TOPIC No.3-17 電磁波の影響


01.ケータイ大国日本は大丈夫か?徹底追求!「携帯電話」と「電磁波」 2000年07月 by Web現代
02.結論:ケータイは-H"の100倍の電磁波出してます。byDDIpocketが一番さっ♪
03.がんと電磁波 by 旅からす 二上 次郎 の世界
04.電磁波ってなに? by有限会社 彩健康倶楽部(さいけんこうくらぶ)
05.★阿修羅♪ 見えない電磁波の危険性
06.BEMSJの「電磁波(電磁界)の健康影響」講座
07.電磁波 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
08.電磁波なび -電磁波による健康への関わりについての情報を収集し、不安のない、快適な生活を送っていくためのポータルサイト-
09.身近な問題「電磁波と健康」by株式会社 生活環境研究所

カナダの発明家が前立腺ガンを防ぐオートバイ座席の特許を英国で取得(Chipkar)

[2008/01/20] IP NEXT

 英国で、カナダの発明者Randall Dale Chipkar氏が発明した革新的な「電磁波防御オートバイ座席」に特許が査定された。これは、電磁場放射線がバイカーの重要な身体器官に突き抜けるのを防御することを目的とした発明だ。

 Chipkar氏は、「英国で、私のビジョンに共有してもらえたことに感謝している。バイカーにとって深刻な健康問題を認識いただき感謝している。私は世界中のバイカーを守ることを目指しており、今回はその大きな第一歩となった」語った。

 同氏はまた、「さまざまな種類の極低周波 (ELF) 電磁場(EMF)放射線は、ガンを始めとする健康障害と関連している。多くのオートバイは、座席を通じ過度のELF EMF放射線を発生させ、放射線はバイカーの足の付け根および胴体に突き抜ける。前立腺は放射線被害を受ける座席に最も近い繊細な分泌線であり、大きな懸念となっている。また結腸とその周辺器官も危険にさらされている」と指摘した。

 ELF EMF放射線の近接被爆は不自然なものであり、長期間にわたると重大な生物学的影響を及ぼす。現在、大手調査機関は、ELF EMF電磁場は発がん性があるという意見を支持している。オートバイに乗ることが好きだからといって健康をリスクにさらすわけにはない。消費者の安全が優先されるべきだ。

「ELF EMF電磁場は、鋼鉄や鉛さえ突き抜ける。高度に精製された素材のみが、この発がん性のある放射線から劇的なまでにわれわれを防御できる。このたび特許が査定され、われわれは積極的にこの革新的な防御座席を販売し、バイカーに安心を提供することが出来る」

 チプカー氏は、「この座席が消費者にすぐに届くことが保証される限り、この世界特許の一部をライセンスまたは譲渡する可能性も考慮している。この新しい座席が、バイカーの安全性を高める方向へと自転車業界を激変させることを期待している」としている。

電磁波の健康影響調査を 米科学アカデミーが報告書

2008年01月19日 中国新聞ニュース

 【ワシントン18日共同】米科学アカデミーは18日までに、パソコンでの無線通信や携帯電話の利用が急速に拡大する中、これらの機器が発する高周波電磁波が子どもや妊婦の健康に及ぼす影響を研究する必要があるとする報告書をまとめた。

 高周波電磁波による健康被害は、従来の研究で明確に確認されてはいない。今回も具体的な被害を指摘したわけではないが、米食品医薬品局(FDA)からの要請に基づき、未解明の健康影響について研究の在り方を示した。

 報告書は、これまでは大人を対象に短期的な影響を調べた研究が多いとして、成長期からこうした機器の利用を始める現代の子どもへの長期的な影響や、機器の多様化で複数の電磁波を浴びた際の副作用を重点的に検証する必要があるとした。

電磁波測定「曙サイト」公開

2008/01/18 中国新聞地域ニュース

 三菱電機エンジニアリング福山事業所(福山市)は17日、福山市曙町に建設していた、電気・電子機器から発する電磁波を測定する大型電波暗室「曙サイト」を公開した。中四国地方最大規模の施設で、機械メーカーの利用を見込む。21日から運営する。電磁波が他の機器や人体に与える影響を考慮して、許容値を規制している各国のEMC(電磁環境適合性)規格に基づいた適合試験などを行う。

電磁波の影響探れ 2月福岡市でシンポ

2008年01月10日 西日本新聞朝刊

 電磁波が人体に及ぼす影響について考えようと、福岡県内の市民グループでつくる実行委員会は2月3日、福岡市中央区天神1丁目のエルガーラ・中ホールで、「電磁波の健康影響を考えるシンポジウム」を開く。入場券は前売り1000円、当日1200円。

 実行委によると、電磁波の影響については、世界保健機関(WHO)が昨年6月、小児白血病との関連性が否定できないとして、送電線などから発生する極低周波電磁波の新しい環境保健基準を発表した。しかし、国内では関連性が明確でないとして急性影響についてだけの、緩やかな磁界規制しか検討されていないという。

 実行委には、福岡県内の市民グループ8団体が参加。シンポでは、市民一人一人がWHO勧告や、電磁波の健康への影響をどう考えればいいのかについて専門家の意見を聞く。

 シンポは午後1時から同4時半まで。チェルノブイリ事故や核問題などを追跡しているジャーナリストの広河隆一氏が「電磁波被害を取材して‐チェルノブイリから門真まで」と題して基調講演。その後、国の規制方針などについてのパネルディスカッションをする。

 問い合わせや入場券予約は、いのちと環境を守る福岡ネットワーク事務局=092(567)8350。

杭州匯城、日本の電磁波防護用品の特許権を買収

2008/01/09 News China

 杭州匯城企業は、このほど巨額を投資し日本の世界的電磁波防護用品ブランド「パルスクリーン」の中国国内での特許権・販売権を単独で買収した。

 現在、エアコン・自動車・携帯電話・コンピュータなどのハイテク製品により便利さを享受できる一方、電磁波に起因する身体的な被害は、大気汚染・騒音被害・都市生活によるストレス総合症と並んで「都市四大文明病」の一つといわれるようになった。関係資料によると、中国消費者協会が情報産業省静電気防護用品質量監督検査センターなどの機関に依頼し、現在市販されている10種類余りのブランドのコンピュータ電磁波防護シートの性能について検査・測定したところ、70%のシートに静電気防護作用しかなく、電磁波と人体との接触を防護することができないことがわかった。中国の電磁波防護市場は空白地帯であり、「パルスクリーン」の中国市場進出の最大の動機となっている。

