TOPIC No.6-13 宇宙の年齢

01. ハッブルによる「宇宙年齢の決定」に結論(1999年05月25日) byアストロアーツ
02. 初期宇宙で起こった「星の花火のフィナーレ」(2002年01月16日)byアストロアーツ
03. 年代学いろいろ by Kazuo's Home Page
04. 「140億光年のかなたにある宇宙初期の原始銀河を発見」
05. 宇宙の歴史 by The Cosmology
06.
宇宙の仕組み by宇宙情報センター(NASDA>
07. 宇宙論とは by広島大学総合科学部自然環境科学講座 
08. 宇宙の始まり -ジョージ・ガモフによって提唱されたビッグバン宇宙論- by Tom Noguchi culture room
09. インフレーション理論 -ガモフの「ビッグバン宇宙創成理論」を補完する宇宙膨張モデルの1つ-
10. 宇宙創生・宇宙論(2006/01/10)YAHOO!掲示板
11. 時間について (2005/04/15)YAHOO!掲示板

最強加速器、はや停止 機器トラブル、再開に2カ月

2008年09月21日 asahi.com

 【ワシントン=勝田敏彦】ジュネーブ郊外で運転を開始した世界最強・最大の加速器LHCで、冷却材のヘリウムが地下トンネル内に漏れる事故が起きた。欧州合同原子核研究機関(CERN)が20日、発表した。

 LHCは、10日に陽子ビームを周長27キロのリングで1周させるのに成功したばかり。このトラブルで約2カ月間、運転停止となる見込み。

 発表によると、19日昼ごろ陽子のビームを曲げる働きがある電磁石に電流を流していたところ、結線が溶けて機器が損傷した。こうしたトラブルは通常の加速器でも珍しくなく、修理は数日で済む。

 だが、LHCは絶対零度(零下約273度)近い超伝導状態で運転されているため、機器をいったん常温に戻し、修理後に再び低温に戻さなければならず、運転停止は2カ月間必要という。CERNは、この事故で人体への危険はないと説明している。

 陽子同士を正面衝突させ、宇宙が生まれたばかりの超高温・超高圧状態を再現する実験は、今回の事故の影響で11月以降にずれ込む見通し。

世界最大の加速装置が稼動、ビッグバン直後の状態再現へ

2008年09月11日 asahi.com

 [ジュネーブ 10日 ロイター] 世界最大の素粒子加速実験装置「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」が10日、運転を開始した。地下に設置された円周27キロのトンネル内で光速に加速した陽子同士を衝突させ、宇宙が誕生した「ビッグバン」直後の状態を再現することが期待されている。

 スイス・フランスの国境に設置された管制室では、スタッフらが拍手で運転開始を祝福。プロジェクトリーダーのリン・エバンス氏は「うまくいかなくなる可能性は常にある。ただ、今朝は素晴らしいスタートが切れた」と述べた。

 欧州原子核共同研究所(CERN)のヨス・エンゲレン氏によると、実際に陽子同士がトンネル内で衝突するには、今後数カ月かかる可能性もあるという。

 この装置については、実験の過程で小さなブラックホールが作り出され、地球を飲み込んでしまうとの懸念も一部で出ていた。

ブラックホール内部を再現 ホーキング氏の理論裏付け

2008年01月16日 中国新聞ニュース

 英国の著名な物理学者ホーキング博士らが理論的に示したブラックホール外側で起こる現象が、スーパーコンピューターを使った計算でブラックホールの中心部でも再現されることを、高エネルギー加速器研究機構や理化学研究所の研究チームが世界で初めて明らかにすることに成功した。15日付米物理学誌フィジカル・レビュー・レターズ(電子版)に発表した。

 素粒子を極小の弦の振動の仕方として表す「超弦理論」に基づき計算した。超弦理論は20年以上前に提唱され、一般相対性理論と量子論を統合する究極の理論とされてきたが、今回、理論の有効性が実証されたことで、宇宙の起源の解明などに結び付くことが期待される。

鳥の巣型のブラックホール発見 銀河の中心部

2007/07/30 中国新聞ニュース

 銀河の中心にあり、ブラックホールとそれを取り巻く雲で構成して輝く「活動銀河核」のうち、雲が従来の約十倍ある新しいタイプを発見したと上田佳宏京都大准教授(エックス線天文学)と愛媛大などが三十日、発表した。

 上田准教授は「まだ見つかっていない活動銀河核が宇宙に数多く存在する可能性がある。銀河の形成過程を知る手掛かりになるのではないか」と話している。

 上田准教授らは、物質を透過する力が強い「硬エックス線」を感知できる米航空宇宙局(NASA)の衛星を使い、約二百個の活動銀河核を見つけた。このうち可視光で観測できなかった二つの活動銀河核を宇宙航空研究開発機構(JAXA)のエックス線天文衛星「すざく」で詳しく調べた。二つは地球から約八千万光年と約三億五千万光年離れた場所にある。

