TOPIC No. 2-75 入国管理


Index
a.未整理、b. 無罪判決のネパール人被告

a. 未整理

比少女だけ残し父母帰国へ 強制退去問題、入管に意向

2009/03/14 中国新聞ニュ-ス

 日本生まれのフィリピン人、カルデロン・のり子さん(13)=埼玉県蕨市立中一年=と父母の強制退去問題で、のり子さんと母サラさん(38)が十三日、東京入管に出頭し、のり子さんだけを日本に残し、父母が四月十三日にフィリピンへ帰国する意向を伝えた。

 法務省は父母が帰国するまで三人の仮放免期限を延長。九日に身柄を拘束した父アランさん(36)を放免し、のり子さんに在留特別許可を与える手続きに入った。

 三人は十三日夕、東京都内で記者会見。のり子さんは「三人で日本にいられなくなったので、うれしい気持ちは全然ない」と硬い表情で話した。

 入管との協議に同席した渡辺彰悟わたなべ・しょうご弁護士によると、父母は四月八日に行われる、のり子さんの中学校の二年生の始業式を見届けてから帰国。その後は東京都に住むサラさんの妹が、埼玉県蕨市ののり子さん宅に同居し面倒を見る。父母はマニラの親せき宅に身を寄せるが、仕事や生活のめどは立っていないという。

 入管はこれまで、家族全員で帰国するか、のり子さんだけが日本に残るかを十三日までに決めるよう求め、回答がなければ十七日に三人を強制送還するとしていた。

 サラさんは一九九二年、アランさんは九三年に、それぞれ他人名義のパスポートで入国。のり子さんは九五年に日本で生まれた。二〇〇六年に違法滞在が発覚し、強制退去処分を受け、処分取り消しを求めた訴訟も昨年九月に敗訴が確定した。

 法務省によると、のり子さんのように敗訴確定後に在留許可を与えるケースは珍しいという。

 森英介法相はこれまでに、強制退去後は原則として五年間は認めていない父母の再入国について「特別許可を出すこともやぶさかでない」と述べ、短期入国を認める考えを示唆している。


難民申請中の生活支える 新大久保の“駆け込み寺”

2005/02/22 The Sankei Shimbun

 難民認定申請中のミャンマー人など不安定な立場の外国人が頼りにする“駆け込み寺”が、東京都新宿区のJR新大久保駅近くにある。

 在日外国人の生活支援を約40年間続けてきた特定非営利活動法人(NPO法人)「アジア友好の家」。病気などで生活苦となった数多くの外国人が相談に訪れる。

 法務省入国管理局によると、2004年に難民認定申請したミャンマー人は138人。認定されるのは毎年10人程度で、不安定な立場のままとどまる人がほとんどだ。

 入管は昨年、難民認定申請中は収容や送還の対象としない仮滞在許可制度をスタートした。身分を一時的に保障する措置だが、「アジア友好の家」の理事、木村妙子(きむら・たえこ)さん(69)は「生活をサポートする社会的な受け皿が不十分」と話す。

 マウン・ペ・ティンさん(53)は軍事政権下のミャンマーで学生運動し投獄された。1989年に来日。直後に認定申請したが認められなかった。3年前に心筋こうそくで入院し現在は2度目の申請中。「認定されるか分からないのに、心臓が悪いので今後も仕事は見つかりそうもない」と不安を隠せない。

 ペ・ティンさんはいま仮滞在が認められ政府の委託を受けた難民事業本部から最低限の生活補助を受けているが、「友好の家」が書類手続きを代行したり、生活費や治療費の一部を立て替えた。

 病気で帰国を望んでも、渡航や治療の費用がないため病院に行けず、ホームレスとなって死亡する悲惨な例もある。

 木村さんは「入管や医療機関、民間支援団体などを結ぶネットワークが必要。国内にある深刻な国際問題をもっと知ってほしい」と話している。(共同)

外国人労働者の拡大検討 入管基本計画の骨格公表

2005/02/01 The Sankei Shimbun

 少子化の進行などによる人口減少に対応するため法務省は1日、外国人労働者の受け入れを現在の専門的、技術的分野以外にも拡大することなどを検討課題として盛り込んだ「第三次出入国管理基本計画」の骨格をまとめた。

 法相の私的懇談会「第四次出入国管理政策懇談会」が昨年12月にまとめた報告書をほぼ踏襲する内容。2日から法務省のホームページ(HP)に掲載し、3月1日まで広く意見募集して今春をめどに計画を策定する。

 骨格は、専門的分野でさらに有能な人材を獲得するために、現行で最長3年とされている在留期間の長期化や、永住許可要件の緩和などを検討課題として提示。

 経済活力の維持や国民意識などに配慮しつつ「現在では専門的、技術的分野と評価されていない分野」での外国人労働者受け入れも検討するとしている。

 また不法滞在外国人の在留を法相の裁量で許可する「在留特別許可」について、「許可基準が不透明」との批判が出ていることから、運用の透明性を確保するための施策検討も盛り込んだ。

 法務省HPのアドレスはhttp://www.moj.go.jp/ (共同)


特別永住者の国籍取得、許可条件緩和と届け出制軸に検討

2001.02.15(19:26)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党の「国籍等に関するプロジェクトチーム」(太田誠一座長)が15日、旧植民地出身者とその子孫の「特別永住者」が日本国籍を取る要件を緩和する具体策を協議した。前回提案された3つの案のうち、全員にいったん日本国籍を付与したうえで国籍を選ばせる案には「日本国籍が不要な人たちが国籍喪失の手続きをしなければならない」「一定期間であれ、二重国籍の状態が生じる」などの理由から慎重論が強かった。

