TOPIC No.3-14 遺伝子組み替え食品

Index
1. リンク集、2a. '99年6月-2000年03月、2b. 2000年03月-
TOPIC No.3-14-2b 2000年03月- 

01. 遺伝子組み換え作物 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. 遺伝子組換え食品ホームページ by厚生労働省医薬食品局食品安全部
03. 遺伝子組み換え食品とは by山形病院
04. モンサントの遺伝子組み換え作物
05. 遺伝子組み換え作物は第三世界の貧困と飢餓と低生産の解決策となりうるか? byFood First

遺伝子組み換え作物

2007年06月14日 東奥日報

 目的に合わせた遺伝子を人為的に導入し、特定の除草剤への耐性や、害虫への抵抗性などを持たせた作物。国内では大豆やトウモロコシ、ジャガイモなどの安全審査が終わり流通が認められているが、商業栽培はされていない。海外では遺伝子を組み換えていない作物との交雑が問題となっているほか、標的以外の生物への毒性が表れたとの報告もある。国内でも、輸入した組み換え菜種が輸送中にこぼれ落ち、生育しているのが見つかっている。


メーカーの新種子発売さかん

2008年03月08日 Sao Paulo Shimbun

 ブラジルは遺伝仕組み換え作物(GMO)の栽培において世界で第三番目の国。

 主として大豆と綿花である。最近モンソイ(モンサント系)が大豆M7211RR及びM7578RR(早生、セハード向き)を発売した。

 シンゲンタも南マット・グロッソ州および南伯向きの早生大豆種子VMあxRR及びスプリングRR、また中西伯サンパウロ、ミナス市場向けのNK7074RRを発売する。

 ちなみに世界の遺伝子組み換え作物栽培面積は一億一四三〇万ヘクタールで、ブラジルは一五〇〇万ヘクタール(ISAAA調べ)。

遺伝子組み換え作物が70倍増に 本格栽培以来12年で

2008年03月08日 中国新聞ニュ−ス

 世界で遺伝子組み換え作物の栽培が本格的に始まってから2007年までの12年間で生産国が23カ国に増え、作付面積も約1億1430万ヘクタールと約70倍に急拡大したことが8日、遺伝子組み換え作物の普及を推進する米非営利団体の国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の調査で分かった。

 遺伝子組み換え作物は、消費者の健康や生態系への影響に対する不安が根強い。しかし、世界的に穀物価格が高騰する中で(1)異常気象や病虫害に強い(2)除草剤の使用量が減る(3)収穫量も増える−とされる点など生産性向上を優先し、インドや中国など新興市場国、途上国を中心に作付面積が著しく伸びている。

 日本は商業栽培はしていないが、食用、飼料用に輸入している。

 遺伝子組み換え作物の普及は、収穫量を増大させて穀物価格を引き下げ、食品インフレの沈静化につながるとの見方もある。石油代替エネルギーのバイオ燃料の原料にも活用されている。

遺伝子組み換え作物:作付総面積が過去最高に…07年

2008年02月29日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 07年に世界で栽培された遺伝子組み換え作物の作付総面積が、過去最高の約1億1430万ヘクタールだったことが分かった。29日、国際アグリバイオ事業団(本部米国)のクライブ・ジェームズ会長が東京都内の会見で発表した。

 実施国も過去最高の23カ国に増えた。国別作付面積では米国(5770万ヘクタール)が最も多く、次いでアルゼンチン(1910万ヘクタール)、ブラジル(1500万ヘクタール)、カナダ(700万ヘクタール)、インド(620万ヘクタール)、中国(380万ヘクタール)の順。

 主な作物は大豆やトウモロコシ、ナタネ、綿、パパイアなど。中国で害虫に強い組み換えポプラが植林されるなどアジアや南米での増加が目立つ。【小島正美】

韓国が初めて遺伝子組み換えトウモロコシ輸入へ

2008年02月27日 ロイター

 [シカゴ 27日 ロイター] 韓国は初めて、食用として遺伝子組み換え作物(GMO)のトウモロコシ輸入に踏み切るが、消費者団体の反発は必至とみられている。

 世界的に小麦、トウモロコシなどの穀物価格が急騰し過去最高値を付けているため、各国政府は安定供給が確保されないことやインフレなどへの警戒感を強めており、現在GMOの利点と安全性が争点になっている。

 国内でコーンスターチと砂糖など90%近くを取り扱う韓国の複数の業者は26日、スターチや甘味料などに使用するため米国産GMOトウモロコシ5万トンを5月に輸入することを明らかにした。

 韓国最大の消費者団体は「これらの企業がGMOトウモロコシを輸入すれば不買運動を展開する」としている。

 アジアではこれまで、GMOトウモロコシを輸入していなかったのは韓国と日本だけだったが、シカゴの業者の間では、日本も韓国に続き、GMOトウモロコシ輸入に踏み切る可能性があるとの見方が出ている。

 ある米国のトウモロコシ業者は「日本が今年夏に同様なことをする観測が出ている」と述べた。

遺伝子組換えトウモロコシ、業界が5月から本格輸入開始へ

FEBRUARY 26, 2008 東亜日報

 韓国内で澱粉や澱粉糖の原料として使われるトウモロコシは、全量輸入されている。トウモロコシの年間輸量は170万〜200万トンだ。

 韓国の澱粉業者らは、遺伝子組み換え作物(GMO)に対する消費者の否定的な認識のため、その間、30%ほど高い非GMOトウモロコシのみを輸入して来た。

 韓国澱粉糖協会によれば、06年末、1d当たり150ドル水準だった非GMOトウモロコシの価格が昨年300ドルに急騰し、今年に入ってからは430ドルで取り引きされている。

 これさえも、欧州とブラジルなどの昨年の作況が芳しくなかったため、輸出物量の確保が難しい。弱り目に崇り目で、中国は今年から自国内の食糧価格を安定させるため、穀物輸出にブレーキをかけ始めた。

 韓国澱粉糖協会の関係者は、「GMOトウモロコシの場合、価格が1d当たり330ドル水準だ。世界のGMO作物栽培の半分を占める米国から入れることになるだろう」と話した。

 GMO食品の安全性を巡る議論はいまだに続いているが、消費者としては、自分の選んだ製品がGMO原料を使ったのかどうか知る術がない。現行の食品医薬品安全庁(食薬庁)の告示によれば、GMO製品といっても、食薬庁の安全性評価審査をパスした場合には、販売やマーケティングに特別な制約を受けない。

 CJ第一(チェイル)製糖とサジョO&Fなどの大企業が生産する食用油の大半はGMO豆を原料として使っているが、製品の表にはこれを表記してない。澱粉糖も、高熱と高圧処理過程を経たら完製品でGMO成分が検出されないので、GMOを使用したかどうかを確認するのは難しい。

 チェ・ジュンホ環境運動連合部長は、「現行法では、韓国で澱粉糖や食用油などはGMO表示例外対象となっている。消費者の知る権利のためGMO使用製品に対しては、これを製品の表に表記するようにしなければならない」と指摘した。

 朴ソンヒ食薬庁新素材食品チーム長は、「GMOに対する有害性が科学的に立証されてないだけに、食薬庁の安全性評価審査をパスしたなら、GMO食品の販売を禁止する根拠はない」と言う。

 こうした議論にもかかわらず、GMO輸入はさらに増える見通しだ。今年から「遺伝子組換え生物体の国家間移動などに関する法律」が発効するため、政府の安全性検査をパスしたGMO製品の韓国内の販路が法的に保障されるからだ。

伝子組み換え作物は大量の農薬を使用=米食品安全センター

2008年02月21日 WEBニッポン消費者新聞

 米国の非営利団体「食品安全センター」(CFS)と国際環境団体「地球の友」によると、遺伝子組み換え(GM)作物は農薬の使用が増加している上、貧困による食料不足を解消することに寄与していないことが明らかになった。両団体が13日、報告書を発表した。

 「地球の友・アフリカ」のニンモ・バッセイ氏は「GM作物の大半は先進国の家畜の餌や、バイオ燃料に回されている」。食品安全センターのアンドリュー・キンブレル代表は「GM作物は大量の農薬を使用する。環境や小さな農家にとって悪影響を及ぼす」と指摘した。

仏政府、遺伝子組み換えトウモロコシの栽培を禁止

2008年02月13日 SLASHdotCOM nabeshinによる

 毎日新聞の報道によると、仏政府は、米国モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシの栽培禁止を発表しました。対象となるMON810は、殺虫性トウモロコシと呼ばれ、対象害虫に対する毒素を遺伝子に組み込み害虫を駆除します。EUでは2004年にそれまでの方針を転換して次々と遺伝子組み換えが農作物が認可されていきましたが、昨年あたりから各国で禁止する方向にあるようです。

 ちなみに国内ではモンサントのページにあるようなものなどが認可されおり、日本有機農業研究会 『土と健康』 03年10月号によると、他品種の交配も認められているようです。一方で、遺伝子組換えコーンが水界生態系に及ぼす影響という話もあります。

 「遺伝子組み換えではない」ものの入手が難しくなりつつある中で、私達に身近なもというと、大豆や、それから作られた大豆レシチンがあります。醤油や豆腐や(レシチンが含まれてる)チョコレートが遺伝子組み換え大豆から作られたものであっても、皆さんは容認しますか?

