TOPIC No.3-30 光化学スモッグ

01.光化学スモッグによると思われる被害の発生について
02.光化学スモッグに注意(2002年7月28日) Mainichi INTERACTIVE
03.光化学スモッグが猛威をふるう時(2001.10.14) by All About Japan防災
04.光化学スモッグ(2002年8月12日更新)by裳華房
05.東京都の光化学スモッグ注意報等の発令状況 by東京の環境
06.横浜市光化学注意報発令状況 by横浜市
07.関東・甲信越光化学オキシダント注意報発令状況 by愛知県環境情報

【速報】広島周辺に光化学オキシダント注意報 今年初

2009/06/18 中国新聞ニュ−ス

 広島県は18日、今年初の光化学オキシダント注意報を、島しょ部を除く広島市と安芸郡の全域に当たる広島、可部、海田の3地区に発令した。注意報の初発令日は昨年より21日早い。県環境保全課は発令地区の工場に排出ガスの抑制に協力を求めるとともに、市民には洗眼やうがいを呼び掛けている。

光化学スモッグを共同研究 北京で日中韓環境相会合

2009/06/14 47News【共同通信】

 【北京14日共同】日本と中国、韓国の環境相会合が14日、北京で開かれ、大陸からの大気汚染物質の影響が指摘される光化学スモッグについて、発生メカニズムの共同研究を推進するなどとした共同コミュニケを採択し、閉幕した。

 会合は11回目で、斉藤鉄夫環境相のほか、中国の周生賢環境保護相、韓国の李萬儀環境相が参加。光化学スモッグや黄砂対策など10項目を今後5年間の優先的な協力分野とすることで合意し、これらの成果を8月に中国で開かれる予定の日中韓首脳会談に反映させる。

 光化学スモッグは、工場や自動車から排出される窒素酸化物(NOx)などが光化学反応を起こすことで発生する。九州などのスモッグでは、中国から流れ込む汚染物質の影響が疑われ、専門家の間で汚染物質の発生源と気象の関係などについて研究を進める。

 また大陸から日韓に飛来する黄砂について、観測地点の拡充などで黄砂飛来の予測精度を向上させるほか、パソコンなど電子製品の廃棄物では、違法な越境の取り締まりを強化する。

 さらに世界的な金融危機に対応するため、太陽電池の普及など環境産業の発展を経済成長につなげていく方針でも一致した。

光化学スモッグやはり大陸原因 硫酸塩、通常の3倍

2009年05月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 光化学スモッグ注意報が県内で発令された8、9日、県保健環境研究所(太宰府市)が、大気中で通常の3倍超にあたる濃度の硫酸塩を測定していた。特に北九州市では注意報が発令された9日は、硫酸塩も夜間まで高濃度を記録していた。中国大陸では硫酸塩の発生原因となる石炭が大量に使用されており、同研究所は「中国大陸で発生した原因物質が、硫酸塩などと九州に流れ込んだために光化学スモッグが起きたとみられる」と推測している。

 光化学スモッグ注意報は、原因物質の光化学オキシダントの濃度が、0・12ppm以上の場合に発令される。県内では、8日午後に福岡市や前原市などで、9日午後には両市や北九州市などで注意報が出された。

 光化学オキシダントは、自動車や工場の煙突から出る窒素酸化物などが、太陽光の紫外線で変化して生成されるため、通常は日光がなくなれば濃度が減少する。しかし北九州市小倉南区の城野測定局では、日没後の9日午後8時に0・141ppm、午後9時に0・125ppmと高濃度を記録し、同市の注意報が解除されたのは午後8時半を回ってからだった。

 一方、同研究所によると、硫酸塩の濃度は、日本では一般的に1立方メートルあたり6マイクロ・グラム。これに対し、8日は正午から午後11時まで、9日は午後3時から翌10日の午前4時まで、約3・3倍に当たる20マイクロ・グラム以上を記録した。

 汚染物質の硫酸塩は石炭を燃やした時に発生する二酸化硫黄が変化してできる。中国では工業地帯で大量に石炭が使用されており、排出量は日本の20〜30倍と試算されているという。

 同研究所大気課の大石興弘課長は「硫酸塩は、高濃度の光化学オキシダントとともに中国から飛来してきたとみられる」と指摘。光化学スモッグに詳しい九州大応用力学研究所(春日市)の竹村俊彦准教授(大気環境学)も「硫酸塩は、国内では排出が厳しく規制されているので、中国から飛来してきたとみるのが自然。今回のデータは、越境大気汚染を示す一つの材料になる」と話している。

光化学注意報:発令時に全校通知

2009年05月26日 毎日新聞(琉球新報)

 中国大陸から流れ込む大気の塊の影響で、高濃度になることが懸念されている光化学スモッグの原因物質・光化学オキシダントの対策について、県は他県の緊急時対策要綱などを参考に、発令時の緊急連絡態勢の確立を急いでいる。

 25日までに、県教育庁で保健体育課が窓口となり、発令時には新型インフルエンザ発生時などと同様、県内の学校に一斉通知する方針を決定した。また、県は各保健所管轄地域別での注意報発令を決めた。

 25日の測定値も県の注意報発令レベル(0.12ppm)に上昇せず、注意報は発令されなかった。県環境保全課では、26日以降も気象条件や県内6測定局の数値を注視する。

 25日の沖縄本島地方は、高気圧の範囲内で晴れ間が広がり、光化学オキシダント濃度の上昇が懸念された。だが、各地での最高値は与那城で0.092ppm、名護と沖縄で0.088ppm、石垣で0.086ppm、宮古で0.067ppm、那覇で0.064ppmだった。

 0.10ppmを超えると県の警戒レベル。光化学オキシダントに詳しい国立環境研究所・環境健康研究領域の田村憲治室長によると、沖縄地方は風が強く、光化学オキシダントが停滞しにくいため濃度は上がりにくい。田村室長は「東京や大阪などでは年々濃度が上がっているが、沖縄はそうした傾向は見られない。県内で高濃度になる可能性は低い」と指摘した。

光化学スモッグ解明へ、北九州市が化合物54種の測定開始

2008年06月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

大気の採取容器とVOCの測定機(北九州市環境科学研究所で)

 北九州市は、光化学スモッグの原因物質・光化学オキシダントの生成原因の一つとされる揮発性有機化合物(VOC)54種の測定に乗り出した。

 同市は昨年から、光化学スモッグの発生に影響が指摘されている中国大陸からの「越境大気汚染」の影響を調べているが、VOCは工場や車などが発生源とされるため、市内からの影響にも目を光らせ、発生原因の究明を進める。

