TOPIC No.3-13 放射線廃棄物

「応募即建設でない」

2007年03月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

知事、町長に真意聞く方針

 東洋町が高レベル放射性廃棄物最終処分場の調査候補地に応募した問題で、反対派住民が調査拒否などを盛り込む町条例制定を本請求した2日、田島裕起町長は、「重く受け止めて」と願う住民に、「応募が即、処分場建設につながらない」と従来の見解を繰り返した。橋本知事は同日、時機を見て田島町長と会談し、応募に至った真意などを聞く方針を明らかにした。

 請求代表者の弘田祐一さん(69)ら12人がこの日午前、町役場を訪れ、1398人の有効署名簿と請求書、条例案を田島町長に渡した。田島町長は「安全な町を守りたいという町民の思いはわかった」と理解を示したが、今後、20日以内に行う条例提案の際、どのような意見を付けるかや、審議をやり直す再議権を行使するかどうかについては「未定」とした。

 弘田さんは「住民としてできることを続けるだけ。(調査の認可を審議中の経済産業省は)ただでさえ過疎化が進む町をつぶすようなことはしてほしくない」と訴え、同町甲浦の広田貢さん(72)も「多くの町民の思いをくんでもらいたい」と話した。

 一方、橋本知事はこの日の県議会一般質問で、同町内が調査への賛否で二分され混乱している原因は、町長の判断だけで応募できるという「国の制度の欠陥にある」と述べ、「時機を見極めて町長と直接話す機会を設けたい」と答弁。田島町長にはまだ打診しておらず、時機は未定という。

 橋本知事は、「いきなり応募撤回は求めない」とし、町長が応募に踏み切った理由や県に対する不満、要望などを聞き、「最終的に誘致することまで考えているのか、まずは交付金を受け取って考えたいのかなど、町長の真意を確かめたうえで、応募撤回の可能性も協議したい」と述べた。

阿南市議会が反対決議

2007年03月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 2日開会した阿南市議会は、高知県東洋町の高レベル放射性廃棄物最終処分場誘致に反対する決議が議員提案され、全会一致で可決した。

 決議は「東洋町と阿南市は、東部海岸が室戸阿南海岸国定公園に指定された農林業が盛んな地域で、南海地震などで安全性に対する住民の不安や風評被害が懸念される」と指摘。「住民や議会の理解が得られない状況で、文献調査の開始は断固反対する」とし、国や原子力発電環境整備機構に周辺自治体の意見を尊重するよう求めている。

 岩浅嘉仁市長は、所信表明で「東洋町の動向を見守りながら、県や県南自治体と連携して適切に対応していきたい」と述べた。

 市議会にはこの日、297億2000万円の新年度一般会計当初予算案など38議案が提案された。会期は22日までの21日間。一般質問は7、8、9日。

高レベル放射性廃棄物処分場、高知での初期調査を申請

2007年02月28日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物を埋設する最終処分場の立地調査問題で、事業主体の原子力発電環境整備機構は28日、高知県東洋町で初期調査(文献調査)を実施する計画の認可を経済産業省に申請した。

 不備がなければ認可される見通しだが、地元では調査着手への反対の声が強まっている。

 東洋町は1月、02年に始まった調査地域の公募に全国で初めて応募した。2030年代に埋設を開始するという国と電力業界の目標を達成するためには、1、2年のうちに文献調査に着手する必要がある。国は自治体の応募を促すため、07年度から文献調査に伴う交付金を従来の5倍となる年10億円(最大20億円)に増額する。

高知・東洋町での調査申請を決定…放射性廃棄物処分場

2007年02月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 原子力発電所から排出される高レベル放射性廃棄物の最終処分場の立地選定を巡って、処分場建設の事業主体である原子力発電環境整備機構は27日、理事会を開き、調査対象地公募に初めて名乗りを上げた高知県東洋町での初期調査(文献調査)の実施許可を、経済産業省に申請することを決めた。

 この問題を巡っては、「地元住民の理解が不十分」などとして、高知県の橋本大二郎知事らが調査実施への反対を表明していたが、国と同機構は、予備的調査である文献調査の段階では、知事の同意は不要との見解を示していた。

 ただ、東洋町では、町民の6割が調査そのものに対する反対の署名を行い、放射性廃棄物の持ち込みを拒否する条例の制定を求める動きもあることから、国が思惑通り調査実施を許可できるかどうかは不透明な状況だ。


露原潜解体、新たに5隻支援…日露首脳会談で合意へ

2005年10月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は7日、ロシア極東地域に放置されている退役原子力潜水艦約40隻のうち、新たに5隻の解体事業を支援する方針を決めた。

 ロシアのプーチン大統領が11月下旬に来日して小泉首相と会談する際、合意文書を取りまとめる。早ければ年内にも解体に着手する見通しだ。

 解体事業費は数十億円を見込んでいる。ロシアの核兵器解体を進めるための国際機関「日露非核化協力委員会」に日本政府が拠出した基金を充てる。

 解体作業はロシアが現地で実施する。軍事機密などの問題があるため、日本の支援事業の対象に原子炉部分を含めるかどうかについては、日露間で調整する。

 ロシアの退役原潜は老朽化が進み、放射能漏れの危険が指摘されている。1993年には、老朽化した原潜の使用済み核燃料が日本海に流出する事故が発覚。海洋環境への悪影響が懸念されている。

