TOPIC No.2-57-2 沖縄/普天間基地移設(2000年-2005年度)

普天間で沖縄に理解要請 北朝鮮に核の先行放棄迫る

2005/11/09 The Sankei Shimbun

 ブッシュ米大統領は8日、週明けからのアジア歴訪を前にホワイトハウスで日本、中国、韓国の一部メディアと会見し、在日米軍再編の中間報告について「前向きな進展だ。日米同盟の強さを示している」と述べ、米軍普天間飛行場移設に反対している沖縄県など地元に理解を要請。北朝鮮核問題では、完全核放棄を確認した後に軽水炉提供を協議できると指摘、これが第4回6カ国協議の共同声明に対する「われわれの解釈だ」と述べ、核の先行放棄を北朝鮮に強く迫った。

 中国の台頭など東アジアの安全保障環境が大きく変化する中、大統領は米軍再編を着実に推進すると同時に、地域安保の最重要課題である「朝鮮半島の非核化」の実現に向け全力を挙げ、地域の安定化に関与していく決意を示したといえる。

 大統領は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝による日中、日韓関係の悪化について言及。「過去の出来事の結果として大きな緊張があることを理解している」と述べ、今回の歴訪でそれぞれの首脳に未来志向の対話を促す考えを示した。

 北朝鮮の国情に絡み飢餓の進行や強制労働キャンプに「憂慮している」と表明、「飢餓への対処は指導者の責任だ」と金正日総書記を批判した。

 鳥インフルエンザが人で世界的に大流行する恐れについてあらためて懸念を示し、北京での胡錦濤国家主席との会談で、重要議題として取り上げる方針を表明。

 経済面では、市場実勢を反映した人民元制度への改革継続や、米国製品に対する中国市場の一段の開放を通じた貿易不均衡の是正を胡主席に要請する考えを示した。(共同)

普天間移設、12年までに実現 米高官述べる

2005/11/09 中国新聞ニュース

 【ワシントン9日共同=米島雅孝】ローレス米国防副次官は八日、共同通信などとのインタビューに応じ、在日米軍再編をめぐり、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設と、米海兵隊約六千人のグアム移転など再編計画全体について、二○一二年までに実現を目指すことで日米両政府が大筋合意済みであることを明らかにした。日本側と具体的な期限を設定することで、これまで順調に進まなかった普天間飛行場移設などを軌道に乗せたい米側の強い意思があらためて示された形だ。

 ただ、沖縄県の稲嶺恵一知事が普天間移設案に反対を表明するなど、自治体や地元住民からは反対の声が相次いでいる。海兵隊のグアム移転費の日本側負担と合わせて、今後論議を呼ぶことは避けられない情勢だ。

 ローレス副次官は日本側が一部負担を検討しているグアム移転費用に関連し、一部で伝えられている約三十五億ドル(約四千百億円)とする試算は根拠が乏しく、実際は大幅に上方修正されることを示唆。再編後の沖縄の米海兵隊については約一万一千人になるとの見通しを示した。

 副次官は、十月末の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で発表したのは合意文書であり、「中間報告ではない」と主張。来年三月にまとめる文書も最終報告ではなく、個別の実施合意になると説明した。

 普天間飛行場に関し、同副次官はキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部の施設工事に三、四年、それに先立つ環境影響評価も含めて計六年間での移設を想定。実現できない場合には、米海兵隊の「移転規模が劇的に縮小し、ペースも遅くなる」と指摘した。

 さらに同副次官は「日本政府が実現できる自信があるというので提案を受け入れた。われわれはそれを信じる」と強調。また、米海兵隊のグアム移転費について二、三カ月間でより詳しい試算をまとめたいとの意向も示した。

米軍再編案容認できず 沖縄、神奈川知事が直談判

2005/11/07 中国新聞ニュース

 沖縄県の稲嶺恵一知事は七日午前、安倍晋三官房長官と首相官邸で会談し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先がキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部に変更されたことを「容認できない」と反対の意向を表明した。

 神奈川県の松沢成文知事も、防衛庁で額賀福志郎防衛庁長官と会い、米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間(相模原、座間両市)への移転などを「三重、四重の負担増で到底承服できない」と撤回を求めた。

 日米両政府が在日米軍再編の中間報告で合意し、小泉改造内閣が発足した後、知事が関係閣僚と会うのは初めて。今後、中間報告の具体化をめぐる政府と地元の調整が本格化する。

 安倍氏は稲嶺知事に対し、額賀防衛庁長官が八日に沖縄を訪問、県などと意見交換することを伝えるにとどめた。これに先立ち、稲嶺氏は小池百合子沖縄北方担当相と会談、沖縄振興開発金融公庫の存続を要請した。小池氏は「公庫の役割を見直し、どうやって沖縄に必要な金融機関を残していくか考える良い機会だ」と述べた。

 額賀氏は松沢知事との会談で、「地元の意見をくんで最終報告に向けて協議していく」と強調した。

中間報告見直しに否定的 在日米軍再編で国防長官

2005/11/02 中国新聞ニュース

 【ワシントン1日共同】ラムズフェルド米国防長官は一日の記者会見で、在日米軍再編の中間報告は「両政府が結んだ取り決めで、終わっている」と述べ、来年三月の最終報告に向け、今後見直しの余地は少ないとの考えを示唆した。

 日米安全保障協議委員会(2プラス2)でまとめた中間報告をめぐり、関係自治体から反対の声が上がっている。国防長官の発言は、地元の意見を最終報告に反映することは難しいとの見方を示した形だ。

 中間報告に対しては、日米両政府が合意した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部移設に稲嶺恵一・沖縄県知事が受け入れ拒否を表明するなど波紋が広がっており、今後の調整は難航が必至だ。

 国防長官は在日米軍再編が「日米双方の利益になる」と強調。沖縄の米海兵隊「数千人」を沖縄県外に移すことや、自衛隊との基地の共同使用を例に挙げた。

沖縄知事、移設を拒否 普天間飛行場問題

2005/10/31 中国新聞ニュース

 沖縄県の稲嶺恵一知事は三十一日午前、在日米軍再編協議の中間報告の説明に訪れた防衛施設庁の北原巌男長官と会談し、米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部への移設について、受け入れを拒否する考えを伝えた。