フランス:遺伝子組み換えトウモロコシを栽培禁止

2008年02月10日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【パリ福井聡】フランス政府は9日、米・モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシ「MON810」の仏国内での栽培禁止を発表した。仏国内では2万ヘクタール以上で栽培されており、一部農民は裁判で禁止解除を訴える構えだ。

 遺伝子組み換え作物に関する諮問委員会のルグラン委員長は「害虫、ミミズ、微生物への否定的影響を証明する事実が浮かんだ。また、花粉が予想を超え数百キロも飛んでいることへの懸念もある」と指摘している。

 MON810は害虫の殺虫性に優れ収穫増が見込め、欧州連合(EU)が承認したことで数年前からフランスも導入。昨年はEU内でスペインの7万5000ヘクタールに次ぐ2万2000ヘクタールで栽培された。仏トウモロコシ生産者組合によると、禁止命令がなければ今年は10万ヘクタールで栽培予定で、同組合は禁止命令による損害を1000万ユーロ(約15億6000万円)とし、一部組合員の提訴を示唆している。


中国 遺伝子組み換え作物で積極政策 日本からの頭脳流出も懸念

2007.10.28 MSN産経新聞

 中国で、遺伝子組み換え作物の栽培が拡大している。現在のところ、害虫に強い遺伝子組み換え綿が中心。主要穀物である米についても、試験栽培が終わり、商業栽培までもう一歩のところにきている。このほど来日した中国科学院・中国農業政策センターの黄季焜(こう・きこん)所長は「組み換え技術は食糧や環境問題に対処するため重要性を増している」と話している。(杉浦美香)

 遺伝子組み換え作物は1996年に、米国で除草剤に強い大豆の商業栽培が始まって以来、世界各国に広がり、2006年にはブラジルやカナダなど22カ国で栽培。中国では1986年ごろから、遺伝子組み換え技術の研究に力を入れ、栽培面積は360万ヘクタールで世界第6位。そのほとんどが綿の栽培だ。これにより、綿農家の農薬使用量が減り、収益増加にもつながったという。

 中国の組み換え技術研究予算は年々増加、03年には約2億ドル(228億円、家畜研究も含む)にのぼった。組み換え技術研究の最先端である米国に留学した研究者の帰国を促進するなどして、自国の技術開発に取り組んでいる。当初、米国の技術を使った組み換え綿の種子を使用していたが、現在では自国の技術による種子で大半を栽培。綿以外の栽培量はわずかだが、ペチュニア、パパイアなど6作物176品種が商品栽培の認可を受けている。

 主食である米の研究は約20年前から始まった。02〜04年には湖北省と福建省で大規模試験栽培を実施。翌05年には商品栽培が認可されると予測されていたが、今のところ認可には至っていない。

 ただ、実際には試験栽培の組み換え米が市場に流通し、欧州や日本でも、ビーフンなどの米加工品に見つかり、問題になった。

 また、水不足に悩む中国は干魃(かんばつ)対策として水の量が少なくてすむ米などの作物開発に力をいれているほか、バイオエタノールに加工しやすい草の研究にも着手している。黄所長は「干魃対応の作物開発は地球温暖化が進む中、食糧の安全保障の観点で重要だ。開発は難しく、海外の技術を導入すれば早期に実現するが、外国の技術だけに頼ることは何かあれば国益を脅かすことにつながりかねない。自国の技術開発が課題だ」としている。

 一方、日本では、他の種への影響やアレルギーなどを懸念する消費者の反発を恐れ、組み換え作物の商業栽培は行われず、実用化では大きく出遅れている。

 農業生物資源研究所の田部井豊氏は「お隣の中国の遺伝子組み換え技術開発状況に焦りを感じる。試験栽培も難しい状況では日本から研究が自由にできる国への頭脳流出の恐れもある。食糧自給率(40%)が低い日本は、もっと戦略的に遺伝子組み換え作物の利用を考える必要があるのではないか」と話している。

               ◇

【遺伝子組み換え作物】

 有用な遺伝子を組み込むことによって、病気や害虫に強いなどの新しい性質の作物を作り出すことができる。交配を繰り返す従来の品種改良と違って、短期間に効率的に新しい品種を作りだすことが可能。栽培するには、人体にアレルギーを引き起こさないか、他の植生物に影響しないかを農水省や環境省、厚生労働省などが審査、10作物91品種が認可されている。しかし身体への影響を懸念する消費者団体の声もあり、日本では商業栽培されていない。

遺伝子組み換え食品、米国市場に浸透

2007年09月27日 WIRED VISION Alexis Madrigal

 名実ともに遺伝子組み換え(GM)作物の代表的企業である米Monsanto社は、環境保護団体から目の敵にされている。

 『Google』で「Monsanto+antichrist」[Monsanto社+キリストの敵]と入力して検索すると、5万3000件もヒットするのだ。

 仮想世界での嫌悪は現実世界にも波及しているようで、Monsanto社は今年8月、2006年の1年間に同社の試験農場の65%が活動家による破壊行為の被害を受けたと述べた。

 にもかかわらず、同社の株価はここ5年間で700%を超える上昇を見せており、同社の取締役たちは自社株を買い続けている。

 トウモロコシ、大豆、綿花という米国の3大作物ではGM作物が浸透しているが、野菜や果物など生産量が比較的少ない農作物に関しては、米国人はGM作物を口にしていない。

 2004年に行なわれた米農務省のワークショップの議事録から引用する。

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 生産量の少ない農作物に関しては、規制当局に認可を申請しているGM作物の種類は比較的少ない。すでに認可された作物に関しても、実際に市場に出回っているものはほとんどなく……現在開発中の件数も……ゼロに近づいている。
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 米食品安全センターが2006年8月に公表したデータによると、「GM食品はまず間違いなく、ほかの消費者向け製品とは比較にならないほど強く市場から拒絶されている」という。

 にもかかわらず、Monsanto社は2006年、6億8900万ドルもの純利益を計上している。

 この一見矛盾した状態は、2つの理由で説明がつく。

 まず、米国人の世論は食品安全センターが言うほど極端ではない。

 賛成派、反対派の双方が調査や投票の形で消費者の意見を収集しているが、これらを要約すると、3つのシンプルな事実が浮かび上がる。

 (1)遺伝子組み換え技術が市場に登場して10年以上が経つが、米国の消費者の同技術に関する知識はゼロに近い。

 (2)米国の消費者は、直感的には、遺伝子組み換えされた食品は食べたくないと考えている。

 (3)反面、ほとんどの人はそうした信念をあまり強く持っていない。たとえば、ある調査では、バイオテクノロジーへの懸念から具体的に何らかの行動を取ったり、「対策を講じた」ことがあると答えた人は、回答者のわずか2%にすぎなかった。

 2つ目の理由は、現行のGM食品ビジネスにとって、米国の消費者の意識はあまり大きな影響にならないという事実だ。

 Monsanto社が消費者に求めるのは、『Twinkies』や『Coca-Cola』を好きでいてくれることだけ。同社にとっては、米国の食品製造業界との取引のほうがはるかに大きな意味を持つのだ。

 Monsanto社のビジネスは、サーバーメーカーや物流業者と同じく、企業間取引(B2B)で成り立っている。そういう意味で、米Apple社というよりは米Oracle社に近いのだ。

 普通の消費者にとって、GM作物は目に見えない存在だ。米国では表示が義務づけられていないことが、その大きな理由となっている。

 Monsanto社にとって重要なのは、種を大量に購入する農業関連の企業や大手の農業法人がGM作物をどう思っているかであり、一般消費者がどう思っているかではない。

 こうした企業の経営陣はMonsanto社を気に入っている。2番目のグラフは、米国の3大作物であるトウモロコシ、大豆、綿花に占めるGM作物の割合の推移を表わしたものだ。[大豆は9割ほど、トウモロコシも5割ほどがGM作物になっている。]果物と野菜を除く市場用作物のうち、これら3大作物による売上は全体の75%にも及ぶ。

 GM食品の反対派には、さらに恐ろしいお知らせがある。遺伝子組み換えされたトウモロコシや大豆の多くは、加工食品や、食用家畜の餌に使われているのだ。

 未加工の食品や有機農産物しか口にしない人でもない限り、おそらくは今日もすでに、何らかのGM作物由来の食品を食べているはずだ。[日本語版:ガリレオ-米井香織/高橋朋子]

ルーマニア:遺伝子組み換え作物、発覚するが放逐されず

2007/09/27 JANJAN

【ブカレストIPS=クローディア・チオバヌ、9月12日】

 ルーマニアでGM(遺伝子組み換え)作物反対運動を続けている環境保護団体グリーンピースは、首都ブカレストの東200kmのブライラ郡インスラ・マーレ・ブライレイにおいて、GM大豆とGMとうもろこしが110ヘクタールに渡って違法に植え付けられていると発表した。使われた種子はモンサント社のものであると言う。

 今年からルーマニアも加盟しているEUではGM大豆の栽培は違法である。ただし、今回発見されたGMとうもろこしMON810は、EUの何カ国かにおいては許可されている。

 IPSの取材に応じたモンサント社の広報担当クリスチナ・チオンガ氏は、「欧州議会規則1829号(03年)のもとでは、米国企業がルーマニアなどEU加盟国で、GMとうもろこし種子を植えることが認められている。禁じられているのはGM産品をヨーロッパ市場に持ち込むことであり、種子の持ち込みではない」と述べる。

 モンサント社は欧州議会から、規則1829号の枠組みでMON810を商品化する認可を受けている。だが、新しい土壌にGM作物を植え付けることの是非は、この規則ではなく、欧州議会指針18号(01年)で判断されなければならない。同指針は、GM作物生産企業に、植え付け前に担当官庁に通知することを義務づけている。

