を行った。

 3船艇は、99年に能登半島沖の日本海で起きた不審船による領海侵犯事件を受けて建造。巡視船は昨年3月に、ミサイル艇は今年3月に配備された。この日は、3隻が連携を取りながら、高速航行や蛇行、隊形訓練などを行った。【千葉修平】

防衛庁と海保、高速艇使い16日に不審船訓練…舞鶴沖

2002年07月14日Yomiuri On-Line
 防衛庁と海上保安庁は16日、京都・舞鶴沖などで、高速艇による初の共同訓練を行う。昨年12月に鹿児島県・奄美大島沖で起きた不審船事件を踏まえ、高速で航行する不審船を、追跡、捕獲するため両庁の連携強化を図るのが目的だ。現在改定作業を進めている不審船に対する「共同対処マニュアル」にも訓練の結果を反映させる。

 訓練に参加するのは海上自衛隊の高速ミサイル艇(200トン)と海保の高速特殊警備艇(220トン)。いずれも、1999年3月、能登半島沖で領海侵犯した北朝鮮の不審船が35ノット(時速約65キロ)前後で逃亡し、日本の巡視艇などが追いつけなかった反省から、相次いで建造された。

 高速ミサイル艇は、対艦誘導ミサイル(ハープーン)をはじめ、76ミリ速射砲などが装備されており、最大44ノット(時速約80キロ)のスピードが出る。

 奄美大島沖に沈没している不審船には携帯式ロケット砲や赤外線探知型の自動追尾式地対空ミサイルなどが搭載されていたことが判明した。このため、一定の距離を確保しながら追跡し、不審船を停船させる作戦が検討されている。

不審船:3000万元の漁業補償求める 日中協議で中国側

2002年07月10日 Mainichi INTEARACTIVE
 【北京・浦松丈二】昨年12月に東シナ海の中国側排他的経済水域(EEZ)で沈没した不審船の引き揚げをめぐる日中両国政府の協議が10日、北京で行われた。外交筋によると、中国側は漁業補償要求について、総額3000万元(約4億5000万円)と初めて具体的な額を示した。日本側は作業の進ちょく状況や今後の計画を説明し、補償額の根拠をただした。

 6月末の船体引き揚げ開始後、両国の政府間協議は初めて。中国側は、過去の漁獲高などから補償額を算出したと説明したという。対象期間は昨年12月の事件発生から引き揚げが終わる7月末までを想定している。

 協議終了後、北京の日本大使館は「中国側の要求を引き続き真剣に検討し、できるだけ速やかに誠意をもって対応する」と中国側に伝えたことを明らかにした。

中国、不審船補償3億要求

2002年07月05日Yomiuri On-Line
 鹿児島県奄美大島沖で沈没した北朝鮮工作船と見られる不審船引き揚げに関連し、中国政府が引き揚げ作業に伴う漁業補償として、約3億円を日本政府に要求していることが5日、分かった。

 中国側は当初、約4億6000万円を要求したとされるが、その後、要求額を引き下げ、引き揚げ作業に伴う海洋汚染の補償も含めて約3億円で折り合う姿勢を示しているという。

 日本側は、引き揚げ作業が終了した時点で補償額を詳細に算定したい考えだが、最終的に1億円程度で収まる可能性もあるという。

中国、漁業補償5億円要求 不審船引き揚げ

2002年07月05日 The Sankei Shimbun
 東シナ海の中国の排他的経済水域(EEZ)に沈没した不審船の引き揚げをめぐり、中国政府が日本政府に対し漁業補償として約5億円を払うよう要求していることが5日分かった。日中関係筋などが明らかにした。

 日本側は「1億円程度」(同筋)に収めたい意向で、漁業補償をめぐる交渉は引き揚げ作業と並行して本格化する。

 中国側はこれまでの協議で漁業補償は求めていたが、具体的な額は明らかではなかった。

 北京の外交筋によると、中国側の要求は過去の漁獲実績を基に、不審船が沈没した昨年12月22日から、引き揚げ作業終了までを見込んだ補償額。事件直後から起算したのは、日本側の巡視船が事件後からずっと現場海域で警戒を続けているためとしている。

 日本政府は引き揚げ作業経費として約59億円を計上したが、漁業補償はこれとは別枠。6月18日の引き揚げに関する日中合意では「中国側の要求に誠実を持って対応する」と約束している。

 政府内には「人の庭を使う以上、補償に応じざるを得ない」という意見がある一方、「補償の前例」を作るのは好ましくないため「協力金」など別の名目にする案もあり、最終的な対応は決まっていないとみられる。(共同)

作業船2隻が門司港を出航 不審船引き揚げ

2002年07月04日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で沈没した不審船の引き揚げで、作業船第二陣として潜水作業員の支援母船「航洋丸」(2、474トン)と同船の作業を補助する「若潮丸」(493トン)の2隻が4日午後、北九州市の門司港を出航した。

