TOPIC No.4-38 ディスプレ-/モニター/テレビ


01.ディスプレイ【display】by IT用語辞典 e-words
02.ディスプレイ (コンピュータ) byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
03.ディスプレイ by YAHOO! News
04.ディスプレイ・モニター情報リンク集
05.TOPIC#4-38-1 液晶ディスプレー(LCD)
06.TOPIC#4-38-2 プラズマディスプレー(PDP)
07.TOPIC#4-38-3 表面電界ディスプレイ(SED)
08.TOPIC#4-38-4  有機ELテレビ

デジタルTV販売好調、不況が追い風に(上)

2009/04/19 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 白剛寧(ペク・カンニョン)記者

外食・旅行の代わりに消費者が選んだのは「テレビ視聴」

米国・日本・EUの販売量、最高で40%増

 世界的な景気低迷の中、先進国で販売されるデジタルテレビの数はむしろ急増している。不況期には高級家電製品は売れない、という常識が崩れたわけだ。おかげで、世界のテレビ市場で第1位のサムスン電子と同2位のLG電子は、不況の中にあって好況を享受している。

◆不況の中、先進国では高価なデジタルテレビの販売量が30−40%増

 米国が本格的な不況期に突入した昨年11月、米国のデジタルテレビ販売量は前年同期より27万台も増えた。12月にはおよそ90万台も多く売れた。販売急増の勢いは今も止まっていない。市場調査会社のNPDグループは、今年1月の米国でのデジタルテレビ販売量が166万台となり、昨年同期より40万台増えたと発表した。2月の販売量(149万台)も、昨年同期より40万台増えた。デジタルテレビの代表格である液晶ディスプレー(LCD)テレビの販売量は、今年1月が41万台、2月は37万台増加した。月間販売量が30−40%増えたわけだ。

 これは米国だけの現象ではない。今年1月のヨーロッパのLCDテレビ市場は、昨年同期に比べ販売量が130万台増加(42%)し、437万台だった。日本の1月のLCDテレビ販売量も17%増えた。不況の中で高価なデジタルテレビが多く売れるという不思議な現象が発生している。

 ソウル大消費者学科の金蘭都(キム・ナンド)教授は、不況期にテレビがよく売れる理由について、「消費の風船効果」で説明する。消費の風船効果とは、所得の減少で一方の支出が減少したら、よその支出が増えるという現象のこと。風船の一方を押したら別の部分が膨れ上がるのと似ている。

 今年1、2月の米国の自動車販売量は30%以上も減少した。これに加え、不況で野外活動や外食も減った。すなわち、外で使う金で、もっと大きくもっと良いテレビをあつらえる人が増えたというわけだ。テレビは本来、不況に強い商品の一つ。LGディスプレーの李邦洙(イ・バンス)常務は、「伝統的に、ソファやテレビは景気低迷の影響をあまり受けない商品だ」と語った。金蘭都教授は「レジャー活動のために自動車を買い替えたり海外旅行に出掛けたりするよりは、テレビを買い替える方が安くて効果的」と付け加えた。

デジタルTV販売好調、不況が追い風に(下)

◆主要先進国のデジタル放送転換の影響も大

 また、各国政府のデジタル放送政策がデジタルテレビの販売に火を付けた、という評価もある。主要先進諸国は間もなくすべての放送をデジタル化する。米国は今年6月からアナログ放送の電波送信を停止し、すべての放送をデジタル化する計画だ。イギリスなどヨーロッパの大部分の国も、2012年までに全面的にデジタル放送を開始する。日本のアナログ放送は2011年7月までだ。

 こうした「不況の中での好況」で最大の恩恵を受けているのが、韓国の電子・家電企業だ。市場そのものが予想以上に成長していることに加え、市場シェアまで高まっているからだ。今年2月、サムスン電子の米国LCDテレビ市場におけるシェアは26.5%となり、1月より0.5%増えた。昨年同期と比較すると4.7%増えている。LG電子のシェアは9%で、前月より0.8%、昨年同期より2.3%上昇した。

 しかし、韓国の内需市場におけるデジタルテレビの販売量は昨年と同じ水準だ。韓国最大の家電量販店であるハイマートは、「今年第1四半期のテレビ販売量は昨年と同水準」と語った。韓国政府は今年初めに、アナログ放送の終了と全面デジタル放送実施の時期を2010年から2013年に延期することを表明しており、この影響が大きいと評価されている。

■デジタルテレビとは

 デジタル放送を受信できるテレビをいう。アナログテレビより画質が優れており、雑音がなく、番組の録画・編集が簡単にできる。現在、先進国市場で売れているデジタルテレビは大部分がLCDテレビだが、プラズマ・ディスプレー・パネル(PDP)やプロジェクションタイプのものもある。

テレビ販売量、サムスンとLGが世界トップに2009/02/20 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 白剛寧(ペク・カンニョン)記者

 世界的な景気低迷の中にあっても、サムスン電子とLG電子は海外の競合メーカーを抑え、テレビの市場占有率でトップに立っている。

 市場調査会社ディスプレー・リサーチは19日、「2008年の主なテレビ・メーカーの販売状況」を発表した。それによると、販売量基準で世界1位はサムスン電子(3468万台、市場占有率16.8%)、2位はLG電子(2685万台、13%)だった。LG電子と3位のソニー(1595万台、7.7%)の差は1090万台に達した。

 分野別に見ると、相対的に価格が高いLCD(液晶ディスプレー)分野の販売量が多い。販売量基準でサムスン電子のLCDテレビの世界シェアは初めて20%台に突入した。サムスン電子はLCDテレビを2098万台売り上げ、LCDテレビの世界シェア1位(20%)を記録した。これは昨年初めに示したLCDテレビの販売目標(1800万台)はもとより、8月末に上方修正した目標値2000万台を超えた。また、LG電子もLCDテレビを1069万台(世界シェア10.2%)売り上げ、順位は前年の5位から、シャープ(960万台、9.1%)とフィリップス(811万台、7.7%)を抜き3位となった。景気の後退が深刻化した第4四半期(10‐12月)に底力を発揮し、特にLG電子のLCDテレビの販売台数(364万台)は第3四半期(7‐9月)に比べ46%も増えた。

純利益が23年ぶり最高 パナソニック、テレビ好調

2008/10/29 中国新聞ニュース

 パナソニック(十月一日に松下電器産業から社名変更)が二十八日発表した二〇〇八年九月中間連結決算は、主力の薄型テレビの販売が好調だったことなどから、純利益が前年同期比22・2%増の千二百八十四億円となり、一九八五年以来、二十三年ぶりに中間期として過去最高を更新した。

 営業利益は3・7%増の二千二百八十一億円となり、七年連続で増益を確保。ソニー、シャープなどの電機大手が大幅な減益を見込む中で、パナソニックの業績の底堅さが目立った形だ。

 一方、連結子会社だった日本ビクターが持ち分法適用会社となった影響で、売上高は4・0%減の四兆三千四百三十七億円と減収。日本ビクターと為替の影響を除いた実質ベースでは約4%の増収だった。

 東京都内で記者会見した大坪文雄おおつぼ・ふみお社長は「金融危機に端を発した経済の混乱は、われわれの想像以上で経営環境は悪化の一途をたどっているが、冷静に受け止め、ものづくりの基本に立ち返りたい」と語った。

 薄型テレビの世界販売が北京五輪効果などで約三割増となったほか、DVDレコーダーなど音響・映像(AV)機器が前年実績を上回った。また、中国、アジアでエアコン、冷蔵庫など白物家電の販売が好調だった。

 半面、企業の設備投資が減少したため、工場の生産ラインを製造するファクトリーオートメーション(FA)など企業向けの事業が落ち込んだ。

 〇九年三月期の業績見通しについては「経済情勢の不透明感が増している」(上野山実うえのやま・まこと取締役)として、売上高九兆二千億円、純利益三千百億円の従来予想を当面は据え置き、今後の経営状況をみて判断する方針。

どうなる どこへ行くブラウン管 国内消滅は2010年!?

