TOPIC No.2-53 鉄鋼業界

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05.新日本製鐵 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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07.JFEスチール株式会社(旧NKK+旧川崎製鉄)
08.住友金属工業
09.神戸製鋼
10.鉄鉱石 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
11. TOPIC No.2-53-1 韓国鉄鋼業界
12. TOPIC No.2-53-2 中国鉄鋼業界


【新日鉄・住金合併】グローバル生産は年最大7000万t目指す

2011年09月22日(木) 21時45分 Response《編集部》

 新日本製鐵と住友金属は、経営統合後、海外事業を強化してグローバルでの粗鋼生産量を年産6000万〜7000万tを目指すことを明らかにした。

 両社合計の2010年度の粗鋼生産量は4800万tだが、今後、海外事業を加速することで6000万〜7000万tへの拡大を「10年以内にはやりたい」(宗岡正二新日鐵社長)としている。

 特に日系自動車メーカーが海外生産体制を強化しているのに対応して高級鋼を中心に、幅広い品種グローバルに供給する体制を構築する方針だ。

 具体的には中国、東南アジア、ブラジル、インドの新興市場で両社が展開している製造・加工・営業拠点を再編・拡充する。また、アジアと北米では鉄源一貫を含む製造販売拠点を強化・新設する。さらに、自動車分野で薄板・鋼管・棒線・クランクシャフトなど、両社の得意分野を組み合わせて総合提案力を強化する。

新社名は「新日鉄住金」 来年10月合併目指す新日鉄、住金

2011.09.22 10:21 Sankei Biz

 来年10月の合併を目指している新日本製鉄と住友金属工業が、合併後の新会社の社名を「新日鉄住金」とする方針を固めたことが22日、分かった。合併後の存続会社は新日鉄になる見通し。住金社内では新社名に住友の名称を残したいとする意向もあったが、略称である住金の名前が残ることになる。

 両社は2月に合併交渉入りを発表し、5月に公正取引委員会に対し、合併計画を届け出ていた。現在、2次審査開始に向けた手続きが進んでおり、製品シェアの現状などについての追加報告が行われている。今年度中に合併承認が得られる見通しだ。合併が実現すれば、粗鋼生産量の世界シェアはアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)に次ぐ世界2位グループに入る。

 自動車用薄板など総合力を発揮する新日鉄に対し、住金は石油掘削用のシームレス(継ぎ目なし)パイプなど資源エネルギー分野で強みを持つ。原料高騰や円高による国内自動車メーカーなどの海外移転が加速する中、新興国での高炉建設も検討する。

インドで自動車用鋼板生産 新日鉄、13年中に合弁で

2011年01月07日19時57分 中国新聞ニュース

 新日本製鉄は7日、インドに現地の大手鉄鋼メーカー、タタ製鉄と合弁で自動車用の鋼板を製造する会社を設立し、2013年中に営業運転を始めると発表した。自動車生産が急増するインドで、現地の日系自動車メーカーなどの需要増に対応するのが狙い。

 合弁会社の資本金は約160億円で、タタが51%、新日鉄が49%を出資。総投資額は約400億円で、従業員は約300人。年間の生産能力は60万トン。両社は10年1月に合弁会社設立の方針を発表し、その後、細かい条件などについて交渉を続けていた。

 新日鉄によると、インドの乗用車の生産台数は年間20%以上のペースで増加している。

鉄鉱石:原材料高騰 製造、調達知恵絞る

2010年07月18日 毎日新聞 Mainichi JP

 新興国の旺盛な鉄鋼需要を背景にした鉄鉱石などの原料価格高騰を受け、国内企業が対応を急いでいる。デフレに伴う根強い消費者の低価格志向で、コスト上昇分を製品価格に簡単には転嫁できないためで、鉄鋼会社は製鉄過程で出る“ゴミ”をリサイクルしたり、メーカーは安価な海外製鋼材の調達を模索したりと、あの手この手で難局を乗り切ろうとしている。【浜中慎哉、井出晋平】

 5月、新日本製鉄と神戸製鋼が建設計画を発表したリサイクル施設。従来は廃棄処分対象だった「製鉄ダスト」から鉄鉱石の代わりになる「還元鉄」を製造する施設だ。

 ただ、日本の年間鉄鉱石輸入量約1億1500万トン(09年度)に対し、施設の製造量はわずか15万トン。新日鉄幹部は「やれることは全部やるしかない」と話し、自力で安い原料調達に努めると強調する。

 鉄鉱石価格の高騰は激しい。7〜9月期の価格は09年度比で約2.4倍の1トン=約147ドル。メーカーが鉄鋼会社から購入する際の鋼材価格も高騰し、新日鉄とトヨタ自動車は先月、上期(4〜9月期)の価格を1トン当たり1万9000円強の値上げをすることで合意。前年度に比べると25%のアップだ。

 ◇自ら鉱山開発」

 鉄鉱石価格の高騰は新興国の需要増が主な要因だが、供給側の世界資源大手による寡占化も背景にある。このため、鉱山権益の確保を強化して対抗しようという動きも活発化している。海外での鉱山権益確保に注力するJFEスチールの林田英治社長(日本鉄鋼連盟会長)は「日本の鉄鋼会社が生き残るには、自ら鉱山を開発するしかない」と話す。

 大手商社の住友商事は1日、ブラジルの鉱山会社ミネラソン・ウジミナスに約1700億円を出資し、約30%の株式を取得すると発表。日本の鉄鉱石輸入の1割弱にあたる年間約900万トンの権益を獲得する。ブラジルの資源大手ヴァーレと英豪系資源大手のリオ・ティント、BHPビリトンの3社による寡占に対抗し、「日本への安定供給源の一つにする」(住商)狙いだ。

 自動車などメーカー側では、鉄鋼会社製から価格が安い電炉メーカー製鋼材に乗り換える動きも始まった。電炉メーカーは鉄鉱石などの代わりに鉄スクラップを原料にするため、鋼材価格は鉄鋼会社より2〜3割安い。以前に比べて品質も向上しており、車体の中核部品以外の鉄については置き換えが可能になっている。

 電炉最大手の東京製鉄には、トヨタや日産自動車などの系列部品メーカーからの問い合わせが急増。「部品メーカー1〜2社に自動車用鋼板を納入していたが、今後5〜6社に納入する」という。

 調達先の多様化を視野に入れるメーカーもある。船舶大手の三菱重工業は、中国製の安い鋼材を錨(いかり)などにこれまでも使ってきたが、他の部分も海外製鋼材で代替できないか検討中だ。大宮英明社長は「このまま原料高が続けば立ち行かない。海外の鋼材も質が良くなり、重要部品以外なら使える」と話す。

鉄鉱石が最高値更新も 資源大手の契約見直しで

2010年03月24日 中国新聞ニュース

 ブラジルの資源大手バーレが、鉄鉱石価格を市場連動の短期契約で決める新方式を導入したことが24日、分かった。日本を含めた鉄鋼メーカーの輸入価格は4月以降、2009年度の55ドル(1トン当たり)の2倍程度に跳ね上がり、過去最高値を更新する公算が大きくなった。

 鉄鋼各社は原料の値上がり分を鋼材価格に転嫁したい考えで、国内の自動車や家電メーカーなど幅広い産業や消費者に影響が及びそうだ。

 鉄鋼原料の価格はこれまで年度単位で決めてきたが、原料用石炭については今年、4〜6月の短期契約とすることで英オーストラリア系資源大手と合意した。鉄鉱石も最大手バーレが新方式を導入したことで、市場価格を反映させた四半期契約に切り替わる見通し。中国の需要拡大により市場価格は上昇を続けており、鉄鋼各社は厳しい値上げ圧力にさらされることになる。

 バーレは現地時間の23日、鉄鉱石のより柔軟な値決め方式を最近導入したと表明、「すべての市場と顧客に適用する」と強調した。日本の鉄鋼メーカーは未決着だとして反発しているが、バーレは新方式を全面的に適用していく考えだ。

原料炭、55%値上げで合意 鉄鋼各社、資源大手と

2010/03/05 中国新聞ニュース

 新日本製鉄、JFEスチールなど国内鉄鋼大手が、鉄鋼原料である石炭の4〜6月の輸入価格を1トン当たり200ドルに引き上げることで英オーストラリア系資源大手のBHPビリトンと合意したことが5日、分かった。

 中国の鉄鋼消費が膨らんで原料炭の需要が拡大しているためで、2009年度に比べて55%の大幅値上げとなる。

 契約期間はこれまで慣例だった年度単位から3カ月間に短縮。鉄鋼各社は大幅値上げと期間短縮を受け入れたことで、原料コストが膨らんだ上、今後も価格が急変動するリスクにさらされる恐れが出てきた。

 鉄鋼各社は、業績悪化を避けるためコスト増を鋼材価格に転嫁したい考えで、自動車メーカーなど産業界全体にも影響が広がりそうだ。

8月の大口電力14%減 11カ月連続前年割れも下落幅縮小

2009.09.18 MSN産経新聞

 電気事業連合会が18日発表した全国の電力10社による8月の電力販売量(速報)によると、景気の指標とされる産業用の大口電力需要は前年同月比14・1%減の220億9500万キロワット時と、11カ月連続で前年実績を下回った。

 ただ、マイナス幅は2月に過去最大の26・4%を記録した後、6カ月連続で縮小している。過去最悪期は脱したが「依然として全業種で大幅な前年割れが続き、生産面は厳しい状況が続いている」(電事連)と分析し、電力需要の面からは、景気回復の兆しとは判断できない状況だ。

 7月の大口電力需要を業種別にみると、鉄鋼に持ち直しの兆しがみられる。鉄鋼は前年同月比では26.7%減だったが、前月比では5・5ポイント改善した。自動車など需要の大きい機械は前年同月比16・5%減となり、主要7業種すべてが2ケタ台の前年割れが続いている。

 電力各社によると、最大の下げ幅となったのは、中部電力で、前年同月比17・7%減。中国電力と北海道電力が17・5%減、四国電力が17・4%減と続き、地方産業の悪化が目立つ。

 8月の10社合計の電力需要全体は前年同月比10.8%減の777億9000万キロワット時と12カ月連続のマイナスだった。8月としては、冷夏だった2003年(平成15年)8月の10・6%減を上回り、1972年(昭和47年)の電力10社体制になってから過去最大の下げ幅だった。

神鋼「軽量」に託す未来 自動車部材最大50%、EVで威力

2009/09/10 FujiSankei Business-i

 神戸製鋼所は9日、これまでよりも重さが最大で半分になる超軽量の自動車用部材を開発したことを明らかにした。強度を保ちながら高張力鋼板(ハイテン)とアルミ板材を溶接接合する独自技術で実現した。自動車の軽量化は燃費の改善に加え、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に大きな効果がある。特に自動車メーカー各社が相次いで投入している電気自動車(EV)は強度を確保した上で、軽くなればなるほど、1回の充電で走行できる距離が伸びる。超軽量部材への期待は大きく、早期の商用化を目指す。

 新部材は高強度で軽量なハイテンとアルミを継ぎ合わせたタイプと重ね合わせたタイプの2種類あり、グループ内の神戸総合技術研究所(神戸市)が開発した。アルミは重さが鉄の鋼材の3分の1と軽く、新開発した部材はアルミを使用した分だけ鋼材の使用量が減り軽量化できる。アルミの使用量は、強度を確保するため、自動車のどの部分に部材を使うかで変わる。屋根に使用する部材の場合は、従来に比べ約5割、前方側面部に使用した場合では約4割も軽くなるという。

 鋼材とアルミを溶接接合した部材は、接合面の強度が弱くなったり、耐腐食性が低下するため、自動車への使用は困難とされてきた。

 神戸製鋼ではグループの鉄鋼、アルミ、溶接などの各部門が持つ総力を結集。溶接する際の温度調節や溶接材の成分に工夫を凝らすとともに、ハイテンとアルミの厚さの最適化を図ることで、世界で初めて強度を保ちながら接合する独自技術を開発した。

 今後は自動車メーカーに試用品を提供するなど採用を働きかけ、2012年にも量産化したい考えだ。

 ■「CO2削減に貢献」可能性に期待

 神戸製鋼では「世界の自動車メーカーはCO2削減に寄与する車体の軽量化を進めており、新部材の採用が広がる可能性は大きい」と意気込みをみせる。今後も部材を使用できる範囲の拡大を目指して研究開発に注力する方針だ。

 同社に加え、新日本製鉄など国内鉄鋼大手4社は今月、世界最大手のアルセロール・ミタルや韓国のポスコなどと共同で、自動車の重量を現在よりも35%削減する技術を開発すると発表した。自動車の軽量化を実現する素材として、アルミニウムや炭素繊維といった素材との競争が激化しており、世界の鉄鋼メーカーがタッグを組み対抗するのが狙いだ。

 鉄鋼業界では、すでに世界最高水準のエネルギー効率を達成しており、省エネ化は限界に近く、現在の製鉄技術では、さらなるCO2の排出量削減への貢献は難しい。

 政権交代を実現した民主党が掲げる「1990年比25%削減」の高い目標は、鉄鋼業界に対し、「粗鋼生産量を2割減らすよう迫るのに等しい」という。

 鉄鋼業界では、反発は強いものの、鉄鋼生産の過程で排出されるCO2を分離・回収する技術開発に取り組んでいる。こうした努力に加え、超軽量部材の供給で自動車の軽量化を実現することでも、CO2削減に貢献していきたい考えだ。(本田誠)

世界の鉄鋼16社、環境対応車向け新型鋼材の仕様決定

2009年09月04日 日刊工業新聞

 新日本製鉄やJFEスチールなど世界の鉄鋼メーカー16社で構成する「ワールド・オート・スチール」は3日、次世代鋼製車体プログラム(FSV)で検討している環境対応車向けの新しい鋼材の仕様が決定したと発表した。現在の高張力鋼板(ハイテン)よりも軽くて強度がある鋼材を開発、環境対応車向けの技術的な仕様を決定。

 今後さらに詳細な設計や技術的な最適化を検討し、2010年末を目標に新しい車体構造を開発する。

 15―20年に需要の伸びが想定される4人乗り電気自動車とプラグインハイブリッド車(PHV)、5人乗りのPHVと燃料電池車の四つの次世代自動車について技術的な仕様を検討。それぞれのケースで、その性能や20年時点での実現可能性、コストを想定して車体の駆動系を選択した。

鉄鋼輸出、10カ月ぶり300万トン台回復 7月、前年比では3.2%減

2009/09/01 NIKKEI NeT

 日本鉄鋼連盟が1日発表した7月の鉄鋼輸出量は前年同月比3.2%減の320万7000トンだった。10カ月連続で前年同月を下回ったが、減少幅は2カ月連続で縮小し9カ月ぶりに1けた台となった。300万トン台の回復は10カ月ぶり。前月比では11.6%増となり3カ月連続で前月を上回った。

 鉄連によると景気刺激策で経済成長が続く中国や、中国向けの家電などの出荷が増えている韓国への輸出が増加。「8月には前年同月水準に回復する可能性もある」という。韓国と中国向けはともに2カ月連続で前年同月を上回った。

 最大の出荷先である韓国向けは前年同月比18.5%増の87万7000トン。再加工して家電などに使う熱延鋼板が同21.2%増えたことがけん引した。中国向けは同9.1%増の63万4000トンで、熱延鋼板が4.8倍に増えた。ただ台湾やタイなどは依然2けた減が続いている。(

鉄の世界戦 住金「点火」 新高炉、きょう和歌山で稼働

2009/07/17 Fuji Sankei Business-i

 住友金属工業は和歌山製鉄所(和歌山市)に新たに建設した第1高炉を17日に稼働する。新高炉は11日に停止した第4高炉の後継基で、鉄鋼の母材の生産能力は年間50万トン拡大する。さらに和歌山製鉄所では、来年4月以降に第1高炉と同規模の第2高炉の建設に入る計画だ。鉄鋼需要は足元ではなお落ち込んでいるものの、景気が回復して需要が戻れば、世界最大手のアルセロール・ミタルや台頭する中国勢との競争が激化するのは確実。住友金属では今後の需要回復をにらみ、生産能力増強に踏み切る。

 ≪需要回復に備え≫

 新第1高炉は炉内容積が3700立方メートルで、年間生産能力は250万トン。これに対して、第4高炉は容積が2700立方メートル、生産能力は200万トンだった。和歌山製鉄所では、ほかに生産能力200万トンの第5高炉が稼働しており、和歌山製鉄所の生産能力は400万トンから450万トン、住友金属全体では1350万トンから1400万トンに拡大することになる。

 新第1高炉の建設に着手したのは、新興国の経済成長を背景に鉄鋼需要が急増していた2006年11月。総額510億円を投じて、今月完成した。昨秋以降の景気後退の影響で和歌山製鉄所も高炉を含む上工程の製造設備の稼働率が8割に落ち込んでいるため、新高炉も当面は操業を抑える。

 ただ、和歌山製鉄所は主力の石油や天然ガスなどの掘削に使うシームレスパイプ(継ぎ目なし鋼管)の生産拠点であるだけでなく、資本・業務提携する新日本製鉄や神戸製鋼所にもスラブと呼ばれる鉄鋼半製品を融通する重要な鉄源基地でもある。このため、住友金属では「先行きの需要回復に備えて、今から生産能力を増強しておくのは間違いではない」としている。

 ≪手ごわいミタル≫

 一方、来年建設を開始する予定の第2高炉は第1高炉と容積、生産能力が同じ「双子高炉」で、12年度下期に第5高炉から切り替える予定だ。これにより、和歌山製鉄所の生産能力はさらに50万トン上積みされる。

 日本鉄鋼連盟によると、国内の粗鋼生産量は5月に前年同月比38.5%減少したものの、前月比では13.1%増と2カ月ぶりに増加に転じた。鉄鋼の大口顧客である自動車、電機メーカーの在庫調整が進展し、需要が上向きつつあるためだ。経済産業省が集計した7〜9月期の粗鋼生産量も、前期比14.3%増と4〜6月期に続き2期連続で増加する見通しだ。

 10〜12月期以降は、自動車や電機メーカーの鋼材需要の先行きが不透明なほか、企業の設備投資の手控えなどで建築用鋼材の需要に回復の兆しがみられないため、依然「予断を許さない状況」(経産省鉄鋼課)だ。

 しかし、日本の鉄鋼メーカーと同じく需要減に苦しむミタルはリストラを敢行し、景気回復後は“筋肉質”の企業に生まれ変わって競争力が一段と高まる可能性がある。中国の鉄鋼メーカーも再編で規模が拡大しており、脅威が増している。日本勢が世界市場でこれらのライバルに遅れをとらないようにするには、住友金属と同様に、先行きを見据えて、反転攻勢をかける態勢をどれだけ構築できるかが焦点となる。 (本田誠)

聞きたい:新日本製鉄・宗岡正二社長

2009年07月17日 毎日新聞 東京朝刊

 ◇鉱山権益確保も視野

 世界不況で高炉休止など大幅減産に追い込まれた鉄鋼業界。4〜6月以降は自動車産業で在庫調整が進み、鉄鋼も減産の緩和に動いているが、需要の本格回復は見通せているのか。日本鉄鋼連盟会長も務める宗岡正二・新日本製鉄社長に聞いた。【聞き手・大場伸也】

 −−政府が景気底打ち宣言をしましたが、日本経済の現状をどう見ていますか。

 ◆日本経済は昨秋から続いていた悲惨な状況からは抜け出し、底打ちした。電機業界が今年2〜3月、自動車も4〜6月には需要急減に対応した在庫調整を終えたためだ。しかし、実需は昨秋以前の7割の水準にしか戻っておらず、企業の設備投資も冷え込んだままだ。底打ちはしても本格反転しない「L字形」の景気状況が続く可能性がある。

 −−新日鉄は休止した大分の高炉(1基)を8月に再稼働します。

 ◆足元の鉄鋼需要の持ち直しと生産効率の向上を考えて判断した。ただ、本格的な増産に転換する状況ではなく、同じく休止中の君津製鉄所(千葉)の高炉(1基)は年内に再稼働させるのは難しい。減産体制の全面解除までは見通せていない。

 −−英豪系資源メジャーのBHPビリトンとリオ・ティントの事業統合に反対していますが。

 ◆両社合わせて日本の鉄鉱石輸入の6割を占める。資源価格の寡占化が一段と進むような統合を認めるわけにはいかない。ただ、鉄鉱石や石炭の需給は、中国やインドなどの経済成長で今後より逼迫(ひっぱく)する。鉄鋼メーカーも、ある程度は自分で資源を持っていた方がいいとの考えもあり、鉱山などに出資して権益を確保する戦略も考えている。

 −−新日鉄の成長への戦略は?

 ◆「省エネ」「環境」がキーワードになる中、鉄鋼など素材メーカーも先進的な高機能材を供給する能力が不可欠だ。主力の自動車向けは、軽量化や環境対応に優れた鋼材の開発を一段と進めていく。厳しい経営環境下でも、研究開発費を削減しないのはそのためだ。急成長する新興国市場ではコスト競争力を高めるため、現地生産を拡大する必要も強まるだろう。

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 ■人物略歴

 ◇むねおか・しょうじ

 70年東京大農卒。秘書部長、常務、副社長などを経て08年4月から現職。山口県出身。63歳。=小出洋平撮影

資源会社統合:鉄鉱石2社、統合計画再浮上 「価格支配進む」、鉄鋼業界が反発

2009年07月17日 毎日新聞 東京朝刊

 英豪系資源大手2社が打ち出した生産部門の経営統合計画に、日中などの鉄鋼メーカーが猛反発している。資源大手2社が生産統合すれば価格支配力が一段と強まる可能性が大きく、不況下で鉄鉱石価格が値上げされた場合、新日本製鉄などは鋼材価格に転嫁できず収益は一段と悪化する。各国の独禁当局も巻き込み、波紋が広がっている。【大場伸也、赤間清広】

 「消えたはずの悪夢に再び襲われた」(日本の鉄鋼業界筋)。資源大手のBHPビリトンとリオ・ティントが6月上旬に発表した西豪州での鉄鉱石事業の生産統合計画は、鉄鋼業界にショックを与えた。BHPは昨年もリオを総額1500億ドル(約14兆円)で買収しようとしたが、金融・経済危機の影響を受けて買収計画は頓挫。日本の鉄鉱石輸入量の約6割を占める両社の統合が鉄鉱石価格のつり上げにつながると懸念した鉄鋼メーカー側は一度は胸をなで下ろした経過がある。

 BHPとリオは「統合は生産部門だけ。販売部門は個別で、独占禁止法上問題はない」と主張する。しかし、実現すれば、年間生産量は最大手のブラジルのヴァーレに匹敵する。現状でもヴァーレ、BHP、リオの3強で世界の鉄鉱石生産の7割を占める寡占状況なのに、2強体制になれば鉄鋼メーカーへの価格支配力が一段と強まるのは確実だ。

 ただ、生産統合の実現には、各国独禁当局の承認が必要。各国の鉄鋼メーカーは当局への働きかけを強めており、日本の公正取引委員会も「競争政策上の重要な懸念が生じるのであれば、調査を行う」(松山隆英事務総長)としている。

 一方、注目されるのが世界最大の鉄鉱石輸入国である中国の対応だ。リオは2月に中国の非鉄大手、中国アルミとの提携を発表し、リオが出資を受ける代わりに豪州の鉄鉱石権益の一部を中国アルミに譲渡する予定だった。しかし、BHPとの統合話が再浮上したことでリオ側が提携を破棄した。これに中国政府が反発、中国の独禁法適用をちらつかせているほか、今月5日には上海でリオの鉄鉱石取引担当者ら4人をスパイ容疑で拘束するなど、緊張が高まっている。

英豪資源大手2社の経営統合計画再浮上、日中鉄鋼メーカー猛反発

2009年07月17日 IBTimes

 英豪系資源大手2社が再び生産部門の経営統合計画を目指しているが、日中の鉄鋼メーカーが懸念を示している。各国の独禁当局もこの事態を注視している。資源大手2社が生産統合すれば独占的な価格になる可能性があり、現在の不況下で鉄鉱石価格が値上げされた場合、新日本製鉄などの鉄鋼メーカーは鋼材価格に対応ができず、収益は一段と悪化すると見られている。

 資源大手のBHPビリトンとリオ・ティントが6月上旬に発表した西豪州での鉄鉱石事業の生産統合計画は、鉄鋼業界に大きなショックを与えた。BHPは昨年もを総額1,500億ドル(約14兆円)で買収しようとしたが金融危機の煽りでリオ・ティントの買収計画は頓挫した。BHP側は「生産統合計画は独禁法に触れない」と主張し問題はないとした。<

 中国の鉄鋼製品生産量は世界最大で世界の鉄鉱石市場で取引されている半分以上が中国に輸出されている。中国当局はリオ側が中国鉄鋼メカー幹部の社員へ賄賂を贈ったとしてリオ・ティントの社員をスパイ容疑で身柄を拘束した。豪州側は通常のビジネスがスパイになると反発してる。真相はいまだに判らず、中国と豪州に緊張が高まっている。世界の鉄鉱石は最大手のブラジル・ヴァーレとBHP、リオ・テントで70%を占めており、2強体制になれば寡占状況が強化されると見られている。

新日鉄:大分製鉄所、高炉再稼働へ 自動車産業持ち直し

2009年07月15日 毎日新聞 東京朝刊

 新日本製鉄は14日、鉄鋼需要の急激な落ち込みを受け稼働を休止していた大分製鉄所(大分市)の第1高炉(1基)を8月2日から再稼働させると発表した。主要な納入先の自動車産業で在庫調整が進み、足元の需要が持ち直してきたため。ただ、需要の本格回復は依然見通せないため、君津製鉄所(千葉県君津市)の高炉1基の休止は続ける。

 昨秋以降の世界不況の深刻化による国内での需要の急激な落ち込みを受けて、新日鉄は今年2月から、全国9基の高炉のうち大分と君津の各1基を休止、減産を続けてきた。このうち、大分の高炉は改修が終わる5月に再稼働する予定だったが、需要回復の遅れを理由に延期していた。新日鉄は「生産効率やコストを総合的に勘案し、大分の高炉再稼働を決めた」と説明している。大分、君津、名古屋(愛知県東海市)、八幡(北九州市)で休止中のコークス炉の再稼働も検討する方針を示している。【大場伸也】

JFEなど鉄鋼大手4社、新しい原料技術でCO2排出削減へ

2009年07月14日 NIKKEI NeT

 JFEスチール、新日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所の鉄鋼大手4社は高炉から出る二酸化炭素(CO2)の量を減らすための新原料の開発に乗り出す。鉄鉱石から効率的に鉄分を取り出す方法を2015年度までに実用化する。高炉1基あたりのCO2排出量を年約50万トン(6%程度)減らせるとみている。

 JFEが14日発表した。鉄鉱石と低品位炭を混ぜて焼き固めた副原料のフェロコークスやその利用技術を開発する。石炭を蒸し焼きにした通常のコークスの一部代替としてフェロコークスを使えば、鉄鉱石とコークスを反応させて鉄分を取り出す工程を効率化できるとみている。

 実用化に向けて、JFEの製鉄所内に日産能力30トン規模の新原料製造プラントを設ける。場所や投資額、建設時期などはこれから決める。

新日鉄など鉄鋼4社、研究開発費維持 成長持続“環境需要”に活路

2009/07/03 Fuji Sankei Business-i

 新日本製鉄など鉄鋼大手4社の2010年3月期の研究開発費が計1300億円超の高水準を維持する見通しであることが2日、分かった。1300億円を上回るのは3年連続となる。各社は鋼材需要の減退で業績悪化を余儀なくされているが、二酸化炭素(CO2)の削減技術やハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)など環境車向けの鋼材開発を強化することで持続的な成長を目指す。

 09年3月期連結決算の研究開発費は新日鉄が457億円、JFEスチールが361億円、住友金属工業が221億円、神戸製鋼所が310億円で計1349億円に上った。10年3月期は、住友金属が前年同期比8.6%増の240億円を計画。新日鉄とJFEは「前年並み」、神戸製鋼も「横ばい」としており、計1300億円超の投資額を確保する見通し。

 4社は新興国の経済成長による鋼材需要の増大に伴って、研究開発費を拡充してきた。だが、昨秋以降の景気悪化で各社は大幅な減産を強いられ、新日鉄とJFEは高炉をそれぞれ2基ずつ一時休止する事態に追い込まれた。足元は需要に底打ち感がみられるものの、先行きはなお予断を許さない。

 それでも、各社が研究開発費を圧縮しない背景には、政府がCO2など温室効果ガスの排出量を20年までに05年比で15%削減する中期目標を決めたことに加え、政府が環境車の普及を後押ししていることがある。

 日本の鉄鋼業界が排出するCO2は国内製造業の約4割に相当し、業種別でみると最も多い。ただ、すでに省エネルギーを強力に推進し、世界最高水準のエネルギー効率を達成しているのも事実で、一段のCO2削減には新たな技術開発が避けられない。一方、政府の普及促進策を受けて、鋼材の大口需要家である自動車メーカーは環境車を強化する方針を示している。鉄鋼メーカーが新規需要を取り込むには、自動車メーカーの意向に沿った鋼材の開発を進める必要がある。

 CO削減技術をめぐっては、新日鉄が昨年5月、大分製鉄所に原料の石炭を蒸し焼きにする工程でCO2を従来より20%減らせる技術を導入したほか、JFEも鉄鉱石を焼き固める工程でCO2を大幅に削減する技術を開発した。また、環境車向けなどの高機能鋼材でも、各社は軽量化に役立つ高張力鋼板やモーターに使われる電磁鋼板などの開発に注力してきた。今後もこうした取り組みを加速する。

神鋼、印に製鉄設備の営業拠点

2009/07/01 Fuji Sankei Business-i

 神戸製鋼所は30日、インドに鋼材の製造設備を販売するための営業拠点を設置したと発表した。インドでは中長期的に鉄鋼需要の大幅な伸びが見込まれ、現地鉄鋼メーカーによる製鉄所の建設が相次いでいる。これに伴い、製鉄所の製造設備の需要も増大しているため、神戸製鋼は「収益拡大につなげる好機」と判断した。日本の鉄鋼大手でインドに製造設備の営業拠点を設けるのは、初めて。

 拠点となる新会社「コベルコ マシナリー インディア」は、製鉄所の建設予定地が集中するインド東部のベンガル湾沿岸に近接する西ベンガル州コルカタ市に新設。資本金は400万ルピー(約1000万円)で、そのうち90%を神戸製鋼、10%を神鋼商事が出資した。

 神戸製鋼は、鋼材の製造設備である圧延機などを生産・販売する事業を主に国内市場で展開しており、売り上げ規模は年間100億円に上る。

 特に、建材向けなどの棒鋼の圧延機は国内シェア(市場占有率)がトップだけに、今後は棒鋼の圧延機を中心にインド市場で積極的に売り込みをかけ、需要の取り込みを図りたい考えだ。

 世界鉄鋼協会などによると、インド国内における鉄鋼消費量は2008年の5260万トンから09年には5350万トン、20年には4倍近い2億トン程度まで拡大する見通しだ。

 神戸製鋼以外の鉄鋼大手もインド市場を重視しており、市場開拓に動き始めている。新日本製鉄は昨年3月、ニューデリー事務所を設置したほか、インドの鉄鋼最大手タタ製鉄と自動車用鋼板事業の合弁会社設立を検討している。

 JFEスチールも昨年4月、ニューデリーに駐在員事務所を開設。住友金属工業はインドの中堅鉄鋼メーカー、ブーシャンとの提携を強化している。

09年粗鋼生産:38年ぶり9000万トン割れの見通し

2009年06月29日 毎日新聞

 日本の09年の粗鋼生産量が38年ぶりに暦年で9000万トンを割り込むとの見通しが強まっている。自動車や電機産業の在庫調整の進展を背景に5月の粗鋼生産量は前年同月比38.5%減の649万トンだった。減少幅は2カ月連続で縮小しているが、産業・建設機械向けや住宅向けを中心に需要の回復ペースは鈍い。

 「鉄鋼需要の回復は09年下期まで待たざるを得ず、09年暦年で粗鋼生産量が9000万トンに達するのは困難」−−。日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日本製鉄社長)は29日の会見で厳しい見通しを示した。9000万トン割れは、高度経済成長末期にあたる71年の8856万トン以来の低水準となる。

 日本の粗鋼生産量は新興国需要などにも支えられ、07年には過去最高の1億2020万トンを記録した。しかし、08年は世界的な金融・経済危機の直撃を受けた。特に、リーマン・ブラザーズ証券破綻(はたん)で国内外の景気が急激に悪化した昨秋以降は主力の自動車向けなどが歴史的な落ち込みを示し、08年の粗鋼生産量は1億1874万トンにとどまった。

 ただ、自動車、電機業界とも3月までには在庫調整が一巡したため、4月以降は新車やデジタル家電などで減産が緩和。加えて政府のエコカー減税や新車買い替え補助、デジタル家電のエコポイント効果もあり、徐々に国内生産に復調の兆しが出ている。また、中国などアジア向け輸出が回復しており、鉄鋼需要も徐々に上向く傾向にはある。

 それでも、新日鉄の工場稼働率は現在55%程度。宗岡会長は新日鉄の稼働率が近く6〜7割程度まで回復すると見通しているが、本格的な粗鋼生産の回復には程遠く、休止中の高炉の再稼働までは見通せない状況だ。

 宗岡会長は「需要は底打ちしたと思うが、建設機械や産業機械、建築関係向けの受注が予想以上に厳しい。粗鋼生産には(中国向け需要の急回復でフル生産に近づいている)塩ビ・エチレンなど化学産業ほどの回復力はない」としている。

 経済産業省が同日発表した7〜9月期の粗鋼生産見通しは、前年同期比28.5%減の2177万トンだった。【大場伸也】

粗鋼生産7―9月期14%増 70年以降最大、需要底打ち

2009/06/29 中国新聞ニュ−ス

 経済産業省は29日、2009年7〜9月期の粗鋼生産量が4〜6月期実績見込みと比べ14・3%増と大幅に増えるとの見通しを発表した。上昇率は高度成長期の1970年以降で最大。前年同期比では28・5%減と水準自体は依然低いが、同省鉄鋼課は「鋼材需要は明確に底打ちした」としている。

 ハイブリッド車などの販売好調を背景として自動車メーカーが減産を緩和していることや、中国向け輸出の一部復調で化学メーカーなどの生産設備の稼働率も上昇。自動車、電機業界の減産緩和の流れが、原材料を供給する素材メーカーに波及してきたことをはっきりと裏づけた。

 経産省は、7〜9月期の国内の自動車生産水準が4〜6月期に比べ2割程度上昇すると予測。政府の経済対策による公共工事向け鋼材需要も増加するとみている。

 日本鉄鋼連盟の宗岡正二むねおか・しょうじ会長(新日本製鉄社長)は同日の定例記者会見で「(鋼材需要は)底を打ったと思う」と指摘。新日鉄の生産設備の稼働水準について、今の55%程度から、7〜9月には「60〜70%レベル」になるとの見通しを示した。ただ「厳しい状況には変わりがない」と強調した。

鉄鋼各社、海外大手との提携強化

2009年06月26日 NIKKEI NeT

 新日本製鉄、JFEスチールなどが海外鉄鋼大手との提携を強化する。新日鉄はブラジルの持ち分法適用会社への出資を近く拡大。JFEは独大手と、神戸製鋼所はインド大手と技術提携の範囲を広げた。落ち込んだ鉄の需要は中長期的には伸びるとみており、中国での新たな業界再編の圧力もある。これまでの連合作りを着実に進めることが必要と各社はみている。

 新日鉄はブラジル鉄鋼大手、ウジミナスへの出資比率を4月、約3ポイント高め26%にした。近く市中から株式を購入して出資比率をさらに1ポイント上積みし、27%にする方針。需要低迷で同社の収益環境は厳しいが「中長期的にブラジル市場は伸びる」とみており、ウジミナスが進める高炉建設や増産などに品質管理、生産効率改善などで協力していく。新日鉄グループの海外の中核的な一貫生産拠点として育成する。

鉄スクラップ国内価格、一段高 対中輸出増、高炉も買い

2009/06/24 NIKKEI NeT

 鉄鋼原料の鉄スクラップの国内価格が一段と上昇した。指標品のH2の電炉買値は東京で前週比1000円高い1トン2万5000〜2万5500円、大阪では2000円高い2万4000〜2万5000円近辺で推移している。

 需給の引き締まりが背景。中国向けを中心にした輸出の伸びに加え、しばらく買いを入れてこなかった高炉メーカーからの引き合いも強まっている。

豪政府機関、09/10年度の鉄鉱石輸出見通しを引き上げ

2009年06月23日 REUTERS

 [シドニー 23日 ロイター] 豪農業資源経済局(ABARE)は23日、2009/10年度(09年7月─10年6月)の鉄鉱石輸出見通しを0.3%引き上げ3億3840万トンとした。その上で、金融危機を受けて世界的に鉄鋼メーカーからの需要は弱まるとの見方を示した。

 08/09年度の見通しは3億3940万トンで据え置いた。

 暦年ベースでは09年が前年比8%増の3億3300万トン、10年はさらに5%増加して3億4800万トンになる見通しとした。

 ABAREのアナリスト、ロバート・ニュー氏はリポートで「2009年の世界の鉄鉱石生産は、需要の低下を反映して減少する見込みだ」と指摘。「生産カットの大半はコストの高い国で行われ、需要減による低コスト生産国への影響は比較的小さくなる」との見方を示した。

世界粗鋼生産、21%減の9559万トン 9カ月連続でマイナス

2009/06/22 NIKKEI NeT

 世界鉄鋼協会(ワールドスチール)が22日まとめた5月の粗鋼生産(速報値、66カ国・地域)は、前年同月比21%減の9559万トンだった。9カ月連続で前年同月を下回った。景気刺激策の効果で世界生産量の半分を占める中国が3カ月ぶりに増加に転じたが、日本や米国など他の主な生産国で大幅な減少が続いている。(

JFEスチール、倉敷市で高炉改修 300億円投じ容量16%増

2009年06月22日 NIKKEI NeT

 JFEスチールは22日、西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)で休止中の高炉を改修すると発表した。約300億円を投じて高炉の容量を16%増やす。ただ足元の稼働率は低迷しており、再稼働の時期は未定。生産能力を拡大して鉄鋼需要の回復期に備える。

 高炉は製鉄所の基幹設備で、原料となる鉄鉱石とコークスを投入して銑鉄を生産する。1月から休止中の第3高炉を、10月から来年4月までかけて改修する。容量を改修により5055立方メートルに増やす。

 銑鉄の成分を用途によって調整する製鋼工程の能力は増やさないため、当面倉敷地区の粗鋼生産能力は変わらない。容量を増やしておけば鉄鋼需要が増大しても稼働率を過度に高めずにすむ。稼働率を上げすぎると内部の温度が上昇し、設備の損傷が早く進んで生産コストもかさむ。容量拡大で設備の損傷や生産コストを最小限に抑えられるとみている。

5月の粗鋼生産量は前年比‐38.5%、8カ月連続減

2009年06月18日 REUTERS

 [東京 18日 ロイター] 日本鉄鋼連盟が18日発表した5月の粗鋼生産量は、前年比38.5%減の648万7600トンとなり、8カ月連続で前年同月を下回った。

 粗鋼生産量の炉別では、転炉鋼が前年比37.9%減の484万0800トン、電炉鋼は同40.2%減の164万6800トンだった。

 粗鋼生産の前年比減少幅は、過去最大だった3月の46.7%減から徐々に縮小している。鉄連では、鉄鋼製品の在庫削減が進んだことや、自動車や家電など需要先の在庫調整が進み、若干の需要が出てきたためと分析している。ただ、依然として高炉休止など減産は続いており、過去最高水準の生産をしていた昨年比でみると、低水準の生産にとどまっていいる。 (ロイター日本語ニュース 清水 律子記者)

UPDATE1: 7─9月の粗鋼生産は600万トンに回復、業績も収支均衡見込む= 新日鉄<5401.T>副社長

2009年06月10日 REUTERS

 [東京 10日 ロイター] 新日本製鉄(5401.T: 株価, ニュース, レポート)の谷口進一副社長は10日、ロイターとのインタビューで、7─9月期の粗鋼生産は4─6月期比3割増の600万トンを目指す考えを明らかにした。業績も、4─6月期は1000億円の経常赤字を見込むが、7─9月に収支均衡になると見ている。

 一方で谷口副社長は、これまでのところ需要の回復に力強さはないとも指摘。「建設や製造業からの引き合いは4月末時点の想定より回復のテンポが遅い」と語った。4─6月期の粗鋼生産は450万─460万トンになりそうだという。

 そのため足元は製鉄所の稼働率も低く、55─60%程度で推移。今後はトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)など主要顧客の生産が上向く見通しであることから、7─9月期は7割近くまで回復する見込みだという。  (ロイターニュース 井上 裕子記者)