 伝えられるところでは、「パルスクリーン」の作用原理は遮断ではなく、電磁波の吸収であり、電磁波が生み出すプラスイオンなど有害成分の中和とのこと。現在「パルスクリーン」はすでに中国市場の開発に乗り出そうとしている。その起点となる杭州の市民は、中国で最も早くこの製品による利益を享受することになる。(編集L/D)

組立式の電磁波シールド トキメック子会社が販売

2007/12/27 FujiSankei Business i.

 トキメックの全額出資子会社で、電磁波シールド機器などを製造するトキメックアビエーション(埼玉県飯能市)は、組立式の電磁波シールドテントを開発、販売を開始した。研究所などで簡単に設営して実験ができるなど使い勝手が高い。

 電磁波シールドテント「アンティエミー SR353T」=写真=は、キャンプで使用するテントのようにフレームに、部屋状に縫い合わせたシールド素材を吊り下げることによって簡単に設営ができる。簡易型ながら電磁波を35デシベル以上減衰させるなど、十分なシールド性能を確保している。

 工事不要で任意の場所にシールドルームが設営できるため、工場や研究所で電子機器や通信機器の電磁波に関連する性能検査が場所を選ばずに行える利点がある。

 また既設のシールドルームにシールドテントを設けて二重化すれば、シールド性能をより強化するなどの使い方もできる。

 組立時の大きさは縦、奥行き、高さともに2メートル。重量約21キログラム。価格はオープンプライスだが、55万円程度の見込み。

磁界の制限値は不要 経産省専門家グループ

2007年12月05日 中国新聞ニュース

 送配電線などから発生する超低周波電磁波(磁界)のうち、低レベルの磁界による長期的な健康影響に関し、経済産業省の専門家作業グループは5日、「国際的にも因果関係は確立されていない」として、制限値を設けて規制する必要はないとの報告書案をまとめた。

 低レベルの磁界でも長期間さらされていると小児白血病の発症率が高くなるとの疫学研究結果があるが、作業グループは「研究の手法に疑問があり、経産省が実施した動物実験などでも影響があるとの結果は出ていない」としている。

 ただ、幼稚園や小学校など子どもが集まる場所の近くなどに電力設備を設置する場合は、住民との合意に努力するよう求めた。

 強い磁界による急性の健康影響については、経産省は既に制限値を設けて規制することを決めている。

電磁波対策の法整備を勧告 白血病と関連否定できず

2007/06/17 The Sankei Shimbun

 電子レンジなど電化製品や高圧送電線が出す超低周波電磁波の人体影響について、世界保健機関(WHO)が「小児白血病発症との関連が否定できない」として、各国に対策法の整備など予防的な措置を取ることを求める勧告を盛り込んだ「環境保健基準」を十七日までにまとめた。電磁波の長期的な健康影響についての初の国際指針で、十八日にも公開する。

 WHOは、具体的な規制値は示さなかったものの、日本や米国などでの疫学調査から「常時平均〇・三―〇・四マイクロテスラ以上の電磁波にさらされていると小児白血病の発症率が二倍になる」との研究結果を支持。「電磁波と健康被害の直接の因果関係は認められないが、関連は否定できず、予防的な対策が必要だ」と結論づけた。

 経済産業省は今月、作業班を設置して送電線周辺の超低周波磁界規制の検討を始めたばかり。電磁波の人体影響に着目した規制がない日本も対策を迫られることになる。

 WHOによると、通常の使用状況で電磁波が強いのは、ヘアドライヤーや電気かみそり、掃除機、電子レンジなど。電子レンジから三十センチで四―八マイクロテスラの電磁波を浴びる。テレビは一メートルの距離で〇・〇一―〇・一五マイクロテスラ。

 環境保健基準は、高圧送電線から住宅地や学校などの施設を一定の距離を置くなどの対策を講じているイタリア、オランダなどの例を紹介。テレビや電気カーペットなどの電化製品に電磁波レベルの表示を義務付けることも含め、各国に市民の電磁波暴露を減らすための法律を整備するよう求めた。

 WHOは、米国の高圧線付近で小児白血病の発症例が多いとの報告を受けて一九九六年から、電磁波が人体に与える影響を調査していた。

 携帯電話などが発する高周波の電磁波が人体に及ぼす影響についても調査を進めており、来年にも調査結果をまとめて発表する予定だ。

上海リニア新線、「騒音と電磁波」で沿線住民不安

2007/06/16(土) 中国情報局

 上海−杭州間で建設を予定しているリニアモーターカー新線で、上海市街地を中心に住民が不安を募らせている。問題とされているのは騒音と電磁波の影響で、当局が安全基準を変更したことも、不安を増大させる原因になっているようだ。

 上海−杭州間のリニア新線は上海市の中心部の閔行区や黄浦区も通過する計画だ。2003年12月に施行された「上海市都市計画管理技術規則」では、「リニア線の軌道中心線から50メートル以内の新規建築、改築は認めない」と定められた。しかし、新線の建設計画で当局が示した移転対象となる基準ラインは、22.5メートルだった。

 リニアモーターカーの営業時最高時速は430キロメートルだが、は専門家は200キロメートルで運転しても、軌道中心22.5メートルの距離で、騒音は上海市の環境基準に達すると指摘。市民からは「なぜ、50メートルの基準が22.5メートルになったのか」との疑問が出ている。

