TOPIC No.3-1-1 最近のニュース(環境ホルモン)

カナダ政府、「ビスフェノールA」含む哺乳瓶の販売禁止へ

2008年04月19日 AFP BB News

【4月19日 AFP】カナダ保健省は18日、健康への影響が懸念される化学物質「ビスフェノールA(bisphenol A)」を含むプラスチック製哺乳(ほにゅう)瓶について近い将来、輸入、販売、および広告を禁じる方針を打ち出した。

  トニー・クレメント(Tony Clement )保健相は首都オタワ(Ottawa)での会見で、「(60日の)公開調査期間内に、新事実や新情報が得られない場合、政府はビスフェノールAを含む哺乳瓶の輸入・販売・広告を禁じる措置を取る」と発表。「カナダは同物質の規制を行う初めての国家となる。この予備的措置は国民の健康を勘案した場合、賢明で道理にかなうものと考える」と述べた。

  ビスフェノールAが消費者製品から多量に溶け出すことが確認されたとの各国の研究報告を受け、カナダ保健省政府は前年11月、この物質の安全性を見直す検討を始めていた。

  動物を使った研究によると、乳がん、卵巣がん、前立腺がんなどとビスフェノールAの少量摂取に因果関係が認められるという。

  多くの製品に50年ほどにわたって使われてきたこの物質の安全性を訴えてきたプラスチックの製造業界は、カナダ保健省の発表に新たな対応を迫られている。(c)AFP

ビスフェノールA含む哺乳瓶、カナダが販売など禁止へ

2008年04月19日 asahi.com

 【ワシントン=勝田敏彦】カナダのクレメント保健相は18日、樹脂原料のビスフェノールAを含むポリカーボネート樹脂で作られたプラスチック製哺乳(ほにゅう)瓶について、輸入、販売、広告を禁止する方針を明らかにした。日本では、環境省の作用・影響評価で、ビスフェノールAについて「人体影響は明らかには認められなかった」としている。

 カナダ政府は、ビスフェノールAが環境ホルモン(内分泌攪乱(かくらん)化学物質)としての作用を示すかどうか確認するため、哺乳瓶のほか食器、CDなどに使われるポリカーボネート樹脂と、ビスフェノールAを含むエポキシ樹脂(塗装や電気製品などに使われる)といったプラスチックについて、評価を行った。

 その結果、大人が普通の日常生活を送っている限り、健康影響はないとの結論を得た。しかし、保健相は「成長過程にある新生児や乳幼児にこの結論は当てはまらない。安全性を優先する」として、禁止の方針を示した。

 ビスフェノールAについては、米国では、厚生省などの専門家グループが14日に「人体の成長に影響する可能性は無視できない」との報告書案を公表。小売り大手の米ウォルマート・ストアーズも「来年前半までにビスフェノールAを含む哺乳瓶の販売をやめる」としている。

化学物質ビスフェノールA、子供に影響の懸念…米が報告書案

2008年04月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=増満浩志】米政府は15日、プラスチック製の食器などから溶け出す化学物質ビスフェノールA(BPA)について、「現在の摂取量が、胎児や子供に対し、神経系や行動、乳腺への影響、女子の早熟を引き起こす懸念がある」とする報告書案を公表した。

 また、カナダの新聞「グローブ・アンド・メール」紙は同日、カナダの保健当局がBPAを有害物質に指定する方針だと報じた。

 BPAは女性ホルモンに似ており、日本では1990年代にいわゆる「環境ホルモン」の代表物質として問題化したが、最近は「日常の濃度では健康影響が明確でない」とされている。北米で今後、「有害」との評価が定着すれば、日本にも波紋が広がりそうだ。

 報告書案の「懸念」は、発達期の動物を低濃度のBPAにさらした実験に基づいた。「まだ証拠は限られている」としながらも、「人間も動物実験と似た濃度に接しており、影響を無視できない」としている。

米政府機関、プラスチック原料物質の安全性に疑問符

2008.04.16 AP

ワシントン(AP) 化学物質の危険性などを調査する「米国家毒性プログラム(NPT)」は15日、哺乳瓶などのプラスチック製品に使われる化学物質のビスフェノールAが、ホルモン異常に関係している可能性があるとする報告書草案を公表した。

 この研究は疾病対策センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所といった米政府機関の専門家チームが実施。ネズミを使った実験で、少量のビスフェノールAを投与または摂取させた場合、前がん腫瘍、尿路疾患、発達異常が認められたとしている。

 この結果を受け、ビスフェノールAの発達上の危険については「限定的な証拠」しかないとしながらも、人間に影響を与える可能性は「否定できない」と指摘した。

 ビスフェノールAをめぐっては、FDAが昨年11月、「現時点で利用を禁止・制限する理由はない」と表明。しかし消費者の間では不安が高まり、ガラス製品に切り替える動きも出ている。CDCによると、米国人の90%以上は、水のボトルや缶の内側からにじみ出る微量のビスフェノールを摂取している。

 メーカーでつくる業界団体の米化学工業協会は今回の報告書について、「ビスフェノールAが人間の生殖や発達に及ぼす悪影響について、深刻あるいは高度な懸念はないことが確認された」との見方を示した。

 一方、環境保護団体などは、FDAがビスフェノールAの毒性を認めざるを得なり、メーカーに安全基準を設けさせることにつながればとの期待を表明している。

「ペットボトルに熱湯は禁物」という研究結果が話題

2008年03月28日 Ameaba News

 「ペットボトルを熱湯で洗うと、人体に有害な成分が溶出する」という研究結果が書かれた記事が、ネット上で話題となっている。

?  この研究結果は、米オハイオ州シンシナティー大のスコット・ベルチャー博士(薬理学、細胞分子物理学専攻)率いる研究チームによって明らかにされたもの。

 研究チームは、「ペットボトルを熱湯ですすいだ場合、最高55倍のビスフェノールA(BPA)が検出される」と発表した。一方、ペットボトルに水を入れて常温で1週間置いた結果、ペットボトルに入った水に溶出したBPAの量は平均1時間当たり0.49ナノグラムに過ぎなかったとのこと。BPAは、プラスチック飲食容器や食品用の缶の内側の樹脂に含まれる環境ホルモン物質で、乳がんや前立腺がんを誘発するものとして知られている。

 この記事に寄せられたコメントの中には、「ホットのペットボトルって大丈夫なの?」と、加熱ドリンクについて心配する声が多く見られた。

子どもの神経系に悪影響か プラスチック原料で米指摘

2007年08月10日 中国新聞ニュース

 【ワシントン9日共同】米政府が進めている化学物質の毒性評価で、米国立環境衛生科学研究所の専門家委員会は9日までに、プラスチック原料のビスフェノールAが胎児や子どもの神経系に悪影響を与える懸念があるとする結論をまとめた。今後、規制につながる可能性もある。

