TOPIC No.2-85 西鉄高速バスハイジャック/17歳


特集:少年犯罪 悲劇の断面

by 西日本新聞


バスジャック被害者・塚本さんの遺稿まとめ、HPに

2001.01.22(17:15)asahi.com
 佐賀市の少年による西鉄高速バス乗っ取り事件で、犠牲者となった同市の塚本達子さん(当時68)の遺稿をまとめたホームページが開設された。小学校教諭を辞めた後、幼児教室などの形で子どもの教育に取り組んだ塚本さんが、母親向けに発行した「『街角教育』かわら版」を掲載。子どもの自立を重んじた塚本さんの考えがつづられている。

 開設したのは、東京都世田谷区のコピーライター、野見山可央(かお)さん(31)。野見山さんは佐賀市出身で、面識はないものの、かつては塚本さん宅の近くに住んでいた。塚本さんの知人が「遺稿を広く知ってもらいたい」と、佐賀市に住む野見山さんの母親に相談したのがきっかけだった。

 「かわら版」は、塚本さんが1996年の2月から8月まで月に1回、街角で配ったA4判両面刷りのペーパーだ。昨夏、母親から話を聞いて「かわら版」を読んだ野見山さんは、子どもの教育を真剣に考える内容に感銘を受け、ホームページ作成を思い立った。「かわら版」7号分の文章を転載し、昨年12月初旬に開設した。

 各号には、〈短所を責めず、ほのかに光る長所を見つめながらコミュニケーションを〉〈「育てる」という大人の傲慢(ごうまん)な意識を「育つもの」という意識に〉〈子どもには100人100通りのコースを〉など、塚本さんの教育観が書かれている。

 塚本さんの長男で画家の猪一郎さん(44)=佐賀県久保田町=は「ホームページ開設はうれしいの一言。人の心の中で母が生きていると感じる」。野見山さんは「悲しい事件だったが、これを機に塚本さんの考えを広め、本当の教育や人と人とのかかわりを考えるきっかけにしてもらえれば」と話す。

 ホームページのアドレスは、http://www13.u-page.so-net.ne.jp/wd5/kao-n/

西鉄高速バス乗っ取り事件 少年を医療少年院送致

2000.09.29(20:22)asahi.com
 西鉄高速バスが乗っ取られ、乗客3人が死傷した事件で、佐賀家裁(永留克記裁判官)は29日午前10時すぎから第4回審判を開き、強盗殺人などの疑いで送致された佐賀市の少年(17)に対し、医療少年院送致とする保護処分を言い渡した。

 永留裁判官は、事件当時の少年の責任能力を認めたものの、少年の精神鑑定結果が「解離性障害や行為障害の症状」を指摘したのを受け、隔離した施設で日常的に精神科医の観察が必要と判断した。

 審判終了後、少年の付添人(弁護士)は抗告しないことを明らかにした。少年は近く医療少年院に入院し、精神医学的な治療を受けながら更生プログラムに沿った生活を送る。

 事件は5月3日午後から4日早朝にかけて起きた。佐賀発―福岡行きの西鉄高速バスが乗っ取られ、乗員・乗客22人のうち女性3人が刺され、1人が死亡、2人が重傷を負った。

 現行犯逮捕された少年は3月5日に国立肥前療養所(佐賀県東脊振村)に入院し、精神障害の一種で反社会的な行動を繰り返す「行為障害」と診断されていた。事件当日は外泊許可を受けて一時帰宅したばかりだった。

 広島地検は、簡易鑑定後に少年を「刑事処分相当」との意見を付けて広島家裁に送致し、同家裁は佐賀家裁に移送した。

 同家裁の審判では、事件当時の少年の責任能力の有無と、責任能力がある場合は少年院に送致する保護処分とするか、あるいは検察庁に逆送致して成人同様に刑事責任を問うかが焦点となった。

 家裁が命じた少年の精神鑑定では、鑑定人は事件時の責任能力を認めたが、「自分が自分でなくなる感覚の解離性障害や行為障害の症状も見られ、精神分裂病を発病する恐れもある」として、精神科医の観察下で治療、矯正する医療少年院への送致が望ましいと結論づけた。

 今回の家裁の決定は、大筋で鑑定結果を尊重し、少年は「精神病的な心理状態にはなく、心神耗弱の状態ともいえない。ただ、5年以上は解離性障害の治療が必要」とし、医療少年院送致を決めた。

 精神鑑定書などによると、少年は中学校時代、周囲の期待にこたえようと猛勉強した後に無気力になって成績が下がり、「燃え尽き症候群」のような状態に陥った可能性がある。高校入学直後から不登校になり、自宅に引きこもった。自分の存在を確認できなくなる「自我同一性拡散」の状態とともに幻聴も感じるようになった。今年2月からはインターネットに没頭し、暴力的な画像や情報に触れる中で「別の人格」が反社会性を強めていったとされる。

「医療少年院が妥当」と鑑定結果

2000.09.16(03:03)asahi.com
 今年5月に起きた西鉄高速バス乗っ取り事件で、強盗殺人などの疑いで佐賀家裁に送致された佐賀市内の少年(17)の精神鑑定結果の概要が15日、わかった。それによると、犯行時の少年は、意識などが本来の自分のものと一致しなくなる「解離性障害」で、善悪を認識する能力はあったとする一方、少年の扱いについては、医療少年院で精神科医の観察のもとに置くのが望ましい、としている。

 鑑定人は、犯罪心理学や精神医学を専門とする大学教授で、鑑定書は14日に佐賀家裁が受理した。

 関係者の話を総合すると、鑑定結果では、非行時(事件当時)の少年は、自分の中に、完全に別の人格が存在する「多重人格障害」ではないものの、その手前の解離性障害とされた。さらに、今回の事件を起こしたことから、他人や動物に危害を与えるなど反社会的な行動を繰り返す「行為障害」も加わっている、という。

 責任能力については「是非や善悪を認識する能力と、それに従って行動する能力は著しく低下していたとはいえない」としている。

 そのうえで、少年の扱いについては「少年の特異な精神状態を考慮して個別処遇において精神療法を施し、誤った価値観を矯正するための教育が必要。また、(矯正施設に)収容中に精神分裂病を発病する危険もあるため、常に精神科医の観察のもとに置くのが望ましい」として、適切な施設として医療少年院を挙げている。

 事件後の広島地検による簡易鑑定では「少年が真実を語っているとすれば、精神分裂病以外にはあり得ない」とされていた。分裂病の場合は、責任能力を問えない例が多いとされるが、本鑑定では「分裂病の前段階と疑われる症状もあるが、これを否定する所見も多く、現在、精神分裂病が発病しているとはいえない」とした。

 鑑定人は、送致された捜査記録などを参考に、少年らと面接を繰り返し、鑑定書をまとめた。少年の精神状態を調べるために、様々な心理テストもした。

 インクのしみを見せて何に見えるかを問う「ロールシャッハテスト」で精神分裂病の患者によく出る反応と同じような反応があったことや、少年が中学3年から性格が変わり、高校では「引きこもり」になるなど、精神分裂病を疑わせる症状もあったが、(1)まゆをひそめるなどの「表出症状」がない(2)言語に支離滅裂なところがなく、打てば響くような感じがある(3)ほかの複数の心理テストでは分裂病の人に起きる反応がまったく出ない、ことなどから、「分裂病ではなく責任能力もある」と結論づけた。

 家裁はこの鑑定結果を受け、来週中にも第2回の審判を開いて、鑑定人の尋問をする。少年の精神状態や責任能力の有無を改めて確認し、保護処分が相当として医療少年院などに送致するか、刑事処分が相当として検察庁に逆送致するか、などを判断する方針だ。

少年の責任能力認める

2000.09.15The Sankei Shimbun
 六人が死傷した西鉄高速バス乗っ取り事件で、佐賀家裁(永留克記裁判官)に送致されている佐賀市内の無職少年(17)について、精神鑑定書は「事件当時、自己の行為の是非善悪を判断する能力に著しい低下は認められない」とほぼ完全な責任能力を認めていることが十五日、分かった。

 また、少年には人格の不統合な「解離性障害」などの症状がみられるとも指摘。精神分裂病の前段階の疑いがあるとして、医療少年院での処遇が望ましいとする意見を付けている。

 同家裁は、少年の観護措置の最終期限である二十九日までに責任能力の有無を判断するが、鑑定結果は処分決定に大きな影響を与えるとみられる。

 少年は三月に佐賀県内の国立肥前療養所に入院する直前「最近もう一人の別のが人を殺せと勧める」との趣旨のメモを自宅に残した。しかし、五月の犯行直前のメモには同様の記述はなかったため、鑑定は犯行時の意識はしっかりしており、責任能力があったと認定したとみられる。

 また三月のメモも精神分裂病の症状である幻覚や妄想ではなく、心や体が自分から遊離したように感じる体験をして、人格の統合が不完全な状態となる「解離性障害」と診断した。

 さらに、鑑定結果は問題行動を繰り返す「行為障害」を認め、精神分裂病の前駆期である疑いも指摘。精神科医の観察やカウンセリングによる治療ができるよう、医療少年院での処遇が望ましいとしている。

 事件に至る経緯として、少年は高校受験前に成績低下などに直面し「燃え尽き症候群」の状態になった可能性も指摘。インターネットを通じ反社会的価値観の影響も受けたなどとしている。

 同家裁は六月十六日の第一回審判で、責任能力の見極めには、綿密な鑑定が不可欠と判断、九月十四日までの約三カ月間、少年を鑑定留置していた。

 捜査段階での簡易鑑定は、重い精神障害の可能性を指摘して「責任能力は即断できない」としたが、広島地検は家裁送致の際、少年には限定的な責任能力はあったとして「刑事処分相当」との意見書を付けた。

少年への措置は適性 公衆衛生審で報告へ

2000.06.22The Sankei Shimbun
 厚生省は二十二日、公衆衛生審議会の精神保健福祉部会を開き、西鉄高速バス乗っ取り事件で家裁送致された無職少年(一七)が犯行当日まで入院していた佐賀県の国立肥前療養所からのヒアリング結果について「少年への処置は適正だった」と報告した。

 同部会は精神障害者向けの医療と福祉について提言する厚相の諮問機関で、報告をもとに家庭内暴力や引きこもりなど心の問題を抱える思春期の心のケア対策の在り方を議論。

 部会へ報告するため十九日、事務局の同省職員が佐賀県を訪れ、少年の外泊手続きが精神保健福祉法上適切だったかどうかなどについて関係者から説明を求めた。療養所側は七日の記者会見で、判断に誤りはなかったとの見解を示した。