2007/11/17 FujiSankei Business i.

 ■カルテル発覚、新興国では存在感

 薄型テレビの普及で、ブラウン管テレビの居場所が急速になくなっている。2011年7月にアナログ放送が終了することもあり、多くの家電メーカーが国内販売から手を引きつつある。先週、日本や韓国などの主要メーカーが国際カクテルを結んでいる疑いが発覚。ひょんなことから価格が安いブラウン管のニーズが大きい新興国市場を新たな居場所としていることが浮き彫りになったが、国内の店頭から姿を消す日はそう遠くはなさそうだ。(末崎光喜)

 ≪相次ぐ工場閉鎖≫

 「消滅Xデーは2010年」。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、9月の出荷台数は前年同月比71・9%減の3万8000台で、月間として過去最低記録を更新した。年間ベースでは05年にブラウン管と薄型が逆転し、現状の減少ペースで進むと10年には出荷台数が完全にゼロになるとみている。

 船井電機は国内用のブラウン管テレビを生産、販売している数少ないメーカーだ。だが、2006年度に約654万台あった出荷台数は、07年度に約200万台と3分の1以下に急減する見通し。うち9割が海外向けで、国内向けはたったの1割。8月にはマレーシアの工場を閉鎖し、現在はタイの工場だけで生産している。

 船井電機の担当者は「安くて画質はいいから、完全に消えるまで時間はかかるだろう」と寂しそうに漏らす。

 ソニーは04年に国内販売を打ち切った。現在はタイ、ベトナム、マレーシア、メキシコ、ブラジルの5工場で生産し、東南アジアや中南米などの新興国市場で販売しているが、08年3月にシンガポールのブラウン管工場を閉鎖する予定だ。三菱電機はすでに国内外での販売を停止している。

 店頭でも、ブラウン管テレビはもはや風前の灯だ。家電量販店の多くは、利幅が大きい薄型テレビに売り場スペースを割き、すみに追いやられている。大手量販店では「安い方がいいというニーズのほか、DVDやビデオとの一体型ブラウン管テレビがほしいというニーズはあるが、主力はやはり薄型テレビ」と話す。

 ≪世界でも半減へ≫

 しかし、世界市場では健在だ。06年のブラウン管テレビの世界出荷台数は1億1898万台。薄型テレビの4683万台の約2・5倍に上る。

 世界最大のブラウン管テレビ市場は中国。06年は2870万台とダントツの首位だった。今後も08年の北京五輪、10年の上海万博のビッグイベントを控え、薄型を含むテレビ市場は年平均6・9%で伸びていく見込みだ。

 先週に発覚した国際カルテルは、日韓のほか、台湾、香港などのメーカーの担当者が連絡を取り合い、出荷価格を不当に取り決めていたという疑い。日本の公正取引委員会など各国の独禁当局が立ち入り調査に乗り出し、皮肉な形で存在感を示す結果となった。

 もっとも、今後は世界市場も大幅な縮小は避けられない。JEITAでは、世界の出荷台数は11年に04年の半分の6820万台に減ると予測。テレビ市場の成長が続く中国でも今後、年平均6・7%で減少するとみている。

 国際カルテルも、「市場縮小による値崩れを防ぐのが目的」とみられている。

 「ブラウン管テレビはすでに完成された技術。技術的な差別化が打ち出しにくく、価格の安さしか特徴がない」(大手家電メーカー)

 安さへのニーズが根強い新興国市場に何とか見つけた居場所も安泰とはいえないようだ。

                   ◇

 ■一足早い世代交代 レコードプレーヤー DJ、団塊世代向けで“居場所”

根強い人気があるデノン社製レコードプレーヤー

 CDの普及でブラウン管テレビよりも一足早く世代交代の波にさらされたのが、レコードプレーヤー。だが、市場でしっかり生き残っており、今でも販売しているメーカーが数社ある。

 パイオニアは2機種を取り扱っている。全盛期にはベルトドライブ方式、ダイレクトドライブ方式と5〜6種類のレコードプレーヤーを販売していた。

 「レコードに愛着を持っている人のニーズは意外に強い。今後も生き残っていくのではないか」と担当者は話す。

 DJ(ディスクジョッキー)向けのレコードプレーヤーを1970年代から販売しているのは、松下電器産業。一般向けのレコードプレーヤーの販売は2005年3月で停止したが、「DJ向けの需要は変わらない」という。

 一方、オンキヨーは1990年4月に採算が合わなくなったことからレコードプレーヤーの生産を終了した。

 ただ、かつて撤退したメーカーのなかでも、「ダイヤトーン」や「トリオ」といった懐かしのオーディオブランドが相次いで復活し、団塊世代ではオーディオブームが起こっている。オンキヨーでも「今後、復活させる可能性はある」と話しており、レコードプレーヤーの居場所は安泰のようだ。

サムスン電子 家電、日本から撤退 シェア拡大・収益見込めず

2007/11/09 FujiSankei Business i.

 韓国サムスン電子が、薄型テレビなどの家電販売について、日本市場から撤退する方針を固めたことが8日、分かった。先月末までに量販店やインターネットでの販売を停止し、日本向け仕様の製造も中止する。欧米の薄型テレビ市場では日本メーカーをしのぐ存在となっているが、日本市場ではブランド力などからシェアを拡大できず、今後も収益が見込めないと判断したとみられる。今後はシェアの高い欧米市場に経営資源を集中する。

 サムスンの日本法人「日本サムスン」は、今夏までに量販店での販売を停止していたが、残る販売ルートだったネット直販サイト「サムスンダイレクト」も10月末で閉鎖した。

 ネット販売では15〜46型の液晶テレビや携帯型音楽プレーヤー、DVDプレーヤーなどのAV(音響・映像)機器を販売していた。今後は法人向けのパソコン用モニターを除き、家電の販売は取りやめる。修理などのアフターサービスは継続する。 日本サムスンでは「今後は電子部品を中心とした事業をこれまで通り続ける」(広報担当者)としている。

 サムスン電子は1980年代に日本法人を設立し、洗濯機などの「白物家電」で日本市場に参入。2000年ごろには白物家電の販売から手を引く一方でAV機器に注力していた。

 一時は大手量販店に専用コーナーを設け、多額の広告宣伝費を投入しブランド力を高める戦略を展開したが、シェアを拡大できなかった。日本市場はソニーやシャープなど世界シェア上位メーカーがひしめき競争が激しく、収益改善は難しいと判断した。日本サムスンの約1兆円の売上高のうち家電は数%未満とみられ、同社は「(撤退による)経営への影響はほとんどない」としている。

薄型ディスプレー、日台韓三つどもえの戦い

2007.10.24 MSN産経新聞

 テレビなどに使われる薄型ディスプレー「フラット・パネル・ディスプレー(FPD)」で、日本に韓国と台湾を加えた三つどもえの戦いが熱を帯びている。国内メーカーが液晶テレビなどで一層の薄型化を進めれば、韓国サムスン電子など海外勢も追随、技術面でも存在感を示す。国内大手は一歩先をゆく独自開発に力を入れ、新たな市場を視野に入れたFPDの姿を示そうとしている。

 ■海外勢も

 横浜市で24日に始まったディスプレーの展示会「FPDインターナショナル」。昨年、海外勢が競ったテレビ画面の大型化は静まり、代わって「薄さ」を競い合う展開となった。

