TOPIC No.2-44 「新生銀行」(長銀譲渡/米リップルウッド)

01.
新生銀行
02.
新生銀行(プロファイル)by Fitch Ratings
03.
ちょっとずるい?裏ワザ
04.
おすすめします・新生銀行 June/18/2002
05.
新生銀「潰した企業を買い戻し」の“非道”(2002/09/03) by ZAK ZAK
06.
新生銀行と邦銀の違いは何か?(H14/08/14) 木村 剛 from 有志創道
07..
新生銀行バッシングは何だったの? (2002/07/24) by NIKKEI NET
08.
『新生銀行』は“国際金融資本”への貢ぎ物 2002年03月05日 by阿修羅
09.
「新生銀行」の行方 2001.02.03 by asahi-net

新生銀の「瑕疵担保条項」で1兆円

Yomiuri On-Line 2003年03月01日
◆国の債権買い戻し

 新生銀行(旧日本長期信用銀行)が、旧長銀から引き継いた債権のうち、価値が2割以上下落した債権を国が買い戻す「瑕疵(かし)担保条項」の期限が28日で切れた。最終的に国(預金保険機構)が買い戻す債権の総額は1兆円規模(簿価ベース)に達する見通しで、今後、国が買い戻した債権が回収不能となれば、損失は国民負担となる。

◆回収不能なら国民負担 “甘さ”指摘する声も

 1998年10月に破たんし、一時国有化された旧長銀の譲渡では、国の資産査定の甘さも指摘されているが、瑕疵担保条項を契約に盛り込んだ譲渡方法そのものが適切だったのか、改めて疑問の声も出ている。

 瑕疵担保条項は、購入した商品に欠陥があれば返品できるという民法の考えに基づく制度。2000年3月、国が旧長銀を米リップルウッド・ホールディングス社を中心とする投資組合に譲渡した際、3年の期限付きで契約に盛り込んだ。

 背景には、旧長銀の破たん当時、一時国有化の仕組みを定めた金融再生法には譲渡後に発生する2次損失の負担にかかわる規定がなく、譲渡先探しで大きな問題になった事情がある。

 また、旧長銀の譲渡では、融資を打ち切ると連鎖倒産の発生など社会的影響を及ぼすとの「政策的判断」から、経営不振の企業向けなど、健全性に問題がある債権も譲渡先に引き継がれた経緯もあった。当時から「新生銀行が瑕疵担保条項を積極的に使う可能性」が指摘され、「国にとって不利な契約だ」との批判が出ていた。

 今年1月、預金保険機構が読売新聞社に情報公開した資料によると、昨年9月末までに国が新生銀行から買い戻した債権は232社、8516億円。法的整理された融資先が135社あり、このうち、譲渡時は不良債権に分類されていなかった融資先は大手スーパーのマイカルなど47社と、3割以上を占めた。国が譲渡前の旧長銀に行った資産査定の甘さは否めない。

 国が買い戻した債権の回収は整理回収機構が行っているが、価値が下落した債権だけに回収が滞り、2次損失の発生は必至だ。

 新生銀は、瑕疵担保条項の期限が過ぎても、5月末までは、今年2月末の債権価値に基づいて国に買い戻し請求ができる。このため、買い戻し債権の総額は確定していないが、昨年9月末時点から1000億円規模が追加され、最終的に1兆円前後に達する見込みだ。

 ピーク時に2兆9000億円あった新生銀の不良債権残高が今年3月末は約3000億円に減る見込み。不良債権処理の約4割に瑕疵担保条項を利用した形だ。

 一方、98年12月に一時国有化された旧日本債券信用銀行を引き継いだあおぞら銀行は、同条項が今年9月末で期限切れとなる。国が買い戻した債権は昨年9月末時点で2057億円となっている。

UFJ、みずほ…が新生銀行にやられた!

