TOPIC No.3-31 ヒ素汚染問題

01.神栖町木崎地区の飲用井戸ヒ素汚染について
02.飲料水のヒ素汚染に関する国際ワークショップ

産総研、三井造船 有機ヒ素を抽出除去 毒ガス汚染土壌処理へ注目

2006/01/14 FujiSankei Business i.

 産業技術総合研究所(茨城県つくば市)地圏資源環境研究部門の徳永修三主任研究員は三井造船と共同で、毒性の強い有機ヒ素で汚染された土壌から有機ヒ素を高効率で抽出除去する技術の開発に成功した。旧日本軍の毒ガス兵器に由来するとされる有機ヒ素汚染などを解決する技術として注目される。

 二〇〇二年から〇三年にかけて神奈川県寒川町、平塚市、茨城県神栖町(現神栖市)で次々と土壌の有機ヒ素汚染が明らかになった。

 有機ヒ素は毒性が強く、地下水中に溶出しやすい。また、土壌に吸着されて長期間環境中に残留し、微生物によって分解されず、加熱や化学分解を施しても無機ヒ素化合物として土壌中に残留するという処理困難な物質だ。

 産総研では、これまで行ってきたヒ素や重金属で汚染された土壌の浄化研究の成果をベースに、〇三年度に三井造船と共同研究に着手。

 有機ヒ素で人為的に汚染した模擬汚染土壌や、実際の汚染現場から採取された三十二種類の土壌試料を用いて土壌による有機ヒ素の捕捉メカニズムを解明するとともに、多数の洗浄剤による有機ヒ素抽出効果を比較検討した。

 その結果、メタノールなどのアルコールにリン酸を3−5%混合したものの抽出効果が極めて高いことが分かった。

 ヒ素に換算して一キログラム当たり三千五百七十ミリグラムという高濃度の有機ヒ素汚染された土壌から、ほぼ100%抽出除去することができた。リン酸によって土壌と有機ヒ素との結合が切断され、有機ヒ素がアルコールに溶け込むためと考えられる、という。今後、汚染現場の状況に適合したシステム化を検討する。

1100倍のヒ素を検出 旭硝子、4年間公表せず

2005/10/07 The Sankei Shimbun

 旭硝子(東京)は7日、兵庫県尼崎市にある所有地の地下水調査で、2001年に基準の1100倍に当たるヒ素を検出していたことを発表した。汚染の事実を尼崎市には報告していたが、公表していなかった。

 同社は、汚染の拡散を防ぐため環境対策を実施してきたが、今年9月末に別の地点で約200倍のヒ素を検出した。

 「隠すつもりはなかったが、今回これほど高い数値で検出されるとは考えておらず驚いている。結果は重大であり、関係者には申し訳ないと思っている」と話している。

 同社によると、アスファルトの舗装や植栽部分の土の入れ替えを終えており、周辺住民に健康被害の恐れはなく、これまでも被害の報告はない。1950年代後半から60年代前半にかけて、所有地内にあったため池に捨てていたガラス磨き砂に含まれていたヒ素が原因とみられるという。

 所有地はグラウンドと独身寮の跡地だったが、現在は商業用地として飲食店が建っている。(共同)

セレン基準の1600倍 OAP土壌汚染 ヒ素、最高値430倍

2005/07/21 The Sankei Shimbun

 大阪市北区の大型複合施設「大阪アメニティパーク」(OAP)の環境汚染隠蔽(いんぺい)事件にからみ、事業主体の非鉄金属大手「三菱マテリアル」(東京)などが敷地内の地下水調査を改めて行った結果、環境基準の最大千六百倍にあたるセレンと四百三十倍にあたるヒ素が検出されていたことが二十一日、わかった。セレンの最大濃度はこれまでの調査と同程度だったが、ヒ素は過去最高値だった。

 関係者によると、基準超過が判明したのはマンションとオフィス棟の境界付近四カ所から採取された地下水。一リットル当たりセレンが約〇・〇六−一六ミリグラム、ヒ素が約〇・〇二−四・三ミリグラム検出され、環境基準の〇・〇一ミリグラムを上回った。

