TOPIC No.6-22 情報収集衛星(偵察衛星)

01.情報収集衛星 by フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02.内閣衛星情報センター by Weblio
03.情報収集衛星 / IGS
04.日本の情報収集衛星T(2002/03/02) by東京サバイバルゲームチーム METAL BEE
05.内閣衛星情報センター 北浦副センター
06.内閣衛星情報センター 阿久根受信管制局
07.打上げ予定 by NASDA
08.H-IIAロケット6号機/情報収集衛星2号機の打上げ失敗について(2003/11/29) byJAXA
09.テボドン&不審船謀略:直近の成果 by『憎まれ愚痴』1999.4.16
10.宇宙基本法の目次 by宇宙政策シンクタンク 宇宙の会 
11.宇宙の軍事利用に関する質問主意書 平成十八年六月十四日提出 質問第三四七号 吉井英勝


情報収集衛星が運用障害 監視システムに支障も

2010/08/29 中国新聞ニュース

 政府の情報収集衛星「レーダー2号機」に障害が発生し、23日から運用できない状態にあることが分かった。レーダー2号機は、1998年の北朝鮮の弾道ミサイル発射を機に導入した監視システムを担う衛星4基のうちの1基で、システムの機能低下が懸念されている。

 防衛省関係者は「ほかの衛星がカバーして影響は最小限に抑えている」と説明するが、夜間や悪天候でも撮影可能なレーダー衛星は障害が発生した1基しかない。

 内閣衛星情報センターによると、衛星の電源系にトラブルが発生、現在は復旧に向けた作業を行っている。レーダー2号機は2007年2月に打ち上げられた。設計寿命は5年程度とされるが、同センターは原因について「経年による影響と考えられる事象」と説明している。

 現在の監視システムは、晴天で撮影できる光学衛星3基とレーダー衛星1基で構成。政府は、地球上の特定の地点を1日1回以上撮影するため、今後の打ち上げで光学とレーダーの衛星をそれぞれ2基ずつ運用する4基体制を目指している。

 これに関連し、菅直人首相は28日、視察先の北九州市で記者団に「レーダー衛星は夜間の情報収集に非常に役立ってきた。調子が悪いのは大変残念なことだ」と指摘。同時に「情報収集の上でマイナスにならないよう、できる限りの対応策を取りたい」と強調した。

H2Aロケット打ち上げ成功 北監視の情報衛星搭載

2009.11.28 MSN産経新聞

情報収集衛星「光学3号機」を搭載し、打ち上げられるH2Aロケット16号機=28日午前10時21分、鹿児島県・種子島宇宙センター

 政府の情報収集衛星光学3号機を搭載した国産大型ロケット「H2A」16号機が28日午前10時21分、鹿児島県の宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターから打ち上げられ、約15分後にロケットからの分離に成功した。予定軌道への投入が確認されれば、事実上の偵察衛星である光学3号機によって、弾道ミサイルや核の開発を続ける北朝鮮への監視の目は強化される。

 光学3号機は高度数百キロで地球を南北に周回。約3カ月間の機能チェックを経て本格運用に入る。衛星開発費は約487億円、H2Aでの打ち上げ費は約94億円。

 光学3号機が搭載するセンサーは超望遠デジタルカメラに相当し、識別可能な物体のサイズ(解像度)は白黒で約60センチとされる。現在の光学1、2号機(解像度約1メートル)よりも大幅に向上したが、撮影は晴天時の昼間に限られる。

 これまで政府が運用してきた情報収集衛星は光学1、2号機、曇天や夜間でも撮影できるレーダー2号機と光学3号機の性能に近い実証衛星を加え、事実上4基。このうち光学1号機は既に設計寿命を越えており、光学3号機が代替機となる。

 ただ、衛星の数は増えても政府目標の1日1回は全世界を撮影可能とする体制には、光学、レーダー衛星2基ずつが必要。そのため、目標の達成はレーダー3号機が打ち上げられる平成23年度以降となる。

 ■情報収集衛星 内閣官房に置かれた内閣衛星情報センターが運用する事実上の偵察衛星。平成10年、北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン1号」が日本上空を通過したことで導入された。15年に初打ち上げ。晴天時の昼間に撮影できる光学衛星と、夜間や曇天でも撮影できるレーダー衛星のペアが基本。2ペア4基がそろうと地上のどこでも1日1回は撮影できる。同センターは東京都新宿区に中央センター、茨城県に副センター、北海道と鹿児島県に衛星からの受信局がある。


日本、5年間で衛星34基打ち上げへ

2008年05月07日 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員

ミサイル発射を早期探知

 日本政府は他国のミサイル発射状況をリアルタイムで探知できる早期警戒衛星を2013年までに導入する懸案について、前向きに検討することを決めた。また、現在3基運用されている情報衛星も4基に増やす。

 日本政府の宇宙開発戦略本部は27日に専門調査会を開き、5年間にわたる宇宙開発戦略を盛り込んだ計画案をまとめた。この計画案は閣議を経て、5月末に最終的に確定する。

 日本経済新聞は「宇宙技術を防衛分野に利用できるようにする内容が初めて明文化された」と報じている。

 早期警戒衛星導入をめぐる論議はこれまでもあったが、1基当たり5000億円という莫大(ばくだい)な予算が必要なため、なかなか順調に進まなかった。しかし、今月初めの北朝鮮によるロケット発射以降は論議が加速化し、今回事実上決定した。日本は北朝鮮のロケット発射情報を米国から入手していた。

 今回の計画案のもう一つの特徴としては、「宇宙利用に関する初の国家戦略で、天体観測など基礎科学の底上げを重視する路線から産業振興に政策の重点を転換した」ことだと同紙は伝えている。これにより、商業衛星を含むすべての衛星打ち上げ数を2009年から13年の5年間で34基に増やすことを決めた。これは、過去5年間に打ち上げられた衛星の2倍に相当する。衛星利用測位システム(GPS)や自然災害監視など、衛星市場を拡大するためだ。今回の計画案には20年に無人月探査船を打ち上げる計画も含まれている。

宇宙基本法、共同提案へ 偵察など防衛利用を容認

2008年05月07日 中国新聞ニュース

 自民、公明両党と民主党は7日、自衛隊による独自の偵察衛星の開発、運用など宇宙の防衛利用を容認する宇宙基本法案を、9日にも議員立法で衆院内閣委員会に提案することで大筋合意した。

 与党が昨年提出した法案は取り下げる。3党の賛成で今国会中にも成立させたい意向だ。

 日本の宇宙開発は、平和目的に限るとした1969年の国会決議に基づき「非軍事」を原則としてきたが、新法案は従来の与党案と同様に「安全保障に資するよう行わなければならない」と明記し、非侵略の範囲で宇宙の防衛利用を認めている。

 宇宙の平和利用の解釈を軍事側に拡大することになるため、共産党は反対している。

 法案はまた、宇宙政策の司令塔を明確化する狙いで、内閣に首相を本部長とする「宇宙開発戦略本部」を設け、宇宙基本計画の作成に当たらせるとしている。民主党の主張に基づき、法施行後1年をめどに、従来文部科学、経済産業、国土交通など各省にまたがっている宇宙関連の政策立案機能を内閣府の「宇宙局」(仮称)に一元化する方向だ。

解像度50センチの商業衛星 米社、情報衛星上回る性能

2007年09月19日 中国新聞ニュース

 【ワシントン19日共同】米衛星画像大手のデジタルグローブ社は18日、地上50センチの物体を識別できる能力(解像度)がある次世代商業画像衛星「ワールドビュー1」の打ち上げに成功したと発表した。

 同社によると、解像度50センチは商業衛星では最高性能。事実上の偵察衛星である日本政府の情報収集衛星は解像度約1メートル、2009年度に打ち上げ予定の次世代機で目指す解像度は約60センチで、いずれも上回る。

 同社は現在、解像度60センチの衛星「クイックバード」を運用、来年末に打ち上げ予定の「ワールドビュー2」と合わせ、3基体制にするという。同社は、インターネットで地球の任意の場所の衛星画像を見ることができる「グーグルアース」にも画像を提供している。

 ワールドビュー1は、1日当たり日本の約2倍の面積を撮影する能力があり、1・7日ごとに同一地点の上空に来る。設計寿命は約7年。

米、中国監視で極秘偵察衛星 海上軍事活動を警戒

2007/06/16 The Sankei Shimbun WEB-site

 米航空宇宙専門誌エビエーション・ウイーク・アンド・スペース・テクノロジー(電子版)は15日、米国家偵察局(NRO)が同日、中国やイランの海上軍事活動を監視する極秘の偵察衛星2基をフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げたと報じた。衛星打ち上げには、国際テロ組織アルカイダと関係する船舶の動きを捕捉する目的もあるという。

 同誌によると、衛星を搭載したロケット「アトラスV」が正常に作動しなかったため、衛星は当初予定されたのとは異なる軌道上に放出されたが、目的通りの機能を果たせるという。(共同)

宇宙基本法、今国会提出へ 与党が骨子決定

2007年06月07日 中国新聞ニュース

 自民、公明両党は7日、「宇宙基本法に関するプロジェクトチーム(PT)」を国会内で開き、専守防衛の範囲で宇宙の軍事利用も可能にする「宇宙基本法案」の骨子を決めた。両党で法案化を進めて今国会に提出、継続審議にした上で、参院選後の臨時国会で民主党にも呼び掛け成立を図りたい考えだ。

 日本は「平和の目的に限る」とした1969年の国会決議に基づき、人工衛星などの宇宙開発は「非軍事に限る」としてきた。このため軍事的な偵察専用の衛星の打ち上げはできず、安全保障上の観点から問題が指摘されていた。

情報衛星高度は約490キロ 政府の秘密扱い無意味に

2007年03月17日 中国新聞ニュース

 2月下旬に打ち上げられた政府の情報収集衛星レーダー2号機と、光学3号機の実証機がともに、高度490キロ付近を周回していることが、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の公開データで17日、明らかになった。

 衛星を運用する内閣衛星情報センターはこれまで「高度は400−600キロの間」として詳細の公表を拒んできたが、データの公開で、その秘密主義も意味がなくなった格好。衛星の衝突を避けるためにデータが公表されることは予想された上、米国の民間団体の公開データベースにも一部の情報収集衛星の軌道データが掲載されていることが知られており、政府の秘密扱いは骨抜きになりつつある。

 データによると、2基は「2007−005A」と「2007−005B」という番号が付けられた。南極と北極の上空を通るように回っており、17日現在のデータによれば「005A」の高度は488−496キロ、「005B」の高度は484−488キロ。いずれも95分ほどで地球を一周している。

情報収集衛星 2基の打ち上げ成功

2007/03/01 朝雲ニュース

「光学」と「レーダー」 予定の軌道を周回

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月24日、鹿児島県の種子島宇宙センターから情報収集衛星2基を搭載したH2Aロケット12号機を打ち上げ、衛星2基を分離し、予定の軌道に乗せることに成功した。

 衛星は合成開口レーダー2号機と光学3号機実証衛星。これによりレーダー衛星と光学衛星各2基の4基体制が整い、情報収集・解析能力の向上が期待される。当初は2月15日に打ち上げを予定していたが、天候不良で3度延期していた。

 情報収集衛星は地球上のどの地点でも1日1回観測が可能で、光学衛星の分解能は地上の約1メートルの物体を識別できる。また、レーダー衛星は天候、昼夜の関係なしに約1〜3メートルの物体を識別する能力がある。収集した画像情報は地上の受信管制局、中央センター、副センターなどを通じて内閣衛星情報センターに送られ、解析・判読などが一元的に行われる。

 情報収集衛星は平成10年8月31日に北朝鮮がテポドン・ミサイルを発射、日本列島を越えて三陸沖の太平洋に落下したのを受け、同年12月22日に導入を閣議決定。15年3月28日に光学、レーダーの各1号機を打ち上げ、同年11月29日に各2号機を打ち上げたが、H2Aロケットの不具合のため指令破壊して失敗。昨年9月11日に光学衛星2号機の打ち上げに成功している。光学3号機実証衛星は21年度に打ち上げ予定の光学3号機の試験衛星。

 4基体制が整ったことについて守屋防衛事務次官は2月26日の記者会見で「情報収集衛星は、わが国独自の手段として情報収集できるものであり、防衛省としてもきわめて高い価値を置いている。従来から内閣情報衛星センターによる画像の解析結果を活用して所要の分析を行っている。この体制の充実を受け、さらに広範な地域の分析に力を集中していきたい」と述べた。

情報収集衛星を打ち上げ 4基体制で地球カバーへ

2007/02/24 The Sankei Shimbun WEB-site

 事実上の偵察衛星である政府の情報収集衛星を搭載したH2Aロケット12号機が24日午後1時41分、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた。当初は15日に打ち上げ予定だったが、悪天候のため3度延期されていた。情報収集衛星は現在3基が地球を周回しており、今回成功すれば、本格運用に必要な4基態勢が整う。

 打ち上げられたのは、情報収集衛星のレーダー2号機と、平成21年度に打ち上げる光学3号機の機能確認用の実証衛星。いずれも地球を南北に回る極軌道に投入する。レーダー2号機が予定の軌道に乗れば、既存の3基と合わせて地球上のどこでも昼夜を問わず、1日1回は監視できるようになる。

情報衛星打ち上げ24日に 天候の影響で延期

2007年02月21日 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構は21日、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で22日に予定していたH2Aロケット12号機の打ち上げを、24日に延期すると発表した。天候悪化が予想されるためという。

 12号機は政府の情報収集衛星レーダー2号機を搭載。予定通り運用されれば既に打ち上げられた情報収集衛星と合わせ4基体制となり、地球上のあらゆる地点を1日に1回撮影できるようになる。

 当初は今月15日の打ち上げを予定していたが、強風や落雷の恐れがあり延期が続いている。

情報収集衛星打ち上げ延期 悪天候のため

2007年02月16日 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構は16日、同日午後1時40分すぎに予定していたH2Aロケット12号機の打ち上げを、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)の悪天候のため延期すると発表した。

 12号機は政府の情報収集衛星レーダー2号機と、光学3号機の実証機を搭載。内閣衛星情報センターによると、レーダー2号機が予定通り打ち上げられて運用が始まれば、既に打ち上げられている3基の情報収集衛星と合わせ、計画していた4基による体制が整い、地球のあらゆる地点を1日1回撮影できる。

 光学とレーダーの2基1組の情報収集衛星のうち、現在の光学衛星1、2号機は、地上の約1メートルのものを見分ける能力があるとされる。光学3号機では能力を50センチ程度に上げることを目指しており、実証機で機器の性能確認などをする。

情報収集衛星15日打ち上げ 自前の「宇宙の目」整う

2007/02/11 The Sankei Shimbun WEB-site

 政府の情報収集衛星を搭載したH2Aロケット12号機が15日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる。事実上の偵察衛星である情報収集衛星は現在3基が地球を周回しており、今回成功すれば本格運用に必要な4基体制が整う。北朝鮮の弾道ミサイルが日本上空を飛び越えた「テポドン・ショック」から8年半。「宇宙の目」を利用した自前の監視網がようやく動き出す。(長内洋介)

1日1回監視

 情報収集衛星は平成10年、北朝鮮のテポドン発射を受けて導入が決まった。衛星画像は安全保障上の情報分析に大きな威力を発揮するが、日本はこれまで米国の偵察衛星や米商業衛星に依存してきた。北朝鮮によるミサイル発射や核開発の懸念が現実化する中で、日本独自の情報網を構築するのが狙いだ。

 昼間の晴天時に撮影する光学衛星と、夜間や曇天でも撮影可能なレーダー衛星で構成する。地球を南北に回る高度400〜600キロの極軌道を周回し、各2基ずつの計4基で運用される。

 15年3月に光学、レーダー各1号機が打ち上げられたが、各2号機を積んだ同年11月のH2Aロケット6号機が失敗。昨年9月に光学2号機が上がり、今回のレーダー2号機で当初計画が3年遅れで完了する。これにより地球上のどこでも昼夜を問わず、1日1回は監視できる態勢が整う。

