TOPIC No.6-15 ジェミニ望遠鏡/ハッブル宇宙望遠鏡/電波望遠鏡

01. The Gemini Observatory
02. ジェミニ望遠鏡での観測によって深まった M87 銀河中心部の謎(2001年11月05日)byアストロアーツ
03. ジェミニ南望遠鏡、本格的な運用を開始/名実とも「双子」望遠鏡に(2002年01月21日)byアストロアーツ
04. ハッブル宇宙望遠鏡 by宇宙望遠鏡科学研究所
05. ハッブル宇宙望遠鏡
06. ALMA計画(南米チリに設置した80台の電波望遠鏡で深宇宙を探査する、日本・北アメリカ・ヨーロッパ共同の国際大型プロジェクト)
07. なんてん(電波望遠鏡) byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
08. 電波望遠鏡 (NANTEN2) by名古屋大学 大学院理学研究科 天体物理学研究室
09. ハーシェル宇宙望遠鏡(ヨーロッパ宇宙機関の赤外線宇宙望遠鏡) byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


泡から銀河系有数の巨星へ=ハーシェル宇宙望遠鏡が観測

2010/05/08 時事ドットコム

 宇宙に浮かぶ泡から巨星へ−。欧州宇宙機関(ESA)は8日までに、ハーシェル宇宙望遠鏡が赤外線で撮影した巨星の誕生現場の鮮明な画像を公開した。この領域「RCW120」は、地球から約4300光年離れた所にあり、赤外線では誕生から間もない星を取り巻く高温のガスやちりが泡のように見える。数十万年後には銀河系(天の川銀河)内で有数の大きく、明るい星に成長するという。

 泡のようなガスやちりは星の材料となり、質量は太陽約2000個分もある。巨星の成長過程をめぐっては、次第に強い光を放射するようになるため、周囲にある材料のガスやちりがなぜ吹き飛んでしまわないのか、謎とされている。詳細な観測により、仕組みの解明が期待される。

 昨年5月に打ち上げられたハーシェル宇宙望遠鏡の口径は3.5メートルもあり、宇宙望遠鏡で過去最大。赤外線や天王星の発見で知られる英天文学者ウィリアム・ハーシェルにちなんで命名された。(05:10)

星形成、30億年前の5分の1に減速 ハーシェル望遠鏡観測

2010年05月07日 AFP BBNews発信地:ノルトワイク/オランダ

【5月7日 AFP】欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)は6日、ハーシェル宇宙望遠鏡がとらえたデータから、天の川銀河(Milky Way)のような銀河における星形成の速度が、30億年前に比べて5分の1に減速していることを発見したと発表した。

 ESAの科学者、スティーブ・イールズ(Steve Eales)氏によると、数十億年前には現在よりも星形成が盛んだったことはこれまでにも知られていたが、減速率を測定できたのはハーシェル望遠鏡が初めてだという。同望遠鏡の赤外線技術により、これまで星雲の重なりで隠れていた銀河、なかでも天の川銀河のような渦巻銀河の観測が可能になった。

 100億年前にはかなりの速度で星形成が進んだ銀河があったことは分かっていたが、これまでの望遠鏡では、100億光年離れた銀河を観測するのは不可能だった。イーグル氏は「それだけ遠くとなると今もまだ、観測の空白部分を埋められない」としながらも「ハーシェル(望遠鏡)により、約30億〜40億光年という近い宇宙にある銀河が突然多数、観測できるようになった。宇宙史の隙間を埋めることはできるだろう」と述べた。

 同氏によると今回の発見は、太陽の状態に変化がなければ、星形成はいつかは完全に止まることを示しているという。星形成の減速の理由は分かっていない。

 星形成を研究するために1年前に打ち上げられたハーシェル望遠鏡は、これまで宇宙空間に打ち上げられた望遠鏡では最大で、地球から約150万キロ離れた軌道を周回している。(c)AFP

ハッブル20周年:エスキモー星雲

April 26, 2010 National Geographic News

 天体望遠鏡の製作も手掛けていた天文学者ウィリアム・ハーシェルが1787年に発見したふたご座のエスキモー星雲。約5000光年のかなたにあるこの惑星状星雲は、地上の望遠鏡からでも、その名の通り毛皮のフードをかぶった人の顔のようにみえる。ハッブル宇宙望遠鏡は1999年12月にサービスミッション(定期メンテナンスおよびアップグレード)を受けた直後、ハーシェルの時代では考えられなかったほどのレベルで、この星雲の細部を明らかにした。

 このハッブルの画像により、中心の顔はガスや物質を高速で放出している最終期の太陽型の恒星であり、そこから放たれた物質が円盤状に取り囲む姿が、尾を引く彗星のフードのようにみえると明らかになった。

 20周年を記念して、科学、そして社会に大きく影響を与えたハッブルのベスト画像の数々が発表された。

ハッブル新カメラ、星の誕生現場をキャッチ

2010年4月24日22時18分 読売新聞 YOMIURI ON-Line

ハッブルが撮影した竜骨星雲の一部=NASA提供

 【ワシントン=山田哲朗】米航空宇宙局(NASA)は23日、ハッブル宇宙望遠鏡が20年を迎えるのを記念して、新カメラで撮影した画像を公開した。

 「竜骨星雲」の一部からガスが噴き出し、星が誕生する現場を撮影した。

 ハッブルは1990年4月24日、スペースシャトル「ディスカバリー」で地上560キロ・メートルの宇宙に運ばれた。

 地上の空気に邪魔されないため、遠くの宇宙まで見渡せる。

 老朽化で故障が多発していたが、昨年5月にNASAが大修理を実施し、最新の観測機器でよみがえった。

宇宙望遠鏡ハーシェルがとらえたロゼット星雲

2010年04月16日 AFP BBNews発信地:米国

【4月16日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は14日、宇宙望遠鏡ハーシェル(Herschel)が撮影したロゼット星雲(Rosette Nebula)付近の画像を公開した。