 一方、電磁波の影響で、専門家は3メートルの距離があればテレビやドライヤーなど一般家電から受けるレベル以下と説明。しかし、「電磁波による障害は長期的に現れる」との説もあることから、閔行区にあり予定されているリニア路線から最も近い部分で24メートルの位置にある錦鴻マンションの住民は集会を開き、「建設に反対はしないが、モルモットにはなりたくない」との考えを示した。

 また、22.5メートルライン以内の住民を立ち退かせるとして、対象は閔行区だけでも1200戸、50メートルならば6000戸に上るため、補償費などによる建設コストの増大を懸念する声もある。

 同線では、国家環境保護総局の張力軍・副局長が13日、環境アセスメントを受理したことを明らかにした。一方、閔行区政府は24日、建設が一時中止になっと発表したが、上海市政府は否定したとされる。(編集担当:如月隼人)

上海−杭州リニアプロジェクト、電磁波放射問題で一時中止

2007年05月29日 IB Times

 上海市閔行区政府弁公室はこのほど、上海−杭州リニアプロジェクトを一時的に中止したことを明らかにした。世間の関心を集めた電磁波放射の問題に関して、現在は政府関連部門が研究を進めているが、これがリニアプロジェクト一時中止の原因のひとつとなった。

 閔行区政府関係者によると、上海−杭州リニア構想が発表されてから、区政府は確かに大きな壁にぶつかったという。多くの人々が連日陳情に詰めかけ、今年3月にはその数は5000人を上回った日もあった。

 国家発展改革委員会(発改委)交通運輸司の王慶雲・司長は、「上海−杭州リニアは現在、工事に関しては研究段階にあり、国務院から認可を受けたのは立案プロジェクトのみ。今後は工事の審査許可と初期設計という2つの段階に進むが、建設が実現するかについては何とも言い難い。たとえ実現しても、2010年までに竣工することはないだろう」と語っている。(日中経済通信)

携帯電話は22センチ離して 医療機器への影響防ぐ指針発表

2005/08/11 The Sankei Shimbun

 総務省は11日、携帯電話や非接触型集積回路(IC)カードの電波が、心臓ペースメーカーなど埋め込み式の医療機器に与える影響を防ぐための指針を発表した。

 携帯電話やPHSは心臓ペースメーカーの装着部位から22センチ以上、非接触型ICカードは12センチ以上離すことを明記した。携帯電話を首に掛けたり、胸のポケットに入れ持ち運ぶことは避けるべきだとしている。

 総務省は電波の影響を調べた結果としてこうした基準を発表してきており、22センチといった数字は携帯電話の説明書などにも書かれている。

 指針には、埋め込み式医療機器の装着者が、書店などが万引を防ぐために設置しているゲートを通る際は「立ち止まらずゲートの中央をまっすぐ通過すること」との注意も盛り込んだ。(共同)

電磁波過敏症:未解明部分多く 予防を呼びかける専門家も

2005年1月17日 Mainichi INTERACTIVE

 家電製品や携帯電話などから出るわずかな電磁波を感じて体の異常を訴える「電磁波過敏症」と呼ばれる人たちがいる。まだ診断が難しく、症状と電磁波の因果関係は未解明な部分が多いが、予防や対策を呼びかける専門家もいる。(Mainichi Shimbun)

 <<引っ越し5回>>

 「電線の下を通るだけで激しい頭痛がする」というのは、千葉県富津市に住む税理士、佐野睦男さん(70)。93年から、胸が焼けるような原因不明の痛みが続いた。当時住んでいた神奈川県鎌倉市から東京都三鷹市の病院などに通ったが、電車に乗るのも苦しい。96年に知人から「電磁波のせいでは」と言われ、思い当たる節があった。自宅1階を食堂などに貸しており、2階の寝室は1階の営業用冷蔵庫や蛍光灯の真上。窓のすぐ外には高圧線があった。「床を通じてかなりの電磁波を浴びていたわけです」と佐野さん。

 こうした環境から逃れるため、5回の引っ越しを繰り返した。家の中でも電磁波測定器の針の振れが少ない所で寝る生活。昨秋、今の自宅にようやく落ち着いた。痛みからは解放されたが、用心して眠る時は家の電源ブレーカーを落とす。「電磁波を感じて」パソコンが使えないため、仕事は電卓で。電車は床下にモーターがない車両に乗り、町では頭上に高圧線がないことを確認して歩く。

 電磁波過敏症は90年ごろ米国で命名されたが、症状を訴える人はそれ以前からいたという。

 <<脳血流に変化>>

 北里研究所病院・臨床環境医学センター(東京都港区)は03年、日本子孫基金(現・食品と暮らしの安全基金)との共同研究で電磁波による脳の血流量変化を調べた。健康な人と電磁波過敏症の症状を訴える人5人ずつに、16ヘルツ〜1メガヘルツの電磁波をタイミングを知らせず浴びせる。健康な人は1人を除いて変化はなかったが、電磁波に対して過敏性があると自覚している人は全員が電磁波を浴びた時点で血流量が減るなど変化し、最大40%減った人もいた。研究に携わった坂部貢・北里大学教授は「まだ症例が少なく、血流量変化と症状の科学的な関連性もよく分かりませんが、今後、診断方法を確立する糸口になれば」と語る。

 患者の自覚症状以外に診断基準がなく、従来「電磁波が有害という思い込み」などとして心因性の病気や自律神経失調症などと診断されることが多かった。症状も頭痛・胸痛、疲労・倦怠(けんたい)感、不眠、指などの震え、どうき・息切れ、目や歯や関節の痛み、皮膚の乾燥など個人差が大きい。科学ジャーナリストの植田武智さんは、スウェーデン電磁波過敏症協会の「電磁波過敏症の兆候」の項目を示し「電磁波から遠ざかり、休む以外にまだ治療法がない。心当たりがあれば、電気製品の使用時間を減らすなど、注意した方がいい」としている。

 00年に「電磁波過敏症ネットワーク」を設立した市民団体「ガウスネット 電磁波問題全国ネットワーク」の懸樋哲夫(かけひてつお)代表は「ガウスネットのメンバー1000人のうち電磁波過敏症の方は約100人。明確な数字はないが、過敏症の人は増えているのでは」とみる。

