TOPIC No.2-4a. 定年延長/雇用延長/継続雇用制度/2007年問題

01. はてな? 2007年問題(団塊の世代の大量定年)で技術力が低下?
02. 西暦2007年問題(内閣府の報告書)H17/7/11 by金融ITニュース・コメント
03. 少子と団塊 第3部 2007年問題 ―瀬戸内工業地域に見る
04. 少子と団塊 第6部 対応迫られる地域 中国新聞
05. 中高年の労働力問題「2007年問題」が浮上
06. 改正高年齢者雇用安定法 概要
07. 定年延長・雇用継続制度 Q&A 
08. 高齢・障害者雇用支援機構
09. 雇用、就業 YAHOO! NEWS


国家公務員の定年65歳に 人事院研究会が検討提言

2008/07/25 中国新聞ニュース
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 人事院の「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」(座長・清家篤せいけ・あつし慶応大教授)は二十五日、現在六十歳の国家公務員の定年を段階的に六十五歳まで延長することを検討するべきだと初めて打ち出した中間報告をまとめた。研究会は、二〇〇九年夏をめどに最終報告を出す。

 定年延長せずに六十歳でいったん退職した職員を六十五歳まで継続雇用する方法では、継続雇用に適した仕事量やポストを用意することは難しいと判断、全体の昇進のスピードを遅らせる定年延長の方が実現性は高いとした。

 人事院は今後、政府で総合的に検討することや、六十歳定年を定めた国家公務員法の改正を働き掛ける方針だ。

 延長の理由として報告は、公務員の再就職あっせんの原則禁止といった天下り規制が今後強化されることや、年金の受給開始年齢を六十五歳まで段階的に引き上げることに伴い六十歳定年のままでは退職者が年金を受け取れない期間が生じることによる将来の不安を、解消する必要があるとした。

 延長に向けた今後の検討課題としては(1)六十歳から大幅に給与水準を下げるなど人件費が増大するのを防ぐ方策(2)昇進のスピードが落ちることによる士気低下を防ぐ方法(3)六十歳以降はフルタイムで働きたくない職員の扱い方―などを示した。

 定年延長について人事院は「(無収入の期間があると)公務員に優秀な人が集まらなくなり、公務が成り立たなくなる。六十歳を過ぎてもうけ話などを考えないで済むようにする必要がある」と説明している。

 人事院は昨年八月の勧告で定年延長や継続雇用など六十五歳までの国家公務員の雇用確保策について検討するよう提言、昨年九月から研究会を設置し検討していた。

老後の備え初の全国調査へ 団塊退職で厚労省

2007/04/30 中国新聞ニュース

 今年から団塊世代の大量退職が始まったことを受け、厚生労働省は二十九日までに、約一万五千世帯の二十―六十九歳を対象に、老後資金としてどの程度の貯蓄をしているかや、親子三世代の経済的な支え合いの実情など、「個人の高齢化社会への備え」に関する初の全国調査に乗り出すことを決めた。

 国民自身が描いている老後設計の実態を把握することにより、団塊の大量退職による社会保障制度への影響の度合いなどを探る狙い。調査結果は重要なデータとして同省の各種施策に活用される。少子高齢化の加速で医療や年金などへの不安が広がっていることから、同省は「調査の結果、国民の準備が不十分と判明すれば、政府が新たな対応を迫られる可能性もある」としている。

 調査を担当するのは同省付属の国立社会保障・人口問題研究所で、七月に実施する。全国から抽出した三百地区の約一万五千世帯が対象。二十―六十九歳の世帯員すべてに回答を求め、約一年かけて分析した結果を二○○八年度に公表する。

 家族構成や職歴、最近の就業状況をはじめ、公的年金や個人年金の加入状況、貯蓄額などを調査。特に貯蓄については老後の生活に備えて何歳から始めたかなどを詳しく聞き、五年前と比べた総額の増減や「毎月」「ときどき」といった頻度も調べる。

 さらに定年退職後の主な生活費の財源について、年金や貯蓄、親族の支援などから選んでもらう。最近一年間に両親に経済援助をしたかどうか、逆に援助を受けたかどうかやその金額も。また子供との間での援助の有無と金額などを含め、親子三世代間での経済援助の実態もできるだけ詳細に回答を求める。

生活資金の目標なし8割 投信会社の退職後意識調査

2007/03/24 中国新聞ニュース

 米系の投資信託運用会社のフィデリティ投信(東京)が20−50代の男女を対象に実施した調査で、約8割が退職時までに蓄えたい生活資金の目標額を決めていないことが24日、分かった。

 調査結果によると、20代前半の82・9%が目標額を定めていないと回答し、年代別では最も多かった。次いで30代後半の82・4%、退職目前の50代後半でも74・9%などと、すべての年代で高水準。

 退職後の生活資金のため、預貯金以外に株式や投信などで資産運用しているとの回答は全体でわずか12・8%。年代別では、最も少なかったのが20代前半の5・4%。逆に高かったのが50代前半の19・9%。

 また退職後の生活に必要な収入について、全体の63・2%が「最低限、年金などによって国が保障すべきだ」と答え、資産運用により自己責任で確保すべきだの2割強を大きく上回った。

イオン、定年65歳に 従業員12万人が対象

2006/12/25 中国新聞ニュース

 大手スーパーのイオンは二十五日、現在六十歳としている正社員の定年制を六十五歳まで延長し、パート従業員の契約更新年齢も六十五歳まで引き上げると発表した。正社員約一万五千人、パート約十万五千人の計約十二万人が対象。大手企業での定年延長の導入は珍しい。二○○七年から「団塊の世代」が大量に定年を迎えるのに当たり、イオン側にとっては経験や技術を持った社員を引き留める狙いもある。

 新たな雇用形態は来年二月二十一日から実施する。同じ職務や勤務形態を希望する正社員の場合は、五十九歳時点と同じ待遇で六十五歳まで雇用が延長される。一方、特定の勤務地や勤務時間を選択した場合は、給与は八割程度に減額される。

 実施はイオン単体で、子会社が運営する九州、沖縄のジャスコなどの従業員は除かれる。

 イオンは今年二月、六十歳で定年を迎えた正社員を対象に六十五歳まで一年ごとに契約を見直す再雇用制度を導入したが、社員からは定年延長を求める声が上がっていた。

日本マクドナルドが定年制を廃止

2006/01/07 The Sankei Shimbun

 ハンバーガーチェーン大手の日本マクドナルドは23日、60歳定年制を今年4月時点にさかのぼって廃止したと発表した。上場企業で定年制を廃止した企業はめずらしい。

 同社の社員数は5000人。高齢者の再雇用や定年延長を含め検討した結果、「年齢や性別など個人の能力とは関係ない事柄で、会社への貢献が損なわれるべきではない」と判断、定年廃止を決めた。社員の平均年齢が33.7歳と若く、定年の対象となる世代は今後、5年間で5人しかいないという同社独自の事情も背景にある。

 退職金制度や給与制度については1−2年のうちに見直し、制度を固めていく。

「団塊」退職、技術継承へ正社員増を…ものづくり白書

2006年04月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 経済産業、厚生労働、文部科学の3省が6月に発表する2006年版の「ものづくり基盤技術の振興施策(ものづくり白書)」の骨子案が15日、明らかになった。

 団塊世代が一斉に定年退職を迎える「2007年問題」を控え、製造業の技術を継承していくため、アルバイトや期間工などの非正社員を、できるだけ正社員として登用することが必要だと強調している。日本の人口が減少しても、ものづくりの人材は減らさず、アジア諸国との競争に備える狙いだ。

 ものづくり白書は、1999年6月に施行された、ものづくり基盤技術振興基本法に基づいて毎年、策定されている。製造業の振興を政府が一体となって進めることを目的としている。

 06年版の骨子案では、団塊世代の大量退職で技能継承が危ぶまれると感じている企業(製造業)が、05年の30・5%から、06年には41・1%に増加したと指摘。一方で、非正社員向けに技能講習を行っている企業は全体の2割で、非正社員の仕事内容も「8割が単純な繰り返し作業にとどまっている」とする調査結果を盛り込んだ。

 さらに、非正社員の約4割が正社員になる希望を持っているのに、登用制度がある企業は44%にとどまっている実態を示し、「非正社員を正社員に登用する制度が望まれる」と、技術継承者の確保が急務だとしている。

定年の優秀な人材流出防げ ダイハツ、「高待遇」で再雇用

平成18(2006)年02月28日 The Sankei Shimbun

 ダイハツ工業は二十八日、熟練技能などを持つ優秀な人材を、定年後に現役時の給与を上回ることもある高待遇で、再雇用する制度を導入する方針を明らかにした。団塊世代の大量退職期を前に、優れた人材の社外流出防止を狙っており、こうした制度の導入は自動車業界で先進的で、労働組合の合意が得られれば、四月から導入する。

 ダイハツは現在、六十歳の定年を迎えた人材を、現役時の年収の半額程度で再雇用する制度を設けている。しかし、優秀な人材ほど、定年後、内外の競合他社などに引き抜かれるケースが増えているため、熟練技術を持つ技能工や優秀な営業マンらを対象に、「シニア嘱託社員」と呼ぶ新たな再雇用制度を導入することにした。

 シニア嘱託社員の年収は最低でも四百八十万円が保証され、「他社がうらやむような人材であれば、定年時の給与(組合員の平均年収六百万−七百万円)を上回る可能性もある」(総務・人事部)という。

 また、課長級以上の管理職も、従来は現役時の給与の60%程度で一律に再雇用していたが、業績に応じて「現役時の40−80%」と給与幅を拡大。さらに特に優れた人材は、現役時の給与の「100%プラスアルファ」で再雇用するという。

