TOPIC No.6-36 測位衛星

01. GNSS特集「3分でわかるGNSS(全世界測位システム)のお話」 
 by計測・試験機器総合Web展(計測展) HOME
02. 衛星測位システム  byフリ−百科事典 Wikipedia
03. グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System, Global Positioning Satellite, GPS、全地球測位システム) byフリ−百科事典 Wikipedia
04. みちびき(準天頂衛生システム) by 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局
05. 日本版GPSの全貌 ケタ違いの精度、日本版GPS「みちびき」の実力(2017/12/18)
 山崎 洋一=ITpro 日経xTECH
06. ガリレオ (測位システム)  byフリ−百科事典 Wikipedia
07. ついに運用が始まった欧州版GPS「ガリレオ」2016/12/20鳥嶋真也 
 byマイナビニュ−ス
08. 北斗衛星導航系統(BeiDou Navigation Satellite System) 
 byフリ−百科事典 Wikipedia 
09. 航法の歴史(7)宇宙強国を目指す中国の切り札“BeiDou”(北斗) 2016年03月22日 
 by 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局
10. ロシアの衛星航法システムGLONASS(Gloval Navigation Satellite System)
11. GLONASS(Global Navigation Satellite System)> byフリ−百科事典 Wikipedia 
12. インド地域航法衛星システム(Indian Regional Navigational Satellite System、
 IRNSS)byフリ−百科事典 Wikipedia


準天頂衛星みちびき3号機、異常動作 調整作業を実施

2018/06/06(文/塚本直樹)SORAE

 2017年8月に打ち上げられた準天頂衛星「みちびき3号機」ですが、内閣府宇宙開発戦略推進事務局は2018年6月5日、異常動作が発生したとして技術的な確認・調整作業を実施すると発表しました。

 みちびき3号機は初号機?4号機とともに「準天頂衛星システム(QZSS)」を構築します。この準天頂衛星システムはアメリカのGPSを補完し、ビルの谷間などGPS信号が受信しにくかった場所でも測位が可能になったり、また受信機の規模によってはセンチメーター単位の正確な測位が可能になることが期待されます。

 発表によれば、6月2日に搭載されたL5S信号(測位技術実証サービス用信号)送信信号増幅部のスイッチが意図せずに切り替わり、動作しなくなったそうです。これを受け、同様のスイッチを搭載しているみちびき2〜4号機でも試験信号の送信を一時停止しています。

 現在、みちびき3号機は今年11月のサービスインを目指しています。

Image Credit: JAXA

準天頂衛星の軌道上における異常動作について

ガリレオ測位システムから英国排除でEUとフランスが対立

24.05.2018 TrendsWatcher

 ブレクジットの直接的な影響として英国のEUへの科学技術協力に多大な影響が懸念されていたが、ドイツがEUのガリレオ衛星計画から英国排除を排除しようとしたことで、EUとフランスに溝ができている。

 ドイツ側に立つ欧州委員会の官僚たちは、EUのガリレオ衛星プロジェクト(欧州版GPS測位システム)から英国を除外しようとしている。しかしこれに対してフランスの当局者は、ブレクジット後といっても、もともと軍用のGPSシステムから英国を排除する提案に不満を抱いている。英国と連携して欧州委員会当局を相手にフランスを擁護している他の国には、スペイン、スウェーデン、オランダ、バルト諸国が含まれる。

 欧州委員会トップのマーティン・セルマイ氏は4月に英国の大使であるティム・バロー氏に、突然ガリレオへ計画への英国の参画を終了すると伝えた。英国の閣僚は、木曜日に、EUがガリレオ計画予算の約12%に相当する10億ユーロ返済を要求している。タイムズによれば、完全に脱退する場合、英国資金の払い戻しが必要になり、計画の資金調達に大打撃となる。

 同時に英国が衛星システムの制御コードにアクセスすることができなくなる。これは、EU版GPSの軍事機能の停止権がEU(欧州委員会)に支配されることを意味し、EU加盟国で安全保障上の脅威となると考えるフランスやスペインとドイツよりの立場をとる欧州員会当局とで意見が分かれ、EU内が一枚岩でなくなってきた。もともとGPSシステムは軍用で位置情報に誤差をいれてダングレードした情報を民間は使っている。本質的にはこの軍用民間共用システムに問題があるが、それが露呈することになった。なお日本も独自にGPSシステムの構築を始めている。

インドがIRNSS-1I衛星の打ち上げに成功

2018年04月24日 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局

 インド宇宙研究機関ISROは、現地時間4月12日4時4分(日本時間7時34分)にインドのサティシュ・ダワン宇宙センターから、PSLVロケットで測位衛星IRNSS-1Iを打ち上げました。打ち上げは成功し、衛星は今後、東経55度の赤道上の点を中心に8の字を描く傾斜対地同期軌道(IGSO)に配置されます。

 IRNSS-1Iは、2016年に7機体制が整いIRNSSから改称したインドの衛星測位システムNavICを構成する9機目の衛星です。当初配置されていたIRNSS-1Aの原子時計の信頼性に問題が出たため、その代替機として作られた2機のうち2番目の衛星となります。昨年8月に最初の代替機IRNSS-1Hがフェアリングが開かず打ち上げに失敗したため、今回の打ち上げが行われました。

全7機で構成されるNavIC

 インドのNavICは7機で構成される衛星測位システムで、東経34度、83度、129.5度の静止軌道上に1機ずつ計3機、中心経度が東経55度、東経111.75度のIGSO上に各2機ずつ計4機が配置されています。

 また、IGSOは静止衛星の軌道面を傾けた軌道で、みちびきの準天頂軌道と同じように衛星の直下点が赤道を境に南北に8の字を描きます。各衛星測位システムによって高度や軌道傾斜角が異なり、NavICの場合、高度35,700km、傾斜角29度となっています。

センチ級北斗衛星測位システム、中国全土にリアルタイム測位サービス提供

2018-03-07 北京週報 BEIJING REVIEW

 北斗三号衛星ネットワークの第5、6基の打ち上げに成功したことは、中国の北斗衛星測位システムがグローバルネットワーク形成に向け集中的な打ち上げ段階に入ったことを示している。宇宙の「北斗」の数が増え、それを地上でどのように活用するべきなのか、その精度はどれほどの高さになっているのかに注目が集まっている。中国青年報が報じた。

 最近の取材では、中国全土をカバーする北斗・地上型衛星航法補強システム(GBAS)の第一期建設が検査に通り、中国全土に位置の誤差が1メートル以下の高精度測位サービスを提供し、21省にセンチ・メートル精度のリアルタイム測位サービスを提供できるようになったことが分かった。北斗衛星千尋位置サービスプラットフォームのユーザーは1億人を超え、北斗A-GNSS測位サービスは200ヶ国・地域以上をカバーしている。

 2016年5月18日、北斗GBASの運用が始まり、北斗は中国全土に高精度の測位サービスを提供するようになった。現在、中国全土には、同システムの補強拠点が2000ヶ所以上あり、インターネットのビックデータ解析を通して、中国全土のユーザーに高精度の測位やそのほかのサービスを提供している。

 千尋位置の陳金培・最高経営責任者(CEO)によると、今年、北斗GBASは、中国全土にセンチ・メートル精度のリアルタイム測位サービスを提供できるようになるという。(編集KN)

 「人民網日本語版」2018年3月7日


測位衛星 「みちびき」運用延期 一部で精度得られず

2018年3月2日 毎日新聞

 内閣府は2日、測位衛星「みちびき」の運用開始を11月1日に延期すると発表した。当初は今春に運用開始の予定だったが、一部の地域で予定した精度が得られず、約半年遅れる。

 誤差が大きいのは、沖縄県全体と鹿児島県の島しょ部。誤差は世界最高レベルとされる6センチ程度に収める予定だった。しかし、衛星からの電波を補正するプログラムの構築に時間がかかっており、まだ数十センチの誤差があるという。

 安否確認システムなど、他の機能は順調に動いているが、「すべてのシステムを同時に始める」という当初の計画通り、運用開始を遅らせることになった。松山政司・科学技術担当相は同日の記者会見で「一日も早く(サービスを)始めたいが、万全を期した」と説明した。

 みちびきは、日本独自の衛星測位システムの運用を目指して整備が進められ、現在、4機の打ち上げを終えている。車両の自動運転やドローン(小型無人機)を使った宅配サービスなどへの応用が期待されている。一方で、受信機が大型になるなどの難点があり、スマートフォンなど小型の機器での運用はしばらく先になるとみられる。【酒造唯】


北斗測位システムの応用が体系的な海外進出を開始

2018年02月08日 人民網日本語版

 中国兵器工業集団有限公司は7日の2018年度活動会議において、同社の2017年における民間向け製品の経営が安定成長を維持し、「千尋」位置サービスプラットフォームの利用者数が9000万人を突破し、「A-北斗/GNSS」クイック測位プラットフォームサービスが世界200以上の国と地域を網羅した。海外の衛星測位基地局ネットワーク建設プロジェクトを落札し、北斗応用の体系的な海外進出の一歩目を踏み出した。科技日報が伝えた。

 同社の2017年の利益総額は前年比11.8%増の151億2000万元(1元は約17.33円)、主事業の売上は7.1%増の4326億元。グローバル化経営で新たな成果を手にし、通年の海外事業売上が同社全体の40%、利益総額が30%を占めた。また「新規双跨院士」が3人、「千人計画」専門家が4人、「万人計画」専門家が1人増えた。同社の「千人計画」専門家数は62人で、中央企業の首位をキープしている。通年の特許出願件数は4399件、取得件数は2671件。(編集YF)


日本版GPS「みちびき」が生み出す新ビジネスの芽

4機に増えた「みちびき」で高精度測位サービスの活用が可能に 2018.1.23松浦 晋也 JB PRESS

 合計6機。2017年に種子島宇宙センターから打ち上げられたH-IIAロケットの機数だ。これは過去最高のペースである。このうちの3機、6月1日に打ち上げの34号機と、8月19日の35号機、10月10日の36号機は同じシリーズの衛星を宇宙へと運んだ。

 打ち上げられたのは、「みちびき」衛星。日本の測位衛星システムを構成する2号機から4号機である。2010年に試験衛星として打ち上げられた「みちびき」初号機と合わせ、2018年に4機体制で測位サービスを開始する。「みちびき」は日本版GPSとも呼ばれ、多様な応用分野と新たなビジネスチャンスの創出への期待が高まっている。

 おそらくほとんどの人は、意識せずにすでに測位衛星サービスを日常的に利用しているはずである。スマートフォンの地図アプリが現在位置を表示できるのは、地球を巡る測位衛星システムからの信号を受信して、自分の位置を算出しているからだ。

