TOPIC No.6-4 H-IIA/ H-IIB/ H3ロケット

01. H-IIAロケット  by フリ−百科事典 Wikipedia
02. H-IIBロケット  by フリ−百科事典 Wikipedia
03. ロケット打ち上げ情報 予定計画と結果   by宇宙技術開発株式会社
04. MHI 打上げ輸送サービス by三菱重工
05. 世界よ、これが「高度化」だ - 今度のH-IIAロケットは一味違う  2015/11/04
 マイナビニュ−ス
06. JAXA H3ロケット 国産史上最大 全長63m 直径5.2m 能力1.5倍 費用半額  
 byABHPネット
07. H3ロケット  by フリ−百科事典 Wikipedia
08. 国産ロケット「H-3」、2020年度の打上げを目指し開発が進む 2017-10-03 
 松尾芳郎 TOKYO EXPRESS

衛星は軌道入り…H2A、成功率97・4%に

2018年06月12日 YOMIURI ONLINE

 政府の情報収集衛星「レーダー6号機」を載せたH2Aロケット39号機が12日午後1時20分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。

 三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)は「衛星は予定の軌道に入った」と発表し、打ち上げは成功した。

 レーダー6号機は、北朝鮮の軍事施設などを監視する事実上の「偵察衛星」で、夜間や悪天候時も撮影可能。情報収集衛星は現在、6基が運用中で、政府は将来的に計10基体制とする計画だ。

 記者会見で、内閣衛星情報センターの木野村謙一所長は「米朝首脳会談が行われるなど、国際情勢は流動的。正しい情報の探求に重要な衛星で、早期の本格運用に向けた作業を着々と進める」と語った。

 H2Aロケットの打ち上げ成功は33回連続。成功率は97・4%になった。

H2Aロケット38号機打ち上げ成功 情報収集衛星搭載

2018/2/27 日本経済新聞

 三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日午後1時34分、鹿児島県の種子島宇宙センターから国産の大型ロケット「H2A」38号機を打ち上げた。政府の情報収集衛星「光学6号機」を約20分後に予定通り切り離し、打ち上げは成功した。同ロケットの打ち上げ成功は32回連続で、成功率も国際的に高い水準とされる97%超を保った。

 2017年度のH2A打ち上げはこれで5回目となり、14年度に並んで過去最多となった。米スペースXの台頭で打ち上げコストは低価格競争が始まっており、H2Aもコスト低減を目指して打ち上げ頻度を高めてきた。2020年度に投入する新型ロケット「H3」では100億円とされる現在の打ち上げコストを半分まで圧縮する構えで、H2Aも生産、輸送体制の見直しを続けてきた。

 情報収集衛星は地上数百キロメートルの高度から地球上のあらゆる場所を撮影できる事実上の偵察衛星といえ、高い解像度で地上を撮影する「光学衛星」と、夜間や悪天候でも電波を使って監視できる「レーダー衛星」の計6機が運用中。核開発を続ける北朝鮮のミサイル発射施設などの監視強化にくわえ、災害時の被害把握への活用も期待されている。

2衛星を搭載 H2Aロケット打ち上げ成功

2017年12月23日 日テレNEWS24

 2つの人工衛星を載せたH2Aロケット37号機が23日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。衛星はそれぞれ異なる軌道に投入され打ち上げは成功した。

 H2Aロケット37号機は23日午前、種子島宇宙センターから打ち上げられた。搭載された衛星「しきさい」は、二酸化炭素を吸収する森林の分布を長期にわたり観測することができ、地球温暖化への対策に役立てられる。

 今回、ロケットには衛星を低い高度で運用するための試験機「つばめ」も載せられた。打ち上げからおよそ16分後に「しきさい」を分離。1時間48分後には「つばめ」を所定の軌道で切り離し、打ち上げは成功した。2つの衛星を異なる軌道に投入したのは初めて。

 JAXAは、今後も衛星を相乗りさせることでコストを削減し、打ち上げの受注を増やしたいとしている。

GPS衛星 「みちびき」搭載H2Aロケット打ち上げ成功

2017年8月19日 毎日新聞

 日本版GPS(全地球測位システム)の構築のため、三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は19日午後2時29分、政府の測位衛星みちびき3号機を載せたH2Aロケット35号機を、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げた。みちびきは予定通り高度420キロで分離され、打ち上げは成功した。

 みちびきは米GPSと組み合わせることで、測位誤差を現在の約10メートルから最高で6センチ以下に縮めることができる。政府は当面、4機体制での運用を計画。最後の4号機を10月にも打ち上げ、来年度に測位サービスを始める予定だ。

 3号機は赤道上空にとどまる静止衛星で、その他は交代で日本上空をカバーする「準天頂衛星」。現在利用している米GPSなどでは障害物となるビルや山などに影響されず測位できる。自動車やトラクターの自動運転、ドローン(小型無人機)の物資輸送などへの応用が期待される。【酒造唯】


官民が手を結ぶ日本の宇宙産業(上)

2009年03月29日 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 種子島・東京=チョ・ホジン記者

今年1月、気象衛星「いぶき」の打ち上げに成功

三菱重工業、ロケット開発の一貫工程で競争力アップ

政府が開発を担当、技術流出の可能性を最小限に

 1月23日午後12時54分。済州島から南東に500キロほど離れた鹿児島県の種子島宇宙センターから、気象観測衛星「いぶき」を乗せたH2Aロケットが打ち上げられた。その瞬間、日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関係者よりも大きな歓声を上げた人たちがいた。H2Aロケットを製造した三菱グループのエンジニアたちだ。

 日本は1998年から2003年までに3回も宇宙ロケットの打ち上げに失敗し、一時は宇宙産業全体が崩壊するほどの危機に追いやられた。しかし昨年は月探査衛星「かぐや」の打ち上げに成功し、この日は気象衛星「いぶき」の打ち上げにも成功した。この結果、日本は宇宙開発大国としての立場を確かなものにした。とりわけこの成功を実現させたのは、政府ではなく民間企業の三菱重工業だった。「かぐや」も「いぶき」も、どちらも三菱重工業が製造したロケットに乗せて打ち上げられた。日本は米国の宇宙産業が足踏みを続ける間に、独自の経費削減努力で新たな宇宙産業大国として浮上し始めている。

◆民間の手に渡った宇宙産業

 宇宙産業は国防・気象・通信など、国の基盤となる重要分野で中心的な役割を果たすものだ。しかし開発の初期段階では収益を上げることができないため、政府による財政支援が必ず必要だ。日本もやはり政府機関であるJAXAがロケット、宇宙センター、衛星などのあらゆる分野を担当した。しかし最近、宇宙産業の主導権は民間企業へと移りつつある。

 JAXAの立川敬二理事長(69)は、「宇宙産業発展のため、2007年から三菱や日立などに宇宙センター以外のロケットや人工衛星などの製造を任せている。米国など先進国の宇宙産業も、軌道に乗ると同時に民間へ移されたのと同じような手順を踏んでいる」と述べた。

 宇宙産業を民間に移す目的は、市場での競争力を高めることにある。三菱重工業でプロジェクトを統括する浅田正一郎氏は「国よりも民間企業の方が、いろいろ試すことができる自由がある。そのため事業の効率を高めるには適している」と述べた。

 実際に民間が主導権を握るようになってから、日本の宇宙産業の競争力は高まりを見せ始めている。現在、三菱重工業で製造している主力ロケットH2Aの打ち上げに掛かる費用は、およそ7000万ドル(約64億円)とされている。これは国際的に見ても非常に低価格で、ロシアが製造する同じクラスのロケット「プロトン」に比べると最大で30%も安い。

 経費削減のほとんどは、ロケットの製造に伴う検査費用を抑えることによるものだ。三菱重工業はエンジンから胴体の製造に至る主要な部品を一貫工程で製造しているため、自ら標準化を行うことが可能だ。これは検査のための費用を抑えることにもつながる。これらの強みはロシア、欧州、米国など主要な宇宙開発国では実現が難しい部分でもある。

 韓国航空宇宙研究院の崔海震(チェ・ヘジン)博士は、「これまでの宇宙開発大国でも、米国のロッキード・マーティンやボーイング、フランスのアリアンなどロケットの製造を行う企業はあったが、主な部品は外部で製造し、それらを組み立てるというやり方を採用してきた。ロケットの一貫製造は三菱重工業独自の強みだ」と述べた。

 三菱重工業は民間企業らしく活発なマーケティングを展開し、韓国を初の海外顧客とした。2011年に打ち上げ予定の地球観測衛星「アリラン3号」の打ち上げ費用として、日本はロシアよりも20%ほど低価格を提示したという。

◆収益と安保を同時に実現する日本

 日本は宇宙を「人類の夢を実現する平和空間」と見なしている。これは三菱重工業もJAXAも同じだ。しかし本来、外交や安全保障と分けて考えることのできない宇宙産業の性質からして、これが言葉通りに受け取られることはない。

 宇宙産業に対する日本政府の軍事・外交・安保の立場は、昨年5月に通過した「宇宙開発基本法」を見れば分かる。宇宙開発戦略本部という別の組織を設け、首相が本部長、官房長官が副本部長を務める。また「安全保障に貢献する宇宙開発の推進」という文言も宇宙開発基本法に含まれており、宇宙開発を通じた軍事活動も公式に認めている。

 これらの背景から、民間企業の三菱グループと日本政府を代表するJAXAは、それぞれが絶妙な役割分担を行っている。JAXAが技術開発を行うことで流出のリスクを最小限にとどめ、三菱グループなどの民間企業は製造を担当し、市場での競争力を高めるという戦略だ。これには民間企業による研究開発費の負担を抑える効果もある。技術情報がすでに公開されているような部品は、三菱グループの関連企業などが担当する。

道産ロケット、初の本格実用打ち上げ

2009年03月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 札幌市のNPO法人「北海道宇宙科学技術創成センター」(HASTIC)は16日、北海道産小型ロケット「CAMUI」(カムイ)の打ち上げを大樹町で行った。次世代ロケット複合エンジンの性能を確かめる実験のため、宇宙航空研究開発機構と北海道大が打ち上げを依頼したもので、カムイにとっては初の本格的実用打ち上げとなる。

 実験は、上昇中に吸い込んだ空気で効率的に燃料を燃やすエンジン技術開発の一環。今回は2機のロケットを打ち上げ、それぞれに空気の吸い込み口の形状を変えたエンジンを搭載、マッハ0・3の環境下での性能を調べた。ロケットは高度550メートルまで一気に上昇し、そのままパラシュートを開いて原野に落下した。

 今回の実験結果は、将来的に宇宙輸送機への利用が期待されている。

 宇宙機構の植田修一研究領域リーダーは、「無理な要求にも応えてくれたし、コストもリーズナブルなのがいい。機会があれば次も実験をお願いしたい」と話した。HASTICの伊藤献一理事長は、「小型ロケットでも使い道があるということを示せたと思う。北海道から新しい『ロケット文化』を築きたい」と自信を見せた。

 今後はカムイの大型化も進め、近い将来は高度20キロ、マッハ2の飛行が可能な新型カムイを開発し、様々な依頼に応えていく構えだ。

衛星「いぶき」打ち上げ延期 天候悪化で22日以降に

2009年01月19日  中国新聞ニュース

 三菱重工業と宇宙航空研究開発機構は19日、国の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」や公募で選んだ小型衛星などを搭載したH2Aロケットの打ち上げを、天候悪化が見込まれるため、予定していた21日から22日以降に延期すると発表した。

 発射台のある宇宙機構種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)の上空に、ロケットが通過すると雷を誘発する恐れのある厚い雲の発生が予想されるためとしている。

 同センター周辺の天気は25日ごろまで荒れる見通し。22日に打ち上げるかどうかは20日、再度状況を検討して判断する。

 今回のH2Aは、いぶきと、東大阪宇宙開発協同組合(大阪府東大阪市)の「まいど1号」など公募で選んだ小型衛星6個、宇宙機構の小型技術実証衛星の計8個の人工衛星を載せている。

H2Aロケット14号機公開 ネット衛星を搭載

2007年12月17日 中国新聞ニュース

 三菱重工業は17日、超高速インターネット衛星「きずな」を搭載して来年2月に打ち上げる予定のロケット「H2A」14号機の機体を愛知県飛島村の工場で公開した。

 国のロケット打ち上げ事業は今年9月のH2A13号機から三菱重工に移管された。今回が2回目の民間打ち上げとなる。

 公開したのは、ロケットの燃料やエンジンなどを積んだ直径約4メートルの筒状の部分で、長さ約30メートルの1段目と、約10メートルの2段目。機体は打ち上げ場所の宇宙航空研究開発機構種子島宇宙センター(鹿児島県)に運んで組み立て、「きずな」や補助ロケットを搭載する。

 「きずな」は高速インターネットが使えない山間部や離島などで、衛星回線を利用したネット接続を実現するための実証実験を行う。

日本の人工衛星どこへ お寒い先行き、来年1機

2007年10月09日 中日新聞

 H2Aロケット13号機が成功し、搭載した月周回衛星「かぐや」の成果に期待が高まる中、H2Aに載せる国の人工衛星や探査機が続かない。宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は最近、毎年二、三機を打ち上げてきたが、来年は一機だけの“冬の時代”だ。日本の人工衛星はこれをどう乗り越え、どこへ向かうのか。 (大島弘義)

 日本で国の人工衛星といえば、宇宙機構の地球観測や災害監視のための衛星、月や惑星などの探査機、国の気象衛星や安全保障目的の情報収集衛星がある。ここに民間の通信衛星などが加わり、ロケットの“お客さん”となる。

 かぐや後の国の衛星は今冬、宇宙機構が情報通信研究機構と共同で開発した超高速インターネット衛星「ウィンズ」がある。政府のIT(情報技術)戦略の一つとして二〇〇一年に計画。〇五年に打ち上げる予定だったが、H2Aの失敗などで計画が遅れた。

 この間、国内では95%の世帯で高速インターネット環境が使えるようになった。しかも「ウィンズを打ち上げても残る5%の解消にはつながらない」(宇宙機構)のだ。打ち上げの意義さえ問われている。

 〇八年は宇宙機構の温室効果ガス観測技術衛星の一機だけ。〇九年になると測位目的の準天頂衛星と、安全保障のための情報収集衛星が予定されているが、国の衛星は質と量ともにお寒い状況にあるといえる。

 背景には宇宙分野の研究開発を担ってきた旧宇宙開発事業団と旧宇宙科学研究所などが〇三年に統合。新組織となった現在の宇宙機構がH2Aの打ち上げを軌道に乗せることに最大の力を注いできたことがある。

 宇宙機構は年間予算の二割に当たる四百億円を国際宇宙ステーションに投入。予算が厳しい中で新しい衛星プロジェクトを始動できなかったことも大きい。宇宙機構宇宙利用推進本部の本間正修チーフエンジニアは「アデオスなどの衛星失敗もあり、そうした事情が宇宙機構の立ち上げ時期などと重なった」と話す。

 宇宙機構は現在、こうした状況を変えようと、衛星の設計に対する考え方を改めつつある。ともに失敗したアデオス、後継のアデオス2はいずれも四トン級の大型衛星。本間さんは「温室効果ガス観測技術衛星以降は二トン級が主。小型化することでリスクを分散し、開発期間も短縮したい。電子部品をミカン箱からマッチ箱にする」という。

 空気抵抗のため衛星の軌道維持が難しい高度百八十キロの衛星開発という新しい挑戦も始まっている。宇宙機構によると、高度二百キロ以下の衛星は数日で地球に向かって落ちてくる。このため、出力は低いが効率の高いイオンエンジンを使って高度を維持する。「高度が低いと、小さな電力で、高い解像度の地球の画像が得られる。世界初の試み」(宇宙機構)を目指していく。

 本間さんは「宇宙機構のこれからの衛星は防災と地球観測が中心。地球温暖化の研究者らとも積極的に対話をしながら、衛星をつくっていきたい」と話す。

 同機構は三十年間、基本的な設計思想を変えてこなかった。これから魅力的な衛星をつくれるかどうかは、従来の発想から抜け出してアイデアを出す一方、必要な技術開発を成し遂げられるかにかかっている。

探査衛星「かぐや」、13日打ち上げ 月の裏側まで“身体検査”

2007/09/10 The Sankei Shimbun Web-site

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや」が13日、種子島宇宙センター(鹿児島県)からH2Aロケット13号機で打ち上げられる。米アポロ計画以来となる本格的な月探査機で、最新鋭の装置で月を1年間観測し、その起源や進化の謎を探る。月は世界各国の探査計画がめじろ押しの状態で、先陣を切る日本の成否に注目が集まっている。

 月は1960年代から72年まで行われたアポロ計画で、地球とほぼ同時期の約45億年前に誕生したことなどが判明した。しかし、どのように生まれ、育ったのかは、ほとんど分かっていない。

 かぐやは高度100キロの上空を周回しながら、10メートルの分解能で地形を立体撮影し、深さ約5キロまでの地下をレーダーで探査。鉱物・元素の分布や磁気の測定のほか、2基の子衛星を使って地球からは見えない月の裏側の重力分布も調べる。計14種類に及ぶ観測機器を駆使して、精密な“身体検査”を徹底的に行う。

 こうした観測データから、誕生間もないころの月は、岩石がどろどろに溶けた「マグマの海」で覆われていたのかどうかなど、生い立ちを探ることができる。

 月の誕生のシナリオは諸説あるが、原始地球に火星ほどの惑星がぶつかった際、飛び散った軽い物質が集まって生まれたという「巨大衝突説」が最も有力視されている。月の内部構造や組成を調べることで、その検証が期待される。

 月探査はここ数年、各国が相次ぎ名乗りを上げた。周回衛星は日本に続いて中国が年内に打ち上げるほか、来年は米国とインド、2012年にはロシアも計画している。

 探査ラッシュの背景には、将来の月面基地や資源利用をにらんだ戦略がある。米国は火星へ有人飛行するための拠点として、2020年までに月面基地を建設する構想を明らかにしており、地形や元素などの情報は重要な基礎データになる。

 一方、H2Aの打ち上げ作業は、これまでJAXAが実施してきたが、今回から機体の製造元である三菱重工業に移管された。民間の発想でコストを削減し、国際競争力を高めるのが狙いだ。打ち上げ約1カ月前に燃料を注入して行う事前点検は今回、初めて省略された。7回連続の成功に向けて、新体制の信頼性が試される。

月へ、火星へ…激しさ増す宇宙開発競争

2007/09/05 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 権景福(クォン・ギョンボク)特派員

 米国とロシアが再び宇宙開発競争に乗り出したのか。ロシア連邦宇宙局は1日、2027年に宇宙飛行士の月への派遣、28年から32年に火星探査のための月面基地建設、35年以後の有人火星探査へと続く宇宙開発30年計画を発表した。これに先立ち米国航空宇宙局(NASA)は昨年12月、2020年までに月へ人を送り、その後は欧州などと協力して24年までに月面に人が常駐できる基地を建設、火星探査に乗り出すと発表している。米国とロシアの宇宙開発は1961年に旧ソ連がガガーリンの乗った有人宇宙船ボストーク号の打ち上げに成功し、米国が69年にアポロ号の月面着陸に成功するなど、競争の激しかった時代を思い起こさせる。

◆計画の上では米国がロシアよりも7年早く月に到着

 ロシア宇宙局は今後6人の宇宙飛行士志願者を対象に、模擬火星探査プログラムを実施する計画だ。

 火星探査には520日の無重力カプセル状の宇宙船内での生活が必要だ。外部から水も食事も提供されないままあらかじめ準備した特殊な食料だけで持ちこたえ、探査を行うという訓練だ。

 米国NASAの計画は、宇宙往復船コロンビア号の事故が起こった翌年の2004年、ブッシュ大統領が「20年までに宇宙飛行士を月に送る」と発表した内容を具体化させようとするものだ。計画通りに進めば、米国はロシアよりも7年ほど先に再び月に到達することになる。

◆米露の宇宙開発は現実性の面ではどうか

 1968年に打ち上げられたアポロ7号に乗っていたカニンガム氏は2日、ABC放送とのインタビューで「ロシアの計画は壮大だが、彼らの計画はほぼ破産した状態からゆっくりとしたスピードで回復しているにすぎない」とやゆした。

 しかしロシアの宇宙専門家であるカラシ氏は、「これまでロケット打ち上げは成功を繰り返しており、技術や信頼性の面でロシアは米国の先を行っている。ロシアの計画の実現可能性のほうが高い」と評した。

 米露両国の宇宙開発競争にはプライドも作用している。国際宇宙ステーション(ISS)が寿命を迎える2020年ごろには新しい宇宙ステーションを建設しなければならない。月と火星に行くための基地となるものだ。そのため米国は昨年12月に月面基地建設発表の時点でロシアの参加を歓迎すると表明していた。その結果ロシアは今年5月に米国の計画に参加したいと申し出たが結局は拒絶され、米国とは別の計画を進めることになった。

◆中国・日本・インドも宇宙開発競争に加わる

 宇宙開発競争にはアジアから中国・日本・インドも参加している。中国はロシア宇宙局と今年3月に火星共同探査合意文に署名し、2020年代には独自に月を探査する計画を推進している。

 日本は25年ごろに月面基地を建設する計画を推進しており、インドは12年に火星に向けて無人宇宙船を打ち上げ、20年には月に有人着陸することを目指している。

「かぐや」の打ち上げ延期 部品にミス、9月目指す

2007年07月20日 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構は20日、8月16日に打ち上げ予定だった月周回衛星「かぐや」に部品の取り付けミスが見つかったため、打ち上げを延期すると発表した。部品交換などに約1カ月かかるという。9月の打ち上げを目指す。

