TOPIC No.2-57 沖縄/普天間基地移設


Index
1. 1999年度、2. 2000年-2005年度、3. 2006年 -
01. 普天間基地移設問題 YAHOO!ニュース
02. 在日米軍 YAHOO!ニュース
03. 普天間飛行場 名護移設問題 資料(1999)
04. 普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会 開催状況
05. 普天間飛行場移設問題 琉球新報
06. 在日米軍再編 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
07. 米軍再編 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


嘉手納の米軍訓練一部をグアムに、日米大筋合意

2011年01月03日03時05分 読売新聞

 日米両政府は、沖縄の米軍嘉手納基地で行っているF15戦闘機の訓練の一部を2011年度中にも米領グアムに移転させることで大筋合意した。

 日本政府関係者が明らかにした。来日するゲーツ米国防長官と北沢防衛相が13日に行う会談で最終的に合意する見通し。沖縄に駐留する米軍の訓練を国外に移転するのは初めて。政府は、地元の基地負担軽減策の具体化の一つと位置づけ、難航する米軍普天間飛行場の沖縄県内移設に県側の理解を得る足がかりとしたい考えだ。

 米軍にとって国外で最大規模の戦略拠点である嘉手納基地には、2個飛行隊計48機のF15戦闘機が常駐するとされてきた。地元住民からは騒音に対する苦情が強く、日本側は、最大1個飛行隊分の訓練をグアムに移すよう求めてきた。

普天間移設で飛行ルート維持拒否 防衛相に米大使

2010/08/24 中国新聞ニュ−ス

 米政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古崎への県内移設をめぐり飛行経路の大幅な変更を日本側に主張している問題で、北沢俊美防衛相が23日にルース駐日米大使と会談した際、従来の日本側説明のルートを維持するよう要請、大使が拒否していたことが分かった。複数の日米関係筋が24日、明らかにした。

 米側は今月9、10日の実務者協議で、これまで集落上空を回避できるとしてきた滑走路2本のV字形で有視界飛行する際、従来の日本政府の説明よりも陸上部に近接した空域を飛ぶとの見解を表明した。この場合、従来のルートよりも騒音や危険性が増しかねない。

 北沢氏は飛行経路の変更は地元の反発を招くとして、米政府を代表するルース大使との会談で直談判に臨んだ。だが大使の拒否で、米側の強硬な姿勢が鮮明になり、飛行経路の変更が確定的になってきた。同時に、これまでの議論の大前提が崩れることになり、政府と沖縄側の調整がさらに難航するのは確実だ。

 関係筋によると、北沢氏は会談で、3年に及ぶ環境影響評価(アセスメント)見直しも避けられないと指摘。「日本がこれまで沖縄側に説明してきたルートは米側も了承していたはずだ」と迫った。これに対し、大使は「米政府として合意した覚えはない」と反論した。米側は飛行経路を変更しても、これまでのアセスを見直さないよう日本側に求めている。

 日米両政府は今月末に取りまとめる代替施設の工法や配置などに関する専門家の報告書に現行計画に沿ったV字形と、埋め立て面積が25%減るとして日本が新たに提案した1本のI字形を併記。騒音や安全性などで双方の長短を列挙する。だが前提となる飛行経路の大幅な変更に伴い、滑走路の形状をめぐる議論の意味合いは大きく薄れる。

 日本政府は報告書に新たな飛行経路を明記せず、結論を先送りしたい考え。米側は「誤ったルートで移設計画を進め、後から米国の責任にされたくない」(外交筋)と決断を求めており、日本側は対応に苦慮している。

米国:日本にグアム移転費の追加負担要求 国防長官が書簡

2010年07月04日 毎日新聞 毎日JP

 在沖縄米海兵隊のグアム移転に関して、ゲーツ米国防長官が日本側に、追加経費負担も含む新たな協議を求める書簡を送付していたことが3日、分かった。政府関係者が明らかにした。06年に合意した「再編実施のための日米のロードマップ」で移転総額は102.7億ドルと定められており、日本側は財政支出28億ドル、融資32.9億ドルの計60.9億ドルを負担。日本政府はさらなる負担に応じることには難色を示しており、参院選後に協議に応じるかどうかについて検討する。

 グアム移転は在沖縄海兵隊8000人が移転する計画で、米軍普天間飛行場移設問題と関連しており、日米で締結した協定は09年5月に国会で承認された。

グアム移転経費負担の増額を要望 工期遅れで米政府

2010.07.040 MSN産経新聞

 ゲーツ米国防長官が在沖縄米海兵隊のグアム移転に関し、日本政府に対し日本側経費負担の増額を要望する書簡を先月中旬に送ってきたことが3日分かった。日米関係筋が明らかにした。グアムの社会資本(インフラ)整備経費が予想よりも上回る見通しとなったためだが、政府は増額には慎重な姿勢だ。

 同筋によると、書簡には具体的な金額は明記されていなかった。

 グアム移転は平成18年の日米合意に基づき、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設と一体で実施される。海兵隊の司令部要員を中心に約8千人と家族約9千人が26年までにグアムに移転する。移転経費は総額102億7千万ドル(約9千億円)のうち日本側は融資32億9千万ドルと財政支出28億ドルの計60億9千万ドル、米側は約41億8千万ドルを分担する。

 しかし、電力や上下水道などのインフラ整備の不足が見込まれるため、米政府は当初計画の見直しを進めており、すでに港湾整備の費用5千万ドルの積み増しも決めた。環境影響評価(アセスメント)の遅れで、計画自体が数年ずれ込む可能性もあり、日本側負担の増額要望はこうした事情を受けたものとみられる。

 ただ、日本側の財政支出は昨年2月に締結したグアム移転協定で上限を28億ドルと規定しており、増額には改定手続きが必要。このため要望に応じる場合には国際協力銀行(JBIC)を通じて実施される融資を増やす可能性が高い。

米のグアム移転、最大5年遅れ 7月に整備計画

2010年05月31日 中国新聞ニュース

 海兵隊移転で人口急増が見込まれ、建設が進むグアムの集合住宅群=09年12月(共同)

 【ワシントン共同】米政府が在沖縄海兵隊の移転先となる米領グアムのインフラ整備不足を解消するため、7月に最大数十億ドル規模の整備計画をまとめる方針を固めたことが31日、分かった。これを受け、日米両政府は移転完了期限を2014年から3〜5年延長する方向で本格的な検討に入った。米政府当局者や日米関係筋が明らかにした。

 海兵隊約8千人のグアム移転は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設と不可分と日米合意で規定される。移転完了の大きな遅れは、日米両政府が8月までに位置や工法を詰める普天間移設の代替施設計画にも影響しそうだ。

 米環境保護局(EPA)の担当責任者によると、EPAは2月に急激な人口増加にインフラが追いつかないと指摘。深刻な上下水道の整備不足などに対し、国防総省とEPAが最近になり具体的な対策でほぼ合意した。関係筋によると、流入人口の抑制も含まれる。財源などを詰めた上で7月に整備計画をまとめる。

辺野古崎移設を発表 普天間で日米声明

2010/05/29 中国新聞ニュース

 日米両政府は28日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設に関する共同声明を発表した。移設先をキャンプ・シュワブのある名護市辺野古崎地区とこれに隣接する水域とし、1800メートルの滑走路を建設すると明記。8月末までに代替施設の位置と工法の検討を完了させる方針を示した。埋め立てを軸に調整が進む見通しだ。沖縄の負担軽減策として、海兵隊など米軍の一部訓練移転先に鹿児島県・徳之島を挙げ、沖縄県外の自衛隊基地の活用を盛り込んだ。

 これまで鳩山由紀夫首相は米国と地元自治体、連立与党の同意を得て5月末までに決着させると表明してきたが、米国との合意を優先させた。

 声明を受け政府は基地負担の沖縄県外・国外への分散や、在日米軍基地の整理・縮小に引き続き取り組むと明示した政府方針を閣議決定した。共同声明の内容を紹介する形で「辺野古」にも言及。辺野古の明記に反対した社民党の意向を受け入れない内容となった。発表に先立ち、首相とオバマ米大統領は電話会談し、普天間の移設促進に努力する考えで一致した。

 声明は外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意した。次回の2プラス2までに移設計画を確認すると明示。国連総会が開かれる9月を想定している。これに向け日米の専門家で工法など技術的側面について基本合意を目指す。滑走路を現行のV字形による2本から、1本に変更する方向で調整する。

 シュワブ沿岸部を埋め立てる現行計画の3年近くに及ぶ環境影響評価(アセスメント)の手続きを著しく遅らせないと指摘。この結果、代替施設は事実上、埋め立てに絞られ、移設先は現行計画とほぼ同じ地域となる。

 岡田克也外相は記者会見で「公有水面埋め立ての許可権限を持った沖縄県知事の了解がなければ進まない」と述べ、工法は埋め立てが軸となるとの認識を示した。

 声明には普天間代替施設を念頭に、自衛隊との共同使用の検討も盛り込んだ。負担軽減策としては、沖縄本島東にある米軍訓練水域の一部返還も決定。(1)グアムなど日本国外への海兵隊一部訓練の移転検討(2)日米訓練や米軍単独訓練の県外移転拡充で、嘉手納基地周辺の騒音を軽減(3)普天間を含む嘉手納基地以南の施設返還を着実に実施―なども列挙した。

辺野古移設を初表明 「極めて厳しい」と沖縄知事

2010/05/23 中国新聞ニュース

 鳩山由紀夫首相は23日、沖縄県を訪れ、米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設先について、現行計画とほぼ同じキャンプ・シュワブ沿岸部のある名護市の辺野古崎とする方針を沖縄県側に初めて表明した。仲井真弘多なかいま・ひろかず知事は「極めて厳しい」との認識を強調し、稲嶺進名護市長は「断固反対する」と拒否した。日米両政府は28日に合意文書を発表する方向だが、沖縄県側で反発が強まるのは確実だ。社民党の福島瑞穂党首も反対を表明し連立与党の合意も見通しが立っていない。

 仲井真知事との会談で「代替地は名護市辺野古の付近にお願いせざるを得ないとの結論に至った」と明言。「普天間を返還するために断腸の思いで下した結論だ。県外との言葉を守れず、結論までの過程で大変混乱を招き、心からおわびする」と陳謝した。

 辺野古とした理由については、朝鮮半島情勢などを踏まえ「現時点で海兵隊を含む在日米軍全体の抑止力を低下させない」と説明。沖縄県の負担軽減に向け訓練の一部移転受け入れを27日の全国知事会で求めるほか、(1)沖縄本島東の米軍訓練水域の一部返還(2)日米共同訓練や米軍の単独訓練の県外移転拡大で嘉手納基地周辺の騒音を低減―など仲井真知事が4日の会談で首相に求めた負担軽減に取り組む姿勢を示し、理解を求めた。

 これに対し知事は「大変遺憾だ。県外、国外という県民の熱い思いとの落差が大きい。時間をかけて説明と納得いく解決策を出してもらうしかない」と述べた。

 首相は稲嶺名護市長ら県北部12市町村長との会合で「辺野古崎」と明示して協力を求めた。稲嶺氏は首相に「到底受け入れられない。実現可能性は限りなくゼロに近い」と伝達。会合後、記者団に「歩み寄りの余地はまったくない」と強調した。

 首相の沖縄訪問は今月4日に続き就任後2度目。前回は県内移設の考えを初めて明かしたが、具体的な移設先への言及を避けていた。

 日米合意文書では、代替施設を辺野古崎周辺を事実上埋め立てて造り、普天間代替施設を念頭に自衛隊との共同使用を進める方向で検討する考えを明記。普天間に駐留するヘリコプター部隊の沖縄県外への一部訓練移転を掲げるが、個別の場所は明示しない。

アセス枠内が負担軽減の前提 普天間移設で米が認識

2010/05/17 中国新聞ニュース

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐり、米政府が在沖縄米軍の一部訓練の県外移転促進や米軍の一部施設・区域の返還など負担軽減について、キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)を埋め立てる現行計画の環境影響評価(アセスメント)の枠内が前提との認識を伝えていたことが分かった。この主張に基づけば、辺野古崎の先端部分を滑走路が横切る形になる。複数の日米関係筋が17日、明らかにした。

 日本側は12日にワシントンで開いた日米実務者協議で、くい打ち桟橋方式により辺野古崎の南西沖約500メートルに代替施設を造る政府原案を説明した。この構想では、アセスの仕切り直しが必要となる。米側はテロ攻撃などの懸念から桟橋方式にも重ねて否定的な見解を示し、埋め立てを支持。移設先、工法とも再検討を迫られ、鳩山政権が対応に苦慮するのは確実だ。協議の末、移設先は現行計画とほぼ同じ場所となる可能性が出てきた。

 日本側は辺野古崎で押し切られても部分的に桟橋方式を活用できないか引き続き模索する構えだ。滑走路は現行のV字形を変更し1本にする案も日米間で浮上。だが辺野古崎に造れば、集落の上空をヘリコプターなどが通過する恐れがある。

 関係筋によると、米側は、沖合へ大幅な移動が現行計画を前提として3年近くに及んだアセスを事実上白紙に戻すことになり「普天間移設はさらに先延ばしになる」と懸念を表明。日本の関係法令でアセスをやり直す必要のない範囲での微修正なら前向きに検討する姿勢を示した。