 地球上では現在、全世界を覆う測位衛星システム(GNSS、Global Navigation Satellite System)が4つ稼働している。最も馴染みがあるのは、アメリカの「GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)」だろう。このほかロシアの「グロナス」、欧州の「ガリレオ」、中国の「北斗」も全世界をカバーする測位衛星システムとして動いている。いずれも20機以上の衛星から構成される大規模なシステムだ。

 GPSやグロナスとは違うタイプの測位衛星システムもある。地域測位衛星システムと呼ぶものだ。代表例が「IRNSS」。インドが運用しており、インド洋からインド亜大陸、アラビア海にかけてカバーしている。日本の「みちびき」は日本版GPSと呼ばれるが、全世界を覆う測位衛星システムではなく、IRNSSと同様の地域測位衛星システムに位置付けられる。

「準天頂軌道」とはなにか

 「みちびき」は次のような特徴を持っている。

(1)衛星が日本上空の滞留時間の長い、準天頂軌道という軌道に打ち上げられており、はるか上空から主に日本周辺を重点的にカバーする。

(2)GPSとの互換信号を送信し、GPSと一体となって測位サービスを提供する。

(3)高精度のcmオーダーの測位を可能にする補強信号を送信する。


欧州の測位衛星ガリレオ、2度目の4機同時打ち上げに成功

2017年12月14日 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局

 欧州連合(EU)と欧州宇宙機関(ESA)は現地時間12月12日15時36分(日本時間13日3時36分)、仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターからアリアンスペース社のアリアン5 ESロケットで測位衛星システム「ガリレオ」を構成する衛星4機を打ち上げました。ロケットは打ち上げから約3時間36分後に所定の軌道で最初の2機の衛星を分離、約20分後に残りの2機を分離し、ミッションを完了しました。

 欧州の測位衛星システムであるガリレオは、昨年(2016年)12月に初期サービス開始を宣言しています。今回は、その前月(2016年11月)に打ち上げた通算15〜18機目のガリレオ衛星に続く2度目の4機同時打ち上げとなります。

 打ち上げられた4機の衛星は、最終的な運用軌道へと遷移した上で、GSA(European GNSS Agency、欧州全地球航法衛星システム監督庁)による約6カ月間の軌道上試験を経て、全22機による衛星システムに組み込まれます。今後、さらに4機の衛星を打ち上げ、24機+予備2機による測位衛星システムが完成する予定です。

ロシアの測位衛星GLONASS-M、9月22日に打ち上げ成功

2017年10月04日 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局

 ロシアの測位衛星GLONASS-M(No.52)が、現地時間9月22日3時2分(日本時間同日9時2分)、ロシア・アルハンゲリスク州のプレセツク宇宙基地からソユーズロケットにより打ち上げられました。

 衛星は運用軌道(高度19,100km、軌道傾斜角64.8度)に近い軌道に投入され、打ち上げは成功しました。今回の打ち上げは、昨年(2016年)打ち上げられた2機のGLONASS-M(2月6日のNo.51と、5月29日のNo.53)に続くものです。

中国版GPS「北斗」アジアで売り込み先行、日本は商機見いだせるか

2017.6.1  産経ニュ−ス

 2号機の打ち上げに1日、成功した政府の準天頂衛星みちびきは、位置情報の精度を飛躍的に高め、社会や産業に変革をもたらすと期待されている。運用する内閣府は「無人化や省力化で次世代サービスを創出する切り札」と強調するが、アジアで先行する中国との競争をどう勝ち抜くかなど課題もある。

 最も期待される用途は車の自動運転だ。車線を変更したり、対向車とすれ違ったりする際には、センチ単位の精度で車両の位置を把握する必要があり、現在の衛星利用測位システム(GPS)だけでは難しい。

 総務省などによる農場実験では、無人のトラクターが40センチ間隔で植えた稲の間を走行し、タイヤで倒すことなく作業できた。農作業の省力化で後継者不足の対策に役立つ可能性がある。

 小型無人機ドローンを使った物資輸送にも活用できるとみられ、離島や山間部で「買い物難民」の解消に期待がかかる。

 こうした用途で政府は平成32年に2兆円超の経済効果を見込んでいるが、いずれもまだ実験段階だ。野村総合研究所の八亀彰吾副主任コンサルタントは「米国のGPSに頼らず独自に衛星を整備する意義は極めて大きいが、高精度の位置測定による生活の変化をまだ描き切れていない」と指摘する。

 当面の用途は配達などのビジネス利用が中心とみられる。スマートフォンなど個人向けの機器では、搭載する受信機の小型化と低価格化が進まないと普及は難しそうだ。

 政府はみちびきが上空を飛行するアジアなどへの輸出も目指すが、中国版のGPS「北斗」に売り込みで先を越されている。中国は17年前から北斗の衛星を打ち上げ、既に約20基を運用中だ。このままアジア諸国を取り込まれると、日本は商機を逸しかねない。

 政府の宇宙政策委員会の宇宙産業振興小委座長を務める高橋進日本総合研究所理事長は「みちびきの利用を求めるだけでなく、相手国の事情に合った活用法を示してビジネスに育てる必要がある」と指摘する。


ロシア、ニカラグアに衛星測位システム「グロナス」の基地局設立

2017年4月8日発信地:マナグア/ニカラグアAFP BB NEWS

【4月8日 AFP】ロシアが米国の全地球測位システム(GPS)網に対抗して開発した衛星測位システム「グロナス(GLONASS)」を運営する人工衛星基地局を中米ニカラグアに開設した。当局関係者が明らかにした。米ロ両国のいずれの衛星システムも、民間利用だけではなく軍事目的でも使用されている。

 ニカラグアの国営ニュースサイト「19デ・フリオ(19 de Julio)」によれば、ロシア国営宇宙企業ロスコスモス(Roscosmos)のイゴール・コマロフ(Igor Komarov)代表は6日、「この国の歴史の新たな一ページ」を開くと述べて開設を祝った。

 コマロフ氏によれば、2015年に結ばれた合意によってニカラグア南部ネハパ(Nejapa)に設立された基地局は「高精度の」衛星信号を受信し、これにより、ニカラグア国内での災害や船舶の航行、同国政府による麻薬密売業者の取り締まりも支援できるようになると述べている。グロナスの基地局が中米で開設されるのはこれが初めてだという。

 マルクス主義のゲリラ出身のダニエル・オルテガ(Daniel Ortega)氏が大統領を務めるニカラグアは、ロシア、中国、イラン、ベネズエラと政治的に友好関係を保ち、米国とは貿易関係は維持しているものの、同国の政策には批判的な姿勢を取っている。(c)AFP

GPSより精度の高い衛星航法システム「ガリレオ」の運用がスタート

2016年12月19日 Gigazine

 衛星を利用した航法システム(測位システム)といえば「GPS」がよく知られています。もはや航法システムの代名詞のような存在となっていますが、あくまでGPSはアメリカ国防総省の運営するシステム。これに対してヨーロッパで民間主体の衛星測位システム「ガリレオ」の開発が進められ、2016年12月15日にとうとう運用が始まりました。

 What is Galileo? / Galileo / Navigation / Our Activities / ESA

 Galileo navigation satellite system goes live | Science | DW.COM | 15.12.2016

 衛星航法システムとは、複数の人工衛星から地上に向けて送信された信号を受信することで位置や進路を知るという仕組みのこと。アメリカ海軍が潜水艦発射弾道ミサイル・ポラリスを搭載した潜水艦に位置情報を提供するため打ち上げた人工衛星「トランシット」が草分け的存在として知られています。1960年に打ち上げられたトランシットは、テストを経て1964年に海軍で利用が始まり、1967年から1991年にかけては多くの民間船舶もこの恩恵を受けました。

 一方、アメリカ陸軍は海軍のトランシットとは別に「SECOR」という衛星ナビゲーションシステムを作り、空軍も「621B」というプロジェクトを進めていて、さらに「Timation」という衛星同士の位置関係を正確に把握するシステムが別に作られていました。しかし、ばらばらに作っていては効率が悪いということで統合されて生まれたのが「NAVSTAR(ナブスター)」構想で、このシステムが「GPS」と呼ばれるものです。

 同様に、主に軍事目的から作られた衛星航法システムとしてはロシアの「GLONASS」、中国の「北斗」があります。初めて民間主体で生み出された衛星航法システムが、今回運用の始まった「ガリレオ」です。

 ガリレオプロジェクトが始まったのは17年前、1999年のことでした。アメリカ国防総省が運用するGPSへ頼ることをやめるためにEUと欧州宇宙機関(ESA)が威信をかけて取り組んだプロジェクトでしたが、アメリカの圧力や金銭的問題によって2002年の時点でプロジェクトの広報担当者が「ガリレオはほぼ死んでいる」と述べるような困難に見舞われました。

 しかし、EUとWSAは諦めずにプロジェクトを継続し、2005年に最初の試験衛星を打ち上げました。このあと、さらに資金問題が噴出するものの、公金による追加支援を受けて2011年から実証衛星の打ち上げを、2014年からフル機能衛星の打ち上げを行い、運用開始にこぎつけました。2016年11月上旬時点で12機のフル機能衛星打ち上げに成功していて、2機が失敗。最終的には30機の衛星運用を計画しています。

 ガリレオの特長は、GPSでは起こりうる軍事上の理由によるサービスの劣化・中断がない点、そして無料のオープンサービスでも精度が1mという高さである点。有料サービスの場合、精度は数cmまで高まる予定だとのこと。

ロシアの測位衛星「GLONASS」、5月29日に打ち上げ

2016年06月01日 by 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局

 ロシアの測位衛星GLONASS-M(No.53)は、現地時間5月29日11時44分(日本時間17時44分)にロシア・アルハンゲリスク州にあるプレセツク宇宙基地からソユーズ2.1Bロケットにより打ち上げられ、所定の軌道(高度19,100km、軌道傾斜角64.77度)に近い軌道に投入され、打ち上げは成功しました。

 今回の打ち上げは、ロシアが運用する衛星測位システム「GLONASS」の24機構成を維持するためのものです。また、地上システムとの通信や衛星搭載機器は正常に機能しているとのことです。現在、GLONASSシステムは、運用中の衛星24機、フライトテスト及び動作確認中の衛星3機、予備衛星1機の計28機体制で運用されています。

IRNSS-1G打ち上げ成功で、インドの測位衛星システムが完成

2016年05月02日 by 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局

 インドの衛星測位システム「IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)」で最後の7機目に当たる測位衛星「IRNSS-1G」が、4月28日の現地時間12時50分(日本時間16時20分)にインドのサティシュ・ダワン宇宙センターからPSLVロケットで打ち上げられました。「IRNSS-1G」は静止トランスファー(遷移)軌道に投入され、打ち上げは無事成功し、今後は地上からの管制により所定の静止軌道(高度約36,000km、東経129.5度)に配置されます。

