TOPIC No.5-32 筋弛緩剤点滴事件

01.筋弛緩薬 by発掘やくやく大辞典
02.筋弛緩剤事件 Lycos ニュース
03.筋弛授籏剤連続殺人事件 byキツネ目事件調書(アサヒ芸能2002年01月17日新春号)
04.北陵クリニック准看護士筋弛緩剤投与事件
05.特集 検証 筋弛緩剤点滴事件(2001年02月)by河北新報社
06.筋弛緩剤混入事件で考える(2001/02/09) by d-inf for your health
07.筋弛緩剤事件公判 asahi.com
08.川崎協同病院「筋弛緩剤投与事件」by神奈川21世紀の会

<筋弛緩剤事件>守被告の「自白」調書の審理始まる 仙台地裁

2003年4月25日(毎日新聞) Lycosニュース
 仙台市の北陵クリニック(閉院)で00年に起きた筋弛緩(しかん)剤混入点滴事件の第119回公判が25日、仙台地裁(畑中英明裁判長)で開かれ、殺人1件、殺人未遂4件の罪に問われている准看護師の守(もり)大助被告(31)が当初の調べに容疑を認め、「自白」したとされる供述調書などの審理が始まった。

 この日は弁護側の被告人質問が行われ、守被告は「ずっと取り調べ刑事に怒鳴られ続けて、言われる通りに認めれば、帰してもらえると思った。やってないことは調べてもらえれば分かると思った」と述べ、自白の強要があったと主張した。

 守被告は「『(筋弛緩剤混入を)二、三十人にやっているはずだ』『お前しかいない』と言われ続け、『本当におれしかいないかなあ』という迷いも出てきた。しかし(逮捕3日後の)弁護士との接見で、やった記憶がないことをはっきり思い出した」と話した。守被告はこの接見後、否認に転じ、えん罪を主張している。 【野原大輔】

県立病院で筋弛緩剤紛失 沖縄県警は盗難で捜査

2003年04月16日共同通信社 Medical Town
 沖縄県具志川市の県立中部病院で、毒薬に指定されている筋弛緩(しかん)剤などが紛失していたことが十五日、分かった。具志川署が窃盗事件として捜査をしている。

 調べでは、同病院の救急室にあった筋弛緩剤「マスキュラックス」の粉末十ミリグラム入り容器二本と、鎮静剤「ホリゾン」の液体十ミリグラム入りアンプル二本がなくなった。

 病院関係者が十四日午前零時半にチェックした後、同午前六時に再チェックした際に、なくなっていることに気付いた。

 薬事法は、筋弛緩剤の保管に施錠を義務付けているが、同病院は「緊急患者に対応できない」として、救急室の区切られた一角のカート上に置いていた。

 筋弛緩剤と鎮静剤は、同じ一角に別々に保管されていたが、医療現場ではセットで使うことが多いという。同署は医学的な知識を持った内部事情に詳しい者の犯行の可能性があるとみて、関係者から話を聴いている。

川崎・筋弛緩剤事件で報告書 死なせるためチューブ抜く

2002年08月05日 The Sankei Shimbun
 川崎協同病院(川崎市)で1998年、男性患者=当時(58)=が筋弛緩(しかん)剤を投与され死亡した事件で、病院側の内部調査委員会は5日、主治医だった女性医師(47)が患者の気管内チューブを抜いたのは、呼吸困難に陥らせて死亡させるためだったとする最終報告書を川崎市に提出し、公表した。

 その後の鎮静剤、筋弛緩剤投与で「より確実に死に至らしめた」としており、薬剤だけでなく、一連の行為の問題点をあらためて強調している。

 最終報告書によると、川崎公害病だった患者は98年11月2日、気管支ぜんそくの発作を起こし入院。意識が戻らないまま同16日、呼吸維持のため気管内に挿入していたチューブを抜かれ、筋弛緩剤などを投与された直後に死亡した。

筋弛緩剤投与 院長ら引責辞任 川崎協同病院

2002年08月03日Yomiuri On-LIne
 川崎協同病院(川崎市川崎区)で男性患者(当時58歳)が、女性医師に筋弛緩(しかん)剤などを投与され死亡した事件で、同病院の堀内静夫院長と桑島政臣副院長が、先月31日付で引責辞任していたことが、3日分かった。

 堀内院長と桑島副院長は、男性患者が死亡した1998年11月、ともに同病院の副院長で、管理責任を取って辞任したという。

 同事件の内部調査委員会は、最終報告書を今月5日に発表する予定だが、堀内院長らを含む当時の病院幹部が約3年半にわたって事件を隠ぺいした責任があると指摘する。

「筋弛緩剤、静脈注射で投与」・安楽死事件

2002年05月05日 日経ネット
 川崎協同病院(川崎市)の女性医師が意識不明の男性患者に筋弛緩(しかん)剤を投与し、死亡させた「安楽死」事件で、カルテに「点滴」と記載されていた筋弛緩剤の投与法が、看護記録と診療報酬明細書(レセプト)には「静脈注射」と表記されていたことが4日、神奈川県警捜査一課の調べなどで分かった。同課は表記の食い違いについて当時の看護婦らから事情を聴くなど慎重に調べている。

 病院側はこれまで筋弛緩剤の使用は認めていたものの、「投与」や「使用」という表現を使い、具体的な投与方法については詳しく言及していなかった。捜査一課は、主治医が筋弛緩剤を注射器で患者の静脈に投与したとすれば、患者の死亡を意図して積極的に投与した疑いが強まるとみており、裏付け捜査を進めている。

 調べによると、公害病認定を受けていた男性患者が死亡した1998年11月16日のカルテには、筋弛緩剤の「ミオブロック点滴」と記載。一方、看護記録と明細書には、それぞれ「静脈注射」と記載されていた。

川崎安楽死事件、病院幹部が組織ぐるみの隠ぺい認める

2002年04月21日 日経ネット
 川崎協同病院(川崎市川崎区)で女性医師が1998年、意識不明の男性患者に筋弛緩(しかん)剤を投与し、死亡させた事件で、病院側は20日の記者会見で「当時の院長らが事実を把握しながら、適切な措置を取らなかった」と述べ、組織ぐるみで隠ぺいを図ったことを認めた。神奈川県警捜査一課と川崎臨港署は同日、現在の院長らから任意で事情聴取した。

 病院側によると、女性医師は98年11月、気管支ぜんそくによる発作による心肺停止状態で入院した50代の男性患者の気道を確保するチューブを外し、鎮静剤を注射した後、筋弛緩(しかん)剤を投与した。弛緩剤の投与量は、死に至らしめるのに十分な量だった。