 今後は(1)現行の許可制度のままで条件を簡潔にする(2)届け出制に改める――の2案を軸に検討を進める。

ニセ日系3世急増 就労目的で「定住」狙う

2001.02.14(14:16)asahi.com
 「私たちは日系3世。定住を許可して」――。昨年6月以降、観光ビザで来日したブラジル人から、こんな偽装申請が東京入国管理局と同管理局宇都宮出張所に殺到し、昨年末までに計431人に上った。同管理局によると、ブローカーに手引きされた「ニセ日系3世」で、日本で働くため「定住者」の資格を取ろうとしたらしい。同管理局は「これほど大量の偽装申請は聞いたことがない」と話している。

 東京入管局によると、宇都宮出張所には昨年6月から8月にかけて、86人が訪れた。寄宿先が同一など不審な点があったことから、申請者たちを問いただしたところ、申請書を偽造し、日系3世になりすましていたことを認めた。

 こうした偽装申請はその後も同出張所と東京入国管理局に相次ぎ、12月末までに431人となった。いずれも、実在する日本人の戸籍謄本を「祖父母」として提出し、血縁を証明する偽の出生証明書などを添付する手口。同管理局は順次、強制送還している。

 偽装申請したブラジル人たちの話では、現地紙に出た「日本で働けます」という広告を見て応募した。ブラジル人のブローカーに日本円で約60万円を払って来日したという。

 このブローカーは、その約半額を手数料として受け取り、約1億3000万円を手にしたとみられる。栃木県警は入管難民法違反などの疑いでブローカーの行方を追っているが、すでに日本から出国したことが確認されている。

 1990年の入管法改正で、日系2世に加え、日系3世にも日本で働ける「定住者」資格が認められた。定住許可申請には、自分の出生証明書や両親の婚姻証明書、日本人である祖父母の戸籍謄本などが必要とされる。

特別永住者の国籍取得緩和へ3案検討 与党

2001.02.08(22:10)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党は8日、「国籍等に関するプロジェクトチーム」(太田誠一座長)の会合を開き、旧植民地出身者とその子孫の「特別永住者」が日本国籍を取得する要件の緩和策として、(1)現行の許可制度を維持しつつ、許可の条件を簡素化する(2)届け出制に改める(3)全員にいったん日本国籍を付与した上で国籍を選択させる――のいずれかで対応する方針を決めた。同チームは今国会での国籍法改正案の提出・成立を目指す。

 国籍取得の要件緩和は、永住外国人地方選挙権付与法案が昨年の臨時国会で継続審議になった後の議論の中で浮上した。公明党は今国会で両案とも成立させるよう求めている。自民党内には国籍法改正だけを優先させる動きもあるが、同チームは公明党の意向を尊重して「両者を関連づけない」(太田氏)としている。

 (1)の許可制の条件簡素化は、犯罪歴などが問われる「素行条件」や「重国籍防止条件」以外を除外して、素行条件も客観的なものに限定する。

 (2)の届け出制は法相への届け出で日本国籍の取得を認める。(3)の全員に付与する案では、付与後「2年以内に国籍を選択しなければならない」として、期限を過ぎると喪失すると規定する。

 会合では3案について、納税滞納者や暴力団構成員など「素行が劣悪な者」にも国籍取得を認めることになる▽一律に国籍を付与するのは国籍自由の原則に沿わず「日本の同化政策の再来」との批判を受ける恐れがある――などの問題点も提起された。

 同チームは今後、韓国名を戸籍名として認めるかや、韓国で堅持されている夫婦別姓との兼ね合いなどの検討を進める。

外国人の不法就労、「良くない」が10年で半数に増加

2001.02.03(18:50)asahi.com
 内閣府は3日、昨年11月に実施した「外国人労働者問題に関する世論調査」の結果を公表した。外国人の不法就労が「良くないことだ」と感じる人が49.2%と半数近くに達し、バブル時代の1990年に実施された前回調査(32.1%)から大幅に増えた。不法就労者への厳しい対応を求める声も急増した。内閣府は、景気低迷で高まる雇用不安や外国人犯罪の増加の影響があらわれたものと見ている。

 調査の対象は全国の成人3000人。有効回答率は69.0%だった。

 不法就労について、前回は55.5%だった「良くないがやむを得ない」は40.4%に減った。「良くない」と考える人に複数回答で理由を尋ねると、「日本の法令に違反するから」の56.1%が最も多く、「日本人の失業者が増えるから」という回答も前回より6.7ポイント増加して21.7%となった。

 不法就労者への対応についても、「すべて強制送還」が49.6%(前回比16.0ポイント増)となり、過去2回の調査で最多だった「悪質な場合だけ重点的に取り締まる」は5.6ポイント減って35.0%。不法就労に対する国民の意識は、この10年の間に厳しく変化しているようだ。

 一方、就労を目的とする外国人の入国のうち、専門的な技術や知識を持たない単純労働を認めない日本の政策について、「一定の条件や制限をつけて就労を認めるべきだ」と条件の緩和を求める意見は51.4%で前回より5.1ポイント減った。これに対し、「現在の方針を続ける」は7.1ポイント増えて21.2%に。

 「現在の方針を続ける」理由(複数回答)としては、「治安が悪化するおそれがある」(62.9%)、「地域社会の中でトラブルが多くなるおそれがある」(45.1%)がそれぞれ前回より増えた。「日本人の失業が増加するおそれがある」との意見も59.0%と多かった。

留学生の滞在延長で虚偽申請 行政書士を逮捕/警視庁

2001.01.26 The Sankei Shimbun
 留学ビザの期限が切れた中国人の滞在期間を延長するため、就職したように装い在留資格変更許可申請書を入国管理局に提出、不法滞在を手助けしたとして、警視庁公安部は二十六日までに、入管難民法違反(資格外活動)容疑で、神奈川県相模原市相模大野の行政書士、及川勝博容疑者(四四)を逮捕した。

