TOPIC No.3-1-8 ダイオキシン(環境ホルモン)

Index
a. ごみの減量化、 b. ダイオキシン排出規制 、c. ベルギー事件

01.
 ダイオキシンで暗殺?(2004.12.12)市民のための環境学ガイド
02.
 セベソの60人 by武田 邦彦(中部大学)
03.
 ダイオキシンは危険なのか? (1), (2), (3), (4), (5), (6), (7), (8), (9), (10) by武田 邦彦(中部大学)
04.
 塩素、塩ビそしてダイオキシン by CHROLOPHILES
05.
 Media Watch: ダイオキシン騒動 〜 「魔女狩り」騒ぎのメカニズム 国際派日本人養成講座
06.
 ダイオキシンって なあに?(環境庁)
07.
 ダイオキシン類 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
08.
 ダイオキシンは猛毒なのか
09.
 ダイオキシンは、分解されない安定な物質なんですか?
10.
 【不思議に思いませんか】by第3次健康住宅研究会第24報
11.
 ダイオキシン類対策特別措置法  最終改正:平成一八年六月一四日法律第六八号
12.
 ダイオキシンは、何時から報告されているのか?
13.
 セベソ事故 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
14.
 イタリア、セベソのダイオキシンの放出による大規模な環境汚染と人的被害
15.
 セベソ大災害30年 EU 政策にとっての教訓(2006年07月06日)情報源:Greenpeace Media Briefing by化学物質問題市民研究会
16.
 北イタリア紀行 ダイオキシン大事故から30年 セベソ
30.
 枯葉剤機密カルテル 第24回 ダイオキシンは語る 原田 和明(2005年09月27日)byまぐまぐ!
31.
 枯葉剤機密カルテル 第25回 化学兵器・ダイオキシン 原田 和明(2005年09月30日)byまぐまぐ!
32.
 枯葉剤機密カルテル 第26回 秘密会議 原田 和明(2005年10月04日)byまぐまぐ!
33.
 枯葉剤機密カルテル 第27回 ピンクの薔薇プロジェクト 原田 和明(2005年10月08日)byまぐまぐ!
34.
枯葉剤機密カルテル 第30回 カネミ油症事件 原田 和明(2005年11月02日)byまぐまぐ!
35.
 枯葉剤機密カルテル 第31回 ダーク油事件とヒナ水腫事件 原田 和明(2005年11月04日)byまぐまぐ!
36.
 枯葉剤機密カルテル 第32回 PCB次世代実験 原田 和明(2005年11月10日)byまぐまぐ!
37.
 枯葉剤機密カルテル 第33回 第二の油症 原田 和明(2005年11月13日)byまぐまぐ!
38.
 枯葉剤機密カルテル 第34回 PCBも枯葉剤? 原田 和明(2005年11月16日)byまぐまぐ!
39.
 枯葉剤機密カルテル 第35回 社史から消えたPCB 原田 和明(2005年11月22日)byまぐまぐ!
40.
 枯葉剤機密カルテル 第36回 参戦国・韓国兵の悲劇 原田 和明(2005年11月24日)byまぐまぐ!
41.
 枯葉剤機密カルテル 第37回 韓国枯葉作戦 原田 和明(2005年11月30日)byまぐまぐ!
42.
 枯葉剤機密カルテル 第38回 法廷の枯葉剤 原田 和明(2005年12月03日)byまぐまぐ!
43.
 枯葉剤機密カルテル 第39回 火の仮説 原田 和明(2005年12月07日)byまぐまぐ!                
44.
 枯葉剤機密カルテル 第61回訂正 セベソ事件 原田 和明(2007年09月24日)byまぐまぐ!                
45.
 枯葉剤機密カルテル 第62回 ヨーロッパのミナマタ 原田 和明(2007年10月03日)byまぐまぐ!                    
47.
 枯葉剤機密カルテル 第63回 消えた汚染廃棄物 原田 和明(2007年10月18日)byまぐまぐ!
48.
 枯葉剤機密カルテル 第64回 第二次枯葉作戦 原田 和明(2007年10月30日)byまぐまぐ!
49.
 枯葉剤機密カルテル 第65回 もちつもたれつ 原田 和明(2007年11月25日)byまぐまぐ!
50.
 枯葉剤機密カルテル 第66回 ソ連製枯葉剤 原田 和明(2007年12月13日)byまぐまぐ!                    
51.
 枯葉剤機密カルテル 第67回 中国のPCP工場 原田 和明(2007年12月29日)byまぐまぐ!                    
52.
 枯葉剤機密カルテル 第68回 中国の思惑 原田 和明(2008年01月05日)byまぐまぐ!  
53.
 枯葉剤機密カルテル 第69回 国策の残滓 原田 和明(2008年01月08日)byまぐまぐ!
54.
 枯葉剤機密カルテル 第70回 第二のベトナム 原田 和明(2008年01月12日)byまぐまぐ!
55.
 枯葉剤機密カルテル 第71回 ダイオキシン裁判 原田 和明(2008年01月16日)byまぐまぐ!                 
56.
 枯葉剤機密カルテル 第72回(最終回)枯葉作戦と日米同盟 原田 和明(2008年01月21日)byまぐまぐ!
57.
 カネミ油症を追う(2008年01月04日)長崎新聞

ダイオキシン類(-るい)とは、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン (PCDD) 及びポリ塩化ジベンゾフラン (PCDF) の総称である。また、コプラナーポリ塩化ビフェニル (Co-PCB) のようなダイオキシン類と同様の毒性を示す物質をダイオキシン類似化合物と呼ぶ。byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


人体への影響 byダイオキシン

byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

一般向けの書物やマスメディアによって、ダイオキシンが「史上最強の猛毒」と扱われることがあるが、異論も存在する。たとえば、生物毒のように直接の即死効果を持つ毒素との比較において、ダイオキシン感受性の高い(後述)モルモットのデータから見積もっても、ボツリヌス毒素はダイオキシンに比べ、少なくとも数千倍の毒性を有する[14]。また以下に示すようなヒトに対する暴露事例において、死亡例についてはほとんど確認できない。また、環境中からヒトが摂取可能なダイオキシン量はさらに少量であり、即死効果という点において、サリンや青酸カリなどと急性毒性を比較するのは不適切である。

ダイオキシン類のヒトへの暴露の事例としては[12][19]

1. 米国で発生した工場廃液の環境の汚染に伴う事例

2. 工場や研究室における汚染事故

3. イタリアのセベソにおける汚染事故(セベソ事故

4. ベトナム戦争における枯葉剤作戦による退役軍人らに見られる影響 などが挙げられる。

 ダイオキシン類の毒性は一般毒性、発がん性、生殖毒性、免疫毒性など多岐にわたりそれぞれの毒性発現量は異なると考えられている。動物実験や疫学調査によりダイオキシン類のヒトでの体内半減期は約7.5年と考えられている。

 特に問題となるのは妊婦の胎児への影響である。さらに、母乳には脂肪が多く含まれており、ダイオキシン類は脂肪分に多く含まれることが知られており、ダイオキシン類を摂取した授乳期の母親は食事について十分注意する必要がある[12]。

 ダイオキシン類の残留濃度が高い場合、糖尿病を発症するリスクが上がることが国外の研究[20][21]や、厚生労働省による研究[22]で分かった。


赤ワイン成分に抑制効果 油症治療研究班が報告

2008年05月23日 中国新聞ニュ−ス

 厚生労働省の全国油症治療研究班(班長・古江増隆九州大大学院教授)は23日、赤ワインに含まれる抗酸化物質レスベラトロールと黒こしょうの成分ピペリンに、カネミ油症の原因物質であるダイオキシン類の影響を抑制する効果があるとの研究報告を福岡市で行った。

 記者会見した研究班の山田英之九州大大学院教授によると、大量のダイオキシンを与えたネズミの実験で、この2成分をそれぞれ与えると体重減少を防ぐ効果があった。「油症患者の症状改善に役立つよう検討を継続したい」という。

 研究班はこのほか、2007年度の油症認定患者の死亡追跡調査で、がんで死亡した男性患者の割合は一般人の約1・3倍、うち肺がんは約1・5倍だったと報告。これまで最大で約5倍だった男性患者の肝がん死亡は約1・7倍と減少傾向にあるとした。

 吉村健清福岡県保健環境研究所長は「油症とがん死亡の関係は不明で、喫煙などの影響も検討する必要がある」と課題を述べた。

朝日町のダイオキシン類検出:水田への立ち入り禁止解除 /三重

2008年04月16日 毎日新聞〔三重版〕地方版Mainichi INTERACTIVE

 朝日町小向(おぶけ)の水田の土壌から環境基準を上回るダイオキシン類が検出された問題で、県は15日、汚染の原因企業とされる東芝三重工場による対策工事が完了した、と発表した。完了後の調査で、安全が確認されたため、県は同日、汚染されていた水田への立ち入り禁止措置を解除した。

 汚染は07年3月、県が実施した調査で分った。このため07年10月までの追加調査を実施。その結果、5区画の水田(計約4900平方メートル)内の7地点で、環境基準の1・1〜1・7倍のダイオキシン類が検出された。

 近くにある東芝三重工場が過去に使用していたPCB(ポリ塩化ビフェニール)が汚染原因と推測されたため、同社が今年1月から対策工事を実施。3月3日までに、1000平方メートル余りにわたって汚染された表土約700トンを除去し、別の土と入れ替えた。汚染土は伊賀市の民間の産業廃棄物処理場で埋め立て処分したという。【田中功一】

青森県と環境工学、ダイオキシン除去材料を開発

2008/04/15 NIKKEI NeT

 青森県と環境コンサルタントの環境工学(青森県弘前市、葛西和彦社長)はダイオキシンなどを吸着させる材料を開発した。消臭剤や食品添加物に使うシクロデキストリンを水に溶けないように改良した。環境工学は今秋にも県内に製造プラントを設け、出荷を始める計画だ。

 シクロデキストリンはトウモロコシのでんぷんからできる化合物で、通常は水に溶ける。県工業総合研究センター(青森市)と環境工学は、排水処理が難しい有機溶剤を使わずにこれを高分子化し、水に溶けなくすることに成功した。

 有機溶剤の代わりにガラスの成分を使うため、環境汚染を抑えることができる。排水に含むダイオキシンの除去剤などの利用が見込まれるという。

 環境工学は高分子のシクロデキストリンを年1トン程度生産できる設備を計画中。新しい事業で2008年度に2000万円、09年度は1億円の販売を目指す。

受動喫煙:たばこの煙とダイオキシン、細胞動き同じ 山梨大学院グループ証明 /山梨

2008年04月10日 毎日新聞地方版 Mainichi INTERACTIVE

 ◇危険性、警告

 他人が吸ったたばこの煙を吸う受動喫煙と同様の環境に置くと、体内の細胞がダイオキシンを取り込んだ時と同じ動きをすることが、マウスを使った実験で分かった。山梨大大学院の北村正敬教授(分子情報伝達学)の研究グループが、世界で初めて証明した。実験では健康被害の有無まで調査しなかったが、北村教授は「高い確率で健康被害に及ぶ」と警告している。

 研究グループによると、たばこの煙は少なくとも4800種類の化学物質を含有。ダイオキシンと同様の物質も多数存在しており、体内の「ダイオキシン受容体」と結合することで活性化し、発がん性などの毒性を発揮するという。

 今回は、遺伝子組み換え技術でダイオキシンに近い物質に触れると、特殊な酵素を血液に放出するセンサーマウスを作成。このマウスを毎日、受動喫煙の環境下に数時間置いたところ、ダイオキシン受容体が活性化した。

 ◇「日常のリスク評価にも有用」

 北村教授は「センサーマウスを使った研究は、オフィスのほこりの影響といった日常生活のリスク評価の一つしても有用」と述べた。【吉見裕都】

基準の47倍のダイオキシン

2008/04/04 中国新聞ニュ−ス

 島根県は4日、松江市八幡町の馬潟工業団地内の水路の底泥から環境基準の約47倍のダイオキシン類を検出したと発表した。一帯で2000年に初めて高濃度ダイオキシンが検出されて以降、最高の濃度。県は底泥が流出しないよう水路に土のうを積んで応急処置をし、住民に近づいたりしないように注意を呼び掛けている。

 今回の調査はダイオキシン対策工事後に再び基準値を超える濃度が検出されたために実施した。工事エリア周辺の15地点のうち、2地点の底泥で基準値(1グラム当たり150ピコグラム)を超えた。1地点で46.7倍の7000ピコグラムを記録した。もう1地点は490ピコグラム。7000ピコグラムを検出した水路の150―200メートル離れた所には民家があるが、水路の両脇に建物が立ち人が近づきにくい場所という。

大旺建設、神戸市のダイオキシン無害化処理業務を受注

2008/04/02 NIKKEI NeT

 総合建設会社の大旺建設(高知市、四宮隆社長)は神戸市からダイオキシンを含んだヘドロを無害化処理する業務を受注した。同社はセ氏100度以上の無色透明の蒸気である「過熱蒸気」を使った汚染土壌浄化システムを開発しており、受注第1号となった。

 ほかの自治体からの受注を進めるため、1日付で営業を受け持つ「環境土木営業担当」を新設した。

 同社が受注したのは神戸市兵庫区の遠矢浜北側水域のダイオキシンを含むヘドロの浄化。ヘドロは同市建設局西部処理場の施設に保管している。同社は処理場内に浄化設備を設置、約9400立方メートルのヘドロを2年かけて処理する。