 <<脳腫瘍の発生率>>

 健康への影響が議論される電磁波は、携帯電話や電子レンジなどのマイクロ波、家電製品や送電線などの超低周波だ。04年、スウェーデンの研究機関が「10年以上携帯電話を使った場合、脳腫瘍(しゅよう)の一種である聴神経鞘腫(しょうしゅ)の発生率は約2倍」などとする疫学調査結果を発表した。電磁波の発がん性に関し、国際がん研究機構(IARC)が進める国際的調査の一環で、日本でも総務省が生体電磁環境研究推進委を中心に実施している。各国の調査結果が出そろい、IARCなどからの報告を受けて、世界保健機関(WHO)が携帯電話などの「環境健康基準」を公式に発表するのは08年ごろといわれている。IARCは現状では超低周波の磁場を「グループ2B」(人間に対して発がん性の可能性がある)に分類するにとどまっている。

 総務省は「携帯電話などの電磁波については、現在の科学的知見では今の規制で適切。ただ、未解明部分もあるので研究を続けたい」とする。同省が03年にラットの脳に電磁波を当てた実験では「携帯電話の電磁波では脳内の微小血管径や血流速度に影響は認められない」という結果だった。動物や細胞の実験では、論争に決着をつけるような決定的な結果は出ていない。

 一方、電力各社で組織する電気事業連合会では「疫学調査だけでなく、動物や細胞の実験を通じて因果関係を解明する必要がある。今のところ、動物実験などで居住環境での商用周波電磁界が人の健康に悪影響を及ぼすという再現性のある結果は得られていない」としたうえで「疫学調査には、病気との関連性を認める報告と認めない報告が混在する。関連性を認める報告でも、電磁界による影響とそれ以外の要因の影響を分離できていない場合もある。国内の送電線などからの電磁波は国際的なガイドラインより十分低い値になっており、安全な範囲と考えています」と話している。

 <<疑わしきは……>>

 「日本では疫学調査を軽視する傾向がある。動物実験なども多くは長期間にわたる電磁波の影響を明確に検証できるようなものではない。より実際的な実験方式を考え、危険の疑いがあれば、積極的に規制をかけるべきだ」と訴えるのは、財務省診療所チーフカウンセラーの精神科医、栗原雅直さん(74)だ。

 60歳で病院を退職した時、「寝る前の読書用に」と子供からインバーター付きの蛍光灯スタンドをプレゼントされた。「使い始めた直後から眠りが浅く、歯ぎしりや頻尿に悩まされた」。前立腺肥大を疑って検査を受けると「老化現象」との診断。その後、スタンドのスイッチを切ってもかすかに蛍光管が光っているのを見た栗原さんは「原因はこれかもと思い、白熱灯に変えたら症状はあらかた消えました」。以来、電磁波の健康への影響に関心を持つようになった。

 電気的、生化学的な“精密機械”である人体が電磁波の影響で「誤動作」を始める、と主張する論者もいる。栗原さんは「電磁波過敏症の患者は、炭坑内のカナリアと同様に電磁波の危険性をいち早く知らせてくれているのかも。行政や医療関係者は、彼らの声に真剣に耳を傾ける努力が必要です」と語った。

8歳以下は使用を控えて 携帯電話の健康影響で英機関

2005/01/12 The Sankei Shimbun

 英政府の独立機関、英国放射線防護局(NRPB)のスチュアート理事長は11日の記者会見で、携帯電話の電磁波が人体に危険を及ぼす確たる証拠はないとしながらも、子どもの使用に注意を呼び掛け、特に8歳以下には使わせるべきでないと保護者に警告した。

 NRPBがこの日発表した報告書「携帯電話と健康」に関する会見で語った。これを受け、英国内の子ども向け携帯電話業者が自主的に販売を一時見合わせるなど、社会的反響も広がっている。

 報告書は、携帯電話が人体に危険を及ぼすという「確たる証拠は目下のところない」としながらも「不確実性も残っており、はっきりするまでは予防的なアプローチが必要」とした。

 PA通信によると、理事長は携帯電話の人体への影響を指摘したこれまでの研究を「完全に無視することはできない」と述べ、3歳から8歳までの幼児・児童が携帯を持つことは「絶対に正当化できない」と訴えた。

 同時に携帯電話が防犯に有用であることを認めた上で、14歳以下については親が判断し、使う場合もできるだけ短時間にして、携帯メールを多用するよう訴えた。

 販売が一時中止された子ども向け携帯電話は緊急時の連絡用に開発されたもので、業者は「安全だとは信じるが、子どもの健康を害する可能性がわずかでもあるなら見過ごせない」と話した。(共同)

 <総務省、国内業者は静観>

 電磁波の人体への影響に関連し、英国放射線防護局の理事長が、携帯電話を8歳以下の子供に使わせるべきでないと発言したことについて、総務省や国内の携帯電話会社は「安全性には配慮している」として、当面は静観する構えだ。

 総務省によると、国内で販売される携帯電話が発する電磁波は国際ガイドラインに沿った基準で規制されている。また総務省の生態電磁環境研究推進委員会が、人体への影響について継続的に調査している。

 これまでに脳腫瘍(しゅよう)や課題学習能力(長期の記憶に関する能力)などとの関連を調査したが、基準内では影響が出る例は確認されていない。

 同省電波環境課は「各国での研究成果が世界保健機関(WHO)で検討されていくので、それを見守っていきたい。今回の英国の理事長発言で直ちに行動を起こすことにはならない」と話す。

 ボーダフォンも「さまざまな発表があることは認識しているが、現在の機種の電磁波は国内基準をかなり下回っている」と安全への取り組みを強調する。

 野島俊雄・北海道大教授(電波環境工学)は「WHOはさまざまな実験の結果、子供を特別に守らなければならないという根拠はないと結論を出している。心配だから何でもかんでもやめろというのは科学的でない」と冷静な対応を求めている。(共同)

