TOPIC No.2-84 中米グアテマラ邦人襲撃/旅


リンチ罪法制化の動き

2000年5月6日 17時22分【リオデジャネイロ共同】
 中米グアテマラで日本人団体観光客が襲われ、会社員山広哲男さん(39)ら2人が殺害された事件をきっかけに、グアテマラで住民らによるリンチ(私刑)を犯罪と定め、処罰する規定を刑法に盛り込む法改正の動きが出始めた。悲劇の再発を防止するとともに、「グアテマラは危険」というイメージを払しょくし、重要な収入源の外国人観光客を確保したいとの狙いもある。

グアテマラ事件で地元市長「カルト教団のうわさが原因」

0:35p.m. JST May 05, 2000 asahi.com
 グアテマラ西部のトドス・サントス・クチュマタン市を訪れていた日本の観光ツアー一行が地元住民に襲われ、埼玉県与野市の会社員、山広哲男さん(39)ら2人が殺害された事件で、同市のメンドーサ市長は4日、首都グアテマラ市内の日本大使館を訪れ、「事件は『カルト集団が子供をさらいに来る』とのうわさが流れ、住民が異常な心理状態に陥っていたことが原因」などと事情を説明するとともに、正式に陳謝した。

 現地からの情報によれば、事件のあった先住民集落では当時、「悪魔を信奉するカルト集団が、臓器をいけにえとしてささげるために子供をさらいに来る」といったうわさが流れていた。さらに、同時期に宗教関係と思われる団体名で、地元当局に集会場の使用許可申請が出されていたことから、先住民らの警戒感は極度に高まっていたという。(時事)

 

グアテマラ警察、日本人観光客殺害の容疑者9人逮捕

00年5月4日 14時55分[グアテマラシティ 3日 ロイター]
 日本人観光客と観光バスの運手が殺害された事件で、グアテマラ警察は、容疑者9人を逮捕した。逮捕者のなかには、68歳の老人や女2人も含まれている。

 事件は4月29日にトドス・サントス・クチュマタン市の市場で発生。日本人観光客23人が事件に巻き込れた。襲撃に加わった先住民は子供を奪われると思い込み、バスに投石するなどした。

 先住民の間では外国人が子供をさらい、身体の一部を海外に売り飛ばすとのうわさが流れていたという。

 

主犯の容疑者ら9人逮捕

2000年5月4日 9時31分【リオデジャネイロ共同】
 中米グアテマラで日本人団体観光客が襲われ、会社員山広哲男さん(39)=埼玉県与野市=とグアテマラ人運転手の2人が殺害された事件で、グアテマラ国家警察は3日、主犯格とみられるフアン・バウティスタ容疑者(46)を含む9人を殺人などの容疑で逮捕したと発表した。残る容疑者10人についても行方を追っている。

日本国民に陳謝と大統領

2000年5月3日 12時08分【リオデジャネイロ共同】
 中米グアテマラで日本人団体観光客が襲われ会社員山広哲男さん(39)=埼玉県与野市=とグアテマラ人運転手の2人が殺害された事件で、グアテマラのポルティジョ大統領は2日「浦辺彬大使を通じ日本国民に陳謝し、弔意を伝えた」と語った。グアテマラ国家警察は同日新たに襲撃事件に関与した7人の容疑者の逮捕状を取る方針を発表、同事件の容疑者は19人となった。

家族が遺体と対面へ

2000年5月1日 16時49分【リオデジャネイロ共同】
 中米グアテマラのマヤ遺跡などを回る団体旅行に参加した日本人観光客が襲われた事件で、死亡した埼玉県与野市の会社員、山広哲男さん(39)の家族が1日にもグアテマラ市に入り、遺体と対面する。

 グアテマラ北西部の町トドス・サントス・クチュマタンで29日に先住民に襲われ殺害された山広さんの遺体は、30日午後、グアテマラ市に到着した。

グアテマラ旅行中の邦人男性が群衆に襲われ死亡

02:14a.m. JST May 01, 2000
 中米グアテマラからの報道などによると、同国北西部にあり、首都グアテマラ市から約300キロの都市、トドス・サントス・クチュマタンで29日午前(日本時間30日)、日本のゴールデンウイークにあわせて企画された日本人観光旅行のグループが地元の人々に襲われて、邦人男性客1人が死亡した。

 ウエウエテナンゴの警察などが朝日新聞に対して明らかにしたところによると、死亡したのは山広哲男さん(39)=本籍、浦和市。ほかに2人が軽傷を負ったという。一行は約20人で、バスに分乗して、先住民の集落や遺跡などをめぐっていた。午前10時半ごろ、写真を撮っていた一行に対し、約500人の地元住民らが、投石や棒などで襲った。警官が制止しようとしたが、山広さんの顔に数発が当たり、死亡したらしい。