 神戸市建設局は「大旺建設の技術は学識経験者の評価でお墨付きがつき採用した。業務委託のため発注額は公表していない」としている。

 汚染土壌浄化システムは、セ氏400―600度でダイオキシンなどの汚染物質をガス化して土壌と分離する。汚染物質を含んだガスは過熱蒸気を利用して900―1000度で分解、二酸化炭素や水などに変える。

戸田建設、工事現場内でダイオキシン類を無害化できる装置開発

2008年04月02日 asahi.com

 戸田建設はプラント機工(札幌市東区、武下昌廣社長、011・785・6001)と共同で工事現場内でダイオキシン類を無害化できる装置を開発した。

 還元加熱脱塩素化による熱分解でダイオキシン類を無害化する。解体時に発生する焼却灰や脱水汚泥などの汚染物を熱分解炉に投入後、外側からバーナー炎で約400度Cに熱して分解する。

 可搬式で現場内に搬入するため、汚染物を現場外に持ち出すことはない。袋詰めした汚染物を装置に直接投入可能で、外部に汚染物を飛散させず、特殊な養生が必要ない非管理区域で処理できる。既に北海道江別市の旧焼却処理場解体工事で適用し、有効性を確認した。今後も工事現場内でダイオキシン類の無害化が必要な場合の焼却施設解体工事や土壌汚染対策工事などに積極的に提案していく。


伊産チーズ問題でゆれるケンタッキー春の新商品

2008/04/02 中国情報局

 中国でケンタッキーフライドチキンとピザハットを経営する中国百勝餐飲集団は、イタリア産モッツァレラチーズのダイオキシン汚染問題を受けて1日、「ピザハットのチーズ使用商品とケンタッキーのエビチーズボールに使用されているモッツァレラチーズはイタリア産ではない」との声名を発表した。

 ケンタッキーの「エビチーズボール」は春の新商品として発売されたばかり。とろけるモッツァレラチーズをセールスポイントにしていただけに、ダイオキシン汚染の報道を受け、市民の間からは「今後も販売するのか」との疑問の声が上がっていた。

 記者が北京市内のケンタッキー店舗を取材したところ、新商品の宣伝は続いていたという。(CNSPHOTO)

イタリア産モッツァレラチーズ 汚染で輸入禁止に

2008/03/31 中国情報局

 国家品質検査検疫総局(質検総局)は28日、同日付でイタリア産モッツァレラチーズを輸入禁止にすると発表した。イタリア政府が同国産モッツァレラチーズから基準を超えるダイオキシンが検出されたと発表したことを受けた措置という。質検総局は輸入業者に対して、該当商品の販売中止や回収を命じた他、消費者に購入や食用を見合わせるよう求めている。(編集担当:菅原大輔)

伊チーズ汚染 さらに600工場検査

2008年03月30日 Sponichi.annex

 ANSA通信などによると、モッツァレラチーズのダイオキシン汚染問題で、イタリア保健省は29日、汚染の有無確認のため、これまでの検査に加えさらに約600の製造工場の製品を検査すると発表した。

 検査結果は4月下旬までに発表される。結果判明まで対象となる工場の製品出荷は停止される。

 既に130の工場の製品が検査され、うち25工場の製品から基準値を超えるダイオキシンが検出されている。

 一方、中国は29日までにイタリア産モッツァレラチーズの輸入を一時停止し、シンガポールも小売業者に製品の販売停止を命じた。 (共同)

イタリア、水牛農場を検査、20か所で基準値超えるダイオキシン

2008年03月29日 AFP BB News

【3月29日 AFP】イタリア保健省は28日、モッツァレラチーズの原料となる水牛の乳を生産する農場83か所を検査した結果、20か所で基準値を超えるダイオキシンが検出されたと発表した。同省次官がANSA通信に語った。

 イタリア政府は既にダイオキシン汚染が確認されたモッツァレラチーズの回収を命じている。これを受け欧州連合(EU)は新たな消費者保護対策は講じず、事態を静観する姿勢を示している。フランスもイタリアからの輸入モッツァレラチーズを販売禁止とする決定を撤回した。

 一方、シンガポールはモッツァレラチーズの販売を禁止すると発表した。シンガポール農産物・家畜庁(Agri-Food and Veterinary Authority、AVA)は、輸入モッツァレラチーズの検査結果が出るまでの予防的措置だとしている。日本と韓国も同様の既に措置をとっている。(c)AFP

汚染モッツァレラに回収命令=伊政府

2008/03/28 時事ドットコム

 【ジュネーブ28日時事】イタリアからの報道によると、同国政府は28日、有害物質ダイオキシンによる汚染が確認された南部カンパニア州産モッツァレラチーズの回収命令を出した。問題のチーズをめぐっては、日本と韓国が既に輸入手続きを一時的に見合わせているほか、フランスも同日、販売停止を命令するなど影響が拡大しており、欧州連合(EU)欧州委員会は伊政府に厳正な対応を要請している。

 ダレーマ外相は、「伊政府は、EUの安全基準を満たさない食品の回収手続きに入る」と言明した。同国政府は26日に、カンパニア州産モッツァレラチーズと原料の水牛の乳の一部でEUの規制値を若干上回るダイオキシンが確認されたと発表。27日には欧州委に状況を報告したが、これまでの対策を不十分と批判され、汚染されたチーズが市場に出回らないよう新たな緊急対策を求められていた。

汚染モッツァレラ、国外出荷ない=伊政府が欧州委に報告

2008/03/28 時事ドットコム

 【ジュネーブ27日時事】イタリア政府は27日、欧州連合(EU)欧州委員会に対し、有害物質ダイオキシンに汚染されたとされる同国産モッツァレラチーズに関する報告を行った。問題となっている同国南部カンパニア州産モッツァレラの一部で欧州委の規制値を超えるダイオキシンが検出されたが、日本や韓国など国外への輸出は行われていないという。

日本で販売されている「モッツァレラチーズ」の多くは「牛のミルク」から作られています。遠山由美

2008.03.27 食育プロデュース委員会

 「イタリア産モッツァレラチーズがダイオキシン汚染」とのニュースがでて、騒ぎになっています。現在EUがイタリア当局に情報提供を求めたり、韓国が「検査を実施し、汚染されているメーカーや製造時期が特定できれば禁止措置の範囲を狭められる」としながらも現在はイタリア産モッツァレラチーズの販売を禁止したことから、日本国内でも不安が広がっています。

 現時点での日本の対応は「2008年3月23日以降、安全が保証されるまで、輸入は留保」というもの。ですが、汚染が確認された場合には輸入全面禁止、となるようです。

 では当事者イタリアの対応はどうなっているのでしょうか。ローマ発のAP電としてCNNが伝えたところによりますと、2008年3月21日、バッファロー・モッツァレラチーズメーカーの業界団体は、新聞に全面広告を出して「品質保証の認定マーク「DOP」が付いた大手のモッツァレラチーズは品質管理が徹底しており、安全性が保証されている」と安全性のアピールに躍起になっている、とのこと。どうやら、イタリアの水牛ミルクから作られるモッツァレラチーズすべてが汚染されているのではなく「イタリア南部カンパニア州のバッファロー酪農場数カ所で生産された乳製品(=モッツァレラメーカー29社の製品)」という限定された範囲から許容量を超えるダイオキシンが見つかったということのようです。カンパニア州では先に、マフィアが支配する廃棄物業界が有害廃棄物を不法投棄して大きな問題になったので、この事件との関連性を疑うむきもあるようですが、まだダイオキシン汚染との関係は分かっていません。ただすでにナポリの検察が詐欺などの容疑で109人を取り調べているとの報道もあるため、全容の解明や安全性の保証までの時間はそうかからないかもしれません。

 モッツァレラは真っ白でまあるくて、お水につけたかたちで売られていますね。ピザやオードブルに使われるイタリアの代表的なチーズで、クセのない淡白な味わいはお豆腐と共通するところがあり、日本でも人気です。スライスしたトマトと薄切りにしたモッツァレラを交互に並べ、バジルを添えた「カプレーゼ」で一躍人気者になりましたね。イタリア産のモッツァレラチーズは日本にも輸入されていますが、日本国内で見かけるモッツァレラチーズの多くは「日本国産」ですし(モッツァレラチーズは熟成させる他のタイプのチーズと異なり、新鮮さが命、のフレッシュタイプだからでしょう)イタリアから輸入されているものでも「牛乳」から作られているものが多いですね。「水牛」から作られているものは「ブッフォラ」と表記されていますし、水牛のマークがついていますし、希少価値があるため大変高価!日本国産のモッツァレラチーズが300円〜400円くらいで販売されているにの対して1000円近くしますから、すぐ気がつくはずです。(牛のミルクから作られるモッツァレラチーズがニセモノ、というわけではありません。昔は全量水牛から作っていた時代もあったようですが、水牛の数が激減したため、本場イタリアでも牛のミルクからつくる場合もあるようですし「水牛のミルクと牛のミルクをミックス」して作る場合もあるようです。)日本で販売されているモッツァレラチーズのうち「イタリア産かつ水牛のものは少ない」ということをもっとはっきり報道しないと風評被害が心配です。

 いずれにしても、いたずらに騒ぐことなく、情報収集に努めたいものです。それから・・・不安なかたは確認なさったらいいと思いますが・・・日本国内でもイタリア料理専門店さんはお困りかもしれませんが、ファミリーレストランや宅配ピザやさんが「イタリア産水牛のモッツァレラチーズ」を使用している可能性はあまりないと思います・・・

ダイオキシン検出モッツァレラ、伊政府がEUに情報提供

2008年03月27日 AFP BB News

【3月27日 AFP】イタリア特産のモッツァレラチーズの原料とされている水牛の乳から基準値を超えるダイオキシンが検出された問題で、イタリアのパオロ・デカストロ(Paolo De Castro)農林相は27日、欧州連合(EU)から要求のあった情報すべてを提供したと発表した。

 EUはイタリアに対し、必要な情報提供がなければ、日本や韓国と同様、輸入禁止措置をとりうると警告していた。

 記者会見でEUへの情報提供を報告したデカストロ農林相は、あくまで人体の健康への影響はないと強調、報道陣のカメラの前でモッツァレラチーズ数切れを食べて見せた。

 EUはイタリアに現地時間午後6時(日本時間27日午前2時)までに追加情報を提出するよう求めていた。(c)AFP

モッツァレラのダイオキシン検出、イタリアが緊急会議

2008年03月27日 AFP BB News

 【3月26日 AFP】イタリア特産のモッツァレラチーズの原料とされている水牛の乳から基準値を超えるダイオキシンが検出され、チーズの売り上げが激減している事態について、イタリアの保健当局が26日、危機対策会議を開く。日本および韓国はすでにイタリアからのモッツァレラチーズ輸入を中止している。

 問題となっているモッツァレラチーズは水牛の乳で作られたもの。イタリアで乳から基準値を超えるレベルのダイオキシンが検出された水牛66頭が検疫された。現地報道によると、保健関連の専門家らの多くは、人体に有害なレベルではないとしているが、チーズの品質管理機関によると、イタリア国内での売上はすでに30-35%落ち込んでいる。

 イタリアでは年間3万3000トンのモッツァレラチーズを生産しており、そのうち16%は輸出されている。日本は年間359トン、韓国は10トンを輸入している。(c)AFP

モッツァレラチーズからダイオキシン検出 伊保健省発表

2008年03月27日 asahi.com

 イタリア保健省は26日、同国南部カンパニア州の特産品であるモッツァレラチーズから一部基準を超えるダイオキシンが検出されたと発表した。モッツァレラチーズは水牛の乳を原料とし、ピザなどに使われる。

 同省によると、130の製造所を検査した結果、25カ所の製品や原料の乳から欧州連合(EU)基準を超えるダイオキシンが検出された。これらの製造所に原料を提供していた83の酪農場が出荷停止を命じられた。

 今月下旬から一部にダイオキシンが含まれている疑いが強まったため、韓国は輸入を停止したが、ダレーマ伊外相は「過剰反応が起きている」としている。

 モッツァレラチーズは、カンパニア州で今年1月にゴミ収集が停止され、路上に大量のゴミが放置された騒動で風評被害を受け、大きく売り上げを落とした。州都ナポリ周辺では犯罪組織が産業廃棄物を違法投棄し、野焼きするなどして長年にわたってダイオキシン汚染が指摘されてきた。イタリアでは、この問題と同チーズからのダイオキシン検出を結びつける報道もある。

ダイオキシン問題でモッツァレラ販売を一時禁止

2008.03.24 中央日報 Joins.com

 農林水産食品部は23日、イタリア産モッツァレラチーズの一部からダイオキシンが検出されたという外国メディアの報道を受け、同チーズの検疫と韓国内での販売を一時禁止し、ダイオキシンの混入を確認するための検査に乗り出した。外国メディアによると、イタリアのチーズメーカー29社が使用中の牛乳からダイオキシンが検出されている。

イタリアのチーズにダイオキシン? 業界は安全性アピール

2008.03.22 AP

ローマ(AP) イタリアを代表するチーズの原料として使われる水牛のミルクから高濃度のダイオキシンが検出された。バッファロー・モッツァレラチーズメーカーの業界団体は21日、新聞に全面広告を出して安全性のアピールに躍起になっている。

 ダイオキシンが検出されたのは、イタリア南部カンパニア州のバッファロー酪農場数カ所で生産された乳製品。報道によると、モッツァレラメーカー29社の製品から許容量を超えるダイオキシンが見つかったため、当局が酪農場からミルクのサンプルを収集して調べていた。

 ANSA通信は、ナポリの検察が詐欺などの容疑で109人を取り調べていると伝えた。

 こうした事態を受けて同州のバッファロー・モッツァレラチーズメーカーでつくる業界団体は21日の全国紙に全面広告を掲載。品質保証の認定マーク「DOP」が付いた大手のモッツァレラチーズは品質管理が徹底しており、安全性が保証されているとアピールした。汚染ミルクが押収されたのは、業界団体に加盟していない酪農場だったとしている。

 モッツァレラはピザやオードブルに使われるイタリアの代表的なチーズで、DOP認定製品の年間生産量は3万3000トン。多くが国内で消費されるが、日本や欧州各国へも輸出されている。

 カンパニア州では先に、マフィアが支配する廃棄物業界が有害廃棄物を不法投棄して大きな問題になったが、今回のダイオキシン汚染との関係は分かっていない。


東西回廊に期待 ベトナム・ダナン1

2008年03月24日 asahi.com

 かつて米軍機やヘリが離着陸した3000メートル超の2本の滑走路に比べ、旅客ビルはいかにも貧弱だ。発着数は少なく小型機が中心。それでも国際空港。現在の4倍規模の新ビル建設が進む。

 ダナンは、ベトナム戦争で米軍が初めて上陸し最大の基地を置いたことで有名だ。枯れ葉剤を貯留した空港で、ダイオキシンに汚染された土壌の除去計画がやっと動き出した。

 人口80万人。ハン川に沿って広がる中部最大の都市。南部の商都ホーチミン市、北部の首都ハノイに比べて3割は安い人件費や地価、大型船が停泊できる外港などを武器に海外投資の呼び込みに懸命だ。起爆剤は、この街を起点にミャンマー(ビルマ)までの約1500キロを結ぶ東西回廊。すでにラオスとタイを結ぶ橋も完成し、期待は高まる。(文と写真・柴田直治)

ダイオキシンは怖くない!?