 その結果、二つはブラックホールを囲むガスやちりの雲が従来観測された活動銀河核の約十倍あり、鳥の巣のようになっていた。これまでの研究は比較的エネルギーが低いエックス線が中心で、分厚い雲にさえぎられて観測できなかったとみられる。

 研究結果は、八月一日付の米天文専門誌アストロフィジカルジャーナルレターズに掲載される。

暗黒物質を初観測、ナゾの質量分布特定…日米欧チーム

2007年01月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 宇宙の成り立ちを説明するのに欠かせない「暗黒物質」(ダークマター)という目には見えない物質の姿を、日米欧の国際チームがハワイのすばる望遠鏡などを使って、世界で初めて立体的にとらえることに成功した。

 暗黒物質は天文学の長年の謎で、今回の観測は宇宙誕生にかかわる仮説を裏付ける決定的な証拠となる。成果は、8日の英科学誌「ネイチャー」(電子版)で発表する。

 銀河は宇宙空間に一様に分布せず、無数の泡を形作るように散らばっている。

 この「泡構造」がなぜできたのかを説明するには、観測から推定した銀河の総質量では足らず、その質量を補完するために仮想的な物質として提唱されたのが、暗黒物質。膨大な質量(重力)で銀河を集めると考えられたが、光や電磁波を発しないため、直接観測はできなかった。

 研究チームはこのため、強い重力があると、周辺の空間がゆがめられ、光さえも曲げてしまう「重力レンズ効果」に着目。形が不自然にゆがんだ銀河を観測すれば近くに暗黒物質があるとみて、しし座方向にある約50万個もの銀河とその周辺領域を集中観測した。

 研究チームはまず、宇宙空間に設置された米ハッブル宇宙望遠鏡で計600回以上繰り返し観測し、暗黒物質の分布を特定した。その上で、さまざまな波長の光で観測できる国立天文台のすばる望遠鏡を使い、各銀河と暗黒物質の地球からの距離を精密に計算し、奥行き約80億光年、縦横が最長で約2・7億光年の距離に及ぶ暗黒物質の立体構造を明らかにした。

 今回明らかにした暗黒物質の内部や周辺に、銀河が集まっていることも、観測で裏付けられた。観測領域は地球から見た時に満月が9個ほど並ぶ広大な領域で、これまではごく一部分しか観測できなかった。

 研究チームに参加した谷口義明・愛媛大教授は「1980年代前半に提唱された暗黒物質仮説が観測で実証された。宇宙の進化の解明にとって大きなステップだ」と話している。

巨大銀河の赤ちゃん確認 形成、最近まで続いてた?

2006年12月25日 中国新聞ニュース

 巨大銀河の形成が既に終わったと考えられていた約88億年前の宇宙空間にも、急激に成長する巨大銀河の「赤ちゃん」があったことを、国立天文台や東大などの研究グループが電波望遠鏡を使った観測で突き止め、25日付で発表した。

 同天文台の伊王野大介研究員(電波天文学)は「巨大銀河の形成は比較的最近まで続いていた可能性がある。銀河の誕生や成長は横並びではなかったのではないか」と話している。

 この銀河は、うしかい座の方向に地球から約88億光年離れた「MIPS−J1428」。

 グループは、長野県の国立天文台野辺山宇宙電波観測所にある電波望遠鏡計7台をつなげ、微弱な電波の観測能力を高めた電波干渉計を使ってこの銀河を観測。その結果、星の材料になる水素などの分子ガスを、地球が属する銀河系の約30倍も含んでおり、活発に星を生み出していることが分かった。

 巨大銀河の赤ちゃんが、約130億−100億年前の宇宙に存在していたことは確認されていた。宇宙全体での星の形成は約100億年前が最盛期とされており、巨大銀河もそのころまでに形作られたとの説がこれまで有力だった。

生命の起源?隕石から発見 原始太陽系の有機物

2006年12月01日 中国新聞ニュース

 【ワシントン30日共同】カナダ北西部の凍結湖に2000年に落ちた隕石から、約46億年前の太陽系誕生期に形成された有機物を見つけたと、米航空宇宙局(NASA)の中村圭子研究員らの研究チームが12月1日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 太古の地球には有機物を含む隕石が降り注ぎ、生命誕生の源となったとの説がある。見つかった有機物は細胞などにみられる袋のような形をしていることから、研究チームは「生命の起源の可能性がある」としている。

 論文によると、隕石中の物質が変質しないよう薄く輪切りにして電子顕微鏡で観察したところ、炭素、水素、酸素、窒素で構成される直径数100ナノメートル(ナノは10億分の1)の中空の球状有機物が26個見つかった。

 構成元素を地球の有機物と比べると、重水素が2・5−9倍、中性子が1つ多い窒素の同位体が1・2−2倍多く含まれることが判明。こうした組成になるには、温度が絶対零度に近い原始太陽系星雲の最も外側で形成され、そのまま保存されたと考えられるという。