 同時に、現行アセスの枠内での代替施設建設を確認しない限り、日本の政府原案に明記された沖縄の負担軽減には応じられない姿勢をみせた。

 沖縄県条例によると、飛行場は変更面積が10ヘクタール未満などの場合「軽微な修正」としてアセスのやり直しは必要ない。仮に現行計画から滑走路を沖合へ平行移動させるケースでは、55メートル程度までなら現行アセスをそのまま活用できるほか、どのような形の修正でも大幅な移動にはならないと見積もられている。

「普天間」で実務協議開始へ 外相、米大使と26日会談

2010年03月25日  中国新聞ニュース

 政府は25日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先選定や訓練移転に向け、米国と実務者レベルの協議を4月上旬にもスタートさせる方針を固めた。岡田克也外相が今週末の訪米に先立ち、ルース駐日米大使と26日に会談して確認する予定。岡田氏は会談で(1)米軍キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市)陸上(2)米軍ホワイトビーチ(うるま市)を抱える勝連半島の沖合を埋め立て(3)鹿児島県・徳之島―を政府案の軸として提示する見通しだ。複数の政府筋が明らかにした。

 いずれも移設実現まで10年近くかかる見込みのため、地元負担の軽減に向け海兵隊の訓練移転を先行させたい考えも説明する方向だ。しかし米側はシュワブ沿岸部を埋め立てる現行計画かその修正を譲らない構え。沖縄県など関係自治体も反発を強めており、調整の難航は避けられない。

 実務者協議には日本側から外務、防衛両省と首相官邸の担当者、米側は国務省と国防総省の当局者らが参加。

米、現行計画の履行求める 下旬の日米外相会談で

2010.03.22 MSN産経新聞

 【ワシントン=佐々木類】オバマ米政権は、今月下旬に行う方向で調整中の日米外相会談で、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)移設問題に関し、日本側に名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部へ移設するとした現行案の履行を改めて求める方針だ。

 「現行案が最善」との立場をとる米政府は、日本側が現行案を変更した場合、普天間飛行場を継続使用せざるを得ないとの判断を強めており、シュワブ沿岸部以外の移設先を検討中の鳩山由紀夫首相は一層苦しい立場に追い込まれそうだ。

 日本政府は現在、辺野古のキャンプ・シュワブ陸上案を軸に、米軍ホワイトビーチの埋め立て案なども検討している。23日には鳩山首相が平野博文官房長官、岡田克也外相、北沢俊美防衛相らと政府案の調整を行う予定だ。

 一方、米政府は普天間飛行場の移設先に関し、現行案が「最善」との立場を変えていない。理由は「米政府は何年にもわたって多くの別の解決策を研究し、現行案以外の問題点や弱点を指摘できる」(キャンベル国務次官補)からだ。

 実際、日本政府内で浮上している移設先は、地元沖縄側が反対だったり、海兵隊の航空兵力と地上部隊の一体的な運用上、移設が困難だったりする場所ばかりだ。

 ただ、沖縄県の負担軽減に配慮する日本側へも理解を表明。日米関係の決定的な悪化を避けるため、日本政府に対し、「米国は日本とともにさまざまな異なる可能性に向き合う用意がある」(キャンベル氏)との意向を伝えている。

 米政府は、外相会談などを通じて普天間飛行場の継続使用の可能性をにじませることで、日本側に現行案の履行を強く迫る考えだ。

【揺らぐ沖縄】「少数の反対意見、独り歩き」

2010.03.22 MSN産経新聞

 鳩山政権発足から半年が経過した今も迷走を続ける米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題。場当たり的な発想に移設先として名前が挙がった自治体は強い憤りを表明している。とりわけ日米合意に基づく現行案(同県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への移設)を受け入れながら事実上撤回され、新たにシュワブ陸上案が検討対象となった辺野古の住民たちの怒りは頂点に達している。政権に翻弄(ほんろう)され続ける住民たちの本音を探った。

 政府が陸上案を検討していることが表面化した直後の2月25日、名護市内の辺野古、久志、豊原の久辺3区の住民は、沖縄防衛局に「普天間飛行場の危険性や騒音をそのまま久辺地域に移すことになり、区民の安全や安心な暮らしを破壊する」として、阻止行動の決意を伝えた。

 辺野古区行政委員会普天間代替施設等対策特別委員会の古波蔵廣(こはぐら・ひろし)委員長は、陸上案を実力行使で阻止する考えを示し、切り出した。

 「われわれは改めて政府から沿岸部案の提示があると、受け入れる門戸は開いている。もちろん、条件整備の案もすでにできている」

 古波蔵氏によると、久辺3区は名護市に合併される前、経済効果を狙って米軍を誘致した。以来、米軍と親善委員会を作り、キャンプ・シュワブを辺野古の11番目の班として互いに認識するなど、良好な関係を続けてきた。古波蔵氏はこう言う。

 「普天間の危険性を除去するという国策のために沿岸部案を引き受けた。沿岸部案には、今でも住民の8割は賛成している。われわれの真意が伝わらずに、数少ない反対派の意見が独り歩きをしているだけだ」

 辺野古の自営業の男性(61)も「沿岸部に決まれば県民は猛反発するだろうが、うそをついた民主党政権に対する反発だ。反対の声を上げるのはほとんど県外のグループで、久辺3区からは十数人程度。問題はない」と話した。

                   ◇

 ■意見書に「沿岸部反対」の文言なし 「県民の真意、政権と乖離」

 「県内移設反対」をスローガンに2月初めにスタートした稲嶺進名護市政も足並みが乱れている。

 同市議会は今月8日、陸上案反対の決議と意見書を全会一致で可決したが、意見書には「沿岸部反対」の文言はない。沿岸部移設を容認してきた島袋吉和前市長派が拒否したからだ。

 ある元県議はこう打ち明ける。「1月の市長選挙で稲嶺氏を支持したのは、島袋氏への個人的な反発があったためで、基地問題とは別。稲嶺市長派の中にも沿岸部容認派は結構多いから、沿岸部案が再提案されれば市議会は受け入れるだろう。そのために意識的に決議と意見書では『沿岸部』に触れなかった」

 さらに移設問題を複雑にしているのは、沖縄県議会と基地反対派の動向だ。

 県議会は2月24日、普天間飛行場の県外・国外移設を求める意見書を全会一致で可決した。古波蔵廣氏は「自公会派は沿岸部案を支持してきたのに政権が代わったからと言って、百八十度態度を変えるのは、われわれへの裏切りだ」と不信感を隠さない。

 普天間飛行場を抱える宜野湾市民の一部も、「県外、国外移設」を繰り返す伊波洋一市長の対応に不満を募らせる。

 「普天間の危険性除去を優先すると言うなら、辺野古への移設を早急に実現させるべきだった。実現不可能な案をぶちあげるだけで、移設を本気で考えているとは思えない」(地元タクシー運転手)

 いま、反基地闘争を展開している市民グループなどが沖縄県に集結し、「共闘」を持ちかけられた辺野古住民もいるともいう。

 16日に辺野古で起きた米海軍3等兵曹による飲酒ひき逃げ事件を受け県内世論は、事故と基地問題をリンクさせる向きもある。しかし、古波蔵氏は「絶対に許せない重大事故だが、あくまで悪質な兵士の個人的な犯罪。住民の間でも事故を理由に基地反対の声はない」と強調する。

 沖縄県の情報関係者は「普天間問題が迷走を続ける最大の理由は容認派の声が封殺される世論事情と、県民の声を公平に探ろうとしない現政権の怠慢にある。現政権の動きと県民の真意との乖離(かいり)は想像以上に大きい」と指摘し、次のように警告した。

 「このままでは普天間問題だけでなく、原点である嘉手納基地以南の基地縮小案も頓挫してしまう」(宮本雅史)

米、普天間「継続使用の可能性」

2010年03月21日 NiKKEI NeT

 【ワシントン=大石格】米オバマ政権は普天間問題の長期化は必至との見方を強めている。米政府の過去の普天間継続使用発言は日本に現行案受け入れを迫るブラフ(脅し)の色合いが濃かった。ここに来て「むしろ最も可能性の高い選択肢」とみており、継続時の部隊運用の検討などを始める考えだ。

 沖縄に駐留する海兵隊が最重視するのは、有事に来援部隊を迎えるための滑走路の確保だ。近く配備される新型輸送機オスプレイは垂直離着陸も可能だが、有事の大量運搬時には水平離着陸の方が迅速に動ける。滑走路は長いほどよい。普天間には2700メートル滑走路があり、継続使用はむしろ願ったりというのが米軍の本音だ。

普天間移設、米は新候補地受け入れず 「現行案か継続使用」

2010年03月20日 NiKKEI NeT

 【ワシントン=大石格】米オバマ政権が米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、2006年に日米が合意した同県名護市辺野古沖に移す現行案の履行か、普天間の継続使用かの二者択一を日本に求める方針であることが20日、分かった。鳩山政権が検討中の米軍キャンプ・シュワブ(名護市)陸上案などは「過去に検討済み」として応じない。新たな選択肢を米側が受け入れないことで、日米交渉の難航は必至。同盟関係を深化させるための協議の行方にも影響しそうだ。

 この方針は28日ごろワシントン入りする岡田克也外相が日本政府案を提示した場合の対応について、ホワイトハウスと国務省、国防総省が非公式に意見交換する中で固まった。

ぎくしゃく続きの日米関係 国務次官補ドタキャンに普天間問題の影

2010.03.16 MSN産経新聞

 対日政策担当であるキャンベル米国務次官補の突然の訪日キャンセルについて日米両政府は16日、日程上の理由を強調したが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐる迷走が影響していることは否定できない。米政府は「忍耐」を合言葉に、鳩山由紀夫首相による移設先の決断を待ち続けているが、それは日本政府に対するいらだちの裏返しである。

 平野博文官房長官は16日の記者会見で、キャンベル氏の訪日中止について「日程の調整がつかないため、わが国への訪問を中止したということだ」と説明。普天間問題の進展が見込めないことが原因だとの見方に対し「そういうことではないと思う」と述べた。

 ただ、政府関係者は「米政府は普天間問題での日本政府の回答が得られない以上、いま日本を訪問しても話すことはないと判断したのだろう」と指摘する。

 キャンベル氏は、ゲーツ国防長官が昨年10月の来日時に日米合意に基づく普天間問題の早期解決を強硬に迫ったのとは対照的に、問題の長期化を早くから予想し、米政府内で「忍耐が必要だ」と説明してきた。

 しかし、鳩山首相は決着を5月末まで先送りしたうえ、米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部に移設する現行案以外の新たな移設先を模索。シュワブ陸上案が有力視される中でも、なお「県外移設」にこだわりをみせている。

 もともと「ゴールデンウイークに訪米予定の小沢一郎民主党幹事長と米側は突っ込んだ議論をするつもりだろう」(外務省幹部)とされてきた。だが、3月中にまとめる政府案も不透明で、交渉窓口すら定まらない。「米国では『オバマ政権の対日政策は間違った』と批判されている」(同)といい、我慢の限界が近づいているようだ。外務省幹部は「米政府は強硬姿勢ばかりでは日本国民に嫌われるとみて柔軟さを示してきたが、現行案が最善との姿勢に変わりない。(来日中止で)少しは強硬姿勢もみせようと判断したのではないか」と語る。

 日米交渉筋は最近、米側の変化を感じているという。鳩山首相が昨年11月の日米首脳会談でオバマ大統領に「トラスト・ミー(私を信じて)」と語ったことを引き合いに、こんな痛烈な皮肉が返ってくるからだ。

 「あのとき大統領は『じゃあ(現行案で)頼むね』と言ったはずだけどね」

沖縄県内2案で対米調整へ 普天間移設、月内絞り込み

2010/03/08  中国新聞ニュース

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先を協議する沖縄基地問題検討委員会(委員長・平野博文官房長官)が8日、首相官邸で開かれ、社民、国民新両党がそれぞれ移設候補地案を提示した。政府は両党案を踏まえつつ、キャンプ・シュワブ陸上部(名護市)など県内移設2案の運用可能性を米側と非公式に協議、3月中の政府案取りまとめに向けた絞り込み作業を加速させる。

 ただ現行計画のシュワブ沿岸部がベストとしてきた米側の理解を得られる保証はなく、県側の反発も必至の情勢。鳩山由紀夫首相が政権の命運を懸けた5月中決着にこぎ着けるのは容易でない。

 政府の2案はシュワブ陸上部にヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)か1600メートル級の滑走路を建設する案と、米軍ホワイトビーチ(うるま市)から沖合の津堅島の間を埋め立てる案。首相は官邸で記者団に「特に沖縄県民の理解が得られる案に集約させるプロセスが、これから必要になる」と述べた。

 一方、名護市議会は8日午前、政府が検討している「陸上案」に反対する意見書を全会一致で可決した。検討委に先立ち地元が反対を突き付けた形だが、平野氏は記者会見で「議会の考えとして理解する」としながらも、陸上案での決着を排除しない考えを示した。