資源会社統合:BHP・リオ統合、鉄鋼業界が反対声明 「価格交渉できぬ」

2009年06月10日 毎日新聞 東京朝刊

 海外の資源大手2社の事業統合計画に、日本の鉄鋼業界が反発を強めている。

 5日、英豪系資源大手のBHPビリトンとリオ・ティントが豪州西部での鉄鉱石事業の統合を発表した。BHPが経営難のリオに58億ドル(約5700億円)を支払い、鉄鉱石生産や輸送インフラの管理を行う合弁会社を10年半ばまでに設立するとの内容だった。

 これに対し、鉄鉱石の買い手側の日本の鉄鋼業界は9日、「健全な価格交渉ができなくなる」と反対の声明を発表した。世界の鉄鉱石の輸出量は両社とヴァーレ(ブラジル)の3社で約7割を占めており、統合が認められれば寡占化がより進み、価格交渉での売り手優位が強まるためだ。

 BHPは07年に、総額1500億ドル(約14兆7000億円)の買収条件でリオに統合を提案したが、日欧の規制当局などの反対で破談になった経緯がある。日本の鉄鋼業界によると、今回の計画も「生産統合という形式をとっているが、実質的には経営統合を志向した動き」(大手)で、鉄鉱石価格の支配力を強めるのが狙いと見られる。

 日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日本製鉄社長)は9日、「今回の生産統合も実質的には先の(BHPによる)買収案件と同様に競争制限的な動きだ」と反対するコメントを発表。「日本の公正取引委員会など各国当局の調査に全面的に協力していく」として、今後も反対の動きを強める構えだ。【大場伸也】

リオがBHPと豪鉄鉱石事業統合へ、中国アルミとの提携は撤回

2009年06月5日 REUTERS

 [シドニー 5日 ロイター] 英豪系資源大手のリオ・ティント(RIO.AX: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.AX: 株価, 企業情報, レポート)とBHPビリトン(BHP.AX: 株価, 企業情報, レポート)(BLT.L: 株価, 企業情報, レポート)は5日、両社のオーストラリア国内での主要鉄鉱石事業を統合すると発表した。

 またリオ・ティントは同日、中国アルミ業公司(チャイナルコ)からの195億ドル規模の出資受け入れ計画を撤回し、債務圧縮のため152億ドル規模の株主割当増資を実施すると発表した。 

 BHPとリオ・ティントは国内主要事業を統合し、折半出資の合弁会社を立ち上げることで合意した。統合により、少なくとも100億ドルの経費節減を見込んでいる。

 BHPは昨年、リオ・ティント買収提案を取り下げていたが、今回の合意ではリオに対し58億ドルを支払い、合弁会社株式の50%を取得する。ただ現段階で合意には拘束力がないと強調している。

 ショー・ストックブローキングのシニアトレーダーは「絶えず可能性があるものだとされていたが、今回実現した」と述べた。合意発表を受け、両社の株価はBHPが10%、リオも13%それぞれ急伸した。

 <大幅経費節減>

 リオ・ティントは、両社の事業統合により鉄鉱石の合弁事業では100億ドル以上の経費節減ができるとしている。

 ノースウォード・キャピタルのポートフォリオ・マネジャーは両社の合意について「コスト削減とシナジー効果が見込めるため、両社にとっては極めてポジティブなものになろう」と述べた。

 リオ・ティントは今年2月、中国アルミが123億ドルを投じてリオの鉄鉱石、銅、アルミニウムなどの主要鉱山の権益を取得するほか、72億ドル相当の転換社債も取得することなどで中国アルミと合意していた。

 ただ計画をめぐってはリオの株主が、他の株主より中国アルミが優位になると批判しているほか、リオの最大顧客である中国が鉄鉱石など主要資源価格の交渉で影響力を増す可能性があるとの懸念も出ていた。

 中国アルミは5日、リオ・ティントが同社との提携計画を撤回したことについて、遺憾だが今後も事業機会を探っていくとの声明を発表した。

 今回の発表を受け、リオのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムは290ベーシスポイント(bp)から190bp前後まで低下。

 野村インターナショナルは、中国アルミとの提携で計画されていた転換社債の発行より、今回の株主割当増資のほうが財務上はるかに望ましいと指摘した。

 中国アルミの今後の出方は不透明だ。同社の幹部は次の措置はまだ決まっていないと述べている。

 オーストラリアのラッド首相は5日、中国アルミ社長との会合を5日に実施することを明らかにした。

 同首相は記者団に対して、チャイナルコとリオ・ティントが提携計画を取り止めたことについて、ビジネス上の理由とし、チャイナルコはオーストラリアにおいて他のことに関心があると述べた。また、会合はチャイナルコ側が要請したという。

 さらに、リオ・ティントとBHPビリトン(BHP.AX: 株価, 企業情報, レポート) (BLT.L: 株価, 企業情報, レポート)の提携については、リオ・ティントとチャイナルコの場合同様、国家利益を優先する方針をとる意向を示した。

鉄鉱石価格3〜4割下げ 需要落ち込みで

2009.05.26 MSN産経新聞

 新日本製鉄など国内鉄鋼大手と英豪系資源大手リオ・ティントは26日、平成21年度の鉄鉱石価格を前年度比32・95〜44・47%引き下げることで合意した。世界同時不況で需要が落ち込んでいるためで、値下げは7年ぶり。

 鉄鉱石と並ぶ鉄鋼原料の石炭価格も57%減で決着しており、鉄鋼大手にとっては大幅なコスト削減となる。

 一方、すでに21年度の鋼材価格を15〜16%程度下げることで合意しているトヨタ自動車は追加値下げを求めない方針で、鋼材の値下げ圧力は限定的となる公算が大きい。

 鉄鉱石輸入量の過半を占める粉状鉱石は32・95%減の1トン当たり約60ドル、塊状鉱石は44・47%減の約67ドルで妥結した。輸入量の約6割が豪州産で、リオと同じく豪州産を採掘する豪英系資源大手BHPビリトンとの価格交渉も今回と同額で合意する見通しだ。

 20年度の価格交渉では世界的な需要の急増を背景に、豪州産は最大2倍、ブラジル産は65%上がった。21年度は、鉄鋼大手は4割程度の値下げを要求。これに対し、資源大手は下げ幅の抑制を主張し、交渉は一時、膠着状態に陥った。だが、交渉の長期化を避けたい鉄鋼大手は中心となる粉状鉱石で約3割値下げすることで妥協した。

 鋼材価格について、トヨタは「鋼材購入量が減っていることもあり、追加値下げは断念することにした」(関係者)。他の自動車メーカーや電機メーカーなども「トヨタに足並みをそろえる」ことになりそうだ。

鉄鉱石価格4割前後下げで決着、メーカー業績に好影響

2009年05月26日 読売新聞 YOMIURI ONLINE

 新日本製鉄など国内鉄鋼大手と、英豪系資源大手リオ・ティントとの間で難航していた2009年度の鉄鉱石価格交渉は26日、前年度比33〜44%の引き下げで決着した。

 同じ英豪系大手BHPビリトンとの交渉も、ほぼ同水準で妥結するとみられる。

 鉄鉱石の値下げは、鉄鋼大手のコスト削減につながるだけでなく、鋼材の価格下落を通じて、自動車や電機など幅広い企業の業績に好影響を与えそうだ。(下宮崇)

 ◆合意の背景◆

 今回の交渉で、鉄鋼大手は景気悪化に伴う鉄鋼需要減を背景に4〜5割の値下げを求めていた。これに対し、資源大手は新興国を中心に将来的な需要は堅調だとして2〜3割の値下げを主張。合意は6月以降にずれ込むとの見方が強かった。

 しかし、3月の鉱工業生産指数が6か月ぶりに上昇するなど、各種の経済指標にほのかな明るさが見えてきたことから、鉄鋼会社側は早期の決着を選んだ。交渉が長引けば、資源大手がさらに強気に出るとの懸念があったからだ。

 一方、リオ・ティントは前年度比45〜50%の値下げを強く求める中国の鉄鋼大手との交渉に手を焼いていた。日本側との合意をテコに、中国側から譲歩を引き出したい考えとみられる。

 ◆影響は?◆

 鉄は幅広い製品に使われており、自動車や電機などのメーカーも、仕入れコストが下がる。

 鉄鋼メーカーと鋼材の価格交渉を続けているトヨタ自動車の幹部は26日、「これ以上の値下げは要求しない」と述べ、自動車大手と鉄鋼大手との鋼材価格交渉は、前年度と比べ約15%低い1トンあたり1万5000円程度の値下げで決着する見通しが強まった。

 製品の値下げ圧力も強まりそうだが、長期的には新興国の需要増などで鉄鉱石の価格は高水準が続くとの見方も強い。製品価格にどこまで波及するかは不透明だ。

粗鋼生産量 7カ月連続減少 下落幅縮小 需要回復の兆し

2009/05/22 fuji Sankei Business-i

 日本鉄鋼連盟が21日発表した4月の粗鋼生産量は、前年同月比43.6%減の572万3000トンで、7カ月連続で前年実績を下回った。前月比でも0.3%減と2カ月ぶりのマイナスになり、今年度に入っても依然、厳しい水準が続いていることが浮き彫りになった。ただ、前年同月比の下落幅が縮小に転じたほか、経済産業省がまとめた4〜6月期の粗鋼生産量は4四半期ぶりに前期比で増加する見込みで、明るい兆しも徐々に出始めている。

 ◆在庫調整に進展

 4月の粗鋼生産量を種類別にみると、自動車などに使われる特殊鋼が前年同月比55.3%減の98万9000トンで、6カ月連続で前年を下回った。幅広い用途で使用される普通鋼は40.3%減の473万4000トンだった。

 炉別では、高炉メーカーの転炉が43.6%減の423万6000トンで7カ月連続の減少となり、鉄スクラップを主原料に建築用鋼材などを製造する電炉が43.6%減の148万7000トンで8カ月連続の減少となった。

 昨秋以降の世界同時不況を受けた鋼材需要の急減で、鉄鋼各社は大幅な減産を余儀なくされており、粗鋼生産量は3月まで4カ月連続で過去最大の下落幅を記録した。

 その結果、2008年度の生産量は前年度比13.2%減の1億550万トンと3年ぶりに前年度を割り込み、下落率は過去最大となった。

 もっとも、大口需要家の自動車、電機業界の在庫調整が進展したほか、鉄鋼各社の大幅減産の効果も出始め、生産は底打ちの兆しもみられる。

 3月末の自動車や家電向けの高級鋼材の薄鋼板3品在庫量(メーカー・流通合計)は、前月比6%減の425万8000トンと2カ月連続で減少し、適正水準とされる400万トンに近づきつつある。

 ◆景気占う試金石

 3月の粗鋼生産量も前月比では4.8%増と5カ月ぶりにプラスに転じた。4月は「実需は一進一退」(新日本製鉄の内田耕造副社長)という状況のため、わずかに減少したが、前年同月比では、過去最悪の下落幅の更新に歯止めがかかった。

 また、経産省が今月集計した4〜6月期の鉄鋼生産計画は、粗鋼生産量は1829万4000トンで、前年同期比では41.1%減少するものの、前期(1〜3月期)比では4.0%増加する見通しだ。3月末に経産省が発表した予測値も46万トン超上回った。

 新日鉄の内田副社長は「4〜6月は過渡期。鋼材需要が今後、回復する兆しはみえてきた」と指摘する。

 景気の動向の影響を強く受ける鉄鋼業界の生産がこのまま上向くかどうかは日本経済の回復を占う試金石となる。(本田誠)

鉄鉱石、値下げへ 35%軸に新日鉄とリオが調整

2009年05月21日 NIKKEI NeT

 新日本製鉄など鉄鋼大手と英豪系リオ・ティントなど資源大手は、2009年度の鉄鉱石価格を08年度から35%前後値下げする方向で最終調整に入った。鉄鉱石の値下げは7年ぶり。鉄鋼業界の負担は前年度に比べ2000億―3000億円程度減るとみられる。原料用石炭(原料炭)は約6割値下げで決着しており、自動車用鋼材など幅広い最終製品の値下げにつながる可能性がある。

 日本の鉄鉱石輸入量の6割を豪州産が占める。豪英系資源大手のBHPビリトンなども同様の水準で追随する見通しだ。

【ロシア】マグニトゴルスク製鉄(MAGN)、国内金属製品供給は65%に

2009年05月21日 IBTimes

 マグニトゴルスク製鉄の08年金属製品販売量は約1100万トンとなった。うち、国内市場販売は65%にあたる720万トンであった。国内販売の割合は前年比で6%増加し、国内市場における市場占有率(シェア)は前年の16%から17%に増加した。

 同社の国内市場における取引先の内訳は、パイプ関連企業(総販売量の26%)、自動車製造(24%)、建設(9%)、金属(13%)であった。

 なお、同社普通株式の売買単位は100株で、最低売買金額は4745円程度。20日終値前日比+5.18%。

 《会社概要》 マグニトゴルスク製鉄はロシア最大手鉄鋼会社。鉄鉱石の処理から鉄鋼関連製品の加工まで、全生産工程を手掛ける。製品は国内販売以外に輸出もされる。グループは60社より構成。

新日鉄が経営計画策定を10月以降に先送り

2009.05.20 MSN産経新聞

 新日本製鉄は19日、平成21年度からの3カ年を予定していた新中期経営計画の策定を10月以降に先送りする方針を明らかにした。世界同時不況の影響で経営環境が急速に悪化し、先行きも鉄鋼需要の動向など不確定要因が多いためだ。同社は海外の事業展開の強化などで持続的な成長を遂げる戦略を掲げているが、その具体的な道筋は不透明感が強まっている。

 18年度に開始した中期経営計画の最終年度となる21年3月期決算は、昨秋以降の世界的な鉄鋼需要の急減が直撃し、経常、最終利益ともに目標を1000億円超下回った。4〜6月期に入っても需要低迷は続いており、回復は7月以降となる見込みだ。

 このため、新日鉄では経営計画の策定について「少なくとも半年は見極める必要がある」(幹部)と判断し、9月末まで策定は見送る。遅くとも年末までには策定する予定だが、計画開始を来年度にずらす可能性もある。

 他の鉄鋼大手各社も21年度は新たな経営計画のスタート時期にあたる。しかし、住友金属工業と神戸製鋼所が新日鉄と同様に策定を先送りしているほか、JFEホールディングスも具体的な数値目標の策定を見送っている。

インドのJSWスチール:鉄鋼需要は増大へ−政府のインフラ投資で

2009/05/19 Bloomber.co.jp

 5月19日(ブルームバーグ):インド3位の製鉄会社JSWスチールは、総選挙での勝利を受け国民会議派を中心とする政権がインフラ投資を増やすことから、国内の鉄鋼需要が今年加速するとの見方をしている。

 JSWスチールの共同マネジングディレクター、セシャギリ・ラオ氏は18日のムンバイでのインタビューで、「鉄鋼業界の業績は経済の成長動向次第だが、安定政権の誕生でインフラへの投資がより重要視されるだろう」と指摘。

同氏は「先に発表されていたインフラ整備計画の実現が早まるだろう」と述べた上で、建設業界からの受注がけん引し今年度の売り上げ全体が6%増えると予想した。

 下院選挙で20年ぶりの大勝利を収めたシン首相の再選で、総額 5000億ドル(約48兆円)規模の道路や港湾、橋などの建設や農村地域の需要喚起を目的とした雇用計画継続に向け、投資を促進する可能性がある。

 ラオ氏はまた、JSWスチールの2009年4−6月(第1四半期)の営業利益について、具体的な数値は示さなかったものの、前四半期の35億7000万ルピー(約72億円)から改善するとしている。前年同期は89億ルピーだった。

――Editors: Indranil Ghosh, Stephen Foxwell.

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 大塚 美佳 Mika Otsuka motsuka3@bloomberg.net Editor: Fumihiko Kasahara 記事に関する記者への問い合わせ先: Debarati Roy in Mumbai at droy5@bloomberg.net .

JFEスチール:月に2日の一時休業 鉄鋼需要減少で

2009年05月15日 毎日新聞MainicHi Interactive

 JFEスチールは15日、鉄鋼需要の減少に対応し、営業部門など一部を除く全社で6月から月に2日の一時休業を実施すると発表した。社員約1万3000人が対象で、一時休業の実施は03年4月のJFEスチール発足以来初めて。鉄鋼業界では既に新日鉄と神戸製鋼が4月から一時休業を実施している。

 JFEは、業績不振に伴うリストラの一環として、役員報酬を5月から当面の間、7〜10%削減する。課長以上の管理職の夏季ボーナスも3〜5%減額する。【大場伸也】

鉄鋼世界最大手「アルセロール・ミタル」のルクセンブルク本社前で従業員が大規模デモ

2009/05/13 FNN

 鉄鋼の世界最大手「アルセロール・ミタル」の本社前で12日、従業員らおよそ1,000人が集結し、雇用削減などに抗議する大規模なデモが行われた。 ルクセンブルクにある鉄鋼世界最大手アルセロール・ミタルの本社では、発煙筒などを手にした従業員らおよそ1,000人による大規模な抗議活動が行われ、あたりは赤い煙に包まれた。

 デモ隊は、バリケードに使われた鉄の柵を建物に向かって投げ込み、それを阻止しようとする警官隊との衝突が続いた。

 世界的な不況を受け、ミタル社では、工場の一時停止や従業員およそ9,000人の削減が行われていて、当時本社では、株主らによる会議が行われていた。

新日鉄釜石:無煙炭ヤードを造成 2カ所に60万トン備蓄 /岩手

2009年05月12日 毎日新聞 地方版

 釜石市の新日本製鉄釜石製鉄所(谷田雅志所長)が、通称・中番庫の構内に、君津製鉄所(千葉県)などで使用する高炉用の輸入無煙炭備蓄ヤードを造成していることが11日、分かった。備蓄ヤードは市内に所有する埋め立て地と計2カ所を計画し、備蓄量は各約30万トンの計60万トン。最長4年程度の暫定施設だが、地域経済にとって荷役など物流面での波及効果が期待される。

 無煙炭は燃やしても煙が出ない、純度の高い粉炭。各国の製鉄所は近年、環境対策から高炉に用いるようになり、同社も中国から輸入した無煙炭を使っている。君津製鉄所などは世界的な不況による減産で鉄鉱石などの在庫原料が増え、資材置き場が手狭になっている。無煙炭の価格も下がっていることから、まとめて調達することにしたという。

 中番庫(同市港町)は釜石港に近く、約6ヘクタールと広大な未利用地。同市平田の埋め立て地とも、防水マットを敷き、粉じんが風に飛ばされないように凝固剤を混ぜてシートで覆う。4万トン級貨物船で中国から向こう1年間に計15回輸入し、密閉型ベルトコンベヤーで構内の火力発電所資材置き場に運搬。トラックに積み替えてヤードに運ぶ。既に2隻が荷揚げした。埋め立て地には夏ごろから備蓄を始める。

 釜石製鉄所の堤浩二総務グループマネジャーは「周辺の町内会の了解も得た。鉄鋼需要が持ち直すまでの暫定的な施設だが、少しは地域にお役に立てると思う」と話している。【鬼山親芳】

鋼材価格交渉は第2ラウンドへ?

2009/05/11 金属産業新聞

 注目されていた新日本製鉄など鉄鋼大手とトヨタ自動車との2009年度鋼材価格交渉は、08年度比でトン当たり1万5000円程度値下げすることで合意した、と伝えられる。果たして、この程度の値下げで妥当かどうかが問題である。

 鋼材価格は2002年度を底に、世界の生産工場基地をめざした中国経済の目覚ましい躍進を背景に、中国鉄鋼生産の急成長により鉄鉱石・原料炭など鉄資源価格が急騰した。

 一方、米国はじめ世界経済の拡大基調から自動車をはじめとする耐久消費財や、設備投資など需要増加もあって、鋼材価格の上昇が08年度まで6年間にわたって続いた。

 特に昨年春には鉄鉱石が前年比で65%〜96・5%アップ、原料炭は3倍もの大幅アップを受けて、鋼材価格はトン当たり3万円強の値上げで史上最高水準の価格となった。ねじ用鋼線については、自動車向けのひも付き材でトン2万8000円、標準品の市中相場ではトン3万5000円〜4万円も高騰した。

 しかし米国サブプライムローン問題に端を発した金融危機は、08年9月のリーマンショックを境に深刻な金融・産業大不況を世界中にもたらした。とりわけ大型耐久消費財で部品産業の裾野も広い自動車産業の急ブレーキに代表されるように、鋼材需要は大幅に減退した。

 これに対し、高炉を主とした鉄鋼メーカーは減産強化により価格維持に努めてきた。

 その結果、09年3月期決算見通しはトヨタをはじめ自動車・電機などの組立ユーザーは軒並み大幅減益・赤字決算を余儀なくされる中で、高炉大手は減益といえどもそこそこの利益を確保する模様である。

 そうした中での新日本製鉄など鉄鋼大手とトヨタ自動車との2009年度の鋼材価格交渉結果である。

 トヨタでは当初、08年度の鋼材価格は鉄資源の急騰による異常なもので、それ以前の水準まで戻すよう要請していたものの、09年度契約の原料炭価格が前年比57%下落に止まったこと、鉄鉱石価格も交渉中だが、中国が資源確保に動いていることもあって08年度の水準までは値下がらないことから、08年度比でトン当たり1万5000円程度値下げするとの、高炉側の言い分がひとまず通った格好である。

 高炉にしてみれば、かつて日産自動車のゴーンショックによる集中購買で採算割れ・メーカー再編に追い込まれた苦い記憶がある。その轍は踏まぬとの思いであろうが、自動車メーカーにとっては高炉の寡占化で高値安定されたのでは国際競争に伍して行けぬとの判断から、電炉メーカーや海外メーカーからも鋼材調達の多様化を模索しつつある。引き続き鋼材価格交渉の第2ラウンドに注目したい。

鉄鋼セクター検証:底打ちの兆し見えず、鋼材価格の追加値下げ懸念も

2009/05/11 サーチナ

■10年3月期の最終損益悪化見通しだが、株価は市場の地合い次第

  鉄鋼セクターの大手4社が発表した2010年3月期連結業績見通しを見ると、最終損益は新日本製鐵 <5401>が0億円(09年3月期は1550億円の利益)、住友金属工業 <5405>が200億円の赤字(同973億円の利益)、神戸製鋼所 <5406>が550億円の赤字(同314億円の赤字)の見込みである。JFEホールディングス <5411>(同1942億円の利益)は見通しの公表を見送った。

 生産や販売の数量、原料の購入価格、鋼材の販売価格などで不確定要因が多いため、今後の状況次第では見通しが大きく変動する可能性も考えられる。しかし現時点での見通しとしては、原料購入価格の下落が通期ではプラス要因となるものの、生産や販売数量の減少、鋼材販売価格の下落というマイナス要因が響き、大手4社ともに最終損益は、大幅減益だった09年3月期に比べて、さらに悪化する可能性が高い。

 日本鉄鋼連盟によると、09年1〜3月期の国内粗鋼生産量(速報値)は前年同期比43%減の1759万トンだった。これを月別で見ると、1月が前年同月比38%減の637万トン、2月が同44%減の547万トン、3月(速報値)が同47%減の574万トンとなり、底打ちの兆しは見えない。4月以降は自動車メーカーの減産幅縮小などで、生産数量が上向くことも期待されるが、大手4社ともに4〜6月期の生産は、1〜3月期と横ばいのレベルを想定している模様だ。ただし鉄鋼セクターは、他の素材や部品セクターに比べて、在庫調整が遅れている可能性も懸念されるだけに、生産数量が上向いても小幅にとどまるだろう。

 原料価格については、原料炭購入価格は前年比57%下落で決着したが、鉄鉱石購入価格は膠着状態が続いている模様だ。世界的な景気底入れ期待、中国での需要回復期待に加えて、原油や非鉄金属の国際価格が底入れから上昇に転じていることなども背景に、下落幅が想定より小幅にとどまることも懸念される。鋼材販売価格の交渉も決着していない部分が多い模様だ。需要家側の業績が大幅に悪化しているため、自動車メーカーなどを中心に鋼材価格の追加値下げを迫られる可能性も懸念される。

■4〜6月期の生産・販売数量動向に注目

 いずれにしても、通期ベースでの業績悪化は避けられず、生産や販売数量の上向く時期が遅れるようであれば、現時点の見通しから下振れる可能性にも注意が必要だろう。

 鉄鋼セクターの大手4社の株価の動きを見ると、4社ともに、決算発表直後には10年3月期業績見通しを嫌気する形で弱含んだが、反応は限定的で、すぐに反発に転じている。5月7日には新日本製鐵 <5401>が年初来高値を更新した。週足ベースで見ても、安値圏モミ合いから脱し、戻り歩調の展開となっている。

 現時点での10年3月期業績見通しは好材料とは言えず、短期的には過熱感も強く、期後半からの業績回復期待が先行し過ぎている可能性が高い。しかし金融不安の後退などで、市場全体の地合いが好転していることが最大の好材料だろう。4〜6月期の動向に注目だが、生産・販売数量が1〜3月期よりも増加に転じれば、業績の底入れ感が一段と高まるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)

ヴァーレが鉄鉱石割引

2009年05月09日? Sao?Paoulo-Simbun

 ヴァーレは鉄鉱石の販売に対してトンUS$60との価格を定めたが、現金売りならば20%の割引、また、本年度中の取引に関しては10%から30%の割引を考慮することも有り得ると、非常に柔軟な価格政策を採用すると発表した。

08年度の鉄鋼輸出、3年ぶり前年割れ

2009年05月07日?NIKKEI?NeT

 日本鉄鋼連盟が7日発表した2008年度の鉄鋼輸出量は、前年度比11.2%減の3415万3000トンだった。前年度を下回ったのは3年ぶり。07年度は31年ぶりに過去最高を更新したが、08年度は韓国などアジア各国で自動車や家電などの生産が落ち込み、輸出が減少した。

 最大の輸出先である韓国向けは16.1%減と3年ぶりに減少した。主に造船に使う厚板は堅調だったが、自動車や電気製品に使う冷延鋼板などが落ち込んだ。中国も6.0%減と3年ぶりに前年度を割り込んだ。

 品種別では自動車や家電に使う熱延鋼板や亜鉛めっき鋼板などが特に落ち込んだ。厚板や石油掘削に使う継ぎ目なし鋼管は増加した。3月単月の輸出実績は前年同月比32.7%減の262万3000トンだった。6カ月連続の減少だが、減少幅は5カ月ぶりに縮小した。

ヴァーレ、1-3月期は32.6%減益

2009年05月07日?NIKKEI?NeT

 リオデジャネイロ(ダウ・ジョーンズ)ブラジルの資源大手ヴァーレ(NYSE:VALE)(VALE5.BR)が6日発表した1-3月期決算は鉄鉱石の販売数量減少と価格急落が響き、32.6%の大幅減益となった。

 ヴァーレは鉄鉱石と鉄鉱石ペレットの生産・輸出で世界最大手。ニッケル生産では世界2位。同社は1-3月期について「第二次世界大戦後で最も深刻な世界的景気低迷を踏まえると業績は堅調だった」とした。

 1-3月期の純利益は13億6300万ドル(前年同期は20億2100万ドル)。売上高も54億2100万ドルと、前年同期(80億4800万ドル)に比べて32.6%減少した。

 同四半期の明るい要素としてヴァーレが強調した点は前年同期ではなく前期との比較にほぼ終始した。

 実際、減益率は前期比では0.3%にとどまった。だが、売上高は前期比27.2%の大幅減を記録した。

 1-3月期の利益は市場予想とおおむね一致したものの、投資銀行筋5人の予想平均(15億ドル)をやや下回った。売上高も同筋の予想平均(59億ドル)に届かなかった。

 ヴァーレによると、1-3月期は価格下落が11億7800万ドル、販売数量減少が8億4300万ドル、それぞれ売上高を押し下げた。出荷減少はペレットで6億9400万ドル、ニッケル最終製品で1億5400怎hルの減収要因となり、その影響が最も顕著だった。また、鉄鉱石では価格低下が売上高を5億5500万ドル押し下げた。

 同社は最近、2008年度の鉄鉱石長期契約価格を一時的に20%割引していると確認。同社は決算リリースで、1-3月期にこの割引価格で販売された鉄鉱石は2880万トンだったと述べた。

 ヴァーレによると、非鉄鉱物の価格と需要の落ち込みを受けて、総売上高に占める鉄鉱物の割合は64.7%と、2年前の42%から上昇した。そのほかは非鉄鉱物が26.7%、物流が3.7%、石炭が2.5%を占めた。

 同四半期の地域別売上高は予想通り中国の需要を背景にアジアへの偏りが大きくなった。アジアでの売り上げは全体の63.3%に拡大した(前期は43.2%)。一方、米州は19.9%(同26.7%)、欧州は15%(同25.4%)に、それぞれ縮小した。

 国別の売り上げでは中国が全体の44.7%を占め、最大の買い手となった。ブラジル(11.3%)、日本(8.9%)、韓国(4.7%)、米国(4.1%)と続いた。

 ヴァーレは、10-12月期に着手したコスト節減策の主な効果は「まだ表れてない」とした。同社はコスト削減のため生産性・収益性の低い鉱山の閉鎖と従業員1300人の削減を進めている。

 1-3月期のEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は22億8100万ドルと、前年同期(37億2900万ドル)から減少した。

 決算はサンパウロ証券取引所の取引終了後に発表された。ヴァーレ株の翌7日終値は前日比1.07レアル(3.23%)安の32.08レアル。

 ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている米国預託証券(ADR)も7日、同0.72ドル(3.78%)安の18.32ドルで引けた。

「高炉の牙城」へ安値攻勢 韓国ポスコ、自動車鋼材など拡販

2009/05/04 Fuji Sankei Business-i

韓国鉄鋼大手ポスコの光陽製鉄所=韓国・南西部(ブルームバーグ)

 韓国の鉄鋼大手や、鉄スクラップを主原料に建築用鋼材を製造してきた国内電炉メーカーが、新日本製鉄など国内高炉メーカーの牙城だった自動車と家電用鋼材市場に安値攻勢をかけている。業績悪化でコスト削減が急務の国内自動車、電機メーカーにとっては渡りに船で、鋼材の調達戦略を見直す動きも出始めているが、国内高炉メーカーにとっては死活問題だ。

 ≪家電向けも開拓≫

 韓国鉄鋼大手のポスコは4月、ソニーに対し、液晶テレビの主要基盤向け鋼材の納入を始めた。2月には、トヨタ自動車にも納入を開始した。

 ポスコが日本の主要企業との取引拡大を図るのは、韓国内の需要減少分を対日輸出で補いたいためだ。同社の2009年1〜3月期決算は、韓国の自動車メーカーなどからの受注減が響き、最終利益は前年同期比68%の減益になった。

 一方で、韓国製の鋼材は、昨夏以降の韓国通貨ウォン安の影響で、日本製よりも割安で、安値を武器に日本市場での勢力拡大を虎視眈々(たんたん)と狙う。電炉最大手の東京製鉄も、鋼材受注の獲得を目指し、ソニーや日産自動車と交渉を進めている。

 鉄スクラップが主原料の電炉メーカーの鋼材は、鉄鉱石と石炭を原料に高炉で製造される鋼材に比べて不純物除去などの成分調整がしにくく、安定性能が求められる自動車、家電向けの展開は難しかった。だが、東京製鉄は技術的な課題を克服し、自動車メーカーから性能と品質面でお墨付きを得たという。

 もともと、高炉製品よりも安価なのに加え、鉄スクラップ価格は昨夏の高値の約4分の1まで下落し、東京製鉄は価格面での優位性を生かして売り込みをかけている。

 ≪取引固定化、崩す≫

 自動車、家電向け高級鋼材の供給は新日鉄などの高炉大手が独占し、「メーカーの要望に応えた鋼材を供給することで、製品競争力を下支えしてきた」(高炉大手幹部)。しかし、昨秋以降の世界同時不況で、トヨタですら09年3月期は初の連結最終赤字に転落する見通し。

 業績不振の中にあって、自動車、電機各社は、鋼材コストの負担抑制など、収益改善が最優先だ。固定的な取引関係を崩す姿勢を示し、高炉大手との鋼材価格交渉を有利に運ぼうとの思惑もあるとみられる。

 高炉大手は、前年比4割程度の減産を余儀なくされている。09年3月期の連結最終利益は、新日鉄が前年同期比56.3%減り、4社合計も半減するなど厳しい。

 生産量がピーク時の水準まで戻るには「3〜5年はかかる」(日本鉄鋼連盟会長の宗岡正二・新日鉄社長)とされる中で、“高炉離れ”が加速すれば、さらなる打撃は避けられず、業績回復の先行きにも暗雲が立ち込める。(本田誠)

鉄鋼大手4社:大幅な減益に

2009年04月29日 毎日新聞 東京朝刊

 新日本製鉄など鉄鋼大手4社の09年3月期連結決算が28日、出そろった。世界的な不況で鉄鋼需要が減少、高炉休止など大幅減産に追い込まれ、4社とも前期比2〜6割減の大幅な経常減益となった。10年3月期の業績については、新日鉄と住友金属

 最大手の新日鉄の09年3月期決算は、売上高が前期比1・2%減の4兆7698億円。夏場以降の鋼材市況の急落で原材料在庫の評価損も膨らみ、経常利益は同40・4%減の3361億円。最終(当期)利益は同56・3%減の1550億円に落ち込んだ。【大場伸也】

トヨタなど低価格鋼材購入 鉄鋼大手に打撃

2009/04/29  中国新聞ニュ−ス

 トヨタ自動車、ソニーなどの主要メーカーが、安値攻勢を仕掛けている韓国企業や国内電炉メーカーから低価格の鋼材を購入し始めている。コスト削減に押された伝統的な取引関係の見直しは、生産が急速に落ち込んでいる新日本製鉄など鉄鋼大手にとって新たな打撃になりそうだ。

 ▽聖域なし

 ソニーは二〇〇九年度から韓国の鉄鋼大手、ポスコの鋼材を初めて液晶テレビの主要基盤に採用した。〇九年三月期に二千六百億円の営業赤字を計上する見通しの中、聖域を設けない経費削減を進める方針だ。

 ポスコにとっては、多少値を下げたとしても、韓国内の需要減少分を対日輸出で補えば「十分元は取れる」(関係者)。日産自動車や三菱自動車への納入実績があるポスコは今年二月からは、ついに最大手トヨタの国内工場に納め始めた。日産は「グローバルな視点からコストが安く、良質な製品を調達する」(幹部)との姿勢だ。

 電炉最大手、東京製鉄も自動車、電機メーカーへの営業を強化。原料となる鉄スクラップの平均価格は昨年夏の高値の約四分の一まで下落。大手高炉メーカーより相当安い価格を提示しているとみられる。ソニーなどの電機大手からは国内外の工場向け鋼材について打診が来ているという。

 ▽価格交渉

 主戦場の自動車向け高級鋼材。新日鉄など高炉メーカーが圧倒的に優位な状況は続いている。しかし最近は低価格のほか品質改善も評価され、自動車各社は電炉メーカーを調達先に加えられないか検討を急いでいる。

 ただ、高炉メーカーは自動車開発段階からさまざまな技術的な要望にも応じてきた。高炉メーカー幹部は「長年に及ぶ深い付き合いは、そう簡単には崩れない」と説明する。

 野村証券金融経済研究所の松本裕司まつもと・ゆうじシニアアナリストは「電炉や海外メーカーの鋼材利用はあくまで限定的」と指摘。自動車や電機各社には調達先を増やすことで、高炉メーカーとの価格交渉を有利に運ぼうとの思惑もありそうだ。

09年の世界鉄鋼需要、戦後最大の減少率 15%減見通し

2009年04月28日 NIKKEI NeT

 【シカゴ=毛利靖子】2009年の世界鉄鋼需要は10億1862万トンと08年に比べて15%落ち込む見通しだ。減少率は第2次世界大戦後では最大となり、64年ぶりの大幅減。世界的な景気冷え込みにより、伸長が続いていた新興国の需要も停滞が予想される。

 世界の主要鉄鋼メーカーで構成する世界鉄鋼協会が予測をまとめた。減少率は08年(1.4%減)から大幅に拡大する。国・地域別で最も落ち込みが目立つのは米国で昨年推定比で37%減るとみている。欧州連合(EU)加盟27カ国合計は同29%減、日本も20%減となりそう。

 新興国では、これまで需要拡大をけん引してきた中国が5%減と昨年(2.9%増)から一転して減少に転じる。一方、インドは1.7%増。昨年(6.1%増)より減速するものの、なお成長基調を維持する。

新日鉄が全製鉄所で一時帰休 生産低迷で対象を拡大

2009.04.27 MSN産経新聞

 新日本製鉄は27日、5月から一時帰休の実施対象を、君津製鉄所(千葉県君津市)など全製鉄所に拡大させることを明らかにした。

 自動車向けなどの需要の落ち込みを背景に、鋼材生産の低迷が長期化していることに対応する。

 新たに一時帰休の対象となるのは、君津と合わせ、名古屋(愛知県東海市)、広畑(兵庫県姫路市)、大分(大分市)の4製鉄所で、月1日程度の一時帰休を行う。具体的には、稼働率の低下など生産ラインごとの余力に応じて判断する。

 新日鉄は4月から室蘭(北海道室蘭市)、釜石(岩手県釜石市)、堺(堺市)の3製鉄所など計5カ所の生産拠点で月1−2日の一時帰休を実施。八幡製鉄所(北九州市)でも5月に一時帰休を1日実施することを表明していた。

新日鉄:減産体制を継続 大分再稼働は先送りへ

2009年04月22日 毎日新聞

 新日本製鉄の宗岡正二社長は22日、大分と君津(千葉県)で高炉各1基を休止している現在の減産体制を4〜6月期以降も当分続ける考えを示した。鉄鋼需要の急回復は見込めないため。日本鉄鋼連盟会長としての同日の定例会見で述べた。

 宗岡社長は、当初5月中旬に予定していた大分製鉄所第1高炉の再稼働について「少なくとも4〜6月期は再稼働させない」と先送りする方針を表明。「電機や自動車など大口ユーザーの在庫調整が4〜6月期で完了し、鉄鋼需要も実需見合いの水準には戻るだろう」としながらも、まずは現在稼働中の高炉による増産で対応する考えを示した。

 また市場全体の見通しについても「国内企業の在庫調整進展と中国の需要増で、7月以降は幾分回復に向かう」としながらも、「粗鋼生産量が元の水準に戻るには数年かかる」と指摘。09年度の国内の粗鋼生産量が10年ぶりに1億トンを下回る可能性が高いとの厳しい認識を示した。【大場伸也】

鉄鋼大手:鋼材10%超値下げ トヨタと最終調整

2009年4月18日 毎日新聞 東京朝刊

 トヨタ自動車と新日本製鉄など鉄鋼大手は、09年度の自動車用鋼材価格を1トン当たり前年度比1万5000円(十数%)超下げる方向で最終調整に入った。石炭や鉄鉱石が値下がりしたためで、自動車用鋼材の値下げは7年ぶり。他の自動車や電機メーカー、造船会社の価格交渉にも影響を与えそうだ。

 鉄鋼大手は資源会社との09年度の交渉で、原料用石炭は前年度比約6割の値下げで決着した。このためトヨタは3割程度の鋼材値下げを要求したが、鉄鋼各社が値下がり前に仕入れた原料を大量に保有していることなどから譲歩した。トヨタは系列部品メーカーに、共同購入して支給する鋼材の価格を6月分から1万5000円程度引き下げると通知した。【宮島寛、大場伸也】

馬田JFEスチール社長:鉄鋼需要の縮小続く、回復には最低3−5年

2009/04/17 Bloomberg.co.jp

 4月17日(ブルームバーグ):国内第2位の鉄鋼メーカー、JFEスチールの馬田一社長は、4月の粗鋼生産が過去最低水準だったと見込まれる3月より減少するとの見通しを示した。国内需要が縮小しているうえ、中国も世界の鉄鋼需要をけん引するには不十分だとして、回復には最低でも3年以上かかるとの見方を示した。

 17日、都内でブルームバーグ・ニュースの取材に応じた。馬田氏は、4月は3月より若干ながら減少する見通しだと述べた。さらに、米国経済への依存度の高い日本経済の回復は、「一部で言われている今年後半などには無理。3−5年、場合によりそれ以上かかる」と述べ、生産の大幅な縮小を余儀なくされるとの見方を強調した。

 鉄鋼連盟によると、2月の国内粗鋼生産は前年同月比44%減の 548万トンと1968年6月以来40年ぶりの低水準。3月はJFEスチールと新日本製鉄がそれぞれ高炉を追加休止する影響でさらに落ち込む見通しだ。

 自動車用需要の回復は7月以降

 JFEは全国に9本ある高炉のうち、西日本製鉄所(岡山県倉敷市と広島県福山市)で2本の操業を休止中。トヨタ自動車が5月に減産幅を縮小するとしても、「部品・鋼材在庫の消化には時間を要するため、鋼材需要が増え始めるのは7月以降になる」と述べた。

 景気刺激策を講じている中国の鉄鋼需要回復の見通しに関しては「需要が増えているのは建築・土木向け一部条鋼類のみで、数千万トン規模の効果しかない。ないよりましだが中国全体や世界鉄鋼需要への寄与度は『焼け石に水』程度」との見方を示した。

 本音では03年度水準の原料価格希望

 鉄鋼需要が縮小する中で、採算に直結する原料価格交渉の動向が焦点となっている。09年度の原料炭価格は既に前年度比6−7割安の水準で決着したが、鉄鉱石は現在交渉中。

 08年度は、旺盛な鉄鋼需要を背景に鉄鉱石価格は前年度比最大2倍、原料炭が同3倍と未曾有の水準に高騰した。馬田氏は09年度は「需給が緩んでいるのだから大きく下げるのが当然」と述べ、本音では原料高騰前の03年度水準程度に戻るのが望ましいとしながらも、「それは無理だろうから最低07年度の水準に戻してほしい」と語った。原料炭は07年度水準への値下げが実現しなかった。

 90年代以降03年度まで、鉄鉱石はトン20ドル台、原料炭は同50 ドル前後で推移してきたが、その後中国を中心とした需要の急増で高騰、 08年度は鉄鉱石が約130ドル、原料炭は300ドルまで跳ね上がった経緯がある。

 鉄鉱石価格交渉は「長期戦覚悟」

 09年度の鉄鉱石価格交渉では、英豪資源大手のBHPビリトンが、従来の年度契約価格ではなく、中国などのスポット(当用買い)価格をベースにした変動価格制の導入を主張している。馬田氏は「原料価格が短期に乱高下すれば、鋼材ひいては自動車価格も乱高下せざるを得ない。そのようなことはガソリンや食品と異なり消費者には受け入れられない」と反対の立場を強調した。

 同じく英豪大手のリオ・ティントは、従来通り年度契約方式での価格交渉を進めているが、前年度比2割前後と小幅な値下げにとどめるよう要求しているもよう。馬田氏は、「鉱山側は中国需要でスポット価格が上がると期待しているが、われわれは逆に下がるとみているので、交渉は長期戦覚悟」と述べた。

鉄鉱石価格、3割引き下げの公算 自動車・家電業界にも恩恵

2009/04/16 イザ!

