TOPIC No.2-69-2 会社と組合


「エコ通勤」に認定制度 マイカー使わずCO2削減

2009/06/13 中国新聞ニュ−ス

 国土交通省は12日、通勤にマイカーをできるだけ使わないことで二酸化炭素(CO2)排出量を抑制する「エコ通勤」に積極的に取り組んでいる事業所や自治体を認定する制度を創設し、地方運輸局などで認定申請の受け付けを始めた。

 認定対象はエコ通勤推進のため(1)従業員の通勤実態を把握している(2)具体的な取り組みを実施している―など一定の基準を満たした事業所と自治体。「1週間に1日はマイカー通勤を禁止」「自転車通勤にも通勤手当を支給」「従業員用の駐車場を有料化」といった取り組みを想定している。

 認定を受けると「エコ通勤優良事業所」のロゴマークの使用が認められ、環境問題に積極的に取り組んでいることをアピールできる。認定の有効期間は2年間で、1年ごとに取り組み状況を認定制度事務局に報告する義務がある。

 すでにエコ通勤を実施している603事業所を対象に国交省が2008年度に行った調査では、エコ通勤導入で月間のCO2排出量を11・6%削減する効果があったという。国交省は認定した事業所などをインターネットで公開する予定で、「認定制度が企業イメージの向上につながり、エコ通勤が広まってほしい」としている。

トヨタ自動車、親の介護に最大500万円支給の制度新設へ

2008年05月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 トヨタ自動車は親を介護する従業員に対し、最大500万円を支給する制度を2009年度に始める方針を決めた。 介護が必要になった従業員に一時金を払う制度は広がっているが、親の介護に備えた制度は珍しいという。

 生命保険と傷害保険を組み合わせた社員向けの総合保険制度を拡充し、「両親介護プラン」を新設する。従業員が掛け金を上積みすれば、両親の介護が必要になった場合、プランに応じて100万〜500万円を受け取ることができる。

 掛け金は民間保険会社の介護関連商品より割安にする方針だ。配偶者の親も対象にするかどうかを検討中という。

 親の介護に伴い、介護用品の購入や自宅の改造などで多額の出費を強いられる事例が多い。勤務地によっては帰省の旅費も負担になる。新制度は、「親が倒れた精神的な負担だけでなく、家計の負担からも救済する」ことが目的という。

早期退職、県で増加 再出発、疲れ…定年前の決断

2008/04/10 日本海新聞 NeT Nihonkai

 鳥取県内の公立学校や自治体で近年、定年前の早期退職が目立つ。辞める理由はさまざまだが、仕事に限界や疲れを感じた退職者も多いようだ。団塊世代の大量退職を分散させるため、独自の早期退職優遇制度を設ける自治体もあり、応募者から「再出発する上でありがたい」などの声が聞かれる。

 千四百人規模の職員を抱える鳥取市。十年ほど前まで早期退職者は年間わずか数人だった。独自の勧奨退職制度はないが、それでも二〇〇五、〇六年度は三十人を超し、定年退職者数を上回った。

 ある早期退職者は「高齢化が進み、第二の人生を始めるのに六十歳では遅い時代になった」と話す。

 市は行財政改革の一環で、新規採用枠を退職者数の半数程度に抑えている。だが、業務は煩雑になり、さらに給与は下がる。その影響も一因なのか、定年の一、二年前に辞職する職員が多いという。

 職員課は「昔と違って最後まで勤める意識が薄れてきた。職員が疲弊している面もあるのでは」とみる。

 定年前に辞める教職員も年々増える。五年前は四十六人、昨年三月末は五十八人。今年三月末、四人の校長が「後進に道を譲る」などの理由で定年前に退職した。

 また、三月末に退職した県職員のうち早期退職者は半数以上を占めた。五年前を倍近く上回り、管理職の早期退職は十一人に上る。

 各自治体は国の制度と同様、五十歳以上の早期退職者を対象に退職金の割増制度を設けている。県と県教委は四十五歳以上が早期退職を七月末までに申し入れた場合、退職金の支給率が優遇される独自の制度を設けた。米子市と境港市にも独自の制度がある。

 辞めた五十代の男性は、仕事以外の時間を大切にしたかった。「制度があるから辞める人はいないが、きっかけの一つにはなるだろう」としている。

 一方、早期退職制度の対象外である若年層の退職も少なくない。「仕事に慣れなかったり、悩みを一人で抱える若者が増えた」と県東部の小学校長。

 ただ、教育現場からは負担の実態を指摘する声が上がる。ある三十代の小学校教諭は「教える内容や研修が増え、保護者からの相談も増え、毎日が忙しい。自分の時間がありません」と訴える。

過労で職員自殺=水資源機構を書類送検−岐阜・大垣労基署

2008/02/19 時事ドットコム

 独立行政法人水資源機構による徳山ダム(岐阜県揖斐川町)建設に当たり、地権者との用地交渉を担当した同機構の男性職員=当時(28)=が昨年2月、自殺していたことが19日、分かった。

 自殺は過労が原因だったとして、大垣労働基準監督署(同県大垣市)は同日、労働基準法違反容疑で、同機構と徳山ダム建設所長(52)を岐阜地検大垣支部に書類送検した。

 調べでは、所長は2006年9月、同機構の業務に関し、男性に時間外労働協定の特別条項で定めた上限を約30時間超える約140時間の残業をさせた疑い。

初任給10年ぶりの伸び 大卒事務系、20万5千円

2007年09月03日 中国新聞ニュース

 日本経団連は3日、2007年4月入社の新卒初任給が大卒事務系の平均で前年比0・66%増の20万5074円だったと発表した。金額は前年よりも1354円上昇。増加率、上昇額とも1997年以来、10年ぶりの伸びとなった。

 中卒から大学院(修士)修了までの事務系、技術系など全職種で伸び率(0・52−1・11%)は前年を大幅に上回った。経団連は、景気回復による雇用情勢の改善や団塊世代の大量退職を背景に「人材確保のため初任給を引き上げる企業が増加している」とみている。

 事務系では短大卒が0・61%増の17万2577円、高卒は0・60%増の16万1273円。技術系では大卒が0・58%増の20万6579円、高専卒が0・67%増の18万1853円だった。

 ただ、東京証券取引所1部上場企業の08年3月期の経常利益総額が、過去最高益を更新する見通しとなり、大手企業を中心に業績向上が続いているにもかかわらず、初任給の増加率は依然、低水準。

過労自殺、過去最多の66人 06年度、厚労省まとめ

2007/05/16 中国新聞ニュース

 過労が原因でうつ病などの精神障害になって自殺した(未遂を含む)として二○○六年度に労災認定された人が、前年度比約六割増の六十六人と過去最多だったことが十六日、厚生労働省のまとめで分かった。過労自殺を含む精神障害の認定者数も大幅に増加。年代別では働き盛りの三十代が40%を占め突出して多かった。

 過労によって脳出血、心筋梗塞(こうそく)などの脳・心臓疾患になり、労災認定された人も三百五十五人で過去最多。うち死亡に至った過労死は百四十七人だった。

 リストラなどで個々の仕事や精神面での負担が重くなっていることが背景にあるとみられる。厚労省は「労働環境が厳しい。ノルマ達成を求められるなど過大な仕事量があり、職場のサポートも十分でなく過労自殺につながるケースが多い」としている。

 集計によると、精神障害の労災申請は八百十九人で前年度比25%増。認定は二百五人で前年度より61%増えた。いずれも過去最多。うち未遂を含む自殺の認定は前年度の四十二人から六十六人に増えた。

 精神障害での認定者の職種は専門技術職が29%で最多。男女別では女性が31%に上った。年代別で三十代の40%に次いで多かったのは二十代の19%、四十代の18%。自殺に限ると五十代が32%で、三十代が29%だった。

 脳・心臓疾患の申請は九百三十八人、認定件数は三百五十五人と、いずれも8%増で過去最多。認定者の職種別では運輸・通信従事が25%で最も多く、厚労省は「労働時間が最も長い職種であることが影響しているのではないか」とみている。

 男性が94%を占め、年代別では五十代40%、四十代29%の順だった。

 認定された人の直前数カ月の平均残業時間は八十―百時間が最多で百十六人。百六十時間以上も二十六人いた。過労死は百四十七人で前年度より十人減った。

日本生命 14年ぶり初任給上げ

2007/03/31 FujiSankei Business i.

 生命保険最大手の日本生命保険が、4月入社の初任給を大幅に引き上げることが30日、分かった。大卒総合職の場合、3万円アップして20万5000円にする。引き上げは1993年以来、14年ぶり。同社は4月に総合職約240人、一般職約450人が入社予定だが、景気回復によって大手企業が新卒採用を拡大させる中で、来年以降も優秀な人材を確保するためには引き上げが不可欠と判断した。日生が引き上げに踏み切ったことで、生保だけでなく、銀行などにも影響を与えそうだ。

 総合職のほか、一般職でも大卒で2万2500円増の18万5000円、短大卒で2万5000円増の17万5000円、高卒で2万9000円増の16万円にそれぞれ引き上げる。大手証券や東証1部上場企業に比べて見劣っていた水準を是正する。

 生保業界はここ数年の景気回復や運用環境好転に伴って業績は回復基調。大手では契約者への利益還元を先行しており、日生も2005年度に総額約50億円の増配を実施したほか、06年度も継続する方針。契約者還元が進んだこともあって、今月中旬に初任給引き上げを決めた。

 金融・保険業では、三井住友銀行が4月入行の大卒総合職の初任給を3万1000円増の20万5000円に引き上げるほか、第一生命保険も8000円増の20万円とする。

トヨタ、初任給2年連続上げ=大卒20万2000円に

2007/03/28 時事通信社

 トヨタ自動車は28日、4月入社する新入社員の初任給を、大卒で20万2000円に引き上げることを明らかにした。前年比1000円増で、引き上げは2年連続。2006年の引き上げ幅も1000円で、いずれも組合員の賃金改善と同額だった。

九電工、12年ぶり初任給引き上げ…大卒19万8000円に

2007/03/28 Yomiuri-OnLine 読売新聞

 九電工は27日、今年4月に入社する社員の初任給を大学卒で月額3000円引き上げるとともに、組合員平均(40歳)で1000円の賃上げを行うと発表した。初任給の引き上げは1995年以来12年ぶりだ。

 高校卒の初任給も3300円上積みする。改定後の初任給は大学卒が19万8000円、高校卒が15万7500円となる。九電工は「給与を底上げし、優秀な人材を確保しやすくするため」と話している。

 地場企業では、イオン九州が今年4月から初任給を引き上げるほか、西部ガスも来年4月に13年ぶりに引き上げる。九州電力も現在、交渉を続けており、企業の採用の活発化を背景に、従業員の待遇改善の動きが加速している。

好調大手、初任給アップ 人材確保が狙い

2007/03/27 The Sankei Shimbun WEB-site

 今年4月入社の初任給を引き上げる大手企業が相次いでいる。景気の拡大に伴う人手不足感の強まりを背景に、初任給を引き上げることで来年4月以降に入社する優秀な人材を確保する狙いだ。なかには三井住友銀行のように、一気に3万円以上引き上げる例もある。大手企業が採用拡大の動きを強めていることで学生側が有利な「売り手市場」の傾向が強まっており、初任給引き上げもその反映といえる。

 ≪3万円増≫

 銀行界では三井住友銀が大卒総合職の初任給引き上げに踏み切り、メガバンク横並びの構図が崩れた。引き上げは平成5年以来、実に14年ぶり。引き上げ額も17万4000円から20万5000円へと大幅だ。

 バブル崩壊による不良債権問題に苦しんできた銀行業界にとって、経営健全化が最優先の課題。このため「初任給を上げる余裕はなかった」(大手行幹部)が、昨年はメガバンクがそろって公的資金を完済、大手6グループは過去最高益を更新。従業員の待遇改善に着手するムードが銀行界に広がってきた。

 一方、大和証券グループも2万円以上の引き上げを決めた。昨年は野村証券が同額に引き上げており、初任給での格差をなくす決断をした。

 ≪横並び崩壊≫

 新たに横並びが崩壊した業界もある。鉄鋼業界だ。好業績が続く大手4社のうち、JFEスチールと住友金属工業は今回から大卒の初任給を2000円上げて月額20万2000円とする。引き上げはJFEが7年ぶり、住友金属は5年ぶり。

 一方、新日鉄と神戸製鋼所は「初任給ではなく会社のトータルの魅力で勝負する」(新日鉄首脳)、「人材確保の施策は初任給引き上げに限らない」(神戸製鋼所)として据え置きを決めた。

 売り手市場のなかで、鉄鋼業界は「仕事がきついイメージが強く、採用に苦戦している」(大手)という。電機など他業界で初任給引き上げが相次ぐなかで、最大手の新日鉄は企業ブランドなど総合力で人材を呼び込めるとの自信がにじむが、JFEや住友金属には初任給引き上げが必要との思いが強い。

 ≪業界間競争≫

 日立製作所、松下電器産業などの電機大手は、今春闘で大卒初任給を1500円引き上げ、20万3500円とすることで労使が合意した。初任給の引き上げは2年連続。

 キヤノンも大卒初任給を4年ぶりに1万円引き上げる。昨春に採用で競合する電機や自動車などの業界が引き上げており、精密最大手にも波及した格好だ。高卒も6年ぶりに5000円引き上げて16万1900円。20年度は高卒などの技能職を2倍近く採用する計画で、採用増に初任給アップを連動させた。

 大手企業は、電機大手のほか、トヨタ自動車が18年4月に初任給を2000円引き上げ、20万1000円とした。イオンは昨年に続き、今年も1000円引き上げで決着、JR東日本や東京電力なども引き上げを検討している。好調な企業業績を背景に、中核事業の強化や団塊世代の大量退職に対応する動きは強まっており、初任給引き上げの動きはさらに広がる可能性がある。

4割以上が採用拡大 主要企業の08年春計画

2007年03月25日 中国新聞ニュース

 共同通信社は24日、主要企業109社を対象にした2008年春の新卒採用計画のアンケート結果をまとめた。07年春よりも採用を増やす企業は50社と約46%を占めた。07年春と同水準と回答した企業も42社あり、全体の約84%が前年並み以上の採用を計画している。

 厳しい競争を続ける電機、自動車など製造業では、技術系の採用に意欲的な会社が多く、先端分野の人材確保を重視する姿勢が一段と鮮明になった。業績好調に加え、退職する団塊世代の補充を迫られていることも採用規模が膨らむ要因であり、学生優位の就職戦線になりそうだ。

 各企業は採用拡大について「団塊世代の後継者を育てるため」(機械)、「将来に備えた優秀な若手層の確保」(電機)、「国際的な事業拡大への対応」(自動車)などと説明している。

外国人を期限付き社員に 経団連、人手不足対策で

2007年03月19日 中国新聞ニュース

 日本経団連は19日、国内で人手が集まりにくい分野の専門技能を持った外国人労働者を、企業が期限付き社員として採用できるようにすべきだとの提言を発表した。

 現行制度では、外国人が機械組み立て、板金、溶接、造船などの技能を身に付けていても、日本国内で働く資格を得ることができない。経団連は、在留資格の対象となる技能の範囲を拡大し、国内企業の人手不足解消につなげるよう促した。

 提言は、技能職として国内に受け入れる外国人は、経済連携協定(EPA)などを締結した国の出身者に限るべきだと指摘。日本人労働者が集まらない職種に限って(1)日本語の能力(2)専門技能の実力−などの基準を満たした外国人を、企業が採用する方式を提案した。在留期間は「1年または3年」とし、この間の期限付き社員とする。

「甘えるな」と暴言で謝罪 労基署課長が腰痛女性に

2007年02月14日 中国新聞ニュース

 成田労働基準監督署の課長が、腰痛で労災認定され休業補償を受けていた日本航空勤務の四十代の女性に「こんなに(補償を)もらって甘えるな」「みんな我慢しながら働いている」と暴言を吐き、後で謝罪していたことが十四日、分かった。

 この女性が所属する労組「日本航空キャビンクルーユニオン」などが同日、記者会見して明らかにした。

 客室乗務員の女性は、四年前に重い腰痛になって労災認定された。昨年二月、労基署の課長から聴取を受けた際に「完全に痛みが取れるまで休もうと思ったら大間違いだ」と言われたという。

 さらに女性の主治医が治療を続ける必要があると診断していたのに、課長は「これ以上よくならない」と判断して補償を打ち切った。通常は別の医師の判断を聞いた上で打ち切るが、その手続きも踏んでいなかった。

 女性側がその後、成田労基署を管轄する千葉労働局に抗議。昨年十月に労働局が「不適切な発言があったことを認めます」と口頭で謝罪した。

 同労組は「労働者を守るべき立場の人が労働者を痛めつけるのは残念」と話している。

 千葉労働局は「丁寧な対応をするよう、あらゆる機会をとらえて職員に指導していく」とし、補償の打ち切りについては「プロセスを欠いていたのは事実だが、判断そのものは適切」と説明している。

80時間超に残業割増率50% 中小企業は3年間猶予

2007年02月06日 中国新聞ニュース

 政府は6日、長時間労働を抑制するため、現行は25%以上となっている残業代の割増率を引き上げる労働基準法改正案を今国会に提出する方針を決めた。安倍晋三首相は同日夜、「働き過ぎという流れを変えなければならない」と法案提出の理由を報道陣に語った。

 残業時間が月45時間を超えた分は割増率を時間換算の基本給の25%超とするよう努めるとし、80時間を超えた場合は超過分を50%とすることを企業に義務付ける。企業経営への影響を考慮し、中小企業には3年間適用を猶予し3年後に再検討することも決めた。

 ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間の規制除外制度)導入の見送りも正式に決定。柳沢伯夫厚生労働相は同日、労働政策審議会分科会で再度検討し直す方針を明らかにし、秋の臨時国会への法案提出は「難しいと思う」と述べた。

非正規雇用が100万人増 格差拡大裏付け

2007年01月31日 中国新聞ニュース

 総務省が31日発表した2005年国勢調査の労働力集計によると、1年超の雇用契約を結んでいる正規雇用者は2000年に比べ142万5000人減り、パートやアルバイトなど契約期間が1年以内の非正規雇用者は逆に99万5000人増えた。