 法務省から承認を受けた行政書士は、外国人の在留資格の変更手続きなどを代行できる制度になっており、及川容疑者は、収入を得るために日本に滞在し続けたい外国人の心理に付ッ込み、申請を提出していた。警視庁は不法在留中国人の犯罪が激増しているため、手助けしているグループの摘発を強化している。

 調べでは、及川容疑者は昨年四月十七日、留学ビザの滞在期間が切れた中国人の男(三〇)=入管法違反で罰金刑=と共謀して、滞在期限後も、日本国内で仕事を続けられるよう画策。自分が取締役を務める会社がこの中国人を通訳として雇用しているように装い、在留資格を「留学」から「人文知識・国際業務」に変更する申請書を東京入国管理局に提出、不法滞在を手助けした疑い。

 及川容疑者は昨年だけでも約二百件の在留資格変更を斡旋(あっせん)。公安部は、このうち五人から計約百九十万円を手数料として受け取っていたとみている。

 及川容疑者は昭和五十九年、行政書士試験に合格。平成二年に入国在留審査関係申請代行の資格を取得した。法律知識は豊富で、大手予備校系のビジネススクールで講師を務めたほか、行政書士の受験参考書も執筆するなど幅広い活動で知られていた。一部の中国人留学生らの間で「在留資格変更申請のプロ」として知られ、公安部は背後に大規模な資格変更の斡旋組織が存在した疑いもあるとみて、追及する。

外国人の入国、過去最高の500万人台に 法務省調べ

2001.01.19(22:22)asahi.com
 昨年日本に入国した外国人が、過去最高の約527万人にのぼったことが、法務省入国管理局の調べで明らかになった。19日付で発表された速報によると、入国者は前年に比べて約37万人増え、初めて500万人を超えた。同局は「アジア地域の経済状況がおおむね順調で、日本への出張や旅行が増えたためではないか」と分析している。

 日本人の海外渡航者は約1781万人。これも過去最高で、前年より約145万人多かった。入国管理局は円高傾向の継続や、シドニー五輪などを理由に挙げている。

与党3党が帰化要件緩和へ作業チーム設置

2000.12.19(17:47)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党は19日、外国人の帰化要件の緩和について検討するプロジェクトチームの設置を決めた。旧植民地出身者とその子孫である「特別永住者」については、形式的な書類審査だけで帰化を認められるよう、来年の通常国会に国籍法改正案を提出する方向で検討する。

親に捨てられた中国人女性、強制退去命令を迫られ提訴

2000.10.22(10:26)asahi.com
 中国生まれでボリビア育ち。話せる言葉は日本語だけ。でも日本から退去命令を出されて……。関東地方に住む彩さん(20)=仮名=は数奇な運命をたどり、強制退去命令の取り消しを求めて裁判所に提訴している。「10年暮らしてきた日本で生きていきたい」と言うが前途は険しい。

 彩さんは1990年冬、ボリビアから台湾出身だという父に連れられ、中国出身の母が暮らす日本に来た。父母も自分もビザが切れ、不法滞在の身になったことを後に知る。父母はけんかが絶えなかった。父は家出し、母も家を離れていった。彩さんは児童養護施設での生活を経て、アルバイトをしながら家賃2万9000円のアパートで1人暮らしを始めた。

 彩さんは98年にボリビアへの強制退去命令を受けて入国管理局に強制収容され、一度仮放免された。

 父母は、別々に強制収容されて中国へ送還された。この間の父に対する当局の調べから、彩さんは、ボリビア生まれと聞かされていた自分が実は中国生まれで、本当の名前は聞いたこともない名前で、年齢も2歳上だったことを知った。父はボリビアに渡った後、彩さんの旅券を取得し、ボリビア人と装って来日したらしいことも分かった。

 彩さんは、その後また今年1月から5月まで、入国管理局に収容された。今は仮放免の身だ。5万円が全財産。自殺を図ったこともある。

 ボリビアで台湾人学校に通っていた彩さんは、スペイン語が話せない。中国語も忘れた。「日本でしか生きていくことができない。どこか違う国へ送られたら、死ねといわれるようなもの」と話す。

 支援する野田美穂子弁護士は言う。「彼女の不法滞在は、親の都合に振り回された結果。でも、ボリビアでも中国でも暮らせないのは明らかだ。これは子どもの人権問題。日本政府は日本で暮らすことを認めるべきだ」

 法務省入国管理局は「個別のことはコメントできない。一般的に、退去命令は総合的な判断で出している」としている。

チュニジア人暴行問題で法務省が改善を約束

2000.09.21(00:25)asahi.com
 成田空港で入国を拒否されたチュニジア人が警備会社の警備員から暴行を受け、「警備料」名目で現金を奪われたと訴えている問題で、法務省の町田幸雄・入国管理局長は20日、「送還は航空会社が責任をもって行うべきものであり、警備料徴収も警備会社に委託せず、航空会社が徴収するよう指導したい」と述べ、航空会社を行政指導していくことを明らかにした。

 参院決算委員会で福島瑞穂氏(社民)や川橋幸子氏(民主)の質問に答えた。

在留不許可のイラン人家族が決定取り消し求めて提訴

2000.08.18(20:49)asahi.com
 不法滞在の外国人に特例として滞在を認める「在留特別許可」を求めたものの不許可とされたイラン人の2家族7人が18日、法相と東京入国管理局を相手取り、不許可決定の取り消しを求める訴えを東京地裁に起こした。提訴後に記者会見した家族は「日本で10年働いてきた。子どもは日本しか知らず、帰れない」などと訴えた。