 その後、当時の院長や副院長ら病院の幹部数人が非公式に会議を開き、対応について話し合ったが、院長は女性医師に口頭で厳重注意しただけで、具体的な対応や処分、発表などは一切行わなかったという。

筋弛緩剤事件で立ち入り検査

2001.02.14 スポニチ アネックス
 仙台の筋弛緩(しかん)剤点滴事件で、宮城県は13日、3月10日をめどに閉鎖する北陵クリニック(半田郁子院長)を管轄する医療法人「社団陵泉会」に対し、医療法に基づき、14日午後に立ち入り検査すると発表した。医療法では、医療法人の運営や業務などに適性を欠く場合、都道府県知事が改善指導などの措置をとることができると定めており、県医療整備課は、クリニック内の陵泉会事務局にある書類をチェックし、陵泉会の経理や運営状況などを調べる。

盗まれた筋弛緩剤、金庫に戻る? 宮城県立がんセンター

2001.02.13(23:06)asahi.com
 宮城県名取市愛島塩手の県立がんセンターで、毒薬の筋弛緩(しかん)剤「ミオブロック」1アンプル(4ミリグラム)が盗まれた事件で、同センターは13日、ナースステーション内の盗まれた劇薬金庫の中で、同じ種類の筋弛緩剤が見つかったと発表した。窃盗事件として捜査している県警岩沼署は、見つかった薬剤が盗まれた筋弛緩剤かどうか、確認している。

 同センターなどの説明によると、13日午前8時過ぎに看護婦らが金庫を確認したときは筋弛緩剤はなく、同日午後3時20分ごろに別の病院関係者が金庫を開けたときに見つけたという。同署は病院や納入業者らから事情を聴いている。

筋弛緩剤1アンプル盗まれる 宮城県立がんセンター

2001.02.11(19:44)asahi.com
 宮城県名取市愛島塩手の県立がんセンター(桑原正明院長)で、毒薬に指定されている筋弛緩(しかん)剤「ミオブロック」1アンプル(4ミリグラム)が盗まれていたことが11日、分かった。県警岩沼署が窃盗事件として調べている。センターは、仙台市の「北陵クリニック」で起きた点滴への筋弛緩剤混入事件を受け、筋弛緩剤をかぎのかかる金庫などで管理するようにしたが、金庫に施錠をしていなかった。

 調べによると、筋弛緩剤は、センター6階ナースステーションの劇薬を保管する金属製金庫(高さ21センチ、幅25センチ、奥行き18センチ)の中にあった。

 10日午前0時20分ごろ、看護婦が勤務の引き継ぎを受ける際に金庫を確認したところ、4アンプルあった筋弛緩剤のうち1アンプルが無くなっていることに気付いたという。センターで調べたが見つからないため同日夕方、警察に届けた。9日午後5時半ごろには4アンプルあったことが確認されているといい、同署はこの時間から10日午前0時20分までの間に盗まれたとみている。

 金庫は、ナースステーションの出入り口付近に置かれた薬品保冷庫の中にある。だが、保冷庫は施錠されておらず、金庫も差し込み式のかぎを差したままで施錠されていなかったという。関係者は「普段よく使う鎮痛剤なども入っており、暗黙のうちにかぎを差したままにしていた」と話しているという。

 センターは1月9日から筋弛緩剤すべてをかぎのかかる金庫などで管理するようにしていた。それまでは外来窓口や病棟に置いた、錠が無い「救急カート」の中に置いていたものもあった。


北陵クリニック閉鎖へ 患者減り経営困難に

2001.02.10(03:09)asahi.com
 筋弛緩(しかん)剤混入事件の起きた仙台市の「北陵クリニック」が2月いっぱいで診療をやめ、3月10日で閉鎖することが9日、分かった。同日、職員を集めた会議で半田郁子院長が伝えた。1月6日の事件発覚後、クリニックは入院患者を徐々に転院させ、現在はいない。外来も今月5日から10日までの予定で休診している。

 1991年の開業以来、まひした筋肉に電極を埋め込む「FES」(機能的電気刺激)という最先端医療を看板に掲げ、多くの患者を抱えているが、今後は東北大医学部が引き受けることになりそうだ。

 関係者によると、閉鎖理由について半田院長は「医師の手当てもつかず、外来患者も減り、このままでは経営が成り立たない」などと説明したという。

 民間の信用調査機関などによると、クリニックはFESの効果を実証する機関として、国や県から補助金も受けているが、近年は手術の数も減り、十数億円の赤字を抱えていた。

 筋弛緩剤を混入した点滴を患者に投与したとして、殺人容疑で再逮捕された元職員で准看護士の守(もり)大助容疑者(29)=殺人未遂罪で起訴=は、容疑について否認している。

守容疑者を立ち会わせて実況見分 筋弛緩剤事件

2001.01.28(19:17)asahi.com
 仙台市泉区の「北陵クリニック」に入院中の下山雪子さん(当時89)が、点滴に筋弛緩(しかん)剤を入れられ死亡させられたとされる事件で、宮城県警泉署の捜査本部は28日午前、殺人の疑いで逮捕した元職員で准看護士の守(もり)大助容疑者(29)を立ち会わせ、クリニック内で実況見分をした。また、同日午後、守容疑者を仙台地検に送検した。

 捜査本部によると、守容疑者を実況見分に立ち会わせたのは一連の事件を通じて初めて。午前7時ごろから4時間近く行われた。下山さんの容体が急変し、死亡した昨年11月24日の守容疑者のクリニック内での行動などを確認したとみられる。

 弁護団によると、守容疑者は容疑を否認しているという。

筋弛緩剤混入事件の守容疑者を殺人未遂で起訴 仙台地検

2001.01.26(21:05)asahi.com
 仙台市泉区高森4丁目の「北陵クリニック」で入院中の少女(11)の点滴に筋弛緩(しかん)剤を混入したとされる事件で、仙台地検は26日、元クリニック職員で准看護士の守(もり)大助容疑者(29)を殺人未遂の罪で仙台地裁に起訴した。また、宮城県警泉署の捜査本部は同日、入院していた女性(当時89)の点滴にも筋弛緩剤を混入し、死亡させていた疑いが強まったとして、守容疑者を殺人の疑いで再逮捕する。守容疑者は容疑を否認しているという。捜査本部は、点滴への劇薬投与でほかにも多くの患者の容体が急変したとみており、事件の全容解明に全力をあげる。

