TOPIC No.3-6 ホルマリン/ シックハウス症候群/化学物質過敏症

01. 化学物質過敏症 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. 化学物質過敏症について by化学物質過敏症支援センター
03. 化学物質過敏症情報
04. エコロジー【化学物質過敏症】
05. シックハウス症候群 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
06. <健康と住まいの情報 > シックハウス症候群 大阪府
06. 家を建てる予定 シックハウスどう対策?(2007年08月26日) 読売新聞
07. シックハウス症候群 (2005年08月09日) 読売新聞
08. シックカー症候群についての「知識」と「防ぎ方」


化学物質過敏症を病名登録 健康保険適用されやすく

2009年06月15日 中国新聞ニュ−ス

 厚生労働省は15日までに、医療機関が診療報酬を請求する際の病名として、化学物質過敏症を10月1日付で登録することを決めた。治療に健康保険が適用されやすくなり、患者にとっては朗報となる。

 化学物質過敏症は、塗料や殺虫剤などに含まれる微量の化学物質が原因で頭痛や吐き気などが起きる症状。シックハウス症候群もその一種とされる。

 診療報酬明細書(レセプト)に記載できる病名は厚労省が定めるリストで決められているが、これまで化学物質過敏症は登録されていなかった。医療機関が「その他の病気」としてレセプトに記載することはできたが、リストに未登録だと、保険が適用されず治療費が全額自己負担になることが多かったという。

 登録を要望していた特定非営利活動法人(NPO法人)「化学物質過敏症支援センター」の広田(ひろた)しのぶ事務局長は「これまでは自律神経失調症など別の病名を書かれることが多く、病名として認められたのは前進だ」と話している。

化学物質過敏症:10月から病名登録、70万人救済に道

2009年06月12日 毎日新聞

 電子カルテシステムや電子化診療報酬請求書(レセプト)で使われる病名リストに、「化学物質過敏症(CS)」が新たに登録されることが11日分かった。10月1日付で厚生労働省と経済産業省の外郭団体・財団法人医療情報システム開発センター(東京都文京区)が改訂を予定している。国が公式にCSの存在を認めるのは初めて。健康保険で扱われる病名はこのリストに連動しており、改訂されれば、自己負担が原則だったCS治療に健保が適用されるため、推定約70万人とされる患者救済の大きな一歩となる。【宍戸護、田村佳子、河内敏康】

 厚労省にCSを公認するよう求めてきた患者団体・シックハウス連絡会(東京都)によると、同省から今年5月、センターへ病名の登録を要望するように勧められた。6月1日にセンターから「CSを10月1日に採択予定になった」と連絡があったという。

 CSの一種の「シックハウス症候群」は既に健保の適用が認められている。しかし、シックハウス症候群がホルムアルデヒドやトルエンなど室内の空気汚染で発症するのに対し、CSは農薬散布やたばこの煙などが原因で室内外を問わない。このため、厚労省は「医学的に統一した見解が確立されていない」として健保の適用を原則認めなかった。

 病名リストの改訂は年4回あり、日本医学会が監修する。リストに未記載だと事実上健保扱いにならず、医師はCSに起因する「うつ病」など別の病名で診療報酬を請求し、患者は1回約2万円の治療費を負担してきた。

 同省医療課は「病名がリストになければ、レセプトに記載してはいけないとはなっていない。ただリストに載っている病名を使うほうが保険請求しやすい」という。化学物質過敏症支援センター(横浜市)の広田しのぶ事務局長は「公認は患者の精神的な支えにもなる」と話した。

 ◇化学物質過敏症

 極微量の化学物質によって頭痛や倦怠(けんたい)感など多様な症状が表れる。体内に蓄積された有機溶剤や農薬、消毒薬などが一定量を超えると発症するといわれる。一度発症すると、多種類の微量な化学物質に反応し、重症者はほとんど外出できず日常生活が困難になる。国立公衆衛生院(現・国立保健医療科学院)の00年の調査によると、シックハウスの重症例を含む化学物質過敏症の成人患者は全国で計70万人とされる。

化学物質過敏症:北里大名誉教授が都内に専門外来

2009年06月09日 毎日新聞

検査器具を試用する宮田幹夫・北里大名誉教授=東京都杉並区荻窪で、武市公孝撮影

 シックハウス症候群や化学物質過敏症治療の先駆けとして知られる北里研究所病院(東京都港区)の医師、宮田幹夫さん(73)=北里大名誉教授=が17日、東京・荻窪で専門外来「そよ風クリニック」を開業する。化学物質過敏症の成人患者は推計約70万人。しかし、専門外来がある国内9病院のうち、都内2病院は今年になって休診・縮小しており、宮田さんは「病院数が減っても患者は減っていない。体力の限り続ける」と話している。

 化学物質を著しく少ない状態にした専門外来の診察室「クリーンルーム」を99年に設けた北里研究所病院は、今年3月から一般診察室での診療に切り替えた。東京労災病院(東京都大田区)も1月から新患受け入れを中止。東日本で重症患者が診察を受けられる施設はほとんどなくなった。設備維持費の負担が大きい割に、問診や検査で診察時間がかかり採算が合わないことや、原因が複合的で対応できる医師が少ないことが背景にある。

 宮田さんは、マンションの一室を改造したクリニックに化学物質が極力出ない壁や床、空気清浄機をつけた「準クリーンルーム」を用意。微量の化学物質にも反応し体調を崩す患者の診察には不可欠との信念からだ。

 北里研究所病院の勤務も続け、クリニックでの診察は1日8人まで。健康保険の適用はなく、1回1万5000円前後と安くはない。しかし、問い合わせは関東だけでなく大阪、宮崎、北海道などからある。泊まりがけの患者にも配慮し、月末の土日も開く。家賃や人件費などで採算はギリギリだ。

 NPO法人「化学物質過敏症支援センター」(横浜市)によると、化学物質過敏症の相談件数は08年度約1450件で5年前の6割増という。広田しのぶ事務局長は「予約が半年待ちの病院もある。期待している患者は多い」と話す。 問い合わせは、そよ風クリニック(03・5335・5135)。【宍戸護、田村佳子】

シックハウス:敏感度を判定 ネットで簡易自己テスト

2009年05月27日 毎日新聞

 「シックハウス症候群」対策として化学物質に敏感かどうかをインターネットで自己判定できる簡易テストを、森千里・千葉大教授(環境生命医学)らの厚生労働省研究班が開発した。「自分が化学物質にどれぐらい注意が必要かを判断する目安にしてほしい」と呼びかけている。

 シックハウス症候群は、建材や家具、防虫剤に含まれる化学物質などによって、目の痛み、だるさ、めまいなどを起こす。新築・改築した建物で起きやすい。厚労省は対策として、ホルムアルデヒドやトルエンなど13物質について、室内濃度指針値を定めている。しかし、森教授らによると、最近は規制対象外の代替物質が使われるようになり、それらによる健康被害が報告されているという。

 森教授らは、アメリカで開発された化学物質への敏感度についての問診票などを参考に、約30項目の質問と過去に経験した症状を5分程度で調べるテストを作成した。車の排ガスやたばこの煙、殺虫剤、ペンキなどのにおいに対する症状の有無や重さ、症状が出る場合に日常生活にどの程度影響が出るかなどを尋ね、化学物質に対する敏感さを「高」「低」のどちらかで判定する。

 森教授は「自分が化学物質に敏感かどうか分かれば、住宅や家具、日用品の購入や生活環境に注意でき、発症予防にもつながる。現在、症状がある人は専門医を受診した方がよい」と話している。簡易テストはホームページ(http://check.chemiless.org/)で公開されており、判定データはシックハウス研究に利用される。【下桐実雅子】

 【ことば】シックハウス 

 住宅の省エネや断熱対策が進み室内の気密性が高まったことを背景に、90年代から社会問題化した。「化学物質が関与して建物内で発生する健康障害」で、症状は皮膚の乾燥やかゆみ▽目や鼻、のどへの刺激▽頭痛▽倦怠(けんたい)感−−などがある。新築や増改築、転居、新しい日用品の使用などが発症のきっかけになる。特定の場所で症状が表れ、そこから離れると症状が軽くなるのが特徴。

 国民生活センターによると、03年から5年間で、シックハウス関連の相談が1000件以上寄せられた。学校で起こる場合はシックスクールと呼ばれ、08年4月には大阪大の新設研究棟で、職員や学生が頭痛などの症状を訴え立ち入り禁止になった。