 政府は環境保全や非核化促進の観点から、ロシア退役原潜の解体を支援してきた。昨年末に最初の1隻を終え、今回が第2弾の解体作業となる。

核燃機構、ウラン残土搬出完了 制裁金は1億4千万円に

2005/09/17 The Sankei Shimbun

 核燃料サイクル開発機構が鳥取県湯梨浜町方面(かたも)地区で続けてきた放置ウラン残土の搬出作業が17日、終了した。10月上旬、神戸港で船積みし、米国で精錬処理する。撤去を促すため、今年3月から核燃機構に科せられてきた制裁金は計1億4325万円になり、同地区の自治会に支払われる。

 方面地区に放置されている3000立方メートルのうち、比較的放射線量が高い290立方メートルを搬出した。残りの2710立方メートルについては来年5月31日が撤去期限だが、核燃機構が公表した同町内での埋設処理に鳥取県が反対して訴訟になっており、完全撤去のめどは立っていない。来年6月1日以降、1日5万円の制裁金が発生する。

 昨年10月、核燃機構に方面地区の残土撤去を命じる判決が最高裁で確定。同地区自治会は制裁金を科して撤去を促す「間接強制」を申し立て同年12月に認められた。制裁金が膨らむなか、核燃機構は米国で精錬処理を依頼する方針を6月に公表し、8月末から搬出作業に着手していた。

核廃棄物を国際共同管理、米が新方式を提唱へ

2005年09月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ヒューストン=笹沢教一】米国務省核不拡散局は、原子力発電所からの使用済み核燃料や再処理後の高レベル放射性廃棄物を各国が独自に処分する現行方式ではなく、国際合意のもとで適切な処分地を選び、処分する国際共同管理方式を提唱する文書をまとめた。米国が核廃棄物の国際共同管理方式を提唱するのは初めて。

 国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長が主張する核関連施設の多国間管理や、ロシアが意欲を示す各国の使用済み燃料の有償受け入れなど、核不拡散をめぐる近年の動きを反映した内容。具体化すれば、国内での地下処分を計画する日本への影響も避けられない内容となっている。

 文書では、「30以上の国・地域が原発からの廃棄物の処分に迫られており、すべての国が独自に地下処分できるとは想像しがたい」と指摘。さらに、ロシアが前向きな、廃棄物の一時的な貯蔵受け入れについても、「貯蔵されたまま放置される不安が地域にある」とし、国際的に共同管理する最終処分地の必要性に言及している。

 日本などはウラン燃料を米国から購入しており、国際共同管理による、海外の処分地に使用済み燃料を運び出す場合は、米国の合意が必要となる。さらに、放射性廃棄物の海上輸送によって沿岸国が反発するなどの問題も生じる。文書は、これらを今後の課題として認識したうえで「処分問題の解決に向けて、米国が支援していく用意がある」としている。

ウラン残土搬出を当面中止 核燃機構、運搬中トラブル

2005/08/29 The Sankei Shimbun

 鳥取県湯梨浜町方面(かたも)地区のウラン残土問題で、核燃料サイクル開発機構は29日、米国で処理するため残土の搬出作業を始めたが、途中で残土を入れた袋が転がり落ちるトラブルが発生、作業の当面中止を決めた。

 核燃機構の職員ら約40人が午前8時半から搬出作業を開始。1袋ずつ重さと放射線量を測定した後、運搬車で1袋ずつ運び出した。

 ところが午前10時すぎ、8個目の袋を運んでいた運搬車が山の下り坂で前のめりになり、積んでいた袋が約30メートル転がり落ちた。残土漏れはないが、投げ出された運転手が病院に運ばれた。

 核燃機構によると、19日間かけて、残土が入った約550袋(計約290立方メートル)を搬出する計画で、初日の29日は33袋を運ぶ予定だった。トラブルのためこの日は8個にとどめ、再発防止策が決まるまで作業を中止する。

 残土は袋詰めされた状態で方面地区の山中に掘った穴に並べられ、防水シートで覆って保管されていた。

 1988年に残土の存在が明らかになってから、処理に向けた初めての具体的な動き。トラックで神戸港に運び、10月初旬にコンテナ船で米国へ輸送。核燃機構が契約した製錬会社で処理され、取り出したウランは米国内で発電に使われる。処理にかかる費用は約6億6000万円。

 米国で処理が決まっているのは約3000立方メートルの残土のうち1割にも満たず、残りの処理は見通しが立っていない。

 昨年10月、核燃機構に撤去を命じた鳥取地裁の判決が最高裁で確定した。国内で処理するめどは立たず、核燃機構は住民側に3月11日から1日当たり75万円の制裁金を支払う義務が発生していた。(共同)

退役原潜解体中に爆発、1人死亡 ロシア北部の軍事施設

2005/08/02 The Sankei Shimbun

 インタファクス通信によると、ロシア北部セベロドビンスクの軍用艦修理工場で1日、退役原子力潜水艦の解体作業中に爆発事故があり、作業員1人が死亡、1人が負傷した。

 ロシア国防省は同日、原子炉のある区画は既に艦体から撤去され、工場から搬出されていたとして放射能漏れの危険性はないと説明している。同工場幹部はロシア通信に、気化したディーゼル燃料に切断作業の火花などが引火した可能性を指摘した。

 日本に近い極東ウラジオストク近郊でも日本の支援で原潜解体が本格化しており、今後は支援国などから安全管理の再点検を求める声が出るとみられる。

 検察当局は、工場の安全管理に不備がなかったかどうかや爆発原因について捜査を始めた。

 爆発があったドックでは、カナダの資金援助でビクターIII級の原潜の解体作業が行われていた。事故は艦体の切断作業中に発生、火災も起きたが間もなく鎮火した。

 ロシア極東の原潜解体では、放射能漏れを防ぐために、原子炉がある区画の陸上保管施設の建設などが日本の支援で計画されている。(共同)