 起訴状によると、守容疑者は昨年10月31日午後6時半ごろから午後7時ごろまでの間、同クリニックで、少女の点滴溶液に殺意をもって筋弛緩剤を混入したうえで少女の左手甲に刺し、殺害しようとしたとされる。

 少女は守容疑者の点滴を受けた後、容体が急変し、別の病院に運ばれて命をとりとめたが、低酸素性脳症となり、現在も意識不明の状態が続いている。

 再逮捕される事件では、捜査本部の調べによると、守容疑者は昨年11月24日、泉区の特別養護老人ホームからクリニックに入院していた女性に筋弛緩剤を混入した点滴を投与し、死亡させた疑い。死因は心筋こうそくだったとされる。

 捜査本部が、クリニック側が保存していた女性の血液の鑑定を大阪府警に依頼したところ、筋弛緩剤が検出されたという。捜査本部は診療記録や関係者の証言などとともに慎重に裏付け捜査を進めてきた。

 女性は発熱が続いたことから同月15日に入院。関係者によると、クリニックへの入退院を重ねていた女性は守容疑者と親しくなり、「大ちゃん」と呼んだり、「お嫁さんを世話してあげたい」などと話していたという。その後、順調に回復したが、守容疑者が準備した点滴を受けた後、容体が急変し、死亡した。

 守容疑者は今月6日に、少女事件の殺人未遂容疑で逮捕された当初、動機などについて、給与など待遇面の不満や「緊急事態を引き起こして、医者の腕を試したかった」「少女をねらったわけではなく、だれでもよかった」などの趣旨の供述をしていたとされる。

 弁護団によると、逮捕4日目の9日から容疑を否認、黙秘を続けている、という。23日、仙台簡裁での勾留(こうりゅう)理由開示での意見陳述で、守容疑者は「患者のだれに対しても点滴に筋弛緩剤を入れた覚えはまったくない」と容疑を全面的に否認した。

守容疑者の勾留取り消しを請求 筋弛緩剤事件で弁護団

2001.01.24(19:14)asahi.com
 仙台市泉区の「北陵クリニック」に入院していた少女(11)の点滴に筋弛緩(しかん)剤が混入された事件で、殺人未遂の疑いで逮捕された元職員で准看護士守(もり)大助容疑者(29)の弁護団は24日、「罪を犯したと疑う相当な理由や証拠隠滅、逃亡のおそれがなく、勾留(こうりゅう)の必要性がない」として、守容疑者の勾留を取り消すよう仙台簡裁に請求した。また、仙台地検に不起訴処分にするよう申し入れた。

守容疑者、筋弛緩剤混入を否定 勾留理由開示法廷

2001.01.23(22:07)asahi.com
 仙台市泉区の「北陵クリニック」に入院していた少女(11)の点滴に筋弛緩(しかん)剤が混入された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された元職員で准看護士守(もり)大助容疑者(29)に対する勾留(こうりゅう)理由開示の法廷が23日午後、仙台簡裁で開かれた。守容疑者は意見陳述の中で「点滴に筋弛緩剤を入れた覚えはまったくない」と述べて、容疑事実を全面的に否認した。

 上原昭吾裁判官は、勾留の理由について「事案は重大で関係者も多数おり、証拠隠滅や逃亡のおそれがある」と述べた。弁護側は、筋弛緩剤マスキュラックスの致死量や投与量などの説明を求めたが、上原裁判官は「現段階で答える必要はない」と述べた。

 守容疑者は意見陳述で、1月6日に宮城県警に任意同行を求められ、少女の件について「やっておりません」と言うと、ポリグラフ(うそ発見器)にかけられ「『20人から30人はやった』などの反応が出ている」と言われたとし、「頭が混乱し、ここで認めてしまうとすべておさまり、精神的に楽になれるという気持ちから調書に署名してしまった」と述べた。

 その後、9日に弁護士と接見した際に、「まったく心当たりがなかったことを思い出した」などとして否認に転じ、黙秘を続けるようになったと説明。「無実と潔白を訴えて闘い続ける決意です」と述べた。

 閉廷後、弁護団は「捜査本部は容疑事実を固めないまま逮捕に踏み切った。勾留の理由がない」として、近く守容疑者の勾留取り消しを申し入れる考えを明らかにした。

        ◇

 <守大助容疑者の意見書要旨>

 1月6日の朝8時半ごろ、警察官が私のアパートに来て、一緒に県警本部に行ったのです。最初に、少女の件について聴かれ「やっておりません」と言いました。うそ発見器にかけられ、頭が混乱し、ここで認めるとすべておさまり、精神的に楽になれるという気持ちから、認めてしまう内容の調書に署名してしまいました。

 いったん認めてしまうと、認めたこと自体がうそなので、それを説明するためにうそにうそを重ね、ますます頭が混乱し、本当に自分でやってしまったような気持ちになってしまうのでした。

 9日の午前に弁護士と面会して、少女の件について、自分が本当にやっていたなら、容易に説明できる事柄について説明できないことに気づきました。また、1月6日に任意同行を受けた時点では、全く心当たりがなかったことをはっきりと思い出し、弁護士に「おれやってないんですよね」と素直に言えるようになりました。

 9日の午後、警察官に対し、言われているすべての件について「やってません」と伝えて「今後は黙秘します」と言ったのです。

 全く身に覚えのないことですから、無実と潔白を訴えて、闘い続ける決意であります。

女児急変を「風邪悪化」/筋弛緩剤事件

2001.01.20 The Sankei Shimbun
北陵クリニック側、状況判断の甘さ露呈

 仙台の筋弛緩(しかん)剤点滴事件で昨年十月、元准看護士、守大助容疑者(二九)=殺人未遂容疑で逮捕=から点滴を受けて容体が急変し、現在も意識不明の小学六年の女児(一一)について、北陵クリニック側が急変後に消防に転院搬送を依頼した際、「風邪の症状が悪化した子供を搬送してほしい」と通報していたことが、二十日分かった。

 仙台市消防局の救急隊が到着した時には、女児は既に心肺停止状態で「風邪の症状が一気に心肺停止状態になるのヘ普通では考えにくい」(小児科医)ことから、クリニック側の通報の真意や女児の容体に対する状況認識の甘さがあらためて問われそうだ。

 宮城県警泉署捜査本部の調べなどによると、小学六年の女児は昨年十月三十一日午後六時ごろ、腹痛などを訴え帰宅後、北陵クリニックに来院し、六時五十分ごろ、守容疑者の点滴を受けた直後に容体が急変。守容疑者は医師に報告し、クリニック側は午後七時九分に「風邪の症状が悪化した子供を搬送してほしい」と消防に通報した。

