TOPIC No.3-27 汚染米

01. カドミウム汚染米
02. 崩れ行く日本の安全性(2001/05/15号)Nevada Economic Report
03. データで示す−日本土壌の有害金属汚染
04. 食糧庁のホームページ (Food Agency)
05. 水稲冷害早期警戒システム by東北農業試験場 水稲冷害研究チーム
06. 新潟米 コシヒカリ 産地直送 by(有)ナカザワ農園
07. わたしたちの生活と食料生産 by東書Eネット(Tosho Educational Network)

虚偽報告で職員56人処分 農水省、コメ在庫調査で

2009/06/20 中国新聞ニュ−ス

 農林水産省は19日、減反の基礎データになるコメの在庫量調査の虚偽報告問題で、他省への転籍者らを含めた職員56人を国家公務員法に基づき処分したと発表した。調査に協力した農家に渡す図書カードなどお礼の品を着服したケースもあり、うち5人を最大1年間の停職、24人を減給処分とした。

 農水省がかかわった不祥事による処分者数としては過去最大規模。虚偽報告は16の農政局や農政事務所などに及び、業務を後任に引き継ぐ際に継続を指示していた事例もあった。農水省の地方出先機関で不正行為が常態化していたことが浮き彫りになった。

 このほかの処分の内訳は、戒告が4人で、管理監督を怠ったとして直属の上司23人も訓告処分を受けた。既に退職している元調査担当者や管理者計12人に関しては、公務員法の対象外として処分を見送った。

 最も重い停職1年の関東農政局の男性専門官(42)は、2006年4月から08年3月まで55回にわたり、調査先の農家に出向かずに虚偽のデータを報告し、出張費計約31万円を着服。お礼の品も自宅に持ち帰っていた。

 停職、減給、戒告の懲戒処分は他省庁所属の職員を含め計33人。関東農政局、長野農政事務所、和歌山農政事務所が各4人と多く、静岡農政事務所も3人いた。

 総合食料局の梶島達也かじしま・たつや総務課長は「残念で国民に申し訳ない」と謝罪した。

 農水省はコメや麦の調査が不正の温床となったため、現在の7種類の調査のうち1件を廃止、残りを三つに集約する。職員が謝礼を直接渡す方法をやめ、一括して郵送するなどの再発防止策も決めた。

 農水省は5月の問題発覚を受けて担当者1850人を調査した。

コメ在庫量虚偽報告は全国規模 農相、地方再編に影響も

2009/06/19 長崎新聞

 石破茂農相は19日、閣議後の記者会見で、コメの在庫量調査で地方農政局や農政事務所の職員がデータを虚偽報告していた問題で「あちらこちらに起こっていた」と述べ、全国規模で不正行為が行われていたことを認めた。これに伴う処分者数については、明らかにしなかった。

 農相は「どういうデータを集めなければいけないかを含め、コメ政策の在り方と組織論を並行して議論する」と述べ、現在検討している地方出先機関の再編に影響を与えるとの考えを示した。

 虚偽報告の原因については「一種の慣行、なれ合いみたいなところがあった」と述べた。

 調査データそのものについては「調査全体の信頼性を損なうほどのものではない」とした。

コメ在庫調査で虚偽報告の職員に懲戒処分記事を印刷する

2009年05月01日 Nikkan Sports News

 農林水産省は1日、コメの在庫量を調査する際に虚偽のデータを報告していたとして、九州農政局の専門官2人と福井農政事務所の係長1人を懲戒処分にしたと発表した。九州農政局の専門官1人は停職1カ月、ほかの2人は戒告処分とされた。いずれも40歳代の職員で、当時の上司3人も訓告を受けた。

 コメの在庫量調査は、生産調整(減反)を実施する際の基礎データに使われる。

 農水省によると、停職処分を受けた専門官は、2007年10月から09年3月にかけ、熊本県内の農家の在庫量や販売量などのデータを49回にわたり、偽って報告。農家を訪問しない架空の出張報告も15回あった。後任が調査対象の農家にあいさつに行き、発覚した。

 戒告を受けた2人は、農協や食品加工メーカーを対象にした調査で、協力を依頼するのを忘れて期限内にデータが集まらず、虚偽報告していた。

 同省は停職処分を受けた専門官に出張手当などの返還を求める。06年度から08年度までにコメや麦の調査に携わった職員約1800人を対象に緊急調査を実施。同じような事例がないか5月末ごろまでに調べる。(共同)


三笠フーズなどに19億円請求 鹿児島の焼酎メーカー提訴

2008/09/29 中国新聞ニュ−ス

 三笠フーズ(大阪市)による汚染された事故米の転売問題で、風評被害で売り上げが減少したなどとして、流通先の焼酎メーカー「西酒造」(鹿児島県日置市、西陽一郎にし・よういちろう社長)が二十九日までに、三笠フーズとグループ会社の辰之巳(東京)、両社の冬木三男ふゆき・みつお社長に計約十九億六千八百万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 西酒造は「事故米を食用として流通させてはならないのに、正規米に混ぜて食品加工米と偽って転売した」と不法行為責任を指摘している。問題発覚以降、三笠フーズ側を相手取った提訴が明らかになったのは初めて。

 訴状によると、西酒造は二月十六日から八月二十七日に、辰之巳が仲介した三笠フーズのコメ約八百二十トンを芋焼酎のこうじ原料用に購入し、九月七日に九州農政局鹿児島農政事務所から「事故米の混入が確実」との指摘を受けた。

 県などの検査では、商品の焼酎や残っていたコメに含まれる農薬やカビ毒は検出されなかったか基準値以下だったが、六―八月に製造した「薩摩宝山」約三十万本(一升瓶相当)の自主回収を余儀なくされ、消費者の商品買い控えなどで売り上げも減少した。

 西酒造は「低下させられた焼酎業界への信頼回復を図るためにも提訴した」としている。三笠フーズの財務担当者は「訴状を見ていないのでコメントできない」と話している。

中国産が「国産」に 汚染米、流通過程で偽装?

2008/09/21 中国新聞ニュ−ス
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 米粉加工販売会社「三笠フーズ」による汚染米の不正転売問題で、同社九州事業所から出荷された農薬メタミドホスで汚染された中国産のもち米が、多数の業者が介在する複雑な流通過程で「国産」に変わったケースが相次いでいることが二十一日、分かった。

 産地が偽装された疑いも浮上。食品の「国産信仰」を背景に、国産品として流通したことが汚染米の流通先拡大の一因になったとみられる。

 「最高レベルの品質として買った。国産100%との製品規格書ももらっていた」。兵庫県赤穂市の菓子製造業者は、汚染米と知らずに購入した米粉の産地が中国だと聞いて戸惑った。

 この業者に納入したのは兵庫県内の米粉販売会社。神戸市の米穀加工会社から国産品として一キロ百五十円で購入した、と説明。「中国産でこの価格だったら買うわけない」と話す。

 一方、販売した側の神戸市の米穀加工会社は「中国産の古米と伝えたはずだ。国産品がこんなに安いわけがない」と反論。双方の説明は異なり、産地がなぜ変わったのか真相は不明だ。

 熊本県のある米穀加工業者は「少し安くて中国産かと思ったが、卸業者を信頼した」と、同県内の業者から原料のコメを一キロ百五十円で購入。加工した米粉の袋に熊本産と表示した。「表示はコメの産地ではなく製粉場所」と説明するが、購入した熊本市の和菓子店は、国産の高級品と信じていた。

 行政が日本農林規格(JAS)法違反の疑いで調査に乗り出すケースも。宮崎県は、同県都城市の業者が中国産の汚染米を国産と偽って転売した疑いで調べている。

 三笠とは別に接着剤メーカー「浅井」(名古屋市)が出荷した中国産の汚染米が、国産品として京都市内の中学の給食に混入していた事例も明らかになった。

 大阪や奈良などでも国産品として流通したケースが出ている。

 関係者によると、コメの流通では長年、商品の現物を見ず伝票だけで取引し、産地は口頭で確認するだけだったという。「汚染米を拡大させた背景にこうした商慣習がある」との声もある。

 「ラベルが中身を決める。中身がラベルを決めるわけじゃない。それがコメの世界」。三笠フーズ関係者は漏らした。

日本の汚染米使用焼酎、中国が輸入停止…酒類検査も強化

2008年09月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=牧野田亨】中国国家品質監督検査検疫総局は19日、日本の工業用「事故米」の不正転売・譲渡問題で、原料に事故米が使われた「アサヒビール」(東京)の焼酎を輸入停止とするほか、有害物質の有無を中心に、日本から輸入される酒類の検査を強化すると発表した。

 この問題を受けて、中国が日本からの輸入品に対する具体的措置を取ったのは初めて。

 日本の事故米の問題は中国でも報道されている。汚染粉ミルク事件で、中国国内が動揺しながらも、「食の安全」に対する国民の意識が高まる中、輸入品に厳しく対処する姿勢を示す狙いがあるとみられる。

 同総局によると、事故米を使用した同社の焼酎は今年に入って中国に約3万3000本輸入された。このうち、市場に出回ったのは「さつま司」の504本。約1万6000本は倉庫に保管され、残りは港で検査中という。

コンビニおにぎりに汚染米 10万2000個、8県で販売

2008年09月18日 中国新聞ニュ−ス

 農薬などに汚染された事故米の不正転売問題で、米穀卸業者を通じて汚染米を購入した食品加工会社「シノブフーズ」(大阪市)が赤飯のおにぎり約10万2000個に加工し、8月までに東海地方を中心に8県のコンビニやスーパーで販売していたことが18日、愛知県の調査などで分かった。