川口外相:露訪問で原潜解体を視察

2003年06月28日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 ロシア極東を訪問している川口順子外相は28日午後(日本時間同)、日本の資金協力で退役原子力潜水艦の解体作業を行うウラジオストク近郊のズベズダ造船所を視察した。

 日露両政府は同日、解体作業を本格的に開始する法的文書に調印。川口外相は調印式で「対岸には日本がある。極東地域の環境保全や核物質の不拡散支援だけでなく、日露関係全般の強化に資することを確信している」と意義を強調した。

 旧ソ連崩壊後、極東地域の軍港には計41隻の退役原潜が核物質を積んだまま係留され、約10年にわたり環境汚染が懸念されていた。

 財政難のロシア太平洋艦隊が放射性廃棄物を日本海に投棄していたことが93年に判明したのを受け、日本政府は同国への非核化協力事業を開始。01年に、はしけ型の液体放射性廃棄物処理施設「すずらん」を建設し提供したが、ロシア側の軍事データ開示拒否などで作業が遅れていた。

 今年1月にロシアを訪問した小泉純一郎首相がプーチン大統領との会談で「希望の星」と名付けた解体協力事業の重要性を再確認。第1弾として同造船所でのビクター3級原潜の解体が決まり、今月7日に事業開始に向けた式典を開いた。(ウラジオストク共同)

ロシア原潜解体、夏に開始…サミットで日露表明へ

2003/05/04 読売新聞Yomiuri On-Line
 日露両政府は3日までに、ロシア極東地域に放置されている退役原子力潜水艦41隻の非核化・解体事業について、最初の1隻の解体を今夏に共同で開始することで基本的に合意した。

 今月下旬に実施取り決め文書に調印し、小泉首相とプーチン大統領が6月上旬のエビアン・サミット(主要国首脳会議)で、全41隻を解体する決意を表明するほか、サミットの議長声明に盛り込む方向で調整している。

 今回解体されるのは、ウラジオストク近郊の海岸にある多目的原潜「ビクター3級」。船の原子炉内にある使用済み核燃料や、放射性廃棄物を貯蔵施設に搬出した後、船体を解体する。8月ごろに作業を始め、約1年で終了する。

 原潜解体の日露協力は1993年、老朽化した原潜の使用済み核燃料の日本海流出が問題化したことを受け、旧ソ連諸国の非核化支援の主要事業として決定された。日本の支援資金の受け皿として国際機関「日露非核化協力委員会」を同年、設置したが、その後、ロシア政府内の調整が難航し、解体実績はゼロだった。

 しかし、昨年のカナナスキス・サミットで、テロ防止のため旧ソ連諸国の大量破壊兵器や核物質の拡散を防ぐ「G8(主要8か国)グローバルパートナーシップ」が採択され、原潜解体が主要事業に位置付けられた。今年1月の小泉首相訪露時に署名した「日露行動計画」でも、解体事業の実施体制の強化が盛り込まれ、準備が一気に進んだ。

 日本が提供した資金は計約250億円だが、液体放射性廃棄物処理施設の建設など、解体以外の関連事業に拠出され、約150億円が使われていない。

 ◆G8グローバルパートナーシップ=昨年6月のカナナスキス・サミットで合意したロシア国内の核・化学・生物兵器や核物質などの包括的な拡散防止策。国際テロ対策として、余剰兵器プルトニウムの処分や原潜解体などを促進する。10年間で最高200億ドルの資金調達を目標に掲げる。日本は2億ドルの貢献を表明している。

使用済み核燃料の中間貯蔵施設、むつ市が誘致めざす

2000.11.28(23:25)asahi.com
 青森県むつ市の杉山粛(まさし)市長は28日、原発の使用済み核燃料を再処理まで一時的に貯蔵する「中間貯蔵施設」の誘致を目指し、同市での立地可能性調査を実施するよう東京電力に要請する方針を、市議会全員協議会で明らかにした。29日に要請する予定。東京電力によると、6月の改正原子炉等規制法施行により原発施設以外での「中間貯蔵」が認められて以来、誘致関連の要請をする自治体は初めて。東京電力は、正式要請を受けてから調査に乗り出す考えだ。住民の強い反発などがなければ、立地される可能性が高いとみられている。

 中間貯蔵施設は再処理まで、キャスクと呼ばれる放射線遮へい容器などで使用済み燃料を保管する施設。通産省や電力業界では2010年までの運用開始を目指している。

 立地可能性調査は、候補地の地盤などが建設基準に達しているかなどを確認するため事業者が行う事前調査。調査を受け入れれば電源立地の初期対策交付金として年間1億4000万円が地元自治体に支払われる。

 杉山市長は「あくまで調査であり、立地の是非は世論の動向も含めて判断する」としている。

 国内の原発では既に約8000トンの使用済み核燃料が貯蔵されており、一部で保管が限界に達しつつある。国は昨年、原発以外での保管に道を開くため、原子炉等規制法を改正したが、立地点選定は難航している。

使用済み核燃料、12月19日から六ケ所村に搬入

2000.11.03(11:17)asahi.com
 全国の原発内に貯蔵されている使用済み核燃料の青森県六ケ所村の再処理工場への本格搬入が、来月19日にも始まることが2日わかった。電気事業連合会によると、使用済み核燃料は3月末現在、ウラン重量で約8500トンに上っている。再処理事業者の日本原燃(本社・青森市)は来月19日を皮切りに順次受け入れを始め、2005年7月までに1600トンを受け入れる計画だ。