2008.01.16 Yomiuri On-Line

 「カネミ油症」と聞いてもピンと来ない方が多いに違いない。もう40年も前の食品公害事件だから、無理はないとも思う。しかし、世界最初のダイオキシン類の摂食被害で、被害者は次々に起きる身体の異常に苦しみ続け、今も有効な治療法がない。さらに、母親から胎児や乳児に、何を引き起こすか分からない未知の化学物質が胎盤や母乳を介して移転してしまった――と聞けば、あるいは「無関心ではいれない」と思う方もいるかも知れない。欧米では国レベルで研究を進めているホットなニュースだということも忘れないで欲しい。そう願って書いてみました。

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 「カネミ油症患者の子どものへその緒から高濃度のPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)検出」――昨年12月22日に本紙が全国に報じたニュースは、胎児期にダイオキシン類汚染があったことを初めて科学的に証明した研究を紹介した記事で、反響を呼んだ。

 認定患者から提供されたへその緒を分析したのは、九州大大学院医学研究院准教授の長山淳哉さん(60)。長山さんは、1968年夏、福岡、山口、長崎県など西日本一帯で、カネミ倉庫(北九州市)製の米ぬか油を食べた人に黒い吹き出物や手足の痛みなどが続発したカネミ油症事件の主原因物質PCDFの発見者として知られる。

 油症被害の届け出は約1万5000件に上ったが、原因物質が確定していない段階(当初はPCB=ポリ塩化ビフェニールと見られていた)で作られた診断基準で、大半が「油症ではない」と振り分けられ、認定患者は今も1900余人に過ぎない。長山さんの発見で毒性の強いPCDFが主原因と分かっても、治療法の研究ははかばかしくなく、いまだに有効な治療法がなく、病像も明らかでない。

 発見当時、大学院生だった長山さんは、その後、米国・国立環境保健研究所に留学し、国のレベルで化学物質の毒性を大がかりに研究していることを知った。対照的に、日本ではこの分野の研究は問題意識を持つ研究者が細々と取り組んでいるだけだった。このため、帰国後は、ダイオキシンや農薬、化学物質による母乳汚染や安易なゴミ焼却などに積極的に警鐘を鳴らしてきた。

 ところが、化学物質の規制がようやく進んできたここ数年、「ダイオキシンや環境ホルモンは空騒ぎだった」「ダイオキシンは怖くない」とする論調の書籍やネット情報が相次いで流れ始めた。中心的論者の中には東京大や国の研究機関に籍を置き、環境科学界の中枢を占める人もいたため、社会的影響は小さくなかった。マスコミの間でも「ダイオキシンは騒ぎすぎだったかも知れない」というささやきが流れ始めた。

 これに危機感を持ったのが長山さんだった。「油症の被害実態もまだ分かっていないのに、〈ダイオキシン問題は終わった〉とばかりに研究者を狼少年扱いする論調が幅をきかすのはおかしい」。そう考えた末、昨秋、最近の論争を整理し、『ダイオキシンは怖くないという嘘』(緑風出版)という本を書く。

 自身への批判にはもちろん徹底反論したが、ある国際シンポジウムでの環境ホルモンを巡る発言をめぐり裁判にまでなった科学者同士のメールでの応酬なども再録。インターネットでの「一方的な批判」が引き起こしたトラブルなども生々しく紹介しており、あえて論争を辞さない構えだ。

 門外漢ではあるが、この本を読むと、「ダイオキシン問題が終わったと言い切るのは早すぎる」という印象をぬぐえない。特に最初に書いたように、「化学物質の影響は、感受性の強い乳児や胎児で考えるべきだ」という長山さんの主張には説得力を感じる。ダイオキシンが胎児にどんな影響を与えているのか、これは全くといっていいほど解明されていないのだから、「もう終わった」と言えないことは明らかだと思う。

 ともかく、名指しで批判された著名学者はどう反撃するのだろうか。出来れば公開討論を専門の学会で企画して欲しいと思う。編集委員 小川直人

「カネミ」胎児被害証明 九大など共同研究

2007年12月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

へその緒に高濃度毒性物質

 国内最大の食品公害・カネミ油症で、認定患者の子供の「へその緒」に、主原因であるダイオキシン類のPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)が通常より高濃度で含まれていることが長山淳哉・九州大准教授(環境分子疫学)と福岡県保健環境研究所の共同研究でわかった。

 胎児期にPCDFに汚染されたことが科学的に証明されたのは初めてで、認定患者の子供だが未認定扱いされている被害者に対する認定基準の見直しにつながる可能性もあるという。

 長山准教授らは4月、福岡、長崎両県の認定患者の子供の男女14人(15〜36歳、うち6人は認定患者)から乾燥したへその緒の提供を受け、数種類のPCDFの平均濃度を測定。一般男女12人(18〜34歳)のへその緒と比較した。

 その結果、平均濃度は一般が1グラム当たり0・09ピコ・グラム(ピコは1兆分の1)だったのに対し、認定患者の子供は約64倍の5・8ピコ・グラムに達した。

 さらに認定患者の子供を30歳以上と30歳未満に分けて比較したところ、30歳未満は0・7ピコ・グラムだったが、30歳以上は11ピコ・グラム。親の体に残留するPCDFが時間の経過により減少したとみられ、生まれたのが遅い子供ほど汚染が少なかった。

 PCDFの中で最も毒性が高く残留しやすいタイプの平均濃度は、30歳以上が24・9ピコ・グラム、30歳未満が1・9ピコ・グラムだった。これに対し、一般からは全く検出されず、胎児期に被害を受けたことが明確になった。

 長山准教授は「今後は血液に含まれるPCDFの濃度も測定し、体内にどの程度取り込まれたのかを解明したい」と話している。

 油症の認定患者は約1900人で、認定されていない被害者は1万人以上とされる。子供の場合は、油症特有の皮膚症状などが見られないと認定されないことから、基準の見直しを求める声は強い。原田正純・熊本学園大教授(環境医学)は「へその緒からのPCDF検出は、被害を受けたことの何よりの証拠。研究成果を認定基準の見直しにつなげるべきだ」と話している。

 カネミ油症 1968年、カネミ倉庫(北九州市)が製造した米ぬか油にポリ塩化ビフェニール(PCB)が混入。摂取した西日本一帯の1万4000人以上が皮膚症状や内臓、神経疾患などを訴えた。その後、主原因はPCBが加熱されて生じたポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)と判明した。

汚泥のPCB 99%除去…京大准教授ら非加熱で成功

2007年11月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 京都大の高岡昌輝准教授(環境工学)らと電力中央研究所(東京都)の研究グループは12日、有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)に汚染された川底の泥から、次世代燃料の液化ジメチルエーテルを活用して常温、非加熱の状態で、PCBを99%除去することに成功したと発表した。16日から山口大で開かれる土木学会のフォーラムで発表される。

 ジメチルエーテルは、常温常圧では気体で、5気圧程度に圧力をかけると、水分と油分を吸収する性質を持つ液体になる。研究では、この特性を利用。PCB汚泥と液化ジメチルエーテルを混合したところ、汚泥中から、水とともに、含有されていたPCBの99・1%、ダイオキシン類の9割がエーテルに溶けだした。

 従来、コンクリートでPCB汚泥を固めたり、有機溶媒でPCBを抽出したりする方法があるが、コンクリートの劣化や、有機溶媒の安全性などが課題となっていた。

母乳中に新種の汚染物質 PCBに似た臭素系化合物

2007/09/05 The Sankei Shimbun WEB-site

 毒性が強く地球規模での環境汚染が問題になったポリ塩化ビフェニール(PCB)に構造や毒性がよく似た臭素系化合物が、日本人の母乳中に蓄積していることが摂南大薬学部などのグループによる5日までの分析で判明。都内で開催中のダイオキシン2007国際会議で発表した。

 この物質は、国のダイオキシン類対策特別措置法の対象物質コプラナーPCBに含まれる塩素の一部が臭素に置き換わった物質。「塩素・臭素化コプラナーPCB(コプラナーPXB)」と呼ばれ、新たな汚染物質として注目されている。

 グループの太田壮一摂南大准教授は「この物質による人体汚染の確認は世界初。世界各地の魚の汚染も確認され、人体汚染は魚を食べることが一因とみられる。今後、人間への影響評価や発生源の解明が急務だ」と指摘している。

 グループは、国内の21〜33歳の母親7人の母乳を分析。毒性が最も強いダイオキシンに換算して評価した毒性換算値(TEQ)で、脂肪1グラム当たり0.42〜1.41ピコグラム(ピコは1兆分の1)のコプラナーPXBを検出した。

 国内で売られていた世界各国や日本周辺の魚、南極海のミンククジラの肉などにコプラナーPXBが含まれることも判明。地球規模で汚染が進んでいることを示した。

 コプラナーPXBはこれまで毒性評価の対象になっていないが、研究グループは、毒性はPCBに匹敵すると考えられると指摘。母乳中の有害物質が乳児に与える影響が過小評価されている可能性があり、PCBなどとともにコプラナーPXBを加えて評価すべきだとしている。

 太田准教授は「ごみなどの焼却のほか工場の廃水などが汚染源になっている可能性があるが、その発生源について詳しいことは分かっていない」と話している。

カネミ油症の研究・診療拠点を九大に設置へ

2007.09.04 Yomiuri On-Line

 国内最大規模の食品公害・カネミ油症について、文部科学省は来年度、九州大病院(福岡市)内に治療法の研究・開発を進める専門機関「油症研究・診療センター(仮称)」を設置する方針を固めた。厚生労働省の全国油症治療研究班(班長・古江増隆九州大教授)と連携し、油症の実態解明やダイオキシンが人体に与える影響などを調べる。

 文科省国立大学法人支援課などによると、治療研究班が主に基礎研究を行っているのに対し、センターは診療に重点を置く。専従のスタッフを配置し、研究班の研究成果を生かして治療にあたるほか、新たに蓄積する診療データを研究に活用する。

 これまでに油症と皮膚症状の関係は明らかになっているが、患者に多い骨粗しょう症やがんなどとの因果関係は判明していない。センターでは、治療研究班と連携してこれらの解明を進め、根本的な治療法の開発を目指す方針だ。

 文科省は来年度予算の概算要求に関連経費を盛り込んだ。

 カネミ油症を巡っては、国が被害者に求めていた裁判の仮払金返還を免除する特例法が6月に国会で成立し、対象者504人(計約17億円)の9割以上が救済されることになった。一方で、1万人以上とされる未認定患者の救済や治療法開発などの課題は残ったままとなっている。

 治療研究班はダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)を原因物質と断定し、2004年にその血中濃度が認定基準に追加されるなど成果を上げてきた。しかし、被害者からは「研究成果がほとんど治療に生かされておらず、体制も不十分」など不満の声が出ており、6月に発足した自民、民主などの超党派の議員連盟(会長・坂口力元厚労相)は国に対し、治療法開発の専門組織設立を求めていた。

韓国水産物35種、ダイオキシン汚染が深刻

2007/07/07 JANJAN (ENVIROASIA)(チェ・イェヨン)

 韓国における水産物汚染の憂慮すべき実態が明らかになった。最近公開された海洋水産部の報告書『水産物の内分泌系障害物質汚染実態調査』(2006年12月)によると、国民が最も多く摂取する水産物35種のダイオキシン類(ダイオキシン系、フラン系、dioxin-like PCBs)汚染について、ほとんどの水産物で高い数値のダイオキシン残留濃度が確認された。

 タチウオ4.625pg、アカムツ4.597pg、マグロ4.214pg、ハモ4.130pgなど、水産物全体の15%が韓国食品医薬品安全庁と世界保健機構の一日摂取許容ガイドライン(4pg)を超えていることが明らかとなった(単位、pg=ピコグラム、1兆分の1グラム)。この他に、ニシン、サバ、サワラ、イシモチ、サンマ、ハタハタ、マアジなども、1〜3pgの高いダイオキシン汚染度を記録した。