 ビスフェノールAについては、メダカやマウスの動物実験で内分泌かく乱作用(環境ホルモン作用)が確認されているが、日本の環境省の評価では人間に対する危険性は少ないとされている。

 専門家委員会は、これまでに発表されたビスフェノールAについての科学論文を評価。胎児と幼児、子どもに蓄積して神経系や行動に与える影響について「いくらかの懸念がある」と結論付け、さらに研究が必要だとした。

環境ホルモン「ビスフェノールA」 大脳発達に影響

2006年08月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

マウスで実験、京都府立医大

 妊娠中のマウスに環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の一種「ビスフェノールA」を摂取させ続けると、脳の大脳皮質の形成に影響が出ることを、京都府立医科大の伏木信次教授らの研究グループが突き止め、16日、発表した。大脳の発達に触れた報告例は世界で初めてといい、米国の神経科学専門誌の電子版に掲載された。

 伏木教授は「マウスの子供の脳の発達や行動の解析を続け、人の発達障害との関連も明らかにしたい」としている。

 実験では妊娠したマウスに、摂取しても影響がないとされる微量の「ビスフェノールA」を連日投与し、10〜18日後に胎児を調べた結果、大脳皮質の神経細胞の分化などの速度に異常が確認された。さらに神経細胞をつくる8種類の遺伝子のうち、甲状腺ホルモンにかかわる3種類の働きに変化が目立っていた。甲状腺ホルモンに異常が出ると、発達障害につながる恐れがあるという。

 ビスフェノールAはプラスチック製品の原料で、これまでも専門家からは生殖器系への影響が指摘されている。ほ乳ビンや学校給食用の容器にも使われ、利用中止が相次いだ。

DDTは環境ホルモン、環境省がメダカの試験で確認

2005年10月02日 読売新聞 yomiuri on-line

 環境省は、殺虫剤としてかつて大量に使用された有機塩素化合物「DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)」に、魚類の生殖機能などに影響を与える環境ホルモン作用(内分泌かく乱作用)があるとする試験結果をまとめた。

 同省が内分泌かく乱作用を確認したのは、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ビスフェノールAに次いで4物質目。

 メダカを使った試験で、低濃度のDDTにさらすと、繁殖期のメスに特徴的なたんぱく質が、オスでも増えることを確かめた。精巣の一部に卵巣の細胞が混じったりすることも分かった。

 ただ、河川などで実際に測定されるDDTの濃度は、影響が心配される濃度の100分の1以下で「現実的な危険度は低い」とみている。

 DDTは、第2次世界大戦後、蚊やシラミ退治などのため、大量に使用。毒性の強さなどが問題となり、1971年に農薬としての販売が禁止され、81年には輸入、製造も禁止となった。

 人間への影響を評価するため、同じ哺乳(ほにゅう)類であるネズミを使った試験も実施しているが、4物質とも内分泌かく乱作用は認められていない。

メダカで環境ホルモンの影響調査…国が観察報告募集へ

2004/11/14 読売新聞 Yomiuri On-Line
 メダカの観察を通じて、環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の野生生物への影響を探ろうと、環境省は、自然観察を続けている学校や市民グループに呼びかけて調査に乗り出す。

 観察結果を定期的に報告してもらい、メダカに異常が見られたり、生息数の大幅な減少がわかった場合、専門家によるメダカの調査や水質分析を行って原因を解明する。

 環境ホルモン対策はこれまで、どの物質に内分泌かく乱作用があるか調べる「犯人捜し」が中心。同省は今後、野生生物への影響調査に力を入れる方針で、メダカの調査はその第一歩になる。国内では、有機スズ化合物による巻き貝の生殖器異常など、わずかな例しか影響はわかっていない。

 同省のメダカを使った試験で、ノニルフェノールとオクチルフェノール、ビスフェノールAに内分泌かく乱作用があることが判明したが、人間などの哺乳(ほにゅう)類への明確な内分泌かく乱作用は確認されていない。


男児の生殖器障害に環境ホルモン影響?

2002年11月29日 Yomiuri On-Line
 男性器に障害(尿道下裂)がある子供の母親は、工業製品中の樹脂などに使われ、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)として疑われているビスフェノールA(BPA)の血中濃度が、一般の妊婦に比べて約2倍高いことが、横浜市立大学の平原史樹教授らの調査で明らかになった。また、一般の胎児のBPA濃度が、妊婦より約3倍高いことも確認され、BPAが胎児の体内で濃縮されている可能性が指摘された。

 環境省の委託調査で、広島市内で開かれていた「内分泌かく乱化学物質問題に関する国際シンポジウム」で28日、発表された。

 調査は、障害のある子供の母親30人と一般妊婦820人の血液を比較。その結果、BPA濃度はそれぞれ1ミリ・リットル中に約0・82ナノ(ナノは10億分の1)グラム、約0・40ナノ・グラムで、約2倍の濃度差があった。

 一方、同じ一般妊婦(820人)の血中BPA濃度(約0・40ナノ・グラム)と、その胎児のさい帯血の濃度(約1・37ナノ・グラム)を比べたところ、胎児は母親より約3倍高かった。

 内分泌かく乱化学物質は、生体内でホルモンと似た作用をし、生殖器などの性分化や免疫の発達などに影響を与える可能性がある。BPAが直接障害を引き起こしたかどうかは未確認で、今後、原因を調べる。

 共同研究した神奈川県立こども医療センターの黒木良和所長は「女性のBPA濃度は妊娠中とそれ以外の時期で違う可能性がある。調査を進めてBPAと尿道下裂の関係を調べたい」と話している。

コイやカエル「メス化現象」

2002年10月07日 Yomiuri On-Line
 全国各地のコイやカエルで、精巣に卵巣が混じって成長する「精巣卵」が見られるなどの「メス化現象」が確認されたことが7日、環境省の調査結果から分かった。

 生殖機能に異常を来す環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の影響が考えられるが、同省は「まだ断定はできない」として、さらに調査を進める方針。

 コイの調査は昨年度、石津川(大阪府堺市)、印旛放水路(千葉市)、手賀沼(千葉県我孫子市)、日光川(愛知県津島市)の4か所で行われた。

 印旛放水路で捕獲された15匹のオスのうち2匹で、精巣がしぼむなどの異常が見られた。また、オス8匹の血清から、本来、メスにしかできないたんぱく質の「ビテロジェニン」が検出された。石津川でもオスの4割でビテロジェニンが見つかった。印旛放水路と石津川では、採取した水から、同省が環境ホルモンと認定している化学物質「ノニルフェノール」が検出されたほか、コイの体内にもノニルフェノールが含まれていた。

 一方、全国7地域でカエルのオスを捕まえ調査したところ、トノサマガエル57匹のうち、東海、北陸、関西地方での計9匹に精巣卵が見つかった。ツチガエルも中国地方の1匹に精巣卵があった。

