TOPIC No.6-2 火星探査機

01 火星探査機(かせいたんさき)  by フリ−百科事典 「ウィキペディア(Wikipedia)」
02 Mars Explanation Homepage by NASA
03 火星周回探査機「2001マーズ・オデッセイ」打ち上げ成功 NASA
04 祝20周年!探査機が撮った火星の絶景写真36点 (2017.07.04) 
 by NATIOMNAL GEOGRAPHIC
05 MARS 火星移住計画  by NATIOMNAL GEOGRAPHIC
06 NASAの火星探査機「インサイト」がついに火星へ出発!未知との遭遇に期待:アメリカ
 2018年05月06日 カラパイア
07 将来計画 火星衛星探査計画(MMX) 宇宙科学研究所
08 マーズ・サンプル・リターン・ミッション(Mars sample return mission、MSR) 
 by フリ−百科事典 「ウィキペディア(Wikipedia)」


NASA、火星探査機インサイトを打ち上げ 内部構造調査へ

2018.05.06 CNN.co.jp

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)は米太平洋時間5日午前4時5分、無人の火星探査機「インサイト」をカリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から「アトラス5」ロケットで打ち上げた。

NASAの惑星探査機がフロリダ州のケネディ宇宙センターでなく、西海岸から打ち上げられたのは今回が初めて。アトラス5では同時に、火星の周回軌道に投入するスーツケース大の小型衛星2機も打ち上げられた。

インサイトは約半年後の11月26日、火星の赤道のすぐ北側に着陸する予定。NASAはすでに火星の地表や上空へ5機の探査機を送り込んでいるが、インサイトではこれまでなぞに包まれていた内部構造を初めて調べる。

インサイトは重量358キロ。車輪はないが、長さ2.4メートルのロボットアームで地震計を地表に設置し、地下約3〜5メートルの深さまで穴を開けるなどして、2年間にわたり観測を続ける計画だ。

NASAのブライデンスタイン長官は5日、ツイッターに投稿されたビデオの中で「米国にとってだけでなく、世界にとって重要なミッションだ」と強調した。

片道2年以上の行程、人類は「火星」にたどり着けるのか

探査プロジェクトを追う
2018年05月01日 newswitch 日刊工業新聞

 米国は2030年にも月面に宇宙飛行士を送り込む計画を立てている。次に人類が目指す目標は火星だ。地球とは大きく異なる環境の惑星探査に世界中が注目している。今後、人類はどのように宇宙への歩みを進めるのか。国際宇宙探査において日本はどのような分野で貢献できるのか。火星探査のプロジェクトを追った。

60年代に始動

 火星探査は60年代のソ連の火星無人探査プログラム「マルス計画」から始まった。現在は、12年に火星へ着陸した米航空宇宙局(NASA)のローバー(探査車)「キュリオシティ」や、03年から火星軌道を周回する欧州宇宙機関(ESA)の探査機「マーズ・エクスプレス」などが活躍している。日本は98年に火星探査機「のぞみ」を打ち上げたが、火星周回軌道にたどり着くことはなかった。

 火星探査の試みは続く。NASAは5月に火星内部探査機「インサイト」の打ち上げを計画している。さらに20年打ち上げ予定のアラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「アル・アマル」については、三菱重工業が国産ロケット「H2A」での打ち上げを受注。日本もローバーや飛行機を利用した総合的な火星探査計画「ミーロス計画」の20年代の実現に向け検討している。

仮説を検証

 日本は間接的なアプローチで火星探査に挑もうとしている。

 火星はフォボスとダイモスと呼ばれる直径数十キロメートルの二つの衛星を持つ。これらの衛星はかつての火星と巨大隕石(いんせき)が衝突しその破片が集まってできたとする仮説と、外から来た小惑星が火星の重力に捕らえられたとする仮説が議論されている。前者の仮説が正しければ、衛星に火星由来の成分が含まれることになる。こうした仮説の検証に挑む東京工業大学の玄田英典准教授は「火星の衛星の試料を持ち帰り分析することで、火星本体の成り立ちを明らかにできるかもしれない」と目を輝かせる。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、これらの二つの衛星からサンプルを採取する「火星衛星サンプルリターンミッション」(MMX)の計画を進めている。現在開発が進む新型基幹ロケット「H3」での24年度の打ち上げを目指し、NASAと共同で実証機の開発を進める。

世界初の手法

 研究レベルでは火星での運用を想定した研究が多くある。

 すでに火星では火星を回る人工衛星や火星表面を走るローバーが探査に活躍している。だが人工衛星では画像の解像度が悪いことがあり、キュリオシティでは1日の移動距離が200メートルと動ける範囲は狭い。そのため、火星の地表付近を飛行する火星探査飛行機の研究が進んでいる。火星探査飛行機の研究を行う東北大学の藤田昂志助教は「飛行機を使うことで探査車より広い範囲を観測できる。世界初となる探査手法になるのでは」と期待する。

 JAXAは16年、重量5キログラムの飛行試験機の飛行実験を大樹航空宇宙実験場(北海道大樹町)で実施。高度36キロメートルで気球から飛行試験機を切り離し、約15キロメートルの飛行を成功させた。こうした試験で得たデータは風洞試験や流体力学シミュレーションの検証データとして利用する。将来の火星探査用飛行機の設計に生かせるかもしれない。

得意技術磨く

 今話題になっているのは有人火星探査だ。トランプ大統領は17年12月、月面に宇宙飛行士を送り火星探査に向けた基地を造る指示書に署名、「火星やその先の宇宙を目指す基礎を築く」と明言した。こうした動きに対し日本は有人活動に必要な水や空気の再生技術といった「有人宇宙滞在技術」の開発に取り組む方針を示した。国際宇宙探査計画の中で、日本は得意技術を磨くことで優位な立場を確保する考えだ。