 中村研究員は「形状や大きさ、成分ともに、生命の起源と考えられているものの条件に当てはまる」と話している。

星のゆりかご観測、銀河の歴史解明へ前進…名大チーム10月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 天の川銀河の中心部で回転しながら円盤状に広がるガスの表面からガスの一部が噴き出し、巨大な放物線のようなアーチを描いて再びガスの渦の中に吸い込まれていることを、名古屋大の研究チームが突き止めた。

 円盤の中には誕生間もない星が数多く存在するが、研究チームは、噴き出したガスが円盤部分に戻る際に起きるガスの激しい衝突が星の誕生にかかわっている可能性があるとしており、銀河の歴史解明につながる研究成果として注目される。

 6日付の米科学誌サイエンスに掲載される。

 研究チームが、観測に使ったのは、南米チリに名古屋大学が設置している電波望遠鏡「なんてん」。

 銀河の中心部で回転する円盤状のガスの半径は約3000光年(1光年は9兆4600億キロ・メートル)に及ぶが、ガスの噴出は、その中心から約2000光年の円盤表面の2か所で起きていた。

 円盤の温度は、宇宙空間を漂うガスに比べて異常に高いが、ガスが戻る際の衝突のエネルギーがかかわっている可能性が高く、名大の福井康雄教授は「ガスの衝突が、星の誕生の原因と考えられる」としている。

(2006年10月6日3時25分 読売新聞)

星系誕生の過程を確認、質量は太陽の100分の1

2005年12月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米ペンシルベニア州立大などのチームは、スピッツァー宇宙望遠鏡などを使って、これまで知られている中で最も小さい規模で、星の周りに惑星が生まれようとする過程を確認したと発表した。

 10日付の米専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」に掲載される。

 この星は、地球から約500光年離れたカメレオン座の方角にあり、通常の恒星ではなく「褐色矮星(わいせい)」という恒星になり損ねた冷たく小さい天体。星としては若い200万歳で、質量は太陽の100分の1以下しかないと見られているが、スピッツァーの赤外線観測で、星の周囲を惑星のもとになるガスや塵(ちり)の円盤が取り巻いている様子が確認された。

 恒星以外の天体でも惑星が存在する可能性を示す証拠で、今後の太陽系外惑星探しの機会を広げる成果だという。

宇宙のベビーブーム、初期宇宙で見つかった多数の銀河

2005年09月29日 国立天文台・広報室

 初期の宇宙では銀河のベビーブームが起こっていたようです。フランスとイタリアの天文学者のチームは、宇宙が現在の10〜30パーセントの年齢だったころに、非常にたくさんの銀河があることを明らかにしました。これまで、観測的にも理論的にも、宇宙初期にはたくさんの銀河や星は生まれないと考えられていました。今回の発見で、いままで一般的に信じられてきた銀河形成や進化の概念は大幅な修正が必要になりそうです。

 銀河がどのように誕生し、進化したのかを明らかにするのは天文学の大きな目標です。そのためには、宇宙の様々な時期にある銀河の特徴を調べ、比較して、銀河進化の歴史を遡っていきます。遠くの銀河を調べるために、ディープサーベイが行われます。ディープサーベイとは、空のある部分を望遠鏡で長時間観測することです。はるか遠方の銀河から届くかすかな光を集め、その光を使って遠方銀河を調べるのです。深宇宙にある銀河からの光は、数十億年以上もかかって地球に届きます。つまり、私達が今見ている光は数十億年以上も前に銀河から発せられた光です。遙か彼方からの光を調べれば、銀河が数十億年以上前にどんな特徴をもっていたのかを探るてがかりとなります。天文学者にとって、遠くを見るとは昔にさかのぼることなのです。

 ある銀河までの距離がわかると、その銀河が今から何十億年前の宇宙空間にいたのかがわかります。銀河進化の歴史を遡るためには、様々な宇宙年齢、つまり、様々な距離にある銀河のサンプルを集めて、それらの特徴を比べてみればよいのです。

 ただし、言うは易く行うは難し。銀河までの距離を測定するためには、分光観測が必要です。しかし、遠くの銀河は暗く最先端の望遠鏡をもってしても、大変時間がかかる観測です。今回発表された研究では、ヨーロッパ南天天文台が持つ8.2メートル望遠鏡VLTに搭載されたVIMOS(Visible Multi-Object Spectrograph)という多天体分光器が使われました。この分光器を使うと、最大で約1000個の天体を同時に分光観測することができます。非常に効率よく分光データを取ることができるので、数年前なら何ヶ月もかかっていた観測データを数時間で取ることができるのです。

 観測チームは、VLTディープサーベイの観測領域から、赤い波長帯で24等(肉眼で見ることができる明るさより1600万分の1の明るさ)よりも明るい銀河、合計8000個を選びVIMOSで分光観測しました。そのうちの1000個の銀河は、ビッグバンから15億年から45億年(現在の宇宙年齢の10〜30パーセント)の時代のものであることが明らかになりました。これは、以前の研究が示していた個数よりも2倍から6倍も多いことになります。さらに、発見された銀河では、星形成が活発なこともわかりました。一年間に太陽質量の10〜100倍の星が誕生しているのです。つまり、宇宙初期で星や銀河のベビーブームが起きていたことになります。今までは、観測的にも理論的にも、宇宙の最初の約10億年の間は、星がそれほど多くは生まれないと考えられましたから、今回の研究結果により、銀河形成の描像は修正を迫られるようです。