ダイエー向け債権を優先的に返済させる
TODAY's News 2003.02.03by Kabu Zak Zak
 経営再建中の大手スーパー、ダイエーに対するメガバンクの支援が進められるなか、またしても新生銀行による“ゴネ得”が発覚した。新生銀行がダイエー向け融資、800億円のうち600億円を優先的に返済させ、その分をUFJ銀行、みずほコーポレート銀行、三井住友銀行の主力3行に肩代わりさせていたというのだ。ドライな経営方針で知られる新生銀行は、ダイエー再建にとって最大の不確定要因。主力3行は、ダイエーの経営改善に向けた取り組みを軌道にのせるため、涙をのんで新生銀行への返済を肩代わりせざるを得なかったという事情があるようだ。

 ダイエーは昨年2月、主力3行による総額5200億円の金融支援を柱にした経営再建3カ年計画を発表。店舗閉鎖や人員削減など、血のにじむような努力を重ねて、収益力の復活を目指している。

 ところが新生銀行は昨年8月になって、ダイエーの業績が思うように上向かないことにいらだち、800億円の融資のうち7割を優先的に返済するよう主力3行に強要。ダイエーの再建に協力しようという姿勢はみじんもみせず、「早く縁を切りたい」とばかりに最後通告を付きつけた。

 新生銀行がこのような無理強いを迫る背景にあるのは、価値が落ちた債権を国に買い取らせることができるという悪名高い「瑕疵(かし)担保条項」。この条項の有効期限が2月末に迫っているため、新生銀行には一刻も早くダイエー向けの融資を回収し、損失を回避しようという思惑があるからだ。

 仮に主力3行が要請に応じず、新生銀行がダイエー向け債権を国に買い取らせれば、その負担を強いられる国民の不満が爆発することは目に見えている。そうなれば、取引先にも不安が広がり、売り場の品ぞろえや営業成績にも悪影響を与えることは確実。主力3行は「国民の批判をかわすためには、新生銀行の要求を飲まざるをえない」(主力行幹部)というわけだ。

 新生銀行はこれまでも、ことあるごとに瑕疵担保条項をチラつかせ、そごうやマイカル、第一ホテルなどを破綻に追いやった。西武百貨店の経営再建計画でも、融資残高400億円の準主力行の立場でありながら債権放棄は行わない方向で、「こんな計画では他の銀行はとても納得できない」(銀行団幹部)と反発をかっている。

 今回、優先的に600億円の返済を受けた新生銀行には、福岡ダイエーホークスなどの子会社向けの融資、200億円が残ることになる。ただ、これについても追加担保を出させたうえで、段階的に返済させることが決まっており、新生銀行が瑕疵担保条項を行使する可能性はほぼなくなった。ダイエー再建に向けた取り組みは、ギリギリの段階で、新生銀行の暴走を回避したといえる。

 ただ、ダイエーの現状は依然として厳しい。消費不振のあおりを受けた結果、経営再建3カ年計画で定めた目標の達成は困難な状況で、さらなる人件費削減など計画の見直しに着手している。主力3行がダイエー危機に見舞われる可能性は依然残ったままだ。

新生銀行,全行に渡るユニファイド コミュニケーション システムを構築

2002.4.23 ZD NET Japan
 シスコシステムズとマイクロソフトは4月23日,共同で,新生銀行のIPベースのユニファイド コミュニケーション システムを提供したことを発表した。

 新生銀行のこのシステムでは,インフラをすべてIPネットワークに統一したうえで,PBXを含む全支店の勘定系,OA系をすべてルータで接続。これにシスコシステムズとマイクロソフトの製品群を組み合わせ,IPベースのユニファイド・コミュニケーションシステムを実現している。

 具体的には,シスコシステムズのIP電話「Cisco IP Phone」やIPテレフォニーシステム「CallManager」のほか,マイクロソフトの「Active Directory」や「Exchange 2000 Server」との統合が可能なユニファイドコミュニケーション製品「Cisco Unity」をベースに構築されており,Windows 2000をはじめとするマイクロソフトのプラットフォームと完全に統合されているという。

 この結果新生銀行では,社内外から送られてくる電子メールやボイスメール,FAXなどが,Cisco UnityからExchange 2000 Serverを経由し,サーバ上のフォルダに単一のメッセージとして蓄積される。ユーザーはその時々の環境に応じて,さまざまな機器からメッセージを引き出すことが可能だ。

 同システムは,マイクロソフトとシスコシステムズ,各々のコンサルティングサービス部門の支援を得て,新生インフォメーション・テクノロジーが構築した。新生銀行ではさらに,IPインフラを利用したVoice over FAX網の構築を進めており,12月までにカットオーバーの予定だ。これが実現すれば,600ユーザーID以上という大規模なIPベースのFAXネットワークが完成することになる。