 民間ではイーロン・マスク氏率いる米宇宙ベンチャーのスペースXが2月、世界最大の輸送能力を持つ大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げに成功。さらにその後継機となる巨大ロケット「BFR」を24年に火星に向けて打ち上げるため、ロサンゼルス港の施設で建造を始める。有人火星探査に向けた計画は着実に進んでいる。

高いハードル

 だが火星に行くための課題は多い。「火星に行きたい気持ちはあるが、補給面などで少しハードルが高いのではないか」(JAXA宇宙飛行士の大西卓哉さん)と宇宙体験者の意見は厳しい。

 火星はロケットでも片道2年以上の行程となる。そのため精神面での課題も出てくる。JAXA宇宙飛行士で宇宙医学生物学研究グループ長を務める古川聡さんは「異文化の人と閉鎖空間にいると、けんかが起きやすい」と強調する。片道2年かかる宇宙機や宇宙での居住スペースなど閉鎖空間での長期間のストレスは想像以上に大きい。JAXAは閉鎖空間で人がどうなるかという実験を試みている。(文=冨井哲雄)

日仏共同の火星衛星のサンプルリターンミッション「MMX」

2017年4月11日 JAXA/ISAS AstroArts

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が計画を進めている火星衛星サンプルリターンミッション「MMX(Martian Moons eXploration)」について、JAXAとフランス国立宇宙研究センターとの間で計画検討に関する実施取り決めが締結された。

火星には「フォボス」と「ダイモス」という2つの衛星がある。いずれも直径が10〜20km程度の小さな天体だ。その起源については、火星の近くを通りがかった小惑星が火星の重力に捕らえられて衛星になったという説と、火星に天体が衝突して生じた破片が集まって衛星が作られたという説が考えられている。

MMX計画で衛星からのサンプルを地球に持ち帰って分析すれば、どちらの説が有力か調べることができる。小惑星捕獲によるものとわかれば、水などの揮発性成分がどのように地球型惑星に運搬されてきたかの理解につながり、巨大衝突によって生じたものとわかれば、火星の起源物質や形成過程を理解できる。つまり、衛星の起源を解明するだけでなく、火星系全体や地球型惑星における水や大気など生命環境についても知ることができるはずだ。

また、MMX計画では工学面においても、火星圏への往還技術や天体表面上での高度なサンプリング技術、深宇宙探査用地上局を使った最適な通信技術といった、これからの惑星や衛星探査に必要とされる技術の向上も期待されている。

打ち上げ目標は2024年で、約1年後に火星圏に到着後、衛星の周回観測や着陸しての探査、サンプル採取を行う予定だ。3年間の探査期間の後、2029年に衛星サンプルを地球に持ち帰る。

日本は1998年に火星探査機「のぞみ」を打ち上げたが、火星周回軌道に投入できず探査を断念した過去がある。フランスとの共同で今回のミッションを成功させ、世界初となる火星衛星の本格探査とサンプルリターンを見事に成し遂げることを願いたい。


中露で火星探査プロジェクト開始 2009年の実施目指す

2007/05/20 The Sankei Shimbun

 20日付の中国紙、京華時報によると、中国の国防科学技術工業委員会はこのほど、ロシアと火星共同探査プロジェクトについての会議を開催、2009年の探査実施に向けたプロジェクトが始動した。会議では技術総括責任者を決め、プロジェクトの各分野の計画を検討した。中露は3月26日、火星共同探査についての合意文書に調印した。(共同)

火星に水が存在か 可能性一層強まる

2007/02/16 The Sankei Shimbun

 【ロサンゼルス=松尾理也】米航空宇宙局(NASA)の火星探査機から送られてきた高解像度画像の解析を進めている米アリゾナ大の研究チームは15日、「火星に水が存在する可能性が一層強まった」とする分析結果を発表した。

 サンフランシスコで開かれている全米科学推進協会(AAAS)年次総会で発表された。火星の大峡谷を上空から撮影した画像には、層状に堆積(たいせき)した地層のあちこちに亀裂がみられ、その周囲の岩盤が白く変色しているようすが写し出されていた。

 この白い部分は、水などの液体に含まれる鉱物が付着したものと考えられ、火星での水の存在の可能性が一層強まったという。解析にあたったアリゾナ大の研究者、クリス・オオクボ氏は「画像は、かつて火星の表面に、水か液化した二酸化炭素か、あるいはその混合物かがふんだんに流れていたことを強く示している」と述べた。

米探査機、火星の軌道に 観測能力大幅に向上

2006/03/11 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は米東部時間の10日午後(日本時間11日早朝)、火星の表面や地下、気象などの観測能力を大幅に向上させた無人探査機「マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)」を火星の周回軌道に投入した。

 現在米国2、欧州一の計3探査機が火星を周回しており、MROは4機目。米国は火星表面で探査車2機も運用中で、これらを駆使し生命の存在につながる水の痕跡探しを強化する一方、目標とする将来の有人活動の足掛かりにする狙いだ。

 MROは火星を約35時間で1周する細長い楕円(だえん)軌道に入り、徐々に軌道を縮め11月から約2年間、観測を行う。

 観測用軌道は最低高度約255キロと、他の探査機と比べ最も火星に近い。小型のテーブルほどの物体も見分けられる超高解像度カメラや分光計、レーダーなど計6つの観測機器で表面の地形などをくまなく調べ、水の痕跡については地上に加え地下の様子も重点調査する。気象や温度も連日観測し、今後の無人探査や有人活動での着陸候補地の選定に役立てる。

 MROは昨年8月に打ち上げられ、約5億キロを旅して火星に到達。火星の周回軌道投入は難関とされるが、27分間のエンジン噴射をはじめ、自動制御で行われた投入作業はすべて順調に進んだ。会見でNASAは「絵に描いたような完ぺきさだ」と胸を張った。(共同)