「宇宙の平和利用」

 課題は高性能化だ。光学衛星の場合、識別できる地上の物体の大きさ(解像度)は1メートル。米商業衛星「イコノス」とほぼ同水準で、トラックと乗用車が見分けられる程度。解像度10数センチとされる米国の偵察衛星には遠く及ばない。

 このため政府は光学1号機の後継として、解像度を民間最高の米商業衛星「クイックバード」(60センチ)並みに高めた光学3号機を21年度に打ち上げる。センサーの改良により“視力”は野球場の選手の守備位置が分かる程度までアップ。今回の打ち上げでは、この技術を確認するための実証衛星も同時に積み込む。

 さらに23年度には、姿勢を素早く変更し、短時間に多くの場所を撮影できる光学4号機を投入。またレーダー衛星も、画質を向上させた3号機を同年度に打ち上げる。

 ただ、米商業衛星を大幅に上回る技術は「今の日本企業の開発力では困難」(政府関係者)。また、将来開発できたとしても「宇宙の平和利用」原則のため利用できないのが実情だ。

 このため与党は、宇宙開発の理念に「安全保障への寄与」を明記し、防衛目的の高性能衛星に道を開く「宇宙基本法案」を今国会に提出する。平和利用の名目と、偵察衛星という実態のかい離をどう解消するのか。ハードの向上だけでなく、画像から読み取る情報の質をいかに高めていくのか−。本格運用を機に議論が活発化しそうだ。

6回目の壁

 一方、H2Aは6号機の失敗以降、5回連続で成功し、立ち直りつつある。しかし前身のH2も含め、日本の主力機が6回連続で成功した例はない。政府の最重要ミッションで同じ失敗を繰り返せば、存在意義を問われかねない。まさに正念場の打ち上げだ。

[宇宙基本法]「日本を『後進国』にしないために」

2007年01月21日 読売新聞社説 Yomiuri On-Line

 順調にも見えるが、その実態は綱渡りでお寒い――。日本の宇宙開発の現状を見ると、そう言わざるを得ない。

 現状を打開するため、自民党が「宇宙基本法」制定を目指している。政府に宇宙戦略本部を設け、総合的に政策を進める、という内容だ。

 目標として、宇宙開発・利用による安全保障体制の強化と研究開発の促進、産業の振興の3本柱を掲げている。これに沿って、宇宙戦略本部で、政府や産業界などが取り組むべき課題と方策を基本計画にまとめ、具体化して行く。

 宇宙開発には、巨額の予算と幅広い技術、産官学の協力が必要だ。しかし、司令塔が政府になかった。早急に法案をまとめねばならない。

 だが、公明党は「宇宙の平和利用」を逸脱する恐れがないか、と基本法に慎重な構えを見せている。過剰な反応ではないだろうか。

 日本は現在、「宇宙の平和利用」について、「非軍事」としているが、国際的には特異な解釈だ。これが、自衛隊の衛星利用にも足かせとなっている。

 日本も加盟する宇宙条約は、平和利用を掲げつつ、宇宙に大量破壊兵器を配備しないことを定めている。しかし、衛星による地上監視などは言及されず、実施しても、条約上は何の問題もない。

 自民党は、基本法に「宇宙条約の定めるところに従い」との文言を盛り込み、国際標準に沿った形にする方針だ。

 宇宙は、地上監視や通信傍受など安全保障上の目的で利用される方が圧倒的に多い。それを認めない方がおかしい。

 カーナビなどに使われている全地球測位システム(GPS)や衛星通信も、もとは軍事目的だった。それが後に民間利用へ移転され、広く活用されている。

 宇宙基本法は、安全保障問題にとどまらず、バランスの取れた宇宙開発・利用を進めるのが目的だ。与党案をまとめられるよう、公明党の協力を求めたい。

 日本の宇宙開発は今、苦境にある。

 例えば、打ち上げロケットはH2Aだけだ。先端ロケットだが、成功率は91%程度で、世界水準に達していない。大き過ぎて小型、中型の衛星を上げるには小回りが利かない。打ち上げビジネスへの参入が期待されるが、実現しない。

 衛星は、世界的に注目されるようなプロジェクトが少ない。産業界も実用衛星の受注はほとんどなく、政府の研究開発絡みが頼りだ。これでは技術力の維持さえ難しい、と言われる。

 中国、インドなども宇宙開発・利用に本腰を入れている。このままでは、日本は宇宙後進国になりかねない。

【明解要解】自民が制定目指す「宇宙基本法」

2006/12/12 The Sankei Shimbun WEB-site

 自民党は宇宙開発を非軍事目的に限定してきたこれまでの政府解釈を変更するため、「宇宙基本法」(仮称)の制定を目指してきたが、今国会への法案提出を見送る情勢だ。軍事目的の宇宙開発のハードルを「非侵略」という名目で下げる法案の行方は、公明党の慎重姿勢もあって視界不良だ。(政治部 田中靖人)

 宇宙条約第4条で定められる宇宙の平和利用の「平和」について、政府は昭和44年の衆参両院の決議に基づき、非軍事と解釈している。欧米などでは偵察衛星などによる軍事利用を認める「非侵略」という解釈が大勢となっているが、日本は「近隣諸国への過剰な配慮」(自民党関係者)から国際常識より厳しい条件を自らに課してきた。

 昭和58年には、自衛隊が旧電電公社の通信衛星の公衆回線を使うことは国会決議に反するか否か、という議論が起きた。60年に、民間での利用が一般化している衛星などは利用できる−とする統一見解を政府が発表し、この論争を乗り切った。ところが、その見解が平成10年の北朝鮮による弾道ミサイル「テポドン」の発射を受け、日本独自の情報収集衛星を開発、導入することにブレーキをかけた。

 衛星の解像度(識別できる物体の大きさ)が、当時打ち上げ予定だった商用衛星の約1メートルどまりとされ、解像度10センチ程度という米軍の偵察衛星に遠く及ばないことになった。

 日本を取り巻く安全保障環境の変化に合わせ、ようやく自民党が昨年2月、河村建夫元文科相を中心に「非軍事」解釈の変更を含む宇宙政策の見直しに着手。今年3月に「宇宙基本法」の制定方針を打ち出し、6月には法案骨子を決定した。この臨時国会で法案提出にこぎつける算段だった。

 法案の基本理念には「宇宙開発はわが国の総合的な安全保障に寄与するものでなければならない」と明記され、軍事利用の余地を与えようとしている。解像度の高い情報収集衛星や、ミサイル防衛に不可欠な早期警戒衛星の開発、保有に道を開くためだ。

 しかし、与党が11月22日に立ち上げたプロジェクトチーム(PT)では、公明党が「あまり走らないでほしい」と自民党にクギを刺した。公明党が渋る理由は「党内で議論したことがない」というもの。「宇宙と原子力の平和利用は日本の科学技術政策の柱。公明党内では慎重な議論を求める声が大勢だ」(党幹部)という。

 もっとも、公明党は昭和62年に首相を会長とする宇宙開発会議を設置し、総合的な宇宙政策をとることを目指す「宇宙開発基本法案」を議員立法で国会に提出した経緯がある。平和利用の解釈をめぐる溝を埋められるかどうかが鍵だ。

                   ◇

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偵察衛星開発を容認…自民が「宇宙利用法案」原案

2006年09月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 自民党がまとめた「宇宙基本法案」原案が16日、明らかになった。

 現在は「非軍事」に限定されている衛星などの宇宙開発について、国際社会の平和、国と国民の安全確保などにも寄与できるとし、政府が独自に防衛目的の衛星を打ち上げることなどを認めたのが特徴だ。宇宙開発を推進するための戦略本部を内閣に新設することも盛り込んだ。自民党は公明党の了解を得た上で、26日召集の臨時国会か、来年の通常国会に議員立法で法案を提出する考えだ。〈基本法案原案の要旨4面〉

 日本は1967年、宇宙の平和利用原則を盛り込んだ国連宇宙条約を批准した。国会は69年に「(宇宙利用は)平和の目的」に限るとの決議を採択。欧米は「攻撃的でない軍事利用は可能」としているが、日本政府は「防衛目的の利用はできない」と解釈してきた。このため、防衛庁・自衛隊が自前の偵察衛星を開発できないという弊害があった。政府は今月11日、3基目の情報収集衛星を打ち上げた。だが、1メートルの物体を識別できる程度の民生分野で一般化した技術しか利用できないことから、北朝鮮などのミサイル発射の兆候を探るには不十分との指摘もあった。

 自民党は衛星などを防衛目的で利用できるよう、今回の原案に、宇宙開発が「国際社会の平和、わが国の平和・独立、国・国民の安全確保」に寄与しなければならないことを明記した。「防衛目的の利用はできない」との政府解釈も変更することになる。

 公明党は今後、自民党の原案を検討する方針だ。

『宇宙基本法案』自民提出へ 打ち上げ成功『偵察』衛星

2006/09/12 東京新聞

 北朝鮮の軍事施設監視などを行う政府の「情報収集衛星」(IGS)は十一日、打ち上げに成功した。北朝鮮による弾道ミサイル乱射を追い風に、宇宙からの「監視」体制が整う中、自民党は「防衛目的」の軍事利用に道を開く「宇宙基本法」(仮称)案をまとめ、今月下旬召集予定の臨時国会への提出を目指す。なし崩し的に進む宇宙の平和利用原則の見直しの是非は。 (片山夏子、山川剛史)

 ロケットからオレンジ色の炎が上がる。「おお!」。あちこちで歓声が上がる。一瞬の間の後、バリバリバリバリ−と雷鳴のような振動音を上げ、ロケットが雲間に消えると、再び大きな歓声が起きた。

 十一日午後一時三十五分。雷の影響を受け一日延びたものの、定刻に打ち上げが行われた情報収集衛星。種子島宇宙センターの発射台から約三キロ。るり色の海に臨む鹿児島県南種子町の小高い丘では、家族連れなど地元の人たち六十人あまりが見守った。

 二〇〇三年に二度目の打ち上げが失敗してから約三年。三基目の打ち上げ成功の知らせを受けて、南種子町の商店街には早速、「打ち上げ成功おめでとう」の旗が飾られた。人口七千人弱。町で唯一の二十四時間営業のコンビニエンスストアもある小さな商店街と、宇宙センターの周辺にはサトウキビやサツマイモの畑が広がる。

 ふだんは、のどかな町だが、約三カ月前から衛星の上がるこの日まで、パトカーが巡回、センターを中心に各所で検問も行われた。

 「偵察衛星の時は警備が厳しいけれど、(三年前の)前回の時はすごかった」と地元タクシー運転手(65)。その時は、身分証提示だけでなく、荷物検査や車両の下も検査されたという。

■『経済効果』住民も複雑

 「(ものものしい警備に)北朝鮮がミサイルで狙うなら、『種子島かも』と思うけど、住民にとっては経済効果の方が大きいんだよね」

 商店街には打ち上げ前から、成功を祈る旗や横断幕のほか、小学生が描いたロケットの絵が飾られ、町全体が歓迎ムードだが、複雑な思いも交錯するという。

 「ロケット基地があることで町全体が潤っているのは事実。しかし、漁協でカネをもらうのは二つの漁協だけ」

 「宇宙機構(宇宙航空研究開発機構)や三菱重工などロケット関連の人たちを優待するタクシーや飲食店もあり、快く思わない地元の人とのトラブルもある」

 町は、以前はサトウキビやサツマイモなど農業や漁業で支えられていた。だが、今はロケット関連事業で支えられ、道路も整備された。運転手は「今、この町がロケットでもっていることを考えるとね。やはり複雑だよ」。

 発射台から約三キロ地点にある温泉のおかみさん(41)は「宇宙基本法は私たちを守ってくれるということなのだろうけど、日本が軍事に傾いたら。発射台が目の前にあるから怖い」と懸念する。だが、ロケットの打ち上げのたびに客が増えるのも事実。「ロケットはうちにとっても町にとっても大きいんですよね」とため息をついた。

 農業男性(50)は、宇宙基本法について「どこまでが自衛でどこまでが軍事なのか」と平和利用から一歩踏み込む同法に疑問を呈する。「偵察衛星があっても迎撃ミサイルがなければ意味がない。迎撃ミサイルをいずれ持つのだろうが、防衛だけではなく攻撃にも使える。ミサイル保有するなら、憲法を変えなくちゃならないんじゃないか」

■北朝鮮にも近いから…

 島の北部でタクシー運転手をする男性(54)は「種子島は北朝鮮にも近い。ある程度はしょうがないけど一気に軍事に傾くのはどうか」と懸念を示した上で「宇宙が夢だけの時代はもう終わったのかもしれない」と話す。

 自民党が臨時国会への提出を目指す「宇宙基本法」(仮称)案とは何か。

 これまでの研究開発中心の宇宙開発の在り方を見直し、「わが国の安全保障、産業の振興などに寄与する戦略的な宇宙開発」に変えることが目的。総理大臣を本部長とする「宇宙開発戦略本部」を内閣に設置し、国は必要な予算配分や大型試験設備の整備を含め、総合的な施策を実施する責務があるとしている。

 自衛権の範囲であれば軍事利用も可能とし、より高解像度の衛星や弾道ミサイル発射も検知する早期警戒衛星の開発にも道を開く内容だ。

■『基本法に追い風だ』

 この日、種子島で衛星打ち上げを見守った自民党の宇宙開発特別委員会副委員長の河井克行氏も感慨深げだ。一年前から勉強会を開き、同法案づくりに奔走してきただけに「再チャレンジで成功したことがうれしい。冬にもう一つのレーダー衛星が打ち上がり、四基体制ができれば、やっと地球上のどの地点もカバーできる。基本法にも追い風だ」と声を弾ませる。

 河井氏は「専守防衛の国にはしっかりした情報収集能力が必要だ。テーク・アンド・テークでは同盟関係はうまくいかない。ギブ・アンド・テークの関係ができてこそ情報ももらえる。今回の打ち上げ成功は外交上の意義も大きい」と強調する。

 四基一組が四セットの計十六基体制が理想だとしたうえで、「さらに衛星が高度や撮影角度を変えるなど、より高度な技術開発が必要。基本法制定はその重要な一歩になる」と期待する。

 日本経団連も六月下旬に宇宙開発で提言を発表し、「宇宙開発は社会インフラを提供し、安保、防災、外交などの手段として重要な役割を担う」と推進の立場だ。

 ただ、宇宙開発をめぐる政府の対応はご都合主義的な側面も目立つ。

■政府の見解当初『非軍事』

 一九六九年には「平和目的の利用に限る」との国会決議が採択され、政府見解も「非軍事を指す」というものだった。それが、八五年には「利用が一般化している衛星」については「自衛隊による利用が認められる」との見解に転換。九八年の北朝鮮のテポドン発射を受ける形で自前の衛星導入につながった。

 内閣衛星情報センターによると、九八年以降、衛星の開発、打ち上げ、運用に費やした金額は五千五十億円。安全保障だけでなく災害なども含めた多目的な情報収集衛星とされるが、費用の内訳については「情報収集に支障が出るため」として一切公表していない。

■技術開発進め欧米に対抗を

 軍事アナリストで帝京大の志方俊之教授は「国が宇宙開発の基本方針を示し、欧米にも対抗できるような技術開発をすべきだ」と推進の立場。それでも、政府のこれまでの対応については「野党の攻撃をかわすため、言葉のつぎはぎでやってきた。きちんとした方針を示さないと諸外国には不透明と映る」と話す。

 経団連産業第二本部の続橋聡(つづきばしさとし)技術グループ長も「これまで宇宙開発の方針を特殊な『非軍事』から、『非侵略的』という国際常識へと切り替え始めたのはいい。ただ、どういうデータを収集し、何に利用しているのか一切開示しない点は不満が残る」と話す。

 確かに安全保障には機密保持は付きものだが、軍事ジャーナリストの神浦元彰さんは、正面からの議論の必要性を説く。

 「偵察衛星は、兵器と組み合わせると、へたに兵器数をそろえるよりずっと強力になる。盾と矛に分ける時代ではない。災害情報も集めているから、(偵察衛星ではなく)情報収集衛星だ、という詭弁(きべん)はやめるべきだ」