静止軌道3機、IGSO4機の測位衛星システムが完成

 「IRNSS-1G」の打ち上げ成功により、7機構成の「IRNSS」が完成しました。静止軌道上には東経34度(IRNSS-1F)、83度(IRNSS-1C)、129.5度(IRNSS-1G)にそれぞれ1機が配置され、IGSO(Inclined Geosynchronous Orbit、傾斜対地同期軌道)上には、中心経度が東経55度(IRNSS-1A/1B)、東経111.75度(IRNSS-1D/1E)に各2機ずつ配置され、計7機となりました。

 IGSOは、静止衛星の軌道面を傾けた軌道で、準天頂軌道と同じように衛星の直下点が赤道を境に南北に8の字を描きます。各測位システムによって高度や軌道傾斜角が異なり、IRNSSの場合、高度35,700km、傾斜角29度となります。

「IRNSS」は、今後「NAVIC」へと名称変更

 インドのプラナーブ・ムカジー(Pranab Mukherjee)大統領は、IRNSSの最後の打ち上げを無事成功させたインド宇宙研究機関(ISRO, Indian Space Research Organization)を祝福しました。また、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相もISROの科学者やチームを祝福すると共に、衛星測位システム「IRNSS」の名称を「NAVIC(Navigation Indian Constellation)」に変更すると発表しました。

「NAVIC」のサービスは、インド全土とその周辺1,500km圏内の国々に提供されることになり、今後はサービスの開始に向けて、数カ月かけて全7機の安定性テストや検証試験が実施されます。

衛星測位システム「北斗」、2020年に全世界をカバーへ

2014年12月10日 Science Portal China

 中国航天科技集団の雷凡培董事長(会長)は9日、記者の取材に応じた際に、「将来的には5基の静止衛星、30基の非静止衛星による北斗グローバル衛星測位システムを形成する。2020年頃に全世界をカバーするナビゲーション・測位を実現し、世界のユーザーにサービスを提供する」と述べた。新華社が伝えた。

 雷董事長は、「我が国はすでに、4基の北斗ナビゲーション試験衛星、16基の北斗ナビゲーション衛星を打ち上げている。計画では、2020年頃までに5基の静止衛星、30基の非静止衛星による北斗グローバル衛星測位システムを形成し、全世界をカバーする高精度・高信頼度の測位・ナビゲーション・時報サービスを提供することになる」と語った。


 

ロシア測位衛星『グロナス』地上局設置交渉をアメリカと再開へ…露紙報道

2014年5月21日(水)Response

 5月20日、ロシア日刊紙「イズベスチヤ」紙は、ロシアとアメリカの間で中断されていたロシアの全地球測位衛星『GLONASS(グロナス)』システムの地上施設を米国内に設置する件について、交渉を再開すると報じた。

 ロシアは1970年代から開発していた、米GPSと同様の全地球測位システム「グロナス」衛星網を、数度の停滞・中断の後に2011年に完成させた。約24機の衛星が地球全体を周回し、iPhoneを始めとする衛星測位対応の受信機やスマートフォンは、グロナスによる位置情報の取得も可能になっている。

 グロナス衛星網は旧来の衛星からの更新と精度向上を進め、2015年には誤差1.4メートル、2020年には誤差0.6メートルに達する計画となっている。アメリカの全地球測位システム『GPS』、ヨーロッパの『Gallileo(ガリレオ)』との相互運用性も進める予定となっており、2012年には世界の航法技術に関する学術団体「ION(航海学会)」の全地球測位航法衛星に関する国際会議の場で米国内に地上局を設置するとの合意に達していた。協力は全3段階となり、測位衛星網を用いた学術観測データの交換から、米露相互の衛星運用施設設置まで含む。イズベスチヤ紙によれば、米国防総省とCIAがこれに反対し、2013年から協議は停滞していたという。

 今月5月13日、ロシアのロゴジン副首相は、ウクライナ情勢から米国が発動した制裁措置を受け、米露の宇宙分野での協力体制に言及。米国内でのグロナス地上局の設置が進展しない場合、ロシア領土内でのGPS地上局の運用を停止すると述べていた。このGPS地上局とは、2011年からアメリカ大学間地震研究連合とロシア科学アカデミーとの協力により設置された、地震を観測するためのもので、GPS衛星を軌道上で運用するための施設ではない。また、観測データの米国への送信に関する費用などは、アメリカ側が負担していたという。イズベスチヤ紙によれば、ロシア科学アカデミーの地球物理学部門長は、6月1日からとされるロシア国内のGPS地震観測施設について運用停止などの指示は受けていないとコメントしている。

 同紙報道では、グロナス地上施設に関する交渉再開は、Roscosmos(ロシア連邦宇宙庁)から米外務省に文書が送られた段階で、米国務省からの返答などが確認された状態ではないとしている。米側の対応はまだ明らかではないが、グロナスは今年4月に機器のソフトウェアの不具合から数時間、全測位システムが停止するといった不具合も発生しているなど、運用に不安定な部分も抱えている。《レスポンス編集部》

 

パナソニック「ゴリラ」はトリプル衛星受信、「みちびき」「グロナス」に対応

2014年05月13日 MONOist

 パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2014年5月12日、ポータブルカーナビゲーション「ゴリラ」の新製品を発表した。2013年5月発表の新製品投入時には、通常のGPSに加えて日本の準天頂衛星「みちびき」を用いた高精度の測位が可能になったが(関連記事:「みちびき」を使って測位精度を向上、パナソニックのポータブルナビ「ゴリラ」)、今回の新製品はロシアの衛星測位システム「GLONASS(グロナス)」にも対応した。従来機能である測位衛星受信が困難な場所での自車位置測定に力を発揮するジャイロセンサーも加わり、「ポータブルカーナビとしては業界初」(同社)となる「トリプル衛星受信・ジャイロを使ったマルチ自車位置測位機能」を最大の特徴とする。

 今回投入するのは、カメラ搭載モデルの「ゴリラ・アイ」となる「CN-GP747VD」、「CN-GP745VD」、「CN-GP740D」(ここまでの3機種は7インチ液晶ディスプレイ搭載)、「CN-GP540D」(5インチ液晶ディスプレイ搭載)の4機種。発売日はCN-GP747VD、CN-GP745VD、CN-GP740Dが2014年7月10日、CN-GP540Dが同年6月12日となっている。 OBDIIコネクタから速度やエンジン回転数に関する情報を取得可能

 さらに、CN-GP747VD、CN-GP745VD、CN-GP740Dの3機種は、車両の故障診断に使うOBDIIコネクタから速度やエンジン回転数に関する情報を取得できるオプション「OBD2アダプター」に対応している。これにより、GPSからの信号を長時間受信できないトンネル内でも高精度な自車位置測位が可能になった。従来のゴリラの場合、長いトンネルではジャイロセンサーだけで正確に自車位置測定を行えず、自車位置のズレが発生するという課題があった。

 ポータブルカーナビゲーションであるゴリラだが、OBD2アダプターを使えば、車両に組み込むインダッシュタイプのカーナビゲーションシステムと同様に、速度やエンジン回転数に関する情報を用いた自律航法が可能になる。みちびきやグロナスに対応していることも考えれば、より高い精度で自車位置測定が可能といえるかもしれない。

 

アメリカのGPSより正確。中国独自の衛星測位システム「北斗」稼働

2011.12.30 GIZMODE/center>

経済・軍事のスーパーパワーにまた1歩前進。中国がアメリカの全地球測位システム(GPS)への依存を絶つべく、独自の衛星測位システム「北斗(Beidou)」の運用をスタートしました。

なぜ重要なの?

 地球上で自分が今どこにいるのか、その位置把握技術は国家最強のテクノロジーです。

 北斗が稼働したことで中国は、アメリカのGPSシステムへの依存を100%絶つことが可能になります。つまりアメリカに干渉されることなく世界中どこでも攻撃・移動ができるんですね。今はミサイルを発射してもグローバル・ポジショニング・システム (GPS)を握ってるのがアメリカなので、アメリカがその気になればGPSを無効にし、特定地域で敵国などがGPSを使えないように操作することができます。が、それも不可能に。

北斗の精度はいかほど?

 市民の移動で使う北斗は、現在地を10m圏内まで特定することができます。さらに移動速度は許容誤差1秒0.2mの精度で記録し、時計は2万分の1秒まで正確に合わせることが可能。アメリカのGPSは20m圏内まで絞れるので、それを遥かに上回る精度ですね。端末メーカーGarminは「うちのレシーバーは平均15m圏内まで位置を特定できる」と言ってますが、そのGarminも中国には敵いません。

 GPS同様、北斗(Beidou)にも民間用と軍用、ふたつのモードがあります。中国軍が使用する北斗はもっと精度が高い。どれぐらい高いかについては中国政府も明らかにしていません。

 アメリカの軍・官庁ではオーグメンテーションシステムを使ってGPSの精度を高めています。 GPS.govには一応、「こうしたシステムを使えばリアルタイムで数cm圏内、ポストミッションの計測ではミリメートル単位で範囲を絞り込める」と書かれてますけどね。

 目下、空軍とロッキード・マーティンはGPS IIIを開発中。これが完成すると、シグナルの強度を高めつつ、精度を格段に上げ、妨害しづらく、尚且つ今のGPSでは入っていけないエリアにも入っていける、そんなGPSができそうです。

カバー地域はどこ?

 今は10基の測位衛星が軌道を周回し、中国をカバーしています。2012年には16基でアジアの大部分をカバーし、2020年までには35基で世界全域をカバーする予定です。その頃には中国の陸海空軍も米国のGPSを通さなくても世界中どこでも現在地が把握できる、というわけですね。

北斗はどう実用化される?

 民間の空と海の輸送でも北斗があれば他国に頼らなくて済みます。軍の船舶・戦闘機・ドローン・陸上部隊のナビでも使えるでしょう。

 武器(巡航ミサイルなど)を狙う際にも、北斗を使えば正確に誘導できそう。

誰が得する?

 中国の軍と、あとは経済セクター。「これで2020年末までに4000億元(615億4000万ドル、5兆円弱)もの新市場が創出されるだろう」と北斗事業のトップはChina Dailyに話しています。中国政府からの事業投資は250億ドル(1兆9482億円)。

GPSとは互換なの?