 使用済み核燃料の搬入を巡っては、先月12日に日本原燃と青森県、六ケ所村が搬入の前提条件としていた安全協定を締結。三沢市など周辺6市町村も日本原燃と同様の協定を結ぶ手続きに入っている。6市町村は24日までに協定内容を議会側へ説明したうえで、早ければ今月末にも締結する見通し。

 電力業界はすでに、使用済み核燃料を運ぶための輸送容器4基を東京電力福島第2原発に運び込むなど、準備を始めており、日本原燃は関係機関と搬入に向けた最終調整を続けている。搬入の2週間前までに県と六ケ所村に報告することになっており、一連の手続きが順調に進めば、来月19日にも1回目の搬入が実施される。

放射性廃棄物「受け入れがたい」 北海道で条例可決

2000.10.16(21:06)asahi.com
 北海道の堀達也知事は16日、道内への高レベル放射性廃棄物の持ち込みは受け入れ難いとする「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例案」を道議会に提案し、共産党を除く全会派の賛成で可決された。都道府県でこうした条例の制定は初めて。

 条例は「現時点では、処分方法が十分確立されていない」としたうえで、「特定放射性廃棄物の持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難いことを宣言する」としている。道側は当初「持ち込ませない」と明確に拒否する内容を目指していたが、道議会での水面下の調整の結果「受け入れ難い」との表現に弱められた。

 条例制定は、核燃料サイクル開発機構による北海道幌延町への高レベル放射性廃棄物最終処分の研究施設「深地層研究所(仮称)」の建設計画について、堀知事が受け入れを表明したのにあわせ、「なしくずし的に最終処分場になる」との道民の不安に対応するのがねらい。

放射性廃棄物搬入に歯止め 北海道知事、条例案提案へ

2000.10.15(13:58)asahi.com
 高レベル放射性廃棄物の最終処分を研究する目的で核燃料サイクル開発機構が北海道幌延町に建設を計画している「深地層研究所(仮称)」計画をめぐり、北海道の堀達也知事は14日夜、研究所を受け入れると同時に、特定放射性廃棄物の持ち込みや最終処分場建設に一定の歯止めをかけることを目的とした条例案の提案方針を正式に表明した。条例案は16日の道議会で提案、可決される見通し。制定されれば都道府県としては初めてとなる。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分は、今年5月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が国会で制定され、用地選定に向けた作業が動き出したばかり。広大な面積を有し、原子力発電所もある北海道が、こうした条例を制定することで国の原子力政策への影響もありそうだ。

 条例案は「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」とされ、「処分方法が十分に確立されていない現時点では、特定放射性廃棄物の持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難いことを宣言する」などの内容。

使用済み核燃料、仏で600トンを再処理へ

2000.10.15(03:02)asahi.com
 原発から出る使用済み核燃料について、東京電力や関西電力など原発をもつ電力会社(10社)は、仏核燃料会社(コジェマ)に新たに再処理を委託する方針を決めた。青森県六ケ所村に日本原燃が建設中の再処理工場の操業に備え、運転員をコジェマで訓練するためで約600トンを来年度から4年間で運ぶ。来春までに正式契約する見通しだ。日本がこれまで海外に再処理を委託した分はほぼ全量、輸送し終えている。契約されれば、海外再処理が実質的に延長されることになる。

 日本には大きな再処理工場がなく、電力10社は、コジェマと英核燃料会社(BNFL)に再処理を委託してきた。契約した量(使用済み核燃料約7100トン)の99%強は輸送ずみで、来年中に残りを運ぶ。その後は海外には委託しないで、六ケ所再処理工場を使う考えだった。

 2005年に操業を始める予定の同工場は、仏ラアーグにあるコジェマの工場と基本設計が同じだ。

 電力関係者によると、コジェマの専門家を招いて日本で訓練することも考えられたが、コジェマ側がフランスでの実施を求めた。訓練用の使用済み核燃料は、日本から運ぶことで合意した。約600トンは、日本で1年間に出る使用済み核燃料の3分の2にあたる。

 再処理で取り出したプルトニウムは欧州でウランとの混合酸化物(MOX)燃料に加工し、日本に運ぶ。日本側が新たに支払う費用は、MOX燃料への加工費なども含めて1000億円を上回るとみられる。

 新たな契約を結ぶ動きの背景に、ドイツが再処理をやめる方針を打ち出し、コジェマにとって、大口の顧客を失うことが確実になったことがある。

 日本側には、原発の敷地内に使用済み核燃料がたまり続け、将来的に原発の運転に支障が出かねないという事情がある。

 これまでに委託した再処理で約30トンのプルトニウムが2010年までに取り出される。新たな契約が結ばれれば、さらに約4トン増える。核ジャック対策などに費やす日本側の負担も増すことになる。

回収業者の廃材がラジウムで汚染 川崎

2000.07.07(01:24)asahi.com
 金属廃材回収会社「ヤマナカ」の川崎工場(川崎市川崎区)に、微量のラジウムに汚染された廃材が納入されていたことが6日、同社の科学技術庁への連絡でわかった。

 見つかったのは直径約26センチ、高さ約25センチの金属筒と、英語が書いてある鉄製の部品の2個。日本アイソトープ協会によると、1メートル離れたところで、最大で自然界の10倍程度のガンマ線が観測された。