 かぐやは主衛星と2つの子衛星で構成されているが、子衛星のコンデンサー1個ずつ、計2個が逆向きに取り付けられていた。同じ会社が衛星組み立てを担当した別の衛星で同様のミスが見つかったのを受け、かぐやでも調べたところ、19日にミスが確認された。

 子衛星は地上と主衛星の電波中継などを担う。このまま打ち上げた場合、回路がショートして子衛星から電波を発信できなくなる恐れが大きく、かぐやの主目的の一つである月の重力観測ができなくなるところだった。

 かぐやは、米国のアポロ計画以来となる本格的な月探査を実施する予定。

【やばいぞ日本】序章 没落が始まった(5)

2007/07/07 The Sankei Shimbun Web site

 宇宙空間は魔法使いの住む世界なのだろうか。シンデレラが乗った馬車のように大きなカボチャも夢ではなくなる。

 それを実現してみせているのが中国の宇宙開発の現場なのだ。地球を取り巻く宇宙空間の特殊な条件を利用して活発な植物の品種改良が進む。

 中国の人口は13億人。拡大する「胃袋」を満たすための妙案が宇宙開発に託されている。宇宙生まれのマンモス・カボチャ「太空南瓜」は、その期待に応えた成果の一例だ。

宇宙野菜が示す中国との差

 無重量の宇宙では熱対流が消えるので、超高品質の合金も製造可能。生命科学の分野では、タンパク質もきれいに結晶するなど、新素材や医薬品の開発に道が開ける。

 日本はスペースシャトルなどを利用して、宇宙での高度先端技術を追究してきたが、特筆すべき成果は出ていない。

 これに対し、中国では日常生活と宇宙産業の距離が急速に短縮中だ。特に高度なことをしているわけではないのだが、実績は着実に目に見える形になっている。

 日本は8月16日、H2Aロケット13号機を打ち上げる。搭載される大型探査機は「かぐや」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙教育センター長の的川泰宣は「米国のアポロ計画以来となる本格的な月観測」と説明する。

 米国が有人月面探査を柱とする「新宇宙計画」を発表するなど、月は今、最も注目を集めている天体だ。

 中国も月に熱烈な関心を寄せている。月周回衛星「嫦娥(じょうが)」を、今年4月に長征ロケットで打ち上げようとしていたが、遅れをみせている。

 その中国は、2003年10月に宇宙飛行士を乗せた「神舟(しんしゅう)5号」を打ち上げ、世界3番目の有人宇宙飛行国となった。

 日本は宇宙飛行士を擁しているが、スペースシャトルに依存した有人活動で、自前の宇宙船は持っていない。

 日中の宇宙開発は、同時期に始まっている。1970年2月に日本の「おおすみ」、4月に中国の「東方紅」が、それぞれ初の人工衛星として打ち上げられたのだ。

 その後、中国はソ連寄り、日本は米国寄り、と日中の宇宙技術は別の路線を進んできた。これまでほぼ互角の競争力。そこに今、思いがけない差が開きつつある。

足りない研究者の情熱

 「中国に行った方が力を発揮できるかも、という研究者もいます」

 JAXA国際部参事の辻野照久は、半ば冗談と断りながらそう語った。現在、中国の宇宙開発には、それほど活気があるということだ。

 5月にナイジェリアの通信衛星などを打ち上げた中国は、7月5日に長征3Bロケットで自国の通信衛星を打ち上げた。これは101機目の長征ロケットで、連続成功を59回に伸ばした。

 日本の打ち上げ回数はN1ロケット以来、42機。連続成功は29回止まりとなっている。

 日本のロケット開発は次々新技術に挑んでハイテク化を遂げているが、中国はローテクのまま信頼性を高めたことで92.1%という、より高い成功率に到達した。

 辻野は日本で数少ない中国の宇宙開発ウオッチャーだ。中国空間技術研究院が隔月で発行する論文集などに目を通して、現状や方向性を分析している。その結果、意外な現実が見えてきた。

 「日本がやっていることは、全部中国もやっていました」

 そのうえ、宇宙開発分野で日本人研究者の成果を引用した論文が見あたらない。中国の宇宙工学者たちは米国の研究を重視している。有人宇宙船「神舟」はロシアの「ソユーズ」宇宙船をベースに開発されたが、近年は米国の影響をより強く受けつつあるらしい。

 中国は複数の衛星からなる独自の衛星利用測位システム(GPS)を構築しつつあるほか、宇宙空間を舞台に、日本が行っていない研究にも手を広げている。

 その代表例が巨大カボチャ・太空南瓜を実現した「育種衛星」だ。2週間以上、地球を回った後に地上に戻ってくる回収式の衛星に米や麦、トウモロコシといった穀物などの種子を搭載する。

 「野菜類もありますし、花や香辛料、ヘチマの種も積んでいます」。国際課主査で中国に詳しい藤島暢子も語る。

 高エネルギーで飛び交う宇宙線を利用した植物の品種改良である。無重量に、高真空という条件も重なる結果、地上での放射線照射という従来技術を上回る効果があると説明されている。

 中国科学院内の航天育種センターでは、ピーマンやトマト、ウリなどの「宇宙野菜」を市場に送り出しているという。

 3回目の有人飛行となる神舟7号は北京オリンピック直後の2008年秋に打ち上げられる。このときは全く新しい発想の宇宙服による宇宙遊泳が実施される見通しだ。

 「中国人は宇宙に対して強い願望を持っている。天人や仙女、不老不死につながる憧憬(どうけい)があるようです」

 辻野によると、この根源的ともいえる動機の上に、過去40年にわたって技術が積み上げられてきたという。それは軍事力の強化とも不可分の歩みであった。

 1960年代の中国には「両弾一星」という目標があった。原子爆弾と水素爆弾が「両弾」。人工衛星が「一星」なのだ。今の中国は月面基地建設を大目標に掲げて活気づいている。国内の人材育成と世界からの才能獲得に余念がない。胡錦濤国家主席をはじめ、理系出身者で固められた中国指導部の影響力は大きい。

 一方の日本は、停滞気味である。新たな「GX」ロケットの開発難航もその一例だ。すでに大幅な遅れを生じている。

 JAXA宇宙教育センター長の的川は研究者や技術者を目指す若手に「物足りなさ」を感じている。頭も良い。手際も良い。問題を解決する能力も備えている。

 「足りないのは、宇宙への情熱と問題を発見する能力です」

 国は4年前に宇宙科学研究所(ISAS)と宇宙開発事業団(NASDA)などを統合して、現在のJAXAに変えた。機関統合の効果を疑問視する意見は関係者の間に少なくない。

 ISASが開発した世界最大の固体燃料ロケット「M5」も統合によって捨てられた。「研究者の内発性の炎が消えつつある」。そうした危惧(きぐ)の声が聞こえてくる。=敬称略(長辻象平)

H2ロケットを展示へ 筑波宇宙センター

2007年04月16日 The Sankei Shimbun Web site

 日本初の純国産ロケット「H2」試験用機体が宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センター(茨城県つくば市)に展示されるのを前に、16日報道陣に公開された。21日から一般公開する。

 H2ロケットは人工衛星の打ち上げに使われている現H2Aロケットや開発中のH2Bロケットの前身で、直径約4メートル、全長約50メートル、重さ約260トンの2段式液体燃料ロケット。1994−99年に7回打ち上げられた。

 鹿児島県の種子島宇宙センターや宮城県の角田宇宙センターなど5カ所で燃焼試験などに使われた後、保管されていた各パーツを集めて合体させ、横に寝かせた形で展示した。さらに実機と同じ塗装を施すという。

 倉益凌一・筑波宇宙センター所長は「実物をなかなか見られないロケットの姿に触れ、宇宙への扉を実感してもらいたい」と話している。

H2ロケット復元へ 宇宙開発“実物”でアピール

2007/01/07 The Sankei Shimbun Web site

 ■平成11年に廃止 初の国産大型ロケット

 国産主力ロケット「H2A」の前身で、平成11年に廃止された「H2」が復元展示されることになった。不用品として眠っていた胴体部分などを宇宙航空研究開発機構(JAXA)が全国から集め、筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で今春から公開する。大型ロケットの展示は国内初。関係者は「実物を間近に見ることで、宇宙開発への理解を深めてもらえれば」と期待している。

 H2は初の国産大型ロケット。6年から5回連続で打ち上げに成功したが、10年と11年に連続して失敗したことで急遽(きゅうきょ)打ち切られ、現行のH2Aに引き継がれた。

 H2は、開発陣や博物館関係者から、残った機体の保存展示を望む声が上がったが、全長約50メートルの巨体とあって置き場所がなく、発射場の種子島宇宙センター(鹿児島県)やメーカーの工場でお蔵入りになっていた。

 研究拠点の筑波宇宙センターは53万平方メートルの広大な敷地があり、年間約15万人の見学者が訪れる。人工衛星などの展示物は多いが、ロケットは模型とエンジンだけで「本物がないのが欠点」(同センター)。このため、首都圏に近い好立地でもあることから、新たなシンボルとして展示が決まった。

 機体は、試験用の1段目(長さ約30メートル、直径約4メートル)を種子島から船で輸送する。2段目は三菱重工飛島工場(愛知県)、先端部の衛星カバーはJAXA角田宇宙センター(宮城県)、側面の固体ロケットブースターはアイ・エイチ・アイ・エアロスペース富岡事業所(群馬県)からそれぞれ運び込み、組み立てる。

 いずれも資産価値はほとんどないが、約1億円の輸送費を投じる大移動となり、設置や維持管理の費用を最小限に抑えるため、収納用の建屋は作らず、機体は屋外に横倒しで置く。

 「ロケットは文化財としての価値があり、保存展示は欧米では当たり前。歴史の証として意義は大きい」と担当者。筑波宇宙センターは閣僚ら政府要人が視察に訪れる場所でもあり、宇宙開発の必要性を「実物の迫力」でアピールし、予算アップにつなげたいとの思惑もあるようだ。

 種子島宇宙センターには、H2の7号機も残っているが、この引き取り先は決まっていない。

H2A打ち上げに成功 最重量の技術試験衛星搭載

2006/12/18 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構は十八日午後三時三十二分、日本の衛星としては最大の技術試験衛星「きく8号」を搭載したH2Aロケット11号機を種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げた。

 ロケットは打ち上げ約三十分後に衛星を予定の軌道に投入、成功した。H2Aの成功は、7号機から五回連続で、今年は年間四機の打ち上げに成功した。

 きく8号は重さ約五・八トンと、これまで打ち上げた衛星の中で最も重い。このため11号機は、通常は二本の固体補助ロケットを四本同時に装着して、打ち上げ時の推進力を高めた初めての形式だった。

 第一段ロケットの機体やエンジンの強度を上げる改良を加えたほか、地上設備にも打ち上げ時の音響を抑える対策を講じた。

 きく8号は、日本を見渡す赤道上空の高度約三万六千キロの静止軌道に投入され、地上から携帯電話大の機器で直接、衛星との通信を可能にする技術の実証をめざす。広げると縦十七メートル、横十九メートルのテニスコート大になる巨大なアンテナ二つを持ち、一週間後にアンテナを展開する。

 実験には独立行政法人情報通信研究機構やNTTも参加、衛星にかかわる開発費は約五百二十二億円、ロケットは約百十九億円。

リハーサルでトラブル H2Aロケット11号機

2006年11月09日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構は9日、技術試験衛星「きく8号」を載せ12月16日に打ち上げ予定のH2Aロケット11号機で、エンジン点火直前までの手順を確認するリハーサル「極低温点検」を、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで実施した。途中、機体の一部などにトラブルが起きた。

 11号機は8日に組立棟から出され発射地点に移動。9日は未明から液体水素などの燃料を注入後、設定した点火想定時刻の6秒前まで秒読みを行い、ロケット本体や地上設備に異常がないか確認した。

 11号機は打ち上げ能力を最大にするため、機体の横に付ける固体ロケットブースターを従来の2本から4本に増やしており、リハーサルは緊急事態の手順確認のため点火想定時刻を3回設定した。3回目の作業で機体の一部や地上設備にトラブルが発生、中断した。

技術試験衛星「きく8号」、12月16日に打ち上げへ

2006年10月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構は25日、技術試験衛星「きく8号」を、12月16日に鹿児島・種子島宇宙センターから打ち上げると発表した。

 きく8号は、携帯電話の中継局の役割を担う衛星を開発するための試験衛星で、テニスコートほどもある巨大なアンテナを2枚搭載、このアンテナと地上の小型移動端末との間で、音声や画像を直接通信する実験を行うことになっている。

 巨大アンテナを含めた全体の重量は5・8トンで、日本の宇宙開発史上、最も重い衛星となる。このため、打ち上げに使われるH2Aロケット11号機は、推進力を増すため、4本の大型補助ロケットを取り付けることになっている。

ロケット部品製造設備が完成

2006/06/20 中国新聞地域ニュース

 国産ロケット「H2A」の後継機「H2B」用燃料タンクのドーム部分の製造設備が二十日、三菱重工業広島製作所の観音工場(広島市西区)で完成し、記念式典があった。二〇〇八年度の打ち上げに向け、生産に入る。広島製作所が宇宙ロケット開発に携わるのは初めて。

 ドームは直径五・二メートル、高さ一メートルでアルミの超合金製。液体酸素用と液体水素用の円筒形タンクの上下に接合され、ふたの役割を果たす。ドームは高い精度と強度が求められ、これまで米国製だったが、広島製作所が国内メーカーとして初めて担当する。

 製造装置は、金属板を回転させながら金型にローラーで押し当てて成形する国内最大級のスピニング装置や、ドームを数百度に熱し、水で急冷して強度を高める加熱炉と冷却装置などを備える。昨年三月から整備を進めていた。投資額は約二十億円。

 完成記念式典には、藤田雄山広島県知事や秋葉忠利広島市長、三菱重工業の戸田信雄取締役常務執行役員航空宇宙事業本部長ら関係者約二百人が出席し、完成を祝った。(境信重)

H2A9号機、打ち上げ成功 ひまわり6号の後継機搭載

2006/02/18 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は18日午後3時27分、運輸多目的衛星2号機を搭載したH2Aロケット9号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。

 ロケットは打ち上げの約28分後、太平洋上高度約300キロで衛星を分離、予定の楕円(だえん)軌道に投入し、打ち上げは成功した。

 運輸多目的衛星2号機は、国土交通省と気象庁が運用する静止衛星で、昨年打ち上げた1号機「ひまわり6号」の予備、後継機。赤道上東経145度の静止軌道で、気象観測と航空管制を担う。順調なら打ち上げから約5日半で、高度約3万6000キロの静止軌道まで上昇。搭載機器の機能確認を経て、「ひまわり7号」と命名される予定。

 気象観測業務では、1号機が不調な場合に代わって観測に当たるほか、2010年予定の1号機の運用終了後には後継機となる。また、航空管制では東経140度の1号機と2機体制で洋上の航空機の位置確認などに活用される。

 H2Aは1月に8号機を打ち上げたばかりで、これで3回連続の成功。21日にはM5ロケット8号機の打ち上げも予定されており、国産ロケットの連続打ち上げは順調に進んでいる。(共同)

多目的衛星18日打ち上げ 気象観測と航空管制担う

2006/02/14 The Sankei Shimbun

 気象観測と航空管制の業務を担う運輸多目的衛星(MTSAT)2号機を搭載したH2Aロケット9号機が18日午後、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる。

 H2Aは1月に8号機打ち上げに成功したばかり。21日にはM5ロケット8号機も同県肝付町から発射予定で、例のない打ち上げラッシュとなる。

 MTSAT2号機は、国土交通省、気象庁が運用する静止衛星で、昨年2月打ち上げ後に「ひまわり6号」となった1号機と同じ性能を持つバックアップ機。重さ約4.7トンと日本が打ち上げた衛星では最重量級で、H2Aロケットに大2本、小4本の固体補助ロケットを取り付け、ほぼ同時に燃焼させて打ち上げ能力を高める。

 国交省などによると、気象観測業務では1号機の予備として待機し、1号機が故障したり、運用を終えたりした場合は直ちに業務を引き継ぐ。

 また、地上の管制施設からの電波が届かない洋上の航空管制業務では、現在、無線通信のほか補助的に衛星利用測位システム(GPS)も用いて、航空機同士の間隔は洋上で前後約220キロ、横で約90キロとなっている。しかし、1号機が本格運用されれば日本管轄の海域では前後で約90キロで、2007年度に運用が始まる2号機との2機体制になれば同60キロ弱の間隔での管制が可能。結果として、便数の多い北米路線の混雑緩和が期待できるという。(共同)

ロケット

2006/02/12 The Sankei Shimbun

 日本のロケットが、打ち上げラッシュを迎えている。1月にH2A8号機が上がり、近くH2A9号機とM5も予定される。

 H2Aは「液体ロケット」と呼ばれ、燃料の液体水素を液体酸素で燃やす。M5は「固体ロケット」と呼ばれ、燃料と酸化剤とをまぜて固めた火薬を燃やす方式だ。

 「液体」「固体」それぞれの長所短所がある。液体燃料には水素のほか、ガソリン、ジェット燃料などがあり、パイプや弁、ポンプなど、燃やすための複雑な「仕組み」が必要だったり、かさばったりして、扱いに手がかかる。半面、水道の蛇口を調節するように燃焼を調節できる。固体はそういう融通はきかないかわり、単純でコンパクトなシステムになる。

 ロケットが飛ぶのは「反動(反作用)」による。たとえば、大きな石を幾つも積んだボートに乗って、その石を一つ抱えてポーンと後ろに放ると、その反動でボートは前に動く。これを繰り返すと、ボートは前進を続ける。石が重く、放るスピードが速いほど勢いよく進む。

 ロケットの場合、「石」は燃料が燃えて発生する燃焼ガスだ。燃焼によって液体や固体の燃料が気体へと体積が急膨張し、後方へと噴出する。これが「放る」動作にあたる。

 ジェットエンジンも同じ推進原理だが、大気圏内を飛行するため、酸素や酸化剤を自分で積んで行く必要はない。

 細かくいうと、H2Aは液体ロケットではあるが、1段目に固体燃料の大型補助ロケットを2本付けている。「補助」とはいっても、1本で、本体の液体エンジンの倍以上の推力がある。「1段目を2段に分けて使っているようなもの」と宇宙航空研究開発機構の的川泰宣・執行役は説明する。

 打ち上げ後、燃料を燃やし尽くした順に、補助ロケット、1段目本体と次々に切り離し、身軽になる。H2Aは2段式なので、2段目が燃え尽きて衛星から切り離されると、ロケットの役割は終わる。(武居克明)

JAXA:延期のH2Aロケットの打ち上げ日程決める

2006年01月21日毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は21日、延期していたH2Aロケット8号機の打ち上げを、23日午前10時33分から43分の間と決めた。

 H2A8号機は、陸域観測技術衛星「だいち」を搭載し、19日に種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げられる予定だった。しかし準備作業中に、第2段ロケットの電子機器が正常に作動しないことが分かり、延期となっていた。異常の原因はまだ不明だが、JAXAは機器を交換し、問題なく作動することを21日に確認したという。【中村牧生、大場あい】

陸域観測衛星19日打ち上げ 地形や自然災害を観測

2006/01/17 The Sankei Shimbun

 陸域観測技術衛星「だいち」を搭載した宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)のH2Aロケットが19日午前、鹿児島県の同機構種子島宇宙センターから打ち上げられる。宇宙機構は17日、19日は天候悪化は見込まれるものの、打ち上げは可能として電気系統の確認など準備作業を進めた。

 だいちは、本体が縦約6.5メートル、横約3.5メートル、奥行き約4.5メートルで、軌道上での重さは4トンと日本の人工衛星では最重量級。太陽電池パネルを広げると幅約27メートルに達する。北極と南極の上を通る高度約690キロの円軌道から、地球全域をカバーする。

 主な観測機器は(1)3つの目で立体視して地形のでこぼこをとらえる「プリズム」(2)近赤外線で植生や水田の作付け、湿地の増減などの土地の利用状況を把握する「アブニール2」(3)雲や植物に邪魔されずに地形をとらえる合成開口レーダー「パルサー」―の3種類。

 資源探査や、国土地理院による2万5000分の1の地図の更新などへの活用が計画され、また、アブニール2とパルサーを併用すれば、自然災害が世界のどこで発生しても2日以内に被災状況を把握可能。大規模災害時には衛星データを関係国に無償で提供する予定だ。

 25カ国が参加するアジア防災センター(神戸市)の荒木田勝(あらきだ・まさる)主任研究員は「地形が詳細に分かるので、洪水や津波のハザードマップができる」と打ち上げを待つ。

 国土地理院(茨城県つくば市)の飛田幹男(とびた・みきお)宇宙測地研究室主任研究官は、「以前に取得したデータと照合して変化をとらえるパルサーは、地図の更新に威力を発揮する」と話す。地面に生じた地震断層ならジャングルの下でも特定が可能。飛田研究官は「断層による地形の変化からどの辺の被害が大きいかを推定すれば、早期の対応が可能になる」と期待している。(共同)

衛星「だいち」19日打ち上げ 「3つの目」大地観測

2006/01/17 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

≪地図作製、災害状況の把握、資源探査…≫

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は19日、鹿児島県の種子島宇宙センターから、陸域観測技術衛星「だいち」を搭載したH2Aロケット8号機を打ち上げる。刻々と変化する大地の姿を、最先端の3つの目(センサー)でとらえ、地図の作製・更新や災害状況の把握、資源探査などに役立てる。(日野稚子)