少年の「一時帰宅」検証へ 精神神経学会

2000.06.18(07:38)asahi.com
 日本精神神経学会は17日、東京で臨時理事会を開き、西鉄高速バス乗っ取り事件で逮捕、送致された少年(17)が入院していた国立肥前療養所(佐賀県東脊振村)を調査する委員会を設けることを決めた。7月に委員会のメンバーを選び、同療養所に対する調査日程などを決める。少年を「行為障害」とした同療養所の診断結果や事件当日に一時帰宅させた判断について、専門家による検証がされることになる。

 この日の理事会では、岡山県立岡山病院長の中島豊爾理事がバス乗っ取り事件の調査委員会の設置を提案、了承された。中島理事は(1)治療は適切だったか(2)事件の予測は可能だったかを学会として確認する必要がある、と提案理由を説明した。

 7月までに委員長や委員の人選が進められ、児童青年期精神医学会のメンバーらも入る見込みだ。

 調査委員会の構成が決まれば、国立肥前療養所を訪れ、少年の治療カルテを見たり、主治医らから診断結果や入院後の経過、一時帰宅を決めたときの経緯について話を聴いたりする。さらに、少年の両親など関係者からも話を聴き、同療養所の判断を検証する。

 このほか、佐賀市とその周辺地域の思春期の少年たちの様子や児童相談所などの相談施設の状況、教育環境なども調べるため、調査期間は数カ月かかるとみられる。同療養所の検証だけにとどまらず、ひきこもりの子供たちへの対処法などまで踏み込んだ提言をまとめたい意向だ。

 同療養所は7日に開いた記者会見で、診断結果は、「狭義の精神病ではない」としただけで、少年のプライバシー保護を理由にくわしい説明を避けた。しかし、一時帰宅については両親も納得していて「危険は予測できず、妥当だった」とし、少年に対しては「病院として最善を尽くした」と主張した。

少年の両親が遺族や被害者に謝罪

2000.06.17(19:57) asahi.com
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、強盗殺人などの疑いで家裁に送致された佐賀市の少年(17)の両親が17日、刺殺された同市水ケ江3丁目の塚本達子さんの遺族や人質になった被害者を訪ね、謝罪した。また、被害者に対し、謝罪の手紙を出していたことも分かった。手紙には「謝っても謝りきれるものではない」「(息子は)いまだに心を閉ざしたままです」など、両親の思いや苦悩がつづられていた。

 両親はこの日午前、塚本さん宅を訪ね、直接、夫の平さんに謝罪した。平さんは「両親が謝罪に来ました。事件のことについては、思い出したくありません」と話した。

 手紙は、少年に対する佐賀家裁の第1回審判があった16日、塚本さんの友人で刺されて重傷を負った佐賀市の山口由美子さん(50)や、最後まで人質になった同市の女性(21)らの自宅に郵送された。

 両親の名前で便せん3枚に、「謝っても謝りきれるものではないと重々覚悟しております。憎んでも憎み尽きせぬ御気持ちも痛いほど分かります」「何にたとえようもないほどの傷の重み癒(い)えることのない恐怖を思いますと、申し訳ない気持ちでいっぱいです」「この先どのように償って行けばよいのか、何ができるのかを考えるばかりです」などと書かれていた。

 少年については、「本来ならば、本人の謝罪の意志をもお伝えしなければならないのですが、いまだに心を閉ざしたままで、これさえもかないません」と記されていた。

 山口さんは「謝罪するなら、もっと早くしてほしかったし、事件が起きる前に何とかならなかったのかと思うと、複雑な気持ちです。もう何と言われても、心の傷は癒えない」と手紙に戸惑いの表情を見せ、「審判のニュースを見て事件を思い出し、食事がのどを通らず、寝込んでいる」と心境を語った。

 さらに「少年のつらかった境遇も分かる。つらい思いをしている少年や子供に不安を抱いている親は多いし、少年の親だけが特別ということではないだろう。せめて、この事件が問題を抱えている親と子の関係をとらえ直すきっかけになればと思う」と話した。

バス乗っ取りの少年、付添人10人に -異例の大規模態勢-

2000.06.10The Sankei Shimbun
 西鉄高速バス乗っ取り事件で佐賀家裁(永留克記裁判官)は九日、佐賀市の無職少年(一七)の付添人として、新たに広島弁護士会所属の弁護士二人と、佐賀県弁護士会の弁護士五人の選任を認めた。これまでの三人と合わせ付添人は十人に上り、神戸の連続児童殺傷事件の五人を大幅に上回る態勢で、一般刑事事件の弁護人に相当する活動を行う。

 付添人は、少年審判規則で弁護士は三人までと定められている。裁判官の裁量で変更できるが、同家裁によると十人という態勢は前例がないという。

 同事件で佐賀家裁は調査官について、神戸事件の四人を上回る五人を充てることを決定、既に調査に乗り出している。

「帰宅許可は妥当」乗っ取り容疑少年入院先の所長会見

2000.06.08(00:07) asahi.com
 西鉄高速バス乗っ取り事件で強盗殺人などの疑いで再逮捕された佐賀市内の少年(17)が入院していた国立肥前療養所(佐賀県東脊振村)の内村英幸所長らは7日、同療養所で事件後初めて記者会見した。事件当日の一時帰宅許可について「その時点で事件の予測は立たず、家族も納得したうえで決定した」と妥当性を強調。「病院としては最善を尽くした」と釈明した。少年は「狭義の精神病ではない」としたが、病名や治療の詳細についてはプライバシーを理由に回答を避けた。  会見したのは、内村所長と平野誠副所長、吉住昭、村上優両精神科医長の4人。

 内村所長は事件の被害者らにお見舞いや哀悼の意を表し、「捜査が一応終了したことにより、プライバシーの問題に抵触しない範囲で見解を述べる」と用意した文面を読み上げ、質問に答えた。

 病院側によると、少年の入院(3月5日)は、精神保険指定医3人が医療と保護の必要性について検討し、当直医が診察した結果、医療保護入院とした。入院を拒否した事実はないと説明した。

 少年は入院初期、家族に暴言を吐くなどしたが、その後は穏やかな状態で過ごし、主治医とのコミュニケーションも取れていたという。

 病院としては、面接を重ねる中で「本人が安定した」と判断し、社会復帰の準備として外出に踏み切った。2回の外出の経過は良好だったため、両親と相談して5月3日の外泊を決めた。この判断について、病院側は「妥当だった。家族が不安を表明すれば許可しない」と話した。

 結果的に少年がその日、事件を起こしたことについて病院の責任を問われると、内村所長らは「大きな事件と認識している」としながらも、吉住医長が「病院としては最善を尽くした」と繰り返した。

少年を佐賀家裁移送 バス乗っ取り-弁護団反発「十分な活動できない」-

2000.6.6 The Sankei Shimbun
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、強盗殺人などの罪で容疑者の佐賀市内の無職の少年(一七)の送致を受けた広島家裁は六日、「この事件を調査、審判する裁判所として少年や保護者らの住所地がある佐賀家裁のほうがより適切」として事件を佐賀家裁に移送する決定を出した。少年の身柄は佐賀少年鑑別所に移され、今後の審判は佐賀家裁で行われる。これに対し、少年の弁護団は「佐賀では十分な弁護活動ができない」などと決定に反発している。

 広島家裁は、移送理由として、少年が両親や家族とともに佐賀市内で育ったことや入院していた精神病院が佐賀県内にあることなどを挙げ、「少年の性格、保護環境などに関する資料は、すべて佐賀市およびその周辺に集中している」と指摘した。

 事件の重大性を考慮し、「動機や資質上の問題点を解明し、適切な処分を決定するためには、保護者、教師、親族、担当医師などこれまで少年に深くかかわってきた者や家庭、学校など少年が成育してきた生活環境を綿密に調査する必要がある」としている。

 少年の弁護団を支援する広島弁護士会の弁護士は「家裁に抗議したが受け付けてもらえず、裁判官に会うことさえできなかった」と怒りをあらわにしていた。また、検察関係者も「決定には驚いた。当然一カ月間事件を捜査してきた広島で審理すると予想していた。なぜ佐賀に移送しなければならないのか理解しがたい」と話した。

バス乗っ取り事件、広島での審判を弁護団が申し入れ

2000.06.05(23:53)asahi.com
 西鉄の高速バスが乗っ取られて乗客5人が殺傷された事件で、広島家裁は5日午後、強盗殺人などの容疑で広島地検から送致された少年(17)に対する観護措置を決め、少年を広島少年鑑別所に収容した。これを受けて少年の弁護団(付添人団)は同日、事件を佐賀家裁へ移送しないことなどを求める申入書を広島家裁に提出した。

 申入書によると、これまでの接見や両親の話などから「(少年は)精神分裂病の疑いが強く、少年の心のやみを明らかにする必要がある」として、正式な精神鑑定をしたうえで処分するよう求めている。少年の供述調書や簡易鑑定書などを検討したうえで、近く正式に精神鑑定を申請する。さらに、広島弁護士会の弁護団と少年との間に信頼関係ができつつあるとし、「広島家裁での審判が望ましい」とした。

 少年審判規則で3人以下と定められている付添人について、捜査段階から携わっている5人の弁護士のうち3人を申請し、選任された。1997年に起きた神戸の連続児童殺傷事件では、5人の付添人が認められており、今回も付添人をあと2人増やすよう広島家裁に許可を求めている。

 これに先立ち、弁護団を支援する広島弁護士会の「高速バス事件対応部会」は広島市中区の広島弁護士会館で記者会見し、「少年と事件をすべて正しく理解したとは言えず、まだよくわからない点がある」とする弁護団コメントを発表。捜査当局が「入院させられた親への恨み」を動機とみている点については、「疑問を持っており、真実を探り出す必要がある」と否定的な見解を示した。

バス乗っ取り事件で少年を家裁送致 動機は特定せず

2000.06.05(21:30)asahi.com
 西鉄の高速バス「わかくす号」が乗っ取られて乗客が殺傷された事件で、広島地検は5日午前、佐賀市内の少年(17)を強盗殺人、同未遂、強盗致傷、銃刀法違反、人質による強要行為等処罰法違反の容疑で広島家裁に送致した。犯行状況や少年の供述などから、刑事責任を問えると判断。「刑事処分が相当」とする意見を付けたとみられる。動機については「現段階では特定しない」として、送致書の中では触れなかった。広島家裁は同日午後、少年を広島少年鑑別所に収容する観護措置を決め、少年は即日、同鑑別所に収容された。少年事件の場合、居住地を管轄する家裁に移送されるのが一般的だが、今回は弁護団(付添人団)や少年の両親の要望を受けて、広島家裁での調査、審判になるとみられる。弁護団は家裁に少年の精神鑑定を要請した。