 VOCは揮発性を有し、大気中で気体状になる有機化合物の総称で、トルエン、キシレン、ベンゼンなど多種多様な物質が含まれ、産業界で幅広く使用されている。

 同市は今年4月から測定を始めた。月1回、市内5か所に大気の採取容器を設置し、24時間後に回収して市環境科学研究所(戸畑区)で濃度を算出する。

 測定データは県、福岡市とも共有。3者で定期的に、北部九州全体への影響などについて協議する。データは将来にわたって蓄積し、大陸からの影響も考慮したうえで、光化学スモッグの発生原因を科学的に解明することを目指す。

 一方、同研究所は昨年7月から、越境大気汚染の「指標」として、日本国内での排出が厳しく規制されている硫酸塩の濃度を測定している。市内に光化学スモッグ注意報が発令された今年5月22日は、この測定値が前日の約3倍に上昇。汚染された大気が移流した可能性があるとみている。

中国の汚染で日本のオゾン12%増 2020年予測

2008.04.24 MSN産経新聞

 海洋研究開発機構は24日、東アジア地域の大気汚染物質排出シナリオに基づくオゾン濃度の将来予測結果を発表した。中国が現状のペースで大気汚染物質を排出し続けた場合、光化学スモッグの主成分とされるオゾンの濃度が日本の広範囲で上昇すると予測され、2020年の予測データを2000年の実測データと比較すると、東京や大阪などの本州中部で最も濃度が高まる夏季(6〜8月)に、平均約12%上昇するとしている。

 オゾンは、火力発電所や工場、自動車などから排出される窒素酸化物(NOx)などの物質が、紫外線に反応することで生成される。

 昨年は新潟県や大分県で初の光化学スモッグ注意報が発令され、原因として、中国で排出された汚染物質が偏西風によって運ばれる「越境汚染」が指摘されている。

 同機構の研究グループは、中国の研究所などが算出した将来のエネルギー利用を基に、NOxの排出量を予測。気象状態などを加味し、地上から高度2000メートルまでのオゾン濃度を、東アジアの地図上に反映させた。

 その結果、日本国内で予測されるNOxの排出量削減を織り込んでも、中国の経済成長を考慮したモデルでは、東京や大阪など本州中部で、夏季3カ月のオゾン濃度が2000年の49・6PPB(PPBは%の1000万分の1)から55・7PPBに上昇する。

 特に九州地方など中国に近い地域では、最大で14PPBも濃度が高くなり65〜75PPBに達すると推定された。

 環境省の環境基準は、主にオゾンから成る光化学オキシダントの濃度を60PPB以下と設定している。

 同機構の秋元肇プログラムディレクター(68)は、「中国のせいにするだけでなく、何らかの対策を取らなければならない」と話している。

日本のオゾン、基準超過へ 20年、中国の窒素酸化物で

2008年04月24日  中国新聞ニュース

 中国で環境対策がとられないまま経済発展が続けば、日本で光化学スモッグの原因となる大気中のオゾンが増加し続け、環境基準の超過が大幅に増えるとする計算結果を、海洋研究開発機構や九州大などのチームが24日発表した。

 チームは、中国の研究所や日本などのデータを基に、火力発電や自動車の排出ガスなどによる窒素酸化物(NOX)の排出量を予測。NOXからできるオゾンの濃度も計算した。

 それによると、中国で環境対策が取られなければ、日本でオゾン濃度が環境基準の60ppb(ppbは10億分率)を超える時間数は、2020年には2000年の年間20%から同30%に増加。20年夏の平均濃度は2000年夏の49・6ppbより約6ppb増加するという。

 日本の排出量は2000年以降、横ばいと予想されることから、オゾンの増加は中国からの“越境”が原因とみている。

過去最多の28都府県で発令 光化学オキシダント注意報

2008年02月19日  中国新聞ニュース

 環境省は19日、光化学スモッグ被害の原因物質の光化学オキシダントの注意報が2007年に過去最多の28都府県で発令されたとする光化学大気汚染状況を公表した。新潟、大分両県で初の発令があった。光化学オキシダントは光化学スモッグの原因となり、目やのどの痛みなどを引き起こす。

 発令日数は、埼玉県が最多(32日)で、神奈川県(20日)、千葉県と東京都(いずれも17日)の順。健康被害は14県の計1910人から届け出があった。

 環境省によると、光化学オキシダントは、自動車の排ガスや工場の排気などに含まれる窒素酸化物や揮発性有機化合物が、太陽の紫外線で化学反応したもので、オゾンが大半を占める。

 中国などから流入する汚染物質の影響が指摘される一方、注意報発令は流入が少ない夏季の方が多い。また、原因物質の排出量は国内で減少傾向にあり、注意報が増えた原因はよく分かっていないという。

アジア観測強化など求める 光化学スモッグで検討会

2007年12月20日  中国新聞ニュース

 アジアから流入した越境大気汚染物質の影響も指摘されている光化学スモッグについて、環境省の検討会は20日、汚染物質の観測をめぐるアジア各国との連携強化などを求める中間報告をまとめた。

 光化学スモッグの原因物質である光化学オキシダントは今年、過去最多の28都府県で注意報が発令されるなど、問題は深刻化している。

 中間報告はまず、これまでの観測や研究結果を総括。それによると、日本の光化学オキシダントの平均濃度は、2004年度までの20年間で約2割増加し、大都市域では夏に、東日本の日本海側では春に、濃度が高くなる傾向にあった。

 大都市域では、車や工場から排出された汚染物質が紫外線の影響で変化し、オキシダント濃度が上昇。日本海側では、中国など東アジアからの汚染物質流入が影響しているとした。

 報告書はその上で、大陸を越えて移動する汚染物質がどの程度影響するかの評価や、光化学オキシダントの輸送・拡散モデルの精密化などが必要だと指摘。

光化学オゾンの予報を開始 スモッグ被害軽減に期待

2007年08月22日  中国新聞ニュース

 海洋研究開発機構と東京大は22日、人体に有害な光化学オキシダントの主成分であるオゾンの濃度が、いつ、どこで高くなるかを予測する「化学天気予報システム」を開発、ホームページで公開を始めた。

 光化学オキシダントは、工場や車から出る窒素酸化物などの汚染物質に太陽光が当たって発生する。その大半がオゾンで、光化学スモッグの原因となる。120ppb以上で注意報が出される。