 新日本製鉄など鉄鋼大手が英豪系のBHPビリトンなど資源大手と進めている平成21年度の鉄鉱石をめぐる価格交渉が、前年度比3割程度の値下げで妥結する可能性が強まってきた。すでに石炭価格は同57%減で決着しており、こうした原料価格の大幅な値下げは自動車や電機メーカー向けの鋼材価格の引き下げにもつながる。販売不振に苦しむ中で、原料となる鉄鋼価格の上昇分を商品価格に転嫁できなかった自動車や電機各社の収益に一定の追い風となりそうだ。

 鉄鋼の主原料である鉄鉱石と石炭の価格は、日欧中の鉄鋼大手と資源大手との間で年1回行われる交渉によって4月から翌年3月までの契約で決まる。資源大手1社と鉄鋼大手1社が先行して合意した価格が世界標準となるのが慣例だ。

 21年度の鉄鉱石価格をめぐっては、日本側は前年度比4割程度の大幅値下げを要求している。世界同時不況による鉄鋼需要の急減で粗鋼生産量が激減しているためだ。これに対し、資源大手は長期的には新興国の経済成長で需要が増えるとして下げ幅の抑制を主張。英豪系リオ・ティントはアジアの鉄鋼大手に同2割の引き下げを提案した。

 資源大手が需要が減少する中で強気の姿勢を崩さない背景には、業界再編で資源会社の寡占化が進み、価格交渉力を強めていることがある。今では鉄鉱石はBHPビリトン、リオ・ティント、ブラジルのヴァーレの大手3社が世界の海上貿易量の約7割を占めている。20年度の価格交渉は、世界的な需要急増で鉄鉱石は前年度に比べて最大2倍、石炭は同3倍にまで急騰した。

 このため、21年度の鉄鉱石価格に対しては資源大手の言い値をすんなりとのむわけにはいかない。すでに国内鉄鋼大手4社は大幅な減産を余儀なくされており、「原料価格を少しでも抑え、何としても収益を確保したい」との思いが強いからだ。ただ、資源大手との価格交渉が長引けば、自動車や家電メーカーとの鋼材価格の交渉にも支障が出る恐れがあるため、鉄鋼業界では「最終的には両者の間をとって3割減で妥協する」との見方が有力だ。

 一方、鋼材の最大需要家である自動車メーカーとの21年度の価格交渉も始まっており、自動車側は前年度比約3割の値下げを求めている。20年度には原料価格の急騰に伴い、鋼材価格も1トン当たり同3〜4割増の10万円超に引き上げられただけに、鉄鉱石価格の決着次第でこちらの引き下げ幅も決まる見通しだ。

リオ、鉄鉱石価格20%下げ アジアメーカーに提案 中国は拒否

2009/04/08 Bloomber.co.jp

 鉄鉱石世界2位の英豪系リオ・ティントは、鉄鉱石の年次価格交渉の難航を受け、アジアの鉄鋼メーカーに対し鉄鉱石価格を一時的に20%引き下げることを提案した。

 事情に詳しい企業幹部4人のうち2人によると、リオは主要顧客企業数社に対し暫定的な引き下げを提案した。

 他の幹部2人によると、一部の中国の鉄鋼メーカーは、値下げ幅が小さ過ぎるとしてこの提案を拒否した。提案された鉄鋼メーカーの数については触れなかった。

 世界最大の鉄鉱石購入国である中国の鉄鋼メーカーは、鉄鋼価格の下落を理由に40〜50%の値下げを要請しており、提案された値下げ幅はこれを下回る。米シティグループは3日、年次価格交渉の合意にはさらに4カ月かかる可能性があるとの見方を示した。

 鉄鋼メーカーは通常、新価格が合意されるまで前年度の水準を支払う。

 コア・パシフィック・ヤマイチ・インターナショナルのアナリスト、チェリー・チェン氏(北京在勤)は「大半の中国の鉄鋼メーカーは合意しないだろう。20%引き下げられた価格で購入すれば生産コストが製品価格を上回る可能性があるからだ。少なくとも30%の値下げが必要とみられる。ただ、リオとの長期的な協力関係を維持するため、一部の鉄鋼メーカーが提案に合意する可能性も排除していない」と述べた。(Jesse Riseborough、Helen Yuan)

08年世界の粗鋼生産、中国勢が躍進 JFE、5位に後退

2009年04月05日 NIKKEI NeT

 2008年の世界の鉄鋼メーカーの粗鋼生産ランキングによると、アルセロール・ミタル(ルクセンブルク)と新日本製鉄が07年と同様に1位、2位を維持した。再編で規模を拡大している中国勢が躍進し、同国最大手の宝鋼集団は07年の5位から3位へ浮上した。これに伴いJFEスチールは3位から5位に後退。日本勢は昨秋から大幅減産を強いられており、09年に順位をさらに落とす可能性もある。

 英国の金属専門誌メタルブリテンがまとめた。ミタルの生産量は新日鉄の3倍弱の1億トン強だったが、大幅減産により07年に比べ約11%減った。新日鉄とJFE以外の日本勢は住友金属工業が19位(07年は20位)、神戸製鋼所は37位(同39位)。

新日鉄、新興国で足場固め ブラジル大手株買い増し

2009年04月24日 NIKKEI NeT

 新日本製鉄は持ち分法適用会社のブラジル鉄鋼大手ウジミナスの株式を買い増し、出資比率を26%とした。同社と共同出資する現地の鋼板会社への出資比率も30%に高め、最新技術を供与して自動車用鋼板を増産。ブラジルに加え北米などへの輸出拠点として活用する。世界同時不況で海外ライバル企業の投資余力が落ちており、数年後とみられる世界需要の回復をにらみ新興市場での足場固めを急ぐ。

 ブラジルの資源大手ヴァーレがウジミナスの普通株式1487万株(議決権ベースで5.9%)を売却。新日鉄と同社子会社の日本ウジミナス(東京・千代田)はこのうち2.8%分を譲り受け、2社合計の出資比率を23.3%から26.1%に高めた。取得額は約130億円とみられる。

3月の世界粗鋼生産、23%減 7カ月連続で減少

2009年04月23日 NIKKEI NeT

 世界鉄鋼協会(ワールドスチール)が22日まとめた3月の粗鋼生産(速報値・66カ国・地域)は9170万トンと前年同月比23.5%減少した。前年を下回ったのは7カ月連続。日本や米国などの先進国に加え、中国やインドなどの新興国も含め大半の国で減少しており、底打ち感はみられない。

 世界生産量の半分を占める中国は4510万トンで同0.3%減。政府の景気刺激策の効果で1月、2月と2カ月連続で増加したが、3月はわずかながら減少に転じた。新興国はインド(7.5%減)やブラジル(41.5%減)も前年を下回った。米国、韓国などでも低水準の生産が続く。日本でも新日本製鉄とJFEスチールが大幅な減産を続けている。

「国内の粗鋼生産、回復に3―5年」 鉄連会長

2009年04月221日 NIKKEI NeT

 日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日本製鉄社長)は22日の記者会見で、「国内粗鋼生産が(世界同時不況前の)元の水準に戻るには3―5年かかる」との見通しを示した。4―6月期の生産量は1―3月期と同水準となるが、「自動車や電機部品など需要家の在庫調整が進み、底割れは回避できそうだ」と述べた。

 国内粗鋼生産は2007年度に34年ぶりに過去最高を更新したが、08年度は13.2%減った。宗岡会長は「5年ほど拡大基調が続いた。元に戻るにもそれなりの時間がかかる」と述べた。需要回復の時期は「米国より中国やブラジル、インドが先になる」とみている。

 新日鉄の減産体制については、休止中の2基の高炉のうち、改修中の大分製鉄所(大分市)の高炉1基の再開時期を当初5月14日としていたが、「6月までは再稼働させない」と述べた。

新日鉄:8年半ぶりに一時休業 国内5拠点の1500人

2009年04月01日 毎日新聞

 新日本製鉄は1日、景気後退の深刻化による鉄鋼需要の急減に対応し、4月から月当たり1〜2日の一時休業を実施すると発表した。一時休業の実施は00年9月以来、8年半ぶり。同時に業績不振に伴うリストラの一環として、役員報酬を4月から3カ月間、一律16%削減する。

 一時休業は、建設や自動車向け鋼材を製造している室蘭(北海道)、釜石(岩手)、堺(大阪)の3製鉄所を含む国内5拠点で実施、社員約1500人が対象となる。新日鉄は、需要の先行きを厳しく見ており「さらに一時休業する拠点を増やす可能性もある」と話している。

 昨秋からの景気後退の深刻化で、鉄鋼業界ではすでに神戸製鋼所が4月からひと月当たり1日の一時休業を実施。JFEスチールも一時休業を検討するなど、生産調整の動きが一段と広がっている。【大場伸也】

2月の鉄鋼輸出量、46.7%減 2カ月連続で最大の減少率

2009年04月01日 NIKKEI NeT

 日本鉄鋼連盟は1日、2月の鉄鋼輸出量が前年同月比46.7%減の188万3000トンだったと発表した。減少率は1月の34.4%を上回り、統計のある1964年以降で最大の減少率を2カ月続けて記録した。前年実績を下回るのは5カ月連続。世界的な景気悪化による需要減少が続いている。

 輸出先別では、最大の韓国が同39.8%減の60万3000トンと5カ月連続で減少した。中国は約3割落ち込み、台湾やタイは減少率が5割を超えた。米国向けは19.5%増だった1月から53.0%の大幅な減少に転じた。

21年度、原料炭価格57%減 新日鉄とBHP合意

2009/03/24 イザ!

 新日本製鉄、JFEスチールの国内鉄鋼大手が、豪英系資源大手BHPビリトンなどと進めていた平成21年度の鉄鋼原料用石炭の価格交渉で、前年度比57%の引き下げとなる1トン当たり128〜129ドルで合意したことが23日、分かった。引き下げは2年ぶり。世界的な景気後退で需要が落ち込んでいるためだが、日本側が求めていた3分の1程度への大幅な引き下げは実現しなかった。

 もう一つの主原料である鉄鉱石についても引き下げとなる見通しで、原料の値下がりは、自動車や電機メーカー向けの鋼材価格の引き下げにつながる。

 原料炭は、20年度の価格交渉で世界的な需給の逼迫(ひっぱく)を受け、19年度の98ドルから約3倍の300ドル程度に引き上げられた。21年度の交渉では、昨秋以降の世界同時不況で、需要が急減したことから、日本の鉄鋼各社は19年度並みの水準に戻すよう求めていた。

 しかし、世界最大の鉄鋼生産国である中国で、政府の景気対策などを受けて需要が持ち直してきたほか、再編で寡占化の進んだ資源大手の価格交渉力が強く、値下げ幅は前年度比約6割の水準にとどまった。

 原料炭は鉄鉱石と並ぶ鉄鋼の主原料で、日本は全量を輸入に頼っている。そのうち約6割が豪州産で、なかでもBHPは最大の調達先となっている。

 鉄鉱石については、鉄鋼各社は19年度の水準に引き下げることを要求し、交渉を続けている。

鉄鋼大手各社、英豪系資源大手BHPビリトンと原料炭価格で合意

2009年03月24日 IBTimes

 新日本製鉄<5401>やJFEスチールなど鉄鋼大手各社が、英豪系資源大手のBHPビリトンから09年度に購入する鉄鋼原料用石炭(原料炭)の価格について、1トン当たり128-129ドルで合意したことが23日、分かった。価格は08年度比で約60%も下がっている。現在、主要原料の鉄鉱石についても価格交渉が続いている。

 日本は鉄鋼の主力原材料である鉄鋼石と原料炭について、全ての量を外国からの輸入に頼っている。全体の60%は豪州産で占められており、特にBHPは日本にとって最大の調達先となっている。

 08年度は過去最高の1トン当たり約300ドル(約2万8,800円)で合意していた。今回の原料価格下落で鉄鋼各社は自動車各社を始め、各顧客向けの鋼材価格引き下げを迫られる見通しだ。

2月の粗鋼生産、41年ぶり低水準 44.2%減で過去最大の落ち込み

2009年03月17日 NIKKEI NeT

 日本鉄鋼連盟が18日発表した2月の粗鋼生産(速報値)は前年同月比44.2%減の547万5000トンだった。1968年6月の545万6000トン以来、およそ41年ぶりの低水準となった。減少率は1月の37.8%減を上回り、2008年12月から3カ月連続で過去最大を更新した。前年実績を下回るのは5カ月連続。需要減を受けた鉄鋼各社の減産の影響がさらに強まった。

鉄鋼大手の高炉稼働率、過去最低の7割に 今夏の回復期待

2009年03月10日 NIKKEI NeT

 新日本製鉄など鉄鋼大手は、高炉の稼働率を炉が傷む限界といわれる過去最低水準の7割前後へ落とし始めた。生産を数日止める「休風」も増やす。4月以降も前年同期比3割前後の減産が続く可能性が高いため。国内で4基の高炉が長期休止しているが、再稼働に数カ月かかる長期休止をこれ以上拡大すれば、今夏ごろと見込む需要回復期に供給力の対応で後れをとりかねないと判断した。

 稼働率低下で当面の需要低迷を乗り切る。ただ、需要の回復が予想以上に遅れた場合は、新たな長期休止を迫られる可能性は残る。

普通鋼鋼材受注、1月は4割減 40年ぶり400万トン割れ

2009年03月10日 NIKKEI NeT

 日本鉄鋼連盟は10日、1月の普通鋼鋼材受注量が386万9000トンと前年同月比42.8%減少したと発表した。前年を下回るのは6カ月連続で、減少率は2008年12月の36.6%を上回り過去最大を更新した。単月の受注量が400万トンを割ったのは1969年3月以来、約40年ぶりとなる。自動車向けが同64.4%減と大きく落ち込んだのが響いた。

 国内向けは40.3%減の277万4000トン、海外向けは48.2%減の109万5000トンだった。国内向けを用途別にみると建設用が26.0%減、製造業向けが45.9%減、販売業者向けが41.5%減だった。製造業向けのうち船舶用は8.3%増の49万1000トンだったのに対して自動車用は39万2000トンで、船舶用を下回るのは1975年12月以来という。

自動車向け品種減で鋼材価格低減 自工会と鉄連が合意

2009年02月19日  中国新聞ニュ−ス

 日本自動車工業会(自工会)の青木哲会長(ホンダ会長)は19日の記者会見で、日本鉄鋼連盟と自動車向け鋼材の品種削減を柱とした合理化の実施で合意したことを明らかにした。鋼材価格高騰に自動車販売不振が追い打ちを掛けて自動車メーカーは業績が悪化しており、自工会は鉄連と異例の大掛かりな協力により、鋼材などの大幅な価格低減を目指す。

 合理化策として、自動車の外板などに使う鋼材174種類のうち、少量のため生産効率の悪い19種類を順次削減する。鉄鋼会社への発注を早めることや、自動車生産計画に関する正確な情報提供などでも合意した。

 日本の自動車メーカーは、消費者ニーズに合わせた自動車の早期投入を「お家芸」としてきた。しかし、鉄鋼大手にとって鋼材の多品種少量生産や、自動車生産計画の変更が鋼材価格の上昇要因になっていた。青木会長は今回の合意で「鉄鋼メーカーの生産性が向上し、両業界のコスト低減が期待できる」と述べた。

粗鋼生産量、最悪の37%超減 1月、自動車向け低迷

2009/02/18  中国新聞ニュ−ス

 日本鉄鋼連盟が十八日発表した一月の粗鋼生産量は、自動車向け需要低迷で前年同月比37・8%減の六百三十七万トンとなり、下落率は記録が残っている一九四九年一月以降で最大となった昨年十二月の実績(27・8%減)を超え、過去最悪を二カ月連続で更新した。生産量は六九年二月の五百七十七万三千トン以来となる四十年ぶりの低水準に落ち込み、「鉄冷え」の出口は見えない。

 粗鋼生産量の急減は、世界同時不況を背景とした自動車メーカーの生産の急速な落ち込みにより、高炉各社が粗鋼の減産を強めていることが大きく響いた。

 自動車のほか電機、建設機械向けなどの好調から二〇〇六年十月以降、一千万トン前後の高水準で推移してきたが、米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻はたんの影響が実体経済に広がった昨年十月から減少に転じた。

 種類別では、自動車などに使う特殊鋼は47・6%減の百十九万二千トン、幅広い用途に使われる普通鋼が35・1%減の五百十七万八千トンだった。

 鉄連は昨年十二月の生産量の前年同月比増減率を、速報値段階の27・9%減から27・8%減に修正した。

「豪州の原料炭事業10〜15%減産へ 三菱商事

2009/01/21 イザ!

 三菱商事は21日、オーストラリアで合弁生産している鉄鋼原料用の高品位石炭(原料炭)を減産すると発表した。金融危機に端を発する世界経済の低迷で、日本や中国、インドなどの鉄鋼メーカーの鋼材生産が落ち込んでいることが理由。減産規模は総生産能力の10〜15%に上り、今年1〜6月で累計300万トン前後の見通し。

 減産するのは三菱と英豪系資源大手BHPビリトンが折半出資するBHPビリトン・ミツビシ・アライアンス(BMA)で、年間5000万トン台後半の生産能力を持つ。今後、新興国の鋼材生産が伸びると見越し、供給体制拡充のために昨年7月、オーストラリア東部の未開発鉱区の権益を新たに取得したばかりだった。

 オーストラリアの原料炭合弁生産は、三菱商事の資源分野の主力事業の一つで、良質な原料炭の世界貿易量の約3割を占める。


29カ月ぶり前年割れ 10月の粗鋼生産2・7%減

2008/11/19 中国新聞ニュ−ス

 日本鉄鋼連盟が十九日発表した十月の粗鋼生産量は、世界的な景気悪化を受け、前年同月比2・7%減の千九万七千トンと、二〇〇六年五月以来、二十九カ月ぶりに前年実績を下回った。

 建築向けが引き続き低迷していることに加え、堅調だった自動車向け需要やアジア向け輸出の伸びが低下したためとみられる。鉄鋼各社は需給調整のため減産を実施しており、生産量は一段と減少する見通しだ。

 鉄連は、生産水準は一千万トンを超えており、依然として高いとしている。だが、業界関係者は「世界で景気のいい地域はない」として、当面は需要低迷が続くと予想している。

 新日本製鉄が〇八年度の粗鋼生産量を前年度から百万トン程度減らすことを決めるなど、国内鉄鋼大手は〇八年度下半期に相次いで生産の抑制を打ち出しており、十一月以降の生産に影響してくるのは確実な状況だ。

トヨタ、鉄鋼5社と協力 「カイゼン」で生産コスト低減

2008/10/28 中国新聞ニュ−ス

 鋼材価格の高騰を受け、トヨタ自動車は鉄鋼大手五社と共同で、鋼材の生産コストを低減するための取り組みを今月から始めた。細かい改良の積み重ねで生産効率を高めるトヨタ流「カイゼン」を鉄鋼業界にも本格普及させる試みで、成否が注目される。

 トヨタは、世界的な景気減速、原材料価格の高騰など逆風が強まっている。鋼材の調達価格は今春、約三割値上がりした。トヨタは今回の取り組みを成功させ、今後の調達価格引き下げにつなげたい考えだ。

 参加社は新日本製鉄、JFEスチール、住友金属工業、神戸製鋼所、日新製鋼。トヨタと鉄鋼各社で今春から合理化提案を出し合った。製造工程の見直し、鋼板の種類削減など約百項目の具体策を挙げ、順次実行に移している。

 トヨタは、工場内での作業を効率化するための装置類の配置など「お家芸」ともいうべきノウハウの提供も検討する。鉄鋼会社の傘下メーカーも巻き込み、各カイゼン策の責任を負う企業や部署も決定した。期間は約一年の予定で、全体で3%程度の生産性向上を見込んでいる。

 当面見込める効果は足元の鋼材の値上がりに比べれば小さいが、トヨタの新美篤志にいみ・あつし専務(調達担当)は「いずれ大きな成果が出てくる。中長期的には今年の値上がり分の半分は取り返したい」と意気込んでいる。

住金が“最強”厚鋼板開発 大地震でも「建物は無損傷」

2008/10/17 FujiSankei business-i

 住友金属工業は16日、同社総合研究所、大阪大学、日建設計などと共同で、1平方ミリ当たり100キロ超(1000メガパスカル)の重みに耐えられる、建築鉄骨用の厚鋼板の開発に成功したと発表した。柱やはりといった建築物の主要構造部材に用いられる厚鋼板としては、世界最高の強度を誇り、従来に比べ性能を約2倍へと向上させた。2010年の実用化を計画している。

 超高層ビルなどに代表される大型の鉄骨系建築構造物には、素材として厚鋼板が用いられる場合が多い。従来タイプの強度は60キロ(590メガパスカル)級が最高。今回開発した100キロ超級の厚鋼板と、地震エネルギーを消散させて衝撃または振動の振幅を軽減するダンパーと組み合わせることによって、ダンパーに地震エネルギーが集中。大地震でも建物が損傷しない、「無損傷建物」を実現する。

 開発は、阪大と京都工芸繊維大学が基礎設計と研究総括を担当。日建設計が具体的な設計、構造物の設計を行う片山ストラテックが施工条件の確立、住金総研が鋼材、溶材開発などを手がけ、04年からスタートした。強度が強く、溶接しづらいなどの問題をクリアしたのに加え、量産に向けた汎用性も確立。今年6月に建築基準法の規定に適合するとして、国土交通大臣の認定も取得した。

                  ◇

【予報図】

 ■高まるニーズ、開発競争激化

 日本鉄鋼連盟がまとめた用途別受注高によると、8月の建築用は前年同月比10.1%減の58万トンと2カ月ぶりにマイナスとなった。昨年9月からの1年間の動向を振り返ると、プラスとなった月は2回だけ。マイナス基調に大きな変化はない。

 通常の建築向けは、鉄スクラップを電気炉で溶かして鉄鋼を生産する電炉メーカーが手がけている。精錬した鉄塊を圧延加工し、鉄筋コンクリート用棒鋼に仕上げ、建築用として出荷。ただ、「市況による変動が大きい分野」(大手鉄鋼幹部)のため、昨今の住宅着工件数の減少や値上げなどによる影響で、売り上げは低迷している。また、安い中国製の鋼板などを採用する動きも顕在化、収益低下の要因となっている。

 これに対し、今回、住金総研などが開発したのは、高張力鋼板(ハイテン)の分野で高付加価値品に相当する。ある大手ゼネコンの関係者は「コストなどの問題があるが、インパクトがある製品」と関心を寄せる。

 ハイテンは鉄鋼各社の稼ぎ頭。新日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所など国内ライバル他社も研究態勢を強化している。地震大国・日本では、耐震性の向上が最大の課題で、強度が高い材料へのニーズが高まるのは必至。厚鋼板を巡る開発競争は一段と激化するとみられる。(飯田耕司)

世界の鉄鋼メーカー、減産圧力にさらされる

2008年10月07日 NIKKEI NeT

 ワシントン(ウォール・ストリート・ジャーナル)会議出席のために当地に集まった世界の鉄鋼メーカー幹部らは、鉄鋼価格が生産コストとの損益分岐点を下回る前に、生産量をどれぐらい削減すべきかを急いで判断しようとしている。

 鉄鋼業界専門研究機関ワールド・スチール・ダイナミクス(WSD)のアナリスト、ピーター・マーカス氏によると、鉄鋼製品価格の主要指標である熱延鋼板の国際価格は1トン当たり780ドルと、年初の1000ドルを下回っているものの、大半の鉄鋼メーカーが1トン生産するのにかかるコストの650ドルは上回っている。

 世界4位の鉄鋼メーカーである韓国のポスコ(NYSE:PKX)は、特に世界経済の減速を考慮すると、年末までに生産能力が過剰になる可能性があり、鉄鋼メーカーは減産を拡大する必要があると警告。同社の李亀沢(イ・グテク)最高経営責任者(CEO)は、「深刻な景気後退のリスクに備えるべきだ」と強調した。

 中国の鉄鋼業界団体は、製品価格の下落を食い止めるために、一部の中国鉄鋼メーカーが約20%の減産を計画していることを明らかにした。また、米鉄鋼大手USスチール(NYSE:X)のジョン・スルマCEOは、鉄鋼メーカーは生産量を需要に合わせる準備をしていると話すが、詳細については言及を避けた。

 WSDのマーカス氏は、「問題は生産能力が過剰になるかどうか、ということではなく、鉄鋼メーカーがこれにどう対処するかということだ」と指摘する。既存の鉄鋼工場の一部は、十分な受注を獲得しておらず、メキシコやウクライナでのケースのように、生産能力の半分で稼働しているにもかかわらず、鉄鋼業界全体の生産能力は向こう12カ月以内にさらに5%増加すると見込まれている。

 一方、鉄鋼業界が供給過剰になりつつあるとの見方に、すべての鉄鋼メーカーが賛同しているわけではない。世界最大手のアルセロール・ミタル(NYSE:MT)のラクシュミ・ミタルCEOは、「供給過剰になりつつあるとは思わない」と語った。同社はすでに一部の市場で生産量を15%削減すると発表している。

 ミタルCEOは、工場の新設や拡張をしようとしても信用収縮で必要な資金が調達できないため、結果的に供給ペースは需要に同調することになると予想。さらに、景気悪化により、今年の鉄鋼価格の上昇に目をつけていた一部の企業が市場への参入を思いとどまるかもしれないとし、業界の長期的な見通しは依然として明るく、年5%の成長が見込めるとの見方を示した。

 熱延鋼板の価格が1トン当たり650ドルを下回った場合、弱小メーカーは倒産する可能性がある。しかし、特に一部の鉄鋼メーカーの株価は52週安値の水準で推移していることから、新たな業界再編の動きが始まる可能性の方が大きい。

 世界の鉄鋼業界団体の会合での雰囲気は、鉄鋼価格が過去最高を記録し、工場がフル稼働していた今夏以降、大きく変わっている。当時は需要が8%拡大し、生産能力の伸び(5%)を上回るとみられていた。


ブラジル鉄鉱山の権益取得で合意 伊藤忠や日韓大手メーカー

2008年10月17日 中国新聞ニュ−ス

 伊藤忠商事と新日本製鉄など国内大手鉄鋼メーカー5社は17日、ブラジル企業が保有する現地の鉄鉱石鉱山の権益を31億2000万ドル(約3120億円)で共同取得することで基本合意した、と正式発表した。韓国鉄鋼最大手のポスコも参加する。

 資源大手が寡占化を強める中、原料となる鉄鉱石の安定供給を確保する狙い。伊藤忠によると、日本の鉄鋼メーカーと商社による鉄鉱石の権益確保としては過去最大という。

 この日記者会見した伊藤忠商事の小林洋一専務は鉄鉱石の需要について「中長期的には引き続き新興国を中心にして需要が伸びていくと判断している」と述べた。

 新日鉄、JFEスチール、住友金属工業、神戸製鋼所、日新製鋼、ポスコの鉄鋼各社は2009年から鉄鉱石の引き取りを始める。13年以降は最大で、日本の年間総輸入量の約1割に当たる計1370万トンを引き取る予定。

ブラジル鉄鉱石鉱山の落札、日本企業連合が有力に

2008年10月03日 asahi.com

 ブラジルの鉄鉱石鉱山の競争入札で、新日本製鉄など国内鉄鋼大手5社と伊藤忠商事の企業連合の落札が有力になった。金額は最大1兆円に膨らむ見通しだ。鉄鉱石は新興国の需要増と資源メジャーの寡占化を背景に急騰しているが、今回の買収が実現すれば、安定調達や価格交渉力の向上につながりそうだ。

 買収対象になっているのはブラジル南東部に鉱山を保有するナミザ社。親会社の現地鉄鋼大手CSNが、ナミザ株の競争入札を実施している。

 鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミッタルや中国、ロシアの有力企業も入札に参加しているが、「世界的な金融不安で、海外勢はファンドなどの融資が受けにくくなっている」(関係者)とされ、資金に余裕のある日本勢が最有力候補に浮上しているという。

 ナミザの08年の生産量は750万トンだが、計画では11年に1650万トンまで増える。現在の日本鉄鋼業界の使用量の1割強に当たる規模だ。

 国内鉄鋼大手が買うブラジル産や豪州産の鉄鉱石は今年度、前年度より6〜8割値上がり。鉄鉱石世界3位の英豪BHPビリトンが2位のリオ・ティントを買収する動きもあり、寡占化で一段の値上がりが懸念されている。資源大手への依存を減らす狙いもあり、日本勢は異例の連合で今回の入札に臨んでいる。

粗鋼、3年ぶり前年割れも 経産省の10−12月見通し

2008年09月29日 中国新聞ニュ−ス

 経済産業省は29日、10−12月期の粗鋼生産が前年同期比1・7%減の3034万トンと、3年ぶりに前年同期を下回るとの見通しを発表した。生産は高水準で推移しているものの、世界的な景気減速の影響で鋼材需要の伸びが鈍化し、在庫も増加しているため。

 証券大手リーマン・ブラザーズの破たんなど米金融危機による影響は考慮していないため、今後予想がさらに下振れたり、2009年1−3月期や4−6月期も悪化したりする可能性があるとしている。

 幅広い用途に使う普通鋼の需要見通しでは、鋼材の主要ユーザーである自動車が5・2%、電気機械が2・3%減少すると予想。建設は前年が悪かった反動で8・3%増を見込んでいるが、「需要の戻りは力強さに欠ける」と分析している。一方、造船は6・7%、産業機械は2・0%増加するとみている。

中国産コークス、輸出価格が反落

2008年09月25日 NIKKEI NeT

 鉄鋼原料となる中国産コークス(蒸し焼きの原料炭)の輸出価格が反落した。中国の国内外で需要が鈍り、現地輸出業者の換金売りが増えたためだ。昨年から右肩上がりの高騰が続いたコークス価格に調整色が強まってきた。

 中国産コークスの輸出価格は現在1トン630―650ドル(本船渡し)。1カ月前をピークに100ドル前後下落した。

ブラジル鉱山権益の共同買収を検討 新日鉄など国内鉄鋼大手

2008.08.23 MSN産経新聞

 新日本製鉄やJFEスチールなどの国内大手鉄鋼メーカーが、ブラジルなどの鉄鉱石鉱山の権益を共同で買収することを検討していることが23日、分かった。

 原材料の鉄鉱石価格の高騰に歯止めをかけるため、自前で鉱山を確保し、鉄鉱石の安定調達を目指す。単独での買収ではコスト負担が重いため、国内勢で協力する。

 新日鉄、JFE、住友金属工業、神戸製鋼所を軸に商社なども参加した連合を組むとみられ、ブラジル鉄鋼大手が行う鉄鉱石子会社売却の競争入札への参加などを検討しているもようだ。ただ、入札価格が高騰するようなら、アフリカの鉱山などの買収を検討することも視野に入れている。

豪州産鉄鉱石、80%値上げ 依存度高い日本に痛手

2008年07月01日 asahi.com

 国内の鉄鋼大手各社は豪州産鉄鉱石の08年度の調達交渉で、前年度に比べて約80%の値上げを受け入れた。ブラジル産の値上げ幅を15ポイント上回る水準で、調達先で価格変動の幅に差がつくのは異例。豪州に鉱山を持つ英豪資源大手のリオ・ティントとBHPビリトンの統合計画が影響した模様で、豪州への依存度が高い日本には痛手だ。

 新日本製鉄やJFEスチールなど鉄鋼大手は鉄鉱石を輸入に頼っている。日本全体では世界首位のバーレ(ブラジル)からの調達に26%を依存。2位リオに39%、3位BHPに20%、それぞれ依存している。

 価格交渉は、資源大手と世界の鉄鋼大手のどこかが合意すれば、他社はその変動幅に追随するという商慣行が続いてきた。08年度交渉は、日本勢を含む世界の鉄鋼大手とバーレが2月に65%の値上げで合意。しかし、リオとBHPはこの水準に満足せず、中国などの旺盛な需要も背景に、約80%(一部品種は約97%)の値上げを受け入れざるを得なくなった。BHPとの交渉は残るが、リオと同水準程度の決着が見込まれる。

 BHPはリオに十数兆円規模での買収を仕掛けており、両社とも自社の株価水準を意識しながら交渉を進めた模様だ。この統合計画をめぐっては、日本の公正取引委員会や欧州連合(EU)などの独禁当局が競争をゆがめる恐れを調べているが、企業経営への影響はすでに出始めたとも言える。

 日本の鉄鋼大手の追加負担は1千億円程度で、鋼材1トンあたり約1千円。08年度の自動車、造船会社などとの鋼材交渉は妥結済みのため、鉄鋼各社は再値上げを検討しているが、先行きは不透明だ。(山本精作)

豪州産鉄鉱石、価格最大2倍で決着 新日鉄など、負担1000億円増

2008/07/01 NIKKEI NeT

 新日本製鉄やJFEスチールなど日本の鉄鋼大手が英豪系資源大手リオ・ティントと進めていた2008年度の豪州産鉄鉱石の価格交渉が30日、07年度と比べ最大約2倍の値上げを受け入れることで決着した。すでに確定しているブラジル産を大幅に上回り、業界全体で1000億円規模の負担増となる。鉄鋼各社は今後、鋼材の追加値上げを検討する方向で、産業界の負担が一段と増す。

 豪州産鉄鉱石は日本の輸入量の約6割を占める。同2割強のブラジル産については2月に65%上げで妥結。だが、その後にリオ・ティントが塊状鉱石で 96.5%、粉状鉱石で79.88%の値上げを要請。中国鉄鋼最大手の宝鋼集団がこれを受諾したため、日本の鉄鋼大手も追随した。豪英系BHPビリトンとも同水準で決める公算が大きい。

アルセロールミタル、リオ買収合戦への参入を検討=FT

2008年06月30日 REUTER

 [ロンドン 30日 ロイター] 英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、アルセロールミタル(ISPA.AS: 株価, 企業情報, レポート)がリオ・ティント(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.AX: 株価, 企業情報, レポート)の買収合戦に参入することを検討している、と伝えている。

 アルセロールミタルの主要株主でもあるラクシュミ・ミタル会長兼最高経営責任者(CEO)は、鉄鉱石の確保を狙っている、という。

 リオ・ティントにはBHPビリトン(BHP.AX: 株価, 企業情報, レポート)が既に1600億ドル相当での買収を提案しており、反トラスト当局が現在審査している。

 FTが匿名の銀行関係筋の話として伝えたところによると「ミタル氏は、既存株主からリオ株を取得することなどを通じて、買収に一定の関与をすることを検討している」。一方で、この関係者は「反トラスト当局の要請で(リオの)鉄鉱石資産の一部が売りに出される可能性が高く、ミタル氏はそれまで待つ可能性もある」との見方も示している。

 報道について、アルセロールミタルのコメントは得られていない。

新鋼鉄製法、日本で開発=超低温でも強度そのまま

2008/06/08 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 イ・ヨンワン記者

 第2次世界大戦当時、米国は英国に救護物資を送るために数多くの輸送船を使用した。ところが、このうち多くの輸送船が北大西洋の藻くずとなった。ドイツの潜水艦の攻撃によって沈んだものもあったが、自ら沈んでしまったものも12隻に上った。海水の温度が低く、船体を形成する鋼鉄に亀裂が生じたのだ。それから半世紀、日本の研究陣がこの問題を解決する新たな鋼鉄製法を開発した。

 日本材料科学会の木村雄二博士チーム(工学院大学マテリアル科学科)は「サイエンス」誌の最新号に掲載した論文で、鋼鉄の結晶を長くすることで、低温下でも亀裂が生じない鋼鉄を作ることに成功した、と明らかにした。

 鋼鉄は鉄と炭素の合金で、結晶構造は丸い粒子の形をしている。一般的に鋼鉄の結晶は、マイナス30度になると壊れ始める。これを阻むためにはニッケルやコバルト、バナジウムのような高価な金属を添加する。

 一方、木村博士チームが開発した鋼鉄には、そのほかの金属が添加されない。その代わり、鋼鉄の結晶構造を棒状に変更した。こうすることで、結晶同士が接触する面積が広くなり、強度をさらに高めることに成功したのだ。長い繊維が幾重にも重なっている竹が、衝撃に強いことと同じ原理だ。結晶が棒状に伸びた鋼鉄は、マイナス100度にならないと壊れない。これは、ニッケルなどを添加した合金と同じくらいの強度となる。

 研究陣は、ひとまず4センチ厚の鋼鉄板を摂氏1200度で円筒模様にする。次に圧縮し、500度まで温度を下げる。圧縮過程は全部で3回以上、繰り返される。その結果、鋼鉄を形成する結晶が竹の繊維のように長くなる。

 木村博士チームの開発した鋼鉄は、低温下でも強度が維持されるため、極地帯で運航する船や石油タンカー、建築物として使用される見込みだ。また「これまでの鋼鉄よりも強度が強いため、船や自動車の重さを減らすことができる」と研究陣は明らかにした。

新日鉄など4社の鋼材価格カルテルを認定、3社に課徴金20億円=公取委

2008年06月04日 REUTERS

 [東京 4日 ロイター] 公正取引委員会は4日、土木工事用の鋼材の販売で価格カルテルを結んだとして、新日本製鉄(5401.T: 株価, ニュース, レポート)、住友金属工業(5405.T: 株価, ニュース, レポート)、JFEスチール(JFEホールディングス(5411.T: 株価, ニュース, レポート))、クボタ(6326.T: 株価, ニュース, レポート)の4社の独占禁止法違反を認定し、最初にカルテルの事実を申告した住友金属を除く3社に合計20億円3000万円の課徴金納付を命じたと発表した。また、公取委の検査前にカルテルを申告した住金と新日鉄を除く2社に排除命令を出した。

 公取委によると、4社は橋やビルなどの基礎に使われる鋼管くいの販売で、2004年度分と2005年度分の2年にわたって建設業者向けの販売価格の引き上げでカルテルを結んだ。また、クボタを除く3社は、同じ期間に道路工事に使われる鋼矢板の販売の値上げでもカルテルを結んだ。いずれも、2003年度の原料値上げに対応するため、営業課長レベルの会合で値上げ幅を決めていた。2005年5月に橋梁(きょうりょう)談合で新日鉄などが刑事告発されるまで続いていたという。

 課徴金額は、JFEに11億3678万円、新日鉄に6億8037万円、クボタに2億1291万円。昨年7月の公取委の検査開始前に、カルテルを最初に申告した住金は課徴金が全額免除で、2番目に申告した新日鉄は50%が減額された。

新日鉄の次世代コークス炉竣工 大分

2008.05.30 MSN産経新聞

 低品位な石炭を鉄鋼原料のコークスに活用できる新型施設が30日、新日本製鉄の大分製鉄所(太田県大分市)で本格稼働した。経済産業省が10年間にわたって100億円超を投じ、国内鉄鋼各社らと研究開発した次世代技術による第一商業炉。中国などの需要増で、原料用石炭は前年度比3倍超に高騰しており、これから更新期を迎える国内約50基のコークス炉への技術転用が期待される。

 新型コークス炉の生産能力は年間約100万トン、投資額は約370億円で平成22年1月からフル操業する。「SCOPE21」と名付けられた新技術は、水分と酸素の混合率が高くコークス用には不向きな石炭を急速過熱などすることで改質し、生産性を倍増させるもの。これにより、コークス原料への低品位石炭混合率を2割から5割に引き上げることが可能になる。

 世界最大級の高炉を持つ大分製鉄所では、年間70万トンのコークスを国内外から外部調達しているが、新型コークス炉がフル稼働すれば、全量を自社で生産できる。新日鉄は「これらのコスト削減効果は、現在の石炭市況を考えれば150億円」(二村文友副社長)とソロバンをはじく。

 新型製法はエネルギー効率も2割改善し、省エネ効果は原油換算で年間10万キロリットルに相当。二酸化炭素(CO2)も年間40万トン削減される。経産省では「国内の全コークス炉に新技術が採用されれば、国内セメント産業のCO2全量削減に匹敵する」(照井恵光・製造産業局次長)と試算している。

鋼材価格:3万円上げで最終調整 新日鉄と松下

2008年05月28日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 鉄鋼最大手の新日本製鉄と家電最大手の松下電器産業が、今年度の鋼材価格交渉で1トン当たり3万円程度値上げすることで最終調整していることが28日、分かった。値上げ幅は3割を超える見通し。他の家電大手も同水準で妥結する見通しだが、価格上昇分を商品価格に転嫁するのは難しく、経営に影響を与えそうだ。

 新日鉄など鉄鋼大手4社はすでに、トヨタ自動車など自動車各社と、前年度比35%高い1トン当たり2万円台後半の値上げでほぼ合意した。造船大手も同約3万円の上積みで調整中。鉄鋼業界と各業界との鋼材の取引価格は同10万円の大台を初めて突破し、26年ぶりに過去最高を更新する見通しだ。

 今後、家電メーカーは高騰分を商品価格に転嫁するかどうかの判断を迫られる。ただ、「電機業界は競争が厳しく、最終製品への価格に転嫁するのは難しい」(大坪文雄・松下社長)のが実情。特に洗濯機や冷蔵庫など鋼材の使用量が多い白物家電の収益が圧迫されるため、大手メーカー幹部は「原材料の使用量を減らすなど、価格高騰を上回るコスト削減で吸収するしかない」と話す。【秋本裕子】

三菱重工と新日鉄、造船用鋼材で3万円程度値上げで合意へ

2008年05月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 三菱重工業と新日本製鉄が、造船用鋼材の価格交渉で、1トンあたり3万円程度値上げする方向で合意する見通しとなった。

 決着すれば、値上げ幅は約4割で過去最大となり、1トンあたり平均で初めて10万円台に乗せる。

 中国など新興国を中心に船舶の需要が高まっているため、鋼材が世界的に不足気味で、日本メーカー同士の交渉では、今年で6年連続の値上げとなる。三菱重は安定調達のため、新日鉄側の値上げ要請を受け入れる判断をしたとみられる。

 鋼材価格を巡っては、トヨタ自動車と新日本製鉄が1トンあたり2万円台の値上げで大詰めの交渉に入っている。今後は電機など他の業界でも値上げが広がる公算が大きい。

鋼板3割値上げで合意 トヨタ自動車と新日鉄

2008/05/17 中国新聞ニュ−ス

 トヨタ自動車と新日本製鉄が、自動車用鋼板を一トン当たり約三割となる二万円台後半の値上げで最終合意したことが十七日、分かった。鋼材の平均価格が初の十万円突破となり、二十六年ぶりに過去最高を更新する。四月出荷分にさかのぼって適用するとみられる。

 ホンダ、日産自動車など他の自動車メーカーも同様の上げ幅で合意するとみられ、JFEスチールなど他の鉄鋼メーカーも追随する見通し。造船、電機メーカーなども値上げを受け入れ、最終製品の価格に資源価格の高騰が波及する可能性が高くなった。ただ、給与所得が伸び悩む中、相次ぐ食料品の値上げが既に家計を直撃しており、各メーカーは難しい判断を迫られそうだ。

 鉄鋼大手が二○○八年度に調達する鉄鋼原料の価格は、石炭が前年度の三倍、鉄鉱石も65%上昇と高騰している。このため各社は大口取引先の自動車メーカーなどに一トン当たり約三万円の値上げを要請していたが、交渉は難航。

 JFEスチールを傘下に持つJFEホールディングスは、四月の二○○八年三月期決算発表時では見通しを示すのが難しいとして、○九年三月期の業績予想の公表を見送った。

鋼材価格10万円突破へ 鉄鋼大手とトヨタが最終調整

2008/05/15 中国新聞ニュ−ス

 新日本製鉄など鉄鋼大手各社とトヨタ自動車が、鋼材価格について一トン当たり二万円台の値上げをする方向で最終調整していることが十五日分かった。鋼材の平均価格は二十六年ぶりに過去最高を更新し、初めて十万円を突破する見通しだ。

 鉄鋼業界最大の取引先であるトヨタと合意すれば、ほかの自動車各社や造船、電機メーカーなども値上げを受け入れ、自動車や家電製品の価格引き上げにつながりそうだ。鉄鉱石や石炭など資源価格の高騰が最終製品に波及する構図が鮮明になる。

 鉄鋼大手が二〇〇八年度に調達する鉄鋼原料の石炭価格は前年度の三倍に高騰し、鉄鉱石価格も65%上昇。このため、各社は大口取引先である自動車メーカーなどに一トン当たり約三万円の値上げを要請していた。

 トヨタは満額の受け入れは拒否。しかし中国など新興国の自動車需要が拡大する中、鋼材を安定的に調達するため、一定の値上げを受け入れるもようだ。

 新日鉄の鋼材平均価格は現在、一トン当たり約八万円。これまでの最高だった一九八二年度の九万九千円を上回るのは確実だ。

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長も共同通信などのインタビューで、鋼材などの価格上昇を踏まえ日本市場でも自動車価格への転嫁に踏み切らざるを得ないとの見方を示していた。

新日鉄 好業績の象徴失速 09年3月期予想、40%の大幅減益

2008/04/26 FujiSankei Business i.