 カーナビや携帯電話など情報・通信技術の進歩に伴い、位置や距離の情報はより高い精度が求められる。その基本となるのは「正確な地図」だ。

 「だいち」に搭載された3つの目のうち、地図づくりでの活躍が期待されるのは、世界初の「パンクロマチック立体視センサー(PRISM)」だ。

 3台のカメラ(光学レンズ)で3方向を同時観測、約700キロ上空から地表の様子を2.5メートルの分解能で見分ける。標高データも同時に得られるので、航空写真のように鮮明な立体地図を作れるうえ、地震などの地殻変動にもすぐに対応でき、更新の時間と人手は大幅に削減される。

 第2の目は、4種類の波長で地上を観測する「高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR−2)」。分解能は最大10メートル。四つの波長データから植生や砂漠化が把握でき、温暖化対策などへの貢献が期待される。レンズには左右44度に首振り機能がついているので、地球上のどこでも2日以内には観測できる機動力も備えており、地震や津波など大規模災害時の被災状況把握などが期待される。

 第3の目は、天候や昼夜に左右されず、植物にも遮られないマイクロ波レーダーの「フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダー(PALSAR)」。資源探査や悪天候時の「流氷情報」の取得など、幅広い活躍が期待される。PALSARにも首振り機能があるので、地震や火山噴火の際には5日以内に地殻変動データが得られる。

 大規模災害時には、世界各国の衛星運用機関が協力してデータを無償提供する「国際災害チャータ」がある。日本は観測衛星の整備が遅れていたが、「だいち」による観測を前提としてJAXAが昨年2月に加盟した。国際協力の観点からも「だいち」の複眼にかかる期待は大きい。

運輸多目的衛星を公開 2月15日に打ち上げ

2006/01/10 The Sankei Shimbun

 国土交通省と気象庁は10日、H2Aロケット9号機で2月15日に打ち上げ予定の運輸多目的衛星2号機(MTSAT−2)を、鹿児島県の種子島宇宙センターで報道陣に公開した。

 衛星は重さ約4.7トンで、国内で打ち上げられる衛星としては過去最大の大きさ。航空管制アンテナと気象観測カメラ、太陽電池パネルなどを備えている。

 この日は防じん施設内でアンテナなどが畳まれた状態で公開された。

 MTSAT−2は、昨年2月に打ち上げられた気象衛星「ひまわり6号」の予備機で、ひまわり6号とともに航空管制情報のデータ通信も行う予定。(共同)

年内打ち上げ予定の観測衛星、部品に不具合見つかる

2005年11月09日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構は9日、H2Aロケットで年内打ち上げを予定している陸域観測技術衛星(ALOS)のデータ処理機能に異常が発見されたと文部科学省宇宙開発委員会に報告した。

 異常部品を鹿児島県の種子島宇宙センターから東京都内のメーカーに送って修理を進めている。打ち上げ時期に影響を及ぼすかははっきりしない。

 異常が見つかったのは、3次元の地形図を作るためのセンサーからデータを取り込む装置。

航空管制と気象観測…2役衛星完成、年度内打ち上げへ

2005年11月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 航空管制と気象観測機能を併せ持つ運輸多目的衛星2号(MTSAT―2)が完成し、神奈川県鎌倉市にある製造元の三菱電機の施設内で7日、報道陣に公開された。

 2号は今後、鹿児島県の種子島宇宙センターでH2Aロケットに搭載され、今年度中に打ち上げの予定。

 2号は重さ約4・65トンで、太陽電池パネルなどを展開すると全長約30メートル。製造費は約135億円で初期運用費は約60億円、宇宙センターでのロケット発射費用などは約100億円。これら費用は国交省が7割、気象庁が3割を負担する。

 打ち上げ後、赤道上空約3万6000キロ・メートルの静止軌道から、すでに運用されている運輸多目的衛星「ひまわり6号」(MTSAT―1R)とともに、航空管制を2基体制で行う。気象観測については、当面、ひまわり6号が不調時のバックアップを予定している。

宇宙船共同開発を打診 ロシアが日本に

2005/10/13 中国新聞ニュース

 ロシアが日本の宇宙研究開発機構(宇宙機構)に対し、現在同国が単独で進めている新型有人宇宙船「クリーペル」開発への参加を打診してきたことが、十三日分かった。

 宇宙機構は参加の可否を見極めるため、担当理事を中心に開発計画に関する情報収集を始めた。ロシアが二○○六年一月から始める基礎的な研究に参加するかどうか、年内をめどに結論を出す方針。

 同宇宙船の開発には既に欧州宇宙機関が参加の方向で検討している。日本が参加すれば、二○一○年までにスペースシャトルを引退させて宇宙開発の目標を月や火星にシフトする米国に頼らず、日、ロ、欧の三極だけで国際宇宙ステーションを運用する技術的な道が開けることになる。

 宇宙機構関係者によると、ロシア側から受けた説明では、クリーペルはソユーズ宇宙船の後継機で、ソユーズの二倍の六人乗り。約十日間の宇宙飛行が可能という。

 スペースシャトルのように重い貨物は積載せず、最大でも約五百キロが限度。人をステーションと行き来させるのが主な運航目的となるが、科学実験や宇宙観光旅行にも利用可能だ。ロシアは「一千億円で開発できる」と説明しているという。

 担当の樋口清司理事は「宇宙で安定的に活動するなら、輸送システムは一つに頼るのではなく、他の手段でもやりくりできるのが望ましいのではないか」と参加に積極的な姿勢を示した。

ノズル改良し能力を向上 H2Aロケット8号機を公開

2005/10/11 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は11日、来月以降に打ち上げ予定のH2Aロケット8号機の機体を、製造場所の三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所(愛知県飛島村)で報道陣に公開した。

 機体は2段式で、1段目が長さ約37メートル、2段目が約11メートル。1、2段目とも直径約4メートルの円筒形で、従来のH2Aロケットより、1段目のノズルを約0.5メートル長くして、打ち上げ能力を向上させた。

 工場内では損傷を避けるためにエンジンには赤いカバーがかけられ、胴体はオレンジ色の断熱材で覆われていた。

 8号機は資源探査などに使う陸域観測技術衛星(ALOS)を載せて種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げる。13日に同工場から積み出し、15日に同センターに搬入して組み立てられる。(共同)

失敗を生かせ、科学技術の事故データベース

2005年03月24日 asahi.com

 科学技術に関連する過去の事故やトラブルを教訓にして新たな失敗を防ぐため、独立行政法人・科学技術振興機構が「失敗知識データベース」の公開を、ホームページ上で始めた。原子力施設やロケットなどの大規模事故から、交通事故や階段での転倒、テレビの発火など身近なトラブルまで約1100例を紹介。原因、関係者の行動、学ぶべき教訓などを解説している。

 「失敗学」が専門の畑村洋太郎・工学院大教授らが、4年がかりで作成。キーワードから具体例が検索できるほか、航空・宇宙、原子力、自然災害など15の分類からも失敗例を探し、絞り込める。被害状況や原因、教訓、後日談なども記載。当事者へのインタビュー、情報源や参考になる文献も紹介している。

 H2ロケット8号機の失敗(99年)などを盛り込んだ。スペースシャトル・コロンビア号の帰還失敗(03年)やJCOウラン加工工場の臨界事故(99年)など、社会への影響が大きい失敗例は「失敗百選」に選び、より詳しく解説した。

 畑村教授は「失敗を防ぐには、他の業界や社会の失敗から学ぶことが重要。単なる事例集ではなく、教訓や再発防止のヒントを分かりやすく解説した」と話す。

ロケット計画の評価「専門家集団で」 宇宙機構に提言

2005年03月23日 asahi.com

 ロケットや人工衛星の失敗を減らす手立てを検討してきた宇宙航空研究開発機構の外部諮問委員会は23日、開発計画ごとに組織横断的に安全性を評価する専門家集団の創設など21項目の提言をまとめた。米航空宇宙局(NASA)のダニエル・ゴールディン元長官をはじめ、欧米の宇宙機関の元幹部ら「外国の大物」の知恵を頼りに改革案を諮問していた。

 提言は開発計画を主導するマネジャーの訓練、認定制度を設ける必要性などを指摘。また、打ち上げの成功率を高めるため、信頼性が確立したロケットを長期間使用することも挙げた。ただ、21項目の中には「戦略計画の策定」「産業界との関係拡大」など抽象的なものも多くなった。

 諮問委員会は昨年6月に発足した。H2Aロケット6号機や火星探査機「のぞみ」など失敗が相次いだことから、ゴールディン元長官を委員長に、ドイツ、フランスなど欧米の宇宙機関の幹部経験者5人を含む7人を委員に迎えた。宇宙機構は計5回の会合と調査費などに、約1億5千万円を投じた。

国産有人宇宙船20年以内に、東京―ロス2時間飛行も

2005/03/17 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構は宇宙船の開発と日本独自の有人宇宙活動の実現や、太平洋を2時間で横断するマッハ5クラスの極超音速機の実用化を長期ビジョンに盛り込むことを決めた。

 同機構の長期ビジョンは今後20年の日本の宇宙航空分野における目標を設定するもので、16日、有識者による外部諮問委員会(委員長=北城恪太郎・日本IBM会長)で了承された。

 3月末に正式決定する。

 2008年に試験飛行を予定している国際宇宙ステーションへの無人補給機(HTV)を有人宇宙船用に改造する。

 15年までにHTVを打ち上げるH2Aロケットの信頼性を高めながら、HTVの一部であるカプセルを地上で回収する技術や、HTV本体に翼を付けて米スペースシャトルのように再使用する技術を無人機で成熟させる。

 次の10年でロシアのソユーズのような使い切り型の有人宇宙船を実現し、さらに再使用型の開発にも着手する。

 また、25年までには人間が滞在する国際月面基地が完成していると想定。日本は06年度打ち上げ予定の月周回衛星による探査データをもとに月の資源利用で優位性を確保しながら、宇宙ステーション計画の経験を蓄積し独自の有人宇宙活動を可能にする技術の確立を目指すとしている。

 政府の総合科学技術会議は昨年9月、日本の宇宙開発戦略について「20〜30年後に独自の有人宇宙活動に着手する可能性を検討する」としていた。同機構の長期ビジョンは、この方針をより具体化したもので、15年までの状況をみて、本格的な開発に移行するかを判断する。

 一方、航空分野では国際競争力を持つ技術の獲得を目標に、約10時間かかる東京―ロサンゼルス間の飛行時間を5分の1に短縮する、水素燃料の極超音速機の開発を目指す。30年以降の実用化を想定し、25年までに無人機で技術を実証する。同機構は長期ビジョンの実現には前半10年間だけで年2500億〜2800億円の資金が必要と見込んでいる。現在の同機構の予算は年1800億円程度。

 ◆無人補給機(HTV)=水や食料など6トンを国際宇宙ステーションに運搬する。直径4.4メートル、全長9.2メートル。ロケットの最上段に格納されて打ち上げられ、ステーションの近くから自力で航行する。現在の設計ではステーションから不要物を持ち出し、大気圏に再突入して燃え尽きる。

愛称は「ひまわり6号」 打ち上げ成功の新衛星

2005/03/08 asahi.com

 打ち上げに成功した運輸多目的衛星新1号(MTSAT―1R)について北側国交相は8日、愛称を「ひまわり6号」とすることを閣議後の記者会見で明らかにした。「ひまわり」の名が気象衛星として定着していることを理由に挙げた。

 新衛星は同日午前、ニューギニアの上空3万6000キロで予定通り静止軌道に入った。映像送信テストを経て5月末から気象衛星として本格稼働し、年末には航空機の管制システムでも運用が始まる。

 気象庁と国土交通省は99年、老朽化したひまわり5号の後継機としてMTSATの旧1号機を打ち上げる際、公募で愛称を決めていた。しかし、打ち上げは失敗し、愛称は非公表のままになっている。

 国交省の担当者は「今回は打ち上げに全力を傾注したので、愛称を公募する余力はなかった」と話している。

H2A補助ロケットの捜索中止…現場海域のマグロ漁で

2005/03/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7日、2月26日に種子島宇宙センターから打ち上げたH2Aロケット7号機から分離され、鹿児島県南東沖の海に落下したロケットブースターの捜索を中止した。

 今の時期は、マグロ漁が行われているため捜索が難しいことを、考慮に入れずに計画を立てていたためだ。

 JAXAは打ち上げ前、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の調査船「よこすか」を現場海域に派遣する契約手続きを進めていた。打ち上げ失敗なら原因究明が、成功でも捜索技術の開発が必要と判断した。3月7日から、ロケットブースターに取り付けられている音響ビーコンを頼りに、同船から沈んでいる場所を絞り込む手はずだった。

 ところが、現場海域では現在、多くのマグロはえ縄漁船などが操業していることが判明。捜索機器を海中に入れ作業をするのは無理とわかり、同船は出航を取りやめた。

 JAXAは「詰めが甘かった。あきらめたわけではない」(広報部)と説明している。しかし、音響ビーコンの寿命は3か月。「よこすか」も航海スケジュールが詰まっていて使えないため、捜索の再開は難しい。

 打ち上げ成功で、政府内に「失敗原因を究明するわけでもないのに、数千万円をかけてまで探す必要があるのか」という雰囲気が強まったことも、捜索断念の流れを後押しした。

MTSATが太陽電池パネルの展開に成功

2005/03/05 読売新聞 Yomiuri On-Line

 H2Aロケットで2月26日に打ち上げられた運輸多目的衛星(MTSAT)新1号は5日午前6時7分、片側に三つ折りにされていた全長9・8メートルの太陽電池パネルの展開に成功した。

 今後、軌道位置の微調整を2回行い、8日から気象観測や航空管制の軌道上試験に入る。

ひまわり?MTSAT?気象庁と国交省命名で“衝突”

2005/03/02 読売新聞 Yomiuri On-Line

 H2Aロケット7号機で先月26日に打ち上げられた運輸多目的衛星(MTSAT)新1号の愛称をめぐり、気象庁と国土交通省のさや当てが激しくなっている。

 衛星の放出成功直後の会見で長坂昂一(こういち)気象庁長官が「ひまわりという名前はすでに国民に親しまれている」と先手を打ったのに対し、国交省航空局は「まだ静止軌道にも到達していないのに」と困惑気味で、「正式名称のMTSATで不都合はない」とけん制。“名無し”のまま5月下旬の仕事始め(気象観測)を迎える事態も懸念されている。

 MTSATは「ひまわり5号」の後継機としての気象観測機能と、航空管制や航空機と地上設備の通信を行う測位・通信機能を併せ持つ初の衛星。製造費163億円と初期運用費60億円の7割は国交省航空局が負担している。

 MTSATはもともと、1999年11月に1号が打ち上げられる予定だった。愛称も一般から募集。9500通の中から選ばれた「みらい」は、打ち上げ成功後に種子島宇宙センターでお披露目するばかりになっていた。しかし、打ち上げ失敗で「みらい」はお蔵入りの憂き目に。

 一方、今回の新1号は衛星製造メーカーの納入遅れや、H2Aロケット6号機の失敗などのトラブルが続いたため、愛称公募は見送られていた。

 「ひまわり」という知名度の高いブランドを持つ気象庁側は「国民の皆さんが呼びたいように呼んでくれれば」(気象衛星室)と余裕の構え。対する国交省側は、運用開始でも気象庁の半年後と出遅れるとあって形勢不利は否めず、担当者も「民間の通信衛星のように愛称は付けず、MTSATのままで良いのでは」と対抗案がない状態だ。

 すれ違う両者だが、過去に選定された「みらい」は「縁起が悪いからダメ」という点では一致している。

 ◆運輸多目的衛星=赤道上空3万6000キロの静止軌道から、西太平洋地域の気象観測と太平洋上の航空管制を行う。気象庁は1977年から「ひまわり」シリーズを連続5基運用してきたが、単独で予算を捻出(ねんしゅつ)するのが困難になり、空港整備特別会計をもつ航空局の航空管制衛星に相乗りすることになった。航空管制は2基で行うため、今年度中に2号が納入され、来年度に打ち上げられる予定。

多目的衛星がエンジン噴射、静止軌道へ移行作業

2005/02/27 読売新聞 Yomiuri On-Line

 H2Aロケットで26日に打ち上げられた運輸多目的衛星(MTSAT)新1号は、27日午前0時7分に航空管制用アンテナの展開を完了、同午後8時30分から小型エンジン噴射を開始した。

 現在の楕円(だえん)軌道を、赤道上空3万6000キロ・メートルの静止軌道に移すためで、同様の噴射は3月1日、4日にも行われる。

 順調にいけば衛星は、3月8日に東経145度の静止軌道に暫定的に投入された後、約1か月の初期機能確認を経て、いま気象衛星「ひまわり5号」がいる東経140度に移される。気象観測には5月下旬から、航空管制には今年末から利用される予定。

H2A7号機の成功、“ロケット野郎”もホッ

2005/02/27 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)のH2Aロケット7号機が26日、打ち上げに成功した。日本のロケット技術の信頼回復をめざした背水の陣だった。成功の陰には製造現場を仕切った“ロケット野郎”の並々ならぬ情熱と苦労があった。

 打ち上げ成功で安堵(あんど)の空気に包まれた種子島宇宙センター。ロケット製造のリーダー格だった三菱重工主幹プロジェクト統括の浅田正一郎さん(49)(三重県桑名市)は「本当にホッとした。ロケット野郎というのは、これがやめられないんですよ」と、大仕事の緊張が解けた後の快感に酔いしれた。

 東大大学院でロケット工学を専攻し、宇宙飛行士の土井隆雄さんと席を並べて学んだ。入社後もロケット一筋。3人の子には星太郎(ほしたろう)、星矢(せいや)、公星(こうせい)と、宇宙にちなんだ名前をつけた。

 「現場の仕事を熟知した人」と慕われ、エピソードも多い。打ち上げ再開を前に絶対成功を求める文部科学省宇宙開発委員会の部会で、「100%なんて保証できない」と思わず立ち上がり、周囲をあわてさせたこともある。

 「自動車、航空機に比べ、ロケットの失敗が多すぎる」というのが持論の同委員会・井口雅一委員長の就任パーティーでは、「数の多い自動車とロケットの信頼性を一緒に論じないで」と訴えもした。

 前回2003年11月の打ち上げ失敗後は苦しい日々が続いた。名古屋市近郊の機体組み立て工場の70人の同僚は仕事がなく、一時は飛行機の製造ラインに職場を移されたりした。

 H2Aの製造とりまとめは来年度以降に三菱重工に移管される。その前段階として、今回は他企業が製造した部分の点検も行った。

 背水の陣で挑んだ今回、「各社とも総力戦で頑張った。プレッシャーは自信ではね返す」と強気で語っていた浅田さん。「仲間も休日返上で頑張った。迷惑をかけた家族には、この成功で感謝の気持ちに代えたい」と晴れやかな笑顔を見せた。

 ◆宇宙センター、拍手と握手◆

 打ち上げが遅れ、島はすっかり日が暮れた。北北西のやや強い風が吹く中、白い機体はオレンジ色の炎と白い蒸気を上げてまっすぐに空へ向かった。

 総合指令棟管制室で、JAXAの立川敬二理事長はその瞬間、食い入るようにモニター画面を見つめた。後ろの壁には「平常心」と記された手ぬぐいが張られた。順調な飛行データが寄せられると満足そうな笑顔が戻った。午後7時5分、衛星の軌道投入成功が告げられると拍手が起き、立川理事長は三戸宰(つかさ)理事らと握手を交わした。

         ◇

 長坂昂一(こういち)・気象庁長官は26日、新衛星の名称について「運用のメドがたってから各方面と相談するが、『ひまわり』という名前は国民に親しまれている」と述べ、「ひまわり5号」の後継機として「ひまわり6号」となる可能性も示唆した。

3月8日にも静止位置に 衛星、地球を楕円状に周回

2005/02/27 The Sankei Shimbun

 気象衛星ひまわり5号の後継機として、航空管制機能も併せ持つ運輸多目的衛星(MTSAT)は、打ち上げ後、地球の周囲を楕円(だえん)状に回る軌道に乗りながらメーンエンジン(アポジスラスター)の点火を繰り返し、順調に行けば3月8日午後にも静止軌道上の静止位置に到着する見込み。

 国土交通省や気象庁によると、MTSATは27日未明、航空管制用アンテナを展開。打ち上げから「1日と2時間6分後」の27日夜にメーンエンジンに点火。さらに「2日と19時間28分後」と「5日と16時間23分後」にもメーンエンジンに点火し、徐々に大きく周回しながら、静止軌道に向かう。

 「6日と12時間17分後」の3月5日早朝には、太陽電池パネルを開き、「7日と4時間16分後」の同日夜には、衛星のバランスを取るためのソーラーセールを展開。「9日と20時間25分後」には静止化が完了するという。

 MTSATは搭載燃料の3分の2を静止軌道への移動に使い、残りの3分の1で11年前後運用する。両省庁は「気象観測機能のテストから行い、3月中には試験撮影した雲画像が公開できるのではないか」と説明。気象観測は5月末、航空管制機能は12月の運用開始を目指すという。(共同)

H2Aロケット7号機、打ち上げ 運輸多目的衛星を搭載

2005/02/26 The Sankei Shimbun

 国産主力ロケットH2Aの7号機が26日午後6時25分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。気象衛星ひまわり5号の後継となる運輸多目的衛星(MTSAT)を搭載、気象観測の綱渡り状態の解消を目指す。

 H2Aは2003年11月に失敗した6号機以来、1年3カ月の空白期間を経ての打ち上げ。MTSAT自体も1999年11月、H2ロケットで打ち上げに失敗しており再挑戦で、今回の打ち上げは、日本の宇宙開発の信頼性回復に向けた第一歩となる。