 この結果は9月22日発行の科学雑誌ネイチャーで発表されました。

宇宙の初期にも巨大銀河 NASAが観測、常識覆す

2005/09/28 The Sankei Shimbun

 約137億年前に起きた大爆発ビッグバンから約8億年しかたっていない初期の宇宙に、地球を含む銀河系の8倍もの質量を持つ巨大な銀河が既に誕生していた証拠を見つけた、と米航空宇宙局(NASA)が27日発表した。

 ハッブル、スピッツァー両宇宙望遠鏡で、「超深宇宙」と呼ばれる非常に遠い宇宙空間にある約1万個の赤ちゃん銀河を観測し、そのうち1つが異常に巨大であることを見つけた。初期の銀河は形成に時間がかかると考えられてきたが、常識を覆す発見だ。

 この銀河は、ろ(炉)座の方角にある「HUDF―JD2」。あまりに遠いため可視光では見えず、赤外線で確認された。観測結果によると、ビッグバン後数億年の間に猛スピードで成長したが、銀河系の約8倍の大きさに達したところで、形成が突然止まったようだという。(共同)

銀河系中心に棒状構造 米大学が観測

2005/08/17 The Sankei Shimbun

 銀河系の中心に星が集まった棒状の構造が存在する新たな証拠を見つけたと、米ウィスコンシン大などのグループが17日までに発表した。

 同グループは、米国の赤外線宇宙望遠鏡を使って約3000万個の星を観測し、分布を調べた。その結果、銀河系中心には古い星が集まってできた長さ2万7000光年の棒状の構造があることが確認できた。棒状構造は、地球と銀河系中心を結ぶ線に対して約45度傾いているという。

 銀河系は形状から、渦巻銀河に分類されている。しかし、通常の渦巻銀河には棒状構造はなく、銀河系の特徴になっているという。

 半田利弘(はんだ・としひろ)東大助手によると、銀河系の中心が棒状の構造をしていることは1990年代から日本の研究もきっかけになって分かり始め、証拠が積み重なってきている。(共同)

宇宙の始まりはしずく? 「クオークは液体」と発表

2005年04月18日 asahi.com

 宇宙誕生の大爆発「ビッグバン」直後に相当する超高温・高密度の状態を再現する実験をしてきた日米などの国際チームは18日、物質を形づくる究極の基本粒子クオークは超高温でバラバラになるが、気体のように自由に跳び回るのでなく、しずくのような液体状態にあったと考えられる、と発表した。理論的に予想外の発見で、宇宙や物質のなりたちを説明するシナリオに影響を与える可能性がある。

 基本粒子クオークとそれらをくっつける「のり」の役をするグルーオンという素粒子は、超高温の宇宙初期にはバラバラで存在していたが、冷えた今の宇宙では、強い力で陽子などの中に閉じこめられ、1個ずつ引き離すのは難しい。

 チームは00年から米ブルックヘブン国立研究所で、ほぼ光速で走る金のイオン同士を衝突させ、ビッグバンの数十万分の1秒後にあたる1兆度以上の「クオークとグルーオンのかたまり」を作ってきた。そこから飛び出した粒子の軌跡などを解析したところ、かたまりは、粘り気がないサラサラした液体の性質を示すことが分かった。

「暗黒星雲」の地図作り成就 東京学芸大などのチーム

2005年03月28日 asahi.com

 星の生まれる現場といわれる「暗黒星雲」の全天の地図作りを、東京学芸大などのチームが成し遂げた。海外の膨大な観測資料を基に、約7年かけて7億個の星を調べあげて暗黒星雲の姿を描き出した業績は、江戸時代に伊能忠敬が作った日本地図になぞらえて「暗黒星雲の伊能図」とも評されている。28日から東京都日野市で始まる日本天文学会で発表する。

 暗黒星雲は星の材料となるガスやちりからなり、星の誕生過程を探る上で重要な研究対象だ。背後の星の光を遮ってしまうため、星の少ない暗い領域に見える。

 チームは97年、米国や豪州の望遠鏡によって50年代から蓄積されてきた全天の写真乾板約1500枚を対象に、研究に着手した。

 写っている星の数を計算機でもれなく検出。暗黒星雲によって暗くなっている領域と、近くにある明るい領域を比べ、その星の数や明るさの違いから暗黒星雲の分布やちりの量を精密に推計した。

 こうした地図帳を作る試みは以前からあり、特に米国の研究者が40年ほど前に作製した地図は今も基礎資料として使われている。しかし、人間の目を頼りに星の少ない領域を見つけるといった大ざっぱなものだった。