 企業が人件費削減を目的に正規雇用を抑えたためとみられ、賃金が安く格差の要因となっている非正規雇用の拡大を裏付けた形だ。

 調査結果によると、正規雇用者の総数は4061万7000人で、2000年の前回調査に比べ3・4%の減少。非正規雇用者は771万6000人で14・8%増えた。

 雇用者全体に占める非正規の割合も1・8ポイント増えて12・5%となり、都道府県別では沖縄が16・6%、北海道が15・4%と高かった。最低は福井の10・3%だった。

あなたの会社は大丈夫? 日本版SOX法、20年度から

2007/01/27 IZA
 

 カネボウやライブドアによる粉飾決算事件など相次ぐ会計不正の再発防止のため、財務報告に関する内部管理体制の点検を厳格化する「内部統制報告制度」(日本版SOX法)が、平成20年度から全上場企業に義務付けられる。スタートまで1年余りに迫る中で上場企業は準備を急ぐ必要があるが、なじみのない作業だけに戸惑う企業も多い。指南役の専門家不足もあり、新制度に対応できないまま本番を迎える企業が続出する懸念も指摘されている。(本田誠)

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 ■指南役不足/準備に2年

 「20年度という制度実施から逆算すると、準備作業を急ピッチで進めなければ間に合わない」。日本版SOX法関連のコンサルティングを手がけるアビームコンサルティング(東京都千代田区)の永井孝一郎プリンシパルはこう強調する。

 新制度が導入されるまでに、企業は業務や管理の仕組みを記載した文書を大量に作成するため、準備作業の期間は1年半から2年は必要という。しかし、現時点でも「ほとんど白紙」(ローソン)、「文書の作成はこれから」(キリンビール)などとする大手企業も少なくない。これに上場中堅企業やベンチャーなどを含めると、「取り組みが緒についたばかりの企業が大半」(アビームの永井氏)というのが現状だ。

 一方、日本に先駆けて内部統制報告制度を導入した米国に上場するトヨタ自動車や日立製作所などの日本企業はすでに準備作業を終えている。キヤノンは15年12月に社内委員会を立ち上げて準備作業を始め、17年6月から18年1月まで本番を想定した予行演習を実施した。準備にかかった費用は20億円に上る。

 米国市場に上場していない日本の企業でも、ファミリーマートや新日鉄などは準備が進んでいる。ただ、こうした先行組の中には「あまり役に立たない文書の作成に邁進(まいしん)している企業も多い。一から文書を作り直している企業さえある」(コンサルティング会社、ベリングポイントの山本浩二ディレクター)という。

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 ■システム特需2607億円

 こうした企業の迷走ぶりの背景には、新制度の内容がイメージしにくいことに加え、公認会計士など専門家が不足している事情がある。ベリングポイントの山本氏は「(専門家の)需要と供給のギャップは大きい」と指摘する。

 このため、監査法人やコンサルティング会社などが企業の実務担当者養成に向けて開催するセミナーが人気を集めている。アビームは昨年8月以降、都内で3日間のセミナーを7回開催。受講料は1回あたり45万円と高額だが、毎回30〜40人が参加しており、今後も毎月開催する予定だ。

 コンサルティング会社や、日本版SOX法に対応した業務管理システムを手がけるIT(情報技術)企業にとって、新制度導入は特需だ。民間調査会社IDCジャパンでは、SOX法関連のIT需要が20年には2607億円に達すると予測する。

 新制度の円滑な実施を妨げかねない懸念材料とされているのが、専門化不足に加え、経営者の消極姿勢だ。野村総合研究所の三宅将之ERMプロジェクト室長は「経営者が現場任せで積極的に関与しないと、全社を巻き込んだ対応ができない」と警告する。ベリングポイントの山本氏も「新興企業では新制度に理解のない経営者が多い。このままでは総崩れする恐れもある」と危惧(きぐ)する。

 新制度の実施で混乱が生じれば市場の信頼低下につながりかねない。投資家の信頼確保に向け、経営者自身のリーダーシップが問われそうだ。

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【内部統制報告制度】

 米エネルギー大手エンロンの不正会計事件などを契機に、2002年に成立した米企業改革法(SOX法)を参考にしており、「日本版SOX法」とも呼ばれる。

 全上場企業に対し、平成20年度から財務報告に関する内部管理体制を自ら点検し、監査法人のお墨付きを得たうえで結果を投資家に公表するよう義務付けた。昨年6月に成立した金融商品取引法で法制化された。

1月「手取り」増えても“ぬか喜び” 6月から重税感ずっしり

2007/01/20 The Sankei Shimbun WEB-site

 「今年は定率減税の全廃で増税じゃなかったの?」1月の給与明細を見て不思議に思う人がいるかもしれない。それもそのはず、1月は多くのサラリーマン世帯で所得税(国税)が減っているはずだ。ところが、6月になると住民税(地方税)が、それ以上に増えて結局、トータルでの負担は重くなる。こうした“ぬか喜び”を生むのは、定率減税の全廃に、国から地方への税源移譲が加わったことが原因だ。

 自分がどの程度の影響を受けるのか、正確には市区町村の担当部署への確認が必要だが、多くの世帯では所得税額の減額幅を住民税額の増額幅が上回ることになる。

 財務省や総務省では「負担が軽くなるよりも重くなった方が印象に残りやすい。所得税は減っていることも忘れないでほしい」として、ポスターやチラシなどで、PRしていくが、実際の納税額は増えており、重税感払拭(ふっしょく)は難しそうだ。

労働時間の規制撤廃、法制化へ 成果賃金に対応

2006/11/23 The Sankei Shimbun

 厚生労働省が次期通常国会で法制化を目指す、労働時間の規制を受けない働き方(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)の素案が23日明らかになった。対象を一定以上の年収、業務、権限・責任をもつホワイトカラーに限定したうえで、制度導入が長時間労働を助長しないよう、週2日以上の休日確保や健康対策の実施などを条件にする。同制度は、多様な労働形態に対応した法制度の実現を求める経済界が、早期導入を強く求めていた。

 企画・立案などに携わる事務職が対象となる労働制度には、勤務実態にかかわらず一定時間働いたとみなす「みなし労働時間制」(裁量労働制)があるが、労働基準法が定める1日8時間・週40時間の労働時間規制をはずし、賃金の算出根拠から時間の概念をなくす制度は初めて。

 素案は、労働時間にとらわれない働き方を「自由度の高い働き方」とし、適用対象を(1)労働時間では成果を適切に評価できない業務(2)権限と責任を相当程度伴う地位(3)仕事の進め方や時間配分に関して上司から指示されない(4)年収が相当程度高い−の4要件を満たす労働者と規定している。

 さらに、過労防止のため「休日の確保」と「健康・福祉確保措置の実施」を明記。労基法による法定休日が週1日なのに対して、この制度の対象者は「1年間を通じて週休2日分の日数(104日)以上の休日を確実に確保できるようにする」と盛り込んだ。

 労働安全衛生法が残業月100時間以上の労働者に義務付けている「本人の申し出による医師の面接指導の義務」も、同80時間程度で義務付ける。

 厚労省は、こうした方針を盛り込んだ最終報告書案を12月上旬に開く労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の労働条件分科会に提示。労使の意見を踏まえ、次期通常国会に労基法などの関連法改正案を提出する方針だ。

 ただ、労組側は「残業代を払わなくてもいい制度」(連合)などと反対、既存の裁量労働制の適用拡大などで対応すべきとしている。

 一方、人件費の抑制という狙いもあるとみられる経済界は、対象者の決め方について「基本は労使自治にすべきだ」と主張して、法律による要件の厳格化を警戒。年収水準の適用要件についても「400万円以上」(日本経団連)などと訴え、対象範囲を広くすることを求めている。

 労使の考えには隔たりが大きく、今後の調整は難航が予想される。

     ◇

 ≪視点 人件費抑制懸念も≫

 厚生労働省がまとめた、労働時間の規制を受けない働き方の素案は、おおむね日本経団連など経済界の要請に沿った内容となった。「製造業の現場とは違い、ホワイトカラー(事務職)の仕事は時間では成果が計れない」との主張に一定の理解を示した格好だ。ただ、運用次第では人件費抑制の方便になりうるだけに、その導入に当たっては慎重な対応が必要となる。

 厚労省によると、産業構造の転換により、昭和45年に全雇用者の43・7%だったホワイトカラーは、平成16年には55・2%に達した。事務職の仕事は必ずしも時間では計れず、短時間で仕事を終えられる有能な人にとって不利な側面も否定できない。経済界が主張する通りだ。

 しかし、30歳代の男性の4人に1人が週60時間以上の長時間労働に追われる現状では、「残業代を払わないことを合法化する制度」という連合の懸念はもっともだ。

 日本経団連が適用対象者の年収を400万円以上にすべきだと主張していることも、疑念に拍車をかける。国税庁の民間給与実態統計調査の平均給与(17年度437万円)などを念頭に置いたものだが、これは税、社会保険料などの控除前の収入だけに、手取り水準で考えればあまりに低い印象は免れない。

 時間では計れない「成果」の達成度合いを判断する基準についても、労使協議の上で企業側が決めることになるため、制度運用上の不透明感がつきまとい、「人件費削減が狙いではないか…」と勘ぐりたくもなる。

 景気回復を確かなものにするため個人消費の拡大が期待されるなか、賃金カットを連想させる制度導入は経済全体への悪影響が避けられない。「まずスケジュールありき」ではなく、議論を尽くす必要がある。(福島徳)

派遣社員、正社員数の12% 規制緩和で8年前から倍増

2006/10/16 中国新聞ニュース

 企業内での正社員数に対する派遣労働者数の割合は12・4%で、八年前の二倍になっていることが厚生労働省の「就労条件総合調査」で十六日、分かった。産業別では飲食店・宿泊業で59・1%、医療・福祉20・6%。情報通信業16・0%などの順。規制緩和を受け、企業が人件費圧縮のために受け入れを拡大している実態を裏付けた。

 調査は全国の五千三百四十一社を対象に行い、四千四百十六社から回答があった。派遣労働者については、昨年一年間の受け入れ実態を聞いた。

 正社員数に対する割合は12・4%で、一九九八年の同じ調査では5・8%だった。小規模の企業ほど、派遣社員の比率が高い傾向がみられた。

 受け入れている企業数の割合は36・7%で、九八年の20・3%を16・4ポイント上回った。企業規模別にみると、従業員千人以上で64・4%、同三百−九百九十九人で65・4%が受け入れていた。

 業種別では金融・保険業の71・5%が最も高く、不動産業の55・3%が続いた。

 労働者派遣をめぐっては、二十六の専門的な業種に限定していたのを一九九九年に原則自由化し、二○○四年には製造業への派遣も解禁された。

「コーチング」企業に定着 社内で資格取得増

2006/10/15 FujiSankei Business i.

 ■重役“再生”の場に

 仕事の目標を達成するために何が必要で、どう行動すればいいかを指南する「コーチング」と呼ばれる手法を導入する企業が増えている。プロのスポーツ選手が指導を受けるためにコーチを付けることは多いが、ビジネスの現場でも広がりつつある。

 このコーチングを職業とする専門家を会員とする日本コーチ協会が14日、コーチング業界の最新情報が把握できるイベント「コーチング2006」を東京・丸の内の東京国際フォーラムで開いた。

 同協会の会員数は2002年の時点で121人だったが、今年9月末には459人と急増。8回目となる今回のイベントは、参加者が約400人に膨れあがった。

 会場では、コーチング業界の第一人者であるデービッド・ゴールドスミス氏と来場者によるマンツーマンのデモンストレーションも行われた。

 例えば営業の現場で、「1カ月で1000万円の受注を取る」という営業目標を設定した場合、コーチングは、まず達成のために必要な項目を洗い出すことから始まる。その上で、各社員のスキル習得など具体的な行動プランを立て、実行に移し、ゴールに向けて行動するまでを、自発的に行うよう促していく。

 従来の画一的な部下育成やマネジメント手法に代わる新たな手法として、企業経営やビジネス現場、医療分野などさまざまな場面で脚光を浴びている。

 コーチングを外部に委託するのではなく、社内にコーチ役を置く企業も増えてきた。コーチ育成を行うコーチ・トゥエンティワン(東京都千代田区)では、最短4カ月で生涯学習開発財団認定「社内コーチ」資格を取得できる「社内コーチ育成プログラム」を9月から開始した。

 白井久美子広報室長は「社内にコーチを持とうという流れは、ここ1年で顕著になってきた。月に1度開催している説明会は、定員50人だが常に満席」と手応えに胸を高鳴らせる。

 企業の重役でもコーチングを受ける人が目立ち始めた。野村総合研究所が、経営者に絞ったサービスを、今年4月に始めたところ、これまでの契約が15社30人に達し、目標の2倍以上のペースで好発進を切った。

 事業責任者の永井恒男さんは、「経営を知り尽くしたスタッフだからこそ、やる気を起こすだけの単なるコーチングに終わらず、経営上の諸問題も含めた総合的な助言ができる」と話す。当初は「5年間で累計100人」を掲げていたが、「2〜3年以内で達成できそうな勢い」と驚きを隠さない。

 好調さの背景を永井さんは、「孤独な経営者が増えたからではないか」とみる。

 「バブル崩壊後、会社の雰囲気は殺伐とし、再建請負で会社を渡り歩くような経営者も増えた。リストラなどの判断を迫られても腹を割って話せる相手はいない。昔はいわゆる“銀座のクラブのママ”あたりがほっと一息つける代わりの役回りだったのかもしれないが、そんな人間関係そのものも希薄になっている」

 コーチングを受けることで、日々の忙しさで忘れかけていた“本来やるべきことの明確な姿”に気づくそうだ。

 ジャスダック上場のシステム開発会社、日本プロセスの2代目オーナー社長の大部仁さんもその1人。「リーダーシップのあり方を模索していたが、役割を演じようとしないで、自分の価値観をまず伝えることが大切だと気づいた。以前は武将や名経営者の自伝などに学ぶしかなかった」と感想を語る。

 永井さんによると、「社長にまで昇りつめた人なら能力はそもそも高いはず。大事なのは“志”や“成長意欲”といった本人の意識。この部分をコーチングで高めれば、やる気もおのずとわいてくる」らしい。

 「若いころの情熱がよみがえってきた」と話す経営者も少なくないという。(中山忠夫、那須慎一)

                ◇

【用語解説】コーチング 

 目標達成のため、どんな知識やテクニックが必要かを見つけ出し、それを相手に備えさせる手法。「コーチ(Coach)」は、「馬車」という意味で、「その人が望むところまで送り届ける」という意味から派生した。スポーツの分野では選手には必ずといっていいほどコーチが付くが、米国では企業経営者や事業部門長にコーチがつくことは常識。日産自動車のカルロス・ゴーン会長もコーチングを導入して同社を立て直した。

社員旅行が復活…今は「会食形式で親睦」

2006/10/07 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 ■スタイル様変わり

 かつての高度経済成長時代に盛んだった社員旅行が復活している。欧米型の個人成果主義が浸透する一方、社員同士の交流が希薄になったといわれるなか、日本的な連帯感が見直されているようだ。とはいえ、温泉に入って浴衣に着替えたら大広間の宴会で上司に酌をし、説教を聞く…なんて風景は影を潜め、会食形式で親睦(しんぼく)を図ったり自由時間を楽しんだりと、スタイルは様変わりしている。(頼永博朗)

 ■海外で士気高揚

 「社員旅行なら、海外。言葉の問題もあり、自由時間が多くても自然と集まって行動するようになる。社員同士のコミュニケーションもそこで生まれる」。宝石の職域訪問販売会社「プリパ」(東京)の吉田裕太社長は、こう話す。

 同社は9月、平成16年の創業以来2回目となる社員旅行を開催し、社員ら約30人でサイパンを訪れた。4泊5日の行程中、幹部は丸1日、会議があったが、幹部以外の社員はほぼ毎日が自由時間。全員が強制的に集まるのは、滞在ホテルでとる最後の夕食ぐらいだ。

 社員の士気高揚も旅行の目的で、「会社の売り上げ目標を達成したご褒美も兼ねている。『一丸となって仕事を頑張れば、また行ける』と社員のやる気につながる」。

 若い社員の自発性を促す効果もあるという。吉田社長は「現地での集金や連絡は若手に任せている。すると、彼らは他人のために働こうと自分で考えて行動するようになる。これは仕事の上でも必要な能力」と話す。

 ■仕事の悩み相談

 介護保険施設「シャローム若葉」(千葉)は、介護保険制度が始まった12年度以降、従業員がそれまでの9人から約200人に急増したため、年に1回開催していた社員旅行を6回に分け、交代で参加させるようにしている。

 コースや日程は、地元ホテルで夕食をとりながら花火大会を日帰りで鑑賞したり、貸し切りバスで関東地方の温泉へ行ったりとさまざま。仕事や家庭の都合に合わせて選べる。費用は、1人当たり月1000円の積立金と、経営母体から補助される1人当たり年8000円をあてている。

 施設長の砂長谷(すなはせ)和子さんは「在宅ケアのヘルパーは日ごろ、単独で仕事をしているため、泊まりがけの旅行では、夜の宴会が仕事の悩みを相談する機会にもなっているようです。ふだん話す機会の少ない同僚とうち解けてもらうことで、高齢者の生活の質を向上させるという目的に向かい、結束力も強まります」と話す。

 ■幹事指南本復刊

 近畿日本ツーリストは9月、社員旅行のノウハウをまとめた幹事向けの「職場旅行 虎の巻」を約15年ぶりに復刊させ、支店窓口で配布し始めた。旅行を成功させる幹事の心得10カ条を指南するとともに、豊富なカラー写真で国内外のお勧め旅行先を紹介。浴衣姿や宴会のイラストを排し、「無理酒」「下ネタ」「記憶喪失」と当世風のご法度も列挙している。

 同社によると、首都圏1都3県の社員旅行の売り上げは対前年比3割の伸びをみせている。首都圏営業本部カンパニー販売部団体販売課長の熊木将人さんは「景気回復の影響が大きい」と前置きしたうえで、「成果主義を重んじる半面、社内の人間関係がバラバラになるという危機感が企業にあり、改めて一体感をつくろうとしているのではないか」と話す。そして、「温泉で宴会という昔ながらのスタイルに新鮮味を感じる若手社員が少なくないようだ」とも。