 韓国サムスン電子は、厚さ1センチの40型液晶パネルを展示。画素数は精細なフル規格のハイビジョン(HD)製品で、「早ければ来春にも商品を出す」(李存浩常務)。台湾の液晶最大手・友達光電(AUO)も、2センチまで薄くした40型の液晶モジュール(複合部品)を展示ブースに並べた。

 国内ではソニーが今年12月、厚さ3ミリの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビを発売する。薄型化すれば「壁掛けテレビ」などの用途がひらける。海外勢も「欧州や日本向けに、開発で薄さと大きさを同時に追求する」(AUO開発担当者)と意欲的だ。

 ■追う台湾

 アジア企業は、サムスンが有機EL開発などで技術力を示していたが、今回、台湾勢の実力も目を引いている。携帯電話用でサムスン系が0.37ミリの有機ELパネルを展示したのに対し、AUOも0.69ミリの1.9型液晶パネルを出品し、韓国勢に迫る勢いだ。

 台湾のFPD産業は、企業集積地が従来の北部、南部に加えて中部にも整備され、厚みが増している。ただ、パネルの生産面は強いが、部品となるガラス基板の材料など、部材系のメーカーが乏しく、台湾貿易センター幹部は「日本と台湾は相互補完の関係にある。日本企業に台湾への進出を促したい」と“ラブコール”を送る。

 ■次世代

 品質や技術で差別化を図ってきた国内各社のブースで目を引くのは、自動車や携帯電話を対象にした開発だ。東芝松下ディスプレーテクノロジーは、独自の製造法でこれまで困難だった丸形の液晶ディスプレーを開発し、新たな市場と見込まれる自動車のインパネ部(運転席の計器表示部)に搭載する試作品を出展した。シャープは来年度に量産に入る厚さ0.68ミリの液晶ディスプレーに加え、超小型パソコンを念頭に、太陽光など周囲の明るさに反応して画面の輝度を自動調節する試作品を公開。「次の世代」のFPD市場と映る機器への対応で、海外勢に先行する構えだ。

ブラウン管、3年後ゼロに 薄型テレビの割合99・9%

2007年02月07日 中国新聞ニュース

 電子情報技術産業協会は7日、国内でのカラーテレビの販売台数に占める薄型テレビの割合が、2010年には99・9%になるとの需要予測をまとめた。3年後には「ブラウン管テレビの需要はなくなる」とみている。

 世界全体の需要予測でも、薄型テレビの割合は06年の27・4%から11年には64・5%に上昇する見通しだ。

 薄型テレビの広がりを背景に、カラーテレビの販売台数は世界的に増加が見込まれ、世界全体で06年の約1億7070万台から11年には約2億台に拡大すると予想。このうち液晶(10インチ以上)が1億617万台と半分以上を占め、プラズマは06年の約2・3倍の2277万台になる見通し。

 国内では、11年のアナログ放送終了を前に買い替えが進み、薄型テレビは09年に1000万台を突破、11年には1139万台となる見通し。11年の内訳は、液晶が997万台、プラズマは142万台といずれも06年の約1・8倍に増えるとみている。

薄型TV、年率33%増と予測 05―10年で業界団体

2006/02/07 The Sankei Shimbun

 電子情報技術産業協会(JEITA)が7日明らかにした音声・映像(AV)機器の2005―10年の需要予測によると、液晶とプラズマを合わせた薄型テレビは、全世界で年平均33.7%増加する見通し。台数では、05年の2255万台が、10年には9638万台に拡大する。

 地域別では、中国が58.9%、米国が33.6%、西欧が28.5%、日本が17.7%の増加で、中国での急増が目立つ。

 ブラウン管テレビの需要は全世界で年平均5.6%減少する見通し。日本では29.4%の急減となるが、中南米や中東欧では堅調な需要が続くとみている。

 DVDレコーダーは全世界で年平均24.9%増加する半面、VTRは42.0%減少し、製品の交代が進むとみられる。

 また、日本では2011年のアナログ放送終了を控え、地上デジタルテレビ放送に対応した受信機器の需要が急増するとみており、年平均35.7%の増加を見込んでいる。(共同)

大手電機決算、6社が増収増益 年末商戦で薄型TVなど好調

2006/02/03 The Sankei Shimbun

 大手電機9社の2005年10―12月期連結決算が3日出そろい、日立製作所、NEC、三洋電機を除く6社が増収増益だった。トリノ五輪やサッカーのワールドカップを控え、年末商戦で薄型テレビなどデジタル家電の販売が好調だったためで、ソニーなど3社が今年3月期の通期予想を上方修正した。ただ、赤字事業の整理が遅れたNECなどは通期で減益を見込み、好業績が定着する企業は限られそうだ。

 ソニーは新商品「ブラビア」が好調で、薄型テレビの売り上げが前年同期比約3.2倍に増加。携帯ゲーム機も前年同期の10倍以上売れた。通期の純損益予想を、100億円の赤字から700億円の黒字に大幅上方修正した。

 薄型テレビ国内大手の松下電器産業とシャープも増収増益を確保。シャープの液晶テレビは前年同期比5割増の112万台が売れた。松下は石油温風機の事故に伴う宣伝自粛にもかかわらず、プラズマテレビが約2倍売れ、売上高も10―12月期で最高だった。3月期決算の営業利益見通しを、3300億円から4000億円に上方修正した。

 東芝は携帯音楽プレーヤー向けのフラッシュメモリーが伸び、発電機器をはじめ重電など赤字事業が黒字に転換。純利益は前年同期の約14倍で、3月期見通しを上方修正した。三菱電機は工場向け製造機器や電子部品など全事業で増収だった。

 富士通とNECもパソコンなどが好調で増収。だがNECは海外向け携帯電話の在庫処理費用や半導体の赤字が響き、通期で減益を見込む。日立もハードディスクドライブ、プラズマテレビ、液晶の「赤字3事業」が、予想より好調だったものの依然採算割れの状態で大幅減益だった。

 一方、経営再建中の三洋は携帯電話などが振るわず減収。株式の売却益で黒字を確保したが、通期では多額のリストラ費用を計上、2330億円の純損失を見込む。(共同)

デジタルTV、普及元年突入 価格3割下落、ハイビジョンも後押し

平成18(2006)年01月09日 The Sankei Shimbun

 【米ラスベガス=大柳聡庸】高精細な動画像を楽しめるハイビジョン対応の大型デジタルテレビが急速に普及し、アナログテレビとの世代交代が加速している。競争激化による低価格化に加え、デジタル放送地域の拡大など、ハイビジョン番組も増えつつあるためだ。八日(日本時間九日)に閉幕する世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」も一昨年、昨年に引き続きデジタルテレビ関連機器一色となったが、今年は各社とも一段と力が入っており、“デジタルテレビ元年”になることを裏付けた。

 米家電協会は、北米市場で薄型テレビを中心としたデジタルハイビジョンテレビの販売台数が今年、アナログテレビを抜くと予測。実際、松下電器産業の米国法人では、販売台数に占めるデジタルハイビジョンの割合が、一昨年末の25%から、昨年末には75%に跳ね上がった。日本でも、電子情報技術産業協会によると、地上デジタル対応テレビの割合が昨年十一月に初めて五割を超えるなど、デジタル化の波が押し寄せている。

 ここに来てデジタルテレビの普及が急速に進んだ最大の原因は低価格化だ。北米市場では昨年、「プラズマテレビで30%、液晶テレビで35%ダウン」(米家電協会のシーン・ワーゴ上席アナリスト)もの低価格化が進み、日本でも、メーカー間競争の激化で、価格は年率三割程度で下落。薄型テレビの普及の目安とされていた「一インチ=一万円」を大幅に下回り、売れ筋の32型液晶テレビでは「一インチ=六千円」程度で売られる製品も登場している。