 <自己判定テストの主な質問>

Q 以下のにおいや化学物質に対して、頭痛、思考能力の低下、だるさ、呼吸が苦しくなる、吐き気、めまいなど不快な症状が出ますか。

・車の排ガス

・たばこの煙

・殺虫剤

・ペンキ、シンナー

・新しいカーペットなど

Q あなたが化学物質によって生じると普段感じている症状と、その程度を教えてください。

・筋肉や関節が痛む、こわばる、けいれんする、力が入らない

・目がかゆい、息切れ、せき、たんなど

・動悸(どうき)、不整脈、胸が締め付けられるような感じ

・集中力・記憶力が低下、不安感など

Q 化学物質や食品に対して何らかの症状が出る場合、その症状は日常生活にどの程度影響を与えていますか。

・食べ物、飲み物の選択に影響する

・働く場所や学校の選択に影響する

・家具の選択に影響する


阪大の新研究棟でシックハウス症候群、立ち入り禁止に

2008年04月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 大阪大は、豊中キャンパス(大阪府豊中市)に今年1月に完成した「文系総合研究棟」で、事務職員や学生らが頭痛などの体調不良を訴えたことから、研究棟への立ち入りを禁止した。壁材などの化学物質によるシックハウス症候群とみられ、専門の検査機関に依頼して原因を調べる。

 研究棟は地上7階、延べ約6600平方メートル。高等司法・法学両研究科の講義室のほか、保健センター事務室などがある。総事業費は12億2000万円で、3月初めから利用が始まった。

 3月中旬から4月にかけ事務職員ら2人が「肌に痛みを感じる」などの症状を訴え、安全衛生管理部が、揮発性有機化合物などの濃度を調査。数値は厚生労働省の指針を下回っていたが、症状は改善せず、シックハウス症候群と診断された。

 学生と教員からも「頭が痛い」「鼻水が出る」などの訴えがあり、大学本部は21日、原因判明まで、立ち入り禁止を決めた。有機化合物特有の異臭がするといい、指針で定めた項目以外についても詳しく調べる。

児童が体不調訴えた紋別の小学校舎、使用再開へ(北海道)

2008年04月07日 読売新聞 Yomiuri ON-Line

 紋別市の小向小学校で、児童らがシックハウス症候群に似た症状を訴え、新築した校舎を使えない状態が2007年2月から続いていた問題で、新校舎の使用が7日の始業式から再開される。校舎内の空気中の化学物質濃度が下がり、保護者らの理解が得られたため、市教委が使用再開を決めた。

 市教委は道立衛生研究所に委託し、2月26日に図書室、体育館など5つの調査地点で約50の化学物質を調べる濃度調査を行った。その結果、全物質の合計濃度が、空気汚染に歯止めがかかったとされる国の暫定目標値(空気1立方メートルあたり400マイクロ・グラム)を大きく下回る値(同92〜111マイクロ・グラム)まで低下したことが分かった。

 また、昨年12月から今年3月にかけて、試行的に新校舎で児童が授業を計3日間受けたり、地域住民が体育館を利用してみたところ、体調不良を訴えた人はいなかったという。市教委は保護者らと協議し、合意も得られたため、新年度からの授業再開を決めた。

 同小は老朽化のため、2006年12月に新築され、翌年1月から授業が行われた。しかし、当時在校した児童17人のうち10人が目や頭の痛みを訴えたため、2月下旬に使用を中止した。地域住民が会合などに使う近くの小向地区生活改善センターを代用する一方、校舎では換気を続けていた。

 道立衛生研究所の化学物質濃度調査は、問題発生から2月までに計6回行われ、国の規制対象に含まれないテキサノールなど2種類の化学物質が高濃度で検出されたものの、児童らの体調不良の原因は今も特定されていない。【こむかいしょうがっこう】

 

韓国の新車が危ない! 「シックカー症候群」が深刻化

2007/03/16 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 「成奎(ペ・ソンギュ)記者

 新車からベンゼンなどの発がん性・有害物質が基準値の最高20倍以上も検出されるなど「シックカー症候群」が深刻化していることが分かった。

 交通安全公団が15日、民主党の李洛淵(イ・ナクヨン)議員に提出した「新たに製造される自動車の室内空気質に対する研究報告書」によると、昨年国内で生産された9車種38車体を対象に実施された車内の有害物質検出実験で、発がん性物質として分類されているベンゼンが1立方メートル当たり平均で111.3マイクログラム(1マイクログラムは100万分の1グラム)も検出され、ドイツ技術検査協会の推奨基準(1立方メートル当たり5マイクログラム)の約22倍を上回ったという。

 これは、環境部が「シックハウス症候群」の解決に向けて打ち出した新築住宅における室内空気の推奨基準(1立方メートル当たり30マイクログラム)の3倍を上回る数値だ。また一部では、ベンゼンが最高で384マイクログラムも検出された車もあった。

 また、その他の有害物質であるキシレンも1立方メートル当たり平均で827.9マイクログラムも検出され、国内基準値(同じく700マイクログラム)を上回った。発がん性物質のフォルムアルデヒドとトルエンもそれぞれ平均で97.7マイクログラムと517.6マイクログラムも検出された。これは、国内住宅の基準値よりは低いものの、ドイツや日本の基準値をはるかに上回る数値だ。

 さらに一部の車に至っては、その放出量が車内温度の上昇する夏場に通常の最高8倍にまで達することが分かった。しかし、シックカー症候群について、政府は車内空気の基準値すらまとめていない。

 交通安全公団は報告書で「キシレンの場合、健康に有害な影響を及ぼすことが知られている」としている。また、SUV(スポーツタイプ多目的車)の場合、一般の乗用車に比べフォルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどの有害物質の放出量がやや高かった。しかし、公団側はメーカー名と車種については公開しなかった。

 車内で有害物質を最も多く放出しているのは天井やシート、床マットなどだ。天井からはベンゼンとスチレンが、シートからはフォルムアルデヒドが、床マットからはトルエンやエチルベンゼン、キシレンが、ダッシュボードからはスチレンやキシレンなどがそれぞれ放出されている。

 このように新車から放出される有害物質は計24種にも上り、フォルムアルデヒドやエチルベンゼンなどは4カ月後にようやく放出量が減少し始めるという。

 また、新車購入者800人を対象に行ったアンケート調査では、回答者の51.5%が運転中に体調不良を感じていたことが分かり、次いで頭痛31.5%、目の痛み31%、くしゃみ15.8%、疲労感11.1%、神経過敏11%、吐き気6.3%、呼吸困難4.5%などが挙げられた。

 こうした問題について、李洛淵議員は「内装材を有害物質の少ない物に変えるよう基準を定めるべきだ」とし、「運転中には窓を開け、空気循環ファンを回すようにすれば、有害物質を90%減らすことができる。また、有害ガスの除去剤を使用する方法などもある」と対策作りの必要性について呼び掛けた。

■キーワード:シックカー症侯群

 新車から放出される有害物質により頭痛などの身体的苦痛を感じる現象で、「シックハウス症侯群」とよく似ている。シート、天井材、床材、ダッシュボードなどの化学内装材から放出される揮発性有機化合物(VOC)が主な原因とされている。

シックハウス訴訟和解 元園児らに堺市1200万円支払い 大阪地裁支部

2007/01/19 The Sankei Shimbun WEB-site

 堺市堺区の私立湊保育園で平成14年、園舎の建材に使われた化学物質が原因で体調を崩し、「シックハウス症候群」と診断されたとして、当時の園児ら30人が、開園を許可した堺市など3者に計5850万円の損害賠償などを求めた訴訟で、原告と堺市が19日、和解金1200万円を支払うことなどを条件に、大阪地裁堺支部(谷口幸博裁判長)で和解した。

 和解条項には、和解金のほか、「堺市は、児童のシックハウス問題への取り組みに一層努め、個々の児童の実情に応じた配慮をする」との一文も盛り込まれた。

 訴状などによると、湊保育園は市立保育所から民営化され、14年3月に園舎を新築。開園前の「30分間換気した後、5時間密閉した状態」での検査で、国の指針の約12倍のトルエンが検出されたが、市は「開放状態における濃度は指針値以下だった」として、同年4月の開園を認めた。

 この結果、4月から通い始めた園児70人のうち59人が目の充血などの症状を訴え、7月に19人がシックハウス症候群と診断された。現在も3人が「インクのにおいに耐えられない」「新幹線に乗ると鼻血が出る」といった症状に悩まされているという。

 関係者によると、裁判所は昨年11月の和解勧告で、「開放した状態での測定値だけでは、基準を下回っているかどうかの判断はできない」と原告側の主張と同趣旨の見解を示していた。