 会談は非公開で行われた。関係者によると、稲嶺知事は同飛行場の県外移転を求める県民の声が強いことなどを踏まえ、名護市沿岸部への移設は「到底容認できない」と述べた。

 さらに、地元住民の反対運動や環境に与える影響が大きいことを指摘。「この移設では、普天間飛行場の早期返還にはならないと考えている」として、政府に計画の再考を求めた。

 二○○二年に政府が決定した名護市辺野古沖への移設計画が今回見直されたことについても、政府や県、名護市で協議を続けてきた経緯に触れ、政府の方針転換に不満を示したという。

 北原長官は会談後、記者団に「大変厳しいご意見、ご指摘があった。誠心誠意、ご理解を得るべく努力したい」と語った。稲嶺知事は同日午後、記者会見し、拒否の理由などについて説明する。

 北原長官は知事に続き、名護市の岸本建男市長ら自治体関係者を訪問。岸本市長も、知事と同様に移設を拒否するとみられる。

沖縄海兵隊、7000人削減 司令部要員のグアム移転で

2005/10/29 The Sankei Shimbun

 訪米中の大野功統防衛庁長官は28日夜(日本時間29日昼)、記者団に、在日米軍再編に伴う沖縄駐留米海兵隊員の削減数を7000人規模に拡大することで米側と合意したことを明らかにした。

 米第3海兵遠征軍司令部(沖縄県うるま市)のグアム移転によるもので、これまでは4000人規模とされていた。司令部要員と支援要員のほとんどがグアムに移り、約1万7000人とされる現在の沖縄米海兵隊員が1万人程度に減る。ただし歩兵や砲兵など実戦部隊は削減されない。

 また政府は、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)移設先の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への変更に伴い、代替施設の軍民共用化が白紙になったことを受け、那覇空港の滑走路を1本増設する方向で検討に入った。政府筋が明らかにした。

 いずれも普天間飛行場の県内移設などに地元の理解を得る狙いがある。

 那覇空港は現在の滑走路に並行して、海側に新滑走路を建設することが検討される見通し。

 また那覇空港の滑走路を共用している航空自衛隊那覇基地の訓練の一部を、米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)に移転して実施することで日米間で合意した。

 両政府は陸上自衛隊第1混成団(司令部・那覇市)の訓練の一部を米軍キャンプ・ハンセン(金武町など)で行うことでも既に合意している。(共同)

シュワブ活用案で日米合意 再編の中間報告概要固まる

2005/10/26 中国新聞ニュース

 日米両政府は二十六日、在日米軍再編で焦点の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先見直しについて、米軍キャンプ・シュワブ(名護市)の兵舎地区を活用し、一部海域を埋め立てる案で合意した。町村信孝外相と大野功統防衛庁長官が同日午後、米側交渉責任者のローレス米国防副次官と都内で会談し、確認した。

 これにより米側が「パッケージ」と位置付ける沖縄の基地負担軽減策を含む在日米軍再編に関する中間報告の概要が固まった。二十九日にワシントンで開く外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、自衛隊と米軍の役割分担と合わせて決定する。

 沖縄の負担軽減では、米第三海兵遠征軍司令部(うるま市)のグアム移転などで約四千人規模の海兵隊削減となる。

 普天間移設で、米側は現行計画を縮小した「浅瀬案」を提案、日本側は沿岸案を主張していた。合意した案は兵舎地区を中心に、名護市の辺野古浅瀬と大浦湾にまたがる形で全長約千八百メートル。日本側は千五百メートル規模を求めたが、米側の要求を受け入れた。日本側は環境への影響を考慮し大浦湾側だけに海上部分を突き出すよう求めたが、米側の要求を受け入れた結果、辺野古浅瀬側にも突き出す形となった。

 沖縄関連では、牧港補給地区(浦添市)と那覇軍港(那覇市)を全面返還し北部のキャンプ・ハンセン(金武町など)かキャンプ・シュワブに集約。キャンプ瑞慶覧(宜野湾市など)の大半、キャンプ桑江(北谷町)の一部を返還する。

 普天間の空中給油機は海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)に移駐。米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)のF15戦闘機の訓練を九州の自衛隊基地に一部移転する方向。

 このほか(1)米陸軍第一軍団司令部を改編してキャンプ座間(神奈川県)に移転(2)米軍横田基地(東京都)に航空自衛隊航空総隊司令部(同)を移設(3)米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊を米軍岩国基地(山口県)に移転−などが柱となる。

普天間移設、米が修正案を提示 陸上に一部施設を建設

2005/10/25 The Sankei Shimbun

 在日米軍再編協議の焦点となっている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先見直しをめぐり、米側が同県名護市辺野古の浅瀬を埋め立てる「浅瀬案」について、施設の一部を近くの米軍キャンプ・シュワブの陸上部分に建設する修正案を示したことが25日、分かった。

 既に修正案を提示した日本側に米側も歩み寄った形で、都内で24日再開した日米審議官級協議で25日にも決着する可能性が出てきた。

 日本側はキャンプ・シュワブの兵舎地区と一部海域を埋め立てる「沿岸案」に加え、米側との妥協を探るため、滑走路の向きを変えるなど兵舎地区への影響を最小限にとどめる修正案を提示。米側の修正案は大半が海上部分になるため、日本側は環境への影響が大きいとして再考を求める。

 両政府は25日も協議を続行。29日にワシントンで予定される外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)での中間報告とりまとめに向け合意を目指す。

 細田博之官房長官は25日午前の記者会見で、協議について「若干の違いはあるがかなり近寄ってきている」と強調。大野功統防衛庁長官も会見で「だんだん差は縮まっている。お互いの理解が進んだ」と述べた。

 大野氏は同時に、中間報告に盛り込む米軍再編の具体案について、非公式に関係自治体への打診を開始したことを明らかにした。(共同)

歩くサンゴ? 巻き貝と一緒に移動 沖縄・大浦湾

2005年10月24日 asahi.com

 巻き貝の殻にくっついて一緒に移動するサンゴが、沖縄県名護市の大浦湾にいる。インドから日本の近海に分布するキクメイシモドキ。巻き貝は本州中部から熱帯の海にすむスイショウガイ。セットでの生息は世界的にも珍しいという。

 巻き貝に付着しているのが見られたのは、川から流れ込んだ細かな土砂が砂泥層となって堆積(たいせき)する水深約4メートルの海底。キクメイシモドキは岩や石に付いて群体をつくるため、本来は生息に向かない環境だ。名桜大(名護市)の西平守孝教授(生態学)によると、「ひっくり返っても短時間で起きあがるスイショウガイに付いていれば、泥に埋まる心配もない。だから、泥の上まで生息範囲を広げられた」という。