 この日、広島地検から広島家裁に少年の供述調書や証拠品が送られた。広島県東広島市の西条署に勾留(こうりゅう)されていた少年は、車に乗せられ同署を出発、広島市中区の同家裁に移送された。同家裁で少年は、裁判官から人定質問や黙秘権、非行事実の告知を受け、事件についての意見を陳述。裁判官は少年の言い分を聴いた後、観護措置決定を言い渡し、同市中区の広島少年鑑別所に収容した。

 送致書によると、少年は5月3日午後1時35分ごろ、牛刀と呼ばれる包丁でわかくす号の平野忠運転手(57)らを脅し、佐賀市から福岡市へ向かう途中のバスを奪ったうえ、1時38分ごろ高取千佳さん(34)=東京都狛江市=に、2時40分ごろ山口由美子さん(50)=佐賀市=に切りつけて重傷を負わせた。3時32分ごろと4時20分ごろには、乗客1人ずつがバスの窓から飛び降りて脱出し、重軽傷を負った。3時33分ごろと4時21分ごろに、乗客の塚本達子さん(68)=佐賀市=の首を突き刺すなどして失血死させた、とされる。

 翌4日午前5時すぎ、東広島市の山陽自動車道小谷サービスエリアに停車中のバスに、広島県警の捜査員が突入し、銃刀法違反と人質による強要行為等処罰法違反の疑いで少年を現行犯逮捕。同15日には殺人と同未遂の疑いで再逮捕した。

 広島地検はその後、バスの乗っ取りは強盗にあたり、乗客3人の殺傷は単なる殺人と同未遂ではなく強盗殺人と同未遂、脱出した乗客2人がけがをしたのも強盗致傷にあたると判断。銃刀法違反、人質による強要行為等処罰法違反を合わせ、5つの容疑で送致した。

 少年は動機について、捜査段階で「精神療養所に入院させられたことが不満だった」などと供述しているが、同地検は送致書の中では触れなかった。

両親見て「きょうやるしかない」

2000年6月4日Mainichi Interactive
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、逮捕された佐賀市内の無職少年(17)が、広島県警など合同捜査本部の調べに、「(事件を決行するかどうか迷っていたが)バスが動きだした直後に窓の外に両親の姿が見えた。自分を追ってきた、きょうやるしかないと思った」と供述していることが3日、分かった。捜査本部は、病院に連れ戻されることを恐れ、事件を決断したと結論づけ、捜査をほぼ終結した。広島地検は拘置期限の5日、少年を強盗殺人、同未遂、人質強要処罰法違反などの容疑で広島家裁に一括送致する。「刑事処分相当」との意見書を付けるが、動機については触れない模様で、少年の心理の解明は家裁に舞台を移すことになる。

 これまでの調べでは、少年は5月3日午前9時ごろ、入院先の佐賀県内の病院から父親と帰宅。正午前に自転車で家を出て、刃物店で包丁を買い、バッグに隠して佐賀駅バスセンターから午後1時発のバスに乗り込んだ。

 少年は「バスに乗り込んだ後も決行をためらっていた」などと供述。しかし、たまたま通りかかった親の姿を見て追い詰められた気持ちになり、乗っ取りを決断したと捜査本部はみている。その後の調べで、少年が目撃したのは、父親と親類の女性だったと判明した。

 西鉄高速バスジャック事件は3日、発生から1カ月を迎えた。佐賀市内の無職少年(17)の動機について、広島県警などの合同捜査本部や広島地検は「親、病院、警察への反発がある」と見ながらも、「供述が揺れ動き、少年自身、分かっていないのかもしれない」と語る。少年は強盗殺人などの容疑で広島地検から広島家裁に5日送致されるが、これまでの供述と捜査幹部の分析から、何が少年を事件に走らせたか、改めて検証した。

 ■母校

 今年3月5日、少年は佐賀県内の病院に入院した。 中学立てこもりを考え、入院直前に実行しようとしたが、学校行事による振り替え休日で、できなかった

 立てこもり計画は「それほど具体的ではなかったものの、かなり真剣に考えていたよう」(捜査幹部)で、少年が1998年に卒業した中学に強い反感を持っていたことを示す。

 いじめという言葉は使いたくない。意地悪された

 捜査幹部は「学校は何もしてくれなかったという気持ちの表れ」と受け止める。

 ■両親

 父を信頼していた。だけど病院に入れられた。高校を中退して不安もあったのに。

 少年は中学途中から成績が下がり、家庭内暴力を振るうようになった。そのころから「親にかまってほしいという思いが出始めたようだ」と、捜査側はみる。 父親には「最後まで自分の方を向いてほしいという思いがあった。(高速道路料金の)領収書がその証拠だ」と捜査幹部は指摘する。領収書は、少年がバス内で「宝物だ」と人質に見せた、自分が父親とドライブをした記念の品だった。

 ■病院

 入院には腹が立った。具体的な計画はなかったが、何か大きいことをやろうと病院で決意した。それで静かにしていた

 中央官庁や小学校襲撃など「大きいこと」の中身をいろいろ思いめぐらしたが、官庁襲撃は実行不可能と断念し、候補を絞り込んでいった。実行に向け、静かにしていたことで一時帰宅が認められた。一時帰宅は5月3日からの3連休に重なった。

 ■決行

 包丁1本で人を脅したりできるのはバスで、成功の確率は高い。立てこもりも捨てがたい。外泊許可が平日で学校があれば立てこもりをやり、学校が休みならバスジャック

 少年は3日午前に退院し、佐賀市内で包丁を購入。ある捜査幹部は「世間のゴールデンウイークの雰囲気が少年を刺激した」と分析する。

 午後1時に乗り込んだバスを乗っ取り、乗客を死傷させた。捜査側は「興奮している中で(窓から逃げ出すなど)裏切り者が出たので、やっちゃった、ということではないか。犯行自体、やけくそになった部分がある」とみる。

バス乗っ取り容疑の少年が「親への反感」を供述

2000.06.04 (03:07)asahi.com
 西鉄の高速バス乗っ取り事件で、逮捕された佐賀市内の少年(17)が、広島県警などの合同捜査本部の調べに対し、親に強い反感を抱いていたと供述していることが3日、わかった。学習塾へ行かされたことを不満に思っていたほか、「親が自分と向き合ってくれない」と感じていたといい、「事件を起こして親を苦しめたかった」とも話している。捜査本部は、こうした親への反感などが動機の核心部分とみているが、一方で社会や学校への恨みを訴えるなどあいまいな部分も多く、断定には至っていないという。広島地検は勾留(こうりゅう)期限の5日、「刑事処分が相当」との意見をつけて少年を強盗殺人などの容疑で広島家裁に送致する。

 調べによると、少年は中学3年の冬休みに、親の勧めで福岡市内の合宿形式の学習塾に参加したが、なじめなかったためすぐに辞めた。少年は「自分は頭が良いのに塾へ行かされ、自尊心を傷つけられた」などと供述。高校入学後、不登校で自宅にこもりがちになってからは、親に見放されたのではないかと思い込むようになり、「自分と向き合ってくれなかった」などと話しているという。

 刃物を集めるなどしたため、親の説得で3月5日に佐賀県内の病院に入院したことについては「自分は正常なのに病院に入れられた」と不信感を抱き、5月3日の一時帰宅の際に事件を起こしたのは「親を一生困らせてやろうと思ったから」などと説明。事件直前に書いたメモには、入院への不満とも受け取れる「この恨みは決して忘れない」などの表現があった。

 一方で、少年は社会全般や教育制度への不満も口にしているほか、簡易鑑定で医師から「少年が真実を語っているとすれば、精神分裂病以外にはあり得ないが、数日の面接では真実を答えたか保証できない」と指摘された。

 両親は「息子は小学校時代からいじめに遭い、性格が変わっていった」と話しているが、少年は「意地悪されただけ」と否定するなど、供述内容の信ぴょう性に疑問もあるという。

 このため捜査本部は、親に対する反抗や甘えなどの複雑な感情が事件に結びついている可能性があるとみているものの、断定できないという。

 広島地検は、家裁への送致書の中で動機には詳しく触れない方針。家裁で「刑事処分が相当」と判断され、再び送致(逆送致)を受けた場合には、刑事裁判の中で事件の背景を明らかにしていくという。

バス乗っ取りの容疑少年 中学立てこもり失敗が動機か

2000.05.28(06:03) asahi.com
 西鉄の高速バス乗っ取り事件で、殺人などの疑いで再逮捕された佐賀市内の少年(17)が、事件の直前に書いた「長い年月をかけて練った大切な計画を貴様らは台無しにした」というメモの「計画」は、母校の中学校に立てこもることだったと広島県警などの合同捜査本部の調べに対して、供述していることが27日、わかった。決行日を3月6日に設定。同4日、「我、革命を実行す!」などと記した声明文を警察庁長官らあてに発送したのは、騒ぎをより大きくする目的だったという。ところが、同5日、佐賀県内の病院に入院したことで「計画」が実行できなかったことに大きな憤りを覚えていたらしい。捜査本部は、立てこもりの失敗がバス乗っ取り事件の動機につながったとみて調べている。

 これまでの調べに対し、少年は「武装して母校の中学校へ立てこもり、だれかを殺してやろうと考えていた」「3月6日に決行するつもりだった」などと供述しているという。

 首相、警察庁長官、文相、NHK会長にあてて声明文を送ったとメモに記していることについて、少年は「声明文が着いているだろう6日に立てこもれば、騒ぎがさらに大きくなると思った」と供述。4カ所を選んだ理由は「NHK会長はマスコミを巻き込んでアピールしたかったから、文相は学校が嫌いだったから。警察は犯罪を取り締まり、首相は社会の頂点に立つ人物だから」などと説明しているという。

 しかし実際には、刃物を集めるなど少年の様子がおかしいことに気づいた家族が少年を説得し、決行前日の5日に佐賀県内の病院に入院。このため、計画は実行出来なかった。

 このほか、少年は調べに対し、米国コロラド州コロンバイン高校で去年4月、同校の3年生2人が校内で銃を乱射し、13人を殺害した事件にも大きな刺激を受けたと話しているという。捜査本部は、少年が母校への立てこもりを計画したことに影響しているのではないかとみている。

 少年は中学3年の冬、学校の階段から飛び降りる「遊び」を級友から半ば強要され、腰の骨を折った。また、中学時代、同級生にからかわれるようになって孤立していたという。

 少年はメモの中で「この恨み絶対に忘れない」と書いている。捜査本部は、入院によって立てこもり計画を阻まれた少年が、約2カ月の入院生活の間に不満を募らせ、バス乗っ取りに至った可能性もあるとみて調べを進めている。

入院への不満が直接動機か

2000年5月24日 18時16分共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、再逮捕された佐賀市の無職少年(17)が、療養所入院中に、具体的な犯行や犯行決意に至った心情などをつづった「声明文」を書き、事件当日に自宅に残していたことが24日、4県警合同捜査本部の調べで分かった。少年は「入院させられて、見放されたような気持ちになった」とも供述しており、捜査本部は入院への不満が犯行の直接の動機との見方を強めている。