 近くでグアテマラ人の運転手が死亡しているのも見つかり、同じように襲われたと見られている。

 複数の目撃者談によると、住民の中に、一行が子どもをさらうためにきたと勘違いした人がいて、周囲に急報を告げ、群衆の激高を誘ったらしい。

 警察係官は「反日感情からではなく、子供がさらわれるという警戒感から勘違いが起きた悲劇」と語った。

 中南米では、貧しい子どもたちが、行方不明になる事件が少なくない。非合法の養子や臓器売買の対象になっているとみられているといわれ、子どもの写真は、こうした取引の材料にされる場合がある。このため、地元の人々は、「子どもが盗まれる事件」に神経をとがらせてり、外国人に警戒感を強めている。また、内戦の歴史もあって、政府軍・警察への不信感も根強く、自衛の意識も高い。地元紙は「写真を撮ることが悲劇に変わった」と報じている。

 グアテマラに住む日本人の非政府組織関係者の話では、数カ月前に少女を誘拐、殺害したグループが近く事件の起きた地域に集まるとの情報が流れていたという。政府が子どもの安全について注意を促す通達を出し、住民の間で緊張が高まっていたとの話もある。

 メキシコ南部からグアテマラの先住民の間には、宗教上の考えから、写真を撮られることが自分の魂が奪われるとして、外国人観光客にカメラを向けられることに強い嫌悪感を示す人々も多い。このため、日本の旅行社でも、ツアー参加者に、こうした点をあらかじめ注意するのが一般的になっている。

 外務省邦人保護課によると、事件に遭ったツアーは、東京都千代田区の「西遊旅行」が主催したもの。在グアテマラの日本大使館員が事情を確認するために、現地に向かったという。
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 グアテマラは、メキシコの東南にある中米の小国。熱帯に位置し、海岸部には密林が広がる。国土の中心部は冷涼な高原地帯となっている。良質なコーヒー豆の産地として知られる。36年間にわたる内戦で12万人以上が死亡したが、1996年に反政府勢力との和平が成立した。死者は20万人ともいわれる。

 国民の大半はあざやかな織物など独特の文化を持つマヤ系の先住民で、マヤ文明の遺跡が多い。街全体が世界遺産に指定されている古都アンティグア市などが有名。最近は日本からのツアー客も増えていた。

 冬から春にかけての乾期が旅行シーズン。内戦が長く続いたこともあり、元武装ゲリラらが都市部に流入するなど、治安は必ずしもよくないという。

 事件が起きたトドス・サントス・クチュマタン市は、先住民マム族が住む、山あいの小さな町。近くには、2つのピラミッドなどを持つ小規模なマヤ遺跡がある。土曜日に開かれるメルカド(市)には民族衣装を着た人々が集まることで知られる。80年代には、反政府武装組織との関係を疑われた多数の住民が、軍によって虐殺される事件があった。

グアテマラで住民に襲われ邦人男性が死亡

9:16p.m. JST April 30, 2000
 中米・グアテマラ北西部の都市で29日午前、観光旅行中だった30歳代の邦人男性が、現地で住民とのトラブルに巻き込まれ、死亡した。

 地元紙などによると、亡くなったのはヤマヒロ・テツオさん。2台のバスに分乗したほかの日本人観光客22人とともに、メキシコ国境に近いウエウエテナンゴ県トドス・サントス・クチュマタン市を旅行中だった。数人で現地の子どもの写真を撮影していたところ、突然、住民に襲われ、ヤマヒロさんが死亡したという。

 外務省邦人保護課によると、旅行は東京都千代田区の旅行社が主催するツアーだった。

西遊旅行ホームページ

世界はそんなに危険?海外の危険情報が2年間で倍増

11:05p.m. JST February 11, 2000
 外国に出かける日本人に安全度の目安として外務省が出している「海外危険情報」の件数が、この2年間で倍増した。国・地域を5段階の危険度で示すシステムが導入された1997年12月には78件。それが昨年12月には163件に。世界はそんなに危なくなっているのか――。

 危険情報は、在外公館や関係国からの情報を基に「危険度1」(注意喚起)▽「2」(観光旅行延期勧告)▽「3」(渡航延期勧告)▽「4」(家族等退避勧告)▽「5」(退避勧告)に分類。内戦が続くアフガニスタンは「5」、宗教対立が激化しているインドネシア・マルク州は「4」といった具合だ。

 外務省邦人保護課は「冷戦後、民族、宗教の対立や貧困を背景にした紛争、事件が増えている」と説明するが、外務省が以前よりきめ細かな情報を出すようになったという事情もある。

 危険情報には法的な強制力はないが、「2」以上が出ると団体ツアーが自粛されるなどの効果がある。観光収入をあてにする国や旅行会社からは、弾力的な運用を求める声も寄せられる。外務省の担当者は「客観的に危険と判断すれば出す。でも最後は個々人の判断が大事」。情報の過信も軽視も禁物ということか。

 海外危険情報は都道府県の旅券窓口や空港、外務省のホームページで。

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