TOPIC No.6-21 次世代超音速旅客機「XSST」


01. NAL(独立行政法人 航空宇宙技術研究所)
02. 航空・宇宙産業データベース (2000年版) by日本航空宇宙工業会


「マッハ4」エンジン、飛行実験に失敗

2006年04月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構は19日、マッハ4(音速の4倍)以上の超音速輸送機に搭載する「スクラムジェットエンジン」の性能を評価するため、先月末にオーストラリアのウーメラ実験場で行った飛行実験が失敗したと発表した。

 小型ロケットに搭載した、エンジンの心臓部「燃焼器」を保護するカバーが外れず、データが全く得られなかった。

 同エンジンは、超音速飛行時に生ずる高圧空気を活用し、燃料を効率良く燃やす仕組み。燃焼器の構造が比較的単純で軽量化できるため、次世代の超音速機への利用が期待されている。

 実験は、燃焼器を小型ロケットで高度約300キロ・メートルまで打ち上げて自由落下させ、マッハ7・6の速度のもとで燃焼性能を調べる計画。上昇時の損傷を防ぐカバーは、大気が薄くなった高度100キロ・メートルで内部に窒素ガスを充満させて外す予定だったが、ガスの栓が作動しなかった。原因は不明。

 実験にかかった全費用は約1億円で、同機構は「高額の費用を投入した実験の失敗を厳粛に受け止めている」としている。

超音速機の実験に成功 宇宙機構、豪州ウーメラ実験場で

2005/10/10 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は10日、日本時間同日午前6時半すぎにオーストラリア南部のウーメラ実験場で次世代超音速旅客機(SST)の開発に向けた小型実験機を打ち上げることに成功したと発表した。

 小型ロケットに搭載された実験機は高度約20キロまで上昇した後、切り離されて、グライダーのように滑空。約15分間の飛行中に音速の2倍に達し、機体の約500カ所に取り付けたセンサーで表面の摩擦などのデータが得られたという。

 2002年の1回目の実験は失敗しており、今回が再挑戦。前回は1機約10億円の実験機が発射直後にロケットから脱落して失敗。日本のSSTの研究開発は頓挫し、次の段階であるジェットエンジンを組み込んだ実験機の開発予算は認められていない。

 宇宙機構は今回の実験成功を受け今後、研究開発計画の復活を目指す。(共同)

ジェット機がマッハ10で飛行 NASA、世界最速更新

2004/11/17 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は16日、無人の極超音速実験機「X43A」の最終飛行試験をカリフォルニア州沖上空で行い、ジェット機としては世界最速となる約マッハ10(時速約1万1260キロ)での飛行に成功したと発表した。

 自力飛行は10秒程度とみられるが、この速度なら東京−ニューヨーク間をわずか1時間で結び、3時間半で地球を1周できる計算。今年3月に同機が達成した当時の最速記録マッハ7(時速約8000キロ)を大幅に更新した。

 機体は全長約3・7メートル、幅約1・5メートル。超高速で飛びながら吸い込む大気中の酸素をじょうご形の通路を通して圧縮し、液体水素燃料と混ぜて燃やす「スクラムジェット」というエンジンを搭載している。ロケットと違い、このエンジンは液体酸素を積む必要がないため費用が安く、低軌道を飛ぶ宇宙往還機への応用が期待されている。

 B52爆撃機の翼につり下げられたX43Aは、上空で切り離され、補助ロケットエンジンで約3万4000メートルまで上昇。さらにスクラムジェットで加速した。速度はマッハ10近くに達したとみられ、NASAは飛行データを基に正確な最高速度を確認するとしている。(共同)

初の純国産旅客機開発で協議会設置 経産省など4省庁

2003年09月02日 The Sankei Shimbun
 
 経済産業省など4省庁は2日、初の純国産小型ジェット旅客機の開発を後押しする「民間航空機開発推進関係省庁協議会」を設置、予算確保など必要な措置を講じていくことで一致した。

 経産省所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は今年5月、開発主体として三菱重工業などを選定。関係省庁が連携する態勢が整ったことで、2009年度までに30席程度の旅客機を造る計画に弾みがつきそうだ。