 グリーンピースの主張は、ブライラのMON810植え付けが、適切な栽培認可をルーマニア政府から受けておらず違法だということ。ルーマニア環境省はモンサント社が認可申請をしていないと、とうもろこしの植え付け期の5月に発表している。

 グリーンピースが発見した大豆についてチオンガ氏は、「ブライラの環境局長がGM大豆ではないと保証した」と言う。モンサント社は、ルーマニアが今年EUに加盟国したので、モニタリングが強化されることを予想、ブライラの状況を徹底的に調査したと主張。

 5日にグリーンピースの活動家たちはインスラ・マーレ・ブライレイのGM大豆とGMとうもろこしがすでに収穫されたことを発見し、10日、エクスプール・ウルツィチェニ加工工場で商品化の有無を調べた。「エクスプールの大豆はGM陽性。工場には、GMと在来を区別する加工ラインがない。」とガブリエル・ポーンはIPSの取材に応えた。

 ルーマニア当局は、自らテストを行う手段を持たず、GM作物を歓迎する農業省と懸念をいだく環境省の間に隔たりがあるため、グリーンピースとモンサントの紛争に介入していない。グリーンピースによって明らかにされた事実は、ルーマニアの人々が意志に反してGM作物を消費してきたことを証明した。

 07年6月に独立研究グループのマーキュリー・リサーチがルーマニアで行った調査では、国民の67%が敢えてGM食物を買うことはないと答えている。消費者保護協会によれば、国民の98%人が、GM作物の使用について表示を望んでいる。欧州法ではGM作物の適切な表示を求めているが、グリーンピースによれば、「現時点でルーマニアには、GM作物のトレーサビリティ(追跡可能性)と表示を徹底させるのに必要なインフラがない」。

 環境保護活動家たちは、法整備を待たず、人体にも環境にも多大な悪影響を与える危険性のあるGM作物は全面的に禁止するべきであると主張する。ゲオルゲ・アルブ農業国務大臣は、ルーマニアにおけるGM作物の全面禁止に同意することもあると先週の記者会見で表明している。

 ルーマニアにおけるグリーンピースとモンサントの攻防、GM作物規制の現状について報告する。 翻訳/サマリー=藤井正子(Diplomatt)/IPS Japan角田美波(IPSJapan)


ルーマニア:遺伝子組み換え大豆、EU加盟で禁止か

2006/12/30 JANJAN

【ベオグラードIPS=ヴェスナ・ペリッチ・ジモニッチ、12月19日】

 ルーマニアは、欧州一の遺伝子組み換え(GM)大豆生産国であるが、1月1日にブルガリアと共にEU加盟国となることから、今後はEUの厳しい規則に従わざるを得ないだろう。

 ルーマニアは10年前から、殆ど無規制でGM作物の生産を開始。現在では世界第11位のGM作物生産国となっている。

 GM作物は当初、貧しい人々の食生活向上に繋がると持て囃されたが、土壌の不毛化、持続可能な生産の可能性が失われることは一般に知らされなかった。

 GM作物の専門家ミルジャナ・ミコリック氏は、「GM作物自体が危険かどうか定かでないが、GM作物は有害な微生物の発生を促す物質を放出する。この微生物のせいで、時によっては1回の収穫だけで土壌の不毛化が起こる」と語る。同氏は2年前シベリアで、GM大豆生産の大型摘発に参加。北部Vojvodina州では、ルーマニアから密輸された種を使ってGM栽培が行われていることが明らかになった。

 ルーマニア環境保護団体によると、同国のGM栽培の中心は大豆、とうもろこし、プラムという。グリーンピースは8月、同国の研究開発センターがプラムの実験栽培を行っていることを突き止め栽培所を破壊。また、プロジェクト資金の停止を勝ち取った。(GMプラムは、抗生物質に対する抵抗力を持つ遺伝子を含んでいるため、人体に大きな危険をもたらす)

 ルーマニアは今年2月から、EUが禁止している除草効力を持つGM大豆の生産を停止すると共にGM作物の監視コントロール・システムを導入したが、農家の間では雑草や害虫駆除の手間が省けることから依然GM作物の人気が高い。

 環境保護活動家のドラゴス・ディマ氏は、「ルーマニアは、GM作物栽培の浄化が可能かどうかのテスト・ケースとなるだろう」と語っている。ルーマニアのGM作物栽培について報告する。 翻訳/サマリー=山口ひろみ(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩(IPSJapan)

メキシコ、遺伝子組み換えとうもろこしに“ノー”

2006/11/09 JANJAN

【メキシコシティーIPS=ディエゴ・セヴァジョス、10月28日】

 10月16日、メキシコのNational Service for Agro-Food Safety and Qualityは、モンサント、ダウ・アグロサイエンス&パイオニアといった多国籍企業から提出された遺伝子組み換えとうもろこしの実験栽培申請を却下した。

 National Serviceは、2003年バイオセーフティー法が実施されておらず、メキシコ国内のどの地域が原種とうもろこしの発生地か特定できていないこと、また所謂「とうもろこし保護特別計画」(Special Regimen for the Protection of Maize)の定義づけができていないことを却下の理由に上げている。

 しかし、政府内には認可の可能性を示唆する声もあり、グリーンピースを始めとする環境保護グループは、フォックス政権が多国籍企業を優遇し移植遺伝子法を捻じ曲げる意向であると批判している。

 メキシコでは、約1,250万人(農業人口の55・2%に当たる)が直接/間接的にとうもろこし栽培に関っている。2008年には、米/メキシコ自由貿易協定に従い、米国のとうもろこしおよび豆の輸出量割り当て、その他障壁が廃止されることから、メキシコ農業団体の強い反対が予想される。

 GMとうもろこしの実験栽培を支持する政府系機関Center for Research and Advanced Studiesのバイオ学者ルイス・ヘレラ氏は、「メキシコ政府が多国籍企業の要請を却下したことは、メキシコの地方農家に悪影響を与えることになる。GMとうもろこしの生産性は高く、同技術を導入した中国、米国、インド、イランなどでその生産性の高さは証明されている」と主張する。

 GM作物に対する国際的反対運動を展開しているカナダのNGO、 ETCグループのリベイロ氏は、「多国籍企業は、12月に保守のフェリペ・カルデロン政権が誕生すれば、遺伝子組み換え作物の作付けは容易になると考えているようだ」と警戒している。

 とうもろこしの原産地メキシコは、毎年600万トンのとうもろこしを米国から輸入しており、その1/3が遺伝子組み換え種である。2001年の調査によると、GM種との混交により原種とうもろこしに被害が出ているというが、一般種と偽って輸入されるGMとうもろこしのゲートウェイは、依然開かれたままである。 翻訳/サマリー=山口ひろみ(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩 (IPSJapan)

NGO、遺伝子混入を警告

2006/04/17 JANJAN

【パリIPS=ジュリオ・ゴドイ、3月24日】

 欧州委員会は、3月10日にブリュッセルで発表した報告書において、遺伝子組み換え(GM)作物を通常・有機作物と分離する必要性はないとの見解を明らかにした。欧州委はまた、遺伝子組み換え生物(GMO、あるいは transgenic とも呼ばれる)から繊細な生態系を保護するあらゆる措置を違法とみなし、GM作物を禁止する各国政府・地域政府に対して制裁を与えると警告している。

 環境保護団体「グリーンピース」のパリ支部で有機物キャンペーンを担当するアーノード・アポテカー氏は、「組み換えられた遺伝子がいったん混入すると後戻りできないことを考えると、この欧州委員会の報告書はヨーロッパにおける伝統的農業・有機農業の終焉を意味することになるだろう」「欧州委は非常に無知で完全に不誠実だ」とティラメリカに対して語った。

 欧州委は、遺伝子組み換え種子を利用する農民が、自らの作物が受粉を通じて近隣農場の作物に遺伝子混入する場合に受けうる制裁に備えて保険に入るかどうかは、それぞれの判断次第だと述べている。

 委員会はまた、GMOが通常作物・有機作物に「偶然」混入した場合、混入率が最大0.9%までの場合に限り、欧州各国政府が罰金を科されたり、「遺伝子組み換え」表示をする義務が生じたりすることはないと述べている。

 アポテカー氏は、「通常作物・有機作物への遺伝子混入に対する厳しい法律が必要だ。また、GMOの生産・販売を停止する措置も必要だ」と強調する。

 1月には、ネズミに対する実験を通じてその毒性が明らかになったMON863を含む3種類の新型遺伝子組み換えトウモロコシを欧州委が認可している。MON863がネズミに与える効果の研究を行なったカン・フランス大学のジル-エリック・セラリーニ教授(分子生物学)は、ティラメリカに対し、「実験では、血糖値が上がり、赤血球・白血球の数に異常が見られ、腎臓障害が発生した」と語る。

 環境団体「地球の友」のGMOキャンペーン担当ヘレン・ホールダー氏は、「欧州委は、有機農業・伝統的農業を遺伝子混入から保護する法律を制定することなく、遺伝子組み換え作物の輸入を許可し続けている」という。

 グリーンピースによれば、フランス政府は現在、GMOが健康と環境に与えうる危険に関するあらゆる知見を無視した法律を制定しようとしている。

 しかし、欧州委員会やバイオテクノロジー利用を進める巨大多国籍企業のこうした努力にもかかわらず、欧州における遺伝子組み換え作物の生産・販売はいまだに限定的なものである。欧州諸国はGMO生産の世界のトップ10に入っていない。逆に3つのラテンアメリカ諸国――アルゼンチン・パラグアイ・ウルグアイ――がランキングに入っている。