 ハーシェルに搭載された光伝導体アレイカメラ・分光計(Photodetector Array Camera and Spectrometer、PACS)とスペクトル測光撮像器(Spectral and Photometric Imaging Receiver、SPIRE)がとらえた画像で、塵(ちり)から発生した赤外光をとらえている。画像は、青色(70ミクロン)、緑色(160ミクロン)、赤色(250ミクロン)の3つの赤外線波長が合成されている。

 ロゼット星雲は地球から約5000光年離れたいっかくじゅう座(Monoceros)にあり、星を生みだしている。しみ状になった明るい部分は、塵が繭(まゆ)のようになっており、星の胚が含まれている。星の胚は成長すると、太陽の質量の10倍ある巨大な星になる。画像中央の小さな点は、より小さな質量の星の胚で、ロゼット星雲は画像の右側にある。(c)AFP

直線状に広がる超新星爆発 世界初、名古屋大が観測

2009/06/14 中国新聞ニュース

 質量が大きな星が一生を終える際に起きる「超新星爆発」が、星の両極方向に直線状に広がる様子を名古屋大南半球宇宙観測研究センターの福井康雄ふくい・やすお教授(素粒子宇宙物理学)らが13日までに、世界で初めて観測した。

 星の爆発は、中心部が強い磁場を持って高速で回転する際に直線状に広がる。理論的には確認されていたが、これまでは球状に広がる様子だけが観測されていた。

 福井教授らは、同大が南米チリに設置した電波望遠鏡「なんてん」を使い、地球から約1万7千光年離れたりゅうこつ(竜骨)座の星団を観測。星の爆発の際にみられるガス雲が、半球状に広がる様子と同時に直線状に広がる様子もとらえた。

 太陽の10倍以上の質量を持つ星が爆発したとみられ、半球状のガス雲は球状に広がる通常の爆発を示し、直線状のガス雲は両極方向に爆発が広がったことを示すという。

 福井教授は「超新星爆発のメカニズムを知る上で重要な一歩。さらに詳しく解明したい」としている。

反射鏡直径3・5m、宇宙望遠鏡ハーシェル打ち上げ

2009年05月15日 読売新聞 YOMIURI ON-Line

 欧州宇宙機関(ESA)は、日本時間の14日午後10時12分、世界最大の反射鏡を持つ宇宙望遠鏡「ハーシェル」を、南米のフランス領ギアナから「アリアン5」ロケットで打ち上げた。

 ハーシェルは反射鏡の直径が3・5メートル。赤外線の帯域での観測を行う。同時に打ち上げた宇宙望遠鏡「プランク」はマイクロ波を検出する高感度検出器を持つ。

【宇宙】銀河系中心部の巨大ガスループ 電波望遠鏡「なんてん」で観測

2009/01/14 中日新聞

銀河系中心部に巨大ガスループ 太陽の表面と同じ現象

 水素分子ガスが半円状の輪(ループ)をつくる現象が、太陽の表面と同じように銀河系中心部でも頻繁に起きていることを、名古屋大大学院理学研究科の福井康雄教授らのグループが突き止めた。 グループは「銀河系の仕組みや成り立ちを知る手がかりになる」としている。成果は近く日本天文学会欧文報告誌に発表される。

 福井教授と大学院生の藤下基線さんらのグループは、南米チリに設置した電波望遠鏡「なんてん」で、銀河系中心部から3000光年の位置に半円状の巨大なガスループを発見。高さ600光年、幅2000光年で、ループ内部にもガスが充満する構造だった。

 銀河系は、中心部から半径3000光年の領域に分子ガスが円盤状に広がり、円盤と同心円状に強い磁場が働いているが、磁場が波打ったため、ガスを持ち上げて半円状になったと推測される。

 グループはこれまでに、銀河の中心から2000光年の位置で2つのガスループを発見していたが、今回のループは幅、長さがともに2倍程度あり、銀河系の円盤状ガスの少なくとも半分をループで覆っている。グループは、ループ現象が中心部で頻繁に起きていると結論づけた。

 太陽は水素分子ガスで生成。その表面でも磁場の働きで分子ガスが炎のように立ち上がるプロミネンスと呼ばれる現象があり、銀河系で起きるループ現象も原理は同じ。福井教授らは「銀河系の円盤は太陽をとてつもなく大きくし、円盤状に平たくした構造。今後、アンドロメダなど他の銀河でもループが見つかれば、銀河の進化を解明する鍵になる」と話している。


電波天文衛星を打ち上げへ 宇宙機構、2012年度に

2007年05月10日 東京新聞

 宇宙航空研究開発機構は10日、ブラックホールなどを観測する電波天文衛星「アストロG」を2012年度に打ち上げると発表した。1997年に打ち上げ、既に運用を終えた衛星「はるか」の後継で、分解能は10倍になるという。衛星の開発費は約120億円、関連する地上設備の整備費は約20億円。

 同機構によると、アストロGは、はるかと同様、地上の各国の電波望遠鏡と共同で観測を行う。地上の望遠鏡を一緒に使うことでより高精度な観測が可能になるといい、ブラックホールの構造や、そこからガスが噴き出す現象の詳細な解明を目指す。