 科技庁は「周辺環境への影響はない」とみている。7日、同工場に検査官を派遣し、状況を調べる。

 汚染廃材は5月ごろと6月23日、同工場の放射線モニターで検知されたという。

川崎製鉄水島製鉄所搬入の鉄スクラップから放射線 岡山

2000.06.22(01:33)asahi.com
 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目の川崎製鉄水島製鉄所に21日朝、トラックで運び込まれた鉄スクラップから放射線が出ていることが同製鉄所の検査でわかり、同日午後0時半ごろ、科学技術庁に連絡した。検出された放射線は毎時約6マイクロシーベルトで、年間値にすると約52ミリシーベルト。科技庁によると、放射線取扱者の年間被ばく限度量の50ミリシーベルトを上回る。スクラップはトラックに積んだまま製鉄所構内で周囲にロープを張って保管しており、同日夕、科技庁が放射線検査官を派遣、調査を始めた。

 科技庁によると、鉄スクラップを搬入したのは、倉敷市水島西通1丁目の平林金属水島営業所(本社・岡山市)。午前9時10分ごろ、製鉄所構内スクラップ集積場前の放射線検知装置で10トントラックから放射線が検知された。製鉄所技術社員が改めてトラック荷台上で測定器によって測定したところ、ガンマ線とみられる放射線が測定された。

 集積場前の放射線検知装置は1998年11月、日本鉄鋼連盟の指導で設置された。鉄スクラップは川鉄関連会社のダイワスチール水島事業所の電気炉製鉄の原料で、1日に200―300トンが搬入されている。

 岡山県の調べでは、放射線が測定されたトラックには自動車スクラップ、廃品の鉄筋、トタンなど8トンが積まれていたという。県は、平林金属のスクラップ置き場から放射線を出す物が積み込まれた可能性が高いと見て調べている。平林金属はスクラップを主に瀬戸内海地域から集めているという。

 科技庁は放射線を出している物の位置を確認したうえで、今後の対応を決める。

放射性物質を登録制に

2000年5月15日18時30分共同
 米国原子力規制委員会が放射性物質の混入、不法投棄問題に対応するため、米国ですべての放射性物質と取扱事業者を登録制にする厳格な規制方法の導入を検討していることが分かった。委員会のグレタ・ダイカス氏が15日、広島市で始まった国際放射線防護学会で報告した。この問題では、各国でも規制強化が進められており、日本も早急な対応が迫られそうだ。


放射線源は医療用ラジウム 神戸の鉄くず

00:54a.m. JST May 12, 2000 aahi.com
 兵庫県加古川市の神戸製鋼所加古川製鉄所に運ばれた鉄くずに交じっていた放射線源は、がん治療用に使われていた古いラジウムであることが11日、日本アイソトープ協会の調査で分かった。医療機関が出どころとみられるが、科学技術庁に該当する紛失などの記録はないという。

 見つかったのは、ラジウムを封入した白金針4本。針は直径1.7ミリ、長さ28ミリ。型番とみられる「NA2」という刻印に続いて、通し番号が刻まれていた。4本が1本の糸で束ねられた状態で鉛容器に入れられていた。

 糸は茶色に変色し、ぼろぼろだった。同協会は「糸は少なくとも10年以上たっているようだ」というが、具体的な年代を示すものはなかった。

 科技庁によると、この針は、国内の医療機関が戦前から欧州から輸入していた一般的な線源。しかし、別の線源の登場で最近は流通しなくなった。

 放射線障害防止法が施行された1958年当時、多くの病院がこのラジウム線源を持っていた。法に基づき、所持していることを科技庁に届け出なければならなくなったが、届けずにずさんに管理してきた病院も少なくない。

 今年1月、山口県内の病院で同じような古いラジウム針が見つかり、処理に困った担当者が鉛容器ごと実家の屋根裏に隠した事例があった。2月には、九州の大学病院の看護婦長室の戸棚から、無届けのラジウム針が発見されている。

放射線を出す鉛容器が廃材に 神鋼加古川製鉄所

8:50p.m. JST May 09, 2000 asahi.com
 神戸製鋼所加古川製鉄所(兵庫県加古川市)に運ばれた金属廃材に、放射線を出す鉛容器が交じっていたことが9日、科学技術庁に入った連絡でわかった。神鋼の関連会社「島文」(神戸市東灘区)が回収、運んだもので、同社に返送された。検査の結果、容器の表面で毎時約0.9ミリシーベルトのガンマ線が検出された。1時間余り所持すると一般の人の年間限度の1ミリシーベルトに達するが、アルミ箱に入れて鉄で覆い、周辺にロープを張る防護措置をした。外部への影響はないという。科技庁は放射線検査官らを派遣した。

 4月には、フィリピンから住友金属工業和歌山製鉄所(和歌山市)に運ばれた金属廃材のコンテナから放射線が検出されている。今回は国内で回収されたとみられ、放射性物質の管理のあり方が問われる。

 島文からの連絡によると、廃材は8日午前10時40分ごろ、加古川製鉄所にトラックで搬入した。放射線測定ゲートをくぐった際、ごく弱いガンマ線が検出され、トラックは廃材を積んだまま島文に戻された。

 放射性物質の輸送時は車両からの放射線が毎時2ミリシーベルト以下でなければならない。検出値はこれの1万分の1程度という。

 9日午前10時40分ごろに、神鋼の専門家が放射線測定装置で調べた結果、廃材中から円筒形の容器(直径約10センチ、高さ約10センチ)が見つかった。

 容器は放射線源の入れ物としてつくられ、容器だけで販売されている。

 容器メーカーによると、放射性物質が入っていることを示すマークをつけている。しかし、見つかった容器には粘着テープが張られているらしく、よく見えないという。

 これに該当するような紛失や盗難の届けは科技庁に届いていないという。放射性物質のマークをテープで故意に隠したとすれば、悪質な不法投棄ともみられ、科技庁は、交じった経路も調査する。