 職場旅行を復活させたり、新しく始めたりする企業では、先輩社員から引き継ぐべきノウハウがなく、若い幹事さんが苦労するケースも珍しくないという。このため、大手旅行各社ではホームページや窓口で、部屋割りなどの幹事業務を手助けする態勢を整えている。

サービス残業233億円 最多の1524社

2006年10月02日 西日本新聞

 サービス残業に対する全国の労働基準監督署の是正指導を受け、2005年度に100万円以上の不払い残業代を支払った企業は過去最多の1524社で、総額は約233億円と前年度より7億円増えたことが2日、厚生労働省のまとめで分かった。

 集計を始めた03年度は約239億円、04年度が約226億円で、厚労省は「依然、高水準のまま推移している」としている。

 サービス残業は長時間労働を招き、過労死の温床になりかねないと指摘されており、同省は勤労感謝の日(11月23日)に無料電話相談を実施するなど、是正の取り組みを強める。

 厚労省によると、不払い残業代の支払いを受けた労働者数は約16万8000人で、1人当たりの平均支払額は14万円。1社当たり平均支払額は1529万円だった。

 業種別にみると、支払総額では製造業の約67億円が最も多く、企業数では商業の465社が最多だった。

 一企業での最高支払額は約23億円(製造業)で、対象の労働者は1万1100人に上った。次いで金融業で約21億円のケースがあった。

 厚労省は、指導を受けても支払わないなど悪質な事例は労働基準法違反で書類送検する方針で、昨年は全国で51社が書類送検された。

 同省監督課は「サービス残業への一般の認識が高まり、投書などによる情報提供が増えている」と話している。電話相談はフリーダイヤル(0120)793283。

丸紅、転勤同行は復職OK 海外限定で3年間

2006/06/27 The Sankei Shimbun

 丸紅は26日、社員が夫か妻の海外転勤に同行する場合、休職扱いにし、3年間は復職を認める制度を7月1日に導入すると発表した。

 マツダが平成15年10月に同様の制度を導入しており、企業が仕事と家庭の両立を図る社員を支援する動きが広がりそうだ。

 丸紅は育児・介護休業も拡充し、従来認めていなかった「配偶者が子を養育できる場合」でも、生後2年まで社員が育児休業を取得できるようにする。育児・介護休業取得者の上司には毎月、取得者に対する担当業務の現状連絡を義務付け、復職を支援する。

過労で労災認定、過去最高の330人 厚労省まとめ

2006/05/31 The Sankei Shimbun

 過労で脳出血や心筋梗塞(こうそく)など脳・心臓疾患になったとして労災認定された人が、平成17年度は、過去最高の330人にのぼったことが31日、厚生労働省のまとめで分かった。このうち死亡に至った「過労死」は157人。また、仕事のストレスによる精神的障害で労災認定された人が127人おり、このうちいわゆる「過労自殺」(未遂含む)が42人認定された。

 集計では、脳・心臓疾患の労災申請は869人で、このうち死亡が336人あった。いずれも過去最高だった。

 労災と認定された330人の業種別内訳は運輸業26%、製造業18%、卸・小売業17%など。年齢別では50代43%(前年度41%)、40代29%(同27%)で、いわゆる働き盛りの人が倒れるケースが増えていた。

 また、精神的障害では申請件数が毎年100人ペースで増えており、17年度は656人(前年度524人)の請求があり、このうち自殺(未遂含む)に至った過労自殺が147人(同121人)で、ともに過去最高だった。一方で労災と認定した人数は、前年度より3人減った。

 認定された127人の年齢内訳は、20代以下が29%(前年度20%)、30代が31%(同41%)で、若い世代が全体の6割を占めた。業種別では製造業、卸売・小売業が多く、業種別では専門技術職(31%)、技能職(16%)の順に多かった。

 厚労省職業病認定対策室は「自殺に至らないまでも精神的障害を負った人が積極的に労災請求するようになってきており、審査が滞り気味になってきている」と話している。

東京−神戸 神鋼、航空機出張OK 新幹線より割安感

2006/02/01 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

≪神戸空港開港にらみ≫

 神戸製鋼所は31日、16日の神戸空港開港にあわせ、社員の東京出張に航空機利用を認める社内運用規定の変更を行ったことを明らかにした。現行規定では東京出張は新幹線利用に限られたが、本社から新空港への利便性が高く、新幹線に比べて、出張費用削減にもつながるためだ。水越浩士会長が神戸商工会議所会頭を務めており、空港設置管理者である地元・神戸市の支援という意味もある。

 神鋼は、神戸市中央区の登記上の本社と東京都品川区の東京本社の2本社制で、東西本社間を往復する社員の出張頻度が高い。従来は新幹線以外の利用を想定せず、予定された出張には本社が用意する割安な新幹線回数券を申請に基づき出張者に渡していた。

 昨年の回数券利用は神鋼本体社員だけで月平均1100枚で、さらに急な出張などで回数券を使わない場合も相当数ある。

 新空港開港で、本社からターミナルビルまでの所要時間が車で10−15分となり、JR新神戸駅より近い。費用も、スカイマークエアラインズが羽田便の普通運賃を1万円に設定するなど、新幹線より割安な場合も少なくない。

 このため同社は、原則的に社員個人の判断としながらも、東京出張は新幹線と航空機を併用する運用にあらためる。

 神鋼単体従業員は約8500人、連結従業員は約2万7000人だが、関係会社や協力会社も含め神鋼東西本社間を移動する人員は相当数にのぼり、航空機利用者が一気に増大することが予想される。

 神戸市に本社を置き、東京にも一部本社機能を置く大手企業には神鋼のほか、川崎重工業、ワールド、住友ゴム工業、アシックスなどがある。各社とも「東京出張の際の選択肢が広がる」(川崎重工)、「空港ターミナルビルまで近く、急な出張が便利になる」(ワールド)と歓迎ムードが強く、今後、航空機利用を広げる方針だ。

 神戸空港はポートアイランド沖合3キロ(市中心部から8キロ)の埋め立て地にジャンボ機が離着陸できる2500メートル滑走路を備える。東京、札幌、鹿児島、那覇など7都市と結び、伊丹空港、関西国際空港を補う関西圏第3空港の役割を担う。

労働時間規制ない新制度 厚労省、07年の法制化目指す

2006/01/25 The Sankei Shimbun

 厚生労働省の「今後の労働時間制度に関する研究会」(座長・諏訪康雄法政大教授)は25日、年収や健康確保措置を要件に労働時間規制や残業代支払いのない制度を提案する報告書をまとめた。有給休暇取得の促進や残業削減策も盛り込んだ。

 厚労省は労働基準法を改正し、2007年に制定を目指す労働契約法に盛り込みたいとしている。今後、報告書は労働契約法を審議している労働政策審議会の俎上(そじょう)に載せるが、労働時間規制を外す制度や残業代の割増率アップは、労使双方に受け入れがたい論点もあり、激しい議論になりそうだ。

 報告書では、時間管理をしない制度が対象とするのは、管理監督者手前の幹部候補者、部下がいない「スタッフ職」や研究開発部門のチームリーダーら。要件はほかに(1)仕事の仕方や量、時間配分に裁量がある(2)本人の同意(3)週休2日相当の休みを取得(4)年俸制など成果で払われる賃金制度―などを挙げた。

 企業が導入するには、従業員代表らでつくる労使委員会や労働組合の同意が必要、とした。チェックのため、労働基準監督署の検査で健康診断が実施されていなかったり、要件を満たしていなかったりしたことが発覚した場合、企業に制度適用をやめさせることや罰則を科すことを提言。

 管理監督者でも過労が生じている現状から、その健康確保策も検討すべきだ、とした。

 一方、従来通り、時間管理の対象となる一般社員の場合は、有給休暇の取得義務付けの必要性を提案。一週間程度の連続休暇のほか、一定以上の残業が生じた場合は、残業時間に相当する休みを取らせる代償休日制度を例として挙げた。

 残業削減策として、一定時間を超えた残業には割増率(現行25%増)を引き上げる、とする意見も付けた。(共同)

定率減税の廃止 年収700万円で8万2000円増税

平成17(2005)年11月26日 The Sankei Shimbun

 政府税制調査会が二十五日に答申した定率減税の廃止は、自民党税制調査会も全廃方針を固めており、平成十九年には所得税と個人住民税の減税措置がすべてなくなる見通しだ。すでに十八年一月からの半減が決まっており、納税者の負担は十八年と十九年に二段階で増加する。

 定率減税が全廃されると、現在と比べ、夫婦と子供二人の年収一千万円の世帯で年間十七万八千円▽七百万円の世帯で八万二千円▽五百万円の世帯で三万六千円−の増税となる。全体に中堅所得層の負担増が大きく、上向きかけた消費意欲に水を差す恐れも指摘されている。

 定率減税は平成十一年に導入され、この六年間の減税額は約二十兆円にのぼる。だが、「恒久的措置」とされたため、次第に減税のありがたみが薄れ、定率減税が実施されていることを知らない給与所得者も多くなっているのが現状だ。今後の個人所得課税の抜本改革の前には、定率減税のような特別な措置の整理が必要との議論が強まり、廃止が決定した。

 それでも、半減を決めた昨年は、増税が景気を冷え込ませることへの慎重論も根強く、政府・与党内でも判断が分かれ、政府税調は「段階的廃止」を答申。与党税調の税制改正大綱でも「経済状況に機動的・弾力的に対応する」との条件を設けるなど、景気への配慮を強くにじませた。

 しかし、今年は、七−九月期の国内総生産(GDP)速報が実質で前期(四−六月期)比0・4%増、年率換算で1・7%増と四期連続のプラス成長を達成。企業収益も確実に向上し、政府税調は「廃止時期を延期する根拠はない」(石弘光会長)と廃止を答申した。

 ただ、「十八年の半減実施で景気や消費が停滞した場合でも、十九年から増税が実施されてしまう」(ニッセイ基礎研究所)と景気動向が急に冷え込んだ場合の影響を懸念する声もある。また、今後は給与所得控除の縮小など、個人所得課税の見直しなども予定されている。給与収入が増えない中で今後、負担増が相次げば、家計への影響は避けられない。(大塚昌吾)

政府税調答申 景気改善、負担増迫る 定率減税「19年に全廃」提言

平成17(2005)年11月26日 The Sankei Shimbun

 政府税制調査会(首相の諮問機関)は二十五日、総会を開き、平成十八年からの半減が決まっている所得税と個人住民税の定率減税について、十九年に全廃することを柱とする十八年度税制改正答申を決定し、小泉純一郎首相に提出した。これにより年間で最大二十九万円軽減してきた定率減税がなくなり、国民に負担増を迫る内容となっている。

 答申では定率減税について、「経済状況が導入当時に比べて改善している中で、見合いの財源なしに将来世代の税負担により毎年継続されている」として景気は回復していると指摘。そのうえで「経済状況を見極めて廃止すべきだ」と定率減税の全廃を打ち出した。

 また、国から地方への税源移譲に伴う税率調整は、「個人住民税率のフラット(平準)化」と、「所得税のより累進的な税率構造の構築」を求めた。具体的には個人住民税率は一律10%、所得税は現在の最低税率より低い5%の税率が新設される見通し。その一方で個人住民税の増税で負担増になる低所得者への減免措置も求めた。

 石弘光会長は会見で、「例年より守備範囲を限定して論点を絞った」と説明。また、歳出入一体改革に向け、首相から「歳出削減などを話し合う財政制度等審議会(財務相の諮問機関)と政府税調が一緒に議論したらどうか」と提案があったことを明らかにした。

 小泉首相は答申後、記者団に対し、「誰もが増税反対という中でやるべき政策を考え、やむを得ないという理解を得るのが大事だと思った」と述べ、負担増に対する理解を求めた。

 二十八日からは自民、公明の税制調査会が議論を開始し、来月中旬に十八年度税制改正大綱をまとめる。

                   ◇

【政府税調の答申骨子】

 一、聖域なき歳出改革が不可欠。税体系全体の改革を議論すべきだ

 一、税源移譲は納税者の負担変動を極力小さくし、所得税と個人住民税の役割分担を明確化

 一、定率減税は経済状況を見極めて廃止すべきだ

 一、酒税は簡素化し、酒類間格差を縮小する方向で見直す

 一、研究開発税制の上乗せ分とIT投資促進税制は延長の必要はない

 一、道路などの特定財源は一般財源として活用。現行の負担水準を維持

 一、環境税は温暖化対策全体で総合的に検討

 一、公示制度は廃止

              ◇

 <定率減税> 所得税額の20%(上限25万円)、個人住民税額の15%(同4万円)をそれぞれ減額する措置。景気対策として平成11年に導入された。年間の減税規模は、所得税2・5兆円、個人住民税0・8兆円で計3・3兆円。17年度税制改正で減税幅を半分にすることが決まった。半減の時期は、所得税は18年1月、個人住民税は同年6月徴収分から。

消費支出3.3%減 7月のサラリーマン世帯

2005/08/30 The Sankei Shimbun

 総務省が30日発表した7月のサラリーマン世帯家計調査(速報)によると、1世帯当たりの消費支出は32万3515円で、物価変動を除いた実質で前年同月比3・3%減と2カ月ぶりに減少した。

 項目別では、「交通・通信」が、自動車の販売不振から11・9%減となったほか、学習教材の価格が下がった「教育」が14・4%減少した。半面、「住居」は、設備修繕や家賃が伸びて9・1%増加。パソコンやテレビ購入が増えた「教養娯楽」は1・0%のプラスとなった。

 実収入は、前年同月比3・6%減の57万2399円と、2カ月ぶりに減少した。(共同)

労働力人口1000万人減 2030年

2005/07/27 The Sankei Shimbun

 厚生労働省雇用政策研究会は27日、若者や女性、高齢者の就業支援対策などを取らず人口減少時代に突入した場合、2030年の労働力人口は1045万人減って、実質経済成長率は年率0.6%程度まで低下するとの試算を発表した。

 07年以降の人口減少を視野に取りまとめた報告書「人口減少下における雇用・労働政策の課題」で明らかにした。

 それによると、今後何も雇用・労働対策を取らなければ、04年現在6642万人いる労働力人口は30年、5597万人まで減ると予測。しかし適切な対策が講じられれば、533万人減の6109万人にとどまり、実質経済成長率は逆に04年現在の1.3%から1.6%程度まで上昇するとしている。

 この試算を踏まえ報告書は「すべての人々がさまざまな就業機会に挑戦できるようにすることが基本」と指摘。

 このための重点政策として(1)フリーターの正社員への登用など若者就業支援(2)保育の充実など女性就業支援(3)意欲がある限り働き続けられる社会構築など高齢者就業支援(4)障害者の自立支援(5)専門知識・技術を持つ外国人労働者の積極受け入れ―などを挙げている。(共同)

「団塊世代」退職で企業88兆円負担減 労働経済白書

2005/07/22 The Sankei Shimbun大阪夕刊から

 厚生労働省は22日、平成17年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を発表した。19年から始まる「団塊の世代」の退職により企業の人件費負担が軽減され、「10年間で88兆円の剰余が生じる」と試算。こうしたメリットを若年者の積極採用や高齢者、女性の人材活用に生かすよう、企業に前向きな取り組みを求めた。

 白書は、2年後からの人口減少に加え、「2007(平成19)年問題」とされる団塊世代の退職で、労働力人口は平成42年まで年0.5−0.7%のペースで減ると推計した。

 同時に、若年者に比べて所得が高い団塊世代の退職で、企業の賃金負担が軽減されるメリットも強調した。日本全体の賃金総額は、16年の216兆円が27年には203兆円まで減少。16年の賃金総額を基準にした累計では、団塊世代が退職を迎える19年以降の10年間で88兆円が軽減されるとした。

 そのうえで白書は、企業が負担軽減分を若年者の採用と育成、高齢者の技能の継承や女性の能力の積極活用に努めるべきと指摘。労働力人口を確保するとともに、「みんなで働き支えあう社会」の実現の必要性を訴えた。

 一方、前年に引き続き、若年者の雇用問題にも言及した。15歳から34歳で定職を持たないフリーターの数は、16年の平均で213万人。前年に比べて4万人減ったものの、通学も就職の意欲もないニートは64万人で、前年と同水準となった。

 前年の白書ではニートは52万人としていたが、既婚者や学校に在籍していても通学していない若年者も加えるなど定義を変え、前年分も64万人と修正した。

 今回は、フリーターとニートの地域別の数についても初めて集計した。15歳から34歳人口に占めるフリーターの比率が最も高かった地域は、東北(17万人)の7.3%。ニートは、近畿(12万人)と中国(4万人)でそれぞれ2.2%だった。いずれも、雇用環境の厳しい地域が高い結果となった。

サラリーマン世帯実質消費支出、前年同月比2・0%減

2005年07月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 総務省が1日発表した5月のサラリーマン世帯の家計調査(速報)によると、1世帯あたりの消費支出額は31万7010円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2・0%減と、2か月連続で減少した。前年同月は猛暑によるエアコンなどの購入増加で消費支出が大きく伸びたが、その反動が出た形だ。

 住居修繕・維持費や保健医療サービスなどは伸びたものの、自動車購入費や国内外のパック旅行などがマイナスになった。

 実収入は43万8629円で、実質で同1・9%減と、2か月ぶりの減少となった。

子育て両立支援、社内保育の拡充進む 中国地方

2005/05/07 中国新聞地域ニュース

 中国地方の企業が、社内保育施設の増設や新設を進めている。従業員の仕事と子育ての両立を支援し、働きやすい環境を整える狙い。

 マツダは、広島市南区の本社地区内にある社内保育施設「わくわくキッズ園」を増築し、四月から定員枠をこれまでの三十人から四十人に引き上げた。

 施設が入る独身寮の一部を改装し、保育室や調理場などのスペースを三割強広げて計二百七十平方メートルにした。保育士も七人前後から十人前後に増やした。

 利用者は、開設した二〇〇二年四月時点の三人から年々増加。昨年は定員の三十人が埋まり、さらに「待機児童」も数人出たため、受け入れ態勢を拡充した。

 労政部の青木一郎マネージャーは「社員が持つ能力を最大限発揮してもらうためには、会社が率先して子育てを支援する必要がある」と話す。

 東洋鋼鈑下松工場(下松市)は、〇六年四月をめどに同市美里町一丁目の鋼鈑幼稚園に定員十人の企業内託児所を併設する。

 園舎は一九五三年建設と老朽化しており、本年度中に建て替える。建物の大きさや事業費、利用料などは今後詰める。運営は外部委託する方針。

 工場と同社が出資する下松地区の関連会社五社の従業員の子どものうち、三歳未満を対象にする予定。四月から本格施行された次世代育成支援対策推進法で、策定が義務付けられた行動計画に盛り込んだ。

