TOPIC No.2-92 少年法改正

01.少年法(改正平成12年12月6日法律142号) by法庫
02.よくわかる少年法改正
03.少年法を学ぶ - 調布駅前事件を素材にして- by法律家ゴマのホームページ
04.少年犯罪被害当事者の会のホームページ-
05.少年犯罪の心理 by犯罪心理学:心の闇と光
06.子どもの視点から少年法を考える情報センター
07.鑑別所・少年院・体験談


改正少年法が参院通過 28日に衆院で可決・成立へ

2000.11.27(20:48)asahi.com
 刑事罰の対象年齢引き下げを柱とする少年法改正案が27日の参院本会議で「法施行から5年後に必要な措置を講じる」との付則を追加したうえで、自民、公明、保守の与党3党と民主、自由両党などの賛成多数で可決された。共産、社民両党は反対した。付則が加えられたため、同改正案は衆院へ回付され、28日の衆院本会議で可決、成立する。現行少年法は1949年の施行以来、約50年が経過しているが、初めて抜本的な改正が加えられることになった。

 少年法改正案は、現行で「16歳以上」とされている刑事罰の対象年齢を「14歳以上」まで引き下げ、家庭裁判所の判断で、14歳、15歳の少年に対しても刑事処分手続きを可能にする。さらに、16歳以上の少年が、故意の犯罪行為で被害者を死亡させた場合、家裁は原則として少年を検察側へ送致(逆送)し、刑事裁判にかけるとしている。

 一定の凶悪事件では、家裁の判断で少年審判への検察官の立ち会いを認めるほか、現行は1人の裁判官が担当している審判に、3人の裁判官による合議制を導入することも可能とした。家裁の決定に不服がある場合、検察官が高等裁判所に抗告の訴えを受理するよう求めることも認めた。

 また、被害者やその家族らの申し出に正当な理由がある場合に限り、少年の非行事実にかかわる記録の閲覧やコピーを認めることにした。さらに、被害者やその家族らから申し出があり、相当の理由があると家裁が認めたときは、直接、被害者らからの意見を聴取することも定めている。

 なお、与党3党と民主、自由の両党は、参院での審議と並行して行われた協議の中で、政府に対して、5年後に施行状況を国会へ報告するよう求め、必要に応じて法制度の見直しを講じることを定めた条項を付則で加えることで合意していた。

少年法改正に抗議 全国付添人経験交流集会の有志

2000.11.26(20:44)asahi.com
 国会で審議中の少年法改正案について、那覇市で開かれた第11回全国付添人経験交流集会(日弁連など主催)に出席した弁護士有志98人が26日、抗議の緊急アピールを発表した。

 法改正の動きが性急だとして疑問を投げかけ、刑事罰対象年齢の引き下げや検察官への原則逆送致などの厳罰化を「少年の環境や心の状態に目を向けていない」と批判。「犯罪抑止に役立たないだけでなく、少年の真の更生を妨げるものだ」と批判している。

少年法改正案、参院委員会で可決 5年後の見直しを追加

2000.11.25(00:51)asahi.com
 少年法改正案を審議していた参院法務委員会は24日、改正案に「法施行後5年をめどに見直す」との付則を加えたうえで、与党3党と民主、自由両党の賛成多数で可決した。共産、社民の両党は反対した。改正案は修正されたため、週明けの27日に参院本会議で可決された後、再び衆院へ回付され、28日の衆院本会議で可決、成立する。

 少年法改正案は、(1)刑事罰の対象年齢を現行の「16歳以上」から「14歳以上」まで引き下げる(2)16歳以上の少年が故意の犯罪行為で被害者を死亡させた場合は、原則として家裁から検察側に逆送して刑事裁判手続きにかける(3)凶悪事件では家裁の少年審判に検察官の立ち会いを認める――などを柱としている。

 10月31日に改正案が衆院を通過した際、民主党では執行部が賛成を決めたにもかかわらず、約10人が「賛成できない」として本会議を退席した。参院での協議で、与党は「内容に踏み込んだ修正には応じられない」との姿勢だったが、民主党は「施行状況をみて改善を加える規定を設けるべきだ」と主張。結局、付則を設けることで歩み寄った。

