TOPIC No.2-57-1 沖縄/普天間基地移設

(1999年10月-12月)

稲嶺知事、早期訪米へ 使用期限問題など直接要請のため

December 31, 1999

 沖縄県の稲嶺恵一知事は年頭にあたり朝日新聞社などのインタビューに応じ、米軍普天間飛行場の名護市への県内移設問題に関連し、米軍使用を15年に限るなどの県側の条件について米政府や議会関係者らに直接要請するため、早い機会に訪米したい意向を明らかにした。すでに、米国の外交政策に影響力を持つ外交問題評議会から沖縄問題をめぐる講演の依頼を受けており、「日程の調整さえつけば、出来るだけ早く実現したい。(米国の政策決定に)影響を持つ方には出来るだけお会いしたい」と語った。

 稲嶺知事は、15年を使用期限とする条件など普天間飛行場の移設問題について、「私も少しずつスタンスを変えていかなければならない」と発言。これまでは日本政府にしぼって要請してきたとしたうえで、「これからは米国に対しても積極的に働きかけていきたい。沖縄の実情をしっかり理解していただくことが大変重要だ」と述べた。

 ただ、訪米の時期については「何らかの形で政府がアプローチした後の方がいいかもしれない」と述べ、瓦力防衛庁長官の訪米の結果などを見極めて検討する考えを示した。

普天間代替施設で米政府高官「使用期限の受け入れ困難」

December 30, 1999

 米政府高官は29日、朝日新聞記者の取材に対し、米軍普天間飛行場の代替施設建設をめぐって、日米政府間協議の課題として浮上している「15年間」の使用期限問題について、「地域の安全保障問題に対応することを目的とした日米安保条約の現実もあり、恣意(しい)的期限を設けることは非常に困難だ」と述べた。日米安保体制の根幹にかかわる問題だとの認識を示すとともに、たとえ日本政府が今後の交渉で持ち出したとしても、米政府としてそのまま受け入れることはできないとの考えを明らかにしたものだ。

 この高官は、岸本建男名護市長が代替施設の受け入れを表明したことを踏まえ「沖縄での難しい政治状況は、よく理解している。ここまでこぎつけた沖縄県知事、名護市長、日本政府の努力には感謝している」と語り、日本側への配慮をみせた。しかし、稲嶺恵一知事と岸本市長がともに求めている使用期限については、日米安保条約の目的にそぐわないとの考えを示すとともに、「国際情勢がどう推移するか、見通しがつかないことを考えれば、固定的な期限を設けることは非常に難しい問題だ。日本政府もこの点は分かっているはずだ」と強調した。

名護市長の普天間移設受諾表明を野党が批判

December 27, 1999

  米軍普天間飛行場の移設候補地となった沖縄県名護市の岸本建男市長が27日に受け入れを表明したことについて、野党各党は談話で批判した。
民主党ネクストキャビネットの伊藤英成外交・安保担当大臣は「基地建設に県民の賛否が鋭く対立する状況で、市長に苦渋の選択を迫る事態となったのは遺憾だ。関係住民からの意見聴取が不十分なまま代替施設の建設を進めることは拙速だ」と指摘した。

 共産党の志位和夫書記局長は「一昨年の住民投票で下された名護市民の『反対』の意思を市長自身が覆すものだ。市長に表明の撤回を求めるとともに、米軍に普天間基地の無条件返還を求めるよう要求する」と批判した。

 社民党の渕上貞雄幹事長も「市長に受け入れ表明を撤回することを求める。市民の意思を無視するやり方では、沖縄県内に新たな混乱と対立の火種が残るだけだ」としている。

普天間移設、名護市長17日に受け入れ表明

December 27, 1999

 沖縄県の米軍普天間飛行場の返還問題で、県が移設候補地に選んだ同県名護市の岸本建男市長は27日、記者会見し、代替基地の受け入れを表明する。26日、青木幹雄官房長官と名護市で会談し、政府からの沖縄振興策や基地被害を軽減するための基地使用協定についての説明を受け、最終判断した。市長の受け入れ表明で、普天間移設問題は行政的な手続きは整うことになり、新たな局面に入る。受け入れ反対派の市民団体は岸本市長の解職請求(リコール)に向けた運動を本格化させる方針で、基地建設の是非をめぐり、市民を二分する対立の再燃は避けられない。

 岸本市長は26日午後、青木官房長官と約30分間会談した。青木官房長官は「政府の方針がかなうような決断をお願いしたい」と早期決断を促した。さらに「地元から受け入れて良かったと評価されるように、安全対策や環境問題、地域振興に誠実に努力したい」などと説明した。

 ただ、稲嶺恵一知事が求めている米軍の使用期限を15年とする問題については「重く受け止めている」としながらも「将来のいろいろな情勢、種々の要素を総合的に勘案しながら考えていかなければならない」として、これまでの姿勢を変えなかった。

 岸本市長は、この後の記者会見で「政府の考え方が非常に具体的に(分かり)、内閣の決意が読み取れた。使用協定について非常に前向きな発言をいただき、評価したい」と語った。

普天間移設で名護市長、早ければ年内に受け入れ表明へ

9:18p.m. JST December 26, 1999

 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、県から移設候補地に指定された同県名護市の岸本建男市長は26日、稲嶺恵一知事や沖縄入りした青木幹雄官房長官と相次いで会談した。岸本市長はすでに代替施設がつくられる地元の意向なども確認しており、この日の一連の会談で受け入れを表明する環境がほぼ整ったと判断。会談後の記者会見で「決断の機は熟してきた」と述べた。岸本市長は早ければ年内にも表明したい考えだが、受け入れに反対する市民団体は、市長の表明後にただちに解職請求(リコール)の準備を始めようとしており、市長は反対派の動きをにらみながら、表明時期を最終決定する構えだ。

 岸本市長は26日午後1時すぎから約30分間、青木官房長官と会談。青木氏は「政府の方針がかなうような決断をお願いしたい」と、代替施設の受け入れを政府として初めて正式に要請。さらに「地元から受け入れて良かったと評価されるように、(代替施設の)安全対策や環境問題、地域振興に誠実に努力したい」などと説明した。