「携帯電話の電波、脳しゅようと関係なし」総務省研究結果

2003年10月10日 The Sankei Shimbun
 総務省は10日、携帯電話の長期間利用と、脳しゅようの発生との因果関係は認められないとの研究結果を公表した。

 研究では、ラットに発がん性のある物質を投与。毎日1時間半、2年間にわたって携帯電話の電波を受けたラットと、電波を受けなかったラットを比べた結果、脳しゅようの発病割合に違いがなかったという。総務省主催の「生体電磁環境研究推進委員会」がまとめた。

 ただ同省は今回の実験で「身体全般への携帯電話の影響が否定されたわけではない」としており、眼球への影響などの研究を続けている。

電波の生体への影響を調べるための共同検討について<2002.11.21>株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ/KDDI株式会社/J-フォン株式会社/株式会社ツーカーセルラー東京

「携帯の電波は人体に影響なし」総務省研究会が中間報告 (2001.01.30) asahi.com
 携帯電話の電波が人体に与える影響を調べている総務省(旧郵政省)は30日、「脳の学習能力や健康に悪影響を及ぼす確たる証拠はない」との見解を盛り込んだ中間報告を発表した。動物実験の結果や世界の研究動向を参考にまとめた。同省電波環境課は「安全性の指針で示した電波量を超えない限り、大丈夫」と説明している。
 また、心臓ペースメーカーについては、旧郵政省も入った民間協議会が1997年に「22センチ以上離して使用する」との指針を示している。

携帯電話の電磁波量を表示へ 米の業界団体 (2000.07.20) asahi.com
 米国の通信機器メーカーで組織する「セルラー通信業協会(CTIA)」は、携帯電話に張るラベルや添付する説明書の中で、電話から出る電磁波の量を明示するという業界ルールを決め、18日発表した。

 携帯電話から出る電磁波の出力は小さいが、頭部に接して使われるため、脳腫ようの発生を増やすのではないか、と指摘されている。米連邦通信委員会(FCC)は、人体への電磁波の吸収量について「体重1キロあたり1.6ワット以下」という規制を設けており、CTIAの会員企業はすべてこの基準を満たすという。

 一方、日本のメーカーは「体重1キロあたり2ワット以下」の基準で携帯電話を生産しているが、法的な強制力はなく、データの公表も義務づけられていない。このため郵政省は、来年夏までに法的な基準を設ける方針を明らかにしている。

携帯電話の健康影響、米当局と業界がさらに調査へ (2000.06.10) asahi.com
 携帯電話から出る電磁波が健康に及ぼす影響について、米食品医薬品局(FDA)は9日、業界団体と共同で研究すると発表した。実験とともに使用者の疫学調査を進める。資金は業界が出し、FDAが指導、監督する。

 FDAは昨年まで約5年間、業界などと共同研究をしたが、はっきりとした結論が得られなかったため、さらに進んだ実験・解析手法で研究することにした。

京都で電磁波の国際会議、携帯電話の危険性が焦点に(May 22, 2000) asahi.com
 送電線や家電製品、携帯電話などから発生する電磁波が健康に与える影響や防護策を話し合う「国際非電離放射線ワークショップ」が22日、京都市内で開かれた。非政府組織(NGO)の国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)などが主催する4年に1度の会議で、世界的に普及している携帯電話の危険性に対する評価や管理の仕方が焦点になった。

 同委員会は、電磁波や波長の長い光に関する医学、生物学、電気工学などの専門家で構成され、世界保健機関(WHO)と協力関係にある。1998年4月に公表した人体への影響を防ぐためのガイドラインは、各国が採用している。

携帯電話の電磁波と脳腫ようの因果関係を調査へ 郵政省(2000.05.02) by Asahi.com
郵政省は、携帯電話から出る電磁波と脳腫ようとの因果関係が一部で指摘されているのを受け、そうした因果関係の有無を解明するための初の疫学調査を実施することを決めた。世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が呼びかけ、フランス、ドイツ、スウェーデン、米国など13カ国が参加する国際調査にも加わる。 脳腫ようの患者と健康な人を東京と大阪で数千人選び、携帯電話の使用状況を調べる予定だ。携帯電話の電磁波障害に関する公的な調査は、国内では動物実験しかなく、人体への影響に踏み込んだ初の本格的調査になる。

調査期間は約2年。その後、IARCへの報告やデータの解析などが必要なため、因果関係についての最終的な結論は2004年ごろになる見通しだ。

携帯電話の電磁波による人体への影響について、郵政省は「現時点で有害という証拠はない」(電波環境課)としている。1990年に同省の審議会が「出力7ワット以下なら問題ない」との防護指針を答申。97年に国際的な基準に合わせて見直し、人体に吸収される電磁波の限度を体重1キロあたり2ワットと定める「局所吸収指針」を追加した。現在の携帯電話は最大出力の平均が0.27ワットで、いずれも問題ないという。

だが、電磁波の強さを示す出力だけでなく、マイクロ波と呼ばれる800―1500メガヘルツの高周波が脳細胞に与える影響などはっきりしない点もある。

海外では、細胞への影響を指摘した研究や、携帯電話が原因で脳腫ようになったとして患者がメーカーを訴えた例がある。

各国政府の対応は、国によって異なる。日本は一連の規制をガイドラインにとどめているが、米国は規制当局が法的に局所吸収を1.6ワット以下と定めるなど、厳しく規制している。

電磁波に関する疫学調査としては、科学技術庁が現在、高圧線など低周波の影響を中心に3年計画で進めている。

携帯電話で記憶や方向感覚に損傷?