 検討委で社民党は(1)米領グアムや北マリアナ諸島のテニアンに全面移設(2)訓練場のローテーションの起点をグアムとし、日本では沖縄を外し本土とする(3)在沖縄海兵隊基地機能を日本の沖縄県外に移設―の3案を提示。国内の具体的な地名については「別途提案する」と言及を避けた。

 国民新党は米軍嘉手納基地(嘉手納町)への統合と、シュワブ陸上部の2案。どちらも使用開始から15年後には沖縄から米海兵隊が全面撤退すると条件を付けた。

 名護市議会の意見書は「陸上案では、これまでの(シュワブ沿岸部)移設案よりもさらに住宅地に近接し、普天間の騒音や危険性をそのまま名護市に移すだけだ。生活・教育環境を破壊するもので、断じて許されない」としている。

分水嶺

2010年03月07日 岐阜新聞

 「米海兵隊を岐阜に引き取ってよ」―沖縄県の地元紙記者はこう言った。少しく酔いも手伝って冗談まじりだったが、目は笑ってはいなかった。岐阜県の人は在沖海兵隊の歩みを知っているね、と念を押しているようだった。

▼在沖米海兵隊は1956年2月、各務原市と山梨県から移転してきた史実を知っておかないと、冒頭発言は理解できない。米軍基地は戦後ずっと沖縄にあるが、駐留部隊の多くは日本本土や韓国から集められた。

▼各務原市は戦前から基地の街だ。旧日本陸軍の飛行場が造られ、戦闘機が生産された。戦後、米軍が進駐すると「キャンプ岐阜」と呼ばれ、朝鮮戦争で韓国の米軍部隊を後方支援する海兵隊が配備された。

▼風俗の乱れや米兵絡みの犯罪が絶えず、反基地闘争が繰り広げられた。休戦後、本土の米海兵隊は沖縄へ。朝鮮半島から遠い沖縄に移った理由はいまも謎だが、各務原市民が味わった恐怖はそっくり持ち込まれた。

▼米軍普天間飛行場の移設先が定まらない。鳩山政権は5月末までに結論を出すと言うが、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部案断念を米側に伝え、陸上案などで検討を始めた。

▼名護市長選で県内移設反対派の市長が誕生、沖縄県議会は同様の意見書を可決した。「本土の知事が沖縄の声に耳を傾けるようになった」と地元紙記者。政府はぎりぎりまで議論を尽くしてほしい。

シュワブ陸上にヘリ基地 政府、米と調整へ

2010/02/19 中国新聞ニュース

 政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ陸上部に300〜500メートルのヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)を造る一方、鹿児島県の徳之島を訓練先とする案を軸に検討していることが19日、分かった。米政府には打診しており、近く本格的な調整に入り実現可能性を探る。米側が求めている1600メートル以上の滑走路という条件を満たさないため、仮に実現しても普天間飛行場は継続使用せざるを得ず、政府は段階的な措置として位置付ける方針だ。

 米側から前向きな反応が得られれば、鳩山由紀夫首相が4月に訪米し、オバマ米大統領と会談する方向で調整する。ただ、名護市の稲嶺進市長が陸上部分も含め同市への移設に反対を表明。地元の反発で難航は必至だ。社民党も反対姿勢を強めており、この案の実現性は見通せない。

 米側は普天間飛行場に垂直離着陸輸送機MV22オスプレーの配備を検討。オスプレーは通常の航空機のような離着陸で運用するケースが多い上、連絡用の航空機も使用する必要があるとして、米側は普天間代替施設として1600〜1800メートルの滑走路を求めてきた。このためヘリパッドでは根本的な解決にならず、シュワブ陸上案が実現した場合でも、普天間飛行場はオスプレー駐機のために使用されることが予想される。

 日本政府は二段構えで、普天間飛行場の移設先を模索する方針だ。政府は徳之島に加え、米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機による陸上空母離着陸訓練(FCLP)の場所として検討している鹿児島県の馬毛島も、海兵隊ヘリ部隊の訓練先の候補として米側と調整する見通し。また過去の政権で検討され、米国が難色を示したため除外されたシュワブ内陸部に1500メートル級の滑走路を造る案についても、米側にあらためて実現可能性を打診する方向だ。

普天間問題5月決着に理解求める 上院小委員長に岡田外相

2010/02/15 中国新聞ニュース

 岡田克也外相は15日午後、米上院外交委員会の東アジア・太平洋小委員会のウェッブ委員長と外務省で会談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題について「米政府とも協議した上で5月までに結論を出す」と述べ、日本政府の方針に理解を求めた。

 ウェッブ氏は「日米関係は強固で、どんな個別問題も克服できる」と応じた。ただ移設先などについては踏み込んだ発言を避け、当面は日本政府の検討作業を見守る姿勢を示した。

 続いて北沢俊美防衛相も防衛省で会談。「残された時間は長くないが、最適な解決策を得るため全力を尽くす」と強調した北沢氏に対し、ウェッブ氏は「沖縄の人々の大きな負担は理解している。負担軽減の努力が必要だ」と応じた。

 岡田氏との会談では中国やミャンマー情勢についても意見交換。アジア太平洋地域の安定のために日米同盟に基づく協力強化が重要との認識で一致した。

 ウェッブ氏はこの後、沖縄に移動。在沖縄海兵隊約8千人の移転先となっている米領グアムも訪れる予定。

米軍の大規模撤退論けん制 普天間めぐり米有力議員

2010/02/15 中国新聞ニュース

 米上院外交委員会の東アジア・太平洋小委員会のウェッブ委員長は15日、都内の日本記者クラブで講演し「日本から米軍が大規模撤退すると、地域の安定に深刻な影響を与える」と述べ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題などをめぐる議論が、在日米軍の大幅な撤退論につながらないようにすべきだとの考えを示した。

 ウェッブ氏は普天間問題に関し、日米が合意したキャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市辺野古)以外にも「多くの実用的な移設先があるはずだ」と述べ、一定の柔軟姿勢を表明。

 さらに「日米が納得できる方法で解決すべきだ」と述べたが、沖縄県外への移設に関しては、米軍の有事即応能力を維持する観点などから積極姿勢は示さなかった。

 アジア地域を日本、米国、中国、ロシアの戦略的、軍事的権益が交錯する「世界で唯一の場所だ」と指摘。日米同盟が、不安定要因を抱える同地域に重要な役割を果たしてきたと強調した。

社民「グアム」提示へ 17日の普天間移設検討委

2010/02/14 中国新聞ニュース

 社民党は13日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設候補地として米領グアムを軸とする複数案を17日の沖縄基地問題検討委員会(委員長・平野博文官房長官)に提示する方向で調整に入った。国民新党は米軍嘉手納基地(嘉手納町など)への統合を中心に複数案を示す方針だ。ただ、いずれも実現にはハードルが高く、政府が目指す5月末までの決着につながるかは見通せない。

 県外・国外移設を掲げる社民党は「グアムの基地は広く、可能と思う場所はいくつもある」(阿部知子政審会長)としてできる限り多くの機能をグアムに移転したい考え。カマチョ知事は受け入れ困難と表明したが、インフラ整備を進めれば島民の理解は得られるというのが社民党の立場だ。

 普天間飛行場を閉鎖するものの一定期間は緊急事態に限り使用を認めるとの意見もある。しかし「普天間の固定化につながる」(党関係者)との懸念から党の方針とするかは固まっていない。

 このほか海上自衛隊大村航空基地(長崎県)や佐賀空港(佐賀市)なども検討しているが、党内には国内の候補地を挙げることに慎重な意見が根強い。

 国民新党は、普天間飛行場を嘉手納基地に統合し、訓練の一部を自衛隊基地や民間空港へ移す案を提出する。統合の前提として嘉手納基地のF15戦闘機部隊を米軍三沢基地(青森県)に移転し、訓練は関西空港など各地に分散して「嘉手納周辺住民の騒音被害の軽減も図る」(下地幹郎政調会長)としている。

 検討委の10、11両日の視察で受け入れ歓迎を表明した北マリアナ諸島のテニアン、サイパンについても、訓練などの候補地として案に盛り込む方向で調整している。

テニアン案に否定的 普天間移設で官房長官

2010年02月13日 東京新聞朝刊

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、社民、国民新両党が米自治領・北マリアナ諸島のテニアンへの移設を模索している。両党は十七日の政府と与党による沖縄基地問題検討委員会で候補に挙げる構えだが、政府は困惑の色を隠さない。

 テニアンが移設先の候補に浮上したのは、十日に両党幹部が北マリアナ諸島のサイパンを訪問した際、同諸島のフィティアル知事が飛行場機能のテニアン島への受け入れに前向きな姿勢を示したのがきっかけ。

 テニアン島は原爆を投下した爆撃機の出撃地として知られ、現行の米軍再編計画で海兵隊の訓練予定地にもなっている。

 社民党は普天間飛行場の移設先として米領グアムを提示しているが、グアムのカマチョ知事は十一日、視察に訪れた検討委メンバーに「受け入れがたい」と難色を示した。テニアン案は、国外移設を訴える社民党にとってグアム案がつぶれたときの代替案の候補となりつつある。

 しかし、平野博文官房長官は十二日の記者会見で「突然、それが検討案だと言われても分かりかねる」と疑問を示した。テニアン島は沖縄から二千キロ以上離れているため、北沢俊美防衛相は「本当に抑止力が維持できるか」と懸念を示し、政府筋も「移設に十年はかかる」と言い切る。

普天間移設、一層混迷か 「辺野古検討」に社民反発

2010/01/26 中国新聞ニュース

 政府は25日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先に関し、名護市長選でキャンプ・シュワブ沿岸部(同市辺野古)への移設に反対の候補が当選したことを受けても、現行計画を含め検討する方針を示した。「県外、国外」を求める社民党は反発しており、移設先選定は混迷の度を深めそうだ。

 政府、与党の沖縄基地問題検討委員会(委員長・平野博文官房長官)では、2月前半に各党が移設先の具体案を提示する。米国との協議も並行して進める方針だが、米側は現行計画の履行を求める姿勢を崩しておらず、鳩山由紀夫首相が重ねて示す5月末までの決着は不透明さを増している。

 首相は25日夕、記者団に「あらゆる可能性が含まれている。市長選結果は一つの意思と受け止めるが、ゼロベースで臨む」と重ねて強調。岡田克也外相はTBSの番組で「検討委で良い案が出てこないと現行案とか、もっと悪い現状固定になりかねない」と指摘した。背景には短期間で代替案を見いだすのは「ほぼ不可能」(外務省幹部)との危機感がある。

 これに対し、辺野古への移設阻止と普天間の全面返還を掲げる社民党からは反発の声が上がった。福島瑞穂党首は記者団に「現行計画に『ノー』という人が当選した民意は本当に重い。議論に反映させるべきだ」と強調。国民新党の下地幹郎政調会長も「民意を大事にしないのはおかしい。素直に理解できない」と批判、政府、与党内の不協和音が露呈した。

普天間移設は県外が基本 首相表明、時間かけ協議

2009/09/25  中国新聞ニュース

 【ピッツバーグ共同】鳩山由紀夫首相は24日(日本時間25日)、米ピッツバーグ市内で同行記者団と懇談し、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場移設計画について「私のベースの考え方を変えるつもりはない」と述べ、県外移転を前提に移設計画を見直す考えを表明した。

 一方、ゲーツ米国防長官の10月20日来日が固まった。首相や北沢俊美防衛相、岡田克也外相らと会談する予定で、普天間移設問題が最大の焦点となりそうだ。

 首相は移設計画見直しに関し「年内に決めなければいけないかどうかは見極める必要がある。オバマ米政権の関心はアフガニスタンだ」と強調。アフガン支援などを優先的に協議し、普天間移設問題は時間をかけて話し合う意向も示した。

 日米両政府は、普天間飛行場を沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設することで合意している。

 普天間移設に関しては、キャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が「(日本側の意見に)耳を傾けていく」と、協議には応じる姿勢を示している。首相の発言の背景には、移設計画の見直しに米側の理解は得られるとの判断があるとみられる。ただ、米側は沖縄県外移転について「戦略上、認められない」(日米関係筋)との立場は崩しておらず、説得は困難を極めそうだ。

 首相は記者団との懇談でこのほか、亀井静香金融担当相が秋の臨時国会で法制化を目指すとしている中小零細企業対象の返済猶予制度に関連し「産業の礎である中小企業が崩れている。何らかの手だてが必要だ」と指摘。民主、社民、国民新の連立3党間で中小企業支援策を講じる考えを示した。

 群馬県の八ツ場ダム建設中止方針に対しては「(地域住民の)生活再建を含めてできる限り丁寧に結論を出すのが大事だ」と述べ、地元の理解獲得を優先する考えを強調した。

宙に浮く普天間移設 米も衆院選にらみ静観

2009/08/02  中国新聞ニュース

 在日米軍再編の焦点である普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(名護市)移設問題が宙に浮いている。滑走路位置をめぐる沖縄県と政府の溝は埋まらず、民主党は県外や国外への移設を主張。米側は衆院選を念頭に政府との交渉を進めず、静観の構え。沖縄県幹部は「不満がマグマのように募る一方だ」と漏らす。

 「環境影響評価(アセスメント)も大詰めに来ており、日米間のロードマップに沿って進むものと確信している」。河村建夫官房長官は7月31日の記者会見で、普天間移設に楽観的な見通しを示した。

