TOPIC No.6-29 デュアル・モード・ビークル(DMV:Dual Mode Vehicle)

01. DMV(デュアル・モード・ビークル)2007年04月01日より試験的営業運転中 byJR北海道 
02. 世界初の新技術 次世代の乗り物「DMV」 by BNN
03. DMV実用化への道 by livedoor Wiki
04. DMV(デュアル・モード・ビークル)
05. 道路も線路自由走行DMV ローカル線の切り札? 南日本新聞
06. U-DMV デュアル・モード・ビークル(2006-1-8) by路面電車と鉄道の写真館
07. DMVに乗ったよ 北海道新聞
08. 線路も道路も走るオフレール列車“DMV”〜JR北海道が開発した究極の近未来列車〜 by NikkeiBP
09. デュアル・モード・ビークル(DMV) byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

トヨタの協力で新型開発 DMVでJR北海道

2008年05月28日 中国新聞ニュ−ス

 線路と道路の両方を走行できるデュアル・モード・ビークル(DMV)を開発し、実用化を目指しているJR北海道は28日、トヨタ自動車の技術協力を得て、定員を増やした新型車両の開発を進めると発表した。同社はこの車両を使い、2011年度からDMVの本格営業を始めたい考えだ。

 DMVは利用者の少ないローカル線対策として、JR北海道がマイクロバスを改造して開発。昨年から道内や熊本県内で試験的営業運転や試験走行を行っている。ただ定員が運転士を含め1両当たり16人のため、実用化に向けては定員増が課題だった。

 新型車両は、これまでより大型のトヨタのマイクロバスを使い、より大きな重量に耐えられる中型トラックの車軸を使用することで、定員25人以上を可能にする。

 北海道洞爺湖サミットに合わせて7月4−10日に洞爺湖畔で行うデモ走行で、新型車両の試験車両を披露する予定。

DMV快走*世界に誇れる道産技術(4月30日)

2007年04月30日 北海道新聞 社説

 鉄道と道路兼用の車両デュアル・モード・ビークル(DMV)が、オホーツク海沿岸を快走している。

 JR北海道が開発した、実用車両としては世界初の乗り物である。

 「赤字に悩むローカル線に活用できるのではないか」「観光の目玉として生かしたい」と、国内外から熱い視線を浴びている。「北海道発」の新技術が大きく育つことを期待したい。

 鉄道技術者にとって、「鉄陸両用」車両の開発は長年の夢だった。英国やドイツ、日本の旧国鉄などで研究が進められた。大型バスを鉄輪の台車に載せる方式など、試行錯誤が繰り返されたが、実用化には至らなかった。

 JR北海道の成功の秘訣(ひけつ)は、マイクロバスを改造するという発想の転換だった。調べてみるとタイヤ幅が線路に合うことが分かった。これで開発に一気に弾みがつき、二○○四年に一号車が完成した。

 鉄道に乗り入れる際に前後の鉄輪を下ろす。切り替えに要する時間はわずか十数秒。鉄道走行の際には後輪のゴムタイヤを駆動輪として、時速七十キロまで出すことができる。

 ロータリー除雪車で使われている油圧技術を応用した点も北海道らしい。

 実際に客を乗せて走る「試験的営業運行」が十四日から行われている。六月末まで土日祝日と連休期間中の限定で、釧網線の浜小清水−藻琴間の鉄路と道路計三十二キロを一日三回、約一時間かけて走行する。

 DMVは鉄道車両に比べ価格が七分の一、整備費用と燃費はともに四分の一である。

 道内の鉄路のうち三分の一は、一日一キロ当たりの乗車人数が五百人未満の超閑散線区だ。経費がかからないDMVが、ローカル線の維持に大いに役立つことは間違いない。また、鉄道から周辺の観光地を周遊する移動手段としても活用できそうだ。

 一方で本格的な営業運行にはいくつかの課題が残されている。一つは乗客定員が十二人と少ないことだ。マイクロバスはもともと二十六人乗りだが、油圧装置や鉄輪の重さが加わった分、定員が削られた。生活の足としては大きな制約だ。

 運転資格・免許が鉄道とバスで別々であるという問題もある。今回の試験的営業運行ではJRの運転士と網走バスの運転手が乗車し、鉄道と道路で交代している。これでは低コストの利点は減殺されてしまう。

 もちろん安全運行は絶対条件だ。しかし現行の法制度から見れば、想定外の乗り物である。画期的な新技術が生かされるよう、国土交通省は制度改正を早急に検討してもらいたい。