 新システムは、オゾンの予測濃度を地図上に色分けして表示する。データは午前9時から6時間ごとに更新され、最長9時間先までの予測を見ることができるので、被害軽減に貢献しそうだ。

 汚染物質の移動や、化学反応を推定するモデルなどを組み合わせ、気象条件、国内外の原因物質の排出データを入力して計算する。関東と中部地方では5キロ四方、それ以外では15キロ四方ごとの単位で予測する。中国大陸や欧米などから来る汚染物質を考慮しているのが特徴だ。

国は光化学スモッグ対策を

2007/05/31 中国新聞ニュース

 九州地方知事会は30日、萩市で知事会議を開き、高濃度の光化学スモッグの原因調査や中国への対応も視野に入れた対策を国に求める緊急要望を採択した。 光化学スモッグは4月下旬から中国、九州地方で発生。これまで発生のなかった熊本・天草地方など島しょ部でも注意報が発令されたのを受け、熊本県が提案。 「広域的な大気汚染であり、国に早急な原因究明と、国際的な対応も視野に入れた対策」を求めた。

信州にも光化学スモッグ? 県が対策見直し

2007年05月27日 信濃毎日新聞

 工場の排ガスなどの汚染物質が変化し発生する光化学スモッグの影響が、1度も注意報が出たことがない県内にも及ぶ恐れがあるとして、県は対策を見直す方針を決めた。中国大陸から汚染物質が西風に乗り、日本周辺に届く新たなルートの存在が指摘されているためだ。26日は、同じく汚染物質を含むことが分かっている大陸からの黄砂も観測。「さわやか」と形容されることの多い「信州の空気」には二重の脅威になりそうだ。

 光化学スモッグは高度成長期に各地の工業地帯で発生。長野県は1978年、緊急時対策要綱を作り、注意報や警報の発令、解除の基準などを定めた。発令対象地域は「平成の大合併」前の長野、松本両市の旧市域。

 同要綱によると、注意報は光化学スモッグの成分「光化学オキシダント」濃度の1時間値が0・12ppm以上を記録し、さらに継続するとみられる場合に発令。濃度は県と長野市が合同庁舎など13カ所で測定している。

 ただ、これまで濃度が基準値に達することはあっても、注意報を出す継続状態になったことはない。基準値に達したのは、関東地方で日中に発生した光化学オキシダントが東信地方などに流入した影響とみられている。流入は夕方ごろで、日没後は新たな光化学オキシダントが発生せず、被害は出にくかった。

 一方、“中国大陸ルート”の解析研究は2005年に国立環境研究所と九州大などが発表。両者は、今月8日前後に日本各地で観測された光化学スモッグも、中国東岸からオゾンが西風に乗り広がって起きた−とするシミュレーション結果をまとめている。

 新潟県では9日、1972年の観測開始以来初めて光化学スモッグ被害が発生。子どもらが目やのどの痛みを訴えた。九州大の研究者は「甲信地方も影響を受けた可能性がある」と指摘する。

 こうした状況を受け、長野県は、発令対象地域が限られている点をまず再検討する考え。現在も県と気象台、長野、松本両市や市教委、県警などとの連絡態勢を決めているが、これも検討課題になりそうだ。

 新潟県は9日、対象外の妙高市、上越市などにも注意報を急きょ出した。妙高市によると、午後3時半ごろ県から連絡が入ったが、市からの連絡ルートが決まっておらず、市教委への連絡は約2時間後。小学生ら23人が被害に遭ったという。

 長野県生活環境部は「光化学スモッグが出来る化学反応は人為的に止められない。注意報を出す地域を広げ、関係機関との連絡が円滑になるよう検討を急ぎたい」としている。

85小学校の運動会中止 北九州、光化学スモッグで

2007/05/27 中国新聞ニュース

 二十七日午前八時四十五分ごろ、北九州市全域で光化学スモッグ注意報が発令され、同市教育委員会は市内の八十五校の小学校で予定されていた運動会をすべて中止した。

 北九州市学校保健課によると、いずれの小学校も運動会を二十九日か三十日に延期するという。同市では四月二十六日と五月八日、同九日にも光化学スモッグ注意報が発令されている。

 一方、山口県でも二十七日、宇部、山陽小野田、美祢、防府の四市で光化学スモッグ注意報が発令された。

「越境汚染」見えた 光化学スモッグ原因・飛来する黄砂 大気の流れ再現

2007/05/21 FujiSankei Business i.

 九州大学応用力学研究所と国立環境研究所の研究グループが、今月8日から9日にかけて光化学スモックが日本各地に広がった様子をシミュレーションすることに成功した。一方、情報通信研究機構(NICT)は、4月に中国から日本に飛来した黄砂の3次元的な流れを可視化することに成功。大気環境汚染が地球的規模で広がるなか、こうした技術を活用して関係国が協力して対策を講じる必要があるといえそうだ。

 ■「中国発」濃厚

 光化学スモッグとは、排ガスなどに含まれる窒素酸化物(NOx)が光反応によって「光化学オキシダント」(オゾンやアルデヒドなど)を生成し、これが空中に停留した状態のこと。有害なこの物質の濃度が高まると、目がチカチカするなど身体にも悪影響を及ぼす。

 九大と国立環境研は、各国のエネルギー統計をもとにNOxなどの汚染物資排出量をはじき出し、東アジア地域の大気汚染の変化を再現できる「化学輸送モデル」を共同で実用化しており、これを利用して今月上旬にも高濃度オゾン域の形成と移動を解析した。

 その結果、中国東岸から流れ出した汚染気塊が西風に乗って、北部九州から東日本の広い範囲に高濃度オゾン域を形成する様子を再現できたという。

 今回の光化学スモッグには、韓国や日本の汚染物質も関与しているものの、著しい経済発展を背景に中国の汚染物質排出増に起因する「越境大気汚染」の影響が大きいとの見方をしている。

 化学輸送モデルによって広域の光化学オキシダント汚染を再現できたことから、気象モデルと組み合わせて大気汚染濃度の予測に応用したり、空間解像の精度を高めて、地域ごとにより詳細な予測をすることも可能になると期待されている。

 アジア地域では石炭や石油など化石燃料の燃焼、家庭での木炭燃焼、焼き畑、森林火災などによってNOxや硫黄酸化物(SOx)をはじめとする様々な大気汚染物質が大量に放出。その総量は2000年でNOxが2650万トン、SOxが3940万トンに達したと推計されている。このうちNOxの44%、SOxの67%が中国から排出されたとみられている。

