TOPIC No.3-10c 東海村臨界事故

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No.3-10c-6 東海村臨界事故


01.東海村臨界事故 by 朝日新聞社(Asahi.com)
02.東海村臨界事故 by 共同通信(Kyodo News)
03.JCOウラン加工施設での臨界事故情報 by 科学技術庁


JCO事故めぐり原子力安全委と原水禁など初の公開討論

2001.02.24(22:11)asahi.com
 茨城県東海村のウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所で1999年9月に起きた臨界事故をめぐって24日、国の原子力安全委員会(松浦祥次郎委員長)と、原発に慎重な原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などが初めて公開で討論した。主張は平行線だったが、開催は双方とも評価し、今後も続けていくという。

 原水禁や、反原発団体の原子力資料情報室でつくる「JCO臨界事故総合評価会議」(代表・古川路明四日市大学教授)が、横浜市で開かれた原子力安全委員会の公開討論に参加する形で行われた。評価会議は事故原因の独自の調査報告書を昨年まとめた際、安全委の報告書の問題点を指摘するため、討論を申し入れていた。

 評価会議は、安全委の報告書が事故後3カ月で出されたことについて「拙速。ウラン投入量など基本的な数値すら、厳密に解明されていない」と指摘。施設の安全審査や、審査内容の公開も不十分とした。安全委は「再発防止に早急に生かすための調査だった。短時間で十分批判にたえるものができた」と説明したが、評価会議は「国は事故原因を企業側の責任に集約したが、規制当局のあり方こそまず議論されるべきだった」などと指摘した。

JCO、全面対決の構え/臨界事故訴訟 水戸地裁初弁論「請求の理由ない」

2000.12.19 The Sankei Shimbun
 茨城県東海村臨界事故の風評被害で損害を受けたとして、事故を起こした「ジェー・シー・オー(JCO)」を相手取り、同県大洗町の水産加工会社が約六千百五十万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が十九日、水戸地裁(中野信也裁判長)で開かれた。JCOに損害賠償を求める初の訴訟だが、JCO側は答弁書を提出し、「請求の理由がない」として棄却を求め、全面的に争う構えを見せた。

 訴状によると、訴えを起こした会社は主にエビとカニの冷凍原料を加工し、出荷・販売しているが、昨年の臨界事故の影響で出荷ができなくなった。このため、製品を焼却処分し、約四千五百九十万円の損害を受けた。

 さらに、売り上げが約二千万円減少するなどの損害を受けた。

 同社ではこのうち、すでにJCOから受け取った賠償金約九百万円を除く約五千六百五十万円と裁判費用五百万円の支払いを求めている。

JCOの越島前所長ら6人の保釈認める 水戸地裁

2000.11.06(20:18)asahi.com
 茨城県東海村の民間ウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の臨界事故で、業務上過失致死などの罪で起訴された前所長の越島建三被告(54)ら6人について、水戸地裁(村田鋭治裁判官)は7日、弁護側から出されていた保釈請求を認める決定をした。県内の警察署に分かれて勾留(こうりゅう)されていた6人全員がこの日、保釈された。

 水戸地裁によると、保釈金は1人500万円、計3000万円で、弁護人側から同地裁に支払われたという。保釈を認めた理由について、同地裁は、6人には逃亡の恐れがないと判断したことなどを挙げている。地裁から意見を求められた水戸地検も、「(保釈に)異議を申し立てる理由はない」(石橋基耀次席検事)として、了承したという。

JCOと前所長ら6人を起訴 臨界事故で水戸地裁

2000.11.01(22:31)asahi.com
 昨年9月のジェー・シー・オー(JCO)東海事業所(茨城県東海村)の臨界事故で、茨城県警の捜査本部は1日、業務上過失致死容疑で逮捕、勾留(こうりゅう)されている6人のうち、前所長の越島建三容疑者(54)ら3人と、法人としてのJCO(稲見智之社長)を原子炉等規制法(変更の許可及び届け出)違反の疑いで水戸地検に追送検した。これを受けて水戸地検は同日夜、JCOと6人を水戸地裁に起訴した。

 越島前所長のほかに原子炉等規制法違反容疑でも送検されたのは、事故当時の製造部長加藤裕正(61)、製造部計画グループ長小川弘行(43)の両容疑者。当時の木谷宏治社長(62)について捜査本部は、親会社の住友金属鉱山からJCO社長に就任して間もなかったことなどから、立件を見送った。

 調べによると、越島、加藤、小川の3容疑者は、1995年に同事業所で開催された社内の安全専門委員会出席メンバーとして、ウラン溶液の製造工程でステンレス製バケツを使うことを容認した。原子炉等規制法は加工の方法や設備を変更する場合、国の許可を義務づけているにもかかわらず、その後も任務を怠り、許可を得ずにバケツ作業をさせた疑い。