 衛星測位システムと言えば、アメリカのGPS、ロシアのグロナス(Glonass、これも稼働状態)、欧州のガリレオ(Galileo)ですが、そのいずれとも互換になる、と北斗サイドでは話してます。  [Beidou and China Daily via BBC, GPS.gov, Lockheed Martin]  JESUS DIAZ(原文/satomi)

衛星「みちびき」打ち上げ ナビの高精度化目指す

2010年09月11日 中国新聞ニュ−ス

 準天頂衛星「みちびき」を搭載し打ち上げられるH2Aロケット=11日午後8時17分、鹿児島県・種子島宇宙センター

 カーナビなどに広く利用されている衛星利用測位システム(GPS)の精度を1メートル以下にすることを目指す準天頂衛星「みちびき」を搭載したH2Aロケットが11日午後8時17分、鹿児島県の宇宙航空研究開発機構の種子島宇宙センターから打ち上げられた。

 ロケットは28分後に衛星を予定通りの軌道に分離、投入し、打ち上げは成功した。みちびきは発電用の太陽電池パネルを展開し、順調に飛行していることが確認された。

 みちびきは軌道上から日本列島をカバーして、米国が運用するGPS衛星を補完、ビルの谷間や山間部でも電波を受信しやすい高精度のGPSシステムの技術を実証するのが目的。地球から3万3千〜3万9千キロの楕円軌道を周回、日本からオーストラリアにかけての上空で8の字を描く。

 日本上空を通るのは1日のうち約8時間。同様の軌道に衛星をあと2基打ち上げれば、常に1基が日本上空にある仕組みだ。国は2基目以降の打ち上げを前提に議論を開始。来年春までに打ち上げ数など今後の計画の概要を決める。

 宇宙機構は約3カ月かけて衛星の基本的な機能を確認。年末ごろから、大学や企業など約40のグループが専用の受信機を使って、高精度な測位情報を利用したトラクターの無人運転や車の衝突防止など新しい技術の実証試験をする予定だ。

日本版GPS1号機、11日夜打ち上げへ

2010年09月10日 読売新聞YOMIURUI On-Line

 日本初の測位衛星となる準天頂衛星の1号機「みちびき」が11日夜、種子島宇宙センター(鹿児島県)からH2Aロケット18号機で打ち上げられる。

 米国のGPS(全地球測位システム)を補完し、測位が困難な地域や時間帯の解消を目指す。

 カーナビゲーションや携帯電話などで利用されるGPSは、地球を周回する約30機の測位衛星のうち、4機の電波を同時に受信する必要がある。しかし、ビルや山の多い日本では安定した受信が難しい場合がある。

 準天頂衛星は日本のほぼ真上を飛び、電波が遮られにくい。GPSと互換性のある信号を発信して死角を補い、測位誤差も現在の10メートルから1メートル以下に向上するという。ただ、当面は国と電機メーカーなどによる技術試験にとどまり、現在のカーナビなどで直接受信することはできない。

準天頂衛星初号機「みちびき」9月11日打ち上げへ

2010.08.04 MSN産経新聞

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は4日、国産大型ロケット「H2A」18号機による準天頂衛星初号機「みちびき」の打ち上げを、9月11日にJAXA種子島宇宙センター(鹿児島県)で行うと発表した。

 打ち上げ予定時刻は同日午後8時17分から同9時16分までの間。みちびきは衛星利用測位システム(GPS)の精度を向上させるための実証機。米国製装置の不具合で打ち上げが当初予定の8月から延期されていた。

GPS補強衛星「みちびき」意外にでかい

2010年04月24日 読売新聞 YOMIURI ON-Line

公開された準天頂衛星「みちびき」

 宇宙航空研究開発機構などは、今夏にH2Aロケットで打ち上げる準天頂衛星初号機「みちびき」を三菱電機鎌倉製作所(神奈川県)で23日、公開した。

 みちびきは、米国の衛星によるGPS(全地球測位システム)を補強し、カーナビや携帯電話などに、より正確な位置情報を提供する衛星として、打ち上げ費用などを含め735億円かけて開発。

 本体の高さは6・2メートル、重さは4トン。計画では、今後さらに2機を打ち上げ、日本上空を24時間カバーする。

宇宙へ向かう中国軍〜日本をカバーする衛星ナビは2012年

2010/02/26 Searchina

  2010年1月17日に、中国は「長征3号」ロケットを使って1基の人工衛星を打ち上げた。これは、中国が独自に整備を進めている衛星ナビゲーションシステムである「北斗」を構成する人工衛星である。

 近年、中国人民解放軍は「情報化条件下の局部戦争」での勝利を目指して、軍の情報化の推進に邁進している。個別兵器の能力を強化するだけではなく、高度な情報通信技術に依拠した指揮・通信システムや偵察能力、兵器誘導能力などを強化しなければ、現代の戦争に勝利することは難しいからである。

 軍隊の情報化を進めるにあたってきわめて重要な分野のひとつが、宇宙空間の軍事的活用である。米軍の高い戦闘能力が、情報通信衛星や偵察衛星、早期警戒衛星などによって支えられていることはつとに知られている。軍の情報化を目指す中国にとっても、宇宙への進出は喫緊の課題である。昨年11月に行われた空軍創立60周年を記念した行事で挨拶した許其亮空軍司令員は、中国空軍の新たな戦略として「空天一体」を提起した。すなわち空軍の建設や運用に際しては、航空(空)と宇宙(天)の一体化を前提とするということであり、空軍を中心に人民解放軍が宇宙における軍備拡張を進める意向を明確化したのである。

 「北斗」の構築は、空天一体化を目指す中国軍にとって最重要のプロジェクトである。現在、衛星ナビゲーションシステムとしては米国のGPS、ロシアのGLONASS、EUのGalileoの三つがあるが、中国は「北斗」の構築によってこれらに肩を並べることを目標にしている。「北斗」は自国領域を中心とした範囲をカバーする第1段階の構築をすでに終えており、現在は2012年の完成を目指して、アジア太平洋地域全域をカバーする第2段階の整備を進めている。最終的には、全地球をカバーするシステムを2020年までに完成させる予定である。

 中国側の報道によれば、「北斗」システムでは地上で四つ以上の衛星から同時に信号を受信して正確な位置を計算することが可能であり、さらにショートメッセージの送受信機能も提供されるという。「北斗」は民生分野での活用も想定されているが、国防分野では統合作戦の指揮、戦場の状況把握、精密攻撃、情報偵察などの面で重要な役割を発揮することが期待されている。第1段階の「北斗」システムはすでに6年余り運用されているが、国境防衛や作戦指揮、訓練・演習、兵站活動、災害救援などの軍事活動に活用されているという。

 09年10月の軍事パレードにおいて中国は、射程が2000キロを越えるとも言われる巡航ミサイルの長剣10を登場させた。巡航ミサイルは遠距離における目標に精密攻撃を加えるための代表的な兵器であるが、その命中精度は衛星ナビゲーションシステムを中心とした誘導技術に大きく左右される。中国がアジア太平洋地域をカバーする「北斗」を完成させれば、有事にGPSなど他の衛星ナビゲーションシステムの使用が制限されたとしても、中国は長剣10の安定的な運用が可能となる。2012年、日本はこの「北斗」システムのカバーの下に置かれることになる。(執筆者:飯田将史 防衛省防衛研究所  編集担当:サーチナ・メディア事業部)

衛星追加し全土カバーへ ロシア版GPS、米に対抗

2007年12月26日 中国新聞ニュ−ス

 【モスクワ26日共同】タス通信などによると、ロシアは25日、ロシア独自の軍事・民生両用の衛星利用測位システム「GLONASS」に使う周回衛星3個を、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げた。ロシア当局は、今回の打ち上げで、車や船舶の位置を正確に知ることができる範囲がロシアのほぼ全土に広がると説明。2009年までには、衛星を24個に増やして全世界で使えるようになる見通しという。

 GLONASSは、米国の衛星利用測位システムGPSに対抗し、戦闘機・軍艦の航行やミサイル誘導など軍事利用を主目的として開発された。ソ連崩壊後は計画が停滞したが、経済回復を果たしたプーチン政権が再び推進していた。

EU、ガリレオ計画を救済 公的資金投入で破たん回避

2007年11月24日 中国新聞ニュ−ス

 【ブリュッセル24日共同】民間からの資金調達に失敗し、破たんの危機に陥った欧州連合(EU)独自の衛星利用測位システム(GPS)「ガリレオ」計画救済のため、EU経済・財務相理事会は23日、EU一般予算から24億ユーロ(約3860億円)を拠出することを承認した。

 米国によるGPS独占状態への対抗を目指した計画の破たんは回避される見通しとなった。

 理事会では、欧州委員会の公的資金投入案に対し、ドイツが「計画を継続的に推進してきたドイツ企業の利益を損なう」と反発。英国、オランダなども反対したが、破たんの不利益は甚大だとする意見が加盟国の大半を占めた。

 ガリレオ計画は総予算36億ユーロの3分の2を民間から調達し、約30基の衛星打ち上げを予定したが、民間企業の出資交渉が決裂。05年に衛星1基を打ち上げて以降、行き詰まっていた。

EU、GPSの対抗馬「ガリレオ計画」に24億ユーロの予算承認

2007年11月24日 AFP/ブリュッセル/ベルギー
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 【11月24日 AFP】欧州連合(EU)は23日、破たんの危機に陥った衛星利用測位システム「ガリレオ(Galileo)」計画の救済に、24億ユーロ(約3860億円)の予算拠出を承認した。うち16億ユーロはEU農業助成金の未使用分を当てるという。

 「ガリレオ」計画は、30基の衛星ネットワークが発する電波信号をユーザーが地上で受信し、地上での正確な位置と時間を知るシステム。関係する専門家は、同分野で米が主導するグローバル・ポジショニング・システム(global positioning system、GPS)と比較し、「ガリレオ」が精度と信頼性で勝っていると主張している。

 GPSと競合して欧州の技術面での優位性を示すはずの同計画は、各方面でコストがかさみ、出資した民間企業が不満を唱える一方、EU加盟国も自国の利益を優先したことから、破たんの危機に瀕していた。

 当初は2008年に予定されていた衛星の打ち上げは、新計画では2013年に延期された。

欧州の航空宇宙産業が失速 「ガリレオ」進まず/エアバスは経営危機

2007/03/20 FujiSankei Business i.