 共同観測には、ヨーロッパやアジアの研究機関のほか、国内から国立天文台や北海道大、岐阜大、山口大、鹿児島大などが参加する予定。

 アストロGは、口径9・6メートルの大型アンテナを装備し、高度1000−2万5000キロの楕円軌道を周回する。

南極点に電波望遠鏡が完成

2007年02月28日 Slasdot

極地の目部門より。

papa-pahoo 曰く、

東京新聞の記事によると、米国が南極点付近に建設を進めていた電波望遠鏡が完成したとのこと(公式ページ)。

この南極点望遠鏡は、南極点にあるアムンゼン・スコット基地から数百メートル離れたところにある口径10メートルサブミリ波電波望遠鏡で、「宇宙背景放射」を検出し、恒星ができる前の銀河団の形成過程を解明するのが目的の1つだ。

南極というとブリザードが吹き荒れるイメージがあるが、内陸の高原地帯は風が穏やかで晴れる日が多い。しかも、低温のため赤外線雑音が非常に小さく、極端に乾燥しているためにサブミリ波における大気の透過率が極めて高く、観測に適しているという

新たなブラックホールか 名大が電波望遠鏡で観測

2006/09/13 47News【共同通信】

 名古屋大大学院の福井康雄教授(天体物理学)らの研究チームは13日、南米チリに設置した電波望遠鏡「なんてん」の観測データを解析し、銀河系の2カ所で、ブラックホールからガスが高速で噴出される際にできる飛行機雲状の分子雲を発見したと発表した。うち1カ所は未発見のブラックホールから出たものと推定している。

 分子雲は水素などの星間ガスやちりが高密度に集まったもの。ブラックホールはこれまで、噴出される高温のガスをエックス線で観測し、発見していたが、望遠鏡で分子雲を観測する手法での発見は初めてという。北九州市で開かれる日本天文学会で20日に発表する。

NASA:ハッブル宇宙望遠鏡の主要カメラを復旧

2006年07月01日毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 故障のため10日あまりにわたって機能が停止していたハッブル宇宙望遠鏡の主要カメラを復旧させることに、米航空宇宙局(NASA)のチームが6月30日成功した。2日から観測を再開できるという。

 故障していたのは、2002年にスペースシャトルの宇宙飛行士が取り付けた、紫外線から可視光、近赤外線まで幅広く観測できる高性能カメラ。6月19日に電圧異常を示す信号を送ってきた後に停止した。機能を回復させるための地上からの指令送信を29日から続け、復旧にこぎつけた。(米フロリダ州ケープカナベラル共同)

ハッブル宇宙望遠鏡のカメラ故障 NASA、対策検討

2006/06/25 The Sankei Shimbun

 1990年に打ち上げられ、老朽化が進みつつある米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡の主要カメラが故障し、動かなくなっていることが24日、分かった。NASA関係者がAP通信に明らかにした。NASAが原因調査と対策の検討を進めている。

 故障したのは、2002年にスペースシャトルの宇宙飛行士が新たに取り付けた高性能カメラ。宇宙の果ての観測に威力を発揮してきたが、今月19日、電圧異常を示す信号を送ってきた後に機能が停止した。

 ハッブルはバッテリーなど部品の消耗で来年にも使えなくなるため、NASAがスペースシャトルを送って延命させる可能性を検討している。NASAは今回の故障について、原因によっては地上からの操作で修復可能としている。(共同)

ブラックホール観測、次世代電波衛星の開発計画を発表

2006年06月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構は、地上の電波望遠鏡と連携して、ブラックホールなどを観測する電波天文衛星の開発計画を、20日開かれた文部科学省宇宙開発委員会推進部会で発表した。

 衛星名は「アストロG」。1997年に打ち上げられ、昨年11月にその役割を終えた世界初の電波天文衛星「はるか」の後継機で、今年度中に基礎開発に着手し、2011年の打ち上げを目指す。同機構によると、「アストロG」の観測精度は「はるか」の約9倍を目指すという。

 光学望遠鏡などではとらえきれない誕生直後の星や、極めて遠い場所にあるためナゾに満ちた天体「クエーサー」、ブラックホールの周辺構造などの観測・分析が期待されている。

赤外線天文衛星「あかり」が観測開始

2006/05/22 The Sankei Shimbun

 今年2月に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から打ち上げられた赤外線天文衛星「あかり」による観測が始まり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、撮影された画像を公開した。23年前に米国などが打ち上げた衛星「IRAS」に比べると、10数倍の解像度が実現できたという。あかりは今後半年かけて全天観測を行い、新しい宇宙地図の作成を目指す。

 あかりは通常の光学望遠鏡では見えない物質を赤外線で観測する。地球から1200万光年離れた銀河「M81」の画像では、若い星に温められた星間のチリが渦巻き状に広がっている様子を鮮明にとらえた。

 JAXAの村上浩教授は「画質は期待以上かもしれない。これからの研究が楽しみだ」と話している。

赤外線天文衛星「あかり」 銀河を撮影

2006年05月23日 asahi.com

 宇宙航空研究開発機構は22日、2月に打ち上げた赤外線天文衛星「あかり」の観測画像を初公開した。期待通りの性能が発揮されているといい、赤外線で見た宇宙の地図づくりなどを進め、銀河や星の起源と進化の研究に役立てる。