放射線源入りのパイプ回収

2000年5月24日 18時57分共同
 住友金属工業和歌山製鉄所(和歌山市)で放射線が検出された、金属スクラップ入りのフィリピンからの輸入コンテナの開封作業で24日、放射線源が入っているとみられる金属製のパイプ1本が回収された。輸入元の三井物産金属工業(東京)などによると、線源は金属パイプの中に納められまだ特定はされていないが、土の中の水を測る水分計などの部品の一つとみられるという。

開封準備でコンテナ移動

2000年5月22日 16時25分共同
 住友金属工業和歌山製鉄所(和歌山市)に持ち込まれたフィリピンからの輸入コンテナから放射線が検出された問題で、輸入元の三井物産金属原料(東京)は22日、開封して放射線源を取り出す準備として、コンテナを同製鉄所内の空き倉庫に移動した。

 周辺の安全確保のため、線源の取り出しは倉庫内に設置したプレハブ小屋の中で行われる。

週明けにも開封作業を開始

2000年5月12日 19時10分共同
 住友金属工業和歌山製鉄所(和歌山市)に持ち込まれたフィリピンからの輸入コンテナから微量の放射線が検出された問題で、同社と科学技術庁、輸入元の三井物産金属原料(東京)などは12日、週明けにも放射性線源の取り出し作業に着手することを決めた。

 三井側が提案した作業手順を科技庁が了承、安全性を保証したため、和歌山県と同市が実施に同意した。

和歌山の放射線コンテナ、現場での開封に県・市が合意

09:20a.m. JST May 05, 2000 asahi.com
 和歌山市の住友金属工業和歌山製鉄所に搬入されたステンレス廃材の輸送コンテナから放射線が検出された問題で、4日、コンテナを輸入した三井物産金属原料と住友金属工業、和歌山県、和歌山市は、現場で放射性物質の取り出し作業をすることで合意した。

 科学技術庁や日本原子力研究所が手順の安全性を確認し、放射性物質を現場から搬出するまでには、約2―3週間かかる見込み。実際の取り出し作業は、放射線障害防止法に基づく作業許可を持つ民間業者に委託される予定。

 日本原子力研究所東海研究所などによる調査で、放射線源は工業用計測器の線源とみられている。線源を特定せずに運送すると、放射線障害防止法に抵触するおそれがあるため、科学技術庁は、現場での開封を提案、地元に同意を求めていた。

放射線源取り出しで合意

2000年5月4日 17時43分 共同
 住友金属工業和歌山製鉄所(和歌山市)に持ち込まれたフィリピンからの輸入コンテナから微量の放射線が検出された問題で、同社と科学技術庁、和歌山県、和歌山市などは4日、同製鉄所内で近くコンテナを開封し、放射線源を取り出すことで合意した。輸入元の三井物産金属原料が専門業者に作業を発注。取り出した線源を現場で密封し、日本アイソトープ協会(東京)に引き取りを依頼する。

コンテナから検出の放射線、セシウム137が線源か

8:37p.m. JST May 01, 2000
 フィリピンから住友金属工業和歌山製鉄所(和歌山市)に搬入されたステンレス廃材の輸送コンテナから、放射線が検出された問題で、科学技術庁は1日、治療などに広く使われている放射性同位元素「セシウム137」が中にあるらしい、と発表した。

 コンテナからは、ガンマ線と中性子線の2種類の放射線が検出されている。日本原子力研究所の専門家がこの日、同製鉄所で調査した。中性子線を出している物質が何かは説明できなかったという。

 ガンマ線のエネルギーの性質を詳しく調べたところ、セシウム137から出るガンマ線の特徴が鮮明に見えた。セシウム137は、がん治療用の放射線源のほか、工業用として金属の厚みやタンクの液量などを調べるためにも使用されている。

 検出されたガンマ線には、カリウム40など2種類の元素が出すガンマ線の特徴もわずかに見られた。ただし、これらの元素は自然界にも存在するため、線源から出ているとは言いきれないという。

 原研の専門家は2日も中性子の由来を確かめるため、検査を続ける。科技庁は「データを検討して、一両日中に結果をまとめ、関係者間で対策を協議する」としている。


高レベル放射性廃棄物法案成立へ

9:36p.m. JST May 24, 2000 asahi.com
 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物を、地下深くに埋めて処分できるようにする特定放射性廃棄物最終処分法案が、今国会で成立する見通しだ。衆院はすでに通過、いまは参院の経済・産業委員会で審議され、自民党は週明けの本会議で可決させたいとしている。放射性廃棄物の地下処理には「地震が多い日本で大丈夫なのか」という指摘があるが、大型連休明けから性急な審議が続けられている。処分研究施設の建設が計画されている岐阜県や北海道では住民の反発が強まっている。

 原発の使用済み核燃料を化学処理した際に出てくる高温の液体が高レベル廃棄物と呼ばれる。これをガラスで固め、合金の容器に詰めて冷やした後、300メートルより深い地中に埋めるというのが法案の骨格だ。

 法案は5月9日から4日連続の審議を経て16日、衆院本会議で可決された。野党によると「連休直前になって、自民党からどうしても通してほしいと言ってきた」という。自民が法案成立を急ぐ背景には、廃棄物の中間貯蔵施設がある青森県に対し、「2000年中に最終処分の枠組みを決める」と約束した経緯などがあるとみられている。

 法案に反対しているのは共産と社民。当初は民主も反対していたが、対象地域の都道府県知事、市町村長の意見を「十分尊重する」という修正がいれられたため、賛成に回った。

 これに対し、関連の研究施設の建設がすでに計画されている北海道幌延町、岐阜県瑞浪市などでは住民の反対運動が強まっている。

放射性廃棄物処理法案を閣議決定

0:37p.m. JST March 14, 2000
 原子力発電所の使用済み核燃料を再処理するときに出る高レベル放射性廃棄物の最終処分の枠組みを決める「特定放射性廃棄物の最終処分法案」が、14日午前の閣議で決まった。同日夕にも衆院に提出される。