 2家族はほかの3家族10人と昨年12月、在留特別許可を求めて同入管に一斉に出頭。法相は6月、1家族に在留許可を出したが4家族の在留は認めず、父親4人を入管施設に収容した。

入管職員が不法入国取り調べ中に中国人に暴行 成田空港

2000.08.10(00:08)asahi.com
 東京入国管理局成田空港支局は9日、同支局の入国審査官(44)が、不法入国をした中国人の自称会社員男性(28)を今月1日に同空港で取調べた際、頭や腹などをファクス感熱紙の紙製の芯(しん)で突き、1週間の頭がい骨亀裂骨折などを負わせたとして、傷害罪で千葉地検に告発した。

 調べでは、この中国人男性が1日午前8時ごろ、マレーシアから成田空港に到着した際、体を低くして入国審査官に見つからないように、審査場を通り抜けて不法入国したとして、同支局が事情聴取した。この際、筆談などで事情聴取をした入国審査官に対し、男性が不法入国の事実を否認。これに入国審査官が腹を立て、ファクス用紙の紙製の芯で頭や胸、腹部などを数回突いたという。事情聴取の際は通訳はおらず、2人だけだったという。

 中国人男性は同日午後2時ごろ、同空港内にある同支局の収容施設に収容されたが、「頭が痛いので病院に連れていってほしい」と申し出て、千葉県成田市内の病院で診察を受けた。その結果、頭がい骨に約2センチの亀裂骨折や腹や胸に打撲があったことが分かった。同支局の内部調査で、この入国審査官は暴行の事実を認めたという。

 また、この中国人男性に対しては同じ日に、26歳と27歳の入国警備官2人が、通訳を交えた事情聴取中、頭髪をつかんだり、ひじで頭を小突いたりしたことも分かった。

 同支局では、同地検の捜査で傷害の事実が確定した段階で、この入国審査官や監督者などの処分を行う方針。中国人男性は、就労ビザを持たずに入国し、日本で働こうとしたという。

在留特別許可、イラン人5家族のうち許可は1家族だけ

2000.07.01(00:56)asahi.com
 不法滞在の外国人に特例として認める「在留特別許可」を求めて、イラン人5家族17人が東京入国管理局に一斉出頭していた問題で、臼井日出男法相は30日、1家族4人に在留を認め、残りを「不許可」とする決定を通知した。

 臼井法相は今年初め、許可の基準を事実上一部緩和し、子供が長い間日本で育ち、本国での生活が難しい場合などには定住を認める方針を打ち出した。しかし、今回不許可とされた4家族のうち2家族には、2歳ごろから日本で暮らしている小学校6年の女児がおり、支援者からは「ずっと日本で教育を受けてきたのに、酷だ」との声が上がっている。

 この日、許可されたのは群馬県多野郡のイラン人一家で、中古車部品輸出業の父親(37)と母親(33)、中学2年の長男(13)、長女(7つ)。不許可となった4家族は退去強制処分となる見通しで、父親4人が入管施設に収容された。

 今回の17人に先立って一斉出頭したイラン人家族ら21人には今年2月に裁決が通知され、このときは、中学校進学を間近に控えた小学校6年の長女(12)がいる家族に定住が認められた。今回は、小学6年の長女(12)がいる2家族も不許可とされ明暗を分けたが、法務省は「個別のケースについてはコメントできないが、さまざまな事情を慎重に考慮した」としている。

 支援している弁護士の1人は「中学生ならいい、小学生はだめ、ということだろうか。自ら出頭してきて収容されたのだから、せめて理由だけでも告げるべきだ」と話した。この日定住が認められた父親も「許可が下りなかった人たちのことを考えると、うれしくない。皆同じように日本で働き、頑張ってきたのに」と表情を曇らせた。

スリランカ人ら6人を不法残留容疑などで逮捕

2000.06.29(21:17)asahi.com
 千葉県警外事課と船橋署、市川署の合同捜査班は29日、スリランカの反政府ゲリラ「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」を支援するスリランカ人ら6人を、出入国管理及び難民認定法違反(不法残留など)の疑いで逮捕した、と発表した。県警は、6人が日本国内で資金を調達してスリランカなどに送っていたとして詳しく調べている。日本国内でLTTE関係者が逮捕されたのは初めて。

 逮捕されたのは、千葉県船橋市や市川市のアパート3カ所に住んでいた、スリランカのタミル人の女性1人を含む計6人。年齢は26歳から41歳で、うち1人はカナダ国籍を取得していた。

 調べでは、6人は観光ビザなどで入国し、在留期間が過ぎても、清掃や運送作業員などの仕事をしながら同県内や東京都内で暮らしていた疑い。

18億円の手形盗むと供述 -窃盗未遂罪で公判中の中国人-

2000.06.04 The Sankei Shimbun
 神戸市中央区の兵庫県病院協同組合から昨年十月、額面で総額十七億八千五百五十万円分の約束手形が盗まれた事件で、別の窃盗未遂罪で公判中の中国人で住所不定、無職兪亮被告(25)が、「仲間三人で盗んだ」と供述していたことが四日、同県警捜査三課などの調べで分かった。

 同課は、これまでに同被告ら三人を含む二十代の中国人男女四人を逮捕。兪被告はさらに「四人で昨年十月ごろから、神戸市内を中心に約七十件、約千五百万円相当の盗みをやった」と話しており、同課が手形窃盗事件を含め裏付け捜査している。

 調べでは、四人は今年一月二十九日午前二時すぎ、神戸市中央区の会社事務所にバールを使って侵入したところ、一一○番で駆け付けた生田署員が、窃盗未遂の現行犯で兪被告ら二人を逮捕。供述から残り二人を割り出した。