 岸本市長は、この後の記者会見で「政府の考え方が非常に具体的に(分かり)、内閣の決意が読み取れた。(代替施設の)使用協定について非常に前向きな発言をいただき、評価したい」と語った。表明時期については「相談しなければいけない方々もいるし、そのへんをじっくり踏まえたうえで最終決断をしたい」と、述べるにとどめた。

普天間移設、名護市長27日に受け入れ表明

December 26, 1999

 沖縄県の米軍普天間飛行場の返還問題で、県が移設候補地に選んだ同県名護市の岸本建男市長は27日、記者会見し、代替基地の受け入れを表明する。26日、青木幹雄官房長官と名護市で会談し、政府からの沖縄振興策や基地被害を軽減するための基地使用協定についての説明を受け、最終判断した。市長の受け入れ表明で、普天間移設問題は新たな局面に入る。受け入れ反対派の市民団体は岸本市長の解職請求(リコール)に向けた運動を本格化させる方針で、基地建設の是非をめぐり、市民を2分する対立の再燃は避けられない。

 岸本市長は26日午後、青木官房長官と約30分間会談した。青木官房長官は「政府の方針がかなうような決断をお願いしたい」と早期決断を促した。さらに「地元から受け入れて良かったと評価されるように、安全対策や環境問題、地域振興に誠実に努力したい」などと説明した。

 ただ、稲嶺恵一知事が求めている米軍の使用期限を15年とする問題については「重く受け止めている」としながらも「将来のいろいろな情勢、種々の要素を総合的に勘案しながら考えていかなければならない」として、これまでの姿勢を変えなかった。

 岸本市長は、この後の記者会見で「政府の考え方が非常に具体的に(分かり)、内閣の決意が読み取れた。使用協定について非常に前向きな発言をいただき、評価したい」と語った。

政府、名護市会の普天間決議を歓迎 使用期限では懸念も

December 23, 1999

 沖縄県名護市議会が23日、米軍普天間飛行場の同市への移設促進を決議したことについて、政府は年内に岸本建男市長が受け入れ表明に踏み切るための条件がほぼ整ったとみて歓迎している。一方、決議が代替施設の米軍の使用期限を15年に限る問題について「日米交渉で結論を出す」とうたったことで、「この点で政府と地元とが対立し、調整に難航する状況になりかねない」といった懸念も出ている。

 小渕恵三首相は23日、記者団に「移設促進の決議が出たことは大変意義深い。市長がその意向を受けてどう判断するかだが、政府としては岸本市長の決断を期待する」と述べた。

 政府は「市長は市議会の決議の行方を見極めたうえで、受け入れ表明の時期を判断するハラだろう」(首相周辺)とみており、地元の要望を取り入れる形で、これまで(1)10年間で1000億円にのぼる県北部地域の振興のための特別対策事業費(2)政府と名護市との間での基地使用協定の締結――などを約束。市長が受け入れ表明をしやすい環境整備に腐心するとともに、市議会の動きに注目してきた。

名護市議会、米軍普天間基地の移設促進決議を可決

December 23, 1999

 沖縄県の米軍普天間飛行場の返還問題で、県が移設候補地に選んだ同県名護市の市議会(島袋吉和議長・定数30)は23日午前7時前、移設を促進する決議を与党議員の賛成多数で可決した。審議は22日午前10時から始まった。野党議員の質疑が相次いだうえに、提案者の与党議員も十分に答弁できず休憩に入ったことから、翌日朝まで審議した。

 市議会は過去2回、同飛行場の代替基地建設に反対する決議をしているが、初めて移設を認める立場に転換することになる。岸本建男市長は市議会の意向を重視する姿勢を示しており、決議を受けて今月末に受け入れを表明する見通しだ。

 決議は小渕恵三首相や関係閣僚、沖縄県の稲嶺恵一知事あてで、名護市辺野古沖への移設を促進するとしている。その上で、米軍機の飛行ルートや飛行時間などについて政府と市の間で使用協定を結ぶことや、使用期限を15年とするよう日米両政府で交渉をすること、移設先の振興策の継続などを求めている。

普天間移設促進を決議へ

1999年12月22日 共同通信社

 会期末を迎えた沖縄県名護市議会(定数30)は22日の本会議で、与党議員が提出した米軍普天間飛行場の辺野古沿岸域への移設整備促進決議案の採決に向け審議を進めた。同日夜に賛成多数で可決の見通し。決議を受け、岸本建男市長は稲嶺恵一知事との会談や反対派との「対話」を経て、27日にも移設受け入れを正式表明する考えだ。

普天間移設促進を22日決議

1999年12月20日 共同通信社

 沖縄県名護市議会(定数30)は20日、与党会派「新風21」と「和(なごみ)の会」所属議員が米軍普天間飛行場の辺野古沿岸域への移設整備促進決議案を提出した後、2日間の会期延長を決めた。最終日の22日の本会議で可決の見通し。

移設受け入れを決議へ

1999年12月20日 共同通信社

 沖縄県名護市議会の与党会派である「新風21」と「和(なごみ)の会」は会期末の20日、米軍普天間飛行場の同市辺野古沿岸域への受け入れを、条件付きで認める移設条件整備促進決議案を提出した。賛成、反対両派の討論を経て、可決されるのは確実な情勢だ。

 一方、野党側は「辺野古沿岸域の選定理由が明らかになっていない」として、市側に説明を求める決議案を提出した。

軍民共用検討を正式表明

1999年12月17日 共同通信社

 政府と沖縄県が振興策や基地問題を話し合う沖縄政策協議会が17日午前、首相官邸で開かれ、政府は米軍普天間飛行場の代替施設について「軍民共用空港案を念頭に検討する」と初めて正式表明した。