 また、建設会社ともこの日和解が成立したが、詳しい内容は明らかにされなかった。設計会社は訴訟を続ける。

 堺市役所で会見した保護者の同市堺区、吉野千鶴さん(36)は「私自身はひとつの節目を迎えたと思っていますが、小学3年になった娘は自分が保育園でシックハウス症候群になったことを認識しており、今も『謝ってほしい』と怒っています」と話した。

 三善道典・堺市子ども青少年局長の話 「慎重に検討した結果、早期解決を図ることが最善と考えた。市としては、今後、児童の健全育成の視点からシックハウス問題に一層取り組んでいきたい」

「ロハス」な家 健康・環境意識高まる消費者

2006/01/19 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

≪花粉除去、空気を浄化する壁≫

 エントランスのエアシャワーで花粉を落とすマンション、光触媒の働きで周辺の空気を浄化する一戸建て…。高まる消費者の環境・健康志向を反映し、こんな「ロハス」な住宅が増えている。だが、付加価値機能がある分、割高になることもあり、専門家は「購入時は本当に必要な機能かどうかを見極めて」と呼びかけている。(山口暢彦)

 ≪エアシャワー≫

 1階のエントランスに設けられた小部屋に入り、壁のセンサーに手をかざすと、天井や壁のノズルから強風が噴出。衣服や髪についた花粉やゴミが吹き飛ばされ、フィルターに吸いとられる−。食品工場などで衛生管理のために使われる「エアシャワー」を、今月、東京都大田区で発売するマンションに取り付けたのは「マツヤハウジング」(品川区)。

 「花粉の持ち込みを防ぎ、住人を花粉症から守る。空気清浄機で屋内の花粉を除くマンションはあったが、屋内への持ち込みを防ぐというのは初めてではないか」と同社営業企画部課長の山田邦博さん。

 健康や環境を重視する最近の消費者ニーズに即した物件をつくろうと、プランを練り始めたのが1年半前。汚れや有害物質を分解する特殊タイルを外壁に使うことなどは早々に決定し、「さらに付加価値をつけたい」と考えていた昨年春、山田さん自身が花粉症を発症した。「これをきっかけに、今までにない花粉症対策のマンションを作りたいと思い立った」

 エアシャワーの風を20秒浴びると体についた花粉やほこりの90%は落ちるという。「フィルターの取り換えは5年に1回で2、3万円。維持コストは高くない」と山田さん。このマンションの最多価格帯は3400万円台だ。

 ≪光触媒が人気≫

 最近増えているのが、「光触媒」を利用した住宅。壁などの塗料に含まれる酸化チタンが太陽光や室内光と反応し、シックハウスの原因物質とされるホルムアルデヒドやイヤな臭い、汚れを分解・無害化する。

 「松下電工」は昨年12月、室内光に反応する光触媒機能をもった天井材(1ケース18枚入り=3.3平方メートル分、希望小売価格9240円)を発売。「パナホーム」も昨年4月、外壁タイルに光触媒技術を活用した住宅(3.3平方メートルあたり約67万円)を発売した。太陽光と反応して排出ガスの有害汚染物質を分解し、周辺の空気を浄化する。

 矢野経済研究所の岩松邦郎(くにお)さんによると、空気清浄機なども含めた光触媒関連の市場規模は消費者の環境志向を反映して拡大傾向にあり、平成14年は400億−500億円だったが、現在では550億−600億円に上るとみられる。

 「光触媒は難しい技術ではない。『環境を大切にしている』というイメージを簡単に作れるため、乗り出す住宅メーカーが増えているのでは」と分析する。

 ≪必要な機能か見極めを≫

 「ロハス」な住宅が増加している背景について、住宅評論家の坂本和雄さんは「消費者の環境・健康志向が高まっていると同時に、住宅の供給量が飽和状態になってきているなか、各業者が差別化の努力をしている結果ではないか」と分析する。

 ただ、「住宅の購入時に、売り手のセールス(トーク)にのせられてはだめ」と坂本さん。このような機能がつくことで価格が高くなったり、管理費にはね返るケースがあるからだ。実際、矢野経済研究所の岩松さんによると、戸建て住宅で光触媒機能がついた場合とそうでない場合、100万−200万円の価格差がつくこともあるという。坂本さんは「ライフスタイルや家族構成を踏まえ、そのような機能を本当に必要とするのかどうかを慎重に考えて購入してほしい」と話している。

  <ロハス> 「Lifestyles Of Health And Sustainability」の頭文字「LOHAS」。健康と環境を志向する持続可能な生活様式をいう。

シックハウス防ぐ「無添加マンション」事業開始へ

2005年10月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 飛島建設は、化学物質が含まれる内装建材の使用を極力抑えた「無添加マンション」事業を始める。

 ホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質が、頭痛やめまいなどの症状につながる「シックハウス症候群」を防ぐため、13の化学物質の空気中濃度を厚生労働省の基準の約1割に抑えた。

 今年度内にマンションのリフォームで10件の受注を目指し、需要が高ければ新築マンションにも導入する。

 木材は、松やカバの天然材に柿渋で防腐処理を施し、壁にはしっくいを使う。接着剤には米のりやニカワ、断熱材には炭化コルクを使用する。

「シックカー」防げ 自動車各社、車内の有害物質低減へ

2005年07月30日 asahi.com

 シックハウス症候群の車版「シックカー症候群」を防ごうと、自動車メーカー各社が、車内の内装に使われる接着剤などに含まれる揮発性有機化合物(VOC)低減に取り組み始めた。アスベスト被害など有害物質への不安感が高まっていることも念頭に、日本自動車工業会が定めた業界の自主目標を前倒しで達成しようと急いでいる。

 シックカーの原因は、内装に使う接着剤やシート内の部材などから出るホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエンなど。被害例の具体的なデータはないが、「新車のにおい」とされるものにも含まれており、利用者から「目にしみる」「頭痛がする」などの声も出ている。

 自工会は03年、メーカー3社の3主力車でVOCを測定。厚生労働省が住宅などに定めた「ホルムアルデヒド0.08ppm以下」といった指針値を、最大1.2倍上回る物質があった。

 このため、温度やドアの開閉など測定条件を定めたうえで、07年度以降の新型乗用車から車室内にも厚労省指針を達成する目標を設けた。トラック・バスなどの商用車にも08年度から同じ目標が定められる方向だ。

 トヨタ自動車は、03年末発売の現行「クラウン」以降のほとんどの新型車で、接着剤の削減や材料の変更によって厚労省指針を自社基準に沿って達成。「有害物質への消費者の関心は高まる一方。早めに対応しないとメーカーは評価されない」(広報部)という。

 日産自動車も、今春部分改良した「キューブ」で目標を達成。今後も、新型車や改良車の発売時に対応していく。

 三菱自動車は来年1月発売の新型軽自動車「アイ」から目標を達成させると発表。「開発段階から接着剤を使わない設計などに取り組んでいる」(技術開発本部)という。ホンダも今秋全面改良する「シビック」以降の新型車から、目標をクリアさせる。他メーカーも準備を進めている。

防げ シックカー症候群

2005年05月09日 読売新聞 Yomiuri On-Line

材料や接着剤変更 清浄フィルター装備

 誰もがあこがれるピカピカの新車。しかし、車内の空気も新鮮で快適とは限らない。新築住宅で問題になった「シックハウス症候群」と同様に、車内の装飾品や接着剤に含まれる化学物質で鼻がツンとしたり、目がチカチカして、なかには新車には乗れない人もいるのだ。(高田 真之)

目標値の30倍

 揮発性が高く、溶剤に使われるトルエンなどの化学物質(揮発性有機化合物=VOC)を吸うと、鼻やのどの痛み、頭痛、めまい、集中力の減退といった症状が出ることがある。住宅の建材や接着剤が原因となる場合をシックハウス症候群という。

 厚生労働省は、1997年から2002年にかけて、住宅で発生するVOC13種類について、一生吸い続けても影響が出ない量を室内濃度指針値として公表した。自動車や鉄道車両内も「指針値の適用を考慮すべきだ」と指摘している。

 車内のシートの表皮やカーペット、天井材など、内装のいたる所にはVOCが使用されている。大阪府立公衆衛生研究所が2000年に公表した調査では、納車直後の国産ワゴン車から、厚労省の総VOC暫定目標値(1立方メートル当たり400マイクロ・グラム)の30倍の濃度のVOCが検出された。東京労災病院シックハウス科によると「頭痛がひどくなるので自動車に乗れない」と訴えるシックハウス症候群患者も珍しくないという。

VOC半減

 各メーカーも独自にVOCの低減目標値を定め、さまざまな取り組みを進めている。

 トヨタは、すべての部材のVOC発生量を細かく計算した上で、03年12月に発売した高級乗用車「クラウン」から、シート表皮など10部品を VOCの発生しない材料や接着剤に変えた。日産も部材などを見直し、04年10月発売の「フーガ」では、車内のアセトアルデヒドなどの濃度を、従来の半分程度にした。

 発生を減らすだけでなく、発生したVOCを取り除く取り組みも進んでいる。マツダは99年4月にVOC除去剤を加えた空気清浄フィルターを発表し、全車にオプション追加できるようにした。三菱自動車も一部車種にホルムアルデヒドなどを吸収する天井材を使用している。ホンダはすべての車種で溶剤を使用しない窓ガラス用接着剤を採用し、4月に発売した「エアウェイブ」にはVOCを吸収するエアコンフィルターを搭載した。

解決2年後?