 戦後最長の景気拡大を牽引してきた好業績企業の象徴的存在だった新日本製鉄が、原料高の直撃を受け、大減速を余儀なくされる見通しとなった。25日に2008年3月期連結決算と合わせて発表した09年3月期予想によると、最終利益は前期比40・8%減の2100億円と6期ぶりの減益となる見込みだ。しかも難航している製品価格への転嫁を前提とした暫定予想で、値上げが進まなければ、さらに下振れするリスクがある。

 他の大手製造業でも原材高に加え、円高ショックで減益予想が相次いでおり、踊り場局面にある国内景気が、そのエンジンを失う恐れが出てきた。

 「あくまで収益の一時的な踊り場。需要は強く、持続的な成長は十分可能だ」

 25日の決算会見に臨んだ増田規一郎副社長は、業績悪化は原料高を受けた「異常事態」だと説明した。

 08年3月期は内外の旺盛な需要を背景に売上高が12・2%増の4兆8269億円、最終利益が1・1%増の3549億円となり、いずれも4期連続で過去最高を更新した。ただ、すでに経常利益は5・6%減と6期ぶりの減益。09年3月期は売上高が11・9%増の5兆4000億円と2けた増収にもかかわらず、最終利益は40・8%も落ち込むと予想する。

 最大の原因は、原料用石炭が3倍、鉄鉱石が65%もの値上げとなったことだ。主原料の7500億円に加え、海上運賃などで2500億円のコストアップがのしかかる。

 08年3月期は1650億円の原料コストアップに対し、製品値上げや高級品シフトで1100億円、生産増の量産効果で440億円、合理化効果で350億円の増益を達成し克服した。

 09年3月期は「3倍の1000億円以上のコスト改善に努める」(増田副社長)と、一段の合理化を図る考えだが、焦点は業績予想段階で暫定価格とせざるを得なかった値上げ交渉の行方だ。

 鉄鋼大手各社は、1トン当たり最低2万円程度の値上げを要請しているとみられるが、主力顧客の自動車メーカーは、「自動車価格への反映は困難」と強硬だ。造船業界も、受注契約時に船価を決める商習慣から、「大幅な値上げは受け入れられない」と反発する。値上げが進まなければ、赤字転落の可能性も否定できない。

 日本経済は大手製造業の業績拡大を牽引役に回復を続けてきた。08年3月期の上場企業の経常利益総額は何とか5期連続の最高益更新となる見込み。しかし、素材産業を代表する新日鉄だけでなく、組み立て輸出産業の雄のトヨタ自動車も円高ショックで減益予想が確実視されている。09年3月期は企業業績が減益へと転じる転換期となる可能性がある。

神戸製鋼、鋳鍛鋼の生産能力を増強---海運市場の需給が逼迫

2008年04月15日 Response

 神戸製鋼所は、舶用製品の需要に対応するため、兵庫県の高砂製作所の鋳鍛鋼工場で生産能力を増強すると発表した。新プレスラインを増設して鍛造の生産能力を増強するとともに、機械加工能力や製鋼 - 鋳造能力も増強する。総投資額は約300億円の見通し。

 同社は、船舶向け「低速ディーゼル機関用クランク軸」、「中速ディーゼル機関用クランク軸」での世界シェアが40%以上となっている。最近では、中国など新興国の経済発展で海運市場の需給が逼迫しており、新造船の建造需要も旺盛に推移している。

 主要造船国である、日本・韓国・中国の各造船所では、今後3 - 4年間程度の仕事量をすでに確保しており、船舶の主要部品である舶用クランク軸の需給も逼迫している。

 今回の能力増強は、これらの需要増に対応するため実施するもので、新たにプレスライン1ラインを増設し、鍛造能力を増強する。これにより同社のプレスは計3基となり、鍛造能力として月産1万トン体制を確立できる。

 また、クランク旋盤などの加工設備や、製鋼設備・鋳造設備・加熱炉・熱処理炉などの関連設備についても順次更新・増設する。

 今後、段階的に能力増強を実施、最終的には新プレスライン増設が完了する2010年4月時点で、低速ディーゼル機関用クランク軸生産本数については 2007年度比50%増の年間540本、中速ディーゼル機関用クランク軸生産本数は同40%増の年間3600本まで生産能力を引き上げる計画だ。

 新プレスラインの増設により、製品構成に合わせた最適なプレス機の選択が可能となり、原単位・生産性の向上によるものづくり競争力の強化にも結びつくとしている。《編集部》

JFEスチールと東国製鋼、ブラジルで製鉄所事業調査

2008/04/09 朝鮮日報JNS 東京=宮城英二通信員

 JFE スチールと韓国の東国製鋼は8日、ブラジル・セアラ州ペセン地区で製鉄所建設に向けた事業性調査を開始すると発表した。東国製鋼とブラジルの鉄鉱石生産大手バーレは既に高炉法によるスラブプロジェクトの事業性検討を進めているが、JFEスチールは東国製鋼とバーレの協力を得て、別途年産500万−600万トン規模の製鉄所建設に向けた事業性調査を実施する。

 JFEスチールは「事業性が確認できれば、東国製鋼とバーレの合意を前提に生産規模を拡張し、事業を共同で推進する」とした。新たに設立する事業会社はJFEスチールの連結子会社として運営する予定だ。

 JFEスチールが参入を検討するのは、▲高炉2基(年産各250万−300万トン)への投資▲港湾拡張などインフラ整備▲高炉の戦略的活用プランなど。

 JFEスチールは、世界有数の鉄鉱石産出国であるブラジルを有望視し、北米、南米をはじめ、日本、アジアへの輸出も含めたスラブ供給拠点としての製鉄所建設を検討してきた。

 これに先立ち、東国製鋼とバーレは昨年11月、同州で年産250万−300万トン規模の高炉建設で合意している。今年2月に現地法人「CSP」を設立し、具体的な事業検討に入った。両社はJFEスチールによる事業性調査が完了するまで、既存事業を予定通り推進し、早期に事業計画を具体化する方針だ。

 JFEスチールと東国製鋼は1999年から戦略的提携関係にある。

鉄鋼大手、豪州産石炭価格3倍に引き上げで合意

2008年04月09日 読売新聞 YOMIURI On-LINE

 新日本製鉄やJFEスチールなど国内鉄鋼大手は8日、英豪系資源大手BHPビリトンと2008年度に輸入する豪州産の石炭(原料炭)の価格を前年度に比べ約3倍の1トンあたり約300ドルに引き上げることで合意した。

 原料炭の値上げは3年ぶりで過去最高額となる。

 鉄鉱石に続く原料炭の大幅な値上がりを受け、鉄鋼各社が鋼材価格の引き上げに動くのは必至で、自動車や家電製品の価格上昇につながる可能性もある。

 日本の鉄鋼メーカーは06年度で7345万トンの原料炭を輸入し、6割を豪州産が占める。他の輸入先の原料炭も値上がりが必至で、鉄鋼業界全体で前年度より1兆5000億円のコスト増が見込まれるという。鉄鉱石を含む原料関連の負担増は業界全体で3兆円に上る見通しだ。

JFEがブラジルで製鉄所検討

2008.04.08 MSN産経新聞

 JFEスチールは8日、ブラジルのセアラ州ペセン地区で、鉄鉱石を還元する高炉方式による大規模製鉄所の事業化調査を行うと発表した。現地の資源メジャーであるヴァーレ(旧リオドセ)、提携関係にある韓国の鉄鋼大手、東国製鋼の2社と協力し、港湾などのインフラ設備や生産方法などについて調べる。スラブと呼ばれる鉄鋼母材年産500〜600万トン規模を想定。1年内をめどに結論を出す。建設への投資額は5000億円以上と想定される。

新日鉄、5年ぶり減益に 08年3月期、原材料高騰で

2008/03/06 中国新聞ニュ−ス

 新日本製鉄は六日、二〇〇八年三月期の連結業績予想を修正し、純利益は当初見込んだ増益から前期比1・2%減の三千四百七十億円と、五年ぶりに減益となると発表した。鉄スクラップなど原材料価格が予想以上に高騰しているためだ。

 JFEホールディングスや住友金属工業、神戸製鋼所も軒並み減益を予想。世界的な鉄鋼需要の拡大を背景に好調が続いてきた鉄鋼大手の業績に陰りが出てきた。

 記者会見した新日鉄の増田規一郎ますだ・きいちろう副社長は、〇九年三月期についても「(四月からの鉄鉱石価格の大幅引き上げを含め)鉄鋼業界全体で二兆円超の原材料コスト増が見込まれる。革命的な価格高騰だ」と危機感を表明、鋼材価格への転嫁に理解を求めた。ただ、自動車メーカーなど大口取引先は値上げに警戒感を示しており、厳しい収益環境が続きそうだ。

 〇八年三月期の売上高は前期比11・6%増の四兆八千億円と過去最高に達する見通し。自動車、造船など製造業向けに高級鋼材の販売が伸びるためだ。

 だが需要拡大に合わせて、増産に使う鉄スクラップの価格や鉄鉱石を運搬する船舶運賃などが想定以上に上昇。オーストラリアの炭鉱水害の影響で原料炭の市況も高騰し、コスト上昇分を製品価格に転嫁しきれず、収益が悪化した。経常利益も当初予想より四百億円縮小し6・3%減の五千六百億円に修正した。

鉄鋼大手方針 鋼板25%値上げ要請 バブル期並み最高値に

2008/02/23 FujiSankei Business i.

 新日本製鉄やJFEスチールなど鉄鋼大手は22日、大口取引先と直接契約する鋼板価格について、25%以上の大幅値上げを要請する方針を固めた。輸出向けなど堅調な需要を背景に、原料の鉄鉱石価格が65%上昇するなど原料費高騰を受けた措置。実現すれば、製品価格帯はバブル期並みの最高値となる。ただ、自動車メーカーなどは繰り返される値上げに反発姿勢を強めており、価格交渉は難航が予想される。

 値上げの対象となるのは、車体や家電などに幅広く使われる薄板製品。流通・卸を通じて販売する外販価格では、JFEと新日鉄が21日までに4月出荷分から1トン当たり2万円の値上げを通知。一律改定は2005年度の1万円上げ以来で、過去最大の上げ幅となる。来年度納入分をめぐり、大口取引先との個別交渉でも、同等以上の引き上げを目指すことにした。

 新日鉄の鋼材平均販売価格実績は、1982年のトン当たり9万9300円をピークに、02年には4万9700円まで下落。近年は原料高騰分の価格転嫁を重ね、07年度第3四半期は8万200円まで戻してきた。

 ただ、日本鉄鋼連盟の馬田一会長(JFEスチール社長)は、「日本の鋼材価格は世界でも低い」と指摘。自動車など長期契約の大口取引先向け製品は、研究開発投資の追加的なコストも伴うため、「店売り(外販)価格より安く、いびつな状態」と価格体系の“是正”に意欲を示す。

 鉄鉱石に続き、コークス原料の石炭価格も資源大手と厳しい交渉中で、鉄鋼側は「決着額次第ではさらなる値上げを求めざるを得ない」(鉄鋼大手幹部)としている。

自工会会長は応じない姿勢「鉄鋼業も努力を」

2008/02/23 FujiSankei Business i.

 鉄鋼と自動車メーカーの間で行われる鋼材値上げ交渉について、日本自動車工業会の張富士夫会長(トヨタ自動車会長)は22日の定例会見で、「鉄鋼メーカーも企業努力で影響を極小化してほしい」と述べ、自動車業界として大幅な値上げには応じられないとの考えを強調した。

 張会長は「鉄鋼の値上げは日本のあらゆる産業で影響が甚大だ」としたうえで、「国内自動車市場は販売が伸びず、厳しい状態だ」と説明。

 今後もコスト吸収の企業努力を続ける姿勢を示しつつも、「自動車メーカーとして、軽々にユーザーに価格転嫁を強いることはできない。(合理化による)コスト増の吸収にも限界がある」と語った。

ブラジルのヴァーレ、エクストラータ買収提示額引き上げ

2008年02月22日 ロイター

 [サンパウロ 21日 ロイター] ブラジルの鉄鉱石大手ヴァーレ(VALE5.SA: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.N: 株価, 企業情報, レポート)は、スイスの鉱山大手エクストラータ(XTA.L: 株価, 企業情報, レポート)に対する買収提示額を引き上げた。関係筋が21日明らかにした。

 ブラジル紙エスタド・ジ・サンパウロは、ヴァーレが1株当たりの買収価格を40ポンドから47ポンドへ引き上げたと報じており、同筋はこれを確認した。ただ、引き上げ後の具体的な買収価格についてはコメントを避けた。

 ロンドンの情報筋は、ヴァーレが買収条件を引き上げたとしたうえで、新たな買収価格のレンジについては依然として協議中だと強調した。

 別の関係筋は「1株当たり47ポンドと解釈できるような提案は非公式なものも含めて存在しない。価格については協議しているが、47ポンドに近くはない」と語った。

 ヴァーレはコメントを控えている。

 また、協議に近い別の筋は、ヴァーレのアグネリ最高経営責任者(CEO)と財務担当ディレクター、ファビオ・バルボサ氏がロンドンにあるエクストラータのオフィスで、引き続き交渉を行っていると述べた。

新日本製鐵 伯ヴァーレと鉄鉱石値上げ妥結。原料調達コスト高騰で来09年3月期を減額

2008年02月21日 東洋経済オンライン

 新日本製鉄など国内鉄鋼大手は、ブラジル資源大手ヴァーレ(旧リオドセ)との間で2008年度の鉄鉱石購入価格を決定した。値上がり率は前期比65%増で05年度(同71.5%増)に次ぐ過去2番目の水準。値上がり額としては過去最高となる。

 日本鉄鋼連盟の馬田一会長(JFEスチール社長)は、19日の定例会見で、仮にヴァーレ以外の資源メジャーとも同様の条件で鉄鉱石価格が決定した場合、「業界全体では鉄鉱石だけで前期比5000億円のコストアップになる」と言及。原料炭など他の鉄鋼原料も価格上昇が濃厚で、「(コスト削減などの自助)努力だけではとても補えるものではない」と製品への価格転嫁を示唆した。また、鋼材の値上げ幅についても「新聞で報道されているくらいの額(1トンあたり2万円)は必要だろう」との見方を示した。

 とはいえ、製品転嫁もそれほど容易ではない。トヨタ自動車<7203>の渡辺捷昭社長は「全産業でコスト低減に努めるべき。鉄鋼メーカーもさらに努力する余地があるだろう」と鋼材値上げをけん制。今期に2年ぶりの鋼板値上げをのんだ自動車業界が、すんなりと首を縦に振ることはなさそうだ。

 現在も本格的な交渉には至っていないという原料炭の価格交渉も大きな懸念材料だ。豪州は1月の豪雨によって主要鉱山が冠水し、操業がストップしている。中国でも、大雪の影響で電力不足が深刻化。発電用石炭の確保を優先し、石炭の輸出は停止されているという。JFEを除く日本の高炉4社は、緊急措置として米国からの石炭調達を決定するなど対応に追われている。ある業界関係者は「原料炭を取り巻く現状が、価格が前期比2,3倍に急騰した05年の状況と酷似している」と不安をのぞかせる。

 加えて、08年度の鉄鉱石価格について交渉がまとまったのはヴァーレからの調達分だけ。日本に輸入される鉄鉱石の6割を占める豪州のBHPビリトン、リオ・ティントとの間では、まだ交渉が妥結していない。鉄鉱石の価格交渉においては大手同士が最初に決めた価格に他社も追随するのが慣例となっているが、今回の交渉ではリオ・ティントが「ブラジルと豪州の輸送費の差を考慮するべき」と主張し、65%以上の値上げを要請するなど、これまで以上に不透明な先行きとなっている。

 「四季報速報」では、ひとまず上記の状況を鑑み、来09年3月期の営業利益予想を前回予想比350億円減の5850億円に減額。後日の個別取材を経て、改めて来期業績予想を更新する可能性もある。【猪澤 顕明記者】

鉄鉱石争奪、激化の一途 鉱山寡占化が拍車

2008年02月19日 asahi.com

 新日本製鉄やJFEスチールなど日本の鉄鋼大手が18日、鉄鉱石の08年度の調達価格について、07年度に比べて65%もの値上げを受け入れた。背景には、鉱山の寡占化や中国との獲得競争がある。鉄鋼各社は鋼材価格を値上げする方針。製造業では、建機メーカーが製品価格への転嫁を開始した。

■石炭も値上げ必至

 「厳しいですね」。トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は同日の新型クラウンの発表会で、鉄鉱石の値上げについて、こう述べた。「コストアップ要因を、そのまま価格には転嫁できない」とし、「鉄鋼メーカーにさらに企業努力を進めて頂くこともある」と、鋼材値上げへの波及を牽制(けんせい)した。

 合意は鉄鉱石最大手のバーレ(ブラジル、旧リオドセ)との間で成立、1トンあたり約50ドルから約80ドルに引き上げる。値上げは6年連続で、この間約5倍に。上げ幅も過去最高だった05年度の2倍近く、これが他の鉄鉱石大手との交渉でも指標になる。ある鉄鋼大手幹部は「(鉄鉱石を調達し)鋼材の供給責任を果たすのが、われわれの責任」と苦々しげに話した。

 鉄鉱石の需要は中国を中心に急拡大。07年の世界の鉄鉱石貿易量(海上のみ)は00年から8割も増えたが、輸入の増加分の9割を中国が占める。世界一だった日本の輸入量を03年に上回り、獲得競争を激化させている。

 鉱山の寡占の影響も大きい。鉄鉱石の世界シェア(海上貿易量ベース)はバーレが33%を占め、2位リオ・ティント(英豪)、3位BHPビリトン(英豪)の3社で計71%。日本への供給だと85%だ。BHPはリオ・ティントに買収を提案中で寡占はさらに進みかねないが、欧州などの独禁当局の方針は不透明だ。

 鉄鉱石など資源の販売価格の上昇が、ライバルを買収する資金を生み出す。買収できれば競争相手が減り、値上げがさらにしやすくなる構図だ。

 一方の鉄鋼は、世界2位の新日鉄や3位のJFEでも世界シェアは3%に満たない。新日鉄は4位のポスコ(韓国、シェア約2.5%)と共同で交渉に臨んだが、鉄鉱石需要の伸びと鉱山の寡占に屈した。

 鉄鋼原料の高騰は鉄鉱石だけではない。酸化鉄である鉄鉱石から酸素を除くのに使う石炭(原料炭)も06、07年度は値下がりしたが、08年度の値上げは必至。鉱山の寡占に加え、有数の産出国の中国が来年にも純輸入国に転じる。

 鉄鋼大手は「石炭の値上げ率は鉄鉱石より大きくなるかも」(幹部)と警戒。マンガンなどの副原料も合わせ、日本の鉄鋼業界のコスト負担増は1兆円超の見通しだ。

 コスト増について、鉄鋼大手は鋼材の販売価格に転嫁したい考え。現在の鋼材の平均販売価格は1トン8万円程度だが、2割ほど値上げする方針。浸透すればバブル期を上回り、過去最高の82年度(9万9000円)に迫る。 今後、自動車や家電メーカーとの鋼材価格の交渉を本格化させる。

鉄鉱石値上げ:需要と寡占化が資源メジャーの交渉力強める

2008年02月19日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 新日本製鉄など国内鉄鋼大手が、鉄鉱石納入価格の大幅値上げを受け入れたのは、逼迫(ひっぱく)する鉄鋼需要を追い風に交渉力を強める資源メジャーに対し、劣勢を打開する有効策が見いだせないためだ。

 世界の粗鋼生産は、02年の約9億トンから07年は13億4000万トンに急増した。原料となる鉄鉱石の需要が世界規模で高まったため、長期契約分だけでは賄えない中国鉄鋼メーカーは高値で鉄鉱石を買い付けている。その結果、07年下期のインド産鉄鉱石のスポット価格は1トン当たり140ドル(約1万5000円)と、06年平均の2倍以上にも上昇した。スポット価格は長期契約の価格にも影響する。

 しかも、鉄鉱石の世界シェアは、ブラジルのヴァーレと、英豪大手のBHPビリトン、リオ・ティントの資源メジャー3社の合計で78%(06年海上輸送ベース)を占める。BHPビリトンがリオ・ティントに買収提案するなど、資源メジャーの寡占化は加速している。この寡占化が、資源メジャーの価格交渉力の源泉だ。

 鉄鉱石の買い手の鉄鋼メーカーの側でも世界的な業界再編が起こっているが、新日鉄の3倍の粗鋼生産を誇る最大手のアルセロール・ミタルでも、世界シェアは10%程度。資源メジャーと比べれば、交渉力に劣る。世界2位で国内最大手の新日鉄は世界4位の韓国ポスコと共同して鉄鉱石で最大のシェアを持つヴァーレと価格交渉したが、大幅値上げを阻止できなかった。【小島昇】

リオ・ティント、鉄鉱石値上げ要求

2008/02/19 NIKKEI NeT

 【ロンドン=清水泰雅】資源大手の英豪リオ・ティントは18日、2008年度の鉄鉱石価格交渉で需要家の鉄鋼メーカーに07年度よりも高値を求める考えを明らかにした。ブラジル資源大手ヴァーレ(旧リオドセ)は07年度比65%の値上げで新日本製鉄などと合意したが、リオはこの水準に不満を表明。今後の価格交渉が長引く可能性が出てきた。

 オーストラリアで採掘する鉄鉱石は、ブラジルなどの鉄鉱石に比べ、日本などアジアの需要地に近いため、運賃が安く済む。リオは「輸送費の差を考慮すれば、豪州産はより高値でも受け入れられる」と判断、価格の引き上げを要求している。資源業界では最初に合意した価格に他社が追随するのが慣行だったが、リオは強気の姿勢を貫く方針とみられる。

鉄鉱石65%値上げ、過去最大幅 価格転嫁必至

2008.02.18 MSN産経新聞

 新日本製鉄やJFEスチールなど鉄鋼大手各社は18日までに、鉄鋼原料として仕入れる2008年度の鉄鉱石について、供給元の資源最大手ヴァーレ(旧リオドセ、ブラジル)と前年度比65%の値上げで合意した。1トン当たりの価格は80ドル弱となり、07年度と比べ約30ドル上昇する。鉄鉱石の値上げは6年連続。

 今回の値上げ率65%は05年度に同じく国内鉄鋼各社とヴァーレで合意した71・5%に次ぐ過去2位。値上げ対象となる鉄鉱石は、ブラジル産粉状鉄鉱石(粉鉱石)。ただ今回の値上げ合意によって、日本の輸入鉄鉱石の6割を占める豪州産などにも波及することが予想される。

 鉄鋼各社が値上げを受け入れた背景には、高騰する足元の鉄鉱石市況がある。インドから中国向けなどの単発取引(スポット)価格は今年に入り、日本の鉄鋼メーカーが結ぶ長期契約価格に比べて3倍(約140ドル)に高騰。JFEスチールの馬田一社長は今月6日、日本外国特派員協会で講演し、「スポット価格と長期契約価格の開きが大きく、資源各社との交渉は厳しい状況」と説明した。

 一方、今回の妥結額を「想定(70〜80%)より低い」(商社幹部)と見る向きもある。世界3大資源メジャーの一角であるヴァーレ。寡占化を狙う英豪BHPビリトンが同リオ・ティントに対して買収を仕掛けるのを横目に、市場予想を下回る値上げで妥結したのは、資源メジャーとして主導権を握りたいとの思惑が透けて見える。

 08年度の鉄鉱石値上げによる国内鉄鋼メーカーの年間コスト負担増は年間約5000億円。さらに、国内鉄鋼メーカーが7割弱を頼る豪州の原料炭は、水害による供給減で、大幅な値上げに向け交渉中だ。

 鋼材平均価格は現在、1トン当たり約8万円と、5年前の底値から約3万円回復した。だが、続く原料価格高騰に「一企業の努力だけ吸収できるものでない」(三村明夫・新日鉄社長)と、さらなる値上げも示唆する。

 鉄鋼各社による自動車や家電メーカーなどへの大幅な価格転嫁要請の機運が高まりそうだ。

鉄鉱石値上げ:鋼材価格の交渉、製品価格への転嫁が焦点に

2008年02月18日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 新日本製鉄などが18日、鉄鉱石購入価格の約65%値上げを受け入れ、販売する鋼材価格の引き上げ交渉に入ることになり、鋼材を使用する自動車や家電などの価格に波及するかが、今後の焦点となる。自動車・電機各社は製品への価格転嫁に慎重で鉄鋼メーカーとの交渉には厳しい姿勢で臨む方針だ。ただ、消費者に価格転嫁しないと、企業側の負担が増し、賃金抑制などに跳ね返る恐れもある。【谷川貴史、森山知実】

 18日合意したブラジル産に続いて豪州産も65%の値上げで決着すれば、日本の鉄鋼業界全体では対前年比で約5000億円の負担増になる見通し。鋼材の平均価格は現在1トン約7万9000円だが、鉄鋼各社は4月以降に2万円程度引き上げて10万円台にしたい考えだ。

 だが、トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は18日、「(鋼材価格引き上げを)価格に転嫁するのは非常に難しい。原価低減の努力をする余地があり、鉄鋼メーカーとも話し合っていきたい」と語った。

 07年の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は25年ぶりの低水準に落ち込んでおり、ここで値上げすると車離れに拍車をかけかねない。日産自動車も「ガソリン価格も値上がりし、とても転嫁できる状況ではない」と、鉄鋼メーカー側に応分の負担を求める方針だ。

 電機メーカーも量販店での価格競争が厳しく、鋼材を使う冷蔵庫や洗濯機などの製品価格にはおいそれと転嫁できない。「製品の設計段階で小型・軽量化を進める」(三菱電機)と、コスト削減を進める構えだ。

 自動車・電機各社はこれまで原材料費の高騰を部品統合などの原価低減で吸収してきた。トヨタの07年3月期連結決算は原価低減で営業利益を1000億円押し上げた。だが、原材料費高騰が長引き、原価低減効果は03年3月期の3分の1に低下し、コスト削減は難しさを増している。

 今春闘でも、経営側は、景気減速懸念に加え、原材料費の高騰も理由に賃上げに慎重な姿勢を示している。一段のコスト削減は企業収益を圧迫し、最終的に賃金抑制につながりかねない。

 一方、今回の鉄鉱石の値上げが大幅なだけに、メーカーのコスト削減が限界に達すると、自動車や冷蔵庫・洗濯機といった家電製品の値上げにつながる可能性もある。食品や日用品での値上げが相次ぐ中、消費者の買い控えを加速し、消費を冷え込ませかねない。

資源大手リオ・ティント、前期純利益1%減・買収費用かさむ

2008/02/13 NIKKEI NeT

 【ロンドン=清水泰雅】資源大手の英豪リオ・ティントが13日に発表した2007年12月期の純利益は前の期比1.7%減の73億1200万ドル(約 7800億円)だった。カナダのアルミ大手アルキャンの買収に伴う一時的な費用などがかさんだ。ただこれらを除いたベースでは、74億4300万ドルに達し、資源高を追い風に過去最高を更新した。売上高は同31.8%増の335億1800万ドルだった。

 部門別売上高では鉄鉱石部門が同26.8%増の87億9900万ドルに達したほか、銅部門も同20.1%増の85億100万ドルだった。

 また、同じ資源大手の英豪BHPビリトンからの買収提案については、「BHPは条件を引き上げてきたが、まだリオの資産と将来性をきちんと評価していない」(ポール・スキナー会長)と改めて受け入れを拒む考えを表明した。

ライバル会社に15兆円買収提案 英豪資源最大手のBHP

2008年02月06日  中国新聞ニュース

 【シドニー6日共同】英国オーストラリア系の世界最大の資源会社BHPビリトンは6日、同じ英オーストラリア系の資源大手リオ・ティントを1474億ドル(約15兆7000億円)で買収する計画を発表した。

 統合が実現すれば史上2番目の買収規模で、日本鉄鋼連盟によると、鉄鉱石で約40%の世界シェアを握る巨大企業が誕生することになる。日本や中国などの鉄鋼大手などが「寡占化で健全な価格決定メカニズムが機能しなくなる」と反対している。

 BHPビリトンは昨年11月、リオの1株に対しBHP株3株の交換を条件に買収案を提示した。リオがこの条件を「過小評価」として拒否したため、交換比率をBHP株3・4株に増やして正式に買収案を提示した。

 リオは同日「提案を慎重に検討する」との声明を発表した。

M&Aで競争力強化を 新日鉄の宗岡次期社長

2008年01月17日  中国新聞ニュース

 新日本製鉄の次期社長に決まった宗岡正二副社長(61)は17日午後、東京都内の本社で記者会見し、「友好的で経済的に意味のあるM&A(企業の合併・買収)ならソフト、ハードともあり得る」と述べ、買収などによる競争力強化に意欲を示した。

 宗岡氏は、鉄鋼世界最大手アルセロール・ミタル(ルクセンブルク)の年間粗鋼生産量が約1億2000万トンに達し、韓国のポスコや中国の大手メーカーも5000万トンクラスを目指していると指摘。

 その上で「新日鉄は4000万トンプラスアルファを目標に掲げているが、アルファは100万−200万トンではない(もっと多い)イメージで考えたい」と話し、世界規模で鉄鋼業界の競争が激化する中、規模拡大は不可欠との考えを強調した。

 会見に同席した三村明夫社長(67)は「今までは会社の仕事8割、外向けが2割だったと思う。新日鉄は国家の発展とともにあり、社外の仕事も重要だ」と語り、会長就任後は、副会長を務める日本経団連などの社外活動を強化する意向を明らかにした。

【07年回顧…鉄鋼】「3社連合」外資牽制…海外工場増強

2007/12/26 FujiSankei Business i.

 今年の鉄鋼業界は、製造業など内外の需要増に支えられた。特に、新日本製鉄、JFEスチールなど高炉4社は、高級鋼を中心に増産が続き、2007年9月中間決算では、そろって前年同期比10%超の増収を果たした。この勢いに乗り、海外での生産増強を次々に打ち出すなど、華々しいニュースが目立った。

               ◇

 新日鉄は、持分法子会社のブラジル・ウジミナスが南北アメリカ大陸で最大になる5000立方メートル級の高炉の新設計画を発表。新日鉄はこのほかブラジル、中国、米国でも、JFEは中国、住友金属工業はブラジルとベトナム、神戸製鋼所が中国と米国で、それぞれ自動車用鋼板などの新拠点や設備増強に関する計画を次々に発表した。

 国内では、新日鉄と住金、神鋼による「3社連合」の結束が一層強まった。10月、これまで行っていた住金和歌山製鉄所で生産する半製品の共通活用を、新高炉が稼働する12年以降、さらに増やすことで合意。12月には相互出資の拡大を発表した。これにより、新日鉄は住金の筆頭株主になる見通しだ。

 こうした取り組みは、欧州の名門、アルセロールを昨年買収し、粗鋼生産1億2000万トンと世界最大の鉄鋼メーカーになったアルセロール・ミタルの動きを牽制(けんせい)する「強い対抗軸」(新日鉄の三村明夫社長)として注目を集めた。

 新日鉄は7月、欧州での自動車鋼板製造の協力など、旧アルセロール時代に結んだ提携内容を、ミタルとも継続していくことで合意した。両社間で一応の“友好”関係が確立され、買収の脅威が当面薄らいだ意味では、今年最大のニュースといえそうだ。

                ◇

 鉄鋼業界にとって、もう一つの大きなテーマは「環境」だった。鉄源リサイクル、加熱炉の省エネ化など、各社が二酸化炭素(CO2)削減に取り組んだ。また、国際鉄鋼協会(IISI)などが強く主張する、業界別に連携して排出量を減らす「セクトラル・アプローチ」が、削減策の一つとして国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)で「ポスト京都議定書」の工程表に盛り込まれたのは、業界にとって朗報だった。

 国内では、6月の建築基準法改正で住宅などの着工件数の激減。この影響で今年度、業界全体の1割に当たる年間200万トンの建築鋼材の減産が見込まれている。

 高炉各社は減産分を高級鋼生産に回すが、汎用品中心の電炉各社は、原料のスクラップ価格の高騰も重なり、3割以上の減産を強いられた。

 高炉メーカーも鉄鉱石や石炭のほか、副原料、海上運賃に至るコスト上昇に悲鳴を上げた。11月には資源メジャー、BHPビリトンのリオ・ティント買収案も浮上。来年もコスト高が続くことを予感させる年の瀬となっている。(中川真)

茶かすが製鉄燃料に変身 近畿大が3月から製造へ

2007年12月18日  中国新聞ニュース

 近畿大(大阪府東大阪市)は18日、二酸化炭素(CO2)の排出を抑えるために、茶かすやコーヒーかすを使った新しい製鉄燃料「バイオコークス」を来年3月から本格的に製造すると発表した。

 北海道恵庭市の近畿大資源再生研究所にバイオコークスを量産できる装置を設置。地球温暖化対策として、これまで使われている製鉄燃料「石炭コークス」の代用品を目指す。2010年の実用化の予定。

 バイオコークスは茶かすなど植物性廃棄物を原料とした固形燃料。原料となる植物がCO2を吸収するために、燃やしたときに排出するCO2と「相殺」される。飲料メーカーにとっても、茶かすやコーヒーかすを廃棄する費用がかからなくなるメリットがある。

 近畿大理工学部の井田民男講師らは、植物性廃棄物を粉砕して圧縮したバイオコークスをつくることに成功。

鉄鋼2強、鉄鉱石専用船を大型化 運賃高騰で効率輸送

2007/12/08 FujiSankei Business i.

 ■新日鉄は世界最大級

 新日本製鉄、JFEスチールの国内鉄鋼“2強”が、鉄鉱石輸送船の大型化に踏み出した。新日鉄は7日、積載重量32万トンと世界最大級の鉄鉱石専用船の引き渡しを受け、さらに来年から2010年にかけて30万トン前後の専用船3隻を建造する。JEFも来年後半に、30万トン級の鉄鉱石輸送船を導入する計画だ。

 鉄鋼2強が鉄鉱石輸送船の大型化を進める背景には、中国など新興国の需要増や原油高による海上運賃の急騰がある。運賃などの国際指標「バルチック海運指数」は、1年前の4200(1985年=1000)から3倍の12000に上昇。主産地のブラジルやオーストラリアからの運賃である1日当たりの用船料も、右肩上がりだ。

 さらに、旺盛な海運需要から入港の順番待ちも増え、発生する滞船料もコスト増につながる。このため1度に多くの原料を効率的に調達しようと、輸送船大型化に力を入れている。

 ただ、30万トン級の鉱石船が着岸するには20メートル以上の水深が必要。積み出し側はブラジル、国内では新日鉄大分の原料岸壁しかない。新日鉄は大分で鉄鉱石の一部を降ろして船を軽くし、その後、他の拠点に運搬する。JFEは積み荷を一括してフィリピンに運び、現地子会社でコークスなどを混ぜて焼き固める焼結を済ませた後、他の船で日本に輸送する。

 7日、三井造船千葉事業所で開かれた世界最大級の専用船「BRASIL MARU(ぶらじる丸)」(全長340メートル、32万トン)の命名・引き渡し式で、船名命名者にもなった新日鉄の三村明夫社長は「大型船の長期契約により、安定的な効率輸送が可能になる」と強調した。

 新日鉄は今回、商船三井と契約し、ブラジルから鉄鉱石を20年以上にわたり運搬する。来年夏就航する2隻目の同型船とも長期契約し、鉄鉱石の調達体制を強化する。

 船名のぶらじる丸は、旧海軍に徴用され沈没した初代(建造1939年)、南米移民船として活躍した2代目(同54年)を引き継いだ。新船は片道36日でブラジルと大分製鉄所などをインド洋周りで結ぶ。年間輸送量は、新日鉄がブラジルから輸入する鉄鉱石の1割弱の約140万トン。

「鉄鋼王ミタル」が「鉄鋼プリンセス」から東方集団株取得

2007/11/09 FujiSankei Business i.

