TOPIC No.2-6F 三菱自動車工業


プジョーの出資見送り 三菱自、再編白紙に

2010/03/03 中国新聞ニュ−ス

 三菱自動車とフランスの自動車大手プジョー・シトロエン・グループ(PSA)は3日、資本提携を見送ると発表した。先進国の自動車市場の不振が続いており、プジョー側が三菱に出資することによるグループ化は難しいと判断した。出資比率や環境技術をめぐる意見の食い違いもあったとみられる。

 日欧メーカーの再編構想はいったん白紙に戻り、三菱は開発投資のための財務強化や新たな拡大戦略の立案を迫られそうだ。

 三菱の益子修ますこ・おさむ社長とプジョーのフィリップ・バラン会長が2日、国際自動車ショーが開かれているジュネーブで会談し、資本提携交渉を打ち切ることで一致した。三菱は10月から電気自動車「アイ・ミーブ」をプジョー側に供給することにしており、業務提携の拡大は今後も協議していくという。

 益子社長は3日、新しい資本提携先を探すことは考えていないとし、当面は独立路線を歩むことを示唆した。

 プジョーは三菱自動車が開発した電気自動車の技術などに関心を持ち、2千億〜3千億円規模を出資し、筆頭株主になる方向で検討してきた。ただ提携効果などがはっきりしないことや、プジョー側の出資比率などをめぐり、交渉は難航していた。

 プジョーは販売不振が続いており、2009年12月期決算で11億6100万ユーロ(約1400億円)の純損失を計上したことも影響したとみられる。

 三菱自動車は3月末から三菱重工業などが持つ優先株の配当を始める予定だったが、09年度分の配当はしない方向で検討する。

 三菱はプジョー側にスポーツタイプ多目的車(SUV)と電気自動車を供給。ロシアでの合弁生産計画も続ける。両社は小型車や新興国市場の開拓で協力する余地を探る。

三菱、80万円の小型車検討 来年発売、低価格志向受け

2010/02/15 中国新聞ニュ−ス

 三菱自動車が、2011年に発売を予定している低燃費の小型普通車の価格を、80万円前後に設定する方向で検討していることが15日、分かった。現在の普通車の最も安い価格帯は100万円前後になっており、三菱は新型車の価格を軽自動車の格安モデル並みにし、消費者の低価格志向に対応する。

 タイや中国の工場で生産してコストを削減する。日産自動車も低価格の小型車を3月以降にタイなどで生産を開始、日本を含む世界中で販売するとみられる。低価格の小型車を海外で生産して国内へ逆輸入する動きが加速しそうだ。

 三菱は、資本提携交渉をしているフランスの自動車大手プジョー・シトロエン・グループ(PSA)にも、相手先ブランドによる生産(OEM)供給する方針。海外でも販売する主力車種と位置付け、生産量を増やすことで価格を下げる。

 エンジンの排気量は1000ccで現行の小型車「コルト」より小さくする。12年をめどに同じ車種の電気自動車モデルを販売、13年までに家庭用の電源などで充電できるプラグインハイブリッド車も投入する。

 軽自動車で販売台数首位のスズキ「ワゴンR」や、小型普通車で首位のホンダ「フィット」に比べて、三菱の新モデルは2〜3割程度安くなる。


三菱自動車、ボルボと提携解消へ 出資ダイムラーに絞る

2001.03.08(14:44)asahi.com
 三菱自動車とスウェーデンの大手トラックメーカー、ボルボが資本提携の解消に向けた交渉に入ったことが8日、明らかになった。早ければ3月中にも決着する見通し。実現すれば、三菱はトラック部門も含め、ダイムラークライスラーとの資本提携に一本化することになる。複雑な提携関係を解消し、効率的な経営で再建を目指す。

 三菱は2001年中にトラック部門を完全に分社化し、ボルボから19.9%の出資を受ける計画で、すでに三菱本体にはボルボから3.3%の出資を受け入れている。しかし、昨年、ボルボと世界のトラック市場でライバル関係にあるダイムラークライスラーが三菱の34%の筆頭株主になったことで、資本の「ねじれ」が生じていた。

 三菱はボルボから出資を受け入れた後に、乗用車事業の再建を狙ってダイムラーと資本提携を結んだ。ダイムラーと三菱の契約は乗用車事業に限定、ダイムラー出身のエクロート副社長兼最高執行責任者(COO)の担当も乗用車戦略全般で、トラックは担当に入っていない。乗用車部門はダイムラーと、トラック・バス部門はボルボと手を組む戦略は、河添克彦前社長が考えた方針。河添前社長は、小規模な三菱の生き残り戦略として、ライバル同士の外資2社と手を組むことで両社をけん制しながら三菱の経営の自主性を守ろうとする狙いだった。

 しかし、昨年7月、大量のリコール隠しが発覚して販売台数が激減して経営が悪化。河添氏が責任をとって社長を辞任した。

 2001年3月期の連結決算では、当期赤字が当初見込んでいた1400億円からさらに膨らむ見込みで経営の悪化が加速。株主でもある三菱グループ企業からは、ダイムラーとの関係一本に絞って経営を再建した方が効率的、と指摘する声が出ていた。

 ダイムラーのシュレンプ会長も今年2月のグループのリストラ再建計画発表の席上で「契約のためにダイムラー側からは動けないが、ボルボ側が三菱との関係を解消したいなら、(株式買い取りなどを)検討する用意がある」と語るなど、ねじれ解消に前向きな姿勢を示していた。

 ダイムラーは昨年、韓国最大手の現代自動車と資本提携。三菱がダイムラーと提携関係を一本化することで、ダイムラー―三菱―現代の日米独韓の自動車連合が成立する。3社を足した生産規模は900万台以上で米GM(ゼネラル・モーターズ)を超えて世界1位となる。

三菱自動車が新経営計画発表 工場閉鎖、9500人削減

2001.02.26(21:16)asahi.com
 三菱自動車は26日、大江工場(名古屋市)の閉鎖や総従業員の14%に及ぶ9500人の従業員の削減、部品の購買費の15%低減、車の骨格となるプラットホーム(車台)の半減などを含む新経営計画「ターンアラウンド計画」(2001―2003年度)の骨子を発表した。3年間で計1000―1500億円のコストを削減し、2001年度には黒字化する、としている。計画の詳細は3月末に発表する。

 新経営計画では、国内の生産能力を現在の年産約130万台から20%以上削減する。国内には乗用車組み立て工場が子会社も含め4カ所あるが、最も古い大江工場を閉鎖する。大江工場で生産予定だったダイムラークライスラーとの初の共同開発車「Zカー」は、国内の他工場で生産する。

 定年による自然減や配置転換などを活用し、2003年度までに子会社や販売会社などを含むグループから約9500人を削減する。

 管理職は30%減らす。三菱自には現在、取締役が11人、執行役員が38人いるが、20%以上減らす。顧問は60人いるが、顧問制度自体を取りやめる。

 部品調達の購買費は初年度から毎年5%ずつ削減率を増やし、2003年をめどに15%を削減する。ダイムラーとの部品の共通化も進めていく。

 また、12あるプラットホームは半減する。三菱自の最上級乗用車で、グループ企業の役員の送迎などに使われているプラウディアやディグニティは、販売台数が少なく、生産をやめる。

 東京都内のホテルで記者会見した園部孝社長は「過去2年間で2つのリストラ計画を発表してきたが、思ったように社内を改善できなかった。今回の計画の最終責任者は社長だ。各分野ごとに責任者を決め、達成度に応じた評価制度を取り入れるなどし、必ず目標を達成する」と話した。

ダイムラーが異例の「赤字」 血流し大規模リストラ決断

2001.02.26(21:12)asahi.com
 独米自動車大手のダイムラークライスラーは26日、2001年1―3月の四半期の連結決算で最大43億ユーロ(約4500億円)の営業赤字になるとの見通しを発表した。業績不振の北米クライスラー部門で大規模なリストラ費用として30億ユーロ、出資している三菱自動車の経営再建に4億ユーロの一時的負担が生じるため。グループの足を引っ張っている日、米の事業を一気に立て直すことに伴うものだが、堅実経営で知られるダイムラーの「赤字転落」は極めて異例だ。

 2001年12月期の年間決算では、12億―17億ユーロの営業利益を確保する見込み。四半期での一時的な「赤字転落」を覚悟したうえで、クライスラー部門と三菱自動車のリストラを一気に断行する。シュレンプ会長は自らの強い指揮の下で、欧州と北米、日本の三菱自動車の経営戦略を一本化する「自動車執行委員会」を新設し、世界規模で経営改善を進める決意を示した。

 同時に発表した今後3年間の計画では、クライスラー部門で全車種の3分の2をモデルチェンジし、2001年12月期には最大26億ユーロの赤字となる部門単独の営業損益を、2002年12月期には黒字に復帰させるとの見通しを描いている。

 従業員の削減は先に公表したクライスラー部門での約2万6000人に、三菱自動車の9500人を加え、グループで自動車生産に携わる世界約40万人の1割近くを減らす勘定だ。

三菱自など日米欧一体で経営再建 ダイムラー

2001.02.25(03:44)asahi.com
 独米自動車大手のダイムラークライスラーは、業績不振の北米クライスラー部門と、出資している三菱自動車の立て直しを柱とした経営再建計画を26日に発表する。クライスラー部門と三菱自動車で大規模なリストラを実施するとともに、車台を共通化して開発・生産コストの削減を進める具体的な方針を示す。グループ経営を強化するため、ドイツ本社に「自動車執行委員会」を新設、シュレンプ会長の強い指揮の下で欧州、北米、日本にまたがる経営戦略を一元化する体制となる。

 ダイムラークライスラーは1998年に独、米の自動車大手が合併して生まれたが、2000年下半期に北米クライスラー部門の業績が悪化。株価が低迷して、大株主の米国人投資家から損害賠償の訴えを受けるなど、経営陣に風当たりが強まっていた。さらに、34%を出資し、最高執行責任者(COO)も派遣する三菱自動車でも、相次ぐリコール事件による業績不振からの立て直しを迫られている。

 ダイムラーはこうした苦境から一気に脱却することを目指し、ドイツ本社を軸に欧米日が一体となって経営改善を進め、「リストラの相乗効果」を狙う。

 ただ、独本社の支配力の強化は、北米部門の従業員の士気や、三菱自動車を取り巻く三菱グループとの関係にも影響を与えることは確実だ。

 三菱自動車もダイムラーの発表に合わせ、26日に大幅な人員削減を含む経営再建計画を発表する予定だ。

中国でのパジェロ欠陥問題で補償を約束 三菱自

2001.02.24(21:00)asahi.com
 中国で販売した四輪駆動車パジェロにブレーキの欠陥があったとされる問題で、三菱自動車北京事務所は23日、これまでの無償修理に加え、欠陥による事故に対して補償することを盛り込んだ新たな対策をとると発表した。