 日本自動車工業会は今年2月、厚労省の指針を車室内にも適用することを決めた。07年度以降に発売される乗用車では、住宅並みの清浄な快適空間が求められることになる。ただ、症状が出るまで対策の重要性に気づかない人も多く、各社の新型車のカタログでも“シックカー症候群”対策の記述はまだ少ない。

 シックハウス症候群に詳しい中井里史・横浜国立大教授(環境疫学)は「取り組みの第一歩としてはいい」と業界の対応を評価しつつ、「既に症状の出ている患者もクルマを利用できるよう、さらに濃度を低減する努力を続けてほしい」と要望している。

シックハウス:「精神的苦痛」 保育園児42人が調停申し立て

2003年07月14日[毎日新聞] Mainichi INTERACTIVE
 大阪府堺市東湊町5丁の湊保育園の園児42人(1〜6歳)が17日、「化学物質が検出されたのに放置し、シックハウス症候群で精神的苦痛を受けた」として堺市や建設会社などを相手取り、計2100万円の損害賠償を求める調停を堺簡易裁判所に申し立てた。園舎からは国の指針値を大幅に上回る化学物質のトルエンが検出され、40人がシックハウス症候群の可能性が強いと専門医が診断している。シックハウス被害では異例の集団による訴えとなった。

 申し立てによると、堺市は、市立だった同保育園を02年4月から社会福祉法人に移行することを計画。開園前、新園舎が建設され堺市が検査したところ、トルエン濃度が指針値を約12倍上回った。しかし、堺市は一部の園児に検出の情報を入園時に知らせなかった。

 このため、園児の間でぜんそく、アトピー性皮膚炎の悪化などのシックハウス症候群の症状が相次いで発生。約8カ月間、トルエン濃度は改善されず、症状が出なかった園児も保育施設を十分に利用できないなどの苦痛を受けたとしている。

 別の同市立保育所で園児ら22人がシックハウスになっていたため、保護者らは堺市に、建材などに配慮するよう事前に要望していた。

 申立人は、トルエンの被害が直接及んだ園児に絞った。保育園を営む社会福祉法人は責任を認め、医療費自己負担分を支払ったため、申し立ての対象にしなかった。

 堺市は「調停の場で誠実に対応していきたい」とのコメントを発表した。【大島秀利】

シックハウス予防にピーナツ殻、ホルムアルデヒド吸収

2003/06/15 読売新聞 Yomiuri On-Line
 シックハウス症候群の主な原因であるホルムアルデヒドを吸収するのに、ピーナツの殻が役立つことが、青柳象平・千葉大教授と国立医薬品食品衛生研究所の研究でわかった。

 ピーナツ殻の細かい穴が空気汚染物質を吸収、約4時間で空気中のホルムアルデヒドの80―90%が消えた。青柳教授は「殻を捨てず、薄い紙に包んでタンス内に置くだけで、さまざまな汚染物質を吸収できる可能性がある」としている。

 シックハウス症候群は、壁紙用接着剤や塗料に使われるホルムアルデヒドなどの化学物質が原因といわれ、頭痛や吐き気といった症状が出る。

 青柳教授らは、10リットルの入れ物にホルムアルデヒドと、さまざまな大きさに砕いた殻を入れて約4時間後の濃度変化を測定した。その結果、単に手で砕いたピーナツ殻でも約80%のホルムアルデヒドが吸収された。細かくするほど効率が良く、ミキサーで砕いたものは約90%まで取り除けた。

シックハウス疑い1・7% 都心の小中生

2003年04月27日 The Sankei Shimbun
 東京都心部の小中学生の約1・7%にシックハウス症候群の疑いがあり、比較対照した新潟のケースの約2倍に達するとの調査結果を27日、東京慈恵会医科大、昭和大のグループが福岡市であった日本小児科学会で発表した。疫学調査は厚労省の研究班として実施された。

 グループは昨年2月、東京都港区のほぼすべての公立小、中学校の児童・生徒約7000人と保護者にアンケートを送付。回答のあった約3500人について検討した。ことし2月には新潟県津南町でも同様に実施、約900人から回答を得た。

 港区では、住宅の新・改築後、においに伴い頭痛や目がチカチカするなどの症状が出たり、もともとあった症状が悪化する「シックハウス症候群疑い例」に該当した児童・生徒が61人(約1・7%)に上った。

 家族にも同様の症状がある「症候群疑い濃厚例」は11人(約0・3%)。津南町では疑い例が約0・8%と低かった。

 原因物質として、壁や床のにおいを挙げる回答が多く、症状のある家庭の約70%で、過去5年以内に新、改築が行われていた。

 疑い例には高い頻度でアレルギー症状もみられた。港区では、アレルギー性鼻炎のある児童・生徒が全体では約22%なのに対し、疑い例では約54%。アトピー性皮膚炎も全体の約18%に対し疑い例は約38%と高率だった。

 東京慈恵会医科大小児科の富川盛光助手は「一戸建てよりマンションなどの方が症状を起こしやすい傾向がある。アレルギー症状のある子は注意が必要だ」と話している。

フグ寄生虫駆除に発がん性疑われるホルマリン…長崎

2003/04/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 養殖トラフグの生産高日本一の長崎県で、養殖業者の約6割にあたる11漁協95業者が過去3年間に、発がん性が疑われ、水産庁が使用しないよう指導しているホルマリンを、寄生虫駆除に使っていたことが22日、県の調査でわかった。

 県は養殖中の約359万匹のうち、ホルマリンを使った約166万匹について、出荷を中止するよう各業者に要請した。

 同県の金子原二郎知事は同日会見し、「まさかという気持ち。県の指導や調査にも甘さがあった。全国の消費者におわびしたい」と謝罪。「ホルマリンを使わないように徹底し、信頼回復に努める」と語った。

 県によると、東京水産大から厚生労働省を通じて「長崎県と愛媛県のトラフグ養殖でホルマリンが使われている」との指摘が昨年11月にあり、県内の漁協を調査した。

 ホルマリンは長年、寄生虫駆除に使われてきたが、水産庁は1981年、「食品への残留や排水による環境汚染との関係が十分解明されていない」として使用しないよう通達した。

 長崎県は96年以降、生産量、生産額ともに全国トップ。

シックハウス:兄弟が市など訴え 「安全義務怠った」 大阪

2003年03月29日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 シックハウス症候群で化学物質に過敏になっていた大阪市東淀川区の兄弟が、通っていた市立小学校と私立学校に病状を説明したのに配慮されず、症状の悪化で通学できなくなったとして、市と学校法人を相手に各1000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴する。支援団体によると、学校の化学物質で体調が悪化する「シックスクール」をめぐる初の訴訟になる。

 訴えによると、兄弟は94年に新築した自宅で、両親らとともにシックハウス症候群になった。軽症だった弟(15)は大阪市立小4年だった97年、校内エレベーター設置工事で化学物質を吸ったのをきっかけに症状が悪化して化学物質過敏症になった。学校に配慮を要望したが、授業での油性ペン使用や校庭での農薬使用などで症状が悪化し、通学できなくなった。

 兄(19)も化学物質過敏症で、中高一貫の私立学校に通っていたが、中学2年だった97年以降、教室の床へのワックスがけなどで頭痛や吐き気などがひどくなり、通学できなくなった。学校側は昨年、「化学物質過敏症が治ったという診断書がないと、除籍処分にする」と通知してきたという。

 兄弟は、こうした学校側の姿勢は児童生徒の安全を確保する注意義務を怠っており、文部科学省が各教委や学校法人に化学物質過敏症の児童生徒への配慮を求めた依頼文書(01年1月)にも反していると訴えている。