 東海キヨスクは、運営するコンビニなどで扱ったシノブフーズの山菜おこわ弁当に、汚染米が使用された可能性があることを明らかにした。

 シノブフーズなどによると、汚染米はもち米で、「三笠フーズ」(大阪市)と「浅井」(名古屋市)が転売したものだった。おにぎりは「おむすび赤飯」と「おにぎり(赤飯)&いなり」の2商品で、石川、福井、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀の各県で販売。これまでに健康被害の連絡はない。

 シノブフーズは販売先を公表していないが、大学生協東海事業連合によると、東海地域の18大学の生協で「おむすび赤飯」を販売。病院などでコンビニを運営する「シダックスアイ」も東海3県の約30店舗で売った。

汚染米流通先の社長自殺 農水省の社名公表の夜

2008/09/17  中国新聞ニュ−ス

 三笠フーズ(大阪市)による汚染米の流通先として公表された奈良県広陵町の米穀販売会社「ナカガワ」の中川収一なかがわ・しゅういち社長(54)が十六日夜、自宅で首をつって自殺したことが十七日、分かった。

 農林水産省は十六日、汚染米の流通先の一つとして同社の社名を公表していた。

 香芝署によると、社長は汚染米問題が報道されて以降、家族に「死にたい」と漏らすなど、精神的に不安定な様子だったという。

 調べでは、十六日午後十一時五十分ごろ、広陵町の自宅二階の寝室で、中川社長が掃除機の電気コードで首をつっているのを長男(28)が発見した。社長は病院に運ばれたが、翌十七日午前零時三十五分、死亡が確認された。遺書は見つかっていない。

 ナカガワからもち米を仕入れていた広陵町の製菓業の男性によると、数日前に中川社長から謝罪の電話が入り、卸先業者に迷惑をかけたことを気に病んでいたという。男性は「社名公表が自殺の引き金になったのではないか。社長は犠牲者だ」と話した。

 同県天理市の米菓製造業の男性(52)も「中川社長はかなり憔悴しょうすいしていた。自殺したくなる気持ちは一緒。自分も食事がのどを通らない。社長は公表を嫌がっていたようだった」と話した。

 農水省奈良農政事務所の幹部は「消費者の安心のため公表に踏み切ったが、それが自殺の原因になったのであれば残念だ」と話した。

 ナカガワでは電話に出た女性が「答えられる人間がいない」とだけ話し、慌ただしく電話を切った。

汚染米600トン、食用で流通 近畿、東海、関東など24都府県

2008年09月16日 中国新聞ニュ−ス

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)による基準値を超えた農薬などに汚染された事故米不正転売問題で、同社が2003年度以降、政府から購入した汚染米の半分近くの約44%に当たる約622トンが食用として出回り、大半が消費されたことが16日、農林水産省調査の中間報告で分かった。農薬メタミドホスの汚染米の流通先では、給食用などのほか外食産業向けに使われたことも判明、消費者に大きな不安をさらに与えることになりそうだ。

 同省はカビ毒アフラトキシンと農薬アセタミプリドの汚染米についての調査は同日までにほぼ終了。流通経路が複雑なメタミドホスについて調査を継続している。これまでの調査で、汚染米は近畿、東海、関東など計24都府県に及ぶことが判明、汚染米が全国に拡散している実態が浮き彫りになった。

 農水省がこの日発表した中間報告によると、三笠が購入した汚染米は計約1408トン。このうちメタミドホスの汚染米は約800トンで、同社と流通先事業者の在庫や非食用としての流通を除いた135トンが食用として和菓子製造、給食事業者、外食業者など310社に出回り、大半が消費された。

ルート複雑、調査混迷…汚染米流通、20都府県に拡大

2008年09月15日 読売新聞 Yomiuri On-line

酒造会社、回収などの被害20億円超

 米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が汚染された工業用の「事故米」を食用と偽り転売していた問題で、14日、汚染米とその加工品が流通していたのは、判明分だけで20都府県に達した。健康被害は出ていないが、酒造会社が原料に使われた可能性のある焼酎や日本酒の回収を進めるなど影響は深刻で、各企業が見積もる被害総額は少なくとも9社で20億円にのぼる。流通ルートの複雑さから農林水産省の追跡調査も混迷を深め、全容解明には至っていない。消費者の不安は広がるばかりだ。

   手 口

 「上手にやればもうかる、ともちかけられた」

 三笠フーズの冬木三男社長(73)は、非常勤顧問(76)を名指しし、不正転売に手を染めたきっかけを、こう明かす。同社は2002年、事故米の購入資格をもっていた個人商店「宮崎商店」(福岡県)を買収。宮崎商店は、以前から事故米を不正転売しており、その経営者を非常勤顧問として雇い入れることで、手法を受け継いだという。

 手口は悪質だ。有機リン系殺虫剤「メタミドホス」に汚染された中国産もち米は、伝票だけの架空取引を介在させて食用に偽装し、二重帳簿も作成。カビ毒「アフラトキシン」や殺虫剤「アセタミプリド」に汚染されたうるち米は、食品加工用米に1割程度を“ブレンド”して販売していた。

 農水省の96回にわたる検査も、事故米を別の倉庫に移し替えるなどし、くぐり抜けていた。

   拡 散

 流通ルートに乗ったもち米は、「木の枝が分岐を繰り返すように」(米業者)全国に広がった。一部は、10業者を経由して近畿2府4県の病院や高齢者施設、保育園など計約120か所で給食として提供された。

 同社が06〜07年に政府から購入した工業用のもち米は食用に転用され、その後、業者間で転売が繰り返される間に「中国産」から「国産」、さらに「米国産」へと産地が変遷した。

 同時に、単価(1キロ)も上昇。三笠フーズが政府から購入した際は約9円だったが、病院や保育園などに納入していた給食会社「日清医療食品」(東京都)には約370円で売られた。

   影 響

 三笠フーズから出荷された事故米は、少なくとも20都府県に広がり、焼酎やあられ、もちなどに加工され、消費者の口に入った。

 アサヒビール(東京都)が「芋焼酎かのか 25度」など9銘柄計約65万本を回収しているほか、西酒造(鹿児島県)は、焼酎「薩摩宝山」を30万本、美少年酒造(熊本県)も日本酒「美少女」など8銘柄計約3万本の回収を余儀なくされ、「我々も被害者」と憤る。

 給食用にも納入され、保育園などの在庫から基準値の2倍にあたるメタミドホスが検出された例も。消費者の不安は広がるばかり。NPO「日本消費者連盟」などが、太田誠一農相と舛添要一厚労相に抗議声明を送るなど、国の対応への不満も噴出しつつある。

祭りのもちに汚染米 和歌山、基準の2倍

2008/09/15 中国新聞ニュ−ス

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)の汚染米転売問題で、和歌山市は十四日、市内の米穀店が大阪府の卸業者から購入したもち米の一部を検査した結果、残留農薬基準の倍の農薬メタミドホスが検出されたと発表した。

 和歌山市などによると、汚染米は米穀店が二―六月に七回にわたり、計二千二百五十キロを仕入れ、うち二千百五十六キロを三―七月に四回に分けて市内に布教本部がある「神路原こうろばら神社」に売った。

 神社によると、五月五日と八月二日の祭りで、信者や地元の住民約六千人に計数万個のもちを配布。少なくとも約五年前から、同じ米穀店のもち米を使っていたという。

 市が米穀店に残っていた在庫九十四キロを検査、メタミドホス〇・〇二ppmを検出した。市は「食べても問題のない値だが、速やかに回収して廃棄する」としている。健康被害の報告はないという。

 神社の田中光吉たなか・みつよし教会長代行は「もちに添加物を入れないなど、安全面に気を使っていただけに残念。二度とこうしたことが起きないよう、行政にしっかりと対応してほしい」と話している。

病院の回収米から農薬検出 産地も偽装、大阪府発表

2008/09/15 中国新聞ニュ−ス

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)の汚染米転売問題で、大阪府は十四日、府内の病院から回収された中国産もち米から基準値の倍の農薬メタミドホス〇・〇二ppmを検出した、と発表した。健康被害は報告されていない。

 府によると、京都市中京区の介護老人保健施設などに汚染米を納入した「日清医療食品」近畿支店(京都市)が、病院や福祉施設など府内四十四施設に汚染米を販売。大半が消費されていた。

 汚染米は「米国産」として販売されたが、府の調査によると、三笠フーズから数社を経て三トンを仕入れた大阪市内の米穀加工業者が、中国産から米国産に偽装した可能性が高いという。

 この業者が大阪府内の別の米穀販売業者に約七百キロを卸し、日清医療食品に転売されていた。

 府食の安全推進課は「残存する汚染米の回収を急ぐ」としている。

【汚染米不正転売】回収対象100万本 全容解明進まず

2008.09.14 MSN産経新聞

 事故米の不正転売は、次々に新たな流通先が発覚し、被害が拡大を続けている。汚染米を原料とした可能性があるとして自主回収対象となった食品は、焼酎だけでも100万本を超えた。消費者の不安は大きくなるばかりだが、複雑な流通経路の解明にはまだ時間がかかりそうだ。

