TOPIC No.6-19 各種衛星

a. 各種衛星, b.熱帯降雨観測衛星(TRMM)

TOPIC No.6-19a 各種衛星


「イカロス」が太陽光で姿勢制御 宇宙ヨット、世界初

2010年07月23日 中国新聞ニュース

 宇宙ヨット技術の実証機「イカロス」から分離したカメラで撮影した、機体の全景(宇宙航空研究開発機構提供)

 宇宙航空研究開発機構は23日、太陽の光を風のように帆で受ける宇宙ヨット技術の実証機「イカロス」が、太陽光のわずかな圧力を利用して姿勢を制御するのに世界で初めて成功したと発表した。

 イカロスは既に太陽光を利用した減速にも成功しており、今回の姿勢制御と組み合わせれば、帆を利用して針路を変えながら進んでいくヨットとしての技術が確立し、木星など遠い宇宙の探査などに応用できると期待される。

 イカロスの帆には、電気を通すと反射率が変わる特殊な素材が使われていて、場所によって反射率に差をつけることで機体の向きを自在に制御できる。宇宙機構は13日に姿勢制御実験を開始し、ほぼ予定通りに機体の向きを変えられることを確かめた。

 5月21日に金星探査機「あかつき」とともに打ち上げられたイカロスは、金星に向かって飛行中。今後も、太陽光による加減速や方向転換の実験を繰り返す。

金星へGO!「あかつき」「イカロス」公開

2010年03月12日 読売新聞 YOMIURI ON-Line

公開されたあかつき(右)とイカロス(左) 宇宙航空研究開発機構は12日、5月にH2Aロケットで打ち上げる予定の金星探査機「あかつき」や宇宙ヨット「イカロス」を報道陣に公開した。

 「イカロス」は、太陽光を帆に受けて航行する宇宙ヨット(帆船)。直径1・6メートル、高さ80センチの円筒形の缶詰のような形で、胴体部分に一辺約14メートルの正方形の薄い帆が巻き付けられている。金星への航行時は帆を大きく開くが、この日は胴体に巻き付けられた形でのお披露目となった。

 「あかつき」は、日本初の金星探査機。今年末に金星に到着して金星上空の気象などを観測する予定。

人工衛星愛称は「いぶき」 温室効果ガス観測へ

2008年10月15日 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構と国立環境研究所、環境省は15日、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)とメタンを観測するため、来年1−2月に打ち上げ予定の人工衛星の愛称を、公募の結果「いぶき」に決めたと発表した。

 地球の息遣いを調べるという衛星の任務が込められていることや、「響きが活気と明るい未来を感じさせる」として選んだ。

 今年7月から2カ月間募集し、応募総数は約1万2700件。愛称の数は約3800点あり、このうち「いぶき」の提案者は630人に上った。

 いぶきは鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられる。同じロケットで、東大阪宇宙開発協同組合(大阪府東大阪市)の「まいど1号」など、民間や大学が開発した6つの小型衛星と、宇宙機構の小型実証衛星も打ち上げる。

衛星かぐや観測機器に異常 月の詳細地形図は完成

2008年04月09日 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構は9日、月を周回観測中の人工衛星「かぐや」で、月面の元素分布を調べる「ガンマ線分光計」に異常が見つかったと発表した。原因を調べ、復旧を目指す。

 一方、宇宙機構と国立天文台、国土地理院は同日、かぐやの「レーザー高度計」がとらえた約600万点の月面高度データのうち、約113万点を基にしてつくった月の詳細な地形図を公開した。かぐやが月探査衛星として初めてとらえた75度より高緯度のデータも反映している。

 宇宙機構によると、ガンマ線分光計は月面の水素を観測し、焦点になっている水の存在の直接証拠をとらえることが期待されていた。2月21日から観測値が異常になったという。それ以前の2カ月分のデータは取れているが、復旧できない場合、水の存在確認はピンチになりそうだ。

 同分光計は、月面の元素から出るガンマ線を検出し、10種類程度の元素の量を調べる。

衛星で熱帯雨林を観測 宇宙機構が国際研究

2007年09月03日 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構は3日、陸域観測技術衛星「だいち」で熱帯雨林など植生の変化を観測し、気候変動との関係を調べる国際プロジェクトを本格的に始めたと発表した。