 「試験的」の三文字が取れる日が待ち遠しい。そのためにも、JRは無事故運転を心掛けてもらいたい。

線・道両用でGO 北海道「DMV」 ローカル線対策の柱に

2007年04月14日 東京新聞 夕刊

 JR北海道が開発した線路と道路の両方を走行できるデュアル・モード・ビークル(DMV)が十四日、オホーツク海沿岸の釧網線浜小清水(小清水町)−藻琴(網走市)間で試験的営業運行を開始した。低コストで線路と道路を自在に運行できるため、ローカル線対策の柱として実用化が期待されている。

 小雪がちらつく中、マイクロバスを改造した一両編成のDMV1号は午前九時二十分ごろ、浜小清水駅を出発した。往路は鉄の車輪で線路上を走り、藻琴駅で乗客十二人を乗せたまま約十五秒かけてモードチェンジし、復路はゴムタイヤで道路上を走行。JRの運転士とバス会社の運転手、ガイドも乗務した。

 乗客は約一時間、車窓の外に広がるオホーツク海の雄大な景色を満喫、釧路市の大学生近藤唯華さん(20)は「電車からの景色とバスからの景色を両方楽しめて得した気分。乗り心地も快適だった」と満面の笑み。大学の鉄道研究会に所属する北見市の林恵太郎さん(19)は「1号に乗れるなんて感動」と話した。

 釧網線での試験的営業運行は六月末までの週末を中心に延べ二十八日間、計八十四回を予定しており、四月十二日現在の予約率は約81%と好調。七月以降は周辺観光地を周遊するルートを検討している。当面は観光利用だが、駅から病院や公共施設を直接結べるため、静岡や熊本、宮崎などで導入が検討されている。

 DMVはJR北海道が約二億円の予算をかけて開発。車体購入費が約二千万円と鉄道車両の約六分の一、燃費も約四分の一で済む。

 小池明夫社長は出発セレモニーで「全国の期待に応えるためにも、試験的営業運行を無事故で終わらせるようしっかりと取り組みたい」とあいさつした。

<メモ>デュアル・モード・ビークル(DMV) JR北海道が2004年に開発した車両。マイクロバスを改造、鉄の車輪とゴムのタイヤを切り替えることで線路と道路を走行できる。JR北海道の柿沼博彦副社長が幼稚園児を送迎するマイクロバスを見てひらめき、試作車をつくった。反響は大きく、スロバキアからの問い合わせもある。

DMV運行開始 バスから列車にモードチェンジ

2007/04/14 The Sankei Shimbun WEB-site

 JR北海道が開発した線路と道路の両方を走行できるデュアル・モード・ビークル(DMV)が14日、オホーツク海沿岸の釧網線浜小清水(小清水町)−藻琴(網走市)間で試験的営業運行を開始した。低コストで線路と道路を自在に運行できるため、ローカル線対策の柱として実用化が期待されている。

 マイクロバスを改造した1両編成。往路は鉄の車輪で線路上を走り、藻琴駅で約15秒かけてモードチェンジし、復路はゴムタイヤで道路上を走行。乗客定員は12人で、JRの運転士とバス会社の運転手、ガイドも乗務する。

 試験的営業運行は6月末までの週末を中心に延べ28日間、計84回を予定しており、4月12日現在の予約率は約81%と好調だ。7月以降は周辺観光地を周遊するルートを検討している。

 DMVはJR北海道がローカル線対策として約2億円の予算をかけて、平成16年に開発。車体購入費が約2000万円と鉄道車両の約6分の1、燃費も約4分の1で済む。当面は観光利用だが、駅から病院や公共施設を直接結べるため、静岡や熊本、宮崎などで導入が検討されているほか、海外ではスロバキアからの問い合わせもある。

線路と道路の両方を走れるDMV、北海道で試験営業開始

2007年04月14日 asahi.com

 JR北海道が開発し、線路も道路も走れる「デュアル・モード・ビークル(DMV)」の試験営業が14日、北海道のオホーツク海沿いのJR釧網線で始まった。第1号は満席となり、12人の乗客が約1時間、列車とバスの二つの旅を味わった。

 DMVは鉄道用の車輪とタイヤの両方を装え、ボタン一つで10〜15秒で切り替える。車両は1両で午前9時半すぎに浜小清水駅(小清水町)を出発。藻琴駅(網走市)との約11キロを往路は線路を、復路は並行する国道244号を走った。切り替えに合わせて、運転もJRの運転士から網走バスの運転手に代わった。