 最近の主な火星探査は次の通り。

 1976年 米バイキング1、2号が着陸、写真撮影

 93 周回軌道入りを目指した米マーズオブザーバーが通信途絶

 96 ロシアがマルス96の打ち上げ失敗

 97・7 米マーズパスファインダーが着陸。探査車が火星の景色を地上に送信

 9 米マーズ・グローバル・サーベイヤーが周回軌道入り。水の存在示す地形を発見。観測中

 99・9 米マーズ・クライメート・オービターの周回軌道投入失敗

 12 火星の南極で生命痕跡を探す米マーズ・ポーラー・ランダーの着陸失敗

 2001・10 米マーズオデッセイが周回軌道入り。地下に大量の水の存在を示すデータを取得。観測中

 03・12 日本の探査機のぞみの周回軌道入り失敗。欧州マーズエクスプレスは軌道入り(子機は着陸失敗)。観測中

 04・1 米探査車スピリット、オポチュニティー火星着陸。海が存在した証拠などを発見。観測中

 06・3 米マーズ・リコネサンス・オービターが周回軌道入り(共同)

 ■火星 太陽系第4惑星で直径は約6800キロと地球(同12800キロ)の半分強。岩石成分が多いことなど地球との共通点が多い。これまでの探査で過去には表面に豊富な水があったことが分かっており、生命の痕跡や、原始的な生命体が見つかる可能性があるとして各国宇宙機関の関心を集めている。米国は、月を足掛かりに将来は火星での有人探査を行う目標を明らかにしている。(共同)

米探査機、11日に火星へ 高精度観測、秋から開始

2006/03/09 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)の火星無人探査機「マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)」が米東部時間の10日午後(日本時間11日早朝)、火星周回軌道に到達する。NASAが8日、接近の最終段階に入ったのを確認した。

 火星を回る探査機は現在、NASAのマーズ・グローバル・サーベイヤーなど米欧の3機があり、MROは4機目。惑星探査用では最高性能の高解像度カメラを搭載、これまでで最も低い高度約300キロから観測するため、格段に高精度のデータが得られると期待される。本格観測は11月から。

 MROは南極側から火星に接近、27分ほどエンジンを噴射して減速し、南極と北極の上空を通る楕円(だえん)軌道に入る。その後約半年かけて徐々に軌道を縮めていく。

 噴射は地球から見て火星の裏側に行き通信ができない間に終わるため、軌道投入の成否の見極めにはしばらく時間がかかりそう。火星周回軌道への投入は難しく、NASAの成功率は65%とされるため、関係者は慎重に準備を進めている。(共同)

火星、再び地球に近づく 30日夜に最接近

2005/10/29 The Sankei Shimbun

 2003年夏に地球に大接近した火星が、再び地球に近づいている。最接近は30日。03年には及ばないものの、今回以上の接近は18年までない。火星観察の貴重な機会とあって、各地の天文施設で観察会などのイベントが開かれる。

 国立天文台などによると、地球と火星の距離は03年8月27日の大接近時には約5576万キロだったが、今回は6942万キロの“中接近”となる。見かけの大きさは03年の約8割程度という。

 火星は地球と平均約2年2カ月に1度の割合で接近するが、火星の軌道が楕円(だえん)形をしており、接近する場所によって地球との距離に差が出る。

 火星はこの時期、午後8時ごろには東の空に赤く輝いて見え、肉眼でもはっきりと分かる。最接近当日だけでなく、前後数週間は非常に接近した状態になる。

 国立天文台は29日夜から11月7日の朝まで、各地のファンの火星観察結果をインターネットなどを通じて報告してもらう「火星接近!模様が見えるかな」キャンペーンを始める。(共同)

観測機器搭載した偵察型、火星探査機打ち上げに成功

2005年08月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は12日朝(日本時間12日夜)、フロリダ州のケネディ宇宙センターから、新しい火星探査機「マーズ・リコナイサンス・オービター(火星偵察周回機、MRO)」をアトラスVロケットで打ち上げた。

 MROは、来年3月に火星周回軌道に到達、同11月から約2年間の観測を行う。“偵察機”の名の通り、これまでの惑星探査機で最大となる口径約70センチの望遠カメラなど、画像撮影に重点を置いた6つの観測機器を搭載。大気のほか、地表や地下の水の分布を調べる。

 こうした観測データは2007年に打ち上げる探査機の着陸地点の選定に役立てられる。将来の探査では、地球へのデータ中継機としても使う予定だ。

米火星探査機打ち上げ延期 システムの一部に問題か

2005/08/10 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は9日、日本時間の10日夜に予定していた火星無人探査機マーズ・リコネサンス・オービターの打ち上げを少なくとも1日延期すると発表した。

 ロケットの飛行制御システムの一部に問題のある可能性が浮上したためで、打ち上げは早くても米東部時間11日午前7時50分(日本時間同日午後8時50分)以降になる見通し。

 同探査機はフロリダ州のケープカナベラル空軍基地からアトラス5ロケットで打ち上げる予定。火星を周回し、将来の火星有人探査に向け着陸に適した場所を探すとともに、生命の存在に不可欠な水の痕跡を調査する。(共同)

火星に円形の氷の塊 欧州の探査機撮影

2005/07/30 The Sankei Shimbun

 ESAによると、クレーターは火星の北極付近にあり、直径約35キロ。周囲の縁から最深部までは約2キロある。撮影時期は火星の北極の晩夏で、ドライアイスは気化してなくなっているはずの時期なので、水の氷とみられるという。

 クレーターの底から白い塊の上部までの高さは200メートルあるが、氷の厚みが200メートルではなく、砂丘の表面を氷が覆っているらしい。周囲の縁や壁にも白い氷が確認できる。(共同)