 なお,このシステムの詳細は,4月24日から26日にかけて東京ビッグサイトで開催される「Computer Telephony World Expo2002」の,マイクロソフトブース内シスコシステムズコーナーで紹介される。また4月26日の「Microsoft One day Poweredセミナー」でも詳細が解説される予定だ。

 さらにマイクロソフト・新宿オフィスに設けられたマイクロソフトテクノロジーセンターでは,5月15日より,新生銀行と同様のシステムをデモンストレーションとして公開する予定である。

金融庁 新生銀行に業務改善命令

2001.10.04 TV TOKYO
 金融庁は今日、新生銀行が公約資本の注入を受ける際に約束した中小企業向けの融資額が、昨年度は計画に達しなかったことや、この件に関する社内管理体制に問題があるとして、業務改善命令を出しました。新生銀行では、「極めて遺憾であり、今年度は達成へ向け最大限努力したい」とコメントしています。

新生銀行 リテール強化

2001.06.01 TV TOKYO
 今、各銀行は、いっせいにリテール分野の強化を始めていますが、ついに、あの銀行もリテール分野に本格参入します。

旧長銀への公的資金注入額、計3兆5899億円で確定

2001.01.05(21:31)asahi.com
 金融再生委員会と預金保険機構は5日、経営破たんした旧日本長期信用銀行(現在は新生銀行)の債務超過の穴埋めのために投入した公的資金が当初より20億円増え、計3兆5899億円になる、と発表した。これで、債務超過の穴埋めに使う公的資金の額が確定した。

 旧長銀への公的資金は当初、昨年2月末時点の資産の見込み額などに基づいて投入された。しかしその後、見込みよりも、不良債権の回収額などが40億円増える一方で、業務に関する経費などが60億円増えたため、差し引きで投入額は20億円増えた。

新生銀行、普銀転換へ 来年中に金融庁と交渉

2000.12.27(09:13)asahi.com
 新生銀行(旧日本長期信用銀行)は、長期信用銀行法に基づく銀行のままでは、預金集めなどが制限されていることから、2001年中に合併転換法に基づく認可を受けて「普通銀行」に業態転換する方針を固め、金融庁と交渉に入った。26日関係筋が明らかにした。認可されれば長信銀では初めて。同行の普銀転換は、日本独特の制度である長信銀の存在意義が薄れていくなかで、「長短分離」による規制をしてきた戦後の金融行政の幕引きを促すものといえる。

 長信銀法は、戦後の日本経済の復興を図る目的で、重厚長大企業に対して資金を優先的に供給するため設けられた。資金調達手段として金融債の発行ができる「特権」を与えられている代わりに、既存の取引がない顧客から広く預金を集めることができない。また、貸し出しは原則、企業の設備投資など長期資金に限る融資業務上の規制もある。

 戦後に長信銀法が施行されて以来、長信銀は、新生銀行のほか、日本興業銀行、日本債券信用銀行の3行のみ。旧長銀と旧日債銀は1998年に相次いで破たんした。

 唯一残った興銀も、第一勧業と富士の都銀2行との経営統合で「みずほフィナンシャルグループ」をつくり、普銀転換を視野に入れた新銀行の設立を2002年4月に計画している。

 新生銀行は今年3月、旧長銀を引き継いで民間銀行としての営業を再開した際、従来通り長信銀となった。しかし、大企業向け融資に陰りが出ていることから、個人顧客向けの融資業務などに踏み出す方針を決めた。破たんした第2地方銀行の東京相和銀行の買収にも名乗りを上げている。

 普銀転換によって、新生銀は、東京相和銀行などの買収で広がる店舗網を使い、都市銀行と同じように、広く預金を募集して新規の個人客を獲得することが可能になる。また、インターネットを通じた預金の獲得もできるようになる。

 ただし、現状では資金調達の中心が金融債であるため、普銀転換後も合併転換法の経過措置によって一定期間の金融債発行は認められる方向で金融庁と交渉を進めている。転換後は徐々に金融債を減らし、預金や銀行社債での資金調達に切り替える方針だ。