環境ホルモン:減少微量のBPAでマウスの子育て行動が減少

2002年07月13日 Mainichi INTERACTIVE
 プラスチック原料などに使われ、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)とされるビスフェノールA(BPA)を妊娠中のマウスに与えると、生まれた子に、子育てに熱心でなくなるなどの行動変化が生じることを、米ミズーリ大のフレデリック・フォンサール教授らが13日までに、実験で確かめた。

 イタリアのグループも、生まれたマウスの性行動などに変化が起きることを同様の実験で確認した。

 与えたBPAは、人体に影響がないとされる量よりも少ないごく微量で、フォンサール教授は「中枢神経系が発達する時期に、環境ホルモンによる影響を受けた結果とみられる」と指摘。低濃度のBPAが、妊娠中の母親を通じ、次世代の生物に与える影響への注意を呼び掛けている。

 同教授らは、妊娠中のマウスに体重1キロ当たり10万分の1グラムのBPAを5日間えさに混ぜて投与。生まれた雌が成長して子を産んだ時の行動をBPAを与えていないマウスと比較した。

 母親の胎内でBPAにさらされたマウスでは、自分が産んだ子の世話をする時間が、BPAの影響がないマウスに比べ15%ほど少なく、逆に子育てをせずに休んでいる時間がほぼ60%長くなっていた。

 イタリア・フィレンツェ大などのグループも、同様の実験を行い、妊娠中にBPAを与えたマウスから生まれた子は、雌の性行動が活発になる一方、雄の性行動が活発でなくなるなど、行動にさまざまな変化が生じることを突き止めた。

 フォンサール教授によると、いずれの実験とも、マウスに与えた量は、人体に影響がないとされる量よりも少ないという。(ワシントン共同)

【ことば】ビスフェノールA

 ポリカーボネートなどのプラスチック材料や塩ビ製品の添加剤として大量に生産されている工業製品。ホルモンに似た働きをして生物の生殖機能などを乱す環境ホルモンの疑いが濃いとされ、最近では脳神経系への影響も注目されている。ごく低濃度でホルモン作用に影響を与えるとの実験結果が報告され、環境ホルモンが注目される原因の一つとなった。これを否定する化学品業界側の研究者との間で、激しい論争が続いている。 (共同)

ビスフェノールAの影響、卵子受精不能も

2002年07月06日Yomiuri On-Line
 フェノール樹脂など合成樹脂の原料となるビスフェノールAがごく微量存在しただけで、卵子の成熟が阻害され、受精できなくなる可能性が高いことが、東京大学医学部産科婦人科の堤治教授らのマウスを使った実験で、明らかになった。

 ビスフェノールAは内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の一種。未成熟な卵子を包んでいる卵巣内の顆粒(かりゅう)膜細胞が、この物質の働きで細胞自滅(アポトーシス)してしまうことが分かり、米科学誌「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ」に掲載された。

 卵巣内の未成熟な卵子と卵胞液は、顆粒膜細胞に包まれ、この中で卵子は成熟し、受精可能な状態になる。しかし顆粒膜細胞が壊れると、卵子は未成熟なままになり、受精ができない。  堤教授らは、ビスフェノールAの希薄溶液(1ミリ・リットル中に100億分の1グラム)でマウスの顆粒膜細胞を培養したところ、顆粒膜細胞の1割が自滅。1万分の1グラムの濃度では、半数以上の細胞が自滅することが分かった。

子宮内膜症の患者、腹水に環境ホルモン

2002年06月28日Yomiuri On-Line
 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)として健康影響が懸念される合成樹脂原料ビスフェノールA(BPA)が、子宮内膜症の患者の腹水に高濃度で含まれていることを、岡山大医学部の工藤尚文教授(産科婦人科)のグループが突き止めた。BPAが増えると、症状悪化につながる体内物質の分泌が増えることもわかった。「BPAと内膜症の関連を示す重要なデータ」としている。

 子宮内膜症の患者27人と健康な12人から子宮と大腸の間にたまる腹水を採取し、分析。BPAの濃度は、健康な人が1ミリ・リットル当たり平均約1・3ミリ・グラム(ナノは10億分の1)だったのに、発症初期の患者が同3・5ミリ・グラム、症状の進行した患者は同4・9ミリ・グラムだった。いずれも血中より高濃度だった。

 さらにBPA濃度が高い患者ほど、内膜症を悪化させる血管内皮増殖因子(VEGF)や窒素酸化物などの体内物質も腹水中に多く含まれていた。しかも患者の腹水から取った細胞を人工培養してBPAを加えたところ、細胞からVEGFや窒素酸化物などが活発に分泌されることも確認した。

 ポリカーボネート製食器などから溶け出すことがあるBPAは、女性ホルモンのエストロゲンと似た化学構造を持つ。細胞にBPAを加えた実験で、エストロゲンの働きを阻害する物質を加えると、VEGFは増えなかった。

 同大病院の中塚幹也助手は、「エストロゲンは本来、排卵周期に応じて増減するが、高濃度のBPAが常にあると、VEGFなどの分泌が過剰な状態になり、子宮内膜症が悪化するのではないか」と話している。

<環境省>工業用洗剤「原料4」に環境ホルモン作用 確認2例目

2002年06月14日(毎日新聞)YAHOO!ニュース
 環境省は14日、工業用洗剤の原料の4―オクチルフェノールが環境ホルモンとして働き、メダカのオスをメス化する影響があるとの報告書をまとめた。環境ホルモン作用の確認は2例目。家庭用洗剤にも使われていたが、業界が使用を自粛に取り組んでいる。現在の国内の河川の濃度では魚に与える影響は低いと結論付けた。


米軍が相模補給廠のPCB廃棄物を通告ないまま搬出

2001.02.17(12:43)asahi.com
 神奈川県相模原市の米陸軍相模総合補給廠(しょう)で保管されていたポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物と見られる荷物が17日未明、市側に事前通告のないまま搬出された。補給廠を出て東京都の米軍横田基地に運び込まれるのを、監視を続けていた相模原市の職員と市民団体が確認した。米軍は「運び出す際には、事前に通告する」と市に説明してきたが、通告もないままの搬出に、地元からは怒りの声が上がっている。

 PCB廃棄物は2日前に、同補給廠内の倉庫から運び出され、トレーラーの荷台に積まれていた。

 17日午前4時、相模原市職員と、市内の市民団体「相模補給廠監視団」(沢田政司代表)の目の前で、6台のトレーラーと3台のワゴン車が正門を出た。市と監視団の車が追うと、東京都内の米軍横田基地へ入っていったという。荷造りの仕方から航空貨物として横田から空路で米本国へ向かうと見られる。

 市は米軍や外務省に問い合わせているが、午前11時現在で回答はない。監視団メンバーの金子豊貴男市議は「なぜ情報を隠すのか理解できない。えひめ丸の事故をはじめ問題を抱えている時期に、さらに信頼を損ないかねないことをなぜするのか」と話している。