 水戸地検は追送検を受けて、越島、加藤、小川の3容疑者を原子炉等規制法違反と業務上過失致死の罪で、自ら大量被ばくした現場作業員リーダー格の副長・横川豊容疑者(55)らほかの3人を業務上過失致死罪で起訴した。法人としてのJCOは原子炉等規制法に加え、越島前所長とともに、水戸労働基準監督署が送検していた労働安全衛生法違反の罪でも起訴された。

JCO事故の被ばく者、計667人の線量評価まとめる

2000.10.13(20:53)asahi.com
 茨城県東海村のウラン加工施設ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所で昨年起きた臨界事故による被ばく線量を調べてきた科学技術庁は13日、全部で667人の線量評価をまとめた。

 事故を招いた作業をしていた3人(うち2人は死亡)を除き、被ばく線量はすべて放射線従事者の年間限度に当たる50ミリシーベルトより低かった。科技庁は、急性の放射線障害や長期的な健康影響はないとみている。

 科技庁は今年1月、JCO社員や周辺住民、事故処理に当たった防災関係者ら計438人の線量評価を公表した。今回はこれに、一時的に現場周辺に滞在した人や報道関係者ら229人の評価を加えた。

JCOの幹部ら6人を逮捕 業務上過失致死の疑い

2000.10.11(18:57)asahi.com
 3人が死傷し400人余が被ばくした昨年9月のウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所(茨城県東海村)の臨界事故で、茨城県警の捜査本部は11日午後、越島建三前所長(54)ら事故当時の事業所幹部ら計6人を業務上過失致死の疑いで逮捕した。

JCO幹部らの逮捕状請求 茨城県警

2000.10.11(17:32)asahi.com
 3人が死傷し400人余が被ばくした昨年9月のウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所(茨城県東海村)の臨界事故で、茨城県警の捜査本部は11日午前、越島建三前所長(54)ら事故当時の事業所幹部ら計6人について業務上過失致死傷などの疑いで逮捕状を請求する手続きを始めた。任意同行を求めて事情聴取に着手し、容疑が固まり次第、逮捕する。越島前所長らは、臨界に関する社員教育を怠ったうえ、違法作業を容認していた重大な過失があったと捜査本部はみている。法人としてのJCOについては、原子炉等規制法違反容疑で立件する方針。

 事情聴取されるのは、JCO常務の越島前所長のほか、同社取締役の加藤裕正・製造部長兼製造グループ長(61)、同事業所核燃料取扱主任者の小川弘行・計画グループ長(43)の幹部3人と、現場作業員のリーダー格の副長(55)、副長から作業方法の相談を受けた計画グループ主任(32)、副長の直属の上司の職場長(49)=肩書はいずれも事故当時。

 臨界事故は昨年9月30日午前10時35分ごろ、核燃料サイクル開発機構から発注された高速増殖実験炉「常陽」の燃料用ウラン溶液(濃縮度18.8%)を製造中に起きた。臨界を防ぐ形状になっていないうえ正規の工程では使わない沈殿槽に、制限量の7倍ものウラン溶液を投入したためとされる。

 これまでの調べでは、越島前所長ら幹部は、社員に対し十分な安全教育をせず、違法作業も容認していた結果、臨界事故を引き起こし、作業員の大内久さん(当時35)と篠原理人さん(当時40)を死亡させ、副長にも放射線障害を負わせたとされる。

 また、現場では副長が沈殿槽の使用について事故前日に「問題はないか」と計画グループ主任に相談、これに対して同主任は「大丈夫だろう」と答えるなど、それぞれ注意義務を怠ったとされる。

 同社では、国の許可を受けた工程を勝手に変更し、1993年からステンレス製バケツで粉末ウランを硝酸で溶かすなどの違法作業が続けられており、これらは幹部らが容認して手順書(裏マニュアル)にまとめられていた。事故はこの裏マニュアルをも逸脱した作業の際に起きたが、捜査本部は長期にわたり違法作業を容認してきた会社の体質が事故につながったとみて、関係者の逮捕が必要と判断した模様だ。

 業務上過失致死傷容疑の被害者について、捜査本部は診断書がある死者2人と副長の現場作業員3人に限定した。被ばく者は周辺住民ら400人を超したが、医療機関が放射線障害と診断しなければ司法上の認定が困難と判断した。

JCO幹部ら6人きょうにも聴取 臨界事故で茨城県警

2000.10.11(03:10)asahi.com
 3人が死傷し400人以上が被ばくした昨年9月のジェー・シー・オー(JCO)東海事業所(茨城県東海村)での臨界事故で、茨城県警の捜査本部は11日にも、越島建三前所長(54)ら当時の事業所幹部と現場作業員ら6人を業務上過失致死傷などの疑いで事情聴取する。容疑が固まり次第、逮捕する。当時の木谷宏治社長(62)については、就任後間がなかったことなどから立件は見送るが、法人としてのJCOについては原子炉等規制法違反容疑で立件する方針。