 このほか四月から、子どもが生まれた本社員に贈る出産祝い金を一人当たり一万円から二十万円に増額。十一月には子ども参観日も実施する。

派遣労働者の過労自殺認定 ニコンなど2社に賠償命令

2005/03/31 中国新聞ニュース

 業務請負の形で光学機器大手ニコンの熊谷工場(埼玉県)に派遣された男性がうつ病を発症し自殺したのは、長時間勤務と劣悪な勤務環境が原因として、母親がニコンと業務請負会社ネクスター(現アテスト、東京)に計約一億四千四百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は三十一日、約二千四百八十万円の支払いを命じた。

 過労死弁護団全国連絡会議によると、実質的な派遣労働者の過労自殺を認めた判決は初めて。

 芝田俊文裁判長は判決理由で「派遣先での業務には精神障害の原因となる強い心理的負担があった」と指摘。「自殺原因の重要部分は業務の過重によるうつ病にある」と過労自殺を認めた。

 その上で「疲労や心理的負担が蓄積しすぎないよう注意しなかった」として、ニコンとネクスターが安全配慮義務を怠ったと判断した。

 訴えたのは一九九九年三月に自殺した上段勇士さん=当時(23)=の遺族。判決によると上段さんは九七年に就職し、派遣先のニコン工場で製品検査業務を担当した。

 上段さんは窓のない空間で、作業服、マスク、手袋などで全身を覆ったまま、昼夜交代の勤務を続けたが、その後うつ病を発症。九九年に退職を申し出たが受け入れられず、自殺する直前は十五日連続の長時間勤務だった。

住友金属に6300万賠償命令 「昇進、賃金で女性差別」

2005/03/28 The Sankei Shimbun

 女性であることを理由に昇進や賃金で差別を受けたとして、鉄鋼大手「住友金属工業」(大阪市)の女性社員ら4人が、会社に男性社員との差額賃金や慰謝料など計約3億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は28日、計約6300万円の支払いを命じた。

 住友グループ3社の一連の男女差別訴訟で、女性側勝訴の判決は初めて。住友電気工業と住友化学工業については一審大阪地裁がいずれも請求を棄却したが、大阪高裁で会社側が昇格や解決金支払いに応じ和解が成立している。

 小佐田潔裁判長は判決理由で「会社側は従業員に明らかにしていない内部の人事制度に基づき、男女間で昇進や賃金の差別的取り扱いをしており、公序良俗に反し違法」と指摘した。

 訴えていたのは、大阪府の北川清子さん(65)=定年退職=や井上千香子さん(54)ら4人。

 判決などによると、4人は高校卒業後、事務職として1959−75年に入社。同社は就業規則に記載されていない5段階の人事制度に基づき女性を最低ランクに位置付け、昇進や賃金などで差別的な取り扱いをした。

 <住友グループ男女差別訴訟> 住友電気工業と住友金属工業、住友化学工業の女性社員計9人が1995年、「昇進、賃金で男性と差別されている」として、差額賃金などの支払いを求め大阪地裁に一斉提訴した。住友電気工業の訴訟は2000年7月の一審で女性側が敗訴したが、03年12月に大阪高裁で昇格などを条件に和解が成立。住友化学工業の訴訟も一審は01年3月に女性側の請求を棄却したが、04年6月に大阪高裁で同社が解決金計1500万円を支払うことで和解した。(共同)

電源開発社員880人サービス残業、未払い賃金支給

2005/03/24 読売新聞 Yomiuri On-Line

 電源開発(Jパワー)は24日、全社員の4分の1に当たる880人の社員に、賃金不払い残業(サービス残業)を行わせていたと発表した。

 未払い賃金の総額は昨年9月までの2年間で9500万円にのぼる。今月24日に全額を支給した。

大阪ガス、未払い残業2年で18億円 労基署が勧告

2005/03/22 The Sankei Shimbun

 大阪ガスは22日、2003年1月から05年1月までの約2年間に、総額18億3700万円分の未払い残業があったと発表した。

 対象となる社員は3800人で、未払い分の平均は1人当たり月5・6時間(1万9000円)。最高は2年1カ月間に約1000時間で、16人いた。未払い分は4月に精算、支給する。

 昨年以降、東大阪労働基準監督署(大阪府東大阪市)など3つの労基署から「時間外労働の賃金の一部が支払われていない」などと是正勧告があり、同社が内部調査していた。

 同社人事部は「社員が時間外労働を過少申告していた。組織的とは認識しておらず、上司がカットしたり、少なく申告させたりしたことはない」としている。

 同社によると、調査は全社員5385人を対象に実施。電子メールの送信時間やパソコンの稼働記録と、残業の申告時間を照合し、本人に確認した結果、過少申告が判明した。03年1月時点の時間外賃金の支給対象社員は4757人で、約80%が実際より少なく申告していたことになる。

 同社は今後、退社時間をカードで電子的に記録するシステムを導入し、労働時間の管理をより正確に行うことを検討している。(共同)

過労死でNTTに賠償命令 6600万円、過失認める

2005/03/09 The Sankei Shimbun

 NTT東日本に勤めていた心臓病の男性=当時(58)=が急性心不全で死亡したのは、リストラの配置転換に伴う長期研修の過労が原因だとして、北海道旭川市の妻(58)らが同社に対し、計約7200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁(奥田正昭裁判長)は9日、NTT東日本に約6600万円の賠償を命じた。

 判決理由で奥田裁判長は「心臓病が重かったことを考慮すると、研修と死亡には因果関係がある」と指摘。その上で「体調不良を訴えていたので、研修に参加させるべきではなかった」とNTTの過失を認定した。

 過労死弁護団全国連絡会議によると、労働時間の長さではなく、労働の質が問われた過労死訴訟で賠償を命じた判決は珍しいという。

 妻は判決後、記者会見で「本当にうれしい。闘ってきて良かった」と語った。NTT東日本は「当社の主張が認められなかったのは遺憾に思う。控訴するかどうかは判決内容を精査して検討したい」としている。

 判決などによると、男性は職場の健康診断で心臓疾患を指摘され、1993年に冠動脈手術を受けた。同社の健康管理規定で残業や宿泊を伴う出張ができないとされたのに、リストラ計画で2002年4月から東京都などで職種変更の宿泊研修を受けた。一時帰宅した6月に心不全で死亡。妻らが労災申請したが、不支給になった。

 NTT側は「研修は時間外労働もなく、十分な配慮のもと実施された」と反論していた。(共同)

在外被爆者の葬祭料認める 長崎地裁が初判断

2005/03/08 中国新聞ニュース

 海外での死亡を理由に被爆者援護法に基づく葬祭料の支給申請を却下したのは違法として、韓国人被爆者の故崔季Kさん=昨年七月に七十八歳で死去=の遺族が長崎市を相手取り、処分取り消しを求めた訴訟の判決で、長崎地裁の田川直之裁判長は八日、却下処分を取り消す原告側勝訴の判決を言い渡した。

 田川裁判長は「長崎市に居住していないことを理由にした却下処分は、違法だ」と判断した。

 葬祭料をめぐる同種訴訟は大阪、広島地裁でも係争中。支給要件を「死亡時の居住地(または現在地)が日本国内」とする同法の運用の是非が争点だったが、海外で死亡した在外被爆者に葬祭料支給申請を認めた初の司法判断となった。

 田川裁判長は「在外被爆者でも被爆者援護法の定める総合的な援護対策の対象に当然含まれる」とした上で「同法施行令などが、在外被爆者からの申請を認めていないのは、同法の委任の範囲を超えて無効」と述べた。

 原告は崔さんの妻、白楽任さん(76)。判決などによると、崔さんは原爆投下の翌日に長崎市に入り被爆。一九八○年に被爆者健康手帳を取得し、昨年七月に韓国・釜山で死去した。長崎市は白さんの葬祭料支給申請を、同法施行令などを理由に「死亡時の居住地が長崎市ではない」として却下した。

 市側は「死亡時に日本に住んでいなかった被爆者の葬祭料申請は、被爆者援護法の想定外」と主張。原告側は「法の本来の趣旨に従って解釈すると、国外からの申請は許されるべきだ」としていた。

 崔さんは生前、同法に基づく健康管理手当を韓国から長崎市に代理申請したが、却下されたため昨年二月に提訴。長崎地裁は同年九月、在外被爆者が来日しなくても手当申請ができるとの初判断を示し、却下処分を取り消した。市側が控訴し、福岡高裁で係争中。

処遇は報復人事と認定 トナミ運輸内部告発訴訟

2005/02/23 中国新聞ニュース

 トラック運輸業界に不正があると内部告発したため約三十年間にわたり仕事を取り上げられているとして、大手運輸会社「トナミ運輸」(富山県高岡市)の会社員串岡弘昭さん(58)=同市=が同社に謝罪と約五千四百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、富山地裁の永野圧彦裁判長は二十三日、原告の訴えを一部認め、会社側に約千三百六十万円を支払うよう命じた。原告は控訴する方針。

 判決理由で永野裁判長は「内部告発には公益性があり、処遇は報復だった」と述べた。

 訴えによると、串岡さんは一九七三年、運賃水増しなどのヤミカルテルをやめるよう会社幹部に直訴。無視されたため七四年七月、新聞社に情報提供した後、公正取引委員会などにも告発。

 会社は七五年十月、串岡さんを同県南砺市の教育研修所に異動させ、一人部屋に「隔離」。雑用ばかりで責任ある仕事はなく、昇格もなかった。

 これに対し会社側は「勤務評価が低いため昇格などの対象にならなかった」と人事権の裁量の範囲内と主張。「隔離」についても九二年六月に同県大門町の新教育研修所に移ったことで解消され、三年以上前のため民法上の時効も成立していると請求棄却を求めている。

 串岡さんは二○○二年一月提訴。内部告発をめぐっては、通報者の不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法が成立、○六年四月施行の見通し。

退社後の喫煙も禁止 米医療保険関連企業、検査拒否で解雇に

2005/02/01 The Sankei Shimbun

 米国の医療保険関連の民間企業が、退社後の社員の喫煙を全面的に禁じる規則を1月から導入し、たばこを吸っていないことを証明する検査を拒否した社員数人を事実上の解雇処分にしたことが1月31日までに分かった。

 勤務時間外も禁煙にして社員の喫煙をゼロにすることで、企業や社会が長期的に負担する医療コストを減らす狙い。会社外での喫煙が解雇につながる例は米国でも珍しく「プライバシー侵害では」との批判もあるが、同社は「ほとんどの社員はこの規則に感謝している」と反論している。

 この企業はミシガン州にあるウェイコ社。同社発表や米メディアの報道を総合すると、同社は2003年秋、社員の喫煙率を今年1月からゼロにする方針を決定。社員約200人の約1割いた喫煙者のうち、同社の援助で12人ほどが禁煙に成功したが、今年初めの検査を拒否した社員4人が退社に追い込まれたという。

 ウェイコ社側は「ほかの会社に保険サービスを提案するわが社にとって社員の禁煙は自然な選択だ」と話している。(共同)

日本企業は研究開発費出すが、成果の追跡調査は4割

2005/02/19 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本政策投資銀行は19日、企業の研究開発費に関する調査結果をまとめた。それによると、日本企業は、多額の研究開発費を投入しながら、その多くが投資効果を“追跡”していない実態が浮き彫りになった。

 政投銀は、日本企業の国際競争力の強化に向け、研究開発費の投入効果を十分チェックするとともに、戦略的な資金分配が必要だと指摘している。

 総務省の統計などによると、日本の科学技術研究費は、2003年度で16兆8042億円に上り、国内総生産(GDP)に対する研究費の比率はアメリカ、ドイツを上回っている。

 しかし、投入した研究開発費が生み出す利益や特許件数など、「成果」を調査している企業は約4割にとどまることが分かった。残る約6割は多額の費用を投入しただけで満足している。

 同行調査部の増田真男調査役は「多額の研究開発費を投入するだけで競争力が強化されるわけでない。収益との関係などを調査し、戦略的な配分が重要だ」と指摘している。

 アンケート調査は資本金10億円以上の製造業1706社を対象に実施し、774社から回答を得た。

ビックカメラを書類送検 残業代不払いで東京労働局

2005/02/25 The Sankei Shimbun

 社員に不払い残業を続けさせていたなどとして、東京労働局は25日、労働基準法違反(割増賃金不払いなど)の疑いで家電量販店大手ビックカメラ(本部・東京都豊島区)と新井隆司社長(58)ら役員8人を東京地検に書類送検した。

 労働局はこれまでの捜査で、不払い額は1億2000万円あまりに上り、新井社長ら役員が不払いを指示していたと認定した。著名企業の社長が同容疑で立件されるのは異例という。

 調べによると、ビックカメラは2003年12月−04年11月に東京の池袋本店や新宿西口店で、フロア責任者ら主任職計110人に対し総額1億2700万円の残業代を期日までに支払わなかった疑い。

 また04年4月−11月には、約280人の社員らに労使協定で定めた残業限度時間(月80−110時間)を超えて残業させたという。

 東京労働局はビックカメラ元社員からの告発を受け調査。昨年11月25日、この元社員に計185万円の残業代を支払っていなかった疑いで家宅捜索し、実態の解明を進めていた。(共同)

労災死1.4倍の140人 昨年の中国地方

2005/01/25 中国新聞地域ニュース

 中国地方で二〇〇四年に発生した労働災害による死者数は百四十人で、前年の一・四倍に達したことが二十四日、五労働局のまとめで分かった。全国的に減少傾向にある中で、中国地方では一九九九年以来の増加に転じた。広島労働局などは、工場などの稼働率アップに加え、安全意識の低下や事故防止策の不備もあるとみて指導を強める。

 広島や山口など五労働局によると、県別では広島が七十人で最も多く、前年の二・一倍。岡山が三十三人(前年比一・五倍)、山口が二十七人(同一・三倍)と続き、山陽側の三県で全体の約九割を占める。一方、島根は十五人減の四人で、統計をとり始めた一九七八年以降で最少。鳥取は三人減の六人だった。

 全体の半数を占めた広島県の業種別内訳は、建設二十二人、製造と運輸が各十七人、その他が十四人。主な原因は、建設業は転落が九人で半数近くを占め、うち三人は台風で被害を受けた建物の修理中だった。製造業は、機械に挟まれたり、巻き込まれたりした事故(八人)や、機械設備や建造中の船舶などからの転落(五人)が目立つ。運輸業は八割が交通事故だった。

 広島労働局は、(1)景気の回復基調を受けた現場の多忙(2)生産、経営効率が優先し、事故防止のための投資や安全教育の軽視(3)新規採用を手控えた従業員の高齢化に伴う運動機能の低下―などが増加の要因と分析。「パトロールや啓発活動を強化し、増加傾向に歯止めを掛けたい」としている。

大丸が年功給を廃止へ 全社員対象、個人の成果を反映

2004/11/06 The Sankei Shimbun
 大丸が全社員約3850人を対象に、賃金の年功部分をなくして個人の成果を大幅に反映させる制度の導入を労働組合に提案していることが6日、分かった。2006年春の実施を目指す。

 大丸によると、全社員を対象に年功部分をなくすのは百貨店では初めて。郊外の大型商業施設や他の百貨店との競争が一層激しくなる中、成果主義を強めて社員の競争心とやる気を引き出すのが狙いだ。

 新制度では、勤続年数に大きく左右される「職能資格給」を廃止する一方、社員の成果や職責に応じて決まる「職務給」に一本化する。賞与も勤続年数などに応じて決まる部分をなくし、個人の成果や業績連動を強める。

 この結果、新制度では同期入社の社員同士でも年収に大きな格差が生まれる見込みだ。

有給休暇、取得率47%で過去最低に 厚労省調査

2004/10/30 asahi.com
 03年の1年間に企業の正社員が取った年次有給休暇は平均8.5日で、取得できる日数に対する割合は47.4%と、調査を始めた80年以来最低になったことが厚生労働省の調べでわかった。夏休みや病気による特別休暇制度を持つ企業も3年連続で減少した。リストラが進み、残った社員が休みを取りづらい状況が浮き彫りになった。

 本社の正社員が30人以上の4192社から得た回答をまとめた。

 企業が設けた年次有給休暇は03年は平均18日で、ここ数年は18日前後で推移している。これに対し、実際に利用した日数である取得率は00年に50%を割り込み、02年の48.1%から03年は0.7ポイント落ち込んだ。

 社員1000人以上の企業では53.9%を消化していたが、300人以上1000人未満の企業は42.3%、社員数がそれより少ない企業は43%台にとどまっている。業種別では飲食店・宿泊業、卸売り・小売業、建設業が30%台と低かった。

 特別休暇制度のある企業は03年は57.6%。01年は61.4%、02年は59.3%で減り続けている。夏休みのほか長期勤続者の心身の休養を目的にしたリフレッシュ休暇を取りやめる傾向が目立つ。厚労省賃金時間課は「リストラで社員が減った職場環境で、休めば周りに迷惑がかかるという意識が強まっているのではないか」とみている。

“月1回3連休を”厚労省提案 「職員から率先」に疑問も

2003年08月19日 The Sankei Shimbun
 月に1回は有給休暇をとって3連休を楽しんでみませんか−。厚生労働省がこんな提案をしている。働き方を見直すだけでなく、少子化に歯止めをかける狙いもある。こういうときだけは「まずは身内から」。平成16年度から厚労省の職員に有給休暇取得を促すことを検討中で、ほかの省庁や一般企業への波及を期待しているのだが…。