 救急隊は通報の六分後にクリニックに到着。救急隊員が病室に駆け込むと、少女は顔面蒼白(そうはく)の心肺停止状態で体が動く気配はなく、隊員は「風邪の症状ではなく、これはやばいと思った」という。隊員が気道確保や心臓マッサージなどの救命措置をした結果、少女の心拍と自発呼吸が始まったという。

 仙台市消防局は「通報内容と実際の傷病者の容体が食い違うことはよくあるが、心肺停止状態になった子供が通報段階で、どうして風邪の症状というふうになったのかは分からない」としている。

入院患者6人全員を転院措置 仙台・北陵クリニック

2001.01.19(15:09)asahi.com
 小学校6年生の少女(11)の点滴に筋弛緩(しかん)剤が混入された事件の舞台となった仙台市泉区高森4丁目の「北陵クリニック」(半田郁子院長)は19日、入院患者計6人を他の病院に転院させることを明らかにした。患者らは同日から転院を始めた。

 クリニック関係者は転院の理由を明らかにせず、入院病棟について「閉鎖はしません」とだけ話した。同クリニックは外来診療を15日から再開している。

厚生労働省と県、市が北陵クリニックを合同立ち入り検査

2001.01.17(22:33)asahi.com
 仙台市泉区高森4丁目の北陵クリニックの筋弛緩(しかん)剤混入事件で、仙台市、宮城県、厚生労働省は17日、合同で立ち入り検査をした。毒薬の筋弛緩剤は現在、金庫の中に施錠され、適正に管理されていることが確認されたが、これまで院長が組織の管理者としての責任を十分果たしていなかったなどとして、今後、文書で指導することにした。

 この日は午後1時半ごろに市などの担当職員15人がクリニックを訪れ、約3時間半にわたって、薬品管理、人事・労務管理、患者収容状況などについて、書類や聞き取りによる調査をした。

 立ち入り検査終了後の記者会見で、仙台市泉保健所の大熊恒郎所長はクリニックについて、外来や入院患者に被害が及ぶ状況にはない、との認識を示した。筋弛緩剤の管理については、以前はかぎのかかっていない状況で管理されていたが、今は金庫の中に置かれ適正に管理されている、とした。また、院長が常勤でなかったことについては、半田郁子副院長が院長に就任したことで改善された、と認めた。

 しかし「管理者である院長が何をするべきであるか、認識が甘かった」と指摘、さらに職員の役割分担が不十分で、薬品の台帳記入方法についても改善の余地があるとして、検査結果を検討した上で、文書で指導することにした。

上の者に迎合、弱者に強気/筋弛緩剤事件 守容疑者

2001.01.15 The Sankei Shimbun
看護士試験「私には無理」上昇志向は見られず

 仙台市の北陵クリニックで患者に筋弛緩(しかん)剤を投与したとして、殺人未遂容疑で逮捕された元准看護士の守大助容疑者(二九)。その深層心理の解明にはまだ時間がかかりそうだが、宮城県警泉署捜査本部の取り調べの様子や関係者の証言を検証すると、立場が上の人間には迎合的な態度を取り、目先の待遇を気にするだけでランクアップを目指して看護士試験に挑戦することもない人物像が浮かび上がってくる。

 「勝手なことばかり言っている」。病院の待遇への不満を口走る守容疑者の供述内容に、捜査幹部はこう吐き捨てた。「二カ月たっても、女の子は意識が戻っていないんだぞ」。昨年十月に筋弛緩剤を投与され、重体となっている小学六年の女児(一一)のことを追及されると、守容疑者は「すみません」と繰り返した。

 取り調べが進むにつれて謝罪する気持ちをあらわし始めた守容疑者を「警察官の子供らしく礼儀正しい好青年」と評する捜査員もいる。「性格は明るく、クラスの人気者だった」と、高校時代の担任教師が振り返るような優等生ぶりとダブってみえる。

 ただ、別の捜査幹部は「立場が上の人間には迎合的なタイプ」と言い切る。逮捕された現状でいえば、容疑者という立場の弱さを認識し、自分の犯行を追及する側の捜査員に「好意を持たれたい」との意思が透けてみえるという。

 守容疑者は看護の業務以上に、呼吸困難になった患者に気道確保や心臓マッサージといった蘇生(そせい)措置を行う救命医療に強い関心をもっていた。ある臨床心理士は「置かれた立場に敏感な人間は、弱者に対し攻撃的になる傾向がある」と分析する。ひとつの処置が患者の生死を分ける救急医療に興味のある守容疑者が、筋弛緩剤の投与で生殺与奪の権を握ることに快楽を覚えたとすれば、無差別殺人の動機は説明しやすい。

 患者に筋弛緩剤を投与して容体を急変させたことについて、守容疑者は「医師の腕を試したかった」とも供述。弱い立場の患者を攻撃したうえ、ふだんは素直に指示に従ってみせる医師を困らせることで、“一石二鳥”の快楽を得ていたようにみえる。

 守容疑者は十年弱の間に、五カ所の病院を転々とした。父親は「いろんな病院で経験を積んで看護技術を高めたいと話していた」というが、かつて勤めていた病院職員は「待遇が不満で職場から去った」と漏らす。待遇への不満は、北陵クリニックにかぎったことではなかった。

 精神科医の日向野春総氏は「これほど短期間に病院を変えていては、看護技術の向上のためにはかえって逆効果。給料など目先の待遇に目移ろいするばかりで、腰を落ち着ける暇もなかったのだろう」とみる。

 看護婦の待遇に比べて自分の待遇の悪さに強い不満を持っていた守容疑者だが、看護士の試験を受けたことはない。元同僚は「何度も看護士の試験勉強をするようすすめたが、『自分には無理』とあきらめていた」と話す。ここにも、自分で環境を切り開くことを放棄した素顔がみえる。

院長が謝罪 北陵クリニック診療再開

 元准看護士が患者の小六女児(一一)に薬物を投与したとされる殺人未遂事件の舞台となり、事件後の九日から休診していた北陵クリニック(仙台市泉区)は十五日、外来診療を再開した。午前八時半ごろから薬の処方を求める患者が訪れ始めた。

 半田郁子院長は正面玄関前で会見し、「被害に遭われた方に対しては、どんなにおわびしてもしきれない。あらゆる意味で責任をもちたいと思う」と謝罪の意をあらわした。

 また、二階堂昇前院長も姿をみせ「再開が早すぎるという意見もあったが、糖尿病患者らへの対応が必要だった」と述べたうえで、毒劇物は金庫に保管し、ほかの薬物も施錠するなど管理を強化したことを明らかにした。