◆メモ <情報収集衛星(IGS)>

 日本の安全保障上の情報収集を目的とした偵察衛星。1998年の北朝鮮による弾道ミサイル「テポドン」発射で導入が決まった。光学センサーを搭載し画像を撮影する光学衛星とレーダー衛星の2基1組で運用する計画。2003年3月に1号機2基が打ち上げられたが、同年11月に2号機2基を載せたH2Aロケット6号機は打ち上げに失敗。今回、打ち上げに成功した光学衛星に続き、年明けにはレーダー衛星も打ち上げて4基体制になれば、地球上のあらゆる地点を1日1回撮影が可能で、分解能は1メートルという。

<デスクメモ> 今回、打ち上げに成功した偵察衛星でも、識別できる物体の大きさを示す分解能は約一メートル。十センチ前後といわれる米偵察衛星に比べれば、大人と幼児の開き。しかも、画像の解析力も心もとないというから、ほとんど役立たずの状況。それでも、軍事衛星を明確に打ち出す以上、きちんとした議論は当然だろう。(吉)

“偵察衛星”打ち上げも効果は…

2006/09/12 Sponichi ANNEX

 政府の情報収集衛星光学2号機を搭載したH2Aロケット10号機が11日午後1時35分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、予定の軌道に入った。

 衛星は400〜600キロの高度から地上の約1メートルの物体を識別する能力を持つ事実上の“偵察衛星”。軍事評論家の岡部いさく氏は「軽自動車かセダンかの識別は可能だろう」と指摘。ただ、夜間や雲に隠れた場所の撮影はできず、雲の下も観察可能なレーダー衛星とペアで運用となる。ペアになるレーダー機は来年にも打ち上げ予定。すでに1組(2基)が配備されており、4基体制になれば、地球上のあらゆる地点を1日1回、監視可能になる。

 しかし、衛星を運用する内閣衛星情報センターによると「現時点で、リアルタイムでの監視は難しい」。衛星が地球の裏側などを周回していた場合、約10分で着弾可能とされる北朝鮮のミサイルなどへの対応は難しいという。

H2A成功:情報収集衛星は3基 識別能力など課題に

2006年09月11日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 H2Aロケット10号機の打ち上げ成功で、情報収集衛星は3基になり、地球の全地点を1日1回は撮影できるようになった。しかし、地上の物体の識別性能は不十分で、巨額の費用とともに今後の課題となっている。

 光学衛星は地上の1メートルの物体を識別できる望遠鏡を備える。レーダー衛星は、雲がかかっていても地上の様子をセンサーで把握できる。当初目標の2組4基態勢が整えば、対象をより詳細に把握できるようになる。

 開発には打ち上げ失敗分も含め、06年度までに約3300億円かかる見通しだが、観測能力は米国の民間衛星レベルだ。

 政府は、情報収集衛星の後継機で性能向上を目指すが、宇宙開発に詳しいジャーナリストの松浦晋也さんは「防衛庁は米国の商業衛星画像を購入し続けている。できているかどうか分からない北朝鮮のミサイルのために数千億円も投入するのはおかしい」と批判する。

 これに対し、鈴木一人・筑波大助教授(国際政治学)は「日本側に情報があれば、ギブ・アンド・テークで他国の情報を得やすくなる。安全保障面で日本の地位は上がった」と指摘する。

 一方、H2Aは01年8月の初打ち上げ以降、成功率は90%に達し、世界のロケットの初期段階成功率の80〜85%を上回った。国は10年度までにさらに約10機を打ち上げ、信頼性の確立を目指す。

 07年度からは民間主体でH2Aによる衛星打ち上げ事業が始まるが、日本の実績は米欧露に比べて圧倒的に少ない。受注には、一層の低コスト化も求められる。【下桐実雅子、永山悦子】

情報収集衛星:打ち上げ成功 鹿児島

2006年09月11日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日午後1時35分、政府の情報収集衛星(IGS)を搭載したH2Aロケット10号機を、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げた。約16分後、衛星を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。H2Aの打ち上げは03年11月の6号機で初めて失敗したが、05年2月の7号機で再開以降は4機連続成功となった。

 10号機は全長53メートル、重さ289トン。11日午前1時40分ごろ、組み立て棟から発射地点に移動を開始。その後、燃料充てんなどの打ち上げに向けた最終準備を行った。

 搭載するIGSは、北朝鮮の軍事関連施設の監視が主任務の事実上の「偵察衛星」。計画では光学衛星とレーダー衛星の2基1組で運用し、政府は2組体制を目指している。03年3月に1組の打ち上げに成功したが、同11月に残る1組が失敗した。今回は光学衛星1基のみを打ち上げ、来年2月までにレーダー衛星1基を打ち上げる。【松谷譲二】

情報収集衛星打ち上げ、天候不順で延期 JAXA

2006/09/10 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10日未明、政府の情報収集衛星を搭載し同日午後に種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げる予定だったH2Aロケット10号機について、天候悪化のため11日以降に打ち上げを延期すると発表した。

 同機構によると、宇宙センター付近の秋雨前線の活動に伴い、天候が急激に悪化、雷などの恐れがあるため。今後の天候の推移を見た上で、再び打ち上げ日時を設定する。

政府、高性能の情報収集衛星開発へ

2006/09/09 NIKKEI NeT

 政府は情報収集衛星の高性能新型機の研究開発に着手する。地上の物体の識別能力を現在の約1メートルから40センチ程度まで引き上げるとともに、様々な角度から観測するための姿勢制御能力を大幅に向上させる。地上から衛星を制御するコンピューターシステムを開発し、衛星から送られる信号を画像に変換する能力も高める。2009年度に1基目の新型光学衛星の打ち上げをめざす。

 日本の情報収集衛星は現在、光学型とレーダー型の2種類で、1基ずつ保有。光学型は高性能の望遠鏡とデジタルカメラで地上を撮影、夜間や悪天候の場合はレーダー型で補完する。10日に光学型、年明けにレーダー型をそれぞれ打ち上げ、計4基体制となる。

情報衛星3基目、10日H2Aで打ち上げ 成功なるか

2006/09/08 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

情報収集衛星の軌道概念

■H2Aロケット 3年前の失敗教訓に

 日本の安全保障と危機管理を目的とする情報収集衛星の光学2号機が10日、種子島宇宙センター(鹿児島県)からH2Aロケット10号機で打ち上げられる。北朝鮮による弾道ミサイル乱射などで東アジアの緊張が高まるなかでの重要な打ち上げだ。国産主力ロケットのH2Aとしては、今回が10機目。宇宙航空研究開発機構(JAXA)にとっては、3年前の6号機の失敗から立ち直り、衛星打ち上げを安定軌道に乗せるための大きな節目になる。

≪テポドン≫

 情報収集衛星は、平成10年夏に北朝鮮が発射したテポドンが日本列島を飛び越えたことがきっかけで、導入が決まった。

 高性能の望遠鏡とデジタルカメラの機能を備えた光学衛星と、夜間や悪天候時にも地上の様子を把握できるレーダー衛星のペアで運用され、政府は地上のどの地点でも1日1回監視できる4基体制を目指している。

 光学1号とレーダー1号は15年3月に打ち上げられたが、同年11月に同じペアの衛星2基を搭載したH2A6号機は打ち上げに失敗。地上の定点監視が2日に1回しかできない状態が続いている。

 衛星2基を同時に失ったことを教訓に、今回からは1基ずつの打ち上げとなる。衛星を1基に絞ることで、軌道投入の精度を上げ、燃料の節約と衛星の長寿命化につなげる狙いもある。今回と来年初めに予定されるレーダー2号の打ち上げがともに成功して、ようやく4基体制が確立する。

≪性能向上≫

 内閣官房内閣衛星情報センターによると、現在運用中の衛星2基は、これまでのところ順調で「軌道投入が正確だったため、設計寿命の5年を超えてしばらくは運用できそうだ」という。

 ただし、衛星の能力に関しては、安全保障や危機管理で求められるレベルには達していないのが現実だ。今年7月5日に北朝鮮がテポドン2号などを発射した際、政府はほとんどの情報を米国から得るしかなかった。

 光学衛星は1号機、2号機とも解像度1メートル。地上にある1メートルの物体を識別できる能力で「車だとトラックか乗用車かを見分けられるレベル」だという。この性能は米国の民間衛星でも実現されているほか、韓国が7月に打ち上げた多目的衛星「アリラン2号」でも達成されている。

 米国の早期警戒衛星は、解像度10センチのレベルを達成しているとされており、日本はまだ遠く及ばない。

 内閣官房は平成21年度に打ち上げる後継の光学3号機で、解像度を60センチ程度に上げる方針だ。

≪再挑戦≫

 過去9回のH2A打ち上げで、ロケット側の欠陥による唯一の失敗が情報収集衛星を搭載した6号機だっただけに、JAXAにとっては、同じ積み荷で2度の失敗は許されない。

 7号機以降の3回連続成功で、信頼を着実に回復。民間移管と衛星打ち上げ市場への参入のためにも、10号機で成功率90%に乗せることは絶対条件だ。

 日本の宇宙開発で、同じ型のロケットを10回打ち上げるのは、H2Aが初めて。これまでは技術が熟成する前に、新型機に移行した。ロケット開発では、最初の10回は初期不良が多く、1〜2回の失敗がつきものといわれる。欧米やロシアのロケットは、10回以降に成功を重ねた例が多い。

 10号機の打ち上げは、H2Aの信頼性を世界にアピールするうえでも正念場。JAXAの立川敬二理事長は「搭載する衛星についてはあまり意識せずに、着実に打ち上げたい」と話している。

「宇宙基本法案」基本方針を了承 宇宙開発特別委員会

2006年05月31日 自民党

 宇宙開発特別委員会は31日、「宇宙基本法案」の基本方針を了承した。同法案は、昭和44年に採択された宇宙の平和利用に関する国会決議の見直しとなるもの。これまで研究開発中心だった宇宙開発のあり方を、「安全保障」「産業振興」「研究開発」を柱とし、安全保障分野への活用も可能とする。政府に宇宙開発戦略本部を設置し、宇宙開発基本計画を策定することなどが盛り込み、戦略的な宇宙開発の推進をめざす。同委員会は今後、プロジェクトチームを設置してさらに検討を行い、法案化作業に入る予定。

やはり平和利用が原則だ 宇宙開発新法

2006/05/15 (西日本新聞朝刊)East Asia News Watch

日本の宇宙開発・利用をめぐる状況が大きく変わろうとしている。

 自民党が「防衛目的」の軍事利用に道を開く「宇宙基本法案」を来年の通常国会に提出する方針を決めたからだ。

 宇宙開発を「非軍事目的」に限定してきたこれまでの日本の宇宙政策では国際的な技術開発競争、宇宙産業ビジネス競争に後れを取りかねないため、政策を転換しようというものだ。

 自民党の宇宙平和利用決議等検討小委員会では、立法の趣旨を宇宙関連産業の育成と、日本の安全保障や危機管理への宇宙技術の活用と説明している。

 だが、この新法ができれば、情報収集(偵察)衛星や早期警戒衛星など「防衛目的」の宇宙利用が初めて法的根拠をもつことになる。

 しかも、日米が共同で取り組むミサイル防衛(MD)計画が動きだすなかでの政策見直しである。「防衛目的」が拡大解釈される恐れはないのか。国民や日本の軍事動向に敏感な近隣諸国の理解は得られるのか。

 宇宙政策だけでなく、わが国の安保政策の転換にもつながる新法である。法案化にあたっては、丁寧な説明と国民的な議論を求めたい。

 宇宙の開発と利用については、国連宇宙条約で軍事利用は制限されている。日本は同条約を受けて1969年に国会で「宇宙利用は平和目的に限る」とする平和利用決議を全会一致で採択した。この決議は以来、40年近く日本の宇宙政策の原則となってきた。

 当時のわが国は初の国産衛星打ち上げを目指していた時代だ。宇宙の利用が通信や気象・環境などの情報収集にまで広がったいま、宇宙開発の目的を「平和」に限定し「非軍事」と解釈した国会決議に縛られていては、わが国の宇宙開発技術や宇宙関連産業の国際競争力が削(そ)がれるというのが自民党の言い分だ。

 高度の性能をもつ衛星による情報収集は地球規模の環境破壊や災害、テロ、海賊の防止に役立ち、国際貢献にもつながるというのも、新法制定の理由だ。

 宇宙条約の軍事利用制限は「自衛の範囲の軍事利用は禁じていない」というのが国際的な解釈となっていることも、新法制定の動きを後押ししている。

 既に情報収集衛星を導入し、MD計画を推進していることを考えれば、わが国は軍事利用に踏み込んでいると言った方が正確かもしれない。その意味では宇宙利用を「非軍事」に限定した国会決議の解釈は破綻(はたん)しているともいえる。

 だからといって、平和利用の原則を捨てて現憲法の下で軍事利用を法的に認知するというのでは、短絡的すぎる。

 平和利用が果たしてきた利点を検証し今後、平和利用の原則はどうあるべきかから議論すべきではないか。「始めに軍事利用ありき」では、平和憲法をもつ国としては、あまりにお粗末だ。

宇宙基本法案提出へ、自衛目的で軍事も可

2006年03月28日 nikkansports

 自民党は28日、これまで非軍事目的に厳しく制限してきた日本の宇宙開発政策を転換し、自衛の範囲であれば軍事利用も可能とする「宇宙基本法案」(仮称)を議員立法の形で提出する方針を決めた。

 同日開いた党宇宙開発特別委員会小委員会(委員長・河村建夫元文部科学相)で確認した。8月までに法案をまとめ、次期通常国会に提出する。

 防衛庁による高解像度偵察衛星の開発・運用や、弾道ミサイルの発射を検知する衛星の開発も可能になる。民間の参入により、宇宙の産業化促進も目指す。

 宇宙の平和利用原則は国会が1969年に決議。当時の科学技術庁長官がこれを「非軍事を指す」と国会答弁し、宇宙開発事業団法にも盛り込まれて定着した。(共同)

宇宙基本法制定目指す 非軍事利用政策見直しへ

2006/03/28 The Sankei Shimbun

 自民党の宇宙平和利用決議等検討小委員会(委員長・河村建夫元文部科学相)は28日、国会決議で非軍事に限られていた宇宙利用政策の見直しなどを盛り込んだ宇宙基本法(仮称)をまとめる方針で一致し、宇宙政策を総合的に所管する担当相設置などを求める論点整理を了承した。公明党との調整を経て8月中に法案をまとめ、来年の通常国会に議員立法で提出することを目指す。

 論点整理は、研究開発目的に重点が置かれてきた宇宙利用政策を見直し、安全保障面での利用にも積極的に取り組む必要があると指摘した。

 1967年に発効した宇宙条約について、米国やロシアなど先進国の多くは、他国を侵略する目的でなければ、偵察衛星の運用など宇宙空間の軍事的利用も可能だと解釈している。しかし、日本政府は昭和44(1969)年の国会決議を踏まえ、宇宙条約が、侵略目的だけでなく軍事的利用も禁止していると解釈してきた。

2006-03-20 世界の情報衛星丸裸、米科学者らがネットに軌道や高度

2006年03月20日 (読売新聞)

 安全保障上の理由で、詳しい情報が一切公開されない日本の情報収集衛星2基の軌道や高度などのデータが、海外の天文学者らが開設した複数のウェブサイトに米軍事衛星など世界各国の衛星とともに掲載されていることがわかった。

 専門家は、データをもとに偵察対象地域が衛星の動きを把握し、日本の脅威となる活動を隠ぺいすることも可能としており、衛星の運用面で一層の対策が迫られそうだ。

 ウェブ上にデータを公開したのは、米国の有力科学者組織「憂慮する科学者同盟(UCS)」と米ハーバード・スミソニアン天体物理センターの科学者ら。UCSは18日、昨年末に開設した世界の衛星約800基の情報を記載したデータベースに、日本の情報収集衛星2基の高度や軌道の傾き、地球を回る周期などの正確なデータを加えた。

 天体物理センターの科学者は、宇宙空間に漂う物体の一つとして、北米航空宇宙防衛司令部が、暗号のような特殊な表記で公開している情報を解読。その上で、衛星2基を実際に観測し、その結果をネット上に一般でも読める形で掲載し、一部の観測家に知られていた。