バス乗っ取り、容疑者少年に「英雄願望」

06:54a.m. JST May 21, 2000 asahi.com
 西鉄の高速バス乗っ取り事件で、殺人などの疑いで再逮捕された佐賀市内の少年(17)が、広島県警などの合同捜査本部の調べに対し、「バスを乗っ取っている時、『三国志』に登場する英雄、劉備(りゅう・び)になった気分だった」などと供述していることが20日、わかった。少年は、中国や日本の戦国時代を題材にしたテレビゲームなどに熱中していたという。いまだに犠牲者の遺族や被害者らに対して謝罪の言葉はなく、捜査本部は、少年の「英雄願望」が罪悪感の欠如につながっている可能性もあるとみている。

 捜査本部の調べなどによると、少年は中学生のころから中国や日本の戦乱期の歴史に興味を持ち始め、これらを題材にしたテレビゲーム、小説、漫画などに没頭するようになった。中でも、漢王朝末期の中国を舞台に英雄豪傑が活躍する三国志に強くひかれ、数十冊の関連書を読み、登場人物の1人の劉備にあこがれていたという。劉備は三国の一つ蜀(しょく)を建国した人物で、徳の高い英雄として描かれることが多い。

 天下統一を目指す日本の戦国武将たちを題材にしたテレビゲームでは、気性の激しい人物として描かれる織田信長を主人公に選んで遊ぶことが多かった。合戦後に捕虜の扱いを選択する場面では、味方として取り込むことはなく、必ず殺害していたという。

 少年が事件前、警察庁へ送った犯行予告ともとれる声明文には大きな文字で「ワレハテンテイナリ」(我は天帝なり)と書かれており、英雄伝からの影響もうかがえる。

 少年は、乗っ取ったバスの車内で「逃げたら殺します」などと乗客らを脅迫。「存在感を示したかった」とも供述している。捜査本部は、乗客らを支配することで英雄を気取りたかったのではないかとみて、動機との関連について慎重に調べている。

「ネットの掲示板でばかにされた」 バス乗っ取り少年が母に訴え2000年5月18日by Mainichi Interactive

 西鉄高速バス乗っ取り事件で、逮捕された佐賀市内の少年(17)が、母親に「インターネットの掲示板でばかにされた。許せない」と訴えていたことが、母親から相談を受けた精神科の開業医、町沢静夫・立教大教授の話で18日までに分かった。掲示板では、既に事件予告ともとれるメッセージが、少年自身の書き込みと裏付けられている。広島など4県警の合同捜査本部は、押収した少年のパソコンに残る通信記録などを分析、他の書き込みについて確認を進めるとともに、動機にかかわる記述があるか調べている。

 町沢教授の話によると、母親は最近になって「掲示板でものすごく攻撃され、いらいらしていたようだった。何のためにパソコンを買ったのか分からない」などと説明したという。

 調べでは、少年はバス乗車直前の「3日午後0時18分」に「佐賀県佐賀市17歳…。ヒヒヒヒヒ」と書き込んだ。「ネオむぎ茶」というハンドルネームを使っていた。少年は合同捜査本部の調べに対し、書き込みを認めているという。

 同じ掲示板では、2月29日「今後はキャットキラー→ネオむぎ茶となる」とハンドル改名を宣言する書き込みがあった。これ以前の「キャットキラー」名の書き込みは2月24〜29日、100回以上に及んでいた。

 このなかで、キャットキラーは「僕は九州人だ」と九州在住を明言。また「僕はちなみにヒッキーで現在昼夜逆転中なんで起きてます」と、引きこもりを意味する言葉を使って自分の状況を説明していた。これらは少年自身が書き込んだ可能性がある。

 一方、明らかに別人がキャットキラー名で書き込んだ例も複数あった。中年男性を自称して「どうせ俺(おれ)はゴミカスな人間だ」と自己紹介。これに対して、同じ名で「騙(かた)り野郎はひっこめ」と反 論した書き込みもあった。

 キャットキラーの会話はほとんどが他の参加者と言い争う内容だった。「ひっこめ」「かかってこい」などと相手を罵倒(ばとう)、逆にからかわれたり、「このいじめられっこが」などと言い放たれた場面もあった。書き込みの通し番号1000番を取る勝負を持ちかけ、負けると激高、改名した。

 ハンドルネームは、自由に名乗ることができ、複数の人物が同じ名を使う場合もある。書き込んだ人物の確認は、パソコンや契約していたインターネット接続プロバイダーの通信記録を調べる必要がある。

◆「キャットキラー」名の掲示板への主な書き込み◆

 【2月25日午後9時ごろ】
 (「弱いくせにいきがんじゃねえよ」などの書き込みに)なめんなよ。コノヤロウ!!かかってこい!!

 【26日午後7時過ぎ】
 (「今日○○(テレビ番組名)やってたか?」との書き込みに)やってたぞ! ちなみに僕は九州人だ!

 【26日午後10時すぎ】
 (30歳の無職男性と自己紹介した上)どうせ俺はゴミカスな人間だ。こいつらをみんなぶっ殺してやる

 騙り野郎はひっこめ! オレはまだ15だ! ざけんな! おやじじゃないぞ!

 【27日午前4時すぎ】

(「15歳がこんな時間起きとるか!」との書き込みに)僕はちなみにヒッキーで現在昼夜逆転中なんで起きてます

 【28日午前10時前】
 僕から一つ提案。レス1000番ゲットした奴をここの勝者にしない?

 【29日午前5時半すぎ】
 (950番の通し番号から約50回連続して)1000

 【29日午前6時ごろ】
 (1000番を別人が取ったのに対して)貴様何者だ−−−−−−−−−−−−−−−−− でてこいこら!!!!!!!!!!!!!!!! くやしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!

 【29日午前10時ごろ】
 ・1000ゲット出来なかった今、男らしく身を引こう。今後はキャットキラー→ネオむぎ茶となる

乗っ取り続けるため刺した

2000年5月17日 19時48分共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、殺人などの容疑で17日、送検された佐賀市の無職少年(17)は、広島地検の17日の調べに対し、殺意があったことを認めた上で「乗っ取りを続けるため、乗客に逃げたり抵抗されると困るので、見せしめのために刺した」と乗客を殺傷した動機を供述した。少年は、バス内で佐賀市の幼児教室経営塚本達子さん(68)を包丁で刺して殺害したほか、2人を負傷させた疑い。

リュックに包丁、入院決意

2000年5月16日 19時16分共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で殺人などの疑いで再逮捕された少年(17)が3月5日に佐賀県の国立療養所に入院した経緯について、広島弁護士会は16日、両親の話として、押し入れにあった包丁などがリュックサックに移されているのを見つけた両親が「何かしそうだ」と危機感を募らせ、翌日入院させていたことを明らかにした。

「療養所の医師だました」

2000年5月14日 16時09分共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で逮捕された佐賀市の無職少年(17)が、広島県警などの調べに対し、入院させられていた療養所について「おとなしく言うことを聞くふりをし、医師をだました」と供述していることが14日、分かった。捜査本部は、少年がバスを乗っ取るために、外出のチャンスをうかがったり早期退院を狙ったりしたとみて、犯行の計画性を裏付ける供述として重視している。

親に「ただではおかない」

2000年5月14日 9時51分合同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、逮捕された佐賀市の無職少年(17)が、3月に佐賀県内の国立療養所に入院する際、「覚えていろよ。ただではおかないからな」と言い、両親が不安を強めていたことが13日、少年の母親が精神科医の町沢静夫立教大教授にあてた手紙で明らかになった。手紙は入院の20日余り後の3月26日付。脅し文句は入院当日、両親が医師に経過を説明するのを聞いて出たという。

バス乗っ取りで死亡した塚本さんの長男「母の遺志継ぐ」

01:02a.m. JST May 14, 2000 asahi.com
 「何とか母の遺志を生かしたい」。バス乗っ取り事件で死亡した佐賀市水ケ江3丁目、故塚本達子さん(当時68)が理想の教育を求めて経営していた教育機関「幼児室」を継続させようと、長男で画家塚本猪一郎さん(43)=佐賀県久保田町=が新たな運営者を探している。「幼児室」は事件後、仮通夜などに使われたが、13日までに元の教室の姿に戻った。猪一郎さん自身も、ここを使って子どもの絵画教室を開く道を模索している。「母の日」の前日とあって、「幼児室」2階の住居には、祭壇の前にカーネーションが飾られた。

 塚本さんは28年間、県内で小学校教諭を務めた。最も長く勤務したのが、バス乗っ取り事件で人質になった石橋優希ちゃん(6つ)が通う久保田町立思斉小学校だった。優希ちゃんの父親の博さん(41)と、優希ちゃんの担任の女性教諭を受け持ったことがある。

 教諭時代は「偏差値教育の廃止」「校則、制服の廃止」を訴え、宿題をやめたこともあった。だが、学校という枠の中での教育に限界を感じて48歳で退職。子どもの「自立」を目標とした理想の教育を求めて「幼児室」を始めたという。最近は子どもの暴力、不登校、いじめなどに強い関心を持ち、少年犯罪の凶悪化、増加にも危ぐを抱いていたという。

 事件のあった3日朝は、愛知県豊川市で65歳の女性が殺害された事件で逮捕された17歳の少年が「人を殺す経験をしたかった」と動機を語ったとして、新聞に大きく報道されていた。塚本さんは新聞を見ながら「どこに問題があるのだろう」と、夫の平さん(71)に話したという。そして、バスに乗った。猪一郎さんは「バスでは目の前に、同じ17歳の少年がいた。いたたまれなかったのでは。そして、教育者として、ふがいなさ、無力さを感じたのではないでしょうか」と思いやった。

 塚本さんは毎週、手書きの「幼児室だより」を発行していた。その中に、こういう文章があった。

 「苦しんでいる子どもの姿をそのまま受け入れてやりたい。受け入れるということは認めること。そして、じっと待ちましょう。何分でも何時間でも、それは、子どもが自分の力で苦しみから立ち上るまで待つことです。やさしく、あたたかい心で待ってあげましょう」

 猪一郎さんも、塚本さんの教育を受け、スペインに留学して好きな絵の道に進んだ。各種の展覧会に入選、最近は東京などでも個展を開いている。

 母親の死を、「寿命だったと自分に言い聞かせています」と語る。ただ、事件については「ぜひこの機会に、教育について多くの人に考えてほしい。そうなれば、母の死は無駄にはならない」と話した。