 大阪市教委は「訴状を見てないのでコメントできない」、学校法人側は「誠心誠意対応してきたのが、理解されなかったのは残念。訴状を見て対応したい」と話している。 【大島秀利】

進む教室密閉大丈夫?都内の小学校CO2濃度深刻

2002年12月03日 Yomiuri On-Line
 窓を閉め切る冬場は教室の二酸化炭素濃度が基準値を超えているとの測定結果を村松学(さとる)・室内環境学会前会長らの研究グループがまとめた。今後、冷房化が進めば、教室内の環境が悪化するおそれがあると指摘している。19日から都内で行われる同学会で発表される。

 調査は、今年1月から2月にかけて約1か月間、東京都内にある公立小学校1校の換気扇のある教室と、隣接する換気扇のない教室で同時に行われた。

 二酸化炭素やにおいなどを24時間測定。その結果、換気扇のない教室では、子供が登校して下校するまで8時間のうち、体育の授業などを除く9割の時間帯で、文部科学省が「学校環境衛生の基準」で定める二酸化炭素の濃度基準値(1500ppm)を超えていた。時間によっては2300―2400ppmに達することもあった。換気扇がある教室でも、1か月平均で3割の時間帯は基準値を超えていた。

 村松前会長は「暖房の時期は窓を開けなくなり、換気扇がついていても、使われない所が多いためだろう。調査した教室は築30年だったが、より気密性の高い新しい学校では、建材に使われるホルムアルデヒドなどの化学物質の濃度も高いと推測される」と話す。

 文科省では、来年度から10年間で公立学校30万教室を冷房化できるよう空調設備導入の概算要求を提出している。しかし、「冷房が普及すると、教室の密閉化が一層進む。化学物質の影響で目やのどの痛みを訴えるシックハウス症候群が学校現場で問題になっており、換気への意識を高めないと健康への影響も心配される」と指摘している。

シックハウス情報交換で中国支部設立へ

2002/11/29 中国新聞
 シックハウス症候群に関する知識を深めようと、中国地方の建材メーカー、建築業者、行政などの関係者が情報交換の場づくりに乗り出した。特定非営利活動法人(NPO法人)である「シックハウスを考える会」(上原裕之理事長、大阪)の中国支部設立につなげる計画だ。

 シックハウスは、建材などに含まれる化学物質が引き起こす。関係者は、原因、症状、対策などの知識を仕事に生かそうと、十日に廿日市市で世話人会、二十六日には広島県甲奴町で化学物質の濃度測定研修会を開いた。

 研修会に集まったのは、広島、鳥取、岡山の各県から約二十人。木造の新築民家で、京都の環境測定会社担当者が、ホルムアルデヒドなど室内空気汚染物質を測定する様子を見学した。参加者は「簡易な濃度測定なら自分でもできそう」と、測定器具の入手法などを質問した。

 「考える会」は、専門家の養成・登録、ホームページによる情報公開、各地での講演会開催などに取り組んでいる。世話人のひとり、建材製造会社ウッドワン(廿日市市)技術開発部の新井貴子さんは「中国地方では、シックハウスに関する関心がまだ低い。来春の支部設立を目指したい」と話していた。

シックハウス症候群:初の被害調査へ 日弁連

2002年11月16日 Mainichi INTERACTIVE
 建材などの防腐剤や塗料、農薬などの影響で、微量の化学物質で体調を崩す「化学物質過敏症(CS)」について、日本弁護士連合会が初の調査に乗り出した。シックハウス症候群の被害が顕著になってきたためで、年度内に政府に対し、法規制のあり方などを提言する。

 日弁連公害対策・環境保全委員会の佐藤泉弁護士(第一東京弁護士会)ら8人が担当し、被害者や専門家、建築家からの聞き取りを進める。

 CSの被害は家庭だけでなく、学校の新改築に伴う「シックスクール」という形で児童、生徒、教師らに増えており、文部科学省も調査を計画している。また、会社で働く労働者にも広がっており、労災認定を巡っても今後、問題となりそうだ。しかし、被害者全体の概数などはどこも把握していない。

 佐藤弁護士は「国民の誰もが被害者になる可能性があるのに、救済や予防の視点から法制度は十分でない。総合的な化学物質の規制が必要と思う」と話している。

 日弁連は16日午後1時から、東京都千代田区の弁護士会館で公開シンポジウム「化学物質過敏症とは何か」を開く。 【大島秀利】

         ◇              ◇

【解説】
 住宅などの建材に含まれる化学物質で目やのどの痛みなどを訴える「シックハウス症候群」という言葉が使われ始めたのは95年前後だった。その後、殺虫剤や農薬などによる影響も含め、被害が拡大している。それなのに多くの危険な化学物質について「野放し状態だった」と学者らは指摘する。

 国はようやく今年になって、建築基準法の改正などで一部の化学物質の使用禁止や室内濃度の規制に動いた。だが、殺虫剤など他の多数の化学物質が安易に使われて苦しんでいる人がいる実態や、化学物質過敏症(CS)患者の救済とケアについては法的に手付かずの状態だ。

 日本弁護士連合会がCSの調査を開始したのも、こうした被害状況を見過ごせなくなったからだ。新たな法規制を含め、被害の防止と救済に向けて具体的にどんな施策が必要なのか、論議が期待される。 【大島秀利】

学校でのシックハウス症候群の実態、文科省調査へ

2002年07月15日 Yomiuri On-Line
 「シックハウス症候群」とみられる症状を訴える子供が増えていることから、文部科学省は15日、専門家による研究チームを設け、児童生徒の実態調査に乗り出すことを決めた。

 同症候群は、建材などに含まれる化学物質が原因で頭痛、めまいなどの症状を起こす。同省が昨年実施した調査で、小中学校のコンピューター教室の2割以上で、夏季にシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなどの化学物質の濃度が国の指針値を超えていることが判明。

 研究チームは医学、保健学、建築学などの専門家15人で構成。調査方法も含め検討する。

シックハウス対策で初の法規制…建築基準法を改正

2002年07月05日Yomiuri On-Line
 住宅の建材などから揮発する化学物質が原因で健康被害が起きる「シックハウス症候群」対策が盛り込まれた建築基準法改正案が5日、衆院本会議で自民、民主などの賛成多数で可決、成立した。

 住宅や学校などすべての建築物を対象に、シックハウス症候群を起こす恐れのある建材の使用を制限するとともに、換気設備の整備を求めており、1年以内に施行される。シックハウス症候群対策で建築物に対する規制は初めて。

 規制の詳細は、今年1月に国土交通省の社会資本整備審議会がまとめた答申に基づき、政令で定められる。当面は〈1〉合板の接着剤などに使われるホルムアルデヒドを含む建材を面積に応じて制限〈2〉シロアリ駆除に使われるクロルピリホスの使用禁止〈3〉気密性の高いマンションなどでの換気設備の設置義務づけ――が主な内容となる見込み。

 今回、規制対象となるのは2物質のみだが、同省住宅局建築指導課は「規制に必要な研究結果が整い次第、規制物質を増やす」としている。

 健康被害との関連が懸念される化学物質については、厚生労働省が1997年以降、これまでホルムアルデヒド、クロルピリホスを含む13物質について室内濃度のガイドラインを設けており、今回の規制はこの目安を守るための手だて。

 室内空気と健康の問題に詳しい柳沢幸雄東大教授は「建物完成後の濃度測定の義務がなく、実効性には課題もあるが、化学物質規制を強制力のある建築基準法に明文化したことの意義は大きい」と話している。

新築校舎:全校生の半数近くが「シックハウス症候群」を訴える

2002年06月12日 Mainichi INTERACTIVE
 高知県西部の町立中学校で昨年4月から新築校舎の使用を始めた直後、全校生徒と教職員約240人の半数近くが「シックハウス症候群」とみられる症状を訴えていたことが12日分かった。

 町教委などによると、原因とされる化学物質・ホルムアルデヒドの濃度も、最高で厚生労働省の指針値の約5倍が検出されていた。換気扇などを取り付けて対応し、現在、症状を訴える生徒はいないが、最初に症状を訴えた女子生徒1人は転校した。懸念されている学校現場での発生で、事前の対策が十分だったか問われそうだ。


微生物で頭痛吐き気撃退

2001.01.13The Sankei Shimbun
 ミミズなどを使ったバイオ製品の農薬分解剤に、頭痛や吐き気などを起こすシックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドを削減する効果があることが分かり、新たに製品化した「削減剤」が出荷前の家具の内側や表面に噴霧されるなど、好評だ。