回収はかどらず

 「消費者に一度販売した焼酎の回収はなかなか進まない」。事故米を仕入れた焼酎メーカー「抜群酒造」(鹿児島県)の担当者は怒りを込めて話す。

 回収対象が524本の同社でも難しいのに、大口のアサヒビールでは65万本、西酒造30万本に上る。焼酎だけでなく、アラレやヨモギ餅、給食などにも使われたことが発覚し、被害は甚大になった。

 当初、三笠フーズの不正転売は、有機リン酸系農薬メタミドホスやカビ毒アフラトキシンで汚染された299トンしか確認されていなかった。京都の保育園や119以上の医療・福祉施設などで、給食などとして提供された疑いがあるのは、このコメの一部。

 しかし、それだけではなかった。残留農薬アセタミプリドで汚染された米が、商社経由で三笠フーズに販売され、アサヒビールなどで使われた可能性も発覚。名古屋市の接着剤製造業者「浅井」など2社の不正まで判明した。

複雑な経路

 ほかにも三笠フーズの汚染米約970トンの流通先が全く明らかになっていない。汚染米問題では、すでに熊本県警が刑事告発を受けており、今後、刑事事件に発展する可能性が高いが、これだけ拡大した不正転売を、どこまで解明できるかは未知数だ。

 農水省の調査も難航している。仲介業者が多数介在し、伝票上だけの取引も多い複雑な販売ルート。出荷記録が時系列に並んでいないなどずさんな三笠フードの台帳。調査を阻む要因は数多いが、不正販売の全体像を把握しているのが、九州事業所の前所長1人だけという実態も、調査を遅らせている。ある幹部は「大量の伝票で事実確認しようにも、1人しか分からないんだから…」とこぼす。

公開も進まず

 混乱に拍車をかけているのが、農水省の対応だ。

 太田誠一農水相は「人体に影響はないから、じたばた騒いでいない」と発言して批判を浴びた。業者からの訴訟を懸念する農水省は、同意を得られた業者しか汚染米の流通先を公開しないため、消費者は未だに具体的に何に気をつけていいのか分からない状態に置かれている。

 今後、第三者を加えた調査委員会を設置し、監視体制を検証することも検討しているが、同省への批判は当面、収まりそうもない。

酒回収100万本 汚染米発覚10日、被害19都府県に

2008年09月14日 asahi.com

 農薬などに汚染された事故米が食用に転用されていた問題は、14日で発覚から10日目を迎える。朝日新聞が各都道府県や指定市に取材した結果、商品として出荷した可能性が高い企業や店舗と、その商品が出回った地域、事故米を食品として出していた施設は、少なくとも19都府県に広がっていることが分かった。

 問題は5日、米販売会社「三笠フーズ」(大阪市)による不正で明らかになった。その後、10日には、接着剤製造販売会社「浅井」(名古屋市)と、肥料製造会社「太田産業」(愛知県)の2社の計3ルートに広がった。

 酒造会社で被害に遭ったのは少なくとも9社。総計で100万本分を超す酒が自主回収の対象になっている。

 このうち最大なのは、アサヒビール(東京都)で、焼酎約65万本。福徳長酒類(同)の焼酎約8万本も回収対象になった。両社の商品の原酒は、西酒造(鹿児島県)が製造。同社も自社製品30万本分を回収中だ。このほか鹿児島県2社、熊本県3社、福岡県1社が焼酎や清酒に事故米を使っていた。

 近畿2府4県では病院や特別養護老人ホームなど約120の施設で、給食などに調理された事故米が患者や職員らの口に入っていた。

 このうち、京都市内の保育園と介護老人保健施設に残っていた中国産もち米から、基準値の2倍にあたる有機リン系農薬成分メタミドホスが検出された。両施設で赤飯やおはぎとして調理され、園児やお年寄りらが食べていた。

 鳥取県は13日、三笠フーズからの事故米が混ざった可能性があるもち米粉が、鳥取、島根、広島の和菓子店5店に売られていたと発表した。

 浅井が流通させた事故米も米菓やもちなどに加工され、京都、愛知、岐阜、三重など1府7、8県に広がったとみられる。太田産業の事故米は千葉県の業者で肥料や飼料になっていた。

汚染米拡大 農水省こそ“共犯”では

2008年09月13日 中日新聞

 不正転売された汚染米の被害は、病院や福祉施設にまで広がった。業者は言語道断だ。だが背景には、安全安心の守護者であるべき農林水産省が、食品や生活者に向き合う姿勢の甘さがある。

 「いったい何を信じればいいの」。消費者の叫び声である。

 残留農薬などによる汚染米の流通は近畿から東海にも及び、大手酒造会社は、原料に汚染米が混入した人気銘柄の焼酎六十五万本の自主回収に乗り出した。

 とりわけやり切れないのは、汚染米を使った食品が、特別養護老人ホームや病院にまで及んでいたことだ。楽しみにしていた赤飯やおはぎの中に毒物が混じっていたことを知らされたお年寄りたちの不安は、察するにあまりある。

 農水省は不正競争防止法違反の疑いで三笠フーズを刑事告発し、「根本的には事業者の食に対する認識不足」として「汚染米」の売買を全面的に禁止する方針などを打ち出した。だが、認識を欠いているのは、農水省も同じである。

 国際協定で輸入を強制されたミニマムアクセス(最低輸入量)米は、政府に課された重いノルマだ。しかし、「事故米」なら、国内農業に影響を与えずに、輸入義務量に計上できる。買い取ってくれる業者も、いわばありがたい存在だ。三笠フーズを筆頭にその数も限られており、“顔が見える関係”になりやすい。検査も甘くなるはずだ。そもそも食用にはできないものを、なぜ食品業者に卸すのか。安全よりもノルマを優先させた実態が、不正転売の温床だったと批判されても仕方がない。

 消費者軽視は他にもある。農水省は「残留農薬は基準値以下で、ただちに健康には影響がない」「風評被害の恐れがある」と、汚染米の転売先を全面開示していない。カドミウム汚染米の時も、牛海綿状脳症(BSE)でも、調査結果を十分公表しないまま「安全」と繰り返し、消費者の疑心暗鬼を招いたことに懲りていない。

 汚染米の流通実態を解明し、再発防止を徹底するために、国会の閉会中審査が必要だ。そして、消費者庁の創設を待つまでもなく、まず農水省自らが「食品」という特別な商品に対する認識を改めるべきだ。

 規制緩和、自由競争の流れの中で、生命や健康の基となる食品業界が特に、「利益至上」という“毒”に汚染されている。不正競争防止法では心もとないというのが実感だ。厳罰化もやむを得まい。

【事故米不正転売】鳥取・島根・広島の和菓子業者にも流通か

2008.09.13 MSN産経新聞

 鳥取県は13日、米粉加工販売会社「三笠フーズ」の汚染米が混ざった米粉220キロが鳥取県米子市の菓子材料業者を通じて同県や島根県、広島県の菓子製造業者に流れたとみられると発表した。

 昨年11月21日から12月25日にかけ兵庫県内の米穀加工業者が米子市内の菓子材料業者に納入した11袋220キロで、すでに菓子製造業者の手で、もちの生地など和菓子に加工され販売されていた。

 米子市の菓子材料業者は過去1年に鳥取県の2業者、島根県の2業者、広島県の1業者に正規米の粉29袋を含む計40袋800キロを販売。汚染米の混じった米粉がどこに流れたかは不明という。

 鳥取県くらしの安心推進課は「兵庫県の米穀加工業者が買い付けた時点ですでに汚染米の比率は5〜10%になっており、残留農薬の割合は低く、健康への影響はほとんどないと判断している」と話している。

汚染米の流通先拡大 愛知ルート、調査難航

2008/09/13 中国新聞ニュ−ス

 農薬やカビなどに汚染された事故米流通問題で、愛知県では二社による不正な取り扱いが発覚したが、再転売や業者の虚偽報告で実際の「米」の行方の特定が難しい。一部が食用になったことが判明するなど新たな流通先が次々に判明。農林水産省や各県の調査は後手に回り、経路をたどるには時間がかかりそうだ。

 「もちろん事故米と伝えた」。汚染米を転売した名古屋市の接着剤メーカー「浅井」が言えば、購入した三重県四日市市の仲介業者「ノノガキ穀販」の社長は「汚染米とは知らなかった。食用だと思った」と否定、主張は真っ向から対立する。

 調査にあたる東海農政局幹部は「双方ともいい子になろうとしている。両社とも(汚染米と)分かって売っていたはず」と不信感を隠さない。

 もう一社の肥料製造業者「太田産業」は当初、百トン超を複数業者に譲渡していたと説明していたが、一部が虚偽の譲渡だったことが十二日になって分かり、農政局は「もう一度確認しなくては」と困惑気味。

 焦点となっているのは浅井からノノガキが購入した汚染米約八百六十トン。社長は「食用関連の業者に販売した」と話した。一部は菓子会社で「あられ」に加工され、最大九万袋を回収する事態になった。

 さらに、農政局によると、浅井は「すべての米は破砕して売った」と話しているが、ノノガキから転売された一部業者は「破砕していない通常の米だった」と証言しているという。一般的な米飯用の米になった可能性も出ている。

