TOPIC No.2-93 電力自由化

貯水池の流木から化粧品 電力卸会社の子会社が製造販売

2001.02.22(18:45)asahi.com
 電力卸会社である電源開発(本社・東京)の子会社「エピュレ」は21日、化粧品を売り出した。クレンジング、パックなど6種類で、「フレッセ」と名付けた。年間1億円の売り上げをめざす。

 開発のきっかけは、水力発電所の貯水池にたまって発電の妨げになる流木の処理だ。炭化させる際に出る木酢液には天然保湿成分があり、これを使わない手はない、と研究を続け、10年越しで製品化に成功した。フレッセは、フレッシュとエッセンスからの造語。エピュレは化粧品のためにつくった会社だ。

 電源開発は国と電力会社の出資で1952年に設立された。66カ所の発電所を持つ。しかし、電力自由化の流れに加え、初の原発計画も用地買収が難航するなど環境は厳しい。2年後に民営化を控え、多角化を目指している。

沖縄電力が、LNG調達で台湾電力との提携検討

2001.02.19(19:19)asahi.com
 沖縄電力の仲井真弘多社長は19日、東京都内で記者会見し、建設を計画中の液化天然ガス(LNG)火力発電所の燃料調達で、台湾電力との提携を検討していることを明らかにした。県内初のLNG火力2基(各22万キロワット)を従来計画より3年以上早い2010―12年度の運転開始をめどに新設する考えを示したうえで、LNG火力で実績があり、九州電力より距離の近い台湾電力との協力を希望した。

 沖縄電力は現在、石炭と石油の火力発電に発電量の99%以上を依存しており、地球温暖化対策のため、二酸化炭素排出が比較的少ないLNGの利用を打ち出していた。

青森の東通原発、将来凍結も 東電方針

2001.02.10(03:07)asahi.com
 東京電力は福島第1原子力発電所の7号、8号の運転開始時期について、現行計画より1年ほど延期し、それぞれ2007、08年とし、青森県の東通(ひがしどおり)原発1号、2号については当面「2010年以降」としている現行計画を維持する方針を固めた。来月まとめる設備建設の10年計画に盛り込む。ただ、東通原発は需要地から離れ、送電などのコストがかさむため数年中に凍結する可能性が強い。

 東通について東電は、新規立地で増設に比べて効率が悪く、送電コストもかさむことから、計画の見直しを検討している。だが経済産業省は、温暖化ガス削減の観点から2010年度までに、東通を含めた計13基の原発稼働を見込んでおり、いま延期すると政策上の影響が出ることなどを配慮し、当面は計画を変更しない意向だ。しかし、具体的な建設手続きの開始予定である2002年度までには、計画を凍結する意向が強い。

 一方、福島第1の7号、8号は関東圏に隣接し、すでにある原発の増設にあたることなどから推進する方針だ。しかし、現状の手続きの進み具合が遅れているため、その分の延期を盛り込む。

 東電は8日、電力需要の伸び悩みなどを受けて、原子力発電所以外の発電所新設計画を来年度から3―5年間凍結する方針を発表している。

「原発は対象外」と平沼経済産業相、東電の発電所凍結で

2001.02.09(16:03)asahi.com
 平沼赳夫経済産業相は9日閣議後の記者会見で、東京電力が発電所の建設計画を原則凍結することに対し、「東電サイドから原発はやると聞いている」と述べ、東電は原子力発電所の建設計画の凍結はしない、との認識を示した。さらに「(凍結は)電力の安定供給は確保されるのが前提だ」と述べ、米カリフォルニアで起きたような電力不足などの問題は国内ではまず起きないとの見方を強調した。

 今後の電力市場の自由化については、「自由化が進むと(安定供給などの)心配の素地はあるが、電力会社と連携を密にすれば国民に安心して電力を供給する体制はできる」と話した。