 また、NOxの場合、1980年から20年間で排出量が2・3倍に増加したとされる。その後も排出量が増加し続けており、今後の経済成長を考えれば、越境汚染の多発化が懸念される状況だ。

 ■毎秒約20−30メートル

 一方、 情報通信研究機構(NICT)は、黄砂の空間分布と、その流れを可視化することに日本で初めて成功した。3次元的な黄砂の流れと密度を同時に計測するシステムは実用化されておらず、黄砂がどれくらいの速度で流されているかを実測した例はなかった。この観測技術は、都市部上空でみられる大気汚染物質の拡散や、集中豪雨などに密接にかかわる気流の精密計測を実現するもので、災害の予測など多方面に活用できる可能性が高い。

 NICTは、都市部上空などの気流を精密に計測する技術開発の一環として、人間の目に安全なレーザー光を用いた「ドップラーライダー」と呼ばれる装置などを使って気流を精密に計測。その結果、4月1日に東京に飛来した黄砂が、地表から高度5キロメートルの範囲で層状構造を形成し、高度2キロメートル以上では、ほぼ東の方向に毎秒約20メートルから30メートルの速度で流れた状況を克明にとらえた。

 また、同日午前中に黄砂の密度が高くなった後、午後に一時的に密度が低くなり、夕方に再び密度が高くなった時間による変化をとらえることもできたという。

 今後、複数のライダーをネットワークで結合し、都市部上空での気流の動きをリアルタイムで3次元計測する技術の開発に取り組む。さらに、NICTが独自に開発中の高出力レーザーを計測システムに組み込み、20キロメートル以上の広範囲な気流計測を可能にする実用的なセンシングネットワークの構築を目指す方針だ。

光化学スモッグ「越境汚染」が影響 中国大陸から飛来 九大などが解析

2007年05月16日 =2007/05/17付 西日本新聞朝刊=

 光化学スモッグ注意報が8、9日に九州で相次いだのは、中国大陸の大気汚染が気象条件によって飛来する「越境汚染」に起因する可能性が高いことが、九州大学応用力学研究所などのシミュレーション解析で分かった。同様の気象条件は7月中旬まで周期的に訪れるため、16日に解析結果を発表した同研究所の鵜野伊津志教授は「梅雨が明けるまでは注意が必要だ」と呼び掛ける。

 国立環境研究所(茨城県つくば市)と共同研究した鵜野教授らは、経済発展が著しい中国のエネルギー消費量をもとに、東アジア各地における大気中の窒素酸化物など汚染物質の濃度を推計。これらに5月上旬の気圧や風向きといった気象データを加味し、汚染物質の移動状況を計算した。

 その結果、6日に中国付近で高濃度の汚染物質を含む空気の塊が発生。ちょうどこの時期、東シナ海に移動性高気圧があり気温が上昇し、紫外線も強まった影響で、汚染された空気の塊が、光化学スモッグの原因物質であるオゾンに変化。移動性高気圧の北側を吹く西風に乗って朝鮮半島南部を通り、北部九州に流れ込む様子が再現された。

 今回の光化学スモッグでは8、9日に福岡、熊本、大分、長崎4県で注意報が発令された。

 東シナ海を高気圧が移動するのは、主に5月から7月にかけてで、今後も光化学スモッグが、大陸に近い九州に流れ込む可能性が高いという。

 東アジアの経済発展が続けば、光化学スモッグが頻発する恐れがあり、鵜野教授は「中国や韓国と協力して対策を練ることが必要だ」と指摘している。

光化学スモッグは中国発? 環境研・九大が推計

2007年05月13日 asahi.com

 日本列島が高気圧に覆われ各地で今年一番の暑さになった今月9日に、九州北部から関東まで20都府県以上で観測された光化学スモッグは、中国大陸で発生したオゾンが主原因だったらしい。西風でオゾンが運ばれてきた様子が、九州大学と国立環境研究所によるシミュレーションで再現された。以前から指摘されている「越境汚染」の可能性を裏付けるものだ。

 光化学スモッグは、光化学オキシダント(主成分はオゾン)が起こす。オゾンは、自動車や工場などが出す窒素酸化物などの大気汚染物質が日光を浴びるなどして生じることが知られている。

 10年以上前からアジアの光化学スモッグを研究してきた九州大応用力学研究所の鵜野伊津志(うの・いつし)教授、環境研の大原利真(としまさ)・広域大気モデリング研究室長らのグループは、中国や日本を含むアジア各地の大気汚染物質の排出量を、エネルギー消費や車の台数などから推計。オゾン生成の化学反応や風向・風速を加味して、地上でのオゾン濃度の変化を数値計算した。

 それによると、6日午後3時では中国沿岸部などに高濃度の地点があるが、日本は各地とも低濃度だった。ところが、東シナ海の高気圧の北側に西風が吹き、7日から9日にかけて、高濃度のオゾンが中国から日本に広がったとの結果が出た。

 九州などに広がったオゾンは8日時点で、地域によっては光化学スモッグ注意報の発令基準(0.12ppm)に近い濃度レベルに達する、との計算結果で、8、9日に日本国内で実測された光化学オキシダントの濃度分布などとよく合っていた。

 光化学スモッグは70年代がピークだったが、近年、再び各地で注意報の発令が増えている。特に九州北部や日本海側での発令が目立ち、9日には新潟県で72年の観測開始以来初の注意報が出された。こうした特徴や、日本の大気汚染が規制で改善傾向にあることから、研究者の間では中国からの越境汚染の影響が大きいとの見方が強かった。

 大原室長は「国内で光化学スモッグの原因物質をさらに減らすと同時に、越境汚染について国際的なルールを作る必要がある」と指摘している。

八戸で光化学スモッグの濃度上昇

2007年05月11日 東奥日報

 全国の約半数の都道府県が光化学スモッグ注意報を出した九日、県内でも八戸市内で、光化学スモッグの原因となる光化学オキシダントの濃度が、注意報の発令基準近くまで高まった。環境省によると、県内では過去に注意報の発令は一度もないが、一九七三(昭和四十八)年度から大気汚染の常時観測を続けている県は「県民に健康被害が生じないようにしたい」と警戒している。

 環境省によると、一部地域で真夏日になるなど全国で気温が上昇した九日、光化学オキシダントの大気中濃度が基準の〇・一二ppm(ppmは百万分率)を超えたとして、二十二都府県が光化学スモッグ注意報を発令した。