 低価格競争に勝ち抜くためにメーカー各社は、量産によるコストダウンを狙って生産設備を増強。シャープは千五百億円を投資した亀山第二工場(三重県亀山市)を今年十月に稼働し、松下電器産業も今夏、兵庫県で世界最大のPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)の新工場建設に着工する。また、低価格化と並んで大画面化も進んでいるが、これには、「売れ筋を高価格帯に誘導し、単価下落を抑制する」(大手家電メーカー)という狙いもある。

 価格に加えて消費者の関心を高めているのが、デジタルコンテンツの充実だ。今年は冬季トリノ五輪や、ドイツのサッカーW杯などがハイビジョン映像で放映される。

 また、米国では二〇〇九年に全地上放送がアナログからデジタルに切り替わり、日本でもその二年後にアナログ放送が停止する予定で、放送番組はデジタルに向かう。

 ハイビジョン番組を録画・再生するための主役は次世代DVDだが、こちらもようやく製品化にめどがつき、今春以降の市場投入が始まる。

 こうした流れを受けて、製品見本市だったCESに今年は、ハリウッド関係者が多数参加。高精細な新作映画ソフトのPRに余念がなかった。

 流れに乗ろうとするのはIT業界も同じで、米マイクロソフトが家庭用ゲーム機「Xbox360」のハイビジョン対応を発表したほか、ヤフーはテレビでネット検索やニュース閲覧ができるサービスを、グーグルもテレビ分野への進出をそれぞれ発表するなど、デジタルテレビを軸にIT業界も動き出した。

 タイミングが良いことに、世界経済も好転している。デジタルテレビは本格普及期に入った。

安価な薄型ディスプレーを商品包装に利用(上)

2005年12月15日 Hot Wired Japan/Bruce Gain

 近い将来、地元のスーパーマーケットのシリアル売り場はラスベガスの歓楽街のような様相になるかもしれない。ドイツの電子機器メーカー、シーメンス社が紙のように薄い安価な電子ディスプレーの技術を開発中で、完成すれば牛乳パックやシリアルの箱などの使い捨て容器のラベルに使用できるというのだ。

 シーメンス社によると、商品パッケージは今から2年以内に、印刷して作った何も動きのない現在のようなものから、小さくフラットな画面に画像やテキストが点滅し、価格や特別提供の案内、興味をそそる写真を映し出すデジタルメディアに変わる可能性があるという。

 シーメンス社の技術者アクセル・ゲルト氏は、「シリアルの箱に点滅する画像を見た子どもが、単に商品を欲しがるのでなく、『これが欲しい』と口に出して言ってくれることを期待している」と話す。ゲルト氏はパッケージメーカーにこの技術の導入を勧めている。

 紙のように薄いこのディスプレーは、高分子のフォトクロミック材料[光や熱により可逆的に色が変化する素材]でできていて、低い電圧をかけると電気化学反応が起こり、デジタルテキストや画像が表示される。電圧をかけるのを止めると反応が逆になり、テキストや画像を形成していた電子インクは見えなくなる――これが点滅の仕組みだ。電源には市販の超薄型バッテリーが使用され、表示内容は細長いメモリに保存される。

 ワイアード・ニュースは先月、ドイツのニュールンベルクでシーメンス社を独占取材し、その際にディスプレーのサンプル(写真)を見せてもらった。ディスプレーそのものは電卓の表示画面に似ているが、プラスチックでコーティングされた柔軟なカードに取り付けられていた。カード上のボタンを押すと単色のテキストが点灯し、ボタンを離すとテキストは消える。

 ゲルト氏によると、2007年には解像度80dpi(1インチあたりのドット数)のカラーディスプレーが、薬瓶などさまざまな商品パッケージに使われる見込みだという。3種類以上の画像が次々と現れ、簡単なアニメーションを表示したり、複数のメッセージを順番に繰り返したりするようになる可能性もある。さらに、2008年までに解像度が倍になるかもしれないと、ゲルト氏は見通しを語る。

 ただし、シーメンス社の新技術は、曲げられる小型ビデオ画面の先駆けになることはなさそうだ。電圧をかけてから、化学反応が起きて画像が表示されるまでに時間がかかり、ミリ秒単位で画像を変化させるような使い方はできないためだ。「ビデオの表示も可能かもしれないが、この技術は今のところ、そうしたものを目指してはいない」と、ゲルト氏は語る。

 このディスプレーの基礎となる技術に精通している科学者たちの反応は、慎重ながら楽観的というものから、やや懐疑的なものまで幅がある。シーメンス社は、ディスプレーに使うエレクトロクロミック材料[電荷を加えると色が変化する素材]を大量生産した場合の安定性や性能を示していないと指摘する研究者もいる。

 オハイオ州立ボウリング・グリーン大学のダグラス・ネッカーズ教授は、「いわゆる『電子ペーパー』は以前から、世界中のさまざまな企業が注目しており、エレクトロクロミック材料でできた薄型ディスプレーの色再現性と製造性によっては、非常に多くの用途が考えられる」と話す。ネッカーズ教授は同大学の光化学センターの所長を務めている。「シーメンス社の新製品の価値が証明されるのは、安定した生産が可能になってからだ」

 メリーランド州アデルフィにある米陸軍研究所で有機材料を研究するジャンミン・シ氏によると、エレクトロクロミック材料をデジタル表示に応用する研究は30年以上前から行なわれているが、画像の応答時間が長いこととデバイスの不安定さが製品化への障害になっているという。有機材料の中でも光電子デバイスへの応用を専門としているシ氏は、「概要書を見たかぎりでは、シーメンス社はこうした問題をいくらか解決しているようだ」と述べた。

 しかし、かなり悲観的な意見の科学者もいる。シリコンバレーの新興企業でディスプレーと半導体の材料を扱っている米トリリオン・サイエンス社のR・C・リアン最高経営責任者(CEO)は、シーメンス社の技術は「誇張されたもの」で、実際には画像の表示が遅く、視野角も狭い可能性が高いと述べている。「色素の安定性の関係で、屋外での使用に支障をきたす可能性もある」

 それでも商業利用に関しては、シーメンス社のディスプレーは基板のコストが非常に安いため、かなり有利だと言える。シーメンス社によると、米イーストマン・コダック社が開発した紙のように薄い約2.5センチ×5センチの電子ディスプレーは、1個あたりの製造コストが40ドルを超えているが、シーメンス社のディスプレーは1個あたり30セントしかかからないという。[日本語版:米井香織/高森郁哉]

安価な薄型ディスプレーを商品包装に利用(下)

2005年12月20日 Hot Wired Japan/Bruce Gain

 シーメンス社によると、同社のディスプレーの基板は印刷所と同等の清浄度で生産できるため、競合品の素材と異なりクリーンルーム環境は必要ないという。

 しかし、シーメンス社が基板を大量生産できるようになったとしても、パッケージメーカーにアイディアを売り込む必要がある。これまでのところ、同社は契約にはこぎ着けていないと話しており、狙いをつけている企業の具体名も明かしていない。

 ニューヨークにあるマーケティング企業、米グレイ・インタラクティブ社の業務責任者ノーム・ルフリア氏によると、デジタルデータを表示するパッケージを作るよう説得することには、デジタル時計が初めて開発されたとき、時計メーカーに話を持ちかけた研究者たちと同様の苦労がついてまわるという。彼らは、デジタル時計を製造して売りたくなるはずだと考える理由や、どのような情報が時計に表示されるのかを説明しなければならなかった。

 米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)社の新製品のコンサルティングを担当しているルフリア氏は、「商品への応用はまだこれからだ。これは創造に関わるプロセスで、その点では技術の問題ではないと思う」と話す。