 これらの情報は、正しい軌道を反映したものと見られる。偵察対象地域が衛星の動きに合わせ、活動を停止するなどの恐れも指摘される。現在2基の情報収集衛星を増やすなどの対策が求められる。

 2003年3月の情報収集衛星打ち上げ直後に米航空宇宙局(NASA)も一時的にデータを公表したが、一部のアマチュア観測家のネットに転載されたため、削除されたことがある。

 しかし、これとは別に、UCSの科学者らは「宇宙は公共の物」との信念から、衛星の最新データの掲載を続けているため、ネット上から情報を消し去ることは困難な状況だ。米国の軍事衛星も同様に公表されており、宇宙ごみ(デブリ)に偽装した米軍事衛星の存在が明るみに出たこともある。

 2基の運用を担当する内閣衛星情報センターはネット上に軌道情報が公開されたことについて「一切コメントしない」との姿勢を貫いている。

高度情報収集へ、防衛庁通信傍受施設15日に開所式

2006年03月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 鹿児島県奄美群島の喜界(きかい)島に防衛庁情報本部の通信傍受施設がほぼ完成し、15日に開所式が行われる。

 高さ十数メートルの鉄塔21基を直径約200メートルの円状に配置した巨大アンテナ群で、今月下旬から部分的な運用が始まる。

 防衛庁が1997年度から、敷地約30ヘクタールで約234億円を投じて整備してきた。最新機器を使って、航空機無線など様々な電波を受信し、高度な情報収集を行う。

情報衛星2基を06年度中打ち上げ 政府、予算案に610億円

2006/01/06 The Sankei Shimbun

 政府は北朝鮮のミサイルや核施設などの監視強化に向けて、情報収集衛星の2号機2基を2006年度中に打ち上げ、現在稼働している1号機2基と合わせた4基態勢の本格運用を開始する。情報収集衛星は光学衛星とレーダー衛星の2基を1組で運用。現在配備している1号機で2日に1回、地表上のあらゆる地点が撮影できるが、違う軌道に2号機を配備することで1日1回に撮影能力を向上させる。

 政府はこれまでの打ち上げ失敗などによる計画の大幅な遅れを一気に取り戻したい構え。ただ米国の情報収集能力との差は大きく、目標とする米国依存からの脱却には時間がかかりそうだ。

 2号機は03年11月にH2Aロケットに搭載して打ち上げたが失敗し、衛星2基も爆発で失った。05年度中に再度打ち上げを行う予定だったが、衛星に欠陥が発見されたため延期した。

 政府は06年度予算案に衛星の打ち上げと運用経費として約610億円を計上。光学、レーダーの各衛星を07年3月までにそれぞれ打ち上げる予定だ。

 また、識別能力の高い後継衛星(3号機)も一部が製造段階に入っており、09年度に実用化する予定。現在の衛星は最小で1メートルの物体を識別できるが、50センチまで識別が可能となる見通し。ただ、それでも「米国の商業衛星と何とか互角に渡り合える程度」(内閣衛星情報センター)という。

 政府はさらに性能を向上させた4号機も開発中で11年度以降の導入を目指している。(共同)

宇宙の防衛利用解禁へ、自民が夏にも政府に提言

2006年01月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府による防衛目的の宇宙利用を厳しく制限してきた「平和利用」の原則について、自民党が今夏までに見直す方針を決めた。

 従来の「非軍事」という解釈から、攻撃的でない技術の軍事利用は認めている世界の潮流に合わせた解釈へ変更を図る。実現すれば、高解像度の偵察衛星打ち上げなどが可能になり、欧米に比べて劣勢だった宇宙産業に新たな需要を呼び込むのも確実。日本の宇宙開発は、歴史的な転換点を迎える。

 宇宙開発を「平和目的の利用に限る」という原則は1969年、宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)の設置法と、同法制定時の国会決議に盛り込まれた。その際、政府が「非軍事」との解釈を示した。このため、自衛隊は自前で衛星を開発できず、通信など広く一般に利用されている衛星技術しか使えない。

 テロの拡大など国際情勢が複雑化する中、毎年膨大な予算を投じて開発している宇宙技術を国民の安全確保に生かす必要性が高まり、政府解釈の見直しが避けられない課題となってきた。同党政務調査会の宇宙開発特別委員会は今月から、河村建夫・元文部科学相を中心とする小委員会で、平和利用の問題について集中審議。今夏には政調として政府へ提言する方針だ。

 「平和利用」の定義を世界の潮流に合わせた場合、民間より解像度の高い偵察衛星のほか、弾道ミサイルの発射を検知する早期警戒衛星などを、自衛隊が開発・利用できるようになるとみられる。

在外公館に情報官 外務省、5年間で100人配置

2005/09/21 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 外務省は20日、対外情報収集能力の強化を目的として、在外公館で情報収集活動に専従する「情報担当官」を来年度に新設する方針を固めた。5年間で100人配置する方針。対テロ情報や周辺国・地域の大量破壊兵器の拡散防止に向けた情報収集にあたり、体系立った情報戦略の構築を目指す。初年度は米英中など30カ国に30人を配置する。将来的には情報機関「対外情報庁(仮称)」の創設に向けて、環境を整備するねらいもある。

 外務省が、防衛庁などからの出向組である駐在武官とは別に、情報担当官を新設する方針を固めたのは、イラクでの日本人人質事件や北朝鮮の核開発問題で情報収集能力の低さが露呈し、対応が後手に回ったため。在外公館で収集しているナマ情報の欠如とそれに伴う分析能力が米英両国に比べ、「著しく弱い」(幹部)との判断がある。

 周辺国における核・ミサイル拡散や国際テロの脅威が高まるなど日本を取り巻く安全保障環境が激変する中、情報収集能力の低下は国家安全保障の根幹にかかわるとの危機感も背景にある。

 新設される情報担当官は専門的な訓練と研修を受けた後、在外公館で「ヒューミント」と呼ばれる人的情報の収集に絞った活動を行う。具体的には現地の新聞記者、研究者など民間人を含む情報源の開拓や、派遣国の情報機関員との人間関係の構築が求められる。

 効率的な情報収集を行うため、大使の指揮下にある一般職員とは別に本省国際情報統括官組織から直接指導を受けられるようにする。外務省は来年度の概算要求で国際情報統括官組織として約7億7000万円を盛り込み、秘密情報の漏洩(ろうえい)を防ぐ技術、法整備や情報公開の基準整備にも取り組む。

 町村信孝外相の私的懇談会は13日、英情報局秘密情報部(SIS)を参考に、外相の下に「特殊な対外情報を扱う固有の機関」設置を提言。国際情報局は昨年8月、領事移住部の領事局格上げに伴い現在の国際情報統括官組織に改編され、情報収集能力の強化が急務とされていた。

宇宙機構、出向者の給与減分補填 78人分1億3千万円

2005年03月27日 asahi.com

 独立行政法人(独法)の宇宙航空研究開発機構(JAXA、旧特殊法人・宇宙開発事業団)が、情報収集衛星を運用する内閣衛星情報センターへの出向職員に対し、JAXA勤務時より給与が減った分を補填(ほてん)していたことが分かった。04年は24人に計約4085万円(1人平均約170万円)を支給。衛星開発が始まっていた01年以降延べ78人が出向し、補填総額は概算で1億3000万円にのぼり、全額国費が充てられていた。国家公務員倫理審査会は「国家公務員法の服務規定に抵触する恐れがある」と話す。

 00年から国が制度化し、原則3年以内の期限付きの官民交流人事では、毎年20人超の会社員が国家公務員として省庁で勤務。給与が下がるケースが多いが、「派遣元の企業側が法に触れるとの懸念を持ち、差額分を補填した例はない」(総務省)としている。国に近い組織として、より厳格であるべき独法側の姿勢が改めて問われそうだ。

 同センターは、01年4月に内閣官房に設置。JAXAは衛星本体の開発などを文部科学省から委託された。JAXAによると、出向職員は休職扱いとしたうえで文科省職員となり、さらに同センターへ出向。01年12人、02年17人、03年25人、04年24人(一部文科省と併任、いずれも4月時点)で、主に周回中の衛星の管制を担当する部署に配属されている。

 JAXAによると、事務・技術職員の年収は平均で約830万円(42.9歳)。国家公務員の行政職の平均より約200万円高く、出向すると月額で1人平均約14万円減る。JAXAは01年から、減額分を「休職給」として支給し、財源として通常の職員給与と同様に国からの補助金を充ててきた。

 ところが同審査会によると、JAXAの業務に従事せずに報酬だけを受け取る行為について、「(公務員は)国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する」とした国家公務員法96条の服務規定に触れる可能性があるという。

 休職給をめぐっては、特殊法人の核燃料サイクル開発機構が文科省に出向した職員に差額補填していた問題が01年5月の国会で取り上げられた。利害関係のある省庁に派遣され、派遣元から金品を支給されることの是非について、当時の人事院幹部も、同法に抵触する可能性を指摘したうえで「補填の趣旨や目的が国民の信頼を損なっているかどうかなど総合的に判断する必要がある」との見解を示した。

 JAXAはこの国会後の02年4月、出向による減額分の補填を給与規定で明文化。「民間の研究職と同レベルの給与水準にして優秀な人材を募っている。国家公務員より給与は高く、出向者には、その人が本来もらうべき額だという判断で差額補填している」としている。

情報衛星調達に4法人が介在、50億円交付

2005年03月26日 asahi.com

 約2600億円を投じて03年に打ち上げられた日本初の情報収集衛星の発注で、国と受注メーカーとの間に独立行政法人(独法)・公益法人の計4法人が介在し、総額約50億円が交付されていたことが分かった。メーカーへの指導・監督業務などの名目だが、メーカーからの出向者の給与を補填(ほてん)したり、業務を公益法人に「丸投げ」したりしていた独法もあったという。政府内部からも「経費が膨らみ、非効率だ」との批判があり、発注方式の見直しが進められている。

 4法人は1月末現在、常勤役員の約半数の14人が所管官庁のOBらで、巨額の国家プロジェクトで「天下り法人」が中間利益を得る一方、国費が無駄に使われている一端が浮き彫りになった。

 4法人は、宇宙航空研究開発機構(JAXA、旧宇宙開発事業団)▽新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)▽情報通信研究機構(NICT)の3独法と、財団法人の資源探査用観測システム研究開発機構(JAROS)。

 衛星は98年11月の閣議で導入を決定。内閣官房が98〜03年度まで、科学技術庁(衛星本体やロケットなど)、通産省(レーダー)、郵政省(データ電送)=いずれも当時=に予算と支出権限を委任。各省庁は所管の各独法と業務委託契約を結び、それぞれが三菱電機に発注して衛星4基の開発を進めた。

 この間、「プロジェクト管理」名目などで、JAXAに約37億円▽NEDO約3900万円▽JAROS約7億3100万円▽NICT約4億2000万円の委託費が交付された。しかし、関係者によると、NEDOは「レーダーの設計」など業務の大半をJAROSに再委託する一方、委託費の大半を三菱電機からの出向者2人に給与の減額分の補填として年間1人当たり400万円を支払った。JAROSも委託費の一部を三菱電機などからの出向者の給与減額分に充てた。

 JAXAの場合、三菱側の製造工程の管理が不十分だとして衛星の開発・運用にあたる内閣衛星情報センター幹部が実質的に管理。9割以上が計測器などの資材購入費だったNICTを除き、大半が人件費や出張費、事務所の賃料に充てられた。

 内閣官房は、09年度に打ち上げ予定の後継機ではJAXAとだけ委託契約を結んでメーカーに発注する方式に変更。さらに、同センターが直接発注する検討も始めた。

防衛庁:衛星で不安定の弧カバー 情報戦略計画全容判明

2005年3月13日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 国際平和協力活動を自衛隊の活動の柱とした防衛大綱を受け防衛庁が策定した情報戦略計画の全容が12日、明らかになった。中東から東アジアにかけた「不安定の弧」の全域をカバーする映像通信システムを構築するとともに、自衛隊と米軍の情報の共有化推進が狙いだ。司令部レベルでもデータ共有化がいっそう進む可能性があり、米軍との武力行使の一体化の恐れが増すことから論議を呼びそうだ。

 昨年12月に閣議決定した防衛大綱は、テロなどの「新たな脅威」に迅速に対処するため、最先端の情報技術(IT)を防衛力に反映させる方針を打ち出した。「今後の情報通信政策」と題する戦略計画は、この方針を具体化するための5カ年計画(05〜09年度)。防衛庁は初年度にあたる05年度予算案で、2115億円(前年度比607億円増)の情報通信関係費を計上。このうち、戦略計画を前提とした新規の整備予算は1394億円(同751億円増)となっている。

 衛星通信については、現在も自衛隊専用の回線はあるが、音声中心の低速・小容量で、使用できる範囲も日本周辺に限定されている。新たに導入する通信システムは、テレビの衛星放送などで使用されている大容量の商業衛星(Kuバンド衛星)を利用、自衛隊の派遣先の海外から映像がリアルタイムで日本に送られるようになる。使用範囲は米国防総省がテロの温床地帯として名付けた「不安定の弧」とほぼ重なる地域で、日本周辺はもちろん極東の範囲を大きく越え中東やアフリカの一部も含まれる。01年の9・11テロを境にイラクやペルシャ湾に自衛隊が派遣されたが、今後もこの地域で自衛隊が活動することを念頭に置いていることを裏付けた形だ。

 米軍との情報共有については、海自のイージス艦と米艦船の間で情報交換するデータリンク・システムをさらに拡充するとともに、空自、陸自でも情報共有化を進める方針。近く米軍との協議を始める。

 陸海空自衛隊の統合運用に関しては、防衛庁、陸自の各方面総監部、空自の航空総隊司令部、海自の自衛艦隊司令部で、映像やデータを共有する専用回線を整備する。【古本陽荘】

 ◇解説=議論不足に危うさ 防衛庁ペース、警戒も

 防衛庁が策定した自衛隊の情報戦略計画は、防衛大綱で打ち出した国際平和協力活動の推進と日米同盟強化の方向性を情報通信の分野で実現するためのものだ。しかし、国民の間には、自衛隊が海外で活動することに慎重な意見も依然として根強く、海外派遣をめぐる国民の議論が煮詰まらないまま体制作りがどんどん進められることには危惧(きぐ)の声も上がりそうだ。

 戦略計画に盛り込まれた映像通信システムは、中東や北アフリカも含めた「不安定の弧」と呼ばれるテロや大量破壊兵器の温床地帯と見られている地域を広くカバーする。この地域で自衛隊が今後、国連平和維持活動(PKO)や米軍の後方支援を行うことを想定している。

 しかし、実際には、防衛大綱が提示した自衛隊の国際協力を付随的任務から本来任務に格上げする自衛隊法改正案の提出は難航している。自衛隊のイラク派遣やスマトラ沖大地震・大津波の国際緊急援助活動で国際的評価を得て、勢いづく防衛庁ペースを世論全体が必ずしも容認しているわけではない。自衛隊の海外での任務が急速に広がることへの慎重論は、与党では特に公明党の支持者に多く、自衛隊の海外派遣のための恒久法の整備も作業が進んでいないのが実情だ。

 また防衛庁は、自衛隊と米軍の情報共有についても、一層進める方針だが、情報の共有化が進めば進むほど、米軍の武力行使との一体化の恐れが高まる。海外での武力行使は憲法で禁じられている。どういうレベルの情報をどういう場合に日米で共有するかという指針を明示しないままの情報共有化の推進は国民の間に不信感を高めることになりかねない。【古本陽荘】

日本版GPS「準天頂衛星」で合同部会設置

2005/03/10 The Sankei Shimbun

 自民党は9日、米国の衛星利用測位システム(GPS)の日本版といえる「準天頂衛星システム」の実現に向け、政務調査会に「測位・地理情報システム合同部会」(座長・額賀福志郎前政調会長)を設置、党本部で初会合を開いた。