火星の「青い」夕暮れ…NASAが画像公表

2005年06月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は、火星探査車スピリットの高解像度カメラが撮影した珍しい火星の夕暮れの画像を公表した。

 地球の夕焼けと異なり、青みがかって見える。

 NASAジェット推進研究所などによれば、夕空が地球のように赤く見えないのは、火星大気には粒の粗いちりがたくさん含まれ、赤い光が届くのをじゃまするため。

 画像は先月19日に撮影。太陽からの距離が遠いので、太陽は地球で見る大きさの約3分の2しかない。日没後約2時間ほど「薄明」が続くことも確認されたという。

99年から行方不明の探査機、火星の南極付近で発見

2005/05/06 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】1999年12月に火星の南極に着陸を試み、直後に通信が途絶えて消息不明となっていた米航空宇宙局(NASA)の探査機マーズ・ポーラー・ランダーが、着陸予定地点に近い場所で発見された。

 5日の米天文雑誌「スカイ・アンド・テレスコープ」電子版に発表された。

 火星軌道を周回するマーズ・グローバル・サーベイヤーが1999年と2000年に撮影した南極付近の画像を専門家が再分析した結果、パラシュートやランダーの機体、エンジンが地表を吹き飛ばした跡が確認された。ランダーの機体は、暗色の噴射跡の中に、かろうじて白い点として見える程度だが、砕け散らずに、ある程度の外観は保っていると推定されている。

 これまでの画像分析では判別が困難だったが、昨年1月に着陸した無人探査車スピリットとオポチュニティーのパラシュートが衛星画像に写った時の状態を参考に検証し直した。NASAは再確認のため、年内にサーベイヤーでより高解像度の撮影を行う方針。

 ランダーは、火星の水の探査や風の音を録音する目的で99年1月に打ち上げられ、南極探検家にちなんだアムンゼンとスコットという2つの小型探査機を搭載していた。コスト節減のため、着陸時の通信を行わない仕様になっており、捜索が難航、クレーターに転落したなどと推測されていた。

火星にもいん石 無人探査車、着陸地近くで発見

2005/01/20 The Sankei Shimbun

 昨年1月から火星の表面探査を続けている米航空宇宙局(NASA)の無人探査車オポチュニティーが、着陸地の近くでいん石を発見した。NASAが十九日、実物に近い色を再現したカラー画像を公開した。

 NASAによると、地球以外の惑星でいん石が発見されたのは初めて。

 いん石はバスケットボール大で、表面には多数の穴がある。オポチュニティーが近寄って分光計で分析したところ、主成分は鉄とニッケルだった。(共同)

火星の生命これで探せる? 米が高感度アミノ酸検出器を開発

2005/01/18 The Sankei Shimbun

 将来の火星探査で生命の痕跡を探すのに使おうと、米カリフォルニア大などの研究チームが高感度のアミノ酸検出装置を開発、米科学アカデミー紀要に17日発表した。

 火星表面にはかつて、生命をはぐくんだ可能性がある大量の水が存在したことが、最近の探査ではっきりしてきた。

 生命探査は、発見できなかった1976年の米国のバイキングが最後。今回の装置の感度は、バイキングの装置の約1000倍で、チームは「火星の過酷な環境にも十分耐える」と自信を見せている。

 装置はブリーフケース大で、中にレーザー分光計などがセットされている。環境が火星に近いとされるチリの砂漠の砂でテストした結果、10ppbというごく微量のアミノ酸を検出でき、カリフォルニア州での野外試験では、さらに3けた低い濃度まで検出できた。

 バイキング以降の火星生命探査は、1999年に米航空宇宙局(NASA)のマーズ・ポーラー・ランダー、2003年に欧州宇宙機関(ESA)の小型機が挑んだが、いずれも火星に着陸できず失敗に終わっている。(共同)

火星探査車着陸1年、観測さらに継続

2005/01/05 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】無人探査車スピリットの火星着陸から1年となる3日、米航空宇宙局(NASA)のオキーフ長官は会見し、2台の探査車の運用を今後もできる限り継続する方針を示した。

 スピリットと、昨年1月24日に着陸したオポチュニティーは当初、3か月程度で探査を終了する計画だったが、探査期間が2度延長され、現在の見通しでは今年3月ごろまでは探査を続ける。

 カリフォルニア州のNASAジェット推進研究所で行われた会見では、オキーフ長官がケーキに立てられたろうそくを吹き消し、スピリットの1周年を祝った。NASAの火星探査関連のウェブサイトは昨年、過去最高の90億回以上の訪問数を記録したという。


火星、定説より温暖で湿潤だった?…探査車データ公開

2004/12/03 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)や米コーネル大などの研究チームは、今年1月に火星に着陸した無人探査車オポチュニティーが最初の3か月間に行った探査データの分析結果を公表した。

 かつての火星には、数十万年にわたって流水や海が存在し、従来考えられていたよりも温暖で湿潤な環境が存在したという。3日付の米科学誌サイエンスに掲載される。

 研究チームによると、オポチュニティーが採取したメリディアニ平原一帯の鉱物や土壌の成分分析で、かつての火星に存在した海は、塩分が濃い上に酸性度が強かったと判明した。

 この海の底で堆積(たいせき)したと推定される付近の地層(厚さ約600メートル)には細いしま模様が規則的に残されていた。しまの一つ一つが火星の1年の季節変化を示した年輪と考えると、全体で約25万火星年(1火星年は約2年)かかった計算になるという。

 現在の火星の表面は、赤道地域の最高温度が20度以上、極地域の最低温度が氷点下100度を下回る。硫化物や鉄分の高い含有量から、地層中の鉱物は氷点下8度以上の環境で形成されたと推定され、比較的温暖な環境が安定して続いていた証拠とみられている。