環境ホルモン解明へ動物実験を年内開始 まず8物質

2000.12.10(06:19)asahi.com
 超微量でも生物に悪影響を及ぼす恐れがあるとされる内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)について、環境庁は、新たな対策の必要性を判断するための動物実験を年内に始める。環境ホルモンの有害性については研究者間で激しい論争が続いており、いまだに決定的なデータは出ていない。

 実験は民間研究所に委託し、政府のミレニアムプロジェクト予算をあてる。まず調べるのは、大気や水などの環境中の濃度が相対的に高く有害性評価の緊急性が高いか、環境ホルモンの疑いがあるが有害性のデータがほとんどない8つの物質。2002年度までに計約40物質で有害性評価をする計画だ。

 予備実験では、環境中で検出されるのと同じくらい低い濃度の化学物質をマウスやラットのえさに混ぜる。妊娠期、乳児期、子どもの成長期に化学物質を与え、親や子どもの体重の変化、生殖器官への影響、行動異常、脳の変化などを調べる。この結果をもとに本実験の方法を決める。

 従来の毒性試験は、発がん性、慢性毒性、生殖毒性などについて、生物が取り込む化学物質の量に応じて毒性が強くなることを前提とし、それ以下ではまったく影響が出ない「最大無作用量」を決めている。

 ところが、環境ホルモンの疑いがあるビスフェノールAについて、米国の研究者が1997年に「最大無作用量の数万分の1以下でもマウスの前立せんに影響が出た」と発表。化学業界主導の大規模な追試では確認できず、国際的な論争になっている。

 超微量での影響が確認されれば、毒性学の前提が揺らぎ、化学物質の安全性の大幅な見直しにつながる可能性もある。環境庁環境安全課は「影響の有無をはっきり断定できないかもしれないが、貴重なデータになるのは間違いない」と話す。

メスに男性器、オスに女性器 サワガニに生殖異常

2000.12.03(07:18)asahi.com
 渓流に生息するサワガニのメスにペニスが生じたり、オスにメスの性器ができたりする異常が起きていることを、熊本県立大学などの研究グループが見つけた。16日から横浜市で始まる環境庁主催の「内分泌撹乱(かくらん)化学物質問題に関する国際シンポジウム」で発表する。こうした生殖機能の異常が、オスとメスの両方で見つかったのは初めて。研究グループは原因の究明を急ぐとともに、ほかの地域でも異常がないか、調べている。

 熊本県立大学の有薗幸司教授や高橋徹助手らは昨年、九州北部のある渓流で集めた144匹のサワガニを調べた。この渓流では1990年にサワガニの異常が見つかっている。

 12匹のメスはオスのようなペニスと精子の通り道である輸精管を持っており、うち1匹のメスには、卵巣の卵細胞が癒着して塊になるなどの異常が確認できた。16匹のオスにはメスが持つはずの「生殖口」が発生しており、うち2匹のオスは、精巣の隣に卵巣ができていた。

 渓流の水を調べたが、内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の疑いをもたれている有機塩素化合物やプラスチック関係の化学物質は検出されなかった。

 海に住むイボニシやアワビなどの貝類では、メスにペニスができる異常が知られ、船底の塗料などに使われたトリブチルスズが主原因とみられているが、渓流ではトリブチルスズも見つからなかった。

 九州のほかの川や渓流でのこれまでの予備調査でも、同様の異常が見つかっているという。有薗教授は「1カ所だけの現象ではなさそうだ。原因が環境ホルモンなのか、気候の変化やほかの生物の影響なのかは今後の研究課題だが、いろんな野生生物に内分泌撹乱の影響が出始めていることを実感した」と話す。

 研究グループは、原因究明やほかの川の調査を進めるため、研究者のネットワークを立ち上げた。環境庁と英国環境運輸地域省もカニやエビなど甲殻類の異変について日英共同研究を進める準備を進めている。

 サワガニは、北海道以外の日本全国に広く分布し、渓流や上流域の小川に生息する。体長は2センチ程度。

 <森田昌敏・国立環境研究所統括研究官(環境毒性学)の話> 女性ホルモンに似た作用を示す化学物質が魚をメス化させ、トリブチルスズが貝をオス化させる事例は知られているが、メス化とオス化が同時に起こることは考えにくく、合理的な説明ができない。現段階では、「訳が分からないが、何か異変が起きている」としか言いようがない。

男性の早熟化傾向がストップ 環境ホルモンの影響?

2000.12.02(15:24)asahi.com
 男性の早熟化傾向が、体格の伸びにもかかわらず、ストップしているとみられることが、神戸市立西市民病院の額田成・小児科医長らの調査でわかった。初めて射精する年齢(精通年齢)を分析した結果で、1940年代生まれ、50年代生まれ、60年代生まれと早まっていたのが、70年代生まれで止まる兆しを見せていた。環境庁の研究班の調査では、増えてきていた精巣の重量も近年は変わらなくなっており、今度の研究もあわせて、環境の影響も疑われている。

 額田さんらは、初めての射精時期を、製薬企業で働く男性に尋ね、はっきり覚えているという1163人の答えを分析した。

 その平均は、40年代生まれの人たちが13.2歳で、50年代、60年代生まれは12.7歳と、早まる傾向にあった。70年代生まれになると、12.8歳だった。

 精通が「小学生時代」と答えた人の割合も、40年代生まれは23.1%で、50年代、60年代生まれは36.5%と増えていたが、70年代生まれでは31.5%だった。

 一方、50年に136センチだった12歳男子の身長は80年に149.8センチに伸び、体重は31.5キロから41.4キロに増えている。

 環境庁の研究班が精巣の重さを調べたところ、40年から60年生まれにかけては増加傾向だったが、その後止まっている。

 額田さんらの研究は、横浜市で15日に始まる日本内分泌撹乱(かくらん)化学物質(環境ホルモン)学会で発表される。

 額田さんは「精通年齢の遅延化傾向が始まったと見られる。精巣重量の調査結果も同様の傾向を示しており、原因の1つに環境ホルモンが考えられるのではないか」と話している。

人の卵巣から環境ホルモン/東大研究グループ確認

2000.11.14 The Sankei Shimbun
 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)と疑われているビスフェノールA(BPA)が人の卵巣の中に存在することを、東大病院分院の堤治教授(産科婦人科学)らの研究グループが、世界で初めて確認した。

 研究グループは、不妊治療を受けている女性三十六人を対象に、体外受精で卵子を採る際に得られた卵胞液を調べた。この結果、全員からBPAを検出し、濃度は最高が一ミリリットル当たり四・四五ナノグラム(一ナノグラムは十億分の一グラム)で、平均で同二・三八ナノグラムだった。

危険度調査の優先物質にDEHPを追加 環境庁

2000.10.30(18:58)asahi.com
 環境庁は31日、「内分泌かく乱化学物質」(環境ホルモン)と疑われる物質約70のうち、塩化ビニル樹脂の可塑剤としておもちゃなどに広く使われているフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)を、毒性などの危険度を優先的に調べる物質に指定した。これで優先物質は8つになった。