 ダイオキシンとPCBs(ポリ塩化ビフェニル類)は環境残留性が強く、遠距離を移動する環境ホルモンとして毒性が非常に強い物質である。そのため、PCBsを含むダイオキシン類の汚染に対する国際的な規制は徐々に強化される趨勢にある。また、ダイオキシンをはじめとする環境ホルモン物質の影響が人体に現れるには90%以上の食品摂取が条件である。韓国の国民が摂取する水産物は食品摂取量全体の5%だが、水産物を通じたダイオキシン曝露量は60%以上を占めている。

 米国環境庁(EPA)は0.01pg、カリフォルニア州0.007pgと、一日の摂取許容量を非常に厳格に規制している。米国環境庁基準で見ると、韓国国民は基準値の数百倍以上に汚染された水産物を毎日食べていることになる。

 部位によっても汚染度の差がある。報告書によると、ヒラメの場合、肝臓1.04pg、えら0.44pg、内臓0.22pg、筋肉部0.04pgなど、肝臓が筋肉部に比べて25倍汚染されている。ヨロイメバルは内臓19.48pg、肝臓19.25pg、えら4.23pg、筋肉部0.45pgであり、内臓の汚染度が筋肉部に比べて40倍以上というひどい状態であることがわかった。

 報告書は「ヨロイメバルの肝臓と内臓に残留するダイオキシン類の濃度は約20pgとなっており、EUの輸出入と関連したガイドライン値の8pgを上回っているため、ヨロイメバル摂取時には肝臓を含む内臓を必ず取り除くことが人体のためにも必ず必要」であると述べており、その深刻さをさらに強調している。

 報告書はダイオキシン類PCBsが水産物汚染で最も高い比重を占めていると指摘した。魚類は70〜80%、巻貝類は100%の比重でPCBs汚染度が高いのである。環境運動連合が把握したところによると、PCBsは環境残留性と高い毒性のため、すでに生産が中断されたが、過去に生産された量の3分の2程度が依然として変圧器やコンデンサーで使用されている。国際協約に従って、環境部が2015年までにPCBs汚染を根絶するという目標でキャンペーンを展開しているが、成果は非常に微々たるものである。

 私たち「市民環境研究所」などは、深刻な水産物汚染の主要因が無分別に行われている廃棄物焼却と廃棄物の海洋投棄にあると考えている。2006年の1年間、海に捨てられたゴミは実に880万トンである。全国10ヵ所余りの港湾で専用船舶に載せられた陸上廃棄物が西海(黄海)で1ヶ所、東海(日本海)で2ヶ所に投棄されている。その量は8,811,570立方メートルで、5トントラック176万台分にあたり、一日平均では5トントラック4828台分の量である。

 今回確認された水産物のダイオキシンとPCBs汚染は予見されていたことだった。海洋水産部から刊行された『廃棄物海洋排出総合管理システム構築、2005年』報告書によると、廃棄物が最も多く捨てられる東海(日本海)の丙地域(浦項沖)の表層堆積物(投棄地域の海底堆積物)の総PCBs濃度がD23とD24地点でそれぞれ128.63ng/gと149.15ng/gで(単位、ng/g=検出量)最高値であった。

 これらの地域は排水、畜産糞尿、下水汚泥、糞尿などが集中的に捨てられる「集中式海域」である。また、海に捨てられる廃棄物のうち、糞尿/糞尿汚泥/畜産排水は総PCBsが0.4〜0.6ng/mlで高い数値を記録した。また、下水汚泥の有害重金属最大濃度を見ると、水銀(Hg)107mg、カドミウム(Cd)100mg、鉛(Pb)979mg、砒素(As)68mg、銅(Cu)9527mg、クロム(Cr)4021mg(単位 mg/kg 検出量)で、やはりとてつもない濃度が確認されている。

 国民の生命を脅かす汚染された水産物に対する調査が行われたが、関係当局はこれを人知れずもみ消してしまっている。今回明らかにされた内容は海洋水産部が公開したものではなく、ジャーナリストが国会を通じてかろうじて入手し、報道されたものだ。

 国民が汚染されたものを食べている間に、環境部と農林部は海洋投棄量減縮計画の延期をめぐって海洋水産部と衝突しているというのがわが国の環境保険行政の現状である。水産物の安全に責任を持つはずの海洋水産部も水産物汚染調査報告書を隠していたという点で責任を免れがたい。

 政府はようやく関係機関合同会議を通じて、基準値強化と水産物汚染度に対する情報の体系化などを検討し始めたようだ。しかし、基準値や水産物汚染度の情報だけでは国民の健康は守られない。国民の健康を本当に保護しようとする意志があるならば、焼却第一の廃棄物政策から脱皮し、廃棄物海洋投棄を根絶するなど、ダイオキシンとPBCs排出因に対する管理を画期的に強化すべきだろう。

(上)有害物質 母から子供に

2006年12月26日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 「あれっ」

 東京大大学院助教授(環境システム学)の吉永淳さん(45)は、データを前に首をかしげた。1980年代後半に生まれた子供の乳歯から鉛が検出された。同位体分析で、車の有鉛ガソリンに含まれる鉛と同種とわかったのだ。

 自動車排ガス公害で知られた東京・新宿区の柳町交差点。70年5月、付近住民の血液から、通常の濃度の7〜8倍の鉛が検出された。高濃度の鉛は健康に悪影響をもたらす。

 交差点は、すり鉢状の地形の底にある。通り沿いの店はガラス戸を閉め、買い物客は鼻をハンカチで覆って歩いた。「嫌なにおいだった。せきやたんの症状を訴える人が多かったね」と、地元町会長の橋本公雄さん(79)は振り返る。

 住民の鉛汚染の原因と疑われたのが、車の有鉛ガソリン。その後規制が進み、80年代後半には、国内から完全に姿を消した。

 その成分が、乳歯から検出されたのはなぜか。二つの可能性が考えられた。母親に蓄積されていた鉛が、血液からへその緒を通じて胎内にいた子供へ移った。あるいは、排ガス中の鉛が土や砂に蓄積し、これらを子供が吸い込んだりなめたりした――。

 その後、吉永さんは乳歯を集めはじめ、いま手元に90年代後半生まれの子供のものまで20本がある。母親からか、砂場などの土や砂からか、汚染ルート解明の技術が開発されれば、すぐ解析に取り組むつもりだ。

 吉永さんは「規制後に生まれた子供の乳歯から検出されたといっても、80年代までの欧米に比べ、10分の1以下の濃度。問題視する水準ではない」としながら、「鉛は、低レベルでも健康被害が懸念される。汚染の程度やルートの研究は重要だ」と強調する。

 近畿大名誉教授(法医学)の吉村昌雄さん(79)は、大阪府監察医事務所長だった73年、病死した女性のおなかの中にいた胎児を解剖した時の驚きが忘れられない。皮下脂肪中のポリ塩化ビフェニール(PCB)濃度が、母親に蓄積している分の60%に達していた。

 旧厚生省の依頼で、人体内のPCB濃度を調べ始めて2年目。当時、PCBが混入した米ぬか油による中毒事件(カネミ油症)が世間を騒がせ、母乳のPCB汚染の報告もあった。電気を通しにくく燃えにくいPCBは、高圧コンデンサーや絶縁材など用途が広く、国内では70年代半ばまでに約5万4000トンが使用された。

 PCBが北極圏に住む少数民族イヌイットやホッキョクグマを汚染しているという調査結果が相次ぎ報告され、懸念が高まった。2001年には、残留性の高い有機汚染物質の製造、使用を禁ずる「ストックホルム条約」が採択され、PCB規制は世界的に強化された。

 第1子を出産した女性の母乳に含まれるPCB濃度を72年から毎年調べている大阪府立公衆衛生研究所によると、近年は平均濃度が当初の5分の1以下に減った。しかし、計8種類の有害物質の中ではPCBの減り方が最も小さく、残留性が高い。

 吉村さんは「規制がしかれても、環境からその物質がすぐ消えるわけではない。人の体には残り続ける」と言う。

 私たちの身近にあふれる有害物質は、いったん体内に取り込まれると、長く蓄積され、世代を越えて受け継がれる恐れもある。健康被害がわかって規制がとられ、一件落着――とは簡単にいかない。人体にみる汚染について、改めて考える。

(下)「影響不明」物質いくつも

2006年12月28日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 「マグロは大トロより赤身がいい。生では食べず、ソテーでどうぞ」

 約40人の参加者から、ドッと笑い声があがる。千葉大大学院特任助教授(環境生命医学)の深田秀樹さん(49)が、水銀をできるだけ体内に取り込まずに魚を食べる工夫を説明する。

 11月下旬、同大が開いた市民講座「未来世代を環境化学物質から守る」。平日の日中にもかかわらず、受講希望が殺到した。人気の秘密は、血液と毛髪を提供すれば、体内に蓄積しているポリ塩化ビフェニール(PCB)と水銀などの濃度がわかる無料の化学物質濃度測定(定員24人)だ。「自分の体の汚染度がわかれば、どうすべきか考え、行動に移れる」と深田さん。

 受講者の一人で、千葉県柏市の主婦、朝生(あそう)希巳子さん(65)のPCB値は、1ミリ・リットル当たり0・79ナノ・グラム(ナノは10億分の1)だった。日ごろから、添加物の少ない食材を選ぶよう心がけている。60歳代の平均値は1ナノ・グラムで、個人差はあるが、5ナノ・グラムぐらいになると健康被害を引き起こすとされる。「平均値より2割ほど低いと聞き、安心しました」と胸をなでおろす。

 丸1日かけた講座では、「PCBには209種類ある」といった基礎知識、有害化学物質による母乳汚染の実態、健康被害を引き起こす量、取り込まない工夫などが紹介された。

 昨年に続き2回目の講座を企画した同大大学院教授の森千里さん(46)は、「有害な化学物質を長期間にわたって微量ずつ取り込んだ場合、次世代への影響も含めどのような健康被害が生じるかはわかっていない。そのことを含め、有害物質による環境汚染の現状を理解してもらうため始めた」と説明する。

 人体への影響が心配される物質は、まだいくつもある。例えば、家電を中心に難燃剤として使われるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)。動物実験ではマウスに大量投与すると行動異常を起こすという報告がある。人への影響は確認されていないが、欧州連合(EU)は今年7月から、PBDEを含む6物質の電気・電子機器への使用を禁じるRoHS(特定有害物使用制限)指令を出した。日本では同月から、一定量以上を使ったパソコン、電子レンジなど家電7種類に表示が義務づけられた。

 子供や孫の代になって影響を及ぼすのではないか、と研究が始まった物質もある。サプリメントの形で大量に取る植物エストロゲンや、輸入農作物に付着するある種の有機塩素系農薬の名前が挙がる。

 東京大教授(産科婦人科学)の堤治さん(56)は2001年、同大病院で体外受精を受けて出産した30〜40歳代の夫婦数十組の承諾を得て、精子・卵子に含まれる物質を調べたところ、ビスフェノールAが全検体から検出された。プラスチックの一種、ポリカーボネート樹脂の原料として広く使われ、体内の正常なホルモンに影響を与える内分泌かく乱作用が疑われる。環境省の試験で魚類で作用が確認されているが、哺乳(ほにゅう)類では確認されていない。

 「ふだんの生活で避けられない汚染を直ちに恐れる必要はないが、汚染の現状に目を向け、監視し続けることが大事」と堤さんは言う。

 私たちは、人体汚染から逃げることはできない。調査研究を続け、健康への影響を見極める。市民が冷静に現状を理解する。そうして対処するしかない。(この連載は、生活情報部・室靖治が担当しました)

「カネミ」被害、孫まで?