 鉄鋼王、ラクシュミ・ミタル氏率いる世界最大手のアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)は8日までに、河北省に年産362万トンの製鉄所を保有している鉄鋼メーカー、中国東方集団株28%を6億4700万ドル(約730億円)で取得した。第2位株主となる。

 英紙フィナンシャル・タイムズなどによるとミタルは2005年に年産850万トンの湖南華菱管線(湖南省)株の36%余りを取得するなど中国でM&A(合併・買収)攻勢をかけていたが、その後中国政府が鉄鋼メーカーの外資規制を強化。ミタルが求めた同国8位、莱蕪鋼鉄集団の株式取得の認可は凍結されている。ミタルは香港に拠点を置く中国東方集団への経営参加で中国での事業拡大にはずみをつける狙いとみられる。

 中国東方株は鉄鋼業界で活躍した両親を持ち「中国の鉄鋼プリンセス」と呼ばれる女性富豪、ダイアナ・チェン氏から取得した。チェン氏は1990年代に娘と香港にパイオニア・アイアン&スチールを設立。今夏、中国東方の経営権取得を狙い株式公開買い付け(TOB)を実施したが、過半数の取得に失敗していた。

自動車鋼板生産を5割増強 新日鉄と宝鋼、ミタル

2007年11月02日  中国新聞ニュース

 新日本製鉄と中国鉄鋼最大手の宝鋼集団は2日、両社と世界鉄鋼最大手のアルセロール・ミタルが共同出資する上海の自動車用鋼板製造会社で新たな設備を2010年に稼働させ、生産能力を5割増強することで合意した、と発表した。投資額は数百億円とみられる。

 中国で自動車生産が急拡大する中、日系自動車メーカー向けの高級鋼板の供給体制を強化し、中国市場で5割超を占めるシェアを維持するのが狙いだ。新日鉄と宝鋼は、製鉄所から出る粉じんから鉄鋼原料をリサイクルする合弁事業の実施も検討する。

 千葉県木更津市のホテルで記者会見した新日鉄の三村明夫社長は「世界全体の二酸化炭素発生減につながるような事業も共同でできればいい」と述べ、提携をさらに拡大させる考えを示した。

 会見に同席した宝鋼の徐楽江・董事長(会長)も、宝鋼が海外市場で株式上場を達成した後、「株式の持ち合いを要請したい」と語り、両社の資本提携に意欲を見せた。

新日鉄、中間最終利益を上方修正 1円増配

2007/09/06 The Sankei Shimbun WEB-site

 新日本製鉄は6日、平成19年9月中間連結決算の最終利益が前年同期比3.6%増の1700億円になるとの見通しを発表した。これまでの予想の1600億円から上方修正した。1株当たりの中間配当金は、前年同期よりも1円増やし5円にする。

 自動車、造船向けの鋼材需要が堅調だったことに加え、経費削減やグループ会社の収益拡大も増益要因となった。20年3月期の最終利益予想も、これまでの3500億円から、前期比4.0%増の3650億円に上方修正した。

 記者会見した増田規一郎副社長は、原油や原材料の価格上昇への懸念を指摘。「自助努力はするが、並行して製品価格の改定も考えたい」と話し、鋼材値上げを進める考えを示した。

低級鉱石利用に活路 日韓製鉄大手、本格活用へ新技術

2007/08/17 FujiSankei Business i.

 中国を中心とした需要拡大で鉄鉱石の価格が急騰し、高品質の鉱石が品薄状態にあることを踏まえ、かつては捨てられていた鉄分の少ない鉄鉱石を利用する動きが本格化している。新日本製鉄は鉱石の品質を改良する技術を確立、韓国ポスコと神戸製鋼所は高炉に代わる新たな製鉄法をそれぞれ実用化した。低品位の鉱石をめぐる利用技術が鉄鋼メーカー浮沈のカギを握る可能性もありそうだ。

 鉄鉱石の埋蔵量は全世界で約1500億トンに上るが、良質鉱石は2割程度しかない。各社は劣質鉱石を混ぜて使っているが、良質な鉱石の割合は年々減っているのが実情だ。

 鉄鉱石は高炉で製鉄する場合、一定の大きさに焼き固めた「焼結鉱」に加工する必要があるが、低級鉱石は粘結成分が少なく固まりにくい。新日鉄の八幡製鉄所は、生石灰と有機溶剤を加えることで粘結力を高めて焼結鉱を作る技術を確立し、数年後にはすべて劣質鉱石に切り替える予定。この方法を他の製鉄所に広げることも検討している。

 これに対して神戸製鋼は、劣質鉱石を焼結鉱に加工せず、そのまま溶かす新製鉄炉の実用化にこぎつけ、米国の鉱山会社と合弁建設に合意した。新炉は生産単位当たりの建設費が高炉の約半分、二酸化炭素(CO2)排出量は約2割少ない。大型化が難しく年産能力は50万トンレベルが限界だが、途上国や鉱山地域での普及が期待される。

 ポスコは、日本での研究が中断されていた流動還元炉という新方式の製鉄炉を約1400億円かけて建設した。劣質鉱石の純度を徐々に高める仕組みで、神戸製鋼と同じく鉱石をそのまま使う。年産能力は150万トンで高炉の半分程度だが、能力当たりの建設費が2割安く、高炉に代わる次世代の製鉄炉と位置付けている。

新日鉄系、ブラジルに高炉2本増設へ ミッタルに対抗

2007年08月09日 asahi.com

 鉄鋼業界世界2位の新日本製鉄は9日、グループ会社でブラジル最大手のウジミナスが2010年代前半、最新鋭の大型高炉を2本増設すると発表した。約1兆円を投じ、世界最大手のアルセロール・ミッタル(AM)に対抗、同社が主導権を握る欧米市場への輸出も視野に入れる。

 新高炉の1本目は、年間の粗鋼生産能力が220万トンで、11年に同国ミナスジェライス州で稼働させる。2本目は300万トンで、11〜15年に同州かサンパウロ州で稼働させる。北米も含めた米州で最大規模の高炉で、ウジミナスの粗鋼生産量は1.5倍になる。新日鉄は技術者を送り込む。

 ミナスジェライス州では、高炉などで造った鋼板を自動車用に加工するラインも11年までに増設し、年産能力を2倍強の約90万トンに増強する。ブラジルは鉄鉱石を安定調達できる上、経済発展に伴い日系自動車メーカーの進出が相次ぐ。

新日鉄・ミッタルが新たに提携、自動車用鋼板で技術供与

2007年07月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 新日本製鉄は13日、世界鉄鋼首位のアルセロール・ミッタル(AM、ルクセンブルク)と、自動車用鋼板の技術供与に関する新たな提携契約を結ぶことで基本合意したと発表した。

 両社は、米国で行っている自動車用鋼板の合弁生産を拡大する方針も確認し、広範な協力関係を築く。

 AMは昨年7月、ミッタルがアルセロールを買収して誕生した。新日鉄は買収前の旧アルセロールと、技術を相互供与する契約を結んでいた。これを引き継ぐために、AMと契約を結び直す。新日鉄の三村明夫社長とAMのラクシュミ・ミッタル会長がニューヨーク市内で現地時間の12日に会談し、覚書を交わした。

 欧州に進出した日系自動車メーカーに供給する鋼板について、新日鉄がAMに技術供与する。一方、アジアに進出した欧州自動車メーカー向けの鋼板ではAMが新日鉄に技術供与する。

自動車鋼板を5%値上げ 鉄鋼大手とトヨタ合意

2007年06月16日 中国新聞ニュース

 新日本製鉄、JFEスチールなど鉄鋼大手各社とトヨタ自動車が、自動車用鋼板の価格を約5%引き上げることで合意したことが、16日分かった。値上げは2年ぶり。鉄鉱石やニッケルなど鋼材の原料価格の上昇が続いていることを反映した。ガラスなど他の素材価格の交渉にも影響を与える可能性がある。

 自動車の販売競争は厳しく、トヨタが値上げ分を販売価格に転嫁することは難しいとみられ、収益の減少要因となりそうだ。

 値上げに合意したのは、さび止めのめっきをした自動車用の高級薄板。値上げ幅は1トン当たり5000−7000円程度とみられる。自動車などの部品用に強度を高めた特殊鋼の値段も約10%引き上げる。

 鉄鋼各社は2005年まで3年連続で価格を引き上げた。トヨタは昨年、鉄鋼メーカーの業績が好調なことから価格据え置きを主張し、鉄鋼側の値上げ要請に応じなかった。

鉄鋼輸出額が最高 4年連続 韓国・中国向け牽引 06年度

2007/05/03 FujiSankei Business i.

 日本鉄鋼連盟が2日発表した2006年度の鉄鋼輸出実績概況によると、輸出総額は前年度比12・0%増の332億5700万ドルと、4年連続で過去最高を更新した。韓国、中国向けが大幅に増加したのが要因。輸出総量は12・0%増の3591万トンで1976年度、02年度に次ぐ3番目の高い水準だった。

 輸出先トップは、造船向け鉄鋼需要が旺盛な韓国で、15・4%増の892万トン。2位は経済成長が続く中国で、15・4%増の640万トンだった。

 米国向けは21・6%増の196万トン。日米鉄鋼摩擦の最中だった98年度は637万トンだったが、貿易制裁措置などにより03年度には116万トンまで減少していた。

鉄鋼3社、純利益が最高に 販売増や価格転嫁で

2007年04月27日 西日本新聞

 鉄鋼大手4社の2007年3月期連結決算が27日、出そろった。純利益は新日本製鉄、神戸製鋼所、住友金属工業の3社が過去最高で、JFEホールディングスも過去2番目の高水準だった。新日鉄、住金の最高更新は3年連続。

 自動車や造船など、製造業向けの鉄鋼製品の需要が堅調だったことが主な要因。日本鉄鋼連盟によると、07年3月期の業界全体の原料費は、亜鉛などの価格高騰で前期比約7000億円上昇したが、各社とも販売増や製品への価格転嫁が進み、ほぼ吸収した形だ。

 新日鉄の売上高は前期比10・1%増の4兆3021億円、純利益は2・1%増の3511億円。油田開発に使われるシームレス鋼管が好調な住金は、売上高が3・2%増の1兆6027億円、純利益が2・5%増の2267億円だった。

2月の粗鋼生産、3.6%増 過去2番目の高水準

2007/03/19 The Sankei Shimbun WEB-site

 日本鉄鋼連盟が19日発表した2月の粗鋼生産は、前年同月比3.6%増の920万トンと、9カ月連続で増加した。2月としては昭和55年に次ぐ過去2番目の高水準。

 自動車などの製造業や建築業向けの鉄鋼製品の国内需要が旺盛だったほか、輸出も好調だった。

 鋼種別では、幅広い用途に使われる普通鋼が2.8%増の707万4000トン、自動車向けに強度を高めるなどした特殊鋼は6.6%増の212万6000トンだった。

粗鋼生産量が2年ぶり増加

2007/03/03 中国新聞地域ニュース

 中国地方の2006年の粗鋼生産量は2800万8000トンで前年を5.1%上回り、2年ぶりに増加した。中国経済産業局がまとめた。

自動車や造船など向けの高級鋼材の需要が堅調で、04年に次ぐ過去2番目の高水準となった。

中国地方の粗鋼生産量は04年まで3年連続で過去最高を記録。中国の鉄鋼生産能力の拡大で汎用品の価格が低下したのを受け、日本の鉄鋼各社が減産した05年は減少したが、06年は再び増加に転じた。

インドの鉄鋼大手、タタ製鉄が英蘭コーラスを買収

2007/01/31 NIKKEI NeT

 【ロンドン=清水泰雅】インド鉄鋼大手のタタ製鉄が欧州鉄鋼大手の英蘭コーラスを買収することが31日未明に決まった。負債を含む買収総額は約70億ポンド(1兆6700億円)。ブラジルの鉄鋼大手CSNと30日に入札を実施し、タタ製鉄が競り勝った。買収額はタタ製鉄とコーラスが当初合意していた51億ポンドを大きく上回り、タタ製鉄にとっては負担が膨らむ。

 入札ではタタ製鉄が一株当たり6.08ポンドを提示し、CSNの6.03ポンドを上回った。入札結果を受け、コーラスの経営陣は買収相手としてタタ製鉄を推薦し、3―4週間後の臨時株主総会で正式に決まる見通しだ。

 タタ製鉄は昨年10月にコーラス買収でいったん合意していたが、11月にCSNが対抗買収に乗り出し、入札で買収相手を決めることになっていた。

 2005年の世界生産ランキングではタタ製鉄が50位前後で、コーラスは8位。新興のタタ製鉄がコーラス買収を決めたことで、世界で6位の鉄鋼メーカーが誕生する。

海運・商社、鉄鉱石輸入量が過去最高 日本企業も対応

2007/01/24 FujiSankei Business i.

 世界最大の粗鋼生産を誇る中国。粗鋼生産に不可欠な鉄鉱石輸入量は2006年は前年比18・1%増の3億2500万トン前後と過去最高を更新した。こうした需要拡大に日本企業も対応し、日本郵船は23日、首鋼集団(北京市)と鉄鉱石輸送の長期契約を結んだと発表。住友商事は南アフリカの鉄鉱石などの鉱山会社、アソマンの権益追加取得を機に日本に加えて中国向け輸出を増やすほか、商船三井は宝山鋼鉄(上海市)向けに5隻目の新造船投入を決め、中国鉄鋼メーカーとの関係強化に動いている。(上原すみ子) 

 中国は鉄鋼メーカーの台頭で、世界最大の鉄鉱石消費国に浮上した。近年、国内の鉄鉱石生産が頭打ちになり、その分を輸入でカバーし、05年の輸入量は2億7500万トンと全消費量の57%を占めた。中国鋼鉄工業協会によると07年の輸入量も同9・2%増の3億5500万トン前後で推移する見通し。

 中国鉄鋼メーカーの勢いは、昨年末に決着した07年度分の鉄鉱石価格交渉にも顕著(けんちょ)に現れた。鉄鋼最大手の宝山鋼鉄を傘下に持つ持ち株会社の宝鋼集団がリオドセ(ブラジル)など世界の鉄鉱石貿易の7割超を実質的に握る資源大手3社と最初に鉄鉱石価格を前年度比9・5%引き上げることで合意したからだ。

 鉄鉱石の価格交渉は、資源大手と鉄鋼メーカーが個別に交渉し、最初に決まった価格に他社が追随するのが商慣習といわれ、中国メーカーが価格決権を握ったのは初めてと注目された。

 宝山鋼鉄は、沿岸部に位置し、海外からの鉄鉱石輸入に適していることから、鉄鉱石輸入を拡大。世界最大の鉄鉱石バイヤーに浮上した。

 このため、大手海運各社は宝山鋼鉄に照準を合わせる。商船三井は、このほど宝山鋼鉄向けで5隻目の大型新造船を投入し西豪州から上海まで鉄鉱石の22年間の長期輸送契約を結んだ。これによって宝山向け鉄鉱石輸送は年間1000万トン超の態勢を整備した。

 日本郵船も06年7月に、宝山鋼鉄と西豪州産鉄鉱石の12年5カ月の長期輸送契約を締結していた。03年に日本の大手海運で初めて宝山鋼鉄と西豪州産鉄鉱石の長期輸送契約を締結。05年にはブラジル産の鉄鉱石長期輸送契約も締結。さらに今回、首鋼集団とも西豪州からの16年間の長期輸送契約に調印した。

 従来、中国鉄鋼メーカーの鉄鉱石輸送は、短期のスポット契約が中心だったが、鉄鉱石輸入大国となり、安定供給が最重要課題となったことから、近年は長期契約にシフトしている。

 大手商社も日本向けの安定供給に加え、中国市場開拓をにらむ。住友商事は今月11日、南アフリカで鉄鉱石やマンガンなどの鉄鋼原料鉱山、アソマンの権益を追加取得した。

 住商はすでに鉄鉱石300万トンのうち日本向けに約100万トン、中国向け100万トン強、残りを韓国向けに輸出している。アソマンは15年までに鉄鉱山の新規開発で総生産量を1600万トンに引き上げる計画で、住商はこのうち1000万トン強を日本や中国などアジアに輸出する計画。成長する中国鉄鉱石市場に期待をかける。

06年粗鋼生産 高級鋼材で世界をリード

2007/01/20 FujiSankei Business i.

 2006年の粗鋼生産が歴代3位の高水準になったことは、日本の鉄鋼産業の構造が質、量ともに大きく転換したことを示している。

 1、2位を記録した1973、74年は建設関連向けなどの汎用品が中心で、量を追い求めていた。しかし、現在の中心は自動車向けなどの高級鋼材だ。汎用品では中国などとの価格競争に巻き込まれるが、技術力が求められる高級鋼材で日本はリードしており、国内鉄鋼各社は、今後も高級鋼材を“武器”に国際競争を勝ち抜く構えだ。

 鉄鋼需要が好調に推移している背景には、世界経済が成長がある。特に、高級鋼材を使う造船は受注残が3年分あり、自動車も国内販売は低迷しているものの北米向けなどを中心に輸出拡大が続いている。このため、鉄鋼大手各社は「鉄鋼需要は今後も確実に伸びる」と予測する。

 鉄鉱石、コークスなど原材料の価格高騰はあるものの、高級鋼の需要増大で鉄鋼各社の収益も改善。旺盛な需要に応じるため、大手各社は生産増強を進めている。

 国内鉄鋼2位のJFEスチールは16日、広島県福山市の西日本製鉄所・福山地区で、鋼板に溶融亜鉛めっきを施す第4ラインの営業運転を開始した。投資額は約180億円で、自動車用の高級鋼板などを年60万トン生産できる。これにより、同社の溶融亜鉛めっきの年産能力は25・5%増の295万トンに拡大した。

 最大手の新日本製鉄も、今後5年で3基の高炉を改修し能力を増強する計画で、年産能力を現在の3300万トンから4000万トン超に引き上げる。改修時には提携関係にある韓国のポスコから半製品の融通を受けるなどポスコとの連携も強化し、勝ち残りを目指す。

 世界的に鉄鋼需要が増大するなかで競争も激化し、欧米やロシア、インドなどでは「規模の拡大」を狙ったM&A(企業の合併・買収)が続いている。

 業界再編の核となっている世界首位のミタル・スチール(オランダ)は、昨年買収したアルセロール(ルクセンブルク)と年内に合併し、単純合算で年間粗鋼生産量は1億トンと、日本の鉄鋼産業並みの巨大メーカーになる。ミタルが今後、日本企業にも食指を動かす可能性があり、新日鉄の三村明夫社長は「ミタルへの対抗軸を作ることが重要」と指摘する。

 国内各社は、国際競争力を高めようと生産体制の増強に動いているが、ミタルなどの黒船来襲にどう備えるか。対抗できる強力な体制づくりが、今年の大きな課題となりそうだ。

粗鋼生産1億1622万トン 過去3番目

2007/01/20 The Sankei Shimbun WEB-site

 日本鉄鋼連盟が19日発表した鉄鋼生産概況によると、平成18年(暦年)の粗鋼生産は前年比3.3%増の1億1622万トンと、昭和48年(1億1932万トン)、49年(1億1713万トン)に次ぐ過去3番目の高い水準となった。世界経済の成長を背景に需要が好調だったため。

 鋼種別では建築向け鋼材、薄板、厚板などの普通鋼が前年比3.1%増の9070万トン。自動車向け高張力鋼板や軸受けなどほぼ半数を自動車向けが占める特殊鋼は、好調な輸出に支えられ前年比4.0%増の2552万トンと5年連続で過去最高となった。

 同時に発表された平成18年12月の粗鋼生産は前年同月比10.6%増の1005万トンで、過去2番目に高かった。

 鉄連は3月末までの18年度で1億1750万トン、19年度は1億1550万トンと予測している。

ミタルとの協議を本格化へ 「最大課題」と新日鉄社長

2007年01月19日 中国新聞ニュース

 新日本製鉄の三村明夫社長は19日、共同通信のインタビューに応じ、鉄鋼世界最大手のミタル・スチール(オランダ)との関係について「今年最大の課題になる」と述べ、欧州や中国での生産体制をめぐる協力関係の在り方などで協議を本格化させる考えを示した。

 新日鉄は、ミタルが昨年買収した同2位のアルセロール(ルクセンブルク)と技術提携を結んでいるほか、中国では地元メーカーも交えて自動車鋼板の合弁事業を展開しており、今後の協議では、これらの扱いが焦点となる。

 ミタルのラクシュミ・ミタル最高経営責任者(CEO)はアルセロールの買収に成功した後、三村社長と互いの友好関係維持を確認したが、ミタル側の統合作業に時間がかかり、ミタルと新日鉄の具体的な協力関係については議論が進んでいない。

経済産業省06年度見通し、粗鋼生産1億1732万トン

2006/12/28 FujiSankei Business i.

 経済産業省が27日発表した国内鉄鋼メーカーの2006年度(06年4月〜07年3月)粗鋼生産見通しは、過去2番目の1億1732万トンになる見通しだ。前期に比べて4・1%の増加。過去最高は1973年度の1億2002万トンだった。

 自動車や造船などの国内製造業向けが堅調で、アジア地域を中心とした輸出も高水準が続いている。

 また、06年(1〜12月)の粗鋼生産も前年比3・4%増の1億1629万トンとなる見込み。これは73年(1億1932万トン)、74年(1億1713万トン)に続いて歴代3位となる。

 同時に発表した06年度第4四半期(07年1〜3月)の鉄鋼需要見通しは、前年同期比4・0%増の2699万トン。また、需要見通しに見合う第4四半期の粗鋼生産は前年同期比3・9%増の2910万トンで、第4四半期としては過去最高の水準となる予想だ。

 07年も大きな変化はないとみられるが、懸念材料としては米国の景気と中国の生産・輸出動向などが挙げられる。

 経済産業省の安藤久佳・製造産業局鉄鋼課長は「中国から米国への輸出が増加し、米国内では鉄鋼を減産している。具体的な情報はまだないが、中国と米国の間で、鉄鋼の通商摩擦懸念はある」と指摘する。神戸製鋼所の賀屋知行専務執行役員も「(仮に通商摩擦が起きれば)中国の輸出分が吸収しきれなくなる。結果的にアジアに回ってくると考えられ、どんな影響がおよぶか、考えておく必要がある」という。

インド.ミッタル、何処まで走る!

2006/12/22 さまよえる団塊世代

 新日鉄がブラジル鉄鋼際大手ウジミナスを持分法適用会社にして傘下に治めた。新日鉄は先に韓国のポスコと資本・業務提携し買収防衛で連携を強化している。M&Aによる規模拡大と同業者連携による業界再編に拍車がかかってきた。

 もとは、と言えば金余りが為せる業(わざ)だろうが・・・。

 アルセロール・ミッタルは、規模拡大にまっしぐらに突っ走っている。昨年より懸案となっていたインド・オリッサ州政府との製鉄所建設に関する交渉に片が付き、今週、合意に漕ぎ着けた。年産1,200万トン、30年間の鉄鉱石供給保障付き、総工費90億ドル(約1兆6百億円)。

 ミッタルは、現在、世界60カ国に工場や事務所を持ち、従業員は33万人に膨れている。鉄鋼の今日現在の生産能力は1億1,130万トン、ダントツ世界一である。加えて、先日、メキシコの鉄鋼最大手シカッツァを14億3,900万ドル(約1,700億円)で買収した。

 シカッツァは、メキシコ国内に鉄鉱石鉱山を保有、米テキサス州にも鉄鋼の生産拠点を構えている。アルセロールの買収金額は248ユーロ(約3兆6千億円)。既に、巨額な資金を使っている。それでも世界の鉄鋼シェアの10%強に過ぎないとして、まだまだ買収を続ける方針を表明している。ロシアの鉄鋼大手MMKと交渉中と公表、確かブラジルのメーカーにも触手を伸ばしていると言う噂もある。一体、何処まで規模拡大を続ける心算なのか・・・。それにしてもよくそんなに巨額な資金を動かせるものだ。

 インド・タタ製鉄とブラジルCSN社の英コーラス社買収合戦に関しては、現在大手ファンドが入り混じった混戦となっており、結論は来年1月末まで先送りとなっている。100〜115億ドル(1兆2千〜1兆3,500億円)の攻防戦となりそうで、目下ロンドンでは’並みの情報合戦が繰り広げられている事だろう。そのタタ製鉄もインドで1,200万トンの新設と、500万トンの製鉄所増設建設を計画している。インドでは、インフラ整備(鉄道・港湾・飛行場・ガスパイプライン、ホテル・住居他)が国是となっており、2012年まで3,630億ドル(約43兆円)ほどインフラ整備に資金を投じる計画である。更に、自動車産業等のの急成長が見込まれ、鉄鋼の需要が急拡大する事は間違いない。当分は国内需要に供給が追いつかない。従い、国際市況に与える影響は少ない。しかも国内の鉄鉱石資源が豊富にあり国内で生産する鉄鋼の競争力はある。インド人がインド国外の鉄鋼メーカーを買いあさっているのは、鉄鋼が儲かる産業だと判断しているからだろう。インド人はグローバルに世界を見る習性がある。

 中国は既に生産能力過剰状態で、国際市場に安値投売りを始めている。他方、新規大型工場建設も進行中あり、更に、中国政府指令による中小製鉄所の閉鎖策も中々思惑通りには進まないらしい。時間の問題だろうが・・・。中国鉄鋼業界は、弱肉強食の自然淘汰の時代に入った事は間違いない。来年の鉄鉱石等の原料価格も軒並み大幅UPとなっている。インドは、世界の競争力のない企業が自然淘汰され、需給バランスと採算は取れると観ており、中国の生産能力過剰を余り気にしていないようだ。

 中国・インドの2桁に近い成長の影響だろう、鉄鋼生産量は年々増えているが、並行して世界の中小企業が大手に続々と飲み込まれて行く。ミッタルに刺激された大手企業が、規模拡大による競争力強化と防衛策を図っている。鉄鉱石原料を略々独占している3企業グループとの綱引きもあろう。

 鉄鋼業界再編の次に来るのは非鉄金属業界であろうか・・・。有り余った資金を使った、世界産業界再編が加速されそうだ。

 日本企業もうかうか出来ない。

 後ろで笑っているのは、多分ファンドの連中であろう。

新日鉄が防衛策次々…ミッタルの買収戦略警戒

2006年11月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 国内鉄鋼最大手の新日本製鉄が、敵対的買収への備えを着々と進めている。敵対的買収によって巨大化した世界最大手、アルセロール・ミッタル(ルクセンブルク)の「次の一手」を強く警戒しているからだ。新日鉄は取引先などと株式持ち合いを強化し、海外企業との提携で規模拡大を目指し始めたほか、優先出資証券を使った新手の防衛策も導入した。加速する鉄鋼業界の世界再編の行方をにらみながら、今後もあらゆる手段で敵対的買収を防御する構えだ。(宮崎健雄)

新手法

 新日鉄が今月9日、主要取引先のみずほコーポレート銀行など大手3行に発行した3000億円の優先出資証券が産業界の話題を呼び、財務アドバイザーの大和証券SMBCに問い合わせが相次いでいる。

 優先出資証券を発行した表向きの理由は設備投資などの資金調達だ。しかし、同時に、買収防衛策が巧みに仕組まれていた。

 この証券には転換社債と交換できる権利がついている。ただし、新日鉄の株価が現在(22日終値は487円)の約1・5倍にあたる1株740円に上昇するまでは普通株式に転換はできない。株価が740円を上回れば、発行済み株式総数の約6%分の普通株に転換できる。なぜ、こういう仕組みにしたのか。

 買収者が敵対的TOB(株式公開買い付け)を行う場合、直近の株価に一定額を上乗せした買い付け価格を提示し、株価は急騰することが多い。

 つまり、新日鉄が敵対的TOBを仕掛けられて株価が740円を上回った場合は、優先出資証券を引き受けた3行が転換権を行使して、安定株主の持ち株比率を約6%高めるわけだ。

規模拡大

 新日鉄は、今月6日には技術供与をしてきたブラジルの鉄鋼大手ウジミナスへ出資すると発表した。関係強化で、ウジミナスが生産する鋼材の一部を安定的に確保するほか、自動車用鋼板を生産する現地の合弁会社の能力を増強し、年産500万トンの製鉄所新設への参画も視野に入れる。

 新日鉄の三村明夫社長は今夏、2005年で約3200万トンの粗鋼生産量を10年ごろまでに4000万トンに増やすとしてきた目標を「4000万トンプラスアルファ」に上方修正した。粗鋼生産量が3倍のアルセロール・ミッタルに対抗するには「規模が不足」(三村社長)と判断した。

 ウジミナスへの出資は新たな規模拡大戦略の第一歩だ。南北アメリカで生産を拡大する自動車メーカーなどに鋼材を安定供給し、業績と株式時価総額を高めて敵対的買収をけん制する。

矢継ぎ早

 この1年に新日鉄は敵対的買収の防衛に効果がある施策を矢継ぎ早に繰り出してきた。住友金属工業や神戸製鋼所、韓国最大手ポスコとの株式持ち合いの拡大、事前警告型の買収防衛策の導入、計1500億円の自社株買いなどだ。ただ、どの方策も「決定打」にはならないため、新日鉄は今後も防衛策の強化に努めるとみられる。

 「防衛策を公開すること自体がリスク」と表立った動きを控えてきた国内のライバル、JFEホールディングスも、9月以降は、韓国の東国製鋼との株式持ち合いや1200億円の自社株買いなどを行い、「水面下では安定株主確保に血眼」(関係者)だという。

 ミッタルが新日鉄の時価総額(22日現在で約3兆3150億円)を上回る約3兆7000億円を投じてアルセロールをのみ込んだ衝撃は、国内の鉄鋼業界に今も強く残る。ミッタルには1億1000万トンの粗鋼生産量を2億トンに引き上げる目標があり、手薄なアジアで買収戦略を展開する可能性は高いとみられている。

 次の買収先候補とみられていたインドの鉄鋼大手タタは欧州2位のコーラス(英・オランダ)の買収に動いており、ミッタルの買収対象からは外れたとされる。「アジアに残された対象は日本と韓国のメーカーだけ」(関係者)との見方も強まっており、新日鉄の危機感は強まるばかりだ。

ブラジル鉄鋼大手に出資 新日鉄、鋼板生産強化へ

2006/11/05 The Sankei Shimbun

 新日本製鉄が、ブラジルの鉄鋼大手ウジミナスの株式を年内にも新規に取得する方針であることが5日、分かった。出資比率は議決権ベースで1.7%程度とみられる。南米に進出する日系自動車メーカーへの供給力を強化するのが狙い。

 ウジミナスは、新日鉄が技術供与して1958年に設立した日本とブラジルの合弁事業で、粗鋼生産量は年間約900万トン。新日鉄が出資する投資窓口会社「日本ウジミナス」(東京)が19.4%の株式を保有している。

 新日鉄はウジミナスの鋼材から自動車用鋼板を現地で生産し、トヨタ自動車、ホンダなどブラジルの日系自動車メーカーの鋼材需要に対応している。自動車用鋼板の需要拡大に伴い、株式の直接取得で生産体制を強化し、鋼材供給の拡大につなげる。

粗鋼生産量が過去3位に、北米向け自動車など活況で

2006年09月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 経済産業省は、06年(暦年)の粗鋼生産量が前年比2・9%増の1億1573万トンとなるとの見通しを発表した。

 これは1973年(1億1932万トン)、74年(1億1713万トン)に次ぐ過去3番目の規模だ。

 北米向けの自動車生産のほか、造船、産業用機械などが活況で鉄鋼需要が増えているのが要因とみられる。

JFE、韓国・東国製鋼をグループ会社化

2006/09/25 The Sankei Shimbun

 国内鉄鋼大手のJFEスチールは25日、韓国3位の東国製鋼への出資比率を現在の4・09%から15%に引き上げ、持分法適用のグループ会社にすることを柱とする協定書に締結したと発表した。両社が協定書を締結した。出資額は150億円から200億円となり、今年度中に実施する見込み。韓国で需要が旺盛な厚板について、JFEが東国の生産設備建設に協力、グループとしての供給能力拡大を図る。

 東国も総額100億円程度、JFEスチールの持ち株会社であるJFEホールディングの株を取得することで合意。まず来年9月末までに50億円を取得する。東国側がJFE株を取得するのは今回が初めて。

 JFEは旧川崎製鉄時代の平成11年7月に、東国と「相互協力基本協定」を締結。昨年度はJFEが半製品を年間100万トン程度供給している。

中国に鉄鋼生産能力減を要請

2006/09/17 神戸新聞

 日本政府が中国政府に対し、粗鋼生産能力の削減を繰り返し要請していることが17日、関係者の話で分かった。中国が昨年策定した生産能力削減策の実施が遅れており、生産過剰により世界的な値崩れが生じかねないと判断した。

 中国側は削減に取り組む意向を表明しているが、雇用問題などのため削減が進んでいないと説明しているという。鉄鋼問題が今後、日中間の新たな摩擦の火種となる可能性もある。

 中国のマクロ経済政策を担当する同国の国家発展改革委員会は昨年7月、2008年の北京五輪開催などを控えた需要増をにらみ非効率な製鉄所が乱立しているのに対応するため、合併を通じて粗鋼生産量3000万トン級の2大企業を10年までに設立することを柱とした鉄鋼業界再編策を策定した。

 しかし、再編が進まないことに懸念を抱く日本側は昨年秋以降、数回にわたって実施を要請。直近では前週に経済産業省の細野哲弘製造産業局長が訪中し、改革委幹部にあらためて要請した。

 再編策の実施に当たって日本側は、省エネルギー技術の供与などを提案しているという。

 05年の中国の粗鋼生産量は、前年比24・6%増の3億4936万トンと世界トップで、2位の日本(1億1247万トン)を大きく上回っている。

新日鉄が米に新工場 ミタルとの合弁会社で

2006/08/24 The Sankei Shimbun

 新日本製鉄は24日、鉄鋼世界最大手のミタル・スチール(オランダ)との米国での合弁事業で、自動車用鋼板の新工場建設を検討していることを明らかにした。新日鉄は、世界2位のアルセロール(ルクセンブルク)を買収したミタルと、両社の合併後も提携を続けることを7月に確認しており、米国内の日系自動車メーカーからの供給増の要請に応えて生産を強化する。

 新日鉄は買収防衛のため自社株買いなどを実施、規模を急速に拡大させるミタルを警戒する一方で、成長が著しい米国自動車向けの生産では協力関係を維持し、“和戦両にらみ”で接していく構えだ。

 新日鉄とミタルが折半で出資する「アイエヌコート」(米インディアナ州)が現在、自動車用鋼板を年間50万トン生産し、トヨタ自動車など日系メーカーに供給。2008年にも新工場を建設し、生産能力を大幅に向上させる。

 新日鉄とミタルは米国事業の強化を協議してきたが、ミタルのアルセロール買収でいったん中断。7月に新日鉄の三村明夫社長とミタルのミタル会長が京都市で会談し、提携継続を確認していた。

ミタル、アルセロール株の92%を取得

2006/07/26 The Sankei Shimbun

 世界鉄鋼首位のミタル・スチール(オランダ)が2位のアルセロール(ルクセンブルク)に対して実施した株式公開買い付け(TOB)の期限が26日終了し、ミタルは目標の過半数を大幅に上回る92%を取得した。これにより史上初めて年間粗鋼生産量1億トンを超える「アルセロール・ミタル」が正式に誕生する。国境を越えた巨大再編の成立は、日本の鉄鋼業界にも大きな影響を与えるのは確実だ。

 ミタル最高経営責任者(CEO)は同日、「素早い(両社の)統合に向け株主の支持を得られた」とのコメントを発表。過半数の獲得で経営統合を決めていたが、株式の大半を取得することで、新体制の経営に足かせはなくなった。

 新生ミタルは、生産規模が従来の年6200万トンから1億1000万トンへと大幅に拡大。建材中心の汎用品メーカーから、自動車用鋼板など高級製品も扱う総合メーカーへの脱皮も図る。

アルセロール、取締役会でミタルの買収提案受け入れ

2006/06/26 The Sankei Shimbun

 ロイター通信などによると、世界鉄鋼2位のアルセロール(ルクセンブルク)は25日の取締役会で、最大手のミタル・スチール(オランダ)からの買収提案を受けることを決めた。今月30日の臨時株主総会で承認を求める。両社を合わせた粗鋼生産は年産1億トンを超え、日本全体の生産量を上回る。世界シェアの約10%を握る巨大鉄鋼メーカーが誕生する。

 規模拡大で競争力を強化する動きに対し、ライバル会社が危機感を強めるのは必至。新日本製鉄など日本メーカーはこれまで、国際的な合従連衡とは距離を置いてきたが、経営戦略の見直しを迫られそうだ。

 欧米メディアによると、ミタルは買収金額を18億ユーロ(約2600億円)追加し、278億ユーロ(約4兆円)に引き上げた。(共同)

鉄鋼世界1、2位が合併へ ミタル、アルセロール合意

2006/06/26 The Sankei Shimbun

 【シンガポール=藤本欣也】鉄鋼世界最大手のミタル・スチール(オランダ)と同2位のアルセロール(ルクセンブルク)は25日、合併で基本合意した。ムンバイ発のロイター通信がインドのテレビ局の報道として伝えたもので、新会社名はアルセロール・ミタルとなるという。合併すれば、粗鋼生産量は年間1億トンと1社で日本全体の生産量を上回り、世界シェア10%超の鉄鋼メーカーが誕生する。

 ミタルがアルセロールに敵対的買収を仕掛けていたが、報道によると、買収価格はアルセロール1株当たり43ユーロとすることで合意した。5月の段階でミタル側の買収提案は約35ユーロだった。また、アルセロール側は先に合併で合意していたロシアの鉄鋼大手、セベルスタリに、違約金として1億3000万ユーロを支払う。

 ロンドン発のロイター通信も、アルセロールがミタルからの新たな買収提案を受け入れることを決めたと伝えた。アルセロールは25日、ルクセンブルクで取締役会を開き、最終結論を出す。ミタルも同日、ロンドンで取締役会を開いた。

ミッタル アルセロールのTOB開始

2006年05月19日 読売新聞 Yomiuri Shimbun On-Line

超巨大鉄鋼 敵対的総額2兆7000億円

 【ロンドン=中村宏之】鉄鋼世界最大手のミッタル・スチール(オランダ)は18日、世界2位のアルセロール(ルクセンブルク)への株式公開買い付け(TOB)を開始したと発表した。買収総額が2兆円を超える超大型のTOBが成功し、買収が実現すれば、粗鋼生産量が1億トンを超える超巨大鉄鋼メーカーが誕生する。

 TOBの内容は1月27日に発表された内容と同じで、アルセロール株5株に対しミッタル株4株と現金約35ユーロ(約5000円)を割り当てる方法を中心に買い付け、アルセロール株の100%取得をめざす。すべての株を買った場合、買収総額は191億ユーロ(約2兆7000億円)になる見通し。買収提案をフランス、ベルギー、ルクセンブルクなどの監督当局が承認したのを受けてアルセロールの株主に提案した。

 今後、スペインや米国などでも当局の承認を得られ次第TOBを開始する。ラクシュミ・ミッタル最高経営責任者(CEO)は「われわれの提案はアルセロールの株主に非常に魅力的なものであると信じている」とコメントしている。アルセロールの広報担当者は「われわれの立場は変わっていない」と、買収提案を拒否する姿勢を崩していない。

三菱東京UFJ銀行、新日鉄株を買い増し 買収防衛策の一環

2006/05/11 The Sankei Shimbun

 三菱東京UFJ銀行が新日本製鉄の株式約150億円を3月末までに買い増し、発行済み株式に占める保有割合を1.98%に引き上げたことが11日、分かった。新日鉄は住友金属工業、神戸製鋼所との株式持ち合いを拡大するなど買収防衛策を強化しており、同行の買い増しも安定株主確保の一環とみられる。