 今後三年間で六百人以上が大量退職する。このうち数%が、現役時の給与を上回る水準で再雇用されるとみられる。

ビール業界進む再雇用 アサヒ4月実施

平成18(2006)年01月07日 The Sankei Shimbun

 高年齢者雇用安定法の改正で、六十五歳までの雇用延長が企業に義務付けられるのに伴い、アサヒビールは定年退職者を再雇用する新制度を四月から実施する。ビール業界ではすでにキリンビールやサントリーが導入に向けた準備に着手したほか、サッポロビールも検討を進めており、雇用延長を制度化する動きが拡大している。

 アサヒの新制度で再雇用の対象となるのは、四月以降に六十歳の定年を迎える役職者を含む全社員。希望者を募り、在職中の人事考課などを踏まえて選抜する。三月に行われる労使協議で選抜基準や待遇など詳細を詰めた上で、四月から導入する。

 新制度では職種を(1)生産ラインなどの管理オペレーション業務(2)企画立案−の二つに大別。退職時の職務内容にかかわらず、対象者の能力に見合った職種で採用する。再雇用の上限年齢は四月から六十二歳となり、段階的に六十五歳まで引き上げる方針だ。

 当面はフルタイムの勤務体系とし、年収は前者が二百五十万円(公的給付を含めて四百万円)、後者は四百五十万円(同四百八十万円)程度となる。

 数年後には「団塊の世代」の大量定年を控えており、同社では今後十年間で毎年八十−九十人程度の退職者が見込まれている。再雇用制度の導入により「定年退職者の約四分の三が新制度の利用を希望する」(人事部)とみており、今後予想される深刻な労働力不足を補う効果も期待される。

団塊退職者「歓迎します」 高齢人材派遣、雇用拡大へ

2005/10/29 The Sankei Shimbun

 少子高齢化の急速な進展で、高齢者雇用への対応が急がれる中、60歳以上の定年退職者ばかりを正社員として採用するユニークな企業が注目されている。定年後も働く意欲のある人の雇用の受け皿になるほか、若い世代への技術伝承にも役立っているようだ。

 この企業は、人材派遣の「マイスター60」(大阪市、平野茂夫(ひらの・しげお)社長)。平野氏が、親会社の半導体製造装置メンテナンスなどを手掛けるマイスターエンジニアリングの社長当時「敬老の日に『サラリーマン 会社辞めたら ただの人』という川柳をラジオで聞いて発奮」したのが動機で1990年にマイスター60を設立。建築士や電気工事士など技術系の専門資格を持つ人を中心に採用を始めた。

 現在はマイスターエンジへの派遣が約6割。同社の2、30歳代の若手社員とマイスター60の6、70歳代の高齢社員が現場でコンビを組むケースも多く、技術伝承効果もあるという。「社会貢献が目的なので利益は追わない」との経営方針で、派遣料は相場より安く設定している。

 2007年に一斉に定年を迎える団塊世代に照準を合わせ、採用人数を大幅に拡大。現在510人の社員を今後3年間で1000人まで増やす方針。技術系に加えて財務・経理や人事・労務など事務系の人材も採用し、事務分野の請負・人材派遣業務にも進出する。

 女性採用の検討も始めた。女性は60歳以上にこだわらず、子育てを終え、もう一度働きたいという人で得意分野のある人材を開拓する、としている。(共同)

団塊世代の再雇用、「60歳代の雇用増やさない」が4割

2005年10月16日 asahi.com

 大和総研は、団塊の世代(1947〜49年生まれ)の定年後の再雇用情勢について「厳しい」とするリポートをまとめた。65歳まで働ける環境整備を企業に義務づける「改正高年齢者雇用安定法」が来春施行されるが、厚生労働省の調査で、約4割の企業が60歳以上の労働者の再雇用を「増やす予定がない」などとしているためだ。

 団塊の世代が07年から定年期に入ることが「07年問題」として懸念されている。法改正によって企業は(1)65歳までの定年引き上げ(2)定年制廃止(3)退職後再雇用などの継続雇用制度の導入、のいずれかの実施が義務づけられる。

 厚労省が企業を対象に昨年おこなった高年齢者就業実態調査によると、7割の企業に勤務延長や再雇用といった継続雇用制度があるものの、1千人以上の事業所ではこの制度があっても72%が定年退職者として扱われ、再雇用されていない。

 同調査では、向こう2年程度の間に、60歳以上の人の雇用を「増やさない」との回答が36%で、「増やす」は1割にとどまった。増やさない理由では「高年齢者に適した仕事がない」が4割を超えた。

 大和総研の鈴木準・主任研究員は「法改正によって、高年齢者の雇用システムが劇的に変化するわけではない。高年齢者が多様な働き方ができるような仕組み作りを官民で考える必要がある」と指摘する。

減る労働力 高齢者らカバー 短時間勤務で正社員 来年度試行

平成17(2005)年10月16日 The Sankei Shimbun

 厚生労働省は十五日、一日二、三時間の勤務でも正社員の身分を保証する「短時間正社員」の導入に向け、来年度から民間企業約五百社を対象にモデル事業を実施する方針を固めた。少子・高齢化の進展で労働力人口が近く減少に転じるなか、多様な働き方を実現することで質の高い労働力を確保したい考え。

 モデル事業は、業界団体を通じて約五百社を対象に実施。各企業内で選出した社員について、一日の労働時間を短くしたり、週に三日程度の勤務にしたりした短時間労働を試行的に導入してもらう。当面は、導入が比較的簡単とみられる流通業界などを中心に実施する案が有力。短時間労働の対象となった社員には、余裕の出た時間を利用して学校に通ったりボランティア活動に参加したりして自己啓発に取り組んでもらうという。

 企業は業界団体を通じて、その成果を厚労省に報告する。平成十八年度予算の概算要求に推進事業費として七千六百万円を要求している。

 短時間正社員制度は、多様な働き方について具体化を進めるとした十四年十二月の政労使合意に基づく。

 労働力人口はいわゆる「団塊の世代」の退職が本格化する十九年度から減少が始まる見込み。厚労省では、これをカバーするには高い技能を持つ高齢者や女性が、フルタイム労働でなくても安定した立場で責任のある仕事に就けることが必要と判断した。

 ただ、現状では企業側は導入に慎重。「短時間労働なら、正社員と仕事の内容を変えざるを得ない」(トヨタ自動車の人事担当者)などと、責任ある仕事は任せにくいとの意見が強い。「ギリギリの人員のなかで、短時間正社員がいない時間をだれがカバーするのか」との不安もある。

 経営上のメリットが見いだしにくいなかで「そんな余裕はない」というのが企業側の本音。厚労省では今回の試行を通じて、企業側にも導入の具体的メリットを提示していきたい考えだ。

団塊世代の6割、定年後も仕事望む 博報堂調べ

2005年10月12日 asahi.com

 団塊世代の6割近くが定年後も何らかの仕事をしたい――。博報堂が11日発表した「定年後のライフスタイル調査」で、こんな傾向が浮かんだ。仕事、ボランティア、趣味のいずれにも携わりたいという人は4割以上おり、同社は「『生涯現役志向』が明らかになった」としている。

 同社によると、定年後の仕事、ボランティア、趣味の意向をたずねたところ、いずれもやりたいという人は42.5%。「仕事とボランティア」の組み合わせが1.4%、「仕事と趣味」が13.4%、「仕事」のみという人は0.5%だった。仕事をしたい人は合計で57.8%に上った。

 ただ、定年後も仕事をしたい人のうちフルタイム希望は14.6%で、「時間にゆとりがある仕事」が85.3%にのぼった。同社は「団塊世代は、バランスのとれた生活を送りつつ、社会との接点を持ち続けたいという強い意欲を持っているようだ」とみている。

 調査は同社が今年初めて実施。7月上旬にインターネットで、全国の1946〜51年生まれの男女360人から回答を得た。

団塊の世代に入試特別枠 少子化対策で関西国際大

2005/09/22 The Sankei Shimbun

 関西国際大(兵庫県三木市)は22日までに、2006年度入試から、60歳以上を対象にした「シニア特別選考」を全国で初めて実施することを決めた。少子化の影響で一般受験生が減少する中、大量に定年退職となる団塊の世代を迎え入れることで、大学生き残りを図る狙いもある。

 同選考は経営学部と人間学部で実施。初年度は3年次入学の大卒・短大卒者と1年次入学の高卒者を、それぞれ10人募集する。今年12月中旬と来年2月下旬の2回、志望理由書や経歴書を基に書類審査や面接で選考。修業年限はそれぞれの履修ペースに合わせ、4年か6年を選択できる。

 学費(年額約111万円)は年金の支給に合わせた月払いなど数種類の分割払いが可能で、入学者全員に給付される奨学金を差し引くと、月額約6万円となる。

 同大学は「防災、福祉などの分野で地域の活性化に貢献できるシニア世代の人材を育成したい」と話している。(共同)

「団塊」退職に備え、熟練の技DB化ソフト開発 経産省

2005年09月19日 asahi.com

 企業に勤める団塊の世代が07年から大量に退職するのに備えて、経済産業省は、中小企業の熟練工が身につけた技能を社内に残すため、データベース化のソフトウエア作りに乗り出す。鋳物製造や旋盤加工などを手がける中小メーカーは、熟練工の腕と知恵に頼る部分が大きいが、若手への技能継承が進んでいない企業が多い。社内で培ってきた技能をデータ化することで、各社独自の知的財産として保存・活用するのが狙いだ。

 経産省は06年度予算でソフト開発費17億円を要求。独立行政法人の産業技術総合研究所(産総研)が中心になり、まず鋳物、溶接、旋盤加工、めっき、レーザー溶接の5種類のソフトを開発。業界団体を通じて中小企業に配布する予定だ。

 このソフトを導入した企業では、熟練工が旋盤の設定値や速度、鋳物の型に流し込む金属の温度など、細かい作業記録を入力。その作業方法を選んだ理由や効果、試行錯誤の経緯なども記録する。溶接など数値化しにくい作業は、ビデオで撮影して映像で残す。