 乗客の一人で釧路市の大学3年、山本恵さん(20)は「切り替えの時にもっと揺れるかと思っていたら、意外にスムーズでした。乗り心地も快適で楽しかった」と話していた。

 試験営業は1年程度の予定で、6月までは原則として土・日曜、祝日に1日3往復する。料金は大人1500円、小学生以下1000円。既に8割程度が予約で埋まったが、5月の連休中にまだ空きがあるという。予約は011・251・1322へ。

路面電車に復活ムード

日経 WagaMaga

 「チンチン電車」としてかつて親しまれた路面電車を見直す動きが広がっている。ただし、最新技術を使ってだ。富山市では日本初の本格的な新型路面電車「LRT(ライト・レール・トランジット)」が成功。京都市も路面電車整備を計画中だ。東京都はレトロ風デザインの都電車両を投入する計画。線路上も道路上も走れるJR北海道のデュアル・モード・ビークル(DMV)は4月から試験営業が始まる。

 富山市の第3セクター、富山ライトレールが2006年4月から走らせているLRTの愛称は「ポートラム」。西日本旅客鉄道(JR西日本)から赤字ローカル線の富山港線を引き継いだ。高齢者や乳幼児が乗り降りしやすい低床車両が好評だ。

 単に車両を新しくしただけではない。同じホームでバスに乗り継いだり、運行本数を大幅に増やすなど、創意工夫を取り入れている。

 工夫の甲斐あって、1日平均の乗客数は5000人を超え、当初目標の3400人を大きく上回った。JRのころと比べると、実に2倍以上で、新たな市民の足として着実に定着しつつある。久々に登場した新型交通機関で、しかも町並みを眺められる路面電車とあって、観光資源としての魅力も大きい。とりわけ鉄道愛好家にとっては今、乗ってみたい列車の1つとなっているようだ。

 富山市の成功は全国から注目を浴びている。京都市はLRT網整備を選択肢に入れて検討を進めており、既に今出川通で市バスをLRTに見立てた実証実験を済ませている。堺市も全線が新線となるLRT導入に前向きだ。福井市でもLRT化の動きがある。

 世界初のアイデアで脚光を浴びているのが、JR北海道のDMVだ。線路と道路の両方を走れる世界初の両用車だ。「デュアル・モード・ビークル」とは、英語で「2種類の方式で走る乗り物」という意味。その名前の通り、道路上はゴムタイヤでバスとして走り、線路では鉄製車輪で列車として運行する。

 車体は市販のマイクロバスを改造した。両用車はかつて英国やドイツでも鉄道車両を道路で走らせる方式が研究されたことがある。しかし、DMVのようにバスに鉄輪を備え、線路を走らせるというな発想は生まれなかった。

 DMVは道路渋滞や降雪が起き、道路通行が難しくなれば、線路へ乗り換えることができるといった、交通事情に応じた運用が可能な仕組みで、赤字路線での活用が期待されている。線を高速で貫く鉄道と、面をカバーするバスという異なる役割をかねるDMVの使い道はアイデア次第で広がりが出そうだ。

 JR北海道は4月14日から釧網線の浜小清水−藻琴駅間でDMVの試験営業を始める。6月末までの土、日曜日とゴールデンウイークに1日3往復する。7月以降には観光地を巡るルートに変更するプランもあるという。

札幌市を走る路面電車

 バスの運転手と鉄道の運転士の両方が乗る。今回の試験営業では観光ガイドも乗る。チケットの予約受け付けは電話、インターネットで既に始まっている。料金は大人1500円、子供1000円。

 往路は線路を走り、帰りはバスとして道路を走る。所要時間は1時間足らずだ。1両編成(定員16人)で走る。

 DMVのメリットは製造、運行コストの安さ。従来の鉄道に比べて、市販のマイクロバスを使うDMVは車両費用が格段に割安だ。車両費用は1台約2000万円と、従来の鉄道車両の8分の1程度と安上がり。燃料費や保守費も数分の1程度で済むという。電車からバスへの乗り換えなしで、目的地へ直接向かえるのも利点だ。既存の鉄道インフラを活用できるので、運営コストを抑えられる。

 静岡県富士市や千葉県の小湊鉄道、第3セクターのいすみ鉄道(千葉県大多喜町)、わたらせ渓谷鉄道などで、DMV導入の機運が盛り上がっている。1月には北海道外で初めて富士市が地元で走行実験を済ませた。

 かつては自動車交通の妨げになるとして相次いで廃止に追い込まれた路面電車。しかし、このところ、排出ガスや騒音の面で環境にやさしく、市街地の渋滞緩和に役立つ乗り物として、その効用を見直すムードが地方都市の間で強まっている。