「親から見放された」

2000年5月13日 16時12分
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、逮捕された佐賀市の少年(17)が広島など4県警合同捜査本部の調べに対し、佐賀県内の療養所から一時帰宅した際、両親に本州四国連絡橋・尾道―今治ルート(瀬戸内しまなみ海道)へのドライブに連れて行ってもらえず、「親から見放されたように感じた」などと供述していることが13日、分かった

警察庁に犯行を予告

2000年5月13日 9時25分合同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で逮捕された佐賀市の少年(17)が3月上旬、警察庁に「我革命を実行す」などと犯行を予告する内容の手紙を送っていたことが、12日までの広島県警など4県警合同捜査本部の調べで分かった。

 少年は、調べに対し「文部省や首相官邸、NHKにも出した」と供述。「中身は忘れてしまった」と話しているという。

バス乗っ取り事件で殺人容疑などで少年に逮捕状

03:33a.m. JST May 13, 2000 asahi.com
 西鉄の高速バス乗っ取り事件で、広島県警などの合同捜査本部は、銃刀法違反などの疑いで現行犯逮捕した佐賀市内の少年(17)が、車内で3人の女性客を牛刀で殺傷した状況がほぼ解明できたとして12日、新たに殺人と同未遂容疑の逮捕状をとった。捜査本部は、刃渡り約30センチもある鋭利な牛刀で、いずれも首を中心に刺したり切りつけたりしていることから、少年が明らかに殺意を持っていた、と判断した。15日に再逮捕する方針。

 調べによると、少年は3日午後1時35分ごろ、福岡県太宰府市内の九州自動車道を走行中、バスを乗っ取り、「言うことを聞かないと殺す」と脅して人質の乗客らを後方へ移動させたが、眠っていて事態に気づくのが遅れた高取千佳さん(34)=東京都狛江市=の首などを切りつけて重傷を負わせた。

 午後3時前には、同自動車道の門司―小倉東インターチェンジ間(北九州市)で山口由美子さん(50)=佐賀市=の首などを刺し、やはり重傷を負わせた。

 さらに約50分後には、山口県の中国自動車道小郡インターチェンジ付近で塚本達子さん(68)=同=の首を刺し、午後4時20分ごろにも、山陽自動車道下松サービスエリア付近で、塚本さんを何度も刺して殺害した疑い。

 山口さんと塚本さんは、いずれもほかの乗客が脱出した後、「見せしめだ」「連帯責任だ」などと言って切りつけられたという。

 少年はこれまでの調べに対し、「瀬戸内しまなみ海道へのドライブに連れていってもらえず、親に見放されたように感じた」などと話し、「目立つことをしたい」と考えているうち、愛知県豊川市の主婦刺殺事件で同年齢の男子高校生が逮捕され、「先を越されたと思った」などとバスを乗っ取った動機を供述している。

 捜査本部は今後、バスの乗っ取りを決意させた動機と、3人を殺傷したとされる行動がどう結びつくのかなどについて、全容の解明を進める。

 広島地検は12日、「車内での事実関係の確認にまだ時間がかかる」として、14日に切れる少年の勾留(こうりゅう)期間の延長を広島地裁に請求、24日まで認められた。一方で、未成年者の身柄を長期間拘束するのは望ましくないとしており、延長された勾留期間を1日使って捜査本部が再逮捕し、捜査全体の早期終結を目指す。

15日に少年を再逮捕へ

2000年5月12日20時41分共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、広島県警などの4県警合同捜査本部は12日、佐賀市の無職少年(17)=人質強要処罰法違反容疑などで逮捕=を15日に殺人と殺人未遂の疑いで再逮捕する方針を固めた。

 捜査本部は、少年の取り調べやバスの現場検証のほか、被害者をバスに乗せた実況見分をした結果、少年が3人を死傷させた経緯を解明。殺人容疑などでの立件を可能と判断した。

車内の音声を電話で生中継

2000年5月12日 16時29分共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件では、途中で降車した乗客が通報するまでの1時間余り、事件発生が明らかにならなかった。

 この教訓からバス運行各社は、運転手のワンタッチで車内の音声を電話を通じて会社に“実況中継“するシステムなど、犯人に悟られずに緊急事態をいち早く知らせる手段導入の検討を始めた。

両親の謝罪文を公表「気持ちの整理つかない」

2000年5月11日 19時45分共同
 西鉄バス乗っ取り事件で、広島弁護士会の弁護士5人が11日、広島市で記者会見し、逮捕された少年(17)の両親の謝罪文を公表した。

 その中で、両親は「私たちの子供が起こした事件について、心よりおわびを申し上げます」「遺族の悲しみを思うと、いたたまれない気持ちでいっぱいです」などと胸の内を明かした。

バス乗っ取り解明へ、当日の乗客ら乗せ実況見分

8:48p.m. JST May 10, 2000 asahi.com
 西鉄の高速バス乗っ取り事件で、広島、佐賀など4県警の合同捜査本部は10日、同型のバスを使って当時の車内の状況を確認する実況見分をした。人質になっていた乗客らを乗せて、佐賀市の佐賀駅バスセンターから、銃刀法違反などの疑いで少年(17)が現行犯逮捕された東広島市の山陽自動車道小谷サービスエリアまで、同じ経路約400キロを約6時間かけて走行。車内での行動や乗客の位置関係などを、当日と同じように停車、徐行しながらチェックした。捜査本部は「犯行状況はほぼ全容が解明できた」としている。

 乗っ取られた3日午後1時半ごろ、車内には少年のほか乗客21人と運転手の平野忠さん(57)がいた。実況見分には乗客12人と平野さん、広島県警の捜査員約20人が参加した。

 見分用のバスは午前10時40分すぎ、前後を警察車両数台に挟まれて佐賀駅バスセンターを出発。窓のカーテンは閉められ、外から車内は見えない状態のまま、長崎、九州、中国の各自動車道を経て山陽自動車道へ入った。

 当日に男性客4人が解放された広島市の武田山トンネルでは停車し、実際に男性の乗客がバスから降りた。午後4時半すぎ、小谷サービスエリアに到着。捜査員が突入した位置へバスを止め、写真撮影したり警察による説得を再現したりした。

 実況見分の途中、乗客2人が体調を崩してバスを降りた。

「3日にやろうと思った」

2000年5月8日 17時32分合同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、逮捕された佐賀市の無職少年(17)が広島県警西条署捜査本部の調べに対し、乗っ取りについて「(療養所から一時帰宅した)3日にやろうと思っていた」と供述していることが、8日分かった。

 少年の自宅から押収したパソコンや日記帳などのうち、一部に犯行を事前に計画していたことを示す押収物が残されていたことも判明した。

運輸省がバスジャック対策指示 バス協会は具体策検討へ

8:59p.m. JST May 08, 2000 asahi.com
 西鉄高速バスの乗っ取り事件を受け、運輸省は8日、社団法人日本バス協会(東京都千代田区)と全国のバス事業者に対し、対策マニュアルや発生時の緊急連絡手段の整備について、早急に検討するよう文書で指示した。これを受けて日本バス協会は近く、「バスジャック対策検討会議」を設置し、具体策の検討を始める。

 計約1900の乗り合い・貸し切りバス事業者が加盟する日本バス協会は、爆発物の取り扱いなど高速バスの安全運行に関するマニュアルを定めているが、乗っ取り事件を想定した内容ではない。同協会によると、西鉄のように個別に乗っ取り事件を対象としたマニュアルを定めている事業者は、ごく一部だという。

 西鉄のマニュアルでは、乗っ取り事件が起きた際の連絡について、無線や方向指示灯の非常点滅などで行うよう決めていたが、今回の事件では、少年が運転手のそばを離れず、効果がなかった。このため、同協会の対策検討会議では、ボタン一つで本社や営業所へ連絡できるようなシステムが技術的に可能かどうかなど、新たな通報手段についても検討する。

乗っ取りバスから携帯電話で人質の家族を脅す

06:47a.m. JST May 07, 2000 asahi.com
 西鉄高速バスの乗っ取り事件で、銃刀法違反などの疑いで逮捕された佐賀市内の少年(17)は、乗客を人質にとった車内から携帯電話を使って乗客の家族に次々に「拳銃を持ってくるよう、警察に言ってください。言わないと娘さんの命は危ないですよ」などと脅し、警察から拳銃を引き出そうと試みていたことが6日、複数の乗客の証言で分かった。要求になかなか応じない警察に、家族を通じて圧力を加えようとしていたらしい。山口県内では「道をふさいだら人を殺します」と警察をどう喝。携帯電話で外部と連絡することで、人質の効果を最大限に高めようとの戦術をとったとみられる。

 佐賀県三日月町の会社員池田美穂さん(18)ら、広島県東広島市の山陽自動車道・小谷サービスエリアでの警察突入で救出された複数の乗客の証言によると、少年は携帯電話で警察との駆け引きを続ける合間に、乗客の自宅の電話番号を聞き出した。

 まず、乗客最年少の佐賀県久保田町、思斉小一年の優希ちゃん(6つ)の父親、博さん(41)には「あなたの娘さんは今、バスに乗っています。拳銃を持ってくるよう警察に言って下さい。言わないと、娘さんの命は危ないですよ」と言って切った。少年は独り言のように「お父さんは冷静でしたよ」と乗客に向かってつぶやいた、という。

 次にもう一人の女性宅にも同内容の電話をかけた。女性の兄が電話に出た模様で、電話を切った少年は「お兄さんは冷静でしたよ。兄妹仲が悪いですか」などと、話していた。

 執ように拳銃を要求する少年に、譲歩する姿勢を見せない警察を揺さぶろうとしていたらしい。

西鉄が緊急会議を開催

2000年5月6日9時53分 共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、同社は6日、バスを運行する営業所長ら約100人を集め、福岡県大野城市でバスジャック対策緊急会議を開いた。事件で死亡した塚本達子さん(68)への黙とうに続き、古賀正義自動車局長が「安心、快適に目的地まで送るという使命を果たせず誠に残念」とあいさつした。会議では1998年に作ったバスジャック対策マニュアルについて、あらためて周知徹底を図るよう指示。

2階中心に家宅捜索

2000年5月6日 11時52分 共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で逮捕された佐賀市の少年(17)の自宅の家宅捜索は、6日午前11時前に始まった。広島、佐賀両県警の捜査員約10人がワゴン車2台で自宅前に到着。捜査員4人が段ボール箱を持って中に入った。

 2階建ての家の窓はすべてカーテンが閉められていたが、2階の部屋の電気がつき、時折カメラのストロボが光るのが見えた。近所の人らが遠巻きに見守っていた。

逮捕時、5万円前後を所持

2000年5月6日 18時37分 共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で逮捕された、佐賀市内の無職の少年(17)が、逮捕時に5万円前後の現金を所持していたことが6日、広島県警西条署捜査本部の調べで分かった。少年はバス乗車直前に、同市内で凶器の包丁を1万6000円で購入していたことが既に分かっており、捜査本部は相当額の現金を準備した上で、計画的に犯行に及んだとの見方を強め、現金調達の経緯や動機などを追及する。