 東北、北海道での発令はなかったが、県内では八戸(二地点)、青森、弘前、むつ、六ケ所の六測定地点のうち、八戸小学校で同日未明、基準値に迫る〇・一一四ppmを記録。同地点では四日昼前にも〇・一一ppmを観測した。

 八戸市は大規模工場が多数立地し、過去に大気汚染による健康被害が発生したことから、県は七六年に「県八戸地区大気汚染緊急時対策実施要綱」を制定。光化学オキシダントが〇・一二ppmを超えると注意報より緊急性が高い警報を発令するとしている。だが、これまで発令したことはなく、最近数年の年間最高値(昼間)は〇・〇九ppm程度で推移している。

 基準値を超えた場合、県は気象条件などを勘案しながら発令を判断、市町村などを通じて市民に外出を控えるよう呼びかけるが、県環境政策課は「九日に濃度が高まったのは深夜の一時間程度。基準値に達しても市民生活に影響はなかった」と話す。

光化学スモッグ 物質濃度県内で上昇

2007年05月09日 岩手日報社

光化学スモッグ

 車の排ガスや工場のばい煙に含まれる窒素酸化物や揮発性有機化合物などが、紫外線にさらされて化学反応を起こし、光化学オキシダントが発生。大気中に滞留して高濃度になると、光化学スモッグとなる。光化学オキシダントの濃度が大気汚染防止法で定める基準値0.120ppm以上の状態が継続すると見込まれると、都道府県知事らが大気汚染防止法に基づき注意報を発令する。警報は同0.240ppm以上が基準となる。 --------------------------------------------------------------------------

光化学スモッグ 九州かすむ 19市町 注意報 福岡 長崎 熊本 のど痛み、部活中止も

2007年05月09日 西日本新聞

 福岡、長崎、熊本三県の19市町で8日、大気汚染防止法に基づく光化学スモッグ注意報が発令された。原因物質の光化学オキシダントはぜんそくなどの健康被害を起こす恐れがあるため、北九州市などは大規模工場を持つ事業所に対し、ばい煙の排出量抑制を要請。各県とも住民や学校などに外出を控えるよう呼び掛けた。長崎県内では諫早市や佐世保市、五島市で中高生計12人が目やのどに痛みを訴えたほか、福岡市や北九州市でも小学生が目やのどの異常を訴えた。発生原因として中国大陸からの影響を指摘する専門家もいる。

 大気中の光化学オキシダント値が基準値の0.120ppmを超え注意報が発令されたのは、福岡県内では福岡市や北九州市など10市町。福岡市は11年ぶりとなり、北九州市は4月26日に10年ぶりに出されて以来、今年2回目で、市内全域に出されたのは初。前原市や筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市など8市町での発令は初。長崎県内では佐世保市や五島市、松浦市など7市、熊本県内では天草市と苓北町の2市町で発令された。注意報はいずれも8日夜解除された。

 注意報を受け、太宰府市の太宰府東中学校が部活動を中止して全校生徒を帰宅させ、前原市では市民に外出を控えるよう防災無線で呼び掛けた。また、各地の教育委員会は小中学校に屋外での運動を避けるようファクスや電子メールで連絡。北九州市では体育の授業や運動会の練習を取りやめた学校もあったという。

 福岡管区気象台によると、福岡市では同日午後2時49分、今年最高の気温28.3度を記録。国立環境研究所(茨城県つくば市)によると、光化学スモッグは、気温が25度を超し、日差しが強いなどの条件が重なると発生しやすいという。

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 ●原因物質大陸から? 環境対策遅れ深刻非工業地帯でも観測

 福岡、長崎、熊本の三県で8日、光化学スモッグ注意報が発令されたが、かつては工業地帯や大都市圏で観測された原因物質の高濃度光化学オキシダントが、ここ数年は、北部九州の離島や地方都市で観測されるようになった。国立環境研究所(茨城県つくば市)広域大気モデリング研究室の大原利真室長は「中国など大陸から大気汚染物質が飛来しているのではないか」と分析する。

 大原室長が注目するのは、昨年5月に長崎県佐世保市で、同6月には熊本市で、観測史上初めて光化学スモッグ注意報が発令された点。近隣に大気汚染を引き起こす大規模な工業地帯などがないのが理由だ。長崎県五島市や熊本県天草市では8日にも発令された。

 経済発展が著しい中国では、環境対策の遅れや公害問題が深刻化。大原室長によると、九州各地で注意報が発令された8日、移動性高気圧の影響で北部九州には大陸から西風が吹き込んでいたという。「大陸から西風が吹くと、北部九州で光化学オキシダント濃度が高まる傾向がある」。こうした傾向は北部九州に特有で関東や近畿の大都市圏ではみられないという。

 九州大学応用力学研究所の研究班も、中国の大気汚染の影響で2020年には九州で観測される大気汚染物質オゾンの濃度が、首都圏を上回ると推計している。


NO2全測定地点で基準達成、光化学まだまだ

2005年08月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 環境省は29日、ぜんそくなどの原因となる二酸化窒素(NO2)が初めて、一般環境の全測定地点で環境基準を達成したとする2004年度の大気汚染状況を公表した。

 だが、光化学スモッグの原因となる光化学オキシダント(Ox)の達成率は依然、低水準にとどまった。

 NO2の環境基準は1973年に導入された。住宅地などの一般環境の大気測定では、03年度に、東京・晴海を除くすべての地点で環境基準を達成したが、04年度は1444地点すべてで基準を達成。自動車排ガス規制や低公害車の普及などの効果が現れたものとみられる。

 道路沿いの自動車排ガスの測定地点(全国434地点)でも、前年比で3・5ポイント改善し、89・2%の387地点で環境基準を達成した。

 一方、Oxについては、一般大気と自動車排ガスの測定地点を合わせた計1190地点のうち、わずか2地点でしか環境基準を達成できなかった。

猛暑で光化学スモッグ注意報増加、昨年延べ189日

2005/03/10 読売新聞 Yomiuri On-Line

 2004年に各都道府県で光化学スモッグ注意報が発令されたのは延べ189日で、03年より81日も増えたことが10日、環境省のまとめでわかった。

 被害者も393人と、139人増えた。一昨年の冷夏が一転して猛暑となったのが原因で、7月は延べ88日と特に多かった。都道府県別では千葉の28日が最も多く、埼玉が23日、東京、茨城が各18日だった。