 打ち上げ直前に通信異常がみつかり、当初予定より約1時間15分遅れでの打ち上げとなった。

 MTSATは、気象観測と航空管制の2つの業務を高度3万6000キロから行う静止衛星。特に、日本の衛星による気象観測は、ひまわり5号が老朽化で観測を停止、やはり老朽化した米国の衛星を借用してしのいでおり、その状況の改善と、天気予報の精度アップが期待されている。

 7号機は、6号機で分離できずに失敗の原因となった固体ロケットブースターを改良。噴射口に丸みをつけた上、燃焼圧力を下げて、噴射口が燃焼ガスで削られないようにした。(共同)

 <H2Aロケット> 国産の主力ロケットで、燃料に液体水素と液体酸素を使う直径4メートル、全長53メートルの2段式。連続失敗した純国産のH2ロケットの後継として、打ち上げコスト半減を目指し開発された。2001年8月に1号機を打ち上げ、5号機まで連続成功した。だが03年11月、情報収集衛星を載せた6号機が固体ロケットブースターを分離できず、地上からの指令で爆破された。ブースターの噴射口の破損が原因と分かり、77項目もの改善が施された。(共同)

 <運輸多目的衛星> 気象観測と航空管制の業務を持つ重量3・3トンの静止衛星。国土交通省と気象庁が発注し、米スペースシステムズ・ロラール社が製造した。老朽化で観測を停止した気象衛星ひまわり5号の後継機で、製造費163億円、管制費は60億円。ひまわりより赤外線センサーを増やし、夜間の霧や雲を詳細に観測できるほか、毎時だった観測の間隔を半分に縮め、台風などの連続観測が期待される。気象衛星としての寿命は5年、航空管制は10年間。1999年、H2ロケット8号機での打ち上げに失敗、今回が再挑戦。バックアップ役の2号機を三菱電機が製造中で、来年度に打ち上げる。(共同)

H2A打ち上げ時刻繰り下げ 地上との通信に異常

2005/02/26 asahi.com

 26日午後5時9分に打ち上げられる予定だった国産大型ロケット「H2A」7号機は、地上と機体との通信に異常が生じたため、打ち上げ時刻が午後6時25分に繰り下げられた。

H2A、発射地点に…夕方打ち上げへ準備着々

2005/02/26 読売新聞 Yomiuri On-Line

 気象観測などを行う運輸多目的衛星を搭載した大型ロケット「H2A」7号機(全長53メートル、重さ320トン)は26日未明、鹿児島県南種子(みなみたね)町の宇宙航空研究開発機構・種子島宇宙センターの発射地点に据え付けられた。

 同日午後5時9分に打ち上げられる。

 ロケットは午前4時過ぎ、同センター組立棟から台座に載せられ、約30分かけて、450メートル離れた発射地点へ移動した。同8時過ぎから液体燃料の注入作業が行われた。

 H2Aロケットの打ち上げは、2003年11月に6号機の打ち上げに失敗して以来、1年3か月ぶり。気象衛星「ひまわり5号」の後継機となる運輸多目的衛星新1号(MTSAT―1R)を搭載している。同衛星は気象観測と併せ、太平洋上などの航空管制機能も持っている。

H2A、26日に打ち上げ 新気象衛星を載せ

2005/02/25 The Sankei Shimbun

 観測を停止したひまわり5号の後継機となる運輸多目的衛星(MTSAT)を載せたH2Aロケット7号機が26日午後、宇宙航空研究開発機構種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられる。

 老朽化した米国の衛星に頼る日本の気象観測の状況を改善する重要な使命を担うとともに、6号機の失敗で失われた宇宙開発の信頼性を取り戻す打ち上げとなる。

 打ち上げ準備を取り仕切る宇宙機構の園田昭真企画主任は「準備作業も天候も打ち上げに支障はない」と話している。

 宇宙機構によると打ち上げ予定時刻は午後5時9分。25日は、打ち上げの際に燃料充てん用のホースや電源ケーブルを切り離すための準備など、最終段階に向けた作業が順調に進んだ。

 ロケットは26日未明、大型ロケット組立棟から約500メートル離れた発射点に移動。燃料注入を開始し、秒読みに入る。

 7号機は、打ち上げ40分後に運輸多目的衛星を当初のだ円軌道に投入する。打ち上げは24日に予定されていたが、悪天候が予想されたため延期。26日午後は時々晴れで風も収まる見込みという。(共同)

H2Aロケット、打ち上げ再開2月24日に決定

2005/01/19 asahi.com

 H2Aロケットの打ち上げ再開について、宇宙航空研究開発機構は来月24日にすることを決めた。19日の宇宙開発委員会に報告した。次回打ち上げでは、気象衛星「ひまわり5号」の後継機となる運輸多目的衛星を搭載する。

 03年11月の打ち上げは、大型固体補助ロケット(SRB)が本体から切り離せずに失敗した。宇宙機構は、SRBを設計変更して、3回の燃焼試験を行い、事故対策に問題がないと確認した。

H2Aロケット7号機の機体を公開…来年2月打ち上げ

2004/12/21 The Sankei Shimbun
 来年2月に打ち上げが予定されているH2Aロケット7号機の機体が21日、愛知県飛島村にある三菱重工業の工場で報道陣に公開された。

 7号機は整備がほぼ終了。来月4日に工場から搬出し、6日に鹿児島県・種子島に到着。気象衛星ひまわりの後継機となる運輸多目的衛星(MTSAT)の打ち上げに備え、種子島宇宙センターで最終整備する。

 公開された機体は第1段が長さ37メートル、第2段が長さ9メートル、いずれも直径4メートルの円筒形で、表面をオレンジ色の断熱材が覆う。製造中の8−10号機と並び、横倒しで置かれていた。

 7号機は2002年打ち上げを目指して製造が始まった。6号機が失敗した昨年11月にほぼ出来上がっていたが、失敗を受け、機器の配線などに改良を施したという。(共同)

H2A、2月打ち上げへ…気象衛星の後継機を搭載

2004/12/08 読売新聞 Yomiuri On-Line
 宇宙航空研究開発機構は8日、気象衛星「ひまわり5号」の後継機である運輸多目的衛星(MTSAT―1R)を、H2Aロケットで年明けに打ち上げると文部科学省宇宙開発委員会に報告した。

 打ち上げは来年2月になる見通し。

 日本の主力ロケットH2Aは昨年11月29日、情報収集衛星の打ち上げに失敗。点検作業のため1年以上も運用が停止されていた。失敗の原因となった固体ロケットブースター(大型補助ロケット)の設計変更や機体と地上設備の改修により信頼性が向上したと同委員会が認め、打ち上げ再開が決定した。機構は今月中にブースターの最終燃焼試験を実施する予定。

 MTSAT―1Rは「ひまわり5号」に比べ、台風や豪雨の観測精度が大幅に向上する。

日本版シャトル拠点閉鎖へ、投入22億円・飛行3回

2004/11/20 読売新聞 Yomiuri On-Line
 宇宙航空研究開発機構は、太平洋赤道直下のキリバス共和国クリスマス島にある、宇宙輸送機の実験拠点に関する協定を打ち切る方針を固め、同国政府と協議を開始した。

 同機構の前身の宇宙開発事業団が、22億円で飛行場周辺の道路と港湾を整備したが、飛行実験が3回、計45分間行われただけだった。

 同機構は2000年2月、キリバス政府と島南部のエイオン飛行場を20年間無償借用するという協定を結んだ。

 日本版スペースシャトル開発のため、2004年度に無人の宇宙往還技術試験機(HOPE―X)を、鹿児島・種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げ、地球を1周してエイオン飛行場に着陸させる計画だった。

 ところが、2001年から機体製作が始まる予定だったHOPE―X計画は、宇宙予算削減のあおりを受け2000年度に凍結。そのため飛行場の利用は、予備実験用の模擬機で離着陸テストを2002年10―11月に3回実施しただけで終わった。

 HOPE―X計画は関連予算も昨年度で終了。飛行場の当面の利用予定もほかにない。キリバス政府と日本企業の合弁会社に支払っている年間2800万円の実験施設の維持整備費も、今年度で終了する。

 ◆HOPE―X=無人の日本版スペースシャトル「HOPE」の開発に向けた試験機として計画された。

 全長16メートル、重さ13・5トン。H2Aで打ち上げられ、高度120―200キロ・メートルを飛び、約2時間で地球を1周、大気圏に再突入して高度80キロ・メートルから滑空飛行する。

H2A打ち上げ、2月にも再開 気象衛星搭載見込み

2004/11/20 asahi.com
 H2Aロケットの打ち上げが来年2月に再開される見通しになった。昨年11月の6号機打ち上げ失敗を教訓に設計変更した大型固体補助ロケット(SRB)の信頼性、安全性が燃焼試験で確認でき、技術的に再開のめどがついた。気象衛星「ひまわり5号」の後継機を搭載する見込みだ。相次ぐトラブルで停滞していた日本の宇宙開発が、再び動き出すことになる。

 6号機の打ち上げ失敗は、SRBのノズル(噴射口)に穴が開き燃焼ガスが漏れたのが原因だった。宇宙航空研究開発機構は、ノズルが高温のガスにさらされても破損しないよう、壁を厚くしたり、形状に膨らみをもたせたり、設計を変更した。

 宇宙機構は9月と11月に、新型のSRBで燃焼試験をした。ノズルに異常は生じず、燃焼圧力などのデータも予測の範囲内に収まって、設計変更が妥当と確認できた。ほかに改善が必要と指摘された点火装置や電気系統など約80項目の問題点もほぼ、対応を終えた。

 宇宙機構は、燃焼試験の詳細な分析結果をまとめ、29日の宇宙開発委員会の専門委員会に報告する。12月中旬に念のため最後の燃焼試験をするが、2月打ち上げですでに文部科学省などと調整に入った。

 次回の打ち上げでは、「ひまわり5号」後継機の、運輸多目的衛星(MTSAT)の搭載が最有力だが、模擬衛星を使った「試射」案も検討されている。

 MTSATの場合は99年11月にH2ロケットによる打ち上げが失敗しており、作り直した衛星での再挑戦となる。昨年5月に「ひまわり5号」が寿命で運用停止してから米国の気象衛星に頼っており、国土交通省や気象庁などは早期に確実な打ち上げを要望している。

貴重な資料「H2」7号機、引き取り手なく廃棄の危機

2004/10/09 読売新聞 Yomiuri On-Line
 打ち上げられずに残ったロケットとして、日本の技術史を物語る貴重な資料となるはずだった「H2」7号機が、廃棄される恐れが高まってきた。

 「H2」は日本初の純国産大型ロケットで、宇宙航空研究開発機構は博物館などでの永久保存を目指していたが、輸送と保管に数億円の費用がかかるため、引き取り手探しに難航。現在、保管されている種子島宇宙センターの施設には、開発中の新型ロケットが近く入るため、同機構内に「もう時間切れ」の声が強まっている。

 「H2」7号機は2000年夏に衛星2基を打ち上げる予定だったが、1999年11月、先行した8号機の打ち上げが失敗。資金と人材を後継機「H2A」へ集中させることになり、190億円をかけて完成していた7号機はお蔵入りとなった。

 「H2」は日本の技術が初めて世界に肩を並べたロケットだけに、同機構の前身の宇宙開発事業団は当初、国立科学博物館に所有権を移転したうえで、他の博物館などへ貸し出す予定だった。しかし、全長50メートルの機体は、横倒しにしたり野外に展示したりすると劣化しやすいため、展示場の新設に数億円、本土への輸送にも1億円がかかる。

 昨年10月、同事業団などが統合されて同機構が発足した際、財産整理の一環で7号機の処分問題が浮上。北九州市の宇宙テーマパーク「スペースワールド」とも交渉したが、条件が合わずに断念した。いまや財産目録上の資産価値は「1円」だという。

H2Aロケット、固体ブースター燃焼試験で良好な結果

2004/09/16 読売新聞 Yomiuri On-Line
 H2Aロケットの打ち上げ再開を目指す宇宙航空研究開発機構は16日、鹿児島県の種子島宇宙センターで、改良した固体ロケットブースターの1回目の燃焼試験を行った。ほぼ設計どおりの性能が得られ、順調な滑り出しとなった。

 同機構は、12月までにさらに2回の燃焼試験を行う。

 昨年11月の打ち上げ失敗は、固体ロケットの噴射口(ノズル)が破損し燃焼ガスが穴から漏れたことが原因となった。今回の実験では、噴射口を膨らみを持たせた釣鐘型の形状に変え、板の厚さを増すなどして強化した改良型ブースターを使った。

 燃焼試験では温度やひずみなど約250のデータを取得、異常がないか分析する。同機構は「外観上、燃焼ガスでノズル内面が削られた量は少なく、良好な結果」としている。

 [宇宙開発]「国家戦略としてこれで十分か」

2004/09/06 読売社説(1) Yomiuri On-Line
 日本の宇宙開発は壁に直面している――。

 内閣府の総合科学技術会議が厳しい認識に立って、今後十年間の方向を定めた「宇宙開発利用の基本戦略」をまとめた。

 主力ロケットH2Aや火星探査機、地球観測衛星などの失敗が相次いだことを受け、基幹技術の信頼回復を大きな柱に据えた。さらに、宇宙関連産業を強化するための方策を挙げている。

 将来、独自の有人宇宙活動を展開することも視野に入れ、基礎研究に着手する方針も新たに打ち出した。

 だが、現状は極めて深刻だ。

 H2Aは、昨年十一月の失敗以来、再開のめどが立たない。惑星探査など国民に夢を与える研究分野でも、火星探査機失敗などが響き、新たな計画が途絶えている。産学官の連携で足元を立て直さないと戦略は画餅(がべい)に終わりかねない。

 科技会議は二年前にも、同様の戦略をまとめている。が、国内外の環境が激変し、見直しを迫られた。

 日本が有人宇宙活動の頼みとする米スペースシャトルの飛行は、空中分解事故で停止したままだ。米国は今年初め、宇宙政策も転換した。シャトルは二〇一〇年に退役させ、新宇宙船を開発して有人月探査などに活動の比重を置く。

 アジアでは、中国が昨年十月に、有人宇宙飛行を成功させた。

 国際的にも存在感が薄くなった日本にとって、この戦略は最低限の内容だ。宇宙開発は国の技術力を反映すると同時に技術のすそ野も広げる。国家戦略としてさらなる取り組みが要る。

 安全保障面でも、人工衛星による情報収集や情報通信、GPS(全地球測位システム)などが果たす役割は大きい。

 しかし、宇宙開発と安全保障を巡っては“神学論争”が起きがちだ。宇宙開発利用を「平和目的」に限る、とした一九六九年の国会決議を、政府が宇宙の「非軍事」利用と解釈してきたためだ。

 自衛隊の通信衛星利用さえ議論になったことがある。今後、独自にGPS衛星を打ち上げる計画もあるが、もともと軍事用の米国GPSとの連携も考えられるだけに、論争が再燃しないか。

 六七年に締結された宇宙条約は、宇宙の平和利用について、他国への攻撃に宇宙を利用しないことを想定している。安全保障での利用は禁じていないが、内閣府の戦略は、この問題について、関係機関に議論を求めるにとどまった。

 「基本戦略」は、宇宙開発の目標を、国民の安全確保や経済発展、知の創造とした。まさに国家戦略である。それに見合う内容へ、練り直す必要がある。

H2Aロケット再開へ、改良型補助ロケット地上燃焼試験

2004/09/09 The Sankei Shimbun
 H2Aロケットの打ち上げ再開に向けて、宇宙航空研究開発機構は9日、大型固体補助ロケット(SRB)の改良型の地上燃焼試験を16日に種子島宇宙センター(鹿児島県)で行うと発表した。年内に3回試験をし、異常が見つからなければ、今年度内の打ち上げ再開を目指す。

 昨年11月のH2A6号機の打ち上げでは、SRBが分離できず、失敗した。ノズル(噴射口)の設計ミスで燃焼ガスが漏れ出し、壁面に穴が開いたことが原因だった。

 宇宙機構は、ノズルの形状などを変えた改良型を開発、燃焼試験で問題がないと確認できれば製造に取りかかる。

 宇宙機構では、H2Aロケットの設計から開発、製造まで全行程の786項目で再点検を進めてきた。ノズルの設計変更のほかに、SRBの点火装置の改良など95項目の改善点が見つかった。これらの対策もあわせて進める。

H2Aロケット改良案認める…宇宙開発委員会の専門委

2004/09/02 読売新聞 Yomiuri On-Line
 文部科学省宇宙開発委員会の専門委員会は2日、H2Aロケットの打ち上げ再開に向けて宇宙航空研究開発機構が進めてきた固体ロケットブースターの設計変更案を認める報告書をまとめた。

 同機構は昨年11月の打ち上げ失敗の原因となったノズル部分の形状を変更したブースターの地上燃焼試験を、今月から開始し、年内に3回の試験を完了する予定。同機構はH2Aの誘導制御機器の運用方法の変更やブースターの点火にかかわる装置の改良など95件の課題を挙げ、うち半数は打ち上げ再開までに対策をとるとしている。

中国版シャトル、2020年完成か 香港紙報じる

2004/09/01 The Sankei Shimbun
 1日付香港紙、文匯報は、中国が2020年ごろをめどに、米スペースシャトルのように複数回の宇宙飛行が可能な国産宇宙船を開発する計画を進めていると報じた。

 同紙によると、宇宙船の形状など詳細は未定だが、長期的な重点目標になるという。昨年の「神舟5号」打ち上げ成功後、性能アップに向け開発が進むロケット技術などを応用する見通しだ。(共同)

宇宙開発、安全保障面強化を…総合科技会議報告

2004/08/27 読売新聞 Yomiuri On-Line
 宇宙開発の長期戦略を策定する総合科学技術会議の専門調査会は27日、日本の宇宙の平和利用原則について見直しを含めた議論が必要とする報告書をまとめた。

 情報収集衛星と、それを打ち上げるロケットを宇宙開発における最重要技術と位置づけ、安全保障面での宇宙利用を強化する。

有人宇宙活動、日本も20〜30年後に着手可能性見極め

2004/08/27 asahi.com
 日本も20〜30年後には有人宇宙活動の可能性を検討する――。国の宇宙開発の基本方針を再点検していた総合科学技術会議の宇宙開発利用専門調査会(会長=大山昌伸・東芝顧問)は27日、こんな報告書をまとめた。中国による有人飛行の成功(03年10月)を受けて、2年前に「10年間は有人飛行をしない」とだけ規定していた基本方針をわずかに修正した。

 報告書では、有人宇宙活動について、今後10年間は従来通り、独自の計画を持たないが、将来に備えて準備を進めることとした。さらに、20〜30年後に着手の可能性を見極めるとしている。

 同会議の事務局によると、同調査会では厳しい意見が相次いだという。

 「ちょっとした事故でひっくり返ったような騒ぎになる状況では、有人の話はやめた方がいい」「無人の信頼性を高めるのが先」――などだ。

 事務局は新しい記述について「少し先を見て、有人飛行の芽を出した」と説明している。

 また、報告書は宇宙開発を平和利用目的に限定した69年の国会決議に関連して「平和利用のあり方を議論する必要がある」とした。国会決議に対しては、安全保障目的の活用も求め、政財界から見直しを求める意見が出ている。

H2Aの燃焼試験、ガス漏出は6号機と原因同じ

2004/08/12 読売新聞 Yomiuri On-Line
 国産ロケットH2Aの固体ロケットブースター(大型補助ロケット)の地上燃焼試験で噴射口に穴が開き燃焼ガスが漏れ出したトラブルで、宇宙航空研究開発機構は12日、原因は噴射口内壁の急激な浸食だったと文部科学省宇宙開発委員会の専門委員会に報告した。

 H2A6号機の打ち上げ失敗と同様の原因だった。

 同機構は先月7日、打ち上げ失敗の原因究明のため6号機と同型のブースターを燃焼させた。

 炭素繊維強化プラスチック製の噴射口内壁が、浸食が急激に進んだために破断し、補強用の外側パネルも破損した。パネルには試験用超音波センサーを取り付ける穴を開けていたため、強度が低くなっていた。

「H2A」の失敗“再現”…燃焼試験でノズルに穴

2004/07/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 国産ロケット「H2A」の固体ロケットブースター(大型補助ロケット)地上燃焼試験で、噴射口(ノズル)に穴が開き、高温高圧の燃焼ガスが漏れ出したと、宇宙航空研究開発機構が7日発表した。

 試験に使われたのは、H2A6号機打ち上げ失敗の原因となったブースターと同型で8号機に使用されるものだった。

 昨年11月の6号機の事故再現となり、同機構は試験のデータを分析して原因究明にあたる。

 試験は、6号機事故の原因確認のため、同機構種子島宇宙センター(鹿児島県)で同日行われた。燃焼開始約51秒後、ノズルの側面からガスが漏出。炭素繊維強化プラスチック製のノズル内壁とその外側のアルミ合金が焼損、幅9センチ、長さ90センチの穴が開いた。