 新日鉄は「特に買い増しの要請はしていない」としているが、鉄鋼業界で国際的な再編機運が高まる中、主力行の保有割合が高まることは歓迎しているもようだ。

 大手銀はここ数年、株式持ち合いの解消に動いてきたが、三菱東京UFJでは「安定株主づくりの需要があることは認識している」としており、今後、状況に応じて取引先の株式買い増しを進める可能性がある。

神戸製鋼、3年で3700億円の設備投融資

2006/04/14 The Sankei Shimbun

 神戸製鋼所は13日、平成18年度までの3年間で3700億円の設備投融資をすることをなどを盛り込んだ中期経営計画を発表した。経済環境の変化に動じにくい収益体質を目指す。

 設備投融資のうち投資は3400億円で、設備の高度化など「ものづくり力の強化」(犬伏泰夫社長)に重点的に投じる。また、自動車向け高級鋼材など市場占有率や価格競争力の強い製品群を選び出して「オンリーワン製品」と位置づけ、これらの生産を、売上高比率で現在の35%から40%に引き上げて収益力を増強。これらを通じて、3年後に2300億円以上の連結営業利益を目指す。

 鉄鋼業界で相次いで導入が進んでいる買収防衛策については犬伏社長は「現在検討中だが、最終判断は株主がするものと考える」と述べた。

新日鉄、住金、神鋼が買収防衛で連携覚書

2006/03/29 The Sankei Shimbun

 新日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所の鉄鋼大手3社は29日、3社のいずれかに海外の競合メーカーなどから買収提案があった場合に、他の2社への通知と要請に基づいて、3社の提携関係に与える影響や買収提案への対応について共同で検討することを定めた覚書を締結したと発表した。敵対的買収があった場合、共同で防衛策を検討するのが狙い。

 鉄鋼業界では世界最大手のミタル・スチール(オランダ)が2位のアルセロール(ルクセンブルク)に敵対的買収を仕掛けるなど、国境を越えた大型再編が加速。3社がこれまでの協力体制の強化で対抗する。新日鉄は単独でも防衛策を導入する方針。

JFE、7800億円投融資実施へ 高級品生産強化

2006/03/10 The Sankei Shimbun

 JFEホールディングスは9日、2006年度から3年間の中期経営計画を発表した。中核の鉄鋼事業で、自動車などに使われる高級品の生産強化のため、3年間で計7800億円の投融資を実施する。有利子負債も05年度末見通しの1兆2000億円から約8000億円へと圧縮する。

 NKKと川崎製鉄の経営統合で発足した同社が策定した03年度からの最初の計画では、過剰な設備の集約や財務体質の改善を優先課題としてきたが、景気回復を受けた好業績を背景に「攻めの経営」にかじを切る。

 高付加価値商品の年間生産量を現在より300万トン増やし2300万トンにする。新たな提携や国内の生産基盤強化により、中国製など安い製品に影響されない態勢にする。

 橋梁(きょうりょう)談合事件で指名停止処分を受け業績が低迷するエンジニアリング事業は、人員削減などを進める。

 同日、記者会見した数土文夫(すど・ふみお)社長は「景気変動があっても(経常利益で)5000億円を達成する会社にする」と述べた。

新日鉄、山陽特殊製鋼に追加出資…グループ会社化へ

2006年02月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 鉄鋼大手の新日本製鉄は14日、特殊鋼メーカーの山陽特殊製鋼(兵庫県姫路市)に追加出資し、グループ会社化する方針を明らかにした。

 新日鉄は現在、山陽特殊製鋼に社長を派遣し、筆頭株主として約11%の株式を保有している。約70億円の追加出資により、株式保有比率を15%に引き上げて持ち分法適用会社とし、連結決算の対象に組み込んでグループ会社化する。あわせて原料、製品分野で業務提携も結ぶ。同日午後、発表する。

 新日鉄は、鉄鋼業界で国際的な再編の動きが起こる中で、ベアリング用の軸受け鋼や自動車用鋼材などで世界的に高度な技術を持つ山陽特殊製鋼を、外資による敵対的買収から防衛するのが狙いと見られる。

新日鉄・アルセロール 敵対買収に防衛条項

2006年02月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

ミッタル提案の中技術供与「拒否権」

 世界鉄鋼首位のミッタル・スチール(オランダ)から敵対的買収を提案されている同2位のアルセロール(ルクセンブルク)が、新日本製鉄との包括提携契約の中で、敵対的買収に防衛効果がある条項を設けていたことが10日、明らかになった。例えばアルセロールが別の会社に買収された場合に、新日鉄が供与している重要技術を使わせない「拒否権」を発動できるとの内容だ。ミッタルがアルセロールの買収に成功しても、重要技術を使えないため、敵対的な買収の意欲を低下させる効果が期待できる。新日鉄が条項を発動するかどうかの判断は、世界的な鉄鋼再編に影響しそうだ。

鉄鋼世界再編へ影響

 条項は「チェンジ・オブ・コントロール」(資本拘束条項)と呼ばれる買収防衛策の一つだ。新日鉄とアルセロールは2001年1月、自動車用高級鋼板の製造技術を相互に供与するなどの包括提携を締結しており、その際に拒否権条項が設定されたとみられる。

 アルセロールはミッタルから今年1月27日に受けた買収提案に強く反対。ミッタルがアルセロールの買収に成功した場合に、新日鉄が条項を発動すれば、ミッタルの傘下に入ったアルセロールは、新日鉄が供与している自動車用高級鋼板の製造技術が使えなくなる。

 例えば、薄く強い鋼板の製法は、人気の低燃費車向けには欠かせない技術で、これが使えなくなれば、トヨタ自動車のフランス工場をはじめ、欧州に進出している日本自動車メーカーが求める品質を維持できなくなり、ライバルの鉄鋼メーカーに受注を奪われる可能性もある。

 こうした拒否権条項は、アルセロールに対する株式公開買い付け(TOB)の実施など、ミッタルの判断にも影響を与えそうだ。ただ、新日鉄からの技術供与が停止すれば、日本の自動車メーカーの鋼板調達にも支障が出かねないため、新日鉄は難しい判断を迫られそうだ。

 ミッタルによる買収提案を巡っては、新日鉄の三村明夫社長は今月2日、パリでアルセロールのギー・ドレCEO(最高経営責任者)と会談したが、アルセロール側は新日鉄に対し、友好的買収者「ホワイト・ナイト(白馬の騎士)」になってほしいとの要請まではしなかった。

世界経済を侵食…中国の鉄鋼過剰生産

2006/01/31 The Sankei Shimbun

 昨年初めて粗鋼生産三億トンを突破して鉄鋼超大国の道をひた走る中国。その高成長の足元で、世界第二位の鉄鋼大国・日本の生産量に匹敵する約一億二千万トンもの過剰生産能力の問題が表面化した。中国当局は今年から、乱立する地方の中小高炉を軒並み廃業に追い込む決意だが、余波は中国国内だけでなく世界に及ぶことが避けられず、関係者はかたずをのんで見守っている。(樋口教行)

 生産設備のフル稼働と過去最高の収益に沸く日本の鉄鋼業界は今年、不安を抱えた状態で年明けを迎えた。

 「すべての問題は中国の過剰能力、過剰生産にかかわっている。どのタイミングでどう解決されるか」−。日本鉄鋼連盟の三村明夫会長(新日本製鉄社長)は十九日の年頭会見でこう語り、表情を曇らせた。日本経団連副会長で中国委員会委員長の三村会長は中国を熟知するだけに、問題を過小評価していない。

 国際鉄鋼連盟がまとめた二〇〇五年の世界生産速報によると、世界の粗鋼生産は前年比5・9%増の十一億二千九百三十六万トン。日本0・2%減、米国5・3%減、EU十五カ国2・5%減と先進国は、価格安定を狙う減産で足並みをそろえたが、中国だけは前年比24・6%増の三億四千九百三十六万トンと突出した生産増を記録した。

 だが、さらに深刻なのは、中国の生産設備能力がすでに約四億七千万トンもあるという事実だ。

 中国政府の国家発展改革委員会の馬凱主任は昨年十二月、全国発展改革工作会議で「生産能力は需要規模を一・二億トン上回っている。加えて建設中の生産増強分が七千万トン、さらに建設計画分は八千万トンにのぼる」と明らかにしたうえで、「過剰な生産能力は、国内価格を世界最低の水準にまで落とす巨大な圧力となっている」と認めた。

 この発言は、生産調整や高炉の統廃合を急がなければ、倒産や失業などの経済危機を招くとの警告だ。改革委は対応策として中国全土で八百社以上ある容積三百立方メートル以下のミニ高炉の廃止を強く打ち出している。

 中国では昨年、景気過熱を抑制する金融引き締めが進むなか、鋼材価格の下落に伴って鉄鋼業界の収益悪化が進行した。ところが市場原理に従った淘汰(とうた)は進まず、地方のミニ高炉に融資する銀行が「不良債権処理を先送りし、延命された赤字企業が少なくない」(国際金融関係者)という。

 中国の鉄鋼業界は昨年十月から5%の減産を申し合わせたが、効果は上がっていない。しびれを切らした最大手の宝山鋼鉄(上海市)は一月から鋼材価格の20%値下げを断行した。国家直営である宝山鋼鉄の値下げは、政府が中小高炉つぶしを仕掛けた構図だ。最強メーカーの値下げに「ついてこられる国内企業はどれだけあるか」(鉄鋼専門商社)と衝撃が走っている。

 ただ、生産過剰問題の解決は容易ではない。三村鉄連会長は「スムーズな解決策がないところに大きな問題がある」と頭を痛めている。中国メーカーの安値鋼材が昨年からアジア市場に流出し、市況に影響が出ている。高級鋼材の需要が多い日本にはいまのところ影響は少ないが、韓国に中国製品が浸透し、玉突きで韓国製品が日本に入り始めるなど、中国の過剰生産問題は世界経済をじわじわと侵食し始めた。

05年粗鋼生産、1億1200万トン 過去4番目の高水準に

2006/01/18 The Sankei Shimbun

 日本鉄鋼連盟が18日発表した2005年の粗鋼生産は1億1247万トンで、過去4番目の規模だった。前年より0.2%減ったものの、1億トンを上回るのは6年連続で、高い水準で推移している。景気回復を背景に、自動車や造船などの国内需要が旺盛で、昨年前半まではアジア向けの輸出も堅調だった。

 ただ、中国などで鉄鋼生産が増加し汎用品の価格が低下。日本の大手鉄鋼メーカーは昨年後半から、価格を維持するため減産に踏み切っており、今後も生産調整は続きそうだ。

 粗鋼は鉄鉱石から酸素や不純物を取り除いたもので、薄板や棒鋼などに加工する前の半製品。過去最高は1973年の1億1932万トン。2005年は04年に次ぐ規模だった。

 鋼種別では、自動車や機械に使われる特殊鋼が4.1%増の2455万トンで、4年連続で過去最高を更新。普通鋼は1.4%減の8792万トンだった。

 昨年12月の1カ月間の粗鋼生産は前年同月比5.0%減で6カ月連続で減少した。 (共同)

英文記事翻訳:鉄鋼業界の盛況、供給過剰となるまでは

2005/11/26 〜「Nishitatsu1234の帝国」〜

 「Steelmakers on a roll, until the next glut」

  翻訳

 鉄鋼業界の盛況、供給過剰となるまでは

 中国の鉄鋼需要は世界の大手生産者に恩恵をもたらし、買収資金繰りを助け、アルセロールの Dofascoへの敵対的買収はまさに最新の例だ。が、中国鉄鋼生産の伸びは、市場で氾濫する怖れがあり、圧倒的な規模が世界の鉄鋼大手の防御となるかの試練だ。
 破裂前の dotcomバブルにまだ投資家が夢中の6年前、鉄鋼はオールドエコノミー最後の砦の1つとバカにされた、多くの企業が国営か国益に不可欠と考え存続を謀る政府がかなり保護していた。
 鉄鋼事業はグローバル化に遅れた。今週、アルセロール(2001年、フランス、スペインおよびルクセンブルクの最大の鉄鋼企業が合併)が Dofasco(カナダの鉄鋼大手)に現金 38億ドルの敵対的買収を行なった事は、ネットバブル破裂後に業界の被った変化の現れだ。

 状況変化の証拠はまだある。世界第2のアルセロールは、ドイツか米国の鉄鋼メーカーと Dofasco買収競争に直面するとの噂が有る。
 アルセロールが敵対的になる一因は今年始め、ウクライナの旧国営鉄鋼会社の Kryvorizhstalの買収競争で世界最大手で現金 48億ドルを提示したミッタルに負けた事だ。
 アルセロールとミッタルは、トルコ国営鉄鋼会社 Erdemirの部分入札で国内勢に負けた。昨年は、例えば11/23日にミッタルが破綻したカナダ鉄鋼会社 Stelcoから若干の資産獲得を発表したような、多数のより小さな取引を見た。

 M&Aと資産売却は、何十年も業界を悩ませた慢性的過剰設備を減らし世界の鉄鋼会社復活を助け、悪い経営の代名詞であった業界に新しいより効率的経営を持込んだ。
 東欧の旧共産主義諸国と他の経済成長中の国の資産民営化は、統合の機会を増した。
 鉄鋼復活のはるかに重要な要因は中国経済の急成長だ。最近まで急増する中国の鉄鋼需要は価格を急上昇させた:指標となるホットコイル価格(2001年、わずか 200ドル/トン)は、2004年には 600ドルを突破したが、それから価格は下落した。
 価格急騰は以前は緊急援助と破綻が標準であった業界に、高い利益と評価の時の到来させた。しかし鉄鋼会社はまだ2つの問題と対峙する。

 まず彼らの改善の多くが、製鉄の原料供給者に気づかれた事だ。鉄鉱石の供給者団体は、昨年の19%の上昇後にさえ、今年3月に 72%の大幅値上げを要求した。製鋼プロセスに不可欠な粘結炭の供給者はまた、より大きな値上げを主張した。
 早期の予想は、鉄鉱石供給者が来年、恐く最大で 20%と大幅な値上げを要求する可能性を示唆する。エンドユーザー向け価格が下がっている時に、今年の値上げは 40 - 60ドル/トンの鉄鋼原価上昇となる。
 潜在的に非常により大きい第2の懸念は、世界消費の 30%を占める中国の膨大な鉄鋼需要が弱含む事だ。 

 中国生産が伸び続ければ、これは特に業界に厳しい事になる。2004年、国際鉄鋼研究所によると中国の工場は鉄鋼 2.73億トンを生産した。今年始めの10ヵ月の生産料は 2.87億トンだ。
 無秩序な成長と経済過熱を懸念する中国政府は、抑制策を導入した。影響はまもなく中国国内外に現れた。中国最大の鉄鋼会社 Bao鉄鋼は、全国的供給過剰のため 2006年第1四半期に主要製品を10%値下げすると言う。
 経済が10%/年をそれほど下回らぬ率で成長し続けているが、適度な減速さえ鉄鋼の供給過剰で世界市場に影響を及ぼしかねない。

 世界の大手鉄鋼メーカーは、状況が悪化しても、より規模拡大で良い時に収穫をあげ、影響を遮断できる事を望んでいる。鉄鋼会社のトップのラクシュミッタル氏とアルセロールのボスの Guy Dolle氏は共に、業界は将来的に1億トン以上を生産する2、3の大手に支配されると同意する。
 ロンドンを拠点とする民間企業のミッタルは今年始め、米インターナショナルスチールグループを獲得し、ウクライナでの買収を含め、年間生産 6500万トンを越える体制だ。
 Dofascoの生産を含めても、アルセロールはいくらか遅れている。しかし双方、中小生産者を傘下にできる機会を見つけると飛びつき、拡大している。

 鉄鋼石とコークス価格の交渉時、さらなる統合は鉄鋼会社に確かに余力を与える。世界の5大鉄鋼メーカーはまだ世界市場のおよそ1/5をだけ支配しているが、3大鉄鋼石会社は供給の 70%を抑えている。市場で大きな力を発揮できる水準への統合は、まだ道のりは遠い。

彼等に打ち勝つ事ができるか

 勢力の均衡を変える1つの方法は、2 - 3の大手鉄鋼会社がまさ鉄鋼石や石炭事業を買収しているように、供給側の事業分野を侵食する事だ。Dofascoは自身の鉱石事業を有する事も、魅力的な買収対象である一因だ。
 ミッタルや USスチールと比較し、アルセロールは独自の鉱石埋蔵量をほとんど持っていない。世界第5の韓国 POSCOは、ブラジルとオーストラリアで鉱石鉱山への関与を求めている。原料に対するミッタルの渇望は、政治的不安定にも拘らず、リベリアでさえ鉄鋼石生産者へ接近させている。

 大手鉄鋼メーカーは更なる統合が彼らの望む形で勢力均衡をシフトさせる事を望み、そして彼らは圧倒的規模により、将来のどんな需要減少を乗り切るの助けとなると確信しているようだ。
 しかし多くが疑っているように、特に買収側が資産に払い過ぎなら、鉄鋼事業のサイズは本来、規模の経済に関して大きな果実をもたらさない。
 世界市場が深刻な供給過剰を迎えるなら、大小の全ての生産者は打撃を受ける。

鉄鋼大手4社、最高益更新 高級鋼材が好調維持

2005/11/09 The Sankei Shimbun

≪9月中間決算≫

 鉄鋼大手4社の2005年9月中間連結決算が9日、出そろった。原燃料価格の高騰で製造コストは上昇したものの、自動車や造船向けの高級鋼材の旺盛な需要を背景に販売価格の引き上げで吸収。全社が売上高、純利益ともに中間期として過去最高を更新した。

 自動車メーカーなどと販売価格の値上げ交渉を進めた結果、各社とも鋼材の平均価格が2−3割程度上昇し、利益を押し上げた。06年3月期の通期業績でも、全社が経常利益で最高益を見込んでいる。

 最大手の新日本製鉄は東アジア向けの輸出が好調で、売上高が前年同期比23・5%増の1兆8634億円、純利益は約2・4倍の1956億円。JFEホールディングスは純利益が約5倍の1702億円となり、1株当たりの年間配当を55円増の100円に引き上げる方針だ。

 神戸製鋼所は高級鋼材のほか、コンプレッサーを中心に機械事業も堅調で、売上高が15・3%増の7895億円。住友金属工業は、油田開発などで使われるシームレス管がけん引役となり、純利益が約2倍の920億円に伸びた。

 一方、各社は中国からの輸入品が増加している建設向けなど汎用品の鋼材については、下半期も減産を続けて在庫調整を強化する。(共同)

日中欧の合弁工場が始動 中国最大の高級鋼板拠点

2005/11/08 The Sankei Shimbun

 新日本製鉄と中国最大手の宝山鋼鉄、欧州大手のアルセロールの日中欧合弁で、上海市に設立した自動車向け高級鋼板の製造工場が8日、開業式を行った。中国での自動車生産を急拡大させている日本や欧州の自動車メーカーに、高品質の鋼板を供給する最大の現地拠点が動きだした。

 開業式に臨んだ新日鉄の三村明夫社長は記者会見で「自動車市場の需要が急速に伸びており、ビジネスチャンスがあった」と、高級鋼板の技術を合弁会社に提供してでも中国で製造する意義を強調。宝山鋼鉄の持ち株会社の徐楽江総経理は「中国の技術力の向上に必ず役立つと思う」と述べた。

 三村社長によると、新工場は年内にも日系自動車メーカーの認証を受けた上で、来年から本格供給を開始できるとの見通しだ。

 自動車の車体などに使う鋼板は質の高さが求められ、中国で生産する日本の自動車メーカーは、日本国内からの供給に頼っていた。新工場での生産が軌道に乗れば、現地調達に切り替えることができるメリットがある。

 新工場では冷延鋼板を年間90万トン、亜鉛めっき鋼板80万トンの計170万トンを生産する計画。同じ敷地内の宝鋼の高炉で生産した半製品を、新日鉄が日本で生産する高級鋼板と同等なものに仕上げる。日本の自動車メーカーが世界各地で現地生産を加速させる中で、新日鉄も世界的な高級鋼板の供給網を整えた格好だ。

 開業式には、中国政府や日系自動車メーカーの関係者ら約500人が出席した。(共同)

JFE汚水排出問題:JFEスチールを立件へ

2005年09月20日 毎日新聞 東京夕刊 Mainichi INTERACTIVE

 JFEスチール東日本製鉄所千葉地区(千葉市中央区)が国の基準値を超えるシアン化合物などを含む汚染水を漏出し、水質測定データを改ざんしていた問題で、千葉海上保安部は20日、同製鉄所千葉地区の水質管理担当者と同社を水質汚濁防止法違反容疑で千葉地検に近く書類送検する方針を固めた。環境管理の最高責任者である同製鉄所副所長への事情聴取も進めており、同容疑での立件を検討している。

 同保安部は昨年12月、同社工場近くの東京湾が白濁しているのを発見し、高アルカリ水排出の疑いで捜査を開始。その後、同社の社内調査で、記録が残る01年4月〜04年12月の間、排水口などの水質分析データ約8万9000件のうち、シアンや六価クロムの濃度データ1109件で国や千葉県の環境基準を上回っていたことが確認された。

 今年2月には当時の水質管理担当者の男性がこれらのデータを基準内に改ざんし、県や市に虚偽の報告をしていたことも発覚している。データ改ざんは記録が残らない過去十数年前までさかのぼって行われていた可能性が指摘されている。【神澤龍二、山本太一】

原油高の悪影響は鉄鋼業界1千億円 新日鉄社長が見通し

2005年09月17日 asahi.com

 日本鉄鋼連盟の三村明夫会長(新日本製鉄社長)は16日、原油価格の高騰の影響について「今の高値水準が1年続けば、業界全体で1000億円くらいになる」との見通しを、報道各社との懇談会で示した。新光総合研究所によると、鉄鋼関係の上場33社の05年度の経常利益見通しは、合計で1兆7885億円。原油高が長期化すれば、過去最高益の更新を期待する各社の業績に大きく響きそうだ。

 ニューヨーク商業取引所の原油先物市場では、米国産WTI原油が先ごろ1バレル=70ドルに達するなど、高騰は収まる兆しがない。三村会長はコスト増の要因として、海上輸送費、電力代、工場での自家発電用の燃料費の三つを挙げた。

 1バレル=50ドル台後半だった約3カ月前の記者会見で三村会長は「鉄鋼業界は石油危機以来、省エネを進めてきており影響は軽微」と強気だったが、「これほど値上がりすると、さすがに影響が出てくる」と懸念を表明した。

鉄鋼大手、最高益更新へ 4社が業績見通し発表

2005年09月08日 asahi.com

 大手鉄鋼メーカー4社は8日、05年度の連結決算見通しを発表した。中国の大増産で世界の鉄鋼市況は春先からだぶつき気味だが、日本メーカーは生産量を抑えて販売価格の暴落を回避している。その戦略も効いて、各社とも2年連続で過去最高の経常利益を更新することがほぼ確実になった。ただ、減産が長期化すれば売り上げの低迷を招きかねず、来年度以降の業績は不透明だ。

 中国の04年の粗鋼生産は2億7000万トンで前年より約5000万トン伸びた。ここ数年、新日本製鉄(年間粗鋼生産約3000万トン)が1〜2社誕生する勢いで増産している。中国内で消費できなくなった鋼材は昨年末から海外に輸出され、日本でも今年に入って中国産の鋼材増で、市況価格は下落し始めた。

 このため、大手メーカーは相次いで減産を決定し、価格維持を図っている。これまでのところ、減産は効果を上げているといい、「中国でも値上げの動きが見られる」(藤原信義・新日鉄副社長)。

 また、大手メーカーが得意とする造船向け厚板の販売価格は、年度当初に1トンあたり1万円の値上げで決着したばかりだが、夏場の再交渉で10月以降はさらに5000円上げる交渉が成立。今年度も自動車、造船、産業機器メーカーとの相対取引によって利益を確保できる見通しが立った。

 この結果、各社とも増収となり、連結経常利益の見通しは、4〜5月に発表した当初見通しに比べ、新日本製鉄が400億円(9%)増の4900億円▽住友金属工業が500億円(26%)増の2400億円▽神戸製鋼所が150億円(11%)増の1550億円と上方修正した。

 橋梁(きょうりょう)談合事件でエンジニアリング子会社が指名停止を受けた影響が大きいJFEホールディングスは、当初見通しと同額の5000億円だったが、前年度に比べると9%増え過去最高益となりそうだ。

 ただ、中国ではさらに鋼材の生産能力増強が続いており、「中国の増産リスクが解消したわけではない。鉄鋼需給は来年度、大きな問題になる可能性がある」(山口敦・UBS証券シニアアナリスト)と先行きを懸念する声もある。

高炉のノウハウ、JFEに要請…韓国の現代自グループ

2005年07月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 韓国の現代自動車グループが、自社の高炉建設計画に関し、日本の鉄鋼大手JFEスチールにアドバイザーとしての参画を非公式に打診していることが明らかになった。

 JFEスチールの馬田一(ばだ・はじめ)社長が読売新聞のインタビューで明らかにしたもので、「設備の発注から技術面までコンサルタントとして広範囲な助言を要望された」という。実現すれば日韓鉄鋼業界の新たな事業協力となる。

 高炉建設計画は現代側が5月に発表した。自動車用鋼板の安定調達が目的で、韓国中西部に年間生産能力350万トンの高炉を2基建設する。

 2007年に着工し、2010年の稼働を目指している。製鉄所の基幹設備である高炉を自動車メーカーが建設するのは世界でも珍しく、ノウハウの取得が課題となっている。

 日韓鉄鋼業界の協力関係では、新日本製鉄が韓国鉄鋼最大手のポスコと包括提携しているほか、JFEも現代自グループで高炉を持たない鉄鋼メーカー「現代ハイスコ」に14%強出資して鋼材の半製品を供給する関係にある。

 現代自グループの要請が実現すれば、新たな大型協力案件となる。

大手鉄鋼各社、減産へ アジア向け汎用鋼材

2005/07/19 The Sankei Shimbun

 旺盛な鉄鋼需要を背景に増産を続けてきた大手鉄鋼各社のうち、新日本製鉄、JFEスチール、住友金属工業が、この夏以降、輸出向けの汎用品の鋼材を減産することが19日明らかになった。

 中国の建設用鋼材などが大量に流れ込んでいるアジア市場で、供給を絞り込み価格下落を防ぐのが狙い。

 大手鉄鋼が競争力を保持する自動車向けなどの高級鋼板は依然として需給が逼迫(ひっぱく)し、業績の拡大基調が続いているものの、一部の鋼材については増産基調に変化が出てきた。

 JFEは、韓国やタイなどに向けて輸出している汎用向け中間素材(ホットコイル)の販売量を、7−9月期は前年同期に比べ50万トン減らす。最終製品となる建材向けの市況が中国メーカーの増産でだぶついているためで、これだけ大規模な減産は4年ぶりという。

 住友金属も、7−9月期にホットコイルを当初計画比5万トン程度減産する。両社とも中国からの鋼材があふれる韓国などアジア向けの輸出を抑制し、値崩れ防止の「メッセージ」効果に期待する。

 新日鉄も、輸出向けを中心に当初計画に対し30万トン超の規模での減産を実施する方針だ。神戸製鋼は、今の時点では、減産計画を打ち出していないが、価格が下落するようであれば汎用鋼材については徐々に減産する見通し。

 日本鉄鋼連盟の三村明夫会長(新日鉄社長)は鉄鋼市場の動向について「輸出は汎用品を中心に一時的な調整局面にあるが需要は増えている」とし、6カ月程度で欧米の在庫調整が進むことで需給調整は短期的に完了するとみており、今回の減産が鉄鋼価格の転換点となるかどうかは微妙だ。

 <鉄鋼生産> 鉄鋼の生産は2002年以降、自動車など製造業の回復とともに3年連続で増加している。04年の粗鋼生産は前年比2.0%増の1億1271万トンで1974年以来30年ぶりの高水準を記録。今年上半期も1.7%増の5673万トンとなった。

 JFEなど大手各社が主力とする自動車、家電、造船向けなどの高級鋼板の伸びが堅調だ。ただ価格の安い「汎用品」は海外製品との競合が激しく余剰感が出ている。

 世界の市場では今年5月までの中国の生産が27.4%増の1億3526万トンと日本の約3倍を記録、ロシアも4.8%増の2748万トンと生産能力の増強が進んでいる。(共同)

鉄鋼大手、需給だぶつき減産へ JFE・新日鉄

2005年07月12日 asahi.com

 国内外の旺盛な鉄鋼需要に応え増産を続けてきた大手高炉メーカーが、今夏以降、減産に転じることが11日分かった。中国などの増産で世界の鉄鋼需給がだぶついて価格が下落するのを食い止める狙いだ。JFEスチールは7〜9月にかけ前年同期比で1割弱減産。新日本製鉄も減産を含む生産調整を検討している。

 JFEによると、価格の下落が激しい輸出向けの「一般鋼材」は、販売を前年同期に比べ50万トン(約8%)削減し、生産もそれに見合って減らす。ただし、自動車向け薄板などの「高級鋼材」は増産を続ける。

 大手鉄鋼5社は昨年度、国内では自動車・造船、海外ではアジアの建設向けの需要に支えられ、そろって過去最高の経常利益を計上した。しかし、鉄の消費国だった中国が最近は輸出国に転じ、低価格の鋼材が春先に日本へ大量に輸入された。このため「在庫が1割以上過剰な状態」(大手鉄鋼メーカー幹部)が続いている。

日本鉄鋼連盟、環境・省エネで中国に技術支援

2005年07月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=東一真】日本鉄鋼連盟と中国鋼鉄工業協会は4日、環境保全と省エネルギーに関する技術交流会を開き、今後の専門家の交流などで合意した。

 また、日本の鉄鋼会社が個別に、中国企業に対して、日本が得意とする環境・省エネ技術や施設を供与するなどの支援を行う計画だ。

 中国の昨年の粗鋼生産量は2億7200万トンと世界一だが、小規模鉄鋼所が乱立していて生産効率は低く、有害物質の排出抑制など環境対策も後手に回っている。

 北京で記者会見した日本鉄鋼連盟の三村明夫会長(新日本製鉄社長)は、「中国の環境問題は日本にとっても問題。環境関連技術をできるだけ中国側に提供したい」と述べた。

粗鋼生産…造船・自動車好調で31年ぶり1千万トン台

2005年06月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本鉄鋼連盟が20日発表した5月の粗鋼生産は、前年同月比4・3%増の1004万2000トンとなり、月間としては過去9位の水準で、1974年8月以来、約31年ぶりに1000万トンを超えた。

 造船向けの厚板や自動車向けの各種鋼材が好調だったことが要因で、製品の対中国輸出が増えていることが背景にある。

 鋼種別では、自動車部品などに使う特殊鋼が前年同月比8・2%増の215万2000トンと過去最高を記録。広い用途に使われる普通鋼も3・3%増の789万トンと伸びた。

鋼材需要:4〜6月期、高水準の見通し

2005年04月01日 毎日新聞 東京朝刊Mainichi INTERACTIVE

 経済産業省が31日発表した4〜6月期の鋼材需要見通しによると、自動車、造船の生産増を背景に、国内鋼材需要は1896万トン(前年同期比2・1%増)という高水準の予想となった。輸出分を合わせた全体の鋼材需要は2575万トン(同0・4%増)。鋼材の需給は04年度後半からひっ迫してきたが、「鉄鋼各社が進めている生産能力増強策が立ち上がるまで、厳しい状況は続く」(新日鉄幹部)という見方が強い。【小川直樹】

鉄鋼3社、株式の持ち合い強化検討 敵対的買収に対応

2005/03/30 The Sankei Shimbun

 新日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所は30日、鋼材供給の事業提携を拡充するとともに、敵対的買収などに共同して対応するため、3社が株式持ち合いの強化を検討すると発表した。国際的な競争力の向上も狙い。

 鉄鋼3社の連携強化は、ライブドアによるニッポン放送への敵対買収の動きなどを背景に、危機感が日本の基幹産業にまで波及したことを示し、他産業の買収防衛策にも影響を与えそうだ。

 提携強化は新日鉄の三村明夫社長、住金の下妻博社長、神戸製鋼の犬伏泰夫社長がこの日、都内で共同記者会見し表明した。

 3社は現在、それぞれ発行済み株式の0・30−2・55%程度(2004年9月末時点)を保有。今後、追加で取得する規模や時期については未定だが、敵対的買収など資本市場の変化にどのような対応策があるかを含め共同で検討する方針だ。

 新日鉄の三村社長は、持ち合い強化検討の狙いについて「買収防止策ではなくアライアンス(提携)の強化のため」としながらも「株価に技術力の優れた点が反映されていない。常にそういう(敵対的買収の標的になる)可能性はある。潜在的な脅威に備えたい」と述べた。

 また、住金の下妻社長は「資本市場が迅速に動いている中で(企業が)無防備との批判がある。無防備と言われないよう勉強しようということ」と説明した。

 鋼材の供給面では、新日鉄と神戸製鋼が住金の子会社に出資し、半製品の鋼材余剰分を新日鉄などに供給するなど提携を拡充する。

 3社は02年に資本提携を発表し、分野によっては事業統合なども進めてきた。

 <株式持ち合い> 資本の安定を目的に、友好関係にある会社同士が互いに株式を保有すること。資本自由化で外資による会社支配の懸念が強まり、1960年代後半から急速に広まった。バブル崩壊後の業績悪化で、銀行を中心に持ち合いを解消する動きが加速し、外国人の株式保有比率が急拡大した。このため事業会社の中には、株式の相互保有や資本提携を強化したり、取引先に株式保有を依頼するなどの動きが出ている。買収への防衛策とはなるが、多数の株主による経営監視の側面からはマイナスとなる。(共同)

粗鋼900万トン突破 JFE西04年倉敷地区生産

2004/12/23 中国新聞地域ニュース
 JFEスチール西日本製鉄所(福山・倉敷市)の二〇〇四年の粗鋼生産量が、倉敷地区で川崎製鉄時代を含めて初めて九百万トンを突破し、福山地区でも一年通して高炉四基体制となったNKK時代の一九九九年以降、最高となる見通しとなった。

 合計では前年比4・7%増の千九百七十六万二千トンと、国内外の旺盛な鉄鋼需要を背景に高水準となる。

 両地区とも十二月はまだ計画段階だが、生産は順調。倉敷地区は九百二十九万七千トンと前年比10・0%増と大幅に伸びた。ここ数年は七百万〜八百万トン台で推移していた。

 第四高炉を二〇〇一年、第二高炉を〇三年に改修して炉容積を拡大したため、粗鋼の原料となる銑鉄の量が増加。粗鋼に仕上げる転炉の年産能力千百万トンを生かせる環境になった。

 福山地区は千四十六万五千トンと同0・5%増えた。前年からフル操業が続いている中、各設備の操業度をアップして生産を効率化し、微増ながら伸ばした。

世界粗鋼生産、10億トン突破 中国の急成長など背景

2004/12/22 The Sankei Shimbun
 国際鉄鋼協会(IISI)は21日までに、2004年の世界の粗鋼生産量が推計で初めて10億トンを突破したと発表した。来年も10億トンを超える見通し。

 1999年まで年間7億トン台で推移していた世界の粗鋼生産量は近年急拡大した。要因として、中国をはじめとする新興国の経済成長に伴う鉄鋼需要の急拡大が指摘されている。先進国でも生産は堅調で、日本も今年は中国などへの輸出や自動車向けなど国内外の需要を背景に、24年ぶりの高水準になるとみられている。

 中国の11月末現在の生産量は約2億4530万トンで、前年同期比22.1%増加。このほか北米は同7.7%、欧州連合(EU)は同5.1%それぞれ増えた。

 同協会は約60カ国のデータを集計。世界の粗鋼生産は2000年に8億トン、02年に9億トンを、それぞれ突破した。(共同)

鉄鋼原料炭価格、来年度は2倍に…鋼材価格の上昇必至

2004/12/11 読売新聞 Yomiuri On-Line
 新日本製鉄は11日、鉄鋼の原料となる石炭の購入価格について、豪州の鉱山会社からの2005年度の購入価格が1トン当たり120ドル台と、今年度(約60ドル)の約2倍に値上がりすることを明らかにした。

 これまでの交渉で合意に達したもので、現在交渉中のカナダの鉱山会社とも、同水準の価格で決着しそうだ。他の鉄鋼大手も追随すれば、国内全体で約4000億円のコスト増加要因となる。同様に鉄鉱石も来年度は大幅値上げが見込まれ、来春の鋼材価格はさらなる上昇が避けられない状況だ。

 鉱山会社は、世界的な鉄鋼需要の増加に伴う原料需給のひっ迫に伴い、来年度の石炭や鉄鉱石の大幅値上げを要求している。

 これに対し、新日鉄は、日産自動車が生産停止に追い込まれるなど国内での鋼材不足が深刻さを増していることから、鋼材の安定供給のため、鉱山会社の要求をほぼ受け入れ、原料確保を最優先することにした。

神戸製鋼所、独自開発の「新型回転炉」を中国で販売へ

2004/12/09 読売新聞 Yomiuri On-Line

 神戸製鋼所は8日、独自に開発した「新型回転炉」を中国で販売する方針を明らかにした。

 コークスを使わない効率の高い製鉄法で、鉄鋼の生産コストが軽減できるという。中国では効率の悪い小型高炉の建設を規制する動きが広がっており、新型炉への切り替えで、2006年までに250億円の受注を目指す。

 新型炉の年間の粗鋼生産能力は50万トン程度。「直接還元法」という製鉄法を用い、鉄鉱石と石炭を混ぜてドーナツ型の回転炉に入れる。

 高炉は銑鉄ができるまで8時間かかるが、新型炉は1時間10分程度で高炉と同品質の銑鉄が作れるという。高炉はいったん稼働すると20年以上止められないが、新型炉は動かしたり止めたりしやすく、需要に応じた生産調節もしやすい。

 また、新型炉はエネルギー効率が高く、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の単位当たり排出量が高炉に比べて2割ほど少ない。途上国に導入すれば、京都議定書に基づいて、自社の技術で減らした温室効果ガスを自社の排出枠に加える「クリーン開発メカニズム」として認められる可能性もあり、神戸製鋼は「CO2削減の有力手段としても普及を図っていきたい」(犬伏泰夫社長)としている。

自動車部品工業会の会長、鋼材不足の影響拡大を懸念

2004/12/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 日本自動車部品工業会の岡部弘会長(デンソー会長)は7日、記者会見し、深刻化する鋼材不足について、「(日産自動車やスズキ以外の)他の自動車メーカーも来年以降の鋼材を確保できるか、分からない」と述べ、影響拡大への懸念を示した。

 対応策として、岡部会長は「(鉄鋼メーカーに)生産計画を早めに示すことが必要」とした。また、部品メーカー間でも、元請けが、2次部品以下の下請けに、鋼材を回すなどの支援をすべきだとした。

生産休止、さらに1万5000台 鋼材不足で日産

2004/12/02 The Sankei Shimbun
 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は2日の記者会見で、鋼材不足から一時生産休止に陥る車が、これまでの見通しの2万5000台に加え、新たに最大1万5000台見込まれることを明らかにした。

 年間の国内販売台数が膨らむ来年3月に予想され、約60億円の減収になるという。4月以降は鋼材不足が解消に向かうほか、3月も米欧での生産などには影響はないとしている。

 同社は11月以降に国内工場の一部で5日間生産を停止し、2万5000台の生産に遅れが出る見込み。ゴーン社長は「明らかに問題があった」と述べ、生産計画にミスがあったことを認めた。

 ゴーン社長は、国内鉄鋼メーカーのほかフランスや韓国企業との取引拡大を目指す考えを示した上で、効率化のため調達を絞る“ゴーン流”は変えないことを強調した。(共同)

三井鉱山への出資検討 新日鉄、米鉄鋼に対抗

2004/11/20 The Sankei Shimbun
 新日本製鉄が、産業再生機構の支援を受けて経営再建に取り組む三井鉱山への出資を検討していることが20日、分かった。既に米鉄鋼大手のインターナショナル・スチール・グループ(ISG)が三井鉱山買収に名乗りを上げており、新日鉄がこれに対抗する形となりそうだ。

 中国など世界的な鉄鋼需要の拡大で、鉄鋼原料の需給が逼迫(ひっぱく)しているため、新日鉄は三井鉱山への出資で原料のコークスを安定的に確保したい考えだ。

 早ければ年内にも再生機構が支援企業を決めるために実施する入札に参加する見通しで、商社などとの連携や出資比率などを詰めていく方針。

 三井鉱山はもともと、新日鉄の八幡製鉄所(北九州市)やISGにコークスを供給してきた。新日鉄は9月、2006年から年間50万トンのコークスを10年にわたり購入することで、三井鉱山と合意。このため三井鉱山は休止中のコークス炉一基を再稼働させる予定となっている。

 三井鉱山は業績不振から03年3月期に債務超過に陥り、昨年10月に再生機構が支援を決定し、三井鉱山の株式の52%を保有している。

 <三井鉱山> 三井組が政府の三池炭鉱払い下げを受けて興した三池炭鉱社が前身。2003年3月期連結決算で石炭事業子会社向け貸倒引当金の計上によって債務超過となった。産業再生機構が株式の過半数を保有し、経営再建を進めている。粗鋼生産拡大に対応したいとする新日本製鉄の要請を受け、休止中の北九州事業所(北九州市)のコークス炉1基を、06年4月をめどに17年ぶりに再稼働させる計画。