2006年11月10日 読売新聞 Yomiuri On-Line

へその緒から高濃度ダイオキシン

 最大の食品公害とされる「カネミ油症事件」に絡み、女性被害者の孫の「へその緒」に、被害の原因となったダイオキシン類が通常より高濃度で含まれていることが、宮田秀明・摂南大教授(環境科学)らの研究で確認された。

 カネミ油症を巡っては、胎内で影響を受けたとみられる3人が既に被害者認定を受けているが、今回の研究は、被害者の子供にとどまらず、孫の世代にまで影響が及んでいることをうかがわせる結果となった。12日に東京都内で開かれる環境ホルモン学会で発表される。

 研究は、母親の胎盤を通じて胎児がダイオキシン類にさらされる被害の世代間連鎖を裏付けるため、宮田教授とカネミ油症被害者支援センターによって行われた。女性被害者5人(うち認定被害者1人)の子供9人、孫2人にへその緒を提供してもらい、ダイオキシン類の濃度を測定した。

 孫2人は、1995年と2000年生まれのきょうだいで、濃度は乾燥したへその緒1グラム当たり220ピコ・グラム(ピコは1兆分の1)と130ピコ・グラム。同年代の人の平均とされる85ピコ・グラムと比べて高濃度だった。家族によると、2人とも病弱という。子供9人については、350ピコ・グラムから1万1000ピコ・グラムと幅があった。

 孫2人の濃度について、宮田教授は「通常の値に、油症の影響が上乗せされた数値ではないか」と分析。「より多くの人のへその緒と、自覚症状を調べ、一般の人と比較することで、ダイオキシン類の影響がより明確になる」としている。

 68年に発覚したカネミ油症は、カネミ倉庫製の米ぬか油に混入したポリ塩化ビフェニール(PCB)に含まれるダイオキシン類により引き起こされた。黒いニキビや全身の倦怠(けんたい)感など症状は様々で、これまでに1892人が被害者として都道府県に認定され、カネミ倉庫から医療費の自己負担分が支給されている。被害者の孫が認定されたケースはない。

[解説]埋もれた被害 調査進まず

 カネミ油症事件が発覚してから38年が経過しても、子供、さらに孫の世代がどれほどの影響を受けているかは、分かっていない。

 厚生労働省の全国油症治療研究班も、次世代に対する継続的な調査はしていない。主任研究者の古江増隆・九州大教授は、「子供に油症について話しておらず、調査に協力できないという患者が多い」と語る。

 発生当初、保健所に被害を届け出たのは、1万4000人。厚労省は、未認定患者に加え、子供、孫の世代についても現状を把握し、埋もれた被害者の救済を検討するべきだ。(渡辺亮)

血中PCB濃度、高齢者ほど高く…千葉大調査

2005年06月21日 読売新聞

 20〜60歳代の男女145人を対象に血液中のPCB(ポリ塩化ビフェニール)濃度を調べたところ、全員からPCBが検出され、年齢が高いほどPCB濃度が高いことが、千葉大学の調査でわかった。

 調査は今年2月、各年代ごとに協力者を募集し、145人分の血液を分析した。その結果、全員の血液から最高で1グラム当たり5・27ナノ・グラム(ナノは10億分の1)、平均で0・65ナノ・グラムのPCBが検出された。一方で、食生活や生活環境などと血中PCBとの相関関係はわからなかった。

ダイオキシン汚染、複数微生物で浄化 三井造船開発

2005年03月27日 asahi.com

 三井造船は、ダイオキシン類の汚染土壌を浄化する新システムを開発したと発表した。性質の違う複数の微生物を組み合わせることで、効率的で低コストのダイオキシン類分解が可能になったという。2〜3年後の実用化を目指す。

 専用の処理容器の中に、ダイオキシン類から塩素を分離する微生物と低塩素化した後に分解する微生物を混ぜ、そこに汚染土壌を入れて無害処理する。実験では、土壌100キロの汚染度を70日で半分以下に下げた。比較的広範囲で低濃度の汚染土壌を数カ月〜半年で処理するのに向いているという。

 単独の微生物を用いる従来の方法では分解できるダイオキシン類が限られたが、新システムでは「土壌中のすべてのダイオキシン類を無害化できる」としている。炉などによる加熱方式に比べてエネルギー消費量が少なく、1立方メートルあたり5万円以下と半分程度のコストになると試算している。

ダイオキシン裁判の和解、延期を 品川の住民が要望書

2004/09/20 asahi.com

 東京都品川区の八潮団地の住民が、近くの廃棄物処理施設に大阪府能勢町の高濃度ダイオキシン汚染物を運んで無害化する計画に反対している問題で、地元自治会は20日、汚染物の撤去をめぐる訴訟の和解を延期するよう、大阪地裁の裁判長あてに要望書を送った。

 品川区八潮69号棟自治会(吉田康雄会長)は要望書で「品川の民意を無視した決定は、民事訴訟法の法の正義と公正の観点から逸脱している」とし、能勢町や地権者など大阪側の関係者と品川の住民との話し合いを先行し、「品川の了解が得られる」まで和解を延期してほしい、などと求めている。

 また、裁判の原告、被告らにも「和解を延期し我々と話し合って」などとする文書を送った。

 この問題を巡っては、能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」(廃炉)の解体で出た汚染物計370トンを品川の施設に移送することを前提にした和解が、22日にも、成立する見通しとなっている。

大阪・能勢町のダイオキシン汚染、住民が和解案同意

2004/09/11 読売新聞 YOMIURI ON-LINE

 大阪府能勢町のゴミ処理施設「豊能郡美化センター」(廃炉)のダイオキシン汚染を巡り、敷地を所有する住民らが、センターを管理する豊能郡環境施設組合と組合を構成する豊能、能勢両町を相手に、損害賠償などを求めた訴訟で、原告側が11日夜、集会を開き、センター周辺での汚染物処理を前提とした和解案に同意することを決めた。

 案は、同組合がすでに承認、両町も近く町議会に提案する方針で、和解は22日にも成立する見込み。曲折を重ねた汚染物処理計画は、ようやく前進する見通しとなった。

 和解案は、▽被告側は汚染の発生と処理の遅れを陳謝し、補償のための解決金4000万円を支払う▽敷地明け渡し後、両者は跡地利用を話し合う協議会を置き被告側は基金(3億円)を創設する▽明け渡し期限の2006年12月までに処理できなければ、被告側は違約金を支払う、など。

 同センターでは、1997年、国の基準値を大幅に上回るダイオキシンが検出され、98年に廃炉が決定。汚染物の無害化は、「施設内汚染物を豊能町、汚染土壌を能勢町が処理する」と決まった。

 組合側は、廃材などのドラム缶約4200本を2001年3月末までに搬出する計画だったが、豊能町への処理場建設が住民の反発などで進まず、昨年1月、地権者64人が土地明け渡しとドラム缶撤去、約5億円の損害賠償などを求めて提訴した。

 今年4月、組合側は豊能町内への建設を断念。これを受け、大阪地裁は6月、「センター周辺での『現地処理』以外に現実的な解決策はない」との所感を表明し、先月、これを前提とした和解案を示していた。

 原告の1人、奥久明さん(57)は「地元処理の受け入れは苦汁の選択。組合側は住民の気持ちをくみ、1日も早く汚染物をなくしてもらいたい」と話している。

東京のダイオキシン20分の1に、5年で激減

2004/09/09 読売新聞 YOMIURI ON-LINE

 東京の大気中に放出されたダイオキシン類が、この5年間で約20分の1に減ったことが9日、東京都の調査で分かった。

 都は、清掃工場や製鋼用の炉などについて、事業者に報告を求めるか、立ち入り調査に入るなどして、ダイオキシン類の排出量を把握してきた。この結果、1998年度は約9万5000か所の排出元から確認できただけで年間計62・31グラムが排出されていたが、2003年度は約700か所から計2・99グラムの排出にとどまることがわかった。

 都は、2000年にダイオキシン類対策特別措置法が施行されたことなどから、排出量の多い焼却炉が廃止されたり、改良されたりしたことが原因と見ている。学校や家庭などで使われる小規模焼却炉は、98年ごろは都内で約2万台を数えたが、昨年度は169台にまで減った。


ダイオキシン基準超過地点、前年より減少

2002年12月06日 The Sankei Shimbun

 環境省は6日、昨年度のダイオキシン類全国調査結果を発表した。年平均値で、大気は8地点、川や湖沼などの水質は47地点で基準を超えたが、超過地点数はいずれも前年より減少した。川や湖沼の底質は、今年9月から適用された基準に照らすと14地点でオーバー。土壌では、埼玉県内の1か所で基準の4・6倍という高濃度だった。

 大気の調査地点は979か所で、最も高かったのは大阪市住吉区。水質では2213地点中、最も高濃度のさいたま市鴨川で一時、1リットル当たり79ピコ・グラムに達し、基準の79倍だった。前年に比べ超過地点は大気で2か所少なく、水質でほぼ半減した。

 土壌で基準を超えたのは埼玉県栗橋町高柳の1グラム当たり4600ピコ・グラムだけ。同省は「総排出量は減っており、基準を超えた地点でも直ちに人体への影響はないだろう」と話している。

ダイオキシンの測定時間を短縮 三菱重工業が技術を開発

2001.02.24 asahi.com

 三菱重工業はごみ焼却炉から出される排ガスのダイオキシン濃度を1時間で計ることができる技術を開発した。従来は採取してから濃度を計るまでに1週間前後かかっていた。

 開発した計測技術は、焼却炉の排ガスに含まれるダイオキシンを吸着剤を使って濃縮し、紫外線よりも強い光である真空紫外光を当てて濃度を測定する。

 同じ技術を使った計測器を焼却炉の中に備え付けることで、ダイオキシンになる前の物質の濃度を計ることもできる。数十種類の物質の濃度を1度に計ることができるため、濃度を見ながら焼却炉の燃焼を制御し、ダイオキシンの発生を抑えることができるとしている。

 今年夏までに製品化し、ゴミ焼却施設を持つ地方自治体などに販売する。

ダイオキシンは発がん物質/米厚生省

2001.01.20【ワシントン19日=共同】The Sankei Shimbun

 米厚生省は十九日、ダイオキシンを発がん物質に指定する、と発表した。

 同省は昨年六月、ダイオキシン類の中で最も毒性が強い2・3・7・8四塩化ダイオキシン(TCDD)が人にがんを起こす危険性は、従来の見積もりより十倍も高いことが分かったとして「発がんが疑われる物質」から「発がん物質」への指定変更を決定した。

 しかし、ダイオキシンは魚や動物の脂肪の中にも含まれるため、売り上げなどへの影響を恐れた米レストラン業界の一部代表が、指定差し止めを求める訴訟を起こし、変更が遅れていた。同省によると訴訟はこのほど、ワシントンの連邦高裁で棄却された。

ダイオキシン体内蓄積、だ液で検査 疫学調査に活用期待

2000.12.12 asahi.com

 ダイオキシン類の体内蓄積をだ液でも測れることが、朝日大学歯学部(岐阜県)と島津テクノリサーチ(京都市)のグループの研究でわかった。血液を採取する現在の方法に比べ簡単なため、乳幼児の検査や体内汚染の実態を探る疫学調査などでの活用が期待される。15日から横浜市で始まる内分泌撹乱(かくらん)化学物質学会で発表される。

 だ液のほとんどは水分だが、ダイオキシン類が蓄積されやすい脂肪成分もわずかに含まれている。そこに着目した朝日大の小川知彦教授(口腔(こうくう)細菌学)らは、刺激のない状態で口から10―数十ミリリットルのだ液を採取し、脂肪成分を抽出してダイオキシン類の濃度を測った。その結果、血液中の脂肪成分から測定した濃度とほぼ同じ値が得られた。年をとるほど高濃度になる、女性より男性の方が濃度が高い、といった特徴も血液と同じだった。

 ダイオキシン類の体内蓄積は髪の毛でも測れるが、外界と接しているので体外の汚れがついてしまう欠点がある。体内汚染を正確に測るには血液を使うのが一般的だが、血液採取はだれにでもできるわけではない。

 だ液測定の実績を重ね、手法が確立されれば、ダイオキシン類の影響が懸念される乳幼児らの調査に活用できる。

食事のダイオキシン、2カ所で耐容量超える 厚生省調査

2000.11.28 asahi.com

 通常の食生活を送ったときに食品からヒトの体内に入るダイオキシン類の量が、関東と関西の2カ所の調査地で、生涯毎日食べても健康に影響しないとされる1日の耐容摂取量(TDI)を超える値を示したことが、厚生省研究班の調査でわかった。28日、食品衛生調査会の合同部会で報告された。1997年度からの調査で、TDIを超えるデータが出たのは初めて。厚生省は「魚の食材サンプルの選び方に左右されたケースも含まれ、バランスのよい食事をすれば問題ない」としているが、魚をよく食べる日本人にとっては気になる結果だ。

 調査は99年度、全国の16地点で、魚や肉、米、油脂、飲料水など14に分類した食材を小売店で買って調理し、普通に食卓にのぼるメニュー1日分の中に含まれるダイオキシン類量を測定した。その結果、関西のある地点では、TDIの体重1キログラムあたり4ピコグラム(ピコは1兆分の1)を大きく上回る7.01ピコグラム、関東のある地点でも4.04ピコグラムを記録した。

 厚生省によると、特に高い値を記録した関西の調査地では、魚のサンプルに輸入マグロの「トロ」を採用し、これが高濃度のダイオキシン類を含んでいたことが主に数値を押し上げた、という。関東の調査地で高い数値を示した理由はわからないとしている。また、この2カ所で2000年度に行った調査速報では、2ピコグラム前後の値にとどまっており、地域に特有の食材が影響したものではないとみている。99年度、16カ所の平均1日摂取量は2.25ピコグラムで、従来並みの水準だった。

 食品衛生調査会の部会委員からは「魚に偏った食生活を送る人も考えられ、すべての人に安全とはいえない」「世代や食事の好みも考慮した調査もすべきだ」などとの意見も出た。

 TDIは、生涯にわたり毎日食べ続けても健康への影響がないとされる値。国は昨年6月、世界保健機関(WHO)と同様の算定方式を用いて4ピコグラムと設定したが、新たな研究結果を含めた見直し作業も進めている。

ダイオキシン未規制の施設を環境庁が実態調査へ

2000.10.03 asahi.com

 川口順子環境庁長官は3日の閣議後の記者会見で、ダイオキシン類の規制がされていない工場などの施設に対して、今月から排出実態調査をすることを明らかにした。専門家の検討会(座長・浦野紘平横浜国立大教授)を設け、今月中に1回目の会合を開く。予算は1億6000万円。

 これまでダイオキシン法で排水規制の対象とされていたのは、塩素漂白を行うパルプ製造、塩化ビニル、アルミ、一般及び産廃焼却、ポリ塩化ビフェニール(PCB)の分解、下水道の終末処理など6施設。しかし今年、対象となっていない東レ名古屋工場のナイロン製造工程から高濃度のダイオキシン類が検出されたことから、化学品製造など未規制施設も調査し、順次、法規制の対象に加えることにした。

排水に高濃度ダイオキシン/名古屋市、東レに改善勧告

2000.09.14 The Sankei Shimbun

 名古屋市は十四日、国の環境基準の二十倍以上の高濃度ダイオキシンを含んだ排水を川にたれ流していたとして、東レ名古屋事業場に再発防止などを求める改善勧告をした。ダイオキシン類対策特別措置法で定めた排出基準を上回っているが、来年一月まで基準適用が猶予されるため、法違反は問われない。