 自由党は修正に同調したが、共産、社民両党は「少年犯罪を厳罰化で抑え込もうとする傾向は変わらない」などとして、修正案にも反対した。

少年法改正案、28日にも成立 与党3党と民主党が合意

2000.11.21(21:13)asahi.com
 刑事罰の対象年齢引き下げを柱とする少年法改正案をめぐり、自民、公明、保守の与党3党と民主党は21日、国会内で修正協議を行い、「法施行後5年をめどに見直す」との付則を設けることで合意した。ただ、衆院から送付された法案に参院側で修正を加えた場合、再び衆院へ回付する手続きが必要となるため、同改正案は24日の参院法務委員会で可決された後、週明けの27日に参院本会議で採決され、早ければ28日の衆院本会議で可決、成立する見通しだ。

 修正案は、政府に対して「法施行後5年を経過した場合、法改正後の施行状況について国会に報告する」と定めたうえで、「検討結果に基づいて法制の整備、その他の所要の措置を講じる」ことを求めている。

 議員立法で提出された少年法改正案は、10月30日に衆院を通過し、参院で審議されている。民主党は、16歳未満の少年への刑事罰適用を限定するなど衆院段階とほぼ同じ内容の修正を求めたが、同党が衆院で修正案の否決後に与党案の賛成に回ったことなどから、与党3党は内容に踏み込んだ修正には応じなかった。ただ、参院の独自性を尊重することは確認し、見直し条項を付則に設けることで双方が歩み寄った。

 付則を追加した修正案は与党3党と民主党のほか、衆院で与党案に賛成した自由党も賛成する見通し。共産、社民の両党は政府案に反対しており、修正案にも反対する方向だ

2人の母親のそれぞれの思い 少年法改正の参考人質疑で

2000.11.17(22:07)asahi.com
 刑事罰の対象年齢引き下げなどを盛り込んだ少年法改正案を審議している参院法務委員会に17日、少年事件の被害者らが参考人として出席した。西鉄高速バス乗っ取り事件で重傷を負った山口由美子さん(51)は、自分の長女が不登校だった体験を踏まえて「子どもは親さえ変われば、いくつからでも変わっていける」と話し、厳罰化に疑問を投げかけた。一方、他校の生徒の暴行で長男を失った武るり子さん(45)は「罪に見合った罰は必要。改正案を厳罰化と言うのは間違っている」と述べ、被害者の思いが一様ではないことを示した。

 「このバスはおれが乗っ取った」。宣言する少年の無表情な顔を見て、山口さんは「可哀想だ」と思ったという。包丁で顔や両手首、後頭部を切りつけられながら、「こんなにしなくてはいけないくらい心が傷つけられたんだと感じた」という。

 少年は、高校に入ったころから「引きこもり」の状態にあったと言われる。山口さんは「うちの子も不登校になり、娘と2人で育ち直しをした。子どもは変わっていける」と話し、「少年が心から謝ってくれることを一番望んでいる。そういう心に育てるためにも、人として教育していくことが大事では」と訴えた。

 「事件に遭うまでは、悪い子はいないと信じていた。でも、私は間違っていた」。武さんは、声を詰まらせながらこう言った。

 加害少年は、民事裁判では「ごめんなさい」と言ったが、その後は命日になっても連絡がないという。武さんは「本当に悪かったと思わないのは、責任を突きつけられていないから。まず、本人に責任を負わせなければ」と話した。

少年法と警察法の改正案、参院で審議入りに

2000.11.08(13:30)asahi.com
 刑事罰の対象年齢を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げることを柱とする与党提出の少年法改正案と、国や都道府県の公安委員会の監察機能を強化する政府提出の警察法改正案は8日午前、参院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。少年法改正案について野党側が「厳罰化で少年犯罪が減る根拠はあるのか」などとただしたのに対して、法案提出者の高木陽介氏(公明)は「少年の規範意識を育て、少年犯罪抑止のために有益」などと答弁した。

 またこの日の参院本会議では、参院先議となっていた家畜伝染病予防法改正案▽著作権等管理事業法案▽民事再生法等改正案▽外国倒産処理手続き承認援助法案の4法案が、いずれも賛成多数で可決、衆院に送られる見込み。