中国:米国に刺激、2020年までに独自火星探査

2004/01/04(日) 中国情報局
 『中新網』3日付報道によれば、中国の「地球空間双星探測計画(双星計画)」首席科学者である劉振興・博士は、中国でも2020年以前に火星に向けて探査機を発射すると語った。

 

  劉・博士は、中国の月面探査計画も始動したばかりであるが、中国でも火星探査を放棄したわけではないという。火星へ探査機を送り込むことも中国の宇宙開発における中長期計画のうちの一つと位置付けた。

 

  米航空宇宙局(NASA)が昨年6月、火星に向けて打ち上げた小型無人探査車1号機の「スピリット(精神)」が、米東部時間3日深夜(日本時間4日昼)に火星への軟着陸を試みるが、昨年、有人飛行を成功させている中国でもこの火星探査に大きな注目が集まっている。

火星に湖や川の跡? 「扇形の地形発見」とNASA

2003/11/14 asahi.com
 米航空宇宙局(NASA)は13日、火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが撮影した写真から、火星表面に水が液体の状態で恒常的に存在し、川や湖があったことを示す扇形の地形が見つかったと発表した。

 扇形は南半球のクレーターの中にあり、長さ13キロ、幅11キロほど。水が流れたような跡が複雑に入り組んでいる。数十億年前にできた地形とみられる。

 研究チームは「曲がりくねった跡は、川が流れを変えたことでできた。全体的に、川が湖に流れ込むデルタ地形と考えられる」と分析している。

 これまで火星では、氷や一時的な洪水の跡は見つかっている。ただ、気圧が低いため液体の水はすぐ蒸発してしまうという見方が強かった。

火星、6万年ぶり最接近 夏の夜空に赤い輝き

2003年08月27日 The Sankei Shimbun
 6万年ぶりに大接近中の火星が27日午後6時51分、地球に最接近した。好天に恵まれた那覇市では、午後7時半ごろには、南東の空にマイナス2・9等の明るさで赤く輝く火星がぽっかり浮かんだ。

 本州は全般的に曇り空で観測には、あいにくの空模様となったが、札幌や沖縄など一部の地域では天文台や科学館などで観望会が開かれ、この夏最大の天文ショーを楽しんだ。

 国立天文台などによるとこの日、2つの星の中心距離は約5576万キロにまで近づいた。地球の自転との関係で、日本列島には28日午前零時前後に最接近。

 火星は今後、遠ざかっていくが、明るさはすぐには変わらず、9月に入ると、高度を上げる時間が次第に早くなるため、より観測しやすくなる。観測しやすい状態は10月上旬ごろまで続く。また、今回以上に接近するのは2287年だという。

「海はなかった」火星探査データ分析の大学チームが結論

2003/08/22 asahi.com
 やっぱり火星に「海」はなかった――米アリゾナ州立大のチームが、22日付の科学誌サイエンスにそう発表した。米航空宇宙局(NASA)の火星探査機のデータを分析した結果、かつて海があったなら地表に大量に残っているはずの炭酸塩が、ごく少量しか見つからなかったという。

 もし海があったとすると、火星大気の主成分の二酸化炭素が海水に溶け込む。海が干上がった後には、海水中の炭酸イオンと金属(カルシウムやマグネシウム)イオンが結びついてできた炭酸塩が豊富に残るはず。

 研究チームは、探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーの放射熱分光計による火星表面のデータを分析。石灰岩(炭酸カルシウム)や炭酸マグネシウムなどの炭酸塩が、「海が存在したと考えるには少なすぎる」量しか存在していないことを突き止めた。

 火星の地表には、海や川の跡とも思える地形が残っており、かつて大量の水が存在していた可能性があるとされていた。水の行方については「氷や地下水として地中に残っている」「ほとんど蒸発してしまった」といった説が唱えられてきた。

6万年ぶり…27日に火星大接近 商戦も過熱

2003年08月11日 The Sankei Shimbun
 6万年ぶりという火星の地球大接近を27日に控え、関連商戦が過熱している。地球儀ならぬ火星儀は7月だけで年間生産の2倍を記録する売れ行きを見せ、天体望遠鏡は在庫不足に。Xデーにあわせた観測ツアーも、各地で企画されている。(西川博明)

■家庭で宇宙気分

 思わぬ“特需”にホクホク顔なのは、国内唯一の火星儀メーカーという渡辺教具製作所(埼玉県草加市)。デパートなどで1万3000円前後で売っている火星儀の需要は年間50台程度だったが、このブームで「7月だけで100台売れた」(渡辺美和子社長)という。

 探査機をテーマとしたレゴブロックも人気だ。大阪府泉佐野市のクリックブロックりんくう店では「大人が買われていくことが多いです」。

■商品入荷は9月

 観測の基本となる天体望遠鏡は、店頭で品薄状態が続いている。

 大阪・梅田のヨドバシカメラの担当者によると「人気商品は、大接近が終わる9月にならないと入荷しない」という。

 「80年代のハレー彗星(すいせい)ブームに次ぐ勢い」と話すのは、メーカーのビクセン(埼玉県所沢市)。出荷は例年の2−3倍で、生産が追いつかない状況という。ケンコー(東京)も、高めに設定した目標値を上回る売れ行きとなっている。

 東急ハンズ心斎橋店では、望遠鏡の手作りキット(2500円)が夏休みに入り、週に10本は出ている。

 天体観測には入門編となる商品だが、同店では「お手軽な値段で自由研究にも最適ということで、人気を呼んでいるのでは」と分析する。東京・池袋のビックカメラでは、双眼鏡も売れ始めているという。