 同市公害対策課は二月、港区本星崎町の大江川で水質検査を実施し、国の環境基準の二十三倍に当たる一リットル中二十三ピコグラム(ピコは一兆分の一)のダイオキシンを検出。周辺工場の排水を採取した結果、約五百メートル離れた東レ名古屋事業場が汚染源と特定した。

 七月の立ち入り検査で東レは製造工程で、最高一リットル中二千六百ピコグラムのダイオキシンが含まれた排水を流していたことが判明し、大江川に流れる直前の排水路では一リットル中百七十ピコグラムが検出されている。

 東レは今月六日までに、活性炭処理などをする工事を実施しており、同課は効果を確認するために近く再度の水質検査をする予定。

東京・大田区の区道から高濃度のダイオキシン 都が発表

2000.09.13 asahi.com

 東京都は13日、大田区大森南4丁目の区道から、環境基準の16倍に達する高濃度のダイオキシンが検出されたと発表した。濃度は1グラム当たり1万6000ピコグラム(環境基準は1000ピコグラム)で、道路など人が自由に出入りできる場所での濃度としては、和歌山県橋本市の産廃処分場周辺に次いで全国で2番目の高さだった。検出されたのは、ポリ塩化ビフェニール(PCB)の一種でダイオキシン類に指定されているコプラナーPCB。地下1メートル以上の深い地点から検出され、地上は舗装されているため、都はただちに健康被害が起きることはないと見ている。

 ダイオキシンが検出されたのは、平和島運河に近い工場地帯の区道のT字路部分。今年2月、都下水道局が工事中に泥から油のにおいがしたため検査したところ、1キログラム当たり1200ミリグラムの高濃度のPCBが検出された。同局から連絡を受けた大田区が、5月に現場周辺の3カ所でボーリング調査をした結果、1地点で高濃度のコプラナーPCBが検出された。

福岡・大牟田川で環境基準の350倍のダイオキシン

2000.08.25 asahi.com

 福岡県大牟田市の大牟田川から、最高で環境基準値の350倍にあたる350ピコグラム(ピコは1兆分の1)のダイオキシン類が検出されたことが25日、環境庁と福岡県の調査でわかった。濃度の高かった地点近くの川底でわき出ていた直径1―3ミリの油滴からは最大39万ピコグラムという超高濃度のダイオキシン類が測定された。県は近くにある工場から油がしみ出した可能性もあるとして、三井化学大牟田工場など三事業所を26日に立ち入り調査する。公共用水域では今春、神奈川県藤沢市の水路で検出された8100ピコグラムに次ぐ高い値だ。

 環境庁が25日発表した昨年度の全国調査では有明海から基準値(1リットル当たり1ピコグラム)を上回る2.4ピコグラムを検出。このため海に流れ込む大牟田川の水質を福岡県が今年6月下旬に追跡調査した結果、河口から約3キロの地点で350ピコグラムを検出し、9カ所で基準値を超えた。

 3キロ地点付近に複数わき出ている油滴の1つから39万ピコグラムを検出した。これは大阪府能勢町のごみ焼却施設並みの高濃度汚染。同庁水質管理課では「川を囲む形で化学工場や金属工場が隣接し、そこから土壌を経て川底から油がしみ出した可能性がある」としている。県は油滴のしみだしを防ぐ工事をする。

 一方、昨年度の全国調査で水質のダイオキシン濃度が最も高かったのは、福島県郡山市の逢瀬川の14ピコグラム。市の調査では水路の泥などの底質から2600ピコグラムが検出された。昨年度の底質の調査地点(542)の平均値の約480倍に達する高濃度。同庁は、水路に排水を流していた化学工場にあった焼却炉の排水のダイオキシンが川底にたまり、流れ込んだ可能性が高いとみている。

 環境庁の全国調査は、水質は568地点で実施、うち10地点で環境基準値を超えた。

マスク着脱場所にダイオキシン除去装置なし 大阪・能勢

2000.07.24 asahi.com

 大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」の解体工事に従事した作業員35人の血中から高濃度のダイオキシン類が検出された問題で、ダイオキシンで高濃度に汚染された焼却炉などの機器の内部で作業員が使った防じんマスクの着脱場所に、粉じんを取り除く装置が設置されていなかったことが24日、分かった。工事を請け負った日立造船(本社・大阪市)の関係者は、ダイオキシンを含む粉じんの除去対策が不十分だった可能性があることを認めている。

 関係者によると、昨年6月から今年3月までの解体工事で、作業員は焼却施設の建屋や煙突の中に入り、焼却炉や電気集じん器、湿式洗煙塔などの機器類や配管類、壁面などに残る灰などの高濃度汚染物をふき取ったり、削り取ったりしたうえで解体し、ドラム缶に詰める作業にあたった。

 作業員は場所によって3種類のマスクを使い分けた。このうち、高濃度汚染物が付着した機器の中で灰などの汚染物を吸い取ったり、削り取ったりする作業では、防じん性能の高いエアラインマスクを使った。ところが、顔全体を覆ったマスク内にホースで空気を送り込む仕組みのため、更衣室まで持ち込むことができず、建屋内部に設置した「クリーンスペース」で着脱したという。

 クリーンスペースは外気を送り込む装置はあったが、出入り口は上から垂らしたシートで覆うだけで密閉されておらず、作業服やマスクに付いた粉じんを吹き飛ばしたり吸い取ったりする装置もなかった。

 作業員はここでエアラインマスクを外し、別の2種類のマスクに付け替え、外したマスクはアルコールで粉じんをふき取ってから袋に入れていたという。

 日立造船の関係者は、最も高濃度のダイオキシンを含む粉じんが付着するマスクの着脱場所に、粉じんの除去装置を設置しなかった理由について「短時間でマスクを付け替えられるから」と説明している。

ダイオキシン汚染、1級河川でも進む 建設省調査

2000.07.21 asahi.com

 建設省は21日、全国の1級河川で昨年実施したダイオキシン類と内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の調査結果を発表した。ダイオキシン類は、調査した36水系で1リットル当たり平均0.16ピコグラム検出され、環境基準(1ピコグラム)を下回ったものの大きな河川でも広くダイオキシン類の汚染が進んでいることが裏付けられた。また、2年目になる環境ホルモン調査では109水系のうち、64%の70水系で環境ホルモンと疑われる7つの化学物質のいずれかが検出された。建設省はダイオキシン類と環境ホルモンの調査を今後も継続して行う。

ダイオキシン公害調停が成立、大阪・能勢町

2000.07.14 asahi.com

 大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」で起きた高濃度ダイオキシン類汚染をめぐる公害調停は14日、大阪市内で調印式があり、裁判上の和解と同じ効力を持つ調停が成立した。大阪府公害審査会の調停委員会(熊谷尚之委員長)が示した調停条項には、解体した大量の汚染物や汚染土壌の無害化処理を2006年末までに終えることや、焼却施設メーカーが計7億5000万円を行政や住民側に支払うことが盛り込まれた。埼玉県所沢市の産業廃棄物処理場をめぐる同様の公害調停などにも影響を与えそうだ。

 調印に先立ち、南殿町長は「不安や迷惑をかけた町民、従業員に深くおわびする」、三井造船の根本久司常務は「迷惑をかけたことは誠に申し訳ない」と謝罪した。

 調停条項は14項目。解体した焼却施設の設備などを詰めたドラム缶約4200本や、周辺土壌約9000トンの無害化処理を2006年12月までに終える▽周辺住民の健康調査を向こう5年間は毎年、実施する▽三井造船と子会社は、税金でまかなった汚染対策費(約30億円)の補てんに5億円、周辺の住環境改善費などに1億1000万円を支払う――などとなっている。

公害調停が事実上成立 大阪・能勢町のダイオキシン汚染

2000.07.02 asahi.com

 大阪府能勢町にある家庭ごみ焼却施設「豊能郡美化センター」が起こした高濃度ダイオキシン汚染をめぐる公害調停で、住民側は2日、同町で申請人総会を開き、1155人の申請人のうち1139人が最終調停案の受諾を正式に決めた。残り16人は調停案に対する不満などで申請を取り下げる。能勢、豊能両町でつくる美化センターの運営主体「豊能郡環境施設組合」や両町、施設を建設した三井造船(本社・東京)と子会社で運転管理を受託した三造環境エンジニアリング(同)の被申請人はそれぞれ受諾を正式決定しており、裁判上の和解と同様の効力を持つ公害調停が事実上成立した。14日の次回調停で正式調印する。

 大阪府公害審査会の調停委員会(熊谷尚之委員長)が示した最終調停案は、三井造船と子会社が施設組合や住民側に総額7億5000万円を支払う▽施設組合と両町は2006年までに周辺土壌などの無害化を終え、今後20年間、環境調査や住民の健康調査を続ける▽両町の一般廃棄物の発生総量を5年後をめどに1998年度の半分以下にするよう努める――などの14項目が盛り込まれた。

ダイオキシン類の昨年の総排出量は2820グラム

2000.06.29 asahi.com

 環境庁は29日、国内におけるダイオキシン類の発生源別の排出量を発表した。コプラナーPCBを含めた昨年の総排出量は、2620グラムから2820グラムだった。排出量の約9割は焼却炉に由来するが、焼却施設の改善などにより、前年より2割減った。

 排出量の内訳は、一般廃棄物の焼却施設が1350グラム、産業廃棄物の焼却施設が690グラム、事業所の小型廃棄物焼却炉が279グラムから481グラムだった。

 製鋼用電気炉、製鋼業の焼結行程など産業活動から発生する排出量は292グラムで、前年に比べ8%減った。

 今回からたばこの煙による排出量の推計方法を見直した結果、これまでは年間最大で約14グラムと見積もられていた値が、年間0.1グラムから0.2グラムであることもわかった。

過去最高水準のダイオキシン、豊田市の産廃焼却施設から

2000.06.29 asahi.com

 愛知県豊田市は29日、同市枝下町にある産業廃棄物焼却施設の煙突から排出されたガスから、1立方メートル当たり3500ナノグラム(ナノは10億分の1)の高濃度のダイオキシンを検出したと発表した。法律で定めた基準値は80ナノグラムで、その約44倍にあたる。厚生省によると、排ガス中のダイオキシン濃度としては、本格的な調査を始めた1997年12月以来、最高濃度という。問題の施設は同市が立ち入り検査をした3月31日以降、自主的に操業を停止しているが、市は28日、基準値以下に収まるまで操業しないよう求める改善命令を出した。市は近く、施設を中心に半径500メートル範囲の土壌が汚染されていないかどうか調べる方針だ。

 高濃度のダイオキシンが検出されたのは、産廃処理会社「枝下」(梁川五郎社長)。

 市廃棄物対策課によると、この業者は96年に産廃収集運搬業の知事許可を得た。98年3月には木くず、紙くず、繊維くずの焼却処分業の知事許可を得て、焼却を始めた。焼却炉は1基で1日の処理能力は約5トン。

 焼却炉をめぐっては昨年3月、構造上、ダイオキシン発生の恐れがあるとして豊田市が指導したことがある。一時は改善されたが、「黒煙が出ている」「ばい煙が飛んできた」などの住民からの苦情や通報が減らなかったため、今回立ち入り検査。排ガスを民間機関に委託して調べた。

 今月12日には大量の産廃を許可された保管場所以外の場所に野積みしていたとして、廃棄物処理法違反の疑いで愛知県警の家宅捜索も受けている。

 産廃焼却施設では、97年12月から、業者にダイオキシン類の測定が義務づけられた。豊田市によると、問題の業者は99年4月に市の求めで「数値は30ナノグラム」と報告した。厚生省によると、過去2年間の業者からの報告では、560ナノグラムが最高だったという。

全国の廃棄物焼却炉のダイオキシン排出量、前年の2割減

2000.06.27 asahi.com

 全国の廃棄物焼却施設が1999年12月からの1年間に排出したダイオキシン類の総量は、前年より約2割減ったことが27日、厚生省のまとめでわかった。施設の改善が進みつつあることが主な理由。また9施設で排ガス中のダイオキシン濃度が基準を超えたため改善指導を受け、特に高濃度だった埼玉県の2つの産業廃棄焼却施設は撤去された。

 焼却施設の稼働数は、一般廃棄物用が1867、産業廃棄物用が3942。排出されるダイオキシン類の総量は年間1770グラムとなり、前年の2300グラムから23%減少した。各施設を平均すると、排ガス1立方メートル当たりのダイオキシン類量は約7ナノグラム(1ナノは10億分の1)だった。

 一般廃棄物用では、1年間に190施設で改良工事が行われるなど、2002年12月からさらに厳しくなる排ガス濃度基準を6割以上が満たしている。が、産廃用では、新基準をクリアする施設が1割程度。改良工事が進まないと、2年後には休・廃炉が避けられない施設が増えそうだ。

工場排水からダイオキシン、基準の110倍 静岡・富士

2000.06.22 asahi.com

 静岡県富士市の化学工場の排水から、ダイオキシン類対策特別措置法に定められた工場排水の水質基準の約110倍にあたる、1リットルあたり1100ピコグラム(ピコは1兆分の1)のダイオキシン類が検出されたことが21日、明らかになった。環境庁によると、工場排水や周辺の川などから検出されたダイオキシン類の濃度としては、3月に明らかになった荏原製作所藤沢工場(神奈川県藤沢市)の8100ピコグラムに次ぐ2番目の高さだという。