 社内で数カ月から数年かけてデータを蓄積。製品やトラブルの内容に応じて、簡単に検索できる仕組みにする。

 産総研は、熟練工の強みは手先の技術だけでなく、取引先から指定された製品の仕様、納期、価格などに応じて、材料選びや加工方法などをすぐに判断する能力にあると分析。後輩に直接教えるだけでなく、細かくデータベース化しておくことが、技能の伝承に役立つとみている。

団塊世代に照準…都会飛び出し起業目指せ 創業資金支給へ

2005/08/31 The Sankei Shimbun

 厚生労働省は31日、大都市を飛び出して地方での起業を希望するサラリーマンなどを後押しするため、創業資金を最大300万円まで支給する制度を新設する方針を明らかにした。団塊の世代に照準を合わせた新政策で、対象地域は20道府県47地域。同日提出の2006年度予算概算要求に、3億7000万円の助成金を盛り込んだ。

 主なターゲットは2007年から300万人近くが定年を迎える団塊の世代。この世代には定年後、地方での生活を希望している人が少なくない。長年企業内で培った技術を生かして移住先で創業してくれれば、厳しい雇用情勢が続く地方にとってもプラスになると青写真を描いている。

 助成金の支給を受けるには(1)政令指定都市か東京23区に5年以上在住・在勤している(2)雇用保険の被保険者期間が5年以上ある(3)地方移住後1年以内に創業し、事業開始後1年以内に常用労働者を雇用する―といった条件を満たす必要がある。

 起業のための移住先は、厚労省が雇用環境の特に厳しい地域として認定している「雇用機会増大促進地域」。北海道の旧産炭地や沖縄の離島なども含め、全国で20道府県47地域としている。

 創業支援策としては、法人設立費用のほか設備費、知識習得のための講習費、コンサルティング費など300万円を上限に支給する。

 厚労省は「地方で第二の人生を送ろうと考えている都会の会社勤めの人たちが、地方経済活性化の起爆剤になってくれれば」(雇用開発課)と期待している。(共同)

住友電工が定年再雇用制度 10月から導入

2005/08/30 The Sankei Shimbun

 住友電気工業は30日、60歳で定年となる社員を再雇用する制度を10月1日から導入する、と発表した。意欲ある高齢者に雇用の場を確保し、若手に経験や技能を継承してもらうのが狙いだ。

 各部署が求める人材と、定年退職予定者の技能が合致した場合に再雇用する。契約は1年更新で、雇用上限は当初は62歳で始めるが、徐々に65歳まで引き上げる。年収は退職前の6―8割程度に下がる。

 今年から数年間で、年約300人が定年を迎えるが、どの程度再雇用するかは未定という。(共同)

繁盛再生 そごう&御堂筋 2007年問題

2005年08月18日 毎日新聞 大阪夕刊 Mainichi INTERACTIVE

 ◆再開店まであと20日

 17日午後、御堂筋活性化をめぐる討論会がホテル日航大阪で開かれた。講師は竹中平蔵・経済財政担当相と中馬弘毅・元副国土交通相。長堀21世紀計画の会理事長、成松孝さんが司会を務めた。

 小泉構造改革のキーマンに地元の思いを伝えたいと「明日の御堂筋」委員会の委員長である中馬氏が仕掛け、企業、商店街、街づくり団体などの200人が参加した。

 「側道を歩行者専用に改造し、南向き一方通行の車道を対面通行(制限速度15キロ)に。これによって御堂筋を市民交流の広場、国際観光の拠点に切り替える」。日ごろの持論を披露した中馬氏はさらにこれを「2007年までに実現しよう」と踏み込んだ。

 07年は御堂筋完成からちょうど70年。関西国際空港2本目の滑走路の供用が始まり、世界陸上大阪大会が開かれる。さらに聖徳太子の命を受けた小野妹子が隋に渡ってちょうど1400年。この大きな節目を御堂筋改造の期限と定めたわけだ。

 これを受けた竹中氏は「御堂筋以外で、ストリートとして勝負できる街は日本にない」と述べたうえで二つの具体的な宿題を投げかけた。

 一つはトランジットモール。のんびり歩きながら街を楽しみ、少し離れたところへは例えば路面電車で移動するといった性格の遊歩道だ。世界を飛び回った経験から「世界の街にあって日本の街にないもの」を考えた結果、出てきたのが「トランジットモールという概念」だったという。

 二つ目は住居。1920年代以降続いてきた郊外居住志向のトレンドが都心へも向かい始めた。では「ニューヨーク五番街のような職住近接の都市」をどう築くのか。

 「07年問題は人口減少の始まり、団塊世代のリタイアといった暗い面ばかりじゃなく、明るいことがあることを教えてもらった。だとすればなおのこと新しい、明るいことをスタートさせる年にしましょうよ」

 子供のころ難波高島屋のお弁当を楽しみにし、博士号を大阪大学で取得した竹中氏の、思い入れたっぷりの御堂筋論はこう締めくくられた。<文・渡辺悟/写真・大崎幸二>

団塊の世代

2005年08月16日 東奥日報

 第1次ベビーブームとなった戦後復興期の1947年から49年ごろに生まれた世代。作家の堺屋太一氏が小説の題名で命名した。総務省などによると47−49年生まれは現在約680万人いると推計され、他の世代に比べ突出して多い。日本の高度経済成長を支える原動力となった半面、バブル崩壊後の景気低迷期には、合理化を進める企業にとって雇用の過剰感を生み出す一因となったとされる。2007−09年には、団塊の世代の280万人以上が定年退職期を迎えるため、年金給付増大などの形で社会保障制度にも大きな影響が出ると想定されている。

もうひとつの2007年問題、熟年離婚急増か?

2005年08月15日 夕刊フジBlog

【「大定年時代」を生きる】

 多くの既婚ビジネスマンにとって、奥さんは空気や水のようにいつも身近にいて当たり前の存在。当然、年を取っても身の回りの世話を焼いてくれると思っているだろう。

 ところが、そうした期待に冷水を浴びせる、新たな年金改革が進んでいる。平成16年の年金制度改正によって、2007年4月以降に離婚した夫婦は、厚生年金や共済年金を夫婦間で分割できるようになるのだ。

 いままでの制度では、専業主婦が離婚しても基礎年金部分しか受給できなかったが、2007年4月からは報酬比例部分まで夫婦間で分けられるようになる。老後の生活のため、と夫の世話に辛抱していた主婦たちが、この改正で一挙に離婚に走る事態が予想される。(2005.08.15紙面掲載)

< 離婚急増の“不気味な前兆”>

 実は、その予兆はすでに現れているという。

 厚生労働省の「人口動態統計」によると、2004年の離婚件数は前年に引き続き減少している。若年層の離婚は変わらず増えているのに、熟年層の離婚だけが大幅に減っているのだ。

 このデータの意味をよく考えてほしい。大地震の前の震源域が一見平穏に見えるのと同じような前兆に思えないだろうか? ストレスは地下深くで蓄積しているのだ。

 <リタイア後の人生は奥さんが“主役”>

 1人では食事も作れないシニアが、長い老後を健康に生き延びるのは至難の業だ。生活費だって1人と2人では大違い。体が動かなくなったとき、誰が面倒を見てくれるかも深刻な問題だ。

 “悲劇”を招かないためにも、定年の最低5年前には、奥さんと一緒にリタイア後の人生計画(下記参照)を作り始めよう。その際、奥さんの夢や希望をかなえる計画を立てることが大前提。そうしないと破綻の原因になる。

 奥さんの意向を汲み入れると、自分が考えていた計画と大きく変わるかもしれない。それでも、リタイア後の人生は奥さんが主、あなたが従と考えることが大切。それが平穏無事に老後を乗り切る秘訣なのだ。

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 リタイア後をより良く生きるためには、「第2の人生」の“事業計画表”が必要だ。この連載では、表計算ソフト「エクセル」やインターネット上の便利サイトを利用して人生計画を立てる術を紹介する。

若手不在、多忙… 技術伝承進まず 「2007年問題」で1234社調査

2005年08月15日 GOO News(産経新聞)

 「団塊の世代」の従業員に技術や技能が偏っているのに、若手不在や日々の仕事に追われて技術の伝承が進んでいない−。

 大阪市信用金庫が取引先の中小企業に対し、団塊の世代の退職が始まる「二〇〇七(平成十九)年問題」について調査したところ、こんな結果が出た。同信金は「定年制を設けているのは五割強のため直ちには人材不足に陥らないが、深刻な状況に変わりはない」と指摘している。

 調査は七月中旬に実施し、千二百三十四社から回答を得た。

 調査結果によると、団塊世代(昭和二十二−二十四年生まれ)がいる企業は七百十七社(58・1%)で、運輸(82・0%)、製造業(65・0%)が多かった。「団塊世代に基幹的な技術や技能が偏在している」と答えた企業は81・7%。製造業(81・7%)や建設業(81・0%)に目立ち、小規模の企業ほど多くなっている。

 また、基幹技術の伝承が進んでいるのは27・0%にとどまったほか、もともと若手従業員のいない企業が38・7%もあり、特に十人未満の企業では48・5%が若手不在に悩んでいる。

介護で退職しても職場復帰できる…トヨタの再雇用制度

2005年08月02日 Response

 トヨタ自動車は1日、同日から事務・技術系の専門職以上を対象にした「プロキャリア・カムバック制度」を導入したと発表した。配偶者の転勤や長期の介護のために退職しても、原則再入社でき元の職場に復帰できる。

 この制度の対象となるのは入社後3年経過し、かつ専門職として1年以上の経験がある人。退職の理由は配偶者の転勤と介護に限定する。

 介護の場合は2年の休職制度がすでにあり、これを超えて介護が必要な場合に、この制度が活用できる。男女を問わないが、夫の転勤で止む無く一時的に退職するケースなど女性にとって歓迎される制度となりそうだ。退職期間に制限はなく、本人が希望する時期に再雇用申請できる。《池原照雄》

トヨタ、再雇用対象を全社員に拡大

2005/07/29 The Sankei Shimbun

 トヨタ自動車は29日、工場で働く技能職に限定している定年退職後の再雇用制度の適用対象を、2006年度から全従業員に拡大し、数値化した新たな評価基準を使って採用する方針を正式に決めた。