 東海農政局幹部は「(流通先が)広がる可能性が高い。関係する業者に厳しい調査をしなければ」と頭を抱える。

汚染米、輸出国に返品 流通実態 週明け中間報告

2008年09月12日 東京新聞夕刊

 カビ毒や農薬で汚染された事故米の不正転売問題で、太田誠一農相は十二日の閣議後会見で、再発防止策として輸入検疫で汚染米が見つかった場合は輸出国に返送する方針を示した。また、汚染米を食用に転売した大阪市の米加工販売会社「三笠フーズ」と関連会社一社を、十一日に不正競争防止法違反の疑いで熊本県警に告発したと正式に発表した。 

 保管中にカビが生えるなどした事故米の取り扱いについて、太田農相は「取引の相手を限定する。それも難しければ焼却も考えられる」と述べ、売却先を工業用のりや肥料製造業者に限定するか、すべて廃棄する方向で検討していることを明らかにした。

 熊本県警への告発については、三笠フーズなどが同県城南町の酒造会社「美少年酒造」に汚染米を販売した件が対象とし、「今後は捜査当局とも連携し、不正行為の実態解明に向けて最大限努力していきたい」と述べた。三笠フーズの拠点がある大阪、福岡両府県警への告発については「同じ案件なら必要ない」との考えを示した。

 会見後、太田農相は、検査や分析業務を担当する農水省所管団体の代表者を集めた会議で、検査の徹底や体制の強化を指示した。

            ◇

 町村信孝官房長官は十二日午前の記者会見で、米粉加工会社「三笠フーズ」(大阪市北区)など三社が「汚染米」を不正転売した問題で、農林水産省が進めている流通実態に関する調査について「来週初めには中間発表をしたい」と述べた。

京都の保育園に汚染米 濃度低く被害報告なし

2008/09/12 中国新聞ニュ−ス

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)が農薬やカビ毒で汚染された事故米を転売していた問題で、京都市は十二日、同社の転売先が上賀茂保育園(京都市北区)に納入した中国産もち米から、残留農薬基準〇・〇一ppmの倍の〇・〇二ppmの農薬メタミドホスを検出したと発表した。

 市は「毎日、一生食べ続けても安全な量」としている。健康被害の報告はないという。

 同保育園には昨年十二月―今年八月の四回、計十三キロが納入された。大半はイベントで赤飯やおこわなどとして消費され、市は残っていたもち米の提供を受け、検査していた。

汚染米、病院給食に 近畿の119カ所に転売

2008/09/11 中国新聞ニュ−ス

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)が農薬やカビ毒で汚染された事故米を転売していた問題で、事故米を含む中国産もち米少なくとも七百四キロが、東京の給食大手「日清にっしん医療食品」から近畿二府四県の病院や高齢者福祉施設百十九カ所に納入され、食用として大半が既に消費されたことが十一日、分かった。

 同社には保健所から「農薬メタミドホスに汚染している可能性がある」と連絡があったという。

 加工原料以外で、汚染の可能性があるもち米が食用に消費されたことが初めて判明。消費量は今後さらに膨らむ可能性が高いとみられる。これまでに健康被害は確認されていない。

 大阪府などによると、問題のコメは三笠フーズが販売し、複数の仲介業者を通して大阪府の業務用食品卸会社がことし五―八月、約七百キロを購入。五―九月にほぼ同量がこの会社から日清医療食品に卸された。

 同社は滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山各府県の病院や高齢者施設百十九カ所で給食を提供していたが、今月八日夜になって仕入れ先の食品卸会社から「コメを使わないでくれ。代替品を用意する」と電話があり、事態を把握したという。

 約七百キロのうち、堺市の高齢者施設四カ所にはもち米二十三キロが納入され、市が調査した結果、既に赤飯などにしてすべて消費されたことが判明。

 大阪市では、病院九カ所と高齢者施設四カ所の計十三施設に伝票上は約七十二キロが納入されているが、市がこれまでに確認できた在庫は約六キロだけだった。日清医療食品は、ほとんど消費されたとみている。

 各府県の自治体は十一日、施設への立ち入りや聞き取り調査を進め、事実関係の確認を急いでいる。

焼酎から農薬不検出、鹿児島の酒造メーカー「ほっ」

2008年09月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)グループが農薬などに汚染された「事故米」を食用に転用していた問題で、事故米を製造過程で使っていた酒造メーカーの焼酎について、県が「農薬は検出されなかった」との検査結果を発表した10日、各メーカーは一様に安堵(あんど)の表情を見せた。

 製品が検査を受けたのは、西酒造(日置市)、喜界島酒造(喜界町)、西平本家(奄美市)。結果では「メタミドホス」と「アセタミプリド」の2種類の農薬は含まれておらず、カビ毒の「アフラトキシン」については引き続き検査中。

 喜界島酒造の上園田慶太社長(42)は「まだカビ毒の検査はあるが、とりあえず、ほっとした」と胸をなで下ろした。「タンクに貯蔵している製品を処分するかどうか、については、今後、流通ルートやどのくらい事故米が混入していたのかなど農水省の最終見解を待って判断したい」と話した。

 西平本家の中村千枝子社長も「本当に安心した。お客様の口に入っていたらどうしようと思っていた。今後一切このようなことが起きないようにしてほしい」と表情を引き締めた。

 鹿児島酒造(鹿児島市)は、三笠フーズからサンプルとして事故米を受け取っていたが、焼酎づくりには使ってなかった。

アサヒ、焼酎を自主回収 原料に汚染米、影響拡大

2008/09/11 中国新聞ニュ−ス

 アサヒビールが販売している焼酎の原料に、残留農薬などが含まれた事故米を不正転売していた米粉加工業者、三笠フーズ(大阪市)の汚染米が使用されていたことが判明、アサヒビールは十一日、対象商品の販売を中止し、自主回収に乗り出した。回収するのは焼酎の「さつま司」や「かのか」など四ブランドで約六十五万本。

 アサヒビールは「当社の検査では原酒から残留農薬は検出されていない」としているが、消費者に不安を与えないよう回収に踏み切った。回収費用や廃棄など焼酎の自主回収に伴う損失額が計約十五億円に上ることを明らかにした。汚染米転売問題で大手飲料メーカーが自主回収に追い込まれたのは初めてで、問題の影響が拡大、事態は一層深刻化している。

 回収するのは、「さつま司」「かのか」と「とんぼの昼寝」「ちょこべこ」の四ブランド。

 アサヒビールは、これらをグループ企業で生産しているが、原酒の製造は焼酎メーカー「西酒造」(鹿児島県日置市)に一部委託している。三笠フーズと取引があった西酒造から十日、焼酎用のこうじ米の一部に汚染米が含まれていたと連絡があり、西酒造の原酒を使用している今年六月以降の出荷商品を対象に、回収することになった。

 問い合わせ先は、アサヒビール「お客さま相談室」、フリーダイヤル(0120)011121。

愛知の2社も不正販売 汚染米問題で農水省公表

2008/09/10 中国新聞ニュ−ス

 米粉加工業者の三笠フーズ(大阪市)が農薬、カビ毒に汚染された事故米を食用に不正転売していた問題で、農林水産省は十日、事故米取扱業者「浅井」(名古屋市)と、同業の「太田産業」(愛知県)の二社が購入した汚染米を不正販売していた、と発表した。

 汚染米の不正販売は、三笠フーズ以外にも拡大、合計で三社となり、問題は深刻化している。

 農水省によると、浅井は二〇〇三年度から〇七年度にかけ「工業用のり」に使途を限定した売買契約を農水省と結び、事故米計一千二百九十七トンを購入。このうち農薬メタミドホスの汚染米五百七十トンを米穀仲介業者「ノノガキ穀販」(三重県)に販売した。

 浅井は農水省に対し「のり以外の工業用として販売した」と話しているといい、同省は使途をのりに限定した契約に違反した不正販売と判断。問題のコメが食用として出回っていないか調査を進める。太田産業は汚染米を本来認められていない肥料に自社で加工し、販売したという。

三笠フーズが全従業員解雇 2工場も操業停止

2008/09/10 中国新聞ニュ−ス

 農薬やカビ毒で汚染されたコメを不正転売していた米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)は九日、社員、パートを含む全従業員計約百人を同日付で解雇したことを明らかにした。

 財務担当者は「混乱の中で、従業員の経済的な保障のめどがたたなくなった」と説明。解雇した社員の一部を契約社員として採用し、事業は継続していくという。

 汚染米を出荷していた福岡県筑前町の九州事業所の工場と、大阪府豊中市の炊飯工場も九日、操業を停止した。

 財務担当者によると、解雇されたのは、二工場のパート従業員計約六十人と、グループ会社を含めた社員計約四十人。九日までに退職金を支払う準備ができたという。

 不正が明らかになった五日から、同社には取引先から「汚染米が混入しているかもしれない」「不正をした会社と取引はできない」などの声が相次いでいた。

 豊中市の工場では、炊飯や冷凍をしたコメを、大阪府北部や兵庫県東部の外食店、回転ずしのチェーン店など八十―百店舗に出荷していた。

 担当者は「受注減で稼働率悪化の恐れもあり、一時的に止めざるを得ない」と説明している。

 九州事業所の工場は、福岡県から汚染米の回収命令を受けていた。

三笠フーズが全従業員を解雇

2008/09/09 中国新聞ニュ−ス

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」は九日、社員、パートを含め全従業員約百人を解雇したことを明らかにした。

豊中の炊飯工場を操業停止 三笠フーズ、クレーム受け

2008/09/09 中国新聞ニュ−ス

 農薬やカビ毒で汚染されたコメの不正転売問題で、米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)は九日、取引先からクレームが多く寄せられていることを受け、大阪府豊中市の炊飯工場を同日朝から操業停止にしたことを明らかにした。