 盗まれた手形は、同組合加盟の病院に対する融資の担

不法就労容疑の外国人女性135人収容 東京・歌舞伎町2000.05.27(22:29) asahi.com

 警視庁国際組織犯罪特別対策本部と東京入国管理局は27日、今月2回にわたって行った新宿・歌舞伎町のスナックなどへの一斉立ち入り調査で、外国人177人を出入国管理及び難民認定法違反(不法残留など)容疑で取り調べ、このうち不法残留の韓国人ホステスら135人を入管施設に収容、国外退去の手続きを取り始めたと発表した。また、警視庁などは27日夜から、緊急街頭浄化作戦と称して大規模なパトロールを始めた。

 歌舞伎町を中心に、外国人による凶悪犯罪が多発していることから実施した。

 今月16、26の両日夜、延べ約280人で歌舞伎町周辺の飲食店など12カ所を一斉に立ち入り調査した。その結果、不法就労の疑いのあるホステスやバーテンダーなど外国人女性157人と外国人男性20人を見つけた、という。

 滞在期限が切れた「不法残留」が113人で最も多く、就労資格のない「資格外活動」が47人、偽造旅券などで入国した「不法入国」が17人だった。国籍別では韓国籍が最も多く127人で、中国、フィリピン、タイ、マレーシア国籍の男女もいた。

「二重課税」で在日ミャンマー人窮地 母国へも所得税

3:52p.m. JST May 20, 2000 asahi.com
 日本での滞在期限の過ぎたミャンマー人が帰国に必要な旅券の発給などを申請する際、同国大使館から「月1万円」の所得税の支払いを求められ、支払えずに窮地に陥る例が相次いでいる。外務省は一昨年、同大使館に事実関係の確認を求め、「強制的な徴税なら国際法違反になる」と申し入れたが、「納税は自発的」と否定された。だが、その後も税金の工面で帰国が遅れたり、金策の途中で病気が悪化したりする人は後を絶たず、「二重課税」の重荷は解消されていない。

 ミャンマー政府は在外の自国民にも所得税の納付を義務づけているという。一方、国籍によらず、その国に1年以上居住した人に納税義務を課すのが、税法の国際的な常識とされている。日本とミャンマーの間には二重課税を防ぐための「租税条約」は締結されておらず、ミャンマー人が母国への納税を理由に、日本の税務署へ税の控除を申請しても認められない。

 同大使館の説明によれば、法定の税率は所得の10%だが、日本国内では所得の多少にかかわらず、大使館が「月1万円」に額を設定し、滞納すると1年につき1万円を加算している。超過滞在で旅券が失効した人が帰国するため、旅券の有効期間の延長や臨時旅券の発給などの手続きに訪れた際、納税額を通知して東京都内の銀行口座に振り込むよう求め、本国に送金しているという。

 外務省は一昨年3月、同大使館職員を呼んで説明を求めた。租税条約の有無にかかわらず、他国の領内でその国の政府の同意なしに徴税などを実施すれば、主権を侵害したことになり、慣習法である「一般国際法」に違反するからだ。

 申し入れに対し、大使館側は「強制的な取り立てはしておらず、旅券発給の条件にもしていない」と説明した。しかし、朝日新聞社が入手した資料や証言だけでもこの3年間で、課税をめぐるトラブルは約10件ある。

 1994年1月に観光ビザで入国したミャンマー人男性(29)=東京都板橋区在住=の場合、昨年初めにHIV(エイズウイルス)感染が判明。昨年末に大使館に臨時旅券の発給を求めたが、大使館職員から6年分として約80万円を支払うよう求められた。支払うあてもないまま知人宅に身を寄せるうちに症状が悪化し、4月下旬に都内の病院に運び込まれた。入院直前、「失業していても税金は加算される。働けるうちなら支払えるが、病気になったらどうしようもない」と話した。

 幻覚や耳鳴りなどの症状にさいなまれ昨年1月、大使館を訪れた住所不定の男性(28)は75万7000円の請求額のうち10万円を支払い、同年8月に臨時旅券の発給を受けて帰国した。知人によると、大使館側は当初、「まず、税金を払うように」と手続きを拒否したが、症状の悪化を心配した友人らが半年以上かけて交渉し、一部を支払うことでやっと帰国できたという。

 法務省によれば、98年末現在、日本に外国人登録しているミャンマー人は4442人。一方、滞在期限が切れている同国人は約5000人に上るとみられる。その多くが出稼ぎ目的だが、不況のため、仕事の確保もおぼつかないのが現状だ。

 民主勢力を弾圧する軍事政権に対して経済制裁が続くミャンマーでは、外貨不足とインフレが経済の足を引っ張り、最近の実勢レートで、1万円は同国内の平均的な公務員の給料の数カ月分に相当する。関西在住の30代のミャンマー人女性は「税金を支払わないとどんな手続きも進まない。大使館は、自国民保護という本来の仕事を放棄している」と批判している。

 ◇外務省南東アジア第一課の話

 ミャンマー大使館が日本国内で強制的に税を取り立てている実態があれば問題だが、同大使館からは一昨年、「納税は自発的なものである」などの説明を受けている。ある国の政府が国外の自国人を課税の対象とすること自体は国際法違反ではないと認識しており、旅券申請時に納税をめぐってどのようなやりとりがあったか詳細が分からないと、具体的な対応はとれないのが実情だ。

 ◇ミャンマー大使館の話

 大使館は税額を計算して知らせるだけで、こちらから出向いて取り立ててはいない。日本の主権は侵害していないと認識している。ミャンマーは多民族・多言語国家であり、大使館に旅券の発給を求める人に対しては、納税の有無が自国民か否かを判断する重要な要件となる。ただ、病気入院中の人や、入国管理局に身柄を移送された人などに対しては一定期間分を免除するなど、状況に応じて人道的に対応している。支払い能力がなくても、自国民であると信用できる人ならば、帰国後に納税するという誓約書を提出すれば臨時旅券を発給している。税金が支払えないために不法滞在が長引くということはありえない。理由がほかにあるのではないか。