 厚生年金の支給開始年齢引き上げに合わせ、同制度で働ける年齢の上限も63歳から段階的に65歳に引き上げ、定年の60歳以降は毎年契約を更改する。

 05年度は180人の再雇用を予定するが、新制度導入後は大幅に増加する見通しで、グループ企業での再就職も含め、希望者のほとんどの就労を目指す。

 高齢化社会の到来で、他の企業も高齢者の職場確保への取り組みを急いでおり、日本企業トップの業績を誇るトヨタの対応は影響を与えそうだ。

 評価基準は、55歳以降の健康状態や勤務態度、技能などを数値化。基準を満たした希望者を再雇用する。客観的な判断ができるよう職場の管理者に説明を徹底する。

 トヨタは、定年延長など再雇用以外の方法を採用しなかったことについて「全員そのまま採用すると、会社の活力や競争力の問題が出てくる」(幹部)としている。

 またトヨタは、企業年金の給付利率を固定型から変動型に変更する方向で最終調整していることを明らかにした。(共同)

パイロット足りない! 2007年以降、団塊世代続々定年

2005/07/24 The Sankei Shimbun
JAL、外国人やOB活用 ANAは大学と提携、人材養成へ

 団塊世代の定年で大量の退職者が発生する「二〇〇七年問題」に、航空業界が頭を痛めている。特に問題なのがパイロット(操縦士)の確保で、業界全体で毎年四百人規模の補充が必要となる見込み。対策として外国人乗員の活用やOBの再雇用などに加え、大学と手を組みパイロット養成に乗り出す航空会社も現れた。優秀なパイロットの確保は航空会社にとって生命線だけに、関係者の悩みも深刻だ。(柿内公輔)

 訓練生まで含めたパイロットの年齢構成は、団塊世代(昭和二十二−二十四年生まれ)を中心に五十歳代に偏りがみられる。主要航空会社十五社で、四十代は各年次で百人強程度しかいないのに、五十代半ばでは三百人近くにも達する。団塊世代が定年に達する平成十九年を皮切りに、パイロットが大量にリタイアし、二十三年まで毎年二百人を超える退職者が出る見込みだ。

 今後の航空需要予測の伸びに伴い、航空各社ともパイロットの必要数は増加基調にある。二十一年には羽田空港に四本目の滑走路が開設されて運航便数も急増する見通しで、国土交通省でも「今後、大幅なパイロット不足に陥る心配もある」(航空局)と気をもむ。

 航空会社のパイロットになるには、入社後の厳しい養成訓練課程を修了するか、航空大学校で学ぶのが基本。さらに優秀なパイロットと呼ばれるには高度な専門知識だけでなく、「経験が問われる世界」(元航空大手パイロット)でもある。

 日本航空では二十年と二十一年がパイロットの大量退職のピークで、機長だけで年間百七十人がリタイアする見通し。現在は年に百人程度のペースで機長を養成しているが、「訓練施設などの問題もあり、劇的に増加させることは不可能」(広報部)な状況だ。

 そのため、自社養成だけでなく、外国人パイロットの採用や、OBの元パイロットと再雇用契約を結ぶなどの対策を進めている。現在外国人は約百四十人、再雇用は十七人で、今後拡大することを検討している。

 一方、全日本空輸は今年六月、東海大学と提携して、国内の大学では初めてとなるパイロット養成課程を開設することを発表した。来年度から工学部に設置される「航空操縦学専攻」で、卒業後に全日空に採用されると約一年半の訓練を受け、副操縦士として定期便に乗務。全日空は講師派遣などで協力する。

 全日空も十九年からの五年間だけで四百人のパイロットが退職する見通しで、山元峯生社長は「羽田の再拡張などで事業規模も拡大する。これからの航空大競争時代に打ち勝つために、いかにパイロットを確保するかが重要な経営課題になる」と話している。

労働経済白書 「団塊の世代」近づく退職 企業の負担減、10年で88兆円

2005年07月23日 Goo News(産経新聞)

 厚生労働省は22日、平成17年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を発表した。19年から始まる「団塊の世代」の退職によって企業は人件費が軽減され、「10年間で88兆円の剰余が生じる」と試算。これを若年者の積極採用や高齢者、女性の活用に幅広く利用していくことを求めている。

 白書では、平成十九年から人口減少が始まり、「二〇〇七年問題」とされる「団塊の世代」の退職で、労働力人口が平成十七年から二十二年にかけて年率0・5%減少、その後も平成四十二年まで、0・6−0・7%のペースで減少すると推計。団塊の世代が退職後、労働力市場の担い手不足への危機感をにじませた。

 ただ、若年者に比べて所得が高い団塊の世代の退職で、企業は賃金負担が軽減されると強調。

 平成十六年には二百十六兆円だったわが国全体の賃金総額が、二十七年には二百三兆円に減少していくと試算。平成十六年の賃金総額を基準にすると、団塊の世代が退職を迎える十九年以降の十年間で、累計八十八兆円が軽減されるとした。

 そのうえで白書は、企業は負担軽減を踏まえて、若年者の計画的採用と育成や高齢者の技能の企業内での継承、女性の能力の積極活用を促すことで労働力人口を確保し、「みんなで働き支えあう社会」実現の必要性を訴えている。

 白書は若年労働者の現状についても言及。入社三年以内の離職率は高卒者で48・9%、大卒者で35・4%と高水準が続いた。

 また、企業が即戦力を求めて中途採用を拡大したり、賃金の安いパートやアルバイト採用を進めた結果、十五歳から二十四歳までの労働者のうち、パートなど非正規社員の割合は33・3%と十年前の三倍以上に急増したことを指摘した。

 一方、十五歳から三十四歳で定職を持たないフリーターの平成十六年平均は二百十三万人で前年に比べて四万人減ったものの、同世代で通学も就職の意欲もないニートは六十四万人で前年と同水準となった。

 前年の白書ではニートは五十二万人だったが、既婚者や学校に在籍していても通学していない若年者も加えるなど定義を変えたため、前年も六十四万人と修正した。

 また、今回は、地域別のフリーターとニート数も初めて集計。十五歳から三十四歳人口に占める比率が最も高かったのはフリーターが東北(十七万人)の7・3%、ニートが近畿(十二万人)と中国(四万人)でそれぞれ2・2%。いずれも地域の若年者雇用の厳しさを裏付けた格好だ。

     ◇

 【視点】

 ■労働力確保へ施策必要

 平成十七年版の労働経済白書は、人口減少や団塊の世代が退職する十九年以降の労働力確保に向け、企業に若年者や高齢者、女性の積極的な採用に取り組むよう強い努力を促した。ただ、競争にさらされ、利益追求が前提の企業に過度な期待をかけるのは困難。むしろ行政には、奨励金や税制措置などで企業の取り組みを高める施策が求められる。

 白書では、フリーターやニートに代表される若年者の雇用環境が依然厳しい状況を踏まえ、「新規学卒者の計画的採用と育成が企業の社会的責任である」と指摘。

 さらに、企業の人件費負担が十年間で累計八十八兆円軽減されるという「思い切った試算」(厚生労働省)を提示。これを根拠に若年者の採用・育成のほか、高齢者や女性の活用を求めた。

 だが、四半期決算の導入にみられるように、企業はより短期で成果を求められ、業績が悪ければ株主から経営責任を問われる。企業に長期的視点からの採用を期待するには、行政側のサポートが不可欠だ。(福島徳)

トヨタ、65歳まで仕事OK 再雇用対象を全職員に拡大

2005/07/16 中国新聞ニュース

 トヨタ自動車は十六日、厚生年金の支給開始年齢引き上げに合わせ、六十歳の定年退職後の再雇用制度で働ける年齢を二○○六年度以降、現在の「六十三歳まで」から段階的に「六十五歳まで」に引き上げる方針を明らかにした。

 同時に、工場で働く技能職に限定している定年退職者の再雇用制度を○六年度から全職員に拡大して適用。健康状態や、最近数年間の勤務状況といった再雇用の基準となる条件も明確化させ、グループ企業での再就職も含め、希望者のほとんどの就労を確保する。

 日本経団連会長会社のトヨタが動くことで、高齢化社会の本格到来に向け、他の企業でも高齢者の職場確保への取り組みに拍車が掛かりそうだ。

 トヨタ本体の従業員数は約六万五千人。今後数年の間に団塊の世代が定年を迎えるため、同社の○七年度以降の定年退職者数は、現在の年間八百〜千人程度を大きく上回る規模になる見込み。

 新制度により、従来は希望者の約30%程度だった再雇用を大幅に拡大させる。定年や定年後の継続雇用の対象年齢を段階的に六十五歳まで引き上げるよう企業に求める改正高齢者雇用安定法の成立で、同社の対応が注目されていた。

 再雇用の基準についてトヨタは組合側との最終的な調整を進める。組合側は希望者全員の再雇用を求めており、新制度により○六年度にどの程度の再雇用や再就職が実現するかを見極める方針。

 トヨタは、世界中での販売増に伴いグループ全体で人手不足が深刻化しており、退職者だけでなく、期間従業員の活用を拡大するなど積極的な人材確保を進める。

技能職再雇用が加速 マツダ

2005/07/14 中国新聞地域ニュース

 マツダが六十歳の定年退職を迎えた技能職の再雇用を進めている。二〇〇四年度には、新規の再雇用者数が年間で初めて百人を突破。技能職全体の再雇用は同年度末時点で過去最多の計二百九十五人となった。大量定年時代を控えて現場の技能伝承が課題となる中、再雇用によるベテラン技術者の活用を進めている。

 マツダは一九九一年度から再雇用する対象者を登録する「シニアファミリー制度」を設けている。登録者は一九九〇年代には二けたで推移していたが、二〇〇〇年度に初めて全体で百人を突破。大規模な早期退職を実施した〇一年度にいったん減ったものの、〇二年度以降は再び増加傾向が続いている。