 また普天間飛行場移設候補地の名護市が求めている代替施設の基地使用協定について、米側と協議を行った上で政府と同市の間で締結する方針を提示した。

跡地利用の新規立法、沖縄の米軍基地全体に適用の方針

December 13, 1999

 青木幹雄官房長官は13日の衆院沖縄・北方特別委員会で、沖縄・米軍普天間飛行場の移設対策として検討中の跡地利用の新規立法について「当然、(沖縄)全部の地域を含んだものとなるように解釈している」と述べ、対象を沖縄の米軍基地全体に広げる考えを示した。民主党の上原康助代議士の質問に答えた。

 政府・自民党はこれまで、米軍基地の跡地対策を盛り込んだ軍用地返還特別措置法(軍転法)との整合性を図るため、新規立法は普天間飛行場跡地に絞る方針だった。しかし、沖縄県側が将来の基地返還に備えるためにも沖縄全域に広げてほしい、と要望していることを踏まえ、方針転換を図ったものだ。

沖縄北部振興策で数十億円

1999年12月13日 共同通信社

 政府、自民党は13日、沖縄の米軍普天間飛行場の名護市移設に向けて、名護市を含む沖縄県北部振興策として「北部振興基金」の創設など、新たに数十億円規模の振興策を2000年度当初予算に盛り込む方向で調整に入った。16日に自民党の沖縄総合振興対策特別調査会で確認した上で、17日の沖縄政策協議会で正式表明。18日には野中氏が沖縄入り、北部市町村長や名護市議会の与党議員に説明する。

沖縄県が普天間移設先の振興策を政府に要望

December 13, 1999

 沖縄県の牧野浩隆副知事は13日、青木幹雄官房長官を首相官邸に訪ね、米軍普天間飛行場の移設先とその周辺地域の振興策を要望した。県が移設先に決めた名護市の岸本建男市長が移設受け入れを決断する環境を整備し、後押しするのが狙い。政府は17日に沖縄政策協議会を開き、稲嶺恵一知事に対応策を示す。

 要望は「普天間飛行場返還の代償に新たな基地の建設を受け入れることは、戦後50年余の歴史で初めて」として、地域振興策のため、新たな法整備や財源の確保など「最大限の配慮が必要」と強調。(1)産業団地の造成や国際情報特区構想の実現により雇用機会の創出を図る(2)新たに建設する空港を活用した関連産業の育成や誘致に取り組み、アクセス道路など道路網を整備する(3)アジア・太平洋地域からの留学生や研修生を受け入れるための高等教育機関の設置――などを求めている。

 振興策を進めるため、名護市長の受け入れ表明後、ただちに政府、県との3者による協議機関を設けることも求めた。要望に対し、青木長官は「よく検討し、全力をあげて取り組んでいく」と答えた。

国が辺野古の環境調査実施

1999年12月07日 共同通信社

 沖縄県議会の代表質問は7日午後、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸域への移設問題をめぐり、社民、沖縄社会大衆など野党側の追及が続いた。辺野古沿岸域が県の環境保護区域に設定されていることに関連して、稲嶺恵一知事は「今後、国が環境調査を含め必要な各種の調査をする」と述べた。

沖縄・普天間基地の「15年期限」で明確な答弁せず

December 06, 1999

 青木幹雄官房長官は6日の衆院予算委員会で、沖縄県の稲嶺恵一知事が米軍普天間飛行場の名護市への移設条件として米軍使用に15年の期限を求めていることに関連して、「従来から一般論として『将来の国際情勢が関連する問題なので、極めて厳しい』と話している。基地の移転先が正式に決まった段階で、県や地元の意向も十分に聞きながら、政府で協議して対応すべきだ」と述べた。これに関連して小渕恵三首相は「名護市の意向などを踏まえながら総合的に勘案したい」と語った。菅直人(民主党)、浜田健一(社民党)両氏の質問に答えた。

 また、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との国交正常化交渉について小渕首相は「人道的問題やミサイル、不審船の問題が忘れてはならない問題として国民の中に存在しているのは事実。しかし、できるだけ早い時期に政府間交渉を再開したいという気持ちで政府は一体だ」と強調した。

20日までに普天間移設決議

1999年12月06日 共同通信社

米軍普天間飛行場の移設候補地、キャンプ・シュワブ水域内の辺野古沿岸域を抱える沖縄県名護市の12月定例市議会が7日開会する。

 与党2会派は会期末の20日までに移設容認決議案を共同提出するが、賛成派が多数を占めていることから可決は確実な情勢。決議を受けて、岸本建男市長は今月下旬に受け入れを表明したい考えだ。

名護市長の決断待つ

1999年12月06日 共同通信社

 青木幹雄官房長官は6日午後の記者会見で、沖縄県が名護市を移設候補地とした米軍普天間飛行場の移設問題について「沖縄県の稲嶺恵一知事と名護市の岸本建男市長の話し合いを踏まえ、市長がどのような決断をいつ出すか、それが一番、大事な問題だと思っている。その結果を見ながら、対応していかなければならない」と述べ、岸本市長の決断を待つ姿勢を強調した。

普天間移設受諾表明へ調整

1999年12月03日 共同通信社

 稲嶺沖縄県知事が3日、米軍普天間飛行場の移設受け入れを岸本名護市長に正式要請したのを受け、市長の年内受諾表明に向けた調整が本格化する。 岸本市長は来週にも市議会与党会派や移設候補地、辺野古地区の行政委員会、漁協関係者らに対する説明を開始。 7日開会の市議会定例会では、与党2会派が会期末の20日までに提出する予定の移設容認決議案の文案などをめぐり、市側と調整に入る。

沖縄知事と名護市長が会談

1999年12月03日 共同通信社

 沖縄県の稲嶺恵一知事は3日午前、米軍普天間飛行場の移設候補地に決まったキャンプ・シュワブ周辺の辺野古沿岸域を抱える名護市の岸本建男市長と市民会館で会談した。 知事は「市長の理解と協力を得たい」と移設受け入れを要請。岸本市長は「市議会、地域住民、漁業関係者の意向を聴いた上で慎重に検討したい」と答え、沖縄本島北部や辺野古地区の振興策をめぐっても意見交換した。