 だが沖縄県の仲井真弘多なかいま・ひろかず知事は、移設先の埋め立て許可に関連し「沖合修正がなければ判を押さない」と滑走路位置の変更を要求。一方、米下院は6月下旬、滑走路の長さが米軍の安全基準を満たしていないなどとして、移設計画の制限を盛り込んだ国防権限法案を可決し、状況はさらに複雑化している。

 政府と沖縄県、地元関係市町村による協議会も、今年は4月に1度開かれただけ。河村官房長官は沖合修正に柔軟姿勢を示したが、具体的な行動は起こしていない。

 米国務省は6月、民主党幹部と非公式に接触し「県外移転は非現実的」と方針転換を促した。しかし民主党の鳩山由紀夫代表は7月19日、沖縄市内の集会で「最低でも県外移転の方向で積極的に行動したい」と重ねて表明。「民主党政権」が実現すれば米政府と再協議する意向を示している。

民主、普天間飛行場の県外移設は変わらず

2009年07月30日 nikkansports.com

 民主党沖縄県連の喜納昌吉代表らは30日、那覇市で記者会見し、同党が主張してきた米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県外移設が衆院選マニフェスト(政権公約)に明記されなかったことに関し「党本部も県外移設の姿勢に変わりない」と強調した。

 新垣安弘県連幹事長は「党幹部から方針に変更ないとの説明を受けた」と説明。「マニフェストに基地問題は米国と交渉すると書かれている」と述べ、政権交代が実現すれば普天間移設問題も米政府と再協議になるとの認識を示した。

 県内移設を容認している仲井真弘多沖縄県知事らには「民主党政権になった場合、地元とねじれていては対米交渉に力が入らない」として、事前の話し合いを求めていることも明らかにした。(共同)

グアム移転に346億円 日米協定に基づき初提供

2009/07/11  中国新聞ニュース

 政府は11日、在沖縄米海兵隊のグアム移転経費の日本側負担分として、初めて2009年度に3億3600万ドル(約346億円)を米側に提供することを決め、米政府とその旨の書簡を交換した。日本側が28億ドルを上限に財政負担すると規定した米国とのグアム移転協定が5月に国会で承認されたことを受けた措置で、資金提供は来年以降も実施される予定。

 ただ米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設の「具体的進展」が条件になっているため、協定で定めた14年までに海兵隊の移転が実現しない可能性もある。その場合はグアムの基地整備だけが日本の協力で一方的に進む形になる。

 外務省によると、今回の負担分は(1)隊舎用地造成などを含む基地内基盤整備事業に3億2090万ドル(2)隊舎などの設計事業に1510万ドル―が充てられ、それぞれ近く着手する見通しという。

 米国防総省も2010会計年度(09年10月―10年9月)の国防予算案に初めて本格的なグアム移転事業費3億7800万ドルを計上。海兵隊移転に向けたグアム側の受け入れ準備を加速させる考えだ。

 普天間移設をめぐっては、沖縄県が代替施設の建設場所を日米両政府合意案より沖合に移すよう強く求め、これに難色を示す両政府との間で綱引きが続いている。

 グアム移転協定は両政府が06年に合意した、海兵隊約8千人の移転を含む在日米軍再編のロードマップ(行程表)を確認する内容。書簡は中曽根弘文外相とズムワルト駐日米臨時代理大使が署名した。

米軍再編促進を明記 グアム移転協定、普天間移設も加速

2009/02/08  中国新聞ニュース

 日米両政府は、在沖縄米海兵隊グアム移転をめぐり新たに締結する協定に、二〇〇六年に合意した「ロードマップ(在日米軍再編行程表)の順守」を明記する方針を固めた。複数の政府筋が七日明らかにした。十六日から三日間の予定で来日するクリントン米国務長官と中曽根弘文外相が協定に署名、再編促進による同盟強化を演出する方向で調整中だ。政府は協定を踏まえ、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)移設作業も加速させる方針。

 政府は「在沖縄海兵隊グアム移転協定」の承認案件を今国会に提出する予定。ロードマップ全体を「政治文書から条約と同レベルの合意に引き上げる」(外務省幹部)ことになり、米軍再編の着実な実施が法的にも求められる。

 ただ、ロードマップには普天間飛行場の移設計画も記載。沖縄県など地元自治体側は、計画を変更し飛行場の滑走路をさらに沖合にするよう主張しており、ロードマップ通りの「一四年の移設完了」は難航必至だ。

 協定はほかに、〇九年度から本格化するグアム移転事業で日本側が財政支出する二十八億ドル(上限)について(1)目的外の使用禁止(2)余剰金が出た場合は日米で扱いを協議―などを規定。「税金の無駄遣い」との批判回避を狙う。

 政府は海兵隊グアム移転関連経費として〇九年度予算案に三百五十三億円を計上。予算案の成立に加え、協定承認案件も早期の承認を目指しているが、民主党などはグアム移転に関し「米軍住宅建設費が高額過ぎる」などと反発している。

再開半年、打開できず 普天間協議で官邸批判も

2008/05/11 中国新聞ニュース

 政府が昨年十一月、難航する米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題を「官邸主導」で解決しようと十カ月ぶりに再開させた県側との協議会が、半年を経ても足踏み状態を続けている。代替施設として名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部にV字形滑走路を建設する政府案に対し、県側が沖合への移動を求めているからだ。

 地元の軟化を狙って矢継ぎ早に打ち出した北部振興策の凍結解除など「太陽政策」も空振りの格好。米政府は沖合移動をかたくなに拒否し、政府内では官邸サイドの見通しの甘さに批判が出始めている。

 「私が官房長官でいる限り、米軍再編に不熱心ということはない」。町村信孝官房長官は九日、官邸を訪れたネグロポンテ米国務副長官に、移設協議の停滞を釈明した。

 防衛省は安倍内閣当時、北部振興策の予算執行や米軍再編交付金を凍結する「アメとムチ」で県側に妥協を迫った。しかし町村氏や二橋正弘官房副長官は、防衛省任せでは解決は困難と判断。譲歩を促すため、今年になって凍結を解除した。

 政府関係者は、七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)でブッシュ米大統領が来日する際の大筋決着を「最短シナリオ」として描いていたという。しかし協議会は四回の会合を重ねても打開の糸口を見いだせず、官邸筋は「もう打つ手はない」とお手上げ状態。シーファー駐日米大使が町村氏に「沖合移動はパンドラの箱を開けるようなもの。米軍が不満を言いだす」と伝え、安易に妥協しないようくぎを刺す場面もあった。

 防衛省幹部の一人は「沖縄に予算措置はしたが、何も進まない。町村氏も解決の難しさにようやく気付いたのではないか」と冷ややかに話している。

米国で勝利した「沖縄ジュゴン訴訟」、那覇でシンポジウム 普天間基地移設問題

2008/04/28 JanJan News 浦島悦子

名護市の米海兵隊キャンプ・シュワブ沖に生息するジュゴンの保護を求め、米国カリフォルニア州で日米の環境保護団体が起こした裁判は、1月末の判決で原告側勝訴となった。この判決を受け4月20日、那覇市でシンポジウムが行われ、今回の勝訴の意義や、市民が今後どう訴訟に関わっていけるかなどが議論された。

 4月20日、那覇市で沖縄ジュゴン「自然の権利」訴訟シンポジウム(環境法律家連盟ほか主催)が、同訴訟弁護団の一員である米国アース・ジャスティス所属のサラ・バート弁護士を迎えて開催された。

 米国カリフォルニア北部連邦裁判所(マリリン・ホール・パテロ裁判長)は今年1月24日(現地時間)、沖縄のジュゴンと地域住民及び日米の自然保護団体が米国防総省と国防長官を訴えていたジュゴン訴訟(2003年年提訴)で、原告勝訴の判決を下した。

 判決は、沖縄県名護市における米軍普天間飛行場代替施設(辺野古新基地)の建設は、他国の文化財(であるジュゴン)の保護をも義務づけた米国の国家歴史保存法に違反していると断じ、法の遵守を命じた。具体的には、被告の国防総省に対し、判決後90日以内に、同施設がジュゴンに及ぼす影響、およびその影響を回避・軽減する方法についての情報を示す文書、さらに、それらに責任を持つ担当者を明らかにする文書を裁判所に提出するよう命じた。原告に対しては、被告の文書提出後45日以内の応答(文書)を保証した。

 今回のシンポジウムは、国防総省側の文書提出期限である4月24日を前に、原告勝訴の意味を広く市民に伝え、原告・弁護団とそれを支える市民が今後どう訴訟に関わっていけるか、ジュゴン保護政策に国際基準を持ち込ませるためにはどんな行動が必要か、などを議論するために開かれたものだ。

日本の環境アセス法では米国家歴史保存法の水準を満たせない

 訴訟の意義と今後の展望について報告したバート弁護士は、「判事は原告団に、国防総省の提出する文書に対応するチャンスを与えた。国防総省は、日本政府だけでなく地元・沖縄からも情報を集める義務があり、集めた情報を法廷だけでなく地元に対しても提供しなければならない。そのうえで彼らは、新基地建設がジュゴンへの影響を避けて実現可能なものであるかどうかを決定しなければならない。それらに対して我々は意見を述べることができる。国防総省が国家歴史保存法の責務を果たすためには日本政府の環境アセス法では不十分だということ、ジュゴンが私たちにとって重要な文化財であることを、我々は法廷で説明できる」と語った。

 「しかし、国家歴史保存法にも弱点がある」と彼女は指摘した。この法律は、充分な情報の開示と協議など「正しい手続き」を求めるものであり、「正しい結果」を求めるものではない。そのため「基地建設を直接ストップさせることはできないが、しかし強力なツールにはなりうる。国防総省は強制的に地元の声を聞かなければならないので、私たちの考えを彼らの評価の中に組み入れさせることができるし、私たちは国防総省の貴重な情報を手に入れることができる」と強調した。

「辺野古アセスはアセスではない!」 桜井国俊・沖縄大学学長

 そのあと、アセス法の専門家である桜井国俊・沖縄大学学長が、「辺野古アセスはアセスではない!」と題して報告。もともと事業者側がやる「アワセメント」と揶揄される法の手続きさえ無視した方法書の大幅修正、海上自衛隊まで動員して強行した事前調査など、多くの問題点を指摘した。

 現在、日本政府が行っている普天間代替施設建設に向けたアセスを、島津康男・元アセス学会会長は「史上最悪のアセス」と酷評し、アセス学会では、こんなものがまかり通るなら日本のアセス法体系自体が崩壊するとの危機感を持っているという。このような日本のアセスの詳細が法廷で明らかになれば、それがジュゴンの保護を義務づけた米国家歴史保存法に合致するか否かは一目瞭然だろう。

今後の見通しについて

 国防総省に対する原告側反論の提出期限は6月9日。弁護団は、1月の判決を受けて日本政府が方法書の修正版を出さざるを得なかったなど、この訴訟が日本政府にとって大きなプレッシャーになっていることを評価しつつ、今後、ジュゴンへの悪影響に関する協議を、その協議対象を含め実質的なものにしていくこと、日本のアセスのでたらめさ、不当性を裁判で明らかにすること、地元での公聴会開催を含め、徹底した情報公開を追及していくと語った。

 バート弁護士によれば、米国地方裁判所の通例から判断すると、原告側の文書提出から約2ヶ月後の8〜9月頃、裁判所が次の決定を下す見通し。この訴訟は国家歴史保存法が国外に適用された初めての例であり、国防総省が直接沖縄に来て公聴会を開くことになれば画期的だ。弁護団は、裁判所がそれを決定する可能性は大きいと見ている。

 国家歴史保存法は、もともと米国先住民の文化や歴史財産を守るために作られた法律で、その後、世界遺産条約の締結に伴い、この条約を実現していくための国内法という性格が加わった。そのため市民の積極的な参加を保証・奨励している。このユニークな米国法を使って、地元沖縄の市民が、ジュゴンの生態や人との係わり、歴史的・文化的価値など、ジュゴンに関するさまざまな情報を集め、今後の訴訟やジュゴン保護に主体的に関わっていけるチャンスが与えられたとも言える。

当事者意識に欠ける米政府・国防総省

 国防総省は24日(現地時間)、裁判所に文書を提出したが、「沖縄タイムス」報道によれば、その中身は日本政府のアセス方法書の抜粋にすぎず、具体策は何も示さなかった。前出の桜井氏は「米国は基地建設とジュゴン保護に責任があると裁判で認定されたにもかかわらず、当事者意識がなく、あまりにもずさんだ」と批判している。このような国防総省の姿勢が、訴訟において彼らを有利にするとは思えない。原告側のきちんとした反論が、次の勝訴を導くだろう。

ジュゴン訴訟 設計、滑走路など検討

2008年04月26日 沖縄新報

 日米の環境保護団体が普天間飛行場代替施設建設予定地の名護市辺野古に生息する国の天然記念物ジュゴンを保護するよう求めた「ジュゴン訴訟」で、米サンフランシスコ連邦地裁が米国国家歴史保存法(NHPA)違反に当たると認めた判決を受け、米国防総省は現地時間の23日、施設建設がジュゴンに及ぼす影響に配慮するために必要な情報をまとめた文書を同地裁に提出した。