 欧州連合(EU)の主要産業の一つ、航空宇宙産業が失速している。衛星測位システム「ガリレオ」計画は進捗(しんちょく)が見られず、航空機部門では、エアバスが最新鋭大型機「A380」の納入遅れなどから経営危機に陥っている。

 ガリレオは、既に世界中で利用されている米国の全地球測位システム(GPS)に対抗するもの。2010年までに30基の衛星打ち上げを目指している。売り物は測定精度の高さで、24基の衛星で運用されているGPSの測定誤差が3メートルなのに対し、ガリレオは1メートル以内とされる。EUと欧州宇宙機関(ESA)が開発、現在はEUのほか、中国、インド、韓国なども参加する国際プロジェクトに発展している。

 しかし、ドイツのコンピューター・通信業界団体BITKOMは今月初め、参加国の思惑の違いからガリレオの稼働時期が14年にずれ込む恐れがあると警告した。EUの行政執行機関、欧州委員会のバロー副委員長(運輸担当)も14日、稼働が遅れる可能性を認めた。欧州委は今のところ、稼働開始を11年ごろと見込んでいる。

 このような中で、ガリレオ計画に参加している中国が独自の衛星測位システム「北斗(コンパス)」を08年までに稼働させる方針を表明。ロシアも、旧ソ連から引き継いだ同システム「グロナス」を復活させつつあり、ガリレオの停滞が目立つ。

 一方、エアバスは、鳴り物入りで開発した総2階建ての大型機A380の納入遅れから大幅赤字を計上。経営立て直しのため、1万人の人員削減と6カ所の工場売却を発表した。06年の受注機数で、米ボーイングに5年ぶりに首位の座を明け渡した。 (ブリュッセル 時事)

困難な道を辿るロシア製GLONASS開発

2007/02/12 ノーボスチ通信社アンドレイ・キスリャコフ政治解説員執筆

 ナヴィゲーションシステムという言葉は、語源からは「動きを主導する」という意味で用いられるが、ロシアの宇宙ナヴィゲーションシステムは、現在、システム自体を正しく国家で指導することが必要な時期に来ている。システムの軌道グループの復元を早めることと、資金の自己調達の重要資源としてのシステムの広範な商業利用のための条件を設定すること、の2つの重要問題を解決するための高いレヴェルの国家管理に押し上げる必要がある時期が到来した。

 昨世紀の90年代の初めにはソ連は、高精度の位置測定システムGLONASS(グローバル衛星ナヴィゲーションシステム)を開発することが出来たが、アメリカには約10年遅れたていた。それにも拘わらず、ロシアになった現在、然るべき社会経済及び軍事政治発展がそれなくばあり得ないとされる完全なナヴィゲーションシステムを作成する可能性を得た。

 軍事的観点から見れば、このシステムは現代の軍事宇宙教義の要求を完全に満足している。システムは、飛行や航海、港への接近、飛行場への着陸、軍事戦闘行為、陸上交戦の際に進路直接誘導、全天候型上陸、爆弾投下の照準設定、空中会談、海上ランデブー(待ち合わせ)、ロケットの照準や目標指示、などの際の誘導を保証することを目的としている。

 しかし、殆ど宿命的な資金欠如によりもたらされた90年代半ばの祖国の宇宙産業の全体危機は、2003年中葉の時点でGLONASSシステムには稼働可能な人工衛星は7台しか残らない事態にさせた。これは実質的にロシアのナヴィゲーションシステムの存在がなくなったことを意味した。

 昨世紀末、プーチン大統領は直接、国防大臣セルゲイ・イワノフに2007年までにシステムの作業能力を復活させる指令を出した。これはシステムのための軌道の人工衛星の数を18台まで戻る指令であり、セルゲイ・イワノフの意見によると、GLONASSが完全規模で機能するのに最低の数であるとしている。

 正常の作業のための人工衛星の数がこれで十分か理解するために、どれか衛星ナヴィゲーションシステムの作動原理を簡単に検証して見よう。

 地上の目標体は、自分の位置を知るために、4台以上の人工衛星から信号を受取る。1秒ごとに人工衛星は、地上目標体に、自分の作業状態、現在の日付けと時刻、情報を発信した正確な時間を転送する。これらのデータをベースに地上受信体はそれぞれの人工衛星までの距離と相互の位置関係に関する情報を入手し、幾何学の法則により自分の所在置を計算する。この際、緯度と経度の2つの位置情報を得るためには3台の人口衛星、海抜からの高さを知るためには4台の人工衛星からの信号を入手することで十分である。位置確定用の人工衛星が多ければ多いほど、位置確定の精度は高くなる。

 国際的な実践、特に、アメリカのナヴィゲーションシステムGPSを利用した経験によると、位置確定の精度を100%に高めるためには最低24台の人口衛星が必要であることが示されている。

 24台が必要ということを考えれば、中間段階として2007年までに軌道上にわずか18台まで人口衛星を復活させるとの考えは捨てるべきだ。2010年までに人口衛星を27-30台まで増やす一貫した計画を採択する必要がある。そのようにして、3次元のどの3軌道面にも1-2台の予備人工衛星を設置し、必要台数の24台を常時稼働状態に保つことができる」と主張するロシア宇宙局のシステムで働く主導科学職員の1人ヴィクトル・クラマリェンコの意見は無視できない。

 残念ながら、「軌道上の問題を解決しただけでは、GLONASSシステムを軍事目的のシステムとしても、さらには商業的に利用可能な全国的民需システムとしても利用できるようになるわけではない。

 現在多くの企業、ロシアの連邦構成体でも、アメリカのGPSシステムと契約しそのサービスを受けていることは秘密でもなんでもない。GLONASSシステムは国際市場でアメリカのGPSに対する重要な競争相手になることができ、またそうあらねばならない。

 しかし、本年の3月になってやっとセルゲイ・イワノフは、地上デーダの正確性(30m以上の正確性)に対する制限が本年末までにようやく撤廃されるとの声明を出した。2007年末までには民間人が、そして2009年からは外国のユーザーも利用可能になる。しかし、人工衛星がシステムとして実際に作動できるようになるには、信頼性のある地上の送受信装置が必要である。

 2003年10月にすでに、ロシア政府は、GLONASS並びにGPSの地上装置のロシア領内での開発、購入、利用に対するすべての制限を撤廃することになっていた法令に署名した。ロシアの開発者は、16チャネルを含む超軽量型のGLONASS/GPS用受信装置をすでに開発済みである。残った問題はわずかだ。開発品をシリーズ生産をし、市場で販売を始めるだけだ。しかしこれとて今のところ始まっていない。地上の位置確定の正確性に対する制限が撤廃されることによる損失をできるだけ均一にするには軍事関係者の間での利害関係の調整に時間がかかるからだ。(以前はスパイ防止用に開発の自由を軍事関係者以外には制限していたことを指す)。

 総司令部軍事地形測量局局長ワレリー・フィラトフの言葉によると、ロシア領で統括的設備を所有している官庁に、この設備の配置の決定に対する制限を撤廃して良いかどうか回答を求める依頼の手紙が多く寄せられている。この問題に関し、総司令部では今夏にも方向を決めることにしている。

 そして最後に、最近のペテルブルグ経済フォーラムで祖国の防衛設備を「ロシア経済の機関車」と名付けたセルゲイ・イワノフの言葉を信じたい。この言葉を信じるならGLONASSシステムに必要な1億5000万ドルは簡単に配分されるだろう。そうでなければ、衛星情報の商品購入先のコンパスの矢印は「W」(欧米)あるいは「E」(中国、日本)に向いてしまうだろう。中国がすべての指数でGPSに劣らない独自システム「コンパス」を機敏に作り上げる意向を持っていることは皆知っていることだ。

中国、北斗測位試験衛星の打ち上げに成功

2007年02月07日 nikkeiBPnet

 中国四川省の西昌衛星発射センターで今月3日、搭載ロケット「長征3号甲」による北斗測位試験衛星の打ち上げが成功した。西安衛星管制センターに入ったデータにより、同衛星が予定の軌道に乗ったことが確認されている。

 関係責任者によると、北斗シリーズの測位衛星の打ち上げは今回で4基目となる。これまでに2000年10月31日、12月21日、2003年5月25日に合計3基を打ち上げている。北斗測位衛星システム(Compass Navigation Satellite System)は現在も安定作動しており、測量、製図、電気通信、水利、交通運輸、漁業、地質調査、森林火災対策、国家安全対策など多くの分野で次第にその重要性を強めている。

 今回打ち上げられた衛星によって、これまでの北斗測位衛星システムは更に性能と信頼性を向上させることになる。また、同システムに関連する実験も行われる予定である。(日中グローバル経済通信)

宇宙開発:今や「衛星航法システム」戦争の時代へ

2007/02/06 朝鮮日報/朝鮮日報JNS チェ・ギュミン記者

 中国が今月3日、4基目の航法衛星となる北斗衛星を載せた「長征3号甲」ロケットの打ち上げに成功し、米国が事実上独占してきた衛星航法システム・全地球測位システム(GPS)に挑戦状をたたきつけた。

◆激化する競争

 人々が一般名詞のように認識しているGPSは、実は米国が1994年から運用している衛星航法システムを指す用語だ。だが、突然GPSの使用が制限されれば、たちまち国家の機能がマヒする恐れがある。

 航空大の張泳根(チャン・ヨングン)教授は「米国が特定地域の衛星電波に対し、選択的にスクランブル(電波の受信内容を他者に知られないよう暗号化すること)をかけることができるという事実がイラク戦で確認された」と指摘している。

 このため、中国は独自の衛星航法システムを構築しようとする「北斗プロジェクト」に沿い、2000年から現在までに計4基の衛星を打ち上げた。今月3日午前0時28分、四川省の西昌宇宙基地から打ち上げられた北斗も予定の軌道に到達した。今後、08年までにアジア全域で利用可能なシステムを構築し、最終的には35基の衛星を打ち上げ、全世界をカバーすることが中国の目標だ。

 一方、欧州連合(EU)が主導するガリレオ・システムは、30億ユーロ(約4668億円)を投じ、計30基の衛星を打ち上げることを目標としている。韓国を含め、日本、アルゼンチン、オーストラリア、ロシアなどもこのプロジェクトに参加している。当初、08年までにシステムを完成させる目標だったが、技術的問題などにより11年に延期された。また、中国はガリレオ・プロジェクトにも計296万ドル(約3億6000万円)を投資している。

 またロシアは、ソ連時代の1976年から米国のGPSに対応する「グロナス」システムの構築を進めてきたが、90年代序盤の経済危機により計画が中断され、16基の衛星だけで部分運用している。

◆軍事的用途に注目

 米国が開発を進めているミサイル防衛(MD)は、GPSを利用する前提の下に成り立っている。中国の北斗プロジェクトが改めて西側を緊張させている理由も、軍事利用の可能性を懸念しているためだ。特に、先月中国が衛星攻撃実験に成功して以来、北斗プロジェクトと合わせ、中国の「宇宙覇権」に向けた野心の表れとして注目されている。

 米国防総省は、昨年提出した中国の軍事力を分析した報告書で、「北斗システムは軍隊や船舶、低速で動く運送手段に最も適合するよう作られており、指導部が安全に命令をやりとりすることが可能なシステムが組まれている」と指摘している。また、英紙フィナンシャル・タイムズは「より正確な衛星航法システムは、中国軍にとって重要な資産となるだろう。北斗システムを有事の際にかく乱することは難しい」と報じた。

「中国、航法衛星打ち上げに成功」

2007/02/05 edaily/朝鮮日報JNS

英FT紙報じる

 中国は、衛星攻撃用弾道ミサイルの発射実験を行ったのに続き、今度は航法衛星の打ち上げに成功した。

 英紙フィナンシャル・タイムズは4日、「中国は今月3日、四川省西昌衛星発射センターで北斗星衛星を積んだキャリアロケット長征3号甲を発射した」と報じた。これは2000〜03年に北斗星衛星3基を打ち上げて以来、ほぼ4年ぶりのことだ。