 東京都も路面電車路線のテコ入れに動く。都内に残る唯一の路面電車、都電荒川線に昭和初期を思わせるレトロ調の新型車両を導入する計画だ。一部の停留所も昭和30年代のイメージで改装し、観光客を呼び込もうとしている。

 路面電車が観光客獲得に役立つ例はいくつもある。坂道を走る路面電車はサンフランシスコ名物として名高い。映画「欲望という名の電車」で有名なのは米国ニューオーリンズ市の路面電車だ。香港の路面電車は2階建て。ポルトガルのリスボンやオランダのアムステルダムでも路面電車が走っている。パリでは渋滞と大気汚染を緩和する効果が期待されて2006年末、路面電車が約70年ぶりに復活した。

 路面電車は最も多かった時期には全国で60都市以上に路線があった。しかし、1960年代以降のモータリゼーションの普及や、バス・地下鉄などの路線充実のあおりを受け、衰退の一途をたどった。現在では往時の4分の1程度の10数都市に減っている。

 しかし、ここに来て、LRTやDMVといった新車両・技術のおかげで路面電車復権の兆しが見え始めた。北海道、富山での最新の乗り心地を試し、今なお残るオールドスタイルの路面電車を訪ねる全国路面電車の旅の旅という新しい楽しみも生まれている。(以下略)

一部廃止方針の島原鉄道にDMV導入、市長が提案へ

2007年02月15日 Yomiuri On-Line 九州

 島原鉄道(本社・島原市)が来年3月末に島原外港(島原市)〜加津佐(南島原市)間を廃止する問題で、島原市安中地区の住民団体が13日、市と島鉄に島原外港から同地区までの存続を求める要望書を提出した。これに対し、吉岡庭二郎市長は、線路と道路の両方を走る「デュアル・モード・ビークル(DMV)」導入を私案として島鉄に提案する考えを明らかにした。

 要望書を出したのは安中地区町内会連絡協議会(横田勲会長)と同地区まちづくり推進協議会(大町辰朗会長)。同地区は南島原市と接し、普賢岳噴火災害時に土石流で住宅が押し流されたり、線路が寸断されたりした。復興事業で、かさ上げされた土地に住宅が再建され、雲仙岳災害記念館などの観光施設もできた。

 両協議会は「路線廃止は復興の総仕上げとなるまちづくりに支障をきたす。観光への影響も考慮してほしい」とし、駅名は示さず島原、南島原市の境にある水無川までの存続を求めた。

 吉岡市長が提案するDMVはマイクロバスを改造した車両で、車体の下から車輪を出し入れして道路と線路を自由に行き来できる。利用客の少ない路線のコスト削減のためJR北海道が開発を進めており、4月から北海道釧路市と網走市を結ぶ路線の一部区間で試験的に営業運行を始める。

 市長の私案は、DMVが水無川付近まで線路を走行し、その先は道路を走るというもの。市長は「市、住民、島鉄が一緒になって策を考えたい」と話した。

 一方、島鉄は両協議会の要望に対し、「廃止はあくまで収支改善が目的。いい案があれば検討したい」としている。

ローカル線の救世主

2007年01月26日 Yomiuri On-Line 北海道

星 裕水

 今、最も注目されている地方私鉄といえば、千葉県の銚子電鉄。経営難に陥り、「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という書き出しで始まる公式サイトは、ネット上で大きな反響を呼んだ。副業のぬれ煎餅(せんべい)(これが想像以上に美味)には注文が殺到し、車両の検査費用を捻出(ねんしゅつ)できたという。そのうえ、観光目当てに訪れる乗客が急増中。

 また、和歌山県の和歌山電鉄貴志駅では、駅売店のネコが駅長に任命された。どこの地方私鉄も、ひとりでも多く乗客を増やそうと話題づくりに必死なのだ。

 そんな中、JR北海道が開発した、線路も道路も走れるデュアル・モード・ビークル(DMV)は、経営難のローカル線にとっては機能・コストの安さともに魅力的であり、話題性も豊富。ついに今年4月から、釧網線での試験的営業が決定した。鉄道ファンはもちろんのこと、運輸業界や地方自治体からの関心もピークに達しそうだ。

 雪がとけ、新緑の息吹に満ちあふれた浜小清水をトコトコ走る黄色いDMVの姿は、釧網線の新しい風景となっていくだろう。本格導入に向けてクリアすべき問題は多々あれど、今後の国内ローカル線どころか、海外の鉄道の救世主にもなる可能性を秘めている。本業で起死回生をかける鉄道会社の努力に期待したい。

DMV 夕張を走る?