少年法改正案、衆院通過 民主、自由も賛成

2000.10.31(20:32)asahi.com
 刑事罰の対象年齢を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げることなどを柱とする与党提出の少年法改正案は31日午後、衆院法務委員会で採決され、自民、公明、保守の与党3党、野党の民主、自由両党などの賛成多数で可決された。同改正案は、引き続き開かれた衆院本会議に緊急上程され、与野党5党などの賛成多数で可決、衆院を通過した。同日中に参院へ送られる。民主、自由両党は、それぞれ修正案を提出していたが、委員会採決で修正案が否決された後、与党案に賛成した。共産、社民の両党は「厳罰化だけで少年犯罪は減少しない」として反対した。同改正案は、ほぼ原案のまま今国会中に成立することが確実になった。

 衆院法務委は31日午前、野党4党の委員が与党側の法案提出者に対する質問をした。与党側は「国民の関心の高い法案で今国会中の成立が至上命題」としており、長勢甚遠委員長(自民)が同日昼すぎ、職権で審議を打ち切り、採決した。野党側は「さらに審議を尽くすべきだ」と主張していたが、採決には応じた。まず修正案を採決し、与党などの反対多数で否決後、与党案を与党と民主、自由両党などの賛成多数で可決、同日午後1時からの衆院本会議で採決した。

 ただ、民主党は委員会採決に先立ち、「修正案を出しながら、与党案に賛成するのは筋が通らない」として与党案賛成の党方針に従わない意向の法務委員3人を差し替えた。同党の委員会理事の佐々木秀典氏は退席した。本会議でも、採決直前に同党議員約10人が退席した。

 民主党の修正案は、16歳未満の少年への刑事罰適用を「罪質が重大で、刑事処分以外の処置で矯正の目的を達することが著しく困難な場合に限る」など、厳罰化に歯止めをかける内容。自由党は、少年法自体の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げる厳罰化強化の修正案を提出していた。

 与党側は、施行後5年をめどに法案を見直す条項を付則として設ける修正を民主党に示したが、衆院通過を優先させるため、修正協議は参院へ先送りした。ただ、民主党が衆院の採決で与党案に賛成したため、参院での大幅修正は困難な情勢だ。

少年法改正、来週中に衆院通過 警察法改正も 与党方針

2000.10.27(20:49)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党は27日、刑事罰の対象年齢引き下げなどを柱とする与党案の少年法改正案について、31日にも衆院法務委員会で採決し、11月2日までに衆院本会議で可決して参院に送付する方針を固めた。また、公安委員会の監察機能強化などを盛り込んだ警察法改正案と、健康保険法など医療保険制度改正関連法案についても、来週中に衆院を通過させる方針だ。

 自民党の古賀誠国対委員長は27日、各法案について記者団に「来週中に衆院を通過させたい」と明言した。

 少年法改正案をめぐっては、与党3党がこの日の衆院法務委理事会で、31日に委員会審議を打ち切り、同日の本会議での採決を主張した。与党は民主党の修正案に対し、施行後5年をめどにした見直し条項を付則に加える修正を示していたが、会期内成立を優先させるため、修正協議そのものを参院へ先送りした形だ。これに対し、野党側は「議論が尽くされていない」と採決に反対した。

厳罰化が柱の少年法改正案に弁護士グループが反対意見

2000.10.15(10:47)asahi.com
 少年犯罪による被害者の支援を続けている弁護士らのグループが、与党3党の少年法改正案に反対する意見をまとめ、近く公表する。被害者や遺族の間には加害少年に対する強い憤りがあり、厳罰化を求める動きにつながった経緯もある。現行の少年法に対する被害者側の不信感は少なくないが、弁護士らは「真に被害者が望む内容とはほど遠い」として、改正案の見直しを求めている。

 反対意見は、少年グループによる暴行やいじめで子どもを亡くした親の訴訟代理人などを務めている各地の弁護士や、少年法の研究者ら約20人が作成した。

 少年法改正論議の大きな柱になっている厳罰化について、意見書は「刑罰を科すことで一時的に応報感情を満足させても、加害少年の真の謝罪と反省がなければ、加害者と被害者がますます対立する構図を作り出す」と批判している。

 例えば、意見書の作成に加わった弁護士が被害者側の代理人を務めた集団リンチ事件では、加害者の少年グループが言い逃れを続けて最後まで真実が明らかにならず、遺族には憎しみしか残らなかったという。こうしたケースを踏まえ、弁護士らは「厳罰化を図っただけでは加害少年の真の反省と更生は実現できず、被害者の心がいやされることはない」と指摘している。