 公開された画像は、おおぐま座にある地球から約1200万光年離れた渦巻き銀河・M81。若い星の周りにあるガスやちりが星のエネルギーで温められている様子を、そこから出ている赤外線で捕らえた。銀河の中心部に多い古い星に比べ、活発な若い星は渦巻きの腕に沿って多くあることがわかるという。

 あかりは日本初の赤外線天文衛星。赤外線の波長を幅広く捕らえる能力を持ち、一世代前の赤外線天文衛星より高い解像度と高い感度が特徴。望遠鏡の焦点や衛星の姿勢などの調整が順調に進んだという。

赤外線天文衛星「あかり」、センサーに不具合

2006年03月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙航空研究開発機構は3日、先月22日に打ち上げた赤外線天文衛星「あかり」の搭載機器の一部に不具合が生じたと発表した。

 不具合が確認されたのは、衛星の姿勢制御のために太陽の方向を検知する太陽センサーなどの機器で、中でも太陽センサーは、2個とも太陽の位置を正確に検知できない状態に陥っているという。

 これについて同機構は「姿勢制御は太陽センサー以外のシステムで十分対応できる」としている。

銀河系中心へ移動、巨大なガス雲を観測…名大グループ

2005年10月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 銀河系中心にあるとみられるブラックホールに向かって巨大なガス雲が移動しているのを、福井康雄・名古屋大教授の研究グループが世界で初めて観測した。

 中心部へ落ち込むガス雲は、他の銀河で時折見られる大爆発の原因と推測されている。その詳しい解明につながる初の手がかりで、6日から札幌市で開かれる日本天文学会で発表される。

 福井教授らは、南米チリに設置した電波望遠鏡「なんてん」で、2000〜03年にかけて観測。銀河系の中心から約1000光年離れたところに、水素分子からなる長さ約1000光年のガス雲があり、毎秒18キロ・メートルで銀河中心へ向かっているのが分かった。

 銀河の中心部には、巨大な重力をもつブラックホールがあり、そこに何らかのガスが落ち込む時、大爆発が発生するとみられている。しかし、これまでは銀河系の中心から離れるように膨張するガス雲しか発見されていなかった。

 福井教授らは、今回のガス雲の1%がブラックホールに落ち込んだ場合、発生する爆発のエネルギーは、超新星とよばれる恒星の大爆発の100万個分にも上ると推定。

ブラックホールに落ち込む巨大ガス雲 名大チーム発見

2005/09/28 The Sankei Shimbun

 名古屋大大学院の福井康雄教授(天体物理学)らの研究チームは28日、銀河系の中心にあると考えられているブラックホールに向かって落ちていく巨大なガス雲を、南米のチリに設置した電波望遠鏡で観測したと発表した。10月6日に札幌市で開かれる日本天文学会で報告する。

 銀河の爆発はブラックホールにガスが落ちた際に生じる巨大なエネルギーの解放との説がある。福井教授は「ブラックホールに落ち込むガス雲の発見は初めて。銀河の爆発の解明に重要な手掛かりになる」としている。

 同教授らは、チリのラスカンパナス天文台にある名大の電波望遠鏡「なんてん」で2000年から03年にかけて観測したデータを解析。銀河系中心部から1000光年のところに、毎秒18キロの速度で中心に向かっているガス雲の存在を確認した。

 ガス雲は水素分子などからなり、長さ1000光年のひも状で質量は太陽の100万倍。1000万年後にブラックホールに落ちる計算で、直前に光の速度になるため、巨大なエネルギーが生まれるという。(共同)

天文衛星「すざく」、高エネルギーX線に世界最高感度

2005年08月26日 読売新聞 Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、エックス線天文衛星「すざく」に搭載した「硬エックス線検出器」が高エネルギー領域のエックス線に対し、世界最高の感度を持つことを確認したと発表した。

 1500万光年離れた楕円(だえん)銀河「ケンタウルス座A」を19日に約4時間観測、中心の巨大ブラックホール近傍から発せられた高いエネルギーのエックス線を短時間に精度良く検出した。井上一JAXA教授は「今後の運用で新たな発見が期待できる」と話している。

 7月10日に打ち上げられたすざくは、最重要とされていた微少熱量計が観測不能になったが、今回の検出器を含む残り2種類の観測装置は設計通り動くことが確認された。

ブラックホールのX線など観測 天文衛星すざくが成功

2005/08/26 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は26日、7月に打ち上げたエックス線天文衛星すざくの硬エックス線検出器が、楕円(だえん)銀河「ケンタウルス座A」の中心にある巨大ブラックホール近くからのエックス線やガンマ線をとらえたと発表した。

 同検出器は宇宙機構、埼玉大、金沢大、大阪大、広島大などが共同で開発。波長の短い硬エックス線から、より波長が短いガンマ線に至る幅広い領域でブラックホール周辺を観測したのは、世界で初めてという。

 このブラックホールは太陽の数千万倍の質量を持つと考えられ、宇宙機構の井上一(いのうえ・はじめ)教授は「硬エックス線はブラックホールにごく近い場所から飛んできているとみられ、その付近での現象の解明に役立つと期待している」と話している。

 すざくは三つある観測機器の一つが故障し、予定していた観測の一部が困難になっているが、井上教授は「予定の60―70%の研究は可能」としている。(共同)

天文衛星「すざく」が初画像 超新星の残骸とらえる

2005/08/17 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は17日、7月10日に打ち上げたエックス線天文衛星「すざく」がとらえた初画像(ファーストライト)を公表した。