 〇四年度には新規登録者だけで百七人を数え、全体では同年度末に前年同期の一・六倍の二百九十五人に増えた。再雇用者が急増した背景には、マツダが職場単位で再雇用する推薦者を増やしているためで、「高齢者の技能を確実に伝承したい」という。

 シニアファミリー制度は、工場の生産ラインで働く技能職が対象で、職場の推薦を受けると六十歳以降も再雇用され、一年ごとに更新する仕組み。ベテランの熟練技術を次世代に引き継ぐのが狙いで、最長六十五歳まで延長できる。

 マツダは積極的に車種拡大を進める中、生産ラインに派遣社員の採用を増やしている。指導役となる中堅、ベテランの従業員が不足しており、今年一月には十一年ぶりとなる技能職の中途採用にも踏み切った。〇四年度の定年退職者は約五百人。今後、団塊の世代が大量に定年を迎え、再雇用の拡大が見込まれる。

「団塊世代大量定年」の2007年問題 経産省が研究会2005年7月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 経済産業省は8日、団塊世代が定年を迎えて大量に退職する「2007年問題」を控え、若手人材の育成や短期間での離職を防ぐための研究会を発足させた。

 研究会メンバーは、学者や企業の人事担当、教育行政の担当者など、産学官の計21人。

 大学卒の約35%が入社3年以内に会社を辞めることが問題化する中、研究会は、内定から入社までに一定期間の猶予を与え、ボランティア活動などの社会経験を積ませる「ギャップイヤー制度」の普及などについて検討する。

 基礎学力の低下や対話能力不足への対策、人材が不足している中小企業の支援策も議論し、年内をめどに提言をまとめる。

団塊世代が一斉定年 2007年問題初めて指摘 ものづくり白書2005年06月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 経済産業、厚生労働、文部科学の3省は3日の閣議に、2005年版の「ものづくり基盤技術の振興施策(ものづくり白書)」を共同で提出し、了承された。ものづくり白書で初めて、団塊世代が定年期を迎えて一斉に退職する「2007年問題」を取り上げた。

 白書は、07年以降に60歳を迎える1947〜49年生まれの団塊世代は約670万人に上るとし、ベテラン社員の定年が集中することで、技能の伝承などに危機意識を感じている企業の割合は、特に製造業が30・5%と、全産業の22・4%より比率が高いとしている。

 技能の伝承には時間がかかり、意欲ある若年・中堅層の確保も難しいことから、企業は団塊世代の雇用を延長して指導者として活用したり、中途採用を増やしたりするケースが多いと指摘。就業体験やフリーターの再教育など、官民一体での人材育成に取り組む必要性を強調した。

 一方、2004年に製造業は過去最高の業績をあげたが、デジタル家電の価格低下が見られるなど、先行きには懸念材料があるとした。

2007年から問題2005年05月02日 asahi.com

 「2007年問題」とは正確には、「2007年から問題」である。1947〜49年生まれの団塊の世代が、2007年からはじまって、毎年、大量に企業をリタイアし始め、オフィス街から、自宅のある町に大移動を起こす。そして、団塊の世代を1947〜51年生まれまでと大きくとらえれば、彼らの最後のグループがリタイアをしてはじめて迎える2012年あたりには、日本の社会は大きく変化しているだろう、と予測されるからである。

 具体的には、団塊の世代のリタイアは、労働人口の減少によるオフィスとその周辺の産業の縮小や、高度技術の衰退などの問題以外に、日本の社会や市場にいくつかの新しい流れをもたらす。その一つは、時間を自由に使える団塊シニアが平日に大量にレジャーやスポーツ、習い事、買い物などの消費行動をする、と予測されることである。週末や夏休みばかりに人が集まっていた多くの業界にとって、曜日や季節に偏りがなく集客ができる「平準化」というビジネスチャンスが訪れる。

 二つ目は、朝時間の活性化である。高齢になると、朝早くから目覚める人が多くなる。早朝から、スポーツ、交際、娯楽、買い物をしたいという団塊シニアの大量のニーズが市場を動かす。早朝オープンのスーパーやデパート、映画館が登場することが予測される。

 三つ目は、地元の活性化である。目も舌も肥えた団塊世代が自宅のある地元に目を向ける。それは地元のレストランや商店街などの質の向上を促し、ボランティアなど地域のコミュニティーも元気づくだろう、と予測される。団塊世代のリタイアは、その人口の多さゆえに、日本の社会や市場を、従来の仕事優先の「ビジネスモード」や「企業モード」から、生活優先の「生活モード」や「私モード」へと大きくシフトさせていくとともに、高齢社会の新しいモデルを提示していく、と期待される。 (深呼吸)

2007年問題2005年02月21日 asahi.com

 戦後のベビーブーマーとして生まれ、受験戦争を生き抜き、ビートルズやグループサウンズに熱中し、日本の高度成長を第一線で引っ張ってきた、いわゆる「団塊の世代」が07年以降次々と60歳を迎える。出生時から何かと注目されてきた世代であるが、彼らがビジネスの第一線から引退するに当たっても、いろいろな社会現象を引き起こすのではないかと懸念されている。これが「2007年問題」である。

 いろいろな説がある。「700万人にも上るといわれる彼らが一斉に引退することにより、消費が大きく減退する」とか、「IT業界では、大型電算機のメンテナンスを担ってきたベテランSE(システムエンジニア)の退職で基幹系システムに不具合が生じる」といった不安。製造業でも「モノづくりの現場を支えてきたベテラン技能職の退職により、技能の伝承が途絶え、日本の製造力が衰える」などといわれる。しかしながら、「彼らが年金の支払い側から受け取り側にまわることで、年金負担が増大する」ということを除いては、特に明確な根拠があるわけではない。

 コンピューターの誤作動が懸念された「2000年問題」のように、全社挙げての対策が必要になるものではない。ただ、企業としては現在も多くが中核として活躍している世代の引退に備え、後継者の育成や彼らが培ってきたノウハウなどの継承といった対策を考えておかなければならない。そのために中途採用を積極化する企業も出始めている。

 一方で、「改正高年齢者雇用安定法」の趣旨を受け、60歳以降も彼らを契約社員などで継続雇用することにより、ポスト団塊の世代へのシフトを軟着陸させるというやり方もある。

 いずれにしても、いかにして企業のパワーを劣化させず、次世代にうまくバトンタッチしていくのか。企業の創意工夫が問われている。(H)

2007年問題 〜団塊世代の引退と高年齢者雇用安定法の改正〜 2004年11月02日 Mizuho

 2007年から、いわゆる「団塊の世代」が60歳に到達し始める。現在、日本の企業の約9割が定年制を定めており、さらにそのうちの9割が定年年齢を60歳に定めているため、仮に企業の定年制度が現状のままなら2007年から2010年にかけて大量の定年退職者が出ることになる。その時、日本はどうなるのか。

 「年金を納めていたたくさんの人たちが受け取る側にシフトしていくのだから、年金制度への影響は大きいだろうね」、「団塊の世代を多く擁する企業は一気に中核人材を失い、活力を失うのではないか」、「逆に企業は団塊の世代の人件費負担から解放され、活力を取り戻すだろう」、「オフィスビルの空室が増えて賃料も下がるな」、「ならばオフィスを借りて起業するか。引退する団塊の世代は時間もカネもたくさんあるから、そんな新しいマーケットをターゲットにしたビジネスを考えないか」。−経済に関心のある方なら、一度はこんな会話を口にしたことがあるかもしれない。

 日本はこの数年内に、「2007年問題」 とその後間もなく訪れる「超高齢社会」(2015年に4人に1人が65歳以上になることをこう称している)に対応すべく、諸制度や社会の仕組みを一気に変えていかざるをえない状況にある。また実際にその変革の萌芽は部分的に芽吹き始めているのだ。一例を挙げると、「未納・未加入問題」のおかげで本質的な議論が深められないまま成立に至った年金改革法の影で、「高年齢者雇用安定法」が改正されたことはあまり知られていない。

 「改正高年齢者雇用安定法」は企業に対し2006年4月1日までに「定年年齢を65歳に引き上げる」か、「定年を廃止する」か、あるいは「定年退職者のうち希望者を嘱託等の身分で引き続き雇用する継続雇用制度を導入する」か、いずれかの対策を採るよう義務づけている。もっとも、同法は「事業主が、労使協定により継続雇用制度の対象労働者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、継続雇用制度を導入したものとみなす。(この場合希望者全員を雇わなくてよい)」としている。このことを考慮すると「2007年問題」回避の可能性はそれほど高くはないと考えられる。

 一方、すでに現段階で継続雇用制度を導入している企業のなかには、定年以降の人材が「現役時代」の6割程度の報酬で活躍しているというケースも少なからずある。例えば、自らが築き上げた人脈を活かし、定年以降も嘱託社員として売上増に貢献している営業のベテラン。彼らの就労条件は「基本給部分は小さく、成果に応じたコミッション部分は大きく」である。企業としては「使い勝手」がよい。当人も「金銭そのもの以上に、役に立っているという実感がほしくて働いている」と言う。また別の例では、定年以降、パートタイマーとして若手従業員への技術伝承を担う製造現場のベテラン。この人も「お金がたくさん貰えるに越したことはないけど、今は教えることがやりがい」と語る。

 上記のような例は現状、決して「主流」とは言えない。継続雇用されているのは経験と実績があり、現在でも役に立つ力を持っていると企業がみなした一部の人たちである。人数が多いゆえに激しい競争にさらされ続けてきた「団塊の世代」の経験と意欲を、定年以降にも当然のこととして企業が有効に活かしていく流れが、2007年までにできることが望まれる。 (経済・産業研究室 江淵 弓浩)

第33回「2007年の"問題"と"解決(ソリューション)"。そのビジネスチャンスを考える」 2004/09/30 NIKKEI NET/BIZ PLUS

(電通ワンダーマン 営業本部部長 金森 努氏)