 意見書は、被害者救済の観点からも改正案は不十分だと指摘している。具体的な取り組みとして、少年審判をめぐり、被害者に「知る権利」と「意見を表明する権利」を保障するよう求めている。

「大きな進歩」と少年事件の遺族ら 少年法改正案質疑

2000.10.18(00:59)asahi.com
 与党3党による少年法改正案を審議している衆院法務委員会は17日、野党4党欠席のまま、参考人質疑を行った。

 1993年の山形マット死事件で亡くなった中学1年生の父親・児玉昭平さん(51)や、97年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で次男を失った父親・土師守さん(44)ら計7人が意見を述べた。

 野党側がこのまま欠席を続けた場合、与党側は20日にも、委員会採決する構えを見せている。

 今回の改正案について尋ねられた2人の父親は「(施行以来)50年の沈黙が破られたことを思うと大変な進歩だ」「少年の変化に合わせて、少年法もその都度いい方向に変えていってほしい」と答えた。

 東洋大法学部の森田明教授(未成年者保護法)は、改正案が「重大事件は原則として検察官に送致(逆送)する」としている点について、「犯罪少年を機械的に刑事裁判所に送る米国の制度と似ているように思う」と指摘。「米国のてつを踏むべきではない」と述べた。

 また、『学校崩壊』の著者で、埼玉県川越市立城南中の河上亮一教諭は「地域の支援の力があって学校や家庭が成り立っていたが、それが崩れてしまった」と指摘。「少年法改正には基本的に賛成だが、同時に社会や国が家庭の子育てをバックアップするシステムを考えていかないと、法改正だけではいかんともし難い」と話した。

少年法改正案、20日にも衆院委員会採決 野党側反発

2000.10.13(19:14)asahi.com
 刑事罰の対象年齢引き下げを柱とした少年法改正案をめぐり、衆院法務委員会は13日、野党4党欠席のまま、岩井宜子・専修大法学部教授ら3人の参考人から意見を聴いた。与党3党は17日にさらに7人の参考人を招くほか、18日には与党側委員らで多摩少年院(東京都八王子市)などを視察する日程を決めている。20日にも総括質疑を終えて採決に入る構えだ。

 衆参両院で審議拒否をしている野党4党は同日、衆院法務委の長勢甚遠委員長(自民)に「不正常な状況のもと、与党のみで一方的な審議をすべきではない」との抗議文を手渡した。長勢氏は「粛々と進めたい」と、与党側が決めた日程を変更するつもりはないとの姿勢を示した。

少年法改正で神戸事件の遺族出席へ 法務委員会

2000.10.14(03:04)asahi.com
 刑事罰の対象年齢を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げることなどを盛り込んだ少年法改正案の審議をしている衆院法務委員会で17日、神戸市須磨区で1997年に起きた連続児童殺傷事件で次男を失った父親(44)が参考人として出席することになった。殺害した少年が14歳で刑事罰の対象とならなかったことから、年齢引き下げを求める声が高まるきっかけの一つとなった。父親は、著作などを通じて「少年審判では加害者ばかりが優先されている」などと少年法への疑問を呈してきた。

 93年の山形マット死事件で死亡した中学生の父親児玉昭平さん(55)も出席して意見を述べる。この事件では少年審判での事実認定の在り方が問題となった。

少年に無期刑適用範囲拡大 与党3党が改正案で合意

2000.09.22(23:44)asahi.com
 少年法改正案を検討している与党3党は21日、18歳未満の少年の罪が成年の無期刑に相当する場合、10―15年の刑に軽減するよう定めた現行の規定を見直し、裁判官の判断によって、無期刑のままとすることもできるように改めることで新たに合意した。

 また、本人とわかる報道を禁じている現行法の「非公表」原則について、凶悪事件では例外とすることを含めて検討を続ける、との趣旨を、国会での付帯決議に盛り込むよう野党側に働きかけていくことを決めた。与党3党は少年法改正案を29日に国会へ提出する。

 現行の少年法は、18歳未満の少年の罪が死刑に相当する場合は無期刑を科し、無期刑に相当する場合は、10年以上15年以下の有期刑を科すように定めている。

 この規定について、与党3党は死刑相当の場合は現行通りとするが、無期刑に相当する場合の規定を「有期刑を科すことができる」と改め、無期刑を適用することもできるようにした。また、死刑から無期刑に緩和された場合は、仮出獄ができるまでの期間を、現行の「最短7年」から「最短10年」まで延長することにした。