 台風5号の進路などを見ながら現場海域へ向かう。

 潜水作業員は水深約90メートルに沈む不審船をつり上げるためのワイヤを船底に通す作業や、船上の障害物除去などを行う。

 現場では別の作業船2隻が先月27日から潜水艇による障害物の除去などを行っていたが、台風5号の接近により両船とも今月1日に避難、作業は中断されている。

 航洋丸など2隻の出航は予定通りだが、台風の進路や勢力を見ながら現場に向かうとしており、引き揚げ作業の遅れは必至だ。

不審船:台風5号の接近に伴い順次避難 海上保安本部

2002年07月01日 Mainichi INTEARACTIVE
 鹿児島県・奄美大島沖に沈んだ不審船を引き揚げ作業中の第10管区海上保安本部(鹿児島市)は、台風5号の接近に伴い、作業船や巡視船を1日夜から順次、現場から避難させた。避難先は、沖縄本島や奄美大島、九州南部などを予定している。

 鹿児島地方気象台によると、1日午後6時現在、大型の台風5号がフィリピンの東海上を北上しており、4日にも現場海域は暴風域に入る見込み。

 一方、1日の作業は、午前中は無人潜水艇が、午後からは有人潜水艇も加わり、船体周辺の漁網などの障害物を除去した。この際、弾帯1点など遺留品数点を回収した。弾帯は機関銃などに弾丸を供給するベルト状の装備で、実弾は残っていなかった。現場海域には中国政府の監視船2隻が出動した。 【河津啓介】

作業再開し数点の回収物【不審船引き揚げ】

2002年06月30日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で昨年末に沈没した不審船の引き揚げで、第十管区海上保安本部(鹿児島)は30日、悪天候で2日間中断していた潜水艇による船体周辺の障害物の確認作業などを再開した。

 午前8時ごろから、無人潜水艇が奄美大島沖390キロの現場海域で漁網やロープなどの障害物の確認、除去作業を実施。船体周辺から数点の物品も回収し、分析や整理を進める。波高2メートルと条件が良くないため、有人潜水艇での作業は見合わせた。

 現場海域ではこの日、中国船2隻が確認された。

 7月1日も、気象条件が良ければ有人、無人潜水艇で同様の作業を行う予定。

2日連続で作業見合わせ 不審船引き揚げ

2002年06月29日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海に沈む不審船の引き揚げ作業をしている第十管区海上保安本部(鹿児島)は29日、天候不良のため28日に引き続き、2日連続で作業を見合わせることを決めた。

 十管によると、朝から有人、無人の両潜水艇を潜らせて船体周辺の障害物の確認や除去作業を実施する予定だったが、現場海域の波が高い状態が続き、好転が期待できないため、同日午後1時にこの日の作業中止を決定した。

不審船引き揚げへ、潜水作業を開始

2002年06月27日 Yomiuri On-Line
 鹿児島県・奄美大島沖で沈没した北朝鮮の工作船とみられる不審船の引き揚げに向け、サルベージ会社の支援母船「新洋丸」(498トン)と「新辰丸」(657トン)は27日午前、現場海域で潜水作業を始めた。水深約90メートルの海底に沈んでいる不審船や、手りゅう弾など船体周辺の障害物の状況を調査している。

 午前8時、「新洋丸」から有人潜水艇の白い船体がクレーンで海中に降ろされた。続いて、向かいに停泊している「新辰丸」から黄色の無人潜水艇も専用のケースとともに海に降ろされ、本格的な引き揚げ作業が始まった。

 この日の現場周辺は穏やかに晴れ上がり、海上のうねりもほとんどなかった。中国の漁船とみられる船も少なく、指揮を執る第3管区海上保安本部(横浜)の巡視船「いず」が近くで待機していたほか、警戒を続ける数隻の巡視船も静かに作業を見守っていた。

波高く潜水艇作業を延期 不審船引き揚げ

2002年06月26日 The Sankei Shimbun
 
 鹿児島県・奄美大島沖西北西約390キロの東シナ海に沈んでいる不審船の引き揚げで、第十管区海上保安本部(鹿児島)は26日、波が高く気象条件が整わなかったとして、潜水艇を使った本格的な作業の開始を27日以降に延期した。

 作業船2隻は午前7時から準備を始め、午前と午後にそれぞれ約3時間、潜水艇で不審船の船体やその周辺の障害物などの状況把握をする予定だった。しかし波が高い状態が続いたため作業船から潜水艇を海中に下ろすことができず、十管本部が午後3時、延期を決めた。