 また、妊婦10人に昨年度行った調査で、10例中6例の胎児のへその緒から、DEHPを検出した。うち1例は脂肪1キログラム当たり16万マイクログラム(マイクロは100万分の1)と、ほかの物質より極めて高い数値が報告されており、同庁は「今の段階では危険度が高いとも低いともいえないが、これだけケタの違う数値が出たことから、母親から胎児に移行したのは間違いない」としている。

 厚生省は6月、DEHPを含む塩化ビニル製手袋を食品に使うことを避けるよう、関係営業者団体などに通知している。

PCB情報、国が一元管理 未処理分をデータベース化へ

2000.10.19(23:03)asahi.com
 環境汚染源として懸念される有害化学物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)対策で、厚生省は、高圧のトランスやコンデンサー、蛍光灯の安定器などPCBを含む電気機器の使用・保管状況を、国が直接調べて一元管理し、データベース化する方針を固めた。19日、来年度予算の日本新生特別枠で2億円を要求した。管理情報を随時更新して、高圧トランス類の紛失防止に目を光らせ、円滑に無害化処理を進めたい考えだ。

 PCBを多量に含む高圧トランス類は、使用中止後、厳重に保管することが事業者に義務付けられているが、保管状況を監視する仕組みはない。1992年と98年、都道府県などを通じて行った調査で、39万台中1万1000台がすでに紛失していることが判明。約11万台は事業者の所在が変わるなどで、行方が追跡できなかった。

 厚生省は現在、この不明分について都道府県などに追加調査するよう求めている。それでも判明しない分については、厚生省が直接調査を実施する。

 また、家電製品に使われた低圧のトランス類、感圧紙などのPCB汚染物など品目ごとに使用・保管状況を調べる。また今月初め、東京都八王子市の小学校で蛍光灯部品の安定器が破裂し、中のPCBが漏れた事故があったことを重視し、学校などの公共施設に残っている安定器についても調査する方向で、文部省などと調整をしている。

水道管から環境ホルモン 市民団体調べ

2000.08.04(02:03)asahi.com
 内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)のひとつとされるビスフェノールAが、家庭の水道管から溶出していることが、全国の生協など9団体でつくる環境ホルモン全国市民団体テーブル(小若順一事務局長)の調べでこのほどわかった。

 調べたのは、建物の水道メーターから蛇口までの水道給水管と呼ばれる部分。よく使われる7社の計10商品を調査した。いずれもプラスチック製で、素材はポリエチレンや塩化ビニル。この結果、7つから0.1―16ppb(ppbは10億分の1)のビスフェノールAを検出した。

 ビスフェノールAは、去年秋、米国の研究者が低濃度でマウス胎児の生殖機能に影響があったとする実験結果を発表している。環境庁も「環境ホルモンの疑いのある化学物質」としてリストアップしているが、「まだ断定できない」との理由から、環境ホルモンとしての規制値はない。

 小若事務局長は「実験結果をもとに計算すれば、0.12ppbくらいの規制値が必要になるはずだ。そうなれば、今回の調査で出た数値は人体への影響が十分、考えられる値だ」と警告する。

 水道管メーカーによれば、給水管のうちステンレス製のものは約5%。大半は塩化ビニルなどプラスチック製だという。市民団体テーブルは今後、安全性の高いステンレス管を使用するよう、住宅メーカーなどに働きかけていくという。

中小企業のPCB処理に、最大1800億円 厚生省試算

2000.07.17(14:34)asahi.com
 厚生省は17日、有害化学物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)を多量に含む高圧トランス(変圧器)やコンデンサー(蓄電器)を化学的に無害化処理するには中小企業関係分36万台で最大1800億円が必要になる、との試算をまとめた。現在使用中や散逸分も含むので、当面処理が可能な保管分は約19万台で約950億円かかる計算になる。同省は処理を促すために中小企業の処理費用を軽減する必要があると判断し、長年保管を続けさせた国とトランスなどを製造した電機業界を中心に官民が出資する基金を設ける方針を明らかにした。

 試算は、PCBを30―100キログラム程度含む高圧トランスとコンデンサー1台あたりの処理費用を50万円と設定。台数は、通産省の外郭団体が持つ保管台帳と1998年度に同省が実施した全国保管状況調査からはじき出した。電力など大手企業が各社で処理する約3万台分は試算に含まれていない。

 PCBは約30年前の製造禁止後、業者がトランスなどを紛失するケースが後を絶たず、1万台を超す紛失が判明している。また業者の倒産、住所変更などで約1万5000台分の所在確認ができない。トランスなどに含まれるコプラナーPCBが、ダイオキシン類の一種として環境汚染を深刻化させているとの指摘もあり、厚生省は処理を急ぐ必要があるとしている。

 処理の目標は、今年度始めた「ゼロPCB支援プロジェクト」で定めた「2005年までに中小事業者の保管分を5割削減」の方向を維持する。大企業が保管する約3万台は、自社での処理を促す。

 官民の基金の内容や規模は今後、詰める。産廃処理は排出者の企業が負担する原則だが、国が30年間も保管させた特殊性などを考慮し、処理費用にも財政支援することにした。

 PCBの処理施設は、ミレニアム予算で配分された6億円で1カ所、都道府県の廃棄物処理センターへの補助事業で2カ所程度整備する方針。厚生省はPCBを安全に処理できる方法として、従来の超臨界水酸化分解や脱塩素化分解に加え、光分解など3つの処理法を産業廃棄物の処理基準に加えていく考えだ。これらの技術を使う処理施設の建設を補助する。

 また、処理施設の周辺住民の理解を得るために、専門家による評価委員会が施設の周辺環境を監視、安全性を確認し、情報公開を徹底すべきだとしている。

在日米軍、保管するPCB廃棄物の日本での処理を要請へ

2000.07.01(00:30)asahi.com
 在京の米政府当局者は30日、在日米軍の保管している有害物質・ポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む廃棄物を、日本国内で処分したり、第3国に運び出したりしやすくできるよう日本政府に求める方針を明らかにした。

 基地に関する問題を扱う日米合同委員会で今後、提起していく考えだ。だが、日本国内にはほかから委託を受けてPCB廃棄物を処理できる施設がないことから、日本側は日米安保にからむ新たな難題を抱えることになりそうだ。

 今春、神奈川県の米軍相模総合補給廠(しょう)で保管されていたPCB廃棄物が、横浜港から搬出された際、書類不備などを理由にカナダで陸揚げを拒否され問題になった。

 外務省によると、米国政府から29日、在日米軍の保管しているPCB廃棄物が現在440トンあり、年内にさらに95トン増える見込みだとの連絡があったという。

ブループラネット賞に環境ホルモンのコルボーン博士ら

2000.06.15(01:39)asahi.com
 科学技術の面から地球環境問題に貢献した人や組織に贈られる「ブループラネット賞」の今年度の受賞者に、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の研究で知られるティオドラ・E・コルボーン博士(米)と、持続可能な社会の構築を推進する非政府組織(NGO)「ナチュラル・ステップ」を創設したカールヘンリク・ロベール博士(スウェーデン)が選ばれた。旭硝子財団が14日、発表した。表彰式は10月26日。副賞としてそれぞれ5000万円が贈られる。