 非公表原則について、与党3党は、大阪府堺市で起きた殺傷事件で殺人罪などに問われた事件当時19歳の男性と、実名や顔写真を月刊誌に掲載した出版社などとの間で争われている上告審の推移をみて、例外規定を設けるかどうかを引き続き検討する、との趣旨を改正案の付帯決議に盛り込む方針を決めた。

少年法改正案「原則逆送」含め成立で与党合意

2000.09.08(15:10)asahi.com
 
 刑事罰対象年齢の引き下げなどを柱とする少年法改正案が、今月下旬にも召集される臨時国会で成立する見通しとなった。与党3党間の協議で焦点となっていた「原則逆送」について公明党が8日、条件付きで認める方針を決め、法案提出に向けた合意がほぼできたためだ。重大事件は原則として家庭裁判所から再び検察官に送致(逆送)し、通常の刑事裁判にかける「原則逆送」については、(1)原則逆送の対象を16歳以上とする(2)殺人や強盗致死など人命を奪った事件に限定する(3)例外規定の枠を広げる――としている。

 少年法改正をめぐっては、与党3党間で刑事罰の対象年齢を現行の「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げることですでに合意している。「原則逆送」については、公明党内に「認められない」とする反対意見が根強かったが、改正案に盛り込むことを強く求めていた自民、保守の両党に譲歩した形だ。

 与党3党の原案によると、主な改正点は、刑事罰を科す年齢を引き下げたうえで、刑事裁判で実刑判決を受けても18歳までは少年刑務所ではなく少年院に収容できるようにする。16歳以上の少年が、殺人や傷害致死など「故意の犯行で人を死亡させた場合」は逆送を原則とするが、「犯行の態様などを考慮し、適当な事情があるときはこの限りでない」という例外規定を設けるとしている。

 また、殺人や傷害致死、強盗などの事件では、家裁の審判に検察官が出席できるようにする。検察官が関与した審判で、家裁の決定に重大な事実誤認や法令違反があるときは、検察側が、高裁へ抗告を受理するよう申し立てる権利を認める。現行で最長4週間の「観護措置期間」については、最長8週間までの延長を可能にする。

 さらに、被害者対策として、被害者や遺族に審判の結果などを知らせる「通知制度」を導入。殺人や傷害、窃盗などの事件の被害者から審判記録のコピーや閲覧の申し出があった場合は、家裁の決定が確定する前であっても、少年の育成への影響などを考慮しつつ認められるようにする。

少年法刑事罰適用 「14歳以上」に引き下げで与党合意

2000.09.06(03:06)asahi.com
 少年法改正問題で、自民、公明、保守の与党3党は5日、刑事罰適用年齢を現行の「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げることで基本的に合意した。慎重姿勢だった公明党が、有罪判決が出ても、16歳未満のうちは少年院に収容するなど、一定の条件をつけることで容認する方針を固めたためだ。公明党が自民、保守両党に歩み寄ったことで、少年法改正案は次期臨時国会での成立に向けて大きく動き出す。

 公明党幹部は5日、少年法改正問題に対する同党の方針について「(結論は)臨時国会が始まるまでと期限が切られている」としたうえで、刑事罰の適用を14歳以上まで引き下げるかどうかについて、「その方向で調整することになる」と明言した。

 現行の刑法は、14歳以上に刑事罰を科すことを定めている。しかし、少年法は、検察官から送致された少年を家裁が再び検察官に送り返して、刑事裁判を受けさせる「逆送」について、16歳未満では認めない、との制限をはめている。

 与党3党のうち、自民、保守の両党はこの制限を撤廃したうえで、殺人や強盗などの凶悪犯罪の場合は、家裁から検察官への逆送を原則とする方針を打ち出している。

 この点について、公明党では少年院収容に限定するほか、(1)原則逆送する範囲について、対象犯罪を「人の生命を奪った行為」に限定する(2)16歳未満の少年が中学生の場合は、家裁での保護処分を原則としつつ、逆送も可能にする――といった条件を付ける案が浮上している。

 少年法改正問題では、保守党が法律の適用年齢を現行の「20歳未満」から「18歳未満」まで引き下げるよう主張している。しかし、公明党が反対の方針を固めているうえ、自民党内でも、この点については見直しに否定的な空気が強いことから、法律の適用年齢は改正案でも現行通りとなる見通しだ。