 8月12日から13日にかけて、主要観測機器の一つであるエックス線CCDカメラ4台のカバーを開き、小マゼラン星雲にある超新星の残骸(ざんがい)を、4台それぞれで観測することに成功した。

 観測データには、これまで見えにくかった酸素や窒素の存在を示す波長のエックス線も含まれ、世界最高の性能であることが確認できた。

 今後の観測ではこの性能を生かし、星で物質ができて周辺に広がっていく宇宙の進化の様子を、詳細に明らかにすることが期待されるという。

 すざくは8日に三つの主要観測機器の一つである「エックス線微少熱量計」が故障し、予定していた観測の一部が困難になっていた。残る一つの観測機器「硬エックス線検出器」は近く作動させる。

 観測機器は名古屋大、京都大、大阪大などが協力して開発した。(共同)

X線天文衛星「すざく」が故障 一部の観測困難に

2005/08/09 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は9日、7月10日に打ち上げたエックス線天文衛星「すざく」の3種類の観測機器のうちエックス線微少熱量計(XRS)が故障し、予定していた観測の一部が困難になったと発表した。

 XRSは天体が放射するエックス線のエネルギーを従来の観測機器よりも約20倍の高い精度で測定できるのが特長で、遠い天体の活動の解明に期待がかかっていた。

 発表によると、XRSを冷やすための液体ヘリウムがすべて気化してしまい、冷却できなくなったとみられ、宇宙機構が原因を調査中。ほかの2種類の観測機器は順調に作動しているという。

 XRSはエックス線による微小な温度上昇を精密にとらえることができる。このため液体ヘリウムで絶対零度(セ氏零下273・15度)近くまで冷やす仕組みになっていた。(共同)

ちりも積もれば宇宙の花、さしわたし400億km

2005年06月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は22日、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した恒星を取り巻くちりの輪の画像を公表した。

 輪の中心が恒星の位置とずれていることから、恒星と輪の間に惑星が存在すると見られている。23日付の英科学誌ネイチャーに掲載された。

 ちりの輪は、地球から約25光年離れた「みなみのうお座」の1等星フォーマルハウトを取り巻いている。輪の半径は約200億キロ・メートルで、太陽から冥王星までの距離の3倍以上。約2億年前にできたと推定され、これまで直接観測された太陽系外のちりの輪としては最も古く、地球に最も近い。

太陽系外の惑星を初撮影 ドイツ・イエナ大などのチーム

2005/04/02 The Sankei Shimbun

 太陽系の外にある惑星の姿を撮影することに初めて成功したと、ドイツ・イエナ大などのチームが2日までに発表した。南米チリにある欧州南天天文台の超大型望遠鏡VLTの近赤外線カメラを使った。

 この惑星は、おおかみ座にあるGQ星と呼ばれる恒星の周りを約1200年かけて回っている。地球からの距離は、約460光年。木星1−2個分の質量とみられる。イエナ大のラルフ・ノイホイザー教授は「光の波長を分析し、質量を割り出した。質量からみて、惑星である可能性が極めて高い」と話している。

 明るく光る恒星のそばにある暗い惑星を、はるかかなたの地球から直接観測するのは極めて難しく、これまでは成功してなかった。今回の惑星は恒星との距離が地球と太陽の103倍も離れていたことや、恒星が誕生から100万−200万年と若く、惑星もまだ若いために温度が約1700度と高かったことなどが幸いして観測につながった。

 米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターなどのチームも最近、太陽系外惑星が発する赤外線を観測することに成功したが、撮影はできていなかった。(共同)

太陽系外の惑星を直接観測 世界初、赤外線望遠鏡で

2005/03/23 The Sankei Shimbun

 太陽系の外にある惑星を初めて直接観測することに、米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターなどの研究者が、NASAの赤外線宇宙望遠鏡スピッツァーを使って成功した。NASAが22日発表した。

 自分で光らない惑星は遠く離れるほど観測が難しく、従来は間接的な方法で存在を突き止めるしかなかった。直接観測できれば、宇宙の果てにある惑星の研究も大きく進むと期待される。英科学誌ネイチャー(電子版)などに発表された。

 観測されたのは、地球から150−500光年離れた木星のようなガス惑星2個。恒星の近くを回っているため多くの熱を吸収して温度が800度前後と極めて高く、独自に赤外線を出していたため、キャッチに成功した。

 太陽系外の惑星は100個以上見つかっているが、従来は、惑星が恒星を回る時に重力の影響で起きる恒星のわずかな揺らぎや、惑星が恒星の前を横切る時の光のまたたきを検出してきた。(共同)

恒星の質量に上限 太陽の150倍が限界か

2005/03/10 The Sankei Shimbun

 自分で光る恒星にも大きくなれる限度があり、質量にして太陽の約150倍が上限らしい−。米宇宙望遠鏡科学研究所(メリーランド州)のチームが、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡を使った多数の星の観測からこんな結論をまとめ、9日発表した。

 星の質量は誕生時から決まっているが、どこまで重い星が宇宙に存在するかは未解明。直接観測に基づく信頼性の高い推定は初めてという。

 チームは、いて(射手)座の方角に地球から約2万5000光年離れた、非常に密度の高い「アーチーズ星団」にある巨大な星数百個をハッブルの赤外線カメラで観測し、質量を推定した。

 大きな星団にはそれだけ大質量の星が存在すると考えられてきたため、この星団には太陽の130−1000倍の星が2、30個はあると予想されたが実際には1個もなく、約130倍の質量の星が最高。チームはこれを基に、上限は150倍との推定を固めた。(共同)