 厚労省職員は全国で約10万人。年間20日間の年次有給休暇が与えられているが、休暇を取得せず、2年分の40日間も有給休暇をため込んでいるケースもある。昨年からは職員本人や配偶者が出産した場合に、有給休暇と合わせて一週間程度の休暇をとることを勧めるなど有給休暇の取得推進に取り組んできたが、「有給休暇をとれる時期が年末年始や夏に限られている」(幹部)ことも影響、取得率はいまひとつだ。

 こうした状況や今年7月に少子化対策のための「次世代育成支援対策推進法」が成立したことを踏まえ、「職員の有給休暇取得に積極的に取り組む姿勢を率先して他省庁や一般企業に示す」(幹部)ことにした。

 しかし、厚労省が昨年から早期退庁実現のために取り組んでいる月2回の「消灯日」(午後7時までに電気を消す制度)も「課によって差がある」(幹部)のが実情。「3連休」についても「忙しい月曜や金曜に本当に休めるのか」という疑問の声もあり「目標値の設定を含めた知恵が求められている」(同)ようだ。

労働委の権限強化を目指す 厚労省が労組法改正へ

2003年06月22日 The Sankei Shimbun
 労働組合や労組所属の組合員に対する「組合差別」など使用者による不当労働行為を審査する労働委員会制度について、厚生労働省は22日までに、委員会の権限強化や長期化する審査期間の短縮を目指し、労働組合法を改正する方針を固めた。現行法にない和解制度を創設することも課題となっている。

 審理の迅速化を進めている政府の司法制度改革とも連動した見直し。厚労省の研究会が7月下旬をめどにまとめる報告書を基に改正案を作り、来年の通常国会に提出する方針。実現すれば1949年改正以来の抜本的な改正となる。

 労働委員会は、公益委員、労働者委員、使用者委員の3者で構成。権限強化では、使用者側に対する証拠の提出命令権を公益委員に与えることや、救済命令を使用者側に履行させるため、裁判所段階では新証拠の提出を制限することを検討している。

 使用者側が労働委段階では証拠を提出せずに、裁判段階で初めて出すケースがあるためだ。

 和解制度に関しては、現行でも和解の形で決着を目指すケースが多いが、手続きの規定がないため、和解が不調に終わった場合、審査にスムーズに移行できないことがあり、こうした問題をなくす狙いがある。

 運営面の改善としては、全国の地方労働委員会が取り扱う紛争の数に応じて、委員の定数を都道府県が自主的に変更できるよう改正。このほか、一部の公益委員を常勤にしたり、法曹資格を持った専門性の高い職員を採用したりする案が挙がっている。

 さらに労働委員会と裁判所で計5回審査される「五審制」を改善するため、いずれかを省く「審級省略」も検討する。

 厚労省の集計では、地労委と、地労委決定を再審査する中労委の平均審査期間は、1999年からの3年分で、それぞれ約800日、約1500日となっており、地裁の労働関係訴訟の約500日程度と比べ、審査の長期化が目立っている。

給与所得控除:20%に引き下げ 財務省方針

2003年06月07日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 財務省は6日、サラリーマンなどの給与所得の平均30%弱を必要経費とみなして非課税にしている「給与所得控除」について、20%に引き下げる方針を固めた。実際の支出の裏付けがない経費の控除としては大きすぎると判断した。ただ、負担が増えるサラリーマン層から強い反発が予想されるため、必要経費の対象を交際費の一部などに広げ、確定申告すれば実質25%程度まで非課税にする考え。05年度税制改正に盛り込む方向で、与党などと調整する。

 政府税制調査会(首相の諮問機関)は、個人所得課税に対する控除を段階的に「基礎」「配偶者」「扶養」の3控除に簡素化する方向を示しており、給与所得控除の縮減も今月中旬にまとめる中期答申に明記する。

 給与所得控除は、自営業者以外の会社員や公務員など就業者の8割が対象で、所得区分に応じた5段階の控除率で「必要経費」額を算出し、非課税にする仕組み。平均の控除率は28.8%で、最低でも年間65万円が非課税になっている。同省は、5段階の控除率をそれぞれ引き下げるとともに控除額に上限を設けることで、平均控除率を20%に引き下げる考えだ。

 ただ、控除引き下げは大幅な増税になるため、経費と認められる特定の支出の合計額が給与所得控除額を超えた場合、領収書などを添えて申告すれば非課税額を上乗せできる「特定支出控除」の制度を拡充する。

 現在、経費と認められているのは、(1)通勤費(2)転勤に伴う引っ越し費用(3)研修費(4)資格取得費(弁護士、会計士、税理士等の資格は除く)(5)単身赴任者の帰宅旅費(月4回まで)――だが、交際費の一部や労働組合費なども経費と認める方向で検討する。【大塚卓也】

労基法、修正案を可決 衆院厚労委

2003年06月04日 The Sankei Shimbun
 解雇についてのルールを初めて法制化する労働基準法改正案の修正案が4日、衆院厚生労働委員会で賛成多数で可決された。修正案は使用者の解雇権を明記した部分を削除し、与党と民主党、自由党が共同提案。5日に衆院を通過、今国会で成立の見通し。公布日から半年以内に施行される。

 解雇が不当かどうかの判断については従来通り裁判所の判断に委ねられるが、不当な解雇に一定の歯止めをかける根拠になりそうだ。

 修正案の条文は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効とする」とされた。

 修正前の政府案は「使用者は労働者を解雇できる」と解雇権を明記した上で「社会通念上相当と認められない場合は解雇無効」としていた。

 日弁連や連合などの労働組合は、使用者が自由に解雇できるような誤解を招きやすく、訴訟で立証責任を労働者が負わされる可能性があるとして反発した。こうした動きを受け、民主党は修正案を単独で提出。与党側が譲歩し、民主党案を受け入れた。

 労基法改正のもう一つの柱である有期雇用契約については、契約が可能な上限期間を現行の1年から3年に延長した。契約から1年を過ぎた場合、使用者に申し出ればいつでも退職できることも盛り込んだ。施行から3年後に状況に応じて、必要な見直しを行うことも付け加えられた。

2年連続成績不振なら降格/松下精工が管理職対象に新制度

2001.02.20 The Sankei Shimbun
 
 成績不振が二年続けば自動的に降格−。こんな厳しい管理職の降格手続きを盛り込んだ人事制度を、松下精工が今年四月から導入する。二場所続けて負け越せば地位を失う大相撲の大関のように、二年連続で評価が悪ければ、管理職から非管理職への降格も−。「過去の実績に安住する管理職」への若手社員の批判の声を反映させたといい、同社は対象を主任、主事という“中間管理職”まで広げることも検討している。

 新しい人事制度は、管理職約二百二十人が対象で全社で約一割を占める。理事、参事、副参事という各ランクに適用する。経営への貢献度、情報の活用度、専門知識など十項目の評価基準ごとに百点満点で上司が採点。二年連続で平均(百点満点に換算)が“期待を下回る”四十点以下と評価されると、「参事から副参事へ」と自動的に格下げとなる。

 降格による本給への影響はないが、職責手当に反映する。たとえば参事から副参事に降格された場合、月四万円の減額となる。逆に“期待以上”の八十点以上の評価を得ると、「昇格候補」となり、研修や昇格試験を受ける。

 また、“敗者復活のシステム”も準備されていて、降格された社員が三年以内に八十点以上の評価を受ければ、無条件で元のランクに昇格する。

 同社は中期経営計画策定の過程で、若手社員や組合員にアンケートしたところ、「過去の実績だけで昇格した責任者が自分のポストに安住している」「降格のルールがない」などの意見があった。このため、過去の実績や年齢などの要素を減らし、現在の業績を反映させる新人事制度の導入を決めたという。

 同社は「単なる人件費の抑制が目的ではなく、社員の間に挑戦しようとする心、緊張感をもってもらうため」と説明している。

 すでに副参事以上への適用は決まっているが、約六百人の主任、主事をこの人事制度の対象に含めることも検討。現在、労使交渉を進めているという。

育児・介護休業法改正案要綱まとまる 厚生労働省

2001.02.09(19:57)asahi.com
 厚生労働省は9日、育児や介護と仕事を両立しやすくするための育児・介護休業法改正案要綱をまとめた。20日に国会に提出、4月からの施行を予定している。

 同改正案では、(1)育児・介護休業の申し出や取得を理由とする不利益な取り扱いを禁止する(2)子育て中の社員が利用できるフレックスタイム制度や短時間勤務制度を現行の1歳未満から3歳未満に引き上げる――などが柱。また、企業に対し、未就学児が病気やけがをしたときに看護するための休暇を与えるよう努めることや、育児や介護中の社員の転勤などに配慮することなども求めている。

個別労働関係紛争解決法案の要綱まとめる 厚生労働省

2001.02.09(22:47)asahi.com
 厚生労働省は9日、労働者個人と会社との紛争を解決するための「個別労働関係紛争の解決等に関する法案」の要綱をまとめた。20日に国会に提出する方針で、成立すれば10月から施行される。

 同法案は、各地にいる労働省の労働局長が、紛争解決のために当事者からの相談に応じ、助言や指導ができるようにしている。当事者から申し出があれば、学識経験者で構成する紛争調整委員会があっせん案を示すことができる。ただし、紛争の解決の見込みがない時は、あっせんが打ち切られることもある。

 同法案を9日まで審議してきた労働政策審議会では、連合など労組側が「集団的労使紛争を扱ってきた労働委員会にも個別紛争解決の機能を持たせるよう、法案に明記すべきだ」などと主張してきたが、盛り込まれなかった。このため、労組側は法案要綱に反対を表明した。

団体生命保険の受け取り、一部遺族に認める 名古屋地裁

2001.02.05(19:43)asahi.com
 会社が従業員にかけた団体定期生命保険をめぐり、死亡した従業員の保険金全額を会社が受け取るのは違法だとして、住友軽金属工業(本社・東京)の元社員の遺族が、同社と生命保険会社9社を相手取り、保険金6680万円を受け取る権利は遺族にあることの確認を求めた訴訟の判決が5日、名古屋地裁であった。野田弘明裁判長(北沢章功裁判長が代読)は遺族の請求を一部認め、同社が保険金を受け取った場合、遺族に約1740万円を引き渡すよう命じた。遺族側は「認容額に不満がある」として控訴する方針。

 訴えたのは、住友軽金属工業名古屋製造所に勤務していた近藤直太さん(当時49)の妻弘子さん(53)=名古屋市熱田区。直太さんは1996年8月に心筋こうそくで死亡した。保険契約上の受取人は会社になっていたが、遺族の反対によって、保険金はまだ支払われていない。

 裁判では、会社が受取人になる保険契約が公序良俗に反するか、保険金を遺族が受け取るべきかなどが主な争点になった。

 判決で野田裁判長は、保険契約自体は有効とし、保険金のうち弔慰金の上限である3015万円は会社が受け取れると判断した。しかし、遺族補償が目的だった保険の趣旨などから、残りの相当部分を遺族に支払う合意が成立していたと指摘。「払い込んだ保険料を差し引いた額の2分の1を引き渡すべきだ」とした。

 96年11月に提訴した弘子さんは「保険の目的は遺族の生活保障であり、従業員の死亡によって会社が利益を得るような契約は無効だ」と主張していた。

 団体定期生命保険をめぐっては、企業が保険料を払って個々の従業員に無断で加入し、保険金を支払わない例が問題になり、いくつかの裁判で争われた。社会的批判を受け、各生命保険会社は、原則として遺族が保険金を受け取る新型保険に変更した。

組合活動を理由とした賃金差別に6500万円支払い命令

2001.01.29(14:32)asahi.com
 学校法人松蔭学園(東京都世田谷区)の教諭(53)と元教諭(43)の2人が、組合活動を理由に賃金差別を受けたとして1981年に起こした不当労働行為救済の申し立てで、東京都地方労働委員会は29日、学園の措置を不当労働行為と認定し、差額分の計約6500万円支払いを学園側に命令した。

 命令によると、組合員と非組合員の格差は明確で、経歴16年から18年の教諭の給与が、新人教諭より低かった。都地労委は、組合活動をする2人に対し、学園が給与やボーナスを低く抑えこみ、経済的、精神的に追いつめることを目的にした不当労働行為と判断した。

 都地労委の審問で、学園は格差を理由づける資料を提出せず、説明の要請も拒否していた。命令について学園は「命令文の内容をよく検討したうえで、対応を考える」としている。

年俸制導入企業は約25% 社会経済生産性本部調べ

2001.01.23(18:41)asahi.com
 年俸制を導入している企業は、3年前の13.7%から25.2%に増加――。社会経済生産性本部が23日発表した上場企業アンケート(昨年10月実施)で、短期的な成果主義の賃金制度が年々広がっていることが分かった。

 回答があった301社のうち年俸制を導入しているのは76社。このうち35社は事業部門や社内分社化したカンパニーごとの業績を年俸に反映している。

 全従業員に占める年俸対象者の割合は、「10%未満」と「10―20%未満」がそれぞれ約3割、「20―30%未満」と「30%以上」がそれぞれ約2割。1997年調査では「10%未満」が約6割を占めており、対象者の割合の増加も著しい。年俸額のうち、査定による変動部分は、97年の平均27.3%から今回は33.7%に広がった。

ゴマすり登用防止 松下電器産業が人事評価制度改革

2001.01.13(09:30)asahi.com
 せっかく能力があるのに、上司が正当に評価してくれない――。サラリーマン社会にありがちな光景だが、松下電器産業は4月から、社員の人事評価を直属の上司1人にさせるのではなく、同僚や部下ら6人による総合判定によって決める新しい人材評価制度を導入する。ゴマすりの登用を減らし、埋もれている異能・異才を発掘する狙いだ。

 松下が導入するのは「360度」の評価制度。松下グループ主要6社の約8万人のうち、中間管理職1万数千人を対象に導入する。本人がほかの部署の上司1人、同じ職場の同僚2人、部下2人の合計5人を指名。直属の上司とあわせた6人で、顧客への対応ぶりや、自発性、スピードなど7項目にわたって5段階評価で総合判定する。仲良しグループの褒め合いは認めない、など公正さを保つ工夫もこらす。

 合計6人からなる採点はネット上で、本人と直属の上司のみ公開される。上司の評価が果たして公正になされているかチェックすると同時に、周囲が本人をどう見ているのか自己認識を深めてもらう効果も狙っている。松下は独自技術・独創的商品の開発に傾注する方針のため、発想が豊かで既存の枠内に収まらないタイプの人材を登用しようと考えている。

 この制度を導入しても当面は報酬に反映されないが、「社員が制度になじんだら8万人全員に導入し、給与などに反映されるだろう」(幹部)という。

 同様の仕組みは米国で始まり、国内の大手自動車メーカーも導入を計画中だ。松下の制度とは異なるものの、トヨタ自動車系部品メーカーのアイシン精機が昇格時に直属の上司ではなく、部次長クラスでつくる人材育成委員3人が面接して評価する仕組みを導入している。

日本企業やっぱり接待社会/出張・交際費の4割食事代

2000.12.25The Sankei Shimbun
米では半分近く航空運賃

 アメリカン・エキスプレス・インターナショナル(本社・東京)が二十五日までにまとめたアンケート結果によると、日本企業の出張・交際費のうち、食事代や接待費が占める割合は四〇%に上った。米国企業の場合、航空運賃が半分近くを占め、食事・接待費は一八%にとどまっており、相変わらず日本企業の接待社会ぶりがうかがえる。

 調査は従業員五十人以上の日本企業二百四十二社を対象に実施。年間の出張・交際費の平均額は六千七十四万円だった。内訳は食事代・接待費が二千四百二十九万円と最も多く、航空運賃以外の交通費、宿泊費がこれに次いだ。

 一方、米国で同じような調査をしたところ、出張・交際費のうち、航空運賃が占める比率が四五%に上り、次いで宿泊費、レンタカー代の順だった。食事代は一〇%、接待費は八%にとどまった。同社は今回の調査結果などに基づき、出張・交際費をめぐるコンサルティング業務を拡大する考えだ。

育児中の残業免除を制度化へ

2000.12.22(22:54)asahi.com
 次期通常国会に提出される育児・介護休業法の改正案に、現在は2002年3月までの期限付きで労働基準法で認められている、小学校入学までの子どもの養育や家族の介護をする女性のみを対象にした残業の免除に代わり、2002年4月からは、男女どちらでも、年間150時間を上限に残業の免除を請求できる制度が盛り込まれることになった。仕事と家庭の両立支援策を検討していた女性少年問題審議会が22日、労働省に建議した。

「賃上げなし」の企業、過去最高の2割近く 労働省調査

2000.12.21(18:49)asahi.com
 労働省が21日発表した賃上げ実態調査によると、定期昇給やベースアップなどの賃上げを今年実施しなかった企業の割合は19.1%にのぼり、この項目の調査を始めた1975年以降、最高になった。賃上げ額は加重平均で4177円、率にして1.5%と、いずれも69年の調査開始以来、最低だった。

 2000年中に賃上げした企業の割合は75.8%(前年は76.8%)、賃下げは2.9%(同3.8%)と、やや減った。

 賃上げ企業だけの引き上げ額は加重平均で5275円、率で1.9%とやや高めだった。一方の賃下げ企業の引き下げ額は加重平均で前年を約5600円上回る1万9282円、率にしてマイナス6.2%。賃上げ見送り企業と合わせて全体の足を引っ張った。

 調査は9月、労組のない企業を含む全国3171社を対象に実施、2081社から回答を得た。

労働組合の組織率が過去最低の21.5%に

2000.12.19(21:50)asahi.com
 今年6月末時点での雇用労働者に占める労働組合員の割合(組織率)は21.5%で、過去最低だった昨年より0.7ポイント下回ったことが19日、労働省の労働組合基礎調査で分かった。組織率は1976年以降25年間連続して減っている。組合員数は1153万9000人で前年より28万6000人、2.4%減り、6年連続の減少となった。