 この問題は、今月9日に明るみに出た後、三菱自動車が無償での修理、部品交換を全国で実施しているが、中国の新聞、テレビが連日報道し、パジェロに乗っていて事故で死亡したり、大けがをしたりした例が盛んに取り上げられている。ただ、これらの中には密輸車によるものなど、三菱の責任でない場合もあるとみられる。三菱側は発表の中で「調査のうえで当社製品の技術的問題に起因する事故だと証明された場合には、中国の関係法律に基づいて補償する」としている。

 対策ではこのほか、日本からの技術者の派遣、顧客向けホットラインの設置などを挙げている。

三菱自動車、6000人以上削減へ 経営再建へ車種半減

2001.02.23(10:10)asahi.com
 三菱自動車はグループの総人員約6万人の1割に当たる約6000人以上を削減することや大江工場(名古屋市港区、従業員約2500人)の閉鎖、車種の半減などを柱とする経営再建方針を固めた。リコール隠し発覚後の国内販売の低迷や、全世界で150万台におよぶリコールの発生などで悪化した業績を立て直すために、大規模なリストラが必要と判断した。26日に発表する。

 同社は販売会社などを含めたグループ全体で、世界に約6万人の従業員がいるが、不採算の欧州地区などの海外子会社を中心に削減する。全体で10%以上に達する見通し。削減方法は採用の抑制や自然減のほか、早期退職制度も活用する。部品調達の購買コストも2、3割削減する。

 三菱は15車種の乗用車を生産しているが、すべてが月販2000台に届かない月があるなど、1車種当たりの販売台数が少なく、開発費を回収できていないことも赤字体質の要因となっている。このため、車の骨格となるプラットホーム(車台)を減らし、車種を半減させる。「ギャラン」「ランサー」「パジェロ」などと軽乗用車に商品を絞り込む。

 国内の車体組み立て3工場は販売減で稼働率が下がり、人員がだぶついていたため、最も古い大江工場を2002年中に閉鎖し、生産体制を再編して残りの2工場の稼働率を上げる。こうしたリストラ策で2002年3月期の黒字化を目指す。大江工場の社員は、岡崎工場(愛知県岡崎市)や子会社のパジェロ製造(岐阜県坂祝町)に移す予定。

 筆頭株主のダイムラークライスラーが26日、業績不振のクライスラー部門のリストラ策などをドイツで発表するのに合わせて三菱も再建計画の骨格を発表する。三菱はさらに細部を詰めて、3月末に再建計画すべてを打ち出す予定だ。

三菱自動車、人民日報に1ページおわび 四駆車欠陥で

2001.02.17(19:20)asahi.com
 中国で販売した四輪駆動車パジェロに欠陥があったとされる問題で、三菱自動車は17日付の人民日報の1ページ分を使っておわびの広告を掲載した。当局から指摘されたブレーキオイル漏れの危険性を認めたうえで「ご面倒、ご心配をかけたことを深くおわびします」と明記し、全国の修理工場を列挙している。

 この問題は9日に明るみに出てから中国のメディアで連日取り上げられ、回収・修理を決めてからも三菱自動車を非難する報道が続いている。同社は、問題を起こしたのは旧型のV31、V33で、新型のV73は構造が異なるので問題はないとしているが、一部の新聞によると、陜西省西安で新型車のブレーキがきかなくなる事故が起きたとの届け出が中国消費者協会に対してあったといい、問題はまだ尾を引くとみられる。

 パジェロは道路事情の悪い内陸地域で特に重宝され、四輪駆動車の中でも人気が高い。それだけに反響も大きくなったようだ。

三菱自、40万台をリコール うち12万台は再リコール

2001.02.15(21:24)asahi.com
 三菱自動車は15日、日米両国で大規模なリコール(無償回収・修理)を始めると発表した。国内では同日、11車種約40万1000台のリコールと3車種約1万2000台の改善対策を国土交通省に届け出た。このうち7車種約12万2000台は昨年7月に次ぐ、再リコールだった。米国では近日中に3車種約95万台のリコールを届け出る予定。同社は昨年7月に発覚したクレーム隠しの責任を取って、当時の河添克彦社長が辞任し、品質管理部門を増員するなど、信用回復につとめてきたが、新たな大量リコールで経営再建に大きな影響を与えそうだ。

 再リコールしたのは小型セダンのギャランや、エテルナ、エメロードの乗用車3車種とトラック2車種。乗用車は1992年から97年まで、トラックは99年から2001年までに製造された。同社はダイレクトメールやインターネットなどで客に通知する。

 15日に東京都内で開いた記者会見で園部孝社長は「昨年7月にリコールを届け出た後、クレーム情報を精査したところ、問題個所がさらに見つかったので再リコールした。多くの利用者にご迷惑をおかけする」と語った。

 米国でリコール予定の95万台はイリノイ州の子会社で製造した。うち、クライスラーにOEM(相手先ブランドによる生産)供給している車種も含まれる。費用は三菱が負担する予定。

 園部社長は、国内と米国でリコールにかかる費用を計170億円と見込んでいる。昨年7月のクレーム隠し発覚以来、同社の販売は大きく落ち込んでおり、2001年3月期連結決算の当期赤字額は1400億円となる見通しで、業績がさらに悪化する可能性もある。リコール費用をどのように処理するかは未定だ。

三菱車の欠陥公表遅れに中国反発

2001.02.13【北京13日=共同】The Sankei Shimbun
 中国で三菱自動車工業のパジェロV31、V33のブレーキに欠陥が見つかった問題で、同社北京事務所は十三日記者会見し「設計上のミスとは言えない」と会見で釈明した。しかし中国メディアは連日「謝罪がない」と同社の対応の遅れに強く反発。「欠陥」として訴訟に発展した昨年の東芝ノートパソコン問題の二の舞いになりかねない事態となっている。

 同社によると、昨年九月末、国家出入国検査検疫局からブレーキが利かなくなるケースが二件あったとの連絡を受け、同十一月に無料修理を開始した。同社はこの事実を公表せず、今月八日、正式公表を求める文書を受け取った。同社は「今まで発生したことがなかった問題のため公表するかどうか検討していた」としている。

 欠陥問題は、新華社が九日、パジェロ輸入禁止措置を報じたことで表面化。三菱自工は昨年、日本でリコール隠しが表面化しており、中国当局は対応にしびれをきらしメディアに公表させたとみられる。

 消費者団体などからは欠陥車への賠償や車体の交換を要求する声が出始めている。

 欠陥は、ブレーキオイルパイプが衝撃で傷つき、オイル漏れで制動力を失うことにあり、これまでの調査で約五%の車両のパイプに傷が見つかった。事故は特に悪路の多い雲南省などで起きており、同事務所の安楽英明所長は「通常の七人乗りに耐えられるよう設計している。使用状況を調べないと設計ミスとは言えない」としている。

 リコールの対象となるV31とV33は中国内に計約七万二千台使用されている。

中国、三菱パジェロ2車種を輸入禁止/ブレーキに設計上欠陥 三菱自、無償交換へ

2001.02.11【北京10日=山本秀也】The Sankei Shimbun
 中国・国家出入国検査検疫局が三菱自動車工業の四輪駆動車「パジェロ」の中国向けモデル二車種を輸入禁止とする措置をとったことが十日、分かった。走っているときにブレーキが利かなくなるトラブルが中国国内で報告され、調査の結果、「設計上の欠陥」と判断されたためとしている。

 輸入禁止措置を受けたのは、三菱自工が九四(平成六)年から輸出してきたV31型、V33型。昨年九月以後に寧夏回族自治区と雲南省で報告されたケースを中国政府が調べた結果、後輪の車軸に固定されたブレーキオイルのパイプが走行中の震動による車体内部の摩擦で破損し、オイル漏れが起きていたという。

 中国は九日、輸入産品に関する安全規則を適用し、二車種の即日輸入禁止やブレーキオイルのパイプの交換などを公告。書面で通知を受けた三菱自工では、中国国内のサービス工場で部品の無償交換に応じる措置をとった。近く本社から部長級の幹部を派遣し、中国側と本格的に協議する。

 今回対象となった車のこれまでに中国へ輸出された台数は、少なくとも三万五千台。三菱自工の車をめぐっては、八〇年代にも中国向けに販売したトラックで「欠陥」問題が表面化したことがある。

三菱自を書類送検/クレーム隠し 役員も関与の疑い

2001.02.01 The Sankei Shimbun
 三菱自動車工業(園部孝社長、本社・東京都港区)のクレーム隠し事件で、警視庁交通捜査課は一日、同社がユーザーからのクレーム情報を組織ぐるみで隠ぺいしていたと断定、元副社長ら役員三人を含む九人と、法人としての同社を道路運送車両法違反(虚偽報告)容疑で書類送検した。昭和四十四年にリコール(回収・無償修理)制度が発足して以来、自動車メーカーや幹部のクレーム隠しでの立件は初めて。

 書類送検されたのは、クレーム処理を担当していた旧品質技術本部(現品質保証本部)の本部長を兼ねていた本山彦一(六四)、遠山智(六二)の両元副社長ら元役員三人と、同本部の元部長(五四)や課長クラスのグループ長ら六人の計九人。

 調べによると、本山元副社長らは平成十一年三月と十一月、運輸省(当時)の立ち入り検査の際、十年一月から十一年十月までの乗用車などに関するクレーム情報の提示を求められた際、七百八十六件しか提示せず、約一万件を隠して虚偽の報告をした疑い。

 検査に立ち会っていた品質保証本部の部長は、その前後に本部長らに面会、「二重管理は漏れなかった」などと報告していた。グループ長らは、時間かせぎなどの隠ぺい方法を記した「監査対応マニュアル」にしたがって検査官に応対していた。調べに対し、副社長ら九人はいずれも容疑を認めている。

 同社は外部に知られたくないクレーム情報に「秘匿」や「保留」を意味する「H」マークをつけて区別。隠ぺいは昭和五十二年ごろから行われ、一昨年からは全社的にコンピューターでシステム化して二重管理していた。

 同課は、犯行当時の河添克彦前社長(六四)にも昨秋と昨年十二月に事情聴取した。二重管理について「全く知らなかった」と自らの関与は否定、立件は見送られた。前社長は「管理が不行き届きだった」と経営責任を認め、昨年十月末に辞任、相談役に退いている。

 運輸省は昨年九月、警視庁に告発したが、警視庁は昨年八月下旬に同容疑で同社本社を家宅捜索、捜査をを進めていた。

ダイムラークライスラー、2万5000人削減へ

2001.01.29(22:18)asahi.com(時事)
 独米連合の自動車大手ダイムラークライスラーは29日、クライスラー部門の全従業員の20%に相当する2万5000人の削減案を発表する見通しだ。同日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが関係筋の話として報じた。巨額の赤字に悩まされているクライスラー部門にとってリストラ策の一環となる。