 ドイツの環境団体「ブント」のアクセル・クルシャト代表は、ティラメリカが行なったインタビューに答え、ドイツにおける遺伝子組み換えトウモロコシ畑は、全トウモロコシ畑の1000分の1にも満たない、としている。また、フランスの遺伝子組み換えトウモロコシ畑は1000ヘクタールに満たない。トウモロコシ全体では300万ヘクタールにもなる。

 フランスとドイツで栽培されている遺伝子組み換えトウモロコシは、「BTトウモロコシ」として知られている。「トウモロコシに穴を開ける虫」(corn borer)として一般に知られるヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)の幼虫に対する抵抗性を増すために、BT菌(卒倒病菌)の遺伝子を組み込んナいることからこう呼ばれている。

 ヨーロッパアワノメイガはトウモロコシに対する最悪の害虫であると考えられている。まずは植物の葉を食い、つぎに茎に穴を開けて、2、3世代先の幼虫までが寄生する。

 クルシャト氏は、BTトウモロコシはその耐虫性にもかかわらずほとんどのドイツ農民から避けられているという。「なぜなら消費者が遺伝子組み換えトウモロコシを買わないからだ」。

 クルシャト氏は、「ドイツでBTトウモロコシの種を販売しているマルカ社は、遺伝子組み換えトウモロコシとの交雑があるか否かにかかわらず、GMOを栽培している農場に隣接した場所で取れる通常作物・有機作物を丸ごと市場価格で買い上げるという提案を行なっている。農民にとっては、こうした確実な飼い主は魅力的なものだ」と語る。

 マルカ社は、こういう戦略をとることによって、顧客の遺伝子組み換え作物によって近隣農場における混入率が法的限度を超えてしまった場合に、BTトウモロコシの非使用農家から訴訟を起こされることを回避できるのだという。BTトウモロコシを開発した農業多国籍企業モンサント社のドイツ広報担当、アンドレアス・ゼアフェルダー氏は、『南ドイツ新聞』において、こうしたやり方を採用していることを認めている。

 フランスの遺伝子組み換えトウモロコシ生産者は、商品を国内で売ることはない。スペインに輸出するのである。「環境活動」という団体が2月末に発表した調査によれば、フランスの消費者の75%が遺伝子組み換え食品に反対している。

 モンサント社とマルカ社の予防的な措置は理解しうるものだ。欧州委員会からの新指令があるにもかかわらず、通常農作物に対するGMO混入率の上限は0.9%である。これを上回るようなことがあれば、その商品には「遺伝子組み換え作物使用」との表示を行なわなくてはならなくなる。

 ドイツの「フライブルグ・エコロジー研究所」の生物学者、カジャ・モッホ氏は、ティラメリカに対してこう語った。「通常作物・有機作物に対する遺伝子組み換え作物の混入率の上限は守られているが、これはあくまで、GMOの割合を測定する際において全ての非遺伝子組み換え作物が測定の対象になった場合に限りいえることだ」。

 通常は、近隣の遺伝子組み換え作物農場から遠く離れた場所で収穫されたものに関しては混入率が低いといえる。しかし、モッホ氏は、「実際には、農民たちは農場全体から同時に収穫することはない。部分的に収穫を行なっていけば、しばしば混入率は0.9%を越える」という。

 こうした混入は、通常作物・有機作物を栽培する農家が、遺伝子組み換え作物を栽培する農家と機械や貯蔵庫を共同使用することによっても起きる。「農作業において使われ、複数の農家が共同使用する多くの重機は、洗浄することが難しく、GMOの拡散を助けることになる」とモッホ氏は説明する。

 環境保護主義者や有機農業の従事者は、GMO混入率の上限を0.1%にまで下げるべきだと主張している。しかし、欧州委員会はこの要求を無視し続けている。 翻訳=山口 響/IPS Japan浅霧勝浩

遺伝子組み換え(GM)食品を巡る攻防

2006/02/17 JANJAN

【ワシントンIPS=エマド・マッケイ、2月8日】

 環境保護団体によると、「ヨーロッパの遺伝子組み換え食品に対する使用禁止は国際貿易法の下では違法」とする世界貿易機関(WTO)の判断は、危険性が指摘される世界の「フランケンフード(Frankenfoods:遺伝子組み換え食品)」(遺伝子組み換え食品は遺伝子をツギハギするため反対派からはこのように呼ばれている:IPSJ)の到来を告げ、反対各国のGM食品の規制緩和を促進する可能性があるとしている。

 環境保護団体はEU(European Union: 欧州連合)に対して、ヒトの健康・環境への影響を最優先し、遺伝子組み換え生物(Genetically Modified Organisms: GMOs)の輸入許可の拒絶を継続することを要求してきた。EUの6年間にわたる遺伝子組み換え農作物の禁輸措置を巡り(輸入解禁という)待望の画期的判決により、今後世界中の農民や消費者は大きな影響を受け、さらに取引上では数十億ものお金が動くことになると見られている。世界最大規模の遺伝子組み換え作物の供給国である米国は(今回の訴訟の原告として)GMO技術の認可とヨーロッパの輸出市場へのアクセスを可能にしたと自信に満ちた態度を示している。

 (2003年、米国とカナダ、アルゼンチン、メキシコなどがEUによるGM食品のヨーロッパでの販売凍結に対してEUを提訴した)訴訟でのWTOの評決は、EU政策が「環境や人体に影響をもたらす可能性のある技術はそのリスクがなくなるまで延期すべきである」という基本方針を超えて進展していくかどうかを左右することになる。しかしアナリストや貿易の監視団体は、判決がアジア・アフリカ諸国でもGM食品の輸入禁止措置を問題視する方向へ動こうとしていると警告。最終的にはこれらの国々も判決に従わざるをえないとしている。

 米国政府を支持する右派団体や各企業はGM食品の推進を目指して運動を展開し、輸入禁止措置が世界の飢餓や貧困を助長しているとして環境保護団体を強く批判している。また、米国最大の食糧支援団体FPAは「米企業は今後も食品のラベリングやトレーサビリティーの要求といったEUによる貿易障壁の問題に直面していくだろう」と述べた。

 一方の環境保護団体は、多くの消費者にはGM食品への抵抗感は依然として強く残っているとし、判決に対しても楽観的な見方をしている。

 GM食品を巡る米国とEUの対立、およびGM食品の安全性に疑問を投げかける環境保護団体の動きについて報告する。 翻訳/サマリー=松本宏美(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩 (IPSJapan)


遺伝子組み換えナタネ、5府県の内陸部にも

2005年07月09日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 輸入された遺伝子組み換えナタネが長野県など内陸部で広く生育していることが9日、市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」(東京)の調査結果で分かった。

 この調査は、同キャンペーンの活動に賛同した生活クラブ生協など4つの消費者団体が全国23都府県で行った。市民団体による全国規模の調査は初めて。道端などに生えていたナタネを採取。たんぱく質を分析する1次検査を実施したうえで、調査機関に委託してDNA検査を行った。

 その結果、特定の除草剤をまいても枯れない性質を持つ遺伝子組み換えナタネが千葉、長野、大阪、兵庫、福岡の5府県14か所で育っているのが見つかった。福岡や兵庫では市街地で生育していた。長野県では長野市のほか、茅野市や岡谷市、下諏訪町で見つかった。

 食用油の原材料となるナタネはほとんどを輸入に頼っており、輸入相手国のカナダでは遺伝子組み換えナタネの栽培が広がっている。遺伝子組み換えナタネは、日本国内では一般に栽培されておらず、加工用に輸入されたナタネが、道端にこぼれ発芽したとみられる。

 同キャンペーンの天笠啓祐(あまがさ・けいすけ)代表は、「これまで茨城・鹿島港や千葉港、名古屋港などの港湾地域では見つかっていたが、内陸部や住宅街でも育っているのが分かり、驚いている。これだけ入り込んでいると、遺伝子組み換えではない西洋ナタネや在来ナタネ、カラシナなどとの交雑が心配される」と話している。

 この結果について環境省では、「直ちに生態系への問題があるとは言えない」としながらも、「こぼれ落ちた遺伝子組み換えナタネが、今後、在来種を駆逐して広がっていかないか、監視を続けていく必要がある」とし、同省で調査を継続していく方針だ。

遺伝子組み換え:悪影響を防止する多様性確保法が成立

2003年06月10日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 遺伝子組み換え生物による生態系への悪影響防止を目的とする「遺伝子組み換え生物の使用規制による生物多様性確保法」が10日、衆院本会議で可決、成立した。遺伝子組み換え生物の輸出入や流通を規制する生物多様性条約の「カルタヘナ議定書」に対応する国内法で、日本は今秋の議定書締結を目指している。新法は、議定書が発効する日に施行される。

 新法は、田畑などで種子などの遺伝子組み換え生物を利用する場合、周辺の動植物への影響を事前調査し、関係大臣の承認を受けることを義務付けた。遺伝子組み換え生物が生態系に悪影響を及ぼした場合、関係大臣は販売停止や商品回収などの措置命令を出せる。違反者には最高で1年以下の懲役や100万円以下の罰金を科す。

 議定書は00年1月に採択された。50カ国が締結してから90日後に発効する。5月末現在の締結国は49カ国。【永山悦子】

遺伝子組み換え生物規制法案を閣議決定

2003年03月18日 asahi.com
 政府は18日、遺伝子組み換え生物が自然界に広がって固有種と交雑したり、固有種を駆逐したりするのを防ぐ「遺伝子組み換え生物使用規制生物多様性確保法案」を閣議決定した。今国会での成立をめざし、組み換え生物の輸出入の手続きを定める生物多様性条約カルタヘナ議定書を批准する。議定書は03年中にも発効する見通しで、同法は議定書が発効する日に施行する。