東京電力、発電所建設を凍結へ 需要伸び悩み

2001.02.08(20:58)asahi.com
 東京電力は8日、今夏の運転開始を予定している一部の発電所を除いてすべての発電所計画について、原則として来年度から3―5年間計画を凍結すると発表した。必要な設備能力の目安となる夏の電力需要のピークが、昨年まで4年続けて過去最大を更新せず、設備過剰感が強まってきたためだ。青森、福島両県に各2基予定している原子力発電所については、「原則として含める」(幹部)としているが、地元との調整などで例外扱いする可能性もある。電力業界は今後、自由化の進展とともに競争の激化が予想されており、ほかの電力会社にも似た動きが広がりそうだ。

 同社が計画中の大規模発電所は9地点14基。ほかに特殊法人の電源開発(本社・東京)が計画中で、東電が電力購入を予定している発電所でも大間原発(青森)を除いて凍結を働きかける。場合によっては5年を超える凍結も考える予定で、地点別の凍結期間は3月下旬までに決定する。

 ただし、今年夏の運転開始を予定している液化天然ガス(LNG)火力の品川火力(東京都)1号、富津火力(千葉県)3号については、工事が最終段階に入っているため、計画変更はしない。

 原子力は福島第1原発の7号、8号がそれぞれ2006、07年に、東通原発(青森県)1号、2号が2010年度以降の運転開始を予定している。同社内には他電源と同じく凍結してコスト削減を図ろうという考えも根強い。だが、これまで地元に受け入れを求めてきた経緯や、温暖化ガスの排出削減をめぐる経済産業省との調整を考えて、1年程度の小幅な計画延期や、凍結の決定自体の先延ばしなどの可能性が出ている。


住友商事が電力小売りに参入 西日本に供給

2001.02.09(19:59)asahi.com
 住友商事は9日、電力小売り事業に参入すると発表した。住友化学工業の子会社の発電会社、住友共同電力(愛媛県新居浜市)と共同でサミットエナジー(東京)を設立。4月から、電気の周波数が60ヘルツの本州中央部以西の西日本地域を対象に電力を供給する。総合商社で電力小売りに参入するのは、三菱商事、丸紅に次いで3社目になる。

 サミットエナジーは、住友共同電力の発電所のほか、住商の取引先企業などの自家発電設備から余剰電力を買い取って年内に10万キロワットの電力を確保する。

 供給先は、住商大阪本社(大阪市)など住友グループ企業のビルのほか、ホテル、百貨店、大学などとも交渉している。今後、首都圏など東日本地域への供給も検討する。

 住友共同電力は新居浜市などに火力、水力発電所計12カ所を持ち、自前の送電線を使って周辺のグループ企業の工場などに電力を供給するほか、四国電力にも卸売りしている。

電力小売り、完全自由化を視野に 平沼経済産業相

2001.01.20(14:54)asahi.com
 平沼赳夫経済産業相は19日の記者会見で、政府が進めている電力小売りの自由化について「将来的には完全自由化を考えている」と語り、家庭向けなどの小口も含めた自由化を視野に、新年度から制度見直しの議論に入る考えを示した。時期には触れなかったが、政府が完全自由化の意向を公式に表明したのは初めて。

 カリフォルニア州の電力危機への見解について問われたのに答えた。またこれら海外の実例を詳しく検証して制度づくりに役立てる考えも示した。

 電力の小売り自由化は、昨年3月に始まったが、現在のところ、2万ボルト以上の特別高圧電線を引き、使用規模が2000キロワット以上の大工場や大規模ビルなど、大口需要家向けに限定されている。政府は2003年春をめどに自由化の対象や制度を見直す方針を表明していたが、どこまで自由化するか、といっためどは示していなかった。

 資源エネルギー庁電力・ガス事業部は平沼氏の発言について「2年後の見直しで対象範囲がどこまで広げられるかには関係なく、送電網の運用などの制度面は、完全自由化にも対応できる形にしていくという趣旨だ」と説明している。

 同部は2月から3月にかけて欧米に職員と学者を派遣して先進事例を調査する。新年度からは、電力業界関係も含めて電力取引市場のあり方や送電部門と発電部門の分離の是非など具体的な議論に入る方針だ。