(1999年11月3日 3:00am PST)by Wired News
by Kristen Philipkoski[日本語版:酒井成美/岩坂 彰]
 最近行なわれたラットを使った実験で、携帯電話がラットの長期記憶を損なう可能性があるという結果が出た。

 この研究を発表したのは、シアトルにあるワシントン大学教授で生物工学の研究をしているヘンリー・ライ博士。移動電話から出るマイクロ波と、ラットの長期記憶の喪失や方向感覚の低下との関連を示す研究結果が発表された。

 「これは、無線周波数がラットの長期記憶機能に影響をおよぼす可能性があるとの結果を示した初めての研究だ」とライ博士は語った。これまでの研究では、主に短期記憶に重点が置かれていたという。

 ライ博士はまず、100匹のラットを水をはった大きな水槽に入れ、水槽の中央部にある台まで泳ぐよう学習させた。水には粉ミルクを混ぜて台が見えないようにしたので、ラットはほかの方法で台への方向を見つけ、そのルートを記憶しなければならなかった。台まで6回泳いだ後は、ラットたちは容易に台までの道筋を見つけることができた。

 次に、ラットの半数に、移動電話から出ているものと同じマイクロ波を照射した。マイクロ波を浴びたラットはみな、台へのルートを忘れてしまった。マイクロ波を浴びなかったラットは、再び問題なく台まで泳いでいった。

 「それからわれわれはあるトリックをしかけた――台を取り除いたのだ。正常なラットは台があった方に向かい、その周辺を泳ぎまわった。彼らは、台はどうなったんだろうと困惑しているように見えた」

 一方、マイクロ波を照射されたラットは、それぞれが無秩序に泳ぎ回り、台があった場所に近づくことはなかった。

 「マイクロ波を浴びたラットは、どういうわけか、頭の中に地図を描くことができなくなったのだ」とライ博士。

 『マイクロウェーブ・ニュース』の編集者兼発行人のルイス・スレシン氏はこう語る。「ライ博士が示した事実は、ラットの学習に変化が起こり、参照記憶にも変化が起こったということを示している」

 「この結果を人間に当てはめて推論するのには慎重でなければならない。しかし、ラットに照射されたエネルギーは本当にわずかな量であり、潜在的効果から言えば、携帯電話から出る量とほとんど変わらない」とスレシン氏。

 ライ博士によれば、従来の研究から、こういった類の動物の方向感覚は、アセチルコリンという化学物質がコントロールしていることが明らかになっているという。

 ライ博士は、この化学物質が人間の方向感覚をもコントロールしているのかどうかはわかっていないと語った。しかし、間接的な証拠は存在する。馴染みの場所へ行く道すじを忘れるという症状を示すことの多いアルツハイマー患者では、アセチルコリンの減少が見られるのだ。

 「もし(マイクロ波放射が)学習や反応時間を変化させているとしたら、われわれはこの問題を十分に解明するために、さらに研究を進めなければならないだろう」とスレシン氏は語った。

 また、こうした研究は中立的な組織が行なう必要がある、ともスレシン氏は付け加えた。

 「こういった研究を行なっているのが携帯電話に利害関係がある団体であるケースがあまりにも多い。彼らは、研究結果によっては失うものが大きすぎるのだ」

 業界団体ワイヤレス・テクノロジーズ・オーガニゼーションが後援しているいくつかの研究によって、携帯電話から出るマイクロ波との相関関係がわかっている現象としては、ヒトの脳腫瘍の発生率のわずかな上昇、ヒトの血液中の小核の増加、ラットのDNAの損傷がある。

 2大携帯電話メーカーである米モトローラ社とスウェーデンのエリクソン社からは、この最新の研究についてのコメントがとれなかった。この研究はアメリカ国立衛生研究所(NIH)の後援を受けたもので、科学雑誌『バイオエレクトロマグネティックス』(生体電磁気学)に発表される予定。

電磁波で子供が白血病になる?

(1999年6月22日 3:00am PDT)by Wired News
by Kristen Philipkoski[日本語版:高橋朋子/岩坂 彰]
 電磁波は子供の白血病を引き起こすか? 根拠が薄弱だとする米国政府の主張をよそに、ある研究結果が論争に新たな波紋を投げかけている。

 トロント大学とホスピタル・フォー・シック・チルドレン病院の研究チームは、家庭で高い磁場にさらされている子供はそうでない子供に比べて白血病の発病率が2〜4倍高いことを発見した。

 「磁場の影響は、6歳以下で白血病を発病した子供たちにおいてもっとも顕著だった」と、トロント大の小児科教授でトロントにあるホスピタル・フォー・シック・チルドレン病院の小児腫瘍科医であるマーク・グリーンバーグ氏は語る。この研究結果は、『国際ガンジャーナル』(International Journal of Cancer)と『ガンの原因と抑制』(Cancer Causes and Control)という2つの機関誌の7月号で発表された。

 研究では、トロント地域に住む14歳以下の子供たちで1985年から1993年の間に白血病を発病して同病院にかかった201人と、健康な子供たち406人からなる被験者グループとの比較が行なわれた。長期間にわたる電磁波の影響を扱った初めての研究だ。

 このトロント研究では、一部の子供たちがモニターを装着し、48時間中に電磁波を浴びた量が測定された。ほんの一瞬の電磁波の強さを測定するだけだった過去の研究に比べて、今回はより正確なデータを得ることができたと研究者たちは述べている。

 一方、モニターを着けなかった子供たちについても、住居の内外の電磁波レベルが測定され、住居の電気配線も調査された。

 電磁波は、壁に埋め込まれた電気配線や家電製品からだけでなく、戸外の電線からも放射されるが、これが小児白血病の発症率を高める要因であるか否かについては、20年前にこの問題を扱った最初の研究が発表されて以来、常に議論が続けられてきた。

 1997年7月、ある研究が『ニューイングランド医学ジャーナル』誌上に発表された。その論文は、電磁波を浴びる量とガン(白血病は血液のガン)との間には何ら関連性のないことが証明されたとしており、ゆえにこの問題をめぐる議論にはもう終止符を打ってもよいのではないかと研究者たちは結論づけている。しかしその直後、電磁波を浴びるほど白血病の発病率が高くなるとする研究結果がいくつか発表された。

 「このような研究結果が出続けているため、当然ながら論争も終結を見てはいない」と語るのは、スタンフォード大学医学部小児科のマイケル・リンク教授。教授もまた独自に電磁波と白血病の研究を進めている。