 財務担当者によると、同工場に約五十人のパート従業員がいるが、同社は解雇する方針。不正転売が明らかになった五日から「汚染米が混入しているかもしれない」「不正をした会社と取引はできない」などの声が相次いでいるという。

 工場では、炊飯や冷凍をしたコメを、大阪府北部や兵庫県東部の外食店、回転ずしのチェーン店など八十―百店舗に出荷していた。

 担当者は「受注減で稼働率悪化の恐れもあり、一時的に止めざるを得ない」と説明している。

 九日午後の同工場では、従業員の出入りもまばら。パート従業員の女性は「今日は制服を取りに来ただけ。会社からは何も説明がない」と話し、詳しい状況が分からず困惑した様子だった。

 汚染米を出荷した同社九州事業所の工場は、福岡県の命令を受け回収作業を続けており、事実上、操業を停止している。

「美少年」にも混入の疑い 熊本の会社、3万本回収へ

2008/09/09 中国新聞ニュ−ス

 三笠フーズ(大阪市)の汚染米転売問題で、熊本県城南町の美少年酒造は九日記者会見し、同社が八月七日以降に出荷した清酒一・八リットル瓶三万本分に汚染米が混入していた疑いが強いことを明らかにした。同社は当該商品の出荷を自粛、自主回収を始める。

 同社によると、混入の疑いがあるのは「美少年佳撰」「美少女」「木原山の鬼ころし」など七銘柄。三笠フーズのグループ会社の米穀卸会社辰之巳たつのみ(大阪市)から一月三十一日―五月七日に計六回に分けて購入した三二・四トンの米で製造した。

 出荷先の約六割が県外で主に首都圏。約三十八万本分が在庫として残っており、自主回収や在庫廃棄の費用などを含め被害額は約一億円になるという。

 九州農政局から八日「仕入れ伝票などを調べたところ事故米とほぼ一致」との報告を受けた。辰之巳は、再三の問い合わせに対し発覚直前まで「事故米は一切入っていない」と回答していたという。

 美少年酒造は「三十数年間の付き合いだったのに裏切られた。大きい憤りを感じる」として、刑事告発も検討するという。

仕入れ3円、販売70円 三笠フーズの汚染米商法

2008/09/09 中国新聞ニュ−ス

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)が農薬、カビ毒に汚染された事故米を食用に不正転売した問題で、同社が関連会社経由で一キロ当たり約三 ―十二円で仕入れた汚染米を鹿児島県内の焼酎メーカーに同七十円程度で売却していた可能性が強いことが九日、関係者の話で分かった。他の業者に対しても同様の手口を繰り返していたとみられ、農林水産省から安く仕入れた「非食用米」を「食用米」と偽り、巨額の利ざやを稼ぐ構図が明らかになった。

 太田誠一農相は同日の閣議後記者会見で、不正転売していた同社に違約金を請求する方針を表明。請求額は数千万円に上るとみられる。

 農水省は事故米を売却する際、工業用に用途を限定した契約を三笠フーズと結んでおり、食用への転用は契約違反。契約に基づき、食用に販売して得た金額と工業用に販売した際の差額に30%のペナルティーを上乗せした額を請求する。

 関係者によると、この焼酎メーカーは数年前から三笠フーズの関連会社の米穀卸会社と取引を開始。一キロ当たり七十円程度で米穀卸会社からコメを購入しており、「県の酒造組合から買えば一キロ当たり約八十円はする。(三笠フーズ経由の)価格の安さは認識していたが、不自然だとは思わなかった」と話している。

 農水省によると、この焼酎メーカーが購入したのは、カビ毒アフラトキシンが検出されたベトナム産の汚染米。

 三笠フーズは二〇〇四年四月から今年五月にかけ、四回にわたりベトナム産の事故米を合計で約二十トン同省から購入。

 購入金額は一キロ当たり三―十二円だった。このうち約三・四トンがアフラトキシンに汚染されていたが、三笠フーズは焼酎メーカー二社に売却していた。

汚染米ほぼ全量不正転売も 食品業者倉庫で50トン発見

2008/09/08 中国新聞ニュ−ス

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)が農薬、カビ毒に汚染された事故米を食用に不正転売した問題で、同社の財務担当者は七日、佐賀県の工業用のりメーカーに帳簿上、販売したことになっている汚染米約三百五十トンのうち、約五十トンが福岡県の食品加工会社の倉庫で見つかったことを明らかにした。

 約三百五十トンは、三笠フーズが既に販売した汚染米のほぼ全量に当たり、残る三百トンもこのメーカーを経由した形で食用に不正転売された疑いが出てきた。

 財務担当者によると、福岡農政事務所が八月二十九日、食品加工会社の倉庫で汚染米を発見。約三十キロの袋入りで、袋の表示から三笠フーズが販売したものと分かった。米は、三笠フーズが売った汚染米のほとんどを占める、殺虫剤メタミドホスに汚染された「もち米」だった。

 担当者は、三笠フーズが出荷前に汚染米の検査をしていたことを指摘し「のり用であれば、安全確認の検査は必要ない。全量が(食用に)転売された疑いが強い」と説明。「このメーカーを通じて汚染米が動いている可能性がある」とも指摘した。

 汚染米があった福岡県の食品加工会社については「正規の食用米と信じて買ったと思う」と話した。

 農林水産省で確認できる二〇〇三年度以降の資料によると、三笠フーズが政府から買った事故米は合計約千七百七十九トン。このうち、汚染米は半分近い八〇九・五トンで、殺虫剤メタミドホス汚染のもち米が約八百トン、カビ毒アフラトキシン汚染の「うるち米」は約九・五トンだった。もち米は約三百五十トン、うるち米は約三・八トンを既に販売、ほかは在庫として残っている。

事故米転売:汚染米、関西の菓子会社にも 農水省伝票把握

2008年09月08日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 米卸売加工会社「三笠フーズ」(大阪市北区)の事故米転売問題で、仲介業者や米穀店に転売された事故米が、関西地方の米菓メーカーや和菓子メーカーにも渡っている可能性が高いことが農林水産省の調査で分かった。これまで焼酎メーカーへの販売が分かっていたが、新たに菓子への使用の恐れが発覚した。一方、粉処理をしていない餅米約135トンが米穀店などに食用として残っていたことも判明。転売量は少なくとも約433トンに上る。農水省は「食品衛生法違反の疑いがある」としてさらに追及する。

 農水省によると、三笠フーズは04年2月〜今年8月、事故米を粉にして工業用のりの原料に加工する契約で、国から非食用の事故米計約1779トンを購入。ところが実際は、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」に汚染された米少なくとも約295トンを佐賀県の仲介業者に、発がん性のカビ毒「アフラトキシンB1」に汚染された米約3トンを鹿児島県の焼酎メーカーなどに転売したことが確認されている。

 佐賀県の仲介業者に転売された事故米は、福岡県の米穀店に販売され、さらに兵庫県の仲介業者などに渡っていた。農水省でその先の販売先について調べたところ、事故米の流通を示す伝票などの書類に関西地方の複数の米菓や和菓子メーカーが記されていた。農水省は三笠フーズの伝票や帳簿などを基に流通経路や事故米の使途などを調べている。

 一方、メタミドホスに汚染された事故米約135トンが、福岡県や関西地方の仲介業者や米穀店などに食用の餅米として残っていたことが確認された。

 農水省は三笠フーズでの加工に立ち会って確認していたが、新たに判明した135トンはすべて契約に違反して餅米のままだった。農水省は「三笠フーズは契約に違反した上、食用に流していた。食品衛生法違反の疑いがある」と指摘、詳しく調べている。【奥山智己、根本毅】

三笠フーズ、汚染米700トンを正規米に混ぜて販売

2008年09月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が工業用の「事故米」を食用に転売していた問題で、同社が過去5年間に、カビが生えるなどした工業用のうるち米約700トンを、外国産の正規の食品加工用米に混ぜて販売していたことがわかった。

 混入率は1割程度といい、同社幹部は「仕入れ値の安い事故米を混ぜることで原価を下げ、価格競争に勝つためだった」としている。

 同社によると、2003〜07年度の間、カビや汚損による異臭を理由に用途を工業用に限定された、うるち米計約980トンを購入。このうち、少なくとも約700トンについて、カビを除去したり洗浄したりした後、米菓や焼酎などに使われる食品加工用米に混ぜて、熊本、鹿児島県の焼酎メーカーや大阪市内の米穀店などに販売したという。

 同社は正規の食品加工用米を年間約4000トン販売しているが、取引先との価格交渉で値引きを迫られた時や在庫が足りなくなった時に少量を混ぜていた。

 洗浄しても正規米とは色合いが異なるため、メーカーの抜き取り検査などで発覚しないよう、混入は1割程度に抑えていた。多額の値引きが必要な場合には混入量を増やすなど調整。取引先には「企業努力で値を下げた」と説明していたという。同社は事故米を混入した食用米の販売総量は不明としているが、ほとんどがすでに消費されたとみられる。

 コメの販売価格は正規の食品加工用で1キロ当たり50〜70円、工業用のりで30円。同社は事故米を1キロ当たり十数円で仕入れ、本来の工業用でなく、食品加工用として売ることで多額の利ざやを得ていたとみられる。