 組み換え農作物を屋外で栽培するため新たに作ったり輸入したりする業者は、事前に使用規定を提出し、生物多様性影響評価書を付けて、国の承認を受けることが義務づけられる。薬品製造用の微生物など閉鎖空間で使う場合は、省令で定める拡散防止の措置をとることが義務づけられる。

 また、未承認の組み換え生物が飼料用や食用の穀物の種子に混入するなどして、知らずに輸入するおそれがあると国が指定する業者は、輸入の際に国に事前に届け出ることが義務づけられ、国は業者に検査命令を出すことができる。組み換え生物を輸出する業者は相手国に通告する義務があり、組み換え生物の種類などを表示しなければならない。緊急時に国は業者などに立ち入り調査や回収命令などを出すことができる。命令違反は1年以下の懲役や100万円以下の罰則がある。

米、組み換え作物輸入規制でEU提訴

2003年05月14日 The Sankei Shimbun
 米政府は13日、欧州連合(EU)が遺伝子組み換え作物の輸入を規制しているのは世界貿易機関(WTO)協定違反だとして、WTOの紛争処理機関に提訴した。通商筋によると、安全性を中心とする組み換え作物の是非がWTOで本格的に争われるのは初めて。

 米国とEUは、組み換え作物の認可基準や、組み換え作物を使用した食品の表示義務、さらには「疑わしきは認めず」とした「予防原則」などをめぐり対立を続けてきた。今回の紛争は「自由貿易と安全性・環境保持」の対立を軸に、国際機関が両者の主張に裁定を下すケースとなる。

 通商筋によると、カナダなど3カ国が近く同様の提訴に踏み切る見通し。日本も、紛争当事国ではないものの意見書提出の権利がある「第三国」としての参加を検討しており、組み換え作物をめぐる大型通商紛争に発展する可能性がある。

 米政府がWTOに提出した文書によると、EUは1998年10月に組み換え作物の新規認可を凍結。以来、さまざまなEU規則を通じて組み換え作物の新規認可を先送りし続け、遺伝子組み換え技術を使った米農産物の輸入を規制してきた。

 また、EU加盟国の一部は組み換え作物の輸入禁止措置を維持しており、こうした措置がWTOの「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)や農業協定に違反すると主張した。

 害虫への抵抗力強化などを目的とした組み換え作物をめぐっては、非政府組織(NGO)などが健康だけでなく、土壌や生態系など環境への影響を指摘している。(共同)

組み換え作物を受け入れ モザンビーク政府

2002年08月15日 The Sankei Shimbun
 AP通信によると、食料危機に直面しているアフリカ南部のモザンビーク政府は、米国が支援食料として送った遺伝子組み換え作物を含むトウモロコシの受け入れを決め、首都マプトの港で14日、約4500トンが陸揚げされた。

 モザンビーク政府は、組み換え作物のトウモロコシを自国の農民が植え付けて地元農業に何らかの影響が出る懸念があるとして、米国からのトウモロコシ受け入れに難色を示していた。

 こうした懸念を取り除くため、陸揚げされたトウモロコシは直ちに港近くの製粉工場に運ばれることになっている。(共同)

未承認の組み換え食品、流入防止へ水際検査へ

2001.02.19(14:35)asahi.com
 国内で安全性未承認の遺伝子組み換え食品を、輸入の水際でくい止めようと、厚生労働省は4月から検疫時の抜き取り調査に乗り出す。未承認の組み換えトウモロコシ「スターリンク」混入を防ぐ日米間取り決めが、事実上機能不全に陥っていることを問題視し、輸出国頼みの防止策では不十分、と判断した。特にトウモロコシ加工品に対しては、感度の高い遺伝子解析方法を新たに導入する。今年度中に検査方法を公定法として公表する方針。

 厚生労働省は、「食品衛生法で安全性審査を義務付ける4月以降、未承認の組み換え食品はごくわずかでも国内へ入れさせないのが原則」という立場だ。現在、29作物と5つの食品添加物に対して安全性審査を済ませているが、組み換え食品先進地の米国では、これより多い組み換え品種が栽培され、国内未承認品種の流入の恐れが国会でも指摘されていた。

 抜き取り調査は、検疫段階でサンプルを取り、横浜と神戸の検査所で遺伝子配列を調べて品種を特定する。未承認作物が検出された場合、食品衛生法に基づいて、輸入済みの製品の回収や輸出国への積み戻しなどが命令できる。これまでの輸入農産物の抜き取り検査では、残留農薬などの量を調べるだけだった。

 アレルギーを起こす可能性が指摘された、国内未承認の組み換えトウモロコシ「スターリンク」については、昨年秋から流入が問題化していることから、特にきめ細かい検査を行う。加熱処理された加工食品は、1万分の1の混入率でも発見できる検査法を導入する。原料トウモロコシは試薬を使った簡易な検査キットで調べる。

 スターリンク問題で日米政府は昨年11月、積み出し前検査を徹底し、流入防止を図る取り決めをした。しかしその後、米国の検査では「シロ」でも日本で確認検査すると「クロ」のケースが相次いだ。米側の対応に不信感を募らせた厚生労働省は、米側に原因究明を求め、現在、確認用サンプルの受け取りを拒否している。

 混入を懸念する商社の中には、食品用トウモロコシの買い付け先を南アフリカやフランスなどに切り替えたところもある。しかし、年間約250万トン生産され、加工品の大半を占めるコーンスターチなどは米国産頼みが続いており、ある商社の担当者は「製品回収のリスクを考えると、米国からの輸入ができなくなる可能性がある」と話している。

米からの輸出前検査で遺伝子組み換えトウモロコシ検出

2000.12.19(22:48)asahi.com
 アレルギーを引き起こす可能性がある遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」の輸出前検査で、厚生省は19日、米国で抜き取りされ日本へ確認検査のため空輸された5つのサンプルのうち、1つにスターリンクが混入していた、と発表した。米農務省の検査手順に従って米国側で行われた検査では検出されておらず、厚生省は「陽性」の調査結果を在日米国大使館へ通知し、サンプルの元になった食品用トウモロコシの輸出差し止めを要請した。今後、日米で検査結果が異なった原因の究明と再発防止を求めていく。

 5検体は12月上旬、米国内で採取され、日米共同で行う輸出前検査としては最初のケースだった。厚生省によると、同時に採取されたサンプルの一部は米国で混入の有無が検査されたが、検査を行った機関や詳細な状況は、まだわかっていないという。

アレルギーの恐れ 組み替えトウモロコシ/米環境保護局委

2000.12.05 【ワシントン5日=西田令一】The Sankei Shimbun
 米環境保護局(EPA)の科学諮問委員会は五日、食品への混入が問題化している家畜飼料用の遺伝子組み換えトウモロコシ品種「スターリンク」が人間にアレルギーを起こす「中程度の可能性がある」との結論をまとめ、公表した。この品種は日本にも輸出されたことが判明しており、回収や流入防止を求める声が強まりそうだ。

 科学諮問委員会は、「スターリンク」を使った食品を食べた後にアレルギー反応を起こしたとされる三十四人を調べた結果、「スターリンク」に含まれる殺虫剤成分のタンパク質、「Cry9C」がアレルギー抗原となる潜在的な危険があるとの見解で一致した。

 「スターリンク」は欧州の大手化学会社、アベンティスが開発。当初からアレルギーの原因になり得ると指摘され、家畜飼料用かエタノール製造用としてしか認可されていなかった。

 しかし、クラフト社をはじめとする米大手食品メーカーのポテトチップス類に「スターリンク」の痕跡がみつかり、これらメーカーでは今年九月、トウモロコシを使用した自社製品の回収に乗り出している。

日本向け米トウモロコシにスターリンク検査は実施していない=農務省

2000年11月25日(土) 13時28分 [ワシントン 24日 ロイター]
 米農務省(USDA)は、連邦穀物検査官らがこれまでに、遺伝子組み換えトウモロコシ、「スターリンク」の成分検出試験を、日本向けの米トウモロコシに対して実施していないことを明らかにした。

 USDAの穀物検査・家畜食肉生産・卸売事業部(GIPSA)フィールド・マネジメント・ディレクター、デビッド・オー氏は、22日の時点で、日本が承認した米プロトコルに基づく「スターリンク」検査をUSDA検査官に依頼した国内の輸出業者はない、とした。

 同氏は、「22日の時点で、日本とのプロトコルに直接関連した検査を実施したとの報告はない。実施されていれば、われわれが認識しているはずだ」と述べた。

 同氏によると、検査官らは、はしけや貨物列車の積荷に対し、「スターリンク」検査を実施しているが、これらの荷は日本に向けられたものではない。

 USDAは15日、「スターリンク」検査が可能になったことを、米穀物輸出会社に伝えている。

スターリンクの買い戻し期限を、来年9月まで延長=アベンティス

2000年11月22日(水) 12時30分[シカゴ 21日 ロイター]
 欧州の大手製薬会社、アベンティスは、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ、スターリンクの買い戻し期限を、来年9月まで延長した。スターリンクについては、使用した食品の回収が実施され、主要トウモロコシ市場への輸出に影響が出ている。

 同社の米法人、アベンティス・クロップサイエンスは、16州の司法長官らによる合同書簡への回答で、同期限を明らかにした。同16州では前週、スターリンクによる被害が生じたとして、農家や穀物業者らから賠償請求が出ている。