 燃焼試験に立ち会った井口雅一・宇宙開発委員長は「6号機の事故をはからずも再現することになり、驚いている」と話している。

 文部科学省宇宙開発委員会調査部会は、6号機の事故原因はブースターの設計不備で内壁が燃焼ガスで削られ、ガスが噴出したことと結論付けている。

H2A事故報告/失敗には必ずワケがある

2004/06/28 神戸新聞
 「勝ちに不思議な勝ちはあっても負けに不思議な負けはない」と言ったのは、元阪神タイガース監督の野村克也さんだ。

 ものごとの成功や失敗にも同じことがいえるだろう。

 昨年十一月に打ち上げに失敗した国産主力ロケットH2A6号機の事故原因を調べていた宇宙開発委員会調査部会の最終報告書は、野村さんの名文句を想起させる。

 6号機には、失敗するだけの理由があった。5号機まで成功したのは、たまたま運がよかったからにすぎない。

 報告書はそう指摘している。

 H2A6号機は、ロケット本体に付けた大型補助ロケットの一本が分離せず、打ち上げに失敗した。調査部会の分析では、補助ロケットの噴射ノズルに穴が開いて高温の燃焼ガスが漏れ、切り離し用の爆薬の導火線が断線したのが直接の原因である。

 燃焼ガスでノズル部分が削られる現象は開発段階の燃焼試験でも見つかり、宇宙開発委員会も当初から問題を認識していたが、応急措置による対応を了承し、失敗の芽を摘み取ることができなかった。

 なぜ、そういうことになったのか。それこそが根本問題である。

 報告書は、昨年秋に宇宙三機関が統合して発足した宇宙航空研究開発機構(JAXA)と製造企業を含む責任体制の潜在的弱さを挙げている。

 その中心は、JAXAが能力以上の責任を負っているという指摘だ。

 ロケットや人工衛星の開発は製造企業が分担し、事実上の設計の提案者になっている。ところが、製造に関する知見を持たないJAXAがとりまとめの中心になっているため、企業が本来、共有すべき重要な情報を共有できていなかった。

 その上で、報告書は開発の考え方を含め基本設計まではJAXA、開発段階での設計・製造は企業が負うべきだとし、企業が一体となって製造に取り組めるような体制の整備を提言している。

 一言でいうと、国と民間の役割と責任の範囲を明確にし、民間に任せるべきことは任せるという国の意識改革である。

 そのためにも組織の信頼性を第三者の目で厳しくチェックする体制の整備が求められよう。宇宙開発に対する国民の理解を得る姿勢も、一層重要になる。

 わが国の宇宙開発計画は今、全く立ち行かない状態だ。このまま失敗を繰り返すようでは国民から見放されよう。今回の報告書を出直しのための最後通牒(つうちよう)と受け止め、強い決意で再起にあたってほしい。

NASA前局長らが助言 失敗続きの宇宙機構に

2004/06/21(共同通信)YAHOO! NEWS

 H2Aロケットや人工衛星で失敗が相次いだ宇宙航空研究開発機構は、開発体制などを見直すための知恵を借りようと、米航空宇宙局(NASA)の前局長ら有識者で作る外部諮問委員会を設置、21日、都内で第1回の会合を開いた。

 来年3月までに報告書を作成する。

 委員会は、NASA局長を歴代最長の期間務めたダニエル・ゴールディン前局長を委員長に、フランスの国立宇宙研究センター(CNES)前総裁やドイツ宇宙機関(DARA)元長官ら7人で構成。効率的な開発体制や、宇宙開発計画の達成に必要な助言をする。

 ただ、この日の会合の内容や今後の日程などについて、宇宙機構は「委員長らの意向で明らかにできない」としている。(共同通信)

H2A失敗、文科省の開発関係者の処分検討

2004/06/09 読売新聞 Yomiuri On-Line
 河村文部科学相は、情報収集衛星を搭載したH2Aロケット6号機の打ち上げ失敗(昨年11月)の責任を問い、ロケット開発に携わった複数の文科省幹部の処分を検討している。

 厳重注意など文科省内規に基づく処分にする見通しだ。首相官邸とも調整したうえで9日にも発表する。

山之内理事長らを厳重注意 宇宙航空研究開発機構

2004/06/09(共同通信)YAHOO! NEWS
 H2Aロケット6号機の打ち上げ失敗などトラブルが相次いだ宇宙航空研究開発機構は9日、山之内秀一郎理事長ら6人の役員を厳重注意処分にした。

 このうち、山之内理事長やロケット担当の三戸宰理事ら4人は、7月から6カ月間、給与の10分の1を自主返納。残りの2人は同率を3カ月間返納する。

改善策などを文科相に報告 H2A失敗で宇宙開発委

2004/06/09(共同通信)YAHOO! NEWS
 宇宙開発委員会は9日、H2Aロケット6号機打ち上げ失敗の原因と、今後の宇宙開発に対する改善策をそれぞれ報告書にまとめ、河村建夫文部科学相に報告した。

 これを受け、河村文科相は「信頼回復に最大限の努力をしなければならない。技術面は当然、組織面からも(改善に)取り組み、次の成功に結び付ける」と話した。

 失敗原因については、固体ロケットブースターのノズルが燃焼ガスで削れて穴が開き、漏れたガスがブースター分離用の導線を切断したためとし、今後の設計変更を求めた。ただ「当時の知見からは予見できなかった」としている。

 宇宙開発体制については、宇宙航空研究開発機構が能力以上の負担を負っていると分析。来年度からH2Aの製造、打ち上げなどの事業を引き継ぐ三菱重工業が、今回の設計見直しの段階から前倒しで中心的役割を果たすよう求めた。

宇宙開発:ロケット失敗で責任分担の明確化など提言

毎日新聞 2004年6月7日 Mainichi INTERACTIVE
 H2Aロケットなど失敗が続く宇宙開発の信頼回復に向けた具体策を話し合ってきた文部科学省の宇宙開発委員会特別会合は7日、責任分担の明確化などを求める報告書をまとめた。

 ロケットや人工衛星は現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発し、三菱重工業などの民間企業が製造を担当している。報告書は、製造に関する経験の少ないJAXAが全責任を負う現状を見直し、企業が製造に責任を持ち、JAXAは企業と情報を共有しながら本来の開発業務に力を注ぐよう提言した。

 こうした改革の実行をチェックする第三者機関の設置や、宇宙開発への国民の理解を得るための取り組みも求めた。【元村有希子】

H2A設計見直し、三菱重工中心に…宇宙開発委が報告

2004/05/13 読売新聞 Yomiuri On-Line
 宇宙開発の信頼性向上に向けて議論をしてきた文部科学省宇宙開発委員会特別会合は13日、H2Aロケットの設計見直しに三菱重工業が中心的役割を担うとする報告書案をまとめた。

 それによると、H2A事業は来年度から同社に移管することが決まっているが、宇宙航空研究開発機構の負担を軽減するために一部前倒しの形で進められる。また、現在は同機構とメーカーが個別に契約している衛星の製造についても、主契約企業を定めるよう検討する、としている。

同型ブースターで燃焼試験 H2A失敗の原因究明

2004年04月28日(共同通信)YAHOO!NEWS
 宇宙航空研究開発機構は、H2Aロケット6号機の失敗原因になった固体ロケットブースターと同じ型の実機大ブースターを使った燃焼試験を、7月上旬に種子島宇宙センター(鹿児島県)で実施すると、28日の宇宙開発委員会に報告した。

 原因究明の調査報告書をまとめるに当たり、宇宙委調査部会は実機大の試験は必要ないとしたが、これに反発し必要性を強調した井口雅一宇宙委委員長の要請に応えた。

 固体ロケットブースターの現行の型が確定して以降、燃焼試験は今回が初めて。ノズルに穴が開くに至った削れ現象の基礎データを得るのを目的としている。

 報告書案は「専門家の検討で十分に原因が分かった」(文部科学省宇宙政策課)として5月末に確定させる方針。しかし、試験で削れとは別の現象が起こった場合、原因究明は「すべてやり直し」(同)としている。

H2Aノズル改良、打ち上げ再開へ宇宙機構

2004/02/17(北海道新聞) GIS NEXT EXPRESS NEWS

 情報収集衛星を搭載したH2Aロケット6号機の打ち上げ失敗につながった固体ロケットブースターについて、宇宙航空研究開発機構はノズルの損傷を防ぐため、ノズルの形状を釣り鐘状の緩やかな湾曲に変更し、燃焼ガスの圧力を減らす再発防止策をまとめ、17日の宇宙開発委員会調査部会に報告した。

 昨年11月末の失敗から3カ月足らずで対策の方向性が示されたことで、H2Aの年内打ち上げ再開に弾みがつきそうだ。再開第1号は、気象衛星ひまわりの後継機となる運輸多目的衛星か、陸域観測衛星エーロスになるとみられる。

 これまでの調査で、ノズル壁面に穴が開いて、穴から漏れた燃焼ガスがブースターを分離する導火線を損傷したのが失敗の原因と分かっている。

 その後、燃焼ガスの不均質な流れが壁面の炭素繊維強化プラスチックを局所的に削り、損傷面の角度によっては削れが加速されると判明。壁面にかかる圧力を減らすことが必要と判断した。

宇宙開発委、H2A設計、総点検指示―信頼性優先に方針転換

2004/01/12(日本経済新聞) GIS NEXT EXPRESS NEWS
 宇宙開発委員会は国産主力ロケットH2Aの設計を総点検するよう宇宙航空研究開発機構に指示した。宇宙開発の基本方針を転換、信頼性の向上を最優先とし、ロケットの打ち上げ失敗などを防ぐための技術開発を強化していく。成功事例を重ねて宇宙開発の推進を目指す。

 日本のロケットや衛星の開発は欧米の技術に追いつくために性能と信頼性の向上を同時に追求してきた。しかし昨年は、環境観測技術衛星「みどり2」の10カ月弱での運用停止やH2A6号機の打ち上げ失敗などが相次いだ。

 宇宙開発のかじ取り役である同委員会は「失敗しないための対策に弱点がある。個別の事故対策だけでは不十分」(井口雅一委員長)との認識を深め、開発方針を見直した。

 同委員会は信頼性確保の視点からH2Aを運用している宇宙機構に対し基本設計までさかのぼって点検するよう指示した。点検の結果によっては打ち上げの再開時期に大きな影響を与える可能性がある。

 今後、すでに完成している衛星や開発中の衛星についても同様の指示を出す予定だ。

 ただ、気象衛星など重要な衛星の打ち上げが控えている。「ロケットはできるだけ早く再開させる必要がある。限られた予算・人員の中でどこまで設計の見直しができるのか」(文部科学省)などという声もあり、関係者の間に波紋が広がっている。

H2A失敗原因をJAXAが報告 噴射口に穴、ガス漏れ

2004/01/10(産経新聞)GIS NEXT EXPRESS NEWS
 情報収集衛星を積んだ国産主力ロケット「H2A」6号機の打ち上げ失敗で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は九日、推力アップ用の固体ロケットブースター(SRB)の噴射口に穴が開き、高温の燃焼ガスが横に漏れたことが原因とする調査結果を、国の宇宙開発委員会調査部会に報告した。

 噴射口の内面を覆っている断熱材の一部が飛行中にえぐり取られ、付け根付近に小さな穴が開き、ここから約3000度の燃焼ガスが噴出。近くを通っているSRB支持棒分離用の導火線が熱で溶けて機能しなくなり、SRBの分離に失敗したとの見方を固めた。

 断熱材は炭素繊維強化プラスチック製。正常な場合でもある程度は減損するが、なぜ穴が開くほど進行したのかは不明。JAXAは、設計や評価方法に問題がなかったかさらに調べる。

 SRB噴射口の断熱材は、開発段階の平成11年と12年の燃焼試験で予想以上に薄くなるトラブルが相次ぎ発生。補強板などの対策がとられたが、JAXAは穴が開いてガスが漏れる事態までは想定しなかった。

 分離用の導火線をSRB内部に通す方式はH2Aロケットで初めて採用。SRBの外側に付けるなどの安全措置をとっていれば、ガスが漏れても打ち上げに成功した可能性があり、設計思想の適否が問われそうだ。

H2Aロケット失敗原因のブースター、水深5000メートルで見つけた! 2004/01/08(読売新聞) GIS NEXT EXPRESS NEWS

 打ち上げに失敗した「H2A」ロケット六号機の原因究明を進めている宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は、無人深海探査機による調査で、故障部分の固体ロケットブースター(大型補助ロケット)が、フィリピン沖の水深5千―6千メートルの海底に沈んでいることを確認した。海中カメラで撮影できれば原因究明が一気に進むと期待され、宇宙機構は来週から本格調査を始める。

 H2A6号機は昨年11月、情報収集衛星二基を搭載して発射されたが、第1段ロケットの両脇に取り付けられたブースターの片方が分離されず、打ち上げは失敗した。ブースターのノズル(噴射口)が破損し、漏れた高温ガスで分離用の導火線が断線したのが原因と見られている。

 今回の調査では、深海探査機がブースターの音波発信器の信号受信に成功した。発信器はノズルに近い所に付いており、故障部分が原形をとどめた状態で沈んでいる可能性が高い。探査機の装置が調査中に故障したため、宇宙機構では急ぎ修理し、来週から落下場所の絞り込みとカメラ撮影などの本格調査を再開する予定だ。

 1999年の「H2」8号機の打ち上げ失敗では、第1段エンジンが小笠原諸島近くの水深約3000mの海底から引き揚げられた。

 〈無人探査機〉海洋科学技術センターが保有。船から水深6000mまで下ろし、水中音響機器や海中カメラで、海底地形や海洋資源の調査、人工物の探索などにあたる。今回の調査では、宇宙航空研究開発機構が開発したH2A用の音波受信機も載せた。

宇宙機構気象衛星後継機、「本年度打ち上げ困難」/H2A失敗究明優先 2003/12/18(南日本新聞) GIS NEXT EXPRESS NEWS

 鹿児島県宇宙空間観測協力会・宇宙開発推進協力会が17日、鹿児島市であった。その後の記者会見で、宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は2003年度に予定していた気象衛星の後継機の打ち上げについて、「本年度は困難」と語った。また04年1月14日に内之浦宇宙空間観測所から観測ロケットを打ち上げることを明らかにした。

 宇宙機構によると、03年度に予定していた「運輸多目的衛星新1号」は、米国の衛星製造会社で組み立てを終えて試験中。種子島への搬入時期は未定。同衛星を搭載予定のH2Aロケットは11月、6号機打ち上げに失敗したばかり。園田昭眞・射場運用室長は「原因究明と対策が最優先」とし、今後の打ち上げ計画は未定という。

 内之浦町から打ち上げる観測ロケットは「S310―33号機」。大気光という夜空の発光現象を調べる。1月14日午後9時から翌朝までの、気象条件があったときに打ち上げる。2月28日まで延期できる。

 協力会では、宇宙機構がH2A失敗や地球観測衛星、火星探査機の運用断念について報告。的川泰宣執行役が「宇宙機構は危機意識が募っている。火星探査機などで得た技術的成果を今後に生かしたい」と語った。

日本の「偵察衛星」搭載H2Aロケット、打ち上げに失敗

2003年11月30日 AP通信東京発 WIRED NEWS
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月29日(日本時間)、北朝鮮の監視を目的とする偵察衛星2号機を載せた『H-IIA』(H2A)ロケット6号機を打ち上げたが、その直後に故障が生じ、ロケットを破壊したと発表した。これにより、日本の宇宙計画は後退を余儀なくされた。

 JAXA幹部の発表によると、2本のロケットブースターのうち1本の分離に失敗し、軌道に乗せるために必要な高度と速度が得られなくなったという。このためJAXAは、打ち上げの約10分後にロケットを爆破する指令を出した。

 JAXAの山之内秀一郎理事長は記者会見で、「ミッションが達成できる見込みがないと判断し、指令破壊信号をロケットに送信した」と述べた。

 さらに山之内理事長は次のように述べ、深く頭を下げた。「この重要なミッションに失敗したことはきわめて遺憾だ。誠に申し訳ない」

 29日の打ち上げにあたっては厳戒体制が敷かれた。ロケットに搭載された計器類の感度に影響を与えないよう、発射の模様を生中継で放送することも禁止された。

 日本は今年3月、北朝鮮のミサイルおよび核計画を監視するプロジェクトの一環として、初の偵察衛星2機を打ち上げた。北朝鮮はこれに抗議し、近隣地域の軍拡競争の引き金となると警告した。

 一方日本側は、北朝鮮が1998年に日本に向けて予告なく長距離ミサイルの発射実験を行なったことが、この計画の発端となったと述べている。衛星は挑発を意図したものではなく、自然災害や気象パターンの監視といった他のミッションにも使われるという。

 今回の打ち上げ失敗で日本の宇宙計画は混乱しそうだ。日本国内で設計、製作されたH2Aロケット6号機の発射は、技術的な障害を理由に、当初予定されていた今年9月10日からすでに3回延期されていた。

 小泉純一郎首相は次の声明を発表した。「わが国の自然災害への備えや安全の確保に必要な情報収集能力の強化が必要とされている現状において、誠に残念です。早急、厳正かつ徹底的に原因究明を図りつつ、今後の対応について検討してまいる所存です」

 打ち上げ失敗の原因を調査するため、JAXA内に技術者と幹部からなる事故対策本部が設置された。日本政府は、2006年までに合計8機の偵察衛星を軌道に載せる計画を立てていた。

 今回の計画には日本国内から批判の声も上がっていた。宇宙関連事業は非軍事目的に限るとしてきた長年の方針に反するというものだ。

 日本はまた、前身の『H2』ロケットよりコストを下げて信頼性を高めることを目指すH2Aロケットが、衛星打ち上げの商業利用を活性化することも期待していた。しかし今のところ、欧米やロシアの商業衛星と競うには費用がかかりすぎると見られている。

 今回失敗する以前は、H2Aロケットの打ち上げは1回当たり90億〜100億円の費用をかけ、2002年8月の1号機から5回連続して成功していた。

 しかしアナリストらは、日本の商業ミッションが保険の対象になるようにするには、6回連続して発射に成功しなければならないだろうと述べている。

 H2ロケットも5回連続で完璧に打ち上げを成功させていたが、その後6回目(5号機)で軌道投入に失敗し、7回目(8号機)には指令破壊に至った。これらの失敗を受けて、米ヒューズ・スペース・アンド・コミュニケーションズ・インターナショナル社は日本と結んでいた衛星打ち上げ10機分の契約を破棄した。

 これまでのところH2Aロケットに商業用ペイロードは搭載されていないが、昨年12月に打ち上げられた4号機は、初めて外国のペイロードとしてオーストラリアの科学研究衛星を打ち上げている。[日本語版:近藤尚子/高森郁哉]

H2A打ち上げ失敗―気象予報、綱渡り続く、「ひまわり」後継機、計画遅れ必至 2003/11/30(日本経済新聞)GIS NEXT EXPRESS NEWS

 29日に打ち上げに失敗したH2Aロケットは日本が自前で実用衛星を宇宙に送る唯一の手段。事故原因の解明に伴う運用凍結で、予定していた気象衛星「ひまわり」後継機の来春早々の打ち上げは極めて難しくなった。米国の老朽衛星の観測に依存している日本の気象予報の綱渡り状態が続く。新機構発足直後のトラブルに関係者は肩を落とした。

 気象庁は今年5月に「ひまわり5号」の運用を老朽化のため停止し、米気象衛星「ゴーズ9号」に観測業務を引き継いでいる。ただゴーズ9号も設計寿命を超えており、いつトラブルが起きても不思議でない状態。

 気象庁などはひまわりの後継機として航空管制機能も持つ「運輸多目的衛星1号(MTSAT-1R)」を米メーカーに発注。来年1―2月の次回H2Aに搭載する予定で準備を進めていた。

 だが米衛星メーカーの経営が悪化し同社は10月に追加経費の支払いを要求。期日通りの納入が危ぶまれている。これに加え今回の打ち上げ失敗で、来年早々の後継機打ち上げの可能性は低くなった。

 来年夏には大型の地球観測衛星である「ALOS」の打ち上げが予定される。2004年度には測位技術の確立を目指した技術試験衛星や、05年度は月を周回する探査機など打ち上げ計画が目白押し。これらの計画にも大きな狂いが生じそうだ。

トラブル続きの日本の衛星、大丈夫?