グリーンピース、清掃工場内にごみ焼却反対の横断幕

8:09p.m. JST May 09, 2000 asahi.com
 9日午前11時ごろ、東京都豊島区上池袋2丁目、豊島清掃工場内にある「区立健康プラザとしま」(11階建て)ビルの外壁を国際的環境保護団体グリーンピースの活動家4人がのぼり、「ごみ焼却がダイオキシンを発生させている」として焼却に反対する横断幕を外壁に張り付けた。警視庁池袋署員が、安全マットなどを広げて投降を説得するとともに、建造物侵入の容疑で調べている。

非塩素系の商品化困難

2000年1月18日 15時12分 共同通信社
 旭化成工業の山本一元社長は18日、大阪市内で記者会見し、非塩素系素材を原料とした家庭用ラップの商品化について「(現在の製品と比べ)耐熱性や密着性という難しい課題がある」と述べ、同社としては商品化が困難との見解を示した。

 市販ラップの主流になっている塩素系の家庭用ラップは、燃やすとダイオキシンが発生する恐れがあると指摘されている。

おもちゃの素材名を表示

2000年2月9日 19時52分 共同通信社
 乳幼児用の塩化ビニール製おもちゃに、生殖機能に悪影響を及ぼす内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の疑いのある物質が含まれている問題で、全国のおもちゃメーカー約600社でつくる、日本玩具協会は9日、3歳未満を対象にした合成樹脂のおもちゃについて、主要な素材名を商品に表示するという自主的なガイドラインを決めた。

環境ホルモン対策で幼児用おもちゃの素材表示へ

2:11p.m. JST December 25, 1999
 社団法人日本玩(がん)具協会(山科誠会長、580社加盟)は、3歳以下を対象としたおもちゃの素材を表示する自主基準を定め、来年4月から適用することを決めた。塩化ビニルなどを使った幼児用のおもちゃについては、これまでほとんど表示がなく、消費者団体などからは、「内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)を含んでいるかどうか、消費者が買う時に判断できない」との批判が寄せられていた。メーカーへの強制力はないが、大半のメーカーが基準に従うと見られる。

 協会の自主基準は、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど25の素材を挙げ、これらが3歳以下を対象としたおもちゃに含まれている場合には、素材名を表示するよう求めている。来年1月に基準を正式決定し、4月から生産されるおもちゃに適用する。おもちゃ市場は年商約9000億円で、協会の加盟社が、そのほぼ9割を占めている。

 協会は従来、安全性などの観点から基準を作り、合格したおもちゃに安全性を示すSTマークをつけてきたが、素材表示についての取り決めはなかった。このため、表示をするかどうかはメーカーが独自に判断していた。

 しかし、人形やボール類といったおもちゃの素材としても使われている塩化ビニルなどからは、内分泌かく乱作用が疑われているフタル酸エステル類が溶け出すとされる。最近、環境ホルモン問題への関心が急速に高まったのを受けて、消費者団体や環境保護団体が塩ビ類の使用中止や素材表示を求めていた。

 協会は、7月から商品安全委員会で検討を続け、消費者の不安感を取り除くためにも素材を表示する必要がある、との見解で一致した。

欧州委が塩ビ製がん具禁止

1999年12月22日 17時55分 共同通信社
 欧州連合(EU)欧州委員会が22日までに、生物のホルモンの働きを乱す内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の1つとされるフタル酸エステル類6種を含む塩化ビニル製おもちゃなどの一部をEU全域で販売禁止することを決定、クリスマスを前に各国で販売禁止措置が始まった。これに対し、国内のグリーンピース・ジャパンなど5団体は厚生省に、日本も同様の対応を取るよう申し入れた。

PCB含有物134トン貯蔵

1999年12月15日 19時54分 共同通信社
 神奈川県相模原市の米陸軍相模総合補給廠に有毒物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む大量の廃棄物が保管されている問題で、PCB含有物は少なくとも226種類、134.785トンに上ることが15日、分かった。

 この問題の調査を続けている金子豊貴男同市議の情報公開請求に対し、米国防総省の余剰物資財産処理事務所が資料を公開した。

「レンジでチン」ご用心! 塩ビラップから環境ホルモン

3:30p.m. JST December 09, 1999
 日本消費者連盟など約90の市民団体でつくる「環境ホルモン全国市民団体テーブル」はこのほど、市販されている塩化ビニル製ラップの中から2社の製品を選んでおにぎりやコロッケを温めたところ、「内分泌かく乱化学物質」(環境ホルモン)の疑いがある「ノニルフェノール」が検出されたことを明らかにした。燃焼条件次第でダイオキシン発生の恐れがある塩ビラップの新たな問題点が浮上した形だが、2社は「製品の販売中止や別の安全な製品に切り替えるなどの措置を取った」と話している。

 「環境ホルモン全国市民団体テーブル」は10月、おにぎり10個と、市販の冷凍食品のコロッケを揚げたもの10個を、2社(いずれも本社・東京)の塩ビラップにくるみ、財団法人日本食品分析センターに郵送。  これを受けて同センターでは、おにぎりは30秒間、コロッケは15秒間、電子レンジ(600ワット)で温め、その後ラップをはずして「液体クロマトグラフ質量分析法」により判定した。

 その結果、1社の塩ビラップにくるんだおにぎりからは0.5ppm(ppmは100万分の1)、コロッケからは1.6ppmのノニルフェノールが、もう1社の塩ビラップにくるんだおにぎりからは0.81ppm、コロッケからは2.8ppmのノニルフェノールがそれぞれ検出された。

 塩ビラップとノニルフェノールの関係については、国立医薬品食品衛生研究所の調べで、塩ビラップ16検体のうち14検体中にノニルフェノールが残存していたことが判明している。また、市販されている11種類の塩ビラップからノニルフェノールが溶出することも、環境ホルモン全国市民団体テーブルが日本食品分析センターに依頼した別の検査で確認されている。今回の検査はこの11種類の中から任意で2つを選んだ。塩ビラップから溶出したノニルフェノールが食品に移行しているのが確認されたのは初めてという。

 これに対し、1社は「家庭用の塩ビラップは今春、販売を中止した。今は、家庭用については約2年前から販売を始めた別の非塩素系ラップ1本に絞っている。このラップは、高温で加熱してもノニルフェノールが検出されない、安全性の高い製品だ。また、営業用や業務用の塩ビラップについては今後、ノニルフェノールが生成されない別の安定剤を使った新たな製品に変えて出荷する予定」と話している。

 また、もう1社は「家庭用、営業用の塩ビラップについては10月から、ノニルフェノールを生成する疑いのある安定剤を使うことをやめ、別の安定剤に切り替えた」としている。