 調査は三菱側が住民側と合意していた四十五億円規模の土壌・地下水調査の一環として、今年五月から実施。これまで調査では、環境基準に比べセレンが最大で千六百倍、ヒ素が六十五倍の濃度で検出されていた。

土壌汚染源はコンクリ塊 汚染井戸水との関連ひき続き調査

2005/02/23 The Sankei Shimbun

 茨城県神栖町の井戸水汚染問題で、環境省は22日、掘削調査区域の地中から見つかったコンクリート状の塊は計3つで、区域内にある周辺土壌のヒ素汚染源と考えられる、と発表した。

 住民の健康被害が出た井戸は約90メートル離れた区域の外にあり、環境省は「井戸の汚染源の可能性はあるが、断定はできない」として地下水の流れを引き続き調べる。

 塊のうち、1月に発見された東西10メートル、南北8メートル、厚さ1−2メートルの大きな塊からは、暫定値で環境基準値の約20万倍という高濃度の有機ヒ素化合物を検出。掘削区域の西側と北側からは、別のコンクリート状の塊も見つかった。

 いずれも有機ヒ素化合物を混ぜたモルタルを流し込んだような形状で、塊の中や周辺からはコーヒーなどの空き缶数個も見つかったという。

 現場は1991−93年に養魚場として使われた後、埋め立てられた。環境省は、地権者や当時の埋め立て業者から聞き取りをしたが、いずれも「心当たりはない」と話しているという。

 同省は「空き缶のデザインなどから塊が埋められた時期は89年以降の可能性が高い。今後、茨城県警などとも協力しつつ塊の由来を調査したい」としている。(共同)

茨城のヒ素汚染、別の井戸水飲んだ17人からも検出

2003/06/24 読売新聞 Yomiuri On-Line
 茨城県神栖町の井戸水から旧日本軍の毒ガス兵器に由来するとみられる高濃度の有機ヒ素化合物が検出された問題で、健康被害が出ている神栖町木崎地区の井戸から西に1キロ以内の計13本の井戸水を飲んでいた住民のうち、8世帯17人(16―74歳)の尿からも有機ヒ素化合物が検出されたことが24日、わかった。

 このうち50歳代の男性1人が疲れると手が赤くなるなどの自覚症状を訴えている。

毒ガス:環境省が米に職員派遣 GHQの旧日本軍資料調査

2003年06月13日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 茨城、神奈川の両県で旧日本軍が製造したとみられる毒ガスや関連物質が見つかったのを受け、環境省は15日から米国へ職員2人を派遣することを決めた。ワシントンの国立公文書館に保管されている連合国軍総司令部(GHQ)の旧日本軍の毒ガスに関する文書やマイクロフィルムを調査する。

 政府は73年、毒ガスの処理状況に関する全国調査を取りまとめたが、最近、各地で旧日本軍の毒ガスが見つかり、73年調査に記載されていない場所もあった。

 戦後、GHQが旧日本軍の資料を大量に持ち帰っているほか、国内で毒ガス処理を命じた際の資料も残されている可能性が高いため、現地へ職員を派遣し、直接資料を調べる。当時の状況を知る関係者にも面会する。【永山悦子】

ヒ素:検出の井戸、基準値の10〜25倍 茨城

2003年06月12日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 茨城県神栖町の井戸水から有機ヒ素化合物が検出された問題で、新たに有機ヒ素化合物「ジフェニルアルシン酸」が検出された5カ所の井戸について、茨城県は12日、検出された有機ヒ素化合物は環境基準の10〜25倍と発表した。

 5カ所の井戸は、環境基準の450倍の有機ヒ素化合物が検出された井戸から約1キロ離れている。住民の自主検査で環境基準の14倍から30倍のヒ素が検出されたため、県が詳細に分析していた。

 また県は同日、環境基準の12倍のヒ素を検出した鹿嶋市谷原の井戸の近くにある13カ所の井戸を調べた結果、「7カ所から環境基準を超えるヒ素を検出した」と発表。しかし、いずれも有機ヒ素は検出されなかったという。【高野聡】