 「ホルムアルデヒド削減剤」を開発したのは大分市のバイオ製品製造・販売業、ミツワ・コーポレーション(浅野康夫社長)。

 この農薬分解剤は、土壌改良に使うアゼツシマミミズ体内のバクテリア、乳酸菌など十数種類の微生物を牛乳成分で培養、これらの微生物の体内でできた酵素を使って開発された。化学処理は行わず、無色無臭。

 昨年七月、病院の薬品室にホルマリンなど他の薬品とともに置いていたところ、消臭効果があることが偶然分かり、測定検査の結果、ホルムアルデヒド削減効果が判明した。

 福岡県工業技術センター(大川市)の臭気測定実験では、家具に削減剤を散布したところ、約四十八時間でホルムアルデヒドが約四割削減したことが確認され、代理店が行った自主測定では約百二十時間(五日間)で約八割削減したという。

 大川市のある家具メーカーは「これまでは簡単に利用できる削減剤がなかった。少しでも消費者のためになれば、と十月からこの削減剤を使っているが、簡単な計測器でもかなりの効果が実証されている」と話している。

シックハウスの原因物質を分解 段谷産業が壁材を新開発

2001.01.13(09:22)asahi.com
 住宅内で身体に不調が起きる「シックハウス症候群」の原因物質を吸収・分解する壁材の開発に、住宅資材メーカーの段谷産業(北九州市)が成功した。新建材や接着剤に含まれ、頭痛や吐き気などを引き起こす化学物質ホルムアルデヒドを吸収・分解する。効果が確認されたのはホルムアルデヒドだけだが、同社は他の化学物質やにおいも吸収・分解するとみており、特別養護老人ホームなどでの消臭にも応用できそうだ。

 同社は昨年秋、七輪の材料である珪藻土(けいそうど)を使い、湿気の吸・排出性を大幅に向上させた壁材「e―ウォール」を開発・発売した。その際、ホルムアルデヒド濃度を25ppmにした5リットルの空間に、1センチ角で長さ5センチのe―ウォールを6本入れて実験したところ、1時間で濃度が約2ppmに低下した。この時は吸収してもまた放出してしまう欠陥があったが、このほどある金属酸化物を壁材に加えたところ、ホルムアルデヒドが水と二酸化炭素に分解されることを確かめた。

 近く特許申請する予定で、木くずを使った床材などへの応用も進めている。商品化は数カ月先になりそうだ。

 同社の実験では、e―ウォールは汗やペット、生ごみのにおいや腐敗臭も吸収した。有機物から出る他のにおいも吸収すると同社はみており、今後、特定の金属酸化物を加えることで、こうしたにおいが分解できるかどうか実験する。効果が確認できれば、家庭だけでなく、病院や特別養護老人ホームといったにおいに悩む施設にも利用できると期待している。

シックハウス原因の化学物質 測定方法JIS化

2000.10.16 The Sankei Shimbun
 通産省・工業技術院は十五日、住宅建材などに含まれる化学物質の影響で目の痛みや吐き気を訴える「シックハウス症候群」への対策として、原因となる化学物質の測定方法を日本工業規格(JIS)化する方針を明らかにした。シックハウス問題では、厚生、建設、労働の各省と林野庁も対策を検討しており、政府全体として「この問題は緊急性が高い」と判断、対策を強化している。

 通産省・工業技術院がJIS化に乗り出すのは、シックハウス症候群の原因とされる揮発性有機化合物(VOC)のトルエンやキシレンなどの測定方法。原案を「来年度中に示す方針」(標準業務課)という。VOCのうち代表的な原因物質で、壁紙、家具、接着剤の原料として使われるホルムアルデヒドの測定法は、すでにJIS化され、その後、発生量が高い建材の生産量が急減するなど、JIS化の効果があがっているからだ。

 ただ水溶性のホルムアルデヒドに対し、トルエンやキシレンは水に溶けないため、工技院では発生する気体を一定の空間に閉じ込め濃度を測定する方法を採用。(1)室内の温度や湿度(2)サンプルの分量(3)濃度の値を何ケタまで有効にするか−などの基準を統一する。通産省では、今年度から接着剤の代わりに廃プラスチックを活用し、ホルムアルデヒドの発生量を低減する研究もスタートさせた。

 シックハウス対策では、厚生省が四月に検討会を発足させ、トルエン、キシレンなどの遺伝子への影響や発がん性の調査データを収集、健康被害に関するガイドラインの数値化と測定基準づくりを急いでいる。

 同省では「VOCが混合物になると、どんな影響があるか」(生活化学安全対策室)に注目。経済協力開発機構(OECD)加盟国の取り組み状況を調査し、複合VOCの目標値を一立方メートルあたり四百マイクログラム(一マイクログラムは百万分の一グラム)とする指針を新たに策定する方針だ。

 また建設省は九月から全国五千戸を対象にした住宅の室内空気環境についての実態調査に着手。十一月からは実験棟や木造モデル住宅で、住宅改修技術の研究を始める。

 労働省は次年度から、合板メーカー工場などの空気汚染調査を実施、林野庁も新たな合板製造技術開発への支援を開始するなど、政府のシックハウス対策は加速している。

 【シックハウス症候群】住宅建材や家具から発散される揮発性有機化合物(VOC)によって引き起こされる健康被害。症状は、めまい、吐き気、目の痛みなどさまざま。建設省の外郭団体、住宅紛争処理支援センターに寄せられた室内環境にからむ相談件数は六年度はわずか四件だったが、十一年度には二百三件に激増した。最近の住宅の高気密化や新建材の使用が影響しているとされる。

シックハウス症候群対策各省庁の動き

>ニュースコンテナNo.257(00.10.10) by内藤環境管理株式会社(Naitoh Environmental Science Co., Ltd.)分離分析課 高橋真朋子

厚生省: 室内空気汚染度の暫定目標設定

 厚生省の検討会は室内空気のTVOC(揮発性有機化合物総量)を、新築で1立方メートル当り1000マイクログラム、中古は400マイクログラムを超えないよう暫定目標値を定めることを了承しました。またスチレンなど4物質について指針値案をまとめました。エチルベンゼンを1立方メートル当り3.8ミリグラム、スチレンを同0.2 25ミリグラム、クロルピリホスを同0.001ミリグラム、フタル酸ジ-n-ブチルを0.22ミリグラムにそれぞれ設定したということです。

厚生省: シックハウスの情報提供、2001年度から全国の保健所に

 厚生省はシックハウスの保健所での相談体制の強化が不可欠と判断したため、2001年度から全国の保健所へシックハウスに関する情報提供を始めます。シックハウス情報の共有化を図り、相談サービスの質を向上させるということです。

労働省: 来年度からシックビル対策、7カ所に相談窓口

 労働省は2001年度から、シックハウスのオフィス版である「シックビル」対策のため、全国の7政令指定都市に相談窓口を設置、室内汚染濃度の測定に乗り出します。窓口では、測定機関の紹介などに応じるほか、センター自体も無料で室内汚染濃度の測定を実施するということです。

通産省: 空気汚染も対象に濃度測定法をJIS化へ

 通産省は2001年秋にも、室内汚染濃度の測定方法に日本工業規格(JIS)を制定する方針を明らかにしました。JISは、国際標準化機構(ISO)の規格と、厚生省規格を併せた、国際的に通用する規格で制定します。JIS化により住宅業界などに対し、ホルムアルデヒドなど汚染源物質の使用制限を強く促すようです。

資料:9月6,7,12,14 日付 日本工業新聞/9月26日付 日本経済新聞/9月27日付 日刊工業新聞/9月28日付 化学工業日報

埼玉県がシックハウス症候群、相談事業開始へ

2000年10月08日 埼玉新聞

 住宅建材や壁紙に使われる化学物質が原因となって頭痛やめまい、吐き気などの症状を引き起こす「シックハウス症候群」に悩む人のため、県は全23カ所の保健所に窓口を開設し、健康相談に乗り出す。職員が訪問して室内の化学物質濃度を測定するほか、住宅診断のアドバイスも行う。開会中の9月定例県議会に予算案を提案しており、認められれば今月中に実施に移したい考えだ。

 シックハウス症候群は、揮発性有機化学物質のホルムアルデヒドやトルエンが原因で起こるアレルギー症状。これらの物質は合板や壁紙、家具の接着剤に含まれ、住宅の機密性が高まるのとともに、症状を訴える人が増えている。

 県生活衛生課によると、県内でも1998年後半から保健所への相談が増え始め、昨年度は計50件ほどに上ったという。

 厚生省は関連の化学物質ごとに指針値を定め、建材メーカーなど業界に自主規制を求める一方、住宅の空気中の化学物質に目標値を設定し、総量規制する方向で調整を進めている。