 3人を死傷させたとして立件されるのは、越島前所長のほか、いずれも当時の取締役製造部長、核燃料取扱主任者だった計画グループ長、同グループ主任、自らも被ばくした現場作業員の副長、その直属の上司だった職場長。任意で出頭を求め、一斉に聴取する。

 これまでの調べによると、粉末ウランの硝酸溶液の製造中に起きた今回の事故は、臨界を防ぐ形状ではない沈殿槽と呼ばれる容器に制限量の7倍ものウラン溶液を入れたことが直接の原因とされる。

 同事業所では、1993年ごろから、ウラン溶液の製造過程で原子炉等規制法に基づく許可を受けた方法を勝手に変更し、バケツで粉末ウランを溶かすなどの違法作業を続けており、幹部らは違法性を認識しながらも、「臨界管理上、問題なし」と容認していたとされる。

 捜査本部は、副長らがウラン溶液の取り扱いに必要な注意義務を怠って臨界を引き起こしたほか、幹部らが、危険な核燃料物質を扱う原子力関連施設として当然、配慮せねばならない立場ごとの注意義務や社員への安全教育を怠ったことが事故につながったとみており、同事業所に長く勤務する越島前所長らの刑事責任は免れないとしている。

 一方、親会社の住友金属鉱山の常務から着任して約4カ月だった当時の木谷社長については、違法作業が続けられていたことを知らなかったとみて、刑事責任の追及は難しいと判断した模様だ。

JCO幹部ら逮捕へ、5人前後業過致死の疑い/臨界事故で茨城県警

2000.10.09 The sankei Shimbun
 茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー」(JCO)東海事業所の臨界事故で、茨城県警捜査本部は八日、業務上過失致死容疑で事故当時のJCO幹部ら五人前後について逮捕する方針を固めた。

 原子炉等規制法違反(施設の無許可変更)容疑で捜査を進めてきた当時の社長(六二)は違法作業の実態を把握していなかったとして立件を見送る。事故から一年が経過し、JCO上層部の刑事責任追及を目指してきた捜査は大詰めを迎えた。

 逮捕の対象となるのは、当時の事業所長(五四)のほか製造部長(六一)、原子炉等規制法で規定された核燃料取扱主任者を兼務する製造部計画グループ長(四三)ら。

 刑事上の被害者はこれまで事故時の作業員三人とされてきたが、捜査本部は死亡した二人に絞り、容疑を業務上過失致死傷から同致死に切り替える。

 当時の社長については、就任が事故数カ月前であり、バケツ使用など違法作業の実態を把握していなかったため、刑事責任を問えないと判断した。

 これまでの捜査本部の調べによると、手順書に記載されたバケツを使ってウランを溶解する作業や、制限値以上のウランを一度に取り扱う行為が、いずれも許可を得ていない違法作業だったことが判明。違法作業は平成七年、事業所長や製造部長、計画グループ長らが出席した社内の「安全専門委員会」で承認された。手順書は裏マニュアルで、平成八年に作成され、製造部長が承認していた。

 作業員が事故当時、臨界管理について認識しておらず、JCOでは臨界安全教育がほとんど行われていなかったことも露呈。作業員らの作業計画や記録の確認を怠るなど、作業管理も十分に行われていなかった。

 JCO内部の保安規定では、事業所長が事業所の保安と教育の総責任者である「安全主管者」を務め、核燃料取扱主任者が保安と教育について意見を述べる立場にあり、製造グループ長を兼務する製造部長は製造業務を指導管理する立場にあった。

 捜査本部では、事業所長らが事故の起きる可能性を認識していながらそれぞれの立場での責任を怠り過失が重なった結果、作業員三人が手順書を逸脱した作業を行い、臨界事故が起きたと判断した。

 捜査本部では他の社員数人についても任意での調べを進める。無許可のバケツ使用についても原子炉等規制法違反容疑で、立件対象者を絞り込み、法人としてのJCOとともに立件する。

         ◇

 《東海村臨界事故》平成十一年九月三十日午前十時三十五分、茨城県東海村の「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の転換試験棟で起きた国内初の臨界事故。核分裂が連鎖的に起こる臨界状態は約二十時間続き、周囲三百五十メートル以内が避難、十キロ圏内に屋内退避要請が出た。被ばく者は周辺住民や駆けつけた救急隊員、JCO社員ら四百三十九人。転換試験棟にいた作業員三人は入院し、うち二人が死亡した。国際原子力事象評価尺度は国内最悪の「レベル4」。