 ルフリア氏は、シーメンス社の新しいディスプレー技術が、高度な機能を備えた商品を作りたがっているパッケージメーカーや小売業者の要求を満たす可能性があるとしながらも、このディスプレーがいったん採用されると、もっと違った形で使われるようになるかもしれないと述べている。

 ルフリア氏はシーメンス社の技術を『RFID』(Radio Frequency IDentification:無線通信による識別技術)タグになぞらえる。RFIDタグはもともと在庫管理のために開発されたものだが、購入後の商品がどのように使われているかを追跡する手段として注目を集めている――ただ、こうした使い方には、倫理やプライバシーに関わる問題(日本語版記事)が残っている。

 「人々はRFIDタグの用途をあれこれ考えはじめ、在庫管理とはまったく異なる用途を見出した」と、ルフリア氏は話す。「(シーメンス社の技術でも)同じことが起きると思う」

 シーメンス社は今のところ、商品への興味を引くための新たな方法を小売業者に提案しようと考えている。商品ラベルが点滅すれば、スーパーマーケットの通路をぶらついている買い物客を引き寄せられるはずだ。シーメンス社のゲルト氏は、「いまスーパーに入ると、シリアルの箱が15種類も並んでいたりするが、1つ1つに注目することはほとんどない」と話す。「しかし、(将来は)そのうちのいくつかが点滅して、目にとまるようになるだろう」

 「この技術をどう利用すれば、購入時や商品を持ち帰ったときに消費者を引きつけられるかを理解することが重要だ」と、ルフリア氏は指摘する。

 いっぽう、こうした技術を歓迎しない人もいる。『アドバスターズ・メディア財団』と『無買デー』を作ったカル・ラスン氏(日本語版記事)は、生活のあらゆる場面に広告がどんどん浸透しているため、注目を集めるための新技術など最も必要ないものだと主張する。

 「たしかに、企業広告には最適だと思うし、広告代理店にとっても素晴らしい技術だと思う。PRやマーケティングにも有効だろう。しかし、一般市民にとっては精神衛生上、あまりよいものではないと思う」とラスン氏は話す。「われわれは今や、自分たち自身の文化に対する支配権を失った時代に暮らしている。現代の文化は、マーケティング会社や広告代理店から一方的にあてがわれている――飛躍的進歩が起きているのは、すべてそういう場所でのことだ」

 実のところラスン氏は、電子広告が手もつけられないほど氾濫している大きな流れがあって、シーメンス社のディスプレーはその一端だと見ている。

 「まだ見てもいない技術に冷や水を浴びせたくはないが、なぜわれわれは正気を失いそうになっているのか、気分障害に陥ってしまうのか、なぜ多くの子どもが『ゾロフト』や『リタリン』のような向精神薬に手を出すのかといった、もっと大きな問題に目を向けたいと思う。もっと広い視野を持ち、精神面の環境の汚染に取り組むべきだ。そして、シーメンス社が非常に強力なビジュアル機器をその環境に投げ込むことが何を意味するか、よく考えるべきだろう」と、ラスン氏は語った。[日本語版:米井香織/高森郁哉]

紙のようなディスプレイ、英 Plastic Logic が開発

2005年12月07日 japan.internet.com

 プラスチックエレクトロニクスの英国 Plastic Logic は2005年12月6日、世界最大の折り曲げられる有機マトリックスディスプレイを開発した、と発表した。

 ディスプレイは、折り曲げられる高解像度の、アクティブマトリックスバックプレーンからなり、これが米国 E Ink の電子ペーパーフロントプレーンを駆動する。

 このディスプレイは、高松で開催される「第12回国際ディスプレイワークショップ」で展示される。

 ディスプレイはインチあたりの解像度が100の10インチ SVGA(600×800)で、グレースケールは4段階。厚さは、 E Ink の「Imaging Film」でラミネートした場合、0.4mm 以下。バックプレーン物質はデュポン帝人フィルムが供給する低温 PET で、ガラスや鉄箔より曲げやすく取り扱いやすい。

 E Ink の Imaging Film は、印刷された紙のインクのように見える電気泳動ディスプレイ物質で、紙のような電子ディスプレイで使用するように設計されており、折り曲げたり、巻いたりできる。フィルムはイメージが更新されている間のみバッテリを消費する。

 ディスプレイは、 Plastic Logic の350×350プロトタイプラインで製作された。同社は製造メーカーと共同で、商用向け大量生産プロセスに入る予定。

 Plastic Logic 社は10月には、将来のモバイル機器アプリケーションに向け、 NTT ドコモとの共同開発を発表している。

カラーの電子ペーパー 凸版印刷が米社と開発

2005/10/21 FujiSankei Business i.

 凸版印刷は、米イー・インク(マサチューセッツ州)と共同で、カラーの電子ペーパーを開発した。

 電子ペーパーは、インクが封入されたマイクロカプセルによって文字や画像を描き出す仕組み。従来のものは白黒だったが、凸版印刷が開発した専用のカラーフィルターに赤・緑・青・白の画素を配置し、イー・インクの反射率が高められたインクを組み合わせることで、十二ビットのカラー表示を可能にした。

 試作品の表示領域は六インチで文庫本の印刷された部分に相当する大きさとなっている。

 電子ペーパーは消費電力がバックライト付きの液晶に比べて百分の一と少ないため、携帯情報機器や屋外で使う表示装置での利用が期待されている。イー・インクでは二〇〇七年初めまでに、量産化することを目標にしているという。

E InkとLG.Philips、10.1インチの電子ペーパーの開発に成功

2005/10/20 CNET Japan(CNET News.com)/Michael Kanellos

 新興企業のE InkとLG.Philips LCDは共同で、電子ペーパー用としてはこれまでで最大となる10.1インチのディスプレイを開発した。両社によると、これは電子書籍/雑誌の実現に向けた最新の一歩だという。

 このプロトタイプは画面の厚さが300ミクロン未満で、工作用紙と同じくらい薄くて柔軟性がある。両社によると、この画面上では文字や画像が普通の紙にインクで書いたのと同じように表示されるという。またこの画面は丸めることも可能だ。

 E Inkが開発したこの画面は、黒と白のピグメントからなるマイクロカプセルを利用している。それぞれプラスとマイナスの磁気を帯びたこれらのピグメントは、透明な液体中に浮かんでおり、通電状態の変化に合わせて浮かび上がったり沈んだりする。そして、スチール箔と透明なプラスチック片の間に挟まれた数千個のマイクロカプセルが点となり、黒または白のページをつくり出す。液晶画面とは異なり、この画面はバックライトを必要としない。

 この薄型ディスプレイは、ガラスのように割れることもないと両社は付け加えた。ソニーはすでに、E Inkの技術をベースにした画面を同社の電子書籍専用端末「Librie」に採用している。なお、E InkにはIntelとPhilipsも投資している(LG.Philipsは韓国LG Electronicsと蘭Philipsによるジョイントベンチャー)

 このプロトタイプは解像度が600×800ピクセルで、コントラスト比は10:1となっている。このプロトタイプを試験生産したLG.Philipsは、世界最大のLCDメーカーの1つだ。

 なお、このディスプレイは今年日本で開催予定のFPD Internationalトレードショーで公開される。

英国 Plastic Logic、ドコモと次世代携帯で共同開発

2005年10月18日 japan.internet.com

 プラスチックエレクトロニクスの英国 Plastic Logic 社は2005年10月17日、将来のモバイル機器アプリケーションに向けた、フレキシブルアクティブマトリックスディスプレイに関し、 NTT ドコモとの共同開発に合意した、と発表した。