 協定を結んだ海外20の研究機関にデータを提供し、地球温暖化関連の研究に活用してもらう。

 雲の影響を受けずに地表の観測ができる「だいち」の合成開口レーダーで、熱帯林や、ロシアやカナダなどの森林、湿地などを長期間、継続的に観測。二酸化炭素の吸収源となる森林や、温室効果ガスのメタンを発生させる湿地、砂漠などの変化を調べる。

 過去の日本の衛星画像と、だいちが昨年12−今年1月に撮影した画像を比べると、ブラジルのアマゾンで森林が伐採された領域が拡大している様子がはっきり分かり、だいちによる観測の有効性が確認できたという。

繰り返し100回使えるロケット 打ち上げへ計画案 宇宙航空研

2007/05/20 FujiSankei Business i.

 繰り返し100回使える小型観測ロケットを開発し、2011年度の初打ち上げを目指すプロジェクト案を、宇宙航空研究開発機構の稲谷芳文宇宙科学研究本部教授らがまとめた。千葉市で19日から始まった日本地球惑星科学連合大会で発表する。打ち上げ後はパラシュートに頼らず、エンジンだけで発射場に帰還・着陸するほか、飛行中にホバリングもできるようにする。実現すれば世界初。

 現在の観測ロケットは使い捨てで、1機2億〜3億円するのに対し、再使用型にすることで打ち上げコストを1回約1500万円に引き下げ、観測・実験回数を増やすのが目的。将来の有人宇宙飛行に必要な高い安全性と信頼性を実現する狙いもある。稲谷教授らはこれまで基礎研究を行ってきたが、本格的な研究開発への移行を目指している。

 新ロケットは高さ8〜9メートル、重さ約8トン(燃料含む)。大型のH2Aロケットと同じ最も効率が良い液体水素と液体酸素を燃料とするエンジンを4基備え、このうち1基が故障しても飛行できるようにする。重さ約100キロの観測・実験装置を搭載し、最高で高度約120キロまで到達する。

 発射場は鹿児島・内之浦宇宙空間観測所を想定。試験1号機を含む開発費は50億〜100億円を見込んでいる。

 稲谷教授らは、1999〜03年度に秋田・能代多目的実験場で、小型実験機を8回、離着陸させた。その後はエンジンの推力調整や長寿命化の実験を続けている。

               ◇

【用語解説】観測ロケット

 高層大気や宇宙線の観測、落下時の無重力状態を利用した実験、技術開発に使う小型ロケット。宇宙航空研究開発機構では主に固体燃料で単段式のS310型とS520型を鹿児島・内之浦宇宙空間観測所から年数回打ち上げている。いずれも高度100キロ以上の宇宙空間に弾道飛行で到達した後、海上に落下、投棄される。

きく8号:送信用アンテナも展開に成功

2006年12月26日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、H2Aロケットで打ち上げた技術試験衛星「きく8号」の大型アンテナ二つのうち、予定通り開かなかった送信用アンテナの展開に成功した。

 受信用アンテナは25日に正常に開いたが、送信用はアンテナを折りたたんだ状態に保つ装置の解除に手間取り、作業を中止。26日午後7時ごろから作業を再開し、約1時間ほどでテニスコート大(約19メートル×17メートル)に開いた。

 きく8号は衛星と地上の携帯端末の通信システムを実証するのが目的で、地上設備などを含めた総費用は約522億円。【下桐実雅子】

きく8号12月16日打ち上げ 巨大アンテナで通信実験

2006/10/25 北海道新聞

 宇宙航空研究開発機構は25日、巨大アンテナで衛星通信の実験を行う技術試験衛星「きく8号」を載せたH2Aロケット11号機を、12月16日午後3時32分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げると発表した。

 きく8号は縦19メートル、横17メートルのテニスコート大アンテナ2枚を搭載した静止衛星。携帯電話などの弱い電波でも地上局を介さず直接衛星通信ができるシステム構築を目指し、弱い電波を使い地上と通信実験を行う。

 重さは5・8トンと、これまでの国産衛星で最も重い。このためH2Aの固体補助ロケットを4本に増やし、初めて同ロケットの打ち上げ能力を最大にして打ち上げる。

 宇宙機構は、きく8号の打ち上げに備え、欧州のアリアン5型ロケットを使ってアンテナの展開実験を今月中旬に実施、成功した。

衛星を「きく8号」と命名 H2Aで12月打ち上げ

2006/10/21 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構は21日、12月にH2Aロケットで打ち上げ予定の技術試験衛星8型(ETS8)を「きく8号」と命名したと発表した。