少年法改正案審議は秋の臨時国会で 与党3党が合意

2000.07.28(20:49)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党による「少年問題に関するプロジェクトチーム」の初会合が28日、国会内で開かれ、今秋の臨時国会に議員立法で少年法改正案を提出することで合意した。9月上旬にも与党3党の改正案をまとめる。

 この日の会合では、自民党が(1)刑事罰を科す年齢制限(現行では16歳以上)の撤廃(2)殺人や強盗などの凶悪犯罪では原則として家裁から検察側に逆送する、などを盛り込んだ要綱を公明、保守両党に正式に示した。刑事罰の対象年齢の引き下げに慎重だった公明党は、少年審判への検察官立ち会いをどこまで認めるか、などの点も検討することを条件に、年齢制限の撤廃に応じる姿勢を示した。

 政府は、先の通常国会で、刑事罰の対象年齢の引き下げを含めない少年法改正案を出していたが、衆院解散で廃案となった。

首相、少年法刑事罰対象年齢引き下げに前向きの発言

2000.06.17(19:28)asahi.com
 森喜朗首相は16日、愛知県豊橋市で演説し、少年による凶悪犯罪が相次いでいることに関して、「自民党は14、15歳は少年としての扱いはおかしいと言う意見を出している。政府の責任ある立場で真剣に検討していく必要がある」と述べて、少年法で「16歳以上」とされている刑事罰対象年齢を「14歳以上」に引き下げることに政府として前向きに取り組む考えを示した。

 首相は「少年法にも問題がある。16歳以下の場合はどんな犯罪を起こしても検察官に送らないと少年法に書いてある。大人が入れ知恵をしたら、子供たちは安心して何でもやってやろうという気になるかもしれない」と指摘。「14、15歳の子供たちも悪いことをしたら罰せられるということを社会の約束事、規範として、しっかり知っておくことも大事だと思う」と述べた。

犯罪少年の心に最高裁が迫る 精神科医ら加え研究チーム

2000.06.11(03:03)asahi.com
 少年による凶悪事件が相次ぐ中で、最高裁は、社会の注目を集めた近年の重大事件を対象に、少年審判の記録などを外部の専門家とともに分析するグループをつくることを決めた。犯行の動機や背景、非行に至ったメカニズムなどのほか、「今、少年たちに何が起きているのか」という視点から解明を目指す。少年審判は非公開で、その内容が外部の目に触れることはなかったが、来月から作業に取りかかり、研究結果は来春にも公表する。少年犯罪をめぐって教育現場や家庭に不安感が広がっていることから、具体的な事例に基づいた分析結果を非行防止策などに役立ててもらうことを想定している。

 作業は、家裁調査官研修所(東京都北区)を拠点に進められる。家裁で少年の面接調査や心理テスト、カウンセリングなどを通じて非行の原因などを探っている調査官6人程度を研究員に予定。このほか、精神医学、家族関係論、教育心理学などの専門家や鑑別所、少年院など保護・矯正の実務家ら外部から10人程度を加える。

 対象にするのは、過去3年間に少年審判で決定があった中で社会的に関心を集めた殺人、傷害致死などの重大事件。教師を刺殺したり主婦を殺害したりした事件などの記録を、すでに全国から取り寄せており、最終的に15件前後に絞り込む。

 個々の事件の審判記録に基づいて、成育環境や養育上の問題点、学校生活、交友関係などをそれぞれの専門家の立場から分析。そのうえで、少年たちのシグナルを家庭や学校、社会が見過ごしていなかったか、予防策があったかなどについても検討する。

 研究結果の要旨は冊子にして、裁判所や教育機関などに配布する。公表に際しては、プライバシーを保護し、更生を妨げないよう配慮する。

青少年有害環境対策基本法案に反対の緊急アピール

2000.06.08(20:53) asahi.com
 参議院の自民党が素案をまとめている「青少年有害環境対策基本法」について、ジャーナリストやメディア関係者らが8日、「表現の自由を脅かす内容を含んでいる」と反対する緊急アピールを発表した。

 この法案は、青少年の暴力や性に関する価値観に悪影響を及ぼす社会環境を排除しようというもので、次期国会に議員立法として提案する準備が進められている。テレビやビデオ、雑誌などの商品やサービスが、暴力的行為を誘発したり残虐な性向を植え付けたりすると認められた場合は「総務庁長官や都道府県知事が必要な措置をとるように勧告したり、従わない事業者の公表ができる」などとしている。