風評被害の補償求めJCO提訴 茨城の水産会社

2000.10.07(19:13)asahi.com
 茨城県東海村で昨年9月に起きたジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故で風評被害を受けたとして、同県大洗町の水産加工会社がJCOを相手取り、損害賠償など約6100万円の支払いを求める訴えを、7日までに水戸地裁に起こした。同県などによると、臨界事故による被害をめぐり訴訟が起こされたのは初めて。

 この水産加工会社の経営者によると、同社は東京都内の取引先から冷凍のエビやカニを仕入れ、加工してこの取引先に販売していたが、臨界事故後、商品の買い取りを拒否された。このため、同社は商品約4500万円分を焼却処分したほか、風評被害によって、今年1月までに約1700万円の損害を受けたという。

東海村、臨界事故から1年 住民参加し避難訓練

2000.09.30(13:33)asahi.com
 茨城県東海村の民間ウラン燃料加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」で日本初の臨界事故が起きて、30日でちょうど1年がたった。この日、今まで原子力防災訓練をしたことがなかった東海村は、住民の声におされて原子力事故を想定した初の防災訓練をした。JCOや科学技術庁では市民団体などが抗議行動をした。健康への不安など住民の傷跡はなお消えない。村はこの日を「原子力防災の日」にして、毎年、訓練をするという。

 東海村が原子力防災訓練を実施したことはない。「訓練そのものが不安をあおる」との考え方があったからだ。だが、「事故の教訓を忘れないよう何かすべきではないか」という住民の声が訓練を実現させた。

 訓練は村内の原発での放射能漏れ事故という想定で、約750人が参加した。午前11時前、東海村白方の公民館前には、街頭のスピーカーや広報車の案内で住民13人が集まり、大型バスで避難した。誘導する村の職員は全身を透明のポリ袋で身を包んだ。

 避難所の石神コミュティーセンターに、3台のバスに分乗した住民約100人が集まった。住民は一人ひとり、頭から足先まで、サーベイメーターで放射能汚染の検査を受けた。希望者は専用のホールボディカウンターで、全身の放射能を測定した。検査を受けた建築業村山政康さん(56)は「訓練の成果が現れるような事故が2度とないようにしてほしい」と話した。

 放射線という目に見えない恐怖は、いまも住民から消えていない。

 今年5月、県が被ばく住民を対象に実施した健康診断の際、事故現場から二百数十メートルの家に暮らす50代の主婦は、「健康診断結果の保管管理及び利用」と書かれた「同意書」を渡されて、戸惑った。科学技術庁が算出した被ばく推定量は10ミリシーベルト以下。「長期的に見ても健康への影響は心配ない」と説明された。しかし、同意書の「利用」とは何なのか。

 主婦は「自分は観察の対象なのか。実は、もっと被ばくをしているのかもしれない」と漏らした。

 一方で、「長期的な健康管理をしてくれるのか」という住民もいる。県保健予防課は10年以上の長期にわたって継続的に健康診断を実施する意向を示している。だが、健康診断を受けるのは希望者だけで、5月のときは4割以上が受けなかった。転居して連絡が取れなくなる可能性もある。

 県の健康診断が近隣住民を対象としているのに対して、JCO社員や防災関係者が各職場で実施する健康診断の結果は、労働省に報告され、互いに情報の交換はない。「将来、異常が起きたときにどうするのか」という不安への答えは、まだ出されていない。

「誠心誠意取り組む」 30日に事故1年のJCOが会見

2000.09.29(13:40)asahi.com
 昨年9月30日に茨城県東海村で臨界事故を起こした「ジェー・シー・オー(JCO)」の稲見智之社長らが29日、同社東海事業所で記者会見を開き、「地域のみなさんに安心していただくため、安全管理や補償交渉など残された課題の解決に、引き続き誠心誠意取り組んでいく」と語った。

 事故後の今年5月、木谷宏治前社長の辞任に伴い就任した稲見社長は冒頭「地域、原子力業界に計り知れない迷惑をかけた。さらに2人の従業員を失い、今更ながら断腸の思いだ」と深々と頭を下げ、改めて謝罪した。

 今年3月、核燃料加工事業の許可を取り消されてから同社は、事実上の「事故処理会社」となっている。補償交渉は全体の約98%が合意、在庫ウランの運び出しも終え、同社は29日付で、科学技術庁にウラン貯蔵施設の使用許可廃止を申請した。貯蔵施設の一部は今後、ウラン廃棄物の保管施設に転用するという。会社の将来について、稲見社長は「まだ考えていない」とだけ話した。

被ばく者の心身ケアなど提言 JCO臨界事故評価会議

2000.09.22(23:59)asahi.com
 茨城県東海村のウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」で起きた臨界事故を市民の立場から調査し、評価していた「JCO臨界事故総合評価会議」(代表、古川路明四日市大教授)は最終報告書をまとめ、22日、被ばく者の心身ケアの配慮や防災体制の見直しなどを盛り込んだ「政府への提言」を原子力安全委員会に提出した。