 同紙によると、ダイムラークライスラーは人員削減とともに、少なくとも3工場の閉鎖を表明する。 

三菱自とクライスラー、車体を共通化 独誌報道

2001.01.28 【フランクフルト27日=時事】The Sankei Shimbun
 二十八日発売のドイツ有力誌シュピーゲルは、自動車大手ダイムラークライスラーによるクライスラー(北米事業)部門のリストラ策がこのほどまとまったと報じた。

 同誌によれば、二十二日に東京で行われたダイムラークライスラーと三菱自動車工業との協議で合意に達した。

 リストラ策は(1)米国、カナダ、メキシコ、ブラジルにある少なくとも四つの工場を閉鎖する(2)二万一千人に上る従業員を解雇する(3)将来的には三菱自とクライスラー部門の車体を共通化する(4)小型車モデルは三菱自が開発する一方、中型車は米国で開発する−が主な内容。三菱自とクライスラー部門の車体共通化は、数十億マルク(一マルク=約五六円)に上るコスト削減が狙いという。

 ダイムラーは三菱自に三四%出資している。

新たにバス1車種をリコール届け出 三菱自動車

2001.01.23(19:01)asahi.com
 三菱自動車は23日、運輸省(現国土交通省)の立ち入り検査に対して隠ぺいしていたクレーム情報などを精査した結果、新たにバス1車種についてリコール(無償回収・修理)を届け出た。1998年10月から昨年12月までに製造された圧縮天然ガス車「エアロスター」計37台について、ガスバルブの部品が壊れ、エンジンが再始動しなくなるおそれがある。米国製の部品を使用しているため、原因特定に時間がかかったという。

三菱自動車副社長にエクロート氏/ダイムラー出身 経営再建本格化へ

2001.01.19The Sankei Shimbun
 三菱自動車工業は十九日、臨時株主総会を開催し、今年一月にダイムラークライスラーから受け入れたロルフ・エクロート最高執行責任者(COO)を取締役に選任。同氏は総会後の取締役会で代表権を持つ副社長に就任した。経営再建途上で、長年のリコール(無償回収・修理)隠しが発覚した三菱自工の、新体制による経営再建がようやく始まることになる。

 総会に先立って園部孝社長は「品質問題で株主、消費者に多大な迷惑をおかけした」と陳謝するとともに「危機的状況から脱するために三菱自工を根本から変える」と訴えた。

 約三十分の総会では、出席した株主からは一件の質問も出なかった。エクロート氏は、再建に向けて「すべての分野で徹底的に検証する」と、三菱自工の経営実態を洗い直しすることを強調。工場閉鎖や大規模な人員削減などのリストラ計画策定をにじませた。

 総会後の会見で三菱自工の新経営陣は、ボルボとの間で結ばれたトラック・バス部門での提携に関する見直しはしないとした。また二月末までに米クライスラーの再建計画と合わせて、三菱自工の再建計画の大枠を決め、ダイムラーグループとしての世界的な協業体制を発表する。三菱自工の詳細なリストラ計画などは三月末までに策定し、四月一日から実施する予定。

米国での新車販売33万台 米国三菱自動車

2000.12.30【ニューヨーク30日=共同】The Sankei Shimbun
 米国三菱自動車は二十九日、二○○一年の米国での新車販売見通しが三十三万台程度になることを明らかにした。今年の実績見通しの三十一万台から約六・五%増加する。

 来年の米自動車需要は、史上最高となる今年よりは減少する見込み。しかし、米国勢に比べて日本のスポーツタイプ多目的車(SUV)など小型トラックの販売が好調なことから、同社は今年以上に販売が伸びる、としている。

給与明細に退職金上乗せ額添付 三菱自動車、社員は?

2000.12.26(09:24)asahi.com
 リコール隠し問題をきっかけに業績が悪化している三菱自動車は、課長級以上の管理職2800人に12月の給料明細と同時に、早期退職した場合の退職金上乗せ額を書いた明細と早期退職の申込書を配布した。三菱自動車は今月1日、早期退職制度の拡充を発表。来年3月までに約200人の応募を見込んでいる。「やめて欲しいのかな」と複雑な思いにかられた人もいたようだが、同社幹部は「退職を求めるマイナス思考ではない。自分の退職金を知ってもらい、人生設計に役立てて欲しい」と説明している。

 配布したのは給料日の20日。三菱自動車は「早期退職優遇」として、早期退職による退職金の上積み額が月収の1―23カ月分だったのを、6―44カ月分にまで引き上げた。退職金の明細書には「特別プレミアム」として上積み額を表記していたという。

 会社側は「寄らば大樹」の考えから早期退職の応募者が少ないと予想しており、応募数を増やすため、今回の配布につながったとの見方もある。会社側は「家業を継ごうと思っていた人や、転職を考えていた人への参考データになる」とも話している。

本田のチーフエンジニアが三菱自動車に異例の異動

2000.12.23(11:03)asahi.com
 三菱自動車は22日、本田技術研究所のチーフエンジニアとして米国で新車開発を担当していた木村健二氏が来年1月1日付で三菱自動車の乗用車技術センタープロジェクトリーダーに就任する人事を発表した。チーフエンジニアは、新車の開発などで中核的な役割を担うことが多く、日本の大手メーカー間を異動するのは極めて異例。また、34%の筆頭株主であるダイムラークライスラーのロルフ・エクロート氏が1月1日付で最高執行責任者(COO)に就任することも決まった。同19日には副社長に就任する予定。

三菱自動車が主力工場を閉鎖へ リコール隠しで収益悪化

2000.12.19(14:42)asahi.com
 三菱自動車は2001年度中にも、同社で最も古い生産拠点である大江工場(名古屋市港区、従業員約2500人)を完全閉鎖する方向で最終調整に入った。三菱自動車は今夏、資本提携したダイムラークライスラーと共同開発する小型車「Zカー」を2002年から同工場で生産する計画を明らかにしていたが、リコール隠し問題の影響で国内販売が大きく落ち込んだことで収益が悪化。過剰設備の解消が必要と判断した。

 大江工場では現在、北米輸出が主力のSUV「チャレンジャー」、最高級車「プラウディア」、小型RV「パジェロイオ」など年間約18万台を製造。三菱自動車の年間国内生産(1999年度で約100万台)の約5分の1を占め、岡崎工場(愛知県岡崎市)、水島製作所(岡山県倉敷市)と並ぶ乗用車の生産拠点。完全閉鎖後は、従業員は他工場に移ると見られる。

 三菱自動車は「チャレンジャー」を米国工場に、「プラウディア」なども国内他工場にそれぞれ移管して、来年中にも自動車の製造を一時的に停止させ、その後に「Zカー」を投入する計画だった。

 しかし、三菱の11月の国内販売は前年同月比で30%近く落ち、マツダに抜かれ5位に転落するなど、不振を極めている。

 大江工場は、三菱自動車の母体である三菱重工業が戦前、ゼロ戦などを生産していた軍需工場から戦後、自動車生産に転じた。現在も三菱重工・名古屋航空宇宙システム製作所と隣接している。

転職先探し中も月収8割保証 管理職リストラで三菱自

2000.12.02(10:36)asahi.com
 三菱自動車は1日、ホワイトカラー管理職の人員削減を狙って転職支援などの新人事制度を始める、と発表した。2万5500人の社員のうちホワイトカラーは9600人で、さらにその中の課長級以上の管理職2800人が対象。リコール隠しの影響で業績が悪化している同社は、2003年度までにホワイトカラーを8900人までに減らす計画で、新制度で目標達成を加速させる。

 「セカンドキャリア支援プログラム」と名付けられた制度で、来年1月から始める。希望者は1年間の休職期間は再就職活動に専念でき、その間は月収の80%を保証する。社内ネットで提携した人材派遣会社からの求人情報も公開する。

 早期退職優遇制度も拡充させ、これまでは退職金の上積み額が月収の1―23カ月分だったのを、6―44カ月分に引き上げる。来年3月までに退職する管理職に適用し、約200人の応募を見込む。

三菱自動車、豪州事業に100億円資本注入

2000.11.28(20:06)asahi.com
 豪州三菱自動車は28日、日本の三菱自動車から1億7200万豪ドル(約100億円)の資本注入を受けると発表した。豪州三菱が実施する第三者割当増資に親会社の三菱自動車が応じる。出資比率は60%から88%に引き上げる。豪州三菱のフィリップス社長は、資金の約半分を債務削減に、残りを施設更新と中東への輸出用の新型モデル開発に投入する方針を明らかにした。

 豪州の自動車関税が2005年から現在の15%から10%に引き下げられるため、現地生産のメリットが少なくなる。このため業績が悪い三菱自動車が生産から撤退するのではないかとうわさされていたが、ミンチン産業科学資源相は28日、「資本注入は豪州での事業に対する三菱自動車の信任投票である」として歓迎の意向を示した。

 ただ、三菱自動車は「豪州での現地生産を継続するかどうかは決めていない」としている。

 豪州三菱自動車はアデレードに2つの工場を持ち、約3500人の従業員を雇用している。

三菱自動車のリコール隠しを株主代表訴訟で追及へ

2000.11.24(01:08)asahi.com
 三菱自動車(本社・東京都港区)が自社製の欠陥車のリコール(無償回収・修理)を隠していた事件で、大阪の市民団体「株主オンブズマン」(代表=森岡孝二・関西大教授)が24日、この事件による会社の出費の穴埋めを求めるため、事件当時の同社の役員を相手取って株主代表訴訟を東京地裁に起こす方針を決めた。愛知県豊橋市在住の男性株主が原告となる予定。オンブズマンの阪口徳雄弁護士は「消費者(自動車ユーザー)の立場も加えた新しい代表訴訟だ」と話している。

 三菱自動車は長年にわたり、ユーザーから寄せられた欠陥車情報を運輸省に届けずに内密に車を修理して、リコールを隠し、同省の定期立ち入り検査の際にも要求があったのに関連情報を出さなかったとされる。事件発覚後、400万円の過料の支払いを同社に命ずる決定が東京地裁から出され、また、警視庁が道路運送車両法違反の疑いで捜査している。

 オンブズマン側は過料のほかにも、(1)三菱自動車製の自動車の安全性に対する消費者の信用が落ちたことによる売り上げ減少(2)信用回復のためのサービスにかかる費用(3)官公庁の公用車の入札の指名停止――などで100億円超の損が出るとみており、これを当時の担当取締役らに弁償させるよう求めていく方針だ。

三菱自動車のトラクターがリコール

2000.11.14(17:48)asahi.com
 三菱自動車工業のトラクター「ふそう」に欠陥が見つかり、同社は14日、運輸省にリコール(無償回収・修理)を届け出た。今年2月から10月までに製造された計312台について騒音防止装置の構造が不適切なため、非常ブレーキが作動するおそれがある。