 光化学スモッグは、車の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)や、工場などから排出される揮発性有機化合物(VOC)が、太陽光で反応して、目やのどを刺激するオゾンなどの酸化力の強い物質を作るのが原因。日差しが強く、気温が高い、風の弱い日などに発生しやすい。NOx対策などが進み一時は沈静化したが、都市部のヒートアイランド化などによって再び増加傾向にある。

 環境省は昨年、大気汚染防止法を改正。VOC排出量に規制を設け、2010年度までに3割削減する方針で、光化学スモッグ注意報の発令日も4分の1程度に減少すると試算している。

ヒートアイランド現象で光化学スモッグ増加…都が分析

2004/08/20 読売新聞 Yomiuri On-Line
 東京で光化学スモッグの発生が再び増えている。連続真夏日の記録を更新した今夏は、注意報がすでに17回発令された。東京の空がスモッグに覆われていた1970年代初めをピークに、工場の排煙、車の排ガスの規制が奏功して、減少したはずなのに、一体なぜ――。その疑問を都の検討会が分析したところ、ヒートアイランド現象が、光化学スモッグを誘発していることが分かった。

 光化学スモッグが東京で初めて確認されたのは70年。70年代前半は毎年、20―40回の注意報が発令され、被害者も年間1000人以上に達したが、大気汚染対策の進行で、80年代後半から90年代にかけては、注意報発令が10回未満のことが多くなった。被害者ゼロの年もあった。

 しかし、2000年以降は再び増加。注意報発令は2000年、2001年がともに23回、2002年が19回。冷夏だった昨年は8回と少なかったが、すでに17回の今年は、被害者数も150人を超えた。

 光化学スモッグの原因物質は、車の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)と、工場などから出る非メタン炭化水素(NMHC)。両者が大気中で日光を浴びて化学反応を起こし、オゾンなどの酸化物質を作り出す。これが、目のチカチカなどを引き起こす元凶だ。

 2002年のNOx値(都内平均)は90年に比べ、25%減少。NMHC値も39%減っている。排ガス規制と工場移転の効果だ。

 ところが、酸化物質は逆に29%も増加した。80年代までは大気汚染の改善に歩調を合わせて、酸化物質の量も減ったのに、その“方程式”は崩れ去った。

 原因解明に乗り出した都の対策検討会は、夏場(4―9月)の気象データに着目した。90年代は、弱い風(風速2・5メートル以下)の日の割合が25%前後だったが、2000年以降は30%を超えるようになった。最高気温が30度以上の真夏日の頻度も25%から30%に上昇。さらに、ここ数年、空梅雨の傾向が強まったため、日射量も増加していた。

 検討会が出した結論は、都会のこうしたヒートアイランド現象が上空の気温を押し上げることで、NOxとNMHCの化学反応を促進させ、酸化物質を大量に作り出している、というもの。暑い日は光化学スモッグが発生しやすい、と従来から指摘されていたが、統計学的に初めて裏付けられた。

 風が弱まった理由については、高層ビルが海風を遮断しているとも言われるが、まだはっきりとは分かっていない。都環境局の担当者は「車や工場の排出規制だけでなく、ヒートアイランド対策も進めなければ、都会の空気はきれいにならない」と指摘する。都は屋上緑化や舗装方法の改良などの対策に着手しているが、今後、一層の充実が求められそうだ。

 ◆ヒートアイランド現象=大都市圏で中心部の気温が郊外より高くなる現象。ほとんどの地面が舗装されたことに加え、自動車やエアコンの排熱などが原因とされる。同じ温度の地点を結ぶ「等温線」を引くと、高温部分が島のように浮かび上がるため、この呼び名がついた。

揮発ガス:VOC排出抑制で検討会設置 環境省

2003年09月17日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 環境省は17日、塗料や洗浄剤から発生し、大気汚染を引き起こす浮遊粒子状物質(SPM)の原因となる「揮発性有機化合物(VOC)」の排出を抑制するため、有識者による検討会を設置することを決めた。抑制策は法規制も視野に、VOCを出さない物質への転換や、回収の徹底を盛り込む方針だ。

 VOCは、塗料や接着剤、洗浄剤などに含まれ、ガスとなって蒸発しやすい。大気中に排出されると、ガス自体がオゾンと反応して微粒子に変化するほか、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が微粒子になる原因ともなり、大気中のSPM全体の5割以上にVOCがかかわっていると考えられる。

 国内で排出されたVOCは、00年に185万トン。米国(1788万トン)やEU(1156万トン)より全体量は少ないものの、1平方キロあたりの排出量は1.5〜2倍と多く、大気中の濃度はかなり高い。米国やEUはVOCの貯蔵施設や使用施設の構造基準を定めており、排出量は減少しているという。

 日本では、一部の自治体が排出抑制の条例を持っているが、国の対策はなかった。国内のVOCの排出源は、工場やガソリンスタンドなどが9割を占めており、検討会は、こうした施設からの排出抑制策を年内にも取りまとめる予定だ。【永山悦子】

大気汚染:一般居住地、幹線道路沿いで3年連続悪化

2003年09月10日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 環境省は10日、02年度の大気汚染状況を発表した。呼吸器に障害を起こす可能性が指摘されている浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準達成率は住宅街などの一般居住地で前年度比14ポイント減の52.6%、幹線道路沿いは同12.7ポイント減の34.3%で、いずれも3年連続で悪化した。同省は黄砂の影響などを受けたとしている。自動車の排ガスなどに含まれる二酸化窒素(NO2)の達成率はやや改善した。

 調査は、住宅街などの一般環境大気測定局(1704カ所)と、幹線道路沿いの自動車排出ガス測定局(430カ所)で実施した。

 SPMは直径10ミクロン以下の微粒子。環境基準の達成率の低下は、02年4月中旬に中国大陸から大量の黄砂が飛来したことや、塗料などに含まれる揮発性有機化合物が大気中で粒子化する量が増えたことが影響したとみられるという。

 NO2の環境基準達成率は、一般局が前年度比0.1ポイント増の99.1%、幹線道路沿いが4.1ポイント増の83.5%だった。光化学オキシダントはほとんどの測定点で達成できていなかった。【永山悦子】

都が光化学スモッグ注意報 冷夏で最も遅い初発令に

2003年08月21日 The Sankei Shimbun
 東京都は21日、今年初めての光化学スモッグ注意報を多摩北部、多摩中部地域に発令した。正午にオキシダント濃度が狛江市で0.127ppmになったほか、武蔵野市や西東京市などで発令基準の0.12ppmを超えたためで、初発令は観測を始めた1970年以降で最も遅くなった。