 現在、自由化対象となっているのは、需要量全体の3割にすぎず、これまでに小売りを始めた新規参入者は三菱商事系の1社にとどまっている。

電力小売りなど視野に東京ガス、日石三菱が相次ぎ新組織

2001.01.08(20:41)asahi.com
 都市ガス最大手の東京ガスと、石油元売り最大手の日石三菱が、電力小売りやコージェネレーション(熱電併給)などの電力関連サービス強化に向けた新組織をそれぞれ立ち上げた。電力業界の一層の規制緩和などを視野に、業態を超えた取り組みを加速させる考えで、電力会社との競合が激しくなりそうだ。

 東京ガスは今月から、2つの事業部と総合企画部に分かれていた発電や電力小売りなどの部門を集めてエネルギーソリューション事業部を設立した。NTTグループ、大阪ガスとの合弁で4月から電力小売りを始めるエネットを、電源の確保や発電所建設で支援する。顧客の光熱費を節約するための助言や、天然ガスを燃料とするコージェネ設備の設計、導入など省エネルギー事業も請け負う。

 日石三菱は昨年11月、コージェネ担当の事業室をTES(トータルエネルギーシステム)事業室と改称、全国12支店にそれぞれ「TESグループ」を新設した。スーパーやホテル、工場への石油系燃料によるコージェネ設備の営業を強化した。

 両社それぞれが2004年ごろの家庭用燃料電池の実用化を目標とするなど、新たな電力関連市場での主導権を狙ってもいる。

東京ガスが初の火力発電所建設へ 千葉・袖ケ浦に

2000.12.23(10:05)asahi.com
 東京ガスは、東京湾に面した千葉県袖ケ浦市の袖ケ浦工場の敷地内に出力10万キロワット級のガス火力発電所を建設する方針を固めた。系列の電力小売会社、エネットを通じて首都圏に電気を供給する。今年度中に正式決定し、2003年ごろの稼働を目指す。同社としては初の発電所で、ガス会社として国内最大の発電規模になる。

 天然ガスを燃料とする複合型火力発電所で、建設費は100億円余りとみられる。電力自由化の対象が将来、拡大されれば、東京湾沿いの扇島工場(横浜市)に40万キロワット級の天然ガス火力発電所2基を設ける大規模な構想もある。

 エネットは同社と大阪ガス、NTTグループが7月に設立した。来年4月から、日本製紙都島工場(大阪市、1万5000キロワット)、東ガス幕張ビル(千葉市、1000キロワット)などの発電設備の電気を買い取って主にNTTグループのビルに販売する。

 その後は東ガスの新発電所からの調達などで2004年に30万キロワット規模まで高める考えだ。

企業に進む「東京電力離れ」 三菱系に電力購入スイッチ

2000.10.25(20:25)asahi.com
 三菱商事は25日、電力子会社のダイヤモンドパワーが11月から日産自動車、ダイエー、高島屋、NKKの4社の一部ビルに電力を供給すると発表した。日産、NKKの本社ビルなど6カ所、約3万キロワット(ピーク時)の電力規模が対象で、電力小売り自由化に伴う「東京電力離れ」が、また一歩進むことになる。

 新たに対象となるのは両本社ビルとダイエーの新松戸、戸塚両店、高島屋の東京、柏両店。10月から値下げをした東電に比べて、電気代は2%以上安くなるとみられている。

 ダイヤモンドパワーは大口電力の小売り自由化に伴う新規参入の第1号で、8月から都心部の三菱系ビル9棟と、競争入札で勝ち取った通産省の本省ビルの合計約3万6000キロワットに電力供給を始めている。

電力10社、来月から平均5.42%料金値下げ

2000.09.13(22:52)asahi.com
 電力10社が10月1日から予定している料金値下げの通産省への届け出が13日、出そろった。値下げ率は平均で5.42%。4人家族の標準家庭の場合、電力会社によって平均消費電力量は異なるが、月額は253―421円、率では3.6―6.0%の値下げとなる。

 今回の値下げは、3月からの電気販売の部分自由化に伴う合理化の成果を、小口部門など地域独占の続く非自由化部門にも行き渡らせる狙いがある。3カ月ごとに燃料費の変動分を料金に反映させる調整制度とは別の本格改定で、前回(1998年2月)の4.67%を上回る引き下げ率となった。