■ロマンはせる旅

 今年前半にイラク戦争と新型肺炎(SARS)の影響を受けた旅行業界も、6万年に1度という話題性に飛びつく。

 JTBは、大阪発で北海道2泊3日(4万9800円から)や兵庫県西脇市の天文台への日帰り(5800円)という観測ツアーを用意。

 阪急交通社は、米国・アリゾナでの海外ツアーを企画している。火星観測で有名なローウェル天文台で天体ショーを味わえるのが売りで、料金は19万9000円から29万8000円もするにもかかわらず、「インターネットで問い合わせが1000件ありました」という。

                  ◇

 過去6万年で地球へ一番接近するという火星は、この夏の夜空でもっとも明るく輝く。一等星の約50倍もの光を放つため、都会でも観測は可能で、全体的にオレンジ色っぽい星が「南東の低い空、みずがめ座付近で観測できる」(大阪市立科学館)という。

 ただ、見える大きさは、27日の大接近時点でも月の70分の1以下。南極の氷など、火星の表面まで観測するには望遠鏡が必要だ。

 「マーズウイーク実行委員会」(事務局・兵庫県立西はりま天文台公園)の時政典孝さんは「全国の天文台などで関連イベントをやっているので、大きな望遠鏡で観測してみてはいかがですか」と提案している。

NASA:火星探査車打ち上げへ

2003年06月07日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【ワシントン斗ケ沢秀俊】米航空宇宙局(NASA)は8日、火星探査車「マーズ・エクスプロレーション・ローバー」を搭載した探査機を打ち上げる。来年1月に火星に到着し、火星表面を探査する予定で、火星表面の水の有無が判明すると期待されている。

 ローバーは「ロボット地質学者」とも呼ばれる。広角カメラや赤外線カメラを搭載し、地質学者のように火星表面を野外調査する。最大の狙いは表面の岩石や土壌中の水分含有量の測定だ。火星表面に水が存在すれば、生命体が過去に誕生した可能性が出てくる。

 NASAは25日にも同型のローバーを搭載した別の探査機を打ち上げる計画で、2台のローバーを使って火星表面の2地点を探査する。

 2日には欧州宇宙機関(ESA)が火星表面の探査を目的とした火星探査機「マーズ・エクスプレス」を打ち上げたばかり。欧米の相次ぐ探査機打ち上げで、太陽系の惑星の中で地球に最も似た惑星である火星の姿が解明されそうだ。

 NASAのフィグエロア火星探査計画責任者は「ローバーで得られたデータは将来の人類の火星到達にも役立つだろう」と話している。

火星探査機打ち上げラッシュ、6万年ぶりチャンスで

2003/05/26 読売新聞 Yomiuri On-Line
 欧州宇宙機関(ESA)と米航空宇宙局(NASA)が来月、火星に向けて相次いで探査機を打ち上げる。軌道周回機や火星に降り立つ無人の探査車を送り込む計画で、成功すれば来年1月には現在、火星に向かっている日本の「のぞみ」をはじめ、すでに火星を周回中の米国の探査機も含め7基が集結する。

 火星と地球は2年2か月ごとに接近。特に今年は6万年ぶりの大接近とされ、地球から火星まで行くのに絶好の機会。探査機の打ち上げが集中した。

 ESAは、火星の軌道を周回する「マーズ・エクスプレス探査機」と、着陸機の「ビーグル2」を6月2日に打ち上げる。探査機は、長さ1・5メートル、幅1・8メートル、高さ1・4メートルで、高解像度によるカメラ撮影のほか、レーダーや電波を使った地下構造調査、大気の組成分析などを行う。12月末に到着し、687日間にわたり観測する予定。

 ビーグル2は、かつて大量の水があったと見られる「イシディス平原」と呼ばれる地域に着陸。カメラや顕微鏡を搭載しており、アームを伸ばして先端の小型掘削機で穴を掘り、岩石を採取して分析する。初の火星探査となるESAと「のぞみ」との間では、観測データを交換するなど日欧共同研究も計画されている。

 一方、NASAは、湖や水があった可能性のあるグセフ・クレーターと、メリディアニ台地の2か所に探査車(ローバー)を着陸させる計画。6月5日と25日に打ち上げ、来年1月には火星に到着の予定だ。

 ローバー(高さ1・5メートル、幅2・4メートル、重さ130キロ・グラム)は、パノラマカメラや岩石掘削機、赤外線分光器のほか顕微鏡も完備。1日に100メートル移動し、周囲を撮影しながら地表や岩石の組成を分析、水や生命の痕跡を探す。少なくとも90日間は観測を続ける。

 火星周辺には、現在、NASAの「マーズ・グローバル・サーベイヤー」と「マーズ・オデッセイ」が軌道周回中で、今回の計画では地球とのデータ中継を担う。

 宇宙科学研究所の水谷仁教授は「地下も含め火星に水があるのか、過去に温暖な気候はあったのか、生命はいたのかなど、火星の謎を解く重要なデータが得られるのはもちろん、新しい発見の可能性もある」と話している。

火星から見た地球と月撮影 NASAの探査機

2003年05月23日 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は22日、地球から約1億3900万キロ離れた火星の周囲を回っている火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが撮影した地球と月の画像を公表した。

 5月8日に撮影された画像には、ほぼ半分が太陽の光を受けて光る地球と月が映っている。拡大すると、ぼんやりと中南米の一部が見分けられる。

 NASAは「われわれの地球が宇宙の中に浮かぶ存在であることをあらためて認識させてくれる」としている。

 NASAは、探査機が同時に撮影した木星画像も公開した。撮影当時、木星は探査機から約10億キロ離れていたが、木星特有のしま模様がはっきりと確認でき、ガニメデなどの3つの衛星も映っている。

 サーベイヤーは1996年に打ち上げられ、翌年、火星を回る軌道に到達した。(共同)