ヒ素:茨城・鹿嶋市の井戸水でも検出 環境基準の12倍

2003年06月09日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 茨城県は9日、同県鹿嶋市谷原の民家の井戸水から、環境基準の12倍に当たるヒ素が検出されたと発表した。基準の450倍にあたる有機ヒ素化合物が検出された同県神栖町の井戸から北へ約6キロ離れており、県は詳しく成分分析するとともに、神栖町の汚染との関連を調べる。

 この井戸は1家族5人が飲み水として使っていたが、県が9日行った健康調査では、異常はなかったという。県によると、住民が自費で民間の機関に検査を依頼、同日になって「ヒ素が検出された」と通報があった。県は付近10カ所の井戸水も採取して調査する。【高野聡】

過去の医療費も国が支給 茨城県神栖町の毒ガス問題

2003/06/04 中国新聞ニュース
 茨城県神栖町で旧日本軍の毒ガスによるとみられる健康被害が相次いだ問題で、環境省は四日、被害者に対し、将来の治療費に加え、過去にかかった医療費も「健康管理調査協力金」の形で一括で支給することなどを盛り込んだ国の支援策を発表した。

 健康被害の原因が明確に特定されない段階で、国が医療費を支給するのは極めて異例。運動や言葉の遅れといった重い症状が現れた被害実態を受け、過去分についても「調査を行い治療法の解明を図る」と調査名目での「苦肉の策」を取った。

 六月中にも被害者からの申請受付を始めるが、実際の支給開始は八月ごろになるという。二〇〇三年度の予算は四億円強となる見込み。実施後五年をめどに全般的な見直しを行う。

 支援の内容は、有機ヒ素化合物に汚染された井戸水を飲んだ住民のうち、毛髪や尿の検査でヒ素が検出された人に、年一回の健康診断を実施するほか、医療費の自己負担分や療養手当(通院月額一万五千円、入院同二万五千円)を支給する。

 特に水質基準値の四百五十倍に上るヒ素が検出された井戸を使っていた住民に対しては、過去にかかった医療費の事実上の代替措置として「協力金」の名目で、初年度に限り入院歴のある人に七十万円、ない人に三十万円を支給する。

 さらに今後三年間、健康状態について報告書を出してもらうことで、調査協力費用として月額二万円を支給する。健康被害の大きいケースでは延長も検討するとしている。

 神栖町の井戸からは、毒ガスの一種、くしゃみ剤の成分と同じ化学物質が含まれていたことが判明。子供を含む住民ら二十人が手足のしびれなどの健康被害を訴えており、三十人の毛髪などからヒ素が検出された。

 毒ガスは発見されていないが、環境省は「現場にはかつて旧日本軍の研究所や飛行場があり、毒ガスが原因の可能性が濃厚」とし、五月二十九日から問題の井戸の周辺をレーダーによる地中探査などの方法で調べ、汚染源の特定を急いでいる。

 福田康夫官房長官が五月二十一日、環境省に二週間以内に支援策を要綱にまとめるよう指示していた。

汚染源を地中レーダー探査 茨城県神栖町のヒ素被害

2003年05月29日 The Sankei Shimbun
 茨城県神栖町の井戸水から旧日本軍の毒ガス成分とみられる高濃度のヒ素が検出された問題で、環境省は29日、汚染源を特定するための地中レーダー探査機を使い調査を始めた。

 住民らが見つめる中、水質基準の450倍のヒ素が検出された井戸があった周囲10平方メートルの地中に、汚染源の金属容器などが埋まっているかどうか、調査会社の技師らが探査機で地表をなめるようにデータを収集。結果は数日で判明するという。

 地表からの調査後は、25カ所をボーリングし、汚染源を探す計画。調査期間は7月中までを見込んでいる。

 井戸水を飲んで健康被害を受けた主婦(39)は「原因が分かるのも怖いが、慎重に調査して見つけてほしい思いもあり複雑な心境」と話した。

ヒ素検出問題:4年前にも44倍検出 茨城県と神栖町公表せず

2003年05月26日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 茨城県神栖町の井戸水から有機ヒ素化合物が検出された問題で、県と町が4年前、同町内の井戸から環境基準の44倍のヒ素を検出しながら公表していなかったことが、26日分かった。