新生銀、来月2日から郵貯とATM接続

2000.09.22(22:36)asahi.com
 新生銀行は22日、郵便貯金と提携し、10月2日から現金自動預入払出機(ATM)・現金自動支払い機(CD)を相互接続する、と発表した。どちらの顧客も双方の機械を使って、現金の入出金と残高照会ができる。同時に送金サービスも始め、2日からは郵貯口座から新生銀行の口座への送金が可能になる。来年1月からは、新生銀行の口座から郵貯口座への送金もできる「相互送金サービス」を開始する予定。

第一火災の譲渡、9月上旬にずれ込み 交渉が難航

2000.08.15(21:47)asahi.com
 5月に経営破たんした第一火災海上保険の保険管理人は31日、保険契約の受け皿探しについて、「決定までには今しばらく時間が必要だ」とするコメントを発表した。当初8月末の決着を目標としていたが、新生銀行の最大の出資者である米投資組合のリップルウッド・ホールディングスを中心としたグループとの交渉が依然まとまっていないためだ。保険管理人は9月上旬の決着を目指し、交渉を続けるとしている。

 第一火災の受け皿選定を巡っては複数の外資が名乗りを上げ、現在もリップルウッドを含め2―3グループが残っている。しかし、条件面などから保険管理人は事実上、交渉先をリップルウッドに絞り、交渉を進めている模様だ。ただ、依然、第一火災の資産価格などを巡る評価の差が大きく交渉は難航している。保険管理人は、条件次第では損害保険契約者保護機構から巨額の資金拠出が必要になるため、慎重に交渉を進めている。

 新生銀行は第一火災を傘下に収めることで、銀行業と損保業を一体的に運営する総合金融機関を目指すと見られる。また第一火災の契約者は比較的富裕層が多いと言われており、受け皿となることで新生銀行は顧客基盤の拡大につなげる狙いもあるようだ。

21億円、投資家負担に/新生銀の社外役員報酬

2000.08.02The Sankei Shimbun
 相沢英之金融再生委員長(金融再生担当相)は二日の衆院予算委員会で、新生銀行(旧日本長期信用銀行)が外国人の社外取締役二人が経営するコンサルタント会社に合計五十七億円の報酬を支払う契約を結んでいたことに関して「新生銀行から(支払われた)二十一億円の(譲渡実現の)成功報酬については、新生銀行の経費とせず、(欧米系ファンドの)投資家の負担に切り替えるとの説明があった」ことを明らかにした。

 相沢委員長は、「新生銀側からは『米国ではコンサルタント会社が、売買の対象会社から報酬を受けるのは通常のこと』との説明を受けた」とし、「公的資金の資本注入を受けた銀行としてはいかがなものか」と批判した。

 コンサルタント料など五十七億円を支払うことについては、金融再生委員会に提出した公的資金注入銀行に求められている健全化計画に「十分な具体的な説明はなかった」と語った。菅直人氏(民主)への答弁。

新生銀行、外国人社外取締役の関連会社に高額報酬

2000.07.30(21:27)asahi.com
 新生銀行(旧日本長期信用銀行)が、外国人の非常勤取締役2人がそれぞれ経営する経営コンサルティング会社に対し、顧問料としてそれぞれ5億円にのぼる報酬を支払う契約をしていたことが30日明らかになった。2人は、経営破たんした旧長銀を買収した外資系投資会社(新生銀行の親会社)の役員を兼ねており、「身内」に対して役員報酬以外の高額報酬を支払う格好になっている。

 この報酬については、新生銀行の情報開示(ディスクローズ)誌に記載し、31日に公表する。契約は複数年にわたり、新生銀行はすでにそれぞれ6000万円ずつの顧問料を支払っているという。2人は、旧長銀を買収するグループの中核メンバーだった。

 この契約について、新生銀行は「投資顧問会社の業務に対する正当な対価だ」との立場で契約したとしている。

「新生銀行」新サービス開始、新カードを発行

2000.06.05(22:53)asahi.com
 
 5日から「新生銀行」に行名を変えた旧日本長期信用銀行は同日、新カードを発行するなどの新サービスを開始した。これまでの長期信用銀行の業務から脱皮し、個人取引を強化する新たな戦略の一環だ。

 新生銀行は、テレホンバンキングセンターやインターネットバンキング業務を立ち上げて取引のすそ野を広げ、個人の預金を扱う普通銀行への転換を進める。加えて、資産の証券化をはじめとした投資銀行業務も新銀行の収益の柱にする考えだ。八城政基社長兼最高経営責任者は5日、「5年先の金融をめぐる環境を先取りし、小粒でも十分収益が得られる挑戦をしている」と語った。