女性3人解放条件に防弾チョッキさし入れ バス乗っ取り

2:31p.m. JST May 06, 2000 asahi.com
 西日本鉄道の高速バス乗っ取り事件で広島県警は、最初にバスを停止させた広島県東広島市の山陽自動車道奥屋パーキングエリア(PA)で容疑者の少年を説得した際、防弾チョッキを少年に差し入れていたことが6日、わかった。バス内で首などを切られて死亡した女性乗客ら3人を解放する交換条件としてで、逮捕されたときには、少年はこの防弾チョッキを着込んでいたという。

 同県警によると、少年に傷つけられた女性客3人の解放を県警が求めると、少年は交換条件として防弾チョッキの差し入れを要求。短銃やスタンガン、簡易トイレなども求めた。県警は短銃、スタンガンについては拒否したが、防弾チョッキについては性能を落としたうえで差し入れに応じたため、少年は解放に同意した。3人は救急車で病院へ運ばれたが、塚本達子さん(68)=佐賀市=がすでに死亡しており、高取千佳さん(34)=東京都狛江市=と、山口由美子さん(50)=佐賀市=が重傷を負っていた。

 県警では、少年の気を静めようと、差し入れに何度か応じている。県警は3日午後10時すぎ、「給油をさせろ」という少年の要求に応じて、バスを奥屋PAの次に小谷サービスエリア(東広島市)へ移動させて給油し、少年は残った乗客の最年長だった野中政子さん(72)=福岡市早良区=を解放した。

 同11時50分には、簡易トイレ、おにぎり、毛布などが差し入れられ、4日未明、末次由紀子さん(52)が解放されている。県警はまた、少年の好物というフライドチキンや、道路地図も差し入れた。少年はそれを見て、行き先を「東京」とか、「西宮」(兵庫県)などと言っていたという。

 同県警はバスを奥屋PAで停止させた段階で警察庁へ、テロ対策などを専門にする特殊急襲部隊(SAT)の派遣を要請し、大阪府警と福岡県警のSATや、ライフル狙撃部隊も現場に待機させていた。

バス乗っ取りの少年「連帯責任だ」と激高し切りつける

11:46a.m. JST May 06, 2000 asahi.com
 西日本鉄道の高速バス乗っ取り事件で、銃刀法違反などの疑いで逮捕された少年(17)が、人質の乗客が逃げたり隠れようとしたりするたびに「裏切った」「連帯責任だ」などと激高し、ほかの人質に次々切りつけていたことが、広島県警の西条署捜査本部の調べでわかった。首などを切られて死亡した塚本達子さん(68)=佐賀市=は、少年をなだめようとして犠牲になったという情報もある。捜査本部はこうした車内での少年の行動に注目し、一連の動機の解明に結びつくとみて調べている。

 少年は5日午後、広島地検へ送検され、広島地裁が10日間の勾留(こうりゅう)を認めた。捜査本部は殺人の疑いで再逮捕する方針。また、同県警は、逮捕容疑の裏付けなどのために、佐賀、福岡、山口の各県警と合同捜査本部を設置することを決めた。

 少年のそばに座らされ、包丁を突きつけられていた佐賀県久保田町の石橋優希ちゃん(6つ)と、バスの運転手平野忠さん(57)は5日午前、広島市内の病院を退院した。

バス乗っ取り17歳、病院から外泊許可中'00/5/5 中国新聞

読売ネット放送から写真を無断流用掲載

バス乗っ取り事件 密室の15時間半は…

05:57a.m. JST May 05, 2000 asahi.com
 15時間半に及んだ西鉄バス乗っ取り事件。乗客たちの話から密室の恐怖を再現すると――。

 高速バス「わかくす号」は3日午後零時56分、佐賀市から福岡に向けて出発した。乗客は少年を含めて22人。44の座席がちょうど半分埋まっていた。

 午後1時半すぎ、バスは福岡県の九州道太宰府インター付近にさしかかった。

 「前の方に座っている連中は後ろに詰めろ」

 運転席の方で、少年が刃渡り30センチほどの包丁をふり回していた。その方向から女児の泣き声がした。

 「男は窓側、女は通路側の席に移れ」。「男は後ろに下がって、女は前に来い」。次々と指示を変えた。

 声はなまりがなく、無表情だった。

 乗客の移動が終わると、少年は携帯電話や腕時計、財布など身につけているものを前に持ってくるように指図した。運転席の横に集めると、ひざ下ぐらいの山となった。さらに、補助いすを倒し、前と後ろを行き来できないようにした。30分弱の出来事だった。

 午後3時前、「だれかトイレに行きたい人はいるか」と少年がいった。中央付近に座っていた女性が手を挙げた。小倉東―門司インター間(北九州市)で降ろしたが、数分たっても戻らない。女性は非常電話で日本道路公団に事件を通報していた。

 少年は「逃げたな。(車を)出せ」と運転手に命じた。しばらくして、女性の悲鳴が響いた。少年は無言のまま、最前席の女性の首のあたりに包丁を2、3回ふりおろした。

 車内は凍りついた。

 少年は血の付いた包丁を持って歩き「ほかの連中はニコニコしてドライブしているのに、お前らはこういう目に遭っている」と笑いながら話した。

 その後、男性客や女性客が窓から飛び降りた。少年は激高した。最前席に座っていた別の女性の首あたりを、今度は5、6回にわたり執ように突いた。

 行動はだんだん過敏になったが、切りつけるときにも逆上した感じはなく冷静だった。それが逆に恐怖感をあおった。

 しきりに後ろのカーテンを開け閉めさせ、警察の尾行を確認した。運転手には「前の車をどかせろ」「真っすぐ走れ」などと指示した。

 少年は途中、包丁の刃こぼれに気づいた。ネックレスが原因と思い「ネックレスをはずせ」と乗客に指示した。乗客が隠れるそぶりなどを見せると切りつけ、乗客の持ち物からインスタントカメラをとり出すと、客を写した。けがをした人まで撮影した。

 午後5時半前。広島市内のトンネル内で「男どもは降りろ」と指示した。

 少年は、石橋優希ちゃん(6つ)を左手で抱きかかえ、右手に持った包丁を首に突き付けていた。

 どこへ向かうのか、具体的な指示はなかった。ただ、少年は、ぶつぶつ小言を言ったり、突然大声を張り上げたりした。車内にテレビはなく、ラジオも流れていなかった。

 午後5時50分、バスは奥屋パーキングエリアに。警察の説得が始まった。

 「まだ若いし、穏やかに話をしよう」と警察が話しかけた。少年は「けん銃をくれ」「防弾チョッキが欲しい」と、繰り返した。

 しばらくして、少年は「1人解放するからガソリンを入れさせろ。もっと東に行く」と言い、乗客の年齢を1人ずつ聞いてまわった。午後10時すぎ、出発地から300キロ以上離れた小谷サービスエリア(東広島市)に到着。一番年長だった野中政子さん(72)を解放した。

 「落ち着け」「もう十分アピールしたやないか」と声をかけた警察官に対し、少年はだんだん「お巡りさんの言うことも分かるけど」と、説得されてきたようだった。

 4日午前5時すぎ、捜査員が突入した。

乗っ取り事件で逮捕された少年 進学の夢絶たれ…

00:16a.m. JST May 05, 2000 asahi.com
 広島県警などによると、西鉄高速バスを乗っ取ったとして逮捕された少年は家の中で暴れ、両親に暴力を振るうこともあった。今年3月、母親が「息子が通信販売で刃物を買って部屋にこもり心配」と佐賀県警に相談。県警の勧めで医者と話し合い、少年を県内の病院に入院させたという。これまでに外泊許可をもらって2度帰宅し、今回は3度目の外泊許可が出て病院を出たばかりだった。

 同級生や近所の人たちの話では、少年は志望の高校への夢が絶たれた後、不登校、家庭内暴力、そして事件へと突き進んでいったという。

 「勉強がよくできる優等生」。少年は周囲にこう見られていた。小学生のときは、成績は上位だったが運動は苦手で、4年生ごろから、級友にからかわれたり嫌がらせをされたりするようになった。おとなしい性格だが、半面、プライドも高く、しばしば激高して反撃に出たこともあった。

 少年が変わり始めたのは、中学3年のときだ。県内一の進学高校への入学を希望していたが、校舎内で飛び降り、せき髄を損傷する大けがをした。「同級生から飛び降りろと言われた」「飛び降りる勇気がないんだろうとからかわれた」などがきっかけだったと周囲は言う。

 少年は長期間入院し、高校は志望校ではない佐賀市内の県立高校に入学した。

 中学校の卒業アルバムの集合写真では、少年は男子生徒の固まりから離れ、女子生徒と副担任教諭の間に隠れるようにしゃがみこんでいる。

 高校は10日ほど登校しただけで行かないようになり、1年余りで退学。その後は自室に閉じこもりがちになり、家族との会話もほとんどなくなったという。

 心配した会社員の父親は週末、少年をよくドライブに誘った。少年は、今回の乗っ取り後のコースと同じ岡山や広島へ日帰りで行きたがったという。

 近所の人は、少年の母親が「希望の行き先をかなえないと、怒り始めることもある。私たちを困らせて楽しんでいるようだ」とこぼすのを何度も聞いた、と話す。

 少年が入院していた佐賀県内の病院の責任者は4日、報道陣の取材に対し「今回の事件の被害者にお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方には心よりお悔やみ申し上げる」という談話を読み上げた。

 だが、少年のことについては「プライバシーの問題や広島県警からの会見差し止めの要請もあり、細かいことはコメントできない」と述べ、少年を一時帰宅させた理由についても明らかにしなかった。

広島県警、説得中に極秘の突入訓練

'00/5/5 中国新聞
 「長期化すれば被害の拡大も。この場で勝負するしかない」―。西鉄高速バスジャック事件の発生からすでに半日、二度目の停車場所となった東広島市の小谷サービスエリア(SA)で四日未明、広島県警は強行突入の意思を固めていた。早期解決と人質の安全。一見、背反する命題を抱え、ひたすらそのチャンスを待った。

 三日午後四時二十分、下松SAにバスを引き入れるはずだった山口県警が突然、パトカーの「阻止線」を解く。車内の少年からの要求は、下松SAに近づくに連れてエスカレート。「興奮状態で、乗客に危害を加える恐れがある」(山口県警捜査一課)との苦渋の決断だった。

 瞬間、広島県警の動きは慌ただしさを増す。車外に脱出した乗客の証言から、ひん死の乗客がいることは把握済み。「救護に向け、早急な停車が必要」との判断から、停車場所の選定を急いだ。