 2007年。この年号を聞いて何を思い出されるだろうか。

 北京オリンピック? いやいや、それは2008年。

 最近新聞紙上をにぎわす2007年というキーワード。それは複数の社会的な問題が顕在化する年なのだ。そして、"問題"のあるところには"解決(ソリューション)"という名のビジネスチャンスが存在するはずだ。今回は、そのいくつかの2007年問題とそのビジネスチャンスについて考えてみたい。

 <有能なベラランが消えていく!ビジネス界全体の2007年問題>

 日本の高度成長を支えてきた団塊の世代。不況気の中、一部はリストラのターゲットにもされてしまったが、その個々に蓄積されたノウハウや技能は、まだまだ若い世代が太刀打ちできないものがある。その団塊の世代で一番数が多いのが、戦後間近の昭和22年(1947年)生まれであり、その層が60歳で定年を迎える年が2007年となるのだ。

 特に取りざたされているのがSI(システムインテグレーション)の業界で、企業の情報システムを支えてきたベテランSE(システムエンジニア)が続々と引退しているため、情報システムがブラックボックスになりつつあることが大きな問題になっている。「システム障害はなぜ起きたか みずほの教訓」(日経コンピュータ編・日経BP社刊)によれば、先のみずほのトラブルも「複雑なシステムの全体像を見渡せる人材が減少しつつある。これが一連のシステム障害の底流にある大問題である。」とベテランの流失が問題の根源にあることを指摘し、既に2007年を待たずにそれが顕在化し始めていることを指摘している。

 しかしこれは、SIの業界だけの問題だけでなく、製造業全般にわたる問題であるのだ。設計、研究開発、製造、全ての日本の現場はベテランによって支えられてきたといっても過言ではなく、その多くがテキスト(仕様や技術文書)に十分落とされていなかったり、それらが存在したとしても、第三者が理解できる状態にない。そもそもがテキストに落とせるものではない微妙な職人芸の世界だったりと、多分に"暗黙知"の状態にあるのが事実だ。

 それらの"暗黙知"を誰もが理解できる"形式知"化し解決しようとしているのがナレッジマネジメント(KM)関連のソリューションを扱っている企業である。失われていくベテラン社員・職人のノウハウをいかに抽出・プロセス化していくかにカギがあるのだ。そして、その形式知化、もしくはプロセス化ができれば、次にはアウトソーシングの業界にビジネスチャンスが巡ってくるだろう。

 一方、2007年にリタイヤする団塊の世代をビジネスマンとしてではなく、一消費者としてとらえれば、「可処分所得と可処分時間に富んだ消費者層」が大量に市場に誕生することを意味している。彼らのリタイヤ後の消費生活をどのように取り込めるのかは、様々な業種にとって大きなビジネスチャンスとなることは間違いない。

 <2003年では終わらなかった? カラのオフィスがまだまだ発生!>

 以前、2003年問題として取りざたされたが、汐留、品川、丸の内、六本木・・・・・・。相次ぐ再開発によってもたらされる、オフィスの供給過剰はいまだ止まらず、次の波が2007年にやってくるといわれている。古いオフィスビルに空室が大量に発生することは元より、新しく建てられるビルに関しても100%の入居が危ぶまれている。特に前述の人気スポットから少し離れて建てられてしまった、単独の新しいビルは深刻だ。それらのビルではかなり長期間のフリーレント(家賃無料)期間を設けるなどの好条件で企業を誘致に乗り出している。一方、古いオフィスビルもただ手をこまぬいているわけではなく、ビルのセキュリティーや空調、アメニティー面から始まり外装までを大幅に改築し、テナントに便宜を図ることによってオフィス移転を阻止しようと必死だ。

 ある意味、どの業界においても供給過剰が起こったときには、サービス競争が起こり一時的に受益者が増加する。その後に淘汰が始まるのだ。テナント側には好機であろうが、ビルオーナーにはかなり厳しい状況だろうことは確かだ。しかし、古いビルのリフォーム需要など、一部にビジネスチャンスが発生するであろうし、企業の引っ越しも市場を潤すだろう。そして、最終的には古いビルが淘汰され、再開発という大きなビジネスが再び動き出すことになるのかもしれない。

 <ホテル業界も2007年に供給過剰のピークに>

 同じく供給過剰という意味ではホテル業界も2007年が節目になる。現在、東京のシティーホテルの勢力図は大きく塗り替えられつつあり、空前のホテル開業ラッシュは2007年にピークを迎えるのだ。実に最終的に供給される客室数は7,000室に上ると予想され、現在の東京にあるシティーホテルの年間平均客室稼働率が約75%であることを考えると明らかに供給過剰である。

 なぜ、供給過剰を起こしてまで進出が相次ぐのか。新規に進出しているのは世界有数の一流ホテルである。単純に考えれば、外資の流入は小泉首相が旗を振る、日本の観光振興により増大が見込まれる外国人需要を見込んでのことでもあろう。しかし、最終的には前項のオフィスビルと同じく、再開発を機に一気に淘汰に向けた戦いが仕掛けられていることを意味するのだろう。そして日本勢は苦境に立たされる。

 つまり、日本勢は新規誘致だけでなく、既存客の囲い込みにも腐心しなければならなくなるからだ。ホテルはサービス業であるが、装置産業でもある以上、巨大な資本を投下された新らしいホテルの快適性は顧客にとって魅力的に映ることは否めない。それを離反させずに囲い込み、さらに既存客からの紹介やクチコミで顧客を拡大していくためには、満足度向上と囲い込みのしくみなどが欠かせない。となると、ホテル本来の"ソフトの魅力"で勝負することになり、同時にそこには高度なマーケティングプログラムが必要となる。そして、僭越ながら筆者の属するマーケティングの業界にも活躍の機会がやってくるように思われる。

<誰でも大学生になれる? 大学の2007年問題>

 教育界での2007年は「全入時代」と呼ばれている。少子化によってこの年ついに、大学の入学希望者数が、募集定員を下回ってしまうと予想されているのだ。つまり、選り好みをしなければ、誰でも大学に進学できるということである。とはいえ、人気は有名上位校に集中するので中堅以下の大学、とりわけ地方大学の苦戦は目に見えている。

 そこで各校とも、自校の魅力をいかに出していくかが大きな課題となっている。その一つが大学のブランディング。いわゆるブランドマネジメント手法を用いて、自校の価値を再定義し訴求する取り組みが始まっている。既にかなりの大学に広告やコンサルティング会社がそれをビジネスチャンスとしてサービスを提供している。

 さらに関連した動きとして、小子化対応で体力のある大学は、大学院の充実に注力している。特にビジネスに直結した法科大学院、会計職専門大学院、MBAスクール等の専門職大学院の展開が顕著だ。また、金沢工業大学大学院(東京校・知的創造システム専攻)のように、社会人にターゲットを絞って、夜間1年制で修士号(工学修士)を取得できるコースなども出てきている。確かに「大卒資格の高卒化」と言われるように誰もが大卒になれば、次にくるのは「大学院卒」という、より高学歴志向であろう。それを反映してか、今のところ、上記の大学院の展開においては、各校とも募集にさほど苦戦はしていない様だが、いずれ競争が激しくなるのは目に見えている。

 一連のブランディング、募集、資料請求者に対するフォローコミユニケーション等この領域でも、マーケティングの世界の活躍の場はありそうだ。

 冒頭記したように、"問題"のあるところには"解決(ソリューション)"という名のビジネスチャンスが存在するはずだ。そして今回は2007年という年にいくつも重ねてやってくる社会的な問題を、主に筆者の生業であるマーケティング業界の目から見てみた。恐らく他の業界のプロの目から見れば、全く違ったビジネスチャンスも見えてくるだろう。

 実は、色々調べていくうちに副次的にわかったのだが、今回のように各業界で言われている様々な2007年問題を並べて見ているコラムは意外と少なかった。その意味からも、拙稿が何らかのヒントになれば幸いである。

任天堂:65歳定年制を導入 2004年03月03日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 任天堂は、本社社員を対象に、65歳定年制を今年1月から導入したことを明らかにした。これまで社員の平均年齢が若いこともあり、定年制はなかったが、「定年の年齢がないと人生に区切りがつけにくい」という社員の要望を受けて導入を決めた。10年間を移行期間とし、定年以降の再雇用も個別に対応する。

 同社は1947年設立。主力である家庭用ゲームの業界は、社員の入れ替わりも多く、「もともと高齢者がほとんどいなかった」(同社)。社員数も少なかったため、定年制は敷いてなかったという。トランプや花札などを製作する職人的な社員の場合は、各自が体力や家庭の事情などで退職時期を決めていた。

 同社は、「平均退職年齢は62歳なので、定年制を導入しても社員に不利益は少ない」と説明している。また、60歳で取締役以外の管理職は役職を外す規定も設けた。60歳以降は給与が下がるが、勤続年数に応じて退職金が増える仕組みは変えない。【松久英子】

世代間ワークシェアを提唱 厚労白書

2003年08月01日 The Sankei Shimbun
 坂口力厚生労働相は1日の閣議に、少子化対策の一環として65歳以上の高齢者の雇用を促進するため、「世代間ワークシェアリング(仕事の分かち合い)」の実現を提案した平成15年版厚生労働白書を報告し、了承された。白書のテーマは、「活力ある高齢者像と世代間の新たな関係の構築」。白書では、「高齢者の就業は子育て世代の負担軽減に役立つので、『世代間の新たな支え合いの仕組み』を作ることが重要」としている。

 白書は、日本の現状について、少子高齢社会の進展で、高齢者は全人口の18.5%を占め、65歳のときの平均余命が女性の場合22.68年になるなど、「人生80年時代」が始まっていると分析。一方で、女性1人が一生に産む人数である合計特殊出生率は1.32と戦後最低の水準を示し、子育て中の働く夫婦の4割近くは、「子育てに十分時間がかけられない」と感じていると指摘した。