 日本は高レベル廃棄物を地下深くに埋設処分する方針を決めている。法案は、この処分を担う組織を電力会社が設立する原子力発電環境整備機構とし、処分費用の負担も電力会社に義務づけている。処分費用は、他目的への流用などを避けるため、通産大臣が指定する資金管理団体が管理する。経済変動などで同機構が業務を行えなくなった場合、通産大臣が代行するとしている。

 法案が成立すれば、10月1日に同機構が発足、同時に資金管理団体が指定される見通しだ。

地元自治体の了解が前提

2000年3月13日 19時09分
 通産省・資源エネルギー庁は13日、原子力発電所の使用済み燃料を再処理して出る高レベル放射性廃棄物の最終処分の枠組みを定めた「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案」の内容を発表、処分地の選定に際しては地元自治体の了解を前提とする方針を明らかにした。

 14日の閣議決定を経て今国会に提出する予定で、今年10月の施行を目指す。

高レベル廃棄物法案提出へ

2000年3月2日 18時15分
 原子力発電所の使用済み燃料を再処理して出る高レベル放射性廃棄物をガラス固化して地中に埋める最終処分について、通産省は2日、新たに設置する処分の実施主体の要件など必要な枠組みについて定めた「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案」(仮称)の概要を原子力安全委員会に報告した。

 今月中旬に国会に提出する予定。


種子島 核施設の立地反対を決議

2000年3月13日 10時24分
 鹿児島県・種子島などで使用済み核燃料の中間貯蔵施設を誘致する動きがあるのを受け、同県屋久町議会は13日、住民の生活や自然を脅かすとして屋久島や種子島などへの核施設の立地に反対する決議を可決した。誘致先として名前が取りざたされているのは、同県中種子町増田(種子島)と西之表市に所属する無人島の馬毛島。

放射性廃棄物輸送船、日本に向けフランス出港

08:30a.m. JST December 30, 1999
 日本の原子力発電所(原発)の使用済み核燃料を再処理して出た高レベル放射性廃棄物を積んだ英輸送船「パシフィック・スワン」が29日、仏北部シェルブールから日本に向けて出港した。

 廃棄物は、ガラスと混ぜて固めた「ガラス固化体」104本(総重量約52トン)をステンレス容器に入れて密封したもので、仏核燃料会社で再処理された。2月末か3月初めに青森県六ケ所村のむつ小川原港に到着する予定。

 フランスから日本への高レベル放射性廃棄物の輸送は今度で5回目。前回は今年2月に行われた。(時事)

核燃機構に撤去要求へ

1999年12月17日 18時34分 共同通信社
 鳥取県東郷町方面地区のウラン残土問題で、山本庸生東郷町長は17日、片山善博鳥取県知事に残土の町内保管案の断念を報告。両者は共同で核燃料サイクル開発機構に残土撤去を求めていくことを確認した。片山知事は20日、都甲泰正核燃機構理事長に会い、撤去を求める方針。

 東郷町内保管案は実現不可能となり、ウラン残土問題の解決は核燃機構にゆだねられることになる。

住民らウラン残土を視察

1999年12月5日 17時22分 共同通信社
 住民側がウラン残土の一部を強制撤去し、核燃料サイクル開発機構人形峠環境技術センター(岡山県上斎原村)に搬入した問題で揺れる鳥取県東郷町で5日、住民支援団体「動燃人形峠放射性廃棄物問題対策会議」主催の「ウラン残土を『見る、知る、語る』ウォーク」が行われた。住民や大阪の反原発団体など約30人が参加し、JR松崎駅から同町方面の残土たい積場まで山道を約5キロ歩いた。

ウラン残土を現場調査

1999年12月1日 18時55分 共同通信社
 核燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)が鳥取県東郷町方面(かたも)の山林に放置しているウラン残土問題で、方面自治会を支援する動燃人形峠放射性廃棄物問題対策会議(松永忠君議長)は1日、放置発覚から12年目になるウラン残土の状況を調査した。松永議長らが「残土を撤去しろ」と核燃側に迫り、立ち会った職員と、激しいやりとりとなった。

使用済み核燃料の国際共同保管構想 30カ国代表が会議

11:20a.m. JST October 30, 1999
 世界各国の原子力発電所から出る使用済み核燃料を共同で保管しようという構想をめぐる初の国際会議が、米エネルギー省の呼びかけで31日から、米コロラド州デンバーで開かれる。日本、ドイツ、ロシア、中国など30カ国の代表が参加する。米国の民間団体がロシア原子力省と共同で、ロシアに地層処分場を建設する計画を進めており、会議ではこうした構想への各国政府の対応が焦点になる。

「国際地層処分会議」と題された会合は、使用済み核燃料の地層処分の技術的、政策的課題について意見交換するのがねらいだ。国際原子力機関(IAEA)加盟の各国政府や国際機関の代表、専門家が同省から招かれた。日本も外務省、科学技術庁などから参加する。

 リチャードソン米エネルギー長官は9月のIAEA総会で、使用済み核燃料の保管場所確保を国際的な課題として挙げ、「各国共同で保管することについても検討を進めるべきだ」と述べた。背景として、再処理によってできた民生用プルトニウムが世界全体で200トン以上あり、すでに余っているのに、一方で使用済み燃料の保管場所が世界的に不足していることから「保管場所の不足から再処理に走るのを防ぐ必要がある」とした。