 昨年9月の調査で周辺の排水路や田子の浦港から基準を超えるダイオキシン類が検出されたことから、静岡県と富士市が5月に調査して判明した。工場側は県の指導に従い、排出源とみられる生産ラインをすでに停止したという。

 県は「特別措置法に定められた水質基準の適用義務は来年1月からで、工場付近の住民の健康や近海の魚介類への影響もない」として、工場名や業種を公表していない。

 市内の別の工場の排水からも基準を超える1リットルあたり21ピコグラムが検出されたという。

血中ダイオキシン濃度、まだ通常値の10倍 大阪・能勢

2000.06.05 asahi.com

 労働省は5日、大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」のダイオキシン汚染問題で、施設内に立ち入った作業員らのうち、23人の血中ダイオキシン濃度の分析結果を公表した。それによると、昨年11月時点の平均値は246ピコグラムで、1998年10月の調査に比べ7.2%減少したものの、まだ通常値の10倍前後にのぼっている。23人中16人は血中濃度が下がり、6人は逆に上昇していた。ダイオキシンは濃度が半分になる半減期が7―10年。現時点ではダイオキシンの影響が疑われる疾病などは認められないが、今後も調査を続け、注意深く見ていく方針だ。

ダイオキシン汚染は改善へ

2000年04月14日

 埼玉県の所沢市や狭山市周辺でダイオキシン汚染が指摘された問題で14日、同県ダイオキシン対策室は「産業廃棄物焼却施設の減少などで改善の傾向にある」とする調査結果を発表した。

 今回の調査結果は、住民の要請を受けて県が1996年度に実施した調査を追跡調査してまとめた。

無害化処理の候補地再検討

2000年04月09日

高濃度ダイオキシン汚染が起きた大阪府能勢町のごみ焼却施設の「豊能郡美化センター」内に残るダイオキシン汚染物の無害化処理を、隣接の大阪府豊能町で実施する計画で、豊能町は9日までに候補地を再検討する方針を決めた。
 豊能町の北野義幸助役は、希望ケ丘地区の自治会が8日開いた説明会で町の方針を示した。北野助役は「候補地の選定の議論を一からやり直す」と話している。

自民党環境部会がダイオキシン問題で米軍厚木基地を視察

March 31, 2000

 神奈川県にある米軍厚木基地の家族住宅が、近くの産廃焼却施設から高濃度のダイオキシンを含む排煙で被害を受けている問題で、自民党環境部会は31日、同基地を視察した。米軍から事情を聴いた愛知和男元環境庁長官は「ダイオキシン対策法は、業者に対し、行政側は被害が出てからでないと動けないようになっているが、それでは遅い。被害を与える恐れがある場合に動けるように法改正ができないか、早急に検討したい」と述べた。

 愛知氏はまた、米軍側が「神奈川県が事前に業者に知らせてから立ち入り検査しているが、業者がその時だけ対応策をとっており、意味がない」と批判したことについて、検査の方法を改善することを約束した。

防衛庁長官が米軍基地隣接の産廃施設買い取り検討を示唆

March 15, 2000

 瓦力防衛庁長官は15日朝、神奈川県の米軍厚木基地に隣接する民間の産業廃棄物処理施設から高濃度のダイオキシンを含む排煙が出ている問題で「被害が広い範囲に及んでいるので、特別の措置が必要かもしれない。国内法を超える問題に遭遇するかもしれない」と述べ、現行の廃棄物処理法などの枠組みを超えた特別措置が必要との考えを示した。自民党内に施設の買い取りを求める声が出ているのを受けて、こうした対応も含め改善策を検討する姿勢を示唆したものだ。同基地を視察した後、記者団の質問に答えた。

 この問題は日米間の懸案になっており、15日に来日するコーエン米国防長官も被害の実態を視察する予定。瓦長官との会談でも議題になる見込みだ。

 防衛施設庁は、施設の煙突を高くし、排煙が基地内の米軍住宅にあたらないようにするための工事費11億円を新年度予算案に計上している。ただ、業者に強制できないのに加え、自民党国防部会からは「煙を拡散するだけで根本的な解決にはならない」との指摘が出ていた。

荏原社長が陳謝

2000年04月04日

 神奈川県藤沢市の引地川水系のダイオキシン汚染問題で、流出元のポンプメーカー「荏原製作所」(本社東京)の前田滋社長が4日、同社藤沢工場で記者会見し、工場内の廃棄物焼却施設の配管に施工ミスがあったことについて「工事の発注に甘さがあったと反省している」などと陳謝した。

荏原藤原工場のダイオキシン漏れ、会社の検査態勢に盲点

March 25, 2000

 基準の8000倍もの高濃度のダイオキシン類を含んだ荏原製作所藤沢工場(神奈川県藤沢市)の排水は、8年間も気づかれずに付近の引地川に流れ続けていた。「荏原」といえば、全国でも有数の環境優良企業といわれ、定期的な水質調査も実施していたという。なのになぜ。ダイオキシン漏れ発覚から1夜明けて、行政側の「まさか環境企業の荏原が」という油断や、検査の実施方法の意外な盲点が明らかになった。

 川が汚染されていても、汚染源を突き止めることは難しい。藤沢市の場合もそうだった。

 昨年9月、環境庁が実施した全国の河川ダイオキシン調査の結果が公表された。藤沢市の引地川からは、この中で3番目に高い1リットル中4.5ピコグラムが検出された。

 藤沢市は「上流の行政区域からの汚染だろう」と受け止めたという。しかし、10月に引地川流域を調査して驚いた。上流より、下流の方が濃度が高かったのだ。発生源は市内にある。

 今年1月、引地川に流れ込む6カ所の排水溝を調べた。荏原からの排水溝から、基準の3200倍の濃度のダイオキシン類が検出された。続く2月の調査では8000倍にはね上がった。

母乳のダイオキシン平均濃度、過去と同程度

2000年03月23日

 大阪市は23日、1999年度の市民の母乳のダイオキシン類濃度調査の結果、平均値は過去の調査とほぼ同程度だったとする中間報告案を、同日開催した「母乳中のダイオキシン類調査に関する評価委員会」で公表した。調査は市内に10年間以上住む25〜29歳と30〜34歳の年齢層から各24人ずつ、計48人の初産婦を選び、昨年6月から今年3月まで、出産30目に母乳約100ミリリットルを採取して分析。

三井に約19億円支払い要求

2000年03月12日

 大阪府能勢町の、ごみ焼却施設「豊能郡美化センター」のダイオキシン汚染問題に関し住民約1100人が申請している公害調停で住民側は12日、申請人総会を開き、施設を建設した三井造船と子会社の三造環境エンジニアリングに賠償金や対策費用として、施設建設費に相当する11億6000万円の支払いを求めることなどを柱とした「協定書」案を決めた。17日に開かれる21回目の公害調停に提出する。

焼却炉撤去求め措置命令

2000年03月08日

 和歌山県橋本市の産業廃棄物処理施設の土壌から高濃度ダイオキシンが検出された問題で、同県は8日、産廃処理業「日本工業所」(大阪府堺市)と社長らに対し、廃棄物処理法に基づいて施設内の焼却炉や廃棄物などの撤去を求める措置命令を出した。

「浄化調査に協力」と知事

2000年02月28日

 大阪府能勢町の高濃度ダイオキシン汚染問題で太田房江知事は28日、汚染源のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」や隣接する府立能勢高校などを視察した。調査は、仮設プラントで浄化技術をテストして汚染土壌浄化に最適な技術を見極めるのが目的。知事は「一日も早く浄化しなければいけない。環境庁も最先端技術で最善を尽くすしかなく、そういう方向で府は協力していきたい」と述べた。

廃棄物処理施設の規制強化、病院や学校周辺は「配慮」

February 27, 2000

 厚生省は、ごみの焼却施設や最終処分場など廃棄物処理施設の設置許可の要件を強化し、学校や病院周辺への立地規制を厳しくすることを決めた。今国会への提出を予定している廃棄物処理法の改正案に盛り込む予定だ。現行の廃棄物処理法では、施設の構造や設置計画などが定められた基準に適合していれば、山の中でも、町の中でもどこでも同じ扱いで、設置が許可されていた。しかし、学校や病院など施設によっては特別な配慮が必要との考え方をまとめた。設置を許可する都道府県知事の判断次第で、学校や病院などの周辺では廃棄物処理施設の設置を避けることができるようになる。

 今回の改正は、廃棄物処理法に定める廃棄物処理施設設置の許可基準に、学校や病院などの施設の周辺には特別な配慮をするよう定める。

 具体的には「厚生省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること」と法律に定め、厚生省令で「学校や病院など利用者の特性に照らして適正な配慮がなされることが必要な施設」とする方向だ。

 現行の廃棄物処理法では、(1)施設の構造が技術上の基準に適合している(2)施設の設置計画や維持管理計画が周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされている――ことが廃棄物処理施設設置の許可基準となっている。

 (2)の基準は運用があいまいで、厚生省は「基準は健康に問題がないレベルで決めており、病院や学校の周辺といえども、基準に合致している以上は場所に関係なく許可せざるをえない」としていた。

 しかし、不適正な処理や管理をする施設に住民が不安を募らせており、わざわざ学校や病院の周辺に廃棄物処理施設の設置を許可しなくてもいいのではないかとの声も出ていた。厚生省は周辺施設の特性によってはより厳しい考え方があってもいいと判断し、運用の明確化をはかることにした。

 このほか、設置申請者は施設の維持管理を継続して行う能力があることとする条件も追加し、能力のない業者による不適正処理を防止する。

 焼却施設の設置についても、ダイオキシン対策特別措置法に基づいて定められた大気の環境基準1立方メートル当たり0.6ピコグラム(1ピコは1兆分の1)の達成が難しい場合は、都道府県知事が新たな施設の設置を不許可とすることができるとの条文も追加し、集中立地も規制できるようにする。

和歌山の産廃処理場から高濃度ダイオキシン、措置命令へ

February 21, 2000

 和歌山県は21日、同県橋本市野、日本工業所(本社・大阪府堺市)の産業廃棄物中間処理場で循環水槽汚泥から1グラム当たり25万ピコグラム(1ピコは1兆分の1)、焼却炉そばの土壌から同10万ピコグラムの高濃度のダイオキシン類が検出された、と発表した。1月施行のダイオキシン類対策特別措置法は土壌の環境基準値は1000ピコグラムと定めている。県は廃棄物処理法に基づき焼却施設の撤去などを業者側に求める措置命令を出し、周辺住民の健康調査もする。ダイオキシン類による土壌汚染について、業者に措置命令が出るのは全国初という。

  同社のダイオキシン類問題で県が設置した検討委員会の意見を受け、昨年11月に計13地点を調査した。ダイオキシン類は、焼却炉の排ガス中の塩化水素を除去するための溶液の循環水槽内の汚泥から25万ピコグラム、焼却炉の煙突から西約5メートルの土壌から10万ピコグラム、炉の煙突から東約5メートルの処分場敷地外の土壌から3万6000ピコグラムが検出された。

  大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」では1998年、土壌中から1グラム当たり5200万ピコグラムのダイオキシン類が検出されている。

 県は高い数値が出た土壌の周囲50メートルを立ち入り禁止にし、飛散防止シートを敷く応急対策をする。また、焼却炉の煙突を中心に半径約500メートル以内に住む住民約40世帯の健康調査をする。

 さらに周辺などで追加調査をし、高濃度のダイオキシン類を検出した場合は業者側に土壌撤去を求める措置命令を出す方針。

途上国にもダイオキシン

2000年02月04日 共同通信社

 フィリピンとカンボジアのごみ集積場の土壌に、ダイオキシンが高濃度で蓄積されていることが、愛媛大沿岸環境科学研究センターの田辺信介教授(環境化学)らの調査で、4日までに明らかになった。両国でのダイオキシン類の調査は珍しいといい、汚染が先進国だけでなく、発展途上国にも広がっている実態が浮き彫りになった。

愛用品の副葬自粛を

1999年12月28日 共同通信社

 故人の生前の愛用品をひつぎに一緒に入れてあげたいという気持ちは分かるがちょっと待って―。

 ことし2月,野菜のダイオキシン汚染報道に揺れた埼玉県所沢市では、副葬品としてプラスチック製品を入れないよう、斎場の利用案内や葬祭業者を通じて遺族に呼び掛けている。全国的に環境に優しい弔いが注目されており、ひつぎの材質もダイオキシンの出にくいものにするなど工夫も進んでいる。

肉食獣がダイオキシン蓄積

1999年12月27日 共同通信社

 環境庁は27日、トビやクジラなど肉食の鳥獣ほど体内のダイオキシン量が多いとの調査結果を発表した。一度摂取すると排出されにくいダイオキシンが食物連鎖で蓄積していることが確認された形で、環境庁は汚染状況の経年変化などの調査を続けるとしている。

 調査は主に1998年秋から今年春にかけて捕獲した鳥獣を対象に実施。

杉並中継所でダイオキシン

1999年12月24日 共同通信社

 東京都清掃局は24日、周辺住民が「杉並病」といわれる頭痛や目の痛みなどの原因として指摘している都のごみ中間処理施設・杉並中継所(杉並区井草)の換気塔からダイオキシン類を検出した、と発表した。同中継所での検出は初めて。

厚生省技官が初めて視察

1999年12月24日 16時46分 共同通信社
 東京都杉並区にある不燃ゴミ処理施設「杉並中継所」の周辺住民が頭痛や目の痛みなどを訴えている「杉並病」問題で、厚生省の技官が24日、健康被害と施設との因果関係などを調べるため、初めて現地を視察した。