 産業別の組合員数を見ると、製造業(前年比3.8%減)、サービス業(同1.2%減)と軒並み前年を下回っている。ただし、企業内組合ではなく1人で加盟できる合同労組や地域ユニオンなどは5万1000人となり、前年に比べて1.6%増加した。

 また、パート労働者が増えていることを反映して、パートの組合員は26万人で過去最高を更新した。

 主要団体別の組合員数は、連合731万4000人(前年比2.2%減)、全労連103万6000人(同2.4%減)、全労協26万1000人(同2.9%減)だった。

松下電工労組がスト対策金の一部を組合員に返還

2000.12.16(22:23)asahi.com
 松下電工労働組合(組合員約1万5500人)は18日付で、ストライキを決行した際に組合員の賃金を補てんするために積み立てていたスト対策費の一部、約41億円を組合員に返還する。返還しても、闘争が十分できる資金が確保できている、としている。大手企業ではストを決行するような激しい労使の対立は少なくなってきているが、巨額の積立金を残しているところが多く、返還するのは極めて珍しいという。

 1人当たりの金額は平均26万円。うち、1人一律1000円を徴収し、組合名義で初めて自社の株式を購入する。組合員に株価に対する意識を高めてもらうためだ。今冬のボーナスは平均で72万3854円を得る。組合員には思わぬ「追加ボーナス」となった。

 これまで、組合名義の「闘争資金」を1人当たり月550円、個人名義の「特別積立金」を月1110円(ボーナス時は6300円)積み立ててきた。現在、闘争資金は25億円、特別積立金は41億円あり、この特別積立金を廃止する。

情報労連が財テク失敗 300億円回収できず

2000.12.15(17:29)asahi.com
 NTT労組などを中心とする情報産業労組連合会(情報労連)の津田淳二郎委員長は15日、記者会見し、組合員の年金共済の保険料のうち約300億円(約6000人分)を組合員に無断で解約し、商品先物取引などに投資した結果、大半が回収されず、金融機関からの借金で穴埋めしていることを明らかにした。

 情報労連は1993年当時、東邦生命(昨年6月に破たん、GEエジソン生命に事業譲渡)に保険料約1300億円を積み立てていたが、バブル経済崩壊後の低金利のため、運用実績が上がらなかった。同労連と同生命は約300億円を投資会社に運用を任せ、5年後に同生命に再び入金する覚書を結んだ。

 満期となる98年末には元利合計して約390億円が戻ってくる予定だったが、実際には「運用利息」として85億円しか戻らなかった。その後、同生命側が労連側に覚書通りに入金することを要請し、同労連は別の金融機関から300億円近くを借り受けて、同生命に支払った。同労連はこれらの経緯を組合員に周知しなかった。同生命も従来通り加入者に対し年金を給付していた。

 津田委員長は「今から考えると許されることではない。組合員には申しわけない」と陳謝した上で、投資会社などに対し訴訟を提起することも「あり得る」との考えを示した。

国労大会、1月27日に再開

2000.12.14(20:01)asahi.com
 国労は14日、全国代表者会議を開き、10月末から休会となっている定期大会を1月27日に再開することを確認した。執行部は再開大会で、「4党合意」を受け入れるとの運動方針案を採決し、4党合意をめぐる対立と混乱に決着をつけたい考えだが、受け入れ反対の声は依然、根強く、見通しは不透明だ。

 JR不採用問題の政治解決に向けて与党3党と社民党が示した打開案(4党合意)の受け入れ方針は、反対派の強い抵抗で、7、8月の2度の臨時大会と10月の定期大会でも採決できないまま先送りとなっている。

フリーター 若者だけで労組

2000.12.09 The Sankei Shimbun
都内で結成大会 劣悪職場 泣き寝入りしない

 定職を持たずパートやアルバイトなどで生活しているフリーターの若者たちがつくる労働組合「首都圏青年ユニオン」が結成された。職種や雇用形態を問わず、三十代までならだれでも、一人でも加入できる。若者の労組離れが言われる中、「劣悪な職場環境で働かされている若い人は多い。泣き寝入りはやめよう」と加入を呼び掛けている。

 結成大会が開かれた今月一日。東京労働会館の会議室は約五十人で埋まり、初代委員長になった名取学さん(二七)は「三十近くになり、パートでいつまで働けるか。賃金も一人で暮らすのが精いっぱい。いろんな不安を抱えている若い人が多い。青年層の連帯を築きたい」と旗揚げを提案。

 この訴えに十九歳から三十六歳まで女性五人を含めた二十四人が応じた。平均年齢は二五・二歳。ファストフード店のアルバイトやパートが大半を占め「残業代が出ない」「突然解雇された」と切実な問題を抱える人も加わった。

 昨年春に大学を卒業した名取さんは現在、病院で事務のパートをしているフリーター。「職場の悩みを共有できる同世代がいない」と、若者だけの組合結成を思い立った。労働省の推計で、フリーターは約百五十万人を超える。正社員に比べ身分は不安定で、低賃金やサービス残業を強いられる人も目立つという。

 労働法制や組合活動について知らない若い人も多い。名取さん自身も組合活動は“初心者”。「具体的な知識や経験がない。労災について、学校でも習っていない。泣き寝入り以前に、問題に気付かない人も多いはず」と話す。

 独自の綱領や規約もつくったが、当面は自治体の非常勤職員やパートでつくる都区関連一般労組の支部として活動。同労組の団体交渉などにも参加して経験を積み、将来は独立を目指す。名取さんは「学習会などを通して、一人ひとりが自立して組合活動に取り組めるようにしたい」と話している。

 問い合わせは、都区関連一般労組内の事務局、TEL03・5395・5255。

JR不採用で「公正な補償」求める ILO

2000.11.18(00:12)asahi.com
 国際労働機関(ILO)は17日の理事会で、1987年に国鉄がJRに移行した際の人員採用問題で、国労や全動労の組合員を差別したのはILO条約違反とする両労組の申し立てに対し、日本政府への勧告を採択した。勧告は、自民、公明、保守の与党3党と社民党が今年5月にまとめた4党合意を「関係する労働者が公正な補償を受けられることを保証したもの」と解釈し、すべての関係者がこの合意を受け入れるよう求めた。政府はこの勧告を最終勧告と受け止めているが、ILOは「公正な補償」がどのように行われたか、引き続きILO側に通知するよう求めている。

 勧告は、申し立てを審議してきたILO結社の自由委員会の報告書を承認する形で行われ、4党合意を「当事者が早期に満足いく解決に到達するという目的で、JRと労組の交渉促進を目指してその条件を提示したものだ」と評価した。同時に、4党合意について、JR復帰や未払い賃金の補償などを求めた当事者に対する「公正な補償を保証したもの」と位置づけ、労働者の権利を守る原則を強調した。

 この問題は国鉄が分割・民営化された際に、それに反対した多くの国労組合員らをJRが不採用にしたのがきっかけで、ILOは昨年11月、日本政府にJRと組合との交渉を積極的に促すよう求める勧告を採択した。

 その後、今年5月に4党が政治解決の枠組み(4党合意)を示し、再雇用や和解金の前提として、国労が、JRに法的な責任がないことを大会決定するよう求めた。国労執行部は受け入れを提案したが、「JRの法的責任を不問にすれば満足のいく解決を得られない」とする反対派の抵抗が強く、7月以来3回の組合大会で4党合意は承認されていない。

 ILOとしては、こうした日本の国内事情に配慮しつつ、労働者の権利を守るという原則的な立場から、今回の勧告で4党合意を「公正な補償の保証」と位置づけ、早期の問題解決を促した。

     ◇

 勧告について、国労執行部は「解決促進のために日本政府の努力を求めるILOの強い意思の表れだ」と評価するコメントを出したが、不採用についてJRに使用者責任はないとした今月8日の東京高裁判決に続く今回の勧告は、「4党合意は解決のラストチャンス」とする賛成派を勢いづけることになりそうだ。逆に、勧告を事態打開の糸口にしたかった反対派は、苦しい対応を迫られることになった。

 ただ、だからといって国労が4党合意を受け入れるかというと、状況は不透明だ。国労執行部は、休会となっている定期大会を年内早期に再開したい考えだが、反対派の抵抗はなお弱まっていない。混乱の責任をとって総辞職を表明した執行部の後任人事の調整も難航しているのも実情だ。

NTT労組、グループ会社の同一賃金体系を見直しへ

2000.11.18(06:17)asahi.com
 NTT労組が、NTT東日本、西日本、ドコモ、コミュニケーションズなどグループ8社で維持してきた同一賃金制度を改め、各社の業績に応じた独自の賃金体系を採用する検討を始めたことが17日、明らかになった。携帯電話が好調なドコモと、固定電話の減少で減収が続く東西地域会社では、業績格差が広がる傾向にあるため、経営側は個別の賃金体系の採用で経営改革を進め、人員削減などの合理化を加速させたい考えで、組合側も「雇用維持のためには構造改革は必要」と、個別賃金方式を検討していく方針だ。

 経営側は、中期経営計画の中で各社の業績に基づく賃金体系の導入を打ち出しているが、組合側は昨年7月の分割・再編時に、社員の希望を聞かずに配属先を決めた経緯から、当面は同一賃金制度を続けるよう求めていた。

 しかし、業績の好調なドコモなどからは、同一賃金制度に対する不満も出ている。今年の春闘でも経営側は横並びの賃金制度を見直す方針を示したが、労組側は受け入れず、グループ全体がベアゼロで決着した。

管理職ユニオン、10日から「職場いじめ110番」開設

2000.11.08(19:38)asahi.com
 企業の枠を超えて管理職らが個人加盟している「東京管理職ユニオン」や「管理職ユニオン・関西」などが、10日から12日までの3日間、職場のいじめとリストラについて電話やメールで相談を受けるホットラインを開設する。同ユニオンによると、従来はリストラの対象となりやすい中高年に対するいじめが多かったが、最近は雇用の流動化を反映して、若い人に対する退職強要なども増えているという。

 東日本地域の人向けのホットラインは午前10時から午後6時までで、電話03―5371―5260、ホームページはhttp://www.mu-tokyo.org/、メールアドレスはsoudan@mu-tokyo.org

 西日本地域は午前10時から午後5時までで、電話06―6881―0781、ホームページはhttp://www.mu-kansai.org/、メールアドレスはmukansai@skyblue.ocn.ne.jp

与党3党が公務員に労働三権付与検討と野中幹事長

2000.10.14(21:51)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党の行財政改革推進協議会(座長・野中広務自民党幹事長)が、公務員が制限を受けている団結権、団体交渉権、団体行動権(スト権)を認める方向で検討していることが14日、明らかになった。公務員は現在、身分が保障されている代わりに、労働三権が制約を受けているが、公務員に労働三権を認めることと引き換えに、人事院勧告の改廃を含め、公務員のリストラや人件費削減を大胆に進めたい狙いがある。戦後半世紀以上続く公務員制度の抜本的な見直しにつながるだけに、論議を巻き起こしそうだ。

 野中氏が14日の大津市などでの講演で明らかにした。野中氏は「志高い公務員制度を確立したい。警察、消防、自衛隊、海上保安庁を除くすべての公務員に労働三権を与えてもいい」と述べた。さらに「公務員も民間の厳しさの中に入り、対価が得られなければ給料もボーナスも下がる。民間と同じ苦しさを味わい、競争できる環境に置かなくてはだめだ」と指摘。「21世紀にあるべき公務員像を可能な限り早く、明確に示したい」と強調した。

 与党3党内では「公務員の身分保障が行革の最大の障害。人事院はもう役割を終えた」(自民党幹部)との認識が広がっている。国家公務員と地方公務員に労働三権を付与する代わり、人事院勧告を改廃することを来年夏の参院選に向けた行革政策の「目玉」にしたいとの案が浮上している。

会社分割での労働者保護へ指針案 労働省

2000.10.14(01:11)asahi.com
 労働省は13日、会社分割の際の労働者保護を図るための指針案をまとめた。会社分割を計画する企業は、労使の事前協議に先だって、(1)会社分割の理由(2)新会社の経営見通し(3)転籍者の範囲(4)転籍後の労働条件――などについて、労働組合などと協議することとし、そのうえで転籍対象の従業員との話し合いに入る。転籍者の範囲については、本人の果たしている役割などから総合的に判断して「転籍を拒否できない」場合を類型化し、一応の目安を示した。

 企業は分割計画を承認する株主総会の2週間前までに従業員に通知し、労使協議を実施しなければならない。指針案は、労働者保護について定めた労働契約承継法に基づく協議を、これに先だって実施することを義務づけ、必要な手続きの流れを明確化させた。

 また複数部門の仕事を兼務している従業員については、労働時間やそれぞれの部門で果たしている役割などから、どちらが主な仕事であるかを判断するとし、直前に意図的な配置転換などがあった場合には、過去の勤務実態に照らして判断するとした。

福岡県労金職員、3億7000万円を着服し懲戒免に

2000.10.02(22:53)asahi.com
 福岡県労働金庫(石口義和理事長、本部・福岡市中央区)は2日、北九州市の戸畑支店次長(42)が顧客の定期預金を解約して約3億7000万円を着服した疑いが強いとして、同日付で次長を懲戒解雇し、中央署に業務上横領の疑いで告訴した、と発表した。

 記者会見した石口理事長らによると、次長は博多支店組織係長だった1997年4月から今年3月にかけて、顧客の労働組合の定期預金約3億7000万円を数回にわたって引き出し、使った。4月に戸畑支店次長兼営業係長になったが、この使い込みを埋めるために、9月11日から同12日にかけてオンラインシステムの端末機を操作して別の組合の定期預金を解約し、その金を戸畑支店から博多支店に送金した、という。

 次長は「ギャンブルに使った」と着服を認めているという。

トラック運転手、低運賃競争による過労運転などで事故増

2000.10.01(11:45)asahi.com
 長く続く不景気のしわ寄せを受け、トラック運転手が悲鳴を上げている。荷主からの注文を取り合うため、運送会社間の低運賃競争に歯止めがかからず、過労運転や過積載、スピード運転による事故も増える一方だ。やむにやまれず、あるトラック団体は、新聞に異例の意見広告を掲載し、業界としてダンピング競争を慎むことをアピールするとともに、荷主への協力を呼びかけた。トラックによる追突や荷崩れは、それだけで死傷者を出すなど被害が大きいため、運輸省も運送会社への立ち入り検査を強化するほか、違反業者への処分基準を厳格化する検討を始めた。

 1990年代後半から、不景気のためトラックの荷物量は減っている。一方で、規制緩和の影響で事業者数は10年前の約4万社から5万2000社に増えた。限られた荷物を奪い合う形となり、足の引っ張り合いで運賃のダンピング競争が激化している。

 業界関係者によると、1トンの荷物を東京から大阪まで運ぶ場合、運輸省に届け出た運賃の下限は2万円余だが、実際は1万5000円弱が相場だという。荷物欲しさに運送会社側から申し出るときもあれば、荷主側が他社への乗り換えをほのめかして値下げを要求することもあるという。

 運賃値下げのしわ寄せは、効率よく多くの荷物を運ぶため休憩なしの長時間運転や、定められた以上の荷物を積む過積載といった形で現れる。今年5月に東京都調布市で2人が死亡する追突事故を起こした運転手が事故前の4日間に自宅でとった睡眠は、計5時間だけだったという。

 運輸省によると、トラックの交通事故は90年の約9万7000件から99年は約11万件にまで増えている。今年も7月末現在で前年同期比7.4%増。高速道路での事故でみると、同30%増だ。過積載や過労運転などの違反行為は、9社に1社の割合で行われており、昨年9月から今年3月までに約800社増えた。

 このような状況下、全国の130社で構成する日本路線トラック連盟(東京都)は9月中旬、専門紙の1ページを使って「日本の物流を支えるトラックに、適正な運賃・料金を」という意見広告を掲載した。同連盟の江口嘉郎常務理事は「異例なことだが、これ以上運賃で無理をすれば、安全上の弊害が出る。ディーゼル車の排ガス問題に対応する余裕もない」と話す。

 背景には、トラック輸送の特殊性もある。食品や電化製品、タクシーなどの場合、料金に加えてサービスや品質が利用者にとっての選択基準となる。しかし、トラック輸送では「荷主は荷物に保険をかけており、輸送中の安全には関心が薄いため、運賃だけが競争の焦点になりやすい」と縄野克彦・運輸省自動車交通局長。「荷主が過積載や過労運転などを勧めることもある。低運賃競争が安全を損なうおそれがある実態は、行政としても無視できない」と話す。

 運輸省は今後、荷主への協力要請を積極的に行うとともに、運送事業者への立ち入り検査の回数を増やして労務管理や運賃の実態をチェック、違反についての処分基準も厳しくする方針だ。

行員側の逆転敗訴が確定 北都銀行訴訟で最高裁判決

2000.09.12(21:44)asahi.com
 完全週休2日制の導入に伴って平日の労働時間が延長されたことをめぐり、北都銀行(本店・秋田市、旧羽後銀行)の行員29人が同行を相手に、延長による時間外手当の減収分計約3000万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決が12日、最高裁第3小法廷(金谷利広裁判長)で言い渡された。第3小法廷は「就業規則変更による行員側の実質的不利益は大きいとはいえず、変更の必要性もあった」として、同行に2600万円余の支払いを命じた二審・仙台高裁秋田支部判決を破棄し、改めて行員側の請求を退けた。これにより行員側逆転敗訴の判決が確定した。

 週休2日制導入に伴って、平日の労働時間を延長したことの是非について最高裁として初めての判断となった。

 同行は銀行法改正を受けて1989年2月から完全週休2日制を実施。あわせて就業規則を変更し、平日の就業時間を10分間延長し、週初めと月末の繁忙期の営業日も「特定日」(年間95日)として60分間延長した。

 裁判では、労働時間延長の結果、従来時間外手当として支給されていた分が支払われなくなったことが就業規則の不利益変更にあたるのか▽変更に合理性があるのか――が争われた。

 第3小法廷は「年間の労働時間は相当減少しており、むしろ時間あたりの基本賃金額は増加した」と指摘。週休2日制の実施による休日の増加は「労働者にとって大きな利益といえる」と判断し、「時間外手当が減少したとしても行員側の実質的不利益は、全体的にみれば大きくなかった」と結論づけた。