三菱自動車、来年3月期は1400億円当期赤字

2000.11.13(16:54)asahi.com
 三菱自動車は13日、2001年3月期連結決算を大幅に下方修正し、当期赤字額が今年5月の予想の2倍の1400億円となる見通しを発表した。クレーム情報やリコール隠しの影響で国内販売が落ち込んだことや、ドルやユーロに対して円高が進んだことによる為替差損が発生したことなどが主な原因。

 同時に発表した2000年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比1.5%減の1兆5425億円、当期赤字が2倍の756億円に膨らんだ。本業のもうけを示す営業損益でも、赤字額が16億円から232億円に拡大した。

三菱自、再発進3つの壁 信頼、業績、提携

2000.11.04 The Sankei Shimbun
社長みずから企業倫理担当/リコール対策75億円重荷/ボルボ、ダイムラー“ねじれ”火種に
 三菱自動車工業は、長年にわたるクレーム情報、リコール(無償回収・修理)隠し事件を受けた経営陣の刷新を、十一月一日付で実施した。園部孝新社長率いる新体制では、社長自らが企業倫理担当に就くなど、事件で失われた信頼を早急に取り戻すための“体質改善”が行われる。しかし業績低迷に加えて、ヒット車に恵まれないなどの弱い収益体質を転換していく道筋は容易ではない。ダイムラークライスラーや、ボルボとの提携関係見直しなど、外資との調整も残る。新生三菱自動車の課題を探る。(鵜沢利高)

≪信頼≫
 事件の波紋は予想以上だった。長年の組織ぐるみともとれる隠ぺい工作が明らかになるにつれ、三菱商事、東京三菱銀行などグループ各社から批判が相次ぎ、ついには河添克彦社長の取締役降格と、旧経営陣も含む減俸処分などの決定を下さざるを得なくなった。

 新社長の園部孝氏は、まずは「失われた信頼回復が最重要課題」と強調。これまで上級執行役員が担当していた企業倫理担当を自らが担当し、監督することにした。

 企業文化を変えるための社内横断的なチームも発足させ、風通しのいい企業を目指す。

 一方ユーザーには、車両の整備点検を促す「三菱安心サポートプログラム」を実施、新規ユーザーにも三年間の無料点検サービスをつけるなどして、信頼回復に努めている。

≪業績≫
 信頼回復以上に厳しいのが、実は収益回復だ。もともと、河添前社長が最重要課題として取り組んでいたのが、経営改善計画「ハートビート21」。平成16年3月期に、連結売上高4兆円、経常利益1000億円、当期利益500億円を目指すこの計画は、初年度でつまずくことになった。

 最大の要因は、リコール隠しに伴って再度のリコールが必要となったため、国内外で75億円の対策費用が発生したこと。また車両点検プログラムでも、今後100億円以上の費用発生が見込まれている。組織改革や人員削減、コスト削減などの利益体質作りが、逆に損失拡大の局面を迎えてしまったのだ。

 その一方で、国内販売は、極度に低迷している。最近のヒット車は、今年1月に新型車として発売した小型ワゴン「ディオン」くらい。乗用車は軒並み不発に終わっている。

≪提携≫
 海外メーカーとの提携にも不安が残る。最初にトラック部門で資本提携したボルボは、その後仏ルノーの傘下に入った。三菱自動車がボルボとの提携後、資本の受け入れを決めたダイムラークライスラーは世界市場でルノーと競争を演じている。資本提携関係にある海外二社が、実は敵同士という「資本のねじれ」を生んでいるのだ。

 ルノーのシュバイツアー会長は「三菱自動車がボルボとの提携関係を見直そうとするならば、ルノーも動く。再編はまだ終わっていない」という。シュバイツアー会長の発言の裏には、三菱自動車がその“火種”になる可能性があることを示唆している。

 ダイムラーも今回、出資比率などを見直した。提携拘束期間を十年から三年に短縮しダイムラーの自由度を高めた。園部新社長はダイムラーとの提携交渉に携わっておりダイムラーなど海外メーカーとの関係改善でも手腕を発揮することが期待されている。

三菱自動車に過料400万円 リコール隠し/東京地裁決定 4件、最高額を適用

2000.10.02 The Sankei Shimbun
 三菱自動車工業(本社・東京都)のリコール隠し問題で、東京地裁(針塚遵裁判長)は二日、同社に対して過料四百万円の行政罰を科す決定をした。運輸省が道路運送車両法に基づいて東京地裁に通知していたもので、四件のリコール隠しについて、それぞれ最高額(一件百万円)の過料を科した。リコール制度に絡む過料の適用は平成十年の富士重工業(東京)に次いで二件目。

 対象となったのは、三菱自工が平成十年から今年にかけて、運輸省に届けることなしに販売店・ユーザ[に指示して無料で回収・修理を行っていた行為。

 運輸省は道路運送車両法に基づいて先月、(1)大型バス約四百七十台の横揺れ減少装置の不備(2)乗用車「デボネア」約百四十台の変速装置不備(3)小型バス約三十台のブレーキパイプ不備(4)大型トラック約百五十台の動力装置不備−の四件のリコール隠しについて、東京地裁に過料の通知を行っていた。

 運輸省などの調べによると、三菱自工はこれらのリコール隠しを三十年以上にわたって恒常的に実施。役員クラスの幹部が関与するなど、組織的にリコール隠しが行われたことが分かっている。

 道路運送車両法では、メーカーに対して、設計・製造段階における欠陥が見つかった場合、リコールを届け出るように義務付けている。届け出を行わないまま内密に回収や修理を行った場合には、行政罰として一件につき百万円以下の過料を規定している。

 三菱自工のクレーム隠しをめぐっては、運輸省が警視庁に刑事告発。警視庁では道路運送車両法違反(虚偽報告)の疑いで同社本社の家宅捜索を行うなど強制調査に乗り出している。

 三菱自動車広報部の話「お客さまをはじめ、多くの皆さま方に多大なご迷惑をおかけしましたことについて、心からおわび申し上げます」

リコール隠し 再発防止へ官民本腰/タスクフォース設置/自工会 品質管理ルール共通化へ

2000.09.22The Sankei Shimbun
 三菱自動車工業の長年にわたるクレーム・リコール(無償回収・修理)隠し事件で、日本自動車工業会の奥田碩会長(トヨタ自動車会長)は二十一日の定例会見で自動車業界として再発防止に向けた取り組みを開始すると発表した。リコール制度の運用が、事実上メーカー各社に任されているのに対し、奥田会長は、制度を厳格に運用するため、業界共通のテーマとして取り組む姿勢を示した。一方、運輸省も、消費者苦情処理窓口の充実する計画を出すなど、動きが出始めている。“制度疲労”の批判にこたえるかっこうで、官民一体の取り組みが本格化してきた。

 リコール制度が始まった昭和四十四年以降、一貫してユーザーからのクレームを二重処理し、さらにリコールを隠していたことについて三菱自工はこれまで、「長年の習い性」(河添克彦社長)という以外に、具体的な原因を説明していない。事件が再発しないという保証はなく、自動車業界としても消費者の信頼確保という観点から、事件の再発防止に向けた取り組みを迫られていた。

 奥田会長は今回の事件で、「制度の運用は各社の品質管理の問題」と指摘。あくまで三菱自工の問題であるとしたが、これまでダイハツ工業のリコール届け出の遅れや、富士重工業のリコール隠しなど、たびたび同様の問題が発生してきただけに、改めて「業界としても共通の問題として取り組んでいく必要性がある」と強調した。

      ◇    ◇

 具体的には今後詰めるが、リコール制度の運用や、消費者からの苦情処理問題など、「対応が多岐にわたる」(鈴木孝雄・自工会副会長)ため、自工会の常任理事会のもと、新たに各部会に横断的なタスクフォースを設置する。また各社の品質管理手法で優れている点では、共通化などのルール作りも進める方針。

 現実に起きているリコールについては、搭載されている電子部品などの不具合によるものも多いため、自動車メーカー間だけでなく、部品メーカーも含めた広範囲な分野で、相互に連携を取る必要もある。このため自工会では、部品メーカー団体と協議の場を持つなど、関係団体との間で制度改善を話し合うことも視野に入れる。

      ◇    ◇

 三菱自工の事件発覚以降、自動車業界は、運輸省の指示に従って、適正に制度を運用しているかどうか、一斉点検を進めている。これまでの点検では、各社とも「消費者からの苦情処理などに問題はなかった」(トヨタ自動車)、「ユーザーからのクレーム情報を隠せるような状況はまったくなかった」(日産自動車)などとし、三菱自工と同様の問題が起きる可能性は少ないと判断している。

 しかし、コスト削減のためメーカー間の部品共通化が増加。さらに開発期間の短縮などで、不具合の発生件数はうなぎ上り。平成十一年では四十八件と、五年前に比べ五倍以上になった。各社ともリコール対策は十分としているが、その一方で増え続けるリコールに決め手がないのも事実。

 長年のリコール隠しを発見できなかった運輸省にも問題は残る。制度が確実に運用されているかどうかを検証できるのか。官民が一体で制度改善を進めない限り、失われた消費者の信頼回復はおぼつかない。

防衛庁、三菱自工と6カ月間取引停止

2000.09.18(20:17)asahi.com
 防衛庁は18日、三菱自動車工業がリコール届を出さずに回収や修理をしていた問題で、この日から6カ月間、同社との取引を停止すると発表した。自衛隊で使われる特殊車両など、購入しなければ業務に支障が出る場合は除くとしている。

郵政省も三菱自動車を指名停止処分

2000.09.14(14:25)asahi.com
 郵政省は14日、三菱自動車工業がクレーム情報の虚偽報告やリコール隠しをしていた問題を受け、郵便配達に使う車両などの入札で、同社を18日から6カ月間の指名停止処分にすることを明らかにした。運輸省は公用車の入札で同社を18カ月間の指名停止処分にしており、それに追随する。

 郵政省は、郵便物の集配や広報活動用などに三菱自動車から小型4輪駆動車や軽自動車などを購入している。指名停止期間中に買い替え時期を迎えるものが数十台あり、指名を停止する方針だ。

経営刷新を正式発表、三菱自動車

2000.09.08(21:22)asahi.com
 三菱自動車は8日、クレーム情報隠し問題をきっかけに再交渉が始まったダイムラークライスラーとの提携見直しに合意し、その内容を正式に発表した。ダイムラーの出資比率を7月の契約で決めた34%のまま据え置くかわりに、出資比率を据え置く期間を当初の10年間から3年間に短縮することや、ダイムラーから乗用車部門を統括する最高執行責任者(COO)としてロルフ・エクロート氏を受け入れることなどが柱。三菱は「経営体制強化に向けた提携強化である」と説明している。