 リンク教授の研究は電磁波レベルの測定にとどまらず、子供たちの体内の白血病に関係する細胞の変化を調べることで何らかの物理的な証拠を得ようとするものだ。

 ある型の白血病を患っている子供たちが電磁波を浴びた際、共通した変化が認められれば、「そこに何らかのメカニズムが働いている証拠になる」とリンク教授は言う。「このような低レベルの電磁波が細胞に生物学的な影響を及ぼすことを証明するものは少ない。もしも電磁波が血液細胞に変化をもたらしていたとなれば、この説の有力な根拠となるだろう」

 トロント大学のグリーンバーグ教授も、これまでのところ電磁波に発ガン性があることを確証する研究は出ていないとの意見に同意している。電磁波が生物学的な変化を引き起こすことがまだ事実として証明されていないからだ。

 「われわれが証明したのは関連性にすぎない。両者の間に因果関係があるとまではまだ言えないが、今回の研究結果は統計学的、疫学的に重要な証拠となるとわれわれは考えている。これを因果関係にまで押し進めるためには、メカニズムを発見しなければならない」

 「いくつか非常に興味深い研究が出てきてはいるが、決定的といえるものはまだ1つもない」とグリーンバーグ教授は語る。

 グリーンバーグ、リンク両教授がそろって指摘するのは、電磁波の測定が非常に難しい現状が、研究結果の不一致の一因となっているらしいという点だ。

 「測定結果が正確に測定対象に対応したものかどうか、なかなかわからないのだ」とリンク教授は言う。

 米国立環境衛生研究所は先週、電磁波はガンの原因である「可能性がある」と見なされるべきとの勧告を議会に対して行なった。

 勧告書によると、6年に及ぶ研究と2年間の再検討を経て、研究者たちは電磁波を浴びることが「100%安全とは認められない」との結論に達したという。それでも、「国立環境衛生研究所は電磁波が健康に害を及ぼす可能性は今のところ少ないものと考えている。疫学的な関連性が弱く、両者の関連の証拠となる研究結果が乏しいため、これの研究は、電磁波にさらされることがどの程度であれ有害であることを示す根拠としては、科学的にかろうじて認められるにすぎない」

 報告書はさらにこう続けている。「それでもなお懸念が残る」ため、電磁波にさらされないようにするためのさらなる研究や努力は続けられなければならない。

業界側の研究でも「携帯電話は危険」

(1999年6月21日 3:00am PDT)by Wired News
by Chris Oakes[日本語版:中嶋瑞穂/岩坂 彰]
 カリフォルニア州ロングビーチ発――携帯電話業界が研究者らに2700万ドルを提供したのは、何も自分たちにとって都合の悪いニュースを出させるためではなかったはずだ。

 しかし結果的には、携帯電話が健康に影響を及ぼすかもしれないという悪い知らせをもたらすことになってしまった。

 「今回のデータは、人体が電磁波にさらされる状況にそのまま当てはまる初めてのデータだ」とワイヤレス・テクノロジー・リサーチ(WTR)社(本社ワシントンDC)の会長、ジョージ・カーロ博士は言う。「これまでの研究は、たいていが推測によるものだった」

 WTR社がスポンサーになった討論会が18日と19日(米国時間)に開催され、様々な研究結果が発表された。最新の発見は、携帯電話の電磁波放射が、人間の脳腫瘍発生率の若干の上昇や、人間の血液細胞の小核の増加、ラットのDNAの破壊に関連があることを示唆している。

 決定的な発見というわけでは決してないが、携帯電話業界が支援しているWTR社のような組織がこういった研究結果を出すのは初めてのことだ。

 「無線周波数が遺伝子にダメージを与えるという結論に至る可能性もある」とカーロ博士。「もしそうなら、非常に大きな驚きだ」

 こうした危険性についての調査は他にも行なわれているが、今回の発見は、公衆衛生に関する共同研究の必要性を示している、と博士は付け加えた。「2億人の人々が携帯電話を使っている今、科学的プロセスの遅々とした進展を待っているわけにはいかない」

 一部の研究は、「電子レンジが放射するマイクロ波はDNAを破壊する」とした研究にほぼ相当するものだった。電子レンジの周波数は、携帯電話のそれに近い。

 WTR社に資金援助を受けている別の研究グループは、携帯電話の「非電離」放射が、人間の血液サンプルの小核の増加を引き起こすおそれがあることを示唆している。

 WTR社は、無線通信技術が公衆衛生に及ぼす危険を研究するために1993年に設立された。この組織はまた、携帯電話の製造や使用に関わる公衆衛生関連の政策決定に利用できる科学的データベースも作成している。WTR社の2700万ドルの予算は、携帯電話業界から提供されたものだ。

 米モトローラ社の生物学研究プログラムの責任者、ポール・ジョセフ・モリッシー氏は、この発見の重要性を努めて低く見積もろうとした。

 「これまでに、影響があるという結果も、影響がないという結果も、両方発表されている。われわれは同じ研究を再現して結果を評価しなければならない」とモリッシー氏は言う。ラットの脳から生体外の人体組織に至るまで、ありとあらゆるものへ携帯電話の電磁波放射が及ぼす影響は、過去に何度も調べられている。否定的な結果が出たことも、まったく影響はないという結果が出たこともあった。今回の発見は、そうした膨大な数の研究の、ごく一部に過ぎない。

 「非熱レベルの無線周波数を用いて遺伝子への有害性を調べる研究では、今後も否定的な結果が多く出されるだろう」とモリッシー氏は自分の発表の中で述べた。「遺伝子に関する肯定的な発見がなされたときは、別の研究所で慎重に、独立して再現できない限り、本当の非熱作用と見なすことはできない」

 この発見は、携帯電話の批判者や活動家にはなんら驚くべきものではなかった。彼らは1995年という早い時期から同じような研究結果を指摘していたのだ。ワシントン大学の研究者、ヘンリー・ライ博士とナレンドラ・P・シン博士の研究は、たびたび引用されている。このような歴史があるため、批判者らはWTR社のデータは少なすぎるし、遅すぎたと非難している。