鉄鋼メーカー大手が鉄鉱石争奪合戦…世界的需要増で

2004/11/03 読売新聞 Yomiuri On-Line

 鉄鋼メーカー大手各社が、鉄の原料となる鉄鉱石の確保に躍起となり、豪州やブラジルなどから長期的に鉄鉱石を調達する契約を結んでいる。

 世界的な鉄鋼需要の高まりで、鉄鉱石の争奪戦が激しさを増しているため、各社は購入契約を長期化し、原料不足を回避する構えだ。

 新日鉄は10月に、英・豪系の鉱山会社と、豪州の鉱山から20年以上にわたって鉄鉱石を長期購入する最終契約を結んだ。新日鉄としては過去最長の契約期間で、世界的にも異例の長期契約だという。

 鉄鋼各社は、世界的に鉄鋼需要が低迷した1990年代に購入契約を3―5年程度に短期化し、さらなる需要落ち込みに備えた。しかし、2000年以降、中国の経済成長などによって鉄鋼需要が急上昇し、今後も高水準を保つとみられることから、鉄鉱石の安定確保が業界の大きな課題となっている。

 JFEスチールは2005年度以降、豪州の鉱山から11年間、年1600万トン、ブラジルの鉱山から10年間、年1000万トンを、それぞれ購入する。豪州では新たな大型契約も調整中で、必要量の9割程度を長期契約によって確保する方針だ。

新日鉄:宝山との合弁会社設立は6月にも最終合意

2003年04月23日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 新日本製鉄の三村明夫社長は23日の記者団との懇談で、中国最大の鉄鋼会社、上海宝山鋼鉄との間で検討している自動車用鋼板事業の合弁会社設立について、6月にも最終的に合意できる見通しを明らかにした。

 合弁会社は上海市に設立される予定で、出資比率は宝山50%、新日鉄側が提携関係にある鉄鋼世界最大手のアルセロール(ルクセンブルク)などと組んで計50%を出資する見通し。自動車のボディーなどに使用される高品質の鋼板を生産する。 【宇田川恵】

JFEスチール発足 世界最大の粗鋼年産

2003/04/02 中国新聞地域ニュース
 収益力でも「最強」目指す

 JFEグループの鉄鋼事業会社「JFEスチール」が一日発足し、旧NKK福山製鉄所(福山市)と旧川崎製鉄水島製鉄所(倉敷市)を一体運営する西日本製鉄所がスタートした。粗鋼年産能力千九百万トンは世界最大。基幹製鉄所として収益力でも「最強」を目指す。

 西日本製鉄所の粗鋼年産能力は、国内二位の新日本製鉄君津製鉄所(九百万トン強)の約二倍。韓国・ポスコ光陽製鉄所(千五百万トン)を抜き、世界一となった。

 従業員は、福山地区(旧NKK福山)約三千八百人、倉敷地区(旧川鉄水島)約三千四百人の計約七千二百人。課題の一つに掲げる「早期の融和」を促すため、生産部門の部長や管理職ら約六十人が入れ替わった。

 事業統合に伴い、既に休止した倉敷地区の高炉一基に加え、二〇〇三年十月に福山地区の第一大形工場や倉敷地区の中形形鋼工場を休止する。鋼種を集中化するなど設備を集約して最適生産体制を構築。収益力の向上を図る。

 山中栄輔専務執行役員所長は「福山、倉敷両地区の高度な技術力と実行力を最大限に発揮し、量、質ともに世界ナンバーワンの製鉄所を目指す」と述べた。

 この日、両地区で実施した開所式には管理職ら計八百人が参加。入社式は福山で開き、JFE西日本一期生百二十二人(福山地区七十二人、倉敷地区五十人)が臨んだ。

 NKKと川崎製鉄は昨年九月、共同持ち株会社「JFEホールディングス」を設立して経営を統合。今回、その傘下に事業分野別にJFEスチールやJFEエンジニアリングなど五子会社が発足し、完全統合した。

 JFE社長が本社で記者会見

 一日発足したJFEスチールの半明正之会長と数土文夫社長は、東京都内の本社で記者会見し、東西両製鉄所を構成する旧NKKと旧川鉄の生産拠点の近さなど新会社の優位性を強調。鉄鋼業界の先行きや中国戦略などについて考えを示した。

 JFEスチールの二〇〇二年粗鋼生産量は、NKKと川鉄を合わせて二千五百九十七万トン。単独では大きく水を開けられていた新日鉄の二千九百三十七万トンに迫った。

 純粋持ち株会社のJFEホールディングス傘下にあるため、意思決定が二段階になる懸念に対して、数土社長は「(ハードルを)乗り越えて実績でこれから示す。二年後、三年後を見てほしい」と自信を示した。

 世界の鉄鋼需要は増え続け、数年後には十億トンを突破するという予想もある。半明会長は「鉄の市況は回復基調で、非常にいいタイミングで発足できた。時の利があるうえ、西日本、東日本の両製鉄所とも、近いところに(旧NKKと旧川鉄の)製鉄所があり、地の利もある」と統合の成功に自信を示す。

 ただ、自動車産業を柱に鋼材需要が伸びている対中国戦略について、半明会長は「どういう形で進出していくか検討中」として、具体的な回答は避けた。世界的に進む業界再編では「今後生き残れるのは十社程度。活力のある会社として、日本が何社残れるかが問題」と強調した。

新日鉄が中期計画、経常利益3・3倍増めざす

2003/04/01 読売新聞 Yomiuri On-Line
 新日本製鉄は1日、中期経営計画(2003―2005年度)を発表した。2005年度の経常利益を2002年度(見込み)比で3・3倍増の2500億円、有利子負債を同3400億円減の1兆6000億円とするとしている。これらの目標値は、JFEが1月下旬に発表した数値と同額で、売上高もほぼ同規模のライバルを、強く意識した内容となった。

 新日鉄の3村明夫社長は目標値について「JFEの発表前から固まっていた」と説明しているが、両社の収益力強化策は、国内の鋼材価格の値上げの実現と、中国を中心とするアジア向け輸出の増加を見込んでいる点でも共通している。

 一方で、微妙な違いが見えるのが、コスト削減策とアジア戦略の中身だ。JFEが生産ラインの削減などで970億円のコスト削減を見込んでいるのに対して、新日鉄は主力製鉄所の高炉の生産量を増強し、外部から購入していた半製品を自社で生産することなどで1300億円のコストを削減するとしている。

 また、アジア戦略では、JFEが鋼材の母材となる半製品輸出を増やすことを目指しているのに対して、新日鉄は輸出する鋼材を付加価値の高い製品に切り替えていく戦略で、中国の鉄鋼メーカーとの差別化を図りたい考えだ。

鉄鋼セーフガード:WTOに紛争処理小委を設置要請へ 経産省

2002年05月20日 Mainichi INTERACTIVE
 経済産業省は20日、米国の鉄鋼セーフガード(緊急輸入制限)は世界貿易機関(WTO)のルールに反するとして、21日、WTOに紛争処理小委員会(パネル)設置を要請する方針を決めた。

鉄鋼セーフガード:日本の「報復」に現実味 米との対立先鋭化

2002年05月02日 Mainichi INTERACTIVE
 米国の鉄鋼セーフガード(緊急輸入制限)発動をめぐるワシントンでの日米閣僚協議が1日、物別れに終わり、対抗措置として日本が準備している報復関税の発動が現実味を帯びてきた。報復関税について、日本が「世界貿易機関(WTO)ルール上正当な権利」と主張しているのに対し、米は「WTOルールに反する一方的措置」と反論。対抗措置を規定したWTO協定に関する解釈の違いが対立を先鋭化させている。


鉄鋼大手5社、鋼材製品価格を一斉に値上げ

2002/04/03(読売新聞)YAHOO!ニュース鉄鋼
 新日本製鉄など鉄鋼大手5社は、今月から一斉に、薄板などの鋼材製品価格を1トン当たり3000―1万円程度値上げした。昨秋からの減産の効果で在庫調整が進んだため、世界でも最も安いレベルにある国内の鋼材価格を引き上げ、収益回復を図る。ただ、鋼材の国内需要は依然として弱含みで、値上げがどこまで浸透するかは未知数だ。

 新日鉄、NKK、神戸製鋼所は、1日出荷分から熱延鋼板の店売り価格をトン当たり3000円、冷延鋼板を同5000円、それぞれ値上げした。川崎製鉄も建築用厚板の店売り価格を同1万円引き上げたほか、住友金属工業も表面処理鋼板を同1万円値上げした。

欧州鉄鋼3社が合併に合意、世界最大規模に

2001.02.19(22:03)asahi.com
 欧州の鉄鋼最大手ユジノール(フランス)と同業のアルベット(ルクセンブルク)、アセラリア(スペイン)は19日、今年秋をめどに合併する、と発表した。合併後の粗鋼生産高は新日本製鉄、浦項総合製鉄(韓国)を抜いて世界最大となる。合併で経費削減を図り、アジアや南米勢との競争で生き残りを目指す。なお、ユジノールが今年1月に発表した新日鉄との包括提携は、合併会社が引き継ぐとしている。

 合併で生まれる新会社はルクセンブルクに本社を置き、それぞれの交換比率で換算した出資割合は、ユジノール56.5%、アルベット23.4%、アセラリア20.1%。3社の2000年の粗鋼生産量は計4600万トンで、現在世界一を争う新日鉄と浦項の約2800万トンを大きく上回る。合併後の従業員は11万人、総売上高は300億ユーロ(約3兆2000億円)になる。

 生産、物流面での効率化を進め、2003年に3億ユーロ、2006年に7億ユーロの経費削減を目指す。

新日鉄、粗鋼生産量世界一を奪還か 韓国・浦項を抜く

2001.02.08(18:48)asahi.com
 鉄鋼大手の新日本製鉄は8日、2000年の粗鋼生産量が前年比15%増の2809万トンになったことを明らかにした。前年世界一の韓国の浦項総合製鉄は2773万トンで、40万トン近い差をつけて浦項を抜いた。

 日本の鉄鋼業は一昨年からアジアの景気回復に引っ張られ、輸出分を中心に増産に転じた。昨年は国内で1億644万トンと3年ぶりに1億トン台に乗せた。浦項製鉄も前年より生産を伸ばしたが、新日鉄には及ばなかった。

 世界順位は毎年3月ごろに英国の金属雑誌が発表している。欧州メーカーも好景気で生産量を伸ばしているが、新日鉄が97年以来、3年ぶりの世界一になる可能性が高まっている。

鉄鋼大手、世界規模でシェア争奪戦

2001.02.04(10:24)asahi.com
 日本の鉄鋼大手が、欧州やアジアの鉄鋼会社との協力関係作りで、火花を散らしている。鉄材を大量に購入する自動車メーカーの国際再編が進み、自動車の生産拠点が世界的に広がっていることが背景にある。過剰設備を抱える各社は、販路の拡大にしのぎを削り、シェアの争奪戦も各地で同時多発の様相だ。

 「自動車側との価格交渉で、今後、優位さを取り戻すことができるのか」

 1月下旬、国内最大手の新日本製鉄は、欧州最大手の仏ユジノール社との提携について、東京・大手町の本社で説明会を開いた。席上、証券アナリストから質問が飛んだ。

 新日鉄の役員は「これだけではそうはいかない」と否定しながらも、「自動車の生産はグローバル化しており、世界各地で同じ素材の供給が必要」と、提携の意義を説明した。

 新日鉄は粗鋼生産量が世界2位で、ユジノールは同3位。提携の目的は1月に稼働したトヨタのフランス工場にある。新日鉄はこの工場に納入するユジノールに技術支援する予定だ。

 日本の他社も手をこまねいているわけではない。国内2位のNKKは、技術ではユジノールと並ぶ独ティッセンクルップ社との提携に意欲を見せる。神戸製鋼所も欧州勢との提携を検討している。

 日本の大手は1980年代、自動車メーカーの進出に合わせて米国へ相次いで出た。当時は資本参加や合弁事業だったが、今回は「欧州は敷居が高い」と提携という柔らかな形をとってグループ化する。

 こうした提携の動きは、日本の鉄鋼各社の世界市場での対立に新たな波紋を広げつつある。

 新日鉄は、ユジノールとの技術交流で欧州の規格、仕様に対応できる。それだけでなく、ルノーなど欧州の自動車会社がアジアに進出してきたときに、鋼材を供給することを狙う。提携する世界最大の韓国・浦項総合製鉄と3社で、アジアや米国でも共同事業を展開する構えだ。

 独メーカーとの提携を探るNKKも同様だ。

 国内でも、日産はこれまで大手5社に固定していた納入実績を改め、昨年は新日鉄のシェアが3割から6割にはねあがった。ゼロになった住友金属工業、半減したNKKは反発する。

 日本鉄鋼業界は全体の2割が過剰設備といわれ、価格の低迷から売上高の減少にも苦しむ。「勝ち組の自動車メーカーに乗ることができるのかが鉄鋼メーカーの生き残りのカギ」(証券アナリスト)であり、世界規模でのグループ化はさらに加速しそうだ。

韓国の浦項と現代自が対立 日本の鉄鋼シェア争いが影

2001.02.04(10:26)asahi.com
 世界最大手の韓国の浦項総合製鉄と、現代自動車グループが自動車用の冷延鋼板の原料となる熱延鋼板(ホットコイル)の供給を巡って対立を深めている。浦項製鉄は新日本製鉄と、現代自動車系列の現代ハイスコ(旧現代鋼管)は川崎製鉄とそれぞれ提携を結んでおり、ここでも日本の鉄鋼業界の勢力争いが影を落とす。

 発端は、ハイスコが、浦項製鉄に熱延鋼板の供給を求めてきたのに対し、浦項製鉄が「冷延鋼板で競合するメーカーを助けることはできない」と、応じなかったことだ。

 これに対し、現代自動車の鄭夢九会長は、「浦項製鉄は海外に低価格で輸出しながらハイスコだけに売らないのは理解できない」と反発。今年、ハイスコから調達する冷延鋼板の増量、つまり浦項製鉄からの購入減という対抗措置を表明した。

 関係者によると、浦項製鉄は現代・起亜自動車に今年、自動車用冷延鋼板を135万トン供給すると伝えたが、現代・起亜は49万5000トンだけを購入すると回答したという。ハイスコは、この縮小分を「川鉄などから調達」し、現代自動車グループに提供する見通しだ。

 両者の争いは、提携している新日本製鉄と川鉄の争いも激化させ、日韓の鉄鋼貿易にも影を落とす。

 資金繰りに苦しむハイスコの首脳は昨秋、日本を訪れ、三菱商事などの大手商社を回って出資を要請した。だが、いずれも応じず包括的な提携関係を結んだ川鉄だけとなった。川鉄首脳は「浦項と、提携した新日鉄の両方から圧力がかかり、商社が出資できなかった」と憤る。

 川鉄は、ハイスコと組むことで、「現代自動車が海外に進出する際、他社より有利な立場に立つ」(同社首脳)ことも狙う。川鉄が先行した欧州のユジノールとの提携交渉では、新日鉄に逆転された苦い思いもある。

 一方の浦項製鉄は、「川鉄が韓国市場に値下げ攻勢を掛け、市場を混乱させた」と、川鉄を含む日本の大手を反ダンピング(不当廉売)提訴する動きも見せる。

NKKがドイツ社と提携交渉 新日鉄に対抗

2001.01.25(11:54)asahi.com
 鉄鋼国内大手のNKKとドイツの大手機械・鉄鋼メーカーのティッセンクルップが提携交渉に入っていることが25日、分かった。自動車鋼板の技術交換が中心で、合意すれば、新日本製鉄が23日に仏ユジノールと調印したのに続き、欧州鉄鋼企業との提携としては2例目となる。

 日本の国内大手は、自動車メーカーの国境を越えた再編への対応が求められ「世界の各地で同じレベルの製品を供給する体制が必要」(千速晃・新日鉄社長)と欧州への足がかりを求めていた。NKKはティッセンクルップと協力関係を築くことで、日本の自動車メーカーの欧州進出に対し、有利な立場を得ることになる。

 NKKは粗鋼生産量は1161万トンで世界10位で、国内では新日鉄に続く。ティッセンクルップの粗鋼生産量は1650万トン(1999年)と世界8位で、欧州ではユジノールに継ぐ規模。

三菱商事と日商岩井、鉄鋼部門を来年秋めどに統合へ

2001.01.24(20:22)asahi.com
 三菱商事と日商岩井は両社の鉄鋼部門を統合する方針を固めた。25日にも発表する。鋼材の加工拠点の共同利用や電子商取引などの分野で提携を進めたうえで部門統合を目指す。自動車や建設といった鋼材の大口需要家はいずれも厳しい競争を強いられていることから、仲介役の商社も収益が悪化している。このため、総合商社の鉄鋼部門では再編が続いており、三菱商事と日商岩井も事業を統合することで効率化を目指す。

 提携の対象は、鋼板や線材などを扱う鉄鋼製品部門になる見込み。鉄鉱石や石炭など原料部門は、採掘権を持つ鉱山があり、比較的利益率が高いことから、両社に残す見込みだ。

 統合する方法としては、両社の鉄鋼部門を分社し、来年秋をめどに共同で新会社を設立する形が有力だ。両社の鉄鋼部門全体の売上高(単体ベース)をそのまま足し合わせると2兆円を超え、商社トップの三井物産を上回る。

 自動車メーカーなど大口需要家が鋼材の納入先の高炉メーカーを絞るなど価格引き下げの動きが広がり、商社も手数料の引き下げを迫られている。さらに、国内の鉄鋼需要も頭打ちになると予想されるなど、商社の鉄鋼部門を取り巻く環境は悪化している。

 旧財閥系商社で事業部門を分社させるのは今回の三菱商事が初のケースになる。事業部門の分社化を進めている日商岩井にとっても、鉄鋼は創業時からの主力部門で現在も売上高の2割程度を占めるが、採算の悪化から分社化を迫られた。

新日鉄と仏ユジノール、自動車鋼板製造を中心に提携

2001.01.23(22:16)asahi.com
 鉄鋼の国内最大手の新日本製鉄と欧州最大手の仏ユジノールは23日記者会見し、自動車鋼板の製造を中心とした「グローバル戦略提携契約」を結んだことを正式に発表した。具体的な事業は今後決めるが、両社は「世界各地で同じレベルの製品を供給できる体制をつくりたい」と説明。自動車メーカーの世界戦略が提携の大きな要因であることを明らかにした。

 発表によると、具体的な協力内容は(1)自動車鋼板での共同事業(2)既存技術の交換や研究開発(3)北米などでの合弁事業(4)OEM(相手先ブランドによる生産)(5)資材の共同購買や電子商取引、などで、提携期間は10年という。

 記者会見した木原誠副社長によると、今回の提携交渉は、昨秋にオーストラリアで開かれた国際鉄鋼協会の会合に両社首脳が出席したことで本格的に始まった。さらに、「(1月中に稼働する)トヨタのフランス工場が大きな要因となった」と述べ、トヨタが現地で調達する自動車鋼板について、両社が協力していくことを明らかにした。

 一方、ユジノールは昨年、川崎製鉄とも提携交渉を進め、今年1月11日に正式に交渉が打ち切られたばかりだ。ユジノールのリコー副社長はこの事実を認め「新日鉄と我々の戦略が一致した、ということだ」と述べた。

 今回の提携について日本の大手鉄鋼メーカーからは「この提携によって自動車メーカーとの交渉力が付き、鉄鋼価格の安定につながることを期待したい」と歓迎する声がある一方、「新日鉄の力がさらに強まり、一人勝ちにつながりかねない」と懸念する声も強まっている。

新日鉄、仏社と鋼板で提携

2001.01.20The Sankei Shimbun
 新日本製鉄と欧州最大の鉄鋼メーカー、ユジノール(フランス)が、鋼板事業の提携で基本合意したことが二十日、明らかになった。二十三日にも発表する。自動車用鋼板などの製品を相互供給し、世界市場での競争力を高める。共同開発や第三国での合弁事業といった、幅広い提携関係に発展する可能性もある。

 新日鉄は昨年、世界最大手の韓国・浦項総合製鉄と提携強化で合意。アジア戦略を進めるかたわら、近く稼働するトヨタ自動車のフランス工場など、日本の自動車メーカー各社が生産拠点を持つ欧州でフ提携先を求めていた。

 粗鋼生産ランクで世界第二位の新日鉄は、一位の浦項製鉄、三位のユジノールと連携することになる。

 ユジノールは昨年から、川崎製鉄との提携交渉を進めてきたが、北米での事業展開で思惑が一致せず、年明けに交渉は破談。川鉄に代わるアジアでの有力提携先を探していた。

 ユジノールとの交渉決裂で欧州戦略見直しを迫られている川鉄のほか、NKKや住友金属工業など日本の鉄鋼大手は、海外メーカーとの連携強化に向け動きを活発化しそうだ。

ステンレス山形鋼も「クロ」仮決定 米商務省

2001.01.13【ワシントン12日=共同】The Sankei Shimbun
 米商務省は十二日までに、日本、韓国、スペインの三カ国から輸入されているステンレス山形鋼について、ダンピング(不当廉売)の事実があったと認定する「クロ」の仮決定を下した。

 ダンピング率は住友金属工業、大同特殊鋼、愛知製鋼の三社が一一四・五一%、その他の日本企業が七○・四八%。

 ステンレス山形鋼は、建設資材に使う特殊鋼。商務省は三月に本決定、米国際貿易委員会(ITC)は五月に本決定を出す見通しで、クロが出そろえば、最終的にダンピング課税が確定する。

 アジア金融危機後、米国への鉄鋼輸入が急増したのを受け、米鉄鋼業界はダンピング提訴を乱発。熱延鋼板、厚板など七品目でクロ、冷延鋼板、鉄筋棒鋼など四品目でシロの最終決定が出ている。

 業界は溶接ラインパイプ(大径管)を対象に新たな提訴に踏み切るなど、輸入制限を求める動きをまた強めている。

アジア鉄鋼業が大幅な過剰設備状態 研究会が報告

2001.01.02(23:51)asahi.com
 東南アジアの鉄鋼業界が日本を大きく上回る過剰設備の状態に陥っていることが、通産省と業界で作った研究会の調べで分かった。日本や欧米のメーカーが高い成長率を見込んで競って進出したことに加え、アジア通貨危機による急激な需要の減退も影響しているとみられる。研究会は「使われていない設備が本格的に動き出せば、日本の鉄鋼業界に大きな影響が出る」と指摘している。

 通産省とメーカー、大手商社は昨年6月、「アジア鉄鋼市場と日本鉄鋼業研究会」(座長=浦田秀次郎・早稲田大学教授)を組織し、アジアの需給状況や、10年後の見通しを話し合い、12月下旬に報告書にまとめた。

 報告書によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)7カ国では、年間で計2411万トンの粗鋼生産能力があるが、1999年の実際の生産量は855万トンと設備能力の35%しか使われていなかった。

 国別では、タイの稼働率が21%、マレーシアが30%、インドネシアが41%などとなっていた。日本の鉄鋼業界も設備の過剰感が強いが、それでも1億4694万トンの生産能力に対し、64%にあたる9419万トンの生産があった。韓国は84%、中国は88%と高かった。

 特に過剰感が強いタイでは、熱延鋼板の生産設備で約600万トン分の建設計画が中止・遅延に追い込まれていた。新日本製鉄やNKKなどが競って進出した冷延鋼板でも、63%が未利用だった。タイには自動車メーカーが競って進出したため、各鉄鋼メーカーも製鉄所をつくったらしい。

 研究会は「(順調に稼働する)成功例も多い」と指摘したが、「利益を上げていないものや撤退したものも見られる」と供給過剰な状態を認めた。その上で、「需給動向などについて現地と共通認識を持ち、リスク回避の視点が必要」と、資本参加や技術支援などでかかわりが深く、プロジェクトの多くをリードした日本の企業に反省を求めた。

 日本の大手商社幹部は「巨大な過剰設備の原因は我々商社とメーカーと銀行が一緒になってつくった。設備を輸出し『つくれ、つくれ』とあおった。この状態では、並の経済回復では設備は動かない。東南アジアに対して申し訳ないことをした」と話した。

 東南アジアの経済事情に詳しい浦田教授は「鉄鋼だけではなく、自動車や半導体など機械産業の多くが同じ構図にある。東南アジアの成長がさらに続くと見て、日本の企業などが90年代初めから設備をつくったツケを払わせられている。通貨危機のせいと言うよりも、需要を過大に見込んで進出を競った結果で、構造的な問題と言える」と説明している。

日鉄物流と八幡船舶が元日付けで合併

2001.01.01(09:03)asahi.com
 新日本製鉄系の物流業、日鉄物流と海上運送の八幡船舶(いずれも本社・東京)が1日に合併する。元日に、東京都内のホテルで取締役会を開き、新会社の役員などを正式に決める予定だ。社名は日鉄物流を引き継ぐ。

 日鉄物流は従業員は約1100人。1999年度の売上高は428億円。鋼材の専用船などを持ち、飼料や大型プラントなどを輸送している。八幡船舶は従業員数約150人で、売上高は同107億円。新会社の社長には阿部久・日鉄物流社長が就く。

 両社は昨夏、合併で基本合意し、「21世紀の最初の日で、どうせなら縁起がよく、めでたい日からスタートしたい」(阿部社長)と合併期日を2001年元日に決めた。

アジア市場の将来を鉄鋼業界に「警告」 通産省研究会

2000.12.24(03:05)asahi.com
 日本の鉄鋼輸出の7割を受け入れているアジア鉄鋼市場について、通産省の主催する研究会が「10年後、日本が現在の地位を保っているかどうかは分からない」との報告書をまとめ、日本の輸出量が大幅に減る可能性を指摘していることがわかった。業界内には「輸出機会は今後も十分確保される」との楽観論も根強いが、同省が業界の将来に警鐘を鳴らした形だ。

 通産省が今夏、大手メーカーや商社幹部を加えて設けた「アジア鉄鋼市場と日本鉄鋼業研究会」(座長、浦田秀次郎・早大教授)の報告書で25日に公表する。

 報告書によると、10年後、日本を除き、韓国や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など各国の鉄鋼需要は1.2―1.8倍に伸びると試算した。だが、鋼板で見た場合、冷延工場など現地の生産能力が高まることが予想され、韓国や台湾は輸入超過から輸出超過に転じ、ASEANも輸入は激減すると予想し、「アジア地域は現在の輸入態勢から輸出超過に転じる可能性がある」と「警告」している。

 東南アジアに高炉を持つ一貫製鉄所が建設されるかどうかについても検討し「1国では無理だが、各国が協力すれば可能性がないとは言い切れない」と結論づけた。

 研究会は「アジアの鉄鋼業と提携・協力関係を強化し、無用な能力の拡充を抑える」と提言した。アジア各国で造られた工場には日本企業がかかわるケースが多く、やみくもな直接投資や設備の拡張競争を控えるよう求めている。

 各国からの要望が強い技術移転については業界内に慎重な意見もあるが「日本が無視すれば欧米が出てくる。日本の技術水準を不断に向上させ、トップレベルを維持していくしかない」と明記した。

通産省が、米中韓と鉄鋼めぐり協議へ

2000.11.11(08:35)asahi.com
 通産省は10日、鉄鋼製品に対する米国の一連の反ダンピング(不当廉売)措置に対し、韓国と協力して対応していくことを明らかにした。また、鉄鋼貿易に関し中国政府とも定期的な会合を持つことで合意したほか、今月中旬には米国と局長級の鉄鋼協議を予定している。同省は主要国と話し合いを重ねることで、反ダンピング措置を使った保護主義の動きを抑え込む方針だ。

 7日にソウルで開かれた日韓鉄鋼対話では、ダンピング認定で得られる関税収入を提訴した企業が「山分け」する米国の「バード修正法」の不合理さで意見が一致した。通産省は世界貿易機関(WTO)へ提訴する方向で検討し、韓国側も「日本が提訴すればこちらもしたい」と提案があった。

 中国政府との話し合いも重視し、訪中していた通産省首脳は8日、国家経済貿易委員会と「日中官民鉄鋼対話」を定期的に開くことで合意した。中国は今春、日本と韓国製のステンレス冷延薄板に対し、突然、ダンピング認定し、日本の鉄鋼業界は大きな衝撃を受けた。このため官民から中国との定期協議の必要性が指摘されていた。

 また、米政府団も今月中旬に来日し、15日に局長級協議が行われる予定だ。通産省はバード修正法を批判し、米鉄鋼業界の構造調整が遅れていることを指摘する方針だ。

カナダがダンピング調査

2000.11.04【ワシントン3日=共同】The Sankei Shimbun
 カナダ政府は三日、日本などから輸入されている建設用資材向け鉄筋棒鋼が、不当に安い価格で輸入され市場占有率や価格面などで損害を受けているとの国内鉄鋼企業の提訴を受け、ダンピング(不当廉売)調査を開始した。

 カナダ国際貿易裁判所が六十日以内に、国内企業の被害の有無を調査し決定を下す。また九十日以内にカナダ国税庁もダンピングの事実関係について仮決定を出す見通し。

 日本製の鉄筋棒鋼を対象とするダンピング調査では、米国で今年八月に国際貿易委員会(ITC)が米国内企業に被害を与えていないとする「シロ」の仮決定を下し、米商務省が本決定を出す前にダンピング調査が終結した事例がある。

鉄鋼大手堅調に回復、4年ぶりに大手5社黒字へ

2000.09.08(21:12)asahi.com
 鉄鋼大手各社は8日、2001年3月期(2000年度)の決算見通しを発表した。昨春からアジア向けの輸出が好調で各社とも粗鋼生産量を伸ばしていることから、連結決算の見通しでは1996年以来、4年ぶりに大手5社がそろって当期黒字と見込んでいる。だが、今年度後半には「輸出環境は様変わりする」との指摘もある。

 今年度の粗鋼生産量は各社とも1億300万―1億400万トンと見ている。昨年度の9800万トン、一昨年の9098万トンと比べて着実に増えそうだ。今年度前半で各社は昨年同期に比べて1、2割、生産量を増やしている。一方、鉄鋼価格は国内向けを中心に低迷気味で、売上高に影響を与えている。

 今後の見通しについて、新日本製鉄は「年度後半は減速する。価格を見ながら生産量を落とさざるを得ない」(関哲夫副社長)という。これに対し、川崎製鉄は「アジアの好調はまだ続く。年度後半は前半を上回る利益が確保できそうだ」と強気な姿勢をみせている。

住金が鹿島製鉄所を増強 需要増に対応

2000.08.29(20:22)asahi.com
 鉄鋼大手の住友金属工業は29日、同社の主力工場の鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)の生産体制について、これまでの年700万トンを2006年をめどに、年800万トンに増強すると発表した。同社は一昨年の鉄鋼不況で大きな影響を受け、大規模なリストラ策をとってきた。だが、アジア景気の回復により昨年後半から国内の粗鋼生産量が急増し、同社も積極的な経営姿勢に転じた。

 投資額は計775億円を見込み、上田英一副社長は「長期的に見てもアジア需要は堅調。一方で販売競争は激化し、思うように製品を出荷できなければ致命傷になる」と語った。

 今回の増強計画で会社全体では年1200万トン体制から1300万トン体制になる。

米社、今度はステンレス製山形鋼をダンピング提訴

2000.08.19(08:03)asahi.com(時事)
 米鉄鋼メーカー、スレーター・スチールズ(本社インディアナ州)と全米鉄鋼労組(USW)は18日、日本、韓国、スペインの3カ国が建設用の構造部材などに使われるステンレス製山形鋼を不当に安い価格で対米輸出し、米業界に被害を与えているとして米国際貿易委員会(ITC)と商務省にダンピング提訴した。

 鉄鋼の対日ダンピング提訴は、17日のITC最終決定でステンレス製シームレス(継ぎ目無し)鋼管がシロ認定され、1997年以降11件に上った提訴案件すべての結論が出そろったばかりだが、米メーカーが間髪を入れずに新たな提訴に踏み切った形だ。

日本の鉄筋棒鋼ダンピング「シロ」確定/米ITCが仮決定

2000.08.15【ワシントン14日=時事】The Sankei Shimbun
 米鉄鋼業界が日本、韓国など十二カ国から輸入している鉄筋コンクリート用棒鋼をダンピング提訴している問題で、米国際貿易委員会(ITC)は十四日、日本など四カ国について「米産業に実質的被害も、被害を与える恐れもない」とする「シロ」の仮決定を下した。これらの国に関する調査は終結、シロ認定が確定する。

 一九九七年以降、十一件に上る対日鉄鋼ダンピング提訴で日本が勝訴したのはステンレス鋼線、冷延鋼板に続き三件目だが、ITCが仮決定段階で日本をシロと認定したのは初めて。

 仮決定時のシロ認定は異例で、米鉄鋼業界が、十分な証拠なしに、無理に提訴の対象を広げようとしたことが裏付けられた格好となった。

 対日提訴十一件のうち、係争中の案件はステンレス製シームレス(継ぎ目無し)鋼管だけとなり、十七日にITCが最終決定を下す。

 鉄鋼用棒鋼について、米鉄鋼業界は今年六月に提訴、日本製には四三−一八八%の反ダンピング関税を科すよう求めていた。

日本製のブリキもクロ ダンピング問題で米国際貿易委

2000.08.03(10:02)asahi.com
 日本製のブリキ製品のダンピング問題を審査してきた米国際貿易委員会(ITC)は2日、米産業が被害を受けたと認める「クロ」の最終決定をした。今後、日本製ブリキ製品に対しては反ダンピング関税がかけられる。11件提訴された一連の対日鉄鋼ダンピングで最終決定が出たのは9件目で、そのうち7件が「クロ」と確定した。

 ブリキ製品は、主に缶詰の缶やビンの王冠などとして使われる。米商務省は先に、ブリキ製品のダンピング率を32%―95%と認定している。ITCの決定を受け、同率の反ダンピング関税が輸入品に課せられることが確定した。

 これに対し、日本の大手鉄鋼会社などで構成する日本鉄鋼情報センター(ニューヨーク)は「提訴した米高炉メーカーは1社だけで、米産業全体やユーザーの意見を代弁しているとはいえず、事実とかけ離れた決定だ」と強く抗議する声明を発表した。

米商務省がクロ決定 シームレス鋼管ダンピング問題で

2000.07.07(01:12)asahi.com
 米商務省は6日、化学プラントなどに使うステンレス製のシームレス鋼管の対日ダンピング(不当廉売)問題で、「不当に安い価格で対米輸出した」として「クロ」の本決定を下した。ダンピング率は62.14%―156.81%。産業被害の有無を審査して最終的なダンピング認定を行う米国際貿易委員会(ITC)の本決定は8月下旬の見込み。

鉄筋用棒鋼でも米業界がダンピング提訴

2000.06.30(00:54)asahi.com
 米鉄鋼業界は28日、建設資材として使われる「鉄筋用棒鋼」が日本などから不当に安い価格で輸入され被害を受けたとして、米国際貿易委員会(ITC)と商務省にダンピング提訴した。一連の鉄鋼ダンピング提訴として11製品目。6品目がすでにダンピング認定されている。

 今回提訴したのは8社で、43%から188%の反ダンピング関税をかけるよう求めている。

日本製シームレス管、米ITCが「クロ」最終決定

2000.06.10(12:26)asahi.com
 日本製のシームレスパイプ(継ぎ目なし鋼管)のダンピング問題を審査してきた米国際貿易委員会(ITC)は9日、米産業が被害を受けたと認める最終決定をした。今後、日本製シームレスパイプに対しては反ダンピング関税がかけられる。一連の鉄鋼ダンピングで「クロ」と最終決定したのは、先週のH形鋼に続き6件目。

 シームレスパイプは、石油掘削用などに使われる高級鋼材。先に「クロ」の判断を下していた米商務省は、シームレスパイプのダンピング率を69―108%と認定している。ITCの決定を受け、同率の反ダンピング関税が輸入業者に課せられることが確定した。

 米国のダンピング審査は、産業被害の有無を調べるITCと、不当廉売かどうかを調べる商務省が担当し、両方とも「クロ」とされた場合にダンピングと認定される。

日本製H形鋼をダンピングと最終決定 米国際貿易委員会

2000.06.03(00:26) asahi.com
 日本の鉄鋼業界の主力輸出商品の1つであるH形鋼のダンピング問題を審査してきた米国際貿易委員会(ITC)は2日、米産業が被害を受けたと認める最終決定をした。米商務省はすでにクロの決定をしており、ITCの決定とあわせ、H形鋼がダンピング商品と認定された。今後、日本製H形鋼に対しては反ダンピング関税が上乗せされる。

 H形鋼は建設資材に使われ、新日本製鉄、住友金属工業などが米国に輸出している主力商品。10種類の製品が提訴された一連の鉄鋼ダンピング問題で、ダンピング認定は厚板などに続き5件目。

 商務省は、H形鋼のダンピング率を新日本製鉄など6社が65%、その他を32%と認定している。同率の反ダンピング関税が輸入業者に課せられる。

 米国のダンピング審査は、産業被害の有無を調べるITCと、不当廉売がどうかを調べる商務省が担当し、両方とも「クロ」とされた場合にダンピングと認定される。

鉄筋棒鋼でも提訴か

2000年5月20日 16時09分【ワシントン共同】
 米鉄鋼業界が日本などから米国に輸入されている鉄筋棒鋼を対象に、ダンピング(不当廉売)提訴を検討していることが20日分かった。日本側関係者が明らかにした。

 米鉄鋼各社と労組は早ければ今月中に米商務省と国際貿易委員会(ITC)に提訴する方向で、ダンピング率の試算など調査を急いでいる。


神戸製鋼所

神鋼、USスチールと提携強化 自動車鋼板で研究開発

2001.01.09(20:29)asahi.com
 神戸製鋼所は9日、米鉄鋼最大手のUSスチールと共同で、自動車用鋼板技術の研究開発を始めると発表した。両社は1990年から米国でめっき鋼板生産の合弁事業をするなど提携関係がある。今回の合意は先端的な分野にまで踏み込んだもので、自動車メーカーの国際的な再編の動きに対応して、高品質の製品をアジア、北米の2大市場で同様に供給できる体制を築くのが狙い。

 神鋼は強度のある高張力鋼板で技術水準が高く、USスチールは特殊な成形加工や、コンピューターを使って鋼材の変形を予測する技術などが優れている。これらを駆使すれば車体の軽量化や加工工程の簡略化ができるため、低燃費車開発とコスト削減に重点を置く自動車メーカーへの売り込みにあたって、強い武器になる。提携によって新技術を相互に共有しながら研究開発を進め、神鋼は日本、中国を含むアジア向け、USスチールは、米国の自動車メーカー向けなどの生産に活用する。

 USスチールは昨年買収したスロバキアの製鉄会社を自動車用鋼板の生産拠点にする計画を持っている。神鋼は「この計画にどうかかわるか検討課題になる」としており、今回強化した両社の提携関係を欧州市場にまで広げたい考えだ。

神戸製鋼と住軽金が提携/アルミ関連事業で基本合意

2000.12.19 The Sankei Shimbun
 大手鉄鋼メーカーの神戸製鋼所とアルミニウム業界トップの住友軽金属工業は十九日、アルミ関連事業で業務提携することで基本合意したと発表した。需要増が期待できる建材以外のアルミ押し出し製品を中心に提携、コストを削減し競争力を強化するのが狙い。

 具体的には自動車や電気機器などの部品に用いられるアルミ製品で、生産の相互委託や、物流、資材購入、研究開発などの分野で共同化を検討。二○○一年末までに協力が可能な分野から順次実施していく。

 神戸製鋼は鉄鋼のほかにアルミも手掛け、同業界では二位の規模。

 主力のアルミ板材については「白紙だが今回の協力関係が具体化した後に、状況を見ながら判断したい」(住友軽金属)としている。

 アルミ押し出し製品は軽量で加工がしやすく、サッシなど建材として用いられてきたが、鉄道車両の補強部材やコピー機の部品など幅広い分野で需要が増えている。

 この製品の生産工場は、住友軽金属が千葉県柏市と名古屋市、神戸製鋼が山口県下関市にそれぞれあり、地理的に補完し合うことで輸送コストの削減が期待できる。

神戸製鋼所が半導体事業から撤退へ

2000.10.18(11:36)asahi.com
 神戸製鋼所の水越浩士社長は18日、東京都内で記者会見し、来年3月で半導体製造事業から撤退する、と発表した。次世代のメモリー競争に必要な設備投資の負担が重くなるため、合弁相手の米マイクロン・テクノロジー社に経営権を譲り渡す。大手鉄鋼各社は1980年代後半に相次いで半導体事業に進出したが、今回の撤退表明でほとんどの企業が手を引いた形だ。