 日本の技術試験衛星は、同機構の前身の宇宙開発事業団が1975年に1号機を打ち上げて以来、代々「きく」と名付けられており、8番目のETS8も引き継いだ。

 きく8号ではそれぞれ縦19メートル、横17メートルの巨大アンテナ2枚を宇宙で展開。地上からの弱い電波をキャッチし、携帯電話でも直接衛星通信ができるようなシステムの実験をする予定。

月周回衛星セレーネを公開 宇宙機構、来夏打ち上げ

2006/10/13 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構は13日、来年夏にH2Aロケットで打ち上げる月周回衛星「セレーネ」を同機構筑波宇宙センターで公開した。

 セレーネは月周回軌道を主衛星1基と2つの子衛星に分かれて回り、連携を取りながら月の重力を計測。その内部構造を解明し、月のできた起源やその進化に迫る成果が期待されている。

 また、月全体の詳細な地形図・地質図の作成も目標。ハイビジョンカメラも搭載し、月の地平線から昇ってくる地球の映像も公開する予定だ。

 公開されたセレーネは高さ約4・8メートル、幅と奥行きが各約2・1メートル。炭素でコーティングされた黒い本体に、子衛星2つを含む15個の観測機器が所狭しと並んでいる。子衛星を中継することで月全体の重力を初めて測ることが可能になるという。

 2007−08年は中国やインド、米国も相次いで月周回衛星の打ち上げを計画し、探査競争の激化が予想されている。

探査機「はやぶさ」との交信回復 地球帰還は苦難の道

2006/03/07 The Sankei Shimbun

 小惑星イトカワへ着陸を果たした後、姿勢制御が不能になって交信も途絶した探査機「はやぶさ」について、宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は7日、交信が回復したと発表した。今後2010年の地球帰還を目指した作業を始めるが、姿勢制御用の化学エンジンの燃料がすべてなくなったらしいことが判明。帰還は困難が予想される。

 宇宙機構によると、はやぶさは昨年12月9日以降、通信が途絶していたが、姿勢の乱れが徐々に収まったためか、1月26日から少しずつ回復。3月4日までに機体の状態に関するデータが取得できるほどになった。太陽電池による発電量も十分という。

 だが、故障した姿勢制御装置の代わりに使っていた化学エンジンの燃料が漏れ、なくなったとみられることが分かった。

 同機構によると、帰還に重要な姿勢制御は一段と難しくなったが、今後は推進用のイオンエンジンで姿勢制御もこなす予定。今年後半から来年にかけイオンエンジンの稼働を開始させ、あくまでも10年の地球帰還を目指す。

 現在はやぶさは、地球から太陽方向に約3億3000万キロ、イトカワからは1万3000キロ離れた位置にあり、地球との距離はほとんど変わっていないという。

富士山、宇宙から一望 衛星だいちが初画像

2006/02/15 中国新聞

 宇宙航空研究開発機構は15日、陸域観測衛星「だいち」のデータから作成した富士山の雄姿と清水港(静岡市)の初画像を公開した。

 だいちに3種類搭載した観測機器のうち、立体画像を取得できる「プリズム」で撮影。地上に送られた立体データに、高さを強調する処理を行って斜め上から見た鳥観図に再構成した。手前に広がる甲府盆地の町並みや道路、山頂へと続く富士山有料道路などが一望でき、清水港では道路を走る自動車や、停泊する船までとらえている。

 プリズムはカメラ3台で前方、真下、後方と撮り分け、地表のでこぼこを立体的に観察、地上を垂直方向で3メートル、水平方向で2・5メートルの精度で識別できる。

陸域観測衛星「だいち」データ欠落、画像変換設備が原因

2006/02/14 NIKKEI NET

 地球の陸地を観測する陸域観測技術衛星「だいち」から送られてくるデータの一部が欠落していたとされる問題で、宇宙航空研究開発機構は14日、データは実際には欠落しておらず、データを画像に変換する地上設備に問題があったことが判明したと発表した。