 次回の協議会は年明けの予定。実務的な作業は、担当課長による幹事会が進める。

分離機構の誤作動が原因 超音速機打ち上げ失敗

2002年07月19日 The Sankei Shimbun
 航空宇宙技術研究所の超音速飛行実験機がオーストラリアでの打ち上げに失敗した事故で、同研究所の原因調査委員会(委員長・相原泰彦東大名誉教授)は19日、実験機と上昇用ロケットをつなぐ分離機構が、打ち上げ直後に誤作動したのが原因とほぼ断定した。

 14日の打ち上げでロケットに搭載したコンピューターに異常が起き、誤って分離信号を出した可能性が高いと同研究所はみている。23日にウーメラ実験場で現地調査を行い、来月にも詳しい原因を特定する。

 予定の軌道を外れたロケットが、地上からの破壊指令に応答しなかったことも新たに判明。安全上の不安が浮上し、今後の実験計画に影響を与えそうだ。

 分離機構は、4本のボルトに仕込んだ火薬を内部から爆発させて切断する仕組み。本来は上空で作動するはずだが、記録ビデオには打ち上げから0・17秒後にボルトが爆発したせん光が映り、発射台近くに落下した実験機のボルト断面に爆発跡が見つかった。

 また、発射台とロケットを結ぶ中継ケーブルに、不自然に引きちぎれたような跡があり、これがもとでコンピューターが電気的にショートして誤作動したとの見方が強まっている。

 実験では発射直後に実験機がロケットから脱落して地面に落下。ロケットは約13秒後、約200メートル離れた地面に激突した。

原因調査委員会を設置 航空宇宙技術研究所

2002年07月14日 The Sankei Shimbun
 次世代超音速旅客機(SST)の開発に向け、日本の航空宇宙技術研究所がオーストラリア南部・ウーメラ実験場で、14日行った初の小型実験機の飛行実験失敗を受け、同研究所は原因調査委員会を設置した。付近に近づけないため15日以降、現場検証をして脱落の原因などを調べる方針だが、打ち上げ時に分離機構が破断したか、誤作動が起きた可能性があるとみている。

 今回の実験を通じて同研究所などは、次世代超音速機の国際的な共同開発に必要な技術の確立を目指していた。しかし失敗により、目的の達成が遅れるだけでなく、日本の技術力が問われる事態になった。

 実験機は、無人で全長11・5メートル。推進装置を搭載しておらず、宇宙科学研究所が開発したものを改良した小型ロケット(全長約10メートル)の背に乗せて打ち上げ、高度約20キロで切り離して超音速で約1分間滑空し、空力・飛行データを取得する計画だった。

 同研究所などによると、分離機構は三菱重工業が製造した。前後2カ所で、それぞれ2本ずつボルトがついており、飛行状態を検知して自動的に火薬で破壊し、ロケットから実験機を分離する仕組み。一方、ロケットは実験機が脱落したことでバランスを崩したとみられている。

 実験責任者の坂田公夫次世代超音速機プロジェクトセンター長は「残念だ。原因の究明が必要だが、機材を改良し何とか次の実験につなげたい」と話した。実験機が再利用できるかどうかは不明だという。

 同研究所のSST開発計画は1995年にスタートし、今回が初の飛行実験だった。実験機は1機約10億円で日本で2機製造された。ロケットは1機約1億5000万円で4機製造され、実験機2機で2003年までに、同様の飛行実験を計4回行う予定だった。(共同)

超音速機の初飛行実験失敗 豪で墜落

2002/07/14 中国新聞
 【シドニー14日共同】次世代超音速旅客機(SST)の開発に向 け、日本の航空宇宙技術研究所はオーストラリア南部・ウーメラ実 験場で十四日午前十一時(日本時間同十時半)すぎ、初の無人小型 実験機の飛行実験を行ったが、実験機を積んだロケットが打ち上げ直後に墜落し、実験は失敗に終わった。