 準天頂衛星システムは2008年度から打ち上げる3つの衛星で位置測定や双方向通信を可能にする大規模プロジェクト。自民党としては、内閣、国土交通など関係7部会が意見交換する場を設け、政府の検討作業を後押しすることにした。

 初会合では、今後内閣官房や国土交通省など関係省庁から作業の進ちょく状況をヒアリングし、党側の意見を反映するよう求めていくことを決めた。(共同)

情報収集強化で勉強会設置へ 町村外相が指示

2005/03/10 The Sankei Shimbun

 外務省は在外公館の情報収集能力強化を目指し、町村信孝外相の下に専門家を集めた勉強会を近く設置する方針を固めた。外務省首脳が9日明らかにした。

 外相の指示によるもので、同首脳は「インテリジェンス(情報収集)の問題は本来、内閣全体で取り組むべき話だが、『隗(かい)より始めよ』で、まず外務省として一定の方向付けができればいいと思っている」と述べた。

 勉強会メンバーには外交評論家の岡崎久彦元駐タイ大使らの名前が挙がっているという。(共同)

情報衛星小型化へ研究着手 北朝鮮監視強化で政府

2005/01/10 The Sankei Shimbun

 政府は、北朝鮮核施設などの監視強化を目的に2010−11年度に打ち上げる「第4世代型」の情報収集衛星を大幅に小型化し、機動性を高める研究に05年度から着手する。地上を写真撮影する衛星が、少ないシャッターチャンスで多くの画像情報を入手できるようにするのが狙い。02年度に打ち上げた現行衛星は重さ約2トン。第4世代型は材質の軽量化や太陽電池パネルの効率向上などで1・2トンまでスリム化させる考えだ。

 現在、衛星(光学衛星、レーダー衛星各1基)は時速約2万9000キロで地球を南北に周回。シャッターチャンスは衛星が北朝鮮上空を通過する2日に1回、わずか数分間に限られている。衛星の重量がネックとなって方向転換の動作が遅く、ミサイル基地や核施設など複数の施設を短時間に撮影することが困難だった。小型、軽量化で切り替えのスピードが向上し、北朝鮮上空を1度通過しただけで撮影できるようになるという。

 政府は05、06年度に現在の衛星と同じ機能を持つ「第2世代型」を打ち上げる予定。09年度に打ち上げる「第3世代型」では、50センチ大の物体の識別を可能とするよう能力アップを図る。第4世代型もこの機能を引き継ぎ、駐機中の戦闘機がミサイルを搭載しているかどうかや、基地に出入りする車種の違いなども判別できるようになるという。(共同)

欧の偵察衛星打ち上げ成功 ギアナ、クールー宇宙基地

2004/12/19 The Sankei Shimbun
 フランス公共ラジオなどによると、南米のフランス海外県ギアナのクールー宇宙基地から18日、欧州の軍事偵察衛星「エリオス2A」と6つの科学衛星を積んだ大型ロケット「アリアン5」が打ち上げられ、約1時間後に各衛星を軌道に乗せることに成功した。

 衛星を打ち上げたアリアンスペース(欧州12カ国の出資企業)によると、「エリオス2A」は重量4.2トンの大型偵察衛星。来年3月以降、フランス、スペイン、ベルギーの軍に偵察写真の送信を開始し、今後5年間にわたり軍事偵察を行う予定。

 経費の総額20億ユーロ(約2800億円)の95%をフランスが負担した。「アリアン5」の打ち上げは通算17回目で、今年は3回目。(共同)

衛星利用で有事サイレン 政府、ミサイル攻撃に即応

2004/12/19 The Sankei Shimbun
 政府は19日までに、日本が外国から武力攻撃を受けた場合の国民の保護策を定めた国民保護法に基づき、弾道ミサイル攻撃を察知した際、通信衛星を利用して市町村の防災無線を直接起動、住民避難のサイレンを鳴らす有事即応システムの開発に来年度から着手することを決めた。総務省消防庁が「国民保護即時サイレン調査検討事業」として、来年度予算に調査費を計上する。

 政府は14日に、国民保護法の運用マニュアルとなる「基本指針要旨」を公表、有事の際のサイレン使用を盛り込んだ。

 即応システムでは、米国の軍事衛星などを通じて政府がミサイル攻撃を察知した場合、有事を認定し対策本部を設置。内閣官房、消防庁が衛星を通じて攻撃目標や弾頭の種類などを内容とした警報を発令すると、即座に自治体の防災無線が起動、サイレンが鳴り、都道府県から市町村へ警報内容を自動的にファクスで流すことも可能となる。

 地震や津波への対応で、地方自治体に地震波の到達時間などを流すため気象庁が整備を進めている早期警報システム「ナウキャスト」を参考に、同じ通信衛星「スーパーバード」を使う考えだ。

 北朝鮮の弾道ミサイルが日本に向けて発射された場合、到達には10分もかからない。政府関係者は「まず、堅固な施設や地下街への避難が重要。一刻の猶予も許されない状況では、緊急通報に有効なシステムのひとつだ」としている。(共同)

苫東に巨大メロン? 2つ目のアンテナ工事進む

2004/12/03 苫小牧民報

2基目のパラボラアンテナの建設が進む内閣衛星情報センター北受信局

 苫東開発地域内の内閣衛星情報センター北受信局で2基目となるパラボラアンテナの増設工事が進められている。2005、06年に新たに打ち上げられる情報収集衛星からの映像を受信する。12月中にアンテナの組み立てを終え、06年までに電子機器類も増設する。

 増設工事は昨年末に着手した。アンテナは直径10メートルを超す。薄緑色でほぼ全体が出来上がり、まるで巨大なメロンのよう。

 内閣衛星情報センターによると、光学衛星、レーダー衛星に対応する施設。両衛星から送信される画像を受信する。

 衛星は03年に打ち上げられ、情報センターは今年4月から運用している。苫東内の北受信局には職員約20人の体制。衛星の第2陣は当初、昨年11月に打ち上げられる予定だったが、衛星を積んだ国産のHUAロケットの打ち上げに失敗。05、06年に延長せざるを得なくなった。パラボラアンテナは、南受信局の鹿児島県内でも増設中。情報センターは「アンテナが整備され、衛星が打ち上がれば、初期の体制整備がようやくできるようになる」と話している。

 情報収集衛星は、98年に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が行った長距離弾道ミサイル、テポドンの発射実験で、政府の危機管理体制が問われ、整備が進められた。外交・防衛などの安全保障と大規模災害、事件・事故の対応など危機管理に必要な情報を収集する。

ぼやけた日本の衛星写真、北朝鮮の爆発情報は収集難航

2004/09/19 読売新聞 Yomiuri On-Line
 9日に北朝鮮北部で起きたとされる爆発について、日本政府の情報収集作業が難航している。日本の情報収集衛星が撮影した現場周辺の画像が不鮮明で、爆発の有無の確認などはできないままだ。

 日本の情報収集衛星は現在、高度約500キロの軌道を、カラーの精密画像を撮る光学衛星と、昼夜全天候型で白黒画像を撮るレーダー衛星の2基が、1日15―20周回している。2日に1回同じ地点の上空を通過し、2基あればあらゆる場所を少なくとも1日1回は撮影できる。

 爆発現場とされる北朝鮮北部の画像については、事故直後のものが1回、しばらく経過してから撮影されたものが1回、届いていると見られる。しかし、いずれもレーダー衛星による白黒画像で、「ぼやけていて爆発なのかどうかわからない」(政府筋)画像ばかりだという。

 爆発前後の北朝鮮北部地域は数日間悪天候が続き、「どの国もカラーでの精密撮影は出来なかった」(防衛庁幹部)とされる。さらに、日本の衛星は解像度は1メートル以上で、「焦点を当てる時にぶれやすい」(内閣官房幹部)など、他国の衛星に比べ能力が劣ることも影響している。

「北の大爆発」しぼむ根拠…韓国、科学的データ示せず

2004/9/15 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ソウル=豊浦潤一】北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)金亨稷郡(キムヒョンジクグン)で起きたとされる爆発について、韓国政府は15日、「水力発電所での発破」とする北朝鮮側の説明を追認する動きを見せ始めた。韓国政府がこれまで「爆発のしるし」と見ていた材料に疑問点が浮上する一方、衛星写真でも痕跡を確認できないなど爆発を裏付ける新たな科学的データが得られないためだ。

 韓国の政府系研究機関、韓国航空宇宙研究院は15日、多目的衛星「アリラン1号」で同日午前、金亨稷郡の「特異な形の大きな雲」が9日に確認された一帯を撮影したが、解析度が低いこともあり、地上に爆発の痕跡があるか「判別困難な状態」(同研究院)という。

 これに先立ち、韓国・国家情報院は、国会の情報委員会所属議員に対し、爆発は水力発電所建設のための発破だった可能性があると報告。「特異な形の雲」についても、爆発によるものではなく、当時の気象状況から見て、「自然の雲の可能性がある」との見方を示した。

 一方、大爆発の根拠として報じられた地震波にしても、聯合ニュースが韓国地質資源研究所関係者の話として伝えたところによると、両江道一帯で8月21日以降記録された地震波は、金亨稷郡から100―120キロ・メートル離れた白頭山で9月8日午後に観測された記録のみで、この地震をめぐっては、すでに鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一相が「雲が観測された地域との相関関係の可能性は低い」との判断を示している。

 16日付朝鮮日報早版によると、国家安全保障会議(NSC)の李鍾ソク(イ・ジョンソク)事務次長は15日、「正確ではないが、今のところ北朝鮮の主張通りか、自然現象が現れたと見ている」と述べた。韓国政府内部では、大規模爆発があったとの見方は急速に弱まりつつあるようだ。(李鍾ソクの「ソク」は大の両脇に「百」)

16日に視察団が現場視察 北朝鮮の大規模爆発

2004/09/15 The Sankei Shimbun
 英国のスリン駐北朝鮮大使は15日、共同通信に対し、北朝鮮北部の両江道金亨稷郡で起きた大規模爆発の現場視察が16日に行われると明らかにした。飛行機を利用し、丸1日かかる日程で、平壌に戻るのは17日になる可能性もあるとしている。

 視察には英国をはじめ、ロシア、スウェーデン、ポーランド、チェコ、モンゴル、インドなど計8カ国の外交官らが参加する。案内する北朝鮮外務省の担当者を含め、視察団は13人程度になるという。

 北朝鮮が、当初から現場視察を申し入れていた英国だけでなく、平壌駐在の他の外交団にも視察を認めたのは、「水力発電所建設のための爆破」という説明に自信があることを示す狙いがあるとみられる。(共同)

韓国も「発破」と報告書 北朝鮮の爆発

2004/09/15 The Sankei Shimbun
 韓国の国家情報院は15日、北朝鮮北部の爆発は水力発電所の建設による発破の可能性が高く、当初撮影された「きのこ雲」は自然の雲の可能性が高いとの報告書を出した。

 また、韓国の通信社、聯合ニュースによると、韓国地質資源研究所地質観測センターは同日、爆発をめぐる一連の騒動は「不明確な衛星写真に端を発したものである可能性が高い」との見方を示した。

 韓国の人工衛星アリラン1号は9日午前、「きのこ雲」形状の噴煙の写真を撮影。米韓のメディアは、同写真を基に核実験の可能性まで指摘した。

 同センターは「地震観測を続けている日本や中国でも特別なコメントが出ていない」と述べた。

爆発原因特定、進展なし 衛星撮影失敗、英大使は訪問せず

2004/09/14 The Sankei Shimbun
 韓国航空宇宙研究院によると、韓国の人工衛星アリラン1号が14日、北朝鮮北部の大規模爆発現場の撮影を試みたものの、天候不良のため失敗に終わった。また、現場を同日にも訪れる予定だった北朝鮮駐在のスリン英大使は訪問しなかった。このため、14日は爆発原因の特定に結び付く進展はなかった。

 韓国の人工衛星は15日午前にも再び撮影を試みる方針。スリン大使も15日以降、現場訪問を試みるとみられるが、現場周辺の中朝国境は大雨で天候が悪化しており、16日以降にずれ込む可能性もある。

 消息筋によると、中朝国境は大雨に見舞われており、北朝鮮側がこうした気象状況を勘案、大使の現場訪問を見送った可能性がある。

 一方、韓国の聯合ニュースによると、韓国国会で同日、野党議員が韓国政府に対し、爆発関連情報の公開を強く迫ったが、鄭東泳統一相は、米韓が緊密な情報交換を行いながら情報収集と分析を急いでいることを強調するにとどめた。(共同)

「地震は爆発と無関係」 韓国の研究機関が分析

2004/09/13 The Sankei Shimbun
 韓国の地震研究センターは13日、北朝鮮両江道で起きた大規模爆発の現場付近で起きた地震は「爆発とは無関係の可能性が高い」との分析結果を明らかにした。通信社の聯合ニュースが伝えた。

 爆発は、韓国政府が人工衛星で撮影した直径約3.5キロのきのこ雲や地震観測が有力な根拠として報じられている。

 きのこ雲の写真を見た関係者は「雲のようにも見える」と述べ、ライス米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は12日、「山火事か何かによるものではないか」との見方を示している。

 地震研究センターは、8日午後11時23分にマグニチュード(M)2.6の地震が起きたが「実際は爆発現場から100−120キロ離れた白頭山付近で発生した」と言明。国会関係者によると、中国側も白頭山で頻繁に起こる火山活動によるものとみているという。

 同センターは「竜川駅の列車爆発事故で観測された音波信号は今回は観測されておらず、小規模の爆発ではないか」と推定している。(共同)

イスラエル、偵察衛星の打ち上げに失敗

2004/09/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 イスラエルは6日、偵察衛星「オフェク6」の打ち上げに失敗した。衛星は軌道に乗る前に爆発、地中海に墜落した。AP通信によると、ブースターの誤作動が原因とみられる。

 イスラエルは、自国を敵視するイランの核開発疑惑に神経をとがらせており、「オフェク6」はイラン上空などを飛行するとされていた。イスラエルはこれまでに、複数の偵察衛星の打ち上げに成功している。(エルサレム支局)

情報収集衛星の本格運用、06年度以降にずれこむ

2003/12/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 政府は22日、首相官邸で、情報収集衛星推進委員会(委員長・福田官房長官)を開き、日本独自の情報収集衛星について、2005年度、2006年度にそれぞれ予定している予備機2基の打ち上げを前倒しせず、計画通りに行う方針を決めた。

 これにより、同衛星の本格運用は2006年度以降にずれ込むことが確定した。日本の安全保障にかかわる対北朝鮮監視態勢などの不備が長く続くことになる。

 政府が打ち上げ前倒しを見送ったのは、「予備機の製造が間に合わない」(同委)ことによるものだ。情報収集衛星は2003年3月末に2基が打ち上げられたが、同年11月に後続2基の打ち上げに失敗。2004年度中の本格運用開始が絶望的となったことから、政府・与党内では打ち上げ前倒しも検討されていた。

 同衛星は、精密画像を撮影できる「光学センサー」搭載衛星2基と特殊な画像処理能力を持つ「合成開口レーダー」搭載衛星2基の計4基で、地球上のあらゆる地点を1日複数回監視する態勢を整える計画。しかし、現在運用している2基が北朝鮮上空を通過するのは1基1日2時間で、計4時間程度に過ぎない。目標地点の天候次第で丸1日撮影ができない状態が生じるなど、「片翼状態の偵察」(防衛庁筋)が続いている。

 ◆情報収集衛星=1998年8月の北朝鮮のミサイル「テポドン」発射をきっかけに、政府内で偵察衛星を持つべきだとの声が強まり、同年12月に導入を閣議決定。安全保障目的だけでなく災害情報などの収集にも利用される。

H2A失敗:対北の「監視能力」半減 衛星4基計画、見直しも

2003年11月29日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 情報収集衛星2基の打ち上げが今回失敗したことで、北朝鮮の動向監視に期待された偵察能力は半減し、同衛星4基の運用を前提とする政府の情報収集体制は大きな打撃を受けることになった。今回の失態をきっかけに、米国の商業衛星と変わらない性能の国産衛星開発に多額の費用を注ぎ込むことを疑問視する声が高まり、計画自体の見直しが検討される可能性も出てきた。