 都は、6月以降、雨のため気温が平年より低い日が多かったのが原因としている。

 都環境局によると、光化学スモッグ注意報は、例年4月から10月ごろまで、10−20日前後出る。昨年まで発令が最も早かったのは95年の7月10日、次いで96年の7月3日だった。

東京の「光化学スモッグ注意報」今年はゼロ

2003/06/24 読売新聞 Yomiuri On-Line
 自動車排ガスなどによる大気汚染に悩む首都・東京で、「光化学スモッグ注意報」が今年は1度も発令されない“異変”が続いている。現在、観測史上3番目に遅い記録を更新中で、発令日が7年ぶりに7月にずれ込む可能性もある。

 一方で、光化学スモッグの原因物質の大気中濃度は、1970年代半ばの水準に逆戻りしており、梅雨明け後には、高温や強い日差しなど発生条件がそろうため、都などでは「油断は禁物」と注意を呼びかけている。

 光化学スモッグ情報は、都道府県が大気を観測し、原因物質となる「光化学オキシダント」の濃度が0・12ppm以上の状態が続くと「注意報」を、0・24ppm以上だと「警報」をそれぞれ発令する。

 都環境局によると、注意報の初発令日は例年、5月から6月にかけて。この2か月間の発令回数は、過去10年間の平均で3・1回。70年の観測開始以来、6月になっても発令されなかったのは、95年と96年だけだ。今年は、原因物質の大気中濃度が基準値ギリギリまで上がることは何度かあったが、長続きしない状態が続いているという。

 関東周辺では今年、埼玉、千葉など5県が4月中に初発令。神奈川県は、梅雨の中休み中の今月22日だった。この日は都内でも基準値を一瞬超えたが、すぐに下回ったため注意報の発令には至らなかった。

 光化学スモッグは条件がそろわないと発生せず、長雨や冷夏などの年は、発生が少ない。都環境局では、今年は5月に雨の日が比較的多かったほか、6月に入って梅雨の合間の晴れ間が広がったが、台風の影響で風が強かったことなどが影響し、光化学オキシダント濃度が高くならなかったとみている。

 しかし、都内の大気汚染物質のうち、ディーゼル排ガスに含まれる粒子状物質などが減少傾向にある一方で、光化学オキシダント濃度そのものは90年代に入って微増傾向にある。都内の年間平均値は、0・017ppmと過去最低だった89年を境に上昇に転じ、一昨年は0・028ppmと70年代半ばの水準に逆戻りしている。

 このため、都環境局では今年度から専門家を集めて光化学オキシダント対策の検討会を設置。年度内には具体的な対策案をまとめる方針だ。

日光東照宮の杉並木がピンチ 排ガスなどで弱り倒木、枯れ木 年100本減る

2002年12月23日 (毎日新聞東京朝刊から)Mainichi INTERACTIVE
 日光東照宮(栃木県日光市)の参道に植えられ、国の特別天然記念物と特別史跡の二重指定を受ける「日光杉並木」が年間約100本ペースで減り続けている。車の排ガスなど環境悪化が原因。近年は枯れ木に加えて倒木が目立ち、家屋を直撃する事故も起きた。東照宮は「このままでは並木を守るのも事故防止も難しい」と頭を抱えている。【金山十一】

 日光杉並木は国道119号日光街道と121号沿いにあり、総延長は37キロ。「世界最長の杉並木」として91年にギネスブックにも登録された。徳川家の家臣が植樹し、1648年に東照宮に寄進したとされる。

 東照宮林務部によると、杉並木はデータを取り始めた1961年に1万6500本だったが、現在は1万2800本。近年は突風や台風で年間10本前後が倒れ、枯れ木の伐採を含めると、毎年約100本ずつ消えている。今月17日には高さ約25メートルの2本が強風で倒れて道路をふさぎ、大型トレーラーと衝突。さらに電線が損傷し約350世帯が停電した。00年12月には倒木が空き家2棟を直撃し、全半壊させた。

 倒木などの原因は、道路と住宅に挟まれて根を張るスペースがなくなっていることや、車の排ガスと考えられるという。同部は「まるで盆栽。杉並木を取り巻く環境は最悪だ」と話している。

 東照宮は倒木被害に備えて82年に施設賠償責任保険に加入している。稲葉久雄宮司は「昨年は3000万円が支払われた。(被害が深刻化し)保険で対応できなくなれば、国や県に要望しなければならなくなる」と不安を口にするが、文化庁は「所有者が原則対応するもの」と話す。東照宮は「究極的には並木道を歩道にして樹勢回復を図るしかない」と話している。

目チカチカ、光化学スモッグ隠れた猛威

2002年12月14日 Yomiri On-Line
 今年、光化学スモッグが原因と見られる体の不調を訴えた人は、過去10年間で2番目に多い1347人に上ったことが、環境省のまとめで分かった。光化学スモッグ警報や同注意報が発令された日数も3番目に多く、同省は「この夏の猛暑との関連も考えられる」と見ている。

 同省によると、今年4―10月に警報や注意報が発令されたのは23都府県で、延べ発令日数は184日。93年以降の10年間では、一昨年の259日、昨年の193日に次ぐ多さだった。警報が出されたのは全国的には18年ぶりで、千葉県で2回発令された。

 「目がチカチカする」「のどが痛い」などの被害届を保健所などに出した人数は、一昨年の1479人に次いで多く、昨年より約1000人も増えた。ほとんどが、千葉県で最初の警報が発令された7月4日に、被害を受けた首都圏の児童・生徒ら。同省大気環境課は「当時、関東全域で風がほとんどなく、大気が拡散しにく状況が続いていた。気温との相関関係もあるだろう」と説明している。

光化学スモッグ:被害届け出1347人 過去10年で2番目

2002年12月12日 Mainichi INTERACTIV
 環境省は12日、今年4〜10月の光化学オキシダント警報・注意報の発令状況と被害届出人数をまとめた。千葉県で18年ぶりに警報が発令されるなど、関東を中心に23都府県で延べ184日警報が発令された。目やのどの痛みなど被害を届け出た人は、過去10年間で2番目に多い1347人に上った。

 被害届出数の1347人は前年(343人)の約4倍で、1993年以降では00年の1479人に次ぐ多さだった。千葉県で警報が発令された7月4日だけで、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県も合わせて1154人が被害を届け出た。気温が30度を超え、風が弱く、光化学オキシダントが停滞、濃度が高くなったと見られる。