 打ち上げ間もなく、ロケットが左側に傾き、必要な高度に達しないまま十数秒後に落下したという。

 同研究所の関係者は「ロケットと実験機の分離はできなかったもようだ」と話しており、実験機は大破したとみられる。

 実験は、全長一一・五メートルの無人・無推力の実験機を小型ロケット(全長約一〇メートル)の背に乗せて打ち上げ、高度約二〇 キロで切り離して超音速で約一分間滑空させ、空力・飛行データを 取得する計画だった。

 失敗の原因は不明だが、現地の実験チームは、打ち上げの映像やデータなどを解析し、失敗の原因を突き止めたいとしている。

 同研究所のSST開発計画は一九九五年にスタートし、今回が初の飛行実験だった。実験機は日本で二機製造されオーストラリアに 輸送。この二機で二〇〇三年までに、同様の飛行実験を計四回行う予定だった。

 実験は当初十一日に行われる予定だったが、悪天候のため十四日に延期となっていた。

 ≪ウーメラ実験場≫オーストラリア南部アデレードの北約500 キロにある、同国国防省管轄のロケット、ミサイル発射実験地域。 12万7000平方キロ(日本の国土の約3分の1)という広大な敷 地があり、第二次大戦直後から1980年代まで、主に米、英軍の 実験に使われた。96年には宇宙開発事業団が、日本版スペースシャ トル計画の一環として小型自動着陸実験機「ALFLEX」の着陸 実験を行った。(シドニー共同)

超音速機実験の現場を公開 豪で11日にも飛行

2002年07月10日 The Sankei Shimbun
 次世代超音速旅客機(SST)の開発に向けた小型実験機の飛行実験を前に、日本の航空宇宙技術研究所は10日、オーストラリア・ウーメラの打ち上げ現場を報道陣に公開した。

 最新のコンピューター技術で設計された実験機は、全長11・5メートルで、既にロケットの打ち上げ台に設置済み。気象条件が合えば、11日午前(日本時間同)に、小型ロケットの背に載せて打ち上げられる。

 実験計画では、高度20キロ、マッハ2の速度で切り離し、約1分にわたり超音速グライダーとして滑空。機体に約900カ所取り付けたセンサーで飛行データを計測し、打ち上げから約15分後にパラシュートを使い着陸する。

 SSTの開発計画は1995年に始まったが、今回が初の飛行実験。同研究所では、同様の飛行を計4回実施し、2005年にはジェットエンジンで推進する実験機の飛行に進みたいとしている。

 実験責任者の坂田公夫プロジェクトセンター長は「今回は精度はともかく、一連の飛行ができればまずは成功と考えている」と話した。(共同)

航技研「小型超音速実験機NEXST1」/ 5月から豪で飛行実験

朝雲新聞社
実機環境でデータ マッハ2高度1万8000メートルで収集

 独立行政法人・航空宇宙技術研究所(旧科学技術庁所管)がマッハ2・2で巡航する次世代超音速旅客機(300人乗り)の縮小モデルとして開発した「小型超音速実験機NEXST1」2機が11月30日、三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場で主契約会社の同社から航技研に引き渡された(12月6日付既報)。同機は来年5月から豪州で飛行実験が開始されるが、実機とほぼ同じ高度・速度で飛行させ、詳細な空力データを取得しようという試みは世界で初めてだ。

航空宇宙技術研究所に引き渡された小型超音速実験機「NEXST1」2機

朝雲新聞社
 航空機の開発では従来、地上の風洞試験施設を利用して空力試験が行われてきた。これは風洞の中で高速の気流をモデルに当てて航空機が高速で飛行しているのと同じ環境を作り出し、機体各部分の空力を計測するもの。

 これに対し、航技研は実際に高度18,000メートルの上空で約十分の一の精密縮小モデルをマッハ2で飛行させ、実機と同じ環境で各種空力特性を計測しようというもの。この方法だと、風洞試験では得られない実機に近い表面 の空気の流れで性能データを得ることが可能になる。