 同時に河添克彦社長が経営責任をとって辞任し、後任に園部孝副社長が就任、最高経営責任者(CEO)になることも発表した。人事は11月1日付。河添氏は当面は取締役相談役としてダイムラーとの提携事業などを補佐するが、来年6月の株主総会時に取締役も退任する見込み。

 また、今年7月の契約では、第3者割当増資時の1株当たりの取得価格を450円としていたが、クレーム隠し問題などで株価が低下したこともあり、405円に引き下げられ、ダイムラー側の出資総額は約2250億円から約2024億円に減額される。

 エクロート氏は、乗用車部門の開発や生産、購買などの主要部署を担当。園部氏を補佐する。来年早々にも開かれる臨時株主総会をへて代表取締役に就任する予定。ほかにダイムラーから品質管理部門の幹部社員が派遣される。

 ダイムラーとの交渉に当たってきた河添社長は「経営の自主独立を保つためには出資比率を維持することが大事であり、その狙いは達せられた。今回の品質問題で、お客様に大きな不安を抱かせたのは痛恨の極みであり、経営を預かる者のけじめとして、ダイムラーから三菱自動車への出資が終わった後に辞任する」と話した。

ダイムラー支配強化 三菱自工/ボルボ絡み 資本のねじれ増幅

2000.09.09The Sankei Shimbun
 「外資との提携交渉を突き進めるあまり、オープンでクリーンな経営理念が浸透しなかった」−。八日、リコール隠し事件の責任を取って正式辞任を発表した三菱自動車工業の河添克彦社長は、志半ばで降板することの悔しさをにじませた。リコール制度発足時から「習い性」になっていた隠ぺい体質。長く消費者を裏切ってきた代償は、信頼の失墜ばかりでなく、自主独立の姿勢で取り組もうとしていたダイムラークライスラーとの関係にも大きな影響を与えた。

 河添氏の後任の園部孝取締役副社長は、「容易ではないが、企業文化を大きく変化させたい」と語り、失墜した信頼の回復には、企業体質の抜本的な改革しかないと強調した。

 河添氏は、取締役相談役にさがり、園部新社長をサポートしつつ、事件の再発防止策の徹底を図るという。

 今回の事件はまた、再建の要でもあったダイムラーとの提携関係の見直しにも発展した。

 ダイムラーは、三菱自工の株価減額を要請。出資額は当初見込みから二百二十億円余り減ることになる。また、事実上のナンバー2となる代表権を持つCOO(最高執行責任者)を派遣するうえ、十年間は出資比率を変更できないという契約を三年間に短縮した。この結果、提携四年目以降は、三菱自工への出資比率拡大のために、市場から株の買い付けなどができるようになる。ダイムラーは三菱自工への支配力を強めるカードを手にした、というわけだ。

 三菱自工はトラック・バス事業で、ダイムラーと敵同士のボルボと資本提携している。ダイムラーとの提携当初からいわれた“資本のねじれ”だ。河添氏は「両社との関係は別物」というが、ダイムラーの影響力増大で、ボルボとの提携関係にヒビが入る可能性があり、「爆弾を抱えたようなもの」(トラックメーカー首脳)となる。

 今後、販売への影響や、官庁や地方自治体からの締め出しなどによる国内での収益面でのマイナスは確実。一兆四千五百億円を超える巨額の有利子負債を抱えながら、企業文化の刷新を進めなければならない三菱自工の前途は厳しい。

「労組も反省が必要」 三菱自の問題で自動車総連会長

2000.09.04(21:41)asahi.com
 自動車メーカーなどの労働組合でつくる自動車総連(草野忠義会長、76万人)の定期大会が、4、5日の日程で東京都内で始まった。

 冒頭のあいさつで草野会長は、三菱自動車工業のリコール(無償回収・修理)隠し問題などについて、「お客様の安全にかかわる重大問題で、経営者の責務、倫理が厳しく糾弾されなければならない」と述べた。

 同時に、「経営に対する労組の監視、チェック機能が十分に働いていたかどうか、大いに反省する必要がある。労組の社会的責任と役割を果たせるよう、全員が心していかなければならない」と強調した。

 また、大会に先立つ記者会見で草野会長は、リコール隠しなど安全や品質にかかわる問題がないかどうかを自主的に調査するよう、同日の中央執行委員会で各メーカーの労組に要請したことを明らかにした。監視・チェック能力を強化するための対策も検討していくという。

 大会で来賓としてあいさつした連合の鷲尾悦也会長も、企業のモラルハザード(倫理破たん)を示す一連の事件・事故に触れて、「産業民主主義に欠かせない労使の団体交渉が形がい化しているのではないか」との懸念を示した。

三菱自工の社長室など捜索 クレーム隠し事件

2000.09.03(23:21)asahi.com
 三菱自動車工業(河添克彦社長)がクレーム情報を隠したとされる道路運送車両法違反事件で、警視庁交通捜査課などの捜査本部は3日、同法違反(虚偽の報告と陳述)の疑いで新たに東京都港区の同社の社長室など数カ所を家宅捜索した。同社への捜索は8月27日に続いて2度目。捜査本部は、隠ぺいが会社ぐるみで行われていた疑いを強めており、今後、河添社長を含めた幹部の事情聴取を進めるものとみられる。

 河添社長は、一連のクレーム隠しの経営責任を取って辞任する意向を固めている。

三菱自 新社長に園部氏

2000.09.03The Sankei Shimbun
 長年にわたるリコール隠しが発覚した三菱自動車工業は二日、河添克彦社長が引責辞任し、後任に園部孝取締役副社長を昇格させる首脳人事を固めた。週明けにも正式発表する。

 三菱グループ内や資本提携先のダイムラークライスラーから後継社長を選出する案が浮上するなど、後継人事は難航していたが、最終的に河添氏とダイムラーのユルゲン・シュレンプ社長が協議、三菱自動車から後継者を出すことになった。

 河添氏は、今後ダイムラーやボルボとの事業協力はじめ、経営再建策が山積しているため、取締役として残り、園部氏をサポートする見通し。三菱商事などグループ各社も了承した。

 《略歴》園部 孝氏(そのべ・たかし)慶大経済卒。昭和39年、三菱重工業入社。三菱重工から分社した三菱自工に移り、北米部長を経て、平成11年に常務、12年6月から副社長。59歳、東京都出身。

三菱自動車、品質諮問委員会を設置 メンバーは外部から

2000.09.01(21:54)asahi.com
 三菱自動車は1日、社外から品質管理体制のあり方などを監視する「品質諮問委員会」と「社員相談室」を設置したと発表した。消費者からのクレーム情報隠しで警視庁から強制捜査を受けるなどしており、社内改革を進めるのが狙い。

 品質諮問委員会のメンバーは、元最高裁判事の藤島昭弁護士ら5、6人になる予定で、9月中旬に第1回目の委員会を開く。月に1度のペースで開催し、品質改善対策の実施状況などを報告し、チェックを受ける。

 社員相談室では、3人の担当者のほか、弁護士などの社外有識者をアドバイザーとして置く。人事処遇上の不平や不満、仕事上の悩みや業務運営に関する苦情などを、メールや文書などで受け付ける。

三菱自動車が4カ月ぶり減 8月の新車販売台数

2000.09.01(19:28)asahi.com
 日本自動車販売協会連合会が1日に発表した8月の新車販売台数(軽自動車を除く)は、前年同月比4.1%増の約24万3000台で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。

 車種別では、乗用車が6.3%増の約17万2000台で、2カ月ぶりのプラス。メーカー別では、三菱自動車が2.7%減の約1万7000台で、4カ月ぶりのマイナスとなり、クレーム情報隠しが販売にじわりと影響した格好だ。日産は13.6%減の約4万1000台で、2カ月連続のマイナスだった。

三菱自動車、クレームに反論の回答 数日後に撤回し賠償

2000.08.29(15:31)asahi.com
 三菱自動車工業(本社・東京)がクレーム情報を隠したとされる道路運送車両法違反事件で、今回リコール(無償回収・修理)対象になった「パジェロ」のユーザーの男性が、走行中の故障を理由にクレームを申し出たところ、同社がいったんは「製造過程にミスはなく、車検業者の問題」との回答をしておきながら、約1カ月後には回答を撤回、十分な説明をしないまま修理代50万円を賠償していたことが29日、わかった。同社はこれを含め27件の同種のクレーム案件を運輸省に開示せず「秘匿」扱いにしていた。今回のクレーム隠しが問題化するまで、この男性は故障が製造上の欠陥によるものだったことをまったく知らされなかったという。

 関係者によると、パジェロは奈良県内の男性のもので、1998年12月末、同県明日香村を走行中、エンジンから異常音がした後、ハンドルが急に重くなった。すぐにエンジンを止めて点検すると、エンジンルームの中にボルト1本が落ちていた。

 同県内のディーラーに持ち込んで調べたところ、エンジンの回転を変える滑車「クランクシャフトプーリ」をエンジン部に留めるボルトが途中から折れ、外れていた。エンジンの交換が必要とされ、男性は約50万円の修理費を支払った。

 男性のクレームに基づいて同社は99年7月、古いエンジンを京都工場(京都市)に持ち込んで調べた。その結果、男性には「前回の車検時にエンジン部のベルトを交換した際のボルトの締め付けが不十分で、運転を続ける間に緩んだ」ためと回答したうえで、クレームを秘匿扱いにした。

 ところが約1カ月後、同社から男性に「修理代を返す」と電話があり、全額が返されたが、理由の説明はなかったという。

 約1年後の今年7月末、今度は同社から無償修理案内のはがきが届いた。男性のパジェロがリコール対象になった知らせで、ボルトが緩んだ原因は「製造段階での作業上のミス」と変わっていた。

 運輸省によると、同じ欠陥によるリコール対象車はパジェロなど3車種、約5万5000台あった。クレーム情報は、男性の情報を含めて27件あったが、同社はすべて秘匿扱いにしていた。

近く関係省庁と協議 三菱自動車事件で奥田自工会会長

2000.08.28(19:54)asahi.com
 三菱自動車がクレーム情報を隠した問題で、奥田碩・自動車工業会会長(トヨタ自動車会長)は28日、「今後の対応について運輸省や通産省など関連省庁と相談しなければいけないと思う」と述べ、近く国とリコールの手法や情報開示について協議する考えを示した。ただ、「クレーム対策はメーカー各社が責任を持っており、自工会としてルールなどを決めて実施することは考えていない」とも語った。

 名古屋市で開かれたトヨタの新車発表の記者会見で語った。奥田氏は三菱自動車の対応について「数十年も隠していたとすれば考えられないことだ」と憤り、「各社とも、もう一度(クレーム処理について)総点検する必要がある」と述べた。トヨタ社内でも再点検を指示したという。