 そのうえで、高齢者の労働力率が21.8%なのに対し、30代の男性のうち週60時間以上の長時間労働者の割合は約4分の1を占めるなど、世代間で働き方の不均衡が生まれているため、「世代間ワークシェアリング」の実現を提案。具体化のために、(1)長時間勤務を改善し、効率的な業務の実現(2)柔軟な働き方を選択できる態勢の整備−が必要と指摘した。

 さらに、高齢者が子育てや世代間交流などに関するボランティア活動やNPO(民間非営利団体)の活動に積極的に参加することを提案した。高齢者の地域福祉活動への参加の意義について、「現役世代の問題の軽減に役立ち、高齢者の生きがいになる」としている。

東大教官の定年、65歳への延長が決定

2000.09.20(01:55)asahi.com
 東京大学は19日、評議会を開き、教官の定年を60歳から65歳に延長することを決めた。若手の登用が遅れ、研究活力が低下すると学内外で懸念の声が上がっていたが、学部ごとに教員の任期制導入を進め、教育研究の活性化を図るとしている。やはり定年が60歳だった東京工業大学もすでに65歳への延長を決めており、63歳定年のほかの国立大学でも延長の動きが広がりそうだ。

 決定によると、2001年度から3年ごとに1歳ずつ引き上げ、13年かけて65歳にする。各学部長ら48人の評議員で構成される評議会では目立った反論はなく、ほぼ「全員一致」だったという。

 評議会後に会見した蓮實重彦学長は、引き上げの最大の理由を「年齢による差別の撤廃」と改めて説明。「あらゆる人が無条件に65歳まで東大に居残ることを意図したものではない」として、任期制などの評価制度が定着した後は、定年の撤廃も含めて定年年齢の見直しをしていく方針を示した。

 また、今回の決定に合わせて、年限による差別をなくしたいとし、勤務年限を主な判断基準としている名誉教授制度についても抜本的に見直したいとした。

 定年延長は、蓮實学長が今年7月、評議会に提案した。教官のOB有志らは強く反対、シンポジウムを開くなどして、慎重に議論するよう求めていた。学内でも活力の低下の心配から、任期制の導入など条件つきの定年延長とすべきだとの声が上がっていたが、当初の方針通り、任期制などの方策は各部局任せとなった。

60歳以降の雇用延長、4社に1社 労働省外郭団体調査

2000.08.07(19:28)asahi.com
 年金の支給開始年齢の引き上げに応じて、60歳以降の雇用を延長する方針の企業は4社に1社にとどまるとの調査結果を労働省の外郭団体・日本労働研究機構が7日、発表した。6月末から約1カ月間、インターネットのホームページ上に調査票を設け、270社から回答を得た。

 厚生年金の定額部分の支給開始年齢は2001年4月から、現行の60歳が61歳に引き上げられる。これに伴って61歳まで雇用を継続し、収入の「空白」をなくすとした企業は14.8%で、「今後その方向で検討する」が10%だった。

 反対に、20%は「予定がない」と答えた。

 年金の支給開始年齢は3年ごとに1歳ずつ引き上げられ、2013年に65歳になる。この動きに沿って、雇用延長の年齢を引き上げていく見込みだとしている企業は、いずれの時点でも25%前後で、「予定がない」とする企業も約10%にのぼっている。

60歳以降の継続雇用、賃金2―4割ダウン避けられず?

2000.06.21(20:07)asahi.com
 60歳の定年後、引き続き雇用する場合の賃金は、事務・技術、現業部門とも30―39%減らす企業が2割強で最も多く、次いで20―29%減らすが約2割、40―49%減も1割強に上ることが労働省の外郭団体の調査で分かった。60歳以上で実際に働いている人の賃金をみると、約7割が定年前に比べ「下がった」としており、その過半が「年金と合わせても減少している」と答えた。暮らし向きが定年前より「苦しくなった」と感じている人も3割強いた。

 調査は、日本労働研究機構が昨年12月から今年2月にかけて、全国の従業員50人以上の企業とそこで働く50歳以上の従業員を対象に実施した。2466社、4620人から回答を得た。

 定年がある企業のうち、60歳以降の継続雇用制度があるのは61.5%で、過去3年間に定年に達した人が実際に継続雇用された割合が85%以上の企業が4割近くに上った。

 60歳以上で実際に働いている人に職務の満足・不満足を尋ねたところ、「満足」「どちらかといえば満足」が8割強に上った。その理由は「自分の能力をいかせる」「自分のペースで仕事ができる」がそれぞれ3割前後あった。

雇用延長、鉄鋼労使が来春から試験導入 決着へ

4:40p.m. JST March 11, 2000
今春闘の大きなテーマになっている60歳の定年後の雇用延長について、鉄鋼大手の労使は、2001年4月から試験導入し、その後に詳細を詰めていく方向で決着する見通しになった。雇用延長問題を巡っては、電機や繊維メーカーがすでに導入を決めている。定年前に子会社などへ転籍する人が多い鉄鋼業界が導入に向けて動き出すことは、他産業にも大きな影響を与えそうだ。

鉄鋼労連は当初、転籍者を含めて希望者全員を対象に、週3日勤務や隔週勤務などの「ハーフ勤務」制による雇用延長を求めていた。鉄鋼大手のほとんどは、おおむね55歳以上の社員について、転籍制度を実施している。転籍者の数は「鉄鋼大手だけで、5000、6000人に上る」(大手幹部)とも言われるだけに、雇用延長ではその取り扱いが課題になって、労使間の調整が難航していた。

鉄鋼大手労使の交渉で、再雇用制度の枠組みを2001年度から試験的に導入することとし、対象者の範囲や転籍者の扱い、勤務形態については「その後、各社の事情や転籍先の状況に合わせてそれぞれが検討する」(関係者)方向で決着する見通しになった。

本格導入の時期を巡っては、鉄鋼労連側は2003年度を求めているが、大手各社の経営側の意見に食い違いがあるため、まずは枠組みを優先する方向になりそうだ。

雇用延長交渉にも厳しさ=リストラが逆風に−春闘

00年3月4日 15時14分[時事通信社]
今春闘の大きな争点である雇用延長問題をめぐり、賃上げと同様に経営側の厳しい姿勢が目立っている。電機や繊維大手は2001年度からの実施で基本合意したものの、造船重機各社は、実施が2003年度にずれ込む見通し。鉄鋼や自動車は本格交渉を春闘後に先送りする。各企業は生き残りへ身を削るリストラに取り組んでおり、延長後の処遇についても賃金の大幅カットなどを行う意向だ。

雇用延長は、60歳からとなっている公的年金の定額部分の支給開始が2001年度から段階的に65歳に引き上げられるのに伴う措置。労組は退職後すぐに年金を受け取ることができるよう、雇用期間の延長を求めている。

雇用延長、電線大手6社も基本合意

08:11a.m. JST March 04, 2000
電線メーカーの労組が加盟する全電線(組合員数約4万人)は3日、古河電工など大手電線メーカーの労使が、厚生年金の基礎年金部分(定額部分)の支給開始年齢引き上げに伴って、定年退職後の雇用延長を実施していくことで基本合意したことを明らかにした。雇用延長問題は、今春闘の最大のテーマになっている。電機や繊維メーカーに続いて、電線メーカーも雇用延長の合意にこぎつけたことは、他産業の主要組合にも影響を与えそうだ。

全電線によると、雇用延長で基本合意したのは、古河電工、住友電工、フジクラ、昭和電線、三菱電線、日立電線の大手6社。60歳の定年を迎えた社員を、再雇用する形で雇用を延長していく。今春闘後に、各社がそれぞれ労働条件を詰め、2001年4月から実施していく見通しだ。中小メーカーの単組も、今後雇用延長の導入を目指し、交渉を本格化させていくという。

定年後雇用などで合意

2000年3月1日 18時56分
JR東日本は1日、57歳で原則出向する制度の廃止や、定年後、年金支給開始年齢までの雇用保障などで最大労組のJR東労組と合意した。ベテランを活用した鉄道の安全水準の維持なども狙いの一つで、鉄道各社の注目を集めそうだ。

65歳まで正社員として働けます=選択定年制度を導入へ−富士電機

00年2月4日 19時28分 時事通信社
富士電機は4日、社員が希望すれば65歳まで正社員として働くことができる選択定年制度を導入することを明らかにした。年金支給年齢の引き上げに伴い、大手電機各社は雇用延長の方策を検討中だが、定年そのものを延長するのは異例だ。 

雇用で電機、本田が合意

2000年2月26日 16時15分
春闘相場に強い影響力を持つ金属労協(IMF・JC)加盟企業の26日までの労使交渉は、焦点の雇用延長で電機大手17社が2001年度、自動車のうち本田技研工業が03年度の実施で合意した。しかし、鉄鋼は経営側の「時期尚早」との姿勢が固く、要求の01年度導入は困難な見通しとなった。

定年なし、昇進には英語力

2000年2月24日 19時17分
優秀な人は定年なし、昇進には英語力が必要―。日本IBMは24日、語学力重視や成果主義の徹底などインターネット時代に対応した人材活用策「e―人事制度」を発表した。専門知識を持った経験豊富な社員は定年を撤廃し、60歳以降も期限なく働ける制度を導入する。また、50歳以上で関連会社などに転籍した社員の雇用延長を、現在の62歳から65歳まで引き上げる。

電機大手17労組が基本合意

2000年2月21日 17時10分
電機連合の中央闘争委員会が21日、東京都内であり、60歳定年後の雇用延長制度を2001年春から導入することについて、大手17労組が会社側と基本的に合意していることが報告された。

松下電器産業、三菱電機、三洋電機などの6労組は既に決着済みで、残る11労組も制度導入でほぼ合意。労働条件や60歳後の組合員の資格など細部を今夏までに詰めるという。

大丸が雇用を多様化、55歳で時短選択可 中堅にFA制

0:32p.m. JST February 20, 2000
大丸は今春から2年間かけて、55歳以上の雇用形態を多様化する。65歳までの再雇用を制度化するほか、希望に応じて勤務日数や1日の勤務時間を選べる仕組みや転職支援制度を採り入れる。来年度から年功序列型の賃金体系を成果重視に切り替える一環で、係長級以上の中堅社員には社内フリーエージェント(FA)制を設けて働き方の選択肢を増やす。