 パーキングエリア(PA)やSAの広さ、捜査員の配置や一般車両の排除にかかる時間などを計算し、奥屋PAで固まったのは午後五時すぎ。バスはすでに県内に入り、廿日市ジャンクションを通過していた。

 奥屋PAでの説得は四時間近くに及んだ。その間、県警は、同型の西鉄バスを南区内の県警察学校に持ち込み、大阪府警の特殊急襲部隊(SAT)とともに極秘の突入訓練。そして少年が出した「給油すれば、最高齢の乗客を解放する」との条件をのみ、午後九時半すぎ、約二十キロ東の小谷SAに。「疲労の末の逆上も考えた最後の移動」(県警幹部)だった。

 懸命に少年をなだめる中、県警本部には「なぜ、事件を長引かせるのか」との百本を超える抗議の電話が全国から殺到。想像以上の警察不信にたじろぎながらの強行突入。信頼回復と威信をかけた「決断」だった。

バス乗っ取り事件 少年は動機を「言いたくない」

00:15a.m. JST May 05, 2000 asahi.com
 福岡県で3日、西日本鉄道の高速バス「わかくす号」が刃物を持った若い男に乗っ取られ、乗客1人が死亡した事件で、広島県警は4日午前5時過ぎ、広島県東広島市の山陽自動車道・小谷サービスエリアに停車中のバスに捜査員を突入させ、銃刀法違反と人質による強要行為等の処罰法違反の容疑で、佐賀市内の無職の少年(17)を現行犯逮捕した。近く殺人容疑でも再逮捕する。人質になっていた佐賀県久保田町の小学1年、石橋優希ちゃん(6つ)ら乗客の女性9人と平野忠運転手(57)は、事件発生以来、約15時間半ぶりに救出された。同県警は西条署に捜査本部を設置して少年の取り調べを始めたが、動機については「言いたくない」と供述しているという。車内では、佐賀市水ケ江3丁目、塚本達子さん(68)が少年に首などを刺されて死亡。また、救出の際、乗客1人が割れた窓ガラスでけがを負い、けがをした乗客は6人となった。

 広島県警によると、少年に対する4日の取り調べは午前中は約2時間で、指紋採取や写真撮影をした。少年はやや興奮した様子だった。休息のあとは落ち着きをみせた。午後は約1時間半調べ、少年にやや疲れがみえてきた段階で打ち切った。
 少年の父親は非常にショックを受けているようで、「責任を痛感している」と話したという。

一瞬の隙見つけ、2分間の救出劇 バス乗っ取り事件

10:58p.m. JST May 04, 2000 asahi.com
 15時間半にわたったバス乗っ取り事件の結末は一瞬だった。

 広島県警の「陽動作戦」が始まったのは、空が白み始めた午前5時前。同県東広島市の小谷サービスエリアで、前夜からバスの前に止まったままだった3台の救急車がゆっくりと近くの給油所に移動した。

 つなぎ服の従業員がすぐ駆け寄った。

 「ガソリンを入れるまねをしてくれ」

 給油所のマネジャーは直前、県警からこう頼まれていた。救急車の動きで、少年の気を散らさせようとするねらいがあった。

 「給油」が始まったころ、少年はそれまで抱えるようにしていた石橋優希ちゃん(6つ)を運転席の後ろの座席に残し、1つ後ろの座席に腰かけた。

 同3時ごろから突入のタイミングを計ろうと、脚立の上で運転席の窓から説得を続けていた県警捜査幹部は、一瞬のすきを見逃さなかった。すかさず合図を送った。

 バスの後方十数メートルのところには白いワゴン車が横付けされ、その後ろに十数人の隊列を組んで捜査員らがしゃがんでいた。テロ対策などを専門にする大阪府警と福岡県警の特殊急襲隊員(SAT)も加わっていた。SATは、1979年の大阪市住吉区の三菱銀行北畠支店で起きた立てこもり事件や、95年の全日空機ハイジャック事件で出動している。

 合図と同時に二手に分かれ、中腰姿で素早くバスの左右に散った。

 午前5時3分。約30人の捜査員がバスの後方から接近。ハンマーのような金具で窓ガラスがたたき割られ、車内に「せん光手投げ弾」が投げ込まれた。まばゆいオレンジの光と白煙。捜査員らがバスの左右前部にはしごをかけて、15人が車内になだれ込んだ。

 車内からは悲鳴が上がった。乗客の1人、井手愛弓さん(21)は「ピストルの音と思った」。

 少年が叫んだ。「何をやっているんだ」

 捜査員が優希ちゃんと少年の間に割り込むようにして窓から上半身をねじこみ、少年を押しやった。

 少年から刃物を奪った捜査員に続いて、優希ちゃんが捜査員2人に抱きかかえられて姿を現した。残りの乗客は、白煙の噴き出す後部右側の非常扉を中から開け、集まった捜査員の中に飛び込むように次々と脱出した。

 わずか約2分間の出来事だった。

ネット上で情報飛び交う バス乗っ取り事件発生後

10:53p.m. JST May 04, 2000 asahi.com
 西鉄バスジャック事件が報道され始めた直後から、インターネット上の複数の「掲示板」で、容疑者を特定しようとする書き込みが相次いだ。匿名のホームページ上には複数の現場写真が掲載され、容疑者の顔がはっきりと分かるものもあった。

 ある掲示板上には、実際の容疑者とは異なる複数の個人名が、住所や通学する高校名などとともに「真犯人の情報」として掲載された。「早く射殺しろ」「顔写真を公開すべし」などの投稿が続いた。さらに「学生時代の文集が公開されたらしい」「西鉄を逆恨みした犯行らしい」などのうわさ話も。3日夜には「人質名簿」と称して8人の個人名が公開されたが、すべてにせの情報だった。

 同じ現象は、3年前の神戸市連続児童殺傷事件でも起き、容疑者の逮捕直後から、名前や顔写真がインターネット上を飛び交った。書き込み者はほとんどが匿名で、海外の接続業者を利用しているケースも多いという。

「動機は言いたくない」と供述

2000年5月4日 20時08分 共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件で逮捕された佐賀市の無職少年(17)は「間違いありません」と容疑事実を認めているものの、「動機は言いたくない」と供述しているという。3月上旬、自宅に刃物を持って立てこもり、母親が警察に相談して佐賀市内の病院に入院。事件当日の3日に外泊許可を得て一時帰宅していた。

警察が口止めと説明拒否

2000年5月4日 16時21分 共同 
 高速バス乗っ取り事件で逮捕された少年(17)が入院していた佐賀県内の国立療養所には4日朝から多くの報道陣が詰めかけた。同日午後になって所長が姿を見せ「事件の被害者にはお見舞いを、亡くなった方にはお悔やみを申し上げたい。捜査の支障となる上少年の高度なプライバシーにかかわる内容なので記者会見をしないよう広島県警から差し止められている」と短いコメントを読み上げた。

せん光手投げ弾を使用

2000年5月4日 15時41分 共同
 西鉄高速バス乗っ取り事件の4日未明の突入作戦では「せん光手投げ弾」または「スタングレネード」などと呼ばれるテロリスト制圧用に開発された特殊兵器が車内への部隊突入に先立って使用された。ペルーの日本大使公邸人質事件の武力突入作戦(1974年4月)でも使用された同手投げ弾はテロリストなどを短時間、抵抗不能にしてしまう装備。日本国内の“実戦“で使用されたのは初めて。

精神的な傷深く

2000年5月4日 11時21分 共同
 西鉄高速バスの乗っ取り事件で、発生から15時間半ぶりに救出された乗客は4日朝、搬送先の病院で家族らと再会を果たした。

 犯人の少年(17)に刃物を突き付けられていた石橋優希ちゃん(6っ)=佐賀県久保田町=も、救急隊員の質問には「気分は悪くない」とはっきりした口調で答えたが事件で受けた精神的な傷は深く、両親とともにカウンセリングを受けているといい、容易にはいえそうにない。

バス乗っ取り人質の優希ちゃん、初めての一人旅で事件に

10:56a.m. JST May 04, 2000 by asahi.com
 乗っ取られたバスで少年に刃物を突きつけられた佐賀県久保田町の思斉小1年、石橋優希ちゃん(6つ)は、ゴールデンウイークを利用して福岡市に住む祖母の家へ行く途中だった。初めての一人旅で事件に巻き込まれた。

 親せきによると、優希ちゃんは、昼過ぎに家族に佐賀市内の高速バスのバス停まで送られ、福岡市のバスセンターには祖母が迎えにくることになっていた。

 佐賀県鳥栖市に住む、父親の博さんのいとこは「心配で心配で。初めての一人旅が、こんなつらい目に遭うことになるなんて」と、言葉をつまらせた。

高速バス乗っ取り、警官隊が突入 少年を逮捕

06:00a.m. JST May 04, 2000 by asahi.com
 佐賀発福岡行きの西日本鉄道高速バス「わかくす号」が3日午後、福岡県太宰府市の九州自動車道太宰府インターチェンジ付近で、佐賀市に住む17歳の少年に乗っ取られた事件で、4日午前5時すぎ、広島県東広島市の小谷サービスエリア(SA)で停車中のバスに広島県警の捜査員が突入、少年を人質による強要行為等の処罰に関する法律違反と銃刀法違反容疑で現行犯逮捕した。乗っ取られてから15時間半ぶりに、バスに残っていた乗客9人と運転手は救出された。また、突入した際、警察官1人が軽いけがをした。

 福岡県警などの調べによると、バスは3日午後1時35分ごろ、太宰府インターチェンジ付近で乗っ取られた後、少年の指示で山口県の中国自動車道を経由して山陽自動車道を東へ走り、同午後5時50分ごろ、東広島市の奥屋パーキングエリア(PA)で広島県警のパトカーに停車させられた。奥屋PAで女性3人が救出されたが、佐賀市水ケ江3丁目、塚本達子さん(68)が首などを切られ死亡、2人が重軽傷。さらに、山口県内で走行中に男女2人がバスから飛び降りてけがをした。広島市内で男性4人、小谷SAで女性2人が解放された。