ダイヤモンドの惑星、米チームが存在の可能性発表

2005/02/08 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】ダイヤモンドの分厚い層で覆われた惑星が銀河系に存在する可能性が高いと、米プリンストン大などのチームが、米コロラド州で開かれた太陽系外惑星の専門学会で7日に発表した。

 研究チームによると、隕石の中には、炭素が豊富で、炭素の結晶であるダイヤモンドを含む隕石も実際にあることから、銀河系内にも「炭素惑星」が誕生している可能性が高いという。

 その場合、地表付近では炭素は黒鉛のような状態で存在しているが、隕石よりはるかに規模が大きい惑星の内部では、超高圧の環境となるため、まるでダイヤモンドが地中のマントルに取って代わったように厚い層になっているかもしれないと推定している。

 すでに、赤外線観測による元素の分析などから、乙女座の方角にある惑星が「ダイヤモンド惑星」の有力候補になっており、さらに詳しい観測を進める。

 一方、太陽より炭素の含有量が多い恒星が集中する銀河系の中心部などにも存在する可能性があり、米航空宇宙局が2015年ごろの運用を計画する次世代宇宙望遠鏡で、見つかる機会が増えるはずだという。

ハッブル望遠鏡、米が廃棄へ…太平洋上落下の割安策で

2005/01/22 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米議会筋は21日、部品の消耗などで存続が危ぶまれるハッブル宇宙望遠鏡の延命措置を講じる飛行計画が、2006会計年度(2005年10月―2006年9月)の予算案から外され、廃棄される見通しになったことを明らかにした。

 来月7日の予算教書の議会送付に合わせて、米航空宇宙局(NASA)が方針を発表する。

 議会筋や関係者によると、延命措置の代わりに、ハッブルを安全に太平洋上に落下させるため、制御用噴射装置を取り付ける飛行任務の関連予算が盛り込まれる。延命措置とは異なり緊急性がなく、改修ロボットを搭載したロケットの打ち上げなどに比べ、予算も抑えられるという。

 ハッブルの延命については、「シャトルによる有人飛行で改修し、存続させるべきだ」との意見が議会や専門家から出されていた。

 当初、延命に消極的だったNASAも方針を変更。通常より遠い軌道への飛行となり乗組員の安全が確保できないシャトル飛行の代わりに、ロボットを使用した無人改修を計画していたが、この代案もコストがかかるとして見直された模様だ。

宇宙最大の爆発現象を撮影…米観測衛星・チャンドラ

2005/01/06 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)と米ハーバード大は5日、X線観測衛星チャンドラが撮影した超大質量ブラックホールの活動による宇宙最大の爆発現象の画像を公開した。

 画像は、地球から約26億光年の場所にある銀河団の姿をコンピューター処理したもの。ブラックホールからの「ジェット」と呼ばれる高温ガス(プラズマ)の爆発的な噴射で銀河団の物質が吹き飛ばされ、画像の上下に巨大な空洞ができている様子が確認できる。空洞の幅は約65万光年もあり、1億年以上も噴射が続いていると推定されている。

 この規模の噴射を続けるためにはブラックホールに大量の物質の供給が必要で、計算上は、ブラックホールがすでに太陽の3億個分を飲み込んだことになるという。

ハッブル修理「人の手で」 ロボットでは無理と専門委

2004/12/09 The Sankei Shimbun
 
 部品の消耗で2007年にも使えなくなる米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡の延命策について、米科学アカデミー専門委員会は8日、宇宙飛行士の手による修理が最善の策だとする報告書を発表した。

 NASAが計画しているロボットによる修理を「成功の可能性は低い」と批判、昨年のコロンビア空中分解事故で中断したスペースシャトル飛行が再開され次第、早期にシャトルで飛行士を送るよう求めた。

 ハッブルは1990年の打ち上げ以来、計4回の修理がシャトルで行われたが、コロンビア事故を受けたNASAが「飛行士の安全が最重要」として今後の修理の中止を決めた。これに対し議会など各界から猛反発が起きたため、人の代わりにロボットを送って修理する計画を発表していた。

 報告書は、安全性についても、シャトル再開後に予定される国際宇宙ステーションへの飛行とハッブル修理との差は、非常に小さいと結論付けた。(共同)

銀河で異なる星の生まれ方 電波望遠鏡観測で確認

2004/09/17 47News【共同通信】

 星を生み出す“揺りかご”とされる宇宙の巨大分子雲でも、地球から16万光年離れた大マゼラン銀河では星が見つからないものがあることを、福井康雄名古屋大教授らが17日までに、南米チリの電波望遠鏡「なんてん」による観測で突き止めた。銀河により星の形成過程が異なる今回の発見は、宇宙の歴史解明の手がかりになるという。

 分子雲は水素や一酸化炭素などの星間ガスが高密度に集まったもの。地球が属する銀河系では、ほとんどの分子雲で活発に星が生まれている。しかし、大マゼラン銀河では約40%の分子雲で星が見つからなかった。

 大マゼラン銀河は銀河系に比べ鉄や酸素、金などの重元素が少なく、宇宙初期の状態に近い。福井教授は、このため分子雲が収縮し星を形成するのに時間がかかるとみている。これは逆に、銀河系ではみられない10万個程度の星が集まった球状星団の形成につながるという。

ハッブル望遠鏡、ロボットで修理へ

2004/08/12 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は11日、スペースシャトルによる改修の中止で存続が危ぶまれているハッブル宇宙望遠鏡(高度600キロ)について、カナダ製の2本腕のロボットを送って改修させる計画を明らかにした。