2007年01月11日 Yomiuri On-Line 北海道

JR北海道構想 地域の足、観光支援に

 財政再建団体に移行する北海道夕張市内に、道路と鉄路の両方を走行できるDMV(デュアル・モード・ビークル)を導入する構想が、JR北海道内に浮上していることが11日、明らかになった。地元住民の生活の足を確保するとともに、注目の新型車両の導入で観光活性化の呼び水にする狙いがある。

 DMVはJR北海道が独自に開発を進めてきた車両で、客が乗車したまま、鉄路用と道路用に走行モードを短時間で切り替えられるのが特徴。過疎化に伴い全国でローカル線の廃止が相次ぐ中、残ったレールを活用して地域の足を確保する手段として、各地の自治体などから注目を浴びている。

 JR北海道の坂本眞一会長は、民間有志による「夕張応援団」を結成するため、旗振り役を務めるなど、夕張支援に積極的なことで知られる。財政再建団体入りでバス路線の存続も危ぶまれる同市への支援を検討する中で、同社の目玉商品であるDMVの活用が浮上してきた。導入の際は、スキー場、観光施設などが集中する同市南部の石勝線・夕張駅を拠点に活用されるとみられる。

 JR北海道は4月から、釧網線藻琴駅(網走市)―浜小清水駅(小清水町)間で、全国で初めて観光客などを対象にDMVの試験走行を兼ねた営業運転をスタートさせる。夕張へのDMV導入が実現すれば道内2例目となるが、同社は釧網線で蓄積するデータやノウハウを踏まえ、夕張市への導入の可能性を検討する方針だ。

線路からスムーズに道路へ 静岡でDMVの走行試験

2006年11月25日 中国新聞ニュース

 マイクロバスを改造し、線路と道路の両方を走行できる「デュアル・モード・ビークル(DMV)」の導入を検討している静岡県富士市は24日夜から25日早朝にかけて、市内の岳南鉄道で試験走行をした。

 JR北海道が開発した28人乗りの車体を借りて実施。線路を約3キロ走行後、わずか10秒ほどで鉄の車輪をしまい路上走行モードに切り替え、踏切から道路に進んだ。乗車した同社の技術者らは安全性や乗り心地などを確認していた。試験は26日まで。

 DMVは製造、運行コストが安く、乗り換えせずに駅から目的地へ行けるなどの利便性の高さが特長。JR北海道が来年4月から道東部の釧網線の一部区間で試験的な営業運転を始めるほか、第3セクター線などを抱える各地の自治体も導入に関心を示している。

DMV 本格稼働へ課題 【ニュース縦横】

2006年08月13日 asahi.com

 ■ バス+鉄道  来春釧網線で「試験営業運行」

 線路と道路をともに走ることができるJR北海道のデュアル・モード・ビークル(DMV)が来年4月、JR釧網線で試験的な営業運行を始める。「走り」の安定性は本格的な営業運行ができるほど高まったが、車体が軽すぎて、鉄道ならではの列車検知と信号システムが作動しにくい。安全面に課題が残り「試験的」と前置きが付いた。「新しい乗り物」の本格稼働まであと一歩だ。 (報道部・綱島洋一、有山佑美子)

 ■ 軽い車体、信号作動せず

 「釧網線の浜小清水〜藻琴間(11キロ)」。JRが決めた運行路線は予想を覆した。試験運転をした学園都市線や日高線のほか、道路と鉄道を交互に走り、ラベンダー観光が楽しめる富良野線が想定されていたからだ。

 浜小清水〜藻琴は知床に近く、原生花園などの観光名所がある。営業運行をすれば観光客を引きつける。だが、選ばれた理由はまだある。

 ■ 鉄道ルールが壁

 DMVはバスとして走るには支障がない。問題はレールを走る場合だ。開発を率いたJRの柿沼博彦副社長は「DMVはバスでも鉄道でもない新しい乗り物。いわばイノベーション(技術革新)」というが、国土交通省は「レールを走る場合は既存の鉄道のルールにのっとる必要がある」。

 在来線では、鉄製のレールに電流を流し、列車がどこを走っているかを把握する列車検知システムが使われている。列車がレール上を走ると、電流は鉄の車輪を伝い、もう一方のレールへと流れる。信号の切り替えや踏切遮断機の上げ下げとも連動している。

 鉄道車両は軽量化が主流だが、マイクロバスを改良したDMVは軽すぎた。既存の列車は約40トン。DMVは約6トン。これまでの走行試験では、降雨などの際に電流がDMVの車輪に伝わらない事例があった。