 情報収集衛星は98年、北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン」の発射を受け、政府が導入を決めた事実上の偵察衛星。宇宙の平和利用を求めた69年の国会決議があるため、災害情報なども集める多目的衛星とされた経緯がある。

 比較的鮮明なカラー写真の撮れる光学衛星と、雲があっても撮影可能なレーダー衛星の計2基が今年3月に打ち上げられ、来春の運用開始へ向け試験中。今回の2基と合わせた計4基になっていれば、地球上のどこでも1日1回以上撮影できる体制になる予定だった。だが、2基のままだと2日に1回しか撮れない場所が出てくる。05、06年度に予定する予備機2基の打ち上げまでは「今ある2基を最大限活用するしかない」(内閣衛星情報センター)。

 ただ、防衛庁はすでに情報収集衛星と同じ1メートル程度の物を識別できる性能を持つ米国の商業衛星を利用し、北朝鮮などの画像情報を処理するシステムを00年から導入している。

 同庁は2基の運用と組み合わせれば「安全保障上、支障は生じない」(幹部)と冷静にみる一方、情報収集衛星の能力が予定より半減したため、北朝鮮監視を中心とする安全保障分野に優先利用できるように内閣官房と関係省庁に求める構えだ。今回の失敗を契機に「本格的な軍事偵察衛星の開発に踏み出すべきだ」(同)との声もあがっている。【平田崇浩】

情報収集衛星:H2Aロケットを29日に打ち上げ

2003年11月13日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 政府は13日、情報収集衛星2基を搭載した国産ロケット「H2A」6号機を、29日午後に打ち上げると発表した。9月27日の発射直前、ロケットの姿勢制御装置に異常が見つかり、延期されていた。【田中泰義】

情報収集衛星の打ち上げ中止 直前に機体の不具合発見

2003年09月27日 The Sankei Shimbun
 日本の偵察衛星となる情報収集衛星が27日午後1時半すぎ、鹿児島県の種子島宇宙センターから宇宙開発事業団のH2Aロケット6号機で打ち上げられる予定だったが、最終点検でロケットの2段目に不具合が見つかったため、打ち上げは中止された。

 次の打ち上げは10月2日以降になるという。

 情報収集衛星は光学衛星とレーダー衛星の2基で構成され、今年3月に1号機の2基が打ち上げられている。今回の打ち上げは、当初は10日に予定されていたが、やはり機体の不具合で、これまで2回にわたり延期されていた。

 光学衛星は最大解像度1メートルのカメラを、レーダー衛星は悪天候でも観測可能な合成開口レーダーを備える。運用する内閣衛星情報センターは現在、試験撮影や画像判読訓練を続けている。

 打ち上げを担当した宇宙開発事業団は10月1日に宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所と統合され、日本を代表する宇宙機関である宇宙航空研究開発機構になるため、今回が事業団としては最後の打ち上げとなる予定だった。

情報収集衛星:打ち上げ延期 ロケットエンジンの部品交換で

2003年09月18日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 政府は18日、事実上の偵察衛星となる情報収集衛星(IGS)の2回目の打ち上げを、予定していた9月22日から延期すると発表した。最終点検作業中に、打ち上げに使用するH2Aロケット6号機の主エンジンのバルブを駆動させる装置に不具合が見つかり、一部部品の交換が必要になったため。

 宇宙開発事業団によると、延期後の打ち上げ日は未定だが、30日までには打ち上げる必要があり、延期は数日間になる見通しだという。打ち上げは当初10日に予定されており、延期は2回目。【江口一】

偵察衛星、能力に疑問符 試験運用で「分解能」半分以下

2003年06月07日 asahi.com
 3月に打ち上げられた情報収集衛星の偵察能力が、計画上のレベルを下回っていることが、政府関係者の話でわかった。衛星に積まれた光学センサー(望遠鏡)は地上の1メートル大の物体を区別する能力(分解能)を備えるはずだったが、5月末に始まった試験では、2〜3メートル大のものがようやく区別できる程度にとどまっているという。

 情報収集衛星は、現在、政府の委託を受けた宇宙開発事業団(NASDA)などが、光学衛星と、曇天や夜間でも観測できる合成開口レーダーを積むレーダー衛星の2機を試験運用している。

 5月末からは画像撮影を開始。日本国内の様々な目標物を撮影して地上局で受信、運用元の内閣衛星情報センター(東京・新宿)で写り具合などを確認している。

 計画上は、世界中の任意の場所を1日1回以上撮影でき、光学センサーは白黒なら一辺が1メートル四方の物体を区別できることになっている。

 ところが、政府関係者によると、実際に受信した画像では「はっきり区別できるのは一辺が2〜3メートル四方の物体がやっと」という。たくさんの車両が等間隔で駐車している場所を撮影した際、何台あるかは確認できたが、同じような大きさの場合、バスかトラックかなどの車種や形状までは区別できなかったという。

 センサーそのものの不具合なのか、衛星の運用方法の問題かなど、同センターで原因を調べている。

 防衛庁などは現在、米国の商業衛星「イコノス」の画像を購入しており、その分解能は約1メートル。情報収集衛星の能力はそれを下回る可能性が出てきた。このため同センターでは、姿勢制御による補正などが可能かどうか検討を始めた。

 例えば、北朝鮮の弾道ミサイルの発射状況を衛星で確認する場合、液体燃料を積んだタンクローリーや移動式発射装置などを同じような大きさの他の車両と区別する必要があるが、「今の能力では厳しいかもしれない」(政府関係者)と話している。

情報衛星「第2弾」、9月10日に打ち上げ

2003/05/26 読売新聞 Yomiuri On-Line
 政府は26日、今年3月末に打ち上げた初の情報収集衛星2基に続く「第2弾」の衛星2基を9月10日に打ち上げる方針を固めた。

 また、最初の2基は、今月27日に初めて写真を地上に送信する。その後、防衛庁の要請を受け、北朝鮮の弾道ミサイル基地を含む軍事施設などの写真を撮影する予定だ。

 9月に打ち上げるのは、精密画像を撮る光学衛星と、電波を使って夜間や悪天候でも撮影できるレーダー衛星の2基。3月28日に打ち上げた光学、レーダー衛星各1基と合わせて計4基体制とし、来年3月ごろから本格稼働させる。

 各衛星は、高度約500キロの上空で地球を南北方向に1日約15周し、地上のどの地域も1日に最低1回撮影できる。4基体制になることで、どの地域も1日最低4回の撮影が可能となる。

 撮影した画像情報は、北海道苫小牧市、茨城県北浦町、鹿児島県阿久根市の3か所にある受信局で受信し、東京・市谷本村町の内閣衛星情報センターで分析する。

 関係者によると、最初の2基はこれまで周回軌道の補正や機能の点検などをしていたが、トラブルはなく、27日から写真撮影を本格化する。

 情報収集衛星は、1998年8月の北朝鮮による弾道ミサイル「テポドン」発射をきっかけに導入された。他国の軍隊の弾道ミサイル基地や艦船、航空機などの動き、地震、火山噴火など大規模災害の状況のほか、海外での邦人保護のため、地域紛争などや事件・事故の状況を調べる目的で利用する。

情報収集衛星:軌道データ、日本政府非公開も米国が公表

2003年04月01日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 政府が3月28日に打ち上げた情報収集衛星(IGS)2基の軌道に関するデータを、米国とカナダでつくる北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が公表していたことが1日、分かった。政府は、事実上の偵察衛星となるIGSの軌道データを非公開とし、打ち上げ時にも情報統制をしたが、衛星が地上を離れてしまえば秘密を完全に保持するのは難しいようだ。

 NORADは人工衛星やロケットの残がいなど、地球周辺の宇宙空間にあるさまざまな物体を監視、公表しており、日本政府が軍事衛星と位置付けていないIGSも、こうした通常業務の一環で取り扱われたとみられる。公開されたのは地軸と軌道との角度や速度などの基本データで、IGSを運用する内閣衛星情報センターは「これだけでは、衛星の軌道を正確に推定することはできない」としている。 【金田健】

情報収集衛星の機能確認

2003年04月01日 The Sankei Shimbun
 内閣衛星情報センターは1日、先月28日に打ち上げた2基の情報収集衛星が予定の軌道に乗り、安定した姿勢制御ができることを確認する「初期クリティカルフェーズ」を、1日午前0時すぎに終えたことを明らかにした。

 太陽電池パネルに続いて、地表を電波で探る合成開口レーダー(SAR)アンテナなどの構造物を軌道上で展開。通信用アンテナを通じて飛行データが正常に送られてくるのを、日本やオーストラリアに置かれた受信管制局で確認した。

 今後3カ月ほどかけて、センサー機能や地上への画像データ伝送の確認、精密な画像を得るためのデータ補正などを行う予定。

日本初の偵察衛星打ち上げ成功 北朝鮮監視も狙う

2003/03/28 中国新聞ニュース
 日本初の偵察衛星となる情報収集衛星二基を搭載した宇宙開発事業団の大型ロケットH2A5号機が二十八日午前十時二十七分、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた。5号機は二つの衛星を分離、打ち上げは成功した。

 情報収集衛星は、安全保障と大規模災害時の危機管理などに活用するのが目的。期待通りの性能を発揮すれば、北朝鮮のミサイルや核施設の監視も可能で「平和利用」を原則にしてきた日本の宇宙開発の転換点となる。政府は今夏にも二基を打ち上げ、来年春までに本格運用開始を目指す。

 二基の衛星は計画通り、軌道上で太陽電池パネルを展開した。

 北朝鮮外務省は「われわれを狙った敵対行為」と打ち上げを強く非難しており、緊張がさらに高まりそうだ。

 H2A5号機は、オレンジ色の炎を出し爆音とともに上昇。オーストラリア上空を飛ぶ進路をとり、打ち上げ十七分後に一基、同二十三分後に残る一基の衛星を分離した。分離が確認されるとロケットを管制する総合司令棟は拍手に包まれた。

 H2Aロケットは五回連続の成功となり、商業打ち上げ市場参入に向け安定度をアピールした。

 情報収集衛星は、地表を撮影する光学衛星と、レーダーを使い地形を画像化する合成開口レーダー(SAR)衛星の組み合わせ。一九九八年の北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン」発射をきっかけに「自前の監視の目が必要」として政府が導入を決め、三菱電機を中心に開発、製造した。内閣官房に設置された内閣衛星情報センターが運用にあたる。

 同センターによると、光学衛星は地上の一mの大きさの物体を識別できる。SAR衛星は一―三mの物体を識別でき、昼夜、天候を問わず撮影可能。軌道は公表されていないが、関係者によると、高度約四百九十kで地球を縦に回り、四日に一度の周期で同一地点の上空に戻る軌道に乗った。

 今夏に同様の衛星二基を打ち上げ、これら四基で、地上のどの地点でも一日一回は観測を可能にする計画。

初の情報衛星打ち上げ、政府が北ミサイル発射を警戒

2003/03/25 読売新聞 Yomiuri On-Line
 政府は、28日の日本初の情報収集衛星打ち上げを控え、北朝鮮に対する警戒を強めている。打ち上げと同時期に、北朝鮮が弾道ミサイルを発射する可能性があると見ているからだ。

 防衛庁は、弾道ミサイル「ノドン」の発射基地周辺で北朝鮮軍の動きが目立つようになった今月上旬、日本海へ海上自衛隊のイージス艦「みょうこう」を派遣し、警戒監視を続けてきた。23日からはこれに代えて同型艦「こんごう」を出動させ、厳戒態勢を継続することにした。また、内閣府は商業衛星から購入している北朝鮮の衛星写真を通常以上にたくさん入手し、ミサイル基地の動きを注視している。

 一方、米軍も航空自衛隊に対し、日米共同で北朝鮮情勢を監視する態勢を取るよう要請した。これを受け、空自は日本海中央部付近に設定している防空識別圏(ADIZ)内を、米空軍は防空識別圏外の北朝鮮寄りを、それぞれ空中警戒管制機(AWACS)を使って警戒する方針だ。さらに、AWACSや全国28か所にある空自のレーダーサイトで把握した情報を日米両国間で共用し、綿密な分析を行って、北朝鮮によるミサイル発射の兆候を見逃さない考えだ。

 イラク戦争が始まってから、北朝鮮は、米国と米国を支持した日本に対する批判のトーンを上げている。25日の北朝鮮の「労働新聞」は、「日本が米国の笛に踊らされて再侵の道を歩むなら日本の安全は保証できず、破局的な結果を招く」との論評を掲載した。

 政府は28日の打ち上げへ向けて万全の警戒態勢を敷く。

「偵察衛星」打ち上げ控え、鹿児島・種子島はピリピリ

2003年03月21日 asahi.com
 日本初の情報収集衛星が28日、国産ロケット「H2A」5号機によって宇宙に送り込まれる。H2A打ち上げは昨年9月以降3回目だが、今回は安全保障に関する情報を集める「偵察衛星」だけに、鹿児島県・種子島の発射場周辺は厳重な警戒が続いている。マスメディアに対する広報も様変わり。イラク情勢の緊迫も加わり、ベールとバリケードに包まれたままの打ち上げとなりそうだ。

 種子島の南端にある宇宙開発事業団(NASDA)種子島宇宙センター。観光スポットとしても有名だが、衛星とロケットを収めた組み立て棟に続く道路は、24時間態勢で警備が続く。

 鹿児島県警や警備会社の車両が巡回。作業員はIDカードだけでなく、車のトランクの中もチェックを受けて現場に入る。県警は「警備態勢については詳しくは言えない」と口を閉ざす。

 第10管区海上保安本部による海上の警戒も厳重だ。従来は、打ち上げ前日と当日に重点が置かれていた。今回は、すでに発射場の沖約8キロの海上を巡視船が常時監視している。当日は警戒海域を30〜40キロに広げ、巡視船数隻と航空機1機が警備に当たるという。

 これまで技術試験衛星や気象衛星などの打ち上げの際は、NASDAは打ち上げから衛星切り離しまでの時間と高度、軌道など詳しいデータを事前に公表していた。しかし、今回は打ち上げが「28日午前9時から正午までの間」とされているだけで、軌道や高度は機密扱い。衛星は地上の1メートル大の物体を見分ける能力を持つとみられているが、詳細は一切伏せられている。

 政府が独自の情報収集衛星打ち上げに踏み切ったきっかけは、98年の北朝鮮によるテポドン発射だった。それだけに、イラクや北朝鮮情勢に対しては、警備陣も神経をとがらせる。10管幹部は「打ち上げが成功すれば、今後の不審船対策にも効果が期待される」と話す。

 発射場沖の警戒海域はトビウオ漁の漁場。漁師の中からは「警備はじゃま」との声も聞かれる。南種子町漁協の担当者は「組合員の船に遠目にもわかる目印をつけるなど、何度も停船させられずに済む方法を考えたい」と話している。

 情報収集衛星は今夏にも2機が打ち上げられる予定だ。

情報収集衛星“極秘”の発射リハーサル

2003年03月08日(読売新聞)YAHOO! News
 北朝鮮の監視などを目的とする日本初の情報収集衛星打ち上げが今月28日に迫り、宇宙開発事業団は8日未明、この衛星を搭載するH2Aロケットの最終リハーサルを鹿児島県の種子島宇宙センターで始めた。

 日本の宇宙開発は公開が原則だが、国防絡みの今回は“極秘体制”。リハーサルも非公開で、センター周辺には警備の警察車両が走り回り、海上には海上保安庁の巡視艇も並ぶ。風光明美で穏やかな「宇宙港の島」は緊張に包まれ、厳しい国際情勢がこの小島にも及んでいることを印象付けた。

 ロケットは前日昼過ぎ、種子島南端のロケット組み立て棟から約500メートル離れた発射地点に移動、リハーサルに備えた。8日は、衛星を収容する先頭部を取り外した状態で極低温の液体燃料を実際に注入、点火直前までの手順を確認する。

 H2Aの過去4回の打ち上げや、それ以前のロケットでは公開の作業だが、今回は日程も非公表。「客(政府)の意向で申し上げられない」(事業団)、「ロケットや衛星が今どこにあるかを含めすべて秘密」(政府)と、口は重い。公表しているのは、搭載する衛星が計2基で、それぞれ、光またはレーダーで地上を監視できる性能を持つことなど大まかな内容だけ。