普天間移設経費を追加要求

1999年12月02日 共同通信社

 防衛庁は2日午前の自民党国防関係3部会で、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題に関連して、今月中旬までに名護市が飛行場代替施設の受け入れを表明した場合は、2000年度予算案に移設関連経費を追加要求する方針を示した。移設候補地の名護市辺野古地区沖の、環境影響調査費などの計上を想定している。

米が普天間の「進展」評価

1999年12月01日【シアトル共同】

 世界貿易機関(WTO)閣僚会議に出席するため訪米中の河野洋平外相は30日、シアトルでオルブライト米国務長官と就任後初の日米外相会談を行い、米軍普天間飛行場の移設問題などについて約45分にわたり協議した。 会談で河野外相は、稲嶺恵一沖縄県知事が名護市を移転先とした経緯を説明。 「名護市の意向をさらに見守っていく必要がある」と語った。

普天間移設受け入れた場合は辞職、選挙も 名護市長

December 01, 1999

 沖縄県の米軍普天間飛行場の返還問題で、県が移設候補地とした名護市の岸本建男市長は1日、代替基地の移設を受け入れた場合、辞職して市長選で市民に賛否を問うこともあり得るという姿勢を示した。ただ、岸本市長は「私はまだ、(受け入れを)判断したわけではない。あくまで判断した時の選択肢の1つ」と述べた。2年前の海上航空基地(ヘリポート)計画について賛否を問う市民投票で、反対派が過半数を占めた経緯があり、受け入れにはこれと同等の手続きを踏むことが必要との考えとみられる。

 岸本市長は名護市内で、記者団に対し、「まだ(受け入れについて)判断していない。(市長選は)判断した時の選択肢の1つとしてある、と(周囲に)話したことはある」と答えた。また、市議会の各会派との話し合いで発言したことも認めた。
ただ、辞職については「決めていない。あくまで(受け入れた際に)選択肢としてあるでしょうね」と述べ、決断を否定した。

 岸本市長はすでに、振興策や住民被害への対策などを条件に、普天間飛行場の代替基地を受け入れる意向を固めている。12月の定例市議会で、受け入れ容認の決議が可決された後に、正式に表明する方針だ。
これに対して反対派の市民団体は、表明後に岸本市長を解職請求(リコール)する構えをみせている。

 岸本市長の周辺では、市民を2分する混乱は避けられないとし、辞職して信を問うべきだとの意見も出ている。岸本市長が受け入れを表明したうえで再選されれば、反対が過半数を占めた1997年12月の市民投票の結果を覆すことができるとの考えもある。

 一方で、後援会関係者の間では、リコールに必要とされる有権者の3分の1の署名を反対派が集めるのは難しいとの見方もあり、反対派の動きを見極めたうえで最終的な判断をする方針とみられる。

普天間代替施設使用期限、米との協議テーマにせず 政府

03:01a.m. JST November 27, 1999

 政府は26日、沖縄県が米軍普天間飛行場の移設にあたって代替施設の米軍使用期間を15年に限るよう求めている問題について、当面は米国政府と協議するテーマとしない方針を固めた。政府はこれまでの非公式の接触によって、使用年限を設ける条件で打開策を見いだすのは極めて難しいと見ており、正式に日本側が提示して米側が拒否すれば、地元で県内移設への反対運動や反米感情が高まるなど、来年7月の沖縄サミット(主要国首脳会議)に深刻な悪影響を及ぼすと判断した。ただ、米側の意向に強く配慮した日本政府の対応には、地元からの反発が予想される。

 沖縄県の稲嶺恵一知事は昨年の知事選で使用期限を15年と区切ることを公約しており、25日の小渕恵三首相との会談でもあくまでも移設条件とすることを主張している。今後は日本政府と県との間で妥協点を探ることになるが、難航は必至だ。小渕恵三首相は26日、訪問先のジャカルタで「今、私の立場でこの問題にすぐ結論を出すことにはならない」と記者団に述べ、慎重な姿勢を示した。

 この問題については、瓦力防衛庁長官が同日の記者会見で「日本政府と県の国内問題だ。まず政府としてどう取り組むか検討しなければならない」と述べ、当面は米側との協議対象にしない考えを示している。ただ、沖縄県への配慮もあって、政府は期限をつけることの難しさは指摘しながらも、「種々の要素を総合的に勘案しながら考える」(青木幹雄官房長官)と検討の余地を残す姿勢は見せている。

来週早々に名護市長と会談

1999年11月26日 共同通信社

沖縄県が米軍普天間飛行場の移設候補地を名護市辺野古沿岸域に正式決定したことを受け、稲嶺恵一知事は来週早々にも名護市を訪れ、岸本建男市長に詳細に報告するとともに、振興策をめぐり意見交換する。この際、名護市の「ヘリ基地反対協議会」のメンバーと対話集会を開く方向で調整を進めている。 親川盛一知事公室長が26日、明らかにした。

普天間問題で稲嶺知事が「15年に限る」条件を強調

November 25, 1999

 沖縄県の米軍普天間飛行場の返還問題で、稲嶺恵一知事は25日、東京で橋本龍太郎前首相や自民党の森喜朗幹事長ら党三役、公明党の神崎武法代表、県選出の国会議員らを相次いで訪ね、移設候補地を名護市辺野古に決めたことを報告した。一連の会談で知事は、移設先で米軍の使用を15年に限るとの条件について「強く主張し続ける」と強調した。

 稲嶺知事は照屋寛徳参院議員(無所属)との会談で、「ちょっとやそっとで『はい、そうですか』というわけにはいかない」と述べる一方、「まだまだ詰めるべき点が山のようにある。じっくり時間をかけながらやりたい」と語った。

古堅実吉代議士(共産)は「名護市に説明もしないまま協力だけ求め、(基地の形態などは)これから詰めていくということでは、名護市も理解のしようがないではないか」と決定の撤回を要求。稲嶺知事は「名護市の要望も聴きながら進めていきたい。私のやっていることは基地の整理・縮小の範囲にあり、オール・オア・ナッシングという立場は取らない」と反論した。