 中国当局は航法衛星を打ち上げた意図について具体的に明らかにしてはいないが、米国の「全地球測位システム(GPS)」やヨーロッパの衛星測位システム「ガリレオ」に匹敵するシステムを構築する目的があるものとみられている。

Glonass-M 3機、打ち上げ成功

December 27 - 2006 Sorae.jp

 ロシア連邦宇宙局はモスクワ時間12月25日23時18分(日本時間12月26日5時18分)、ロシア測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の「Glonass-M」3機を載せたプロトンKロケットを、バイコヌール宇宙基地から打ち上げた。

 打ち上げられたロケットは順調に飛行し、打ち上げから3時間22分後に、Glonass M6、M7、M8の3機が所定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。

 Glonassはロシア連邦国防省が運用するGNSSであり、元々は軍事目的で開発された。しかし、打ち上げ一時中止や衛星の設計寿命などの影響で、正常に稼動している衛星は今の所、わずか12機しかなかった。(今回の打ち上げで計15機)

 ロシアは現在、設計寿命7年以上のGlonass M衛星を開発し、まず従来の衛星とGlonass Mで、ロシアの全土をカバーできる18機の配置を目指している。さらに、設計寿命10年以上のより小型化したGlonass K衛星を開発し、2009年までに計24機の配置を目指す。また、2007年1月1日からGlonassは民間に解放されることになっている。

中国、科学技術面の国際協力に積極的に参加(一)

2006年12月04日「チャイナネット」

 科学技術部はこのほど、中国は近年、一連の重要な科学技術面の国際協力事業に積極的に参加し、そのレベルも絶えず向上していることを明らかにした。

 国際熱核融合実験炉計画に参加し、次世代原子力エネルギーの利用に備える

 アメリカ、旧ソ連などの国が20世紀80年代に提唱した国際熱核融合実験炉(ITER)計画は、制御可能な核融合により「人工の太陽」をつくり、エネルギー危機を徹底的に解決する、国際宇宙ステーションに続く最大の国際科学技術協力プロジェクトである。現在、中国、EU、インド、日本、韓国、ロシア、アメリカなどがこの計画に参加している。中国は、この100億ユーロが投下され、35年間はかかると見られるプロジェクト総費用の10%を負担し、平等にプロジェクトの実施に参加することになっている。中国は技術者たちを相次いでITER合同研究センターに派遣して関連の設計・開発事業に取り組ませ、国内の関連機構も200余りの技術課題の研究に着手している。

 数多くの国際宇宙計画に積極的に参加

 宇宙研究分野では、中国は中欧ガリレオ計画、全地球観測システム、地球宇宙空間双星探測計画などに積極的に取り組んでいる。

 中欧ガリレオ協力計画は、EU委員会とヨーロッパ宇宙空間局が共同で発足させたもので、アメリカのGPSとロシアのGLONASSシステムから独立した、全地球をカバーする多用途、多目的の民間用全地球衛星測位システムである。投資総額は35億ユーロ。中国は、「ガリレオ計画」に参加した最初の非EU加盟国である。中国は、この計画に2億ユーロを投下し、そのうちの7000万ユーロは開発段階の費用に、1.3億ユーロは実施段階の費用にあてる。2005年4月から、中国側は専門家3人を「ガリレオ合同執行体」に派遣した。現在、第1陣の取り決めも調印済みで、中欧ガリレオ協力は実質的な段階に入り、今後はシステム構築と特許運営の方向に向けて発展することになっている。

 全地球観測システムは、複数の地球観測システムの総合利用を通じて、地球全体の陸地、大気、海洋などに対し、多くの角度から立体的なモニタリング観測を行うものである。2004年11月、中国は同システムに参加し、2020年までに100余りの衛星を打ち上げ、国土資源、測量と製図、水利、森林、農業、都市建設などの分野に及ぶものとなっている。これで、中国自身の観測ネットが構築されるばかりでなく、その他の国の観測ネットと整合し、全地球観測システムとなり、同分野のグローバル化に対し寄与することになっている。

 地球宇宙空間双星探測計画は、中国国家宇宙航空局とヨーロッパ宇宙局(ESA)が共同でサポートしている空間探測計画である。この計画は主に、太陽の活動、惑星間の活動、磁気層空間のあらしと災害をめぐっての地球宇宙気候の物理的プロセスを研究し、磁気層空間のあらしの物理モデル、地球宇宙環境モニタリングの模型と予報方法などを確立し、宇宙活動の安全及び人間の生存環境の保全のために科学的なデータと対策を提供するものである。

 地球宇宙空間双星探測計画は、中国が自国の先端的な宇宙空間探測プロジェクトをもって先進国と技術面、応用面で進める最初のハイレベルの実質的な協力事業である。2003年12月に「探測一号」衛星が打ち上げられ、2004年7月に「探測二号」も打ち上げに成功し、これで「双星計画」が実現されることになった。

 専門家によると、中国の「双星計画」の衛星2基は、ESAの「クラスター2」計画で打ち上げられた4つの衛星とともに、地球を宇宙空間の6カ所から立体的に探査する人類史上初めての観測システムを作り上げることになっている。観測の成果は、中国と欧州が共有する。この計画の成功裏の実施は、中国宇宙空間物理学の発展を促し、中国の宇宙空間探測技術の革新能力を向上させ、国際宇宙空間科学技術分野での地位を確立することになった。

中国独自のGPS実用化、全世界に測位衛星35基へ

2006/11/09(木) 中国情報局

  中国が独自の全地球測位システム(GPS)の構築を本格化させる。2008年ごろには中国及び周辺地区での利用を可能にする計画だ。最終的には35基の測位衛星を軌道に乗せ、対象エリアを全世界に拡大する。9日付で中国新聞社が伝えた。

 中国の全地球測位システムは「北斗衛星ナビゲーションシステム(北斗衛星導航系統)」と呼ばれる。2000年以来、中国は3基の北斗を打ち上げ、試験を続けてきた。07年初頭には更に2基を打ち上げる予定。その後も打ち上げを続け、08年ごろには中国及び周辺地区での利用を可能にする。最終的には静止衛星5基を含む衛星35基を軌道に乗せ、全世界での利用を可能にする。

 「北斗」システムによる定位精度は10メートル、時間精度は50ナノセカンド(10億分の5秒)、速度測定精度は毎秒0.2メートルとされている。米国のGPSとの大きな違いは、利用者が自分の位置等だけでなく、別の利用者の位置等も知ることができる点だ。「北斗」システムで得られる情報は公開と非公開の部分に分けられ、公開部分は無料で提供される。

 GPSを初めて実用化したのは米国だ。測位衛星ナブスターの第1号機は1974年に打ち上げられた。ロシアはソビエト時代にGLONASSと呼ばれる独自システムの完成を目指したが、政治的混乱のために中断。現在は再建を検討しているとされる。

 また、欧州連合(EU)及び欧州宇宙機関(ESA)は、ガリレオと呼ばれる全地球測位システムの2010年における完全運用を目指している。中国はガリレオについてもEUと協力協定を結んでいる。

 日本では、内閣官房に設置された測位・地理情報システム等推進会議が06年3月、独自の衛星で米GPSの情報精度を高める準天頂衛星システム(QZSS)を、民間の事業として進める基本方針を発表した。(編集担当:如月隼人)

中国、衛星測位システム構築へ35機打ち上げ予定

2006年11月03日「人民網日本語版」

中国はすでに独自の知的的財産権を持つ衛星測位システム「北斗」の構築を始めている。関連部門の責任者が明らかにした。

中国は2000年以降「北斗試験誘導衛星」3機の打ち上げに成功しており、現在測位システムを試験稼動している。

構築を進めている北斗衛星測位システムは宇宙空間に静止軌道衛星5機と非静止軌道衛星30機を打ち上げ、一般開放サービスと有償サービスを提供していく。

測位衛星「北斗」2機は2007年初めに打ち上げられる予定で、2008年には中国および周辺地域の衛星測位システムを必要とするユーザーに応えられる。同時に、システムの組立てと試験を実施することで、衛星測位システムを広げていく計画という。(編集IA)

File No. 170-025

中国は知的所有権を有する衛星ナビゲーションシステムを構築中

2006年11月02日 科学技術部 (MOST)

中国科学院(CAS)は11月2日、新華社の情報として、中国が自主的(独自の)知的所有権を有する全地球的航法衛星システム(GNSS)である“北斗衛星ナビゲーションシステム”の構築に乗り出したことを明らかにした。

記事の主な内容は以下のとおり。

・同システムは、静止軌道衛星5機と非静止軌道衛星30機から成り、無料と有料のサービスを提供する。

・無料サービスは、交通運輸などの測位(ポジショニング)、スピード測定、標準到着時間の通知サービスを、各精度それぞれ10m、50ナノ秒、2m/秒で提供する。

・有料サービスは、上記サービスに加えて安全性情報を提供する。

・中国は2007年に2機の試験衛星を打ち上げ、2008年頃に中国とその周辺地域にサービスを開始する。

・また、同システムのネットワーク化により、徐々に地球規模の衛星ナビゲーションシステムを構築する。

・今後は、”北斗システム”と他のGNSS間の互換性・実用性を高め、またサービス機能の向上を図る。

ガリレオ計画、試験衛星打ち上げ 中・欧協力が進展

2005年12月29日 「人民網日本語版」

欧州連合(EU)が中心になって進める全地球測位システム(GPS)「ガリレオ計画」の最初の試験衛星「GIOVE-A」が、北京時間の28日午後1時19分(グリニッジ標準時同日午前5時19分)、ロシアの「ソユーズ」ロケットにより打ち上げられた。科学技術部が同日明らかにした。

 中国国家遥感(リモートセンシング)センターの責任者によると、同計画では軌道テストの段階で試験衛星2機の打ち上げが予定されている。今回の「GIOVE-A」が第1号で、第2号の「GIOVE-B」は2006年に打ち上げられる予定。「GIOVE」とはガリレオが発見した4つの星のうち1つの名で、イタリア語で「木星」の意味。

同責任者によると、同センターとガリレオ合同事業団の共同の努力の下で、中国と欧州は同計画における提携事業11プロジェクトの技術交渉をスタートさせた。プロジェクトの内容は宇宙空間・地上での業務、応用プロジェクトなど各分野に及び、これまでに7事業の提携協定が締結された。総事業費は3千万ユーロを超える。

現在進められている7事業は (1)漁業応用プロジェクト、 (2)測位サービスに基づく標準化研究、 (3)電離層研究、 (4)捜索救助用レーダートランスポンダ(SART)、 (5)レーザー反射鏡、 (6)中国のガリレオ計画テスト認証環境の整備――などを含む7つ。(編集KS)

中国参画のEU「ガリレオ計画」、ロシアが衛星打ち上げ

2005/12/28(水) 中国情報局

 「ガリレオ計画」の試験衛星「GIOVE−A」がグリニッジ標準時28日午前5時19分(日本時間14時19分)、カザフスタンにあるバイコヌール宇宙センターで打ち上げられた。「ガリレオ計画」は米国のGPS(全地球測位システム)に対抗する新しい測位システムを実現しようとするもの。2008年の商用化を目指す。EU(欧州連合)各国が主体となって推進しているが、中国も参画している。