 その中で、国防総省は、ジュゴンへの影響を避けるため、代替施設の設計や滑走路、運用について検討する考えを示した。

 文書は、沖縄近海を回遊するジュゴンの歴史・文化的重要性を独自に見直すことを強調。これまで、裁判所に提出した資料に加え、ジュゴンの生態や沖縄近海の海草の分布状況、ジュゴンに直接的に影響があると予想される基地の設計や滑走路、運用などについて検討する、とした。

 検討に必要な情報は、ジュゴンにかかわる日本の組織や専門家、国外の専門機関などから意見を求める。

 日本の環境影響評価(アセスメント)については、環境面では「十分」と評価した上で、NHPAとは違い、ジュゴンを文化的には調査していないことを指摘。日本政府と相談しながら外交ルートを通して情報を集めるとしている。

海兵隊のハワイ移転案浮上 普天間移設遅れへの不満か

2008年04月21日 西日本新聞

 【ワシントン20日共同】在日米軍再編計画の目玉とされる沖縄駐留米海兵隊のグアム移転に関し、一部機能をハワイへ分散移転する案が海兵隊内で浮上していることが、20日までに分かった。ハワイ州選出の下院議員がホームページで明らかにした。

 日米関係筋は「現段階で日本側に計画変更を求めているわけではない」と強調する一方で「米軍内にさまざまな意見があることの表れだ」と指摘。グアム移転の前提となる米軍普天間飛行場移設が、環境影響評価(アセスメント)など日本側の事情で遅れていることへの米側の不満が背景にあるとの見方を示した。

 2006年5月に日米が合意した再編計画には、沖縄の負担軽減などを目的に約8000人の海兵隊のグアム移転、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設などが盛り込まれた。

普天間移設へ工事合意/日米合同委

2008年04月18日 沖縄タイムス朝刊 2面

ハンセン射場施設提供も

 【東京】日米両政府は十七日の合同委員会で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市キャンプ・シュワブ内の下士官宿舎などの工事実施や、キャンプ・ハンセン内で移設される射場などの提供、伊江村地下ダム整備に伴う伊江島補助飛行場の共同使用を合意した。

隊舎移転

 普天間飛行場代替施設建設に伴い、キャンプ・シュワブ内の飛行場建設予定地の西側に、下士官宿舎、倉庫、管理棟、通信機器整備工場、舟艇整備工場の整備実施について合意した。総額約三十八億円。普天間移設に関する工事着工はこれが初めて。着工時期について、防衛省は「準備が整い次第、速やかに実施する」と明らかにしていない。

射場整備

 金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ4」の米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の都市型戦闘訓練施設移設に伴い、「玉突き」で移転される二カ所の訓練施設のうち、西側A地区の施設が完成し、米側に提供することで合意した。今回提供するのは小火器用の射程五十メートルの射場や安全壁、ウェザーシェルター。

ダム建設で共用

 国営かんがい排水事業で伊江村に整備される地下ダムの建設に伴い、水をせき止める堤体などの用地として、伊江島補助飛行場の一部土地約六千六十平方メートルの共同使用に合意。そのほか、ダムの建設作業用地として、工事期間中に限定して約五十万四千九百平方メートルの共同使用も合意した。

普天間移設 ライス司令官、日米合意案が最善

2008年04月15日 琉球新報

 【東京】エドワード・ライス在日基地司令官は14日、東京・千代田区の日本記者クラブで講演し、米軍普天間飛行場代替施設滑走路の沖合移動の可能性について「滑走路の位置などは既に日米両政府の最高レベルで合意しており、軍事的観点からも良い計画だ。完成予定の2014年に間に合うと楽観している」と述べ、日米合意案が最善との考えを示した。日米地位協定については、運用改善で対応すべきと強調した。

 在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の規模や、用途をめぐる日本側からの批判について「日本や地域全体の安全保障にとって良い投資だと考えてほしい。仮に在日米軍がなく、日本が同じだけの防衛装備を独自に購入すると何倍もかかる」と説明。「予算の大半は施設維持に使われている。レクリエーションはほんの少額だ」と適切に消化していると強調した。

 米兵による相次ぐ不祥事について「大多数は良き市民として適切な行動を取っている。数人の人間が取った行動によって、安全保障上の重要な問題を見失ってはいけない」と反米感情の高まりに懸念を示した。

 地位協定の改定については「起訴前の身柄引き渡しを唯一認めるなど、どの国と比べてもホスト(受け入れ)国にとって有利な内容になっている」とし、「必要に応じて運用改善で対応すればいい」と否定的な見方を示した。

普天間移設:県、実務協議の結論尊重

2008年04月13日(琉球新報) Mainichi INTERACTIVE

 米軍普天間飛行場の辺野古移設で仲井真弘多知事が、政府との間で実務者による検討機関を設置した場合、沖合移動の距離に関する検討機関の結論を尊重すると政府に伝えていたことが12日までに分かった。県幹部は「合理的な理由があれば動かすという(政府)方針があれば、後は技術的な問題だ。100メートルなり90メートルで納得できるならそれでもいい」と述べ、政府が沖合移動の姿勢を示すことを前提に、移動の距離にはこだわらない考えを示した。

 その上で県幹部は、移設先の沖合にある平島の位置に言及し、「平島は地域にとって大事な場所だ。地元が納得するように、どの程度どのようにずらしたらいいのか(検討すべきだ)」と述べ、地元の意向を尊重して島にはかからないようにする必要性を示した。

 移動幅をめぐっては町村信孝官房長官が知事に50メートルの移動幅を示したのに対し、知事は200メートル前後を念頭にさらに移動を求めるなど水面下で交渉していた。今回、県側は移動幅の下限を設けない方針を示すことで、政府が協議入りしやすい環境をつくる狙いがあるとみられる。

 仲井真知事は9日の普天間移設措置協議会で、普天間飛行場の3年内閉鎖状態の実現や沖合移動について「技術者、実務家を中心とした(検討)グループをつくってほしい」と要望していた。

 政府案に最も近い長島までは直線距離で約100メートルだが、名護市は平島、長島にかからない範囲で南西方向に数百メートルずらす図面を昨年、政府に示していた。

普天間移設協議会、環境アセスメント推進を確認

2008/04/10 日経ecotomy

 政府と沖縄県などは9日、首相官邸で普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設に関する協議会を開いた。3月から始まった移設先であるキャンプ・シュワブ沖の環境影響評価(アセスメント)を着実に実施していくことを確認。沖縄県などは代替施設の建設計画修正を改めて要請したが、具体的な進展はなかった。

 建設計画の修正を巡っては地元側は代替施設を計画より沖合に移動するよう求めている。沖縄県の仲井真弘多知事は同日、修正に向けて具体的に検討する作業部会設置を念頭に「今後の枠組みと内容で合意することが重要だ」と指摘。ただ、政府側は「具体的な内容を伺った上で検討したい」(高村正彦外相)などと述べるにとどめた。

実務協議へ部会設置も 普天間移設

2008年04月07日 琉球新報

 米軍普天間飛行場移設問題で県が、名護市辺野古への政府移設案(V字形滑走路)の沖合移動を念頭に、建設計画を実務的に協議する作業部会を設置する方向で政府と調整していることが6日までに分かった。 政府と県、名護市などが話し合う普天間移設措置協議会の下部機関として位置付けられる見込みで、早ければ9日の次回協議会で部会設置に向けて確認したい考え。だが会合までに詳細について合意するかどうかは、まだ流動的要素も残っている。

 沖合移動は県と名護市が要求しており、政府側からも最近前向きな姿勢が示されていたが、具体的な協議に向けた動きは初めて。

 部会では、3月に始まった代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)による調査データも踏まえながら協議が進められるものとみられる。

 仲井真弘多知事は公約で、現行の政府移設案には賛成できないと主張している。滑走路を可能な限り沖合にずらすよう求めており、政府が何らかの姿勢を示す必要があると繰り返してきた。

 9日の協議会開催に関連して石破茂防衛相は、沖合移動の扱いについて「特に議題としてあるわけではないが、いろいろな調整がなされると思う」と述べ、部会設置に向けて調整していることを示唆していた。

 政府は従来、沖合移動は困難と繰り返してきたが、2月の前回協議会で町村信孝官房長官が「沖合ということも念頭に置き、できるだけ早い時期に決着が図れるように最大限努力したい」と述べるなど、柔軟姿勢を示しつつあった。

 首相官邸を中心に沖合移動に柔軟な意見がある一方、外務省は依然難色を示しており、政府内の調整が整っていない状況もある。 (滝本匠)

沖縄防衛局、サンゴを本格調査 普天間代替アセス着手

2008年03月18日 琉球新報

 【名護】米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)調査で、沖縄防衛局は18日、移設先の名護市嘉陽沖でサンゴ類の生息調査など本格的な作業を開始した。同日午前10時半現在、約7隻の調査船と警戒船が代替施設建設予定海域の周辺に展開。調査船から潜水士が海中に潜り、サンゴ類や海藻草類の生息調査を行った。代替施設建設に反対する市民団体は船やゴムボートを繰り出し警戒した。

 午前8時半ごろ、同市の汀間漁港を防衛局の調査船と警戒船各1隻が出発し、同市嘉陽沖に向かった。続いて警戒船と調査船、約5隻が出港した。防衛局の船は嘉陽沖50―100メートルの海域に停泊し、潜水士がカメラやボードを手に潜る姿が確認できた。防衛局によると現場海域ではサンゴ類や海藻草類の生息状況調査、リーフ内の生物調査を行う。

 市民団体も抗議行動のため船とゴムボート4隻を出港させたが現場海域は波が高く、調査船に近づけなかったため、辺野古沖調査への抗議行動に備えて警戒するにとどまった。辺野古漁港に設置されたテントにも、建設に反対する約10人が集まり状況を見守った。

 防衛局は14日、アセスメント方法書の確定版を県に提出し、15日から県の許認可がいらない風向や気温などの気象調査、飛来塩分量測定に着手した。

アセス1年遅れ米に伝達 普天間代替で防衛省

2008年03月09日 琉球新報

 米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)のスケジュールについて防衛省は8日までに、米側に対して、計画していた2月までの冬季調査が不可能となったことから、当初予定の2009年7月末までのアセス完了時期が1年遅れる見通しであることを伝えた。アセスの遅れに伴い、埋め立て申請も当初の09年8月から10年8月ごろにずれこみ、次期県知事選挙の数カ月前のタイミングとなる。代替施設の完成自体は工期短縮で日米合意通りの2014年までとしているが、知事選との絡みで埋め立て許可をめぐってさらに遅れる可能性もあり、米軍再編計画の全体にも影響を及ぼしそうだ。

 6日に県内で開かれた米軍再編に関する日米実務者協議の場で日本側が、米側に対して新たなスケジュールを提示し、アセスの遅れなど現状について説明した。

 2月調査ができないことが確定的になり、防衛省は現在実施の事前調査内容をアセスの冬季分調査として読み替えることも検討してきた。だが、県が指摘している方法書を確定させてからの調査で少なくとも1年間の実施が必要と判断した。事前調査結果をそのままアセス調査として組み替えるのは断念した格好だ。

 アセスの調査について防衛省は、2月までの冬季調査に着手し、従来の環境現況調査(事前調査)の結果も取り込む形で、今年8月にアセス方法書の次の段階の準備書を提出する計画だった。

 だが、仲井真弘多知事が方法書の知事意見で不備を指摘して書き直しを要求。防衛省側は知事意見に誠実に対応するとして、本来のアセス手続きでは義務のない「書き直し」に応じ、方法書の一部補完作業に追われた。

 方法書書き直しをめぐる手続き中も防衛省側は、事前調査という形ででも、2月調査に着手したい意向だったが、県側が方法書を確定させてからでないと調査に伴う許認可は出せないとの姿勢を崩さず、2月中の調査ができなかった。(滝本匠)

普天間代替アセス、冬季分の調査断念

2008年02月27日 琉球新報

 米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)に関し、防衛省は冬季分の調査を今冬に行うことを断念した。代替施設完成に間に合わせるため、冬季分の調査を12月まで先延ばしすることは避けたい意向。環境現況調査(事前調査)や既存データの活用で冬季分の調査に代替できないか今後、県と調整する方針だ。しかし県は、事前調査を含め、知事意見にそぐわない方法で実施された調査の結果をアセス準備書に反映することには難色を示す。防衛省のやり方次第では、県や県環境影響評価審査会から厳しい意見が出るのは必至。再び県との関係悪化を招くことも考えられ、今後の移設作業にも影響しそうだ。

 「冬季分の調査の先延ばしは現時点で考えていない。今後どうするかは県と相談しながら決める」。冬季分の調査が今冬にはできなくなることが判明した26日。防衛省の複数の幹部は「県との信頼関係が大事だ」としながらも、今後の移設作業の工程が遅れることに懸念を示した。

■「1日も早く」

 防衛省は本調査の開始や準備書を県に提出する時期について「県の理解、協力を得ながら1日も早く」(防衛省幹部)と明言を避ける。だが現時点でも8月にアセスの準備書を県に提出する考えは変えていない。

 防衛省は昨年12月、事前調査の調査項目を増やすことを県に打診した。本来、アセスの本調査で行う内容を事前調査で実施し、進行を早める思惑があった。だが県はアセス手続きを踏まえない新たな調査は「認められない」(県幹部)と防衛省の要望を退けていた。