 同社バイスプレジデントである Simon Jones 氏は、以下のようにコメントしている。

 「ドコモ社と、フレキシブルディスプレイを使った次世代ユーザーインターフェイスコンセプトの開発で協業できて、大変うれしい。この協業は、わが社が研究開発から顧客向け製品への転換を図る画期的な出来事でもある」

 Plastic Logic 社は、製造エレクトロニクス用の新しい技術である、プラスティックエレクトロニクスの開発会社。同社の手法は、低温プレスにより、フレキシブルプラスティック物質上に低コスト、高解像トランジスタアレイを製造する際の重要な課題を解決するもの。

世界初「電源オフでも表示を保つ」カラー電子ペーパー--富士通など3社が開発

2005/07/13 CINET Japan/ニューズフロント

 富士通と富士通研究所、富士通フロンテックの3社は7月13日、電源を切っても画像やテキストの表示を維持できるフィルム基板カラー電子ペーパーを、世界で初めて発表した。今後、3社はこの電子ペーパーの利用に関するテストマーケティングや実証実験を行い、2006年度の商品展開を目指す。

 電源を切っても表示を保つメモリ性を備えているので、表示を維持するだけなら電力が必要ない。表示書き換え時の消費電力は「従来の技術に比べ、数百分の1から数万分の1以下」(3社)と低く、非接触ICカードに使われる程度の電波エネルギーで無線による表示の書き換えができる。

 赤、緑、青の表示パネル3枚を積層し、カラーフィルターや偏光板は使わない。そのため、従来の反射型液晶ディスプレイ(LCD)よりも明るいカラー表示が行える。表示を維持するために書き換えを行わないため、ちらつきが生じない。また、曲げたり指で押しても表示には影響しない。

 3社は、7月14日から15日に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催する富士通フォーラム2005において、同電子ペーパーを紹介する。

凸版と NEC 建設、電子ペーパーを使った広告看板を飯田橋駅に

2004年11月19日 japan.internet.com

 凸版印刷株式会社と日本電気システム建設株式会社(NEC システム建設)は2004年11月19日、 E Ink 電子ペーパーを使用した広告看板を共同で開発、完成した第1号機を JR 飯田橋駅構内東口改札口に設置した。

 凸版印刷の企業広告媒体として使用される。

 これは、電子ペーパーを使った前面板と、画素電極を設けたプリント配線板を使った背面板を組み合わせて、縦68mm×横260mmの電子表示タイルを製造、この電子表示タイルを22枚並べて構成した大型ディスプレイ。

 内蔵コンピュータで制御され、広告情報を日時や時間帯に応じて切り替えることができる。またリモート PC と PHS による無線通信で変更できる。

 電子表示タイルと表示内容を制御するコントローラを組み込んだディスプレイモジュールを凸版印刷が製造し、表示情報を操作するアプリケーションと通信ネットワーク環境の開発/製造、広告看板の筐体設計/製作を NEC システム建設が担当している。

描ける「触覚ディスプレー」開発 画面なぞるとピンで表示

2004/06/17 The Sankei Shimbun
 砂に絵を描くように画面を指でなぞると、ピンが浮き上がって線や図を表示する「触覚ディスプレー」を開発したと、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が17日、発表した。

 多数並んだピンの凹凸を触って情報を読み取る、視覚障害者用の触覚ディスプレーは従来もあった。今回は、読み取りだけでなく、自分が描いた線を確かめながら入力もできるようになった。

 同研究所の篠原正美主任研究員は「視覚障害者は、図などは触って確認しながらでないと描けない。有効なコミュニケーションの道具になる」と話している。

 画面は縦7・5センチ、横11・5センチ。1536本のピンが、点字と同じ2・4ミリ間隔で並んでいる。押した強さをセンサーで感知、やや強く押すとピンが0・7ミリ浮き上がり、軽く触って表示を読み取る場合は動かないようにした。図を消したり動かしたりする機能も付けられる。

 同研究所と電気通信大、視覚障害者向けの機器製造会社ケージーエス(埼玉県小川町)が開発。2年程度で装置に強度を持たせるなどし、その後製品化を図る。

ソニー、E INK 方式電子ペーパー採用の読書端末を発売

2004年03月25日 japan.internet.com

 ソニーマーケティング株式会社は2004年3月24日、紙の本のようにきれいな文字表示を実現する読書専用端末「LIBRIe(リブリエ) EBR-1000EP」を4月24日より発売する。

 LIBRIe は、付属のソフトウェアを用いてPCにダウンロードした書籍データを、本体内蔵のメモリーやメモリースティックに記録し、外出先などで読書することができる。

 本体内蔵のメモリーは約10MB で、約20冊分(1冊あたり250ページの場合)の書籍が記録できる。厚さ約13mm・質量約190g の薄型軽量を実現した。

 表示部は、6インチの SVGA E INK 方式電子ペーパーで、文字表示は最大200%まで5段階で拡大できる。E INK 方式電子ペーパーは、マイクロカプセル型電気泳動方式電子ペーパーのこと。米 E INK 社によって開発された。

 またテキストだけではなく、音声再生にも対応するほか、辞書機能やしおり機能なども装備している。

 市場推定価格は4万円前後。

 また同社は、自社で開発した電子出版規格 BBeB 規格をオープンな電子書籍規格として広めるため、2004年4月より本格的にライセンス活動を開始する。

薄く丸められるディスプレイ、いよいよ製品化へ

2004/01/27 MYCON PC WEB

 オランダのRoyal Philips Electronicsは、同社が立ち上げたベンチャー企業Polymer Visionによって、柔軟に折り曲げて丸められる極薄ディスプレイの製造販売を開始する体制が整ったことを発表した。

 同社はこれまで、Philips Research研究所を中心として、紙のように薄く見やすいディスプレイの開発を長年にわたり進めてきた。米E Inkとの技術提携を通し、電子インクを採用したディスプレイの完成度を高めてきており、今回の製品化につながっている。

 すでにPolymer Visionは、アクティブマトリクス方式で有機素材を用いた5インチ極薄ディスプレイの製造に成功。電子回路などを備えた厚さ25ミクロンの背面板と、E Inkの電子インクで構成される厚さ200ミクロンの前面板が組み合わさった製品になっており、まるで紙を3枚ほど重ねたような極薄性が実現されている。QVGA(320×240ピクセル)表示が可能で、解像度は85dpi、最大湾曲半径は2cmとなる。

 電子インクの表示にはフロントライトやバックライトを使用しないため、消費電力が非常に低いという優れた特性がある。また、まるで真っ白の紙にインクで情報が印刷されたような画面なので、LCDディスプレイよりも見やすく、可視角度はほぼ180度となる。将来的には、さらに技術精度を高めて性能の向上が期待されており、白黒の静止画像だけでなく、カラーの動画も表示可能になるという。

 現時点では、年間5,000台の製品をサンプル出荷するにとどまるものの、市場の需要が高まれば、2005年には年間数百万台ペースで製造できる体制が整えられる。柔軟な極薄ディスプレイにより、ノートPCやPDAなどの設計デザインが大きく変わるほか、服の布地などにも取り入れられて、全く新しいコンセプトの製品が誕生する可能性があるとして、同社は今後の展開への期待を表明している。

「Nature」最新号、ビデオ映像も表示できる新技術採用の電子ペーパーを紹介

2003/09/25 MYCON PC WEB

 オランダのRoyal Philips Electronicsは、「Electrowetting」と呼ばれる技術を採用し、ビデオ映像も表示できる電子ペーパーの研究開発を進めている。科学雑誌「Nature」9月25日号に「Video-speed electronic paper based on electrowetting」として紹介された。