 JCO近隣の東海村・那珂町の約1200人にアンケートした結果、「将来の放射線の影響」や「事故再発」の不安を訴える人が半数以上、身体的精神的症状を訴える人は35%いたと報告した。JCOへの発注者である核燃料サイクル開発機構の責任にも触れ「政府による事故調査は不十分で民間の第三者機関による再調査が必要」と指摘した。

被ばく医療、全国にネット 14日に検討会

2000.09.10(06:46)asahi.com
 原子力事故で大量被ばくした患者を治療する全国医療ネットワークづくりに、千葉市にある科学技術庁放射線医学総合研究所(放医研)と東京大、京都大、広島大、長崎大の医師らが着手する。原子力施設周辺の医療機関と協力しながら、今年度中に緊急時の連携態勢を決める方針で、14日、東京で最初の検討会を開く。

 昨年9月、茨城県東海村の民間ウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所で起きた臨界事故で、従業員3人が大量の放射線を浴び、2人が死亡した。このとき治療の中核となったのは、東京周辺の医師が主体の「緊急被ばく医療ネットワーク会議」(委員長・前川和彦東大教授)。ほかの地域に同様の組織はなく、全国規模での整備が大きな課題として浮上した。

 検討会に参加するのは、前川委員長、原子力安全委員会の青木芳朗委員長代理のほか、放医研、京大原子炉医療基礎研究施設、広島大原爆放射能医学研究所、長崎大原爆後障害医療研究施設の被ばく医療の専門家ら。

 大量被ばく患者の治療は一刻を争い、障害は全身に及ぶ。被ばく事故が起きた地域で、外科、内科、皮膚科など多分野の専門医が連携し、迅速に対処するには、地域ごとに医療ネットワークを整備する必要がある。

 検討会では、東京中心のネットワーク会議に加え、関西、中国・四国、九州などに新たに地域ネットワークをつくること、ネットワーク間で専門家を派遣し合うなどの調整組織づくり、地元の医療機関との協力、JCO事故で得た知識の共有方法などが議論される。

 JCO事故をきっかけに厚生省は、17道府県の18病院で、被ばく医療に欠かせない無菌手術室や、患者に付着した放射性物質を洗い落とす除染室などの整備をしている。検討会では、こうした施設の整備状況も踏まえて、病院への患者搬送から初期段階での治療、精神面でのケアまで含めた手順も探る。

 現在のネットワーク会議は1998年7月に設立された。放医研、東大、千葉大、日本医科大、杏林大などの医師ら19人が参加している。

納豆メーカーが国に和解仲介申し立て JCO臨界事故

2000.09.04(23:28)asahi.com
 茨城県東海村で昨年9月に起きたジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故をめぐる補償交渉で、同県内の納豆メーカー1社が4日までに、国の原子力損害賠償紛争審査会に和解の仲介を申し立てた。原子力事故で国が和解を仲介するのは初めて。

 科学技術庁やJCOによると、このメーカーは事故の際に県が出した半径10キロの屋内退避要請圏内にあり、事故の影響で全国に出荷していた製品が売れなくなったなどとして、半年分の損害約10億円の補償を求めている。これに対し、JCOは風評被害の補償を事故後3カ月間とする補償案を提示。話し合いがついていない。

原研が臨界現象のビデオ撮影装置を開発

2000.06.29(20:44)asahi.com
 茨城県東海村のウラン加工施設で昨年起こった事故に近い臨界現象を「再現」し、ビデオ撮影に成功したと、日本原子力研究所が29日発表した。これまでは強い放射線に耐える撮影装置がなく、臨界をビデオでとらえることはできなかった。映像は、現象の理解に役立つだけでなく、原子力施設の従業員教育にも使えそうだ。

 実験に使ったのは、原研東海研究所の「過渡臨界実験装置(TRACY)」。直径約50センチ、高さ約2メートルのステンレス製の炉心タンクに、下の配管からウラン溶液を徐々に注入する。溶液が、一定量以上たまると連続した核反応が起こる。これが臨界現象だ。反応を止めるときは、筒の真ん中に走る管に中性子吸収材の棒を入れる。

 今回は、放射線を浴びても劣化しない特殊な光ファイバースコープを開発し、タンクの上部から差し込んで反応を胃カメラのように観察した。

 注入開始から約40秒後、臨界によって大量の中性子やガンマ線が飛び出した。続いてこれらの放射線で水が水素と酸素のガスに分解され、大きな泡が溶液表面にわき出した。

 タンクの直径は、臨界事故を招いた沈殿槽とほぼ同じで、使った溶液のウラン濃度、硝酸濃度も事故時に近い。同研究所安全試験部の大野秋男課長は「臨界事故のときも実験と同じような反応があったと考えられる」と話している。