60歳定年後の再雇用は、55歳の時点で1度退職して改めて雇用契約を結ぶ。期間は65歳までとするが、特定の得意先をもっているなど、独自の「能力」があれば更新できるようにする。また、定年後の再雇用を望まない人でも、55歳になれば、現在の週5日出勤の勤務形態に週3―4日を追加、1日に働く時間も1日6時間―7時間20分の範囲で選択できる仕組みをつくる。いずれも再来年から導入する方針だ。

また、35歳と40歳以上を対象に、退職金を上積みする選択定年制や、転職を支援する仕組みを制度化する。転職支援は35歳から55歳が対象。半年間、再就職支援会社に受け入れてもらい、大丸側が再就職に関係する費用を全額もつほか、給与の6割を支給する。専門学校などへ通う場合も50万円を上限に授業料を負担するほか、1年間にわたって給与の6割を支給する。

一方、同じ職場に一定期間以上勤務した係長級以上の中堅社員は、次の異動先への希望を上司を通さないで、人事部門へ直接アピールできる社内FA制度を導入。希望がかなうかどうかは、社長や役員、店長らで構成する人事委員会が最終調整するが、「少なくとも勤務地、部門、職種のうち1つはFA宣言者の意向を実現させる」(人材開発本部)方針だ。

「再雇用」方式で雇用延長広まる、電機・繊維も合意へ

6:56p.m. JST January 18, 2000
定年退職した従業員を再雇用する形で、雇用を延長する動きが企業に広まってきた。連合や金属労協(IMF・JC)などが雇用延長を求め、今春闘の最大のテーマになっている。春闘に大きな影響を持つ電機連合傘下の15前後の主要労使が雇用を段階的に65歳まで延長することに合意する見通しになったのに続き、ゼンセン同盟傘下の繊維・アパレル17社が60歳以降の雇用延長に大筋合意した。

労組側が雇用延長を主張する背景には、公的年金の支給開始年齢(現在60歳)が65歳まで引き上げられることがある。企業側にとっても「少子化で働き手が不足するのは確実で、ノウハウを持ったベテラン社員の技術を次世代に伝承する意味合いも強い」(津村準二・東洋紡社長)という事情がある。

このため、雇用過剰感が指摘される繊維業界でも、東レ、帝人、三菱レイヨンなど繊維大手が来年春から、そろって再雇用による雇用延長を決めた。旭化成工業や日本エクスラン工業なども最終協議に入っており、最終的には20以上の労使が雇用延長に踏み切る見通しだ。

とはいえ、同じ繊維業界でも合意内容には格差が生じている。クラレは再雇用期間を公的年金支給年齢に連動させ、2013年度には65歳に引き上げる方針。これに対し、東レは2003年度以降の再雇用は、経営実態や事業環境などに応じて改めて労使協議する。

各労使とも具体的な雇用条件を今春までに詰める予定だが、ある大手繊維幹部は「再雇用後の賃金水準は下げざるを得ず、希望者全員を再雇用する余力もない」と厳しい現状を打ち明ける。

希望者全員の雇用延長や正規社員に準じた身分などを条件に掲げる電機連合も、定年そのものの延長を譲歩した末の結果だった。

65歳まで継続雇用へ

1999年12月10日 18時22分 共同通信社
労働省は10日、定年延長を含め、65歳までの継続雇用制度を導入することを決めた。60歳定年を定めている高年齢者雇用安定法の改正案を来年の次期通常国会に提出し、努力義務として明記する。

65歳定年を提唱 雇用審議会

7:53p.m. JST August 11, 1999
労相の諮問機関の雇用審議会(高梨昌会長)は11日、第9次雇用対策基本計画案を甘利明労相に答申した。2010年までの10年間の雇用政策のあり方を示す計画で、少子高齢化が進むなか、65歳定年の普及など、何らかの形で65歳まで働ける環境を整備していくことを提唱している。13日に閣議決定する予定。

今後10年間の労働力人口の見通しによると、29歳以下は約400万人減少する一方、60歳以上は約360万人増加するという。このため、高齢者に対する労働需要を高めることが重要課題だと指摘し、その対策として現行60歳の定年を65歳に引き上げることを求めている。しかし、そのためには、従来の年功的な賃金など人事制度の見直しなども必要なため、当面は再雇用や他企業への再就職も視野に入れるべきだと指摘している。

失業については当面、労働需給のミスマッチ(不適合)の拡大によって増大する可能性があるとして適正な対策の必要性を強調。特に、エンプロイアビリティー(就業能力)を高めるために、職業訓練コースの情報提供や教育訓練給付の活用などを強調している。

地方公務員65歳まで再雇用、地方公務員法改正案が成立

6:52p.m. JST July 15, 1999
 60歳で定年退職した地方公務員を再び公務員として65歳まで再雇用できるようにする地方公務員法改正案が15日の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。参院で先議され、9日に可決、衆院に送られていた。

 2001年度から年金の支給開始年齢が現行の60歳から段階的に引き上げられるのにあわせ、雇用の年齢制限も引き上げて、定年退職後の生活不安をなくすのが目的。同様の内容の国家公務員法は1日にすでに成立している。

 制度が導入されると2001年度は61歳まで雇用が認められる。その後3年ごとに1歳ずつ引き上げ、2013年度には65歳までとなる。週40時間のフルタイム勤務のほか、週16―32時間の短時間勤務も可能になる。

地方公務員65歳まで再雇用、地方公務員法改正案が成立

6:52p.m. JST July 15, 1999
 60歳で定年退職した地方公務員を再び公務員として65歳まで再雇用できるようにする地方公務員法改正案が15日の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。参院で先議され、9日に可決、衆院に送られていた。

 2001年度から年金の支給開始年齢が現行の60歳から段階的に引き上げられるのにあわせ、雇用の年齢制限も引き上げて、定年退職後の生活不安をなくすのが目的。同様の内容の国家公務員法は1日にすでに成立している。

 制度が導入されると2001年度は61歳まで雇用が認められる。その後3年ごとに1歳ずつ引き上げ、2013年度には65歳までとなる。週40時間のフルタイム勤務のほか、週16―32時間の短時間勤務も可能になる。

電通が「管理職58歳定年制」を2000年導入

6:50p.m. JST June 02, 1999
広告代理店最大手の電通(本社・東京)は2日、管理職(局長、局次長、部長)を58歳までとする「職階定年制」を2000年3月末から導入する、と発表した。社員としての定年は60歳だが、管理職を務められる年齢期限を2年早め、高齢化した管理職層の若返りを図る。仕事量の多い若手社員層の不満を和らげるとともに、2001年を目標とする株式公開に向けて、人件費削減に取り組む姿勢を強調するのが狙いだ。

 同社の管理職は全社員(約5800人)のうち2割強まで膨らんでいるが、社内でアンケート調査をしたところ、若手社員層に、年功序列への不満や管理職の早期退職を求める声が根強く、社内活性化策として新制度を打ち出した。同時に管理職の人数縮小も目指すとしている。

国家公務員の65歳定年制を提言、公務員制度調査会

11:47a.m. JST March 16, 1999
 小渕恵三首相の諮問機関である公務員制度調査会(会長・辻村江太郎慶大名誉教授)は16日午前、国家公務員制度の改革に関する答申をまとめ首相に提出した。民間企業に先駆ける形で国家公務員の定年を現行の60歳から65歳に延長する一方、国民の批判を浴びている官僚の天下りは政府に「人材バンク」を設けて再就職を一括あっせんするとともに、国民に情報公開することで官民の癒着を断つとしている。政府は近く、この答申を最大限に尊重することを閣議に諮り、2001年の中央省庁再編に合わせて国家公務員法を改正するなどして公務員制度の改革に取り組む。

定年は65歳に

答申は高齢化社会を見据えて、公務員も65歳定年に向かうべきだと指摘。年金の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられるのに対応した。しかし、民間企業ではむしろリストラに取り組んでいる。委員の中には「厳しい雇用情勢や民間企業の定年制の動向を踏まえれば、慎重に対応すべきだ」との声もあり、答申にはこうした意見も紹介された。

中央省庁では、事務次官が誕生すると、同期入省者は定年前に早期退職する慣行がある。これが民間企業などに官僚の天下りを押しつけることにつながっているとの指摘が多い。答申は「長期在職が可能になる人事システムへ転換の必要がある」と強調している。

 一方で65歳まで定年を延長すれば、国の財政負担が増大する。答申は「給与カーブを昇給停止年齢(原則55歳)に向けてなだらかにフラット化させる」とし、中・高年齢層の給与の伸びを55歳が近づくにつれて緩やかにするよう求めた。給与や昇進は能力や実績を重視し、現行の勤務評定制度を全面的に見直すことも提言した。

公務員は65歳まで働けます、政府が再雇用法案を提出へ

11:50a.m. JST March 9, 1999
 政府は9日午前、定年退職した公務員が65歳まで働けるよう再雇用するための国家公務員法改正法案と地方公務員法改正法案を閣議決定した。10日にも国会に提出する。年金制度の改正で公的年金の支給開始年齢が2001年度から現行の60歳から65歳まで段階的に引き上がることに伴う措置で、年金が支給されるまで公務員の雇用を確保するのが狙い。

 法案は、60歳で定年退職した公務員が、期限付きで65歳まで働けるよう再雇用する制度を設けた。再び採用された公務員が働くことができる年齢の上限は、2001年度から3年間は61歳で、以後3年ごとに1歳ずつ引き上げられ、2013年度以降は65歳。

 給与は、民間の60歳代前半のサラリーマンの給与水準(年間約四百数十万円)とのバランスを考えて設定する。総務庁が示した標準的なケースでは、年収約800万円で定年を迎えた公務員の場合、再雇用されると年収は約半分の400万円が支給されるという。

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