 気象条件が良ければ、27日午前8時から潜水艇作業に着手する方針。

 十管本部は、作業船から潜水艇を下ろす際の波の高さの目安を1・5メートル以下としているが、26日午後3時の現場海域の波高は2・5メートルだった。

 黒木正・十管本部警備救難部長は26日午後の記者会見で「今日実施したかったが、安全が第一。次の段階まではまだ余裕があり、潮汐(ちょうせき)も良くなるようなので、現時点で(作業日程が)押し迫っているとは思っていない」と話した。

 気象庁の予報によると27日の現場海域は、波の高さが1・5メートルで、うねりは徐々に収まるという。

作業船の第1陣が出港 不審船引き揚げ

2002年06月22日 The Sankei Shimbun
 鹿児島県・奄美大島沖で巡視船との銃撃戦の末に沈没した不審船引き揚げで、不審船近くの障害物を取り除く無人潜水艇を積んだサルベージ会社の作業船「新辰丸」(657トン)が22日、横須賀港を出発、不審船の沈没現場に向かう。

 鹿児島港から24日に出港する有人潜水艇を搭載した作業船「新洋丸」(498トン)と25日夕に現場海域で合流し、作業を始める予定。

 引き揚げ作業の準備として、有人潜水艇の乗組員に誘導された無人潜水艇が、マジックハンドを使い、水深約90メートルに沈んだ不審船の周辺にある漁網などの障害物を取り除く。

 取り除く作業は6日間前後かかるとみられ、その後、ダイバーが船体をつり上げるワイヤを取り付ける。

プール付き特殊台船を使用【不審船引き揚げ】

2002年06月21日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁が21日明らかにした不審船の引き揚げは、クレーンで海面までつり上げた後、船内の爆発物の爆発などを防ぐため、プール付きの特殊な台船に載せ海水につけた状態で陸地まで運ぶという手順だ。クレーンによるつり上げ作業は波の高さが1メートルを超えるとできなくなるなど厳しい条件となっている。

 作業手順は(1)マジックハンド付きの無人潜水艇や、船で引っ張り海底をさらうくま手状の器具で不審船周囲の障害物を除く(2)ダイバーが不審船の船首、船尾部分の2カ所にワイヤを取り付ける(3)クレーンで海面までつり上げ、台船に設置された海水プールにつけて運ぶ−となっている。

 不審船(推定100トン)を運ぶ台船は全長141メートル、幅36メートル。700トンのつり上げ能力のあるクレーン船を搭載しているほか、今回の作業のため船尾に長さ35メートル、幅5・5メートル、深さ3メートルのプールを特別に設置した。不審船がすっぽり収まるサイズ。

 船体を海水につけるのは、船内に残されている恐れのある爆発物が、空気に触れることで不安定となり爆発するのを防ぐほか、船体の酸化、腐食を防ぐ効果もある。

 不審船近くの障害物の除去に6日間前後、船体へのワイヤ取り付けなどつり上げ準備に20日間前後、その後、海底からつり上げて台船に載せ、作業を終えるまで2日間前後かかるとみられる。つり上げ自体は5、6時間で終わるとみている。

 現場海域は、風速10メートル、不審船を海底から台船までつり上げる間は波の高さが1メートル(それ以外の作業は1・5メートル)を超えると作業ができないなど厳しい条件となっている。

漁業補償は継続協議…不審船引き揚げ

2002年06月18日Yomiuri On-Line
 日中両政府は18日、北京の中国外務省で、鹿児島県奄美大島沖で沈没した北朝鮮工作船と見られる不審船の引き揚げに関する文書を交換し、「日本側による引き揚げに中国が異議を唱えない」とする合意事項を確認した。焦点となっている中国側への漁業補償については、日本政府が「中国側の要求を引き続き真剣に検討し、出来るだけ速やかに誠意を持って対応する」として、今後も協議を継続することになった。

 交換文書では、日本側は引き揚げ作業に伴う海洋環境の汚染防止に向けて「必要な措置をとる」とし、汚染が生じた場合には国際法に従い、補償を含む対応を取ることを明記した。

 このほか、<1>作業に必要な日本の警戒船舶や航空機の数を日中双方の協議で決定する<2>中国政府の国家海洋局の船舶が現場海域で引き揚げ作業を監督・管理する<3>現場海域で日中両政府間の連絡窓口を設ける――などで合意した。

 一連の交渉で、中国政府は昨年12月の不審船の沈没時から引き揚げ作業終了に至る間の漁業損失を提示し、日本側に数億円とみられる補償金を要求した。これに対し、日本側は「算定の仕方に疑問がある」(外務省幹部)としている。