 今回の地図は、約5300個の暗黒星雲の座標や広がり、背景の星の光がどのくらい減光されるかなども示した。東京学芸大の土橋一仁・助教授は「日本からデータベースを発信したかった。伊能図は幕府によって海外への持ち出しが禁じられたが、世界中の研究者が観測計画をたてる上でこの地図が参考になれば、うれしい」と話している。

500光年彼方…形成途上のミニ太陽系か

2005/02/09 The Sankei Shimbun

 地球から約500光年離れた宇宙空間で、原始太陽系のように星の周囲を回るガスとちりの円盤を、米航空宇宙局(NASA)の赤外線望遠鏡スピッツァーがとらえた。

 NASAは「最終的にはミニサイズの太陽系のような天体集団が形成されるのではないか」とみており、幸運が重なれば、地球のように生命をはぐくむ惑星が生まれる可能性もあるという。天体物理学の専門誌に10日発表する。

 中心にあるのは「褐色矮星(わいせい)」と呼ばれる星。質量が木星の15倍ほどと小さいために太陽のような核融合は起きず、温度は2000度弱で暗い。周囲の円盤に含まれるガスやちりは、木星1個と地球数個を形成するのに十分な量という。

 計算上は、中心の矮星から160万−640万キロに地球型の惑星ができれば液体の水が存在し得るため、矮星が冷え切ってしまうまでの間、生物が栄えることも可能だという。(共同)

銀河の赤ちゃん、30個以上発見 NASA

2004/12/23 asahi.com
 米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は21日、我々の銀河系から意外に近くで30個以上の大質量銀河の赤ちゃんを見つけたと発表した。大型の銀河はもう誕生していないというのが定説で、JPLは「裏庭で生きた化石が見つかったようなものだ」と驚いている。

 JPLは、昨年4月に打ち上げた宇宙望遠鏡ギャラクシー・エボリューション・エクスプローラー(GALEX)で数千個の銀河を観測。その中から、強い紫外線を手がかりに若い銀河を探した結果、地球から20億〜40億光年の場所で推定年齢1億〜10億歳の銀河を30個以上見つけた。

 我々の銀河系は推定で100億歳を超える。JPLによると、太古の宇宙には若い銀河が多数あったが、やがて大型の銀河の誕生は減り、現在は小型の銀河が形成されているのみだと考えられていた。

 今回の発見についてJPLは「宇宙の一部はまだ銀河の揺りかごになっている」と説明。大質量銀河の成り立ちについて貴重なデータが得られると期待している。

ホーキング博士、自説のブラックホール理論誤り認める

2004/07/16 読売新聞 Yomiuri On-Line
 英科学誌「ニュー・サイエンティスト」は、車いすの天才物理学者スティーブン・ホーキング英ケンブリッジ大教授が、なぞの天体「ブラックホール」の性質を予言した自説の誤りを認め、21日にアイルランドで開かれる物理関係の国際会議で新たな見解を発表すると報じた。

 ブラックホールは、強い重力で何でも吸収してしまう天体のこと。光さえ抜け出せないと考えられていたが、ホーキング教授は、1970年代に提唱した理論の中で「ブラックホールは少しずつ光を放射しながら、最後には蒸発して消えてしまう」と主張し、物理学界に大きな衝撃を与えた。

 博士は同時に、光はブラックホールから漏れ出すものの、吸収された物質の姿や性質などの「情報」は破壊され、2度と外部に出ることはないとも予言した。

 だが、この予言は「情報が完全に消滅することは無い」とする物理法則(量子論)と矛盾するため、ブラックホールを巡る「情報のパラドックス」と呼ばれ、論争の的になっていた。

 博士は詳細を明らかにしていないが、すでに「情報のパラドックスを解決した」と話しているという。

まず大銀河ありき、国立天文台などが研究発表

2004/06/01 読売新聞 Yomiuri On-Line
 「小さな銀河が先に生まれて重力で寄り集まり、大きな銀河に成長していく」という通説とは反対に、大銀河は小銀河よりも早い年代に形成されたとする研究結果を、国立天文台、東大などのチームが発表した。

 銀河が生まれる場所や環境によって、形成速度が変わる可能性もあるという。

 銀河は大質量の暗黒物質が集まった所に引き寄せられたガスが冷え、次々と星が生まれて形成される。

 国立天文台の児玉忠恭上級研究員らは、南の空に見えるクジラ座の中にある銀河約1000個を、すばる望遠鏡で観測。その結果、約80億年前の時点で、星の数が多く、太陽の800億倍以上の重さがある大銀河はほぼできていたが、太陽の100億倍以下の小銀河は成長途中だったことがわかった。

 通説と反対の観測結果に、児玉研究員は「密度の高いところで一気に大銀河ができたか、小銀河の密集地がいち早く大銀河に成長するなど、場所や環境による違いが大きいのではないか」と話している。

宇宙は141億歳 銀河20万個の分析で判明

2003年10月30日 The Sankei Shimbun
 宇宙の正確な「3次元地図」作りを目指す国際プロジェクト「スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)」のグループは30日までに、星が大量に集まっている銀河約20万個の分布構造の分析などから、現在の宇宙年齢は約141億歳と算出した。