 同時に、自由化部門の標準料金も値下げするほか、自由化部門での新規参入者や周辺の電力会社による送電線使用料を平均で7.3%値下げする。

電力小売り新規参入が相次ぎ表面化 米エンロン社系など

2000.08.19(08:26)asahi.com
 電力小売りの部分自由化に伴う新規参入の動きが18日、相次いで表面化した。米国の総合エネルギー会社、エンロン(本社・テキサス州)系のイーパワー(同・東京)による火力発電所の建設計画が浮上したほか、日本短資系のイーレックス(同・東京)が九州と関西での電力供給に向け、電源確保に乗り出したことがわかった。また、伊藤忠商事も来年春をめどに電力小売り事業に参入する意向だ。すでに参入した三菱商事の子会社に次いで、地域独占を続けてきた電力会社への「挑戦」が活発化しつつある。

 イーパワーは、エンロンとオリックスの合弁企業、エンコム(同・米ニューヨーク州)の子会社。福岡県内に火力発電所を設ける構想を進めており、6月下旬に担当者が大牟田市の幹部に会い、出力50万キロワットの石炭火力発電所を建設する考えを打診した。

 順調なら3―5年で稼働し、自由化に伴う初の新設発電所になる可能性がある。1997年に閉山した三井三池炭鉱のある大牟田市の工業地帯には、輸入炭を受け入れる港や関連設備が整っているため、建設費を抑えられるとの判断がある。

 ただ、立地には三井鉱山グループなどの協力が必要とみられ、九州電力を石炭の大口販売先とする三井鉱山には「寝返る印象になる」(関係者)と協力に慎重な考えもあるため、実現性は不透明だ。イーパワーは「全国で候補地を探している段階で、具体的計画は決めていない」という。

 イーレックスは、金融機関の間の資金移動を仲介する短資会社、日本短資の子会社や三井物産などが出資して設立した。2001年春に九州で5万―6万キロワット、翌2002年初めに関西で5万―10万キロワット規模の電源を確保する考えで、自家発電の余剰電力の獲得交渉に入った。首都圏での参入も検討している。

 伊藤忠商事は当初、今月の通産省ビルの電力入札に参加することを予定していたが、東京電力による割高な卸供給料金や、電源確保が難航していることで断念。巻き返しを図るほか、米国企業と合弁で電力の取引市場も設ける。

通産省の電力入札、業界反発で約20日延期

2000.06.10(10:28)asahi.com
 通産省は9日、大口電力小売り自由化に伴って予定している、本省ビルで使う電気の調達開始時期を、当初予定の8月3日から同月下旬に20日程度延期することを決めた。料金を比べやすい電力量1キロワット時あたりの単価での入札を予定したところ、東京電力など業界側が基本料金と従量料金の2部料金制での入札を求め、調整に手間取ったためだ。

 同省は「電力量あたりの『一本単価』で押し通すと入札参加者が減り、料金が割高となる可能性もある」と判断し、単価の提示方法は各社に任せる一方、同ビルの1年間の料金総額の見通しを記入させ、比較することにした。

 入札手続きは50日の周知期間が必要で、今月19日ごろに官報公示し、落札企業の決定は8月10日ごろとなる予定だ。

三井物産が電力売買取引の仲介に参入

2000 年 6 月 8 日 YOMIURI ON=LINE
 三井物産は七日、自家発電して余った電力を売りたい企業と、電力会社より安い価格でほかの企業から電力を調達したい企業との間を仲介し、電力の売買取引を成立させる事業に参入する方針を明らかにした。金融機関同士の資金の貸借を仲介している日本短資(本社・東京)と共同出資して、六月中にも新会社「E―REX」(イー・レックス)を設立する計画で、日本初の本格的な電力取引市場が誕生することになる。インターネット上の取引市場も設ける考えだ。

 大口の電力小売りは、日本でも今年三月から自由化された。しかし、余った電力を売りたい企業と、必要な電力をより安く買いたい企業の情報が集まる市場がないため、実際の電力売買の実績は上がっていない。

 電力取引仲介会社が誕生すれば、一般企業同士の電力売買が一気に拡大すると見られている。

 また、これまで使われていなかった余剰電力を活用できるようになるため、企業のコストダウンだけでなく、省エネルギーにも役立つと期待されている。

 「E―REX」は、日本短資の関連会社であるエネルギー情報提供会社「日短エナジー」を改組する方向で調整している。資本金は五―六億円規模で、このうち三井物産が一〜二億円出資する方向だ。このほか、大手金融機関などが出資する可能性もある。