火星探査機『オデッセイ』から初の赤外線画像

(2001年11月01日)Wired News
 6ヵ月かけて約4億6000万キロメートルを飛び続けた火星探査機『マーズ・オデッセイ・オービター』が、火星の南極上空約2万2000キロメートルから撮影した画像(写真)を初めて送信してきた。

 これまで何度も探査が試みられてきた火星におけるオデッセイの使命は、化学的、鉱物学的な組成に関して新たな情報を収集することだ。火星の周回軌道に入ったオデッセイは、赤外線撮像装置を使って夜の南半球の撮影を開始した。火星の南極冠は二酸化炭素が凍ったもので、温度は摂氏マイナス120度、直径は900キロメートルに及ぶ。

 現在、火星の南半球は晩春を迎えている。これから訪れる夏の間、気温の上昇にともなって極冠の面積は小さくなっていく。

 米航空宇宙局(NASA)によると、今回送られてきた画像はオデッセイに搭載された赤外線画像センサーの、最初のテストと微調整を行なう目的で撮影されたものだという。結果は上々で、今後どれほどのデータが送られてくるのか、大いに期待できそうだ。 [日本語版:服部真琴/小林理子]

探査機マーズオデッセイが火星の周回軌道へ

(2001.10.25) CNN.co.jp
 米航空宇宙局(NASA)の火星探査機マーズオデッセイが23日、火星を周回する軌道に入る予定だ。4月7日にフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられ、2億8500万マイル(4億5600万キロ)に及ぶ飛行を続けてきたオデッセイは、火星に着陸はしないが、火星に生命が存在するかどうかを見極める手がかりを探すことになる。

米東部時間23日午後10時26分(日本時間24日午前11時26分)、周回軌道に入るためのエンジンが点火される。点火から10分後、オデッセイは地球から見て火星の裏側に入り、地球との交信が一時途絶える。

今回の計画の責任者で、NASAジェット推進研究所のデーブ・スペンサーさんは「そのあとの20分間は私の人生の中で最も長い20分になるでしょう。すべてがうまくいき、オデッセイがちゃんと火星の裏側から現れてくれるといいのですが」と話す。

スペンサーさんによると、オデッセイが火星表面から高度250マイル(400キロ)の予定通りの軌道に入ったかどうかを確かめるのには2、3時間かかるという。

火星探査の成功率は3分の1未満
オデッセイは、1999年にNASAの火星探査機2機が相次いで事故を起こして以来初めて、火星に到達する探査機になる。

この年の9月、マーズ・クライメイト・オービターは逆噴射エンジンの異常で火星の大気圏内で燃え尽きたと考えられている。3カ月後には、マーズ・ポーラー・ランダーがソフトウエアの不具合で着陸用降下エンジンが予定より早く停止したため、軟着陸に失敗している。

NASAによると、過去40年で3カ国から計30の探査機が送り込まれたが、成功は3分の1もいかない。NASAの火星研究者のジム・ガービンさんは「火星探査には多くの困難がある。こうした困難さは一般に理解されていると思うが、オデッセイはうまくいっている」と言う。

しかし問題が全くないわけではない。8月13日、火星の放射線を計測するMARIEと呼ばれる計器が、地球からの交信に対し反応しなくなっている。NASAは、オデッセイが周回軌道に入ってから、MARIEを再起動させる信号を送る予定だ。

「サーベイヤー」と協力して観測
現在、火星周回軌道で観測を続けている探査機としてはマーズ・グローバル・サーベイヤーがある。サーベイヤーは1997年以来、数十万枚の火星の高解像度画像を撮影してきている。

サーベイヤーのカメラは、火星表面の大きさ3メートルのものまで見分けることができる。オデッセイのカメラはそれほど高性能ではないが、火星の地質構造に関する情報が得られる赤外線カメラは、サーベイヤーより30倍細かいものまで見分けられるものが搭載されている。

火星探査機:古代の火星に湖? 表面に岩石のたい積層観測

(2000年12月05日)【ワシントン4日斗ケ沢秀俊】Mainichi INTERACTIVE
 火星表面に岩石のたい積層があることが米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」の観測で判明した。科学者グループは古代の火星に湖があったことを示す地形だと分析し、「火星に生命が存在したことがあれば、たい積層に痕跡が残っているのではないか」と推定している。研究論文は8日発行の米科学誌サイエンスに掲載される。

 米の民間研究機関「マリン宇宙科学システムズ」のマイケル・マリン博士などのグループは同探査機が昨年から今年にかけて撮影した火星表面の画像を詳しく分析した。その結果、広い範囲にたい積層が点在することが分かった。

 たい積層は水や風、火山活動などにより形成される。同グループは地球上で湖があった土地に見られる厚さ10〜200メートルほどの薄いたい積層がいくつも存在することから、火星にかつて湖があったと推測。約43億年前から約35億年前までの火星の歴史の初期に形成されたとみている。

 マリン博士は「ほかの原因で形成された可能性を否定しないが、ほぼ同じ厚さの層が積み重なるには、水の存在がなくては難しい」と話している。

 同探査機の観測をもとに今年6月には別の研究グループが、火星表面に液体状の水が流れた跡を示す地形があると発表している。いずれも直接の証拠ではなく、NASAは今後打ち上げる探査機で、水や生命が存在するかどうか詳しく調べる。


プラズマ圏撮影に初成功

2000年1月15日 共同通信社
 電離層の外側にあって地球を取り巻く「プラズマ圏」の撮影に中村正人・東大助教授、吉川一朗・文部省宇宙科学研究所助手らの研究チームが、同研究所の火星探査機「のぞみ」で世界で初めて成功。高度2万キロ程度までと考えられていたプラズマ圏の外側に、その3倍の高度までプラズマが広がる様子や、ダイナミックに変わる姿が明らかになった。