 こうした厳戒体制は、打ち上げ妨害や破壊工作に備えることが主目的。ロケット技術は、ミサイルなどの軍事に転用されかねず、以前から「日本は公開し過ぎ」との指摘があった。事業団の丹尾新治総務部長も、「打ち上げ時には以前から漁船のような不審船がよく現れていた」と証言する。

 事業団は打ち上げの当日も、衛星切り離しなどの経過は公表しない方針。失敗時の情報公開の方策も決まっていない。「なんとしても成功させたい」。事業団技術陣も表情は硬い。

情報収集衛星 種子島に輸送船到着 −巡視船など十数隻護衛

2003/01/17 Minami-Nippon Shimbun
 政府が3月末にも種子島宇宙センター(南種子町)からH2Aロケット5号機で打ち上げる情報収集衛星が16日午後、同町の島間港に輸送船で到着した。接岸時には、海上保安庁のヘリや航空機が上空から監視したほか、岸壁では機動隊や警備員ら約40人が厳重に警戒に当たるなど、物々しい雰囲気に包まれた。

 情報収集衛星を積んだ輸送船「わかば二世」は同日午後2時すぎ、巡視船など十数隻に護衛されながら島間港に到着した。

 岸壁には輸送船を取り囲む形で高さ約2メートルのフェンスが張り巡らされ、警備員らが警戒する中、午後2時20分にゆっくりと接岸した。

 上空には海保や報道機関のヘリなど4機が飛び交った。港内外では巡視船や巡視艇、宇宙開発事業団の警戒船などが警戒に当たった。

 情報収集衛星は、北朝鮮のミサイル発射実験をきっかけに導入が決まった日本初の事実上の偵察衛星。運用する内閣衛星情報センターは「輸送ルートを公開すると妨害工作を招く恐れがある」として、種子島までの経路や到着日時を明らかにしないなど、異例の措置を取った。

 同衛星は14日、製造元である三菱電機の鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)から出荷され、種子島へ向けて海上輸送された。16日夕には大型トレーラー2台が島間港に到着。今後、輸送船からトレーラーに移され、約18キロ離れた種子島宇宙センターへ運ばれる。

情報収集衛星3月打ち上げ

2003年01月06日 Yomiuri On-Line
 政府は6日、国の安全保障と危機管理を目的とした日本初の情報収集衛星2機を今年3月下旬に、宇宙開発事業団の種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から日本の主力ロケットH2Aで打ち上げる方針を決めた。成功すれば、北朝鮮のミサイル発射基地や日本周辺での他国の密漁船の動きなどを24時間体制で収集できるようになる。

 宇宙での作動状況の点検を経て、7月に本格稼働する見通しだ。

 情報収集衛星は、精密画像を撮影できる「光学センサー」搭載衛星と、特殊な画像処理能力を持つ「合成開口レーダー」搭載衛星の2種類。光学センサーは地上にある約1メートルの物体を識別できる能力(分解能)を持ち、デジタルカメラと同様の画像を撮影できる。「合成開口レーダー」の分解能は1―3メートルで、白黒画像しか撮影できない。だが、電磁波の反射を利用して画像を処理するため、光学センサーが雨天などの悪天候や夜間で撮影できない分をカバーすることが可能だ。

 それぞれの衛星は上空400キロ―600キロで、1日に地球を南北の方向に15―20周回する。地球の自転とあいまって、地球上のあらゆる地点を最低でも24時間に1回、撮影することが可能となる。2002、2003年度の2回に分け、2機ずつ打ち上げる計画で、8月にも2機を打ち上げる。4機分の総費用は約2000億円。2006年度には同型の予備機を2機、2008年度には分解能を0・5メートル程度まで向上させた第2世代衛星をさらに2機配備する。

 政府は、北朝鮮の工作船の動きなど情報収集衛星による画像が必要な場合は、米仏などの商業衛星が撮影したものを1枚約100万円で購入していた。しかし、これでは日本が要求した内容が民間企業に伝わり、防衛上の機密が漏れかねないなどの欠点が指摘されていた。

 衛星の運用は内閣府の内閣衛星情報センター(東京・新宿区)で行われる。各省庁から撮影の依頼を受け、各省庁の課長クラスによる運営委員会幹事会で優先順位などを決めて目的地を撮影。撮影データは北海道と鹿児島、茨城両県の3か所に新設した内閣府施設で受信し、内閣衛星情報センターで解析する。

 【情報収集衛星】 1998年8月に北朝鮮のミサイル「テポドン」が日本列島を飛び越したことをきっかけに、導入が決まった。米英仏も保有しており、そのほとんどが軍事目的。米国の場合、詳細は公表されていないが、これまでに打ち上げた千数百機のうち、100機以上が活動中と言われている。寿命は打ち上げから約5年間。

情報収集衛星、内閣に分析官を設置して情報一元化

2003.01.03 産経新聞より
 政府は初の国産情報収集衛星の打ち上げを機に、衛星の情報をはじめとする国際情報を専門的に集約・分析する複数の「情報分析官」を内閣情報調査室に設置する方針を固めた。

 各省庁でバラバラに収集していた情報を内閣に一元化したうえで分析を加え、外交・防衛戦略に生かす狙いだ。

 政府関係者によると、情報分析官には中国、北朝鮮、中東などの世界各国・各地域の専門家を選抜し、その下に複数のスタッフを配置する。各省庁が収集した外交・軍事情報だけでなく、各国のメディア情報などあらゆる情報を随時集約・分析し、首相の求めに応じて内閣情報調査室のトップである内閣情報官が外交・防衛戦略を決定するうえでの選択肢を提示できるようにする。

 一方、防衛庁は情報本部に「画像・地理部」を四月に新設する。「画像情報の解析は十分な経験、知識が必要」(防衛庁幹部)なことや、米国などに比べて人員が圧倒的に少ないことから、画像・地理部を新設し、人員もこれまで画像解析にあたっていた約120人から約160人に増員する。

性能は米民間衛星以下/政府の情報収集衛星

Kyoto Shimbun 2002.12.29 News
 政府が来年2月にH2Aロケットで打ち上げを目指す情報収集衛星の画像撮影能力が、米国の民間衛星イコノスやクイックバードを下回る程度しか期待できないことが28日、政府関係者の話で分かった。

 高度約500キロの軌道を秒速7キロで飛行しながら、地上の10キロ四方の目標範囲に光学センサーを向けるポインティング性能が低いことが主な原因。政府関係者は「イコノスに比べると不鮮明で見劣りする写真になるのは避けられない」と説明している。

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)など日本周辺の偵察を想定し、4基分で約2500億円投じて自主開発した日本初の事実上の偵察衛星だが、国内の衛星開発力の弱さが浮き彫りになった形だ。

 政府は当初、イコノスを手掛けた米ロッキードマーチン社から衛星を丸ごと購入する案も検討したが、自律性や産業力育成の観点から自主開発に踏み切った経緯がある。

情報衛星:来年2月、初の打ち上げへ 独自に画像情報収集

2002年08月13日 Mainichi INTERACTIVE
 日本初の情報衛星が、来年2月に打ち上げられる見通しになった。米軍の提供や米国の商業衛星からの購入に頼っている衛星からの画像情報を独自に収集するのが目的。しかし、収集した情報を政府内で総合的に分析し、実際の政策に生かすための組織の整備が進んでいないため、情報が有効活用できるかどうかは未知数だ。

 政府は、98年8月に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)がテポドン・ミサイルを発射したことをきっかけに、同年12月、情報衛星の導入を閣議決定。今年度までに2500億円をかけて、衛星4機と受信施設など地上システムを整備した。

 打ち上げられるのは、デジタル写真を撮影する光学衛星(分解能力1メートル程度)と、夜間や雲のかかった地域も撮影出来るレーダー衛星(同1〜3メートル程度)の計2機。いずれも、高度400〜600キロの低軌道を南北方向に周回し、1日1回以上の定点撮影ができる。来年7月にもそれぞれ1機ずつを打ち上げ、当面は4機体制で運用する計画になっている。

 宇宙の開発・利用は69年5月の衆院決議で「平和の目的に限る」としている。政府は、外交・防衛に必要な情報を収集するだけでなく、災害情報など一般的な危機管理にも利用すると説明しているが、防衛庁幹部は「中国や北朝鮮などの軍事基地を定点観測するため、独自の情報源を多様化することは必要だ」と強調する。衛星に対する期待は事実上、アジア地域の安全保障情報に絞られている。

 政府・与党内には、「商業衛星から買える情報を、巨額の予算をつぎ込んで自前の衛星で収集する必要があるのか」との疑問の声もあり、情報を有効活用する体制作りが課題になりそうだ。 【鬼木浩文】

スパイ衛星での優位を失う米国

2002年04月08日 AP通信 WIRED NEWS
 ワシントン発――かつて米国とロシアが独占していたスパイ衛星の高解像度画像データは、今日では誰もが容易に入手できるようになった。ノウハウや資金がほとんどない敵でも衛星画像を入手できることを考えると、米軍部は戦略を見直す必要がありそうだ。

 精度こそ米国の用いる衛星に劣るかもしれないが、五指に余る国々と一部の民間企業は確実な軍事情報を提供できるスパイ衛星を保有している。

 「衛星技術は過去数十年間、米国の独壇場にあった。しかし、中国やインドなどの国々がだんだんと高性能な偵察衛星を配備するようになり、米国の圧倒的優位もぐらつきはじめている」と、米中央情報局(CIA)のジョージ・テネット長官は、先日開かれた上院の公聴会で述べた。

 テネット長官は、敵は衛星の利用方法を驚くほどのスピードで学びつつあると語った。

 「外国の軍隊、情報機関、テロ組織は、偵察衛星と併せて、民間のナビゲーション・サービスや通信サービスを活用して、計画立案や作戦遂行を強化している」とテネット長官。

 以前は米国に匹敵する衛星技術を保有する国はロシアだけだった。

 現在では、仮に台湾紛争をめぐって米国が空母艦隊を派遣した場合、中国は独自のスパイ衛星により、その位置や構成を把握できるだろう。

 11年前の湾岸戦争で米国は、ペルシャ湾から攻撃を仕掛ける構えを見せながら、西側の国境から多国籍軍による空爆を行なった。もしイラクのフセイン大統領が、現在販売されているような民間の衛星写真を手に入れられたなら、軍を移動させて多国籍軍の急襲を迎え撃つこともできただろう。

 米ロ以外の国に見られる最近の進歩は、主に独自の研究の成果であって、技術の購入やスパイ行為によるものではない、と専門家たちは述べている。偵察衛星技術の大半は米国が開発してきたものだが、現在は諸外国が同様の技術を開発している。

 「われわれは今や独占状態を失いつつある」というジェイムズ・ルイス氏は、かつて商務省と国務省で宇宙政策立案にたずさわり、現在は戦略国際研究センターに勤めている。「湾岸戦争のあとで諸外国は、宇宙軍事力を持つことはきわめて好都合だと気づいた」

 米国の軍事衛星は今でも世界一の性能を誇る。つまり、解像度が非常に高く、広い地域をカバーしているのだ。衛星の数が多いため、一定のエリアの撮影頻度も多い。『フューチャー・イメジェリー・アーキテクチャー』プロジェクトの一環として、新世代スパイ衛星も計画されている。

 しかし、今やほかの国々も高解像度画像の入手手段を持っており、戦車を数えたり、艦隊を追跡したり、米軍の動きの予想に役立つさまざまな情報を入手したりできる。

 つまり、仮想敵国が米国の偵察衛星による探知を逃れるために用いてきたのと同じテクニックを、今度は米軍側が実践せざるを得ないことになると専門家は語る。たとえば、戦車は木の下に隠し、極秘プロジェクトは、偵察衛星が上空を通過する時間帯は建物の中に隠す。

 アフガニスタン空爆の開始後数ヵ月間、米国は当時最高の性能を持っていた民間衛星イコノスが当該地域を撮影した画像に独占的にアクセスできる権利を買った。イコノスを運営する米スペースイメージング社は喜んで権利を販売した。この結果、アフガニスタンの実情を垣間見ることは誰にもできなくなった。

 だが、米国が今後の戦争でも同じことをするかどうかは不明だ。米国は自国衛星の「シャッター制御」が可能だが、外国の保有する衛星まではコントロールはできないからだ。海外の民間企業も、画像データを米国に独占的に販売したいと望まない場合も考えられる。

 この問題を手がけてきたマック・ソーンベリー下院議員(共和党、テキサス州)は、解決策として、衛星からのデータ送信や地上局のデータ受信を電波等で妨害する方法を軍に開発させることを提案した。

 「敵が情報を持てば持つほど、われわれは攻撃を受けやすくなる」とソーンベリー下院議員。「しかるべき時期に、妨害電波をはじめ可能な手だてを考える必要がある」

 米国も旧ソ連も、大規模な戦争が起こった場合に相手のスパイ衛星を撃ち落とす武器の開発に力を注いできた。しかし、そうした技術に対する関心は薄れている。

 戦略国際研究センターのルイス氏は、米国が最高レベルの衛星を構築する技術力を失いつつあるのではないかと懸念していると述べた。衛星部品の輸出に新たに規制が設けられる一方、最新技術への移行が遅れているため、米国のメーカーは閉鎖に追い込まれているという。こうした輸出規制策は、クリントン政権が、米航空宇宙メーカー2社に中国のロケットで打ち上げる衛星の輸出を許可したことに対する調査が行なわれたのを受けて実施されるようになった。

<スペースガード>軍事衛星? 高度3万6000キロに巨大物体

[2002年04月04日](毎日新聞)YAHOO!ニュース宇宙開発
 小惑星などの地球への接近・衝突を監視している日本スペースガード協会(理事長・磯部●(王へんに秀)三・国立天文台助教授)は4日、高度3万6000キロの静止軌道上に、未確認の巨大な物体を見つけたと発表した。同協会の観測施設「美星スペースガードセンター」(岡山県美星町)の新しい望遠鏡(口径1メートル)が、昨年12月とらえた。専門家は「米国や中国がひそかに打ち上げた軍事衛星の可能性もある」と話している。

 この物体は南東の空で見つかり、明るさは9等級と、気象衛星ひまわり(直径約2メートル15センチ)の明るさ(13〜14等級)を大きく上回り、双眼鏡でも観察できる。観測の結果、大きさが直径50メートル前後もあることが分かった。

情報収集衛星システム、苫東地域で建設進む

2001.06.23 苫小牧民報社

 苫小牧東部開発地域内で内閣衛星情報センターによる情報収集衛星システムの受信局の建設が進められている。政府の危機管理体制を強化するための施設で、今年11月までに管理棟とパラボラアンテナが完成する。2002年度以降に情報通信衛星が順次打ち上げられ、それに合わせて本格稼働する見通しだ。

 受信局が建設されているのは、苫東地域内の苫東石油備蓄基地南側の臨海東地区。敷地面積8・7ヘクタールで昨年、苫東会社が造成したあと、内閣官房内閣情報調査室に売却していた。工事は今年2月から始まった。管理棟は鉄筋コンクリート造り4階建て延べ2千400平方メートルで、今後、直径10数メートルのパラボラアンテナの建設にも着手し、いずれも11月までに完成させる

 内閣衛星情報センターによると、情報通信衛星は写真画像を送る光学衛星2基と、発信電波のはね返りで地上にある形状を判断できる合成開口レーダー2基で構成する。解析度1メートルの画像データが送られる精巧なシステムで、受信局を通して情報センターに送信する。

 当面、光学衛星1基が02年度の冬期に、合成開口レーダー1基が03年夏に打ち上げられ、受信局も本格稼働することになる。防衛上の安全確保はもとより、地震、気象災害などの情報収集にも威力が期待されている。投資額はシステム全体で開発費も含め2千500億円。