故障はブレーキなど 三菱自の欠陥車事故の内容判明

2000.08.28(17:52)asahi.com
 三菱自動車工業(本社・東京都港区)がユーザーからのクレーム情報を隠したとされる道路運送車両法違反事件で、リコール(無償回収・修理)対象車とするべきだった欠陥車の事故6件のうち物損事故5件の内容が28日、わかった。ハンドルやブレーキなど運転を制御する部分の故障で、いずれも人身事故になるおそれがあった。警視庁交通捜査課などの捜査本部は、発生地の警察本部の協力を得て事故の内容を詳しく調べるとともに、同様の事故がほかになかったか確認を急いでいる。

 同社が内部調査の結果として明らかにした欠陥車による事故は人身が1件、物損が5件あった。物損事故は1998年2月から今年2月にかけ、北海道、福島、三重、山口、鹿児島の5道県で起きていた。

 三重県では98年2月、乗用車「エメロード」のハンドルの支柱の接合部分が抜け落ちてカーブが切れなくなり、車がガードレールに接触した。昨年2月に福島県郡山市であった同「ギャラン」の事故も同じ原因で、土手に衝突していた。

 昨年1月には、北海道室蘭市で同「ランサー」が雪道を走っていて急ブレーキをかけたところ、駆動力を制御するクラッチが焼き付いて車が回転し、道路わきの雪のかたまりにぶつかった。また、鹿児島市内で昨年9月、小型トラック「ふそうキャンター」が街灯に接触した。運転者は、飛び出してきた自転車を避けようとしてブレーキを踏んだが利かず、ハンドル操作で避けたという。

 山口県で今年2月、大型トラック「ふそう」が追突事故を起こした。追い越しをしようとしたらエンジンが止まり、ハンドル操作ができなくなった。急ブレーキもエンジンブレーキも利かなかった。

 人身事故は熊本市で今年6月20日にあった。RVの「パジェロ」のブレーキホースが破損して制動力が落ち、ワゴン車に追突した。ワゴン車に乗っていた2人がけがをした。

 捜査本部は、リコールを運輸省に届け、欠陥情報を公開するなどの安全対策を三菱側が講じていれば、避けられた可能性が高いとみて、情報隠しの動機や指示系統を調べている。

課長級6人が「隠ぺい」取り仕切る 三菱自動車

2000.08.28(17:52)asahi.com
  三菱自動車工業(本社・東京都)が運輸省に対してクレーム情報を隠したとされる道路運送車両法違反事件で、同省の立ち入り検査に立ち会っていた社員は、品質保証部のグループ長と呼ばれる課長級職員らであることが28日、関係者の話でわかった。グループ長は部内に乗用車担当が3人、トラック担当が3人の計6人おり、隠ぺいの実務作業にかかわっていたほか、すべてのクレーム関連資料を見せるよう求めた運輸省に対し、一部を隠していることを知ったうえで虚偽の説明をしていたとみられる。警視庁もこのような社内の役割分担に関心を示している模様で、クレーム隠しにかかわった社員の特定を急いでいる。

 道路運送車両法は立ち入り検査での虚偽の陳述を禁じている。警視庁交通捜査課などの捜査本部の調べによると、三菱自動車は、運輸省が行った昨年11月の定期検査と今年7月の特別監査の際、すべてのクレーム関連情報を提示するよう求められたにもかかわらず、一部を隠ぺいして提示していた疑いが持たれている。関係者によると、いずれの立ち入り検査時も、複数のグループ長が最初から最後まで立ち会っていたという。

 同社の社内調査によると、コンピューター上で一部のクレーム情報に秘匿などを意味する「H」マークをつけて別処理し、運輸省の定期検査に対しては「H」マーク情報を除外したリストのみを提示する隠ぺい工作をしていた。その実務処理には、全グループ長以下の計20人がかかわっていたとされる。

 定期検査の際にどの情報が開示され、どの情報が隠ぺいされているかについては、部長も報告を受けて知っていたという。

 このような隠ぺい工作は少なくとも1977年から始まっていたことから、部長から昇進するなどした歴代の役員3人も、同社の社内調査に対して、隠ぺいの事実について「薄々知っていた」と回答している。

社長の責任問題見守る 三菱自動車の情報隠しで運輸相

2000.08.25(12:24)asahi.com
 三菱自動車工業(本社・東京都)がクレーム情報の隠ぺいやリコール隠しを行っていた問題で、森田一運輸相は25日の閣議後会見で、「大変遺憾。告発へ向けて今後、警察当局と最終的な調整をする。行政処分の検討も最終段階にきている」などと述べた。また、同社の河添克彦社長の進退など責任問題については、「社長や三菱グループがどう判断するか、見守っていきたい」とした。

三菱自を本格捜査 警視庁/クレーム隠し、担当者ら聴取へ

2000.08.24The Sankei Shimbun
 三菱自動車工業(本社・東京都)が運輸省の検査の際、ユーザーからのクレーム情報を隠していた問題で、警視庁交通捜査課は二十四日までに、道路運送車両法違反(虚偽報告)の疑いで本格的な捜査に乗り出した。同社関係者から業務運営の実態などについて説明を受けたほか、運輸省にも具体的なクレーム内容について、問い合わせるなどして情報収集を進めている。

 三菱自工や運輸省によると、同社は昭和五十二年からクレーム情報を二種類に分けて処理していた。外部に知轤黷スくないものなどは、「秘匿」や「保留」を意味する「H」マークを付けて秘密扱いとし、運輸省の検査では明らかにしなかった。

 部長クラスはクレーム情報の隠ぺいについて承知していたほか、役員クラスも知っていた可能性があり、運輸省は来月中にも同社を道路運送車両法違反で行政処分するほか、警視庁に告発を検討している。

 交通捜査課はこうした経緯から、同社が会社ぐるみでリコール隠しをしていた疑いが強いとみており、運輸省の調査の進展を待って、隠ぺいに関与したとみられる担当者からも事情を聴く方針。また、同社がリコールを届け出た約五十万台について、人身事故などが起きていなかったかどうか、警察庁を通じて全国の警察に調査を依頼している。

三菱自、約20万台を追加届け出 リコールや改善対策

2000.08.22(13:37)asahi.com
 クレーム隠しやリコール隠しが発覚した三菱自動車工業(本社・東京都)は22日、隠ぺいしていたユーザーからのクレーム情報をさらに精査した結果として、新たに計約20万台のリコール(無償回収・修理)や改善対策などを運輸省に届け出た。同社はこの問題で、7月末に計約61万台のリコールなどを届け出ている。また、同社の調査で今年6月、熊本県内で人身事故が起きていたことも明らかになった。同社の河添克彦社長は、新たに見つかった3件のリコール隠しをはじめ、隠ぺいの経緯や再発防止策などについて社内で調査した結果を森田一運輸相に報告した。

 今回届け出たのは、ランサーやギャラン、エテルナなど計11車種のリコール8万8000台と、デリカの改善対策約9000台、ディアマンテなど計2車種のサービスキャンペーン約10万7500台。リコールは保安基準に適合していない欠陥で、改善対策は基準は満たしているものの安全性に問題がある欠陥を指す。サービスキャンペーンは安全性に問題はないが、品質向上のために行うもの。

 追加届け出とあわせて同社は、前回届け出たリコール対象の中にブレーキホースの欠陥のため、制動力が低下していたRVの「パジェロ」が今年6月、熊本県内で追突事故を起こし、追突された車に乗っていた2人がむちうち症の軽傷を負っていたことを報告した。このほか、隠ぺいしていたクレーム情報のうち、物損事故に至った例は計5件あった。

 また同社は、届け出をしないまま回収・修理を行うリコール隠しについては、乗用車「デボネア」や大型トラックなど計3件を新たに報告した。

 一連の隠ぺい問題は、匿名情報を機に運輸省が7月上旬、特別監査を行い、明らかになった。これまでの三菱自動車や運輸省の調査によると、同社は少なくとも1977年から、ユーザーのクレーム情報の大半を運輸省の定期検査に対して隠していた。隠していた情報は、98年4月以降だけでも約6万5000件にのぼる。隠ぺいについては、部長クラスも承知しており、役員も薄々知っていたという。リコール隠しについては、69年から行っていた。

 同社は今後、リコール担当者の人事を刷新するとともに、リコールに対応する社内体制を強化するという。

 こうした隠ぺい問題について、同社は「リコール件数を少なくしたいという意識があった。順法意識の欠如の一語に尽きる」などと説明している。

三菱自動車、組合費横領で社員を懲戒解雇

2000.08.18(20:15)asahi.com
 三菱自動車は18日、同社の労働組合に所属する社員が組合費約1億7000万円を横領したため懲戒解雇としたことを明らかにした。

 同社によると、組合には管理職になる前の社員二万数千人が加入している。組合の調査を受けて同社は、今月7日に社員を懲戒解雇処分にした。この社員は横領を認め、組合は刑事告訴を検討しているという。

 三菱自動車では、ユーザーからのクレーム書類を社内のロッカーに大量に隠し、リコールの届け出などを怠っていたことが先月、明らかになるなど、企業体質を問われる問題が続いている。

三菱自動車「リベロ」がリコール

2000.08.10(18:17)asahi.com
 三菱自動車工業のステーションワゴン車「リベロ」に欠陥が見つかり、同社は10日、運輸省にリコール(無償回収・修理)を届け出た。先月発覚したクレーム情報隠ぺい問題とは関係のない届け出だという。

 今年6月から8月にかけて製造された計1006台について、交換用タイヤを固定する部品の形状が不適切なため電気配線が損傷し、後部ランプがつかなくなるおそれがある。

ダイムラークライスラーと包括提携に調印 三菱自動車

2000.07.29(19:43)asahi.com
 ダイムラークライスラーと三菱自動車は28日夜、ダイムラーが三菱に34%出資するなどの包括提携契約に正式調印したと発表した。ダイムラーは、今年中にも三菱が行う第三者割り当て増資に応じ、2250億円を出資する。契約では、三菱がボルボと提携しているトラック・バス事業は、提携分野に含まれないことを盛り込んだ。

 包括提携の主な項目のひとつは、小型車の共同開発・生産で、三菱のオランダでのボルボとの小型乗用車合弁工場をダイムラーとの合弁に切り替え、2004年から両社ブランドで計25万台の小型車「Zカー」を造る。また、三菱は欧米などで、ダイムラーの販売金融会社を活用する。今後10年間は三菱取締役会の承認がなければ、34%を超える出資はできないことも確認した。

三菱自動車、リコール隠し認める 61万台届け出

2000.07.25(20:47)asahi.com
 三菱自動車工業(本社・東京都)は26日、17車種約53万台のリコール(無償回収・修理)をはじめ、改善対策など計約61万台について運輸省に届け出た。同日午後、運輸省で記者会見した河添克彦社長らは、情報の隠ぺいが組織的に行われていたことなどを認めた。リコール隠しは道路運送車両法で禁じられており、最高で100万円の過料が科せられる。