 日中両国は19日にタイで行われる川口外相と唐家セン外相との会談で、不審船の引き揚げに正式合意する。

不審船引き揚げ:台風シーズン前に実現へ 日中協議が進展

2002年06月17日Mainichi INTERACTIVE
 【北京・浦松丈二】昨年12月に東シナ海の中国側排他的経済水域(EEZ)で沈没した不審船の引き揚げ問題で、日中両政府の局長級協議が17日、北京で行われた。外交筋によると、日本側が漁業補償に応じる考え方などを説明し、中国側も一定の理解を示した。関係筋は「協議は進展している」との認識を示しており、19日にタイで開かれる日中外相会談で引き揚げ実施を確認する見通しだ。これにより、日本側が求める台風シーズン前の引き揚げ実現が確実になった。

不審船引き揚げを前向きに検討 中国外務省

2002年06月11日 The Sankei Shimbun
 中国外務省の劉建超副報道局長は11日の定例会見で、東シナ海に沈没している不審船の引き揚げ問題について「海洋法や関連する国内法に基づいて検討中だ」と述べた。

 明確な同意は示さなかったものの「(漁業)補償など具体的な問題は双方が適切な時期に協議する」とも述べ、引き揚げの実現に向けて前向きに検討していることを示唆した。

 7日と10日に北京で行われた引き揚げをめぐる日中協議について「日本側は中国側に対し東シナ海で行った調査結果についてさらに踏み込んで報告した上で引き揚げを求めた」と指摘。

 中国側には、これまで日本側が調査結果を十分に提供していなかったことに不満があり、日本側の今回の報告をある程度評価したものとみられる。(共同)

中国への情報伝達を指示 不審船

2002年06月07日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は7日午前、首相官邸で扇千景国土交通相と東シナ海に沈んでいる不審船の引き揚げをめぐって協議。首相はこれまでの海上保安庁の潜水調査などで得た沈没船に関する情報を中国側に伝えるよう指示した。

 これに関連して福田康夫官房長官は同日午前、縄野克彦海上保安庁長官を呼び、小泉首相の意向として「台風に間に合うように中国との調整をしっかりやってほしい」と指示した。沈没現場が中国の排他的経済水域(EEZ)であるため、引き揚げには中国側の同意が必要。政府は既に中国側との交渉を開始している。

 縄野長官はこの後、記者団に「技術的な問題(の詰め)と中国との交渉を並行して進め、中国の理解を求める」と強調した。

不審船引き揚げで日中実務協議、中国が漁業補償要請

2002年06月10日Yomiuri On-Line
 【北京10日=佐伯聡士】日中両政府は10日午前、北京の中国外務省で、鹿児島県奄美大島沖で沈没した北朝鮮工作船と見られる不審船の引き揚げについて、外交当局による実務協議を行った。局長級に格上げされ、中国側から農業省、交通省、国家海洋局など関係部門の担当者が出席した。

 日本側は7日の前回協議で、不審船引き揚げの具体的な方法や日程などを説明し、中国側の理解を求めた。日本大使館によると、今回の協議では、中国側が「関心のある点や考え方について説明した」という。引き揚げにより、漁業資源や海洋環境に影響が出た場合の補償措置などを詳細に要請した。日本側は要請を検討した上、台風シーズン前の引き揚げ作業着手に向け、週内にも再び協議を開く考えだ。

 この問題をめぐっては、中国共産党の曽慶紅組織部長が今月初め、保守党の野田毅党首と北京で会談した際に、協議の行方に前向きな見通しを示していた。

不審船の潜水調査を終了

2002年05月06日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は7日、東シナ海での北朝鮮の工作船とみられる不審船の潜水調査を、予定を延長して再開したが、潮流が速く水中の視界も悪いなど現場の状況が好転しないため、同日午後、今回の調査終了を決めた。

現場で4体目の遺体回収 不審船潜水調査

2002年05月06日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は6日午後、東シナ海で続けていた北朝鮮の工作船とみられる不審船の潜水調査で、新たに1遺体を引き揚げた。昨年末の不審船銃撃・沈没事件発生以来、現場付近で回収された不審船の乗組員とみられる遺体は、計4体となった。

 潜水調査は6日で終える予定だったが、この日の作業が難航したことから、同庁は調査延長も検討している。

不審船潜水調査:ロケット砲2個も 搭載武器5種以上に

2002年05月05日 Mainichi INTERACTIVE
 鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で沈没した不審船の潜水調査で、第10管区海上保安本部(鹿児島市)は4日、船体周辺からロケット砲のランチャー(発射筒)計2個を引き揚げたことを明らかにした。また、3日に収容した1遺体以外にも遺体を確認したという。

遺体1体と武器など回収…不審船潜水調査

2002年05月04日 Yomiuri On-Line
 鹿児島県・奄美大島沖で昨年12月に沈没した北朝鮮の工作船とみられる不審船の潜水調査をしていた海上保安庁は3日、水深90メートルの海底に沈んだ不審船周辺から、乗組員とみられる男1人の遺体とロケットランチャー(ロケット弾発射装置)とみられる重火器1丁、いずれも複数の弾帯、弾倉、弾丸などを引き揚げた。この事件で武器類が回収されたのは初めて。潜水調査は7日まで続き、残りの武器や遺体の回収を急ぐとともに、船体の引き揚げに向けた詰めの調査をする。