 また、同行はもともと労働時間が短かったことから、「土曜日を休日とする影響を軽減するために、平日の労働時間を延長する必要性は大きかった」と述べた。

「労組も責任問われる」相次ぐ食品事故で食品連合委員長

2000.09.11(20:01)asahi.com
 食品産業の労働組合でつくる食品連合(増田滋委員長、10万8000人)の定期大会が、11日から2日間の日程で東京都内で始まった。あいさつで増田委員長は、雪印乳業製品による大規模な食中毒事件や相次ぐ不良品回収事故について、「食品企業のモラルが問われている」と指摘し、コスト重視の経営が品質や安全の軽視につながっていないか総点検すべきだと述べた。同時に、「私たち組合員も全ての工程に直接かかわっており、責任が問われる」として、「安全に関する組合員のモラルを高め、国民の不信感を払拭(ふっしょく)していかなければならない」と強調した。

給料引き下げ1年猶予 ソニー、新人事制度導入で安全策

2000.07.22(10:04)asahi.com
 ソニーは21日、年功序列の要素を排除した新しい人事・賃金制度の実施に伴い、給与が減額になる人には引き下げを1年間猶予するほか、苦情をホームページで受け付けるなどのセーフティーネット(安全網)を導入したことを明らかにした。急速な変革により仕事の意欲を失う社員が出かねないことに配慮し、再挑戦の機会を与えようとするものだ。

 ソニーは、部長以下の社員を、年功的な要素も反映した「職能格」と呼ばれるランクに分けてきたが、7月からは部長級の職能格を廃止し、部の大小や担当する職務の役割の大きさを加味した新たな5段階に分け直した。同じ部長でも、会社が期待する水準の違いで給与の額に大きくばらつきが出るようになった。

 ソニーの給与には年俸制がすでに導入されているが、職能格の廃止により部長級からは年功的な要素が消えることになる。今月下旬までには部長級約1000人に新しい給与が通知され、来年4月から課長級の約5000人も同様の制度に切り替える。今回の改革により、部長や課長によって定年が異なる役職定年制も廃止した。

 対象となる部長級1000人のうち、200―300人の給与が、多い人で数百万円の単位で上がる一方、給与の下がる部長級も200人ほど出る。そこでソニーは、給与が下がる場合は1年間猶予するとともに、2年目以降に給与が下がる場合でも、引き下げる額は年50万円までとすることを決めた。

 また、新しい格付けへの不満が出ることも考慮して、苦情を何でも受け付ける専用のホームページも設置した。ソニーは「若くても実績さえあればどんどん登用して社内に緊張感を持たせたい。といっても、いきなり生活設計が狂ったり意欲を失われたりしても困る。納得してもらうにはそれなりの工夫が必要と判断した」(小山謙一専務執行役員)と説明している。

ベンチャー企業会長、組幹部使い解任決議撤回させた疑い

2000.07.12(19:57)asahi.com
 暴力団幹部とともに取締役会のメンバーを脅して会長解任決議を撤回させたとして、警視庁捜査四課と渋谷署は12日、音楽情報配信会社「エンターミューズ」(東京都渋谷区)の会長塩沢修輔容疑者(43)=神奈川県鎌倉市佐助1丁目=と、暴力団幹部高橋和士容疑者(39)=杉並区和泉3丁目=ら2人の計3人を暴力行為等処罰に関する法律違反の疑いで逮捕した。

 調べでは、塩沢容疑者は6月中旬に自分が出席しないまま開かれた取締役会で、代表取締役会長職の解任を決議されたことに腹を立て、決議を撤回させるため同月下旬、同社の社長(58)と取締役(34)を新宿区歌舞伎町の喫茶店に呼び出し、知り合いの高橋容疑者らとともに「株主総会に出てガタガタにしてやる」と脅した疑い。

 同社は直後に取締役会を開き、決議を撤回していた。同社は昨年4月、音楽情報のネットワーク配信を目的に設立されたベンチャー企業。社長らは塩沢容疑者の独断専行を問題にして会長を解任したという。

警察官の過労死、公務災害と認める判決 大阪地裁

2000.06.26(20:17)asahi.com
 1993年7月、盗難事件の捜査中に倒れて死亡した大阪府警枚岡署の巡査(当時24)の父親が、息子の死を公務上の災害でないと判断した地方公務員災害補償基金大阪府支部の決定を不服として、処分の取り消しを求めた訴訟の判決が26日、大阪地裁であった。松本哲泓(てつおう)裁判長は「巡査は東京サミットの警備に派遣されるなど過労が蓄積しており、死と公務の因果関係が認められる」として、同支部の決定を取り消した。

 訴えていたのは、93年3月から、枚岡署地域課第3係員として、派出所に勤務していた巡査の父親。巡査は91年に大阪府警に採用された。

 判決によると、巡査は当時、深夜勤務を含む不規則な勤務をしており、5月の大型連休も出勤。東京サミットの警備のため、約28時間の連続勤務をするなどした。

 判決は、巡査にとって派出所での1人勤務は精神的な負担となり、長時間労働や心理ストレスが突然死を引き起こす可能性は医学的に肯定されている、と指摘。巡査の死と公務は因果関係がある、と判断した。

 被告側は裁判で「巡査は通常の勤務状態で、勤務中に死亡の原因となるような特別な事象が起こったわけでなく、公務との因果関係はない」と主張していた。

 原告勝訴の判決を受けて、父親は「良心に従った公平な裁判に感謝しています」とのコメントを寄せた。

日商岩井、役員に「アメとムチ」の新制度

8:05p.m. JST May 17, 2000 asahi.com
 日商岩井は17日、役員の任期を現行の2年から1年にすると同時に、役員と社員全員を対象に「ストックオプション制度」を導入すると発表した。苦労して役員まで上りつめても、業績が悪ければ1年で退任ということもある半面、業績が好転して株価が上がれば、値上がり益を成功報酬として受け取ることもでき、役員にとっては「アメとムチ」の仕組みとなる。

 全社員を対象にストックオプションを導入するのは総合商社では初めて。国内の大手企業でも珍しく、3000人という対象者数は最大級という。あらかじめ決められた価格(行使価格)で購入できる株数は、役員の1人5万株を最高に一般職の社員の2000株まで、役職によって6段階に分かれる。

 日商岩井の株価は100円前後で低迷しているうえに、ベンチャーのように短期間で株価が何倍にもなることはまれだが、同社は「業績を上げようと、社員全員一丸になる効果はある」と期待している。

主要企業は9連休が主流

2000年4月22日 16時40分
 主要企業の大型連休は、本社など事務部門は29日からの9連休が主流となっている一方、電機業界では液晶など需要が高い製品の生産工場が、休み返上で増産態勢を敷く予定だ。9連休となるのは東芝、日立製作所、NECなどの本社部門。日本IBMは谷間の2日間を「休暇取得奨励日」に指定、社員食堂が営業しないなど事実上の休日態勢とする。富士通はカレンダー通りの計7日間。

郵便局員の免職取り消す

2000年4月17日 18時05分
 業拒否を理由にした分限免職は不当として、船橋東郵便局(千葉県船橋市、小林正雄局長)に勤務していた桜沢敏夫さん(51)が処分の取り消しを求めた審査請求で、人事院(中島忠能総裁)は17日までに「超過勤務命令自体が違法」として処分を取り消す判定を出した。

 人事院によると、分限免職の取り消しは46年ぶり13件目という。

制服廃止に揺れる日興証券、個性重視も意外と不評?

9:45p.m. JST April 02, 2000
 サーモンピンクやグレー、鮮やかな赤や青……。証券会社が集まる東京・兜町の昼休みは、色とりどりの制服姿であふれるが、4月から日興証券の紺のスーツが消える。大手証券で初めて、女性一般職社員の制服全廃に踏み切った。自由な服装で仕事にも個性を発揮して、というわけだが、女性社員には意外と不評なようだ。

 日興証券は1998年に米・シティグループと資本提携したのをきっかけに、能力重視の給与や人事制度を取り入れ、米国流の競争意識を社内に植え付けようと経営改革を進めている。また、男女雇用機会均等法が浸透するにつれ、一般職女性の制服は疑問、との声も社内で高まった。

 「私服の総合職女性に対し、制服の一般職は社内外から補助的業務と見なされ、女性側も集団に埋没して甘えがち。制服廃止は女性の自覚を高めて戦力を育てる第一歩」と日興証券の幹部は意気込む。

 ところが、「制服だと一段下に見られ、お客様に名前を覚えてもらえない。制服を脱ぐことで、その他大勢でなくなるのはうれしい」(24歳・支店勤務)と、無条件に歓迎する声はごく少数だ。

 制服問題専用のEメールアドレスには二百数十件の意見が寄せられたが、ほとんどは、制服廃止に注文をつける声や反発だった。

 「私服だとそでの汚れが気になる」(29歳・本店勤務)「ステップアップへの意欲は高まるが毎日同じ服は着られず、今の給料での私服化は無理」(21歳・支店勤務)などが代表的な意見。ある支店勤務女性(22)は、「今のままで良かったのに。自腹を切ってまで、職場で個性を主張しようと思わない」と語る。

息子の自殺は会社の責任

2000年4月5日 12時55分
 「コンピュータープログラマーだった息子が自殺したのは会社での長時間労働が原因だ」として、宮城県色麻町の衣料品販売業千葉二生さん(59)夫妻が長男生樹さん=当時(26)=が勤務していたソフトウエア会社を相手に計約7700万円の損害賠償を求める民事調停を5日、仙台簡裁に申し立てた。

 仙台労働基準監督署は昨年11月、生樹さんの労災認定をした。

時事通信社記者の過労死を認定

7:56p.m. JST March 30, 2000
 1996年4月に急死した時事通信社経済2部(現経済部)記者の堺祐介さん(当時33)に対し、東京・中央労働基準監督署は30日、堺さんの死を過労による「致死性不整脈」だったと認定し、労災保険を給付することを決めた。

 堺さんは当時、日銀記者クラブに所属。金融機関の破たんや住専処理問題の取材に中心となって携わり、月の残業が100時間を超すなど、多忙な状態が恒常化していた。記事の出稿量も同僚や他社の記者に比べて格段に多かったという。

 遺族は98年2月、堺さんの死は長時間労働による過労とストレスが原因として労災を申請していた。

労災認める逆転裁決

2000年3月29日 19時54分
 川崎製鉄水島製鉄所(岡山県倉敷市)の男性社員=当時(41)=の自殺について、労働保険審査会は29日までに、労災を認める逆転裁決をし、倉敷労働基準監督署の労災不認定の決定を取り消した。

 遺族の申請などによると、男性は1991年6月、水島製鉄所本館ビルから飛び降り自殺。男性は同年1月に条鋼工程課掛長に昇進しており,労働総時間は所定の2.3倍に上った。

NEC、社内カンパニーごとの業績連動賞与導入を発表

9:49p.m. JST March 28, 2000
 NECは28日、新年度から始める社内カンパニー(分社)制で、管理職以上の約1万2000人に対し、各カンパニーの業績に連動した賞与制度を取り入れる、と発表した。NECは2000年度の連結決算の営業利益を各分社の利益増で今年度見込みより91%増の2100億円に引き上げる計画を打ち出しており、各分社に業績を強く意識させるねらいがある。

 管理職の賞与は、月収をもとにした基本分を6割程度にし、残りを業績連動で決定する。業績連動分の内訳は、部課長クラスではまずNECグループの国内の営業利益に応じて基準額を決定する。その上で、社内分社の業績が良ければ最大で基準額に20%プラス、悪ければ最大で20%マイナスにする。個人の業績によってもさらに格差をつける。今年12月の賞与から取り入れる。

 各分社は2000年度の売上高を今年度見込みより4―11%増やす計画をたてており、業績連動型賞与の導入で各分社内に業績に対する認識を持たせる。

「企業に防ぐ義務」電通過労死自殺訴訟で最高裁が初判断

7:50p.m. JST March 24, 2000
 1991年7月に自殺した大手広告代理店「電通」(東京都中央区)の社員だった大嶋一郎さん(当時24)の両親が、「長時間労働による過労でうつ病になったことが原因だ」として、電通に総額約1億6300万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第二小法廷は24日、上告審の判決を言い渡した。河合伸一裁判長は、「企業には、過労によって社員が心身の健康を損なわないようにすべき義務がある」との初判断を示して電通側の責任を認めたうえで、一郎さんや両親の対応にも問題があったとして二審が損害額を減額した部分を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。

 過労自殺をめぐる企業の責任を最高裁が認めたのは初めてで、全国各地で係属している20件近い同種の訴訟に大きな影響を与えそうだ。また、最高裁は二審の過失相殺の仕方は誤りだとしており、二審が電通に命じた約8900万円の賠償額は増額される見通しとなった。

 一、二審判決はいずれも、長時間労働による過労とうつ病による自殺との間に因果関係があるとしたうえで、会社の安全配慮義務違反を認めた。このため、法律審である上告審の最大の焦点は、過失相殺をしなかった一審判決を取り消して、「自殺を防ぐ措置を取らなかった両親の対応にも落ち度がある」などとして損害額の3割を減額した二審の判断の当否にあった。

 第二小法廷はまず、「企業には、仕事に伴う疲労や心理的負担が過度に蓄積して、労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務が負う」とする初の一般判断を示した。そのうえで、著しい長時間労働が続きながらも負担を軽くする措置を取らなかった上司に過失があるとして、会社側の賠償責任を認めた。

 さらに、損害額について検討。「まじめできちょうめんだった一郎さんの性格はうつ病になりやすく、自殺の責任の一端は本人にある」とした二審の判断に対し、「企業は多様な個性を持った労働者を雇っており、性格が通常想定される範囲よりも外れるものでない限り、過重労働が原因で生じた損害を予想すべきだ」と述べ、今回は減額すべきでないとした。

 また、二審判決が指摘した両親の落ち度についても、「長男は独立した社会人として自分の意思と判断で仕事をしており、両親が同居していたとはいえ、自殺を予想し、それを防ぐことができる立場にはあったとはいえない」として、「両親の敗訴部分は破棄を免れない」と結論づけた。

 一、二審判決によると、一郎さんは大学を卒業後、90年4月に電通に入社し、ラジオ局に配属。営業やイベントの企画立案などの仕事は深夜に及んだ。91年7月になると、帰宅しない日も多くなり、4日に1度は午前6時半まで残業するようになった。2時間程度しか眠れず、8月に入ってからは「人間としてもうだめだ」と言ったり、車を蛇行運転したりするなど異常な言動が目立ち、同月27日に自宅で自殺した。

東芝が年金・退職金の積み立て不足3300億円を補てん

7:03p.m. JST March 16, 2000
 東芝は16日、年金と退職金の積み立て不足を穴埋めするため、今年3月期決算(単独決算ベース)で3300億円を特別損失として計上すると発表した。この結果、当期損益が2500億円の赤字になる。来年3月期から会計基準が変わり、年金・退職金の積み立て不足額を公表しなければならなくなるため、東京電力が2000億円を穴埋めするなど巨額の補てんをする大手企業が相次いでいるが、東芝の処理額は東電を上回る大規模なものになる。

 東芝の積み立て不足額は現在、4150億円。このうち現役従業員分の3300億円を今回、退職給与引当金に積み増す。残りの850億円は、すでに退職した従業員の年金受給分で、今年9月までに補てんし、来年3月期に処理する。新会計基準は積み立て不足を15年以内に解消することを義務づけているが、東芝は将来の負担を軽くするため早期に処理する道を選んだ。

地労委がJRに救済命令

2000年3月13日 16時34分
 JR東日本が1997年春、国労水戸地方本部の幹部6人を出向、配転させたのは組合の弱体化を狙った不当労働行為に当たるとして、国労が救済を申し立てていた問題で、茨城県地方労働委員会は13日、国労側の主張を1部認め、2人に対する出向の撤回などをJR東日本に命じた。命令書によると、2人は97年5月、水戸保線区用地管理室から関連会社への出向命令を受け、救済を申し立てていた。

パートや派遣の待遇改善を

2000年3月11日 19時40分
 春闘のヤマ場を前に、パートや派遣など非正社員として働く女性らが11日、雇用の保障や待遇改善などを求める集会を東京都渋谷区内で開いた。

 パート団体代表の酒井和子さんは「流通業界などでは既にパートの女性が、中心的な労働力になっている。正社員採用がないため、パートを選ばざるをえない上、賃金も安い。雇用の調整弁に使われている」と、現状の改善を訴えた。


電機連合がネット労組

2000年3月2日 16時37分
 電機連合(鈴木勝利委員長、約74万人)は、未組織労働者がインターネットを通じて加入する新しい「ネット労組」の設立や、職業訓練の各社共通化の提案など斬新(ざんしん)な構想を相次いで打ち出している。全国どこからでも接続できるネットを活用して組織拡大を図るとともに、業界全体で雇用を維持する基盤をつくるのが狙い。

増える企業の雇用調整

2000年3月4日 17時55分
 リストラによる出向・転籍や早期優遇退職制度など、企業の雇用調整が増加し、仕事の負担も重くなっていることが4日、連合(鷲尾悦也会長)がまとめた緊急雇用実態調査で分かった。

 連合は「日経連は賃上げより雇用確保と言うが、実態は雇用調整が先行している。既に痛みを受けている組合員に賃上げでこたえるべきだ」としている。

手当を全面的に廃止

2000年3月3日 16時25分
 大同生命は3日、課長クラス以下の給与に含まれていた扶養手当や住宅手当などを4月から全面的に廃止すると発表した。給与制度から仕事の能力や成果に関係しない部分を取り除き、社員の意欲を引き出すのが狙い。

 手当の廃止後は、仕事の内容によって決める職務給を導入して、難しい仕事の担当者には手厚い処遇をするため人件費の総額は変わらないという。

会社と協議済み労組は6割

2000年2月28日 17時33分
 改正男女雇用均等法の施行後、職場での男女の処遇について会社側との協議を終えた労働組合は、約6割にとどまっていることが28日、連合がまとめたアンケートで分かった。

 それによると、会社との協議を終えていたのは59.8%で「これから協議」「協議の予定なし」が合わせて26.2%に上った。従業員300人未満の企業では協議を終えた労組が36.3%と少なかった。