 再開されたのは内科、小児科などで、診療時間は午前九時から正午までと、午後二時から三時まで(木曜、土曜は除く)で、午後が事件前より短縮された。

 孫の薬の処方を求めに来た高齢の女性は「(事件は)痛ましいことだと思う。でも病院にはよくしてもらっているので、これからも通う」と話した。

 同クリニックをめぐっては事件発覚後、二階堂前院長が週二日程度しか勤務していなかったことが分かり、常勤だった半田副院長が院長に就任した。

筋弛緩剤を守容疑者自ら管理、補充 仙台・点滴事件

2001.01.14(03:09)asahi.com
 仙台市泉区高森4丁目の「北陵クリニック」に入院していた小学6年生の少女(11)の点滴に筋弛緩(しかん)剤が混入された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された元職員で准看護士の守(もり)大助容疑者(29)が、同クリニック内で筋弛緩剤を実質的に管理していたことが宮城県警泉署の捜査本部の調べで13日、分かった。守容疑者は、筋弛緩剤を使って在庫が減ると自ら補充していたといい、捜査本部は薬剤の管理状況について医師らクリニック関係者から詳しく事情を聴いている。

 同クリニックでは、リストラで2年前から薬剤師が不在となり、事務職員が代行。「事実上、責任者がいない状態」(二階堂昇・前院長)で、筋弛緩剤については、使用日時や量などを記録していなかった。

 捜査本部の調べで、管理者不在の中、守容疑者が実質的に筋弛緩剤などの薬品を管理していたことが判明した。守容疑者も、自分で筋弛緩剤を自由に使え、足りなくなると自分で補充した、という趣旨の供述をしているという。クリニックの職員らは、普段から守容疑者が筋弛緩剤を扱うのを気にとめず、量が不自然に減っていることを知らなかった、と捜査本部はみている。

 守容疑者が実質的に筋弛緩剤を管理している状況は、昨年10月31日に守容疑者から点滴を受けた少女が意識不明の重体になり、クリニック側が薬品の管理を厳重にするようになるまで続いた。

 捜査本部は、カルテやクリニックへの薬品の納入記録などから、筋弛緩剤の納入された量と正規に治療で使われた量を差し引いて、不自然に減っている量がどのぐらいあるのか調べている。

筋弛緩剤事件 死亡男児も立件視野/宮城県警 守容疑者が点滴直後

2001.01.14 The Sankei Shimbun
 仙台市の北陵クリニックで患者に筋弛緩剤を投与したとして、殺人未遂容疑で元准看護士の守大助容疑者(二九)が逮捕された事件で、宮城県警泉署捜査本部は十三日までに、昨年九月に死亡した男児(五つ)についても殺人容疑での立件を視野に本格捜査に乗り出した。捜査本部はほかの四件について立件する方針を固めているが、男児も守容疑者の点滴直後に死亡したことが判明。男児から筋弛緩剤は検出されていないものの、救命措置で筋弛緩剤が分解され、別の代謝物質として残留している可能性があるとみて血液などの鑑定を急ぐ。

 この男児は昨年、クリニックで容体が急変して市内の救急病院に緊急転送された八人のうちの一人。

 調べによると、男児は昨年九月、ぜん息のためクリニックに入院し、点滴を受けた直後に呼吸不全となり、緊急転送され救命措置を受けたが死亡した。その後の調べで、点滴を準備したのは守容疑者だったことが、新たに分かった。

 この時期、クリニックからの転送が急増し、救急病院は転送患者の血液を保存。捜査本部の鑑定で、男児が死亡する一カ月前に一時重体となった別の男児(五つ)ら三人から筋弛緩剤が検出された。昨年十一月に軽症となった男児(五つ)からは利尿剤が検出され、捜査本部はすでに四人について立件する方針を固めている。

 これまでの鑑定では死亡した男児から、筋弛緩剤や別の薬剤は検出されていないが、筋弛緩剤は体内で分解しやすいうえ、救命措置で別の薬剤や点滴液を投与されていることから、代謝物質として残留している可能性がある。

 捜査本部では、守容疑者が点滴をした直後に男児が死亡したことを重視。血液などに筋弛緩剤が投与されなければ生成されない代謝物質が残っていないか、再度、詳しく鑑定するとともに、カルテや救命措置の内容の確認と家族からの事情聴取を進めている。

北陵クリニック院長が辞任/筋弛緩剤事件 後任に副院長昇格

2001.01.13 The Sankei Shimbun
 仙台市の北陵クリニックで小学六年の女児(11)に筋弛緩(しかん)剤を点滴した殺人未遂事件で、同クリニックを運営する医療法人社団陵泉会(山本敏行理事長)は十三日、緊急理事会を開き、二階堂昇院長の辞任を決め、後任に半田郁子副院長を選んだ。  山本理事長によると、二階堂院長はこれまで、常勤でなく週二日程度しかクリニックに来ておらず、医療法などに触れる恐れがあるため、事件後の対応などのためにも理事会が二階堂院長の辞任が必要と判断したという。

 同クリニックは十五日から、外来診療を再開する。

「医師の腕を試したい」 筋弛緩剤混入事件の守容疑者

2001.01.13(09:10)asahi.com
 仙台市泉区高森4丁目の「北陵クリニック」(二階堂昇院長)の筋弛緩(しかん)剤混入事件で、殺人未遂容疑で逮捕された元職員の准看護士守(もり)大助容疑者(29)が宮城県警泉署の捜査本部の調べに対し、「給料が入る前の条件と違う」「点滴の専門家なのに看護婦に使われた」などと、病院の待遇に対する不満のほかに、「緊急事態を引き起こし、医師の腕を試したかった」と供述していることが12日、わかった。捜査本部はこれらの供述が、動機に結びつくかどうか慎重に捜査を進めている。

 守容疑者は「待遇面で条件がいい」との理由で、一昨年2月から北陵クリニックで働き始めた。友人には「(病院に)スカウトされた」と話していたという。しかし、調べに対し、「働いてからの待遇が、当初の約束とは違った」と供述。また、点滴に自信があるのに、准看護士であるために、病院内では看護婦の指示に従わなければならなかったことへ強い不満をもらしているという。

 一方で、「緊急事態を引き起こして、病院の医者の腕を試したかった」という趣旨の供述もしているとされる。人間の蘇生(そせい)法を看護婦らを集めて説明するなど、救急救命医療に強い関心があるなかで、医師からは准看護士として低くみられていることに反感を抱いていたとみられる。ただ、「救急救命士の資格をとるために学校に通う」と言って以前勤めていた病院を辞めているが、学校に通った形跡はないという。