 西平教授が約10年前に実施した現地調査では、342個のスイショウガイ(成体)の1割にキクメイシモドキが付いていた。

 大浦湾は米軍キャンプ・シュワブに隣接。普天間飛行場(宜野湾市)の移設案の一つである「沿岸案」では、代替施設の一部が湾にかかるため、生態系への影響を懸念する声も出始めている。

普天間めぐり調整を続行 日米審議官級協議が再開

2005/10/24 The Sankei Shimbun

 日米両政府は24日午前、在日米軍再編で難航する米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先見直しなどをめぐる審議官級協議を都内で再開した。日本側は米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市)の兵舎地区と一部沿岸を埋め立てる「沿岸案」を主張、米側は名護市辺野古の浅瀬を埋め立てる「浅瀬案」を求めたとみられる。

 両政府は今回の協議で合意に至れば、29日にワシントンで外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開催、米軍再編の中間報告をとりまとめる方針。しかし、防衛庁は「浅瀬案は実現不可能だ」として沿岸案を譲らず、2プラス2先送りを辞さない構えを示している。

 両政府は25日も協議を続行する予定。日本側から外務省の梅本和義北米局参事官、防衛庁の山内千里防衛局次長、米側はローレス国防副次官らが出席した。(共同)

普天間暗雲「2プラス2」中止も 防衛庁、米に反発

平成17(2005)年10月22日 The Sankei Shimbun

頭越し接触で硬化「沿岸案がベスト」

 二十四日から開かれる在日米軍の再編問題を話し合う日米審議官級協議に暗雲が漂ってきた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設をめぐって、米側が強く主張している名護市辺野古沖の「浅瀬案」が有力となっているが、防衛庁は「沿岸案」にこだわっており、二十九日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)が中止になる可能性も出てきた。

 「(沿岸案が)ベストの選択だ」

 大野功統防衛庁長官は二十一日、細田博之官房長官、町村信孝外相と協議した直後、こう明言した。キャンプ・シュワブの兵舎地区と海域にまたがる「沿岸案」を取り下げないとの決意表明だ。

 米側は、「浅瀬案」で合意しないかぎり、二十九日に2プラス2を開催しないと通告している。だが、大野長官は「(開催断念の)場面も考えられる」と強調。米側の意向に沿い、浅瀬案での早期決着を求める外務省にも「その場しのぎの策」(防衛庁幹部)と批判の矛先を向ける。着工のメドさえ立たない現行計画に似ている浅瀬案では同じ失敗を繰り返すことになりかねないためだ。

 さらに、米側が日本政府の頭越しに沖縄県と接触しているのも感情的対立を増幅させている。

 一方、外務省は、ヘリコプターが民家の上を飛び、兵舎移転が必要な「沿岸案」を米側が拒否していることに加え、「浅瀬案」ならば沖縄県中南部の基地を北部に集中させ、一部はグアムなど海外にも移転する考えを示していることから「『浅瀬案』で合意を」(幹部)との声が強い。

 外務省首脳は審議官級協議で合意後、早期に地元自治体に説明したい意向を示すが、政府・与党内からは「外務省はいつも米国寄り過ぎる。外相には『米国の説得は不可能だ』という報告しか入っていないのだろう」(自民党幹部)との不信感も出ている。

 防衛庁は2プラス2で策定する「中間報告」に、浅瀬案と沿岸案を両論併記で盛り込むことを「落としどころ」に想定しているが、激しい論議となるのは必至だ。

日米閣僚協議見送りも 普天間難航で大野長官

2005/10/21 中国新聞ニュース

 大野功統防衛庁長官は二十一日午前の記者会見で、在日米軍再編協議の焦点となっている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先見直し問題で米側と合意に至らなければ、二十九日にワシントンで予定されている外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の開催見送りもあり得るとの考えを示した。

 大野氏は「合意しなければ月内の閣僚協議開催にはこだわらないか」との質問に対し「そう考えている」と述べた。

 米側は同県名護市辺野古の浅瀬を埋め立てる「浅瀬案」を主張、日本側は米軍キャンプ・シュワブ(同市)の兵舎地区と一部海域を埋め立てる「沿岸案」を求め、協議は難航している。大野氏の発言は、米側に対するけん制とみられる。

 細田博之官房長官は二十一日午前の記者会見で、在日米軍再編協議について「(十一月十六日の)日米首脳会談、その前に閣僚協議での中間報告公表を目指したい」と述べ、二十九日の閣僚協議開催に向けた合意にこぎつけたいとの考えを強調した。同時に「詰めるべき項目は多々ある。太い線での合意があればいいが、まだその姿が見えていない状況だ」と指摘した。

キャンプ・シュワブ、日米が普天間移設で調査開始

2005年10月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日米両政府は17日、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の新たな移設先として検討しているキャンプ・シュワブ(名護市など)沿岸部などの合同現地調査を始めた。

 日本側が提示している一部埋め立て案などの可能性を、数日間にわたって調べる。

 調査結果を踏まえて週明けにも審議官級協議を再開し、移設先を最終調整する考えだ。

 現地調査は、日本の外務省、防衛庁、防衛施設庁と、米国の在日米軍や国務省の担当者らが共同で実施し、建設や土木の専門家も参加している。埋め立てなどを併用して滑走路を作った場合、陸上の兵舎をどの程度、移転する必要があるかなどを調べている。

 米側が主張するリーフ内の浅瀬案の施設建設予定地も視察し、ジュゴンの餌場である藻場やサンゴ礁の状況を確認する。兵舎地区北東の大浦湾は水深が深いためサンゴ礁や藻場がほとんどなく、埋め立ての候補地として有力視されている。

普天間移設、小泉首相が沿岸案で交渉示唆

2005年10月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、小泉首相が、キャンプ・シュワブ(名護市など)の沿岸部にある兵舎地区を使う陸上案で交渉を進める考えを示していたことが14日、明らかになった。

 シュワブ沿岸の兵舎地区を使った案としては、一部桟橋案と一部埋め立て案が浮上している。

 関係者によると、首相は13日に額賀福志郎・元防衛長官と会談した際、兵舎地区から海面に桟橋を突き出す一部桟橋案の説明を受け、「例えば兵舎の一部をつぶす必要があるのであれば、兵舎の手当てを十分するということを約束して交渉してみたらどうか」と述べたという。