 都道府県別に見ると、注意報・警報発令の延べ日数は埼玉県、千葉県が21日で最も多く、次いで東京都19日、群馬県15日、茨城県13日だった。被害届出数は埼玉県が466人で最も多く、次いで東京都410人、千葉県290人、神奈川県の124人だった。

 光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物などが紫外線により光化学反応を起こして発生する。大量に発生すると光化学スモッグと呼ばれる。 【足立旬子】

大気汚染 予備調査対象を4都市に拡大へ 鈴木環境相が表明

2002年12月05日 Mainichi INTERACTIV
 鈴木俊一環境相は4日、大気汚染と健康被害の因果関係の予備調査の対象都市を現在の川崎、名古屋の2カ所から、来年度は東京を含めた計4カ所に拡大するとともに、現在は3歳児だけを対象とする大気汚染とぜんそく発症の調査に6歳児も加える方針を明らかにした。この日、自動車排ガスの大気汚染のひどい東京都板橋区の大和町交差点(国道17号・環状7号線)を視察する中で、東京大気汚染訴訟の原告らにこの調査充実の方針を表明した。

 鈴木環境相は2日に環境省に導入されたばかりの燃料電池自動車で視察に訪れ、同訴訟原告のぜんそく患者10人と面談した。患者らは「発作がいつ起きるか分からない不安でいっぱい。医療費がかさんで生活も苦しく、新たな被害者救済制度を作ってほしい」と訴えた。

 これに対し、鈴木環境相は「新しい制度を作るには大気汚染と疾病との因果関係をはっきりさせなければならない。私も苦悩している」と述べた。そのうえで、今年度から3年計画で着手する名古屋、川崎両市での道路沿道の大気汚染と健康被害との因果関係の予備調査を来年度から4都市に拡大することなどを説明した。【足立旬子】

光化学スモッグ抑制で給油中のガソリン蒸発防止義務化

2002年11月05日 Yomiuri On-Line
 環境省は、ガソリンスタンドで給油中に蒸発するガソリンが光化学スモッグの原因となっているため、規制を導入して蒸発を抑制する方針を固めた。来年度から3年間、抑制技術の研究開発を行った後、法制化を検討する。給油所や自動車メーカーに対し、蒸発防止装置の設置などを義務付けることになりそうだ。

 光化学スモッグは、大気中の炭化水素と窒素酸化物が紫外線で化学反応を起こし、大量の光化学オキシダント(酸化力の強い物質)が発生することで生じる。環境基準では、オキシダント濃度が1時間平均値で0・06ppm以下と定められているが、達成されている地域はほとんどない。ガソリンが蒸発して発生した炭化水素がオキシダント濃度に影響を与えることは、欧米でも指摘されてきたが、日本で給油時にどの程度漏れているかは不明。同省では欧米にならって規制導入を進めることにした。

 石油産業活性化センターの調べによると、日本では、給油時に車から漏れるガソリン蒸気は1ガロン(約3・8リットル)当たり4―5グラムに上るが、米国のように車にガス回収装置を取り付けると、蒸発量は100分の1に減る。また、欧州の一部では、ガソリンスタンドの給油ポンプに蒸発ガス吸引装置を取り付け、ガスを回収する方法を採用している。

酸性雨:全国平均値の改善見られず 環境省調査

2002年09月28日 Mainichi IMTERACTIVE
 環境省は27日、第4次酸性雨対策調査(98〜00年度)の結果を発表した。雨の酸性度を測るpH(ペーハー、水素イオン濃度)の年度ごとの全国平均値は4.72〜4.90で、第3次調査(93〜97年度)とほぼ同じだった。森林や湖沼などの被害が報告されている欧米と同じレベルで、改善は見られなかった。

 生態系への影響については、土壌の酸化はないと見られるが、一部の樹木で原因がよく分からずに枯れるケースがあり、酸性雨の影響も含めて今後原因を調べる。

 酸性雨は、二酸化硫黄や窒素酸化物などの大気汚染物質が硫酸や硝酸などに変化し、雨や雪、ガスや粒子として沈着するものも含む。原因物質は国境を超えることから、環境省は昨年度から東アジア地域の11カ国が参加する酸性雨モニタリング調査を本格的に始めている。 【足立旬子】

光化学スモッグ被害400人

2002年07月04日The Sankei Shimbun
 
 千葉県内で4日午後、光化学スモッグ警報が発令された。東京都と埼玉県でも同日午後に光化学スモッグ注意報が出されており、屋外にいた小中学生ら400人余が目やのどの痛みを訴えた。いずれも症状は軽く、入院などはしていない。

 環境省によると、光化学スモッグで警報が発令されたのは全国で1984年以来18年ぶり。千葉県に出されるのは28年ぶりという。

 千葉県では、午後3時20分に同県西部の船橋市、浦安市、市川市など6市で警報発令。同5時20分に解除された。小学生ら263人が異常を訴え、医師の診断を受けた。

 気象庁大気汚染気象センターによると、関東地方は5日も風が弱く、気温も高いため光化学スモッグの発生しやすい気象状態になるという。

 東京都では、西東京市立住吉小学校など5つの小中学校で目やのどの痛みを訴える児童・生徒が計76人に上った。住吉小では午後2時前ごろから、プールで体育の授業を受けていた5年生45人が目やのどの痛みを訴え、保健室で目を洗うなどした。

埼玉県では午後1時45分ごろから同2時半ごろにかけて、川口市立新郷南小学校で6年生の児童と女性教諭がプールで授業中にのどが痛くなるなど、計69人が症状を訴えた。

 光化学スモッグは晴れて気温が高く、風の弱い日に起こりやすい。この日、関東地方は午後からよく晴れ、気温が軒並み30度を超える真夏日だった。

光化学オキシダント注意報、過去10年で最高に

2000.12.15(23:15)asahi.com
 自動車排ガスなどと太陽光が化学反応を起こしてできる「光化学オキシダント」汚染による注意報の発令が、今年4―10月で、延べ259日と、過去10年で最高になったことが15日、環境庁の集計でわかった。同庁では、平年に比べ日照時間が長く、風が弱いなど汚染物質が広がりにくい気象条件がそろったことが原因ではないかとみている。被害届け出人数も、1479人と過去10年で最多だった。

 大気汚染防止法では、光化学オキシダント濃度の1時間値が0.12ppm以上だと、各都道府県が注意報を発令することが義務づけられている。症状としては、目やのどの痛みを訴えるケースが多い。

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