 米航空宇宙局(NASA)は今年2月、宇宙背景放射観測衛星WMAPによる測定などで、宇宙は137億歳と発表しており、2つの観測結果が近接した値を示した。

 より厳密で大規模な観測を基に宇宙の年齢が定まってきたことで、ビッグバンで生まれた宇宙が、現在の姿に進化する過程の解明や、将来の宇宙を予測する研究にも弾みがつきそうだ。

 グループは「WMAPの結果も加味して計算しており、より正確な年齢だ」としている。

 グループは米ニューメキシコ州のアパッチポイント天文台の望遠鏡で北半球の空を観測。1998年から2001年の間の観測データを基に、地球から約20億光年までのところにある、銀河約20万個の位置を精密に測定し、宇宙の3次元地図を作った。

 従来の観測で、宇宙は銀河が一様に分布する構造ではなく、密度にむらがあり、泡のように銀河が群れをなして存在する「大構造」と呼ばれる部分があると分かっていたが、グループはこれをより精密に確認。

 宇宙が重力の影響で大構造を作るまでの過程を理論的に計算した結果と、これらの構造と比較したところ、宇宙は誕生から141億年経過しているとの結果になった。

 さらに宇宙は、星などを作る物質は5%しかなく、残りはともに正体が不明な暗黒エネルギーが70%、暗黒物質が25%を占めることも計算できた。

 SDSSに参加する土居守東京大助教授は「宇宙は正体不明なものが満ちているという理論を強く支持する観測結果」と話している。

 ■宇宙年齢 宇宙がビッグバンで誕生して以来、現在までに何年経過したかを示す値。宇宙が膨張を続けていることを利用、遠方の天体が遠ざかる速度を観測し、これを逆算する手法などで算出する。観測精度の問題などで120億歳や150億歳、200億歳などの大まかな説があるだけだったが、米航空宇宙局は、宇宙のあらゆる方向から飛来する電波である宇宙背景放射の精密な観測から、年齢は137億歳と初めて1億歳単位の年齢を算出した。

宇宙最古の惑星を確認? 130億年前とNASA

2003年07月11日 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は10日、15年前に見つかった天体が、宇宙誕生後間もない約130億年前にできた、これまで確認された中で最も古い惑星と分かった、と発表した。

 NASAによると、地球など太陽系の惑星や太陽系外の惑星の大部分は、45億年前ごろにできたとされている。この惑星は、はるかに古く、惑星形成理論の見直しにつながる成果という。

 この惑星は、地球から5600光年先、さそり座の球状星団M4にある。1988年に発見され、褐色わい星ではないかとされてきた。

 カナダのブリティッシュコロンビア大などのグループがハッブル宇宙望遠鏡のデータを解析したところ、木星の2.5倍の重さの惑星であることが分かった。惑星は、木星と同じようにガスでできており、年齢は周囲にある恒星と同じ約130億歳という。

 グループは「宇宙誕生後の早い時期に惑星ができていたということは、宇宙にはこれまで考えられてきたより多くの惑星があることを意味する」としている。(共同)

米研究所、星のベビーブーム解明

2003年06月20日 The Sankei Shimbun
 約137億年前に宇宙が誕生してから数十億年の間に多数の銀河や星ができた様子を、米宇宙望遠鏡科学研究所などの研究チームがハッブル宇宙望遠鏡とエックス線宇宙望遠鏡チャンドラを使った観測で解明し、19日に発表した。

 研究チームは「宇宙の歴史の初期にあったと考えられていた“ベビーブーム時代”の様子が初めて詳細に分かった。宇宙の進化を探る上で貴重なデータだ」としている。

 研究チームは宇宙の広い範囲で数万個の銀河を観測。宇宙誕生の10億年後から現在までに、銀河や星の数と大きさがどう変化したかを調べた。

 その結果、宇宙誕生の10億年後から50億年の間に銀河の規模が急激に大きくなったことや、宇宙誕生後10億年から15億年間、一定期間に生まれる星の数が一貫して増えていたことが分かった。

 この星のベビーブーム時代は、宇宙誕生の約67億年後まで続き、その後は10分の1に低下。多くの銀河はベビーブーム時代にできたことが明らかになった。(共同)

128億光年、最も遠い銀河発見 すばる望遠鏡

2003年03月20日 asahi.com
 国立天文台は20日、ハワイに設置している望遠鏡すばるが、これまでで最も遠い銀河を発見したと発表した。地球からの距離は128億2760万光年。米国の望遠鏡が持っていた記録を300万光年上回った。

 かみのけ座の中の満月ほどの広さの領域を集中観測。128億光年を超える銀河2つを発見したうちの一つ。大きさは、地球がある銀河の3分の1程度とみられる。

 遠方からの光が地球に届くには時間がかかるので、この銀河は、現在137億歳の宇宙が、まだ9億歳だったころの姿を見せていることになる。

 「すばる深宇宙計画」の成果で、代表者の小平桂一・総合研究大学院大学長は「宇宙の果てまで見通して私たちの起源を探るのに、すばるが大きく貢献できることがはっきりした」と話した。