NKK、電力小売り参入を正式発表

2000.06.06(22:20)asahi.com
 鉄鋼大手のNKKは6日、電力の小売り事業に参入すると正式に発表した。京浜製鉄所(川崎市)にある自家発電設備(44万キロワット)の電力のうち、余剰分の2万キロワットを三菱商事に販売することで大筋合意した。NKKは、電力小売りを通じて、京浜製鉄所の収益改善を図る。

 NKKは従来月産30万トン体制だった京浜製鉄所の粗鋼生産規模を月産25万トンに下げて、操業コストの削減を続けている。生産規模縮小に伴って発電能力が余っていたため、今年初めごろから電力小売り事業に参入する方向で調整を続けていた。

 NKKと三菱商事は、今年夏までに正式契約を結ぶ見通し。三菱商事は購入した電力を、関東地区の大型オフィスや店舗ビルなどに小売りするサービスを開始する予定だ。

NKKが電力小売りに参入へ 京浜製鉄所で余剰電力供給

2:22p.m. JST February 08, 2000
 鉄鋼大手のNKKが、電力の小売り事業に参入する方向で検討に入っていることが8日、明らかになった。京浜製鉄所(川崎市)にある自家発電設備(約40万キロワット)の余剰電力を近隣の企業に供給する検討が進められている。京浜製鉄所は、不採算が続いているため、電力小売り事業参入を通じて、収益改善を図るのが狙いだ。国内の鉄鋼需要低迷を背景に、鉄鋼メーカーは過剰設備に苦しんでおり、今後、電力小売りに参入する鉄鋼メーカーが、大手を中心に相次ぐことになりそうだ。

 NKKは従来、月産30万トン体制だった京浜製鉄所の生産規模を月産25万トンに下げて、操業コストの削減を続けている。生産規模の縮小に伴って、発電能力が余っていた。関係者によると、電力の小売りが自由化されるのをにらみ、周辺の企業から商社経由でNKKに対して電力供給の要請が寄せられているという。NKKは、電力小売り事業の参入が、京浜製鉄所の合理化につながることから、これらの供給要請に応じるものとみられる。

大口電力小売り、21日から自由化=競争始まり料金下げに期待

00年3月19日 14時8分[時事通信社]
 大工場や高層ビルなど大口顧客向けの電力小売りが21日から自由化される。地域独占だった電力供給に競争原理が導入され、顧客は既存の電力会社に限らず地域外の電力会社や新規参入企業などから電気を購入できるようになる。国際比較で割高とされる電気料金の引き下げ効果が期待できそうだ。 

電力自由化スタート 消費者が「電気を選ぶ時代」に

9:03p.m. JST March 21, 2000
 大口顧客向けの電力の小売りが21日、自由化された。これに伴い、東京、関西、北陸の電力3社は同日、自由化の対象外の家庭など小口顧客にも、電気の使い方によって割安な料金が選べる4月からの新メニューを発表した。自由化による合理化効果を一般家庭や商店にも広げるのが狙いで、他社も追随しそうだ。生活スタイルに合わせて「消費者が電気を選ぶ時代」に入った。

 電力の小売り事業への新規参入初日、通産省への届け出はなかった。発電事業に参入しようとする企業が顧客も探して届け出る必要があるためで、本格参入は夏ごろになる見通し。電力会社より安い料金で乗り込んでくる可能性が高い。電力各社はこうした新勢力を迎え撃つため、昨年末にスーパーなど大口顧客向けに使用時間帯と使用量に応じて電気料金が安くなるメニューを追加したが、今回、小口分けのメニューも追加した。

 新たな選択メニューは希望者が営業所などに申し込む必要があるため、「知らない人が損をする」仕組みになっている。東電は昼夜や季節ごとの使用電力の変動が小さいスーパーなど向けの割安メニューなどを用意。関電も電気温水器や業務用の台所設備といった電気機器を導入した顧客が従来以上にメリットを受ける仕組みを設ける。北陸電は屋根の融雪機器の利用者向けの従来のメニューに、雪の少ない地域で使いやすい基本料金の安い型を加えた。