新たなスターリンク検出問題で、27日に協議をする=米農務省報道官

2000年11月22日(水) 11時25分 [ワシントン 21日 ロイター]
 米農務省(USDA)は、「スターリンク」のタンパク質が、1998年にアイオワの企業が販売した別の品種のトウモロコシから検出されたことに関して、原因が分からないと発表した。スターリンクは、輸出市場で混入が問題となっている遺伝子組み換えトウモロコシ。

 USDAのソロモン報道官によると、同省の科学者、エコノミスト、政策責任者らは、27日にこの新たな混入問題について協議する。

 同報道官は、「ここでの疑問は、この問題が、遺伝子の転移によるものか、それとも、同社の生産・流通過程で、処理間違いがあったのかだ」と語った。 同報道官は、「27日に業界との協議を行い、状況の把握と、政府や業界による新たな対応について検討する」と語った。

 この混入問題については、これに先立って、アベンティスが、スターリンク以外の、1998年産トウモロコシから、スターリンクのCry9Cタンパク質が検出された、と発表している。

 同社は、スターリンク以外の品種のトウモロコシから、なぜ同タンパク質が検出されたか分からないとして、それ以上の発表をしなかった。

スターリンクのタンパク質を他のトウモロコシでも検出=アベンティス

2000年11月22日(水) 10時24分 [ニューヨーク 21日 ロイター]
 フランスのアベンティスの子会社、アベンティス・クロップサイエンスは、遺伝子組み換えトウモロコシの「スターリンク」以外のトウモロコシから、スターリンクのCry9Cタンパク質が検出され、これまでの報告以上にスターリンクの種子が広がっている可能性がある、と発表した。

 同タンパク質は、スターリンクのみに存在するとされていた。

 アベンティス・クロップサイエンスは、声明の中で、アイオワ州のガースト・シード社の生産したトウモロコシ種子からCry9Cタンパク質が検出された、と発表した。

 ガースト社は、別の声明で、1998年産のハイブリッド・トウモロコシから、同タンパク質が検出されたと確認した。1999年と2000年産のハイブリッド・トウモロコシの検査では、まだ、同タンパク質は検出されていない。

 アベンティスは、スターリンク以外の品種のトウモロコシから、なぜ同タンパク質が検出されたか分からない、としている。

Aventis社、「StarLink」以外のトウモロコシからCry9C蛋白を検出

00/11/24 Biztech News
 フランスAventis CropScience社は11月21日、「StarLink」以外のトウモロコシ種子から、ヒトでのアレルギーを引き起こす可能性が指摘されているCry9C蛋白が検出されたと発表した。

船積み前検査、週内開始へ 遺伝子組み換えトウモロコシ

2000.11.21(19:39)asahi.com
 アレルギーを引き起こす恐れを指摘される遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」の混入防止問題で、在日本米国大使館の農務担当官は21日、米国から日本へ食用として輸出されるトウモロコシの船積み前検査が、週内にも始まるとの見通しを明らかにした。

 検査サンプルは、トウモロコシを米国内で輸送するはしけや貨車ごとに採取。まず、米国の輸出業者が化学的な検査方法でスターリンクの混入の有無を確認する。日米間で実施が決まった日本での確認検査は、米国側が採取したサンプルの約1割を空輸して行うことで最終合意した。当面1カ月間に20サンプルを運び、千葉県の成田空港検疫所などで調べる。どちらかで混入が確認されれば、食用ではなく、米国内での家畜飼料用に回される。

GM作物混入問題 検査会社大忙し/トウモロコシ 米からの輸入半減

2000.11.20 The sankei shimbun
 国内で認可されていない遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」が、米国から輸入したトウモロコシに混入していた問題で、食品業界が検査体制を強化したり、商社の米国からの輸入成約が半減するなど波紋が広がっている。知らないうちに安全性が確認されない組み換え作物が混入していたことは消費者の不安をかき立てており、政府の対応の鈍さや国際ルールの不備を浮き彫りにした。

 組み換え作物の検査会社、ジェネティックID(本社・横浜市)は超繁忙が続いている。十月下旬に市民団体「遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン」が、加工食品への混入を発表してから、食品メーカーや商社から百件を超す問い合わせがあった。

 トウモロコシはビールやコーンスナックなどに加工される。商品イメージを損ねないため、「組み換え作物が混入しないよう商社に指示した」(キリンビール)と、メーカーも対応に追われている。

 スターリンクは、フランスで開発された害虫の付きにくいトウモロコシ。組み込まれたタンパク質がアレルギーを起こす可能性が指摘され、米国では飼料用だけが認められ、日本では食品、飼料用とも未認可だ。混入したのは意外なルートだった。組み換え品種の作付けは通常品種と最低二百メートルの間をあける決まりだが、花粉が風で飛んで交雑が避けられないという。

 今回の事態を受け、商社は飼料用について輸出する前に自主検査を始めた。だが、トウモロコシは来年一−三月の船積み分が例年の半分のペースに落ちた。

 厚生省と米農務省は食用に関し船積み前の検査で合意したが、飼料用で交渉が難航。日本側交渉担当者は「米国人はスターリンク混入のえさを食べた牛を食べており、なぜ日本でそれができないのかといわれる」と苦渋の表情だ。

 農水省は牛、豚などへの影響について実証研究を始めたばかりで、米国の実験データなどをもとに悪影響はないと推測。厚生省は二月に米国からの食用トウモロコシ約三万八千トンへの混入の疑いを把握しながら一カ月以上公表しなかった。

 米食品医薬品局が認可している遺伝子組み換えトウモロコシは食用、飼料合わせて十三種、日本の農水省は飼料だけ八品種だが、認可品種や検査体制はばらばら。国際的共通ルール作りが緊急課題といえそうだ。

「スターリンク」トウモロコシ 15検体中、10検出

2000.11.16(20:18)asahi.com
 日本では未承認の遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」の飼料用トウモロコシへの混入を調査していた農水省は16日、今年4月から6月にかけて全国各地の船や倉庫から採取した15検体のうち、10検体からスターリンクの混入が最終確認されたことを発表した。10検体の平均混入率は0.5%(1000グラムでは5グラム)だった。同省は7―9月に採取した検体についても分析を進めており、年内にも結果を公表する。

 農水省は13日に、15検体中10検体からスターリンク混入の反応が出たと発表したが、塩基配列で最終確認した。スターリンクの混入が確認された10検体のうち、もっとも混入率の高かった検体は1.2%、もっとも少なかったのが0.2%だった。

 スターリンクについては現在、日米間で輸出前に混入を防止する検査をめぐる交渉が続いているが、難航している。また、米国から日本に輸出されるトウモロコシの来年1―3月分の船積みも、例年より成約が遅れているといい、スターリンク混入の影響も出始めている。

組み換えトウモロコシ、飼料用サンプルから検出

2000.11.13(15:27)asahi.com
 人に対してアレルギーを引き起こす可能性が指摘され、日本には輸入できない遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」について農水省が行った検査で、4―6月に通関した飼料用トウモロコシのサンプルの3分の2からスターリンクの反応が検出されていたことが13日、明らかになった。同省の検査で混入が確認されたのは初めてで、スターリンクが混入した家畜用飼料が国内で流通していることになる。同省は混入を防ぐため、輸出時検査を米国へ申し入れているが、日米間で詰めの交渉が長期化すれば、飼料の輸入が滞り、価格の上昇などで国内の畜産農家が影響を受ける可能性もある。

 農水省は今年度から、輸入飼料に遺伝子組み換え種が占める割合などの調査を始めている。飼料用トウモロコシは4―6月、全国各地に入港した船や倉庫から15のサンプルを採取。農水省東京肥飼料検査所(埼玉県大宮市)が10検体からスターリンク特有の反応を確認した。

 農水省は「検査結果に誤りがないよう、最終的な分析をする必要がある」と、これまで検査結果は公表していない。食用トウモロコシについては、厚生省が18検体の確認調査を数日で終え、今月7日に7検体でスターリンクを検出したと発表している。

 日本では、スターリンクを食用としても飼料用としても安全性確認してないため、輸入を認めない形になっている。米国では食用はだめだが、飼料用では承認されている。農水省は飼料用も食用並みに輸出前検査をして、混入を防ぐ手だてを取るよう米政府に求めているが、資金負担などをめぐり最終的な合意には至っていない。日本の商社などが独自に厳密な混入検査をする場合、多額の費用がかかるほか、輸出の遅れも予想され、飼料の価格に跳ね返る恐れがある。

わが国で安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシ(商品名:スターリンク)に関する対応について(平成12年11月7日)厚生省生活衛生局

遺伝子組み換え安全性公開提言 市民会議

2000.11.05 The Sankei Shimbun
 遺伝子組み換え作物の安全性について、公募で集まった市民が専門家の意見を聞きながら議論する「遺伝子組み換え農作物を考えるコンセンサス会議」が四日、組み換え技術には一定の規制が必要だ、などとする政府への提言をまとめた。

 組み換えの仕組みや安全性について、これまで国が十分な情報提供を消費者にしてこなかったと指摘。組み換え作物の安全性審査や食品への混入検査の情報は全面公開すべきだと主張している。

 健康への影響やアレルギーに結びつく毒性についての長期間の追跡調査の実施や組み換え技術の開発前に必要性や必然性を検討する審議委員会の設置を求めた。ただ組み換え農作物そのものや開発の必要性については賛否両論があり、議論を集約できなかった。

 会議は市民の声を農政に反映しようと農水省が企画。全国から四百七十九人の応募があり、抽選で選ばれた会社員や主婦ら二十歳から七十四歳の十八人が、九月から泊まりがけなどで計四回の会議に参加し、提言をまとめた。