125億年前、宇宙には既に銀河の群れ

2003年03月14日 The Sankei Shimbun
 125億年前の宇宙が既に現在の宇宙と同様に、銀河が群れをなして分布する構造であったことを、岡村定矩東京大教授らの研究チームがハワイのすばる望遠鏡で確認、14日発表した。これは、生まれてから約12億年の若い宇宙の姿で、宇宙や銀河の形成の解明につながるという。

 研究チームは一昨年から昨年にかけて、すばる望遠鏡でかみのけ座付近を撮影。地球から125億光年離れた銀河43個を発見した。光は125億年かけて届いているため、それだけ昔を観測したことになる。

 銀河は長さ1・8億光年、幅0・6億光年の帯状に集まり、それ以外の領域には分布していなかった。

 現在の銀河も一様に分布しているのではなく、差し渡しが1億光年以上の、泡のような群れを形成しており「泡構造」などと呼ばれる。

 研究チームの島作一大・同大助手は「泡構造は徐々にではなく、宇宙が始まってすぐの段階に一気にできたのだろう。正体不明の宇宙の暗黒物質の分布を考えるのにも役立つ成果だ」と話している。

宇宙の年齢は137億歳?!

2003年02月28日 Astro Arts

 新聞などのメディアをにぎわせたように、NASA(アメリカ航空宇宙局)が中心となって進めているWMAP衛星プロジェクトチームは、宇宙年齢が137億歳と非常に精度よく決めることができたと発表しました。

 この結果は、NASAが打ち上げたマイクロ波観測衛星、WMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe)の取得した一年分のデータを解析した結果から導かれました。WMAPは初期宇宙からの光である宇宙マイクロ波背景放射を全天にわたって、詳細に観測する衛星です。2001年6月30日に打ち上げられ、地球から約160万キロメートル離れた、L2と呼ばれるラグランジュ点にいて、観測を行っています。

 観測結果を理論計算をもとに解釈すると、宇宙は「普通」の物質が4パーセント、23パーセントが正体不明のダークマター、残り73パーセントがダークエナジーによって構成されていることがわかりました。また、宇宙で最初の星は、宇宙誕生からわずか2億年後に輝き始めただろうということもわかりました。宇宙誕生後2億年というのは、多くの科学者が考えていたよりもずっと早い時期です。さらに、宇宙は平らで、永遠に膨張し続けるであろうという結果も導かれました。

 WMAP衛星は、プリンストン大学のウィルキンソン(David Wilkinson)博士に敬意を表して名づけられました。同博士は、2002年9月に亡くなった世界的に有名な宇宙論の科学者です。

<宇宙>最も遠く古い153億年前の銀河発見 ハワイ大学チーム

2002年05月11日(毎日新聞)YAHOO!ニュース

 宇宙誕生から間もない153億年前の銀河を、米ハワイのすばる望遠鏡とケック望遠鏡を使って、ハワイ大学の研究チームが発見した。これまで確認された中では最も遠く古い銀河だという。宇宙は百数十億年前のビッグバンで誕生し、ガスの霧に覆われていた暗黒時代を経て星が次々と生まれたとされる。研究チームは「この銀河は、暗黒時代の終わりを告げる光だ」としている。

 ハワイ大のエスター・フー教授らは、生まれつつある星だけが放つ、限られた波長の光線に注目。特殊なフィルターを使い、米国のケック望遠鏡で観測する中で、地球から60億光年の位置にある銀河団「Abell370」の背後に、この銀河を見つけた。

 遠くからの光ほど、宇宙の膨張によって波長が引き伸ばされるため、その伸び具合から距離を計算した。その結果、宇宙の誕生を約160億年前とすると、この銀河は153億光年先にあると推定された。宇宙誕生から約7億年後に既に存在したと考えられ、これまで観測された最も古い銀河より約5000万年古いという。

 チームはさらにすばる望遠鏡を使い、銀河を赤外線で詳しく調べた。銀河では星の生成活動が盛んで、太陽40個分もの星たちが毎年誕生していたことが分かった。

 研究に参加した本原顕太郎・東大大学院理学系研究科助手は「宇宙誕生後の早い時期から、これほど活発に星を生み出す銀河があったことは驚きだ。現在の観測技術ではぎりぎりの成果だが、ほかにも見つけられれば、宇宙の起源にもっと迫れる」と話している。(元村有希子)

宇宙の年齢

1999年06月01日Mainichi INTERACTIVE
 米航空宇宙局(NASA)が、宇宙誕生は120億年前という研究成果を発表した。宇宙の年齢には諸説あり、最近は「星よりも宇宙の方が若い」という矛盾も指摘されていた。宇宙の年齢はどのように計算されるのか。