 まるで紙のようなディスプレイを実現する電子ペーパーは、従来の構造として、正極に帯電した白い粒子と負極に帯電した黒い粒子を、オイルが封入されたマイクロカプセル内に配置し、電極に電圧をかけることで白黒の粒子を移動させ、画像を形成して表示する技術が採用されてきた。

 可視角度がほぼ180度と広くて見やすく、フロントライトやバックライトを使わないため、消費電力が非常に低いという優れた特性を備えている。また、形状の自由度が高いことから、軽量・薄型のディスプレイ開発にも期待がかけられている。とはいえ、オイルの中を白と黒の粒子が移動して表示画像を形成するため、応答速度が遅く、微妙な階調表現やカラー表示には向かず、主に文字情報に特化した製品と位置付けられてきた。

 しかしながら、Royal Philips Electronicsの研究機関「Philips Research」のRobert A. Hayes博士およびB. Johan Feenstra博士により新開発された電子ペーパーは、Electrowettingという原理を応用した技術を採用。シアン/マゼンタ/イエローのカラーオイルを水の中に封入し、疎水絶縁加工された背面電極より電圧をかけると、水の動きによってカラーオイルが移動し、カラー画像を形成表示する仕組みになっている。

 従来製品と比較して、画像形成に必要な速度が大きく向上するため、フルカラーのビデオ映像を表示することが可能になったという。しかも、フロント/バックライト不要のため消費電力が低く、反射式のLCDディスプレイに比べて4倍の明るさで見やすいといった、電子ペーパーならではの特性は失われていない。

 同研究に10年以上も携わってきたというHayes博士は、Electrowetting採用の電子ペーパーについて「まだ開発は非常に初期の段階にあるとしか言えないものの、デモンストレーション表示では、かなりポジティブな反応が目立って見受けられた」と語った。今後は早期の実用化を目指し、さらなる研究が続けられることになる。

厚さわずか0.3mm! - 米E Inkが極薄電子ペーパーをデモ

2002/06/06 MYCON PC WEB

 紙のように薄いディスプレイである「電子ペーパー」を開発する米E Inkは、5月19日〜24日に開催された「Society for Information Display Symposium」において、厚さわずか0.3mmという電子ペーパー・ディスプレイのデモを行った、と発表した。

 デモンストレーションが行われたのは2種類の試作品で、1つ目は1.6インチ、解像度は100×80のもので、カードサイズの情報端末や携帯電話用。2つ目は3.0インチ、解像度は240×160のもので、こちらはPDAやハンドヘルド端末などをターゲットにしている。どちらも厚さは0.3mmで、同社によれば、アクティブマトリクス型のディスプレイでは世界最薄、としている。

 同社の電子ペーパーは、薄い金属膜のトランジスタ層と、電子インクが塗布されたプラスティックシートで構成されているのが特徴。

 これらの電子ペーパーによって、高い携帯性を持った情報端末はもちろん、曲面状のディスプレイなど、新しいデザインの製品なども可能になってくるのではないかということだ。同社は将来的にこの技術をディスプレイ製造メーカーにライセンス供与する方向性であるとしており、実際の製品の登場時期に関しては、2004〜5年くらいになる見込み、ということだ。

「紙」のようなディスプレイが実現、凸版が電子ペーパー商用化へ本腰

2002/02/04 MYCON PC WEB

 凸版印刷は、「紙」媒体と電子ディスプレイを融合させた「電子ペーパー」の本格商用化に向け、量産と販売の体制整備に着手、2003年春には部材の出荷を開始、同年半ば頃に電子ペーパーディスプレイを搭載した携帯情報端末が登場する見通しだ。この事業については、技術面で米イー・インクの協力を得ており、昨年結んだ提携関係をさらに強化する。

 電子ペーパーは、紙のように薄い材質上に電子的なディスプレイを埋め込んだもので、構造は基本的に、前面板と背面板からなる。厚さは両者併せても、1mmに満たない。前面板は、電子ペーパーの、実際に目に触れる側を担う構成部材で、プラスチックフィルムの表面にマイクロカプセル化した電子インクを塗っている。背面板は、電子回路を受け持つ層で、ガラスやフィルムを器材としている。

 電子ペーパーの表示形式は、米イー・インクの「マイクロカプセル型電気泳動方式」と呼ばれる技術を応用した、次のようなものだ。マイクロカプセル内に、「白い」酸化チタンと「黒い」炭素の粒子を封入、これに電圧をかけると、正極、負極の差により、「白い」粒子と「黒い」粒子が上下移動し、これを上からみると、「白」と「黒」による画像が形成されている--といった仕組みになる。当初は白黒から製品化していくが、カラーフィルターを利用したカラー化も実現可能で、2004年にはカラー版が投入される。

 米イー・インクによれば「電子ペーパーは、視野角180度で明るく読みやすい。また、消費電力が非常に低くてすみ、液晶の1/100程度だ。さらに、形状の自由度が高く、軽量・薄型のディスプレイを実現できる。この技術を使えば、「布」上にディスプレイをつくることも可能だ」(同社 ジム・イウリアーノCEO兼社長)という。

 商用化の日程は、以下のようになる。まず、同社が今年第1四半期、店頭広告用電子ペーパー「Ink-in-Motion」を発売、来年半ばには凸版印刷から白黒の電子ペーパーがコンピュータディスプレイ用に出荷され、これを搭載した携帯情報機器がメーカー各社で製造される。その後、2004年にはカラー化され、2005年には折り曲げられるディスプレイなどが実現する見込みだ。

 凸版印刷では、「初年度から、およそ3-5年にわたり、数10億円ほどの設備投資」(同社・河合英明取締役)を実行、「前面板」を量産できる生産ラインを構築、2005年までには、8インチ換算で月産150万枚の生産能力を確立することを目指し、日本企業、日系企業向けに前面板を販売していく方針だ。

 この技術が実用化されることにより、新たに生み出される製品、サービスは相当多様な範囲にわたることが見込まれる。現時点では、電子ブックリーダー、電子ペーパー出版、携帯電話用の外付けの、広い画面をもった専用ディスプレイ、ICカードの表面に搭載するディスプレイなどが考案されているが、将来的には、1枚の「紙」にコンピュータが埋め込まれ、無線通信でデータを受信できるような機器さえ構想されている。

 たとえば、新聞に応用すれば、このペーパーを家庭内の机上に置いておくと、朝には朝刊の紙面が表示され、夕刻には自動的に夕刊の表示に更新される。あるいは、1枚のペーパー上で複数の新聞を読める--といったことも夢ではなくなる。電子ペーパーは、社会のあらゆる局面にコンピュータが溶け込むようになっていく「ユビキタスコンピューティング」時代の旗手として大きく期待される。

折り曲げられて紙同然の薄型ディスプレイが実現できるIBMの基礎技術

2001/08/03 MYCON PC WEB

 米IBMは、薄型ディスプレイを実現するために有用な基礎技術「ペンタセン分子薄膜」を製造することに成功したと発表した。

 この薄膜は、プラスチックをはじめとした各種素材に印刷したり、塗布することが可能で、ディスプレイ装置の裏側にある通電回路のかわりとして使用することができる。各種素材に印刷し、さらに表示装置をその上に重ねることで、超薄型ディスプレイの実現が可能になる。各種電子デバイスに使用するのに十分な性能を持つ超薄型の回路が生成できるため、紙状ディスプレイや各種処理が可能なスマートカード、IDタグなどといった、薄さが必要な電子回路に有用な素材だと言われている。

 同分子を用いて有機半導体を製造する際のポイントは、使用するペンタセン分子の結晶粒を大きく、揃ったものにするということ。多結晶の半導体を生成すると、結晶粒子の間で電気抵抗が発生し、電流の低下が起こってしまうからだ。これは、半導体の反応速度の低下や、回路の稼働に必要となる電圧の増加といった現象を引き起こし、回路全体の性能低下を招いてしまう。よって、ペンタセン分子結晶を用いて半導体回路を作る場合に、性能を高い水準で安定させるには、大きく揃った結晶粒を生成する必要がある。