遺伝子組み換え農作物の導入で提言 公募市民による会議

2000.11.04(21:04)asahi.com
 遺伝子組み換え農作物の是非などについて、市民でつくる農水省のコンセンサス会議は4日、「技術開発のメリットもリスクも確実ではなく、導入には社会的な合意が必要」とする提案をまとめた。

 会議は、公募で選ばれた主婦や会社員、自営業者ら18人で構成。9月から4回、計6日間の会合で、自分たちでつくった疑問を専門家に尋ねたり、反対や賛成の立場の人たちから意見を聞いたりして論議を重ねた。研究施設も見学した。

 提案は、遺伝子組み換え農作物が、食糧や環境問題などを解決する可能性があるというメリットに理解を示しながらも、リスクに対する長期的な調査の必要を強調している。

 また、遺伝子を組み込む必要性や緊急性の判断を企業任せにせず、開発前に行政側が審議する委員会の設置を求めた。健康被害が生じた場合、だれが責任を負うべきかについても早急な検討が必要としている。

 一方、導入は凍結した方がいいなどという反対も少数意見として付けている。

 コンセンサス会議は市民の意見を科学技術政策に反映させる場として1980年代半ば以降、欧州から広まった。日本の中央官庁では農水省が初めてだった。

遺伝子組み換えトウモロコシ食品の販売自粛指導 厚生省

2000.10.25(21:06)asahi.com
 米国で回収騒ぎが起きている遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」が日本国内の食材にも混入していたと市民団体が指摘した問題で、厚生省は25日、販売した東京都内の食品会社に対し、製品の販売自粛を指導した。同社はこれを受け、26日から製品の自主回収を始めることを決めた。トウモロコシはケーキやパン、スナック菓子類の原料として使われるだけでなく、ビール原料などにも利用されおり、混入の程度によっては食品業界に広く影響を与える可能性がある。

 厚生省は、市民団体の調査結果を確認するため、国立医薬品食品衛生研究所で指摘のあった製品と同時期の製造の遺伝子を解析する。製品の出荷元に販売の自粛を指導する一方で、商社や加工業者らには原料トウモロコシの流通経路などを調査するよう求めた。また、安全性未審査種のスターリンクが、食品として日本へ輸出されない措置を講じるよう、米国政府へ要請する方針だ。

 この品種がつくる殺虫性のたんぱく質は、アレルギーを引き起こす可能性が指摘されている。米国は家畜飼料用だけに認め、日本は食用にも飼料用にも認めていない。先に食品への混入がわかった米国では、食品業者が商品の回収を行っており、米農務省はこの品種の全量買い上げを表明している。

 組み換え食品についてはこれまで法律に基づく規制がなかったが、2001年4月から食品衛生法で安全性審査が義務付けられる。未審査の組み換え食品は製造、販売、輸入が禁止され、市場に出回った場合、回収や輸出した本国への積み戻しが命令できるようになる。

食べるなら国産品 農産物貿易総理府調査/「輸入品」選択わずか0.4%

2000.10.08 The Sankei Shimbun
 食料品を購入する際、八割以上の人が安全上の理由などから国産品を選ぶなど、国産志向がかなり強いことが、総理府が七日に発表した「農産物貿易に関する世論調査」で分かった。また、バイオテクノロジー食品や将来の食糧供給に不安を感じる人が多く、食糧安全保障に対する国民の関心が強いことが浮き彫りになった。

 調査は今年七月、全国の成人五千人を対象に実施され、三千五百七十人から回答を得た。

 それによると、国産品と輸入品のどちらの食料品を選択するかでは「国産品」が八一・九%に上るのに対し、「輸入品」はわずか〇・四%。国産品を選ぶ理由は、「安全性」(八二・〇%)や「新鮮さ」(五七・三%)などが多く、輸入品の安全性に不安を感じる人が四六・六%と半数近くいた。

 また、「遺伝子組み換え食品」などバイオテクノロジーの取り組みについては、「反対」(三九・九%)が「賛成」(二三・二%)を上回り、バイオテクノロジーへの不信感の根強さが分かる。ただ、「どちらともいえない」と答えた人も二七・三%いた。

遺伝子組み換えトウモロコシが混入 米企業、食品を回収

2000.09.24(00:26)asahi.com
 米食品販売会社クラフト・フーズ社は22日、未認可の遺伝子組み換えトウモロコシが混入していた食品を回収すると発表した。環境保護団体の指摘を受けて分析した結果、米政府が家畜飼料にしか認めていない遺伝子組み換えトウモロコシの混入が確認された。

 回収されるのは、メキシコ料理タコス用のトウモロコシ粉シートで、スーパーマーケットなどで販売されていた。

 問題のトウモロコシは仏企業が開発した商品名「スターリンク」で、害虫が死ぬたんぱく質を作れるように遺伝子を組み換えている。このたんぱく質は人にアレルギーを引き起こす恐れがあり、米食品医薬品局(FDA)は食品に使うことを認めていない。

遺伝子組み換え食物の開発、国内6社中3社が撤退

2000.08.27(08:42)asahi.com
 イネや野菜などの食物の遺伝子組み換え(GM)作物を開発してきた国内の主要企業6社のうち、三井化学、キリンビール、カゴメの3社が、開発から撤退していることがわかった。GM作物は、人体への影響を心配する消費者の反発が大きいのに加え、飛躍的に生産量を増やしたり、味をよくしたりする品種の開発には多額の費用がかかることから、現状では事業として成り立つ見込みはないと判断した。GM作物に関連しては、国主導でイネの遺伝子研究が始まるなど、将来の農業技術への貢献も期待されるが、民間企業が単独で開発を進めるのは困難な現状が浮き彫りになった。

 農水省の承認を受けて食物分野のGM作物を開発してきた国内企業には、日本たばこ産業(JT)グループ、三菱化学グループ、三井化学(いずれもイネ)、キリンビール、カゴメ(いずれもトマト)、タキイ種苗(カリフラワーなど)の6社がある。

 三井化学は1990年代半ばから、アレルギーの原因となるたんぱく質を抑えたイネの開発を進めた。しかし、複数の原因たんぱく質を抑える必要が出てきたため、「開発には多額の費用がかかり、事業化の芽は当面ない」として撤退した。キリンとカゴメは日持ちの良いトマトの開発に取り組んできたが、「消費者の不安を尊重せざるを得ない」(キリン)として、ともに開発を取りやめ、キリンは花の開発に切り替えた。

 一方、開発を続けている企業でも、三菱化学グループとタキイ種苗は、研究規模を縮小している。

仏北部の畑のアブラナ廃棄命令 遺伝子組み換えの種混入

2000.05.27(00:23)asahi.com
 フランス政府は25日、同国北部の畑約600ヘクタールのアブラナの廃棄を命じた。欧州ではまだ認められていない、遺伝子組み換え操作を加えられた種が混入していたため。問題の種は全体の1%程度だが、畑の中での交配で組み換えの影響が「感染」する恐れがあるとして、すべての廃棄を決めた。

 アブラナは菜種油などの原料に使われる。パリでの報道によると、種を供給したのは、オランダの企業グループの英国にある子会社。除草剤などへの抵抗を強めるために遺伝子組み換え操作を加えた品種の種が、過って通常の種に混入されたまま売られ、フランスのほか英国、ドイツ、スウェーデンでまかれたという。

 欧州連合(EU)内では、遺伝子組み換え食品の販売規制はあるが、組み換え品種の栽培については法的にはまだ未整備。このため、フランスなどは暫定的に栽培を認めない方針をとっている。

 混入問題が約1週間前に表面化した際、グラバニ農業水産相は、消費者の健康や環境に危険はないとして放置する構えを見せていた。だが、緑の党出身のボワネ環境相が全面廃棄を強く主張。環境団体や消費者団体の懸念も強いため、政府として廃棄に踏み切ったようだ。

 この種は4カ国合わせて約1万5000ヘクタールの畑にまかれており、うち英国が1万3500ヘクタールを占める。スウェーデンも7月上旬までに廃棄に着手する方針を明らかにしている。

遺伝子組み換え食物、米政府が規則を強化へ

00年5月4日 18時38分[ワシントン 3日 ロイター]
 クリントン米政権は、消費者の間で遺伝子組み換え作物や食品への懸念や、安全性に関するより詳しいデータの開示を求める声が強いことを受け、あらたな対策を発表した。

 大統領の科学顧問によると、バイオテクノロジー関連会社は、遺伝子組み換え食物についての研究結果を、米食品医薬品局(FDA)に提出することが義務づけられる。

 また、遺伝子組み換え作物使用に関する新たな検査を、農務省が監督するという。

組み換え作物に表示指針

2000年5月4日 9時40分【ワシントン共同】
 米政府は3日、遺伝子組み換え作物の商品化に当たり米食品医薬品局との事前協議を義務付けるとともに、組み換え作物を含むか否か表示する際のガイドライン(指針)を作ると発表した。

 しかし、表示義務化や安全検査強化、人体や環境への長期的影響の監視は見送られたため、消費者同盟など米消費者団体は反発し、一層の規制を求めた。

遺伝子組み換え作物の食品化、国内6社が当面見送り

03:08a.m. JST May 03, 2000 by Asahi.com
 遺伝子組み換え(GM)作物の研究を進めている日本たばこ産業(JT)や三菱化学など国内の主な開発メーカー6社は2日、食品として商品化することを当面見送る方針を明らかにした。国内ではGM作物の安全性に対して消費者の不安が広がっているため、現状では食品として市場に受け入れられず、企業イメージもダウンすると判断した。一方、技術的に先行する欧米メーカーが開発したGM食品が国内に輸入されており、欧米メーカーによる技術や市場の支配を心配する声もある。