 県などの説明によると、99年2月、同町内に社宅を持つ企業が社宅敷地内の井戸水を調査、環境基準の44倍にあたるヒ素を検出した。このため県と町は同社に対して水道水の使用を指示するとともに、周辺7カ所の井戸を調査。他の井戸からは、ヒ素はほとんど検出されなかったとして、町民への広報も行わなかったという。

 今回の有機ヒ素化合物で汚染された水を飲んだ住民は「当時よく調べていれば、こんな事態にならなかった」と訴えている。【高野聡、中田純平】

健康被害の住民が初会合 茨城県神栖町の毒ガス問題

2003年05月25日The Sankei Shimbun
 茨城県神栖町で旧日本軍の毒ガスによるとみられる健康被害が相次いだ問題で、被害住民らの「ヒ素汚染による健康被害者の会」が25日、同町内で初会合を開き、国や県に医療費の負担や原因究明などを求めていくことを確認した。

 茨城県などによると、これまで住民20人が健康被害を訴えている。同会には6世帯が参加を表明、この日は5世帯8人が出席した。

 代表の小沢浩さん(38)が、23日に提出した国への要望書の内容を説明。同会に参加していない被害住民や、ほかに健康被害を訴える住民がいれば参加を促すことも確認した。

マスタードやヒ素を検出 神奈川の旧日本軍工廠跡地

2003年04月26日 The Sankei Shimbun
 神奈川県平塚市の工事現場で、液体や結晶入りの瓶が見つかり作業員が頭痛を訴えた問題で、国土交通省横浜営繕事務所は25日、現場の土壌から、気化すると毒ガスとなるびらん剤マスタードや環境基準の約6倍のヒ素などを検出したと発表した。

 同省や県などは28日に安全対策連絡会議を開き、今後の対応策などを話し合う。

 同事務所によると、残土の表面から採取した土壌から微量のマスタードなどを検出。工事で掘った穴の土壌からヒ素が見つかった。

 瓶からは化学剤の関連物質は検出されず、結晶はグラスウールなどだった。

 現場は旧日本軍が毒ガスを研究したとされる相模海軍工廠(こうしょう)化学実験部の跡地。戦後は人工ダイヤモンドを精製する研究所があったという。同工廠跡地内で、北東に約3・5キロ離れた同県寒川町の工事現場では昨年9月以降、マスタードなどが入った瓶が見つかっている。

ヒ素検出:環境省が対策 茨城県知事に約束

2003年04月16日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 旧日本軍が「くしゃみ剤」として製造した毒ガスの主成分だった有機ヒ素化合物「ジフェニルアルシン酸」が茨城県神栖町木崎の井戸から検出された問題で、鈴木俊一環境相は16日、防衛庁や厚生労働省などの関係省庁と協力し、原因究明と健康被害対策に乗り出す考えを明らかにした。同日、環境省を訪れた同県の橋本昌知事に伝えた。

 同省は、神奈川県寒川町の工事現場で旧日本軍のびらん剤などが見つかった問題で国土交通省などと連絡会議を設置して土壌や地下水などの調査をすることを申し合わせており、神栖町のヒ素汚染問題もこの連絡会議で併せて協議する。

 鈴木環境相は「神奈川県と同様、(神栖町についても)環境省が責任を持ってやりたい」と話した。 【宋潤敏】


中国産稲わらの対日輸出再開

2007年07月26日 「人民網日本語版」

日本の農林水産省はこのほど、条件を満たす中国産飼料用稲わらの対日輸出再開を許可することを国家質量監督検験検疫総局(品質検査部門)に正式に通知した。また、検査・検疫を通過した日本産精米の対中輸出も正式に認められた。

同局の李長江局長は、中国は、輸出食品の品質面での安全を保障するため、栽培・養殖から製品輸出に至る全輸出プロセスのコントロールシステムを構築したことを明らかにした。(編集KM)