課長以上の定昇を廃止

2000年2月23日 16時50分
 
 リーダーとして行動しないと降格します―。日立製作所は23日、課長相当職以上の管理職を対象に定期昇給を廃止し、管理職が共有すべき行動基準の達成度で昇格する新人事制度を4月から導入すると発表した。組合員の賃上げを決める春闘でも、定昇確保が難しいとされている中、管理職も厳しい評価にさらされることになった。

東京電力、29歳からの転職を支援 有給休職で資格取得

1:20p.m. JST February 17, 2000
 東京電力は16日、3月から、29歳以上の比較的若い世代の転職希望者を対象に、留学や資格取得などで1年以内の有給休暇がとれる退職支援制度を導入することを決めた。電力業界は自由化で本格的な競争時代を迎え、東電も人員削減を進めている。早期退職制度を若年層にまで広げたのは電力業界では初めてで、人員合理化のピッチをあげるねらいもある。

 新制度の「転身準備休職」の対象は29歳以上で勤続3年以上。年齢や勤続年数に制限のない、再就職支援会社への派遣制度も設ける。希望者は面接をし、会社が認めた場合に限る。転職準備休職では、本人の希望通り転職できない場合でも、原則として、復職は認めない。転職時には年収の1―1.5倍の特別退職金を積み増す。

 同社は新規採用の半減などで4万人以上いる社員を2003年までに約2000人削減する計画だが、今回の退職支援制度で、さらに社員が減るとみている。ただ、東電の担当役員は「リストラではなく、あくまでも希望者の転職を支援する仕組み。適用者の人数や予算枠は応募状況をみて決める」と説明している。

松下グループが一律賃金見直しへ、事業分野などで格差

9:39p.m. JST February 15, 2000
 松下電器産業は15日、勤務地や仕事の内容などが違っても一律となっている松下本体を含むグループ6社の賃金などの労働条件を見直し、事業分野、勤務地ごとに格差をつける方針を明らかにした。創業以来、「全員経営」を掲げて社員の1体感を重視してきた松下が、守ってきた全国一律の労働条件も「雇用維持」の前で風前のともしびとなった。

 対象となるのは松下本体のほか、人事制度や賃金体系が松下本体と一本化されている松下通信工業、松下電子工業、松下電子部品、松下電池工業、松下産業機器の計6社で、社員はいずれも松下電器産業労働組合に加入している。

 この6社では社内分社ごとに、市場でのライバル企業が持つ労働条件との比較で労働条件を労使で決定する。基本給そのものは「同一」を維持するものの、諸手当を見直し、実質的な手取り賃金に格差をつける。

 勤務地ごとの別賃金制は、まず転勤のない「地域限定社員制度(仮称)」を導入し、ライバル企業がその地域にもつ生産拠点の労働条件や地域の物価水準に合わせて賃金体系や福利厚生制度を決める。所属する事業場が同制度を採用すれば、15―20%の賃下げになるが、経過措置として一定期間は現在の賃金を保証するという。

 松下本体と松下労組が今年4月に結ぶ労働協約で、労働条件のうち社内分社やグループ企業ごとに決める範囲を定め、労使の協議が固まり次第実施する。松下は、遅くとも来年3月末までにすべての社内分社などでの協議をまとめたいとしている。

 松下労組は「グローバル競争の時代に雇用を守るには、事業分野ごとの競争環境の差を認めざるを得ない」としている。

自宅待機で賃金40%カット

2000年2月19日 10時59分
 池島炭鉱は19日までに、坑内火災の影響で操業開始には少なくとも1カ月以上かかることから、労働基準法に基づき自宅待機となる従業員の賃金を平均賃金の60%とすることで労使合意した。3カ月の平均賃金を日割りにして、出勤日は100%、自宅待機の日は40%をカットする。池島炭鉱は昨年4月から賃金を25%削減しており、復旧が長引いた場合、従業員の家計に影響が出ることが懸念される。

育児・介護が必要な社員に完全在宅勤務を実現−ITを活用した新しい勤務形態、e-ワークを推進− 2000年2月17日by IBM

 日本アイ・ビー・エム株式会社(社長・大歳卓麻)は17日、育児、介護などを行う必要のある社員を対象として、在宅での勤務を可能とするための新制度「e-ワーク制度(仮称)」を発表しました。e-ワーク制度は、当社が推進しているe-ビジネスを自ら実践し、勤務場所や勤務形態に、より柔軟性を持たせる、ワーク・フレキシビリティの実現を目的としたものです。

 新制度では、専門性および会社への貢献度が高い社員が、育児あるいは家族の介護と業務との両立を図るために適用を希望した場合に、会社が業務に支障がないと判断すれば、ITを活用した完全在宅勤務「e-ワーク」を認めます。また、子供の成長にあわせ柔軟な勤務形態に対応できるように、育児での当制度適用期間を小学校卒業までとしています。

 当社では、昨年6月1日より「育児・介護ホーム・オフィス制度」を施行しています。当制度では、自宅での勤務が可能な職種で副主任(非管理者層の最高職位)以上の社員が、育児あるいは介護と業務の両立を目的に、一日の勤務の一部分について、自宅で勤務することを認めていますが、必ず1日1度は出社する必要があります。また、育児での適用期間は、小学校就学までとなっています。本日発表のe-ワーク制度は、育児・介護ホーム・オフィス制度を拡充するものです。

 また、当社では1995年より、オフィスを離れても製品情報の収集や休暇取得を申請できるなど社内システムやデータベースを充分に利用できるよう、ITインフラを整備してきており、営業部門を中心にモバイル勤務が定着しています。今回発表のe-ワーク制度は、既存のITインフラや経験、実績を活用していきます。

 -ワーク制度の実施は、4月1日を予定しています。なお、当社では、自ら高い目標を掲げ、業務を通じて能力を発揮していく「ハイ・パフォーマンス・カルチャー」の実現に向け、会社に継続的に貢献した社員に適切に報いることを人事の基本的な考え方とし、今後も継続して人事施策に反映していきます。 以 上

東京三菱銀が成果重視の人事給与制度を導入

00:25a.m. JST January 29, 2000
 東京三菱銀行は28日、「分社的経営」戦略に沿って、行員の専門性を高めるために成果重視の新たな人事給与制度を導入することを明らかにした。成果によって、賞与支給額をゼロから平均的な支給額の2倍まで幅を持たせるとともに、総合職の「定期昇給制度」は見直して、降給も可能なものにする。組合との交渉を経て10月からスタートさせる予定。

 行員の所属部門をリテール、法人営業、投資銀行業務、資産運用など10の事業部門のうち1つに決め、部門ごとに人事セクションを設置し、各部門が所属部門の異動、評価、処遇を決める。新行員は、3年間の教育期間を経た後、所属部門を決める。

 給与は成果を重視した体系にして、年俸制を選択した専門性の高い行員には、年俸の上限は定めず、ポストも新設する。管理職については、扶養手当を廃止するほか、総合職の「定期昇給制度」を見直し、人事考課で極端に問題のある場合は、降給を行う。人材を育成するため、「キャリア開発センター」を設置する。

昨年のサラリーマン世帯消費支出、2年連続マイナス

0:49p.m. JST January 28, 2000
 1999年(暦年)のサラリーマン世帯の消費支出(消費税込み)は、物価変動の影響を除いた実質で、前年比で1.7%減少し、98年の同1.8%減に続き、2年連続でマイナスとなったことが、28日総務庁が発表した家計調査でわかった。実収入、可処分所得はともに同2.0%減と、そろって現行の調査を開始した63年以来、最大の減少幅となった。ボーナスが同7.4%減と、第1次オイルショック後の75年のマイナス7.6%に次ぐ下落となったことが最大の要因だ。

 同時に発表した昨年12月の家計調査によると、サラリーマン世帯の消費支出は1世帯あたり41万8221円と、前年同月に比べ4.7%減り、5カ月連続で前年を下回った。下落幅は、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動があった98年3月のマイナス5.7%に次ぐ大きさ。
冬のボーナスの減少で、実収入が前年に比べ6.1%減と、大きく減ったことが響いた。
記者会見した堺屋太一経済企画庁長官は「予想を上回る厳しい数字」としながらも、「企業は昨年の9月期の業績を前提に暮れのボーナスを支給しており、いちばん厳しいところが出てきた。個人的な判断としては、この辺りが『底』だと思っている」と述べた。

年功による昇給を廃止へ

2000年1月27日 16時18分 共同通信社
 ダイキン工業の井上礼之社長は27日、大阪市内で記者会見し年齢や勤続年数による昇給を廃止して能力や業績で一般社員の賃金を決める新制度を導入する考えを明らかにした。組合の同意が得られれば、4月から実施する。
有能な社員の待遇を良くしてやる気を高め、高齢化による人件費総額の増加を抑える。
対象は約6800人の一般社員。

大阪地裁、蓄積疲労認めトラック運転手の過労死認定

2:51p.m. JST January 26, 2000
 勤務中に運転席で亡くなったトラック運転手の妻が、堺労働基準監督署長に、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付などの不支給処分の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は26日、運転手の過労死を認定し、原告勝訴の判決を言い渡した。松本哲泓裁判長は「過重な業務で慢性的に疲労が蓄積し、急性心筋こうそくを発症させたり、致死性の不整脈を急激に悪化させたと見ることができる」と判断した。

 原告代理人の弁護士によると、長期間の蓄積疲労は労災の原因と認められたことも、過労死をめぐる訴訟で全面的に争われたケースもほとんどなく、「判決は大きな前進。退職と死亡の間に若干の間隔があいた場合などでも過労死が認定される道をひらいた」と評価している。

 訴えていたのは、1991年2月に亡くなった大阪府堺市金岡町、運転手西原道保さん(当時46)の妻松子さん(60)。

 判決によると、西原さんは運送会社で牛乳などの配送業務をしていた。亡くなる前の約4年間は、所定労働時間を大幅に超える、明け方から夕方まで1日平均13時間を超える労働が続き、休日は月に3日程度だった。

会社分割簡素化、法務省が商法改正案提出へ 労働界反発

11:41p.m. JST January 21, 2000
 法務省は21日、企業の事業部門の分離・独立手続きを簡素化する「会社分割」制度の導入を柱とした商法の一部改正要綱案を法制審議会商法部会に提示し、了承された。今国会に商法改正案を提出し、2001年からの施行を目指す。企業再編が加速するなか、法整備を求める経済界の声にこたえるものだが、改正によって会社分割にともなう異動が従業員の承諾なしでできるようにもなるため、労働界からは反発がでている。

 要綱案は(1)株主総会の特別決議で会社分割計画書が承認できる(2)分割に反対する株主に株式買い取り請求権を認める(3)一定の条件内では株主総会の承認を不要とする――などを盛り込んでいる。一連の改正で、企業側は経営の効率化を図るために不採算部門を切り離したり、事業部門ごとに分社化したりすることが容易になる。

 一方、改正によって、法の運用上、分割にともなう異動は従業員本人の承諾がなくても企業側の判断だけでできるようになることから、日本労働弁護団は「民法で定めた労働者の正当な権利を奪い、雇用不安が拡大する恐れがある」と批判している。

電機大手が「年功」見直し

2000年1月21日 16時37分 共同通信社
 大手電機メーカーの間で、年功型の給与体系の見直しが急速に進んでいる。日経連は今春闘で「年功的な人事・賃金制度からの脱却」を打ち出しており、業績連動型のボーナス支給に加え、月々の給与についても成果に応じた賃金制度に移行するケースが広がっている。対象も管理職から一般社員にまで拡大。NECは今年10月から、一般社員にも成果主義に基づく賃金体系を導入する。

大成建設が保養所全廃、社宅も廃止へ

08:23a.m. JST January 06, 2000
 大手ゼネコンの大成建設は全国の社有の保養所を今春をめどに全廃する。対象となるのは、神奈川県の2カ所(逗子、箱根)をはじめ宮城(鳴子)、福島(白河高原)、静岡(伊豆高原)、長野(木曽駒高原)の計6カ所。社員の「保養所離れ」もあり、合理化の一環として、原則として売却処分することにした。また、社宅も原則廃止の方向で検討に入った。

 巨額の有利子負債の圧縮を急ぐ同社は、本社が入居する東京・新宿の高層ビルの持ち分も近く証券化して、資金をねん出する方向だ。

バス部門の冬季賞与、年収の5%分カット=社員のボーナスに格差−名鉄

99年12月9日 11時20分 時事通信社
 名古屋鉄道は9日、赤字が続くバス部門の社員1300人のうち約1000人の冬季賞与から、年収の5%相当分をカットすることで労組側と合意したことを明らかにした。鉄道部門はカットがなく、同一社内で社員のボーナスに格差をつけるのは全国的にも異例という。

 名鉄のバス事業は1987年度以降、92年度を除いて赤字が続き、99年度決算も約12億円の赤字の見込み。同社は赤字バス路線の休・廃止などを進め、2000年度末までに収支均衡を目指す方針だが、客離れから目標達成が困難なため、人件費抑制による収支改善を労組側に申し入れ、組合もこれを受け入れた。 

中小労組がネットワーク

1999年12月1日 18時05分 共同通信社
 全国一般全国協議会や東京管理職ユニオンなど、中小企業の従業員らでつくる労組など12団体が、全国組織「中小労組政策ネットワーク」を5日に東京都内で旗揚げする。

 東京管理職ユニオンなど8団体が呼び掛け、これまでに12団体が参加を決め、約2万人の規模でスタートする。

自殺、過労死相談178件

1999年11月20日 18時18分 共同通信社
 勤労感謝の日を前に、過労死弁護団全国連絡会議は20日、過労や仕事のストレスを原因とする自殺や過労死の電話相談を東京、大阪、名古屋など全国18カ所で実施。遺族らから長時間労働やリストラによる自殺などについての相談が計178件あった。労災補償についての相談は97件あり、このうち自殺や自殺未遂が53件、過労死が27件。このほか予防などについての相談が81件あった。

連合の定期大会、新政治方針を採択し閉会

9:29p.m. JST October 15, 1999
 日本労働組合総連合会(連合)の第6回定期大会は2日目の15日、向こう2年間の運動方針を決めたほか、6年ぶりに見直した新たな政治方針や、政治路線を統一するための「連合政治センター」の設置も正式に決め、閉幕した。役員改選では鷲尾悦也会長、榎本庸夫会長代行(自治労委員長)、笹森清事務局長の3役の再選をいずれも承認した。新執行部の任期は2001年秋までの2年間。
 運動方針は、労働時間短縮と雇用確保を同時に進める日本的なワークシェアリング(仕事の分かち合い)を提起したほか、現在の約800万人から「1000万人連合」をめざした組織拡大などを盛り込んだ。政治方針は有事法制論議の必要性や日米安保条約の維持強化など、国の基本政策にも踏み込んだ内容に改めた。連合政治センターは、21日の中央執行委員会で幹部人事を決めて発足する。

労働運動の復権目指す

1999年10月10日 15時51分 共同通信社
 750万の組合員を擁する日本最大の労働組合組織、連合(鷲尾悦也会長)が11月、結成から丸10年を迎える。今月14日からの第6回定期大会で、鷲尾執行部を再選。下旬には“悲願“の政治路線統一を目指す「連合政治センター」を発足させる。だが長引く不況で広がる雇用不安、春闘の行き詰まりなど取り巻く環境は厳しい。逆風の中、労働運動の復権が果たせるのか。連合は正念場を迎えている。

不況で増える?単身赴任 4年間で6万人増、31万人に

9:23p.m. JST October 08, 1999
 不況下で単身赴任者が急増している。8日発表された労働省の賃金労働時間制度等総合調査で、1998年末の単身赴任者が31万4000人と初めて30万人の大台を超えたことがわかった。4年前の94年の前回調査に比べ、2割強の約6万人増、女性の単身赴任者も900人とほぼ倍増した。同省は企業のリストラに伴う配置転換が中堅、中小企業を中心に増えたためとみている。

 調査は従業員30人以上の企業約4900社を対象に実施し、日本全体を推計した。

 同調査によると、単身赴任者がいる企業の割合は19.1%で、前回に比べ3.2ポイント上昇した。単身赴任者が増えたのは、転居を伴う人事異動を実施した企業の割合が28.1%と7.9ポイントも上昇したためという。特に、従業員が100人以上300人未満の企業の中でこうした人事異動を実施した企業の割合が3割強から5割弱に上昇している。

 同省は、こうした人事異動が増えているのは、リストラで、社員を遠方の関連子会社に出向させるなど、大がかりな配置転換を実施している中堅、中小企業が増えているため、とみている。

 一方、一時帰宅の旅費や住宅手当の支給など単身赴任への援助制度のある企業は92.0%で、4.6ポイント下した。福利厚生制度が整っていない中小企業の比重が高まったためと、同省はみている。

海外出張にも不況の風 6割の企業が経費節減

8:30p.m. JST July 03, 1999
 役員はファーストクラスから追われ、社員は格安航空券を買いに走らされる――。労務行政研究所が海外出張について調査したところ、経費節減に取り組んでいると答えた企業が全体の6割に上っていたことがわかった。厳しい経済状況の中、各企業で合理化の模索が続くが、海外出張も例外ではない。

 上場企業または同規模の企業268社から、今年4―6月に回答を得て集計した。その結果、61.9%の企業が経費節減に取り組んでいた。円高不況時の1987年は27.8%だった。経費削減に一層拍車がかかっている。

 具体策は、格安航空券の利用(51.1%)、出張回数、人員の削減(46.6%)、ファーストクラスの利用制限(45.1%)の順。「1社だけを継続利用するからと、複数の業者から相見積もりを取り、航空券や宿泊代を値引きさせた」との回答もあった。

 ファーストクラスを利用しているのは、料金がエコノミークラスのほぼ2倍だけに、社長で2社に1社、専務で4社に1社、課長級以下では皆無だ。バブル経済崩壊前の92年の調査では、社長で4社に3社、専務で2社に1社が利用しており、役員の利用等級を抑え、経費削減する動きがはっきり出ている。ビジネスクラスでも利用できるのは部長級で約3割、課長級で約2割、係長級以下で約1割。92年に比べると5%―10%減少していた。

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