 複数の専門家は「2社以外の塩ビラップも同様に調べればノニルフェノールが検出される可能性がある」と指摘している。

日英で環境ホルモン研究

1999年12月7日 14時50分 共同通信社
 内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の環境中での挙動や生態系への影響を調べるため、環境庁は7日、英環境運輸地域省との間で共同研究に関する取り決めの文書を交わした。共同研究のテーマのうち生態系への影響は、特に英国で実績のある海や河川にすむ生物を対象に調べる。また、生物が受ける環境ホルモン作用を定量化する方法についても検討する。研究期間は当面5年間。

7化学物質の監視強化へ

1999年11月29日 16時43分 共同通信社
 環境庁は29日、農薬や界面活性剤の原料であるフェノールなど7物質の毒性の評価を進めるとともに、監視を強める方針を決めた。これら7物質は、環境調査の結果、直ちに健康への影響が懸念されるレベルではないものの比較的、濃度が高く検出されるケースが多かったため。

阿武隈川のコイ雌化

1999年11月19日 19時50分 共同通信社
 東北地方建設局は19日、国が管理する東北の1級河川12水系で、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の調査結果を発表した。阿武隈川(福島県、宮城県)で捕獲した雄コイ39匹のうち13匹から、産卵期の雌のコイが持つ卵黄タンパクのもととなる「ビテロゲニン」を検出下限値の血清1ミリリットル当たり0.1マイクログラム以上を検出。雄コイの3分の1が雌化している可能性が確認された。

167地点で環境ホルモンを検出 建設省の全国河川調査

8:25p.m. JST November 19, 1999
 建設省は、全国の河川109水系で7―9日に実施した内分泌かく乱物質(環境ホルモン)調査と春に行った魚類の調査結果を19日、発表した。計261地点のうち、167地点で環境ホルモンと疑われる7つの化学物質が検出された。また、魚類を調べた九水系すべてで、捕獲したオスのコイからメスにしかないはずの卵黄たんぱくが検出された。建設省は化学物質の流入経路や水質の変化を把握するため、環境庁と協力して多摩川と淀川で集中的な調査を行うほか、継続して全国調査を行う。

 検出された7つの化学物質のうち、最も検出地点が多かったのは、樹脂原料の「ビスフェノールA」で、115地点。合成樹脂の可塑剤に使われる「フタル酸ジ―2―エチルヘキスル」が66地点、界面活性剤に使われる「ノニルフェノール」は35地点だった。建設省は「昨年の調査と比較して、検出地点数は減少している」と話している。

 一方、魚類の調査では、捕獲した252匹のオスのコイのうち、77匹から血清中の卵黄たんぱく(ビテロゲニン)の濃度が1ミリリットル当たり、0.1マイクログラム以上検出された。このうち、9匹が10マイクログラム以上だった。

 また、多摩川と淀川の9カ所の下水処理場の放流水を調べたところ、4カ所で「ノニルフェノール」など3つの化学物質が検出された。

環境ホルモン全国調査結果を公表 全国規模の汚染裏付け

9:57p.m. JST October 29, 1999
 環境庁は29日、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)と疑われる67物質について全国規模で大気、水質、底質(泥)、生物を対象に行った初の調査結果を発表した。大気からは、発がん性が指摘されるベンゾ(a)ピレンやフタル酸ジエステル類が大半の地点で、河川や湖沼の水質と底質では、ポリ塩化ビフェニール(PCB)が7―8割で検出された。コイなどの魚類と猛きん類、クジラ、タヌキなどの野生生物は、PCBが高濃度で検出されるなど、全国規模での汚染が裏付けられた。

 同庁は、各物質を今回の検出率や使用量の動きなどからグループ分けし、優先順位をつけた上で、まず、トリブチルスズなど4物質について人への影響を評価する。

調査には、昨年春から1年間かけた。大気については198地点で調べ、排ガス、粉じんなどに含まれるベンゾ(a)ピレンは工業地域で1立方メートル中0.056―2.4ナノグラム(ナノは10億分の1)、道路沿道で0.14―1.4ナノグラムなどだった。

 河川、湖沼、海域、地下水は、405地点で22物質を調べた。水質は97%、底質は96%、魚類は98%で何らかの対象物質が確認された。個別の物質では、PCBは水質の69%、底質の83%、魚類の94%、船底の塗料などに使われたトリブチルスズは水質の7%、底質の53%、魚類の80%からそれぞれ検出された。

環境ホルモンで市場変動

1999年8月10日 17時20分 共同通信社
 内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)への不安が食器メーカーにも波及している。生物の生殖機能への悪影響が指摘される、ビスフェノールAを含む、ポリカーボネート(PC)製の給食用食器を別の素材製に切り替える小中学校が増えているためだ。

縄文系の男性は環境ホルモンに弱い? 精子数が少ない

2:05p.m. JST August 07, 1999
 日本人は在来系の縄文タイプと、渡来系の弥生タイプに分かれるといわれるが、縄文系の男性は精子の数が少なく、無精子症になる確率も高いことが、厚生省の研究班の調査でわかった。日本人男性の精子数を調べたところ、縄文系とみられるタイプのY染色体をもつ男性がほかのタイプの人に比べて精子数がかなり少なかった。研究を担当した中堀豊・徳島大医学部教授は「男性の精子形成能力が遺伝的に異なっているか、男性のグループ間で内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)などへの反応性が違う可能性がある」と指摘している。

 環境ホルモンが人の精子数に影響するかどうかは、まだ実証されていないが、今回の結果から、縄文系の男性は環境ホルモンに弱く、子孫を残す能力が弥生系のタイプの男性より劣っている可能性が出てきた。

 調査は、文部省の研究と厚生省の環境ホルモンに関する研究の一環として実施された。神奈川県内の3つの病院で、少なくとも1人の子どもがいる20代と30代の健康な男性198人から、精子と血液を提供してもらった。

 日本人男性のもつY染色体が4つのタイプに分かれることから、そのタイプ別に分けたところ、健康な男性198人のうち、タイプ1が94人(47%)、タイプ2は44人(22%)、タイプ3は19人(10%)、タイプ4は41人(21%)だった。

 中堀教授によると、これまでの日本人以外も含めた調査から、タイプ1、3、4が弥生時代以降に大陸や朝鮮半島からやってきた弥生系で、タイプ2は1万年以上前から日本列島に住んでいた縄文系とみられるという。

 精子1ミリリットルに含まれる精子数を比べると、縄文系のタイプ2は平均で約8300万個で2割ほど少なかった。それ以外のタイプはすべて平均1億300万個を超えていた。しかも縄文系のタイプ2は、3人に1人が妊娠しにくいといわれる4000万個以下だった。4000万個以下の人の割合は、弥生系のタイプ1が27%、型が近いタイプ3と4は合わせて17%だった。