「ビザを!」 銀座で不法滞在外国人が在特求めパレード

8:48p.m. JST April 30, 2000
 「ビザをください!」。これまで摘発を恐れてひっそりと生活してきた不法滞在外国人約200人が30日、在留特別許可(在特)を求めて、東京・銀座をパレードした。約200人は「素顔を見せて差別や偏見を無くしてもらおう」と願い、プラカードを手に、民族衣装などを着て行進した。日本で働いて生活しながら在留許可が得られず、劣悪な労働環境にさらされたり、十分な医療を受けられなかったりする不法滞在外国人は、25万人超といわれる。

 パレードにはパキスタンやミャンマー(ビルマ)、フィリピンなど11カ国から日本に働きに来ている外国人とその家族らが参加。在日外国人の相互扶助に取り組んでいる市民団体「APFS」(東京都板橋区・吉成勝男代表)が主催した。京橋から銀座を通り日比谷公園までの約2キロを、自転車で、ベビーカーを押しながら、練り歩いた。

 参加者の1人、東京都北区に住むイラン人男性(36)は、来日してもうすぐ10年。溶接工として働いていたが、作業中に左目にけがをした。会社が労災と認めてくれなかったため、労働基準監督署に相談したら、不法滞在を理由に突然解雇されたという。現在は皿洗いなどアルバイトでしのいでいる。

 国ではプロレスラーだった。来日してから柔道を学び、今は3段。指導員として12人の子供たちに教えている。「10年で日本が私の文化、故郷となった。住み続けたい」。プラカードには、「ビザが欲しい イラン人」と書いた。

 昨年9月、在特を求めてイラン人ら21人が一斉に東京入国管理局に出頭。これまで日本人と結婚した外国人らにしか認められていなかった在特が、今年2月までに4家族、16人に認められている。

来日外国人の犯罪検挙件数、過去最多の3万4000件

8:52p.m. JST April 30, 2000
 来日した外国人が殺人や強盗、窃盗、覚せい剤などの犯罪で昨年警察に摘発された件数が3万4000件を超え、過去最多となったことが30日、警察庁のまとめで分かった。強盗事件の件数が前年の1.5倍になるなど凶悪犯罪の増加が目立つ。不法滞在者が外国人犯罪全体の6割を占め、犯罪グループの組織化や手口の巧妙化が一段と進んでいる。

 警察庁によると、昨年検挙された外国人は3万4398件、1万3436人で、件数は過去最多、人数でも1997年に次ぐ2位となった。出身地別でみると、アジアが1万1326人で84.3%、このうち1番多いのが中国人で5352人、39.8%、次いで韓国・朝鮮籍、フィリピン、タイの順だった。

 殺人、強盗、放火などの凶悪な事件は338件、411人で、ともに前年より増えている。特に強盗は195件で50%増、人数は278人で73.8%増と急増している。

 また、外国人少年の刑法事件は599人で4.2%増えた。不法滞在者の犯罪は7837人で外国人全体の58.3%だった。覚せい剤など薬物の犯罪ではイラン人とフィリピン人が44.7%を占めた。

 事件での特徴は、香港の犯罪組織「香港三合会」のメンバーによる事件で、大量覚せい剤密輸事件(昨年2月、横浜)、クレジットカード偽造事件(12月、東京)など。このほか「蛇頭」など外国の犯罪組織による犯罪が目立った。また、国内の外国人の犯罪グループ化も進んだ。

指紋押なつ拒否の崔さん、14年ぶりに永住資格戻る

3:45p.m. JST April 03, 2000
 指紋の押なつ拒否をきっかけに日本での永住資格を失っていた在日韓国人の女性ピアニスト=崔善愛(チェ・ソンエ)さん(40)=横浜市在住=に3日、14年ぶりに永住資格が戻った。今月から施行になった外国人登録法改正に基づくもので、崔さんは同日午前、東京入国管理局横浜支局川崎出張所に永住資格を申請し、その場で受理された。法務省入国管理局によると、法改正による適用第1号だという。

 崔さんは北九州市出身。1981年に「差別を次代に引き継ぐことになる」と、在日外国人に義務付けられていた指紋の押なつを拒否し、86年米国へ留学。その際、日本への再入国許可を申請したが不許可の処分を受けたまま出国したため、在日韓国人に認められている協定永住資格も失った。2年後に「外国人」の扱いで180日間の在留許可を受けて帰国した。その後は3年ごとに在留期間を更新して日本で生活していた。

 この間、国を相手取り処分の取り消しと永住資格の確認などを求める訴えを起こしたが、98年に最高裁で全面敗訴した。

 しかし、外国人登録法の改正で指紋押なつ制度が今年4月から全廃され、併せて崔さんのように永住資格を失った在日外国人の救済策も盛り込まれた。

 崔さんは「意外な形で回復できたが、永住資格がいとも簡単にはく奪され、司法の場でも救済されなかったことは残念。今回の措置は周囲の支援も大きかったと思う」と話した。

長期収容で仮放免を申請

2000年3月6日 19時47分
 日本国内に不法入国したとして、1998年7月から長崎県の大村入国管理センターに収容されている金竜華さん(46)が6日、長期収容を不当として同センターに仮放免を申請した。金さんは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から脱出して来たと難民認定を求めたが、法務省が中国への強制退去命令を出したため、処分の取り消し訴訟を起こしている。

難民審査「ずさんで不当」

2000年2月28日 17時35分
 難民認定を申請したアフガニスタンの少数民族ハザラ人の男性2人が、大阪入国管理局が十分事情を聴かないなどずさんな審査で難民と認めない決定をしたのは不当として28日、国に決定取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こした。