事故米は6社に転売 農水省、5社の社名公表

2008/09/07 NIKKEI NeT

 農林水産省は8日、カビ毒や残留農薬で汚染された「事故米」を三笠フーズが焼酎メーカーの少なくとも6社に転売していたことを明らかにし、うち合意が得られた5社の社名を公表した。

 三笠フーズからアフラトキシンが検出された事故米を購入していたのは喜界島酒造(鹿児島県)、西酒造(同)の2社。基準値を超える殺虫剤のアセタミプリドが検出された事故米を購入していたのは喜界島酒造、西酒造のほか、光酒造(福岡県)、抜群酒造合資会社(熊本県)、六調子酒造(同)の5社。

 西酒造は同日、事故米を原料に使った焼酎「薩摩宝山」を全量、回収することを明らかにした。損失額は約4億円に上るという。

 回収する焼酎は今年6月13日から8月22日までに瓶詰めされた。数量は1.8リットル瓶換算で約30万本。(15:02)

三笠フーズ「汚染米」転売、10年前から…元責任者認める

2008年09月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が、発がん性のあるカビ毒や残留農薬に汚染された工業用の「事故米」を食用と偽り転売していた問題で、同社の非常勤顧問(76)が6日、読売新聞の取材に応じ、同社が約10年前から不正転売をしていたことを明らかにした。

 さらに「事故米転売は他の複数の業者も行っていた」と話し、業界で不正が横行していた疑いも指摘した。一方、農林水産省が、事故米の加工・流通状況を確認する検査に際し、日程を業者に事前連絡していたこともわかった。同社は、事前に用意した「裏帳簿」を見せるなどして不正発覚を免れており、農水省は「チェック体制が甘かった」と不備を認めた。

 この顧問は、福岡県で米穀飼料を製造販売する個人商店を経営していた。1997年に三笠フーズに買収され、顧問は98年ごろから2006、07年ごろまで三笠フーズ九州工場の責任者を務めた。冬木三男社長が6日の記者会見で、不正転売の提案者と指摘した人物の一人。冬木社長は会見で、不正が始まった時期を「5〜6年前から」と説明。顧問の証言とは食い違っており、事故米の取り扱いを始めた当初から、転売が行われていた疑いが強まった。

 顧問は「(個人商店を経営していた)1985年ごろから、カビの生えたコメの中からきれいなコメだけを選び、食用に転売していた。他の複数の業者も行っていた」と、業界で不正が横行していたとした。

 さらに、約2年前には、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が残留するコメについて、「冬木社長から『どうにか、食用で販売したい』と持ちかけられた」と証言。検査機関で残留農薬を測定したところ、国の基準値を下回っていたため、1年半前から販売を始めたという。顧問は「農薬の残留状況を確認しており、健康に問題はなかったはず。購入業者も薄々気づきながら、値段の安さを優先して買ったのではないか」と話している。

 ◆農水省、検査日程を事前連絡◆

 この問題では、事故米に関する農水省の流通経路調査の甘さも露呈した。

 農水省によると、事故米は、政府が毎年、輸入するよう義務付けられた「ミニマム・アクセス米」と呼ばれる外国産米と備蓄用などに買い上げた国産米のうち、基準値を超える残留農薬が検出されたり、保管中にカビが生えたりしたコメを指す。このうち、食用に適さなくなったものは工業用のりの原料や家畜飼料などとして、国から業者に売却されている。

 工業・飼料用は、焼酎やせんべいへの加工用のコメよりも安価なため、農水省は、用途通り使われているかどうか検査することを内規で義務付けている。

 各地の農政事務所は、管轄地域の購入業者から加工計画書の提出を受け、加工作業に立ち会って点検するほか、在庫量と加工数量、販売状況などを帳簿で確認する。しかし、抜き打ち検査や販売先の調査は規定になく、検査は事前に連絡された後行われていた。

 農水省は「抜き打ち検査をするなど厳しくしたい」と検査方法の見直しに着手した。

汚染米転売で利ざや、298トンで1500万円

2008年09月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が、工業用の「事故米」を食用に転売していた問題で、同社は現時点で食用への転用が確実とみられる約298トン分の取引だけで1500万円前後の差益を得ていた可能性があることが6日、分かった。

 農林水産省によると、カビ毒「アフラトキシン」が検出されたうるち米の場合、9トンをわずか4万円で購入しており、安く仕入れた事故米を焼酎メーカーなどに転売して利ざやを稼いでいたとみられる。

 同省によると、事故米の価格は、管理する各農政事務所職員が米の劣化状況などから見積もり、入札や随意契約などで業者に売却するという。事故米の中でも、残留農薬の濃度が高かったり、品質が著しく悪かったりして食用に適さない「工業用」は特に安い。

 同社の場合、2003〜08年度、53回にわけて計約1779トンの事故米を約1946万円で購入。このうちカビ毒「アフラトキシン」が検出されたうるち米9トンを4万円で、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が基準値の5倍(0・05ppm)の濃度で検出された中国産のモチ米800トンを712万円で購入しており、平均単価は1キロ約8・8円となる。

 一方、焼酎や菓子、みそなどの原料として売買される加工用米は産地によって値段にばらつきがあるが、政府が関税・貿易一般協定(ガット)のウルグアイ・ラウンド合意に沿って輸入し、毎月販売している「ミニマム・アクセス(MA)米」の場合、相場は1キロ当たり100円前後。

 同社では、事故米を1キロ70〜50円で売ったと説明しており、この通りなら、不正転売が確認された約298トンの取引で得た差益は、約1800万〜1200万円に上る計算になる。

汚染米転売、三笠フーズ社長が会見で不正関与認める

2008年09月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が、発がん性のあるカビ毒や基準値を超える残留農薬が検出された工業用の「事故米」を食用と偽って転売していた問題で、同社の冬木三男社長が6日午前、大阪市内で記者会見し、「私が転売を指示した。すべて私の責任」と、不正への関与を認めた。転用は5〜6年前から始め、事故米による健康被害の危険性を認識しながらも、安価な事故米を悪用して利ざや稼ぎを続けていたことを明かした。

 冬木社長は冒頭、「国民の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわび申し上げます」と謝罪。事故米による健康被害の危険性について「(認識は)若干あった」と話した。

 10年ほど前、経営の苦しい九州の業者を買収してから事故米の取り扱いを開始。その後、経営が苦しくなったために、「九州の工場の部下から食用への転用を提案された」と明かした。「1キロ十数円で仕入れた事故米を30〜50円で販売した。米粉にすると、さらに15円ほど高く売れた」と話した。不正発覚を防ぐための二重帳簿や記録の偽造も「私の指示」と語った。

 農水省などによると、同社は2003〜08年度、中国やベトナムなどから輸入され、工業用に限定された事故米計約1779トンを政府から購入。このうち、カビ毒「アフラトキシン」が検出された約3トンを鹿児島、熊本両県の焼酎会社に転売、基準値を超える有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出された約295トンを食用として佐賀県の仲介業者に販売していた。

基準5倍のメタミドホスも検出、「工業米」を食用転売

2008年09月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 大阪市北区の米穀加工販売会社「三笠フーズ」が、基準値を超える残留農薬が検出されたり、カビが生えたりしているため、工業用の使用に限定された「事故米」を、食用と偽って転売していたことが分かった。

 5日、農林水産省が発表した。

 現時点では健康被害は確認されていないが、同社の九州工場がある福岡県は同日、食品衛生法(有害食品などの販売)に基づき、転売したコメやその加工品の回収を命じた。

 同省では同法違反容疑で大阪府警、福岡県警に同社を告発する方針。

 農水省の調査に対し、冬木三男社長は「私の指示でやらせました」と認めているという。

 同省によると、同社は2003〜08年度、工業用ののりの製造などに使うとして政府から事故米計約1779トンを購入。このうち、発がん性のあるカビ毒「アフラトキシン」が検出されていた9トンのうち計約3トンを鹿児島、熊本両県の焼酎会社4社に転売していた。

 また、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が暫定基準値(0・01ppm)の5倍(0・05ppm)検出された中国産のモチ米計約800トンのうち、約295トン分が転売され、菓子の原料の米粉などとして利用された疑いがあるという。

 同省によると、同社では二重帳簿の作成や記録の偽造が行われており、会社ぐるみで不正の発覚を防ごうとしていた可能性もあるという。


カドミウム:福井・越前市産のコメから検出 県が調査へ

2005年10月13日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 農水省は13日、福井県越前市で生産された米から、食品衛生法の食用の基準(1ppm未満)を超える濃度のカドミウムが検出されたと発表した。国の調査で基準値を上回る結果が出たのは02年の山形県最上町以来3年ぶり。汚染米1.2トンは市場に流通しておらず、すべて焼却処分される。米の品種は発表しなかった。

 同市内の1地区(生産者37人)でとれた米を36地点に分け、それぞれ調査したところ、1地点(30アール)で1.2ppmを検出した。他はいずれも0.4ppm未満だった。

 同地区では、03年の調査で、非食用として処理する準汚染米(0.4ppm以上1ppm未満)に該当する0.47ppmが1地点で検出されたことから、重点調査の対象地区とされたが、昨年はいずれも0.4ppm未満だった。今後は、同県が土壌、水、肥料などを調べ原因を究明する。【兵頭和行】