NASAの無人火星探査車 2機目打ち上げ

2003年07月08日 The Sankei Shimbun
 火星表面を走り回り、水や生命の手掛かりを探す米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査車「マーズ・エクスプロレーション・ローバー(MER)」の2機目が、米東部時間7日午後11時18分(日本時間8日午後零時18分)、ケープカナベラル空軍基地(フロリダ州)から、米国のデルタロケットで打ち上げられた。

 「オポチュニティー(好機)」と名付けられたMER2号機は、先月打ち上げられ「スピリット」と名付けられたMER1号機とともに、来年初めに火星に着陸する予定。

 MERは、ゴルフカート並みの大きさの6輪車。岩石採取装置の付いたロボットハンドやカメラ、化学分析装置などを備え「ロボット地質学者」とも呼ばれる。

 2機のMERはそれぞれ異なった特徴のある場所に着陸し、地質や土の中の水分量などを測定。火星の表面を覆っていたとされる水の分布や、過去に生命が存在できる条件があったかどうかを調べる。(共同)

火星探査機「のぞみ」の軌道変更完了

2003年06月20日 The Sankei Shimbun
 1998年7月に打ち上げられた日本初の火星探査機「のぞみ」は19日深夜、地球の重力を利用して軌道を変更する最後のスイングバイを実施。宇宙科学研究所が20日早朝、完了したことを確認した。

 来年1月の火星到着を目指しており、正しい軌道に乗ったかどうかを1週間ほどかけて確認する。また電源系のトラブルを回復させる措置を7月中旬から11月末にかけて実施する。

 「のぞみ」は当初の予定では99年10月に火星に到着予定だったが、98年12月のスイングバイに失敗。軌道を修正するのに燃料を使いすぎたことから、遠回りだが燃料を節約できる軌道をとることになった。

「のぞみ」の新規道計画by 宇宙科学研究所 (1999.01.13)

日本初の火星探査機打ち上げ 「のぞみ」と命名

(1998年07月04日)(共同)信濃毎日新聞
 文部省宇宙科学研究所(西田篤弘所長)による日本初の火星探査機を搭載した大型ロケットM5は四日午前三時十二分、鹿児島県内之浦町の同研究所・鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げられた。同研究所は「探査機の軌道はほぼ予定と同じで打ち上げは成功」と判断、探査機を「のぞみ」と命名した。

 探査機はまず地球と月を周回する細長いだ円軌道に入り、十二月にこの軌道を離脱して火星に向かう。来年十月に火星周回軌道に達する計画。

 地球の兄弟惑星とも言われる火星への探査機打ち上げは米国とロシアに続き三カ国目。日本は本格的な惑星探査に大きな一歩を踏み出した。

 四段式の固体燃料ロケットM5は打ち上げ一分十五秒後に一段目を分離。約三分半後には二段目も切り離し、五分二十一秒後に高度約百九十キロで三段目が燃焼を終えた。

 この後、四段目が点火し、打ち上げから約二十三分半で探査機を分離。米航空宇宙局(NASA)からのデータによると、探査機は地球に最も近い所で約三百四十キロ、遠い所で約五十八万キロのだ円軌道に乗ったと推定される。

 遠地点が当初計画より十五万―十八万キロ遠いが、宇宙研は「許容範囲で十分に軌道修正は可能」としている。

 探査機は、九月と十二月に月の重力を使った「スイングバイ」(重力ターン)で速度や向きを変え、続いて地球でのスイングバイで加速し火星を目指す。

 探査機は、太陽風と呼ばれる超高速のプラズマの流れが火星の薄い大気にどう影響しているかを詳しく調べるのが主な観測目的。

 火星周囲の磁場やプラズマ、ちりを測定するため、米国、カナダ、ドイツなど五カ国との国際協力で十四種類の装置を搭載。火星の周回軌道上で二年間にわたり観測を進める予定だ。探査機には約二十七万人分の署名をマイクロフィルム化して焼き付けたアルミ板も搭載されている。

(製作費は「のぞみ」が114億円、ロケットは72億円。)


クリスマス島に着陸場借用

2000年2月23日
宇宙開発事業団は23日、将来の日本版スペースシャトルの原型となる無人宇宙往還技術試験機HOPE―Xの着陸場として、中部太平洋赤道直下のキリバス共和国クリスマス島を使用する協定をキリバス政府と締結した。

クリスマス島の一部、0.38平方キロを20年間、無償で借用するもので、滑走路は、英軍が以前使っていた1800メートルの飛行場を整備して使う。

東北大など、ロケット用新燃料を開発

1999年5月7日 (金) 8時10分 日刊工業新聞
 東北大学流体科学研究所衝撃波研究センターの高山和喜教授と佐宗章弘助教授は中国化薬などと共同でロケット用の新燃料を開発した。

 未来の宇宙貨物ロケットとして日・米の大学などで盛んに研究が進んでいるラム加速機の初段加速に使う。

 新燃料はこれまでのマッハ3・5(毎秒1・2キロメートル)のスピードを超えるマッハ5(毎秒1・7キロメートル)までの加速が可能であることが分かった。

 6月20日からロサンゼルスで開かれる米国航空宇宙学会で発表する。

  新燃料は硝酸アンモニウムとエタノールの混合物。

ともに入手しやすい安価な材料のため実用化に近い。

産業爆薬として一般的な硝酸アンモニウムは従来、燃料としては扱いにくいとの定説だった。 それを着火、混合方法を工夫し燃料に使うことに成功。 同センターの基礎実験では模擬ロケットの速度が毎秒1・7キロメートルまで加速可能を確認した。

宇 宙 開 発 計 画

(1999年03月10日) by宇宙開発委員会
 平成8年1月、宇宙開発委員会は宇宙開発政策大綱を改訂し、21世紀の本格的宇宙利用時代へ向けた宇宙開発の方向性を示した。現在、我が国の宇宙開発は、この大綱の方針に沿って進められている。

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