 一方、神崎代表は県の決定に対する公明党の対応について「地元(沖縄)での党の調整があるので見守りたい」と述べた。

名護市議会与党会派が普天間移設容認決議を提案へ

November 25, 1999

 沖縄県の米軍普天間飛行場の返還問題で、県が移設候補地に決めた名護市の市議会与党会派は25日、12月7日に開会が予定されている定例市議会で、米軍キャンプ・シュワブのある同市辺野古への移設を認める決議案を提案することを決めた。市議会は、与党が多数を占めており、可決される可能性が高い。岸本建男市長は市議会などの意向を踏まえて最終的な判断をする姿勢を示しており、決議案が可決されれば、市長の受け入れ表明に向けた環境整備が進むことになる。

 名護市議会は定数30のうち、与党の2会派が議長を含めて18議席を占めている。両会派は25日、代表者による会合を開き、振興策や安全対策などを条件に受け入れを認める決議案を提案することで一致した。

 9月の定例市議会では、与党の一部議員が、「決議案の提出は時期尚早」とする岸本市長の意向を振り切って、「新空港」の誘致決議案を提案した。だが、野党に加えて、大半の与党議員も反対したため否決された。この後、決議案を提案した8人の議員と反対した議員が2つの会派に分裂していた。

 この日の会合では、両会派が関係を修復し、容認決議に向けて協力していくことを確認した。今後は、市側の説明や意向を聞きながら、決議文の内容を詰めていくことになった。

普天間移設問題で稲嶺沖縄知事が首相と会談

November 25, 1999

 小渕恵三首相は25日午前、沖縄県の稲嶺恵一知事と首相官邸で会談した。稲嶺知事は、米軍普天間飛行場の代替施設の候補地としてキャンプ・シュワブのある名護市辺野古に決めたことを報告。移設の条件として「米軍の使用には15年の期限を設ける」などの4点を具体化するよう正式に要請した。これに対し首相は「知事のご尽力に対して敬意を表したい。1日も早い解決に向け、政府に求められている課題に関しては全力をあげて取り組む」と応じるにとどまった。

 これに先だって知事と会談した青木幹雄官房長官は、使用期限の問題について「一般論としては将来の国際情勢など様々な要因と深く関係し、極めて厳しい。種々の要素を総合的に勘案しながら考えたい」と答えた。また、会談後の記者会見で青木長官は、この問題について米国政府と協議するかどうかについても「今のところ、そういう考えはない」と消極的な姿勢を示した。

 稲嶺知事は首相らとの会談で、15年の使用期限のほか (1)移設先や周辺地域の振興、跡地利用について、立法を含めて特別な対策をとる (2)代替施設の建設は、住民生活に配慮し、自然環境への影響を極力少なくする (3)代替施設は民間航空機が就航できる軍民共用空港とし、将来にわたって県民の財産となるものにする ――という移設条件を提示した。さらに、米軍人の被疑者を起訴前に身柄拘束することを認めていない日米地位協定の見直しと、「さらなる米軍基地の計画的、段階的な整理・縮小」に取り組むことも求めた。

日本側の移設案検討が先

1999年11月24日 [ワシントン共同]

 柳井俊二駐米大使は23日の記者会見で、沖縄県の米軍普天間飛行場の返還問題について「まだ日米両政府間の協議は予定されていない。日本側の検討が先行する」と述べ、建設工法や使用期限問題を含め日本側で移設案を絞り込んだ上で、米国との協議に持ち込まれるとの見通しを示した。

25日に辺野古移設を報告

1999年11月24日 10時56分 共同通信社

 沖縄県は24日、米軍普天間飛行場の移設候補地について、「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」に正式決定したことを25日にも政府へ報告する方針を決めた。

普天間飛行場移設、反対派が名護市役所前に座り込み

November 24, 1999

 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題で、移設先とされた名護市のヘリ基地反対協議会は24日も、午前8時前から約40人が市役所前で座り込みを続けた。また、仲村善幸事務局長らが市に「稲嶺恵一知事が市を訪れて岸本建男市長と会談する際には、反対協とも面会できるようにしてほしい」と求めた。これに対して、宮城常吉助役らは「実現できるかどうかは分からない」などと答えた。

 座り込みをしている60代の女性は「自分の責任で判断をしたのであれば、知事は堂々と私たちと会ってもいいはず。逃げないで、きちんと私たちの話を聞くべきだ」と話していた。

首相「普天間問題の方向性見えれば訪沖の意義深まる」

5:53p.m. JST November 23, 1999

 小渕恵三首相は23日、沖縄県の米軍普天間飛行場の返還問題に関連し、「一度(沖縄県に)おじゃましたいという願望がある。ただ、サミット会場の整備その他がどの程度進ちょくしているか。普天間問題の方向性がはっきり見えてくれば、より訪問の意義が深まるのでは、と思う」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

15年の期限付きに否定的

1999年11月23日【ワシントン共同】

 ベーコン米国防総省報道官は22日、沖縄県が米海兵隊普天間飛行場の移設候補地発表で、米軍の使用期限を15年間とする条件をつけたことについて「米国は今、米軍の沖縄駐留に期限を設けていない」と述べ、否定的な姿勢を表明した。

 軍民共用空港建設というもう1つの条件には「沖縄の人々の役に立つなら受け入れる」と同意を表明した。

名護市役所前で座り込み

1999年11月23日 共同通信社

 米軍普天間飛行場の移設候補地としてキャンプ・シュワブ周辺の沖縄県名護市辺野古沿岸域が選ばれたことに対し、名護市の市民団体や労組、政党などでつくる「ヘリ基地反対協議会」は23日同市役所前で抗議の座り込みを行った。
座り込みには約50人が参加し27日まで連日、午前9時から午後5時まで実施する。