 引き揚げられた重火器は、旧ソ連が対戦車用に開発したロケットランチャー・RPG―7とみられている。ロケットランチャーは、銃撃戦の際、不審船の甲板にいた乗組員2、3人が肩に担いで発射、ロケット弾が巡視船「あまみ」、「いなさ」の上を1発ずつ赤い炎をあげて飛んだのが目撃されている。

 弾帯は機関銃用、弾倉は自動小銃や短銃で使われるものとみられる。同庁では巡視船の弾痕などから、複数の種類の銃器が使われたとみており、回収した弾倉などの鑑定を急ぐ。発表された武器類以外の回収物もあったが、品目などは、捜査への支障を理由に一切明らかにされていない。

 一方、収容した遺体はサルベージ船上で検視した結果、男性と判明した。調査の終了後に第十管区海上保安本部(鹿児島市)に搬送し司法解剖、死因などを特定する。不審船の沈没直後に現場で収容された乗組員2人の遺体からは、銃弾の発射に伴う硝煙反応が検出され、海上保安官3人を負傷させた殺人未遂事件の実行犯と断定されている。新たに収容した男についても硝煙反応などの鑑定をするとともに、所持品についても詳しく調べる。

男性遺体や銃器を引き揚げ 不審船潜水調査

2002年05月03日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁は3日、同庁の巡視船と銃撃戦の末、昨年12月に鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海に沈没した北朝鮮の工作船とみられる不審船の潜水調査で、船体付近の海底から男性の1遺体と銃器1丁などを回収した。

海中調査、初日の作業終了 東シナ海の沈没不審船

2002年05月02日 The Sankei Shimbun
 海上保安庁による鹿児島県奄美大島沖での、北朝鮮の工作船とみられる不審船の海中調査は2日午後も続けられ、船体や海底の状況などを確認した。

中国政府、不審船引き上げに「異議唱えず」と正式通告

(読売新聞)[2002年04月29日]YAHOO! ニュース

不審船引き揚げ:5月に実施 今月下旬にも潜水調査を開始

[2002-04-14]Mainichi INTERACTIVE
 政府は13日、東シナ海の中国の排他的経済水域(EEZ)内に沈没した不審船を5月にも引き揚げる方針を決めた。12日の小泉純一郎首相と朱鎔基首相による日中首脳会談で、引き揚げに対する中国側の最終的な理解が得られたと判断した。今月20日過ぎに船体の損傷状況を確認する潜水調査を開始し、引き揚げ可能な遺留品なども押収する予定だ。並行して両政府は中国側の権益を侵さない具体的な引き揚げ方法などを協議する。

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船とみられる不審船は水深90メートルの大陸棚に沈没した。ダイバーによる潜水調査は天候が良ければ、1週間程度で終了する見通し。海上保安庁などの捜査当局は大型連休終了前に終えたい考えだ。

 不審船の引き揚げをめぐっては3月初め、中国の唐家●(王へんに旋)外相が「日本側は事態をエスカレートさせたり、複雑化させる行動をとるべきではない」と慎重姿勢を示した。しかし、今月初めに訪日した李鵬・全国人民代表大会常務委員長は小泉首相に対し「日中双方が満足する解決方法を見いだしたい」と発言。12日に朱首相は「必ず解決できると信じている」と理解を示した。中国の強い招請に応じた形で小泉首相が博鰲(ボアオ)アジアフォーラムに出席したことを受け、中国側が不審船の引き揚げに関して柔軟姿勢に転じたとの見方も出ている。

朱首相、不審船引き揚げで理解示す 2002/04/11 (共同)The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は12日の朱鎔基中国首相との会談で、不審船引き揚げについて協力を要請。朱首相は「必ず解決できると信じている」と述べ、日本の立場に一定の理解を示した。

 また、朱首相は今秋の訪中を招請、小泉首相は準備を進めたいと答えた。

「当初から海自護衛艦派遣」 今後の不審船対策指針

2002/04/11 The Sankei Shimbun
 東シナ海で昨年12月に起きた不審船銃撃事件を受け、外務、防衛、海上保安の3省庁がまとめた今後の不審船対策の指針の全容が11日までに明らかになった。当時、銃撃戦の発生現場に海上自衛隊護衛艦の到着が間に合わず、海保側との連携のまずさが指摘されたことから「工作船の可能性の高い不審船については当初から海上自衛隊の艦艇を派遣」と明記。