週刊現代に医師団が抗議 臨界事故被ばく者の写真掲載

9:03p.m. JST May 18, 2000 asahi.com
 茨城県東海村の臨界事故で大量の放射線を浴び、4月に亡くなったウラン加工会社ジェー・シー・オー(JCO)社員、篠原理人さんの治療中の写真が「週刊現代」(5月27日号)に掲載された問題で、篠原さんの治療に当たった医師団は18日までに同誌に対し、遺族への謝罪文の掲載や同号の販売停止・回収を求める抗議文を送った。

 同誌は「東海村事故被曝(ひばく)死者の凄絶(せいぜつ)『放射線熱傷』写真」と題した記事の中で、学会で発表された篠原さんの顔や手足の写真を掲載した。医師団は抗議の理由を「たとえ公共性が絶大であるとしても、今回の被ばく事故の場合、患者や家族のプライバシーを無視してよいことにはならない」としている。

 ◇週刊現代編集部の話 死者の尊厳や遺族の感情も含め、さまざまな角度から検討を重ねたが、今回の場合、事故の重大性にかんがみ、これを報じることが国民の利益に供すると判断した。なお、学会に対しても正当な取材を行っている。

JOC事故で139億円

2000年5月17日 19時18分共同
 住友金属鉱山は17日、決算発表の席上で、発表した2000年3月期連結決算で、子会社ジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故の補償に対し、合計139億円を手当てしたことを明らかにした。特別損失では、3月末までに示談が成立した約6000件分、計97億9300万円を損害補償損失として計上。交渉が継続している残りの約520件分は、41億1500万円と見込み、損失引当金に繰り入れた。

JCO事業所の周辺住民らが健康診断 白血球数なども

4:46p.m. JST May 13, 2000 (時事)
 茨城県東海村のジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故で、科学技術庁と茨城県は13日午前、事業所周辺住民らに対する健康診断を同村の舟石川コミュニティーセンターで実施し、被ばく線量が一般人の年間限度1ミリシーベルト以上の住民や希望者ら約150人が採血や尿検査、専門医による問診などを受けた。

 健康診断は今年3月の原子力安全委員会健康管理検討委員会の方針に基づき、年1回実施されることが決まった。今回は14日に那珂町で、21日には再び東海村で行われ、受診希望者は計約320人。検査項目には、住民らの強い要望で、被ばくに伴い減少するとされる血液中の白血球数やリンパ球数なども加えられた。検診結果は6月、受診者に通知される。 

原子力事故は15分以内に通報 国の防災基本計画を拡充

9:23p.m. JST May 12, 2000 asahi.com
 国の中央防災会議(会長・森喜朗首相)は12日の関係省庁局長級会議で、防災基本計画の原子力災害対策編の大幅拡充を決めた。これまでは原子力発電所と使用済み核燃料の再処理施設が対象だったのを、核燃料の加工、貯蔵、廃棄施設と「運搬」にも広げ、想定される全事態に対応できるようにした。原子力事業所の防災管理者が事故発生後、15分以内をめどに首相官邸などに通報するなど、計画の実効性を高めるための具体策も記した。また、米軍の原子力艦船の事故にも触れ、自治体が地域防災計画で対応するようにした。今月末の中央防災会議で正式に決める。

 昨年9月の茨城県東海村のウラン加工施設での臨界事故を機に、原子力災害対策特別措置法(原災法)が昨年末に成立。6月16日の施行を前に、法を具体化するための基本方向を示した国の防災基本計画も改定する必要があった。これに合わせて関係の自治体は地域防災計画を、事業所は防災業務計画をつくる。

 改定版の「原子力災害対策編」は、原災法で明示していない核燃料などの「運搬」も対象にした。運搬中の事故に備えて事業者に対し、通報、消火、汚染拡大の防止などの応急措置を記した運搬計画書の作成を義務づけた。

 原災法10条の「原子力防災管理者の通報義務」については、「事故発見後、15分以内をめどに首相官邸、関係省庁、自治体、警察、消防機関などに同時に文書を送信する」と具体的に定めた。運搬中の事故にも「15分規定」は適用される。東海村の臨界事故の場合、ウラン加工施設から科学技術庁に第一報が入ったのは、事故発生から約44分後だった。

JCO作業員・篠原さんが死亡 臨界事故で被ばくから211日目、2人目の犠牲者

【JIJI NEWS Watch 2000年4月日号】
 茨城県東海村の臨界事故で被ばくし、東大付属病院(東京都文京区)に入院していた核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)作業員篠原理人さん(40)は27日午前 7時25分、多臓器不全で死亡した。被ばくから211日目だった。同事故では昨年12月21 日、同僚の大内久さん(当時35)が死亡しており、国内の原子力施設の事故による死 者は2人となった。                       (時事通信社)