普天間移設先「米軍使用は15年」 知事、要請継続へ

November 22, 1999

 米軍普天間飛行場の返還問題で、沖縄県の稲嶺恵一知事は22日午後、記者会見し、米軍キャンプ・シュワブのある名護市辺野古(へのこ)を移設候補地に決めた理由について (1)既存の米軍施設内に移設することで沖縄の基地の面積が確実に縮小できる (2)海域に飛行ルートを設定し、周辺の騒音を軽減できる (3)一定規模以上の空港が建設可能で、軍民共用空港を設けることで北部地域の振興につながる、などと述べた。また、「米軍使用は15年に限る」との条件は今後も政府に求めていく考えを強調した。

 知事は県内移設を「苦渋の選択」としたうえで、「(政府に対し)種々の条件をつけ、沖縄の振興開発につなげることが知事の責務」とし、そのために「したたかな論理も発揮しなければならない」と述べた。

 候補地については「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」としたが、基地の規模や機能については「国、名護市と協議しながら進めていきたい」との見解を示した。

 名護市では1997年12月、政府が示した海上航空基地(ヘリポート)案をめぐる市民投票で反対票が上回ったが、この点について知事は「重く受け止めて参考にする」と述べるとともに、「地元の皆様には大変心苦しいところもあるが、十分に話し合いながらいろいろな面でカバーしていきたい」と語った。

 ただ、候補地の選定経過については「3月からスタートし、複数、ありとあらゆるところを検討した」と述べたが、対象となった場所や調査の仕方は明らかにしなかった。

 一方、同日午前、県から受け入れを要請された名護市の岸本建男市長は午後の記者会見で、「市議会をはじめ地域や漁業関係者などの意向を踏まえ慎重に判断したい」と述べた。

 反対派の市民団体は、市長が受け入れを表明すれば、解職請求(リコール)をする構え。市長としては来年7月の九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)を前に混乱を避けたい意向が強い。このため市長周辺では、リコール請求が出された場合、受け入れ表明後に辞職して市長選で市民の判断を仰ぐべきだとの考えも出ている。

普天間移設要請で野党が県の対応に反発

November 22, 1999

 米軍普天間飛行場の返還問題をめぐって22日、沖縄県が代替施設の移設候補地として名護市に協力を要請したことに対し、民主、共産、社民の野党3党は、「反対運動も強く、強引に進める話ではない」(民主党の羽田孜幹事長)などと、沖縄県の対応をいっせいに批判した。

 羽田氏は党本部での記者会見で「在日米軍基地を否定することは今はできないが、住民にていねいに理解を求める努力が必要だ」と述べ、現段階では地元住民の理解が十分得られていないと強調した。

 共産党の志位和夫書記局長は国会内で記者会見し、「沖縄県民全体の気持ちにそむく。日本の税金で最新鋭の基地を手に入れたいという米側の意向に即して政府や知事が動いている。不当な決定を押し付けることは許されない」と述べ、稲嶺恵一知事に要請の撤回を求めていく考えを示した。

 社民党の渕上貞雄幹事長は「来年夏の沖縄サミットを控えて年内決着を進めてきた政府のシナリオに沿った要請であることは明らか。性急な決定によって沖縄に新たな混乱と対立が持ち込まれることを危ぐする」との談話を発表した。

普天間問題、名護市への受け入れ申し入れは「暴挙」

November 22, 1999

 「許せない暴挙だ」。沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題が山場を迎えた22日、稲嶺恵一知事の移設候補地表明に先立って、県から名護市長への申し入れが行われた。副知事と市長の会談はわずか5分。知事はこれまで、県民向けの記者会見をした後、名護市に申し入れると明言していた。反対派を避けるかのような突然の申し入れに、反発が広がった。2年前、海上航空基地(ヘリポート)計画の賛否を問う市民投票では、反対が過半数を占めた。市を2分する基地問題の再来に、地元は重苦しい雰囲気に包まれた。

 名護市役所では22日正午過ぎから、玉城義和県議らヘリ基地反対協のメンバー約10人が、市長との面会を求めた。

 応対した宮城常吉助役が「これまでの経過を踏まえ、県から要請を受けた。午後2時半から名護市として記者発表する予定で、いま市長がどこにいるかは私は知りません。現在は不在です」と答えると、「副知事には会えるのに市民には会わないのか」と怒号が飛び交った。

 「副知事の申し入れは正式なものか」との問いには、「午前11時前、知事から市長に『副知事が向かっている』と電話があった。それで会ったので、正式な申し入れだ」と答えた。

 ヘリ基地反対協の新城春樹・共同代表(64)は「移設先表明の日程を前倒しするなどやり方が汚い。悪いことをしているから、堂々とできないのだろう。数の力で押し切ろうとする、問答無用の怖い政治だ」と切り捨てた。

 前回の市長選に立候補した玉城県議は「重大な問題なのだから、知事は責任者として道理をきちんと説明するべきなのに、かわすことしか考えていない。そもそも、県の三役会議の前に副知事が説明に来ること自体、行政手続き違反だ」と語気を強めた。

 岸本市長と石川副知事らの会談はわずか5分だった。石川副知事が協力依頼書を読み上げる間、岸本市長は時折うなずくだけで、険しい表情を崩さなかった。

 会談後、記者団に囲まれた岸本市長は「知事の正式発表のあとに話します」とだけ答え、市長室に入った。

 石川副知事は、稲嶺知事が名護市を訪れることを取りやめたことを明らかにして、「これが(県から市への)正式な要請だ」と話した。「反対派との混乱を避けるためか」と記者団に問われたが、明確には答えなかった。

 一方、稲嶺知事は15日の記者会見で「まず、県民向けの記者会見をし、その後、移設先自治体に申し入れる」と明言していた。だが、知事の要請はなく、日程を変更したことについて、花城可長・政策調整監は「知事は日程の都合で、(名護市には)行かない。会見前に市長に伝えるべきだと判断した。知事の指示だ」と釈明した。

 この日昼すぎから、沖縄県庁前広場では、移設に反対する県民会議の抗議集会が開かれた。約150人が集まり、参加者は「移設を撤回するまで運動を盛り上げていく」と訴えた。