 同機構は1月30日にだいちについて、取得データの最大20%が欠落していると発表した。しかし、データを受信する地上設備を別の装置に交換したところ、データから鮮明な画像を得ることができ、衛星からのデータは正常に送られてきていることがわかった。今後、だいちの観測機器の試験運転を進めて、9月からの本格運用を目指す。 (19:03)

だいち復旧、画像取得へ 受信設備交換で不具合解消

2006/02/14 中国新聞

 宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は14日、1月に打ち上げた陸域観測衛星「だいち」が送ってくるデータの一部が欠落した不具合について、データを受信する地上局の設備に原因があるとほぼ断定し、装置を交換すれば今後の運用には支障がないと発表した。

 埼玉県鳩山町にある受信設備の機器を、だいちの開発や機能試験で使用した機器と交換したところ、平均5%の欠落があった画像が100%取得できたという。

 宇宙機構の倉益凌一チーフテクノロジストは「機器類はわずかな違いはあるが、基本的には同じもの。機械同士の相性の問題があるのかもしれない」とし、不具合の詳しい原因は今後さらに調べるとしている。

宇宙技術を農業などに活用 衛星の高性能カメラ商品化

2005/10/28 The Sankei Shimbun

 高度な宇宙技術の民生転用を進める北海道の産学連携ベンチャー企業が、人工衛星に搭載されている高性能カメラを農業や流通分野などで活用するための商品化に成功した。

 この会社は北海道大樹町の「北海道衛星」で、国内で初めて高性能センサーで複数の光の波長を計測する性能を持つ「ハイパー・スペクトルカメラ」の開発に成功。

 衛星搭載型だけでなく持ち運びできる改良型も製作。画像で食材の鮮度を分析できるほか、別に開発したセンサーを使えば、野菜や肉、魚などの食材の鮮度が数値で表示される。

 また水田の撮影で、イネのタンパク質含有量などを測定し、コメの出来栄えや収穫時期を判断できる。建物の老朽化診断や皮膚がん検査への応用も検討している。ことし5月から約300万円で販売を始め、鮮度センサーも来春、販売する予定。

 スーパーなどで需要がありそうで、中国・北京で10月半ばに開かれた農業見本市でも話題となったという。社長で私立北海道工業大の佐鳥新(さとり・しん)助教授は「市場に需要があることが分かった。民間を対象とした宇宙産業を育てていきたい」と話している。

 宇宙技術の活用は、大型人工衛星から写した画像を基に土壌改良に成功した例などがあるが、費用が高く、一般化しなかった。(共同)

衛星「れいめい」オーロラとらえる 最初の画像公開

2005/09/22 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は22日、8月に打ち上げた小型衛星「れいめい」が撮影した南極上空のオーロラの写真を公開した。

 れいめいは、酸素が多い高度約120キロと、窒素が多い高度約105キロの地点について、それぞれ観測。オーロラをほぼ真上から見下ろす形で、約130キロ四方を1秒ごとに撮影し、急激に明るさを増したオーロラが、短時間に目まぐるしく形を変える様子をとらえた。

 オーロラは大気中の原子に、宇宙から飛んできた電子がぶつかって光る現象。

 れいめいは最先端の太陽電池などを採用した機器が宇宙でも働くかどうかを確かめる実証衛星で、オーロラ観測も行う。機器は順調に作動中という。

 今後、昭和基地からのオーロラ観測の結果と比較する研究も行う。(共同)

衛星「ようこう」が消滅 10年以上太陽を観測

2005/09/13 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は13日、運用を終えた太陽観測衛星「ようこう」が12日午後6時16分ごろ、インド上空で大気圏に落下したと発表した。420キロの機体は大気との摩擦で燃え尽き、消滅した。

 ようこうは、1991年8月の打ち上げ以降、3年の設計寿命を超える10年以上にわたって成果を挙げ続けた長寿衛星。エックス線望遠鏡で、太陽フレアと呼ばれる大爆発現象や太陽を取り巻くコロナの活動を観測した。コロナがダイナミックに変化する画像は、米国の天文雑誌の読者投票で「20世紀を代表する天文写真ベストテン」にも選ばれた。

 発電量の低下から2001年12月に姿勢制御不能になり、04年4月に完全に運用を終了。徐々に高度が下がり、最近は高度約250キロのほぼ円軌道を回っていた。(共同)