子供8人が緊急転送 北陵クリニック

2001.01.13 The Sankei Shimbun
昨年1年間 守容疑者との関連解明へ

 仙台市の北陵クリニックで患者に筋弛緩(しかん)剤を投与したとして、殺人未遂容疑で元准看護士の守大助容疑者(二九)が逮捕された事件で、昨年一年間に八人の子供が同クリニックで容体が急変し、市内の救急病院に緊急転送されていたことが十二日、宮城県警泉署捜査本部の調べで分かった。転送数の多さを不審に思った救急病院は複数の患者の血液を保存しており、一時重体となった男児(五つ)からは筋弛緩剤が検出された。捜査本部では、この八人のうち、守容疑者が不正に薬剤を投与した人数の特定を急いでいる。

 救急車で転送した仙台市消防局によると、北陵クリニックから別の病院への緊急転送は三年前は八人、二年前は九人と横ばいだったが、昨年は十九人と急増。この十九人のうち、八人の子供は仙台市立病院に転送されていた。

 八人の子供の中には、守容疑者の逮捕容疑となった小学六年の女児(一一)のほか、昨年八月に肺炎のため北陵クリニックに入院していて、突然の呼吸不全で一時重体となった男児も含まれる。

 市立病院では北陵クリニックからの転送が急増していたため、この男児の血液を保存しており、県警は内偵捜査に着手した後、病院から任意提出を受けた血液を鑑定し、筋弛緩剤の成分を検出。男児は守容疑者が点滴した直後に容体が急変していたことも分かり、捜査本部では殺人未遂容疑で立件する方針を固めている。

 市立病院には、守容疑者が北陵クリニックを退職する直前の昨年十一月まで緊急転送が続いており、「クリニックからの搬送が続いている」「病状と容体の急変が結びつかない」という声も上がっていた。転送された患者は、呼吸不全など重体の症状で運び込まれることも多かったという。

 捜査本部では重体となった女児を含む四件について殺人容疑などで立件する方針をすでに固めているが、緊急転送された別の子供にも薬剤が投与されていないか確認を急ぐ。

「北陵クリニック」経営状態「火の車」

2001.01.13 The Sankei Shimbun
先端医療研究投資/リストラ効果なし
守容疑者のゆがんだ心理増幅?

 仙台市泉区の北陵クリニック(二階堂昇院長)で、准看護士が患者の点滴に筋弛緩(しかん)剤を混入した事件で、殺人未遂容疑で逮捕された守大助容疑者(二九)は宮城県警泉署捜査本部の十二日までの調べに、待遇への不満や病院経営への不信を犯行動機として供述している。犯行の背景に、多額の赤字をかかえて「ボーナスも出せないくらい苦しい」(二階堂院長)というクリニックの経営状況が絡んでいる。毒物を管理する薬剤師も置けず、守容疑者のゆがんだ心理を増幅させたともみられるクリニックの経営実態を追う。(筋弛緩剤事件取材班)

≪脚光浴び開院≫

 「重度障害者に朗報」「世界初のFES(機能的電気刺激)病院」−。

 平成三年十月にオープンした北陵クリニック。脳卒中や脊髄(せきずい)損傷など重度の障害に悩む患者の部位を電気で刺激して治療するFES治療は、開院前に二百人以上の患者から問い合わせが殺到するほど期待を集めた。

 FESは、東北大工学部と医学部が中心となって開発した最先端のリハビリ治療法で、その中心に半田康延・同大工学部教授がいた。守容疑者の点滴を受けて重体となった小六女児(一一)の主治医である半田郁子副院長の夫である。妻の半田副院長は、クリニックを運営する医療法人・社団陵泉会の設立時の理事長でもある。

 「副院長に恥をかかせたかった」。守容疑者は、待遇などへの不満とともに、半田副院長に対する怨恨(えんこん)めいた供述もしている。

≪18億円の補助金≫

 陵泉会は平成十一年十月、定款変更する。それまでの診療中心から医学・医療の研究活動を行う「FESのサテライト(衛星)研究室」に運営の重点をシフトして、研究活動をしやすくするためだった。平成十年十月、陵泉会は科学技術庁(現文部科学省)の特殊法人から「地域結集型共同研究事業」と認定され十五年度までの五年間で国、県合わせ十八億五千万円の補助金を獲得した。「診療所が実験的な研究活動を行うのに道義上問題はないのか」といった疑問の声もあがっている。

 多額の補助金にもかかわらず、病院経営は悪化した。

 民間信用調査機関などによると、同会は平成十、十一年と赤字続き。初期の設備投資状況が常に重くのしかかり、負債額は約十三億六千万円に上っている。税金が払えず、診療所の土地と建物が仙台市に差し押さえられたこともあった。先端医療研究のための投資が、クリニックの経営を圧迫していったようだ。

 北陵クリニックの実情を知る別の病院関係者は「あそこは、普通の病気で通うようなところじゃない」と語る。「FESの治療費は約二百万円にのぼる。一般人が治療を受けるのは難しい状況だったのでは」(県保健福祉部)という。

≪責任者不在≫

 二年前、守容疑者がクリニックに移って来る直前から、薬剤師を解雇するなど院内リストラが断行された。薬物管理者不在のなか、毒物である筋弛緩剤が施錠されない場所に保管され、守容疑者に容易に持ち出される要因となった。リストラの効果もなく、「今期も赤字決算になる見込み」(二階堂院長)で、経営再建のメドは立たない。

 「ボーナスが出せないくらい経営は苦しく、その状況はみな分かっていたと思う」「(守容疑者の)待遇が契約通りだったかどうか、私は知らない」

 管理責任者であるはずの二階堂院長は、まるで第三者のように語る。院長は常勤だが、週二回程度しか出勤していなかった。

 捜査本部は、クリニックの“無責任体制”のなかで、守容疑者が犯行をエスカレートさせていった可能性が強いとみて、動機の解明を重点に追及している。

「管理体制問題」と厚生労働相 仙台・筋弛緩剤点滴事件

2001.01.12(15:12)asahi.com
 仙台市の点滴混入事件について坂口力・厚生労働相は12日の閣議後会見で、「院長が常勤していないとすれば医療機関として管理体制に問題がある。毒物管理が十分でなかったとも聞いている。警察の捜査を待ちつつ、省としても原因を十分に解明したい」などと述べ、実態解明に取り組む姿勢を打ち出した。