奄美大島近海不審船事件 船内に数人の遺体 水中カメラによる調査で確認by YAHOO!ニュース

不審船は55年以降21隻 縄野海上保安庁長官

2002/03/22(共同通信社)中国新聞
縄野克彦海上保安庁長官は22日午後の衆院外務委員会で、昨年12月に東シナ海で銃撃・沈没した船を含め、日本周辺で確認した不審船は1955年以降で21隻に上ることを明らかにした。

 縄野長官は「私どもがこれまで確認しているだけでも前回を含めて21隻ある。昭和30年代以降、私どもの船、航空機が直接確認したもの、漁業者から通報を受けたもの、防衛庁から通報があったものだ」と説明した。民主党の中川正春氏への答弁。

新ミサイル艇3月配備 不審船対策で海上自衛隊(2002/01/26)山陽新聞社

新ミサイル艇3月配備 不審船対策で海上自衛隊

2002/01/26共同通信
 日本近海の不審船対策の在り方が課題となるなか、高速の不審船に対応した新型ミサイル艇(200トン)2隻が3月、海上自衛隊舞鶴基地(京都府)に配備される。来春には長崎県の佐世保基地にも2隻を配備する予定で、2つの新たなミサイル艇隊が誕生する。

 舞鶴に配備される新型ミサイル艇「はやぶさ」と「わかたか」の2隻は3月25日、山口県下関市の三菱重工業で海自側に引き渡される。1999年の能登半島沖の不審船事件を教訓に予算化され、計6隻が建造される予定。一隊3隻の態勢を整備する。

沈没した不審船付近海上で揚収された漂流物について

2002/01/10 by海上保安庁 第十管区海上保安本部
1 煙草(リョカタンベ)のパッケージ  平成13年12月23日、不審船沈没付近海上で揚収されたもの。  同パッケージにはハングルで「リョカタンベ」(フィルター付タバコの意味)と印刷されている。

2 落花生砂糖(ピーナッツキャンデー)の袋   平成13年12月23日に揚収した遺体が着用していたオレンジ色のジャンパーのポケットから発見されたもの。  菓子袋にはハングルで製造元が「朝鮮平壌」と印刷されている。

3 これらの揚収物品に書かれているハングルの一部は、韓国では一般的に使用されていない用字法となっている。

 これらのことから、不審船の国籍を断定するには至っていないが、これら揚収された漂流物は北朝鮮の製品と思料される。


高速警備船 新潟などに来春配備/海保 工作船事件教訓に建造 (2000.11.07) asahi.com

海上保安庁、高速巡視船3隻を要求 不審船への対応強化

03:59a.m. JST August 18, 1999
 今年3月に日本海で起きた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船事件を受け、海上保安庁は、40ノット(時速約74キロ)の180トン型高速巡視船3隻の購入費を、2000年度予算の概算要求に盛り込む方針を固めた。このほか、ヘリコプターの防御能力を高めるため、防弾装置も導入する。航空機やヘリコプターへの武器搭載は、見送られる模様だ。

 この事件では、海上保安庁の巡視船艇が2隻の不審船を追跡、威嚇射撃をしたが、時速約60キロ以上で逃走した不審船に振り切られた。海保が現在保有する巡視船の最高速力は35ノット(時速約65キロ)だが、新たに導入する高速巡視船は40ノットで、威嚇射撃のための機銃も装備する。

不審船:拿捕されたら自爆せよ−北朝鮮指令、防衛庁傍受

8月15日 00:53毎日Interactive
 今年3月下旬、日本船に偽装した不審船2隻が日本海に出現、追尾を逃れた事件で防衛庁の通信施設が北朝鮮から不審船に送られた自爆を命じる無線を傍受していたことが、防衛庁関係者などの証言で14日、明らかになった。政府は国籍の特定を避けたが、実は北朝鮮の工作船と認識して威嚇射撃などを展開していたことになる。

日米防衛協力指針の船舶検査、来週にも自自公が協議

1:24p.m. JST May 17, 1999
 自民党の古賀誠国対委員長は十七日昼、国会内で公明党の草川昭三国対委員長と会い、新たな「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)関連法案のうち積み残しとなっている船舶検査の扱いについて、同関連法案成立後の来週早々にも自民、自由、公明3党の実務者による協議を開始することを申し合わせた。

北工作船の減速装備を研究

1999年5月6日 19時49分 共同通信社
 防衛庁は6日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船侵入事件を踏まえ、逃走する工作船を減速させるための新たな装備を研究開発する方針を固めた。2000年度予算で経費計上を目指す。 

 

 同時に、工作船の停止を目的とした射撃や立ち入り検査に備え、韓国政府に北朝鮮工作船の構造、性能などに関する情報の提供を求める方針も決めた。    
 新装備は、投射機で工作船の後部にロープを装着し、ロープ先端のシートを海中でパラシュート状に開く仕組み。シートへの水圧が推進力の抵抗となり、速度を大幅に低下させる。