 「NEXST1」実験機は全長11.5メートル(後部パラシュート・コンテナを含む)、幅4.72メートル、高さ1.25メートル。機体の表面 には600個の計測用センサーが取り付けられ、重さは約2トン。設計に当たっては、マッハ2で安定した飛行ができるようコンピューターに事前に目標性能を与え、胴体や翼の形などを計算させる「逆問題設計技術」を採用。流線型の胴体は主翼前部で微妙な膨らみをもたせた精巧なモデルとなっている。

 飛行実験は豪州南オーストラリア州のウーメラ実験場で来年五月ごろから開始される。実験機は国産のNAL735型ロケット・ブースターに結合されて高高度まで打ち上げられ、水平飛行に移ったあとブースターを分離。その後稀薄大気、極低温のなかで超音速滑空飛行を行い、空力性能や機体表面 圧力などの技術データを取得する。機体は回収地点まで誘導、開傘して降下し、接地時にエアバッグで軟着陸させる。

 この後の研究は、同ロケット実験機の飛行評価を受けてジェットエンジンを取り付けた「ジェット実験機NEXST2」の研究に移行、16年度からは実際に高空を高速飛行する母機から発進させ自力推進させる実験を開始し、将来の超音速旅客機開発のためのデータを取得する計画だ。

 平成9年度から始まった実験機の研究開発中、新たに取得された新技術としては、乱流モデルなどを高精度化した設計に使えるCFD(数値流体力学)コードやコンピューターで機体設計するモデリング&シミュレーション開発手法、超音速域で摩擦抵抗を低減する層流主翼形状、超音速条件で実験機をロケットから安全確実に分離する分離技術など9項目があり、日本の航空技術に今後活用できる。

 航技研の技術者は「これらは今後、自衛隊の次期哨戒機や次期輸送機など(防衛分野の)航空機開発にも十分生かせるはずだ」と語っている。

開発進む次世代超音速旅客機

テクノフロンティアNo135(2001年05月8号)
 乗客300人を乗せてマッハ2以上で飛ぶ超音速旅客機を最終目標とする研究開発プロジェクトが具体化してきた。科技庁は2002年3月に小型のロケット機で試験飛行する。工技院は低騒音のエンジン開発に着手した。国際共同開発に向け、独自技術を蓄積していく。

コンコルド追い越せ…これが次世代旅客機

2001年11月30日 ODN News (YOMIURI ON Line)
 文部科学省の航空宇宙技術研究所が開発している次世代超音速旅客機の小型実験機2機の引き渡し式が30日午前、機体を組み立ててきた愛知県豊山町の三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場で行われた。

 同研究所が開発しているのは、マッハ2の速度で飛ぶコンコルドを上回る超音速旅客機(300人乗り)。実験機はその10分の1のモデルで、全長11・5メートル、幅4・7メートル、高さ1・2メートル。重さは約2トンだ。

夢の超音速旅客機の実験機を公開!

2001年02月09日 イサオ マガジン トゥディ
 21世紀ののりものといえば、リニアモーターカー! という話はどこかに消えてしまいそうな感じだが、愛知県の三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所でコンコルドを上回る速度を持つという夢の超音速旅客機が公開された。文部科学省の航空宇宙技術研究所が開発中の次世代超音速旅客機で、マッハ2以上で乗客数がコンコルドの約3倍にあたる300人。航続距離も約2倍の1万1000キロというスゴイのりもの。来年3月から試験を行ない、2004年度には小型機を飛ばす予定だという。これで安全性が確保されれば、まさに夢ののりものですな。

次世代超音速旅客機の実験機が完成 データ収集用ミニ機

2001.02.12(23:46)asahi.com
 太平洋を5時間で横断できる次世代の超音速旅客機(SST)の実験機が完成し、三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所・小牧南工場(愛知県豊山町)で公開された。

 文部科学省の航空宇宙技術研究所と、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業、日産自動車の航空部門(現・IHIエアロスペース)が共同で基本設計したもので、全長11.5メートル、重さ約2トンの無人機。エンジンは積んでいない。2002年3月にオーストラリアで始める実験では、ロケットに積んで飛ばし、高度2万メートルで切り離す。マッハ2の速度で滑空し、機体の圧力など様々なデータをセンサーで計測し、パラシュートで降下させる予定だ。