 JRと国交省によると、列車に重みがあれば、レールと車輪が密着し、電気が流れる。現状ではDMVを重くするしか抜本的な解決策はなく「イノベーション」として生まれたDMVが重い鉄道車両を前提とした旧来の列車検知システムに縛られる結果となった。

 このため、国交省は既存の列車が多く走る鉄道路線では列車の追突や正面衝突事故が起きる可能性がぬぐいきれない、との立場。しかし、DMVと在来線の両方を検知するシステムの開発には費用と時間がかかる。

 ■ まずデータ蓄積

 そこでJRは本格的な運行に必要な安全対策は今後、確立するとして、単線で既存の列車も一日9往復と少ない浜小清水〜藻琴間で試験的な営業運行を始め、技術データを蓄積することとした。

 浜小清水〜藻琴間が浮上したのは、運行区間内には列車用の信号がないからだ。鉄道の安全基準により、信号と信号に挟まれた区間には自分以外の列車が走行しない。もし列車検知システムがDMVを感知できなくても、この間を走る限りは信号に影響を与えず、後続列車が入り込んで衝突することはない。

 JRはDMVが踏切に近づいた場合に遮断機が確実に下りるよう、踏切付近に限って電気が流れやすい素材のレールを導入するなどの技術的な対応を進める。列車の走行位置を把握するために、GPSなどを活用することも想定している。

 国交省もDMVの普及をにらみ支援態勢を整える方針だ。今月末にまとまる来年度予算の概算要求に安全対策を含めた支援予算を盛り込む方向で検討を進めている。

 《キーワード》

 ◆DMV  JR北海道は「DMVほど時代を先取りした乗り物はない」と胸を張る。赤字ローカル線でも、既存のレールが使える。新たなインフラ整備は不要だ。JRの試算だとCO2排出量も既存の鉄道に比べ4分の1程度で環境にいい。燃費も道内のディーゼル列車の4分の1だ。柿沼副社長はバスと鉄道の乗り換えなしについて、「少子高齢化社会にもふさわしい」と自賛する。

                ◇

 ■ 「観光にメリット」――地元は歓迎

 DMVがJR釧網線の浜小清水―藻琴間で試験的に営業運行されることに、地元の網走市や網走支庁小清水町は「話題性のあるDMVがオホーツク地域を走ることは、観光面で大きなメリットになる」と歓迎する。

 JRが検討している鉄路と道路のルートには、小清水原生花園とラムサール条約登録湿地の涛沸湖のほかに、同湖と藻琴湖の南側の畑作地帯も含まれる。

 網走市の鈴木雅宣助役は「世界自然遺産・知床への玄関口で、野鳥や野生の草花の宝庫である一帯の良さを再認識してもらうきっかけになる。畑作地帯も景観に恵まれ、具体的なルートづくりを提案したい」と話す。

 また、小清水町の林直樹町長も「観光客が(畑地帯など)普段は通らない場所を見てもらうことで、新たな観光資源の掘り起こしにつながれば」と歓迎する。一方で「採算の問題はあるだろうが、公共交通機関としての在り方も試験営業で検討してほしい」と、地域の足としての活用にも期待を込めた。 (網走支局・島田賢一郎)

ローカル輸送の次世代車DMV、雪に足元をすくわれる

2005年11月17日 Response

 14日深夜、北海道月形町内で、JR北海道の試験車両『デュアル・モード・ビークル(DMV)』が脱線事故を起こした。DMVは道路から線路への乗り入れを可能とする特殊車両で、同社がローカル線での運行を前提に開発を進めている。

 JR北海道によると、事故が起きたのは14日の午後11時50分ごろ。北海道月形町内のJR学園都市線・石狩月形−豊ケ岡駅間で、鉄道車両モードで線路を走行していたDMVが踏切内に積もった雪に乗り上げて脱線。ブレーキがほとんど効かないまま軌道外に逸脱した。当時はDMVの2両連結による走行試験を実施しており、車内には約10人の技術スタッフが乗車していたが、事故によるケガ人は無かった。

 DMVは、マイクロバスをベースとした車体にレール走行用の特殊車輪を備え、タイヤの回転をこの車輪に伝達することでレール上を鉄道車両のように走行することを可能としている。踏切を介し、鉄道線から一般の道路に乗り入れることも可能で、JR北海道がローカル輸送用の次世代車として開発を進めている。