船舶検査活動に関する新たな法律--今国会中の成立は困難 1999年5月1日 19時48分 共同通信社

 日米防衛協力のための新指針(ガイドライン)関連法案の修正合意に際して自民、自由、公明3党が制定を目指すことになった船舶検査活動に関する新たな法律について、政府、自民党内に今国会中の成立はおろか、取りまとめさえ困難との見方が強まってきた。

 国連決議に基づく船舶検査の在り方をめぐって自由、公明両党間の考えに依然として隔たりがあるためだ。

巡視船艇の能力整備を

1999年4月30日 19時52分 共同通信社
 3月に日本海で発生した朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船追跡事件を教訓に、海上保安庁は30日午後、巡視船艇のスピードアップなどを盛り込んだ今後の対策などをまとめ、内閣安全保障・危機管理室に提出した。

 主な項目は(1)防衛庁、警察庁、外務省など関係省庁間での迅速な情報交換や連携の在り方(2)追尾・監視する際の協力関係(3)巡視船艇の対応能力の整備(4)韓国、中国、ロシアなど関係国との連携強化−など。

秘密保てる通信装置なし1999年4月12日 17時51分共同通信社
 3月下旬、日本海で起きた工作船追跡事件に出動した海上自衛隊の護衛艦と海上保安庁の巡視船が、秘話無線装置など緊急時に使える共通の秘密保持可能な通信システムを持っていなかったため、緊密な情報の交換や行動の調整ができず、追跡の大きな障害、制約となったことが12日、防衛関係者らの話で分かった。

 護衛艦と巡視船の連絡手段は通常の音声通信が頼りで、交信を傍受した工作船側に日本側の手の内をすっかり読まれてしまう可能性が高い。

タイミングが良すぎる「不審船」騒動1999.3.24 by RELNET CORPORATION

護衛艦に20ミリ機関砲など装備強化、防衛庁

2:48p.m. JST April 3, 1999
 防衛庁は3日までに、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船領海侵犯事件で初めて海上警備行動を発令したにもかかわらず逃走を許したことを踏まえ、海上警備行動用装備として護衛艦に(1)相手の被害を最小限に抑える20ミリ機関砲や13ミリ機関銃(2)逃走阻止用のもり、ネット(3)立ち入り検査用の防弾チョッキ、機関拳(けん)銃―などを新たに装備する方針を固めた。

 自衛隊の海上警備行動の武器使用は警察官職務執行法が準用され、正当防衛や緊急避難以外の時には相手に危害を加えることはできない。

 工作船を追跡した海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」などにはミサイル以外に、5インチ速射砲や1分間に3000発も発射される対ミサイル用高性能機関砲などがあるが、いずれも命中すれば「今回の不審船程度ならバラバラになる」(防衛庁筋)ほどの破壊力。追跡中、防衛庁内で「かじ」を破壊して停船させることも検討されたが、5インチ砲では撃沈するなど海上警備行動の枠をこえる可能性があったため見送られた。

 このため野呂田芳成防衛庁長官は海上自衛隊に現行法の制約の枠内での装備改善を指示。その結果、命中しただけでは撃沈しない海上保安庁の巡視船程度の火器のほか、捕獲のため「捕鯨船が使う『もり』のような武器」(同庁筋)、今回の追跡中も試み失敗したネットなどの導入を進める。

 また、海上自衛隊では「立ち入り検査訓練は商船を対象としており、武装した工作船を想定していなかった」(海自幹部)ことから、今後訓練内容を見直す予定。さらに装備面でも武装船への立ち入りを前提に、これまで護衛艦に用意していなかった防弾チョッキや、狭い場所でも威力を発揮する機関拳銃の導入を進める方針だ。(時事)

北朝鮮の工作船と断定し抗議へ、政府

1:34p.m. JST March 30, 1999
 政府は30日午後、能登半島沖の日本海で起きた不審船事件で、逃走した2隻について「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船と判断するに至った」と表明する。政府はこの判断を踏まえ、近く北朝鮮政府に日本政府として事件について抗議する方針だ。

 野中広務官房長官が30日夕の記者会見で明らかにする運び。政府は事件発生後、小渕恵三首相の国会答弁などでも北朝鮮の船舶と断定することは慎重に避けてきたが、「諸情勢を総合的に判断した」(政府関係者)という。日本政府による船舶の引き渡し要求に北朝鮮側が応じておらず、こうした事情も影響しているとみられる。

機関砲や防弾服など配備

1999年3月27日 17時56分共同通信社
 防衛庁は27日までに、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の船籍とみられる不審船2隻の領海侵犯事件で逃走を許した教訓を踏まえ海上警備行動に有効な機関砲などの装備を護衛艦に導入する方針を固めた。 

     