 次世代SSTは、コンコルドの後継機として日米欧で開発が手掛けられ、現在独自で研究が進められている。日本の研究計画では、この実験と並行してジェットエンジンを積んだ機体を開発している。

日の丸エンジン 開発加速/ 次世代超音速旅客機

2000.08.12 The Sankei Shimbun
石播など3社「マッハ5」可能/環境も視野に

 仏航空会社、エールフランスの超音速旅客機、コンコルドの墜落事故をきっかけに、次世代超音速旅客機の開発機運が高まり、日本のエンジン製造技術がにわかに脚光を浴びている。国際的な分業体制の中で、日本の企業連合は心臓部のエンジン開発を担当。すでにマッハ5(時速約六千キロ)で飛ぶ基本技術を確立した。研究開発を後押しする政府も「事故は残念だったが、次世代機の開発では日本のハイテクが国際的に評価されるはず」(通産省)と“日の丸エンジン”の性能に自信を深めている。(巽尚之)

 コンコルドの後継機となる次世代の超音速旅客機の実用化には、十−十五年の期間と二兆円という巨額の開発費が見込まれているが、先月二十五日の事故をきっかけに開発を急ぐ機運が高まっている。

 実用化は世界の主要企業による共同開発体制で進められている。日本では石川島播磨重工業、川崎重工業、三菱重工業の三社が「超音速輸送機用推進システム技術研究組合」を発足し、十二年度予算で二十二億円の補助金を得てエンジンの研究開発を担当。

 開発中のエンジンは、地上での燃焼試験を終えており、マッハ5での飛行が可能になることを確認した。圧縮した空気に燃料を加え燃焼させる筒状のラムジェットと、空気圧縮機を回転させ高圧の空気に燃料を吹き込み燃焼させて推力を得るターボジェットを組み合わせる方法で基本技術を確立した。

 同組合は「日本は戦後、航空機開発から遠ざけられていたが、次世代超音速機の技術では過去十年間の研究実績が国際的にも相当高く評価されている。これまでの遅れを一気に巻き返せる」(丸川章専務理事)と自信を示す。

 三菱重工業も「開発を通じて低燃費、低公害の技術を確立できる」と新エンジン開発に伴う波及的な効果に期待をかけている。

 スピード面の技術をクリアした現在の課題は経済性の追求のほか、スピードに反比例して増える騒音や窒素酸化物(NOχ)、二酸化炭素(CO2)の排出量の削減問題。「NOχはコンコルドの七分の一、CO2は二五%削減」(同組合)が目標だ。

 そんな環境適合型のエンジンが完成すれば、騒音や振動波の問題も解消され、世界の航空会社の需要が急激に高まることも予想される。工業技術院では次世代機の採算ラインは三百機程度と見込んでおり、「二十一世紀には急増する航空輸送と経済活動のグローバル化に対応した超音速旅客機の時代が訪れる」と期待を込める。

 ただ、一方には「コンコルドに象徴されるような、スピードを競う大量輸送の時代は、もう必要ないのではないか」との批判もあり、今後の開発の進め方が注目されている。

超音速機:マッハ5のエンジンを展示へ 航空宇宙展

Mainichi INTERACTIVE 2000年02月08日
 東京―ニューヨークを3時間(現在の飛行時間の4分の1)で結ぶマッハ5の次世代超音速旅客機の研究用エンジンが、3月22日から東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれる東京国際航空宇宙展に展示される。日米欧が進める世界で唯一の次世代機の共同開発で、実物が公開されるのは初めて。

 エンジンの開発は、通産省工業技術院や石川島播磨重工、川崎重工、三菱重工などが技術研究組合を作り、ロールスロイスなど欧米の航空機エンジンメーカーと共同で研究を進めている。