 事件の舞台になったクリニックは、法で定められた薬剤師の配置や毒物管理方法を守っていなかった可能性があるとして、同省は今月中にも仙台市、宮城県と共同で立ち入り検査する方針を固めている。


筋弛緩剤で医師自殺/東大医科研付属病院 家庭不和苦に、自宅で点滴

2001.01.12 The Sankei Shimbun
 東京大学医科学研究所付属病院の男性医師(三〇)が昨年十一月、筋弛緩(しかん)剤を点滴して自殺していたことが十二日、分かった。

 警視庁駒込署の調べによると、医師は昨年十一月四日午前十一時ごろ、東京都文京区本駒込の自宅で、自分自身に点滴を打ちながら寝ているのを、訪れた母親が見つけた。すでに意識不明でそばに筋弛緩剤の空になった容器が落ちていた。同区内の病院に運ばれたが同日午後零時半ごろ、死亡が確認された。死因は筋弛緩剤による中毒死だった。

 発見される直前、医師は別居中の妻に「これから死ぬ」と電話をかけており、遺書も室内から見つかっていることから、駒込署は家庭不和を苦に自殺したとみている。

 医師は平成十一年十一月末まで東大病院に勤務。その後、東大医科学研究所や老人医療センターなどで非常勤医員などをしていた。

米国でも看護士が筋肉弛緩剤などで6人殺害

2001.01.10(17:38)asahi.com
 米ロサンゼルス郡グレンデール市の病院で看護士が数十人の末期患者に薬物を注射するなどして死亡させていたという疑惑を捜査していた同市警察は9日、元看護士のエフレン・サルディバー容疑者(31)を殺人の疑いで逮捕した。

 市警によると、サルディバー容疑者はグレンデール・アドベンチスト・メディカルセンターで、1996年2月ごろから2年間に少なくとも6人の患者を故意に死亡させた疑い。

 同容疑者は89年から同センターで働いていたが、警察は、96年2月以降の同容疑者の勤務日に死亡した患者171人のうち、20人の遺体を墓から掘り出して、薬物などの残留成分を調べた。患者名や殺害方法は明らかにしていない。

 警察は98年2月に捜査に着手。その当時、同容疑者は、自分を「死の天使」として、人道的な立場から40人から50人の末期患者に対し、筋弛緩(しかん)剤を注射したり、人工呼吸器の酸素量を減らしたりして、安楽死させたといったんは自白した。看護士免許をはく奪され、その後、自白を取り消した。警察は9日、「3年近くにわたる捜査で、十分な証拠を入手した」として、逮捕に踏み切った。


男児への投与も認める 昨年11月 筋弛緩剤事件

2001.01.10 The sankei Shimbun
守容疑者、再逮捕へ

 仙台市の北陵クリニックで准看護士が筋弛緩剤を投与した事件で、殺人未遂容疑で逮捕された守大助容疑者(二九)が昨年十一月に点滴を行った男児(軽症)にも、筋弛緩剤を投与したことを認める供述を始めていたことが十日、宮城県警泉署捜査本部の調べで分かった。捜査本部で医療機関に保管している男児の血液鑑定を進めた結果、供述通り、筋弛緩剤の成分が検出された。捜査本部では殺人未遂での立件に向け詰めの捜査を急ぐ方針。

 これまでの調べによると、守e疑者は昨年十月三十一日夜、筋弛緩剤「マスキュラックス」を腹痛の小学校六年の女子児童(一一)に投与して殺害しようとしたことは認めていた。守容疑者はこの事件について「だれでも良かった」「薬の効き目は知っていた」と供述している。

 守容疑者はクリニックに来院した二十人以上の患者の点滴を担当し、大半に筋弛緩剤を投与した疑いが持たれており、捜査本部で余罪について追及したところ、昨年十一月にクリニックで軽症になった男児について「筋弛緩剤を投与した」と犯行を大筋で認める供述を始めた。

 小六女児の殺人未遂事件以外で、守容疑者が具体的に筋弛緩剤の投与を認めたのは初めて。

 捜査本部で、クリニック内に保存されていた患者の血液を鑑定した結果、小六女児とこの男児を含む三人から筋弛緩剤の成分を検出した。捜査本部では小六女児に対する殺人未遂容疑の立件に全力を挙げているが、男児に対する殺人未遂容疑の立件が可能と判断しており、容疑が固まり次第、再逮捕する方針。

被害女児体内から筋弛緩剤成分検出

2001.01.09 The Sankei Shimbun
 宮城県警泉署捜査本部は九日までに、女児の体内から筋弛緩剤「マスキュラックス」(製品名)が分解された成分を検出した。捜査本部では守容疑者の容疑を裏付ける決定的な証拠と判断している。

 これまでの調べによると、女児は昨年十月三十一日夜、腹痛のために守容疑者が勤務する「北陵クリニック」に来院した。主治医は急性虫垂炎の疑いと判断して、守容疑者に点滴を指示していた。守容疑者はこの点滴に筋弛緩剤を混入していた。

 捜査本部では病院から女児の不審な容体急変の届けを受けA捜査に着手した。現在、別の病院に入院中の女児の血液の任意提出を受け、慎重に検査を続けていた。その結果、犯行に使用されたマスキュラックスそのものは出なかったが、マスキュラックス特有の分解成分が検出された。

 マスキュラックスは国指定の毒物で即効性が高い半面、体内に残留しにくい特徴を持っている。

「待遇に不満」と供述 筋弛緩剤混入容疑の准看護士

2001.01.08(03:04)asahi.com
 仙台市泉区高森4丁目の「北陵クリニック」(二階堂昇院長)に入院中の小学6年生の少女(11)の点滴に筋弛緩(しかん)剤が混入された事件で、宮城県警泉署の捜査本部に殺人未遂容疑で逮捕された元職員で准看護士の守(もり)大助容疑者(29)=同市泉区七北田=が調べに対し、動機について「北陵クリニックの待遇が悪い」と日ごろから不満を抱いていたことを漏らす供述をしていることが7日、分かった。守容疑者は、小6の少女以外に筋弛緩剤を混入したかどうかについて「そういうこともあった」とも供述しているという。クリニック側は同日、昨年9月に転送先の病院で死亡した幼稚園児が、守容疑者から点滴を受けた後に容体が悪化したことも明らかにした。

 守容疑者は捜査本部の調べに対して、筋弛緩剤を少女の点滴に混入した事実は認めたうえで「殺意はなかった」と供述しているという。

 守容疑者が点滴した直後に、容体が急変して死亡した7―8人の患者について筋弛緩剤を混入したかどうかについては「ないわけではない」「いちいち覚えていない」などとも話しているという。