中国産稲わら輸入停止/口蹄疫発生で農水省

2005/05/27 四国新聞社

 農水省は27日、中国で牛の口蹄(こうてい)疫が発生している問題を受け、家畜伝染病予防法に基づき飼料用の中国産稲わらなどの輸入を一時停止すると発表した。

 中国産稲わらは、口蹄疫の侵入を防ぐために農水省が指定した施設で、一定の加熱処理をしたものに限って輸入を認めていた。しかし同省は口蹄疫の発生が急速に拡大していると判断、輸入した中国産稲わらから動物のふんやガが相次いで見つかったこともあり輸入を停止することにした。

ヒ素:飼料用稲わら30点から安全基準超す 農水省の調査で

2003年04月16日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 農水省は16日、中国産と国産の家畜飼料用の稲わら47点をサンプル調査した結果、30点から農水省が行政指導している安全基準(2ppm)を超すヒ素が検出されたと発表した。中国からの輸入稲わら37点中27点で6.2〜2.1ppmが、国産10点中3点から6.8〜2.7ppmが検出された。

 農水省による稲わらのヒ素調査は初めて。同省は基準値を超えた稲わらの輸入、販売業者に対し販売停止を要請した。既に販売されたものについては流通先を調べ、厚生労働省や関係自治体に通知して対応を委ねる方針だが、「エサとなっていても、牛肉や牛乳など畜産物への残留可能性は低い」(農水省)という。

 中国産の稲わらからは今月11日にも新潟県の調査で3.2ppmが検出されており、農水省は今後、さらにサンプル数を増やして追加調査を実施する方針。 【上田宏明】

中国産稲わら:基準値1.6倍のヒ素 肉用牛の出荷自粛要請

2003年04月11日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 新潟県は11日、中国から輸入した家畜飼料用の稲わらから、基準値の1.6倍に当たるヒ素が検出されたと発表した。農水省によると、稲わらからのヒ素検出は初めてで、同省は全国50カ所で中国産と国産の稲わらを検査している。一方、同県は、稲わらの回収と飼料として食べた肉用牛883頭の出荷自粛を飼育農家らに要請した。

 同県によると、稲わらは中国吉林省の長春近郊で01年に生産され、3月24日、同県内の業者が海路で33.3トンを輸入した。3月31日、全農のサンプリング調査で飼料安全法上の安全基準(2ppm)を超えるヒ素が見つかったため、民間検査機関で再検査したところ、3.2ppmを検出した。稲わらを食べた牛883頭に異常はない。

 農水省飼料課は「国産も念のため、検査している。牛は稲わらだけを食べているわけではないので、すぐに牛肉や牛乳が危険ということにはならない」と冷静な対応を呼びかけている。 【平元英治、早川健人】

中国からの稲わら輸入が急増

2000/03/31 中国ニュース

 日本の報道によると、「霜降り肉」と呼ばれる高級牛肉の生産に飼料として欠かせない稲わらの中国からの輸入が急増している。昨年秋、中国の稲わらの産地、東北地方の大連市に高温の蒸気による殺菌設備が完成し、中国からの輸入が解禁されたからだ。

 穀物中心の配合飼料だけでは、肉の赤身と脂肪が分離してしまい、「サシ」と呼ばれる細かい脂肪が赤身に入り込んだ「霜降り肉」になりにくいという。

 関係者によると、肉牛の飼料用の稲わらの国内需要は年間約40万トン。このうち輸入量は約25万トン前後で、中国産の解禁前は、台湾と北朝鮮から約10万トンずつ、残りが韓国から輸入されていた。国産の稲わらは、コメの収穫が機械化されたことや集めるのに手間がかかるため、肉牛産地の農家間で融通したりする以外、商品としては余り流通していないという。

 中国東北地方産の稲わらは、気候や土壌の関係で、繊維が固くて糖分が多いなど、肉牛の飼料として質が高い。

 日本貿易振興会(ジェトロ)の大連事務所によると、今年の日本向けの稲わら輸出量は30万トンに達すると見込まれ、さらに新規参入により過当競争も懸念されるという。稲わら輸入を手掛ける徳永商事(東京都中央区)の徳永茂社長も「近い将来、中国産が市場を独占する可能性もある」とみている。

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