 超音速機は英仏のコンコルド(マッハ2)が有名だが、騒音と燃費が問題となり16機が量産されただけ。「商業的には失敗」(関係者)とされる。このため航続距離が短く、大西洋横断しかできないコンコルドに対し、次世代機は燃費を大幅に改善し、太平洋横断を目指すほか、騒音、排ガスなどを低減し「環境対応型」にすることに重点を置いている。昨年、マッハ5の研究用エンジンで速度面の基礎技術を確立、現在は、マッハ2・5クラスで「より厳しい騒音、環境対策に挑んでいる」という。

 次世代機は当初、2005年から最終開発に着手し、10年代の実用化を目指していたが、米航空宇宙局(NASA)とボーイング社を中心とする全体の開発計画は遅れ気味。通産省は「21世紀の先端技術の研究成果を一人でも多くの人に見てほしい」と話している。

世界初の超音速機用コンバインドサイクルエンジンの運転試験に成功

平成10年3月9日 通商産業省工業技術院
 通商産業省工業技術院では、世界最高速の巡航速度マッハ5を目指す将来の超音速輸送機用エンジンの研究開発を実施しています。

 この度、ターボジェットとラムジェットを統合した世界で初めてのコンバインドサイクルエンジンの試作を完了し、2月下旬より運転試験を開始しました。

 運転試験は、本研究開発を行っている「超音速輸送機用推進システム技術研究組合」が石川島播磨重工業株式会社の瑞穂工場において実施しており、今般初回運転試験を終了し、当初予定していたデータの取得に成功しました。

 今後は、本年10月から米国シンシナテイ(オハイオ州)にあるGE(ゼネラルエレクトリック)社で予定している実際の飛行条件を模擬した試験(高空性能試験)に向けて、準備を進めてまいります。

「超音速輸送機用推進システム」の研究開発プロジェクトは通商産業省工業技術院の産業科学技術研究開発制度の下に、国際共同研究開発プロジェクトとして国立研究所の他、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が国内のエンジンメーカ3社で組織する超音速輸送機用推進システム技術研究組合(HYPR)と世界有数の航空機エンジンメーカ4社に委託して、平成元年度から平成10年度までの期間で研究開発を進めているものです。

 研究開発を進めているエンジンは、最高速度マッハ5という将来の超音速機用のエンジンで、東京−ニューヨーク間の距離を飛行するのに現状の12時間から3時間程度に短縮できるというものです。

 今回運転試験を開始したコンバインドサイクルエンジンは、高性能ターボジェットエンジンとラムジェットエンジンを高度に結合した、世界で初めての試作エンジンで、将来の超音速機用ジェットエンジンの基礎技術を確立するためのものです。

超音速機用ターボジェットエンジン「マッハ2.5の飛行環境でエンジン運転試験に成功」

平成8年12月20日 通商産業省工業技術院
 通商産業省工業技術院では、世界最高速の巡航速度マッハ5を目指す将来の超音速機用エンジンの研究開発を実施しています。
 本日(現地19日)、米国のシンシナティ(オハイオ州)において、初めてマッハ2.5における実際の飛行状態を模倣した環境でのエンジン運転試験に成功しました。ターボジェットエンジンとしては世界最高速クラスを達成しました。
 今後、2月上旬までにマッハ3までの試験を実施する予定です。

 「超音速輸送機用推進システム」の研究開発プロジェクトは、通商産業省工業技術院の産業科学技術研究開発制度の下に、国際共同研究開発プロジェクトとして国立研究所が研究を実施する他、NEDOが超音速輸送機用推進システム技術研究組合(HYPR)及び世界有数の航空機エンジンメーカ4社に委託して、平成元年度から平成10年度までの間、総予算280億円の予定で研究開発を進めているものです。

 研究開発を進めているエンジンは、飛行速度マッハ5という世界最高速のジェットエンジンの試作モデルで、東京−ニューヨーク間を現状の12時間程度から3時間程度に短縮できるという、将来の航空機用ジェットエンジンの基礎技術を確立するものです。

 今回試験を行ったエンジンは、試作エンジンのうち、マッハ3程度までの飛行を担うターボジェットエンジンで、最終的にはマッハ3以上の飛行を担うラムジェットエンジンと結合し、コンバインドサイクルエンジンという世界初のエンジンの試作・試験を行います。

HOME宇宙・科学