 機関砲のほか、相手船への立ち入りに備えて、(1)機関銃(2)防護機能付き小型ボート(3)防弾チョッキ−などを配備する方向で調整する。催涙弾や逃走船を特定する着色弾、暗視装置などの特殊装備も検討対象になりそうだ。

野呂田防衛庁長官「不審船は工作船と判断」

1:01p.m. JST March 26, 1999
 野呂田芳成防衛庁長官は26日の衆院ガイドライン特別委員会の集中審議で、能登半島沖で発見され逃走した2隻の不審船について「一般の漁船ではなく、何らかの目的を持って領海に侵入してきた日本以外の工作船という可能性が少なからずあるという前提に立って対処している」と述べ、不審船を工作船とみていることを明らかにした。防衛庁は不審船が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)北部東岸の軍港「清津(チョン・ジン)港」に入ったことを確認しており、事実上、北朝鮮の工作船だったとの判断を示したものだ。自民党の赤城徳彦氏らの質問に答えた。

 また、小渕恵三首相は今後の対応について「新たな法制度は必要があれば検討したいが、まだ十分な検証が行われていない。事件発生当初からの対応を踏まえ、不備があったかなかったかを十分検討して対処したい」と述べ、事件の経緯の検証を急ぐ考えを示した。

 さらに野呂田長官は「海上警備行動での武器使用には制限がある。かじを網で捕獲できないか、護衛艦に搭載している5インチ砲より軽微なもので、かじに損傷は与えられるが人命にかかわらないようなやり方ができないか、戦術面の検討をしたい。また、海上保安庁から防衛庁に、いつの時点で引き継ぎができるのか研究したい」と述べた。

不審船事件を新華社が事実報道

2:53p.m. JST March 24, 1999
 中国国営の新華社通信は24日午前、「日本の駆逐艦が不審船に警告射撃」との東京特派員電を配信し、今回の行動が自衛隊法82条に基づく初の自衛隊艦船による海上警備行動であると伝えた。

 同電は英文のみによる配信。日本の防衛庁や海上保安庁の情報を総合し、事件の経過や不審船が日本の漁船を偽装していたが、漁具を装備していないことなどを比較的詳しく報じた。

 中国外務省は24日昼までに論評などは発表していない。

ロシア沿岸警備艇、不審船の捕獲に協力

3:12p.m. JST March 24, 1999
 タス通信によると、国籍不明の船2隻が日本の領海を侵犯した事件で、ロシアの沿岸警備艇が24日、不審船の捕獲に乗り出した。日本からの要請に基づく措置という。

 同通信が国境警備当局者の話として伝えたところによると、不審船2隻はロシアの領海に向かっている。ロシアの船舶が追跡しているが、絶えず進路を変え、無線連絡や停戦命令には応じていない。(ロイターES=時事)

不審船2隻は逃走、自衛艦の警告射撃を無視

2:01p.m. JST March 24, 1999
 能登半島沖で発見され日本海を北西方向に逃走していた2隻の不審船は24日早朝、いずれも日本の「防空識別圏」を越えたため、海上自衛隊の護衛艦は追跡を打ち切った。初めて自衛隊法に基づく「海上警備行動」を発動された海上自衛隊は、護衛艦が2隻の不審船に対して、停船命令を出すとともに合計25回の警告射撃をしたほか、哨戒機が不審船の前方などに計12発の爆弾を投下したが、不審船は無視して逃走した。

 不審船の船籍などは明らかでないが、防衛庁筋によると同じころ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)軍が警戒態勢に入っていたことなどから、政府は北朝鮮に関係があるとの見方を強めている。政府は24日午前に小渕恵三首相、野呂田芳成防衛庁長官、高村正彦外相らによる関係閣僚会議を開き、北朝鮮に対し不審船が北朝鮮の水域に入った場合は、だ捕するとともに、日本に引き渡すよう、北京の大使館やニューヨークの国連代表部を通じて申し入れることを決めた。

 野呂田長官は24日朝の記者会見で、不審船の「第2大和丸」は午前3時20分に、「第1大西丸」は午前6時すぎに、いずれも日本の防空識別圏を越えて「北朝鮮方向」に逃走したことを明らかにした。それ以上追跡すると他国の防空識別圏に入る。野呂田長官は「相手国を刺激し、事態の拡大を招くおそれがある」と述べ、追跡中止の理由を説明した。

 「第2大和丸」に対しては、護衛艦「みょうこう」が5インチ砲による警告射撃を13回、哨戒機P3Cが150キロ爆弾4発で警告、「第1大西丸」には護衛艦「はるな」が警告射撃を12回、哨戒機が爆弾8発で警告をした。

 不審船が防空識別圏を越えた後も、自衛隊は哨戒機で監視を続けているほか、早期警戒機E2Cのレーダーで追尾している、という。

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