 「GIOVE−A」を打ち上げたのはロシアのソユーズFGロケット。発射から6時間52分後に遷移軌道に移り、14時間4分後には地表面からの距離2万3222キロメートル、傾斜角56度の円軌道に乗る予定。

 「GIOVE−A」は重さ600キログラムで、「ガリレオ計画」で打ち上げが予定されている2つの試験衛星のうちの第1号となる。製造したのは英国企業。第2号となる「GIOVE−B」は2006年3月に、ロシアのソユーズロケットで打ち上げられる予定。

「ガリレオ計画」にはEU諸国以外に、中国、インド、イスラエル、モロッコ、サウジアラビア、ウズベキスタンが参画している。また、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ノルウェー、チリ、韓国、マレーシア、カナダ、オーストラリアが参画を検討している。

 「ガリレオ計画」は、予備用を含めて30の衛星を打ち上げ、利便性及び精度で米国のGPSを上回る測位システムの構築を目指している。(編集担当:如月隼人)

欧州版GPS「ガリレオ計画」が始動

2005年12月22日 NIKKEI NeT(日本経済新聞 朝刊)

 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)が独自に進める全地球測位システム(GPS)「ガリレオ計画」が動き出す。EUと欧州宇宙機関(ESA)は28日に初めての試験衛星を打ち上げ、実用化へ大きく一歩を踏み出す。EUは中国やインドなどと組んで新システムを構築。米国への対抗軸として、世界規模の情報インフラを整備する考えだ。

 ガリレオ計画の総投資額は70億ユーロ(約9700億円)近くにのぼるとみられ、EU独自では過去最大の科学プロジェクトとなる。

中国、欧州ガリレオ計画への参与決定 北京で契約に調印

2005.11.14〜11.20 中国通信社

 (中国通信=東京)北京14日発新華社電によると、中国が欧州ガリレオ計画の宇宙部分の研究・開発に参与することが決まり、同日北京で、ガリレオ計画中国総代理店とガリレオ合同事業団がこれに関する3つの契約に調印した。

 今回調印された3つの契約は主としてガリレオ・システムの宇宙部分に関するもので、レーダートランスポンダー(STRT)、レーザー逆反射体、アップリンク・ステーション(ULS)などである。このほか、中国でのガリレオ早期サービス(EGSIC)、オリンピックゲーム・デモンストレーション(GOGD)の2つのプロジェクトについても入札活動が開始されている。

 中国のハイテク研究・開発の中心部門である科学技術省の馬頌徳次官は調印式で「この3つの契約の調印は、中国企業のガリレオ計画への参入を積極化させることになろう」と語った。

 中国とEU(欧州連合)は今年7月28日、ガリレオ・システムのアプリケーション・プロジェクトに関する3つの契約に調印し、10月16日にはさらにガリレオ・システム環境測定プロジェクトにも調印した。

 総投資額35億ユーロのガリレオ計画は、欧州独自の独立した民用全地球衛星ナビゲーション・システムである。現在世界で運行されている全地球測位システム(GPS)は米国が開発し、制御するものである。ガリレオ・システムの30基のナビゲーション衛星と関連地上施設は2008年に完成・供用される予定である。同システムの測位誤差はわずか1メートルである。一方、GPSの非軍事用の誤差は10メートルにも達する。

 中国はEU非加盟国としては初のガリレオ計画参加国となり、研究開発費2億ユーロの提供を承諾した。このうち7000万ユーロはすでに技術開発に投入され、残りの1億3000万ユーロは宇宙および地上施設に使用される。

 EUの予測によれば、ガリレオ・システムは2020年までに数百億ユーロの収入と数万人の雇用をもたらすと見られる。また、中国の専門家は、中国の衛星ナビゲーション応用産業の収益は2020年までに2600億元に達するものと見ている。

EU「ガリレオ」計画 中国国有企業が利用プロジェクト

2005/07/29 The Sankei Shimbun

 欧州連合(EU)が2008年に運用開始を目指すEU独自の衛星利用測位システム(GPS)「ガリレオ」を使った3つの商業利用プロジェクトを中国が手掛けることになり、28日、北京でEUと中国の国有企業「中国ガリレオ衛星導航」が契約を締結した。

 ガリレオ計画でEUが域外の国と具体的な開発計画の取り決めを行うのは初めて。今回の契約はEUと中国の緊密な関係を示すもので、足踏みしているEUの対中武器禁輸解除にも追い風となりそうだ。

 しかし、ガリレオは軍事転用も可能なことから、中国の軍事力拡大に神経をとがらせる米国は警戒している。

 「衛星導航」は、中国の航空宇宙、衛星電話など4つの企業の複合体。中国側が開発するのは、中国の漁船のための航行システムや地域通信サービス向上のためのシステムなど。中国側は「今回の契約は最初にすぎない」としており、これを契機に新たなプロジェクトを推進していきたい考えだ。

 米国のGPS独占体制打破やEUの科学技術向上を狙ったガリレオ計画は総投資額35億ユーロ(約4760億円)とされ、中国は03年10月、2億ユーロの投資などを約束した合意文書に調印、EU域外の国では最も早く計画参加を表明した。

 ガリレオにはこのほか、イスラエル、インド、ウクライナなどが参加を表明している。(共同)

人民日報社、中国と欧州連合(EU)の欧州ガリレオ計画に関連する7つの契約を報道

2005年06月10日 (MRI ITS CLUB 通信 2005/06/20 - No.13)

 ガリレオの開発段階法人 責任者は 5月9日、GJUと中国国家リモートセンシングセンター(NRSCC)が近く7件の契約を調印すると述べている。NRSCCの責任者によると、中国と欧州は今年7月末までにガリレオの宇宙空間、地上部分およびアプリケーションなどに関する7プロジェクトの契約を中国企業・団体に対して締結する予定。 ガリレオプログラムに対する欧州以外の最初のパートナーとして、中国は2億ユーロ(第1段階は7千万ユーロ)の投資に合意している。

欧州委員会、ガリレオの免許企業体手続きについて発表

2005年03月01日(MRI ITS CLUB 通信 2005/03/18 - No.9)

 欧州委員会は、ガリレオの開発段階法人(Joint Undertaking)が、残る二つの免許企業体(Concessionaire)候補との交渉開始を決定したことに言及している。欧州委員会によると、2候補による提案の内容は満足すべきものであり、特に、この欧州宇宙計画の商用性を示しているという。

 2002年5月21日に設立されたガリレオ開発段階法人が、ガリレオの展開・運用段階の免許企業体を選定することが、欧州連合により決められている。選定手続きは 2003年10月17日に開始され、アルカテルその他多数の企業体から構成される "Eurely"コンソーシアムとEADS、インマルサットなどにより構成される"Inavsat" コンソーシアムが残っている。両者の提案には大差がないので、今後の交渉は並行しておこなわれるとのこと。

 *ガリレオは欧州委員会のイニシアチブによる欧州の衛星測位計画(欧州版GPS) であり、ガリレオの多くのアプリケーションの中でもトランスポート分野での応用が期待されている。ガリレオの整備・運用機関は、段階毎に分けられており、開発・検証段階においては2002年からの4年間の時限的組織である開発段階法人 (Joint Undertaking)が当たり、その後の展開・運用段階は免許企業体 (Concessionaire)が当たる。免許企業体の入札選別は応札者のビジネスプランを含めて評価の上、開発段階法人が当たることとなっている。

中国のカーナビゲーション市場:ビッグチャンスと阻害要因

2004/11/02 ZD NeT Japan

 中国のほとんどの地域は地図のデジタル化がなされていないが、それは主に政府が地図情報を厳格に管理しているためである。

 中国ではカーナビゲーションシステムのモデルがまだ2つしかなく、今後開発の余地はあるが、技術の発達には注目すべきである。

 ところがABIリサーチのアナリストJunmei He氏によると、市場阻害要因が存在するという。ABIリサーチの調査レポート「中国のカーナビゲーションシステム市場」では、形成段階にある市場を徹底検証している。

 中国のほとんどの地域は地図のデジタル化がなされていないが、それは主に政府が地図情報を厳格に管理しているためである。カーナビゲーションシステムの2つのモデルが浸透しているのは20省のみで、デジタル地図の製造・販売を認可されている企業はたった3つにすぎない。

 Junmei He氏によれば、「中国は、道路インフラやネットワークに関して大規模な改革を行っている。こうした急激な変化には、しばしば地図の更新が必要である。」とのことである。

 GPS(全地球測位システム)ナビゲーションシステムのほとんどが輸入であるが、チップセットとコンポーネンツは中国のベンダが輸入し、組み立て、半ば国産品としている。輸入コストは、1200~1800米ドル(市場阻害要因のひとつ)で、国内で組み立てた場合はその3分の1である。

 ここでもまた政府の問題がある。政府は米国で開発したGPS衛星コンステレーションへの依存を危惧し、中国独自のBeidou(北斗)航行測位衛星システムを開発している。近い将来、それは個人向けではなくもっぱら企業向けとなるであろう。

 地図とその関連製品向けの標準規格の制定も十分ではない。そこで政府は、衛星ナビゲーションアプリケーションの標準規格を制定する団体を設立したが、実際には3年程かかるだろう。

 しかしそれでも豊田通商は、北京四維図新導航信息技術有限公司と共同で、中国にデジタル地図に関連する製品を生産、販売をする会社を設立した。

 中国の急成長する自動車産業は、カーナビ市場を拡大させる。2009年までに普及は進み、製品価格は下落するだろう。

中国の欧州「ガリレオ計画」への参加 実質的に始動

2004年10月10日 「人民網日本語版」
 

 欧州独自の衛星測位システム「ガリレオ計画」への中国の参加について、中国と欧州連合(EU)は9日、技術提携の契約に北京で調印した。これにより、ガリレオ計画での双方の協力が実質的にスタートする。ガリレオ計画は中国にとって、現在最大の対外科学技術提携プロジェクトだ。

 リレオ計画は、EU欧州委員会と欧州宇宙機関(ESA)による独自の欧州民用衛星測位システムの構築計画。システムには人工衛星30基と関連の地上設備が使用される。投資総額は35億ユーロで、2008年に配備が完了する予定。非EU加盟国のガリレオ計画参加は中国が初めて。中国国家遥感(リモート・センシング)センターとEUのガリレオ計画連合実行機関がそれぞれ双方を代表し、合意書に署名した。(編集SN)

ガリレオ計画

2004年10月09日(土) 東奥日報

 欧州連合(EU)が開発を進めている民生用の衛星利用測位システム(GPS)。

 軍事利用を主な目的にする米国のGPS独占に対抗するため、30個の衛星を投入、2008年に運用開始の計画。EUは国際的に参加を呼び掛け、中国のほかにイスラエルなども参加予定。