 この方針を受けて県は、大宮や春日部、熊谷など6カ所の保健所に専用の測定器を整備。相談は23カ所すべての保健所で受け付け、必要な場合には職員が訪問して室内の化学物質濃度を測定する。

 ポイントごとの濃度差から化学物質が発生していると思われる個所を割り出し、室内や周囲の環境、換気の仕方など“住まい方”について診断。化学物質以外に畳やじゅうたんのほこりやダニ、ヘアスプレーが原因となっている場合もあり、症状がひどい場合は医療機関の診断を受けるようアドバイスする。

 併せて啓発用のパンフレット3千部を作製、保健所や各役所で配布する。県生活衛生課は「症状には個人差があるが、疾病寸前のケースも見られる。気になる場合は早めに相談してほしい」と話している。

シックハウス対策で有機化合物の総量に目標値 厚生省

2000.09.25 asahi.com

 建材や家具に含まれる有機化合物が人の健康をむしばむ「シックハウス」への対策として、厚生省は、住宅の室内空気中に含まれる有機化合物総量の暫定的な目標値を1立方メートルあたり400マイクログラムとすることを決め、25日、同省のシックハウス問題検討会に提示した。新築の家については同1000マイクログラムとした。個別物質の毒性評価が終わっていないため、最終的な「指針値」は今後の研究をふまえて定める。

 目標値は、1998年度に厚生省が実施した室内空気中の有機化合物全国調査に基づいてはじき出した。とびらや窓の開け閉めがある状態で、約40種類の有機化合物を24時間測定した合計量を基準にした。

 個別の有機化合物の上限指針値を策定中の厚生省に対し、「様々な物質が複合して健康被害を起こすケースなどに対応できない」などの声が強かったことから、同省が総量規制のための目標値を検討していた。同省は「物質ごとの指針値による規制を補完して、室内空気汚染を全体として減らすことができる」と期待している。

 ただ、総量上限値を科学的に定めるには、個別の物質の毒性評価や測定方法の改良が欠かせないため、厚生省は研究結果を待って、より拘束力のある「指針値」を定める考えだ。

シックハウス対策に7億円 公共事業等予備費配分決まる

2000.07.18 asahi.com

 厚生省は18日、今年度の公共事業等予備費(5000億円)のうち、同省分の計276億円の配分を決めた。家屋の建材や壁紙などに含まれる化学物質が原因で健康を損ねる「シックハウス症候群」の対策に7億円を計上。専用施設を新設し、原因究明が難しいとされるシックハウスの治療法などの研究に国として初めて乗り出す。また、アレルギー・リウマチ対策として33億円を配分し、専門の研修センターを新設することも決めた。大蔵省と調整の上で、近く正式決定する。

 シックハウス対策では、国立相模原病院(神奈川県相模原市)内の1室を空気を完全にきれいにできる「クリーンルーム」に改修する。そこで、ホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質に対する患者の身体反応を調べることによって原因物質を特定し、診断・治療に結びつける。同様の施設は国内ではこれまで、北里研究所病院(東京都港区)にしかなかった。

 アレルギー・リウマチ対策の中では、国立大阪南病院(大阪府河内長野市)に免疫疾患医療研修センターを新設することが盛り込まれた。国によるアレルギー対策専門の臨床研修施設の設置は初めて。

 このほか、特別養護老人ホームの建設補助費など、介護基盤の整備費96億円、ダイオキシンを減らすためのごみ焼却施設の整備費66億円の配分も決めた。

シックハウス対策で4物質にガイドライン作成へ

2000.06.24 asahi.com

 建材などから出る有機化合物が原因のシックハウス対策で、室内空気中の濃度規制をすすめている厚生省は24日までに、新たに塩化ビニル製品などに含まれる内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)のフタル酸エステル類など4物質にもガイドラインを設定することを決めた。フタル酸エステル類は、弁当や給食に対する汚染が問題になり、原因となった塩ビ製手袋の使用を自粛するよう厚生省が関係業界へ指導したばかりで身の回りの塩ビ製品を見直す動きが加速しそうだ。上限値は26日に開かれるシックハウス問題の検討会で提示される。

 フタル酸エステル類はプラスチックを柔らかくする添加物で、建材では建材の表面加工用の塩ビ樹脂や接着剤などに使われている。動物実験では、精子の働きに異常が出るなど生殖機能に影響するとされ、大量に吸い込むと神経系へも影響があるとされる。

 厚生省の研究班が昨年行った調査では、室内空気のフタル酸エステル類濃度が、最大で室外空気の18倍程度検出される例があった。

 食品として人体へ入る量については、食品衛生調査会の部会が14日、フタル酸エステル類の一種フタル酸ジエチルヘキシルで、生涯摂取し続けても健康に影響のない量を、体重50キロの人は1日2000―7000マイクログラム(1マイクロは100万分の1)としている。

 そのほか、接着剤や塗料に含まれるエチルベンゼン、発泡スチロールなどに使われるスチレン、殺虫剤用のクロルピリホスについても、新たに上限値を決める。クロルピリホスは米国内で子どもの発育に影響があるとして使用を差し止める動きが出ている。

シックハウス対策で原因物質を総量規制へ 厚生省

2000.06.22 asahi.com

 建材や家具に含まれる有機化合物が住む人の健康をむしばむ「シックハウス」への対策で、厚生省は室内空気中の有機化合物の総量規制に乗り出すことを決めた。トルエン、キシレンなど約20の化合物については来年春までに個別の上限値が決められることになっているが、業界が未規制の化合物に乗り換えたり、複数の物質で室内空気が深刻に汚染されたりする恐れを指摘する声が多く、各物質を合計した値についてもガイドラインを定める必要があると判断した。建材や家具の業界が塗料や接着剤をより安全なものに変えるよう促すことになりそうだ。

 総量規制の方針は、26日に開かれる同省のシックハウス問題に関する検討会(座長、林裕造・北里大客員教授)の報告案に盛り込まれる。

 総量の算定方法は、空気1立方メートルに含まれる有機化合物の量を単純に合計▽化合物ごとの室内濃度が上限値の何%に当たるかを計算し、その値を合計▽化合物ごとの「危険指数」を別途定め、室内濃度とかけ合わせた危険の度合いを合計――などの方法が考えられる。同検討会が来春までに個別の有機化合物について上限値を定めるのと並行して、総量規制の方法も決める。

 総量規制の上限値が決まると、建設省や通産省を通じて住宅建設や建材業界へ周知される。消費者が家を新築・改築する際、建設業者との間でガイドラインを守ることを条件に契約すれば、業者は家を引き渡す際に室内空気の汚染状況を調べることが必要になる。また、各地の保健所でも室内空気の検査ができるようになる見込みだ。

 厚生省は5月、塗料などに含まれるトルエンとキシレン、防虫剤に使われるパラジクロロベンゼンの3物質について、それぞれ上限値案をまとめ、一般からの意見を募った。市民や専門家から寄せられた意見には、「物質ごとの上限値を定めるだけでは、メーカー側が未規制の有機化合物に乗り換える恐れがある」「様々な物質が複合して健康被害を起こすケースに対応できない」など、総量の規制を求める声が多かったという。

 建材や塗料、合板などの業界は、発がん性が指摘され、厚生省が室内空気中の上限値を定めたホルムアルデヒドの低減策は進めている。しかし、これ以外の化合物については、接着剤などの規格を先に決める必要があることから、「対策は検討中」(日本建材産業協会)という。114社でつくる日本塗料工業会は会員企業に対して、トルエンやキシレンを含む塗料を室内用としてはできるだけ避け、水性塗料などに切り替えるよう呼びかける予定だ。

厚生省、シックハウス診断の施設建設へ

May 10, 2000 asahi.com

 厚生省は10日、家屋の建材や壁紙などに含まれる化学物質が原因で健康を損ねる「シックハウス症候群」の診断や治療法の研究を進めるため、国立相模原病院(神奈川県相模原市)に専用施設を新設する方針を固めた。シックハウスの診断・治療に関する本格的な国の対策は、これが初めて。今年度の公共事業等予備費(5000億円)から約5億円を建設費用として要求し、年度内の完成をめざす。

 厚生省の構想では、国立相模原病院の1室を空気を完全に清浄した「クリーンルーム」に改修し、そこでホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質に対する患者の身体反応を調べる。外来患者用の別棟も建設し、この施設を中心に全国の医療機関との連携を強め、診断・治療法の研究を進める。同様の施設はこれまで、国内には北里研究所病院(東京都港区)にしかなかった。