 1988年のソ連撤退後、同国では、イスラム原理主義勢力タリバンの支配が強まり、国際人権団体などは「タリバンがハザラ人多数を虐殺している」としている。

イラン人2家族にも在留特別許可、独身2人は不許可

8:22p.m. JST February 09, 2000
 臼井日出男法相は9日、不法滞在の外国人に特例として認める「在留特別許可」を求めて東京入管に出頭した21人のうち、イラン人の2家族計9人の定住を新たに許可したが、バングラデシュ人ら独身男性2人に不許可を通知した。一方、先に不許可になった東京都江東区内のミャンマー(ビルマ)人家族3人は同日、法相を相手取り、不許可処分の取り消しなどを求めて東京地裁に提訴した。独身男性2人も近く、同様の訴訟を起こすという。

 許可されたのは群馬県新町のイラン人家族4人=自動車解体業の夫(38)と妻(36)、高校1年の長女(15)、小学校4年の次女(10)▽埼玉県新座市のイラン人家族の5人=鉄工所勤務の夫(39)と妻(36)、中学校1年の長女(13)、保育園児の次女(5つ)、夫の実母(68)。法務省は許可の理由を明らかにしていないが、滞在が10年近くになり、高校生や中学生の子供がいることに配慮したとみられる。

 不許可になった独身男性2人は東京都板橋区内のバングラデシュ人(29)とイラン人(34)。2人は1995年から97年にかけて国内で労災事故や交通事故にあい、「後遺症の治療が必要」と帰国できない事情を訴えていた。2人はこの日、治療を理由に帰宅を許されたが、将来的には退去強制処分を受ける。

 21人の出頭者のうち法相の許否が通知されていないのは、別のイラン人一家の4人だけになった。

 法務省入管局審判課はミャンマー人家族の提訴について「個別の案件についてはコメントできない」と話している。

“駆け込み出頭“が急増

2000年1月28日 16時18分 共同通信社
 強制送還後の再入国拒否期間が長くなるなど、罰則が強化された改正入管難民法が2月に施行されるのを前に、滞在期限が切れた後も国内に残留し続けている外国人が、大阪入国管理局(大阪市中央区)に出頭するケースが急増している。1月は27日までで、昨年1月の2倍以上の約550人。同入管の「処遇執行部門」のフロアは終日出頭手続き待ちの外国人でごった返し、職員は対応に大わらわだ。

在留特別許可は来週通知

2000年1月28日 11時53分 共同通信社
 不法滞在の外国人21人が法務大臣の裁量で認められる「在留特別許可」を求めて出頭した問題で、臼井日出男法相は28日の閣議後会見で「人道的立場から家族の状況、日本での素行などを総合的に考慮した結果、認める人がいる。近々通知したい」と公式に明らかにした。21人のうちイラン人3家族計12人が許可されることが既に判明している。大臣決裁も終わっており、本人には来週通知される。

b. 無罪判決のネパール人被告

ネパール人被告に逆転有罪判決/東電OL殺害で東京高裁

2000.12.22The Sankei Shimbun
1審破棄し無期

 東京都渋谷区のアパート空き室で平成九年に東京電力の女性管理職=当時(三九)=が殺害された事件で、一審東京地裁で無罪判決を受けた元店員のネパール人男性、ゴビンダ・プラサド・マイナリ被告(三四)の控訴審判決が二十二日、東京高裁であった。高木俊夫裁判長は「被告が犯行に及んだことは十分証明され、合理的な疑いは生じない。一審判決は証拠評価を誤り事実誤認をした」と述べて無罪判決を破棄、無期懲役を言い渡した。判決は提出された状況証拠について一審とは全く逆の判断をして逆転有罪の結論を導き出した。弁護側は上告した。

 事件ではマイナリ被告を犯人と結び付ける直接証拠がない上、被告も捜査段階から一貫して無罪を主張。そのため、公判では現場に残された体毛や体液の血液型などの状況証拠の積み重ねによる総合評価から、どのような結論が出されるかが争点となっていた。

 判決はまず状況証拠のうち、被害者が行動記録を付けていた手帳の記載内容に注目、「書き誤りがないばかりでなく、書き漏らしも見いだし難く非常に正確」と一審とは逆に記載内容の信用性を認めた。その上で、被告が被害者に最後に会ったのは犯行日とされる日の「一週間から十日前」とする被告側主張を検討。手帳にその記載がないことなどから「被告の弁解は信用できない」と判断した。

 さらに一審では信用性を否定された「空き室のかぎは犯行後に被告から返却された」とする管理人の供述の信用性を認め、犯行当日より前に返したとする被告側主張を退け、「犯行当日に被告は、かぎを持っていた」とした。

 一審判決では、現場に残された体毛や体液の血液型とDNA型の一致などを有力な状況証拠として重視。しかし、現場からは被告や被害者以外の第三者の体毛も発見されていることなどから「被告を犯人とするにはなお、合理的な疑問をさしはさむ余地がある」と無罪を言い渡していた。

 第三者の体毛の存在など一審が合理的に説明できない疑問点として挙げた状況証拠について、この日の判決は「いずれも被告が犯人であるとの認定を左右するに足りない」と、検察側の主張を全面的に認めた。

 判決によると、マイナリ被告は平成九年三月八日深夜、東京都渋谷区のアパート空き室で、東京電力の女性管理職を殺害した。

 斉田国太郎・東京高検次席検事の話 「検察官の主張を認め、事案の真相を十分に解明したもので、適正、妥当な判決と考える」

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東電OL殺害事件

 東京都渋谷区のアパート空き室で平成九年三月十九日に、東京電力の女性管理職の絞殺体が発見された。警視庁は四日後に、アパート隣のビルに住んでいたマイナリ被告を入管難民法違反で逮捕。被告が五月に入管法で有罪判決を受けた直後に、強盗殺人容疑で逮捕した。