 東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見した上智大文学部新聞学科の田島泰彦教授は「青少年保護を名目に広範な概念を設定し、広く規制の網をかけようとするものだ」と訴え、「表現の自由や報道の自由という憲法上の権利にかかわる重要なテーマを、社会的議論もせずに国会に上程を図るのは乱暴だ。法案成立を阻止したい」と語った。

 アピールは青木貞伸・メディア総合研究所長、奥平康弘・東京大名誉教授、原寿雄・元共同通信編集主幹ら7人が呼びかけ人となり、111人1団体の賛同者が集まっている。

共産、成人年齢18歳への引き下げを提案

2000.06.07(21:59) asahi.com
 共産党の不破哲三委員長は7日、国会内で記者会見し、少年による凶悪犯罪の多発を受けた少年法改正について、「成人年齢を現行の20歳以上から18歳以上へと引き下げ、適用年齢を18歳未満とする」との提案を発表した。不破氏は「18歳以上の青年に社会人としての権利と義務を明確にすべきだ」とし、少年法だけでなく民法や公職選挙法も改正し、18歳から選挙権などの権利を認めるべきだとの見解を示した。

 一方、社民党の土井たか子党首は7日、党本部で記者会見し、少年法の適用年齢の引き下げについて「現行の少年法でよいとは思わないが、年齢引き下げで犯罪を規制するのはおかしい」と慎重な姿勢を示した。

 民主党はすでに、成人年齢を18歳に引き下げるための関連法改正案を国会に提出する方針を決めている。

少年法改正案の廃案が確定 衆院法務委

7:42p.m. JST May 23, 2000 asahi.com
 政府が提出した少年法改正案を審議している衆院法務委員会は23日、「年齢問題、少年に関する処遇のあり方などを含め早急に検討する」とした少年の非行対策についての決議を自由を除く各党の賛成多数で採択した。改正案についての今国会での審議は、この日が最後となる見通しで、審議日程の不足などから廃案になることが事実上、決まった。

 自由党は「あくまで改正案の審議促進を求めていく」とする幹事長談話を出した。

 決議は「少年による深刻な凶悪事件が後を断たない状況にあり、現行の少年に関する法体系についても、立法措置も含めた広い視野から検討を加えるべきだ」と指摘。(1)健全育成という少年法の根本理念は堅持しつつ、少年に正確な事実認識を与えて自覚を促す(2)被害者の立場を尊重する制度を確立する(3)年齢問題、処遇のあり方などを検討する――などを挙げている。

 与党は当初、3党による決議採択を目指した。野党側には「年齢問題」などの文言を入れることに難色を示す声もあったが、「少年問題は今、最優先課題」(民主理事)として、最終的には与党案をほぼ生かす形でまとまった。

 昨年3月に国会に提出された改正案は、野党の強い反対などで1年間審議入りできなかった。少年による重大事件が相次ぎ、総選挙に向けて少年問題に取り組む姿勢をアピールしたいという与党側の思惑から審議入りしたが、日程的に困難なことなどから廃案の見通しだった。今国会以降の少年法などの改正をめぐる議論は、この決議をもとに進められることになる。

少年法に責任自覚盛り込み

2000年5月16日 16時29分共同
 自民党法務部会の少年法に関する小委員会は16日の会合で、少年法について「理念が少年の保護に偏している」として、事件の責任を自覚させる観点を盛り込むよう求めることで一致した。

 刑事罰対象年齢を現行の「16歳以上」から「14歳以上」へ引き下げることでも一致したが、法改正に向けて法制審議会で検討するよう法相に求めるかどうかは結論を持ち越した。

少年法改正 臼井法相「年齢引き下げ、当然やるべき」

06:12a.m. JST May 14, 2000 asahi.com
 臼井日出男法相は13日夜に放映された朝日ニュースターの報道番組で、少年法の改正について「凶悪犯罪が起き、しかも低年齢化している以上、私ども自民党としては、それに対応した年齢引き下げは当然やらなければならないと考えている」と述べ、現行で「16歳以上」となっている刑事罰の対象年齢を引き下げる法改正に、政府としても早急に取り組むべきだとの考えを強調した。