 届け出の内訳は、運輸省令の保安基準に適合していない「リコール」の対象が53万1869台、基準は満たしているが安全上・公害防止上問題のある「改善対策」の対象が3372台、安全上の問題はないが、品質向上のために行う「サービスキャンペーン」の対象が7万6474台。

 河添社長らによると、三菱自動車は、ユーザーからディーラーに寄せられたクレームのうち、約半分の情報について運輸省の定期検査で提示するものとそうでないものを分けたうえで、コンピューター上で二重に処理していた。この処理には、本社のリコール担当課長以下の計20人がかかわっており、部長クラスは「知らなかった」としている。未提出の情報は約2、3万件あり、非開示や、リコールするかどうかの判断保留を意味する「Hマーク」がついていた。

 これらの情報を「隠ぺい」した理由について河添社長は、意図的な行為だったことを認めたうえで、「私自身も運輸省の特別監査後に初めて知り、がく然とした。担当課長からまだ話を聞いていないが、習い性になっていた部分がある」などと話した。

 さらに、大型トラック「ふそう」の走行不能トラブルについて、三菱自動車が運輸省にリコールを届け出ないまま、本社の指示で昨年暮れから内密にユーザーに通知し、修理を行っていた「クレーム隠し」も明らかになった。

三菱自、欠陥対応昨年も遅れ、運輸省が改善指示

2000.07.22(03:02)asahi.com
 数十万台にのぼる「リコール漏れ」が発覚した三菱自動車工業(本社・東京都)が昨年12月、改善対策の届け出が必要な欠陥について対応していなかったとして、運輸省から業務改善指示を受けていたことが21日、わかった。同省によると、メーカーに対してリコールや改善対策の届け出をうながす業務改善指示は、年間5件前後あるが、ほとんどが輸入車で、国産車についてはあまり例がないという。

 運輸省などによると、同社のワゴン車「RVR」で、後部のスライド式ドアが重く、無理に開け閉めしようとすると取っ手が壊れることが、同省が昨年11月に実施した定期の立ち入り検査で判明した。ドアの取り付けや開閉装置の形状が不適切なためで、昨春ごろからユーザーからクレームが寄せられていた。同社は、クレーム申告者のみに対応し、新しく製造する車については部品を改善していたが、運輸省に届けず、欠陥を公表していなかった。

 三菱自動車は運輸省に対し、「商品性の問題」などと説明していたが、同省は12月21日付で「安全上問題があるにもかかわらず、改善対策の届け出がされていない」として、早急な対応を求める業務改善指示の文書を出した。これを受けて同社は今年1月14日、1997年11月から99年2月までに製造された計2万4376台について、部品を交換する改善対策を届け出た。

 改善対策は、運輸省令が定める「道路運送車両の保安基準」には適合しているものの、設計や製作過程に原因がある安全上・公害防止上の不具合について、運輸省に届け出て公表したうえで、ユーザーに対し無償で回収・修理する制度。保安基準に適合していない場合に届け出るリコールに比べると、危険度は低い。

 三菱自動車の対応について運輸省は、「安全に対する見解の相違だが、事故の未然防止という観点からみて、好ましくない。ユーザーからの苦情には速やかに対処すべきだ」としている。同省の統計によると、ユーザーのクレームが最初に寄せられてからリコールを届け出るまでの期間は、「半年以内」が6割強を占めている。

三菱自動車の豪現法、99年の業績悪化を受け600人の人員削減へ

00年4月27日 19時42分[シドニー 27日 ロイター]
 三菱自動車工業のオーストラリア現地法人は、99年に過去最悪の1億3000万豪ドルの赤字を計上したことを受け、約4000人の従業員のうち、600人を削減する方針を明らかにした。

 ただ同社によると、2000年の販売台数は、振るわなかった昨年を9000台上回り、7万9000台に達する見通し。今年末までには、黒字転換を達成できる見込み、という。

三菱自動車、伊フィアットとの提携解消

2:27p.m. JST April 19, 2000
 三菱自動車は19日、イタリアの大手自動車メーカー、フィアットとの間で結んでいた技術提携を解消することを明らかにした。三菱が主要部品を供給して、フィアットの四輪駆動のレジャー用車(RV)を開発・生産する検討をしてきたが、「(円高傾向の)為替動向からいって採算があわないため断念する」としている。三菱はダイムラークライスラーと、フィアットは米ゼネラル・モーターズ(GM)と、それぞれ資本の受け入れを含む包括提携を結んだことも提携解消の背景にある。

 三菱とフィアットは昨年7月に技術提携で合意。三菱が車の骨格となるプラットホーム(車台)などの主要部品を供給、フィアットがデザインを担当して2001年にも欧州で共同開発、生産する予定だった。日欧の中堅の両社の提携は、世界的な自動車産業の合従連衡の流れの中で、生き残りをかけるものとされていた。しかし、両社はそれぞれ別の巨大自動車資本のグループに入ることで生き残りを目指すことになり、提携の解消に踏み切る。

 フィアットは、四輪駆動車の分野では、富士重工業などGMグループの日本メーカーとの協力を深めるとみられる。

ダイムラークライスラー、三菱自との提携で27日に記者会見へ=業界筋

00年3月25日 13時5分[フランクフルト 24日 ロイター]
 
 業界筋によると、独米系のダイムラークライスラーは、来週27日に記者会見を開き、三菱自動車の支配株取得を発表する見通し。

  同筋が当地で、ロイター通信に語ったもの。

  同筋は、「われわれは、ダイムラークライスラーが三菱自動車について、月曜日に記者会見を開くとみている」と述べた。

 これより先、日本の複数の業界筋は、両社が提携の覚書締結に向け協議中であるとし、この覚書により、ダイムラークライスラーが三菱自動車の支配株を取得する、と明らかにしていた。

ダイムラークライスラー会長、アジアでの業務提携実現に期待を表明

00年3月22日 7時31分[シンデルフィンゲン(ドイツ) 21日 ロイター]
 ダイムラークライスラーのユルゲン・シュレンプ会長兼最高経営責任者(CEO)は、アジアでの販売を強化し、グループ総販売台数の25%をめざすとの中期経営計画達成に向けて、早期に業務提携が実現することを望んでいると述べた。

 同会長は、「(業務提携は)近い将来現実のものになると確信している」と述べた。 同社は、韓国の大宇自動車買収に名乗りをあげているほか、三菱自動車工業を買収する用意があるとの観測も出ている。

 すでに米ゼネラル・モーターズ(GM)は、富士重工とスズキとの提携に合意している。

 フォードも三菱との提携に関心があるとされるが、すでにマツダと提携関係にある。 フランスのルノーは、日産自動車の発行済み株式の36.8%を保有している。

 アナリストによれば、現状において、日本の自動車メーカーで提携可能な相手として残っているのは、三菱自動車のみ。

ダイムラー、三菱自動車との提携で経営権主張

03:24a.m. JST March 11, 2000
 外資との提携交渉を進めてきた三菱自動車は、ダイムラークライスラーからの資本受け入れを柱とする包括提携を結ぶ方針で最終調整に入った。ダイムラークライスラー側は、事実上の経営主導権が握れる33.3%を超える出資比率を求めている。三菱側は経営の自主性を保ちたい考えで、詰めの作業をしている。三菱自動車とダイムラークライスラーが組めば、全世界での販売台数は600万台を超え、世界3位の「自動車連合」の誕生となる。

 三菱自動車は三菱重工業から分離した会社で現在も同社が約24%出資する筆頭株主。三菱自動車は、1971年に旧クライスラーから資本を受け入れていたが、旧クライスラーの経営が悪化し、93年に三菱の株式を売却、資本提携を解消していた。

 包括提携では、三菱自動車が、ダイムラークライスラーが苦手とする排気量一〇〇〇cc台前半の小型車の開発や生産で協力したり、三菱のアジアでの拠点を貸したりするなどの関係を築くとみられる。また、三菱は同社が得意とする燃費効率の高い直噴エンジンや無段変速機をダイムラークライスラーに供給することも検討している。

 三菱自動車は、米フォードとも資本受け入れを視野に協議してきた。フォードが買収したボルボ乗用車部門とのオランダでの合弁継続の交渉を並行して進めてきたが、フォードとの交渉は難航している。ダイムラークライスラーが有力だが、フォードの提示する条件次第では逆転の可能性もある。

マレーシアのプロトンと三菱自動車、新型車の共同開発を発表へ

00年3月8日 18時13分[クアラルンプール 8日 ロイター]
 マレーシアの国産車メーカーのプロトンは、三菱自動車工業と新型車2車種を共同開発することを明らかにした。

 プロトンによれば、同社のマハリール最高経営責任者(CEO)と三菱自動車の川添克彦社長が10日に共同記者会見を開いて発表する。

 共同開発の詳細については、これ以上の説明はなかった。

 プロトンには、三菱商事と三菱自動車が合わせて16%出資している。三菱はプロトンにエンジニアリング面でのサポートを行ってきた。

自動車7社が外資傘下に

2000年3月7日 17時35分
 三菱自動車工業がダイムラークライスラーとの資本提携に向け最終調整に入ったことで、国内自動車メーカー11社のうちトヨタ自動車グループ3社、独立路線を掲げる本田技研工業を除く7社が外資の巨大グループに組み込まれることになった。国内自動車業界は、トヨタ、米ゼネラル・モーターズ(GM)、フランスのルノー、ダイムラー、米フォード・モーター、本田の6グループに集約。


販売台数でトヨタを抜く

2000年2月28日 19時03分【フランクフルト共同】
 自動車大手メーカー、ダイムラークライスラーが28日発表した1999年の自動車販売台数は前年比8%増の486万5000台となり、472万台のトヨタ自動車(子会社のダイハツ工業分を除く)を初めて追い抜いた。

 合併の相乗効果や新モデルの投入で、シェアを着実に伸ばしており、ダイムラーの「拡大軌道」が一層鮮明になった。

ダイムラークライスラーのイートン共同会長が3月引退

11:58a.m. JST January 27, 2000
 自動車大手ダイムラークライスラーのロバート・イートン共同会長(59)は26日、3月末に引退することを明らかにした。同社は1998年に独大手ダイムラー・ベンツと米大手3位クライスラーの合併で誕生したが、春以降は旧ダイムラー会長だったユルゲン・シュレンプ共同会長が引き続き統率する。

 イートン氏はクライスラー出身だが、同社はダイムラー側が主導する経営姿勢が目立つといわれ、昨年はクライスラー出身の幹部が相次いで辞めてライバル社に「避難」した。このため、「クライスラー色がさらに薄れ、ドイツ式経営路線を強めるダイムラー色の濃い会社になるだろう」(自動車業界アナリスト)との声が上がっている。イートン氏は合併当時から、「合併作業が完了した段階か、遅くとも3年以内」に引退する意向を示していた。