 従来の結晶製造法では、結晶粒は小さく不揃いになることが多く、コスト的にも、性能的にも研究レベルをこえる事は難しかった。

 同社が用いたペンタセン分子結晶の生成法は、結晶を薄膜として生成する手法を用いている。シリコン基板の上にシクロヘキサノンと呼ばれる分子の単一層を塗布、結晶粒の生成核となりやすい不純物を覆い隠した滑らかな表面を生成し、この面の上でペンタセン分子のフィルムを成長させる。こうすると、従来までの手法より20〜100倍ほど大きく、サイズの揃った結晶粒を生成することができる。この手法で製造された結晶を用いた電子回路は、やはり性能が高く、従来までの超薄型表示装置で用いられていた回路に比べて、反応速度、必要電圧ともに優れているという。

 できあがった超薄型の回路を、米EinkやGyricon、キヤノン、富士写真フイルムが開発を進めている超薄型の表示装置と組み合わせると、紙同然の表示装置を生成することが可能になるという。実際、紙に回路を蒸着させることは可能なので、たとえば新聞の全ページを一枚の紙の上に次々と表示させたり、紙の手触り感にこだわりたい人向けに、冊子状の画像表示装置を作ることも可能になる。

 また、技術的には、次世代ディスプレイの最有力候補の1つと考えられている有機ELなどと組み合わせることもできる。双方が、安価に市場へと出回るくらいにこなれた技術になれば、PCのディスプレイや壁掛けテレビといったプロダクトが一気に薄くなることも考えられる。「新聞のように何重にも折り畳みながら使用するのは無理だろう」(日本IBM)というものの、軽く折り畳んで運んだりといったことも全く問題ないようだ。リリースでは、くるくる丸めてポケットに入れられるPDAや携帯電話端末に接続できるスクリーンを製造するなどの使い方が提示されている。

 現在は、まだまだ基礎研究の段階であり、即座に上記のような製品が出回るというわけではない。製品化に向けた次のステップとして、今回の技術で生成された結晶を用い、安定的な高性能デバイスをいかに製造するかという所に、今後の研究の焦点は置かれていくことになる。

E InkとPhilipsが提携、消費電力が1,000分の1のディスプレイ登場か

2001/03/01 MYCON PC WEB

 電子ペーパーを開発するE InkとPhilipsは、電子ペーパーを用いた小型デバイス向けディスプレイ開発のために提携したと発表した。この提携では、PhilipsがE Inkに出資し、PhilipsはPDAや電子ブックなどの小型デバイスにE Inkの技術を利用する権利を得る。

 E Inkが開発している電子ペーパーは、電気信号に反応する特殊な塗料を用いる。この塗料をプラスチック・シートに塗ると、薄くて柔軟な電子ペーパーとなる。見た目は厚めの紙のようだが、表面の塗料には微小なマイクロカプセルが含まれており、それが荷電に反応して色を変え、文字やイメージが浮かび上がってくる。現時点では、テストを兼ねて小売店のポスターや屋外広告などに利用されている。

 この電子ペーパーをディスプレイに応用した場合、省電力と見やすさというメリットがある。E Inkによると、反射式のLCDディスプレイに比べて3〜6倍の明るさになるそうだ。背景が真っ白なので、新聞よりもコントラストがはっきりとして読みやすい。テキストの見た目もスムース。インクが印刷されているような画面なので、どのような角度からでもはっきりと読み取れる。また、電源を切っても最後に映されたイメージが残るという特長がある。省電力性は、バックライトが必要ないので飛躍的に向上する。ノートPCに採用された場合、現在の標準的なノートPCのディスプレイと比べて1,000分の1以下になるそうだ。そのため使用時間が長く、バッテリーを小さくしたポータブルなデザインが可能になる。また、電子ペーパーとして開発されている技術だけに、ディスプレイとしても薄いという特長があり、LCDディスプレイと比べて30%薄くて軽くなるそうだ。

 このように魅力的な技術だが、製品化を前提とした提携は今回が初めてで、実際にこれだけの利点がすべて実現されるとは限らない。耐久性などの不安点もある。

 両社は今年6月までにプロトタイプを開発する予定だが、製品化にはまだ2〜3年は必要であると見ている。(Yoichi Yamashita)

E Ink と Lucent、Eインク共同開発プロジェクトの試作品を発表

2000年11月21日japan.internet.com/Gavin McCormick

 マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とする E Ink Corp. と Lucent Technologies (NYSE:LU) は、薄いプラスチックシート上の消去可能な Eインクの試作品を発表した。これは1年前からの両社の共同開発プロジェクトによるものだ。

 E Ink と Lucent の両社は、この製品が標準になり得ると語る。すなわち、アップデート可能な看板から消去可能な携帯ブックまで、Eインクがあらゆるものの標準となりうるというのだ。

 また両社は、このEインク技術を取り入れた製品が5年以内にリリースされると語った。E Ink の最高経営責任者である Jim Iuliano 氏は、早ければ 2003年にも製品は開発される、と今年6月に話していたが、今回の発表は前回よりも控えめな予測となった。

 今回公開された試作品は、Lucent の『Eペーパー』を発展させたものだ。数百ピクセルから成る25平方インチの表示領域を持つ。『Eペーパー』は、シリコンチップ上の半導体に似たトランジスタだ。しかし、柔軟性があり軽い。高解像度のゴム印を使用した低コストの印刷方法により、薄いプラスチックシートに印刷することができる。

 Lucent は E Ink に投資し、その株式を所有しているが、株式の額は公開されていない。E Ink は、Hearst、 Havas、Central Newspapers、McClatchy といった出版社や、Motorola、Interpublic Group、その他のベンチャーファンドから、5300万ドルの出資を受けている。

Arizona Republic が、E Ink の Eインク技術を採用

2000年08月31日 japan.internet.com/Gavin McCormick

 地方紙の Arizona Republic は E Ink の開発した Eインク技術を採用した。来るべきダウンロードニュース時代のさきがけとして、最新のニュースをフェニックス地域にある50 カ所の電子看板に送るために利用する。

 E Ink は、MIT Media Lab から創業した株式非公開企業で、いろんなものの表面に印刷、消去、更新できる Eインクを開発している。プラスチックコートされた紙上の Eインクは、まだ完成していないが、すでにその技術は利用されている。小売店で見られる大きな、表示内容が更新できる広告看板だ。

 今日の発表は、Eインクと E Ink をさらに前進させるものだ。Arizona Republic は、同紙のウェブサイトと同様に、新着ニュースと、翌日の掲載記事の予告のために、E Ink が Immedia と呼ぶ、大きな広告看板を導入する。

 3カ月の試用期間の間、フェニックス地域の50カ所にネットワーク化され、センターからメッセージを受けて即座に更新できる電子看板を設置する。スーパーマーケットチェーンの Safeway Inc は、チェーン店のうち10店鋪で、このディスプレイを呼び物にする。

 Arizona Republic の看板は、幅1メートル、高さ40センチ程度の大きさ。電源は標準の電気コンセントで電力消費も少ない。青地に白の Eインクで2行分の表示をする。メッセージ更新は、インターネットページングネットワークを使って行われる。

 E Ink は、これまでに、J.C. Penney や Eckerd のような、ドラッグストアのチェーンと契約。読みやすい青地に白の表示ができ、社内無線ネットワーク上のハンドヘルドコントローラや、インターネットを使って更新できるディスプレイを提供している。

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