 県民会議の仲宗根義一・事務局長は、石川副知事がすでに名護市に申し入れたことを聞き、表情をこわばらせながら「県民の声を聞こうとしないで、事を進めることは絶対許せない。今後とも闘いを強めていく」と語った。

 県民会議は稲嶺知事の記者会見の前に、県に移設反対の申し入れをする予定だった。集会の参加者は「県民無視の姿勢は許せない」と怒った。県庁前の広場にテントを張り、座り込みを続ける。

普天間移設先は名護市 沖縄県、22日に正式表明

November 21, 1999

 沖縄県の米軍普天間飛行場の返還問題で、稲嶺恵一知事は21日、代替施設の移設先について「名護市の方にお願いしたい」と述べ、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブとする考えを初めて表明した。22日午後に、県庁で記者会見して正式に表明。候補地選定の経過を説明し、「苦渋の決断」として県民の理解を求めるとともに、同日中に名護市を訪れ、岸本建男市長に受け入れを要請する。岸本市長はすでに受け入れの意向を固めているが、直ちに応じることは避けるものとみられる。知事の表明を受けて、政府は次回の沖縄政策協議会で示す移設先の振興策の具体化を急ぐ方針。一方、名護市では、反対派が運動を強める構えで、普天間問題は最大の山場を迎えることになる。

 稲嶺知事は21日、那覇市内での地元テレビ局の番組収録で、移設先発表の手順を問われ、「県民に対して訴え、それから名護の方にお願いしたい」と発言。急いで撤回したものの、名護市が候補地であることを初めて認めた。

 22日の記者会見では、候補地を「キャンプ・シュワブ水域内の名護市辺野古」と特定し、新しい基地は軍民共用で県民の財産となることを強調する予定だ。一方で、政府に対し、騒音対策や自然環境保護、訓練空域の限定などの対策を講じるよう求めるとともに、移設先の地域振興策に万全を尽くすよう改めて要請するとみられる。ただ、軍民共用空港建設以外の基地の規模や機能などの条件については言及しないという。

 名護市に決めた理由については、「本島北部に軍民共用空港を造る」とした昨年の知事選の公約に沿って検討した結果と説明。基地外での新たな建設はできないことや、住民の生活や自然環境への影響を最小限にすることを優先したことなどを挙げる考えだ。

 稲嶺知事は、19日の沖縄政策協議会で政府が跡地利用対策や移設先の振興策について全面支援する方針を表明したことを受け、県が移設先を発表する環境はほぼ整ったと判断。21日に、沖縄県の関係部長らでつくる普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策会議(議長・石川秀雄副知事)を開き、移設先表明の内容を協議した。さらに、22日は朝から庁議や三役会議を開き、移設候補地を正式決定する。

普天間跡地対策で宜野湾市長が新規立法要請

4:30p.m. JST November 15, 1999

 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の比嘉盛光市長は15日、自民党の森喜朗幹事長に国会内で会い、同飛行場の移設後の跡地利用策について「現行の軍用地返還特措法は広大な面積の跡地利用には適していない」として法改正や新規立法を要望した。 (1)地主の補償期間を現行の3年から「跡地が再活用できるまで」に延長する (2)「返還時期」は埋蔵文化財の発掘や環境汚染の浄化が済み、土地の引き渡しを受けた日とする (3)企業が進出しやすい環境整備 ――などを求めている。

沖縄政策協19日に開催 普天間移設先は来週中に表明へ

November 15, 1999

 青木幹雄官房長官は15日午前の記者会見で、政府と沖縄県知事が振興策など話し合う沖縄政策協議会を19日に開催すると発表した。これを受けて、沖縄県の稲嶺恵一知事は来週中にも、米軍普天間飛行場の移設候補地を名護市の米軍キャンプ・シュワブとすることを発表する方針を固めた。政策協議会はこれまでに12回開かれており、自自公連立の現小渕内閣が発足してからは初めて。

 青木長官は、協議会での政府側の対応について「(振興策など県側の要望について)できるだけ全力をあげて取り組む姿勢をはっきりしたい」と述べ、普天間飛行場の移設問題の解決をにらみ、県側の要望に最大限応じる姿勢を示す考えを明らかにした。

 一方、稲嶺知事は同日の記者会見で、協議会では移設先の振興策などについて政府の「特別な対応措置」を求める考えを強調。政府から具体的な方向が示されれば「三役会議など行政手続きを経て、できるだけ早く移設候補地を提示したい」と述べた。表明後、移設先の自治体に出向いて理解と協力を求める考えも示した。

 政府は、知事が移設先を表明すれば、今月中にも改めて政策協議会を開き、跡地対策や名護市など県北部の振興策の具体策を決める方針。こうした取り組みに全力をあげることを閣議でも決める。

沖縄・読谷の米軍降下訓練、伊江島へ移転で日米最終合意

October 22, 1999

 日米両国は21日の日米合同委員会で、沖縄県の読谷補助飛行場で行われてきた米軍によるパラシュート降下訓練を、同県伊江村の伊江島補助飛行場に移転することで最終合意した。着地に失敗し海上に落ちた場合の救助艇の運用経費など訓練移転経費を日本側が負担する。伊江島への移転は「沖縄に関する日米特別行動委員会」(SACO)の1996年の最終報告に盛り込まれていたが、米側が条件面の整備を求め調整が続いていた。

 伊江島補助飛行場でのパラシュート降下訓練は現行では、平日の場合、月、火曜日に限られているが、読谷からの移転に伴い月曜日から金曜日に広げることにした。伊江村の島袋清徳村長は今年3月、それまでの反対姿勢を転換し、移転受け入れを表明。その際、振興策と安全策の確保を条件にしており、政府は今後こうした対策を迫られる。

海上中心の混成基地案推進

1999年11月04日 共同通信社

 沖縄県が米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設候補地として今月中旬にも選ぶ方針を決めたキャンプ・シュワブ周辺の名護市辺野古地区で、沖合3キロに設置する、メガフロート式の飛行場を中心施設に据えた海・陸の混成(ハイブリッド)基地案を推進する動きが、受け入れ賛成派の間で強まっている。