2003/11/24 読売新聞 Yomiuri On-Line
 環境観測技術衛星「みどり2号」が先月末、電力低下のため運用断念に追い込まれたのに続き、わが国初の火星探査機「のぞみ」も電源故障のため、来月の火星到達は絶望的だ。トラブル続きの日本の衛星は大丈夫なのか。(科学部 滝田 恭子)

 今月17日。文部科学省宇宙開発委員会の調査部会のメンバーが、「みどり2号」の事故原因究明のため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙利用推進本部(茨城県つくば市)を訪れ、「2号」と同じ構造の太陽電池パネルなどを視察した。JAXAは今月中の原因解明を目指していたが、調査は難航。片木嗣彦執行役ら担当者の表情もさえない。

 一方、JAXA宇宙科学研究本部(神奈川県相模原市)では、「のぞみ」の電源回復のため、スタッフが連日、わずかな望みをかけて遠隔操作の信号を送り続けている。「のぞみ」は昨年4月、部品がショートし、電源が落ちた。回復しない限り、火星の周回軌道には投入できない。

 旧宇宙開発事業団は1975年以来、これまで44基の衛星を打ち上げた。衛星自体の故障により任務を達成できなかったのは4基だけだが、うち3基は2トン以上の大型衛星だった。2トン以上の衛星5基に限ると、ロケットのトラブルによる失敗も1基あり、任務を果たしたのは1基に過ぎない。

 旧宇宙科学研究所が担当した科学衛星も、「のぞみ」をはじめ、来年打ち上げ予定だった赤外線天文衛星に異常が見つかるなど、最近はトラブルが目立つ。

 事故多発の理由としてまず挙げられるのは、衛星の大型化。高度3万6000キロ・メートルの静止軌道に2トン級衛星の打ち上げを可能にしたH2ロケットの有効活用を目指し、事業団が大型衛星の開発を進めたためだ。

 だが大型衛星は大電力を必要とする。軽くて発電量が大きい太陽電池パネルを採用した初代の「みどり」は、パネル破断で運用を停止した。また、大型になれば部品数が増える分だけ故障の危険は高まる。ある民間技術者は「基本技術を小型の衛星で実証するという段階を踏まずに、大型化を推し進めたのがトラブルの遠因だ」と批判する。

 大型化は任務の複雑化と表裏一体でもある。大型衛星は開発費が高い分、多くの役割が期待される。「みどり」には8個、「みどり2号」には5個の環境観測機器が積まれた。機器が増えれば、さらに電力が必要となり、太陽電池や回路などの負担も大きくなる。

 小型の科学衛星も任務の複雑化に直面している。重量540キロ・グラムの「のぞみ」には14個もの観測機器が積まれた。ロケットに積む重量には制限があり、観測機器が増えればトラブルに備えた装置や予備燃料を削ることになる。科学衛星の製造を支えてきたNEC東芝スペースシステムの折井武さんは「惑星探査の衛星は飛行距離も期間も長くなり、不測の事態に遭遇する確率が高くなっている。もう少し余裕をもった設計が望ましい」と話す。

 衛星機能への要求は高くなる一方なのに、製造にあたる日本のメーカーはまだ力不足だ。米への技術依存から国産化への移行が進んでいた1990年、米国から市場開放要求を受けた政府が国の実用衛星を国際入札にしたため、コスト競争力で劣る国内メーカーは衛星製造の機会を極端に減らすことになったからだ。

 国内民間企業の放送・通信衛星はすべて米国製。これまで打ち上げられた5基の気象衛星「ひまわり」も元請けは日本電気だが、部品の6割以上を提携先の米企業に頼っている。

 衛星はロケットと並ぶ宇宙開発の柱であり、ロケット関連機器の年間売上高約740億円に対し、衛星は1320億円。通信や放送、カーナビなど他産業への波及効果もあるため、産業界の期待は大きい。だがトラブルが続けば、国内の利用企業もリスクの高い衛星を避け、光ファイバーなど地上の技術に目を向けるようになる。

 衛星大国の米国は、航空宇宙局と国防省が衛星の二大発注元となり、商用衛星にも使える技術を下支えしてきた。日本の技術力を高めるには何が必要か。東京大の中須賀真一助教授(航空宇宙工学)は「問題は衛星一基ごとに新しい設計にしていること。同型機をいくつか作らないと、故障原因も判断できないまま終わってしまう」と述べ、量産による安定した衛星技術の確立を求めている。

 ◆宇宙航空研究開発機構(JAXA)=H2Aなどの大型ロケットと衛星を手がけてきた宇宙開発事業団、太陽系探査などのための衛星と小型ロケットを開発してきた宇宙科学研究所、航空機開発に取り組む航空宇宙技術研究所の3機関が統合、先月1日に発足した独立行政法人。

宇宙実証衛星、露ロケットで打ち上げへ

2003/10/29 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【モスクワ=五十嵐弘一】パソコンや携帯電話で使われる部品が宇宙空間でも機能するかを試す目的で、経済産業省が開発した宇宙実証衛星(SERVIS)が、モスクワ時間29日午後4時43分(日本時間同日午後10時43分)、ロシアのプレセツク宇宙基地から、ロシアのロケットで打ち上げられる。

 日本の本格的な衛星がロシアのロケットで打ち上げられるのは初めて。

 現在の衛星が使っている専用部品は、宇宙空間の放射線や激しい温度差への耐性が保証されているが、現在のパソコンなどに使われている部品が、そのまま活用できれば、衛星の価格は45億円から15億円まで下がるという。

 この衛星は、高度1000キロの宇宙空間で2年間試験を行い、電子部品の機能を確認する。

 独立行政法人通信総合研究所の小原隆博博士は「太陽活動が盛んで、宇宙空間の放射線量の多い時期に当たっており、通常部品が放射線にどのくらい耐えられるかなど、有益なデータが取れると思う」と話している。

太陽フレアで衛星「こだま」が機能停止

2003年10月29日 The Sankei Shimbun
 宇宙航空研究開発機構は29日、データ中継衛星「こだま」(DRTS)が同日未明、搭載機器に異常信号が頻発し、機能を停止する安全モードに入ったと発表した。活発化した太陽フレアの影響と推定している。

 こだまは2002年9月に打ち上げられ、インド洋上の静止軌道にある。環境観測衛星「みどり2」からデータを受信し地球に送信する役割を果たしていたが、みどり2は25日から通信を途絶しているため実害はないという。

 宇宙機構は太陽フレアが沈静化した後に通常運用に復帰させる予定。

 宇宙機構によると、29日午前0時半ごろから姿勢制御用のセンサーの信号にノイズが頻発したため故障検知機能が働き、同3時40分ごろに、最低限の電力消費に抑える安全モードに移行し機能を停止した。

 担当者は「設計通りの動作。フレアの影響は一過性だ」として復帰に問題はないとしている。

 また、みどり2の通信途絶についても、異常が発生した時間帯に太陽フレアの発生が報告されていることから関連を調べている。

衛星「みどり2」の通信途絶 電源系に異常と宇宙機構

2003年10月25日 The Sankei Shimbun
 宇宙航空研究開発機構は25日、昨年末に打ち上げられた環境観測技術衛星「みどり2」の通信が途絶したと発表した。太陽電池パネルを含む電源系に異常が起きた可能性が高いという。

 同機構は原因究明のため、山之内秀一郎理事長を本部長とする対策本部を設置したが、みどり2は通信による遠隔操作に反応しないため復旧は困難で、今後の観測継続は極めて厳しい見通しだ。

 同種の衛星では、前任の衛星「みどり」が1997年、打ち上げ10カ月後に太陽電池パネルが破損し、機能停止する事態が起きている。

 発表によると、同日午前7時28分に、同機構地球観測センター(埼玉県鳩山町)でみどり2からの地球観測データが受信できず、同8時55分以降は、通信がまったく不可能になった。

 調査した結果、同日午前1時15分ごろに電力が6キロワットから1キロワットに低下していたことが判明した。

 同機構は原因究明のため通信データの解析を進めている。同機構は「前回のみどりでは姿勢の乱れが起きたことが分かっているが、今回は姿勢の乱れを示すデータはなく、パネルに異常があるかどうか不明」とした。

 みどり2はH2Aロケット4号機で打ち上げられ、高度800キロを周回。これまでも一時的に、200−300ワットの電力低下があったという。

 みどり2は、水蒸気量や海面の水温を観測するマイクロ波放射計、オゾンホールの変化を観測する赤外分光計や、米航空宇宙局(NASA)の海上風観測装置などを搭載し、設計寿命は3年。総開発費は約700億円。

秋田・能代でロケットの離着陸実験 機体制御データ収集

2003/10/25 asahi.com
 スペースシャトルのように繰り返し飛行が可能な再使用型ロケットの開発を目指している宇宙航空研究開発機構は25日午前、秋田県能代市の実験場で、実験機の離着陸実験を行った。全長約3.5メートル、重さ約500キロの機体は4秒ほどで上昇。上空で8秒ほど止まり、発射から17秒後に着陸した。

 今回の実験は99、01年に続くもので、機体は100キロ軽く改良された。同機構はさらに同様のテストを重ね、機体制御のデータなどを集める。

再使用ロケット実験機公開 秋田で宇宙航空研究開発機構

2003年10月20日 The Sankei Shimbun
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、秋田県能代市の能代多目的実験場で、繰り返し飛行できる「再使用ロケット」の実験機を報道陣に公開した。

 再使用ロケットは同じ機体を何度も再利用することで、将来の宇宙輸送のコストを安くするシステムとして研究中。

 JAXAによると、実験機は高さ約3.5メートル、重さ約500キロの円すい形。コストを抑えるためより軽く耐久性の高い機体が求められており、今回は燃料の液体水素のタンクをステンレス製から炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使った極低温複合材タンクとし、これまでより約65キロ軽量化。液体酸素タンクもアルミニウム合金製にして約10キロ減らし、機体全体で約100キロ軽くした。

 21日に地上燃焼試験、23、25、27日に20秒程度の時間で垂直上昇、浮遊、垂直着陸をする実験を行う。

国産ロケット:「安くて頼れる」新型開発 10年以内に試験機

2003年09月17日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所は、世界最高の信頼性を目指して、新型国産ロケットの開発に乗り出すことを決めた。3機関が統合して10月に発足する宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山之内秀一郎理事長が17日、東京都内で記者会見して明らかにした。現行のH2Aロケットの製造費を半減させ、「安くて頼れる」ロケットの実現を目指す。10年以内に試験機を打ち上げる予定。

 構想によると、新型ロケットはH2Aより2メートル高い55メートルだが、重量は285トンから1割以上、軽量化する。

 H2Aの製造コストは約85億円。同機構は、欧米との衛星受注競争で勝ち残るには打ち上げコストの削減が不可欠と考え、ロケット製造費を半減させる。具体的には、約28万点あるH2Aの部品を大幅に減らして製作期間を短縮するほか、1カ月かかる機体の納入から打ち上げまでの期間を半分に縮めることで人件費を圧縮する。

 一方、有人飛行に使われてきた米スペースシャトルを上回る信頼性の確保を目指し、失敗率は1%程度に抑えるという。

 山之内理事長は「欧米で進むロケットの大型化に追随せず、安くて信頼できるロケット開発を新機関の軸にすえる」と語った。【田中泰義】

原因解明に1カ月以上 H2A打ち上げ延期で文科相

2003年09月30日 The Sankei Shimbun
 河村建夫文部科学相は30日、情報収集衛星を載せたH2Aロケット6号機の打ち上げ延期について「トラブルのあった慣性センサー装置の原因解明は10月いっぱいかかる」と閣議後に小泉純一郎首相に報告した。打ち上げは11月以降になるのは確実となった。

 来年4月に予定されていた衛星4基による本格運用開始について、茂木敏充科学技術担当相は閣議後の記者会見で「今回のことが大きな影響をもたらすとは思っていない」と話し、北朝鮮の監視態勢構築に大きな支障はないとの見解を示した。

宇宙関係予算は3010億円 文科省など7省庁

2003年08月27日 The Sankei Shimbun

 文部科学省は27日、来年度の宇宙開発関係予算の概算要求総額は7省庁で3010億円と発表した。前年度当初予算に比べ10%の増。文部科学省分は2025億円と、ほぼ3分の2を占める。

 主な内容は、内閣官房が情報収集衛星システムの開発に671億円。文部科学省分では、宇宙開発事業団などを統合して10月に発足する独立行政法人宇宙航空研究開発機構が2016億円と大部分を占める。うち、国際宇宙ステーション関係は前年と同額の377億円。

 3つの衛星を2008年度から打ち上げ高品質の通信・測位サービスの提供を目指す準天頂衛星システム関連が4省で計102億円となっている。

衛星で地球環境監視 新宇宙機関が打ち上げ計画

2003/08/18 中国新聞ニュース
 宇宙開発事業団などを統合し、十月に発足する宇宙航空研究開発機構(JAXA)の二〇〇七年度末までの中期計画に、受託分も含め衛星十七基、計十五回の打ち上げが盛り込まれることが十七日までに固まった。

 中期計画は宇宙開発の当面の基本。地球温暖化防止や水資源管理に役立つデータを集める環境監視衛星など実用重視の姿勢を打ち出した。

 国産ロケットH2AやM5を使用。新機関の第一号として気象衛星「ひまわり」の後継ともなる運輸多目的衛星を来年初めに打ち上げる。

 環境監視衛星二基は〇七年度を予定。大気中の二酸化炭素(CO2)濃度を正確に測り、京都議定書の義務を監視する「温室効果ガス観測衛星」と、将来の水不足に備え、地球全体の降水量など水資源管理に必要な基礎データを集める「全球降水観測衛星」だ。

 それに先立ち、来年度は資源探査などを目的とする陸域観測衛星、〇五年度には山間部や離島での大容量通信を可能にする超高速インターネット衛星と、実用型≠フ衛星を次々と打ち上げる。

 科学衛星では一九九五年度から延期していた月探査衛星ルナAを来年度に打ち上げ。月面に地震計を打ち込み、月で起きる地震「月震」の震動から内部構造を探る。ハイビジョンカメラ搭載の月周回衛星セレーネ(〇五年度)、太陽観測衛星(〇六年度)が続く。

 〇六年度は解像能力を上げた情報収集衛星を予定。〇七年度は国際宇宙ステーションへの物資補給機HTV試験機をH2Aの能力を上げた試験用ロケットで上げる。

 衛星は載せないものの、民間企業と共同開発中の中型ロケットGX試験機打ち上げを〇五、〇六年度に予定している。

商業衛星:三菱重工など3社が打ち上げ事業で提携へ

2003年07月08日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 欧州の衛星打ち上げ会社アリアンスペースのジャンイブ・ルガル社長は8日、東京都内で記者会見し、三菱重工業と米ボーイング社の3社で、商業衛星の打ち上げ事業で提携する方針を明らかにした。今秋までに最終合意する見通し。ロケットの打ち上げに失敗した場合、相互に代替機を用意する。国の衛星の打ち上げについても日本と欧州の間で補完体制を敷く意向を明らかにした。

 3社の提携対象は、日本の主力ロケット「H2A」と「アリアン5」(アリアン)、「シーローンチ」(ボーイング)。「H2A」の打ち上げは05年度に、宇宙開発事業団(NASDA)から三菱重工に移管され、三菱重工は今年度から受注活動を行っている。アリアンスペースは世界最大の打ち上げ会社で、商業衛星ではシェア5割を握る。しかし、最新機種「アリアン5」が昨年12月に打ち上げに失敗し、信頼回復が急務となっていた。

 商業衛星の打ち上げ市場は、世界的な通信不況で需要が減少し、価格競争も激しくなっている。失敗時に代替機を融通しあうことで、打ち上げ計画の大幅な遅れを避けるため、3社で提携交渉を進めていた。また、打ち上げコストが高いH2Aで初受注を目指す三菱重工には、代替機としてでも商業衛星で実績を積み信頼性をアピールする狙いがある。

 政府が打ち上げる衛星は、米国にはデルタ、アトラスなど複数のロケットがあり国内で補完できる。しかし、日本には「H2A」、欧州には「アリアン5」のそれぞれ1種類しか主力ロケットがなかった。今回の構想は10年前に持ち上がり、水面下で協議が続けられてきた。【小平百恵、田中泰義】


超小型衛星実用化へ、大阪の開発協同組合が名乗り

2003/07/05 読売新聞 Yomiuri On-Line
 独自の人工衛星プロジェクトで注目されている大阪府東大阪市の「東大阪宇宙開発協同組合」(理事長=青木豊彦・アオキ社長)が、東京大大学院の中須賀真一助教授(航空宇宙工学)の研究グループなどと組み、超小型衛星の開発、実用化に乗り出すことが4日、明らかになった。

 5年後にも商業利用できる衛星を目指し、地表の画像撮影や雷予報などの衛星ビジネスを軌道に乗せる考えだ。

 開発を目指すのは、「PETSAT(ペットサット)」と名づけた多目的衛星だ。CPU(中央演算処理装置)や太陽電池、制御機器などを埋め込んだパネルの規格を標準化し、必要に応じて組み合わせる。1枚のパネルは30―50センチ四方、厚さ3―5センチで、重さは3キロ程度となる。小型衛星の開発費は通常数十億円規模だが、ペットサットは最低5000万円程度で開発でき、打ち上げ費用を含めた顧客の負担を、最低1億円程度に抑えたい考えだ。

 地元の東大阪の中小企業には、ペットサットのカギとなるパネル同士の接続部の構造や素材に関する新技術を求める。

実験衛星:安価な電子部品積み打ち上げへ 露基地から10月

2003年07月02日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 
 財団法人「無人宇宙実験システム研究開発機構」などは2日、今年10月8日、ロシア・プレセツク宇宙基地から、既製の安価な電子部品が宇宙で正常に作動するかどうか調べる実験衛星「SERVIS(サービス)」1号機を打ち上げると発表した。

 衛星は約2メートル角の箱形で重さは850キロ。ドイツとロシアの合弁会社のロケットで打ち上げる。

 携帯電話に使われるリチウムイオン電池、デジタルカメラに利用されているCCD(電荷結合素子)などの部品を使った9種類の試作品を搭載。高度1000キロの軌道上で2年間、部品の放射線や高熱による性能の変化を調べる。

 現在、衛星の電源系などの基本システムは特注品が使われている。今回、既製品の耐久性を分析することで、宇宙で既製品使用の道を開き、コストを3分の1程度に引き下げることを目指す。【田中泰義】

日本版シャトル:飛行実験でトラブル スウェーデン北部

2003年07月01日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 日本版スペースシャトルの開発を進めている航空宇宙技術研究所と宇宙開発事業団は1日、スウェーデン北部で高度約20キロの上空から無人小型実験機を滑空させる飛行実験をした。目的としていた機体周辺の空気の流れなどのデータは得られたが、着陸時にトラブルが発生し、機体の一部が損傷した。着陸時に機体の速度を落とすパラシュートなどに問題があった可能性があり、同研究所などが原因を調べている。

 実験機は長さ3.8メートル、重さ500キロ。アルミ合金や炭素繊維強化プラスチックなどでできている。1日午前6時3分(日本時間1日午後1時3分)、フランス国立宇宙センター(CNES)の用意した気球で高度約20キロまで上昇させた後、機体を分離した。機体は間もなく音速に近い速度に達したが、着地に失敗し、機体の一部が損傷した。

 同研究所などは昨年10〜11月、今回とほぼ同じ形状の機体に車輪やジェットエンジンを付け、自動操縦で離着陸させる実験に成功している。今回の実験で、無人機が宇宙から地上まで帰還する一連の基礎データを収集する予定だった。【田中泰義】

「イオンエンジン」本格稼働 探査機はやぶさ

2003年06月26日 The Sankei Shimbun
 M5ロケットで5月9日に打ち上げられた宇宙科学研究所の小惑星探査機はやぶさは25日、搭載したイオンエンジンの本格稼働を始めた。

 宇宙研は5月28日から、4基あるイオンエンジンの着火試験を順次続けて、正常に機能するのを確認した。予備の1基を除いた3基で本格運用し、今月末からは搭載コンピューターによる自律的な運航に入る。

 はやぶさは現在、地球から1500万キロ離れた宇宙空間を秒速約3・3キロで航行。来年5月に地球の重力を利用して加速するスイングバイを予定している。

 イオンエンジンは推進剤のキセノンにマイクロ波を当ててプラズマ状態にしたガスを少しずつ噴出する、省エネルギータイプの推進装置だ。

回収した実験カプセル公開 宇宙空間で超伝導材料製造

2003年06月25日 The Sankei Shimbun
 経済産業省の外郭団体、無人宇宙実験システム研究開発機構は25日、宇宙空間で超電導材料を製造し、大気圏に再突入、海上で回収された実験カプセル「リカバリービークル(REV)」を、群馬県富岡市内で公開した。

 REVは、昨年9月に打ち上げられた実験衛星「次世代型無人宇宙実験システム(USERS)」の一部で、宇宙実験の成果を地上に帰還させる回収カプセル。

 高さ約1・3メートル、直径約1・5メートルの釣り鐘型で、超電導材料を製造する3台の電気炉や、着水時に使用するパラシュート、海上での位置を知らせるGPS付きの浮きなどを備えている。

 今年5月30日、衛星本体から切り離され、小笠原諸島南東約1000キロの海上に着水した。

「宇宙航空研究開発機構」の英語略称は「JAXA」

2003/05/23 読売新聞 Yomiuri On-Line
 10月に「宇宙航空研究開発機構」として統合される予定の宇宙開発事業団(NASDA)など3機関は23日、新機構の英語名称を「Japan Aerospace Exploration Agency」、略称は「JAXA(ジャクサ)」とすると発表した。

 航空宇宙を表すAerospaceで事業の対象を、探査を表すExplorationによって基礎研究から開発まで取り組む姿勢を示したという。

 新機構の理事長就任が決まっている山之内秀一郎NASDA理事長は「統合してよかったと言われるように、一体感のある組織を目指したい」と話した。

宇宙の実験カプセルを回収

2003年05月30日 The Sankei Shimbun
 経済産業省の外郭団体、無人宇宙実験システム研究開発機構は30日、地球を回る実験衛星「次世代型無人宇宙実験システム(USERS)」から大気圏に突入した、軌道上で作った超電導材料が入ったカプセルを、小笠原諸島南東約1000キロの予定海域で回収した。

 これまで、スペースシャトルなどで実験を行い、試料を回収した例はあるが、衛星打ち上げから地球周回軌道での材料製造、回収までの一連の実験に成功したのは日本で初めて。宇宙の産業利用に道を開いた。

 カプセルは同日午前4時6分、アフリカ上空で衛星本体と分離。地球を1周した後、軌道を離脱し大気圏に突入した。パラシュートを開き、同6時22分に着水、同9時50分に回収船が収容した。

 カプセルは高さ約2メートル、直径約1・5メートルの釣り鐘形。電気炉3台を備え、高度約500キロの地球周回軌道で超電導材料を作った。うち2台で、材料が正常に製造されたことがモニターで確認されているという。

 USERSは昨年9月、宇宙開発事業団のH2Aロケット3号機で打ち上げられた。軌道上は無重力に近く、容器への接触による汚染やむらのない良質な結晶材料が得られる。製造した超電導材料は地上で作ったものに比べ、磁力が5倍強いと推測される。