 さらに、首相は「環境問題は軽視できない。よく考えるべきだ」とも語った。

普天間移設の結論は持ち越し 日米審議官級協議

2005/10/13 The Sankei Shimbun

 在日米軍再編に関する日米審議官級協議は13日午後、焦点の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先をめぐり、米側が推す同県名護市辺野古沖の「浅瀬」に移設する案を軸に調整を続けたが、最終的な歩み寄りに至らず、結論を今月下旬にも東京で開く次回協議に持ち越した。

 日本側は、米側が演習に影響するなどとして反発する米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市)内の「陸上」移設案にこだわらない考えを表明した上で、浅瀬案では環境問題があらためて取りざたされ、着工の遅れにつながりかねないとの懸念を伝えた。米側は暗礁に乗り上げた辺野古沖の現行計画より滑走路を短縮し工期を縮める浅瀬案が最善との主張を崩さなかったもようだ。

 双方は自民党日米安保・基地再編合同調査会の額賀福志郎座長らが提唱するキャンプ・シュワブ内の兵舎地区を活用する沿岸案についても次回までに実現の可能性を検討する。(共同)

在日沖縄米軍、牧港補給地区の返還を検討

2005年10月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日米両政府が、在沖縄米軍の削減策として海兵隊の後方支援拠点である牧港補給地区の返還を検討していることが13日、明らかになった。

 ただ、米側はすでに判明しているキャンプ・コートニーの第3海兵遠征軍司令部のグアム移転を含め、普天間飛行場の移設先決着を条件としている。

 リチャード・ローレス米国防副次官が同日、都内での民主党の前原代表との会談で明らかにした。

 前原代表によると、副次官は「牧港補給地区などの返還、海兵隊司令部のグアム移転と普天間移設先の問題はパッケージだ。普天間の問題が片づかないと、これらは見直さざるを得ない」と述べた。前原代表は「沖縄県、日本国民の気持ちを逆なでするやり方だ」と指摘し、海兵隊削減は普天間移設問題と切り離して実行するよう求めた。

 牧港補給地区は海兵隊の補給や医療支援などの役割を担っている。那覇市の北方に隣接する浦添市に位置し、約274万平方メートルを占める。道路整備など都市開発を制約しており、政府と沖縄県が返還を求めていた。

 沖縄の負担軽減策としては、司令部のグアム移転などにより数千人規模の海兵隊員削減が検討されているほか、嘉手納基地に所属するF15戦闘機の訓練の本土への分散移転、普天間飛行場所属のKC130空中給油機の海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)への移転などが明らかになっている。

普天間移設「辺野古浅瀬案」受け入れへ 政府、「修正」に着手

平成17(2005)年10月10日 The Sankei Shimbun
環境に配慮、実現目指す

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、政府は九日、「辺野古(名護市)浅瀬案」の受け入れに向け、同案の修正作業に着手した。建設予定地に生息する国の天然記念物ジュゴンやサンゴ礁保護を求める反対運動に配慮したもので、基本構想は維持しながら建設場所や滑走路の向き、工法を再検討し、実現可能性の高い計画に再構築する。 

 辺野古浅瀬案は、地元経済界などでつくる沖縄県防衛協会北部支部が六月に作成。全長約二千五百メートル(滑走路約二千メートル)の軍民共用空港を建設する現行計画を見直し、建設予定地を米軍キャンプ・シュワブ寄りの浅瀬に移し、規模を全長約千五百メートル(同約千三百メートル)に縮小する。米政府は「地元が提示した意義は大きい」(国防総省筋)と評価、正式提案した。

 だが、自然保護団体などは、(1)埋め立てによる自然破壊は現行計画と同じ(2)ジュゴンの生息に悪影響(3)サンゴ礁の生態系を破壊−などと抗議。日本政府は「反対派の海上阻止行動が起きれば現行計画と同様に頓挫する」(政府筋)との危機感から環境に最大限配慮した修正が必要と判断した。

 政府は今月末にも基地再編案を盛り込んだ「中間報告」を策定したい意向だが、米政府は中間報告に辺野古浅瀬案を明記しない限り応じない方針。このため、修正作業を急ピッチで進めるが、決着の先送りを模索する動きもある。

普天間移設 米案受け入れへ 辺野古浅瀬 陸上案は断念

平成17(2005)年10月08日 The Sankei Shimbun

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、日本政府は七日、米軍キャンプ・シュワブ(名護市など)内に代替施設を建設する「陸上案」を事実上断念、米提案の「辺野古浅瀬案」を受け入れる方向で検討に入った。米側が譲歩する気配がないと判断したため。日本側は月内に基地再編案を盛り込んだ「中間報告」を策定したい意向だが、米側は中間報告に普天間の移設先を明記するよう求めており、日米両政府は詰めの協議を進める。

 普天間移設をめぐり、日本側は名護市辺野古沖での現行計画(滑走路二千メートル)を見直し、シュワブ内の陸上部分に代替施設を建設する案を主張。米側は辺野古沖でシュワブ寄りの浅瀬に千三百メートルの滑走路を建設するよう求めていた。

 陸上案は防衛庁が主導してきたが、協議が暗礁に乗り上げたため、防衛庁は今月初め米国に幹部を派遣、極秘に折衝した。しかし、米側は「実弾射撃場の移設が必要」などの理由で陸上案を拒否する姿勢を崩さなかった。さらに、ラムズフェルド米国防長官が今月下旬の訪日を見送るなど日本の対応に不満を募らせており、防衛庁の方針転換には「普天間で亀裂を深めれば協議全体が停滞する」(防衛庁幹部)との判断が働いたとみられる。

 ただ、沖縄県の稲嶺恵一知事は辺野古浅瀬案に反対しており、地元との調整難航は必至。来年一月には名護市長選も控えており、地元の理解を得られるかが、移設実現の鍵となる。

 日本側は普天間の移設先決定を先送りした上、今月二十九日に外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開いて中間報告を策定したい考えだが、米側は辺野古浅瀬案の明記を求めており、なお流動的だ。