12日にも沖縄協議会 知事の普天間移設地決断を後押し

November 03, 1999

 政府は2日、政府と沖縄県の稲嶺恵一知事が同県の産業振興策などを話し合う沖縄政策協議会(主宰・青木幹雄官房長官)を早ければ12日に開く方針を決め、県側との調整に入った。米軍普天間飛行場の返還問題をめぐり、稲嶺知事は移設先を名護市の米軍キャンプ・シュワブに絞り、15日にも正式表明して同市に受け入れを要請する方針だ。協議会では青木官房長官が「飛行場の跡地利用や移設先の経済振興策などに全力で取り組む」との決意を改めて強調し、知事の決断を後押しする考えだ。

 稲嶺知事はこれまで、移設先表明の前に政府が跡地対策と移設先の振興策を明示する必要があると強調してきた。しかし、協議会で政府から前向きに取り組む姿勢が示されれば、キャンプ・シュワブへの移設を正式表明する方向で検討している。

 政府は、知事の表明があれば11月中にも再び政策協議会を開き、振興策などについて具体的な枠組みを示したうえで、閣議決定か首相談話の形でその実現を担保することを検討している。

沖縄県、キャンプ・シュワブに一本化 米軍普天間移設

October 31, 1999

 沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設問題で、県は30日までに、移設先を名護市の米軍キャンプ・シュワブに絞り、11月中に移設候補地の決定を表明して同市に受け入れを要請する方針を固めた。基地の工法については、日米両政府間の協議が必要として提示しない考えだ。返還合意から3年半を経て、普天間問題は再び、代替の海上航空基地建設計画で揺れた名護市を舞台に大詰めを迎える。ただ、市側がただちに要請に応じる見通しは立っていない。稲嶺恵一知事は政府が否定的な「米軍使用は15年」との条件を強調、跡地対策や移設先の具体的な振興策を政府に要求しており、調整が難航すれば提示が遅れる可能性もある。

 来年夏の九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)を控え、日米両政府は移設問題の「年内決着」を強く求めており、沖縄県は11月には移設先を決める必要があると判断。当初は複数の候補地を政府に示すことにしていたが、早期決着を図るため1カ所に絞った。

 キャンプ・シュワブについては、日米両政府ともに米軍の運用上の理由などから最適地と見ている。

 県は、キャンプ・シュワブ以外にも、稲嶺知事の後援会や建設業者の提言も参考にし、伊江島や津堅島、本島内陸部など十数カ所を対象に検討した。しかし、滑走路で島が二分されたり、自然環境への影響が大きかったりすることに加え、 (1)新空港は那覇空港からより遠い本島北部の方が有用性が高い (2)基地外で新たな民有地を確保するのは県民感情から難しい 、といった理由から、キャンプ・シュワブが、稲嶺知事が公約としている軍民共用空港の条件を最も満たしやすいなどと判断した。

 振興策については、名護市を含む周辺の沖縄本島北部12市町村からの意見聴取を進めており、県側としての要望をまとめて政府に示すことにしている。市町村からはこれまでに高規格道路の延伸などの要望が県に出ているが、稲嶺知事は新産業創出で雇用増大につながる施策を政府に求める考えだ。跡地対策では、青木幹雄官房長官が特別立法の必要性に理解を示したことを受け、早期の具体化を望んでいる。

 県はこうした点について沖縄政策協議会で政府側と話し合いたい考えで、支援の枠組みが閣議決定などの形で担保されるのを見極めたうえで、移設先提示に踏み切る方針だ。

 しかし、県が正式に候補地に選んでも、来夏の沖縄サミットを控えた名護市では受け入れをめぐる混乱を避けたい意向が強く、現状では年内に可否の結論を出すのは難しいとの見方が強い。また、振興策についても、口頭ではなく北部振興に取り組む姿勢を明文化するなど、県の明確な意思表示が必要だ、としている。岸本建男市長はこれまで、県から提案があった場合について「話は聞くが、それがすなわち同意ではない。検討するということだ。サミットを市民一丸となって成功させるために、できるなら摩擦は避けたい」と話している。

普天間県内移設、15年の期限付きを要請 沖縄知事

October 28, 1999

 瓦力防衛庁長官は28日、米軍普天間飛行場の視察などのため就任後初めて沖縄県を訪問し、稲嶺恵一知事と県庁で会談した。稲嶺知事は、普天間飛行場を県内に移設した場合の施設を軍民共用の15年の期限付きにすることが必要だという考えを伝えた。瓦長官は「日米安保条約の目的達成のため、沖縄の米軍基地が欠かせないのも事実だ」と指摘し、「今後(移設に関する)知事の具体的な考えを拝聴して防衛庁としても適切に対応したい」と応じた。

 瓦長官は会談後、記者会見し、移設先を期限付きとすることについて「国際情勢、東アジアの軍事情勢の安定のためには、大変難しい問題だ」と述べ、改めて否定的な考えを示した。

15年の期限は譲れない 普天間飛行場移設で稲嶺知事

October 25, 1999

 沖縄県の稲嶺恵一知事は25日の定例記者会見で、米軍普天間飛行場の移設先を政府に提示する際には「軍民共用空港で米軍の使用期限は15年」との条件をつけることを改めて指摘した。「県民が希望する基地の整理・縮小を目に見える形でつくっていくことが大変重要だ」とも述べ、あくまでもこだわっていく姿勢を見せ、政府が難色を示している「15年の期限付き」は譲れないとの考えを強調した。

 また、22日から2日間、沖縄を訪れた青木幹雄官房長官らが普天間の跡地利用での特別立法や移設先の振興策に積極的な発言をした点に触れ、「抽象的な地域振興でなく1歩でも2歩でも掘り下げたい」と、政府の対応を見守る姿勢を示した。

 23日に宜野湾市であった県内移設反対の県民大会に約1万2000人(主催者発表)が参加したことについては、「県民共通の願いは平和で基地のない豊かな沖縄だが、現実的によりベターな選択はないか。県民に十分話しながら理解が得られるよう努力したい」と語った。

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