 カプセルは6月4日に北九州市の門司港に到着の予定で、その後、群馬県内の工場に運ばれ、超電導材料を分析し、地上での生産に必要な結晶成長の仕組みを解明する。

 カプセル帰還は当初、26日の予定だったが、台風で延期された。

人工衛星:超電導材料製作に成功し帰還 26日

2003年05月19日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 経済産業省は19日、ほぼ無重力になる宇宙空間を利用して世界最大の超電導材料(直径12.7センチ、高さ2センチ)を作った人工衛星「USERS」が26日に地球に帰還すると発表した。予定では午前8時半ごろ、小笠原諸島・南鳥島沖約300キロに着水する。

 USERSは、同省などから委託を受けた財団法人「無人宇宙実験システム研究開発機構」が開発。昨年9月にH2Aロケット3号機で打ち上げられた。衛星は高度約500キロを周回し、昨年10月〜今年3月、試作品1個を含む合計3個の超電導材料の製作に取り組んだ。超電導材料は大型化するほど磁力が強くなるため、今回の材料は世界最強の磁石になると期待され、医療機器や鉄道などへの応用が期待されている。

 同省宇宙産業室は「従来にない高品質の材料になることを期待している。得られたデータを活用した新材料の量産化を支援したい」としている。【田中泰義】

「宇宙航空開発機構」今年10月発足 次世代機、夢も課題も

2003/01/08 asahi.com
 次世代ロケットの開発、情報収集衛星の運用、国際宇宙ステーションでの活動、宇宙飛行士育成――。国の宇宙3機関の統合で10月に発足する「宇宙航空研究開発機構」や宇宙産業が抱える課題は多い。米国とロシアに続き、中国も有人飛行の実現を狙うなど、競争は熱を帯びる。日本がめざす宇宙進出の将来を探る。(平子義紀)

      ◇

 宇宙分野の次世代技術開発の動きが加速している。昨年までに日本の主力ロケットH2Aが4機連続で打ち上げに成功、追い風が吹いた。

 6トン級の打ち上げ能力を持つH2A増強型の07年度投入に向け、宇宙開発事業団は鹿児島県の種子島宇宙センターで発射台の整備を進めている。

 日米欧ロなどで進める国際宇宙ステーション計画で日本が受け持つ実験棟「きぼう」は、06年から3回に分けて打ち上げる。日本初の有人施設で、天体観測、新しい宇宙技術の開発、宇宙で安全に暮らすノウハウ取得の場となる。

 ○再使用型に期待

 94年の大気圏再突入実験機「りゅうせい」、96年の極超音速実験機「ハイフレックス」、同年の小型自動着陸実験機「アルフレックス」と、一連の実験をし、データを蓄積してきた。

 昨年は南太平洋キリバス共和国のクリスマス島で、高速飛行実証機を3回飛ばし、搭載コンピューターの制御による自律飛行に成功した。

 事業団、航空宇宙技術研究所(航技研)、宇宙科学研究所の3機関連携の将来輸送系ワーキンググループは構想をまとめ、技術面の詰めに入っている。キーワードは「再使用型」。打ち上げごとに生産しなければならないロケットより、飛行機のような再使用型輸送システムなら、コストは大幅に下げられる。

 20年内にコストを現在の10分の1以下、機体を失う大事故の発生確率(機体喪失確率)を1%以下にするのが目標だ。

 米スペースシャトルは再使用型だが、帰還のたびに分解修理をしており、予算面からも年間3〜5回の打ち上げが限界。理想的な再使用型にするには、部品の劣化や故障を自動検知できるレベルまで「進化」させる必要がある。

 これらの条件を満たす構想が2段式宇宙輸送システム。空気吸い込み型エンジンを搭載した超音速旅客機のような無人推進部に、物資を運ぶ軌道船を背負わせて打ち上げる方式だ。

 ロケットエンジンと違い、空気中の酸素を使うので、推進部の燃料タンクを大幅に縮小できる。水平離陸し、高度約30キロで時速約5000キロまで加速。そこで切り離された軌道船は液体燃料を燃やし、高度約500キロまで上昇する。

 ○始めは物資輸送

 推進部は全長65メートル、燃料を含めた離陸重量140トン。軌道船は30メートル、130トン。両方とも繰り返し使える。

 20年かけてこのような再使用型輸送システム実証機を完成させる。軌道船はまず無人の「物資輸送」が想定され、有人飛行はその先だ。

 航技研の白水正男・宇宙輸送システムプロジェクトセンター長は「コスト削減を進めて打ち上げ回数を増やし、信頼性を高める。その結果、スペースシャトルの機体喪失確率0・5%より小さくなれば、自然と有人飛行が可能となる」と話す。

 その技術の延長線上には、いつでも宇宙に飛び立て、多少の故障でも安全に帰還できるスペースプレーンの構想がある。

スペースプレーン 機体を繰り返し使用、点検整備も大幅に軽減し、「だれでもいつでも宇宙に行ける」という夢を実現する宇宙輸送システム(航空宇宙技術研究所の資料から)

 ○技術陣の「思い」

 「人間が宇宙に行かずして何のための宇宙開発か。現場のエンジニアは『いつかは有人飛行を』という思いを抱き続けている」

 白水さんは有人飛行の「夢」が技術陣の支えになっているという。

 東京都調布市にある航技研の庭には、日本版スペースシャトルHOPE−Xの材料強度試験用実物大模型(全長約15メートル)がある。無人で04年度の打ち上げが目標だったが、計画は凍結された。

 80年代末のHOPE−Xの模式図には機体に窓が描かれ、有人飛行を連想させるものだった。しかし、膨大な資金が要る有人計画は許されず、いつの間にか窓は消え、公式な場ではほとんど議論されなくなった。

 現時点でも、安全性やコストを考えると実現への道のりは険しい。しかし、事業団などは第一歩として、有人も可能な宇宙輸送システム構想を政府の宇宙開発委員会に報告する方針を固めた。

 ●エンジン開発に命運託す

 「H2Aは順調だが、宇宙への片道切符を手に入れたに過ぎない。次に何をやるか考える時期に来ている」

 H2Aロケット2号試験機の打ち上げ成功後の昨年2月、宇宙開発事業団の山之内秀一郎理事長は次世代輸送システムを検討するよう指示した。

 事業団を含む宇宙3機関の統合はすでに決まっていた。H2Aの連続成功で、打ち上げ事業の民間移管を本格的に検討する時期にもきていた。

 指示に対し、渡辺篤太郎・宇宙輸送システム本部副本部長は「飛行機のように、宇宙にも行きたい時に行きたい場所に行ける宇宙輸送システムに挑戦したい」と答えた。

 若手が中心になり、週1回の検討会を続けた。「コスト半分で打ち上げ重量3割増しにすることが可能か」。通信や気象など打ち上げ需要の多い静止衛星が対象だ。3トン以上のこの種の衛星を、いかに安く打ち上げられるかがカギになる。こうした設定を掲げて、ポストH2Aの仕様、開発・製造費用の計算を繰り返した。

 JR東日本の元会長である山之内理事長は検討会で、「わかりやすい標語、理解しやすい目標が大事だ」と強調した。

 昨年末、河内山治朗・H2Aプロジェクトマネージャーは「再使用型にしろ、その延長上にある有人輸送にしろ、信頼性を大きく左右するエンジンが決まらないと何もできません」と理事長に報告。エンジンへの原点回帰が次世代を担うメンバーの共通認識となった。

 山之内理事長は年明け、「高い信頼性、高い性能、低いコストの三つがそろったエンジンを作る」と抱負を語った。

「みどり2」、発電に成功 4カ月後、本格監視へ

2002年12月14日 The Sankei Shimbun
 大型主力ロケットH2A4号機で14日、打ち上げられた環境観測技術衛星「みどり2」は、同日正午前に動力源となる太陽電池パネルを展開した後、発電にも無事成功したことが宇宙開発事業団により確認された。

 千葉工業大の学生らが開発した鯨生態観測衛星「観太くん」も同日夜、正常な作動が確かめられた。

 みどり2は軌道を順調に回り始めており、早ければ4カ月後にも、地球温暖化や森林の状況など地球環境の本格的な監視に取りかかれそう、という。

 長さ24メートルの太陽電池パネルを使って、みどり2は約5・8キロワットの電力を発生。同事業団の黒崎忠明・衛星プロジェクトマネジャーは「想定した発電力よりやや多い。今後の衛星運用に十分耐えられる」と分析した。

 みどり2は、同事業団のほか環境省、米航空宇宙局(NASA)、フランス国立宇宙研究センターが開発した計5台の観測装置(センサー)を搭載する。同事業団の山之内秀一郎理事長は「まだ初期段階だが、順調なスタート。1、2カ月かけてセンサー機能などを確認したい」と話した。

「小さな衛星でも役に立てる」 「観太くん」開発の林・千葉工大教授

2002年12月14日 The Sankei Shimbun
 H2Aロケット4号機の打ち上げ成功を受け14日、鯨生態観測衛星「観太くん」を開発した林友直・千葉工業大教授が種子島宇宙センターで記者会見し「見事に打ち上げていただきありがたい。小さいけれども将来性のある機能を備えた衛星。小さな衛星でも役に立てることを見せることで、今後、宇宙開発がより活性化すると思う」と観太くんの活躍に期待を込めた。

 観太くんはロケット打ち上げ後、約2時間で分離を確認。林教授は分離成功を喜びながらも「マッコウクジラなどは海面に浮いて昼寝をする習性があるということを最近聞いた。私自身もまだ鯨の生態が分かっていない。鯨に取り付ける発信器の仕組みを変化させながら、昔から人とかかわりのある鯨の活動について広く分かるようになれば」と話した

「失敗が大きな礎に」宇宙開発事業団

2002年12月14日 The Sankei Shimbun
 H2A4号機打ち上げに成功した宇宙開発事業団などの関係者が14日、種子島宇宙センター(鹿児島県)で会見し、同事業団の山之内秀一郎理事長は「連続失敗した(先代)H2ロケットの失敗が、成功の大きな礎になった」と語った。

 同理事長は「成功を心から喜んでいる。気を緩めることなく成功を続けていきたい」と表情を引き締め、国際的な宇宙ビジネスへの参入については「4連続の成功で信頼性のバックアップはできた。ビジネスにつながるかは、民間移管後の民間企業の努力次第」と指摘した。

 望月義夫・環境大臣政務官は「衛星からのデータを世界の研究者と共有し、環境施策を進めたい」と期待を寄せた。また、ガッセム・アスラー米航空宇宙局地球科学局長は「日米のパートナーシップを祝う一日」と話した。

H2A4号機打ち上げ成功 4衛星放出

2002/12/14 中国新聞ニュース
 地球の環境変動をとらえる環境観測技術衛星「ADEOS2」と鯨生態観測衛星「観太くん」など、日本のロケットとしては初めて計四基の衛星を搭載した宇宙開発事業団の大型主力ロケットH2A4号機が十四日午前十時三十一分、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた。

 4号機は、高度約八百キロ台の上空でADEOS2を予定の軌道で分離、放出し打ち上げは成功した。同事業団の山之内秀一郎理事長は「ロケットはほぼ完ぺきに役割を果たした」と話した。

 H2Aは、昨年八月の1号機から四回連続の成功。信頼性が高いロケットとして本格運用が加速されるとともに、参入を目指す国際的な衛星打ち上げ市場での評価も高まりそうだ。

 4号機は、ごう音とともにまばゆい光を放ちながら上昇。約七分後に、第一段の主エンジン燃焼を停止。第二段エンジンの燃焼も予定通りで、約十六分後にはADEOS2を分離した。

 ADEOS2は同日正午前、太陽電池パネルを展開。同事業団は「みどり2」と命名した。

 オーストラリアの衛星「FedSat」、観太くん、同事業団の試験衛星「マイクロラブサット」の三基が順調に分離したのも確認された。

 みどり2は、地表から放射される電波や、太陽反射光を感知して、水温や降水量、植物、雲などの分布や特性を観測する。

 地球温暖化や森林保護、自然災害の状況把握のほか、天気予報の精度向上、魚群探索にも役立てる。これまで日本が打ち上げた衛星の中では最も重い約三千七百キロ。

 小型衛星は三基。鯨の回遊や潜水などの行動を解明する観太くんは千葉工業大の学生らが構想から十年がかりで開発した。FedSatとマイクロラブサットは各種の実験に取り組む。

 H2Aは、連続して失敗した先代H2を改良した後継ロケットで、全長約五十三m、直径約四m。

H2Aロケット:3号機打ち上げリハーサルで2度トラブル

2002年08月26日 Mainichi INTERACTIVE
 宇宙開発事業団は26日、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで、H2Aロケット3号機の打ち上げリハーサルを実施したが、カウントダウンが2度にわたって途中で緊急停止され、3度目で全工程を完了した。

 最初のトラブルは第1段ロケットにある温度センサーの設定ミスで、事業団は「打ち上げ予定の9月10日までには修復可能」としているが、次のトラブルは電気系統の異常で、原因によっては打ち上げ日が先延ばしされる可能性も出てきた。

「H2A」分離失敗、メーカーに賠償請求へ

2002年08月01日 (読売新聞)YAHOO!ニュース
 国産ロケット「H2A」2号機から宇宙科学研究所の衛星が分離失敗した問題で、宇宙研は31日の宇宙開発委員会で、衛星を設計したNECに対して損害賠償を請求する方針を明らかにした。

 国がロケットや衛星の打ち上げミスで民間企業に損害賠償を求めるのは初めて。賠償額は数億円にのぼると見られる。

 宇宙研が6億円をかけて開発した小型衛星「DASH」は、99年12月に納入され、今年2月4日に打ち上げられた。メーカー側が基本設計図から製造用図面を作る際に、ロケットからの分離信号を伝える配線の接続先を間違って写したため、ロケットから分離できなかった。

 ロケットや衛星の打ち上げでは、通常納入から1年が過ぎると欠陥などのメーカー側の責任は問えない契約で、打ち上げ後のミスも本体が消失するため、メーカー側の責任を断定するのは難しい。しかし、今回のケースは作図の誤記という極めて初歩のミスであることから、「過去にない重大な過失」(宇宙研幹部)と判断した。

 宇宙研は今後、NEC側と交渉を進め、今秋をめどに解決したい考え。NEC広報は「正式に話をうかがっていないので、内容を十分に検討したうえで対応したい」としている。

ロケット:部品の対日輸出で米国が強硬姿勢 H2Aに支障も

2002年07月27日 Mainichi INTERACTIVE
 国産の主力ロケット「H2A」の部品を供給する米国が、60年代に結んだロケット技術の利用規制に関する協定を適用するよう求め、従わない場合は部品の輸出差し止めを通告していることが27日、分かった。日本側は否定的な意向だが、このままでは将来のH2A打ち上げに支障が出る可能性もあり、両国は事務レベルの非公式協議を8月上旬に開く。

 日本は69年に結んだ宇宙開発に関する協定で、米国の許可なく「導入された技術を第三国に移転しない」「他国の衛星を打ち上げない」などの規制を受けることになった。当時は、液体燃料の衛星打ち上げ用ロケットの開発に米国の技術を導入していた。

 その後、日本は純国産の「H2」の打ち上げに成功。協定は有名無実化していた。ところが、補助ロケットなど一部に米国製部品を使用するH2Aが開発された2年前、米国は協定を改正しH2Aも対象にすることを要求してきた。ミサイル開発にもつながるロケット技術の流出に神経をとがらせている政策が背景にあると見られる。

 他国の通信衛星などの商用打ち上げを目指すH2Aにとって、「米国の許可」を必須とすることは顧客拡大の足かせになりかねず、日本は「国益に反する」として拒否してきた。このため、米国は今年5月、「部品の輸出の承認は協定改正と不可分だ」と通告してきたという。 【金田健】

民間ロケット新型エンジン、国の小委が開発に待った

2002年06月18日 Yomiuri On-Line
 民間主導で開発を目指しているわが国初のロケット「GX」に搭載する液化天然ガス(LNG)エンジンについて検討している国の宇宙開発委員会の評価小委員会は18日、「緊急性がない」として開発を認めないことを決めた。

 LNGエンジンは宇宙開発事業団が開発を推進しており、計画が遅れれば、2005年度を目指すロケットの打ち上げに影響が出るのは必至だ。

 GXは石川島播磨重工を中心に国内7社が出資する会社が開発を進める中型ロケット。第2段のLNGエンジン開発を宇宙開発事業団が担う。システムや誘導制御ソフトなどは米企業から導入する。

 小委員会では、LNGエンジンの開発は長期的には有用としながらも、2005年度に打ち上げを行う緊急性は認められないと指摘。第1段エンジンタンクだけでなく、誘導制御ソフトなども米国製であることから、安全な打ち上げに必要な技術情報の公開が可能かどうか、さらに確認が必要とした。

民間ロケット 05年度に打ち上げる意向 石川島播磨重工業

2002年05月08日(毎日新聞)YAHOO!ニュース
 石川島播磨重工業は8日、同社などが主導して開発する初の民間ロケット「GX」の1号機を、05年度に打ち上げる意向を表明した。打ち上げ場所は宇宙開発事業団の種子島宇宙センター(鹿児島県)を想定しており、施設の整備などについて国側と協議する。

 GXは全長約48メートルの2段ロケットで、高度約200キロの低軌道に4・4トンの中小型の衛星を投入できる。第1段には、実績のあるロシア製エンジンと米国製燃料タンクを採用しコストダウンを図る。第2段には宇宙開発事業団が開発するLNG(液化天然ガス)エンジンを搭載する予定だ。

 同社は「05年度からの10年間で計30機程度を打ち上げたい」との目標を掲げる。

 

国産ロケット「H2A」の商業打ち上げピンチ

2002/04/24 Yomiuru On-Line
 国際的な衛星の打ち上げ市場への本格参入を目指し量産用として開発された国産ロケット「H2A」による衛星打ち上げビジネスが、米国の衛星メーカーの打ち上げ契約履行が難しい状況となり、瀬戸際に立たされている。すでに米国の別の衛星メーカーとの契約も破棄されており、当初30機あった打ち上げ契約が全くなくなる事態に陥りそうだ。宇宙開発事業団が開発したH2Aを中心に進められてきた日本の宇宙開発は、大きな痛手を受ける。

H2Aロケット 「宇宙商戦」に光は見えたが…

(2002/02/06)愛媛新聞 社説

H-IIA ロケット 打ち上げ成功、DASH 衛星の分離は困難

(2002/02/05)【アストロアーツ】
 国産ロケット H-IIA は 4 日 11 時 45 分、鹿児島県の種子島宇宙センターから無事に打ち上げられた。

 しかし、搭載されていた 2 機の衛星のうち「DASH」と呼ばれる実験機の分離に失敗。今日 5 日も地上からの指令による分離を試みたがうまくいかなかったもよう。関係者は「打ち上げは成功と言えるだろう。衛星の分離は今後も試みる」とコメントしている。(詳細)

H2Aロケット2号機の準備進む 来年1月打ち上げへ

(2001.12.08) CNN.co.jp
名古屋―日本の宇宙開発事業団(NASDA)は7日、名古屋の工場で、来年1月に打ち上げを予定しているH2Aロケットの2号機を公開した。

NASDAによると、2号機は11月15日までに、各部の最終機能点検を行った。現在、エンジニアによるデータのチェックが行われているという。 (全文)

<解説>信頼回復ようやく緒に・衛星受注なおハードル

(2001/08/29)NIKKEI NeT
 H2A1号機の打ち上げが成功したことで、国産ロケットは人工衛星打ち上げビジネスの舞台に何とか踏みとどまった。だが前身のH2の連続失敗で失った信頼が回復したとはいえない。ロケット自体も開発途上で、来年早々に予定する2号機と3号機の打ち上げが成功してようやく、世界のロケットと競争する条件が整う。 (全文)

新世代ロケットH2A、打ち上げ成功 =世界市場への参入に足掛かり−種子島

(2001/08/29)時事通信社
 宇宙開発事業団が次期主力ロケットとして開発したH2Aの1号機が29日午後4時、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた。焦点の第1、2段エンジンは順調に燃焼、搭載装置を目的の軌道に乗せたことが確認された。

同事業団のロケットは前身のH2が2回連続で失敗したが、1997年11月のH2・6号機以来約3年9カ月ぶりの成功となった。

日本のロケット技術に対する失われた信頼を回復し、目標とする世界の商業ロケット市場に参入する道が開けた。(全文)

H2Aロケット8月25日に打ち上げへ

(2001年07月04日) 人民網
国産大型ロケットH2Aの1号機が、8月25日に種子島宇宙センターから打ち上げられることが決まった。宇宙開発事業団が4日、文部科学省の宇宙開発委員会に計画書を提出して了承された。先代のH2ロケットが連続失敗して以来の打ち上げで、同事業団は、山之内秀一郎理事長を実施責任者とする異例の態勢で臨む。

H2Aは、H2を大幅に改良した事実上の新型機。打ち上げコストを約90億円に圧縮し、信頼性や安定性を向上させた。

まもなく、種子島宇宙センターで組み立てを始める。打ち上げは8月25日の午後1時〜同6時。試験飛行なので衛星は搭載しない。 (全文

宇宙開発計画を見直し、宇宙開発委

2000.12.08(21:52)asahi.com
 H2Aの1、2号機はともに試験飛行。1号機は重さ3トンの性能確認装置のみを搭載。2号機は小型補助ロケット4本を追加して増強型にする。3号機からは「実用機」に昇格。環境観測技術衛星(ADEOS2)と小型衛星の計4基を打ち上げる。