衛星間光通信実験へ、「きらり」打ち上げ

2005年08月24日 読売新聞 Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日、衛星間光通信の実用化に向けての実験に挑む国産衛星を、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地からロシアとウクライナの合弁企業が運用するドニエプルロケットで打ち上げた。

 衛星は、現地時間の午前3時10分(日本時間午前6時10分)の打ち上げから、約15分後に高度610キロ・メートルの円軌道に乗り、「きらり」と名づけられた。副衛星として同じロケットで打ち上げられた小型科学衛星も同じ高度の軌道に乗った。

 ただ、姿勢制御系の3台の装置のうち1台から異常信号が発信されており、高精度な軌道設定をする機能にも不具合が見られることから、今後の実験に影響がないかどうかJAXAで調べている。

 「きらり」は、約4万キロ・メートル離れた欧州宇宙機関(ESA)の静止衛星「ARTEMIS(アルテミス)」と、レーザー光での双方向通信を行うための実験衛星で、本体の高さが約1・5メートル、太陽電池パネルを広げた際の長さが約9・4メートル。打ち上げ時の重量570キロ・グラムで、開発に127億円をかけた。

 衛星間光通信は、電波を使う従来の通信衛星の約10倍のデータを送受信することが将来的には可能で、送受信に成功すれば、実験とはいえ、軍事衛星を除いては世界初のこととなるという。打ち上げ後3か月間は衛星としての機能確認の作業を行うため、実験開始は11月下旬の予定だ。

 衛星打ち上げに外国のロケットを使うのは、1978年4月に、JAXAの前身の宇宙開発事業団が放送衛星「ゆり」を米デルタロケットで打ち上げて以来27年ぶり。国産ロケットの優先使用が政府の方針だが、来年7月に光通信機器の寿命が切れるアルテミスとの実験に間に合わせられる国産ロケット調達のめどが立たず、外国のロケットを使った打ち上げに踏み切った。

観測衛星ALOSが9月打ち上げ延期、電子機器に不安

2005年07月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、9月に鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げる予定だった陸域観測技術衛星(ALOS)の電子機器に不具合が出る可能性があるため、打ち上げを延期すると発表した。

 H2Aロケットでは、12月ごろに国土交通省の運輸多目的衛星2号(MTSAT―2)、来年2月ごろに内閣官房の情報収集衛星を打ち上げる予定が控えている。今回の打ち上げ延期によって、これら3機のうち1機は来年夏まで打ち上げが延期されることが確実になった。

 来年1〜2月にM5ロケットで打ち上げる赤外線天文衛星(アストロF)の点検中、ALOSにも使われている米国製トランジスターに異常が発生、分解したところ異物が混入しているのが見つかった。

実用衛星、開発期間5年内に短縮へ 宇宙開発委部会

2005年03月18日 asahi.com

 地球観測などの実用衛星について、文部科学省の宇宙開発委員会は18日の推進部会で、今後は開発期間を5年以内に短縮し、重さも2トン程度以内を中心にすることを決めた。技術開発目的の衛星は対象外にする。開発回数を増やすことで、人材の育成にもつなげていく。

 故障で想定より早く運用停止した地球観測衛星「みどり」(97年)や「みどり2」(03年)は部品や積み込む機器などが重く、3トン以上の重量があった。また開発期間も6年以上かかっていた。3トン以上の大型衛星は、観測機器や燃料系機器も増え、不具合が生じる危険性が高くなる。開発にかかる時間も長期化し、国産衛星の開発期間は最長で9年にも及び、人材の確保や育成にも影響が出ていた。

 また、新たな部品の開発で故障が出ることがないよう、衛星本体の基盤部品では、信頼性が確立した既存技術を、できる限り活用することにした。

実用衛星の開発期間は短く、重量も2トン程度に

2005/02/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 今後の衛星開発の方針について検討している文部科学省宇宙開発委員会の部会は18日、地球観測などを目的とする実用的な衛星は開発期間を5年以内、重量を2トン程度にとどめるとする報告書の骨子をまとめた。

 打ち上げから1年もたたずに運用停止した環境観測技術衛星の「みどり」「みどり2号」が、いずれも3・5トン以上あり、開発期間も6年以上かかった点を重視。信頼性向上のために既存技術を活用した中型の基盤部を繰り返し製造するとともに、開発期間を短縮して人材育成の機会を増やす。惑星探査などを行う科学衛星や技術試験のための衛星には、開発期間や重量の枠を定めない。