 厚生省はこれまで、シックハウス対策としてホルムアルデヒドの安全基準を決めている。今後は、トルエンなど3種類の化学物質についての基準設定を進め、対象物質も拡大する方針だ。これらの基準値をもとに、化学物質に汚染されていない建材を使用した住宅づくりの指針を改定。そのうえで、保健所などに測定機器を配備し、保健所向けにシックハウスの原因物質を排除した住宅建設のための相談マニュアルも新たに作成することにしている。

シックハウス対策でトルエンなど3物質に安全基準

April 27, 2000

 厚生省の「シックハウス問題検討会」(座長=林裕造・北里大学客員教授)は27日、建材の塗料や接着剤、防虫剤などに使われて家の空気を汚染し、健康に影響を与えるとされるトルエンなど3種類の化学物質について、安全基準の指針案をまとめた。一般からの意見も聞いた上で正式に決める。厚生省は6月下旬にも通知し、建設業界などへの周知を図りたいとしている。

 指針案によると、室内濃度の基準値は、トルエンが0.07ppm、キシレンが0.2ppm、パラジクロロベンゼンが0.04ppm。接着剤を使う電子機器組み立て工場の労働者への影響調査や、動物実験の結果をもとに、人体に害を及ぼさない濃度を算定。一日中家の中にいて吸い込む量に換算して基準を定めた。
 トルエンとキシレンは中枢神経に作用して感覚や運動能力がおかしくなることが知られている。パラジクロロベンゼンは人体への影響ははっきりしないが、マウスに発がん性物質として作用したとの研究がある。

 厚生省は1997年、毒性の強いホルムアルデヒドについてのみ室内濃度の指針値を設定した。その後、室内空気について実態調査をした結果、トルエンなどの3物質は一部で特に高い濃度で検出された。今後は壁紙や床板に使用されるフタル酸エステル類など、他の化学物質についても基準を決めていく予定だ。

茶バッグが化学物質除去

2000年4月3日 16時23分
 建材や家具から発生し頭痛などシックハウス症候群の原因となる化学物質ホルムアルデヒドの除去に、使用済みの紅茶のティーバッグが有効なことが東京都消費生活総合センターの実験で分かった。同センターは「自然に乾燥させ、においのする家具などに1、2個入れておけば効果がある」と活用を呼び掛けている。

シックハウス訴訟に関する協議会が4月設立

2000/03/18 by Biztech

シックハウス症候群 化学物質の使用基準 被害者の救済 法制化を! 今春にも協議会

2000年03月02日東京新聞 朝刊 by Izzat Village

竹からエコ建材=「体に優しい」と事業化へ−鹿児島

2000年2月11日 時事通信社

 鹿児島県の住宅関連業者4社は11日までに、竹を炭化させた「竹炭」から環境配慮型の建材(エコ建材)を製造する技術の開発に成功した。4社はこの技術でビジネスを展開するため、事業協同組合「ケトラファイブ」を設立した。新築住宅の化学物質が人体に悪影響を与える「シックハウス症候群」が問題になっているだけに、同組合の米永一義代表理事は「地元の天然素材を生かした試みは注目を集めると思う」と話している。
竹炭の利用法by 上海山聖貿易 日本事務所、竹炭物語

ホルムアルデヒドの使用を制限へ=皮膚炎の恐れで自主ルール−家具業界

1999年12月22日 時事通信社

 木製家具の業界団体である全国家具工業連合会は22日、ホルムアルデヒドを抑制した製品づくりを進める自主ルールを策定した。ホルムアルデヒドは、ベニヤ板を重ね合わせる製造過程で、接着剤の原料として広く使われる化学物質。しかし、刺激臭があり皮膚炎などを引き起こす恐れがあるため、使用を最低限に抑えることにした。

 同連合会が作った自主ルールは、家具に使用するベニヤ板が放出するホルムアルデヒドの量について、日本農林規格(JAS)の最も厳しい基準であるF1等級(空気1リットル中に0.5ミリグラム以下)に規制した。自主ルールに罰則規定はないが、来年4月以降に出荷する製品を対象とし、メーカーに徹底を呼び掛けていく。 

住宅内は室外の3倍以上

1999年12月14日 共同通信社

 「シックハウス症候群」などの原因物質とされる揮発性有機化合物44種類について、空気中濃度を住宅の室内と室外で比較した結果、ほとんどの物質の室内濃度が室外の3倍以上の値を示し、室内に発生源があることが14日、厚生省の調査で確認された。特に、接着剤や塗料の溶剤に使われるトルエンの室内濃度は、調査対象となった住宅の約6%で世界保健機関(WHO)の基準値を上回った。

ホルムアルデヒド、大半の形状安定型衣類から検出

May 23, 1999

 アレルギー性皮膚炎や頭痛などを引き起こす有害物質、ホルムアルデヒドが衣類などに広く含まれていることが、東京都立衛生研究所や名古屋市衛生研究所の実態調査で分かった。ワイシャツなど形状安定(記憶)加工された衣類の9割、カーテン・カーペット類の6割から検出された。家庭用品規制法で定められた肌着類の基準に当てはめれば、衣類の3割が基準値を超え、通産省の通達に反している商品もある。乳幼児用衣類からも検出され、業者に自主回収を命じた例もあった。住宅建材に含まれるホルムアルデヒドは「シックハウス症候群」を引き起こすとして数年前から問題化しているが、家庭用品の詳しい調査結果がまとまったのは初めて。

 ホルムアルデヒドは皮膚や目、粘膜などに強い毒性がある。建材、家具の接着剤などに使われると室内が空気汚染されることがあり、吸引することで、頭痛、めまい、吐き気などを訴える人が出てきた。厚生省が1997年に基準値を設定したり、業界団体も代替物質を使ったりする対策が打ち出された。

 皮膚に接触すると、激しいかゆみ、やけどのような炎症を引き起こすほか、アトピー性皮膚炎を悪化させるおそれがある。

 「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(家庭用品規制法)で75年、乳幼児用衣類から検出されてはならないと定められた。大人用でも肌着類は75ppm以下にするよう決められた。通産省は、ワイシャツなど中衣類に使う繊維では300ppmを超えないよう通達を出した。

 しかし、それ以外の家庭用品ではほとんど規制がないため、都立衛生研究所が97年までに計210点の家庭用品を集め、調査・分析を進めていた。

 最近まとまった結果によると、形状安定加工されたワイシャツ、ポロシャツ、ブラウスなどの約9割から検出された。肌着類の基準値を当てはめると、3割がこれを上回り、通産省通達の基準を超える305ppmという高濃度のワイシャツもあった。名古屋市衛生研究所の調査では、洗濯して6カ月後でも肌着類の基準値を超える値で検出される商品があった。

 型崩れせず、しわになりにくい形状安定型の衣類はここ数年、ヒット商品になっている。加工には複数の手法があるが、コスト面などから、ホルムアルデヒドのガスや水溶液のホルマリンで繊維同士を化学結合させる手法が主流だ。

 一方、名古屋市衛生研究所による97、98年度の調査では、市販のよだれかけ、下着、パジャマなど乳幼児用衣類約1200点のうち、約2%の20数点から検出されたため、名古屋市は輸入・生産業者に対し、自主回収などを指導した。東南アジアなど海外から輸入された衣類で目立っているという。

 都立衛生研究所の調査では、ほかに、壁紙・ふすま紙の約7割、カーテンの約4割、カーペット、寝具12検体のすべてから検出された。

「シックハウス症候群」予防で住団連が指針、決め手は換気

March 02, 1999

 住宅建材などに含まれる化学物質が皮膚炎やぜんそくなどを引き起こす「シックハウス症候群」予防のため、住宅生産者団体連合会(住団連)は、使用建材などの指針をまとめ、10月から適用する。業界あげて、原因とされるホルムアルデヒドを多く含む建材の一掃を目指している。

 指針は、床のフローリングに使われる合板類や、内装工事に使う接着剤などが対象。利用する建材は、まる1日水につけた後、残った水1リットル中にしみ出したホルムアルデヒドの量が0.5―1.5ミリグラム以下のものに限る。また、ホルマリンを含まない接着剤を使うよう定めている。

 ただ、指針を守っても、風通しの悪い造りだったり、暖房などで長時間窓を閉め切ったりしている場合、厚生省が「望ましい」と決めた基準(室内の空気1立方メートル中のホルムアルデヒド0.1ミリグラム以下)を上回ることもある。このため、住団連は「設計段階で通気性を重視したり、こまめに換気したりしてほしい」と呼びかけている。

 

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