 ただ、防衛省は事前調査を始める昨年5月の段階で知事の許可を得ていた調査や、知事の許可を必要としない調査は現在も継続して行っている。

 冬季の事前調査の内容を本調査に代替できるかどうかについて防衛省のある幹部は「できるものもあればできないものもある」とする。事前調査の結果以外にも、環境省や研究機関などが過去に実施した調査のデータも活用し、冬季分の調査に充てたい考えだ。

■認識の差

 冬季分の調査に関し、防衛省幹部は「1日、2日で終わるものもあれば1カ月必要なものもある」と説明。もし県が2月中に許可を出せば数日で終える調査に関しては月内にも行う意向だった。

 別の防衛省幹部は「例えだ」とした上で「2月を過ぎても調査項目によっては水温など冬の条件と同じ日があれば調査はできるかもしれない。いろいろな可能性は検討できる」と先延ばしをしない方向での解決策の模索にこだわる。

 一方、県は、あくまでも本調査と事前調査などは別物という認識だ。県環境政策課の下地寛課長は「知事意見を踏まえ、調査地点数の追加や調査手法の修正がなされたかどうかが重要だ」と指摘。知事意見では、ジュゴンなど複数年の調査の必要性をはじめ調査地点の増加や調査手法の修正など多くの要求があった。

 下地課長はサンゴや藻場の調査を例に挙げ、環境現況調査の地点数では足りない場合、追加的な調査が実施されても、これらの調査時期が異なれば「一般的にはちゃんとした予測・評価ができないと判断される」と“筋論”を強調。「だからこそ調査手法などが決まってから調査をするよう県は求めている」としており、防衛省との認識の差は大きい。(宮城久緒)

ジュゴンへの影響考慮を 普天間移設で米地裁

2008.01.25 MSN産経新聞

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先のキャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部に生息するジュゴンの保護を求め、日米の環境保護団体が起こしていた訴訟で、米サンフランシスコ連邦地裁は24日、米国防総省に対し、移設に際してジュゴンへの影響を考慮するよう要請。同省にジュゴンへの影響を評価する文書を90日以内に提出するよう命じた。

 原告側の事実上の勝訴で、原告の日本環境法律家連盟(名古屋市)の籠橋隆明弁護士は「日本政府も環境影響評価(アセスメント)の手続きをあらためてやり直す必要がある」と指摘した。

 日本の天然記念物ジュゴンが、他国の文化財の保護義務も定めた米国の文化財保護法(NHPA)の対象になるかや、ジュゴンの生息域を脅かす基地建設がNHPAに違反するかどうかが訴訟の争点だった。

 国防総省側は、NHPAは建造物などにのみ適用されると主張したが、地裁は原告側の主張通り、ジュゴンを保護対象と認定。国防総省が移設の際にジュゴンへの影響を考慮しないことは「NHPAに違反する」と指摘した。原告側によると、米国外でのNHPA適用を認める判断は初めて。

 原告はジュゴンネットワーク沖縄(宜野湾市)、生物多様性センター(米アリゾナ州)などで、2003年9月に提訴。訴訟には、ジュゴンが原告として加えられ話題となった。(共同)

アセス終了後に50m沖合へ 政府、普天間移設で修正案

2007年12月17日 中国新聞ニュース

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同名護市)移設問題で、日本政府が沖縄県に対し、V字形滑走路の建設位置を現在の想定より50メートル沖合に修正する意向を伝えていたことが17日、分かった。政府が修正案を示していたことが明らかになったのは初めて。

 ただ、環境影響評価(アセスメント)調査の終了後との条件をつけたほか、沖縄県の仲井真弘多知事が200メートルを逆提案して折り合えず、問題の早期決着につながるかは不透明だ。

 関係者によると、町村信孝官房長官が10月31日、首相官邸で仲井真知事と会談した際、アセスに触れ「手続きを順調に進めさせてほしい。50メートル動かすことを約束してもいい」と提案した。

 政府は2014年までの移設完了を目指し、アセス手続きを09年中に終えたい考え。アセスに関する沖縄県条例に照らせば、滑走路の位置の変更が56メートル未満ならば手続きのやり直しは不要で、計画に遅れが生じにくいといえる。

普天間アセス縦覧開始 県、名護市協力せず

2007年08月14日 琉球新報

 那覇防衛施設局は14日、米軍普天間飛行場移設に伴い名護市辺野古沿岸域で実施される環境影響評価(アセスメント)の方法書を官報と県紙に公告し、那覇市や名護市など県内5カ所で縦覧を始めた。期間は9月13日までの1カ月間。施設局は8月14日から9月27日まで住民意見を受け付ける。県や名護市が縦覧場所の提供に協力せず異例の縦覧開始となった。

 今回の方法書縦覧に伴い、前回のSACO(日米特別行動委員会)による沖合案(2千メートル滑走路新設と207ヘクタールの公有水面埋め立て事業)に関するアセス方法書の廃止も同日付で公告した。

 方法書にはジュゴンや地質調査など各種調査地点も掲載した。調査手法や項目は5月に着手した現況調査(事前調査)とほぼ同じ。施設局は政府移設案に基づく方法書で修正の余地はないと説明しているが、ウミガメの産卵場所やサンゴ類の調査範囲は前回SACOの方法書より広く設定した。

 方法書は冒頭で、政府移設案をめぐる地元との合意形成について、2006年4月の地元自治体との基本合意、同年5月の県との基本確認の経緯を踏まえ「政府は、県、名護市などの関係地方公共団体とさまざまなレベルで協議を行い、それぞれの立場ならびに普天間飛行場の移設に係る施設、使用協定、地域振興などに関するこれまでの協議の経緯を踏まえて閣議決定した」と強調している。

 縦覧場所は、那覇市前島の那覇防衛施設局と金武町金武の金武防衛施設事務所、名護市東江の観光ホテルおおくら、同市辺野古の施設局名護連絡所、宜野座村惣慶のキューピットハイツ1階の5カ所。縦覧は平日午前9時から午後5時まで行われる。

 施設局で閲覧した沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の土田武信副団長は「方法書を出すなら事前調査を撤回してやるべきだ。(計画案も)具体的ではなく説明責任を一切果たしていない。SACOのときより情報公開では180度後退している。建設しないというゼロ案も含めて複数案によるアセス方法書を行うべきだ」と指摘した。

普天間飛行場 見直しルート公表

2007年08月10日 琉球新報

 防衛施設庁は10日、3年前の米軍ヘリ沖国大墜落事故を受けて日米で協議してきた米軍普天間飛行場のヘリコプター発着の場周経路見直しなど危険性の除去策について、同日午前に日米合同委員会で確認した報告書を発表した。基地周辺の場周経路は現状が安全だと確認するにとどまった。飛行場南東側の離着陸経路について、沖縄国際大学を中心とした「住宅高密集度区域」を避けて飛行し、より住宅密度の低い北東側経路を優先使用する。防衛施設庁は「現状で普天間でとり得る最善の措置。知事の3年以内の閉鎖状態への回答でもある。県の理解を求めたい」と説明している。

 報告書は10日、日米合同委員会の下の事故分科委員会が取りまとめ、委員会の承認を得た。施設庁は事故を受けて検討していた内容を、仲井真弘多知事が求めている3年以内の閉鎖状態、危険性除去策への対応として検討したと説明した。

 施設庁の説明によると、日米はヘリの場周経路の再検討を行った結果、現状の高度(330メートル)で緊急時にも飛行場内に帰還できることが可能だと確認した。

 飛行場全体の安全対策措置として離着陸経路も検証。東側経路について米側が2ルート使用している現状を確認。住宅密集地上空の飛行を少なくするため、より密集度の低い北東側経路を優先使用し、南東側経路を使用する際にも、沖国大を中心とした住宅密集区域を避けて飛行するよう設定している。琉球大付近上空も通過する経路となっている。嘉手納基地と結ぶ西側経路は現状のまま。

 発表に先立ち施設局は7日、県と宜野湾市に対し見直し内容を事前に説明した。

普天間移設の修正案拒否。 強気の小池新防衛相に沖縄は

2007年07月07日 東京新聞

 久間失言騒動の火消し役として、再び表舞台に立った小池百合子防衛相。就任早々の記者会見では「最大の課題は在日米軍再編」と強調。地元が提案した普天間移設計画の修正案を拒絶する強気の姿勢を見せた。この対応に現地では失望の声が目立ち始めた。新たな火種も生まれ、迷路の出口は見えない。 (山川剛史、片山夏子)

調査機器がサンゴ損傷 普天間移設の環境調査で

2007/05/21 徳島新聞

 米軍普天間飛行場の移設計画に反対する環境保護団体「ジュゴンネットワーク沖縄」は21日、移設が予定される沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸海域で、国が環境現況調査のため海底に設置した調査機器(サンゴ着床板)により、生きたサンゴの一部が損傷を受けたと発表した。

 同団体の土田武信事務局長によると、沖合約1キロの海底で20日午前、サンゴの産卵状況を調べる着床板を支えている金属製の柱1本が、サンゴに突き刺さっているのを確認。団体のメンバーが水中撮影した。

 また、別の環境保護団体「ジュゴン保護基金委員会」などが21日、那覇防衛施設局に対し、ほかにもサンゴの被害がないか設置状況の点検を申し入れた。施設局側は「事実関係を調べたい」と答えた。

 国は普天間飛行場移設に向け今月18日に開始した環境現況調査で、同海域の112カ所に調査機器を設置。うち39カ所に、サンゴ着床板を設置している。

朝鮮有事、普天間に300機 96年の米公文書で判明

2007年05月03日 中国新聞ニュース

 米軍が1996年、朝鮮半島の有事などに備えて策定した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の使用計画が3日、共同通信が入手した米公文書から判明した。常駐のKC130空中給油機やCH53E輸送ヘリコプターなど約70機に加え、約230機を順次増派。計300機で作戦を遂行する「青写真」が描かれており、同飛行場がアジアにおける「出撃の最前線基地」(軍事評論家の江畑謙介氏)である実態を示している。

 文書は同飛行場の代替施設の性格について、米軍に加え国連軍も活用できる「朝鮮(半島)での紛争への発進地」と表現。昨年の日米合意に基づきキャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部に建設予定の代替施設も、有事には同様の軍事的役割を担うとみられる。

 95年の沖縄少女暴行事件を受け、日米両政府間で普天間返還へ向けた協議が本格化する直前の96年1月23日付の米軍関係メモによると、第1海兵航空団は日米交渉を主導するキャンベル国防副次官補(当時)に対し、同飛行場の機能に関する説明用資料を準備した。(共同)

垂直離着陸機、配備を明記 普天間代替施設に

2007/04/04 中国新聞ニュース

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設を確認した一九九六年十二月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告の草案で、日米両政府が米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレーの代替施設への配備を明記していたことが四日、米公文書や当時の交渉担当者の証言で判明した。沖縄側の反発を懸念した日本が最終局面で反対、オスプレーへの具体的な言及は削除された。

 米国防総省当局者は昨年、海兵隊の次期主力機であるオスプレーの沖縄配備計画を明らかにしているが、何度も墜落事故を起こしており安全性への懸念が指摘される。日本は米側から「具体的な決定をしたという回答はない」としているものの、今回の文書により沖縄配備は九六年当時から「既定路線」だったことが裏付けられた。

 沖縄をはじめ国民への情報公開の在り方をめぐり、日本政府の姿勢も問われそうだ。

 共同通信が入手した九六年十月二十三日付の米軍メモによると、日米の作業部会は普天間飛行場の代替施設の滑走路について約千三百メートルと約八百メートルの二案を協議。米軍はオスプレーを沖縄に配備する考えを表明した。

 日本側は「同機に合う施設受け入れへの理解を(国内で)求める難しさ」を説明。沖縄側と協議するに当たり、同機配備を公表すべきかどうか米側に助言を求めた。

 こうした経緯を受け、最終報告の直前に当たる十一月下旬の草案は「海上施設(代替施設)はオスプレー部隊の配備を支援する」とした。しかし十二月公表の最終報告は「短距離で離着陸できる航空機の運用も支援する」と、オスプレーに関する表記は削除された。

 十一月二十六日の日米協議を記録したメモによると、在日米軍は日本側に同機配備の情報を国内で公表するよう要請していた。交渉を担当したキャンベル元国防副次官補は削除の理由について「日本側が非常に懸念した。特に外務省の懸念が強かった」と語った。

 オスプレーは九○年代以降、たびたび墜落事故を起こし、一時は試験飛行を中断。実戦配備が遅れている。(共同=太田昌克)

14年完了の前倒しを検討 普天間移設で久間長官

2006年12月25日 中国新聞ニュース

 米軍普天間飛行場移設をめぐり、政府と沖縄県など関係自治体が話し合う協議会の第2回会合が25日、首相官邸で開かれ、久間防衛庁長官は、2014年としていた同飛行場の移設完了時期の前倒しを検討する考えを示した。