 神戸製鋼所は同社が保有する合弁会社「KMTセミコンダクター」(本社・兵庫県西脇市、資本金421億円)の株式(全体の75%)をマイクロン社に譲渡する。神戸製鋼の借り入れ債務も引き渡すため譲渡価格は630億円になるという。

 本格的な事業展開は93年からで、当初は好調だったが、市況の下落で96年度から赤字になった。98年には合弁相手をテキサス・インスツルメンツ社から現在のマイクロン社に変えて立て直しを図った。昨年度は黒字で、今年度も市況の回復で約200億円の経常利益が見込まれたが、次世代技術に必要な投資額は2、300億円以上と言われ、継続を断念した。神戸製鋼の累積損失は約100億円という。

 鉄鋼大手では98年に最大手の新日本製鉄が半導体事業部門を売却して撤退し、NKKや住友金属工業も続いた。川崎製鉄は来春にも分社化して継続する方針だ。

神鋼、2003年に事業持ち株会社制へ

9:42p.m. JST May 10, 2000 asahi.com
 神戸製鋼所は10日、今年度から3年間の新しい中期経営計画を発表した。計画期間終了後の2003年をめどに、事業持ち株会社制へ移行することを明記。連結ベースで2002年度の売上高は1999年度見込みから9.2%増の1兆4300億円にとどめる一方、経常利益を99年度の5倍の650億円とすることを目標に掲げ、財務体質の改善に重点を置いた。

 法人税の連結納税制度を前提に、2003年をめどに導入する事業持ち株会社制は、鉄鋼事業を統括する本社の下に、溶接、アルミ・銅、都市環境・エンジニアリング、機械の4事業会社を従える。6月末に現在の社内カンパニー7社を統廃合し、準備を進める。

 水越浩士社長は「特殊鋼や高張力鋼板などで競争力があり、鉄鋼事業で他社との合併、統合をするつもりは全くない」と独自路線を強調したが、同社の特色であるアルミ部門での他社との提携は「将来はそうした動きもありうる」と述べた。


川崎製鉄

川崎製鉄と欧州最大手ユジノールの提携交渉が中止

2001.01.11(19:19)asahi.com
 鉄鋼大手の川崎製鉄は11日、昨年から進めてきた欧州最大手の鉄鋼メーカー仏ユジノールとの提携交渉を中止したと発表した。海外での共同事業について両社の意見が一致しなかった。

 川鉄は自動車メーカーの世界的な再編に対応するため、ユジノールと自動車用の鋼板について技術提携し、世界各地で同一規格の製品を提供することを目指してきた。だが、ユジノールは単なる技術提携にとどまらず、米国や南米への進出を図るための具体的な合弁事業も提案した。

 しかし川鉄は、合弁事業には巨額な出資が必要なこともあって「今回の提携交渉とは別の話。走りながら考えればいいことだ」(川鉄首脳)などと主張。意見がかみ合わず、実質的には昨年暮れから交渉が止まっていた。

 両社はブラジルで製鉄所を共同経営しており、川鉄広報室は「両社の友好・協力関係は今後とも変わらない」と強調している。

韓国・現代鋼管、川鉄と提携合意

2000.11.15(21:50)asahi.com
 韓国の現代鋼管は15日、川崎製鉄と包括的提携を結ぶことで合意したことを明らかにした。この提携で、川鉄側は高級車用鋼板生産の先進技術を移転し、冷延鋼板の材料であるホットコイルを安定的に供給するとともに、現代鋼管株を日本の複数の商社とともに最大40%ほど取得する方向でさらに詰めていくという。

 現代鋼管によると、12月初めを目標に提携契約を結び、年末までに川鉄からの出資を完了させる予定だ。

 提携合意にあたって、現代鋼管は「川崎製鉄との相互協力を通じて、高品質で競争力ある自動車用鋼板を安定的に供給するためだ」と述べた。最大40%の株売却で、現代鋼管は約1億6000万ドルの資金を確保できる見通しだとしている。

 同社は昨年4月に南部の全羅南道・栗村に冷延工場を稼働させ、自動車用鋼板生産の専門企業に生まれ変わるために、提携先を探していた。

川崎製鉄、欧州最大手鉄鋼メーカーと包括提携へ

2000.07.08(03:03)asahi.com
 鉄鋼大手の川崎製鉄が、世界3位で欧州最大の鉄鋼メーカー、仏ユジノールと、主力事業の自動車鋼板分野で包括提携する方向で最終調整に入っていることが7日、明らかになった。早ければ今月中にも正式に合意する見通し。自動車鋼板を共同開発し、世界規模で再編が進む自動車メーカーに対する営業面で連携していく方向で詰めの調整を続けている。日本の鉄鋼メーカーが欧州メーカーとの本格提携に踏み込むのは初めて。国内にとどまっていた鉄鋼業界の再編が海外に広がると同時に、自動車業界の世界的な再編が鉄鋼業界に波及し始めた。

 関係者によると、川崎製鉄は、持ち株会社であるユジノール傘下で自動車向け鋼板分野を担うユジノール・オート社との間で、開発を軸に営業なども含めて幅広い包括提携契約を結ぶ方向で最終調整に入っている。世界中でビジネス展開する自動車メーカーに対して同一品種の鋼板を世界各地で供給するため、鋼板を共同で開発していく見通しだ。将来は米国企業も加えて世界統一規格の鋼板を作ることをめざすとみられる。

 鉄鋼大手にとって、自動車用鋼板は収益性が高く、「主戦場」ともいえる主力分野。国内鉄鋼大手6社が、国内自動車大手8社に納入する自動車用鋼板は年間約700万トン、売り上げは4000億―5000億円程度にのぼるとみられる。

 自動車用鋼板分野での競争が生き残りを左右するといわれる。今年に入ってから、自動車用鋼板分野での新日本製鉄の拡大を警戒して、川崎製鉄とNKKが連携して対抗軸を結成するなどしていたが、鉄鋼業界の国内再編が海外メーカーを巻き込むことにもなる。

 川崎製鉄は、自動車業界の世界再編に対応する形で、鋼板供給も世界的に連携していく必要があると判断。ユジノールとは、ブラジルのツバロン製鉄の経営を共同で行っている経緯もあることから、昨年から協議していた。

 資本提携している仏ルノーと日産自動車は、コスト削減の目玉として車台の共通化を計画しており、川鉄とユジノールはこうした動きへの対応を狙っているものとみられる。

 ユジノールは1998年にベルギー最大手のコックリル・サンブルを買収。鉄鋼専門誌のメタル・ブレティンによると、99年の粗鋼生産量は2215万トンに達した。浦項総合製鉄(韓国)、新日本製鉄に次いで、世界3位で、欧州最大の鉄鋼メーカーになっている。

伊藤忠などのEC市場運営会社に川鉄商事も出資を検討

2000.06.10(03:08)asahi.com
 川崎製鉄系の川鉄商事が、伊藤忠商事、丸紅、住友商事などが設立する鉄鋼製品の電子商取引(EC)市場の運営会社、日本メタルサイトに出資する方向で検討していることが9日明らかになった。6月中に正式に決める見通しだ。

 日本メタルサイトは伊藤忠など3商社と米国のEC市場運営会社が出資、代金決済の役割を担うノンバンクも参加して6月中に設立される。7月の取引開始に向け、鉄鋼製品に加え、アルミや銅など非鉄金属も取引品目に加えるなどサービスを拡充する予定だ。

 総合商社では、三井物産、三菱商事などが同様のEC市場運営会社を設立。鉄鋼大手の系列商社も、総合商社に対抗して新日本製鉄系の日鉄商事が中心になってEC市場の運営会社を設立している。川鉄商事がメタルサイトに参加すれば、総合商社と鉄鋼大手の系列商社が入り乱れて、3陣営でしのぎを削ることになる。

川鉄とNKK、系列商社が電子商取引で提携へ

2000.08.27(09:26)asahi.com
 鉄鋼大手NKKの系列商社エヌケーケートレーディングが、伊藤忠商事、丸紅、住友商事などでつくる鋼材の電子商取引(エレクトリックコマース=EC)市場の運営会社、日本メタルサイトに出資することが、26日明らかになった。すでに、川崎製鉄系で鉄鋼専門商社最大手の川鉄商事が日本メタルサイトへの出資を決めている。川鉄とNKKは、鉄鋼業界トップの新日本製鉄に対抗して製鉄所間の物流などで提携交渉を続けているが、ひと足先に系列商社同士がEC分野で連携することになる。

 日本メタルサイトには、商社以外に米国の鋼材EC市場運営会社も出資している。エヌケーケートレーディングの出資比率などは未定だが、来年3月までに資本参加する予定だ。同社は「米国でEC市場運営に実績がある企業が出資しているうえに、金融、物流などの機能も充実しているので出資を決めた」と説明している。

 EC市場では、商社系列の流通業者や鋼材ユーザーの部品メーカーなどが参加して規格が決まった汎用(はんよう)品を中心に取引する。メタルサイトは8月中旬から取引に参加する企業の募集を始め、すでに170社あまりが申し込んだ。今後、9月下旬に全国で説明会を開いたうえで、同月末からインターネット上で取引を始める。


商社に対抗しメーカー結集

2000年4月27日17時16分
 新日本製鉄系の日鉄商事は27日、5月から営業を始める鋼材電子取引のサイト「鋼材ドットコム」に、住友金属工業系の住金物産、神戸製鋼所系の神鋼商事の2社が参加すると発表した。NKK系のエヌケーケートレーディングも近く参加の方向で、川崎製鉄系の川鉄商事も参加を検討している。鋼材取引では、三菱商事や三井物産など大手商社が、米国企業と組んだ大型サイトを7月にも開設する予定。

伊藤忠など、米社と共同でネットの金属製品取引市場開設

9:47p.m. JST March 06, 2000
 伊藤忠商事、丸紅、住友商事の3社は6日、インターネット上に金属製品の電子商取引(EC=エレクトリックコマース)市場を設立することで合意したと発表した。3社は、鋼材など金属材料専門のネット市場を運営する米国のメタルサイト社と共同で新会社を4月に設立、7月から実際に市場で取引が始まる。三井物産と三菱商事も、別の米国企業と共同で同様のEC市場を開設する予定で、金属材料の流通は本格的なEC時代に入ることになる。

 新しい市場には、各商社と取引のある流通業者や鋼材などの中小製造企業が主に参加し、取引されるのは規格が決まっている汎用(はんよう)品が中心になる。

 3商社とメタルサイト社が新たに設立するメタルサイトジャパンには、当初メ社が50%、3社が残り50%を均等に出資する。メ社は、情報ソフト大手の米オラクル社出身の技術者らが設立。米国で開いているEC市場は会員数約1万社、毎月の取扱量は約15万トン。

NKKが利益供与 総会屋複数に「購読料」

2000.08.02 The Sankei Shimbun
 鉄鋼大手の「NKK」(本社・東京都千代田区)が複数の総会屋へ、計約六百万円の資金を提供していたことが一日、東京国税局の税務調査で分かった。購読誌の発行元を総会屋だと認定されたうえ、支払った代金が税法上、正当な商取引の対価ではなく利益供与にあたると判断され、追徴課税されたもようだ。NKKは、この資金を含め総額八億円余の申告漏れを指摘されたとみられる。鉄鋼業界では神戸製鋼所が昨年、商法違反(利益供与)事件で摘発されており、戦後の経済発展を支えた基幹産業が反社会勢力と癒着してきた実態が改めて浮き彫りになった。

 関係者によると、NKKは平成十年三月期までの一年間に、雑誌や情報誌の購読費を「図書・印刷費」として経費処理していたが、東京国税局ではこのうち情報誌数十誌について、(1)総会屋が発行(2)必要以上に購入−などから「正当な商取引ではない」と指摘。実態は複数の総会屋に対する資金供与だったとして、六百万円余を「交際費」に認定したとみられる。

 NKKでは、この資金提供に加え、課税対象となる黒字を減額するため、翌期に計上すべき数千万円の経費を経理書類の改ざんにより意図的に損金処理していたことなども判明。

 国税局は、書類の改ざんが悪質な仮装・隠ぺい行為にあたるなどとして、十年三月期までの二年間に、一部所得隠しを含む計八億円あまりの申告漏れを指摘するとともに、重加算税を含め四億円前後を追徴課税(更正処分)したとされる。

 交際費は税法上、法人が得意先や仕入れ先などに対して行う接待や供応、慰安、贈答などのための支出を指し、課税の対象となる。法人税基本通達では「総会屋対策費」も交際費に該当するとされている。

 NKKでは「総会屋対策費だった」とする国税当局の見解を受け入れ、既に追徴税を納付している。

 NKKが総会屋対策費を経費として税務処理した平成十年は、前年に野村証券の利益供与事件を機に警察当局が総会屋の典型的な資金源とされる購読誌の打ち切りを企業へ強く要請するなど、情報誌購入が問題となったばかりだった。

 製鉄業界では神戸製鋼所が昨年十一月、利益供与事件で摘発され、同事件の捜査の過程で神鋼と川崎製鉄、川崎重工業の三社が合同で関西の総会屋をゴルフ接待していたことも判明し、製鉄業界と総会屋の密接な関係が明るみに出ている。

 ◇NKK広報部の話「税務上悪質なものはなかったと聞いている。総会屋などについては把握していない」

 【NKK】製鋼圧延を行う高炉による製鉄業界で国内第三位。資本金約二千三百三十七億円。明治四十五年六月設立で昭和六十三年に日本鋼管から名称を変更した。“鉄冷え”で脱鉄路線を積極的に推し進め、鉄鋼七一%に対して、総合エンジニアリングが二九%を占める。平成十二年三月期の連結売上高は約一兆六千八百五十三億円。

川崎製鉄とNKKが物流などの3分野で提携

00:31a.m. JST April 07, 2000
 鉄鋼大手の川崎製鉄とNKKは6日、主要製鉄所間の物流、購買、補修の3分野での協力を検討していくと発表した。両社は「このほかにも協力できることがあれば、継続して検討したい」としており、今後、生産提携を通じた包括提携に発展する可能性がある。鉄鋼業界では、新日本製鉄がすでに、住友金属工業や日新製鋼と連携する動きを強めており、川鉄・NKK連合は、その対抗軸になりそうだ。鉄鋼業界で再編の動きが本格化し始めた。

 両社は今後1年程度かけて、川鉄の水島製鉄所(岡山県倉敷市)とNKKの福山製鉄所(広島県福山市)、川鉄の千葉製鉄所(千葉市)とNKKの京浜製鉄所(川崎市)の2地域で、コスト削減を目指して協力していくことを検討する。

 近接する製鉄所同士で、設備の修繕のために保有している予備品の共通化や、製品の共同輸送、資材の共同購入などを検討していく。

 両社は「3分野以外にも関係が広がることを期待している」(NKKの斎藤脩常務・総合企画部長)として提携拡大に意欲をみせた。

NKK、川鉄が提携

2000年4月6日 19時11分
 鉄鋼大手のNKKと川崎製鉄は6日、製品輸送などの物流、資材購入、設備補修の3分野での協力体制を目指し、検討を始めることで合意したと発表した。構造的な需要減退が続く中、重複する業務を互いに整理する提携関係を築いて効率化を進め、競争力を確保するのが狙い。具体的な協力内容に合意できた分野から順次実施、将来的には生産面などの提携に発展させる考えだ。

不採算品種の包括提携を正式発表 新日鉄・住金

7:51p.m. JST May 11, 2000 asahi.com
 新日本製鉄と住友金属工業は11日、それぞれ記者会見を開き、代表的な不採算品種である継ぎ目無し(シームレス)鋼管とステンレス鋼板について、包括提携することを発表した。新日鉄は八幡製鉄所(北九州市)でのシームレス鋼管生産から撤退する。住友金属工業はステンレス鋼板製造工程の一部を休止し、新日鉄からステンレス鋼板の母材の供給を受ける。両社は実質的に不採算品種を分担し合う形で設備の稼働率を上げ、採算性の向上を図る。

 新日鉄は来年3月末で八幡製鉄所のシームレス鋼管生産設備を休止する。千速晃社長は撤退を決断した理由について、「徹底した合理化を行ってきたが、なかなか事業が成り立たない状況で、今後予想される業績も思わしくなかった」と説明した。設備廃棄に伴う特別損失は300億円程度発生する見込みだが、同社は「2000年度決算の当期利益は黒字を確保できると予想している」としている。

 同事業に従事する社員は約200人で、協力会社も含めると約400人にのぼる。千速社長は「雇用問題に最善を尽くす」と話した。

 住友金属工業は、来年4月から10年間の契約で、ステンレス鋼板の母材(月間3万トン)を新日鉄から購入する。和歌山製鉄所(和歌山市)のステンレス用の電気炉は来年3月で休止する。

住金、新日鉄との包括提携へ 不採算品の生産分担

03:07a.m. JST March 26, 2000
 住友金属工業が、新日本製鉄との間で包括的提携に踏み切る方針を固めたことが25日、明らかになった。住金は、新日鉄にステンレス鋼板の材料の供給を求める方向で最終調整に入った。同時に、新日鉄側から継ぎ目無し(シームレス)鋼管の生産を引き受ける方向だ。今後、住金はシームレス鋼管、新日鉄はステンレス鋼板に特化する格好で、それぞれの不採算品種の生産を見直す可能性が高い。鉄鋼大手同士の主要品種をめぐる初めての抜本的な生産見直しで、こうした動きが、鉄鋼業界全体の再編の動きを加速させるのは必至だ。

 ステンレス鋼板は台所や建材、食器などに使われる高級製品。関係者によると、住金は採算が悪化しているステンレス鋼板の製造工程について、和歌山製鉄所(和歌山市)で行っている鋼材をつくる前半の工程(上工程)を、新日鉄に委託する方向で検討を進めている。具体的には、ステンレス鋼板の母材を新日鉄に供給してもらい、鋼材を引き延ばす後半の工程(冷延工程)は自社に残す方向だ。

 また、住金は、主力事業に位置づけ、石油掘削用に使うシームレス鋼管について、新日鉄との間で進んでいた輸出共同販売会社設立の話をさらに進めて、新日鉄側から生産委託を受けることを検討している。

 一方、新日鉄側は、八幡製鉄所(北九州市)におけるシームレス鋼管生産から撤退することも含めて検討を進めているものとみられる。

 住金と新日鉄は昨年から、「赤字三兄弟」(業界関係者)ともいわれる、ステンレス鋼板、シームレス鋼管、H形鋼の3品種で、提携策を模索してきた。H形鋼については昨年夏から生産の相互委託を実施していたが、シームレス鋼管とステンレス鋼板の2品種については、提携の内容は明らかになっていなかった。

 国内生産のシェアは、ステンレス鋼板で新日鉄21%、住金が3位の13.5%、シームレス鋼管は住金が1位の42%、新日鉄が2位の20%で極めて高い。

 住金は主力のシームレス鋼管事業で、毎年「100億円単位の赤字」(幹部)を出す状況が続き、経営不振に陥っている。1999年3月期には連結ベースで694億円の当期赤字に転落し、2000年3月期も1460億円の当期赤字に陥る見通しだ。昨年9月には、和歌山製鉄所の再編策などを含む経営改善策を打ち出したが、株式市場の評価は低いままで、株価は60―70円台に低迷する状態が続いている。「来期に経常黒字200億円を確保する」という目標を達成するためにも、新日鉄との連携を通じて、思い切った収益改善策をとる必要がある、と判断した。

WTO紛争処理小委、日本再要求で設置へ

0:23p.m. JST March 21, 2000
 世界貿易機関(WTO)の紛争処理機関は20日、米国が日本から輸入した熱延鋼板に昨年6月課した反ダンピング(不当廉売)税が、WTO協定に違反するかどうか審査する紛争処理小委員会(パネル)の設置を決めた。日本政府が、設置を要求していた。

 米国は昨年6月、日本の熱延鋼板輸出に不当廉売の事実があったとする「クロ」の最終決定を下し、約17―67%の反ダンピング関税を課した。だが、日本はこれを不服とし同11月、WTOに提訴した。

 紛争処理小委員会は、9カ月以内に何らかの結論を出す予定。

4〜6月の粗鋼生産量、輸出好調で高水準を維持

3/17 日刊工業新聞
 鉄鋼業界によると、2000年度第1・4半期(4〜6月)の粗鋼生産量は、2500万tと99年度第4・4半期(1〜3月)の2500万tと同規模を維持し、3・4半期連続で高水準になる見通しだ。内需は依然として不振だが、輸出が引き続き好調なため。前年同期比では15.7%増と大きく増加する。4半期で2500万tという水準は、日本鉄鋼連盟が予想する2000年度全体の粗鋼生産量9400万tを大きく上回るペースとなる。業種別の内需については土木需要は前年同期比で15万t減と不振が続いているが、建築需要が久しぶりに前年同期比6万t増の見込み。

米政権、政治を優先 冷延鋼板のダンピング不成立

9:25p.m. JST March 04, 2000
 日本の主力鉄鋼製品の一つである冷延鋼板のダンピング問題は、米国際貿易委員会(ITC)が3日の採決でシロとしたために不成立となった。「鉄鋼製品の輸入急増は、輸出国が不公正貿易をしているため」とするクリントン政権の主張が、独立行政機関であるITCに覆されたことになる。政権の最近の貿易関連政策は、大統領選を控えて政治的な思惑を優先させては裏目に出る事態が続いている。

 ITCの採決は、日本、アルゼンチン、ブラジル、ロシア、南アフリカ、タイの6カ国が対象で、委員6人のうち5人が「6カ国からの輸入が米鉄鋼業界に被害を与えている、とは言えない」とシロの判断を下した。米鉄鋼業界で大幅な賃上げが約束されている現状などが加味された、と見られている。

 一方、米商務省は同じ提訴について今年1月の本決定で、6カ国の製品は不当廉売(クロ)だと判断した。

 ITCは1916年に米議会によって設立された独立行政機関だ。商務省は不当な価格で輸出されたかどうかを、ITCはその製品輸入が米産業界に被害を与えたかどうかをそれぞれ判断することになっているが、双方の判断が180度食い違ったことは、商務省の判断が政権の意向を色濃く反映したものであることを示したともいえる。

 ゴア副大統領を次期大統領に推すクリントン政権にとって、鉄鋼問題は労働組合票を得るための試金石だ。ダンピングが成立するたびに、政権の成果として誇示するなど、ダンピング制度を事実上、保護主義政策の道具として使ってきた。

 そもそも、米国の鉄鋼製品の輸入が急増した背景には世界の設備過剰問題がある、と多くのエコノミストらは指摘する。97年夏以降の国際金融危機で世界的な鉄鋼需給が緩み、唯一好景気を維持した米国に製品が集中した、というわけだ。クリントン政権は昨年12月のWTO閣僚会議でも、開発途上国や非営利組織(NPO)の反発を招き失敗している。大統領選の重しがある限り、米国の通商政策の混迷は続きそうだ。

ITC、日本製冷延鋼板でシロの本決定

01:15a.m. JST March 04, 2000
 鉄鋼製品の冷延鋼板のダンピング問題を審理してきた米国際貿易委員会(ITC)は3日、日本製品について、「輸入の急増が米鉄鋼業界に被害を与えた、とは言えない」と認定し、シロの本決定を下した。この結果、ダンピングは不成立となった。10種類の鉄鋼製品が提訴された一連の鉄鋼ダンピングで、ダンピングが不成立となったのは、昨年5月のステンレス鋼線に続いて2件目。しかし、米鉄鋼労使の鉄鋼輸入への反発は根強く、シロ決定を受けて通商法の強化などの動きが逆に強まる、との観測も出ている。

 ダンピングは、不当廉売かどうかを調べる商務省と、産業被害の有無を審査するITCが、2回目の判定である本決定でともにクロと認定した場合に成立する。この日の採決では、ダンピング提訴された12カ国・地域のうち、審理が先行する6カ国について行われた。日本については、委員6人のうち、5人がシロと認定した。

 冷延鋼板は、自動車や家電、建築などに使う高付加価値品で、日本メーカーの得意分野の1つ。米国向けは全世界向け冷延鋼板輸出の16%を占めている。

 米鉄鋼労使は、昨年6月初めにダンピング提訴した。米商務省は今年1月にクロの本決定を下し、日本のダンピング率を39.28―53.04%と認定していた。

 一連の鉄鋼ダンピングで、日本の米国向け鉄鋼製品の主力はすべて提訴されており、ステンレス線材、ステンレス薄板、熱延鋼板、厚板の4件のダンピングが成立している

アジアへの飛び火を警戒

2000年1月29日 17時50分 共同通信社
 日米鉄鋼ダンピング(不当廉売)問題は、政府が世界貿易機関(WTO)への提訴第2弾について2月中にも結論を出す見通しで、日米間の大きな通商問題に発展しつつある。一方、日本の鉄鋼メーカーはアジアでも輸入制限的な動きが出始めたことに危機感を強めている。過剰生産能力が新日本製鉄1社分の約2000万トンに上る日本の鉄鋼メーカーにとって、輸出による収益は依然と頼みの綱。

欧州裁判所に提訴へ=新日鉄

99年12月9日 12時31分 時事通信社
 新日本製鉄は9日、同社や川崎製鉄など日欧の高炉計8社がシームレス鋼管でカルテルを結んでいたとして、欧州委員会が罰金を科す決定を下したことについて談話を発表し、欧州裁判所に提訴する意向を表明した。また、米商務省が日本製シームレス鋼管に「クロ」の仮決定を下したことについても、反発するコメントを発表した。 

日本、冷延鋼板でも「クロ」 米がダンピング仮決定

4:45p.m. JST November 03, 1999
 米商務省は2日、日本など12カ国・地域の冷延鋼板に関するダンピング問題で、「不当に安い価格で輸出した」として日本など7カ国分についてクロの仮決定を下した。日本のダンピング率は、39.28―53.04%。同時に、日本を含む3カ国の製品については、8月初めにさかのぼって反ダンピング関税に相当する供託金を輸入業者に課す決定も下した。一連の鉄鋼ダンピングで、商務省が日本製品にクロの仮決定を下すのは6件目に当たる。商務省の本決定は来年1月中旬に、米国際貿易委員会(ITC)の本決定は来年3月上旬に予定されている。

 この日の決定で商務省は、ダンピング率について、新日本製鉄や川崎製鉄など4社に53.04%、その他は39.28%とした。最高はロシアの177.59%。反ダンピング関税を商務省仮決定時より90日さかのぼって課す「緊急事態」に当たるかどうか、の認定でも日本製品について、ブラジル、ベネズエラとともにクロと判断。この結果、冷延鋼板の対米輸出は事実上、止まる見通しとなった。

 冷延鋼板は、自動車や家電、建築などに使う高付加価値品で、日本メーカーが得意にする製品の一つ。米国向けは全世界向け冷延鋼板輸出の16%を占めており、米国市場から閉め出されると、日本メーカーの打撃は大きい。

 商務省によると、冷延鋼板の輸入数量は、アジア危機が起きた97年後半から大幅に伸び、98年実績は、96年当時と比べ、タイの33.5倍を筆頭に、台湾14倍、インドネシア5.1倍、中国3.7倍、ロシア3倍、日本1.7倍などとなっている。

冷延鋼板も不当廉売、米が仮決定 日本の輸出実質停止に

0:43p.m. JST November 03, 1999
 米鉄鋼業界と労組が日本などからの冷延鋼板輸入をダンピング(不当廉売)提訴している問題で米商務省は2日、日本など7カ国についてダンピングがあったとする仮決定を発表した。日本企業に対して認定したダンピング率は新日本製鉄、川崎製鉄、神戸製鋼所、日新製鋼の4社が53.04%、その他が39.28%。

 また、新日鉄など日本企業4社、ブラジル、ベネズエラの一部企業からの輸入について、ダンピング率相当の預託金の納付義務を通常より90日間前倒しして適用する「緊急事態」を認定した。

 この結果、新日鉄など4社は8月の輸入分から、その他の日本企業は今後の輸入分から預託金の納付が義務付けられ、輸入は事実上停止に追い込まれる。冷延鋼板は自動車や家電製品の外板などに使われる高付加価値品で、日本の対米輸出主力品だけに、日本企業には大きな痛手だ。

 訴えは6月2日に12カ国・地域を対象に起こされた。商務省はこの日、日本など7カ国について仮決定を発表。日本以外のダンピング率はロシアが全企業177.59%と飛び抜けて高く、ほかにタイの全企業とベネズエラの1社が日本企業よりも高いダンピング率を認定された。残る5カ国・地域の仮決定は今後発表される。

 日本は既に対米輸出品の大半をダンピング提訴されており、未決着の案件は冷延鋼板を含め6件。冷延鋼板は、来年3月にも下される米国際貿易委員会(ITC)の最終決定で「クロ」認定されれば、反ダンピング関税の適用が確定する。(時事)

熱延鋼板の米ダンピング決定をWTOに提訴

8:51p.m. JST October 20, 1999
 日本製の熱延鋼板に対する米政府のダンピング(不当廉売)決定は、世界貿易機関(WTO)協定に違反している、として政府は20日、WTOに提訴し、紛争解決手続きに基づく米国との2国間協議を要請する、と発表した。

 提訴に踏み切る理由について、通産省は(1)米国が特別高いものを基準に国内価格を算定し、ダンピング率を過大評価している(2)米国の国内産業の損害の認定にあたって、日本の輸出品の影響を過大評価している(3)日米の企業の提出したデータの扱いが不公平、などをあげている。

 米国では1997年以降、日本製の鉄鋼製品に対する大量の反ダンピング提訴が行われ、ステンレス鋼板や線材など現在は米国向けの輸出の約80%がダンピングの対象になっている。中でも自動車や建材に使われ熱延鋼板は、日本の鉄鋼メーカーにとっては米国への主要な輸出品だが、6月にダンピングと認定され、17ー67%の高い関税をかけられた。

 通産省では、これまで米国と話し合いを続けてきたが、米国が措置を改める考えがないことや、米国内にも反ダンピングの乱用は正しくないと言う声が出ていることを分析。WTOでも日本の主張が認められる可能性が高いとみて、提訴に踏み切ることにした。

USXとの合弁会社や米鉄鋼会社など3社、合併し新会社設立=神戸鋼

99年8月16日 17時13分[東京 16日 ロイター]
 神戸製鋼所は、米USXとの折半出資会社である「USS神戸スチール(USS/KOBE)」と、米投資グループのブラックストーンとべリタス・キャピタル・パートナーズの両社が所有する「リパブリック・エンジニアード・スチール(RESI)」と「バー・テクノロジーズ(Bar Tech)」の3社が、合併の最終合意に至り、8月13日(現地時間)付で新会社を設立した、と発表した。

 新会社名は「リパブリック・テクノロジーズ・インターナショナル」で、出資比率は、ブラックストーンとベリタスで64%程度、USXと神戸製鋼がそれぞれ15%程度、融資団など新規株主が6%程度となる見込み。

  新会社の生産能力は約350万ショートトン(粗鋼ベース)、米国の高級棒鋼・線材市場でトップシェアとなる、という。従業員数は約6000人規模となる、という。 一方、USS/KOBEのパイプ部門については、今回の合併対象外となっており、今後も合弁事業を継続していく、としている。

鉄鋼、日米2国間協議受け入れへ 通産省

03:05a.m. JST August 14, 1999
 通産省は13日、米政府から提案のあった鉄鋼貿易に関する日米2国間協議の開催を受け入れる内容の返書を、米通商代表部(USTR)あてに送ったことを明らかにした。

 返書の中で、通産省は2国間定期協議を、日米鉄鋼産業の状況把握や対米鉄鋼輸出の動向について情報交換する場にとどめる考えを強調、管理貿易につながる自主的な輸出制限などの求めには応じられない、と主張している。また、米政府が鉄鋼業界への支援融資法案の成立に前向きの姿勢を見せていることや、反ダンピング提訴が多用されていることを指摘、保護主義につながるとして強い懸念を表明した。

 さらに、返書の中で、鉄鋼需給や貿易動向、過剰設備問題の話し合いは二国間より多国間協議が適当だとして、経済協力開発機構(OECD)を活用した協議を求めた。

 米政府は5日に雇用不安が出ている鉄鋼業界保護のための「鉄鋼行動計画」を発表。その中で「日本は昨年の鉄鋼輸入急増に最も大きな役割を果たした」と名指しで非難した。これに対し通産省は、「対米輸出量はすでに急増前の水準に戻っている。過剰設備を背景に不公正貿易取引をしているという前提での話し合いには応じられない」(渡辺修事務次官)と反発していた。

NKK、電力小売り参入を正式発表

2000.06.06(22:20)asahi.com
 鉄鋼大手のNKKは6日、電力の小売り事業に参入すると正式に発表した。京浜製鉄所(川崎市)にある自家発電設備(44万キロワット)の電力のうち、余剰分の2万キロワットを三菱商事に販売することで大筋合意した。NKKは、電力小売りを通じて、京浜製鉄所の収益改善を図る。

 NKKは従来月産30万トン体制だった京浜製鉄所の粗鋼生産規模を月産25万トンに下げて、操業コストの削減を続けている。生産規模縮小に伴って発電能力が余っていたため、今年初めごろから電力小売り事業に参入する方向で調整を続けていた。

 NKKと三菱商事は、今年夏までに正式契約を結ぶ見通し。三菱商事は購入した電力を、関東地区の大型オフィスや店舗ビルなどに小売りするサービスを開始する予定だ。

NKKが電力小売りに参入へ 京浜製鉄所で余剰電力供給

2:22p.m. JST February 08, 2000
 鉄鋼大手のNKKが、電力の小売り事業に参入する方向で検討に入っていることが8日、明らかになった。京浜製鉄所(川崎市)にある自家発電設備(約40万キロワット)の余剰電力を近隣の企業に供給する検討が進められている。京浜製鉄所は、不採算が続いているため、電力小売り事業参入を通じて、収益改善を図るのが狙いだ。国内の鉄鋼需要低迷を背景に、鉄鋼メーカーは過剰設備に苦しんでおり、今後、電力小売りに参入する鉄鋼メーカーが、大手を中心に相次ぐことになりそうだ。

 NKKは従来、月産30万トン体制だった京浜製鉄所の生産規模を月産25万トンに下げて、操業コストの削減を続けている。生産規模の縮小に伴って、発電能力が余っていた。関係者によると、電力の小売りが自由化されるのをにらみ、周辺の企業から商社経由でNKKに対して電力供給の要請が寄せられているという。NKKは、電力小売り事業の参入が、京浜製鉄所の合理化につながることから、これらの供給要請に応じるものとみられる。

日新製鋼とはステンレス事業の統合を視野に入れ協議=新日鉄社長

99年12月21日 17時30分[東京 21日 ロイター]
 
 新日本製鉄の千速社長は、日新製鋼とは、ステンレス事業の統合を視野に入れて話をしている、と述べた。 中期連結経営計画発表の席上、述べたもの。  他社との協力関係について、同社長は、「日新製鋼の田中社長とは、ステンレス事業の統合を視野に入れて話をしている。ただ、いつ、どのような形で行うかなど、具体的な話はしていない」と述べた。  また、シームレスパイプの共同販売について、同社長は、「3社の共販は問題があるが2社ならば障害も起こらないだろう。住友金属工業と新日鉄の2社で合意すればやればよい」と語った。

新日鉄と日新の業務提携、正式発表

9:48p.m. JST November 05, 1999
 日新製鋼の奥山敏弘副社長は5日の中間決算発表の席で、新日本製鉄と日新製鋼の間で進められているステンレス鋼板分野の包括的な業務提携について正式に発表した。輸出向けの製品輸送を共同で行っているほか、日新製鋼はすでにステンレス厚板の生産を新日鉄に委託しているという。

 また、年内にも、一部製品の生産受委託に向けて、試験運用を始め、問題が生じなければ実際の生産相互委託に踏み込む方針。来年度からは新日鉄の光製鉄所(山口県光市)と日新製鋼の周南製鋼所(山口県新南陽市)で使用する資材の共同購入を実施していく予定だという。

鉄鋼大手 年金費用で4社が当期赤字

1999年11月5日 18時24分 共同通信社
 新日本製鉄など鉄鋼大手5社の1999年9月中間決算が5日出そろった。前年同期に子会社支援損などで、約300億円の当期赤字に陥ったNKKは人員削減などの合理化効果で、経常、当期ともに黒字を確保。他の4社はリストラに伴う特別退職金や年金債務への引き当て計上で軒並み当期赤字になった。

NKK、シームレス鋼管分野でシデルカ社と共同事業

11:02p.m. JST November 02, 1999
 鉄鋼大手のNKKは2日、継ぎ目無し鋼管(シームレスパイプ)分野で、世界最大手グループのシデルカ社(アルゼンチン)と生産部門を含め共同事業を行うことで基本合意したと発表した。京浜製鉄所のシームレス鋼管部門を別会社化し、シデルカ社が51%、NKKが49%を出資する。国内の鉄鋼事業を、外資と共同経営するのは初めて。鉄鋼業界の世界的再編の波が国内業界にも及ぶ形になった。

 シデルカ社は、アルゼンチンに本拠を置くテチントグループ傘下のシームレス鋼管メーカー。ダルミネ社(イタリア)、タムサ社(メキシコ)と共に、DSTグループを形成している。汎用(はんよう)品を中心に世界全体で約200万トンの生産がある。

 NKKの1998年度の生産量は約23万トンで、高級鋼材が中心。

 高級鋼材の生産技術が欲しいシデルカ社と、販売競争力を高めて赤字を減らしたいNKKとの間で思惑が一致した。

 新会社は、2000年度上期をめどに設立する。現在約800人いるシームレス鋼管部門の従業員や生産設備がそのまま新会社に移る見通し。NKKは「新会社は2002年までには黒字化する」としている。

住金、産業再生法申請へ

1999年10月26日 19時33分 共同通信社
 住友金属工業は26日、産業再編を後押しするため今月から施行された産業活力再生特別措置法(産業再生法)適用を11月にも申請する方針を決めた。本年度内に実施する小倉製鉄所(北九州市)と直江津製造所(新潟県上越市)の分社化などで、設備の譲渡に対する課税の優遇措置を求める考えだ。

鉄鋼労連、ボーナスの要求方式を変更

8:33p.m. JST September 08, 1999
 鉄鋼労連(17万人)は8日、東京都内で中央委員会を開き、今後1年間の活動方針を決めた。年間一時金(ボーナス)の要求について、来春闘からこれまでの一律方式をやめ、「固定部分」と「変動部分」に分ける方式に変更する、としている。最低でも確保すべき生活給としての固定部分は、鉄鋼労連が統一的に設定し、変動部分は企業業績などを考慮して個別組合ごとに決める。

 業績のバラツキなどで、一律に要求基準を設定するには無理がある、との判断からだ。12月の討論集会に、固定部分の具体的な額と、変動部分の目安を示すという。

 鉄鋼労連は、2年に1回の労使交渉で2年分の賃上げなどを決める「複数年協定」(一時金は毎年交渉)に一昨年から移行し、来年はその第2ラウンドに当たる。来年のベア要求について、方針は「鉄鋼産業の付加価値生産性の伸びを基軸にする」と述べ、具体額は業績動向などを「ぎりぎりまで慎重に見極めてから決める」としている。

新日鉄と住金がシームレス管輸出で新会社を検討

03:04a.m. JST August 07, 1999
 鉄鋼最大手の新日本製鉄と鉄鋼大手の住友金属工業が、継ぎ目無し鋼管(シームレスパイプ)分野での輸出販売を一体化するため、共同で新会社を設立する方向で検討していることが6日、明らかになった。早ければ9月中にも合意する見通し。シームレスパイプは海外の石油メジャーなどが主な需要家で、こうしたユーザーへの営業・販売活動を共同で行う。同分野で住友金属工業は国内生産量の42%、新日鉄は20%のシェアを握っており、提携がまとまれば国際的にも強い競争力を持つ国内連合が誕生する。

 シームレスパイプは、石油の掘削用などに使われる高級鋼材だが、石油価格の低迷を受けて需要が落ち込み、世界的に供給過剰に陥っている。国内では、住友金属工業、新日鉄、川崎製鉄、NKKが主に生産しているが、各社とも不採算に苦しみ、ステンレス鋼板、H形鋼と並んで「赤字3兄弟」(業界関係者)とも呼ばれるほどだった。海外市場で、国内勢が競合して、さらに採算が悪化する悪循環が続いていることから、住友金属と新日鉄は輸出販売の一体化が必要だと判断したとみられる。

 シームレスパイプの輸出について、共同で新たな販売会社を設立して共同営業や一括受注を行い、生産を両社の生産設備に振り分けていくことなどを軸に、両社間で話し合っている。

 両社はH形鋼で生産を分担し合う業務提携をすでに発表するなど、関係を深めている。

 業界筋によると、シームレスパイプの1998年度の国内生産量は約200万トン。住友金属工業は和歌山製鉄所(和歌山県)が主力の生産拠点で、この分野の国内生産量ではトップ。新日本製鉄のシームレスパイプは主に八幡製鉄所で生産しており、国内2位。シームレスパイプをめぐっては、国内4位のNKKが南米に本拠を置く世界最大手グループと全面提携に向けて詰めの交渉をしており、再編が加速している。

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