 「宇宙はビッグバン(大爆発)によって始まり、膨張し続けている」というビッグバン理論が現在定説となっている。銀河が遠ざかる速度を銀河までの距離で割った数をハッブル定数と呼び、この定数が確定すれば、逆算して宇宙の年齢が分かる。しかし、定数を正確に求めることが難しいため、宇宙の年齢も確定しなかった。

 NASAのグループはハッブル宇宙望遠鏡で、18の銀河の中にある約800個の変光星を観測し、それをもとに従来より高い精度でハッブル定数を70、宇宙年齢を120億年と割り出した。宇宙の年齢の算出には、アインシュタインが唱えた「宇宙定数」という反発力を考慮する必要があるという説もある。これに従うと、宇宙の年齢は135億年になる。

宇宙の年齢

(1999年05月27日)Yomiuri On-Line
 この宇宙がどのくらい前に誕生したのかは、現代宇宙論に残された根源的な大問題。基本的には、現在の宇宙が膨張している速度を観測から求め、逆に、この速度のまま宇宙を収縮させたら何年で消滅するかを計算して、その値を宇宙の年齢と考える。しかし天体までの距離の測定は難しく、計算には大きな不確定性が伴う。さらに宇宙の平均密度や、アインシュタインが導入した宇宙定数も考慮に入れると、過去から未来に至る宇宙の膨張速度が変化し、不確定幅は増す。

 米航空宇宙局(NASA)は25日、120億年と発表。別の研究者は同日、134億年と発表した。150億年とする書物も多く、学界の統一見解はない。天文ファンは、1億年、10億年の違いにこだわる必要はなさそうだ。

宇宙は120億―135億歳

1:04p.m. JST May 26, 1999
 宇宙の年齢を決めるうえでカギとなる宇宙の膨張の速さは、値が決まらず長年、宇宙論学者の頭を悩ませてきたが、米航空宇宙局(NASA)などのグループはハッブル宇宙望遠鏡の8年がかりの観測結果を使って精度よくはじき出し、25日発表した。これにもとづく宇宙年齢の推定値は、120億―135億歳。一方、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大のC・ラインウィーバー博士も、ハッブル宇宙望遠鏡などの最新の観測をもとにした「宇宙年齢は134億歳」という計算結果を、28日付の米科学誌サイエンスに発表する。

 「宇宙は大爆発で始まった」とするビッグバン理論では、宇宙年齢は(1)宇宙の膨張の速さ(ハッブル定数)(2)宇宙をつくる物質の量(3)重力とは逆向きに働く反発力――で決まる。

 NASAなどの国際共同研究グループは、ハッブル定数を高い精度で求めた。その結果、326万光年離れた天体が地球から遠ざかる速度は秒速約70キロと、誤差10%の精度で求めた。これにもとづく宇宙の年齢は、反発力がなければ120億歳、あれば135億歳になるという。

宇宙の年齢90億〜120億年/国際天文学連合総会で報告

97.08.31 The Sankei Shimbun
ビッグバン理論の矛盾解消へ

 宇宙は九十億−百二十億年、最も古い星は百十五億年−。宇宙や星の年齢に関するこんな研究成果が三十日、京都市内で開かれていた第二十三回国際天文学連合総会のシンポジウムで報告された。

 宇宙は超高温で、超高密度の火の玉が大爆発を起こして現在でも膨張を続けているとするビッグバン理論では従来、宇宙の年齢は八十億−百十億年、最も古い星の年齢は百五十億年と推定されていた。しかし、これでは星が宇宙よりも早く誕生していたという矛盾も起きてきた。

 今回の報告はその矛盾を解消するものといえ、天文関係者は「数年の間には宇宙の年齢が確定され、仮説だったビッグバン理論もようやく証明される」と期待を寄せている。

 「宇宙パラメーターと宇宙の進化」と題した同総会のシンポジウムで、欧米や国内からこの分野の最先端の研究者らが報告を行った。

 米・カーネギー天文台のウェンディ・フリードマン博士は、ハッブル宇宙望遠鏡で観測した超新星の動きから宇宙が膨張する速度を割り出す最新の測定方法で、宇宙の年齢を九十億年から百二十億年と推定。

 また、米・ローレンス・バークレー研究所のソウル・パーミッター博士も、ハッブル宇宙望遠鏡や地上から別の超新星を観測したデータで宇宙の年齢を百十五億年と推定し、フリードマン博士の見解と一致した。

 一方、米・ハッブル宇宙望遠鏡研究所のブライアン・シャボイア博士は、欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げた天体観測衛星ヒッパルコスの観測データを基に、宇宙誕生の初期段階にできたとみられる球状星団の年齢を計算。その結果、同星団の誤差を含めた年齢は百十五億年となり、初めて星の年齢が宇宙の年齢を上回る矛盾が解消された。

 今回の発表について、東京大学の佐藤勝彦教授は「理論と観測の結果が一致してきており、さらに観測を進めていけば、二、三年の間にビッグバン理論が証明されることになるだろう」と話している。

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