 同協議会は8月下旬の初会合から4カ月ぶりの開催。次回会合を1月とすることでも一致した。

 久間長官は、キャンプ・シュワブ沿岸部にV字形滑走路を造り移設する日米政府案に理解を求めるとともに「14年より前に完成させることが重要だ」と述べた。

 沖縄県の仲井真知事は、住宅地に近接する同飛行場の危険性を除去するため3年以内に閉鎖状態とすることを求めており、知事選の公約にも掲げた経緯がある。久間氏は、移設前倒しが危険性除去につながるとの考えを示したとみられる。

原則海上ルートで合意 緊急時は住宅上空飛行も

2006/12/04 中国新聞ニュース

 日米両政府は4日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設としてキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)に造るV字形滑走路の運用について、米軍機の着陸ルートに設置する進入灯を2カ所に限定することで基本合意した。

 これにより米軍機の飛行は原則として海上ルートに限られるが、防衛庁は緊急時に住宅上空を飛んで着陸することを容認する立場で、米軍機が進入灯の有無にかかわらず住宅上空を飛行する可能性は残る。

 米側はV字形滑走路の双方向からの進入・着陸を可能にするため2本の滑走路の南北に計4カ所の進入灯を設置するよう要求していた。これに対し日本側が周辺住民に配慮し海上から進入するルートの2カ所にとどめるよう求め、米側が受け入れた。

 都内で同日開かれた在日米軍再編をめぐる日米外務、防衛当局の審議官級協議で一致した。

 複数の防衛庁幹部は「沖縄が心配するようなことにはならない」と明言しているが、名護市など周辺住民は「緊急時」が拡大解釈され、住宅上空飛行が頻発することを懸念しており、今後の課題となりそうだ。

 日本政府は4月、海上だけの飛行にとどめることを条件に名護市とV字形滑走路で合意していた。

1月に2プラス2開催へ 米軍再編とMD推進

2006/12/04 中国新聞ニュース

 日米両政府は四日、来年一月中旬に外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を米国で開く方針を固めた。ラムズフェルド国防長官の辞任などを受け、在日米軍再編の推進とミサイル防衛(MD)システムの早期構築に向けて協力の強化を確認する。

 同時に、ブッシュ米政権が年内にも示す予定の新たな対イラク政策について米側から説明を受ける。来年七月に期限が切れるイラク復興支援特別措置法に基づく航空自衛隊の派遣継続問題に関しても意見交換する見通しだ。

 具体的な日程や開催場所は、ラムズフェルド氏の後継となるゲーツ元中央情報局(CIA)長官が米議会で正式に承認されてから決定する。2プラス2は米軍再編の最終報告を取りまとめた今年五月のワシントンでの開催以来となる。

 在日米軍再編をめぐっては、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部への二○一四年までの移設など、今月中に決まる見通しの施設建設計画(マスタープラン)の着実な実施で合意する見通しだ。

 MDでは、日米同盟がアジアや世界の平和と安全に不可欠との認識を確認。北朝鮮の核実験やミサイル発射を踏まえ、イージス艦発射型の迎撃ミサイル、地対空誘導弾パトリオットの配備加速で一致するとみられる。

普天間移設、柔軟に対応 仲井真新知事 負担軽減条件に

2006/11/20 The Sankei Shimbun

 沖縄県知事選で初当選した前沖縄電力会長の仲井真弘多氏(67)は20日午前、焦点の米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題について、「基地負担の軽減が進むのであれば県内移設もやむを得ない」と述べ、条件が整えば県内移設に応じる可能性があるとの認識を示した。

 仲井真氏は、稲嶺恵一知事の継承を訴えており、日米政府案に対して稲嶺氏が提案した移設先のキャンプ・シュワブ(名護市)沖合に暫定ヘリポート案を設置する案について政府との間で一定の折合がつけば、政府との話し合いを進める構えだ。

 具体的には、移設先での米軍機の飛行時間や回数の制限など「目に見える形での負担軽減が実現する」(与党陣営)ことを条件に、県内移設を認めようという構想だ。

ハンセン移設を新提案 シュワブ兵舎建設で米側

2006/11/13 中国新聞ニュース

 ▽日本拒否、計画に影響も

 在日米軍再編の焦点となっている普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部への移設問題で、米国側がV字形滑走路予定地に近接する兵舎をシュワブ内に新設するのは困難と判断、キャンプ・ハンセン(金武町など)や辺野古弾薬庫(名護市)に移設する案を日本側に提起していたことが十三日分かった。日米関係筋が明らかにした。

 日米協議で取り上げられたことのない新提案のため日本側は拒否している。V字形滑走路をめぐっては、米国側が周辺集落上空を含めた飛行ルートの使用を求め、調整が難航している。さらに兵舎移設問題が加わったことで、普天間代替施設の建設計画策定が遅れるなどの影響が出そうだ。

 航空法は滑走路からの距離や角度に応じて周辺の建築物の高さを規制しているが、在日米軍が使う飛行場は日米地位協定に基づき、航空法の一部規定の適用が除外されている。

 日米関係筋によると、米国側は今年十月の協議で、シュワブ内で候補地となりうる場所に兵舎を新設した場合、飛行の安全性確保の観点から航空法の適用除外が認められる可能性は極めて低いと主張。代替案として(1)シュワブ北側に隣接する辺野古弾薬庫を、より防護能力が高い「高性能弾薬庫」に建て替えてその周辺に兵舎を建設する(2)新設せずにシュワブ内にある他の施設を整理して兵舎を確保できるか再検討する−を提示した。

 ただ米国側は第二案について時間がかかり非現実的とみており、最終的な選択肢としてキャンプ・ハンセンへの移設を持ち出した。

 これに対し日本側は、他基地への兵舎移転は米軍部隊の移動を伴い、建物だけの話では収まらなくなると反論。突然の提案でもあり「これまでの話と違う」と拒否、シュワブ内での兵舎確保を再度検討するよう要請した。

普天間移設案を事実上容認 沖縄知事「沿岸案基本」

2006/05/11 中国新聞ニュース

 額賀福志郎防衛庁長官と稲嶺恵一沖縄県知事は十一日午前、在日米軍再編の最終合意を受け、防衛庁で約二時間会談し、普天間飛行場(同県宜野湾市)移設について、キャンプ・シュワブ(名護市)沿岸案を基本に対応していくことで合意、確認書を交わした。

 稲嶺知事はこれまで従来の名護市辺野古沖移設案以外は認めない考えを表明していたが、対応を大幅に軟化、シュワブ沿岸部移設を事実上容認したものとみられる。政府は米軍再編実施のための閣議決定や実施計画策定など具体化に向けた作業を加速させる。

 防衛庁幹部によると、十一日午後、小泉純一郎首相と稲嶺知事の「トップ会談」が行われた。

 稲嶺知事は額賀氏との会談後の共同記者会見で、確認書に「継続的に協議する」との文言が盛り込まれたことに触れ、「(沿岸案への同意とは)全く違う。この場所を基本に話すということだ」と強調、シュワブ陸上部への暫定的なヘリポート建設など県の考えを今後の協議に反映させる意向を示した。

 確認書は、普天間移設先として沿岸案を基本として(1)普天間飛行場の危険性の除去(2)周辺住民の生活の安全(3)自然環境の保全(4)事業の実行可能性−に留意して対応すると明記、沖縄県側の主張にも配慮した。稲嶺知事は「普天間飛行場の危険除去は沖縄として長年のもっとも重要な課題で、早期に解決する第一歩を踏み出せた。県の要望、考えをしっかり言い、前進することに全力を尽くす」と述べ、確認書を評価した。

 一方、額賀氏は「この確認書を基に沖縄県、名護市、関係町村と誠実に、前向きに、建設的に協議し(代替施設建設の)実現を図っていきたい」と述べた。

基地固定化避け対案提示へ 沖縄県、普天間移設で

2006/05/01 中国新聞ニュース

 米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部移設をめぐり沖縄県は一日までに、在日米軍再編の最終報告後に、使用期限を区切ってシュワブ陸上部に小規模なヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)を建設する対案を示すことを含め、代替施設の固定化を避ける方策を政府に求めていく方針を固めた。

 シュワブ沿岸部移設で同日、米側と最終合意する政府との接点を探りたい考え。ただし県の対案が政府の理解を得られるかは不透明で、拒否されれば厳しい判断を迫られることになりそうだ。

 県はヘリパッド建設を、移設問題とは切り離し、普天間飛行場の危険性を直ちに回避するための緊急措置と位置付ける。陸上部に建設するため周辺海域の環境を破壊する恐れが少ないほか、県幹部は在沖縄米海兵隊の削減が進む将来を想定し「いずれはヘリパッドを使用する必要もなくなるだろう」と指摘する。

 稲嶺恵一知事は米軍再編の最終報告を受け、二日にも県の対応を発表する予定。その中で日米合意案について「県のスタンスと相いれない」などとして、普天間飛行場の沿岸部移設には同意できないとの見解を示すとみられる。

 ただし政府との協議には応じる方針。「何らかの考え方を新たに示さなければ、膠着(こうちゃく)状態に陥る。そういう事態は避けたい」(県幹部)として、額賀防衛庁長官や小泉純一郎首相との会談が設定されればヘリパッド建設案などを示していく意向だ。

沖縄県知事との会談模索 首相、円満解決を指示

2006/04/10 中国新聞ニュース

 小泉純一郎首相は十日昼、首相官邸に額賀福志郎防衛庁長官を呼び、沖縄県名護市と合意した米軍普天間飛行場移設の修正案に稲嶺恵一知事が反対していることに関し「稲嶺知事によく事情を説明し、円満に解決するよう努力してほしい」と指示した。首相はこの後、官邸で記者団に「いずれ知事と胸襟を開いて話し合うことができればいい」と述べ、トップ会談による決着を模索する考えを表明した。

 首相は額賀氏との会談で、米軍再編をめぐる日米間協議で残された課題となっている在沖縄米海兵隊のグアム移転費用負担問題に関し「日本が応分の負担をするのは当然だ。国民を説得できる形にしてほしい」と求めた。

 これに関連し、額賀氏は十日午前のNHK番組で「(米側と)最終合意をすれば政府は新しい閣議決定をする。その際に知事と十分議論し、理解を得ることができると思っている」と述べた。

 米軍再編協議は都内で十三、十四両日に開かれる大詰めの日米審議官級協議を経て、四月中の最終報告取りまとめが見込まれている。額賀氏の発言は最終報告前に県の同意を得ることは困難なものの、この報告で在沖縄米海兵隊移転など沖縄の基地負担軽減が確実になれば、閣議決定前に知事の姿勢が軟化するとの期待感を示したものだ。名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部での代替施設建設には、知事が許可権限を持つ海面の埋め立てが必要になる。

 また額賀氏は海兵隊グアム移転に関し「かつて湾岸戦争で一兆円、イラク復興支援で五千億円余りを税金から支出している。今度は日本人、沖縄県民のために負担軽減しようということだ」と述べ、応分の負担への国民の理解を求めた。

普天間移設 V字滑走路で合意 名護市長、新提案受け入れ

平成18(2006)年04月08日 The Sankei Shimbun

 額賀福志郎防衛庁長官と沖縄県名護市の島袋吉和市長は七日、防衛庁で米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設案修正をめぐり再協議し、同庁は、辺野古などの集落に米軍機の飛行ルートがかからないようにするため、滑走路をV字の形で二本設置する新たな修正案を提示。市側もこれを受け入れ、合意に達した。普天間移設問題が事実上、決着したことで、在日米軍再編に関する米政府との最終合意へ向け、大きな障害が取り除かれることになる。

 額賀長官と島袋市長は修正に関する基本合意書に署名。合意書は(1)(米軍機の)飛行ルートは辺野古、豊原、安部の三地区の上空を回避(2)周辺住民の生活の安全、自然環境の保全、実行可能性に留意−と明記した。

 合意後、共同記者会見に臨んだ額賀長官は「名護市と周辺町村の要望を満たすため、二本の滑走路を使い、環境や実行可能性も追求した」と説明。島袋市長は「住民の上空を飛行しないとの原則を曲げずに主張し、合意に達した」と強調した。

 普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ(名護市)の沿岸部に移設する政府案に対し、名護市は米軍機の飛行ルートが三つの集落上空にかかるとして、住民の安全と騒音の観点から反対してきた。これに配慮し額賀長官は先月二十一日に始まった市側との協議で、滑走路の角度を反時計回りに一〇度ずらした微修正案を打診したが、島袋市長は代替施設の建設場所を海側に大幅修正するよう要求し、協議は難航していた。

 このため、額賀長官は七日の協議で、宜野座村の松田集落も含め、すべての集落の上空が飛行ルートにかからないよう、政府案では一本となっていた滑走路を二本に増やし、V字の形とする案を新たに提示した。上方の滑走路は着陸用、下方に増設する滑走路は離陸用となる。滑走路の増設に伴い、代替施設全体の面積と海上の埋め立て面積が増える。

 合意を受け、小泉純一郎首相はこの日夜、首相官邸で記者団に「良かった」と語った。額賀長官は、八日に上京する沖縄県の稲嶺恵一知事と会談する予定だが、稲嶺知事は、辺野古沖計画(平成十一年閣議決定)以外は容認しない姿勢を変えていない。