 米国は当初EUの独自開発に難色を示していたが、米GPSの軍事通信を妨害しないことなどで合意、6月にEUとの協力協定に調印した。(共同)

中国:EU「ガリレオ計画」に参入、米GPSに対抗

2004/09/17(金) 中国情報局

 EU(ヨーロッパ連合)が進める欧州独自の衛星測位システム「ガリレオ計画」に、中国が本格的に参入する。16日付で中国新聞社が伝えた。

 「ガリレオ計画」にかかる総費用は34億ユーロ。そのうちEUが32億ユーロ、中国が2億ユーロを負担。中国は、研究段階から、技術開発、地上設備、ユーザーサービスなどすべてのプロセスに参加する。

 EU欧州委員会は、中国との提携について「技術上の提携は政治面での友好関係構築にもつながる」と双方の利益になることを説明し、中国の参入を歓迎した。

 「ガリレオ計画」は現在、開発段階。今後は、年内に衛星2機を試験的に打ち上げ、2006−07年までに地上システムなど最終調整を進める。08年には完全に運営ができる状態を目指していく。

 米国のGPS(全地球測位システム)のライバルにあたるこの計画は、正確な定位、サービスの充実、低価格などの優勢を持つことが特徴。これまでGPSの市場寡占状態が続いていたが、今後は市場の急拡大が見込まれる。また、08年の北京五輪開催時には、一般市民へのサービスとして展開されると大きな期待がかかっている。

 中国はすでに、有人宇宙飛行に成功しているため、人工衛星の発射、観測など技術面での豊富な経験が、「ガリレオ計画」の進行に大きく貢献するとみられている。 (編集担当:田村まどか)

GPSとガリレオ計画の共用で欧米が合意

2004/06/23 asahi.com

 自動車の位置などを瞬時に知らせる衛星測位システム「ガリレオ計画」を独自開発してきた欧州連合(EU)は23日、米国の全地球測位システム(GPS)とガリレオ計画のシステムを共通化し、共用することで米政府との合意に達したと発表した。これによって車や船舶のナビゲーションシステムの利用者はGPSとガリレオの同時利用が可能になり、市場の急拡大が見込めるとしている。

 欧州委員会のデパラシオ委員(運輸政策担当)は記者会見し、「システムの改善によって技術的な難点を解決できる見通しがついた。共用によって世界スタンダードのシステムができることになる」と語った。同委員とパウエル米国務長官は26日にアイルランドで開かれる米・EU首脳会議の場で合意書に調印する予定だ。

 ガリレオは約30個の衛星を打ち上げ、08年の運用開始を目指し、企業発注の準備作業に入っている。GPSを軍事利用している米政府は、テロ攻撃などの緊急時にガリレオ信号の停止を要求、それを拒否するEUと対立してきた。

 EUは昨年秋、中国政府とガリレオの共同開発で合意するなど独自路線を歩む構えを見せていた。しかし、GPSとの共用によってナビゲーションサービス以外に輸送、防災、石油開発など数兆円の市場を生み出す可能性があることから米政府との合意に踏み切った。

中国の測位衛星が意味するもの

2003年05月30日 nikkeibp.jp

 中国は5月25日、西昌衛星発射センター(四川省)から測位衛星「北斗1号」を「長征3A」ロケットで静止軌道へ打ち上げた。中国の測位衛星は、2000年12月に次いでこれが3機目。打ち上げを伝える新華社電は「今回の打ち上げは、我が国が衛星利用測位システムを自らの力で完成させたことを意味する」とその意義を報じた。

 中国は、国際的にアメリカ、欧州に次ぐ世界における「第3のパワー」となろうとする姿勢を明確に見せており、宇宙開発もその国家戦略の一環と位置付けられている。地球上のどこでも自分がどこにいるかが分かる測位衛星システムは、民生用途と軍事用途の両方で極めて重要であり、その保有は国家の国際地位向上に大きな意味を持つ。中国は、「世界の第三極」となるために必要な宇宙インフラストラクチャを着々と整備しつつある。

●2010年までに本格的なシステムを構築

 中国の「北斗」測位衛星システムは、1980年代に研究が始まった。1993年から本格的な開発に入り、2000年10月と12月に最初の2機の「北斗」衛星が打ち上げられている。

 中国は長期の宇宙開発計画で、2010年までに測位衛星システムを構築することを明らかにしている。このことから現在軌道上にある3機の衛星は技術試験を目的とした第一世代と推測される。最終的には、赤道上空3万6000kmの静止軌道に実際に利用する衛星4機と、軌道上予備の衛星2機の合計6機の衛星からなるシステムを構築する予定だ。

 測位方式の詳細は不明だが、最低2機の静止衛星が地上から見通せれば測位が可能ということから、時刻情報を載せた2機以上の静止衛星からの信号の到達時間差から位置を測定するというものらしい。公称ではアメリカが運用するGPSと同等の測位精度を持つとしている。もっとも衛星の数が少ないので、衛星が建物の影に入るなどの理由で測位不可能になる場合が多いのではないかと思われる。

 今回新華社電が「測位システムを完成」と報じた意味は、3機の衛星がそろったことで、静止衛星を見通せない両極地方を除く世界中のどこでも測位が可能になったということだろう。

●国家主権のパワーの源である測位衛星システム

 測位衛星システムは、大航海時代以来連綿と開発されてきた「自分が地上のどこにいるか」を知るための仕組みの到達点だ。それは安全な貨客輸送を可能にするだけでなく、軍隊の迅速な展開、さらには巡航ミサイルの誘導にも使える。つまり測位衛星システムは軍民両面において、国家の国際的な地位を確保するための重要な宇宙インフラストラクチャである。社会全般に与える影響からすれば、その存在意義は「核兵器以上」といっても過言ではない。

 現在、アメリカの国防総省が1970年代から開発を続けてきたGPSが世界的に使われている。GPSは本来軍事用に開発されたシステムで、民間用にはノイズを乗せてわざと精度を落とした測位信号を提供する仕組みになっている。しかしクリントン政権時に、民間にも高精度の測位を無償で提供するという方針転換があり、現在は数mという軍用と同等の測位精度が民間にも提供されている。普及初期には「海の中を走っている」などと測位精度の低さが指摘されたカーナビだが、最近そのような話を聞かなくなったのは、補正技術の進歩もさりながら、アメリカが方針転換したことが大きい。

 もちろんアメリカは、莫大な開発費を投入したGPSを好意で全世界に無償公開しているわけではない。GPSにより測位業務を独占し、世界的な覇権の把握を目指しているのだ。欧州はこのアメリカの姿勢に反発し、独自の測位衛星システム「ガリレオ」を開発するべく準備を進めていた。アメリカは、ガリレオに対して「測位技術の拡散につながる」として中止を求めていたが、今年5月、EUは2008年システム稼働を目指してガリレオを開発する決定を下した。欧州はアメリカの独占を許さないという姿勢を明確に打ち出したのである。

 ロシアは、旧ソ連時代に構築した「グロナス」という測位衛星システムを保有している。財政難から寿命の尽きた衛星の代替を打ち上げることができず、衛星の数が減って事実上機能不全に陥っているが、ロシアはグロナスを決して放棄しようとはしていない。測位衛星の国家的な価値を知っているからだ。

●世界の第三極となるための測位衛星・気象衛星

 圧倒的なアメリカ、アメリカに対抗して独自路線を進む欧州、旧ソ連の遺産を何とかして生かそうとするロシア---「核クラブ」ならぬこの国際的な「測位衛星クラブ」に今回中国が名乗りを上げた。その背後にあるのは「世界の第三極となる」という中国の国家戦略である。

 1980年代半ばの改革開放路線以降、中国は目覚ましい経済成長を遂げ、現在も勢いは続いている。中国が目指しているのは、アメリカ、欧州に対抗してアジア地域の力の極となることであり、宇宙計画もそれに沿って策定されている。その象徴が今年10月に最初の有人打ち上げが予定されている「神舟」宇宙船による有人宇宙活動だ。旧ソ連とアメリカに次いで「人間を宇宙に送り込んだ3番目の国」となることは、国家威信の向上に大きな意味がある。

 しかし、地上の経済活動と軍事活動の両方により大きな意味があるのは、測位衛星と気象衛星だ。共に民生用途で多大な恩恵をもたらすと同時に、軍事作戦能力をも向上させる。また、測位と気象の情報を無償提供することは国際貢献にもなるし、同時にそれらの情報に他国を依存させることは国際影響力を強化することにもつながる。

 中国は気象衛星についても2010年までに、静止気象衛星と極軌道気象衛星の合計10機の衛星による観測システムを構築するとしている。これはアメリカの海洋大気庁(NOAA)が展開している気象衛星システムに匹敵する規模だ。日本が、省庁縦割り予算によって気象衛星の軌道上予備も用意せず、アメリカから衛星を借用する事態に陥っているのと対照的だ(関連記事:衛星打ち上げ再延期、硬直化した予算編成)。

●アメリカ頼みで不十分な日本の測位衛星戦略

 気象衛星と同様に、測位衛星に関する日本の取り組みは、アメリカのGPSを補完する信号を衛星から送り出すための技術開発を行うというレベルに留まっている。2004年に打ち上げる「技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)」に、測位衛星の要の技術である衛星用原子時計が搭載されるのが、現状では測位衛星に向けた唯一の取り組みであるといって良い。今後、民間主導で開発することになっている準天頂衛星システムにおいて、アメリカのGPS信号を補完する信号を送信して、センチメートルオーダーの高精度測位を可能にすることが検討されているが、基本的に「アメリカのシステムに寄り添う」方針を採っており、中国のような独自測位衛星システムに向けた取り組みは皆無である。

 確かに欧州のガリレオに対するアメリカの激しい干渉を見る限り、日本が独自システムを持とうとした場合、アメリカが猛反発することが予想される。太平洋を挟んでアメリカと向かい合っており、対米輸出に頼る産業を持つ日本にとって、アメリカの意向を無視することは難しい。しかし、中国が「測位衛星クラブ」入りを明確にした今、過度にアメリカに頼ることの危険性も意識しておく必要がある。

■筆者:松浦 晋也=ノンフィクション・ライター。1962年、東京都出身。日経BP社記者として、1988年〜1992年に宇宙開発の取材に従事。著書に「H-IIロケット上昇」(日経BP社)

3個目の測位衛星打ち上げ 中国

2003年05月25日 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、中国四川省の西昌衛星発射センターから25日未明、測位衛星「北斗」を載せたロケット、長征3号が打ち上げられ、衛星は予定の軌道に乗った。

 中国が打ち上げた測位衛星は2000年12月に次いで3個目。新華社は今回の打ち上げで、米国の衛星利用測位システム(GPS)に相当する地上測位システムが完成したと報じた。(共同)

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