 ロボットはカナダ宇宙局が国際宇宙ステーションの保守管理用に開発したもので、人の上半身に似た構造を持ち、腕の長さは約3・5メートル。同局は来年の打ち上げを計画している。

 NASAは今年1月、「国際宇宙ステーションより遠方にあるハッブルへの飛行は安全が保証できない」として、スペースシャトルを使ったハッブルの保守管理計画の中止を発表。老朽化のため、2007年ごろ使用不能となる恐れが強まり、連邦議会や全米科学アカデミーなどが猛反発、補修を求めていた。

ハッブル改修、飛行士による修理検討を 米専門委が勧告

2004/07/14 The Sankei Shimbun
 部品消耗で2007年にも使用不能になる米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡の延命策を検討してきた米科学アカデミー専門委員会は13日、宇宙飛行士による修理も検討すべきだとする勧告をNASAのオキーフ局長に提出した。

 同局長は、昨年のスペースシャトル空中分解事故の調査委員会から安全対策の徹底を求められたのを受け、来年以降に予定していたシャトルによるハッブル整備飛行の中止を今年1月に発表。これに対し議会や学界から猛反発が起き、6月には遠隔操作が可能なロボットでの整備を検討する方針を明らかにしていた。

 13日に「中間報告」として発表された勧告は、バッテリーなど消耗部品の交換に加え、当初の予定通り性能の向上も実現すべきだと指摘。(1)ロボット技術は現状では不確実(2)事故調査委はシャトルによる整備飛行を必ずしも否定してはいない−とした。(共同)

2万光年の彼方、最重量級の連星がっぷり四つ

2004/05/27 読売新聞
 【ワシントン=笹沢教一】米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターは26日、宇宙で最も重い双子の星(連星)を確認したと発表した。それぞれの星は太陽の質量の約80倍だという。

 この連星は、地球から約2万光年離れたりゅうこつ座の方向にあり、200万―300万年前に誕生したと推定される。先月下旬に欧州のチームが存在を確認、同センターがチリ・ラスカンパナス天文台の望遠鏡で詳細な観測を行った。

 2つの星は互いの重力で引き合い、3・7日周期で互いを1周することから、同センターは声明の中で「2つは取組中の力士のようにがっぷり組んでいる」と例えている。

 これまでに太陽の質量の100倍以上と推定される星がほかにも発見されているが、重さや星の様子が正確にわかった中では今回の連星が最も重いという。

「X」形の珍しい星雲 ハッブル望遠鏡が撮影

2004/05/11 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は11日、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、アルファベットの「X」を傾けたような珍しい形の星雲の画像を公表した。

 この星雲は、いっかくじゅう座の方角に地球から約2300光年の距離にある。地上での観測結果から「赤い長方形」星雲と呼ばれてきたが、大気の乱れの影響を受けないハッブルの鮮明な画像で、実は長方形ではないことが初めて分かった。

 NASAによると、星雲の中心には2つの星があり、中心から正反対の2方向にガスやちりの雲が広がっていた。

 雲には、はしご段のような区切りが見えた。研究者らは数百年おきにガスがまとまって噴出したため、境界のようなものができ、こうした珍しい構造になったとみている。(共同)

宇宙に輝くダイヤの腕輪 ハッブル望遠鏡が撮影 2004/04/23 The Sankei Shimbun
 ダイヤモンドをちりばめた腕輪のように星が連なって輝く珍しい銀河を、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡が撮影し22日、画像が公開された。

 大小の銀河が衝突してできるリング銀河の一種で、かじき座の方角にある。地球からの距離は約3億光年。黄みがかった中心核の周囲を、明るく輝く青い星たちが取り巻いている。

 24日にハッブル望遠鏡打ち上げから14年を迎えるのを記念して公開された。NASAはスペースシャトルによる同望遠鏡の改修を打ち切る方針を明らかにしており、早ければ2007年にも使用不能になる恐れがある。宇宙のかなたの美しい画像があと数年で見られなくなることに、天文学者以外からも惜しむ声が強い。(共同)

世界最大級の電波望遠鏡「アルマ」の起工式

2003年11月07日 The Sankei Shimbun
 
 宇宙で銀河がどうやって生まれたかの解明などを目指し、南米チリのアンデス山中の標高5000メートルの高原に日米欧が共同で建設する世界最大級の電波望遠鏡「アルマ」の起工式が6日、現地で行われ、日本から国立天文台の観山正見教授らが参加した。

 アルマは口径12−7メートルのアンテナ計80台を大小2つの円形に配置、全体で1台の電波望遠鏡として機能し、サブミリ波という短い波長の電波を観測する。サブミリ波は大気中の水蒸気に吸収されるため、建設地に大気が少なく乾燥しているチリ高地を選んだ。総工費は合計約1000億円。

 この日の起工式には、2002年のノーベル物理学賞を受賞した米国のリカルド・ジャコーニ博士(72)も参加。観山教授は「世界各国が共同で作り上げるビッグプロジェクト。世界中の研究者が参加して研究することに意義があり、日本も頑張りたい」と話している。

 アルマは光学望遠鏡では見えない、宇宙に漂うガスや分子雲などを観測。ビッグバンで始まった宇宙から最初に銀河が生まれる様子の観測や、太陽系以外で惑星ができる仕組みの解明などが期待されている。07年ごろから試験的な観測を開始、11年の完成を目指している。(共同)