カドミウム米:対立データ無視 強引に結論づけ 厚労省研究班

2002年07月27日 Mainichi INTERACTIVE
 コメのカドミウム濃度の安全基準を探る厚生労働省の研究班の研究で、カドミ濃度がほぼ同じコメを食べている人で、尿のカドミ濃度が2倍以上も違うなど、データに矛盾があることが分かった。研究班は食い違った理由を検証せず、一つのデータをもとに「0.4ppm未満のコメを食べ続けても腎臓の機能障害が増える証拠はない」と結論づけた。強引な結論づけに批判もあり、コメのカドミ濃度の安全基準の見直し論議にも影響を与えそうだ。

 研究では中小企業などの従業員の健康診断を行っている「京都工場保健会」などのグループが全国10地区で約1万人、自治医科大のグループが5地区で約1400人の女性の尿のカドミ濃度を調べた。

 尿のカドミ濃度は、筋肉から出るクレアチニンという物質を指標にして、尿中のクレアチニンとカドミウムの重量比で表す。京都工場保健会の測定では、平均0.04ppm程度のコメを食べているとみられる地域の人の尿のカドミ濃度は、クレアチニン1グラムあたり平均1マイクログラム(マイクロは100万分の1)程度だった。ところが、自治医大の測定では、平均0.03ppm程度のコメを食べている地域の人の尿のカドミ濃度が、同2.6マイクログラムもあった。

 京都工場保健会の調査対象者はほとんど0.1ppm未満のコメしか食べていなかったが、尿のカドミ濃度が高い人ほど、腎臓の機能異常を示す特殊なたんぱく質の量が多かった。一方、自治医大の調査対象者の食べていたコメのカドミ濃度はやや高く0・4ppmを超える場合もあったが、尿のカドミ濃度と特殊なたんぱく質の量に関係は見られなかった。

 0.1ppm未満のコメを食べている人は尿のカドミ濃度と腎臓の機能障害に関係があるのに、やや高い濃度のコメを食べている人で関係がないという矛盾するデータだが、研究班は0.4ppm付近のコメの安全性について自治医大のデータを採用し、「0.4ppmまでのコメなら食べても腎機能の異常は増えない」と結論づけた。

 京都工場保健会は00年1月に測定の精度を調べるドイツの専門機関のテストに合格。自治医大が測定を依頼した国内の測定会社は、外部の精度テストを受けていない。

 研究班の主任研究者を務める櫻井治彦・労働衛生調査分析センター所長は「データが食い違ったのは残念だが、0.4ppmまで安全という結果に影響しない」と話すが、専門家からは「信頼性に疑問のあるデータをもとに結論を出したのはおかしい」と批判が出ている。

カドミウム米:実験失敗、許容摂取量示せず 厚労省研究班

2002年07月20日 Mainichi INTERACTIVE
 コメに含まれるカドミウムの人体への影響を調べた厚生労働省の研究班が、食物中のカドミウムが腸でどれだけ吸収されるかを求める実験に失敗し、摂取しても健康に影響が出ないカドミウムの量(許容摂取量)を示すことができなかったことが分かった。食品の国際規格を決めるコーデックス委員会が提案したカドミウムのコメの安全基準「0・2ppm」に対案を示すための研究だったが、重要なデータが得られなかったことで、厳しい国際基準案に対抗する根拠が失われた形だ。

 食物に含まれるカドミウムは一部が腸で吸収され、体内に蓄積されて腎臓の機能障害などを起こす。腸で多くのカドミウムが吸収されるとすれば厳しい基準が必要だが、吸収量が少ないなら緩い基準でいいことになる。

 このため、研究班は昨年9月、25人の女性にカドミ濃度の分かっている食物だけを食べてもらい、食事に含まれるカドミウムの量と尿や便に出たカドミウムの量を比較した。その結果、平均して食物に含まれるカドミウムの24%が腸で吸収されたという結果が出た。

 ところが、この結果はカドミウムの吸収率を5〜10%としたこれまでの動物実験の結果とかけ離れているうえ、人によっては吸収率が80%を超えるなど、データのばらつきも多かった。

 「こんなに吸収率が高いはずはない。このデータから許容摂取量は計算できない」と研究班の主任研究者の櫻井治彦・労働衛生調査分析センター所長は実験が失敗に終わったことを認めている。

 コーデックス委員会が提案した安全基準「0・2ppm」は、WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)合同の専門家委員会がカドミウムの吸収率を5〜10%と仮定して計算した許容摂取量に基づいている。

 研究班はこれとは別にカドミ濃度0・4ppm以下のコメを食べ続けても腎臓の機能障害が増えた証拠はないとする調査をまとめているが、櫻井所長は「この調査では許容摂取量を増やしていいといえない」と話す。

 厚労省はコメに含まれるカドミウムの安全基準(1ppm未満)の見直しを進めているが、実験の失敗で「0・2ppm」を覆す根拠がなくなり、厳しい基準を求める声が高まりそうだ。

カドミウム米:腎臓への影響“黙殺” 「証拠ない」 厚労省

2002年07月14日 Mainichi INTERACTIVE
 コメに含まれるカドミウムの影響を調査した厚生労働省の研究班が、低濃度(0.4ppm未満)のカドミウム米でも腎臓に悪影響を及ぼす可能性を示すデータがあるのに、「害がある証拠はない」と結論づけていたことが分かった。「カドミウム以外の元素が原因である可能性を排除できない」という理由だが、カドミウム以外の元素の毒性には言及しておらず、専門家からは「カドミウムの影響を示すデータを曲解している」と批判が出ている。

 このデータはコメのカドミ濃度の安全基準(1ppm未満)を再検討する材料にするため、厚労省研究班が6月にまとめた。00〜01年、全国10地域の女性約1万人の尿のカドミウム、マグネシウムなどの濃度と腎臓の機能との関係を調べた。対象者はいずれもカドミウムによる汚染がないとされる地域の女性で、カドミ濃度が0.4ppm未満のコメを食べているとみられる。

 尿のカドミ濃度によって対象者を五つのグループに分け、腎臓機能の異常を示す特殊なたんぱく質の量を比較したところ、カドミ濃度の高いグループほど、たんぱく質の量が多かった。

 たんぱく質の量が「異常」の目安とされる値を超えた人も200人以上にのぼった。目安を超えた人の割合は、尿のカドミ濃度が最低のグループ(1158人)では1.1%(13人)だったが、最高グループ(309人)では4.5%(14人)に達し、濃度が高いグループほど高かった。

 一方、マグネシウムなども、尿中の濃度が高いほど腎臓機能の異常を示すたんぱく質が増える傾向があった。

 カドミウムの腎臓への毒性は広く知られているが、マグネシウムなどが腎臓に害があるというデータはない。

 しかし、研究班は「たんぱく質の増加は、マグネシウムなどの影響である可能性もあり、カドミウムが原因と言い切れない」と結論づけた。

 これに対し、千葉大の能川浩二教授(環境労働衛生学)は「マグネシウムは腎機能異常に関係ない。このデータで低濃度でもカドミウムを摂取すれば腎臓機能の異常が増えることが明らかになった。コメの安全基準値はかなり低く設定すべきことを示している」と話している。 【カドミウム汚染取材班】

カドミウム:食糧庁、調査データ公表せず

2002年05月28日Mainichi INTERACTIVE
 米のカドミウム濃度の国際的な安全基準が検討されているのを受け、食糧庁は97〜98年、国産米のカドミ濃度を探る大規模な全国調査を行ったが、詳細な結果の公表を拒んでいる。同庁は「公表を前提にした調査でない」と説明するが、カドミ濃度が0・4ppm以上の「準汚染米」が自治体の検査でたびたび発見されており、同庁が毎年実施している小規模な調査で、汚染を十分チェックできないことは明らか。基本的な情報を公開しない同庁の姿勢が問われそうだ。 【カドミウム汚染取材班】

輸入米の流通を一時中止 食糧庁、コメ袋から鉛

2002/01/25河北新報
 食糧庁は25日、米国からの輸入米をこん包していた袋の一部に食品衛生法の基準を超える鉛が含まれていたとして、すべての輸入米の販売、流通を一時中止すると発表した。同日付で卸売り業者などに要請した。

 問題の鉛は、カリフォルニア産米をこん包していた袋から見つかり、食品衛生法の基準値である100ppmを超える鉛が検出された。袋の中のコメの安全性に問題はなかったという。

 同庁は、輸入米の袋のすべての種類を調査し、安全性が確認されたものから販売、流通の中止を解除する方針。ただ流通は少なくとも一週間は凍結するとみられ、一部の飲食店などには影響が出そうだ。

広州:当局、350トンの汚染米を全力で捜査中

2001/08/01(水)中国情報局
  多維持新聞社7月31日の報道によると、発癌性物質を含む恐れのある汚染米353.6トンが広州市場に流入したとの情報はほぼ確実となり、7月30日より広州市工商局の各部門が衛生免疫部門と協力して市内の貯蔵庫、生産、流通販売状況について虱潰しに捜査を行っている。

  汚染米の出所や流通が複雑なことから、広東省は30日に衛生部に報告し、汚染米が更なる市場流入を防ぐよう江西、湖南、広西などの各省にも調査協力を要請した。

  米の販売市場24カ所に対する検査の結果、泰京米業加工工場による汚染米4袋計60キロ、泰京米業加工工場と港興精米工場による米はすべて押収となった。

  広東省衛生監督所にはすでに多数の市民から汚染米に関する通報を受けており、同市工商局は、市民に指定した加工工場の米や問題のありそうな米の食用を止め、吐き気、嘔吐などの症状があればすぐ病院に行くよう訴えている。同局は今後さらに捜査を続け、市民にも注意を呼びかけていくかまえ。