「辺野古浅瀬案は困難」 普天間移設先で守屋次官

2005/10/03 The Sankei Shimbun

 守屋武昌防衛事務次官は3日午後の記者会見で、米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先見直しに関し「きれいな海を破壊したくないという県民の強い思いがある」と述べ、米側が主張する同県名護市辺野古沖の浅瀬を埋め立てる案では地元の同意が得にくいとの認識を示した。

 同時に、政府が米軍キャンプ・シュワブ(名護市)の陸上に移設する案を主張していることを強調。地元との協議については「今は日米の考え方が定まっていない。考え方を正確に言える段階になったら(地元に)伝える」と述べた。(共同)

在日米軍再編:普天間移設先、小泉首相の指導力がカギ 地元調整で二転三転

2005年09月25日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 衆院解散後、ストップしていた在日米軍の再編協議が、第3次小泉内閣の発足を受けて再始動した。米軍普天間飛行場の海兵隊ヘリ部隊の移設先については海上の埋め立て案を見直し、キャンプ・シュワブ沿岸部など陸上の米軍基地内に代替施設を建設する方向で最終調整に入った。ただ、海上施設より騒音被害や事故の危険が懸念されることから、地元自治体との調整が難航するのは必至。自民党の衆院選圧勝で政治基盤が強化された小泉純一郎首相に決断が委ねられる展開も予想される。

 政府は6月までの米軍再編協議で、普天間飛行場のヘリ部隊を米空軍嘉手納基地に統合する方針をいったんは固めた。しかし、建設費総額1兆円ともいわれる辺野古沖埋め立て計画の経済効果に期待する沖縄経済界や自民党沖縄県連が強く反発した。埋め立て計画を何とか存続させようと「辺野古沖縮小」案が地元で浮上した。これに同調した外務省が嘉手納統合案の白紙化に動いた。

 嘉手納基地周辺の住民はこれまでも騒音被害に苦しみ、今年2月には国に28億円の損害賠償を命じる那覇地裁沖縄支部の判決が出ている。防衛庁は戦闘機の数や飛行回数の削減による騒音抑制を検討したが、嘉手納統合案に柔軟な姿勢をみせていた米側もこれには難色を示した。郵政民営化法案の成立にメドが立てばブッシュ大統領との蜜月を誇る小泉首相の指導力発揮が期待できるとの見方もあったが、首相は7月以降、郵政政局と衆院選の対応に忙殺され、政治決断がされないままだった。

 嘉手納統合は困難とみた防衛庁は再編協議が停滞している間、キャンプ・シュワブへの移設案に傾いた。同庁は在日米軍再編協議で「辺野古沖計画の見直し」を主導してきた。その背景には、普天間飛行場の海上移設に合意した96年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告が外務省主導だったことへの対抗意識とともに、サンゴ礁の破壊など環境問題を理由とした反対運動の矢面に立たされてきた被害者意識もある。

 ◇9年前の議論に戻る

 ただ、嘉手納統合案やシュワブ移設案はSACOでも当初検討されたが、いずれも地元との調整が難しいため海上移設に決まった経緯がある。SACOの結論は浮体工法など撤去可能な海上施設を前提としていたが、稲嶺恵一沖縄県知事が軍民共用空港の建設を主張したのを受け2500メートル規模の埋め立て施設に変更された。「埋め立て利権」への期待が地元にあったことは否めず、「陸上」案を進める防衛庁と「海上」案にこだわる外務省に地元政界が絡んだ対立構図となっている。

 9年前にSACOが越えられなかった地元調整の壁が再び政府の前に立ちはだかる。普天間飛行場をめぐっては、空中給油機の岩国基地(山口県)への移駐など分散移転によって飛行場返還につなげる方針だが、これ自体、SACO最終報告に盛り込まれた「古証文」を再確認したに過ぎない。

 普天間問題を解決したうえで、海兵隊の削減など沖縄全体の負担軽減策を示せるかどうか。与党で衆院327議席を得た小泉首相の指導力がまさに問われている。【平田崇浩、古本陽荘】(以下 略)


沖縄の米海兵隊、大半が撤退か 再配置の一環と米紙

2003/05/30 中国新聞ニュース
 【ロサンゼルス29日共同=谷俊宏】二十九日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは複数の米高官の話として、米国防総省が沖縄に駐留する約二万人の海兵隊のうち約一万五千人を撤退、オーストラリアに移転させるなど、日韓両国を中心にアジアに駐留する米軍を再配置する計画の策定を進めていると報じた。

 国防総省当局者は同紙の取材に、沖縄の海兵隊の移転可能性について内部で議論されていることを認めながら、最終決定ではないと語った。

 米専門家からも最近、アジア太平洋地域で米軍は機動的な展開に取り組むべきだとの提言が相次いでおり、報道が事実ならブッシュ政権が進める米軍の世界再配置の一環として、在日米軍の削減・再編問題が具体性を帯び、日米両国の外交課題に浮上するのは確実だ。

 同紙によると、国防総省は沖縄の海兵隊約一万五千人をオーストラリアに新設される米軍基地に移す。同海兵隊を除く在日米軍約二万四千人の駐留に変更はないが、在日米軍の装備拡充や港湾施設の維持などによっては、駐留規模が縮小される可能性があるという。

 さらに、シンガポールとマレーシアの米軍駐留を本格化させながら、ベトナムとフィリピンに米軍基地の提供を求めるなど「小規模な米軍基地」のネットワーク化を進める見通しだという。

 同紙は「われわれはどこの米軍でも配置は合理的に扱う。日本の配置もだ」とするファイス国防次官の発言を引用、在日米軍の削減・再編も例外でないと強調している。

 米軍の海外展開をめぐっては、ラムズフェルド米国防長官が軍変革の一環として大胆な見直しを提唱。国防総省は、在韓米軍基地の縮小や北大西洋条約機構(NATO)拡大を受けた東欧諸国への展開を検討している。

 二十二日付のオーストラリア紙は、米国がオーストラリア国内に海兵隊五千人などが駐留する基地を設置する計画について、同国と接触を続けていると報道。東南アジアのテロ組織対策を視野に入れた動きと分析していた。


普天間代替は、総合的な視点 沖縄協議会で橋本担当相

2001.01.16(15:27)asahi.com
 関係閣僚と沖縄県知事らが基地問題を協議する代替施設協議会と、振興策を話し合う沖縄政策協議会が16日、首相官邸で開かれた。橋本龍太郎沖縄・北方対策担当相は施設協議会の冒頭、米軍普天間飛行場の代替施設の協議のあり方について、「軍事的な見地はもとより、民間飛行場としての利便性、施設の維持管理を含むコスト、安全性や自然環境・環境への配慮など、総合的な視点から検討して、方向性を見いだしたい」と述べた。