 逮捕された少年は、短銃とスタンガン、防弾チョッキ、簡易トイレを要求し、東京方面に行くよう求めていた。

高速バス乗っ取り事件・ドキュメント

05:54a.m. JST May 04, 2000 by asahi.com
 3日午後起きた高速バス乗っ取り事件のドキュメントは、以下の通り。

     ◇

 【3日】

 12・56 「わかくす号」が西鉄佐賀営業所(佐賀市)を出発

 13・00 佐賀駅バスセンター発

 13・35 九州道太宰府インター(福岡県)付近で事件発生。バスは同インターを通過

 14・45 佐賀営業所がバスに無線連絡するが、通ぜず

 14・47 門司―小倉東インター間(北九州市)で女性客がトイレを理由に降車。非常電話で事件を日本道路公団に通報

 14・59 同公団福岡管理室から福岡県警に110番通報

 15・05 公団から佐賀営業所に「乗っ取られた」との連絡が入る

 15・08 山口県警が緊急配備

 15・27 同県警が山陽道下松サービスエリア(山口県)にバスを誘導するよう指示

 15・34 中国道小郡インター(山口県)付近で松野幹子さん(30)がバスから飛び降りる

 15・37 バスは山陽道へ

 15・45 佐波川サービスエリア(山口県)を通過

   同   乗っ取ったとみられる男から山口県警に110番通報。その後6回にわたり「岡山の吉備で(バスを)止める。けん銃を用意しろ」などと要求

 16・15 同県警高速隊の無線に「車内で乗客が刺されて重傷と認められる」との連絡

 16・20 下松サービスエリア通過。岸川正之さん(52)がバスから飛び降りる。同県警は吉備サービスエリア(岡山県)への誘導作戦を検討

 16・30 山陽道熊毛インター(山口県)を通過

 16・36 山口県警が広島県警に引き継ぎへ

 16・43 岩国インター(山口県)を通過

 16・50 広島県内に入る

 16・53 大竹インター(広島県)を通過

 17・00 山口県警が緊急配備を解除

 17・10 西鉄本社(福岡市)で久保祐二・乗合バス事業本部長(55)が記者会見

 17・24 武田山トンネル(広島市)付近で男性客4人が降車

 17・25 広島県警がバスと後続の一般車両を引き離し始める

 17・26 広島インター通過

 17・30 広島東インター通過

 17・50 警察車両が高速道路をふさぎ、バスを奥屋パーキングエリア(東広島市)に誘導。バスは停車し、警察官が周囲を取り囲んで説得を試みる

 18・01 高速バスが、パーキングエリアの駐車場内にゆっくりと入る。パトカー数台がバスの両わきに停車

 18・03 バスが再び動き始め、円を描くように駐車場内を動いて停車

 18・10 広島県警が県警記者クラブに対し、「フラッシュをたくと犯人を刺激する」と取材の配慮を要請

 18・34 バスから負傷した乗客の女性1人が解放される

 19・00 捜査員が脚立の上に乗り、運転席の窓ごしに説得を続ける

 19・13 広島市の市立安佐市民病院に乗客の女性が運ばれる。意識はあるが、首などを刺されて重傷

 19・25ごろ 女性2人をバスから救出。待機していた救急車が、それぞれ広島市の別の病院へ搬送。1人は広島大付属病院で死亡確認。もう1人は重傷

 19・40 広島北署に乗客の若い男性2人が到着。事情聴取始まる

 20・07 男が照明が気になるとして、パーキングエリア内でバスを移動

 20・35 乗っ取られたバスの運転手の長女(30)が山口県下関市内から広島県警高速道路交通警察隊の本部に入る

 20・40 警察がバスの車内に菓子類やごみ袋、ティッシュペーパーなどを差し入れる

 21・00 奥屋パーキングエリアで広島県警が報道陣に説明。犯人は短銃、防弾チョッキなどを要求。運転席の後ろで女児の首を右腕で抱え、包丁を突きつけているという

 21・38 バスが奥屋パーキングエリアから山陽自動車道上り線に戻り、岡山方面に向かう

 21・45 森喜朗首相が訪問先のベルリンのホテルで談話を発表。「犠牲者が出たことは誠に残念に思う。東京には私が直接電話して、万全の措置をとるよう指示した」

 22・02 バスが小谷サービスエリア(東広島市)に入る。男からの要求で広島県警が給油

 22・15 広島北署で事情を聴かれていた乗客4人のうち2人が警察車両に乗り込み、広島市内のホテルへ。報道陣の「車内の様子は」との問いに、無言のまま車内に乗り込む

 22・33 同サービスエリアで乗客の女性1人が解放される

 22・37 説得のため男の両親が同サービスエリアに到着

 22・52 「もっと暗い所に行け」との男の要求で、同サービスエリア内でバスを移動

 23・00 バスの乗客の3家族計約10人が同時刻までに広島南署に到着、待機

 23・50 男の要求に応じ、広島県警が簡易トイレ、おにぎり、ウーロン茶などを差し入れ

 【4日】

 0・35 バスから女性の乗客1人が出され、担架で運ばれる

 0・39 バスのハザードランプが消える

 1・05 この女性が西条中央病院(東広島市)に運び込まれる

 5・03 広島県警の捜査員が突入、少年を現行犯逮捕。乗っ取られてから15時間半ぶりに、バスに残っていた乗客を救出


若い男が高速バス乗っ取り 解放された女性1人死亡

(21:44) May 03, 2000 by Asahi.com
 3日午後2時50分ごろ、九州自動車道門司インター付近の非常電話から日本道路公団に、女性(40)から「若い男からバスジャックにあいました」と通報があった。福岡、山口両県警によると、佐賀発福岡行きの西鉄高速バス「わかくす」号が同日午後1時半ごろ、九州自動車道を走行中、太宰府インター付近で乗客の若い男が運転手に刃物をつきつけ、バスを乗っ取ったという。バスはその後、男の指示で山陽自動車道を東へ走ったが、午後5時50分ごろ、広島県東広島市の奥屋パーキングエリア(PA)で停車、警官らが説得を続けている。

 福岡、山口両県警の調べによると、通報した女性はトイレを理由に下車した。その後、山口県内で男女2人がバスから飛び降り、頭などに軽いけがをした。さらに広島県内で男性4人が降ろされた。

 女性客約10人を乗せて奥屋PAまで行き、数人が解放された。うち、女性1人は首などを刺され、広島大医学部付属病院に収容されたが死亡した。もう1人も重体という。

 降りた乗客らによると、乗っ取った男は10代ぐらいの若い男で、身長約165センチのやせ形。めがねをかけ、包丁のようなものを1本持っていた。服装は紺と白のチェック柄のシャツに薄い紺のジャケット。ジーンズのようなズボンという。

 西鉄広報室によると、バスは、午後零時56分に佐賀営業所を出発し、九州自動車道と福岡都市高速道路を通って、午後2時6分に福岡市中央区の西鉄天神バスセンターに到着する予定だった。バスは1300キロ程度走れる燃料を積んでいたという。

 乗客のうち、佐賀県大和町川上、看護婦松野幹子さん(30)は午後3時半すぎ、山口県の小郡インター付近で走行中のバスの窓から飛び降り、山口赤十字病院に収容された。顔や足などに1カ月程度のけがという。

 また、同4時20分ごろには、同県の下松サービスエリア付近で佐賀県川副町早津江津、会社員岸川正之さん(52)が飛び降り、軽いけがをした。

 男は、同5時25分ごろ、広島市の武田山トンネルで男性4人を降ろした。同5時50分ごろ、広島県東広島市の奥屋PA前で、警察の車両に進路をふさがれたため、同PAの駐車場に入って停車、警官らに取り囲まれた。同7時30分ごろまでに、負傷者ら3人が解放された。

 乗っ取られたバスは午後9時36分、奥屋PAから岡山方向に動き出した。

高速バス乗っ取り 東広島市の奥屋PAで止める(18時18分現在)by 中国新聞

福岡の高速バス乗っ取り、山陽道走り奥屋PAで停車

7:02p.m. JST May 03, 2000
 3日午後2時50分ごろ、女性から「刃物を持った若い男がバスジャックをした」と九州管区警察局高速道路管理室に電話で通報があった。バスは、佐賀発福岡市・天神行きの西鉄高速バス「わかくす」。午後1時半ごろ、九州自動車道の太宰府インター付近で、乗客の若い男が運転手に刃物を突きつけ、乗っ取ったという。

 乗客は約20人。バスはその後、男の指示で、山陽自動車道を走り、午後4時50分ごろ、広島県に入った。山口県警をはじめ周辺の警察がバスを追跡。東広島市の奥屋パーキングエリアで、午後5時50分ごろ停車、警官が取り囲んでいる。同県警などによると、山陽自動車道で乗客数人がバスから飛び降りて頭などに軽いけがをしたほか、乗客2人が刃物で刺された模様だ。

 飛び降りた女性は「高校生風の男が1人、ナイフを持っていた。乗客2人がけがをしている」と話している。

 西鉄広報室によると、バスは、午後零時56分に佐賀営業所を出発し、九州自動車道と福岡都市高速道路を通って、午後2時6分に福岡市中央区の西鉄天神バスセンターに到着する予定だった。

       ◇

 乗っ取られた西鉄バスは山陽自動車道を東進し、午後4時50分、広島県に入った。午後5時15分、五日市インターを通過し、午後5時20分ごろ、広島インターの西で、自然渋滞にかかり、速度を落としたり、一時とまったりしたものの、同26分、通過した。

 広島インターの西約3キロの武田山トンネル付近で、乗客の男性4人が解放された。

       ◇

 高速バスは午後5時50分ごろ、広島県東広島市のの山陽自動車道奥屋パーキングエリアの手前で、警察車両に前を遮られて本線から外れ、同パーキングエリアに入って止まった。捜査員らがバスの外から、男の説得を続けている。周囲では救急車が待機している。午後6時34分、負傷した乗客1人が解放された。

福岡で高速バス乗っ取り 広島県内の山陽道を東進

5:56p.m. JST May 03, 2000 by Asahi.com
 3日午後2時50分ごろ、女性から「刃物を持った若い男がバスジャックをした」と九州管区警察局高速道路管理室に電話で通報があった。バスは、佐賀発福岡市・天神行きの西鉄高速バス「わかくす」。午後1時半ごろ、九州自動車道の太宰府インター付近で、乗客の若い男が運転手に刃物を突きつけ、乗っ取ったという。乗客は約20人。バスはその後、男の指示で、山陽自動車道を走り、午後4時50分ごろ、広島県に入った。山口県警をはじめ周辺の警察がバスを追跡している。同県警などよると、山陽自動車道で乗客数人がバスから飛び降りて頭などに軽いけがをしたほか、乗客2人が刃物で刺された模様だ。

 飛び降りた女性は「高校生風の男が1人、ナイフを持っていた。乗客2人がけがをしている」と話している。

 西鉄広報室によると、バスは、午後零時56分に佐賀営業所を出発し、九州自動車道と福岡都市高速道路を通って、午後2時6分に福岡市中央区の西鉄天神バスセンターに到着する予定だった。

       ◇

 乗っ取られた西鉄バスは山陽自動車道を東進し、午後4時50分、広島県に入った。午後5時15分、五日市インターを通過し、午後5時20分ごろ、広島インターの西で、自然渋滞にかかり、速度を落としたり、一時とまったりしたものの、同26分、通過した。

 広島インターの西約3キロの武田山トンネル付近で、男性3人、女性1人が飛び降りた模様。

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