 GM作物は、病気や害虫に強くしたり、収穫量を増やしたりするため、ほかの生物や品種の遺伝子を組み込んで新しい性質を加えた作物で、農業の生産性や効率を高める目的で研究開発が進められている。すでに米国メーカーを中心に特定の除草剤や害虫などに強い性質を持つ大豆やトウモロコシ、菜種などが商品化され、大量に生産されている。

 国内では、農林水産省や自治体の研究所などが研究を進めているほか、1980年代後半から民間企業が主にイネや野菜などの研究開発に乗り出した。日本で食品にできる可能性があるGM作物を研究開発する場合、農水省から環境に対する安全性の確認を受ける必要がある。これまでに確認を受けた国内メーカー(外資系を除く)は、JTグループ、三菱化学グループ、三井化学(いずれもイネ)、種苗メーカーのタキイ種苗(カリフラワーなど)、キリンビール、カゴメ(いずれもトマト)の6社。食品化するには、さらに厚生省による安全性の確認が必要だが、この6社が技術的に先行している。

 しかし、96年以降、米国などからGM技術を使った大豆やトウモロコシなどが輸入されると、消費者の間に害虫に強い遺伝子を組み込んだ作物などの人体への影響を危ぐする声やアレルギーなどを心配する声が高まった。一部の生活協同組合でGM食品を排除する動きも出ている。

 これらの反響を受け、キリンビールは昨年8月、GM技術による日持ちの良いトマトの研究を中止。そのほかのメーカーも「消費者の理解が必要」(カゴメ)、「現状での商品化は困難」(JT)などとして、6社すべてが食品化を見送ることになった。消費者に安全性が理解された時には商品化する方針だが、見送り期間は数年間になる可能性もある。キリンビールは新たにGM技術を使った花の研究に取り組み、ほかのメーカーは今後も研究を進めるなどして将来の食品化に備える。

Qualicon社、組換え食品の検査サービス開始、価値高いバイオ食品選択への利用期待

SPC2000042511833【00/04/25】by 日経バイオテックOn-Line
 米国DuPont社の完全子会社で、食品検査を行っている米国DuPont Qualicon社は、4月24日、特定の組換え食品の検査サービスを行う検査所をオープンさせたことを発表した。遺伝子組換え農作物の開発を積極的に進めるDuPont社が組換え食品の検査に乗り出すことになる。

ニセ有機畜産物追放へ国連が国際指針づくり

2:30 p.m. JST April 19, 2000
 国際的な取引が増えている「有機畜産物」について、各国政府が国連機関のもとで、国際指針づくりに乗り出した。英国の狂牛病騒動やベルギーのダイオキシン鶏肉事件などで、安全な畜産物への関心、需要が高まっている一方で、統一的な基準がなく、表示のあいまいさが指摘されてきた。原案では、遺伝子組み換え作物などを含まない有機飼料で育て、病気以外では動物用医薬品を使わない、などの条件を満たした畜産物に限り、「有機」と認証、表示できると定めている。各国は5月にカナダで開く国際会議で最終案を詰め、総会で採択を目指す。

 指針づくりは、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で設立した食品規格委員会(コーデックス委員会)で進められている。同委員会は昨年、野菜や穀物などの「有機食品」の指針を採択したほか、遺伝子組み換え食品についても、国際安全基準づくりを目指して、先月、千葉市で特別部会を開いた。

 畜産物でも指針が採択されれば、各国は指針に合致した国内基準を作ることになり、農水省も法に基づいた表示や認証方法を検討する方針だ。

 これまでの交渉でまとまった原案は、家畜の飼育法や畜舎・放牧地の条件、衛生管理など56項目からなり、(1)草地や野外飼育場と連なる場所で飼育する(2)遺伝子組み換え作物などを含まない有機飼料で育てる(3)受精卵移植や遺伝子工学を使用した繁殖は認めない(4)病気以外では、成長ホルモンや抗生物質など医薬品を使用しない――などの条件を満たせば、認証、表示できると定めている。

 治療目的であっても2005年以降は、抗生物質の使用を認めるべきではない、との意見も一部の国から出ている。

 さらに「動物の福祉」にも配慮して、自然の光や空気のもとで飼育し、滑ってけがをしないよう畜舎の床に乾いた牧草を敷く、などと細かく規定している。家畜によっては、群れでの飼育を条件にしている。

 ただ、国土の狭い国には達成が難しい規定もあり、日本は例外規定を盛り込むよう求めている。

英国でGM食品のラベル表示を義務づける法律が施行

00年4月11日 14時37分[ロンドン 10日 ロイター]
 
 遺伝子組み換え(GM)食品のラベル表示を義務づける法律が、イングランドとスコットランドで施行された。 <P>
 先週発足した食品基準機構(FSA)によると、欧州連合(EU)で新たに定められた法律に従い、GM添加物・調味料を含む食品や、GM大豆・トウモロコシを含む製品にはすべて、ラベル表示が義務づけられる。

 同様の規則は近く、ウェールズや北アイルランドでも施行されるという。

遺伝子組み換え食品へ、米ボストンで大規模な抗議デモ

00年3月27日 18時16分[ボストン 26日 ロイター]
 
 食品の遺伝子組み換えに対する抗議デモが、ボストン市内で行われた。

 バイオテクノロジー業界関係者による会議の開幕に合わせたもの。デモ参加者は3500人と、主催者は米国で過去最大規模を自認する。

 現地の警察当局は、昨年シアトルで行われた世界貿易機関(WTO)の会議で、抗議デモによる混乱が起きたことを受け、警戒体制を敷いていた。

しかし、今回のデモは4時間で何の混乱もなく終了、逮捕者は出なかったという。

ツナ缶輸出に暗雲、欧州など、遺伝子組み替え作物を規制

タイ - Thu Mar 23 ( 2000 )by NNA
 遺伝子組み替え作物に対する輸入規制の動きが、タイのツナ缶輸出に影響を及ぼし始めている。ツナを漬ける植物油の原料である輸入大豆に遺伝子組み替え作物が使われている可能性があるためだ。欧州や中東諸国ではすでに輸出が減少するなどの影響が出始めているが、最大市場の米国が安定しているため大きな混乱には至っていない。 サウジアラビアは今年1月、遺伝子組み替え作物が利用されている可能性があるとしてタイ産のツナ缶詰(約1億バーツ)の輸入を禁止した。これより前、昨年末にはオランダが、やはり同じ理由でタイ産のツナ缶詰輸入を禁止。そしてこの傾向はさらに他の輸出相手国にも波及しようとしている。

 タイは現在、最大手タイ・ユニオン・フローズン・プロダクツ(TUF)を中心として、世界各国に約240億バーツ相当のツナ缶を輸出している。最大市場は米国で、昨年は前年比5.4%減となったものの71億バーツを輸出した。しかし、問題の大豆のほとんどは米国から輸入しているため、米国がサウジなどと同様の措置をとることは考えにくく、まず影響はないとされる。さらに、2位市場のカナダ(4.1%増の23億バーツ)、3位のオーストラリア(29%増の17億バーツ)なども目立った動きは見せていない。

 一方、いまもっとも状況が懸念されているのは4位市場の英国。すでに39%マイナスの14億バーツと輸出が大幅に減少しているが、これは遺伝子組み替え作物への反対気運によるものだという。5位市場の日本(20%増の13億バーツ)でも遺伝子組み替え作物の規制は進みつつあるが、これまでのところタイのツナ缶輸出を規制する動きはない。

 6、7位はいずれも中東。サウジアラビアが25%減の9600万バーツ、エジプトが63%減の7600万バーツといずれも大幅に減少している。総じて、中東および欧州市場が大きな打撃を受けている格好だ。

しかし、TUFなど大手輸出業者らは、最大の米国市場が安定している限り大きな影響はないとして、今後も海外に生産拠点を求めるなど積極的な事業拡大を進めていく方針だ。

遺伝子組み換え食品の評価指針作成 2003年までに

01:22a.m. JST March 18, 2000
 食品の国際規格をつくる政府間組織・食品規格委員会(コーデックス委員会)のバイオテクノロジー応用食品特別部会は17日、遺伝子組み換え食品などが抱える危険性を分析するための原則と、評価指針の2つの報告書を2003年までにまとめることを確認、準備のために2つの作業部会を設置し、日本とドイツが議長国を務めることを決めた。これで千葉市での第1回会議を閉会した。次回の特別部会は来年3月、日本で開かれる。

 会議では、2003年までに決めるべき内容の枠組みについて話し合われた。バイオ技術を応用した幅広い食品のうち、大豆やトウモロコシなどの植物系の食品を優先して議論し、遺伝子組み換えに利用される微生物、組み換え作物を飼料に使った家畜の肉などの順で検討を進める方向で、参加国の大勢が一致した。また、長期間にわたって食べた場合の健康への影響なども、評価指針に盛り込むことになった。

 しかし、遺伝子組み換え食品を産出する米国などと、危険性が否定できない間は規制する「予防原則」を基調にする欧州諸国などの間で、意見の相違も目立った。食品が市場に出回る前に受ける審査の手続きや、生産者から消費者に渡るまで追跡管理する規制などは、今後の議論にゆだねられた。

 コーデックス委員会は国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で設立。今回の特別部会には33カ国のほか、国際機関や非政府組織(NGO)など24団体が参加し、日本を議長国に14日から討議をした。

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