 年齢別にみると、縄文系のタイプ2は30歳までは精子数の平均は1億200万個程度だったが、30歳を超えると7100万個程度に減少していた。

 また、神奈川県と大阪府の病院にかかっている無精子症の患者106人の協力を得て、Y染色体をタイプ分けしたところ、縄文系のタイプ2は無精子症になる確率が、タイプ3、4に比べて2倍高いこともわかった。

 研究結果は9月1日発行の日本人類遺伝学会雑誌「Journal of Human Genetics」に掲載される。

有機スズ汚染アジアに拡大

1999年7月17日 16時39分 共同通信社
 船舶や漁網の塗料に使われ、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の一つとされるトリブチルスズ(TBT)などの有機スズ化合物による環境汚染が、アジア諸国で深刻化していることが、17日までに愛媛大沿岸環境科学研究センターを中心とする国際共同研究チームの分析で明らかになった。

環境ホルモン対策にステンレスと樹脂合わせ給食用食器

11:21p.m. JST July 24, 1999
 鉄鋼大手の日新製鋼は、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)対策で、ステンレスと樹脂を組み合わせた給食用食器を8月から売り出す。環境ホルモンへの関心の高まりから、全国で学校給食用のポリカーボネート(PC)製食器を別の食器に切り替える動きが進んでおり、この機にステンレス需要の拡大を図るのが狙いだ。

 洋食器メーカーなど2社と共同開発したもので、食器の内側はステンレスで、外側にポリプロピレン樹脂をはめ込んだ。接着剤を使っていないため、食器が古くなったら切り離してリサイクルできるという。学校や病院の給食用食器として売り込みたい考えだ。1個1000円程度で、年間10万個の出荷が目標。

 学校用の給食食器を巡っては、環境ホルモン問題をきっかけに、磁器やステンレス製食器などへの切り替えが進んでいるが、ステンレス製食器については「汁物を入れると熱くなり、手で持てない。子どもたちが食べる際にも犬食いになる」などの批判があった。日新製鋼では、外側を樹脂にしたことで問題点を解消したとしている。

 ステンレス鋼板は日新製鋼の主力商品。しかし長引く不況で企業からの需要が落ち込み、価格も低迷している。同社は、消費者向けの食器の開発を通じて幅広い層の需要を掘り起こしたい考えだ。

EUが米国産ホルモン牛肉の禁輸継続を確認へ

7:36p.m. JST May 17, 1999
 欧州連合(EU)は17日の外相、農相両理事会で、成長促進ホルモンを投与した米国産牛肉の禁輸を続けることを確認する。米国は、世界貿易機関(WTO)が定めた今月13日の「輸入解禁期限」を守らなかったとして、年間2億200万ドル分のEU産品に100%の制裁関税を課す、と発表している。EUはこの制裁額についてWTOで争う一方、米政府との間で米畜産業界への損害補償協議を進める方針だ。

 EUは、少なくとも残留ホルモンの安全性調査が終わる年末までは、禁輸を続ける考えを固めている。調査の中間報告では一部ホルモンの発がん性が指摘され、来年以降も輸入解禁は難しいとの見方が大勢だ。

米欧の牛肉紛争に火、「成長促進ホルモンは有害」

00:15a.m. JST May 04, 1999
 米国などが家畜肥育用に使っている成長促進ホルモンの安全性を調べていた欧州連合(EU)の調査委員会は3日、「ホルモンには発がん性を持つものもあり、乱用は危険」とする報告書を出した。米国は、成長促進ホルモンを使った牛肉の輸入解禁をEUに迫っており、EU側が改めて有害と判断したことで紛争は一層こじれそうだ。

 調査委は6種類のホルモンを分析し、「人体への危険度で量的な判断は下せないが、明らかに潜在的な有害性がある」とした。また、米国とカナダでは流通段階での残留ホルモン検査が不十分だと指摘した。

異変の有無で激論、環境ホルモンシンポジウム

 京都市で12日開かれた内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の国際シンポジウムで、環境ホルモンの疑いがある物質により動物に異変が「起きた」とする米国の大学の研究者と「起きない」とする英国企業の研究者が白熱した議論を戦わせた。日本の学会ではめったにない展開に、参加者はかたずをのんで見守った。

 議論の発端は、英国の化学企業ゼネカ社の中央中毒学研究所のジョン・アシュビー主査研究員の講演。同研究員は、欧米の2、3のグループが、ネズミなどの実験で、環境ホルモンの疑いがあるビスフェノールAなどの化学物質をごく微量与えられた母親から生まれたオスの子に、前立せん肥大などの異変が現れたと報告していることを批判。「私たちを含めて複数のチームが同じ条件で追試したが再現できなかった。いっさい再現できないということは、そういう異変がおきないと考えざるを得ない」と語った。

 これに対し、名指しで批判され、会場にいた米ミズーリ大学のフレデリック・フォンサール教授が反論。「あなたたちは、同じような異変がおきるはずの合成女性ホルモンを投与した実験でも異変を起こせていない。実験全体を否定すべきだ」とやり返した。

 この後、「私の実験をごみ扱いするのか」といった激しい応酬が続いた。結局、両者の意見は平行線のままだった。

報道特集(byファミテック農園)

カップめん容器、いつの間にやら「紙製」に(98/10/14 日経ビジネス)


環境ホルモンの初の全国河川調査、66%で検出(9:35p.m. JST October 16, 1998)

大阪・島本町の焼却場土壌から高濃度ダイオキシン(0:42a.m. JST October 4, 1998)

瓶や缶でも環境ホルモン (1998年9月12日 11時36分)

 国産のドリンク剤やワイン、缶ビール、しょうゆなどで容器がガラス瓶や金属缶でも、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の一種とされるフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)が微量ながら含まれている場合があることが、矢野一行・埼玉医大教授らの研究で分かった。          

環境ホルモン学会、正式名称決まる (1998年8月28日 (金) 8時10分)
 日本環境ホルモン学会(仮称)は二十七日都内で総会を開き、学会の正式名称を「日本内分泌撹乱化学物質学会」(通称=環境ホルモン学会)に決めた。

環境庁の概算要求、環境ホルモン対策などで17.8%増
(1998年8月27日 (木) 8時10分)
 総額は前年度比一七・八%増の九百四十億千三百万円。ダイオキシン、環境ホルモンといった化学物質関係は前年度の三倍近い七十二億五千四百万円。

花王、環境ホルモン代替物質使用の製品名は公表せず
(1998年8月26日 (水) 8時10分)
 家庭品と化粧品の一部製品について、可塑剤などとして用いられる「フタル酸ジエチル」と紫外線吸収剤などとして用いられる「ベンゾフェノン」が微量使われていることが分かった。ただ、今回環境ホルモン使用が判明した一部製品について、消費者からの問い合わせにも、製品名を公表しないことにした。

通産省、環境ホルモンの実態調査へ
(1998年8月14日 17時56分)
 1998年度補正予算に盛り込んだ6億5000万円を充てる。

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