 各社とも、新メニューが節約になるかどうか無料で相談に乗るという。

東京ガスと大阪ガス、NTTと電力小売り事業

3/17 日刊工業新聞
 東京ガス、大阪ガス、日本電信電話(NTT)は、電力小売りの共同出資会社の設立を検討していることを明らかにした。6月初めにも事業企画会社を共同で設立する。都市ガス連合の電力小売り事業参入は、電力の最大需要家であるNTTが参加することに意味がある。新会社は年間52億kW時、710億円の電力を消費しているNTTグループへの電力供給を基にした事業展開が期待できる。NTTグループの電力需要は、マルチメディアの進展や携帯電話の普及に合わせた基地局増設などによって、2010年度には100億kW時に倍増する見込み。

東電が自家発で新会社

2000年3月6日 19時23分
 東京電力は6日、三菱商事、日石三菱などと共同で自家発電設備の調達からメンテナンスまでを一括してサービスする新会社「マイエナジー」を設立したと正式発表した。新会社は、超小型電源のマイクロタービンを使い、従来の電気料金よりも1割安く提供する。発電設備の廃熱を空調や給湯に利用したコージェネレーション(熱電併給)システムも扱う。


電力業界、「グリーン制」導入を正式発表

2000.07.14(20:43)asahi.com
 総合エネルギー調査会(通産相の諮問機関)の新エネルギー部会が14日開かれ、電力業界代表の委員は、希望者から月額500円程度の寄付を集めて自然エネルギー発電への助成に回す「グリーン電力制」の導入を正式に発表した。出席者からは「消費者に選択の機会ができた」と歓迎する意見がある一方、全量購入が原則だった風力発電の引き取りを競争入札に移行させることへの懸念や、もっと少額の寄付を認めるよう求める声も出た。

 電力各社が秋以降の値下げ時期に合わせて導入する計画で、大口の拠出金を募る企業向けの仕組みも東京電力などが導入する。

 業界の試算では、500円程度の寄付の場合、寄付制度の加入世帯が年に0.1%ずつ伸びると、助成対象の設備規模は毎年10万キロワット増える。米国では2%以上の世帯が加入している州もあるという。電力各社は3年後に状況を検証する考えだ。

 入札枠は、風力発電の建設集中が予想される東北電力管内で「3年間で30万キロワット」の設備規模を目安としている。ある委員は「計画中の設備は100万キロワットほどある」と入札枠が普及の障害となる可能性を指摘した。

電力10社が「グリーン制」導入へ

2000.07.03(21:42)asahi.com
 電力10社は、自然エネルギーによる発電の促進を願う消費者から電気料金に寄付金を上乗せして集め、風力と太陽光発電への助成に回す「グリーン電力制」を導入することを決めた。一般家庭を対象に10月以降、各社それぞれが始める。企業を対象にした別の仕組みも東京電力を中心に設ける。ただ、これまで電力会社は、発電事業者から風力、太陽光の電気を原則として全量購入していたが、新制度導入とともに入札による絞り込みをする方針で、運用次第では自然エネルギー発電量の伸びが抑えられる懸念もある。

 希望する家庭から、月に500円―2000円程度の寄付金を電力会社がいったん預かり、電力会社からの拠出金と合わせて第三者の運用機関に回す。この資金をもとに、運用機関が風力などの発電設備を持つ会社に電力量1キロワット時あたり1、2円を助成する仕組みだ。

 風力発電への貢献を希望する企業向けには、風力発電事業者との間を仲介する「受託会社」を電力会社が設立。企業の拠出金を事業者に回すとともに、その企業による風力発電への貢献度を示す「発電証書」を発行する。

 しかし、国内での風力発電の適地の多くは北海道と東北に偏在しているため、北海道電力は昨年、全量買い取りから入札方式に改めた。「グリーン制」導入で、管内に風力発電施設の集中が予想される東北電力なども「競争原理の導入による発電コストの効率化」を名目に、大規模風力発電に対しては全量買い取りを廃止する予定だ。

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