維持か廃止か削減か――コメの最低義務輸入に議論白熱2000.10.25(19:19)asahi.com
 維持か、廃止か、削減か――。来年にも始まる世界貿易機関(WTO)での新しい貿易交渉に向け、1993年に受け入れたコメの最低義務輸入(ミニマムアクセス、MA)をどうするか、自民党、農水省、農協団体間の議論が熱を帯びている。自民党や農協団体の一部には「MA米が国内のコメ市場を圧迫しており、廃止すべきだ」との声が強いが、農水省は「廃止を主張すれば関税率の大幅引き下げなど、より大きな譲歩を迫られかねない」と慎重だ。来夏の参院選を控え、農家受けする「廃止」論が同党内で強まる可能性は高く、日本が農業分野の交渉方針を表明する期限の12月中に結論が出せるか、微妙な情勢だ。

農業白書、日本的食生活への回帰や食糧自給率向上訴える

00:43a.m. JST April 05, 2000
 玉沢徳一郎農水相は4日、1999年度の「食料・農業・農村の動向に関する年次報告」(農業白書)を閣議に提出し、了承された。今回は「農業白書」というより「食生活白書」の性格を前面に出したところに特徴がある。「飽食」と言われる現代の食生活の現状を紹介しながら、日本的食生活への回帰や食糧自給率の向上を訴える内容で、「食」を通じて国民に農業の重要性を再認識してもらうことを狙っている。

 白書はまず、戦後、急激に洋風化を遂げた食生活の変化をさまざまなデータで検証。20―40代で、脂肪の摂取比率が適正比率の上限を上回っている現状などを紹介し、健康の観点から、国内産農産物を中心にした「日本型食生活」への回帰を訴えている。

 さらに、子どもたちの間に「欠食」「孤食」が目立つ現状や、レタスやキャベツなどの名前がわからない子が増えているというアンケート結果も紹介。食べ残しなど「食料ロス(むだ)」の問題にも触れ、「食の教育」の必要性を指摘した。


カドミ米調査結果を公表  食糧庁

(2000/03/28)朝日新聞
 有害物質カドミウムが米にどの程度含まれているかを毎年調べている食糧庁は3月28日、これまで非公表だった調査結果を公表することとし、2000年産以降実施するために、自治体や農協などと協議する方針を明らかにした。これまでの調査結果が同庁の内部資料とされていたことから、「消費者に必要な情報が提供されないのはおかしい」などの批判があった。

 カドミウム米調査は1993年産米からはじまった。食糧庁が全国の水田からサンプルを採取して分析し、汚染米の分布を内部資料として把握するもので、食糧衛生法に触れる1ppm以上が検出された地点の米は、市場への流通が禁止されていた。

 調査にあたっては、サンプルの採取などで自治体や農協団体の協力を得ている。同庁によると、調査結果の公表を前提として調査し、環境基準以上のカドミウムが検出されると産地の米価が下がり、売れ行きが悪くなるおそれがあるため、地元が協力を渋ることもあって非公表としていた。しかし、各都道府県条例などによって情報公開制度が進み、また消費者の食の安全に対する関心が高まったこともあって公開することとした。

基準超えるカドミウム汚染米、秋田の3カ所で検出

8:35p.m. JST March 28, 2000asahi.com
 秋田県は28日、食糧庁が全国で行った1999年産米のカドミウム濃度調査の結果、同県内の3カ所で生産された「あきたこまち」から、食品衛生法の基準(1.0ppm)を超える汚染米が検出された、と発表した。全国でほかに汚染米が検出された地点はなかった。同県は焼却処分するか、非食用として処分するとしている。

 調査は、食糧庁が96年から98年の間の調査で高濃度のカドミウムが出たことのある「特定地域」で936カ所、そのほかの一般地域で1000カ所実施。その結果、いずれも同県の特定地域に当たる鹿角市蟹沢で2.3ppm、同市下モ平で1.1ppm、角館町雫田で1.5ppmが検出され、汚染米の量は計5.67トンになったという。

カドミウム汚染米であきた経済連が「回収」誤信させる文

3:49p.m. JST March 23, 2000
 秋田県協和町の1998年産米から国の安全基準を上回るカドミウム汚染米が検出され、その一部が市場に流通していた問題で、JAあきた経済連が汚染米を全量回収し処分したかのように誤信させる文書を、全国の米卸売業者やスーパーなどに送っていたことが、23日わかった。県農政部は「経済連は汚染米が流通しているのを知っているはずで、見識を疑う」としている。

 同県のカドミ汚染米については今月14日、テレビで「一部汚染米が市場へ流通した」と報道された。これを見た全国20カ所の米卸業者などから同経済連に見解を求める問い合わせがあった。

 問題の文書はこれに対する回答書にあたり、「(汚染米は)産地倉庫に保管されていたものと、流通途上のものを回収し、焼却処分している」とあり、全量が回収、処分されたとも受け取れる内容になっている。

 同経済連の斎藤誠吾米穀部長は「汚染米が市場に出たのが、今更どのくらいあるのかなんて言えない。安心させなければいけないと思った。誤解を与えるようならば訂正する」と話している。

 県農政部が経済連と合同で追跡調査した結果、汚染米の量は7.35トン。このうち、回収できずに流通した恐れのある汚染米は5.07トンだったとされる。

◆秋田県が10年産カドミ汚染米の調査報告- 99年11月30日 -
 秋田県農政部は11月26日、仙北郡協和町下荒川地域(高台で水系の独立した圃場)で収穫された10年産米から、1.2ppmのカドミウム濃度が検出された問題で調査状況を報告した。

 県の事実確認調査では、消費されていない分に対して採りうる措置として、経済連が福島県内に保管依頼していた米から当該生産者の米6.57トンを回収し、現在、県農業試験場においてカドミウム濃度を分析中であること、卸売業者の段階で当該生産者の米の在庫がないことを説明。

 当該圃場に対する土壌汚染対策については、カドミウム吸収抑制資材(ケイカル、ようりん)の投入や適切な水管理を行った結果、11年産米のカドミウム濃度は0.336ppmとなっていると説明。また、当該圃場周辺の63.4haについての調査の結果からは、基準値を超える汚染米は検出されなかったとしている。

カドミウム米 by平成11年度 第28回知事記者会見録(定例) 平成11年11月22日(13:00〜13:35)by美の国 秋田ネット
 昨年産の協和町産のあきたこまちからカドミウムが基準値を超えて検出された件

 1ppm以上のものは県が全部焼却処分をする。0.4から1.0未満は国が、食糧庁が管理をするというシステムがもう出来あがってます.

食環境科学

[4]重金属汚染
(3)カドミウム汚染
 1970  カドミウム米汚染         (食ハンド、総安)
      暫定許容摂取基準0.3mg
      玄米1.0ppm 白米0.9ppm
-
 99/12  宮城県 97年産米 0.1ppmを超えるカドミウムを検出
 00/3  秋田県 98年産米 1.0ppm汚染を公表せず


コメ自給率は横ばい96% 2000年2月12日

10時26分 共同通信社
 農水省がコメ消費の減少傾向などを前提に試算した2010年度時点の食料の品目別自給率(重量ベース)の推計値が11日、明らかになった。コメはほぼ現状維持の96%(1998年度は95%)、小麦も9%(同9%)と横ばいだが、肉類は49%(同55%)に下がり、魚介類(食用)は97年度の60%から50%に大幅低下すると予測している。

輸入米の14%から農薬、市民団体調査

1994年10月23日 (共同通信社)佐賀新聞
 昨年からことしにかけての緊急輸入米約二百五十五万dのうち、推計で一四%の約三十六万dから農薬が検出されていたことを市民団体が二十二日までに明らかにした。調査結果を公表したのは食品の残留農薬問題に取り組んでいる「日本子孫基金」(東京都千代田区、小若順一事務局長)。

 いずれも国内の農薬取締法などの基準を超えていないが、同基金は「収穫後に農薬をかけるポストハーベスト処理されている」と批判している。

 輸入米について厚生省は船ごとにサンプルを取り、残留農薬検査を行ってきた。同基金はこれらの検査データと食糧庁が公表している輸入米の到着港と積載量を示した資料を突き合わせ、サンプル調査で農薬が検出された船の積載量全体を汚染米≠ニ推計した。

 検出された農薬は有機リン系殺虫剤のマラチオン、フェニトロチオン、クロルピリホス、殺菌剤のイソプロチオランなど七種。いずれも食品衛生法と農薬取締法の基準を超えていないが、最も多く検出されたマラチオン(基準値○・一ppm)は五月六日に名古屋港に入ったカリフォルニア米一万二千dから○・一ppm、四月三十日に小樽港に入った中国米五千二百dから○・○九ppm検出され、基準すれすれのものもあった。 国別に見ると、農薬が検出されたのは米国とオーストラリア米では約七%だったのに対し、中国米は約二六%と多く、タイ米はゼロ。

 同基金の小若事務局長は「マラチオンは国産米なら検出されない。ポストハーベスト処理は収穫前に使われる農薬より残留しやすく、健康への影響が心配」と話している。

 厚生省検疫所業務管理室の道野英司衛生専門官は「すべて基準以下で、食品衛生法上は問題ない」としている。

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