JCO社長に稲見氏

2000年4月25日 14時51分
 東海村臨界事故を起こした、核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の木谷宏治社長が来月1日付で退任することが25日までに決まった。後任に親会社の住友金属鉱山の稲見智之常務取締役が就任する。
 木谷社長は昨年6月、住友金属鉱山を退社して、JCOの社長になったが、9月30日に臨界事故が起き、責任を取る形で辞意を表明していた。

レベル4と正式評価

2000年4月24日 17時58分
 東海村臨界事故について科学技術庁は24日、原子力施設の事故規模を示す国際評価尺度(INES)で、レベル4(施設外への大きな危険を伴わない事故)と正式評価されたことを、原子力安全委員会に報告した。原子力安全技術センターが設置した評価委員会が判断した。科技庁が事故直後に評価した暫定の尺度通りになった。近く国際原子力機関(IAEA)に通知する。国内の事故では最悪。

臨界事故で被ばくのJCO社員篠原さん、多臓器不全に

7:17p.m. JST April 24, 2000
 茨城県東海村の臨界事故で大量の放射線を浴びたウラン加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の社員、篠原理人さん(40)の容体について、入院先の東京大学付属病院(東京都文京区)の医師団は24日、「多臓器不全の状態で、予断を許さない」と発表した。
 呼吸機能や腎機能の低下に加え、薬剤の影響と推定される肝機能障害が進んだという。血圧も下がり、昇圧薬の量を増やすといった治療を続けている。

JCO臨界事故から半年、今後の焦点は捜査の行方

8:00p.m. JST March 30, 2000
死者1人を含む439人が被ばくした茨城県東海村のジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故から、30日で半年が過ぎた。被害を受けた住民らの補償交渉は約9割が合意に達したが、将来の健康や風評被害への不安は、住民らの間に根強い。一方、事故の背景となった同社のずさんな作業実態などについて、県警の捜査本部は業務上過失致死傷と原子炉等規制法違反(無許可変更)容疑での立件をめざし、詰めの捜査を急いでいる。

  30日に記者会見したJCOの木谷宏治社長は「安全管理が不十分だったうえ、ルールを守るという考えが会社に欠けていた。心から反省している」と、改めて謝罪。東海事業所の越島建三所長も「施設の責任者として、多くの人に迷惑をかけてしまった。痛恨の極みだ」と述べた。
JCOは国から核燃料の加工事業許可の取り消し処分を受けたが、木谷社長は「今後は、事故処理に専念する会社として、補償や社員の雇用確保に努めたい」と話した。

  住民らとJCOによる補償交渉は22日までに、全体の90.4%にあたる約5850件、総額約98億3000万円について合意した。これを受けて、県の補償対策室は今月末で解散するが、「今後も新たな風評被害があるかも知れない」との不安などから、東海村の補償対策協議会は新年度も継続する。

  県警の捜査本部は、JCOの違法な作業手順について原子炉等規制法違反容疑の裏付けを進めるとともに、事故による業務上過失致死傷容疑についても、臨界を引き起こした作業の実施をだれが決めたのかなどの特定を急いでいる。

  今のところ、容疑者が複数になることは間違いないとみられるが、現場にいて大量の放射線を浴びたJCOの社員3人以外の被ばく者が、業務上過失傷害容疑の被害者に含まれるかどうかが焦点となりそうだ。

JCOのウラン加工事業許可取り消し 科技庁が処分

8:26p.m. JST March 13, 2000
昨年9月に起きた茨城県東海村のウラン加工施設ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故で、科学技術庁は13日、加工事業許可を取り消す行政処分の方針についてJCO側の意見を聴く「聴聞」を東京・霞が関の同庁で開いた。木谷宏治・同社社長は処分に従うと述べ、事実上処分が決まった。JCOは「事故処理会社」に改編される。

  処分は原子炉等規制法に基づく。科技庁は、JCOが国の変更許可なしにウラン粉末溶解の手順を変えていたことと、臨界を防ぐ形になっていない沈殿槽に臨界量を超えるウラン溶液を入れるなどの保安規定違反をしたことを重視。もっとも重く、過去に例がない「許可取り消しが相当」と説明した。

  これを受け、木谷社長は事故についてわび、処分に従うことを表明。「処分後も社会的な責任を果たすことを基本方針に、事故処理に全力を傾注していく」と述べた。そして、社内組織を一新し、補償問題の完全解決、住民や従業員の健康ケアに取り組むとした。

  木谷社長は、同事業所長とともに引責辞任することをすでに表明している。処分が事実上決まったことで、JCOは事故の後始末だけを業務にする会社になる。同事業所にはウランのほか、ドラム缶約7000本の低レベル廃棄物が残されており、これらの管理をするための許可申請を国に出している。