普天間移設 秘策V字亀裂回避 名護市受け入れ 日米合意なお課題

平成18(2006)年04月08日 The Sankei Shimbun

 在日米軍再編をめぐる大きな焦点の一つだった米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題は、政府の「V字滑走路」という“秘策”によって事実上、決着した。地元との調整が難航し不信感を強めていた米側との間に亀裂を招く、という最悪の事態は回避され、大きなハードルを越えた。ただ、他の自治体の同意取りつけや、沖縄海兵隊のグアム移転に伴う経費負担問題など、なお課題は山積している。

 V字滑走路は、防衛庁の額賀福志郎長官と守屋武昌事務次官が温めてきた「秘中の秘」(防衛庁幹部)だった。

 額賀長官はこの構想を先月中旬、安倍晋三官房長官と麻生太郎外相に内々に示し、「落としどころはこれしかない」と漏らしていたという。今月六日夜には、名護市との同意取りつけに「二人とも自信満々だ」(同)との観測も庁内には流れていた。

 V字滑走路は折衷案の最たるものでもある。沿岸案の「原型」はとどめつつ、海側への大幅な移動を求めてきた名護市の意向に沿い、沖合方向に、V字の下の部分にあたる滑走路を増設。二本の滑走路を離陸、着陸用に使い分けることで、名護市と宜野座村の集落上空を米軍機が飛行するルートを回避する措置をとった。

 建設費が増えるなどの問題があるほか、従来の辺野古沖計画以外は認めない立場である沖縄県の稲嶺恵一知事の抵抗も予想される。だが、政府は「地域住民の安全を重視した結果だ」(額賀長官)として突っぱねる構えだ。

 今回の合意成立により、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)開催と、在日米軍再編に関する最終合意に弾みがついたことも確かだ。

 しかし、さらなる政治決断を求められるハードルが待ち受けてもいる。日米協議では、海兵隊のグアム移転に伴う経費負担が焦点だ。総額百億ドル(約一兆千七百五十億円)の75%の負担を日本に求める米側に対し、日本は約30%を融資方式で拠出する案を提示しており、溝は埋まっていない。

                   ◇

 【合意のポイント】

 一、辺野古、豊原、安部各地区の上空の飛行ルートを回避。滑走路をV字形に二本建設。

 一、政府のキャンプ・シュワブ沿岸部移設案を基本に(1)周辺住民の生活の安全(2)自然環境保全(3)実行可能性−に留意。

 一、防衛庁、関係自治体は合意をもとに建設計画を継続的に協議し、結論を得る。

 一、平成十四年七月の「代替施設の使用協定に係る基本合意書」を踏まえ、使用協定を締結。

                   ◇

 ■普天間移設問題の経過

 平成

 7年 9月 米兵による少女暴行事件

 8年 4月 橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使(いずれも当時)が普天間飛行場返還で合意発表

   12月 沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)最終報告。普天間移設先として沖縄本島東海岸沖への海上基地建設で合意

 9年12月 名護市民投票で基地反対が過半数▽比嘉鉄也名護市長(当時)が基地受け入れ、辞任表明

 11年11月 沖縄県が移設候補地に名護市辺野古沿岸域を決定

    12月 政府が移設場所を県の決定通りに閣議決定

 14年 7月 政府と沖縄県が、辺野古沖の環礁上に埋め立て工法で軍民共用空港を建設する基本計画で合意

 15年 2月 日米事務レベルの米軍再編協議が実質スタート

    11月 ラムズフェルド米国防長官が普天間飛行場を視察、早期移設を指示

 16年 8月 普天間飛行場に隣接する沖縄国際大に米軍ヘリが墜落

     9月 辺野古沖で海底ボーリング調査着手▽ニューヨークで日米首脳会談。米軍再編で抑止力維持と地元負担軽減の基本方針を確認

 17年10月 日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、普天間移設先をキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部とする米軍再編の中間報告▽稲嶺恵一沖縄県知事が新移設案の拒否を表明

 18年 1月 名護市長選で政府との移設協議に柔軟な島袋吉和氏が初当選

   4月7日 額賀福志郎防衛庁長官と島袋名護市長が会談し、滑走路2本建設で合意

普天間修正、合意得られず26日に再協議

2006/03/26 中国新聞ニュース

 額賀福志郎防衛庁長官は二十五日夜、沖縄県名護市の島袋吉和市長と都内のホテルで約二時間会談、米軍再編に伴う普天間飛行場(同県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部への移設案修正問題について協議したが、合意は得られず、二十六日午前十時から防衛庁で再協議することになった。

 額賀氏は会談後、記者団に「まとめる方向で議論しているが、お互い納得し合っているわけではなく(立場の違いは)縮まっていない」と述べた。

 普天間移設問題では、自民党の山崎拓前副総裁が三月中旬、沿岸案を約二百メートル沖合にずらす修正案を地元自治体関係者に提示。従来四百メートル以上の沖合への移動を求めていた名護市も歩み寄る姿勢を見せている。

 島袋市長によると、二十五日の協議で額賀氏から具体的な修正提案はなかった。一方、額賀氏は「今の段階で具体的に話すことはできない」と明言を避け、名護市の大幅修正要求については「受け入れられない。それは名護市も分かっている」と指摘した。

 政府は日米両政府が昨年十月に合意した沿岸案を基本に、「実現可能な案」ならば「微修正」に応じる方針。

 これに先立ち、島袋市長は那覇市で、稲嶺恵一沖縄県知事と会談、移設案の大幅修正を求める方針を基本に政府側との協議に臨む立場を説明。稲嶺知事は「沿岸案反対で、今後も連携していきましょう」と強調した。

 同市長は市役所で市議会与党議員団とも会い、沖合へ大幅にずらす修正提案が額賀氏サイドからあれば、前向きに検討する方針を確認した。稲嶺知事も上京し、二十六日にも額賀氏と会談する方向。

200メートル沖合変更案が浮上 普天間飛行場移設

2006/03/24 中国新聞ニュース

 在日米軍再編に伴う米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、自民党の山崎拓前副総裁がキャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部移設案から約二百メートル沖合にずらす修正案を地元自治体関係者に示していたことが二十四日、明らかになった。

 名護市は「(代替施設の飛行ルートが豊原区など)地元の二つの集落にかからなければいい」(幹部)と歩み寄る姿勢を示しており、二十五日から再開する額賀福志郎防衛庁長官と島袋吉和名護市長との会談で、修正幅を焦点に大詰めの協議が行われる見通しだ。

 関係者によると、山崎氏は三月中旬に沖縄本島北部の町村長と会談。キャンプ・シュワブの陸上部分から滑走路建設工事を進めることができる位置を念頭に「二百メートルまでの修正なら可能だ」と説明したという。

 島袋市長は二十二日の額賀氏との会談などで沿岸案の四百メートル以上沖合への修正を求め、「住宅の上空を(米軍機が)飛ぶことが、安全性と騒音の面で一番問題だ」と指摘していた。

 防衛庁には、約二百メートル沖合への修正について「常時、立ち入り禁止の米軍提供水域のエリア内なら検討する余地はある」(幹部)との一部意見がある。

 稲嶺恵一沖縄県知事は二十四日の記者会見で名護市が建設位置の修正案を受け入れても容認できないとの考えを示している。

 山崎氏は二月初めから頻繁に沖縄を訪問し、稲嶺知事や沖縄本島北部の自治体関係者らと接触を重ねていた。

実現可能なら微修正も 首相と防衛庁長官

2006/03/21 中国新聞ニュース

 小泉純一郎首相は二十一日午前、額賀福志郎防衛庁長官と首相公邸で会談した。米軍再編に伴う米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部への移設案について、政府案を原則に地元と協議を進めることを確認した。ただ「一センチたりとも譲らないわけではない」として、実現可能な案ならば微修正には応じることで一致した。

 首相は地元との調整を額賀氏に一任。額賀氏は首相との会談を踏まえ二十一日夜に名護市側と協議する考えを表明した。名護市の島袋吉和市長が同日、上京する予定。

 再編協議は二十三日から都内で、日米両政府の外務、防衛当局による審議官級協議が開かれる予定で、首相と額賀長官は事前に政府側の対応を確認した。

 もう一つの焦点である、在沖縄米海兵隊のグアム移転経費の負担問題に関し米側が総額約百億ドルのうち75%を日本に負担するよう求めている問題でも意見交換したとみられる。

沿岸案の「微修正」も/普天間移設で与党幹部

2006/03/19 四国新聞社

 自民党の中川秀直政調会長は19日のNHK報道番組で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部移設案を修正する可能性について「基本方針は変えないが、地元と誠心誠意の調整努力をする中で何らかの修正はあり得る」と述べ、名護市などとの協議の中で「微修正」もあり得るとの認識を明らかにした。公明党の井上義久政調会長も同調した。

 同沿岸部移設案に関しては、小泉純一郎首相が17日、日米両政府の中間報告に盛り込んだ沿岸案を修正しない考えを表明。一方、米政府や名護市ではキャンプ・シュワブの辺野古沖の海上を埋め立てる案を主張する声が根強い。

稲嶺氏、沿岸案容認できず 官房長官と会談

2006/03/10 The Sankei Shimbun

 沖縄県の稲嶺恵一知事は10日昼、首相官邸で安倍晋三官房長官と会談、沖縄の普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部移設案について「長い間の積み重ねがあり容認できない」と述べ、反対の意向を重ねて表明した。

 在沖縄米海兵隊のグアム移転については「一定の評価をしている」と述べた。その上で「沖縄県は日米安保を認める立場で、誠意をもって(政府との)話し合いには応じる」との考えを伝えた。

 これに対し安倍氏は「地元に対して、以前から誠意をもって対応してきたし、これからもそうする」と述べ、粘り強く地元に沿岸部移設案への理解を求めていく考えを強調した。

 稲嶺氏は9日に上京し、額賀福志郎防衛庁長官、小池百合子沖縄北方担当相、武部勤自民党幹事長と相次いで会談、沿岸案に反対していく方針を伝えた。

防衛施設庁長官、普天間移設で沖縄県知事に理解求める

2006/03/04 The Sankei Shimbun

 防衛施設庁の北原巌男(きたはら・いわお)長官は4日、沖縄県庁で稲嶺恵一(いなみね・けいいち)知事と在日米軍再編問題について会談し、「なんとしても早く米軍普天間飛行場の返還を図りたい」と述べ、同飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)移設についてあらためて理解を求めた。

 稲嶺知事は、従来の名護市辺野古沖合移設計画を市や地域住民と協議しながら進めてきた経緯を踏まえ「沿岸案は容認できるものではない」と反対の立場を強調した。

 北原長官は在沖縄米海兵隊の兵力削減について日米で詰めの協議をしていることを説明。稲嶺知事は「(再編案の)トータルでは、一定の評価をするものもある」と応じた。

 北原長官はこの後、島袋吉和名護市長らにも、沿岸案について理解を求める。

名護市長選/「普天間」の転機になるか

2006/01/24 神戸新聞

 在日米軍再編の行方を左右するとして注目された沖縄県名護市の市長選で、自民、公明両党の推薦を受けた元市会議長の島袋吉和氏が初当選した。

 この選挙結果を受けて、政府内には米軍普天間飛行場移設案の受け入れへの足がかりができたとする空気が広がっているようだ。安倍晋三官房長官は「われわれが進めてきた米軍基地再編が評価されたと受け止めている」という談話を発表し、額賀福志郎防衛庁長官も「建設的な話し合いをしたい」と期待を示した。

 たしかに、島袋氏は政府との移設協議には柔軟な姿勢を示してきた。きのうの記者会見でも「地元が納得できるものであれば応じる」と発言している。

 しかし、これで暗礁に乗り上げた普天間基地移設問題が一気に打開できると期待するのは楽観が過ぎるだろう。新市長が協議に応じる前提としている内容は、政府の思惑と一致していないからだ。

 第一に、日米両政府が合意し、昨年秋の中間報告に盛り込まれたキャンプ・シュワブ沿岸部への移設案には反対の立場だ。きのうの記者会見でも、沿岸部案については「稲嶺恵一・沖縄県知事とも歩調を合わせて反対していく」と述べ、あらためて反対の立場を表明した。

 第二に、島袋氏が検討できるとの認識を示しているのは、海上埋めたて案を修正した場合だ。滑走路を短縮し、沖合にずらす案などが念頭にあるようだが、昨年の日米協議で米国の浅瀬案を日本が拒否し、現在の沿岸部案になったという経緯があり、政府としては逆戻りしにくいというのが本音だろう。

 島袋氏は選挙戦では、基地問題にはほとんど触れず、県北部の振興策の継続、発展を訴える戦術を取った。こうしたことから、政府は振興策の上積みで歩み寄りを探る意向のようだが、沿岸案の修正なしでは話は進むまい。島袋氏は「騒音など地域住民に著しい影響を与えない」ことが、地元が納得する基本としているからだ。

 名護市では普天間飛行場の代替施設受け入れをめぐって、一九九七年の市民投票以来、賛成派と反対派が対立してきた経緯がある。今回の市長選が過去最低の投票率にとどまったのは、長い対立の疲労感の表れと読み取るべきだ。

 政府は、こうした地元の実情を十分くみ取る必要がある。中間報告までにみせた頭越しの姿勢では、名護市長選をきっかけに在日米軍再編問題を解決するというシナリオは成り立たないだろう。

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