 被害者が大企業の女性管理職だったことなどから、私生活を過剰に暴くような報道も目立ち、プライバシーとのかかわりで論議を呼んだ。また、一審で無罪を受けた被告ェ身柄を拘束されつづけた点でも、法の不備を指摘する声が起こり、注目を集めた。

ネパール人被告側の異議申し立て棄却 渋谷OL殺人

2000.08.10(19:39)asahi.com
 東京・渋谷で電力会社の女性社員(当時39)が殺された事件で、強盗殺人罪に問われながら一審で無罪判決を受けたネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリ被告(33)の弁護団が、勾留(こうりゅう)取り消し請求却下の決定に対して行った異議申し立てについて、東京高裁は10日、棄却する決定をした。高橋省吾裁判長は「裁判記録などを精査した結果、被告が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」と述べた。

 弁護側は11日にも、最高裁に特別抗告する。

ネパール人被告側の特別抗告を棄却 最高裁

2000.06.28(19:35)asahi.com
 東京・渋谷で1997年3月、電力会社の女性社員が殺害された事件で強盗殺人罪に問われ、一審で無罪になったネパール国籍の元飲食店員ゴビンダ・プラサド・マイナリ被告(33)を、控訴審が始まる前に勾留(こうりゅう)した決定をめぐり、最高裁第一小法廷(藤井正雄裁判長)は28日までに勾留の取り消しを求めた特別抗告を棄却する決定をした。第一小法廷は、一審で無罪となった場合でも「罪を犯したことを疑う相当な理由や勾留の必要性があれば、いつでも勾留できる」とする初めての判断を示した。これにより、釈放後の再勾留を認めた東京高裁の決定が確定した。

 結論は5人の裁判官のうち3人の多数意見によるもの。藤井裁判長ら2裁判官は「控訴審開始前に記録だけで、勾留の適否を判断することは許されない」として決定を違法とする反対意見を述べた。あわせて、不法残留のマイナリ被告の強制退去処分を、勾留以外の方法で停止できない法の不備を指摘した。

 刑事訴訟法は、犯罪の嫌疑があり、住所不定だったり、証拠隠滅や逃亡の恐れがあったりすることなどを勾留の要件と定めている。

 多数意見は、これらの要件を満たし、必要性があれば職権で勾留できるとし、勾留の時期について「特段の制約がない」とした。

 一方、反対意見を表明した藤井裁判長と遠藤光男裁判官は、無罪被告を再勾留するには「一審判決が破棄され、最終的に有罪判決が言い渡される可能性が認められることが必要だ」とする判断基準を示した。そのうえで、一審判決の評価については、「控訴審の適正手続きを通じて判断される」として、控訴審の実質的審理が始まる前に一審の記録だけで犯罪の嫌疑を認めたのは「一審を軽く扱うもので、妥当とはいえない」と述べた。

 また、強制退去手続きと刑事手続きの関係については、「調整する規定がない」と指摘。「その責任を被告に転嫁することは許されない」などと強調した。

 マイナリ被告は2年6カ月の公判を経て今年4月、東京地裁で無罪判決を受けて釈放されたが、東京入国管理局に収容され、強制退去の手続きが進められていた。検察側は控訴するとともに、勾留を申し立てたが、同地裁は勾留しないことを決定。再度の申し立ても同高裁第5特別部は、裁判記録が届いていないことを理由に退けた。

 しかし、3回目の申し立てに対し、控訴審を担当する同高裁第4刑事部は裁判記録を検討し、勾留を決定した。「犯罪を疑う相当な理由がある」などと判断したためで、弁護側は異議を申し立てたが、同高裁第5刑事部は「無罪判決が言い渡された場合でも、控訴審の裁判所は審理前に記録を検討して、理由があれば勾留できる」として棄却した。

無罪のネパール人被告の勾留にアムネスティが抗議

10:37p.m. JST May 18, 2000 asahi.com
 東京・渋谷の女性会社員殺害事件で、一審・東京地裁で無罪判決を受けたネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリ被告(33)について、国際的な人権団体「アムネスティ・インターナショナル」(事務局・ロンドン)は18日までに、東京高裁が控訴審のために同被告を勾留(こうりゅう)したことに抗議する声明を発表した。「判決後も引き続き勾留されている状況は国際人権規約にも違反しており即時釈放を求める」とし、控訴して勾留を申し立てた検察側を批判している。

無罪判決のネパール人被告勾留で弁護人が異議申し立て

8:15p.m. JST May 15, 2000 asahi.com
 東京都渋谷区のアパートで起きた電力会社の女性社員殺害事件で強盗殺人罪に問われ、一審・東京地裁で無罪判決を受けたにもかかわらず東京高裁によって職権で勾留(こうりゅう)されたネパール国籍の元飲食店員ゴビンダ・プラサド・マイナリ被告(33)について、同被告の弁護側は15日、同高裁に勾留決定を取り消すよう求める異議申し立てをした。「無罪判決を受けた被告を勾留する理由も必要性もない」としており、同高裁では、勾留を決定し、控訴審を担当する刑事四部(高木俊夫裁判長)とは別の部が、申し立てについて結論を出す。

 申立書で弁護側は、無罪判決は「2年余、34回にわたる慎重な審理の結果得られた結論」として、被告を勾留することが認められるような「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由はない」と主張。さらに、被告には証拠隠滅や逃亡の恐れはないとして、「勾留は有罪判決が確定した場合に刑の執行を確保するため、強制退去を阻止するのが目的で、決定は勾留制度の乱用だ」としている。

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