宇宙赤外線望遠鏡を打ち上げ NASA

2003年08月25日 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は米東部時間25日午前1時35分(日本時間同日午後2時35分)、太陽の周りを回りながら、非常に遠い星からの熱などを観測する「宇宙赤外線望遠鏡」(SIRTF)をケープカナベラル空軍基地(フロリダ州)からデルタロケットで打ち上げた。

 SIRTFは長さ約4・5メートル、直径約2・1メートルの筒型で、重さは約865キロ。軌道は地球とほぼ同じで、地球の後について太陽の周囲を回り、可視光を中心にしたハッブル宇宙望遠鏡や、エックス線天文衛星チャンドラとともに、宇宙空間でNASAの天体観測の一端を担う。

 SIRTFは口径約80センチの赤外線望遠鏡などの赤外線観測装置を搭載。地上では詳しい観測が困難な、はるか遠方にある天体からの微弱な赤外線を観測する。

 NASAによると、赤外線は宇宙空間に満ちているちりを通り抜けることができるため、銀河系の中心部や遠く離れた宇宙空間にある天体、微小な天体、温度の低い星などについて、可視光などでは得られなかった新たなデータが得られると期待されている。(共同)

セロトロロ天文台

by 美星町 星のデータベース
 1962年開設.チリのラ・セレナ近郊のセロトロロ山にある天文台.アメリカ合衆国のAURA(大学天文連合)の主導の元にキットピーク天文台の南天観測基地として作られたため,インターアメリカン天文台と呼ばれる.400cm・150cm・102cm・91cmの反射望遠鏡と61cmシュミットカメラを持つ.また,現在800cm反射望遠鏡ジェミニ(ふたご座)が建設されている.これは,マウナケア山天文台にあるものとペアで作られているものである.

マウナケア山天文台

by 美星町 星のデータベース
 1970年開設.アメリカ合衆国ハワイ州ハワイ島の4205mのマウナケア山頂にある天文台.ハワイ大学が全体の管理をしているが,高い晴天率,安定した大気状態,極めて暗い空など世界最高の観測サイトで,各国の望遠鏡が集まる国際的な天体観測センターである.

 最初に作られたのはハワイ大学の2.2m反射望遠鏡で,カナダフランスハワイ358cm反射望遠鏡,イギリスの381cm赤外線反射望遠鏡,NASAの300cm赤外線反射望遠鏡,10mケック望遠鏡×2,日本の8.2m光・赤外線反射望遠鏡すばる,8mジェミニ望遠鏡など,まさに世界最大の天文台である.

 なお,望遠鏡がある山頂は人間が活動するには過酷であるため,16歳以下の子どもは昇ることは禁止されている.また,山頂で睡眠してはならず,高度3000mの中間宿泊施設ハレポ・ハク(岩の家)まで降りることが義務づけられている.

『太陽の末路』とらえる

1999年6月26日 15時49分 共同通信社
 全米科学財団は25日、米国など7カ国が協力してハワイ・マウナケア山頂に建設したジェミニ望遠鏡で撮影した惑星状星雲の画像を公表した。この惑星状星雲は、白鳥座にあり地球から約1万光年離れた『BD+303639』。数百万年前まで太陽によく似た星だったが、寿命が近づいて赤色巨星に進化、この時期に星の外層が熱で飛び散って星雲状の形態に変化した。

   

 太陽の末路もこうなると考えられている。


ジェミニ望遠鏡の苦闘

by日経サイエンス1999年07月号
G. スティックス(Scientific American スタッフライター)

 日本の新鋭望遠鏡「すばる」の強力なライバルとなる米英など国際共同の大型望遠鏡「ジェミニ」が,ファーストライトを迎えた。動き出すまでには,鏡の設計方針をめぐる激論や財政難,現場技術者の苦闘があった。

 ジェミニ望遠鏡の無駄がないシンプルなデザインは,優れた設計思想によって実現したが,厳しい財政状況によってなされた面もあった。望遠鏡の先端部は,赤外線の雑音が入りにくい設計になっているが,それは多くの天文学者が望んでいた夜空の広い領域を一度に観測できる広視野カメラの設置を見送った結果,実現した。

 総予算は1億8400万ドル。当初計画から800万ドル増額されたが,それは主鏡の反射膜を銀にするために必要な装置などの製作費用に充てられた。一方,日本は1台のすばる望遠鏡に3億5000万ドルを投じている。最先端の技術を採用して,現在到達しうる最高性能の望遠鏡を目指した結果,これほどの費用がかかった。

 主鏡の製造をめぐるごたごたもあった。最初,ジェミニ望遠鏡チームの仕様に沿ってコーニング社が最低価格を提示し,一時は,それで決まりかけた。ところが,アリゾナ大学のグループが,別の仕様による製造を主張して譲らず,計画自体が一時,潰れかける事態となった。

ハワイに大型望遠鏡「ジェミニ」が完成

11:19a.m. JST June 26, 1999
 ハワイのマウナケア山頂に米英などが共同で建設していた口径8メートルの大型望遠鏡ジェミニが完成し、25日、初めての画像が公開された。同じ山頂にある日本の大型望遠鏡「すばる」のライバルで、本格観測が始まる来年以降、実力を競うことになる。

 「すばる」が赤外線から可視光、紫外線まで幅広い光をとらえるのに対し、ジェミニは赤外線にねらいを絞っている。解像力は、地上の望遠鏡としては最高レベル、3200キロ先の車のヘッドライトが分かれて見えるほどという。

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