 一方、北陵クリニックでは7日午前、二階堂院長と半田郁子副院長が記者会見し、「大変恐ろしい、思いがけない出来事が発覚して、多大なご迷惑をおかけしました」と陳謝。守容疑者が勤務し始めてからお年寄りを中心にインフルエンザなどで計10人前後の患者が亡くなり、このうち昨年9月に転院先の病院で死亡した幼稚園児の男の子は、守容疑者から点滴を受けた後に呼吸不全に陥り容体が悪化したことを明らかにした。クリニック側は「患者の死亡との因果関係は分からない。後から調べると、点滴後に急に容体が悪くなった患者はいないわけではないが、すべてそうだとは思えない」と話した。

 筋弛緩剤は手術の全身麻酔などに使われ、同クリニックでは院内の薬局に保管していた。薬局はふだん施錠されているが、医師や看護婦、准看護婦(士)らはカギを使って出入りできる。守容疑者は薬局から保管されていた筋弛緩剤を持ち出して点滴に混ぜたとみられる。

 クリニック側は「基本的に筋弛緩剤は小児科や内科で使用されることはない。手術の回数に比べて数が減っているという感じはあった。管理が不十分だった」と話した。

 守容疑者は高校卒業後、県内の病院で看護見習をしながら准看護学校に通っていた。1992年に准看護士の資格を取得。仙台市内の美容整形や病院などを経て、一昨年2月から北陵クリニックに勤務していた。昨年12月、少女の容体急変を不審に思った半田副院長が警察に相談し、守容疑者は同じ時期に同クリニックを辞めていた。

容態急変2年で十数人 殺人未遂で逮捕の元准看護士

2001.01.07(05:55)asahi.com
 仙台市泉区高森4丁目の「北陵クリニック」(二階堂昇院長)に入院していた仙台市内の小学6年生の少女(11)の点滴に筋弛緩(しかん)剤を混入して殺害しようとしたとして、宮城県警捜査一課と泉署は6日、同市泉区七北田、元准看護士守(もり)大助容疑者(29)を殺人未遂の疑いで逮捕した。守容疑者は殺意は否認しているが、筋弛緩剤を入れたことは認めた、という。関係者によると、ここ2年ほどの間に、守容疑者が同病院で点滴をした直後に7、8人の患者が死亡し、回復した患者も入れると容体が急変したのは十数人にのぼる、という。県警は同日、同署に捜査本部を設置、同病院を家宅捜索した。

 調べによると、守容疑者は昨年10月31日午後6時50分ごろ、北陵クリニックで、医師の指示を受けずに少女の点滴に故意に筋弛緩剤を混入し、殺害しようとした疑い。

 守容疑者は、少女の症状が急変したところで医師を呼び、応急処置が施された。少女は命をとりとめたが低酸素性脳症となった。事件後ただちに市内の別の病院に転院したが、現在も意識不明の状態が続いているという。

 県警によると、少女は10月31日、腹痛を訴え、入院したという。この少女や、守容疑者から点滴を受けた後急死した患者らは守容疑者との面識はなかったといい、捜査本部は患者個人に対するうらみではなく、病院への不満などが背景にある可能性もあるとみて動機を追及する。

筋弛緩剤を点滴に入れた仙台の元准看護士を逮捕

2001.01.07(02:01)asahi.com
 仙台市泉区高森4丁目の総合病院「北陵クリニック」(二階堂昇院長)に准看護士として勤務していた男が、入院していた仙台市内の小学6年生の少女(11)を殺そうとしたとして、宮城県警泉署は6日夜、同市泉区七北田、守大助容疑者(29)を殺人未遂の疑いで逮捕した。守容疑者が同病院で点滴をした直後に数人の患者が急死しているため、宮城県警捜査一課と同署は余罪もあると見て、同日、捜査本部を設置した。

 調べによると、守容疑者は昨年10月31日午後6時50分ごろ、北陵クリニックで、医師の指示を受けずに少女の点滴に故意に筋弛緩(しかん)剤を混入し、殺害しようとした疑い。同容疑者は、少女の症状が急変したところで医師を呼び、応急処置が施された。少女は命をとりとめたが低酸素性脳症となった。事件後ただちに市内の別の病院に転院したが、現在も意識不明の状態が続いているという。

 同署によると、少女は同日、腹痛を訴えて入院したという。この少女や、守容疑者から点滴を受けた後急死した複数の患者らは守容疑者との面識はなかったといい、捜査本部は患者個人に対するうらみではなく、病院への不満などが背景にある可能性もあるとみて動機を追及する。

 守容疑者は1992年に准看護士の免許を取得。一昨年から同クリニックに勤務していたが、昨年12月に辞表を出した。

    ◇

 北陵クリニックは、仙台市北部の新興住宅地にある総合病院。医療法人社団陵泉会が経営し、小児科と内科、整形外科、神経内科、泌尿器科など6科がある。

    ◇

<筋弛緩剤> 脳からの神経刺激を遮断して、筋肉の動きを弱める薬。全身麻酔による手術の際に挿管をしやすくしたり、人工呼吸が乱れないよう自発呼吸を抑えたりする効果がある。動物を安楽死させる時にも使われる。「サクシン」「マスキュラックス」といった種類があるが、使い方を誤ると呼吸停止や心停止を起こす恐れがある。1992年から93年にかけて5人が殺害された大阪の愛犬家連続殺人事件で被害者に投与され、安楽死事件などでも使われた。使用方法を間違って患者を死亡させた医療事故も起きている。


愛知県がんセンターが筋弛緩剤を紛失 2人分の致死量

2000.08.27(01:53)asahi.com
 26日午後1時15分ごろ、名古屋市千種区鹿子殿の愛知県がんセンターから、麻酔用の筋弛緩剤(きんしかんざい)「マスキュラックス」のアンプル(4ミリグラム入り)5本計20ミリグラムを紛失した、と愛知県警千種署に届け出があった。同署によると、紛失した量は2人分の致死量にあたるといい、同署は盗難の可能性もあるとみて調べている。

 調べによると、24日午前7時半ごろ、同センターの病院棟4階にある麻酔導入室の薬品保冷庫に184本が入っているのを看護婦が確認。同日中に手術で38本が使われた。午後10時ごろ、別の看護婦が最終確認したところ、141本しかなく、5本足りないことがわかった。看護婦長が医師や看護婦に確認したが、見つからなかった。

 マスキュラックスは全身麻酔による手術の際に最も一般的に使われる筋弛緩剤。施錠して管理することになっているが、同センターでは、職員の出入りが多い勤務中は施錠していなかったという。

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