衛星情報センター、来春発足へ 300人体制で運用

2000.12.24(01:35)asahi.com
 政府は23日までに、2002年度までに4基を打ち上げる予定の情報収集衛星(偵察衛星)を運用・管理するため、来年4月に内閣情報調査室内に「衛星情報センター(仮称)」を発足させ、来年度中に新たに116人の定員を配置することを決めた。すでに配置されている定員と合わせると164人となり、最終的には他省庁との併任も含めて約300人の体制となる。

 センター内には管理部、分析部、管制部などを設置し、衛星の打ち上げ後、衛星の受信、管制、解析・判読などにあたる。当面は画像処理や解析にあたる要員の教育・訓練をスタートさせる。

 情報収集衛星をめぐっては、20日に内示された来年度予算大蔵原案に、関係経費773億円が計上された。この中には、衛星4基にかかる費用に加え、新たに2005年度の打ち上げを目指す2基の研究費も含まれている。

技術試験衛星の実験アンテナ開かず 費用は10億円也

2000.12.24(19:47)asahi.com
 宇宙開発事業団は25日、技術試験衛星「ETS8」のアンテナの小型模型を宇宙空間で開く実験に失敗した、と発表した。模型は欧州のアリアンロケットで、南米・仏領ギアナから打ち上げられた。詳しい原因を調べているが、「アンテナの設計変更は避けられない」としている。実験にかかった費用は10億円。

 模型は本物の8分の1の大きさで、最大直径は約7メートル。昨年11月のH2ロケット失敗の影響で、事業団はアリアンスペース社に打ち上げを委託した。

 打ち上げは今月20日。折り畳み傘を組み合わせたような構造のアンテナの模型は、ロケット本体に取り付けられ、高度約4000キロから実験を開始。約20分かけて開くはずだった。

 しかし、ロケットから送信されたビデオ映像や装置にかかる力のデータなどの分析から、「開き方が不十分と判断した」と事業団。この実験には、模型製作費や打ち上げ費など10億円がかかっている。

 ETS8は、携帯端末による衛星通信システムなど基盤技術を研究する衛星。アンテナはその主役で、基本設計の正しさを確かめるのが今回の目的だった。事業団は「アンテナ設計の見直しは、2003年夏の試験衛星打ち上げには影響しない」といっている。

情報収集衛星開発に773億円、大蔵原案

2000.12.20(22:21)asahi.com
 20日内示の来年度予算大蔵原案に、政府が2002年度までに4基の打ち上げを目標にしている情報収集衛星(偵察衛星)の関係経費として、773億円が計上された。1999年度末から衛星の開発段階に入っており、関連経費は▽衛星の運用、情報管理などシステム運用の中枢機能を果たす地上施設の建設費▽衛星本体の開発費、などにあてられる。関連経費の累計は、これで約1800億円になった。最終的に約2500億円の支出を見込んでいる。

情報収集衛星 管制部門に民間人公募

2000年01月09日 共同通信社
 政府は9日までに、2002年度の打ち上げを目指して開発を進めている情報収集衛星の管制部門に民間から数十人程度を採用する方針を固めた。高度な衛星管制技術を持つ民間会社のノウハウを活用し衛星の管理・運用を円滑に進めるのが狙い。計画によると、2001年度に「衛星情報センター」として300人で発足。

三菱商事、高解像度衛星イコノスによる国内画像を公開

9:55p.m. JST November 04, 1999
 三菱商事は4日、商業高解像度衛星イコノスが撮影した日本国内の画像を公開した。イコノスは、軍事偵察衛星の技術を転用し、三菱商事や米ロッキード・マーチンなどが出資する米スペースイメージング社が9月に打ち上げた。

 衛星の真下を撮影した場合、最高の解像度82センチの画像が得られる。公開された札幌市の画像は、高度680キロから29度斜めに撮影されたもので、カラーのため解像度は4メートル。札幌競馬場が見える。2003年には、さらに性能が高い衛星を打ち上げる計画で、プライバシーの保護も問題になりそうだ。

イコノスで撮影した画像は、三菱商事の子会社である日本スペースイメージングを通じて、一部の白黒画像は12月15日から、カラー画像や電子写真地図は1月4日ごろから販売を始める予定。

偵察技術転用の画像を販売

1999年10月12日 共同通信社
三菱商事は12日、米国の軍事偵察衛星の技術を転用した商業衛星イコノスから受信した高解像度画像を、12月中旬からインターネットを通じて販売すると発表した。

 イコノスは、ロッキード・マーティン社など米2社と三菱商事が中心になって設立したスペースイメージング社が管理・運営する衛星で、9月下旬に打ち上げに成功した。

部品購入は「方針転換」

1999年09月29日 共同通信社
政府は29日、自主開発をうたって2002年度の打ち上げを目指している情報収集衛星で、レンズ素材などの部品を米国から購入することを決めた。政府高官は「自主開発蜑^用の基本線は守られた」としているが{や与党内のロ綜Y派」からは、購入する部品は衛星の中枢的機能にかかわるとして「実質的には米国主導の共同生産で、大きな方針転換だ」と不満の声も出ている。

米国部品購入を閣議決定

1999年09月29日 共同通信社
 政府は29日午前の閣議で、2002年度に打ち上げを目指す情報収集衛星について、日本の自主開発を前提に米国から高性能レンズの素材などの部品を購入することを決定した。直ちに高村外相とフォーリー駐日米大使が書簡を交換した煌t官房によると、購入部品は打ち上げを予定している衛星4基中Q基の光学衛星のレンズ素材や画像データを衛星内で一時蓄積するための大容量記憶媒体など。

米で解像度1メートルの民間衛星打ち上げ

1:30p.m. JST September 25, 1999
 米の民間衛星会社「スペース・イメージング」社は24日、1メートルのものを識別できる観測衛星「イコノス1号」をカリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から打ち上げた。軍事用スパイ衛星並みの能力を持つ初の民間衛星で、画像は世界中の顧客に販売される。

 「イコノス1号」は、高度680キロで地球を南北に回る軌道を1時間38分かけて1周する。世界中のどこでも、ほぼ3日に1度通過し、黒白で1メートル、カラーで4メートルの解像度の写真を撮影することができる。同社は、衛星の性能を確認し、2、3カ月後に画像の販売を開始する計画だ。撮影から、早ければ30分で画像を入手できるという。

 同社は米国防総省と画像の購入契約を結んでいるほか、商用、科学研究用として、また外国政府に対しては、国家安全保障目的で、それぞれ売り込みを図っている。有事の際には画像の販売が制限されるが、通常は、たとえばイラクのような米国の「敵対国」が入手することも可能だ。

情報収集衛星 米国から部品、技術提供

1999年09月24日 共同通信社
日米両政府は24日までに、日本が2002年度の打ち上げを目指して開発を進めている情報収集衛星について、米国から部品購入と技術提供を受けることで基本合意に達した{は28日に閣議決定し・Iな内容については、近く日米間で了解覚書を取り交わす。

情報衛星で日米実務協議

1999年06月19日 共同通信社
政府は19日までに、2002年度導入を目指す情報収集衛星について、一部の高性能部品を米国から購入する方向で検討に入り、内閣情報調査室や外務、防衛、科学技術など関係省庁の担当者を米国に派遣した。部品の提供や衛星の運用に当たる要員の研修などについて実務者レベルで協議する。

 政府の基本方針は『自主開発』だが、偵察に必要な高性能部品については『米国で購入した方が時間がかからないし、コストも安い』(政府筋)と判断した。

沖縄・北海道に情報収集衛星の受信局 政府方針

 June 13, 1999
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のテポドン発射をきっかけに導入が決まった情報収集衛星(偵察衛星)システムで、政府は衛星から画像を受ける受信局を沖縄県と北海道に設ける方針を固めた。受信局は軍事施設的な性格も持つため、政府は基地の集中する沖縄県などに意義を説明して協議を詰め、今月中にも建設予定地を決める。

 衛星の目的は軍事面での情報収集や災害監視、密入国や不審船に備える沿岸警戒など。2002年度までに4基を打ち上げる。受信局は2001年度までに2カ所が完成、それぞれ約30ヘクタールの敷地にアンテナ数基と管理施設を設ける。

 政府はできるだけ広い範囲から情報が得られるよう受信局の建設予定地を検討していたが、日本の両端にある沖縄県と北海道が地理的に最も有利と判断した。今後は、周りに障害物がないことなどを調べて予定地を絞り込む。

情報衛星、「米国製」購入を打診 日本の「開発」に圧力 (May 15, 1999) asahi.com
 日本政府が2002年度から情報収集衛星4基を導入する方針を決めていることに関し、米政府が4月上旬、最初の1基について米国製衛星を購入するよう非公式に打診していたことが15日、明らかになった。日本側は難色を示しているが、今後の推移によっては、自主開発方針が再検討を迫られるなど日米両政府間で政治問題化する可能性も出てきた。

沖縄・北海道に情報収集衛星の受信局 政府方針

 June 13, 1999
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のテポドン発射をきっかけに導入が決まった情報収集衛星(偵察衛星)システムで、政府は衛星から画像を受ける受信局を沖縄県と北海道に設ける方針を固めた。受信局は軍事施設的な性格も持つため、政府は基地の集中する沖縄県などに意義を説明して協議を詰め、今月中にも建設予定地を決める。

 衛星の目的は軍事面での情報収集や災害監視、密入国や不審船に備える沿岸警戒など。2002年度までに4基を打ち上げる。受信局は2001年度までに2カ所が完成、それぞれ約30ヘクタールの敷地にアンテナ数基と管理施設を設ける。

 政府はできるだけ広い範囲から情報が得られるよう受信局の建設予定地を検討していたが、日本の両端にある沖縄県と北海道が地理的に最も有利と判断した。今後は、周りに障害物がないことなどを調べて予定地を絞り込む。

情報衛星、「米国製」購入を打診 日本の「開発」に圧力 (May 15, 1999) asahi.com
 日本政府が2002年度から情報収集衛星4基を導入する方針を決めていることに関し、米政府が4月上旬、最初の1基について米国製衛星を購入するよう非公式に打診していたことが15日、明らかになった。日本側は難色を示しているが、今後の推移によっては、自主開発方針が再検討を迫られるなど日米両政府間で政治問題化する可能性も出てきた。

偵察衛星の推進委が初会合 予算、組織要求に着手

8:50p.m. JST April 2, 1999
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のテポドン発射をきっかけに導入が決まった情報収集衛星(偵察衛星)の基本設計などを総合的に検討する政府の情報収集衛星推進委員会が2日、首相官邸で初会合を開いた。委員長の野中広務官房長官は「衛星導入はわが国の安全確保に極めて有意義だ。一体となって取り組んでほしい」と述べ、内閣官房、防衛、外務、科学技術など関係省庁の連携を求めた。

 衛星は2002年度の運用開始をめざしており、1999年度は基本設計に取り組む。2000年度は、衛星の管制や情報処理に当たる地上施設の整備や、要員の養成を本格化するための経費を、2000年度予算の概算要求に盛り込む予定。地上施設は首都圏に2カ所、北日本と南日本に各1カ所程度の建設を見込んでいるという。

野中官房長官、偵察衛星は国産を表明、推進委を設置 (April 1, 1999) asahi.com
野中広務官房長官は1日午前の記者会見で、情報収集衛星(偵察衛星)の導入に関する基本方針などを総合的に検討するため、内閣官房に官房長官を委員長とする「情報収集衛星推進委員会」を同日付で設置したと発表した。野中長官はまた、導入する衛星について維持管理や運用面の利便性などを考慮して国産で開発する方針を明言した。

「日本も偵察衛星必要」北朝鮮ミサイル発射で菅氏(September 01, 1998)

中国「日本偵察衛星保有反対」

東亜日報 1999年01月20日総合面
軍事力強化憂慮表明 武大偉駐韓中国大使

 武大偉駐韓中国大使は日本が推進している偵察衛星保有計画に対して「賛成しない」と述べ中国政府の拒否意志を明確に表明した。

 武大使は「日本は北韓(註/北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国)の発射体を口実に防衛需要以上に軍事力量を強化する動向がある」とし日本の軍事増強の兆候に対し憂慮を表明した。

 武大使はこのような日本の動きが「東北アジア地域に軍備競争を誘発する可能性があり、この地域の戦力的均衡を壊す可能性があるため日本は慎重を期さなくてはならない」と強調した。

 武大使は14日ソウル明洞・中国大使館執務室で持たれた本紙記者との会見でこのように明らかにし、美日(註/日米)の新しい防衛ガイドラインと関連して「(この範疇に)台湾が含まれることに反対する」と中国の立場をせん明にした。

 武大使はまた北韓の核疑惑と関連して「中国は韓半島(註/韓国での朝鮮半島の呼称)の非核化を支持するが圧力を通じた解決方式には同意しない」と述べた。

 武大使は北韓問題が「交渉と対話を通じて解決しなくてはならなく、強制査察は矛盾えお激化させ韓半島の平和と安定に助けにならない」と強調し米国の圧力政策を間接的に非難した。

 武大使はまた北韓と中国の首脳相互訪問の可能性について「双方が『都合の良い時間』に実現するだろう」と述べたが『都合の良い時間』がいつなのかと言うことに対しては「予測するのが難しい」と述べた。

三菱電機「偵察衛星プロジェクト」政府・防衛庁と連動し推進

1998年11月10日付「しんぶん赤旗」

偵察衛星導入は疑問

1998年9月10日RYUKYU SHINBUN社説
 北朝鮮が八月三十一日、日本上空を通過して太平洋の公海上に向け弾道ミサイルの発射実験を行ったことは、北朝鮮のミサイル技術が日本全体をターゲットにすることができるレベルまで達していることを示し、あらためて日本に弾道ミサイルの脅威を与えた。

 これを受ける形で政府、自民党から防空体制の不備を指摘する議論がわき上がり、偵察衛星導入の必要性まで浮上、八日、独自の多目的偵察衛星導入の検討に入る方針を固めた。

 しかし、偵察衛星導入は、二千億円に上る巨額の予算が必要になる上、「宇宙の平和利用」を定めた国会決議(一九六九年)に抵触する可能性が強い。米国をはじめ中国、韓国などアジア近隣諸国に日本の軍備強化の懸念を抱かせる恐れもある。ばく大な費用を投じて偵察衛星を打ち上げ、北朝鮮との軍事的対立を深めることが良い方法か十分な論議が必要である。

 政府は八五年に「一般的な衛星の自衛隊による利用は平和目的に反しない」という見解を出している。それに基づいて防衛庁は商業衛星の画像購入、米軍の衛星情報提供を受けており、これらの既成事実を踏まえ、一般化している多目的の衛星であれば、利用は許容範囲だとの認識を示している。ところが、偵察衛星導入計画は軍事偵察的な要素を否定できないし、米軍の武力行使と一体化する可能性もあることから、国会で論議を呼びそうだ。

 仮にミサイル発射などを静止衛星で二十四時間監視するには画像分析の面で技術的に難しいし、衛星は数基必要となり、関連施設も欠かせない。このため、開発から打ち上げまで最低八年かかるとの指摘もある。

 八年後というと、朝鮮半島の緊張は緩和され、現在とは違う状況になっていることも予想される。いま日本は長い不況下にあり、先行き好転する見通しは立っていない。その上、金融安定化のために再三にわたりばく大な公的資金を投入する動きもある。そういう経済的ひっ迫状況にあって偵察衛星導入計画にばく大な費用をかける必要性があるのか疑問だ。

 宇宙の平和利用決議を見直し、偵察衛星を導入したらどうかという意見が自民党や野党の一部から出てその方向に向かっている。導入計画は近隣諸国に警戒心を植え付け、情報提供してきた米国も歓迎しないとの指摘もあり、決定まで相当な曲折がありそうだ。

 現時点では北朝鮮が発射した弾道ミサイルが新型地対地弾道ミサイル「テポドン」か単なる人工衛星か判別できない状態にある。米国でさえ人工衛星説を否定していないのだからいまだにはっきりしない。

 政府はまず問題のロケットがどちらのものだったか確認すべきである。仮に人工衛星であった場合は必然性もないのに偵察衛星導入に向かい、軍拡競争に油を注ぐ恐れがあるからだ。検討するに当たっては、技術的問題、巨額の予算、周辺諸国の反応、軍拡競争の回避など、あらゆる角度から論議する冷静さが求められる。

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