 J1は光衛星間通信実験衛星を搭載する。

1段目エンジンに2つの問題発見 H2Aロケット(2000.10.31)asahi.com

衛星搭載せずに打ち上げを検討/宇宙開発事業団 来年2月のH2A1号機

2000.09.26The Sankei Shimbun
 
 宇宙開発事業団は二十六日までに、開発中の次期主力ロケットH2Aの1号機を来年二月に打ち上げる際、衛星などを搭載しないで“カラ打ち”する検討を始めた。一段目のエンジン「LE7A」の液体水素ターボポンプの試験でトラブルが相次いだためで、衛星などを積まずにエンジンの負担を減らし、機能を点検するのが目的。

 しかし、一機の製造費が約九十億円に上るH2Aに衛星を積まずに打ち上げることには反対意見もあり、二十七日に開かれる政府の宇宙開発委員会技術評価部会で今後の方針が議論される。

 H2A・1号機が搭載することになっていたのは欧州宇宙機関(ESA)のデータ中継技術試験衛星「アルテミス」と文部省宇宙科学研究所の大気圏再突入試験機「ダッシュ」。

 LE7Aの液体水素ターボポンプの燃焼試験では、燃料としてだけではなく、ポンプ自体の冷却にも使われる液体水素が燃焼終了後に漏れて燃えたり、ポンプに異常な振動が発生してベアリング部分を留めるボルトが壊れたりした。

H2A:代替機に仏のロケット準備 運輸省と気象庁

(2000年08月30日) Mainichi INTERACTIVE
 運輸省と気象庁は30日、2002年度に打ち上げを予定している気象観測や航空管制のための運輸多目的衛星(MTSAT)新1号機の第一候補に、宇宙開発事業団が開発中の国産機「H2Aロケット」を選んだ。さらに、同年度中のH2Aの打ち上げが困難になった場合の予備として、フランスの打ち上げ会社とも契約することを決めた。 (全文)

宇宙3機関、再編・統合は見送り 「宇宙協議会」が方針(2000.08.22)asahi.com

宇宙開発に「安全保障の観点を」 宇宙開発委で議論(2000.07.27)asahi.com

臨界事故、H2失敗… 教訓を共有する「失敗学」提言

2000.06.06(22:22)asahi.com
 失敗や事故は隠さずに、教訓を広く共有する社会システムを探る「失敗学」をつくり上げよう。こんな「失敗学のすすめ」を盛り込んだ提言を、科学技術庁長官の私的諮問機関、「21世紀の科学技術に関する懇談会」がまとめ、6日、中曽根弘文長官に報告した。科技庁は提言を来年度予算の概算要求や科学技術基本計画に反映する。

 報告書は、「日本の企業には、事故が発生したり製品の欠陥が明らかになり回収が必要になったりした場合でも、隠ぺいやもみ消しをする風潮があり、失敗が有効に生かされていない」などと指摘する。

 事故や失敗、ひやりとしたニアミス例から学ぶ具体的な方策として、こうした例をデータベースにして社会が共有。その研究会をつくり、「失敗学」という新しい学問に発展させることなどを挙げている。

 失敗体験を有効に活用した人を表彰するなど制度面での改善も求めている。

 懇談会は、茨城県東海村のウラン加工施設の臨界事故やH2ロケット失敗など、日本の科学技術の信頼を揺るがす事態が続いたのをきっかけに1月に設けられた。大橋秀雄・工学院大学学長が座長を務めた。

 昨年11月のH2の失敗は、1段目エンジンで異常振動が起き、燃料ポンプが壊れたのが原因。要因の1つとされる燃料の逆流による振動は設計ミスだが、エンジン開発時には想定されていなかった。

 先端技術の開発につきものの失敗とはいえ、開発後に似た現象が大学の研究で見つかっていた。もし、このような情報が共有されていれば、エンジンの改良に生かせた可能性がある。

 科技庁は、開発中に起きた想定外のできごとを民間企業からも提供してもらうことを考えている。ただ、中には企業秘密もある。中曽根長官は「中心の話は秘密でも仕方ないが、特許に守られている部分などはできるだけ出してもらいたい。発想の転換が必要だ」と話している。

宇宙の傘ひらく、加賀友禅の技術利用 衛星アンテナ試験(2000.06.05)asahi.com
 アンテナの表面は、糸状のモリブデンに金メッキをした素材が網のように編まれている。北陸地方の加賀友禅や最新の競泳用水着を作る技術を利用した、という。

 2003年度にH2Aロケットで打ち上げ、携帯端末による衛星通信システムなどに使う予定だ。

固体補助ロケットの試験失敗 H2Aロケット(2000.06.02)asahi.com
 H2Aは、前身のH2ロケットの改良型。しかし、H2が昨年11月に1段目エンジンの故障で失敗したことで、初打ち上げを1年遅らせ、着実に開発することにしていた。

「HIIロケット8号機」の第1段ロケットの調査についてby NASDA(宇宙開発事業団)

応力の複合で疲労破壊

2000年04月14日 共同通信社
 昨年11月のH2ロケット8号機の打ち上げ失敗で、宇宙開発委員会の技術評価部会は14日、液体水素燃料を送り出すロケット1段目のターボポンプの羽根が疲労破壊したのは、圧力の変動で燃料中に発生した泡による応力が複合したのが原因、との最終的な見解をまとめた。

 こうした現象が8号機だけで起きたのは、製品によるばらつきなどのわずかな違いによるためとしている。

H2事故:羽根部分に微細な傷があった 専門家チームが報告

3月17日 22:55 Mainichi INTERACTIVE
 打ち上げに失敗したH2ロケットの原因を究明する宇宙開発委員会技術評価部会が17日開かれ、専門家チームはエンジン(LE7)の液体水素ターボポンプ(タービンとポンプの結合体)入り口にあった羽根車の疲労破壊は羽根の表面にある微細な傷の部分が破断したことから始まったとみられると報告した。

18日から2段目の試験実施

(2000年03月15日)共同通信社
 宇宙開発事業団は15日、開発中のH2Aロケットの2段目エンジンの機能を確認するため、18日から角田ロケット開発センター(宮城県角田市)などで燃焼試験を始めることを決めた。

 2段目エンジンはLE5Bと呼ばれ、すでに開発を終了していたが、推力や燃料の混合比などがより厳しい場合や、耐久性に関して確認するための試験を、ことし9月にかけて行うことにした。

種子島宇宙センターで火事、プレハブ事務所が全焼(March 12, 2000)asahi.com
 種子島宇宙センターや種子島署によると、事務所は、三菱重工神戸造船所の所有。

異物混入か圧力変動が原因

(2000年02月28日)共同通信社
 昨年11月の宇宙開発事業団のH2ロケット打ち上げ失敗で、宇宙開発委員会の技術評価部会は28日、液体水素燃料を送り出すロケット1段目のターボポンプの羽根が金属疲労で破損した原因として異物の混入やポンプ入り口の圧力変動などの可能性が強いとみて、調査を進めることを決めた。

H2失敗、燃料吸入部に疲労の破断痕

(2000年02月27日)by Yomiuri On-Line
 宇宙開発事業団の大型ロケット「H2」八号機の打ち上げ失敗で、海底から引き上げた第一段エンジン「LE7」の破損原因を調べていた同事業団などの専門家チームは二十七日までに、燃料の液体水素を吸い込む部品「インデューサー」の破断面に金属疲労の痕跡があるのを確認した。事業団は、最初にインデューサーが破断して燃料の供給が急停止、その結果、ほかの部分に予想外の力が加わり、次々に破断していったとみている。二十八日の宇宙開発委員会技術評価部会に報告される。

 専門家らは、LE7エンジンの本体や配管などの破断面を電子顕微鏡で観察。液体水素ターボポンプ入り口のインデューサーという特殊なプロペラ状の部品の先端が欠落し、その破断面に金属疲労の痕跡があるのを見つけた。タンクの液体水素は、インデューサーの回転でエンジンに吸い込まれる仕組みで、先端が欠落すれば燃料供給は止まってしまう。

 金属疲労の原因としては一般に、設計以上の繰り返し負荷、加工時の傷、素材の不均一などが考えられるが、詳細は不明。同事業団では「この部分に金属疲労が起きるなら、なぜこれまで打ち上げた六機は正常だったのか」と首をひねっており、八号機のLE7だけに異常が生じた原因を追及することにしている。

宇宙事業での提携検討

(2000年02月29日)共同通信社
 NECは29日、東芝との間で人工衛星など宇宙事業分野での提携を検討していることを明らかにした。技術協力から合弁会社設立まで、幅広い選択肢の中で交渉を進める。日本の宇宙事業は、業界トップの三菱電機と2、3位のNEC・東芝連合の2グループに集約される。両社の提携構想は、国内で三菱電機に対抗するとともに、欧米に比べ劣っている商用衛星分野で巻き返しを図る狙いがある。

三菱重工、米ボーイング社と液体燃料ロケットエンジンの共同開発で合意

(2000年02月15日)[東京 15日 ロイター]
 三菱重工は、米国ボーイング社と次世代宇宙ロケット向けエンジン「MB−XX」の共同開発で合意したと発表した。

 三菱重工によると、共同開発されるエンジンは、液体水素と液体酸素を燃料とする。実用化されれば、米国、日本、欧州でもロケットへの採用の可能性があるという。今回の共同開発は、2003年の完了を目指しているという。

宇宙機関の統合に否定的

(2000年2月15日) 共同通信社
 中曽根弘文文相(科学技術庁長官)は15日の閣議後の記者会見で、相次いでロケット打ち上げに失敗した宇宙開発事業団と宇宙科学研究所の在り方について「設立や発足の経緯があり、機能の違いを認識しないといけない。相互の連携を図るべきだ」と述べ、統合に否定的な考えを示した。

回収のH2エンジンを公開

2000年1月28日 17時54分 共同通信社
 昨年11月に打ち上げに失敗し小笠原沖の太平洋の海底から引き揚げたH2ロケットの1段目エンジンが28日、保管されている航空宇宙技術研究所調布飛行場分室(東京都三鷹市)で公開された。
回収されたのは主燃焼室やターボポンプなど1段目エンジンの主要部分だが、事故原因の可能性がある液体水素の配管は、一部がなくなっている。

H2エンジンを引き揚げ

2000年1月23日 12時47分 共同通信社
 昨年11月15日に打ち上げに失敗し、小笠原沖の太平洋に落下したH2ロケット8号機の1段目エンジンの本体部分が23日、深さ2900メートルの海底から69日ぶりに引き揚げられた。宇宙開発事業団が依頼した国内の専門会社の支援母船から22日夕、米国の無人深海作業船が降ろされ、作業開始。海底に着いた作業船を遠隔操作し、エンジンをキャッチして浮上、23日午前9時に支援母船上に回収した。

失敗H2のエンジン配管か

1999年12月24日 20時04分 共同通信社
 打ち上げに失敗したH2ロケットの1段目エンジンを捜索していた海洋科学技術センター(神奈川県横須賀市)の支援母船「よこすか」が24日午後4時前、小笠原沖太平洋の深さ2913メートルの海底で、エンジンの配管部分らしい部品を探査機「ディープトウ」で発見、撮影した。画像に映っていたのは、1段目ロケットの主エンジンの液体酸素ターボポンプと周辺配管とみられる。

24日、来年度予算政府案決定=ロケット開発費など閣僚折衝で上乗せ

99年12月22日 20時54分 時事通信社
 2000年度予算をめぐる宮沢喜一蔵相と各閣僚による大詰めの復活折衝が22日、大蔵省で行われ、500億円の「調整財源」の配分が決まった。焦点の一つだった、11月の国産大型ロケット「H2」打ち上げ失敗を踏まえて科学技術庁が要求していたロケット開発強化費が、原案内示から大幅に増額された。また、市町村合併交付金が認められたほか、私立学校への助成も上乗せされた。政府は、閣僚折衝の結果を踏まえ、過去最大となる一般会計総額84兆9871億円の来年度予算政府案を、24日午前の臨時閣議で正式決定する。

2000年度予算 改良ロケット開発は増額

1999年12月22日 19時42分 共同通信社
 2000年度予算をめぐる宮沢喜一蔵相と各省庁の閣僚との復活折衝が22日行われた。焦点のことし11月に打ち上げに失敗した、H2ロケットの改良型後継機種「H2Aロケット」の開発強化費では、中曽根弘文科学技術庁長官との折衝で19億円の増額が認められ、大蔵原案での内示分を合わせた強化費は計71億円が確保された。この日の閣僚折衝で、一般歳出の中の復活調整財源500億円の配分が終わった。

8号機失敗でH2ロケットの製造中止 宇宙開発事業団

(December08,1999) 時事通信社
 H2ロケット8号機の打ち上げ失敗で、科学技術庁と宇宙開発事業団は8日、既に9割近く完成しているH2・7号機の製造を中止するとともに、来年2月に予定されていた次世代主力ロケットH2Aの打ち上げなど、主な宇宙開発計画を軒並み1年程度先送りすることを決め、政府の宇宙開発委員会に要望した。宇宙開発委は15日の会合で了承する見込み。

 7号機はH2シリーズ計8機の最後。来年夏に打ち上げる予定で製造が進められ、今年度までに約160億円の予算が計上されている。しかし、昨年2月の5号機と先月の8号機の相次ぐ打ち上げ失敗で、新たに対策を施すよりもH2Aに振り替えた方が、約30億円節約できることが判明。H2A開発に集中するため、中止を決めた。

 事業団は「7号機の部品の一部はH2Aに流用するほか、エンジンなどは技術的な試験に活用したい」としているが、大部分は使われない可能性が高い。7号機に搭載して打ち上げ予定だった「データ中継技術衛星」はH2Aロケットで、2002年夏に打ち上げる計画に変更された。

「H2」失敗、打ち上げ会社も失速 大幅リストラ開始へ

(December04, 1999)

 国内初のロケット打ち上げビジネス開始を目指す「ロケットシステム」(本社・東京、資本金約4億8000万円)が、事業の本格展開を前に役員や社員を削減するリストラを始める。関係筋が3日、明らかにした。アジアでの経済不振などを受け、ロケットに載せる人工衛星の需要が落ち込んでいることが大きな原因だ。国産大型ロケットのH2が、2回連続で打ち上げを失敗したため、技術的な信用を失い、すでに獲得した受注がキャンセルされる可能性も出て、経営難に追い打ちをかけそうだ。

 関係筋によると、ロケットシステムは、近く開かれる予定の臨時株主総会で、常勤役員6人のうち社長を除く5人が退任する見込みだ。15人の非常勤役員の中でも退任する人が出るという。出資企業から出向している人を出身企業に戻すなどして、社員約80人も半減する。

 ロケットシステムは当初、宇宙開発事業団がH2をベースに商業打ち上げ用に開発する新型のH2Aを2000年後半に打ち上げ、本格的に商売を開始する計画だった。この事業計画に合わせ、社員も増員した。ところが、「人工衛星の市場が冷え込んだため、(商業用の)打ち上げが2年は遅れる」(同社)見込みとなり、期待していた収入は得られない状態になった。

 さらに、今年11月のH2の打ち上げ失敗で、米ヒューズ社などから受注している20機のロケット打ち上げの一部が今後、キャンセルされるのでは、という見方も業界では強まっている。打ち上げ経費を含めたH2Aの価格は85億円程度になると見られ、大きな売り上げを失うことになる。しかも、ロケットシステムには1999年3月期で約3億5000万円の累積損失がある。

H2ロケットは空中分解か 宇宙開発事業団が分析(December04, 1999)

打ち上げ失敗H2の一部を海底で発見、エンジンは不明(November27, 1999)

H2事故機体発見か(November27, 1999)
 海洋科学技術センター(神奈川県横須賀市)に入った連絡によると、15日に打ち上げに失敗して小笠原諸島の北西海域に水没した大型ロケットH2の8号機を捜索していた深海調査研究船「かいれい」が27日昼前、水深約3000メートルの海底で人工物を発見した。失敗の原因になった1段目である可能性が高く、確認を急いでいる。

H2失敗、1段目エンジン停止は配管破損が原因か(November16,1999)
 H2ロケット8号機の打ち上げ失敗の原因となった1段目エンジン(LE7)の停止は、燃焼室に水素燃料を送る配管が破損したために起こった可能性が高い、という分析結果を宇宙開発事業団が16日、速報としてまとめた。エンジン停止の指令信号が出ていないのに、打ち上げから約4分後に急激に燃焼圧力が低下、推進力を失った機体は水素とみられるガスを噴き出しながらクルクル回転し始め、しだいに落下したとみられる。同日の宇宙開発委員会・技術評価部会に報告した。

運輸多目的衛星の打ち上げ失敗、軌道投入できず爆破(November15, 1999)
 運輸多目的衛星を搭載したH2ロケットの打ち上げが失敗した。H2ロケットは15日午後4時29分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたが、軌道に投入できず、その直後に地上からの指令で爆破した。

H-IIロケット8号機の不具合に係る調査状況について

平成11年9月20日 by 宇宙開発事業団
 宇宙開発事業団は、H-IIロケット8号機/運輸多目的衛星の打上げ延期の理由となった1段液体水素枯渇検知センサー の非作動(9月12日)の原因究明の一環として、1段液体水素タンクの開放及び内部点検を9月19日までに実施しました。

 その結果、液体水素充填作業中に液体水素枯渇検知センサーとセンサー取付金具が極低温状態で接触し、当該センサーが非作動となっていたものと判断しました。

 これに対し、当該センサーの位置を修正する対策を9月19日に実施しました。今後、タンクを元どおりに復旧後、液体水素を充填し、不具合処置結果が良好であることを確認する予定です。

 また、9月15日に発見された第2段制御用電池の出力電圧の異常については、原因調査の結果、負電極端部の変形(反り)が絶縁体(セパレーター)を損傷し、短絡に至ったものと判明しました。このため、不具合対策を施した電池を新製作し、8号機に供することとします。

 宇宙開発事業団では、これらの不具合を重大に受け止め、打上げに万全を期すため、「現場特別点検」を実施することとします。

 上記に伴い、打上げ日を11月以降とし、新たな打上げ日については決定し次第お知らせします。

 運輸多目的衛星(Multi-functional Transport Satellite:MTSAT)は運輸省が調達した衛星です。MTSATは、次世代の航空保安システムの中核となる航空管制等の機能(航空ミッション)と、気象衛星「ひまわり」の後継機としての気象観測等の機能(気象ミッション)を有しています。

 その結果、そ れぞれ単独の衛星とするよりも経費の節約や静止軌道位置の有効利用が図られてい ます。 航空ミッションの寿命は10年以上、気象ミッションの寿命は5年以上です。運用を行う静止軌道位置は、「ひまわり」と同じ東経140度です。(by 宇宙開発事業団)

H2衛星打ち上げ再延期 燃料検知センサーが故障(September12,1999)

H-IIロケット8号機/運輸多目的衛星の打上げについて

平成11年9月10日 by 宇宙開発事業団
 宇宙開発事業団は、種子島宇宙センターから運輸多目的衛星(MTSAT)を搭載したH-IIロケット8号機の打上げを平成11年9月12日(日)以降に延期するとお知らせしておりました。

 打上げ延期の原因となりましたフェアリング系アンビリカルキャリアの異常及び関連箇所を調査した結果、これらの修復に要する時間を考慮して、H-IIロケット8号機の打上げを9月12日(日)と決定いたしましたのでお知らせ致します。

 なお、打上げ時間帯は、16時41分〜17時36分(日本時間標準時)です。

多目的衛星、10日打ち上げ

(1999年09月08日)共同通信社
 気象衛星ひまわり5号の後継で、航空管制も担う運輸多目的衛星が10日夕、鹿児島県の種子島宇宙センターから、宇宙開発事業団のH2ロケットで打ち上げられる。

 運輸多目的衛星は、気象観測と航空管制の機能を一つにまとめることにより、費用だけでなく、多くの衛星で込み合う宇宙の静止軌道のスペースも節約できるのが特徴。

運輸多目的衛星を公開

(1999年08月13日) 共同通信社
 気象衛星ひまわり5号の後継機で、航空管制にも使われる運輸多目的衛星が13日、種子島宇宙センターで公開された。

 MTSATは9月10日、H2ロケット8号機で打ち上げられる予定。

 打ち上げから約10日後、高度約3万6000キロの赤道上空に静止し、日本周辺の雲の分布などを観測する。

 ひまわり5号と比べ、夜間の台風の位置判別や海面水温測定の精度が向上するのが特徴。

静止気象衛星「ひまわり」の後継、8月5日に打ち上げ(June09,1999)asahi.com

新人工衛星の愛称を公募

(1999年05月13日)共同通信社
 テレビの天気予報でおなじみの気象衛星『ひまわり』の後継機で航空管制にも使用される運輸多目的衛星(MTSAT)について運輸省と気象庁は13日、愛称を一般から募集すると発表した。名付け親は、8月予定の鹿児島県の種子島宇宙センターでの打ち上げに招待される。

          

 MTSATは、運輸省と気象庁が 200億円余をかけて打ち上げる人工衛星。打ち上げ費用の7割を運輸省、3割を気象庁がそれぞれ負担する。

改良噴射口に問題 試験中のH2Aエンジン破損 (June 23, 1999) asahi.com

種子島で次世代ロケット用エンジンの長時間燃焼テスト(March05,1999)asahi.com
 同センターでは、H2A打ち上げに向けた新発射点の増強工事が進められており、エンジン試験場の周辺には、移動発射台やロケット組み立て棟など、巨大な要さいが姿を現している。

 来年8月、すべての発射点設備が完成すると、打ち上げ能力が年間2機から8機へと向上する。

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