 調査に訪れたのは生活衛生局の技官3人で、杉並中継所の福寿禎一所長から説明を受けた後、ホッパー(貯留槽)などの施設を見学した。

し尿汚泥からダイオキシン

1999年11月15日 共同通信社

 ごみ処理施設のダイオキシン汚染が問題になった大阪府能勢町で、今度はし尿処理施設の乾燥汚泥から1グラム当たり240ピコグラム(ピコは1兆分の1)の高い濃度のダイオキシンが検出されたことが15日、分かった。

 汚泥は肥料として町内の農家に無料配布され、1998年度は190戸が使用した。町は11月中にも専門家会議を発足させ、肥料を使った畑の土壌調査などを進める。

魚介類汚染の最高は30ピコ

1999年09月24日 共同通信社

 魚介類など水生生物のダイオキシン汚染は最高で1グラム当たり30ピコグラムと高く、汚染ダイオキシンの70%をPCBの中でも非常に毒性の強いコプラナPCBが占めていることが24日、環境庁の調査で分かった。大気などを含めた全体的な汚染濃度はこれまでの調査と同程度だった。同庁は今後、環境中のコプラナPCBの残存量や、生物が摂取する経路などの研究を進める。

猛毒灰を出さずにごみ焼却

1999年09月08日 共同通信社

 プラント大手の千代田化工建設は8日、都市ごみ焼却施設での処分が課題となっている猛毒のダイオキシン類を含んだ「飛灰(ひばい)」を出さない、新しい処理技術を開発したと発表した。

 飛灰は、現在は最終処分場で埋め立てられているが、それが不要となるだけに自治体などの関心を集めそうだ。

ダイオキシン測定結果に大きな開き 環境庁調査

August 03, 1999

 同じ濃度のダイオキシンを含むばいじんを調べたところ、測定分析をする機関、会社によって測定値に3倍の開きがあることが、環境庁の調査結果でわかった。数値を出すための単純な計算間違いや、異常に高い測定値が続出した。

 環境庁は昨年度、測定分析機関・会社に呼びかけ、62社について調査した。

 分析が簡単なばいじんのダイオキシンでも、濃度の平均値を一とすると、0.5としたのが4社、1.5としたのが3社など、かなりのばらつきがあった。比較的分析が難しい底質(泥)では、平均値1に対して、0.5が2社、2.0以上が3社とさらにばらつきが広がり、5以上の値を示して異常値とはねられたのが5件あった。
 また、測定値を求めるための計算ミスが合わせて28件にものぼった。

 環境庁はこのままでは、自治体などの測定結果が信頼されないと、秋に研修会を開いたり、毎年1回、今回のような調査をしたりして、業界の技術レベルを引き上げたいとしている。

 国内の測定分析会社・機関は、欧米の業界に比べて技術が立ち遅れ、料金も2倍近い。欧米の業界では国際的なコンテストに参加して、技術を磨いているところも多いが、国内からの参加は数社足らずだ。

ダイオキシン:母乳調査で「安全性に問題はない」と厚生省

1999年08月02日 毎日新聞

 母乳に含まれるダイオキシン類濃度は母乳100グラム当たり平均86・3ピコグラムで、乳児が1日に摂取するダイオキシン類は体重1キロ当たり103・6ピコグラムに達することが2日、厚生省研究班の調査で分かった。しかし、母乳の摂取期間が短いことから、厚生省は「母乳の安全性に問題はない」と話している。

除草剤のダイオキシン含有認める 三井化学と農水省

July 08, 1999

 毒性ダイオキシンを含んでいると指摘されてきた除草剤クロルニトロフェン(CNP)について、製造していた三井化学と、農薬の登録を担当する農水省は8日、初めてダイオキシンの含有を認め、発表した。CNPは新潟県の一部で多発した胆のうがんの原因と疑われている。

 三井化学は1994年3月にCNPの製造、販売を中止しているが、両者ともダイオキシンを含んでいることは認めていなかった。両者は今回、「その後、分析技術が進んだため確認できた」と説明している。農水省は今年度から農地土壌と農作物のダイオキシン類汚染の調査も始めた。

 CNPは65年から、三井化学の前身の三井化学工業が農薬の効能成分となる原体を製造。多数のメーカーが製剤にして販売した。70年代前半には日本の除草剤生産量の約3割を占め、水田で盛んに使われた。農水省によると、累計の販売量は7万7000トン。

 今回の確認作業は、横浜国立大学の益永茂樹教授が今年初め、CNPを含む農薬6種がダイオキシンを含んでいる、と学会で発表したことを受け、農水省が3月にメーカーに指示した。

「ダイオキシンに不安」が9割 全国世論調査

May 29, 1999

 朝日新聞社は22、23の両日、電話による全国世論調査を実施し、ダイオキシンなど環境問題についての意識を聞いた。汚染の広がりが問題になっているダイオキシンについて、9割の人が「人体への不安を感じる」と答え、その対策として、8割の人が、特定の食品についてダイオキシン含有量の基準値を設け、それを上回るものは出荷させないなど、強い措置を望んでいる。

 ダイオキシンへの不安は「大いに不安を感じる」44%、「ある程度不安を感じる」45%で、合わせて9割の人が不安を感じている。「大いに不安」と答えた人の割合が比較的高いのが目立ち、深刻な問題と受け止められている様子がうかがえる。不安感は男性より女性に強く、「大いに不安」とする女性は50%に上った。

 ダイオキシン対策として、ドイツ、オランダ、カナダでは乳製品や魚にダイオキシンの基準値を決め、それを上回るものは出荷停止などの強い措置をとっている。日本では、こうした基準値はまだなく、一部の食品についてダイオキシン含有量が発表されているだけだ。

 日本でも基準値をつくり、ドイツなどと同様の措置を取った方がよいかどうかについては、82%の人がそうするのがよいと答えた。

 その一方で、この問題に冷静に対応しようとしている姿もうかがえる。ダイオキシン汚染を深刻にした責任はどこにあるかでは、「使い捨てを続けた消費者」と答える人が33%と、自らの責任も認める人が最も多く、次いで「対応が遅れた国や自治体」が31%、「ゴミ対策を怠った企業」25%だった。

 情報公開を巡っては、農産物や乳製品、魚などについて、「産地とダイオキシンの含有量を公開した方がよい」が44%、「産地の公開は慎重にした方がよい」が47%と、数字は2つに割れた。しかし、産地名とダイオキシン含有量が公開されても、65%は「健康に影響がない程度なら食べる」と答えた。

 ダイオキシン汚染が広い範囲の食品に及び、完全に摂取を避けるのが困難な状況や、埼玉県所沢市で起きたホウレンソウの暴落騒動の教訓などが背景にあるとみられる。

ダイオキシン測定で談合 公取委が11法人に排除勧告

April 28, 1999

 首都圏の自治体が発注するダイオキシン類の測定分析業務で、測定分析会社や財団法人が談合を繰り返していたとして、公正取引委員会は28日、11法人に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除勧告した。11法人中の10法人を含む17法人に対しても同法違反容疑で警告した。勧告と警告の対象となった18法人は、いずれも「ダイオキシン類測定分析技術研究会」のメンバーで、同会は全国の自治体が発注する測定分析業務をほぼ独占してきた。

 排除勧告を受けたのは、環境管理センター(東京都日野市)、中外テクノス(広島市)、新日本気象海洋(東京都世田谷区)、鋼管計測(川崎市)、島津テクノリサーチ(京都市)、東レリサーチセンター(東京都中央区)、東和科学(広島市)、財団法人日本食品分析センター(東京都渋谷区)、栗田工業(東京都新宿区)、川重テクノサービス(兵庫県明石市)、日本検査(東京都江東区)の11法人。

 公取委の調べによると、11法人は、千葉市が発注するごみ焼却施設のダイオキシン類測定分析業務の指名競争入札で、95年11月から、話し合いなどによってあらかじめ受注予定者を決めていた。このとき、指名を受けて受注できなかった場合を1点として入札ごとに加算し、受注した場合は0点に戻るというルールをもとに、点数が高い業者を優先。このため、毎回違う業者が順番に受注していた。

 千葉市は新港、北谷津、北の各清掃工場で毎年、入札を実施。11法人は95、96、97の各年度に実施された計8回の入札で談合を繰り返していた。受注額は3年間で計5330万円にのぼる。

 また公取委は、11法人のうちの10法人を含む17法人に対し、東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県にある市町村と組合が発注するごみ焼却施設のダイオキシン類測定分析業務の指名競争入札で談合を繰り返していた疑いがあるとして、独禁法違反容疑で警告した。年間の受注金額は随意契約分なども含めて計約16億8000万円になるという。

ダイオキシンは精子蓄積か

1999年04月10日 共同通信社

 精子の少ない人に比べ精子の多い人の方が、精液のダイオキシン濃度が高いことが東大産婦人科の堤治教授らの研究で分かった。微量でも内分泌のかく乱作用があるとされるダイオキシンが、精子に蓄積することを示唆する研究成果で、大阪市での日本泌尿器科学会で13日発表される。

 堤教授らは精子の少ない人と多い人の2グループに分け、精液のダイオキシン濃度を測定した結果、ごく微量ながら、濃度は精子の多いグループの方が約3倍高いことが分かった。

ダイオキシンで対策組織

1999年04月03日 共同通信社

 ごみ焼却施設などダイオキシンの被害を受ける恐れがある職場で働く全国の労働者の救済を目指す『ダイオキシン労災対策機構』がこのほど大阪市に発足した。個人、団体を問わず、全国的な結集と財政支援を呼び掛けている。

 大阪府能勢町のごみ焼却施設のダイオキシン問題で、先月労災を申請した元作業員2人の弁護団や医師、能勢町の住民グループ代表ら約30人がメンバー。2カ月以内に組織を整え、結成総会を開催する予定だ。


血中ダイオキシン濃度、まだ通常値の10倍 大阪・能勢

2000.06.05 asahi.com

 労働省は5日、大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」のダイオキシン汚染問題で、施設内に立ち入った作業員らのうち、23人の血中ダイオキシン濃度の分析結果を公表した。それによると、昨年11月時点の平均値は246ピコグラムで、1998年10月の調査に比べ7.2%減少したものの、まだ通常値の10倍前後にのぼっている。23人中16人は血中濃度が下がり、6人は逆に上昇していた。ダイオキシンは濃度が半分になる半減期が7―10年。現時点ではダイオキシンの影響が疑われる疾病などは認められないが、今後も調査を続け、注意深く見ていく方針だ。

能勢町の2人がダイオキシン被害で労災申請、国内で初めて

March 26, 1999

 高濃度のダイオキシン汚染を起こした大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」(管理者=南殿利正・豊能町長)で働いた元従業員の男性2人が26日、焼却場での作業中にダイオキシンを体内に取り込んだことが原因で、がんや皮膚病にかかったとして、淀川労働基準監督署(大阪市)に労災申請した。労働省によると、ダイオキシン汚染による健康被害の救済を求める労災申請は国内で初めて。全国には一般廃棄物などの焼却施設で働く労働者が約26万人おり、申請が認定されれば大きな影響を与えそうだ。

 申請したのは能勢町に住む竹岡光夫さん(67)と畑中克男さん(61)。竹岡さんはセンターが運転開始した1988年4月から95年2月まで働き、主にごみをつり上げるクレーン操作に従事した。95年に肺の病気で入院したほか、96年には大腸がん、98年には直腸がんの手術を受けた。

 畑中さんは89年6月から98年3月まで働き、主に焼却灰を固める作業に携わった。68年、福岡県を中心に約1800人が被害を受けたカネミ油症事件は、ダイオキシン類のコプラナーPCBやポリ塩化ジベンゾフランが原因の食品公害だったが、当時の油症の患者の皮膚に現れた色素沈着やクロルアクネ(塩素にきび)が、畑中さんにもみられるという。

<ダイオキシン>残留ヘドロを手作業で除去 大阪の焼却施設

1998年09月22日 毎日新聞

 大阪府能勢町のごみ焼却施設の労働者の血液中から国内最高の806ピコグラムのダイオキシンを検出…労働省。(by 毎日新聞)

 (ダイオキシンリスク評価検討会では、ダイオキシン類の毒性評価を行い、人の健康を保護する上で維持されることが望ましいレベルとして「健康リスク評価指針値」を 5pg/kg/日と設定。

 また、我が国におけるダイオキシン類の暴露の状況に関して評価を行 い、一般的な生活環境での暴露を 0.3〜3.5pg/kg/日、高い暴露を受ける条件での暴露を 5pg/kg/日程度と推定。)fromダイオキシン排出抑制対策検討会報告の要約・6.排出抑制の推進方策 (平成9年5月 )

ダイオキシンの一般毒性by Environmentby T.Takeda(武田尚志:Aries)

ダイオキシンの基礎知識

わかりやすいダイオキシンby 東ソー


セベソ事故

by フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 セベソ事故(Seveso disaster)とは、1976年7月10日にイタリアのロンバルディア州、ミラノの北25km付近に位置するセベソの農薬工場で発生した爆発事故である。代表的なダイオキシンである2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-1,4-ジオキシン(TCDD)がキログラム単位で住宅地区に飛散し、ダイオキシン類の暴露事故としては史上最悪のものとなった[1]。この事故を教訓として、ECは化学工場の安全規制を定めたセベソ指令を定めている。

 高濃度のダイオキシン暴露にもかかわらず、顕著な人的被害が生じなかったことから、ダイオキシン毒性否定説の根拠に出されることがある。

イタリア・セベソの化学工場での爆発

セベソにおける ダイオキシン中毒 の症状


セベソ事件(Seveso Incident)

2003.11.11/2007.05.11 EICネット

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