ロシアに打ち上げを発注 宇宙機構の光通信衛星

2004/12/27 asahi.com

 宇宙航空研究開発機構は27日、光衛星間通信実験衛星(OICETS)を来年夏、ロシアの民間会社のロケットを使ってカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げると発表した。

 当初使う予定だった国産J1ロケットの開発が凍結され、来年2月に再開予定のH2Aロケットも打ち上げを待つ衛星がめじろ押しで割り込む余地がなかったため、発注することになった。

 宇宙機構が自前の技術衛星を海外に託すのは、前身の宇宙開発事業団が1978年に米・デルタロケットで打ち上げた放送衛星以来で、ロシアは初めて。大陸間弾道ミサイルを改良したドニエプルロケットを使い、打ち上げ費用は10億円程度。

 OICETSは、欧州宇宙機関(ESA)が01年に打ち上げた静止衛星ARTEMISとの間で、レーザーを使って数万キロ離れた大容量光通信の実験をする衛星。ARTEMISの設計寿命が5年間のため早期に打ち上げる必要がある。(共同)


TOPIC No.6-19b 熱帯降雨観測衛星(TRMM)
01. 熱帯降雨観測衛星(TRMM) Web Site

TRMM運用延長決定について

2005年10月12日 JAXA

 TRMMの運用延長に関して、これまでNASA-JAXA間で調整が行われてき ましたが、このたびNASAから2009年9月30日までの運用延長を決定したとの連絡 を受けました。その後の運用延長に関しては、この期間の最後に改めて検討される 予定です。

熱帯降雨観測衛星:運用打ち切りへ

2004年07月09日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 日米で共有する熱帯降雨観測衛星「TRMM」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、米航空宇宙局(NASA)からの提案を受け入れ、運用打ち切りに合意した。NASAは7月中にも観測をやめる。

 TRMMは、海陸両方の降雨を三次元で観測できる唯一の衛星。日本が97年11月に打ち上げ、米国がデータ取得などの運用をしている。高度約350キロから低緯度地帯の雨や雷を観測し、気象予報精度の向上や研究に利用されてきた。

 しかし設計寿命(3年)を過ぎたことなどから、NASAが昨秋「(落下など)安全上の懸念がある」と運用停止を提案。運用資金に余裕がないことから、JAXAも最終的に合意した。TRMMは1年かけて高度を下げ、海に投棄される。【元村有希子】

NASA:熱帯降雨観測衛星の運用中止 研究者ら反発

毎日新聞 2004年6月19日 Mainichi INTERACTIVE

 日米共同で打ち上げた熱帯降雨観測衛星「TRMM」を運用している米航空宇宙局(NASA)が6月末で運用を打ち切ると宇宙航空研究開発機構(JAXA)や研究者に通告し、国内外の研究者から強い反発が出ている。打ち切り理由は「資金難」で、月や火星の有人探査計画に予算を振り向けるための措置とみられる。日本気象学会や国際組織「世界気候研究計画」などはNASAとJAXAに書簡を送り、運用継続を訴えている。

 TRMMは衛星本体をNASA、降雨を観測するレーダーを日本側が開発した。97年11月に日本のH2ロケットで打ち上げられ、高度約350キロの地球軌道を周回している。異常気象や気候変動の解明を目指し、赤道を中心とした低緯度地帯の雨や雲、雷などを観測している。設計寿命の3年を過ぎたが、機器はすべて順調に作動しており、あと3〜4年は観測が可能だという。

 しかし、衛星軌道の微調整やデータ中継などの運用を担当するNASAはJAXAに運用停止の協議を求めてきた。年間3億円程度かかる運用経費が不足しているとの理由だった。NASAは昨年から今年にかけて、火星や月への有人探査計画を打ち出している。これに巨額の資金が必要で、TRMMはそのあおりを受けた形だ。

 事情を知った気象、海洋関連の学会が次々に継続を求める書簡をNASAに送っている。

 研究者によると、TRMMは海と陸の降雨データが均質に得られる唯一の衛星で、観測データは気象庁の予報モデルのデータとして使われているほか、国土交通省が開発中の洪水アラームシステムにも活用されている。