廃棄物ドラム缶から液漏れ

1999年10月19日 17時26分共同通信社
 中部電力は19日、静岡県浜岡町の浜岡原発から出た低レベル放射性廃棄物を青森県六ケ所村の日本原燃低レベル放射性廃棄物埋設センターで処理作業をしていたところ、廃棄物ドラム缶800本のうち3本の外側に液体の漏れた跡が見つかったと発表した。

 中部電力は、放射能は検出されておらず、環境への影響はないとしている。

使用済み核燃料の六ケ所搬入再開 データ改ざん発覚後初

7:18p.m. JST September 03, 1999
 使用済み核燃料輸送容器の製造データ改ざんが発覚して中断していた青森県六ケ所村の日本原燃六ケ所再処理工場への試験用使用済み核燃料の搬入が3日、11カ月ぶりに再開された。この日午前、四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)で出た使用済み核燃料約11トンを積んだ輸送船・六栄丸が同村のむつ小川原港に到着、陸揚げされた。

 同村への使用済み核燃料の搬入は、昨年10月2日に東京電力福島第2原発から約8トンが搬入されて以来2度目。この初搬入が終了した直後に、放射線を外に漏らさないための専用の輸送容器「キャスク」の製造段階でデータが改ざんされていたことが内部告発で明らかになり、その後の輸送計画は凍結されていた。

 このため事業者側は容器を再使用できるよう容器の実態に合わせて国に設計変更を申請。国もこの変更を承認し、今年5月には容器再使用も認めた。青森県の木村守男知事も7月、搬入再開に同意した。

 今回、運び込まれたのは使用済み核燃料の集合体28体。輸送容器は2基で、いずれもデータ改ざんのあったとき造られた容器。搬入された使用済み核燃料は六ケ所再処理工場の貯蔵施設で、ウランの残留量を測定する燃焼度計測装置の目盛り合わせとなる「校正試験」に使われる。

 この日、むつ小川原港の周辺には核燃料サイクル事業に反対の市民や、国や県の姿勢を批判している労組関係者ら計約200人が詰めかけ、拡声機で「六ケ所村を核のごみ捨て場にするな」などのシュプレヒコールを繰り返した。

高レベル放射性廃棄物法案の枠組みまとまる、通産省

7:54p.m. JST August 17, 1999
 原子力発電の最大の問題である高レベル放射性廃棄物の最終処分について、通産省・資源エネルギー庁は17日、年明けの通常国会に提出する法案の概要をまとめ、原子力委員会に報告した。処分費用の拠出を電力会社に義務付け、処分業務は新設の民間組織、資金管理は既存の財団法人に受け持たせる。米国、フランス、ドイツ、スウェーデンなどではすでに高レベル廃棄物処分のための資金調達が始まっている。後れをとる日本もやっと処分組織の具体的な青写真ができた。

 処分法案の概要によると、非営利の認可法人を新たに設立し、処分業務を請け負わせる。ただし、事業資金を管理する組織は、通産相が指定する既存の財団法人をあてる。

 原子力委が昨年まとめた報告書は「処分の実施主体は民間」とし、資金管理を分離していなかった。エネ庁は、公共性の強い資金なので処分組織とは独立した準公的機関による管理が好ましいと判断した。

 処分費用は、地下数100メートルに埋める処分場の選定、建設、処分作業などから、国が半年ごとに算出し、電力会社に拠出させる。この資金はいったん資金管理組織にプールされ、必要に応じて処分組織に交付する。

 処分場の選定や建設は処分組織が受け持つ。ただし、候補地が決まれば、国が定める高レベル廃棄物処分の基本計画に盛り込まれ、国の政策に位置づけられる。

 また、自然災害などで処分組織が業務を続けられなくなった場合は、原則として国が業務を代行することも法律に明記する、としている。


専用船内で放射性廃棄物が流出

07:51a.m. JST August 07, 1999
 7日付のロシア紙イズベスチヤによると、日本海に面するロシア極東沿海地方で、港に係留されている放射性廃棄物専用船の内部で廃棄物がもれ始めている。同紙によると、ウラジオストクから約70キロのボリショイカーメニに係留されている専用船「ペネガ」の船内には約70トンの液体性の放射性廃棄物が保管されていた。しかし、今年春ごろから保管室の仕切りが侵食され、船内全体に廃棄物が流出し始めた。

 これまでのところ、廃棄物の流出は船内にとどまっているとされるが、具体的な流出防止策のめどは立っていない。専門家によれば、このまま放置すると廃棄物は船外にも流出する可能性があり、汚染は沿海地方に及び、さらに日本海にも拡大することが懸念されるという。(時事)

ロシア極東における液体放射性廃棄物処理施設(スズラン)の建設
ロシア連邦による隣接海への放射性廃棄物の海洋投棄 by 原子力百科事典 ATOMICA((財)高度情報科学技術研究機構 原子力PAデータベースセンター
 ロシア連邦(旧ソ連邦)によって北洋海域および極東海域において放射性廃棄物の海洋投棄が行なわれていた。北洋海域へ投棄した放射性廃棄物は北洋艦隊およびムルマンスク船舶公社の原子力艦隊からのものであり、1959年から1992年にかけて、液体廃棄物で879TBq(23.8kCi),固体廃棄物で574TBq(15.5kCi)が投棄されている。極東海域へ投棄した放射性廃棄物は太平洋艦隊からのものであり、1966年から1992年にかけて、液体廃棄物で456TBq(12.3kCi),固体廃棄物で230.3TBq(6.2kCi) が投棄されている。

原子炉施設の様々なレベルの廃棄物の処分について

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