 番組の中で臼井法相は、現在、政府が提出している少年審判改革のための改正案について「年齢引き下げに触れなかったのは、与野党の対立する意見の方向性が収れんしていないからだ」と説明。「国会では(年齢問題で)激しい議論を戦わせてもらいたい」と述べたうえで、年齢引き下げを盛り込んだ新たな改正案を、政府案か与党による議員立法のいずれかの形で提出することになるとの見方を示した。

 また、同じ番組に出席した元通産相で衆院法務委員会理事の与謝野馨代議士は「刑罰は社会的に威嚇力を持っていなければいけない。14、15歳にぽっかり穴があいているのは大問題だ」と述べ、年齢引き下げが犯罪抑止に効果があるとの考えを示した。

 刑法は14歳以上に刑事責任を認めているが、少年法は14―15歳について「未熟なため特別な配慮が必要」との理由から、刑事罰を科さないことを定めている。

「少年法改正案」審議入り、森首相「早急に検討」

01:18a.m. JST May 12, 2000 asahi.com
 少年審判のあり方を見直す少年法改正案が11日、衆院本会議で審議入りし、焦点の刑事罰の適用年齢について森喜朗首相は「国民の関心も高く重要課題として早急に検討したい」と述べ、総選挙後の国会で年齢の引き下げ問題も含めて法改正を目指す考えを強調した。臼井日出男法相も、適用年齢の引き下げについて「早急に検討していく必要がある」と前向きな姿勢を示した。

 自民党は、犯罪抑止の観点から刑事罰の対象年齢を現行の「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げる独自案を検討しており、首相や法相の発言は、こうした取り組みを踏まえたものとみられる。

 首相は、凶悪化する少年犯罪について「社会の病理現象の現れ」とし、「命を大切にする心や倫理観、道徳心をはぐくむ教育へ転換を図るべきだ」と述べた。

刑事罰対象、14歳への引き下げ再検討 自民が独自案

3:48p.m. JST May 11, 2000 asahi.com
 政府が提出している少年審判改革のための少年法改正案が廃案になる見通しとなったのを受けて、自民党は、刑事罰の対象年齢を現行の「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げることなどを盛り込んだ少年法改正をにらむ独自案を、早ければ来週中にもまとめる方向で検討を始めた。自民党は1998年末に刑事罰の対象年齢を引き下げる方針を決め、政府案とは別に、議員立法による改正案提出を目指したが、野党や世論からの強い反発を受けていったん断念していた。今回の案は、少年による重大事件が相次いでいることを背景に、少年法の「厳罰化」に取り組む姿勢を改めて示す狙いとみられる。

 刑法は14歳以上に刑事責任を認めているが、少年法は14―15歳について、「特別な配慮が必要」との理由から、刑事罰を科さないことを定め、最も重い処分は事実上、少年院送致にとどまる。これに対して自民党は、刑事罰の対象年齢を「14歳以上」に下げることにより、犯罪抑止に力点を置いた法改正を目指すとみられる。

 党内ではさらに、「事実解明のためには、14歳未満でも逮捕・強制捜査できるようにすべきだ」との意見が出ている。また、「審判は、懇切を旨としてなごやかに行わなければならない」とする少年法の規定について、「自分が何をしたかをはっきりさせ、自覚を促すことが必要だ」として見直しを求める声も強く、こうした点も論議される見通しだ。

 一方、被害者対策としては、少年審判で被害者や遺族らが意見陳述できるようにするなどの配慮も進める方針。

少年事件続発で対策チーム

2000年5月9日 17時58分共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件や愛知県豊川市の主婦刺殺事件など未成年の重大事件が続発していることから文部省は9日、関係各課長で構成するプロジェクトチームを発足させ、緊急の対応策を協議した。同省はこれとは別に、事件を分析するための専門家会議も今月中にスタートさせるが、少年事件に対応してプロジェクトチームなどを組織するのは、神戸の連続児童殺傷事件以来。

少年法改正案審議へ

2000年5月8日 19時24分共同
 政府、与党は8日昼の連絡会議で、西鉄高速バス乗っ取り事件など少年事件の続発を踏まえ、11日にも少年法改正案の衆院本会議質疑を行い審議入りするとともに、与党内に「少年犯罪に関するプロジェクトチーム」(仮称)を設置する方針を決めた。与党3党はこの後の政策責任者会議で、プロジェクトチームに長期的な少年犯罪防止策を検討させることを確認した。

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