 東京大気候システム研究センターの高薮縁・助教授は「地球全体の水循環に大きな影響を与えている熱帯の降雨観測が途絶えることは痛手だ。日本を含めた国際支援で観測を続けてほしい」と話している。

 一方、JAXA広報部は「現在、NASAと協議しているが、妥当な理由であれば拒否は難しい」と話している。【西川拓】

年1基打ち上げ断念、失敗続きで衛星計画見直し

2004/06/19 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構は、火星探査機「のぞみ」の失敗や月探査機の打ち上げ延期などトラブル続きの科学衛星計画を大幅に見直し、人工衛星を初めて打ち上げた1970年から維持してきた年1基打ち上げの原則を断念することを決めた。

 これを受けて文部科学省宇宙開発委員会は、宇宙科学特別委員会を来月にも新設し、今後の打ち上げ方針について検討する。

 惑星探査や天文観測などを行う科学衛星は、現在7基の計画が進行中だ。そのうち5基が、観測装置の不具合や2000年のM5ロケット打ち上げ失敗の余波で、延期や再挑戦を余儀なくされたもの。例えば月探査機「ルナーA」は1995年度の打ち上げ予定だったが、試験で不具合が次々と見つかり、いまだに打ち上げのめどが立たない。

 科学衛星を担当する同機構宇宙科学研究本部は、近年の衛星の大型化や観測目的の多様化に、計画立案に3年、製作に5年かけ年1基打ち上げという旧来の慣例がそぐわず、それが数々の失敗につながっていると判断。小型衛星を増やして開発期間を短縮したり、海外の衛星に観測機器を搭載する計画をさらに進めるなど、科学衛星の開発方針を根本的に変更することにした。

彗星の核は硬かった、従来説を覆す

2004/06/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】彗星(すいせい)の核は硬かった――。米航空宇宙局(NASA)は、無人探査機スターダストが撮影したビルト2彗星の画像と、その分析結果を18日付の米科学誌サイエンスで発表した。

 ビルト2彗星は火星と木星の間にあり、中心部の核は直径約5キロ。画像は探査機が今年1月2日、約236キロまで接近して撮影、彗星の核の部分を調べるため、周囲のちりやガスを画像処理で取り除いた。

 彗星の核は氷の塊に例えられ、わずかな衝撃でばらばらになると、これまでは考えられてきた。しかし、詳しい画像分析の結果、ビルト2の核には起伏に富んだ地形や滑らかな平面があり、クレーターまで存在していることから、天体衝突などでは簡単には壊れない核であることがわかった。

NASAは業務民間移譲を 米大統領委員会が提言

2004/06/16 The Sankei Shimbun

 月面基地や火星有人探査など、ブッシュ米大統領が打ち出した新宇宙政策を実現するには、米航空宇宙局(NASA)が有人宇宙飛行以外の業務を大幅に民間に移譲する必要があるとした報告書を、大統領委員会がまとめた。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)など米主要メディアが15日、一斉に報じた。

 報道によると、ピート・オルドリッジ前国防次官を長とする委員会は、大統領の方針を全面的に支持した上で、政策を担うNASAの業務見直しや組織改革が必要だと提言した。

 具体的には、NASAは有人宇宙飛行や新技術の研究開発など、国でなければできない業務に集中し、特に低い高度への人工衛星打ち上げ業務などは民間に任せるべきだとした。委員会は報告書を16日に発表する。

 新宇宙政策は今年1月に打ち出された野心的計画。早ければ2015年、遅くとも20年までに月に宇宙飛行士を送り、長期滞在可能な月面基地を建設、さらに火星を目指すなどの内容。必要な費用の総額は明らかにされていないが、専門家からは巨額の費用がかかる可能性も指摘されている。(共同)

日米共同の降雨観測衛星、NASAが費用不足で終了打診

2004/06/09 Asahi.com

 日米共同で97年に打ち上げられ、異常気象の解明などに貢献してきた熱帯降雨観測衛星(TRMM)について、米航空宇宙局(NASA)が今月末での運用終了を宇宙航空研究開発機構に打診していることが分かった。すでに3年間の寿命は過ぎているが機能は正常なため、日本気象学会などは8日、同機構に、日本側が費用を肩代わりしてでも延命させるよう強く求めて、要望書を出した。