 「2500万ドルも使って、たった2つの報告書しかないのか? 金はどこに消えたのだ?」と『マイクロウェーブ・ニュース』誌の編集者、ルイス・スレシン氏は言う。「携帯電話が安全かどうかがわかるとは、誰も期待していない……しかし、われわれはもっとたくさんのことを知る必要がある」

 携帯電話業界や米国政府は今頃、もっとずっと決定的な研究を行なって、公衆衛生の予防策を講じていなければおかしい、とスレシン氏は言う。たとえばスイスでは、政府が携帯電話の電磁波を予防する規定を設けた。この規定により、携帯電話の電力レベルは米国の標準よりかなり低く制限される。

 カーロ博士は、この会議の参加者の中でも最も強硬な公共衛生擁護派の1人で、すべての携帯電話研究について、早急に進捗状況を取りまとめ、調整することを求めた。スレシン氏は、カーロ博士の言い方は皮肉に過ぎるとしながらも、その要求はもっともだと支持した。

 カーロ博士は、討論者の1人にこう言ったのだ。「これはたしかに単なる科学的な問題に過ぎないのだろう……世界中でこの技術を使っている2億人がいなければ」

電磁波とがんの関係解明へ

1999年5月8日 8時54分 共同通信社
 送電線や家電製品から出る電磁波が子供の白血病や脳腫瘍の発生に関係しているかどうかを調べるため、科学技術庁は今年夏から国内では初めての本格的な疫学調査に乗り出す。

 がんを発病した子供が自宅で浴びている電磁波を実際に測定し、健康な子供と比較する計画。2001年度までの3年間で約6000人のデータ分析を目指している。欧米で『発がんの原因になり得る』との報告がある一方、否定的な見解もあって因果関係については決着していない。

携帯電話の安全性に公式研究を

(1999年4月13日 3:00am PDT)by Wired News
by Chris Oakes[日本語版:寺下朋子/岩坂彰]

カリフォルニア州ティブロン発――無線通信が健康に与えるリスクついてあれこれつまらない議論をするのはもうやめにして、信頼性の高い研究を始めるべきだ。健康擁護論者はこう主張している。

 先週末、人体へのマイクロ波の影響を話し合うフォーラムで、発言者の1人、ゴードン・ミラー氏は「われわれの話は少しも進展していない」と述べた。「15年前われわれは、研究はまだ十分ではなく、結論を出すためにはさらに調査を続ける必要があると語った。そして今、あのときとまったく同じことを言っている」

 世界中の研究者たちが、携帯電話や無線送信機などの信号から発せられる「非電離放射線」が健康に及ぼす影響について研究を重ねてきた。だがこれまでのところ、決定的な結論に達した公式な研究はゼロだ。

 「研究もその規則も、携帯電話の『布教機関』に大きく左右されている」と、カリフォルニア電磁界投資家グループの会長であるミラー氏は言う。「この状態が続く限り、研究も規則も疑いの目で見られ、この論争は決着がつかないままだろう」

 米国内の携帯電話市場の成長にともない、無線プロバイダーは無線アンテナの設置場所として学校や教会をターゲットにしてきた。高い尖塔が魅力の教会に支払われる使用料は、年間10万ドルに達している。

 フォーラムは10日(米国時間)、ウェストミンスター長老派教会で行われた。この教会では、尖塔への無線送信機の設置を許可する予定になっていた。だが、信者の1人、リビー・ケリー氏が、健康への潜在的な影響を明らかにする研究をするべきだと教会の上層部に提案したため、教会は当初の決定をくつがえした。そしてここに1人の活動家が誕生した。

 ケリー氏は、このフォーラムのスポンサーとなったカリフォルニア無線通信影響評議会の運営委員会メンバーとなっている。同氏はまた連邦通信委員会に対し、無線電話、無線送信機が健康に与える影響について調査するよう圧力をかけている。

 不安をあおるような研究結果が発表されたかと思うと、その逆の結果が業界から出されるといったことの繰り返しが長年続いてきたが、今こそ政府機関が全国レベルでこの問題に取り組む基盤となるような研究がなされるべきだとミラー氏は言う。

 同氏によれば、公的資金による研究と監視が鍵だという。「そうすれば、研究者もその所属機関も、出資者が誰かを理解できる」

 先週イギリスの公衆衛生大臣が、移動電話による健康への影響についての調査を命じた。この動きは、携帯電話の信号が生体組織に及ぼすさまざまな影響についてくわしく取り上げたイギリスの『ニュー・サイエンティスト』誌の記事を受けてのものだ。

 10日のフォーラムでは、アメリカとニュージーランドの研究者が、無線通信の神経学的影響について現在わかっていることの概要を報告した。神経学的影響に関しては、さらに研究を進めるべきだという声が世界中からあがっている。

 生物物理学者でニュージーランド議会議員のニール・チェリー氏は、非電離放射線がネズミの癌から人間の神経学的変化まで、あらゆる問題を引き起こしていることが研究の結果わかったと述べた。

 チェリー議員は、できることなら電話は陸上通信線のみに頼ることが望ましいと言う。

 「われわれ(人間)は(携帯電話用無線信号の)伝導体として非常に優れているため、携帯電話の無線信号の大部分はわれわれの体に吸収される。無線の中継局まで届くのは実はほんの一部なのだ。だから、われわれの体内に向かって信号を発するのではなく、中継局に向かって信号を発するように携帯電話を設計するべきなので」

 フォーラムの司会を務めたリンダ・エバンズ氏は、アメリカにはヨーロッパと違って携帯電話固有のリスクを消費者に知らせるシステムが存在しないのは遺憾だと述べた。

 「欧州議会は、(携帯電話に健康に害を及ぼすリスクを明記した)警告ラベルをつけるべきだと言っている。それがインフォームド・コンセントになるからだ。消費者がリスクを知らなければ、インフォームド・コンセントとは言えない」

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