 これに対して、政府が普天間基地の移設先としている名護市の岸本建男市長は「地元の意向を十分尊重してほしい。生活環境に影響がないようにしてほしい」と要望。沖縄側が主張している15年という代替基地の使用期限の問題についても、「施設協議と同時並行で進めてほしい」と強調した。


「一日も早い普天間飛行場の返還を」仕事始めで沖縄知事

2001.01.04(13:52)asahi.com
 米軍基地問題を抱える沖縄県。稲嶺恵一知事は午前9時半過ぎ、庁内放送であいさつした。懸案となっている米軍普天間飛行場の名護市への移設問題については「県民には賛否両論あるが、市民生活に様々な影響を与えていることを考えると、一日も早く返還を実現することが県政を預かる者の責務」と語った。

普天間代替基地、沖合に建設の方向強まる

2000.10.29(23:42)asahi.com
 沖縄の米軍普天間飛行場移設に伴う代替基地の基本計画について、政府と沖縄県、移設先の同県名護市などが話し合う代替施設協議会が29日、首相官邸で開かれた。政府は移設先の周辺地域が騒音被害から守られるには、代替基地を少なくとも1.1キロ以上沖合に出す必要がある、などとした予測調査の結果を報告。稲嶺恵一沖縄県知事は「航空機の騒音の影響を極力少なくすることが重要だ。今回の結果は今後の基本計画の中で生かしていただきたい」と述べるなど、代替基地が沖合に建設される方向が強まった。

 協議会で、政府は騒音被害の想定について、初めて図面を用いて説明した。説明では、移設先に最も近い名護市辺野古地区の集落の中心から滑走路の中心点までの距離が(1)代替基地の滑走路の方位を真北から東へ39度傾けた場合、沖合に1.1キロ以上(2)同じく55度の場合、沖合に1.4キロ以上、それぞれ離せば、陸上に届く騒音が住民生活に支障をきたさないレベル(うるささ指数〈W値〉70未満)になる、と報告した。

 また、岸本建男名護市長が「米軍のヘリコプターなどを使って、実際の騒音調査を実施してほしい」と要望。虎島和夫防衛庁長官は米軍と早期に調整する考えを示した。

米法たてに米軍基地に待った 「ジュゴン守れ」と提訴へ

2000.10.19(16:34)asahi.com

 沖縄の海にすむ海洋ほ乳類「ジュゴン」の保護のため、生息地域の米軍基地建設計画を見直させようと、環境問題に取り組む弁護士らが米国の法律を適用した裁判を起こすことを検討している。ジュゴンが絶滅危ぐ種に指定されている米国の「種の保存法」をたてに、ワシントンの州地裁で米国政府を訴えるという試みだ。12月に沖縄で集会を開き、提訴の準備に入る予定で、住民らは「ジュゴンのいる沖縄の自然が世界の共有の財産であることを証明したい」と期待している。

 ジュゴンは熱帯と亜熱帯の海にすみ、最大3メートル、体重400キロ。丸みを帯びた体つきで人魚伝説のモデルともいわれ、浅い海岸で海藻を食べて暮らす。生息区域の北限とされる沖縄では、本島付近のみで確認されている。

 沖縄本島の米軍普天間飛行場の移設問題で、埋め立てや防波堤建設などが持ち上がっている名護市・辺野古地区はジュゴンの目撃地域の中心に位置し、沿岸部には数十頭が回遊している。地元で生息調査をしている市民団体「ジュゴンネットワーク沖縄」によると、生後1、2カ月のジュゴンが刺し網にかかり死亡するなど、人為的な事故死が少なくとも2年に1度はある。ジュゴンは出産の間隔が3―7年といわれ、そうした事故でも繁殖に重大な影響があるという。

 訴訟の準備をしているのは、環境問題に取り組む弁護士ら340人が参加する日本環境法律家連盟(事務局・名古屋)。ジュゴンは国の天然記念物に指定されているが、日本の種の保存法では、保護区の指定や増殖事業ができる対象種になっていない。一方、米国の種の保存法では絶滅危ぐ種で、保存のために必要な配慮をする義務が定められており、行政に保護策を実行するよう市民が裁判で求めることのできる条項がある。

 法律家連盟では、基地建設は日米の合同の協議を経て具体化されるため、「日米の共同行為」と考えている。訴訟では、地元住民らが原告になり、米国防総省などに生息区域の調査などを求める複数の裁判を起こし、基地移設計画の見直しをさせたいとしている。

防衛施設庁が沖縄のジュゴンの生息状況を調査へ

2000.10.17(21:04)asahi.com

 米軍普天間飛行場の沖縄県名護市への移設問題に絡み、防衛施設庁は17日、今月下旬からジュゴンの生息状況調査をすると発表した。地元名護市や自然保護団体からの要請を受けて行うもので、調査期間は約3カ月。結果は国や地方自治体などでつくる代替施設協議会に報告される。

 調査方法は、沖縄周辺海域を小型飛行機やヘリコプターで確認。さらに、目撃された周辺にダイバーを潜らせ、ジュゴンがエサとする海草の調査をする。潜水の調査ポイントは、辺野古沖など8カ所を予定している。

普天間代替施設の滑走路、2000メートル級の可能性

2000.10.03(20:28)asahi.com

 沖縄の米軍普天間飛行場移設に伴う代替施設の基本計画について、政府と沖縄県、移設先の同県名護市などが話し合う代替施設協議会が3日、首相官邸で開かれた。県側は代替施設を軍民共用空港として利用する考え方を説明し、旅客・貨物機は中型ジェット機の運用が妥当だとする計画案を示した。2000メートル級の滑走路を念頭に置いたものだ。政府も軍民共用空港とすることには理解を示しており、基本計画に盛り込まれる滑走路の長さは2000メートル級となる可能性が高くなった。

 県側は、代替施設を民間利用した場合の旅客利用を年間約10万―20万人と推計。最大の20万人でも民間機の1日の離着陸は計6便とし、このうち羽田空港への往復2便に中型ジェット機の利用を見込んだ。一方、北部地域の航空貨物量は1日あたり43万トン、中型ジェット機で5機分に相当するとの見通しを示した。