 TRMMは、米側が衛星本体、日本側がそれに積む降雨レーダーを開発し、日本のH2ロケットで打ち上げた後、衛星の運用とその費用は米側が担ってきた。

 まだ数年間は運用可能と分析されているが、NASAは、従来通りの費用負担をさらに続けるのは困難で、数年の延長には10億円以上が不足すると説明しているという。

 宇宙機構も、H2Aの打ち上げ再開の費用などがかさみ、資金の余裕はない。このままでは、6月末に観測が中止され、来年春以降に海洋に落下する運命だ。

 TRMMは、降雨の状態を3次元的に観測できる。エルニーニョ現象を降雨の様子から観測するのに成功しているほか、観測データの一部は気象庁の天気予報にも利用されている。日米を中心に200本近い関係論文が発表され、国際的な評価も高いという。

 宇宙機構広報部は「米国から運用中止の打診があったのは事実。その方向で関係機関と調整中で、まだ詳しい説明はできない」と話している。

運用に遅れ 日本の通信衛星

2004/05/18 The Sankei Shimbun

 米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から4月に打ち上げられた宇宙通信(東京)の通信衛星スーパーバード6号機の運用開始が、当初予定の7月中旬より遅れる見通しであることが17日までに明らかになった。

 高度約3万6000キロの静止軌道に衛星を移動させる途中で電力低下を検知、原因調査と軌道上試験計画の見直しが必要になったため。今後の運用について同社は「軌道上試験の結果を待つ必要がある」としている。

 同衛星は米人工衛星メーカーのボーイング・サテライト・システムズ・インターナショナルが製造。軌道上試験の後、東経158度で運用中のスーパーバードAとバトンタッチする予定だった。

 宇宙通信によると、ロケットからの分離、地上局での衛星からの信号受信までは順調に進んでいたという。(共同)

太陽系外惑星の10%以上に海、地球外生命の存在示唆2004/05/02 読売新聞 Yomiuri On-Line

 太陽系外惑星の10%以上には海がある、と見られることが東京工業大の井田茂・助教授の試算でわかった。地球以外にも生命が存在する可能性を強く示唆するデータで、9日から千葉市で開かれる地球惑星科学関連学会で発表される。

 太陽系外の惑星は1995年以来、約120個が見つかっているが、これらはすべて、木星のようなガス惑星だ。地球と同じ岩石惑星は、ガス惑星より小さいため、今の地上望遠鏡の能力では発見できないのだと考えられている。

 井田助教授は、恒星の質量や、恒星と惑星の距離の関係から、様々なタイプの惑星の比率を、大型コンピューターで計算。惑星の約半分は、岩石型だとの結果を得た。

 さらに全惑星の10%以上は、地球の10分の1から10倍の質量を持ち、また恒星からの距離が地球と太陽の距離と同等であると分析。海を数十億年間維持できる温度、大気の条件にあてはまると結論づけた。

 井田助教授は「今後打ち上げ予定の衛星望遠鏡で観測すれば、海の存在が確認できるのではないか」と期待している。

科学衛星:太陽観測10年、「ようこう」が引退 毎日新聞 2004年4月21日 Mainichi INTERACTIVE

 太陽のダイナミックな活動を観測してきた日本の科学衛星「ようこう」が引退する。設計寿命(3年)を上回る10年3カ月間稼働したが、01年末から姿勢制御できなくなっていた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が21日、文部科学省の宇宙開発委員会に報告した。

 「ようこう」は旧宇宙科学研究所が91年に打ち上げた。地上では難しい太陽表面の精密観測が目的で、4台の観測装置を積んでいた。

 米国と共同開発したX線望遠鏡は太陽表面を水星が横切る現象や巨大な渦を巻くフレア(爆発)の連続撮影画像など600万枚以上を撮影。世界の天文ファンによる「20世紀の天体写真ベストテン」に選ばれ、日本の理科の教科書にも掲載された。観測からは1800本の論文が生まれた。

 しかし、太陽の方向を見失い、姿勢制御ができなくなるトラブルが01年12月に発生。JAXAは復旧方法を2年間模索したが、再起は難しいと判断した。

 ようこうの開発、運用を手がけたJAXAの小杉健郎教授は「太陽の活動周期(11年)のほぼすべてを観察した衛星は世界でもようこうだけ。よく働いた」と惜しんだ。【元村有希子】

 

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