 この日の記者会見でイートン氏は「会社の指揮体系は整ったので、(退く)時期が訪れた」と語った。技師だった同氏は米自動車最大手ゼネラル・モーターズからスカウトされてクライスラーに転じ、93年から会長兼最高経営責任者(CEO)として経営難だった同社の再建に貢献。ダイムラーとの合併をまとめた功績などが株主から評価されており、業界には自社株を含めた退職金が7000万ドル(約73億円)ほどに達する、との見方もある。

クライスラーとメルセデス、エンジンと部品を共通化

00年1月19日 16時29分[デトロイト 18日 ロイター]
 自動車大手のダイムラークライスラーは、同社のクライスラーとメルセデスの両ブランドが車台を共通化することは絶対にないかもしれないものの、トランスミッション、ディーゼルエンジン、その他の部品を共通化する方針を明らかにした。北米部門のジェームズ・ホールデン社長が明らかにした。  同社長は、デトロイトで開かれたオートモーティブ・ニューズ・ワールド・コングレスで、ダイムラークライスラーはすでに、欧州でメルセデスW−580のトランスミッションをSUVのジープ・グランド・チェロキーに搭載することを計画している、と述べた。また、メルセデスのディーゼルエンジンをクライスラー車に使用するという。

大江工場の一部売却を決定

2000年1月27日 16時59分 共同通信社
 三菱自動車工業は27日の取締役会で名古屋製作所大江工場(名古屋市)の約3分の1に当たる計12万6200平方メートルを筆頭株主の三菱重工業など6社に計94億3600万円で売却することを決めた。

 来年度以降、さらに約3万6800平方メートルを名古屋市などに売却する方針。

軽4輪統括本部を4月設置

2000年1月25日 18時58分 共同通信社
 三菱自動車工業は25日、軽自動車事業を統括する「軽4輪統括本部」を4月に、本社内に設置すると発表した。ダイハツ工業や本田技研工業に比べ、売れ行きが伸び悩んでいる軽自動車部門をてこ入れする。河添克彦社長は「魅力的な軽自動車造りに向け、設計段階から販売までを一貫してみる専門部署を設けることにした」と説明した。

販売会社の事務部門集約へ

2000年1月24日 17時06分 共同通信社
 三菱自動車工業は24日、関東、中部、近畿、中国の4工場の経理部門を中核に、周辺販売会社の事務管理部門を地域ごとに集約する検討に入ったことを明らかにした。業績改善を図る2003年度までの中期経営計画の一環で、重複・類似業務を一本化することでグループ全体としての経営効率を向上させるのが狙い。専門の新会社設立も選択肢に挙がっている。

三菱RVRドアに欠陥

2000年1月14日 15時10分 共同通信社
 三菱自動車工業は14日、乗用車「RVR」のドアに欠陥があるとして運輸省に改善対策を届けた。対象は1997年11月から99年2月までに製造した2万4376台。部品を無料で交換する。

 後部左側スライド式ドアの内部構造が原因でドアの開け閉めがスムーズにできず、無理に開閉すると取っ手が壊れるなどの恐れがある。

三菱自動車、浦和レッズの支援強化

3:37p.m. JST December 25, 1999
 三菱自動車は24日、Jリーグ1部(J1)から2部への降格が決まった子会社のサッカーチーム「浦和レッドダイヤモンズ」について、新たに出資企業を募る方針を明らかにした。また、元三菱自動車副社長で浦和レッズの社長を務める中川繁氏に対し、1年での「J1」復帰を条件に、経営を続けて任せる方針も示した。

 浦和レッズの資本金は9000万円のうち三菱自動車が90%、残りを浦和市などの自治体が出資している。「経営は赤字ではない」(三菱幹部)が、出資企業を新たに募り、支援企業や地域との関係をさらに強化したい考え。また、出資はしなくても、ユニホームに企業名を出すスポンサーも求めていくという。降格した浦和に対して、地元やサポーターにこれまで通りの支援を求める狙いもある。

三菱自動車が新中期経営計画を発表

0:39p.m. JST December 25, 1999
 三菱自動車の河添克彦社長は24日、記者会見し、有利子負債の削減やコスト管理の強化などを柱とする新中期経営計画(2000―2003年度)を発表した。現在は1兆7000億円ある有利子負債を1兆円に削減するほか、業績主義の賃金制度なども導入する。

 軽自動車統括本部を設置、軽以外の乗用車との損益状況を明確に区分する。乗用車の国内生産の損益分岐点を102万台から86万台にすでに下げる予定だったが、さらに引き下げる。

ギャランなど日本4車種

1999年12月23日 15時42分【ニューヨーク共同】
 米国のドライバーが加盟する団体である米国自動車協会(AAA)は22日、毎年発行している「AAA新型乗用車・トラック購入ガイド」で、2000年のトップカー12車種を選定し、日本車では三菱自動車の「三菱ギャラン」など4車種が対象となった、と発表した。

 AAAによると、ギャランは価格帯が1万5000〜2万ドルの乗用車部門でトップ。

ボルボと三菱自動車が業務提携に調印

8:45p.m. JST December 13, 1999
 三菱自動車は13日、スウェーデンのボルボとトラック、バス事業で相互協力する業務提携に正式に調印したと発表した。両社は10月に資本提携を発表していたが、両社トップがオランダで会談し詳細について最終確認した。提携の柱は、中型トラックの共同開発や南米での生産・販売での協力など。

 また、三菱は、ボルボの乗用車会社とオランダで合弁生産している。ボルボ乗用車会社が米フォードに売却されたため、合弁の継続などについても現地で協議してきたが、継続する方向だ。

三菱自動車が軽自動車部門を社内分社へ

8:53p.m. JST November 25, 1999
 三菱自動車は25日、軽自動車部門を社内分社する考えを明らかにした。河添克彦社長が1999年9月中間決算の発表の席上、近くまとめる中期経営計画に関連して語った。スズキなど軽が主力のメーカーと比べて甘いとされる体質の強化をはかる。三菱は、スウェーデンのボルボ社と資本提携し、トラック・バス部門を2001年末までに分社して合弁会社を設立する予定にしており、軽自動車部門も、独立採算的な要素を強める。

 分社後は、開発・設計から販売までを専業とし、「社長」にあたる人物を置いて、大きな権限を与える考えだ。連結納税制度の導入具合などを見定めたうえ、持ち株会社制度のもとに完全分社することもありうる。

トラック分野にも再編の波 三菱自動車とボルボ資本提携

10:44p.m. JST October 08, 1999
 三菱自動車とスウェーデン・ボルボの資本提携の大きな狙いは、トラックなど商用車の部門を軸に、幅広い事業分野で相互補完体制を築くことにある。排ガス抑制技術など環境問題対応で、世界の自動車メーカーは、商用車の部門でも、数百億円規模の莫大な投資が迫られている。巨大メーカーにしても単独の取り組みが難しくなってきた。また、世界戦略の観点からも、他国のメーカーの生産設備や販売網を相互に利用できれば、コストを抑えることができる。自動車業界の世界的な再編の波が、トラック分野にも迫ってきた。

 トラックの排ガス規制は世界的に高まりつつある。日本でも、有害な一酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOX)の排出規制が強まっているが、欧米では2000年台の初めまでに、現行規制値の半分以下に抑えることが求められている。こうした規制をクリアするには、燃料の噴射や燃焼をコンピューターで精密に制御する技術を用いた新エンジンの開発などが必要だ。

 資金力が豊富なトヨタ自動車でさえ、傘下の日野自動車にグループのトラックの開発を集約し、効率的な開発体制を築いている。世界最大の米GMも、49%の株式をもついすゞ自動車をディーゼルエンジンとトラックの開発拠点とし、二重投資を避けている。トラックも世界的に販売競争が激化しており、グループを挙げてのコストダウンを迫られているからだ。

 こうした中、乗用車も含め出荷台数が約150万台で世界第11位と、下位グループに属する三菱は、増大する研究開発投資に1社では対応できなくなってきていた。三菱の環境対応コストは1998年度は420億円で、売上高に占める割合は約1.8%なのに対し、トヨタは970億円で1.3%と、三菱の方が比率は高い。

 両社は、工場などを相互に利用する地域補完体制の構築もめざす。三菱は、中国にエンジンの合弁工場をもつほか、台湾やベトナム、タイにも商用車などの生産工場を保有し、国内メーカーではトヨタに次いでアジア事業に強い。自動車ではトラック部門に経営資源を集中させているボルボは、この三菱のアジアの拠点を有効に活用し、世界シェアの向上をめざす。

 一方三菱は、経済が不安定でリスクが高いブラジルやインドなどの新興市場で、ボルボの既存の工場や販売網の活用を視野に入れている。両社は部品の共同購買にも取り組む考えだ。

ボルボ、三菱自動車との提携強化について近く発表へ=新聞

99年10月7日 19時7分[ストックホルム 7日 ロイター]
 三菱自動車の提携強化の意向を既に表明したスウェーデンの自動車メーカーのボルボは、この提携強化について近く発表する。 同国の日刊紙スベンスカ・ダグブラデットが伝えた。 同紙が取材源を明らかにしないで報じたところによると、ボルボは、三菱と共同でトラックを開発する戦略的ステップを取る用意がある。 ボルボは今年、米フォードに乗用車部門を売却し、またスウェーデンのトラック・バス・メーカーのスカニアの買収を進めている。

三菱がガソリン車では燃費世界一の「ピスタチオ」公開

5:15p.m. JST October 06, 1999
 三菱自動車は、ハイブリッド車を除き、ガソリンエンジンを使用した乗用車では燃費効率が世界一という小型車「ピスタチオ」(4人乗り)を初めて報道陣に公開した。

 地中海原産のナッツ「ピスタチオ」にあわせて、車体は薄緑色。殻の色やカラカラとした音の感じが環境向上のイメージに合うのでこの名前にしたという。車の骨格となるプラットホーム(車台)は同社の軽自動車「ミニカ」と同じで、小回りがきく感じだ。

 5速の手動変速機式で、停止してニュートラルにすると、0.7秒後にエンジンが自動的に止まり、発進時にクラッチを踏むと自動的に起動する仕組みで、「ASG」(オートマチック・ストップアンド・ゴー)と名付けている。

 ガソリン1リットルで30キロ走る。価格は100万円以内にする予定で、年内に発売する。

ガソリン1リットルで30キロ

1999年9月28日 18時10分共同通信社
 三菱自動車工業は28日、1リットルのガソリンで30キロ走行できる低燃費車を開発したと発表した。ガソリンエンジン単体搭載の乗用車としては世界最高の低燃費。「ピスタチオ」の車名で、100万円を切る低価格で年内にも市場に投入する。11月には、本田技研工業がハイブリッド車で、ガソリン1リットルで35キロ走行する乗用車を売り出す予定で、各社の低燃費車開発競争が本格化してきた。

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