 県側は当初、大型ジェット機の就航が可能な2500メートル級の滑走路も検討していたが、(1)那覇空港で具体化している平行滑走路と競合する(2)米軍基地である以上、民間使用は制限される(3)普天間の「整理・縮小」を実現する施設としては2500メートル級は大きすぎる――などを考慮したと見られる。

 また稲嶺恵一知事は、代替施設の米軍使用を15年に限るとする県や名護市の条件について、「県民の強い要望をご理解頂き、1日も早い解決に向けて積極的に取り組んで頂きたい」と改めて要請した。中川秀直官房長官は「発言を重く受け止め、適切に対処したい」と述べるにとどめた。名護市の岸本建男市長は、この問題を別途協議するよう求める発言を市議会でしていたが、協議会では触れなかった。

もう沖縄に無関心? 国会審議会で政府の答弁おぼつかず

2000.09.30(22:39)asahi.com

 沖縄の米軍基地問題に対する政府の関心の無さが、国会審議で浮き彫りになっている。

 9月28日の衆院予算委員会で、森喜朗首相が日米特別行動委員会(SACO)最終報告の内容をよく知らないことが明らかになったが、翌日の参院予算委では、米軍普天間飛行場の代替施設協議会をめぐって政府側が答弁に窮し、審議が一時中断。九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)から2カ月、政府の沖縄問題に取り組む熱意は冷める一方のようだ。

 普天間代替施設で沖縄県側が求めている「15年の使用期限」の問題は、だれがどこで結論を出すのか――。照屋寛徳氏(社民党・護憲連合)の追及に、政府側は「米国と十分議論しなければならない」(河野洋平外相)と繰り返すばかり。一方で、日米間で協議する普天間実施委員会と、政府と沖縄県側とが協議する代替施設協議会のいずれの場でも、15年問題をただちに取り上げる考えはないとした。

 代替施設協議会に関して聞かれた虎島和夫防衛庁長官は、「主管は私じゃない」と答弁。すぐに「私はメンバーで、沖縄の意見を適切に表現して結論を得る努力をするのが職務」と言い直したが、照屋氏が「ではどこが主管か」と聞くと政府側は即答できず、審議が中断した。

 定例記者会見で席を外していた中川秀直官房長官が戻り、「主宰は官房長官ということになっている」と収めたが、15年問題については「関係閣僚で協議して対応していく」と述べるにとどまった。

「使用期限」決着後に計画同意 普天間移設で名護市長

2000.09.21(23:41)asahi.com

 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題で、同県名護市の岸本建男市長は21日、市側が代替基地受け入れの条件とした使用期限を15年とする問題について、代替基地の基本計画の策定と「同時に進めないといけない。一方が遅れれば、一方も遅れる」と述べ、使用期限問題などが何らかの形で決着しない限り、基本計画の決定には同意しないとの考えを明らかにした。市議会の一般質問に答えた。

 普天間飛行場の代替基地をめぐっては、規模や工法など基本計画について、政府や県、市などが話し合う協議会が8月から始まっているが、使用期限問題などは先送りされ、岸本市長は条件についても協議する場を設置するよう求めていた。

 また、岸本市長は、代替基地ではヘリコプター以外の米軍機の離着陸は認めない、との従来の姿勢を撤回。短距離で離着陸する航空機全般の使用を認めた日米特別行動委員会(SACO)の「合意の範囲内で使用を認める」と、ヘリ以外の離着陸も容認する方針に転じた。

15年使用期限の解決、政府に求める 沖縄県

2000.08.25(13:11)asahi.com

 沖縄の米軍普天間飛行場移設に伴う代替施設について政府と県、移設先の名護市など地元自治体で協議する代替施設協議会の初会合が25日午前、首相官邸で開かれた。沖縄県の稲嶺恵一知事は代替施設の米軍使用を15年に限るとする県や名護市の条件に言及。協議会の直接の議題にすることは求めないとしたうえで、「基地の整理縮小を求める県民の強い希望をご理解いただき、使用期限の問題の1日も早い解決に取り組んでいただきたい」と政府側に要請した。

 これに対し、中川秀直官房長官は同日午前の記者会見で「必ずしも協議会で取り上げるものではないが、今後も米国政府に対し、あらゆる機会を通じて取り上げていく。協議会で(地元から)発言があれば、その都度対応する」と述べた。

 使用期限については、名護市の岸本建男市長も「大変重要な課題であり、別途協議してほしい」と述べ、同協議会か、別な場を設けて話し合うよう要望した。稲嶺知事も同調した。

 協議会は今後、代替施設の建設場所、工法、規模などを柱とする基本計画策定について話し合う。地元は代替施設を軍民共用空港として利用できるよう政府に求めており、次回の協議会で県が方針を説明する。

 また沖縄県の振興策について政府と県が話し合う沖縄政策協議会も開かれ、沖縄経済の自立に向けた支援策をまとめた「沖縄経済振興21世紀プラン」の最終報告をまとめた。

普天間移設で代替施設検討機関設置 25日に初会合

2000.08.15(21:49)asahi.com

 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設に伴い、同県名護市に建設する代替施設の基本計画を検討するための国、県、地元3者による協議機関が設置され、25日に初会合が開かれることになった。中川秀直官房長官が15日の記者会見で発表した。代替施設の基本計画については、沖合での海上施設案や埋め立て案など、建設場所や施設の形態、工法を巡って地元住民の意見が分かれている。

 また、24日には普天間飛行場の跡地利用策についての国と県、地元の宜野湾市の3者による協議機関、北部振興策などに関する協議機関がそれぞれ会合を開くほか、25日には沖縄政策協議会の開催も予定されている。

普天間代替「15年期限」、日米首脳会談では踏み込まず

May 06, 2000 asahi.com

 森喜朗首相は5日のクリントン米大統領との会談で、沖縄県の米軍普天間飛行場の代替施設をめぐり、沖縄県と名護市が15年の使用期限を求めている問題について「日本政府は沖縄の要望を重く受け止め、日米特別行動委員会(SACO)の最終報告と日米安保共同宣言を踏まえ、緊密に米国政府と協議していきたい」と述べ、これまで通り間接的に触れたものの、踏み込んだ議論はしなかった。