 JRでは「踏切内に積もった雪にタイヤが乗り上げ、これが原因でスリップして路外に逸脱した」と推測している。DMVは一般の鉄道車両よりも重量が軽く、積もった雪を排除しながら走る能力に欠けていることも原因のようだ。まだ2両しかない“虎の子”であるため、復旧作業を慎重に進めた結果、JR学園都市線は一部区間で列車7本が運休するなど、一部で混乱した。《石田真一》

新交通システム導入の意義

2005年09月01日 静岡新聞

 2005年8月31日に鈴木尚富士市長が、DMV(デュアル・モード・ビークル)という次世代型車両を使った新交通システムを、JR富士駅と新幹線富士駅間のアクセス改善のために導入していく意向を示しました。

 新交通「DMV」とは、道路と鉄路の双方を走行可能な車輌です。道路では、ゴムタイヤだけで走行し、鉄路では鉄の車輪とゴムタイヤを併用して走行するようです。このような夢の乗り物をJR北海道が実用化に向けて開発してます。

 鈴木市長は、29日と30日とJR北海道本社を訪ね、来年迎える市制40周年の記念事業として、DMVのテスト走行を富士市内でも実施してもらうよう要請しました。JR北海道は「まだ試験段階で、どこで運行するかは未定」としているが、鈴木市長は「要望に対する感触は良かった。JR側と情報交換しながら、導入への具体的作業を進めたい」とのことです。

デュアルモードビークル

2004年10月09日 TAHOO!辞書

 英語名の頭文字をとってDMVと略すこともある。JR北海道が開発している道路と線路の両方で走ることができる両用車。

 走行試験はマイクロバスを改造したものが使われ、車体の下から鉄の車輪を出し入れして、線路走行時には鉄の車輪、道路走行時にはゴムタイヤと、道路と線路を自由に行き来できる。

 線路上では時速70キロメートル程度を出せるが、道路上は法定速度で走る。線路から道路への乗り降りに要する時間は、わずか10〜15秒。1両約1500万円と量産も可能で、2007年度の実用化を目指している。

 似た形式としてデュアルモードバスがあるが、こちらは専用路走行中はゴムタイヤをつけた無人電車として走行し、専用路を出ると運転士の操作による電気バスと同じ機能で走行する。1976年に試作車が完成したが、実用化のめどが立たないまま実験は終了している。

玉置 俊治 JR北海道技術開発部長<下> 「成功以外はあり得ない」

2004年10月07日 Yomiuri On-Line

「成功以外はあり得ない」

 JR北海道の技術開発部には「玉置ノート」というものがある。ノートには、玉置俊治(55)がこれまでに開発してきた鉄道技術のエッセンスがびっしりと書き込まれている。部下たちは、それをひそかにコピーしては、技術開発の手がかりにする。

自分の勉強も人一倍

 玉置にとって、鉄道マンはあこがれの職業ではなかった。「もともとはテレビ局志望だったんです」と笑う。たまたま電気の専門家を欲しがっていた国鉄に縁あって入社したが、周囲は「テレビ局に入ったとしても、すごい技術を開発したに違いない」と話す。

 玉置は、自費で1万円前後もする専門書をたびたび購入しては部下に読ませる。運用車両課副課長の後藤昭裕(45)は「ミスは絶対に許さないかわりに、自分の勉強も人一倍する人」と玉置を評する。

 玉置が生み出した技術の中に「交流回生システム」がある。電車を止める運動エネルギーを熱に変えて放出していたのを、電気に変え、電力会社に供給する省エネシステムだ。

 同システムのメーカー、日立製作所交通システム事業部の堀江哲(47)は「試験区間内の全変電所に人をはり付け、データを取る緻密(ちみつ)さに仰天した。部分的にデータを取ればいいという考え方は決して許さなかった」と振り返る。

 部下の一人、難波寿雄・技術開発部主幹(47)は「玉置さんには『石橋をたたけ。たたき壊してもいい。妥協するからミスするんだ』と教えられた」と話す。玉置は言う。

 「われわれの仕事は、一度でも失敗すれば、それだけ新車両、新技術の導入が遅れる。だから議論を尽くす。成功以外はないんだ」

士気高揚にユーモア

 こういった厳しさの一方、ユーモラスな一面もある。部内でアイデアに行き詰まっていたある日、玉置は突然外出して、一瓶1万円もするドコサヘキサエン酸(DHA)の錠剤を買ってきた。DHAは脳細胞の活性化に有効といわれる。後藤は「これを飲んで案を出せということなのだろうが、真顔で買ってきた玉置さんの行動にその場の雰囲気が和み、士気は上がった」と話す。