  JCOは、「再転換」というウランの中間加工をしていた。国内でこの技術を持つのは他に1社で、許可取り消しにより、国内の核燃料製造能力が大幅に低下する。法的には処分後2年たてば、事業許可を再申請できる。しかし、住民感情を考えれば、非現実的とする見方も強い。

  再転換は、コストの安い海外企業への依存が高まっており、当面は影響はないと原子力業界はみている。しかし、安定的供給のためには、JCOの分を国内で生産できる体制づくりが必要という意見もある。

JCO、処分受け入れ

2000年3月13日 16時23分
東海村臨界事故で科学技術庁は13日、核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の事業許可を取り消す行政処分に対してJCO側の意見を聴く聴聞を同庁で開いた。
JCOの木谷宏治社長は、事故を起こしたことについてあらためて謝罪した上で、「処分に従う」と表明した。

  これを受け科技庁は、原子炉等規制法に基づく初の許可取り消しを3月中にも正式決定する。

住友鉱山は145億円特損

2000年3月8日 17時57分
住友金属鉱山は8日、子会社ジェー・シー・オー(JCO)が起こした臨界事故の補償額などで計145億円を2000年3月期に、特別損失として計上すると発表した。補償額が130億円、関連費用が15億円。同社は「事故に対する財務的な手当はこれで終了する」と説明している。

健康、精神不安の補償を

2000年3月9日 17時36分
東海村の臨界事故で住民らが結成した臨界事故被害者の会(大泉昭一代表世話人)の代表が9日午後、核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)を訪れ、健康被害や精神不安、周辺土地の価格下落への補償などを求める申し入れ書を提出した。内容は、半径350メートル以内に限らず、心身に受けた住民の被ばくにかかる診療費や交通費などの実費だけでなく、被ばくそのものへの補償を求めている。

臨界事故で懇談会設置

2000年3月2日 15時09分
 臨界事故が起きた茨城県東海村は2日、住民や原子力専門家などから原子力について広く意見を聞く「原子力安全対策懇談会」の設置など、事故対策関連経費として1490万円を計上した2000年度予算案を村議会に提出した。懇談会のほか、住民が日常的に放射線を測定できるよう、学校や図書館などに配備する放射線測定器20台、原子力防災の各種研修の費用などが計上されている。

JCOの木谷社長、臨界事故の責任とって辞意を表明

7:56p.m. JST February 25, 2000
 茨城県東海村で国内初の臨界事故を起こしたジェー・シー・オー(JCO)の木谷宏治社長(62)は25日、県庁で記者会見し、事故の責任を取って辞任する意向を明らかにした。また、「東海事業所長を含め執行体制を一新する」と述べ、国から加工事業の許可が取り消された後は、同事業所内にある放射性廃棄物の管理や補償対応など事故処理業務だけにあたる新組織に移行する、との方針を示した。

 木谷社長は会見で、「まだ処分内容は決めていないが、社内規定に沿って自らも処分する。引責辞任と考えてもらって結構だ」と述べた。後任は決まっていないとし、辞任時期についても明言を避けた。

 木谷社長の辞意表明について、村上達也村長は「事故処理をまっとうしてから辞任すべきで、いまの時期に辞意を表明したことには賛成できない」としながらも、「会社が存続して事故処理にあたると知り、安心した」と述べた。

JCO親会社の住友金属鉱山社長が引責辞任

7:43p.m. JST February 15, 2000
  国内初の臨界事故を起こした「ジェー・シー・オー」(JCO、本社・東京)の親会社である住友金属鉱山の青柳守城社長(65)は15日の記者会見で、引責辞任することを明らかにした。後任の社長には福島孝一専務(58)が、新たな会長に須藤晃一専務(64)がそれぞれ就任する。青柳社長は相談役に退く。青柳社長は「子会社が臨界事故を起こした社会的影響を考え、道義的責任にけじめをつける」と話した。

 青柳社長は「事故の大きさから、大変申し訳ないという気持ちを持っていた。当初からなるべく早くけじめをつけたいと考えていたが、事故処理などの事情で辞任の時期が延びた」と説明した。

 事故原因については、「作業プロセスの中で、法の軽視が続いていた」との認識を示した。しかし、親会社としては通常の安全管理や経営管理を行っていたとの見方を示し、「親会社としての法的責任はない」と強調した。一方で、「社会的・道義的責任は十分に感じている」(青柳社長)とし、今後も親会社として人的・経済的に最大限の支援を行っていく方針を示した。

科技庁が住民説明会開く

2000年2月19日 18時55分
 
 科学技術庁は19日、茨城県東海村と共催で、臨界事故で住民が受けた被ばく線量の最終調査結果について地元説明会を開き、住民に説明した。説明会には,約200人が参加。科技庁の広瀬研吉原子力安全課長が、最高で21ミリシーベルトとした住民の行動調査の推定線量などについて説明。「50ミリシーベルト以下ではがんや白血病などが大きく増加するデータはない」と述べた。

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