 「15年使用期限」について、日本政府は昨年暮れの閣議決定で「重く受け止め、米国政府との話し合いの中で取り上げる」と明記した。これを受けて1月に瓦力防衛庁長官がコーエン国防長官に、2月に河野洋平外相がオルブライト国務長官に、それぞれ訪米した際に閣議決定を紹介する形で伝えるにとどめている。今回の首相の言い回しもこれをそのまま踏襲した。

 首相は「日米安保体制は我が国とアジア・太平洋地域の安定に必要不可欠である」と述べ、今後も日米同盟関係を基軸にした2国間体制を強化していく考えを強調。大統領も「日米安保をめぐる両国のパートナーシップは最も重要だ。これまでの日本政府の努力に感謝すると同時に、いまある問題も、将来起こる問題も解決していかなければならない」と語った。

「15年問題」議題にせず

2000年04月25日【ワシントン共同】

 柳井俊二駐米大使は24日の記者会見で、米軍普天間飛行場移設に関して沖縄県が求める15年間の使用期限問題を、来月5日の日米首脳会談では取り上げない見通しであることを強く示唆した。政府は15年問題について、沖縄県側の要請を「重く受け止め、米国との話し合いの中で取り上げる」と閣議決定しており、首脳会談で取り上げられなければ、沖縄県民の不信感をあおりそうだ。

反対派も市長続投“歓迎“

2000年02月05日 共同通信社

 米軍普天間飛行場の移設受け入れを表明した沖縄県名護市の岸本建男市長が4日、当面は続投し移設反対運動の動きを見極める考えを明らかにした。

 解職請求(リコール)運動を進める反対派も、準備期間が稼げると“歓迎“。7月の,沖縄サミットを控え、リコールのタイミングを計る反対派と、辞職―出直し選挙を視野に入れる市長側は、互いに様子見を続けている。

防衛施設庁の普天間移設チームが発足

February 01, 2000

 防衛施設庁は1日、沖縄県の米軍普天間飛行場の県内移設問題に対応するため、跡地利用策や代替施設の周辺の環境対策などを検討する44人のチームを発足させた。移設先の名護市周辺の振興策などを検討する政府と県などの協議機関ができるのにあわせて、庁内の部署ごとに分かれていた作業を一体化する。

辺野古区長が服毒自殺未遂

2000年01月31日 共同通信社

 米軍普天間飛行場の移設先キャンプ・シュワブ周辺の沖縄県名護市辺野古地区の自治組織の責任者である嘉陽宗健区長(46)が1月29日夕、自宅で服毒自殺を図り、一命を取り留めていたことが31日、分かった。嘉陽区長は1月25日、辺野古地区の意思決定を担う行政委員会に出席。昨年12月の岸本建男市長による移設受け入れ表明を受け、地区としての対応を協議していた。

沖縄・名護市長の代替基地受け入れに河野外相が謝意

January 24, 2000

 主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)の会場となる沖縄県を訪れている河野洋平外相は24日午前、名護市役所で岸本建男市長らと会談した。外相は、岸本市長が先月27日、米軍普天間基地の返還に伴う代替基地を名護市辺野古沖に受け入れると表明したことについて「市長の決断に心から敬意を表したい」と謝意を表明した。岸本市長は「受け入れ表明の後、間髪入れず閣議決定をしていただき評価している」と述べた。

 代替基地については、外相が「自然環境、住民生活への影響を十二分に考えていかなければならないと思う」との考えを伝えた。これに対して岸本市長は「市井の声なき声を十分に考えてやっていきたい」と述べたが、15年の基地使用期限問題については触れなかった。

 北部振興策については岸本市長が「北部振興事業について政府としての取り組みに期待をしている」と改めて要請。外相は「北部振興については全力で努力していこうというのが政府の考えだ」と答えた。

米国サミット前進展を期待

2000年01月17日 共同通信社

 斉藤邦彦前駐米大使は,17日、東京都内のホテルで講演し、今年の主要国首脳会議(沖縄サミット)と沖縄の米軍普天間飛行場移設問題について、「米国としては(移設に)何の進展も見られない状況で大統領が沖縄に行くのは避けたいと思っている」と述べ、米国側はサミット前の進展に期待しているとの見方を示した。

普天間移設で経済振興策の協議機関を今月中にも設置へ

January 11, 2000

 米軍普天間飛行場の移設問題で、政府は11日、国と沖縄県、名護市など移設先の周辺自治体の3者で、名護市を含む北部12市町村の経済振興策を話し合う協議機関を今月中にも設置する方針を固めた。政府は昨年末の閣議で、 (1)振興事業の推進 (2)代替施設の工法や具体的な建設場所を含む基本計画の策定 ――を協議するための協議機関の設置を決めている。このうち、振興事業に関する協議機関を先行させる一方、基本計画に関する協議機関は当面、設置を先送りし、日米間の安保協議の先行きなどを見定めながら設置時期を探る方針だ。

 これに関連して政府首脳は11日、稲嶺恵一県知事と岸本建男名護市長が今月20日ごろ上京し、政府との間で振興策に関する協議機関の設置に向けた話し合いに入る見通しを明らかにした。政府としては、どの省庁が加わるかなどを調整したうえで、今月中のできるだけ早い時期に設置したい考えだ。

名護市長と知事が上京へ 普天間移設で協議機関問題で

January 11, 2000

 政府首脳は11日、稲嶺恵一沖縄県知事と岸本建男名護市長が今月20日ごろ上京し、米軍普天間飛行場の移設問題で、国と県、市の3者が経済振興策などを話し合う新たな協議機関の設置に向けた話し合いに入る見通しを明らかにした。

 協議機関を設置する方針は昨年末の閣議で決まった。移設先となる名護市東海岸側の振興策のほか、北部12市町村の振興策も話し合う。政府としては、どの省庁が加わるかなどを調整したうえで、できるだけ早期に設置したい考え。代替施設の工法や具体的な建設場所などを盛り込む基本計画の策定に関する協議機関は、日米間の安保協議の進展を見定めながら設置時期を探る方針だ。

訪米で沖縄基地問題訴え

2000年01月01日 共同通信社

 沖縄県の稲嶺恵一知事は新年に当たって報道各社のインタビューに応じ、米軍普天間飛行場の移設問題について「従来は日本政府ばかりに要望してきたが、これからは米国に、より積極的に働き掛けをしていきたい」と述べ、代替施設の米軍使用期限などを念頭に直接、米側に要求を伝える考えを明らかにした。

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