 玉置は現在、次世代特急や線路と道路の両方を走れる「デュアルモードビークル」などの開発に取り組む。

 だが、定年の日は着実に近づいている。技術者として交友のあるJR東日本運輸車両部の新井静夫(53)は「うちも同じだが、最近は後継者づくりの話がほとんど」という。

 玉置は最近の技術者に、こんなエールを送る。

 「発想を絵にするイメージ力が乏しい。自分で発想して、徹底的にやり抜いてほしい。自分でアイデアをぶち上げないと、意欲も続かないんだ」

行きはレールで帰りは道路…デュアルモード・ビークルの試験開始

2004年07月08日 Response

 JR北海道は7日、道路から線路への乗り入れを可能とする特殊な構造の車輪を備えた『デュアル・モード・ビークル』(DMV)の試験走行の模様を報道各社に公開した。

 DMVはJR北海道が3年後の実用化に向けて開発や実験を進めているもので、今回はJR学園都市線の石狩月形−晩生内(おそきない)駅間、約12kmを使って往路は線路、復路は道路という行程で走行試験を行った。

 石狩月形駅を出発したDMVはJR学園都市線の線路を通常の列車と同じく70km/hで走行。晩生内駅近くの踏切から一般道に入り、並走する国道275号線を使って60km/hで出発地の石狩月形駅前に戻った。

 線路から道路への離脱と、道路から線路への進入に要するのは10−15秒とスムーズ。同社では11月に実用化に先駆けた2台目の実験車両を製造するとしているが、それまでの間は既存の車両を使い、JR学園都市線において同様の試験走行を昼夜に行うとしている。

 メカニズム的な試験を夏場に行い、冬には凍結路面から線路へのアクセスについて、2台の車両で場所を変えながら実験を行う予定だ。

 道路と鉄道をシームレスに接続できることもあり、大きな輸送力を必要としない過疎地への導入や、バスと同様の使い方によって鉄道の延びていない地域にもアクセスを便利にするなどの期待がもたれている。《石田真一》

道路と線路、シームレス---JR北海道が新型車開発

2004年01月29日 Response

 JR北海道は28日、道路から線路への乗り入れを可能とする特殊な構造の車輪を備えた『デュアル・モード・ビークル』(DMV)の試験車を完成させ、その試運転の模様を公開した。

 保線作業用に同様のコンセプトを採用した軌陸車というものはこれまでにも存在しているが、旅客輸送用として実現化された場合には世界初となる。

 これはJR北海道が研究・開発を進めてきたもので、ベース車両となったのは通常のマイクロバス。

 「モードインターチェンジ」という左右にガイドレールを備えた場所を介して道路から線路内に進入するようになっている。線路内に入ると車体前部から鉄道用の車輪が下がってきて前輪をリフトアップする。

 後輪についても同様だが、後ろの車輪は一部が後輪タイヤと接するようになっており、後輪タイヤが駆動することによってそれを鉄道用の車輪に伝達する仕組みだ。

 これまでにもトラックに同様のシステムを備えた軌陸車というものが存在するものの、線路に進入するためには踏切などで停止してジャッキアップし、線路の位置を見極めた上で車輪を出し、レールに乗せる必要があった。

 しかし、DMVではモードインターチェンジと、正しい場所に車輪を導くガイドローラーの働きによって、15秒程度のわずかな時間で線路に入っていくことができる。このシームレスな乗り入れを実現させたことで、実用化までの道のりがだいぶ短くなったという。

 JR北海道がこうしたクルマの開発に着手したのは、乗客減少が目立つローカル線などで必要な運行本数を低コストで維持する必要があるからだ。鉄道用のディーゼル車両の運行コストは非常に高く、乗客が少ない路線では燃料代に満たない運賃収入しか得られないことも珍しくない。

 しかし、DMVであれば運行コストはクルマとほとんど変わらず、鉄道が設置されていない場所にもクルマ(路線バス)としてそのまま乗り入れることができるというメリットがある。ローカル線のお得意様といえば運転免許を持たない高校生だが、DMVがあればドアtoドアで通学させることも夢ではなくなる。

 今回開発された試験車両は25人乗りで、線路内での最高速度も60km/hだが、同社では小型鉄道車両並みの着座定員40人、同70km/hを目指すとしている。法的な位置付けが微妙ではあるが、旅客用として実用化された場合には世界初となり、赤字解消の手助けともなるだけに、JR北海道がDMVに抱く期待は非常に大きいようだ。《石田真一》

HOME宇宙・科学