 新生銀行が発行を始めたカードは、1枚のカードでクレジットカードとキャッシュカードの機能が使える。利用額などに応じたポイントごとに現金が振り込まれる特典をつけ、顧客の囲い込みを図る。

長銀が受け皿に名乗り

2000年3月11日 19時49分
 欧米の金融機関グループに譲渡されたばかりの日本長期信用銀行が、経営破たんした第二地銀の東京相和銀行の譲渡先候補として名乗りを上げていることが11日、明らかになった。既に東京相和銀の金融整理管財人に買収の意向を伝えており、今月中にも秘密保持契約を結び本格的な資産査定に入る見通し。遅れていた東京相和銀の受け皿探しは、長銀の参戦で一気に本格化しそうだ。

米リップル、日本ホテル買収のための合弁会社設立へ

6:44p.m. JST March 07, 2000
 破たんした日本長期信用銀行の経営権を取得した米投資会社リップルウッド・ホールディングスと米ホテル業大手のマリオット・インターナショナルは7日、日本国内のホテルを買収するために近く合弁会社を設立すると発表した。今後3年間をめどに最大4000億円の資金を使って日本の主要都市にある複数のホテルを買収、マリオットのブランド名をつけて営業する。

 新会社は、リップルが80.1%、マリオットが19.9%出資する。マリオットは米国を中心に各国で約1900のホテルを運営しており、日本にも7カ所ある。リップルの資金調達力を背景に、低迷が続く日本のホテル業界への攻勢を強める考えだ。

初の外資系銀行で再出発

2000年3月1日 18時56分
 一時国有化されている日本長期信用銀行の譲渡手続きが1日、完了した。長銀は2日に譲渡後初の株主総会と取締役会を開き、新社長として八城政基ニュー・LTCB・パートナーズ(NLP)代表など新役員を選出。6月5日には行名を「新生銀行」に改め、15人の取締役の約半分が外国人という国内初の外資系大手銀行として再出発する。

長銀の新行名「新生銀行」に決まる

6:54p.m. JST February 21, 2000
 日本長期信用銀行の譲渡先となった米投資会社リップルウッド・ホールディングスを中心とするニュー・LTCB・パートナーズ(NLP)は21日、長銀の新しい行名を6月5日付けで「新生銀行」とする、と発表した。長銀の買収は3月1日に完了する予定で、買収完了後に行名の変更手続きを行う。

 社長兼最高経営責任者に内定している八城政基・NLP代表は「これまでの日本にない銀行を新たに生み出していくという強い決意を端的に表した」とコメントした。新銀行は3月2日に再出発し、発足当時の資金量は約10兆円で、業務純益は500億円を目指している。

長銀の一時国有化コストは3489億円 金融再生委

10:24p.m. JST February 15, 2000
 金融再生委員会は15日、経営が破たんし、国有化の後、外資系投資会社グループに売却されることが決まった日本長期信用銀行の一時国有化コストは3489億円だった、と発表した。国有銀行として存在した1年4カ月の間に発生した損失で、預金保険機構から損失補てんされる。長銀は国有化により、信用力が上がり利益を出せる取引が増やせると期待されたが、結局、逆に営業損失がかさんだほか、地価の下落で担保不動産の価値が下がり、損失が膨らんだ。

 再生委はまた、同日、長銀が保有している1733銘柄(時価評価額2兆3147億円)の株式のうち、大半を占める1589銘柄(同2兆2764億円)を預金保険機構が買い取ることを承認した。

 預金保険機構が買い取らないのは長銀が継続保有する子会社の株や単位未満株、株式発行者が売り先を指定した株など、わずかな銘柄。預保に買い取られる株は、取引先や地方銀行などとの持ち合い株が多数含まれるとみられるが、今後5年間、そこで塩漬けにされる。市場で売られる株はない。

 長銀は1998年10月に破たん。日本債券信用銀行とともに、一時国有化された。今年2月9日、米投資会社リップルウッドグループを中心とするニュー・LTCB・パートナーズ社に譲渡することで最終契約が結ばれた。

長銀譲渡を米リップルウッド社と正式契約

8:55p.m. JST February 09, 2000
 金融再生委員会は9日、一時国有化されていた日本長期信用銀行を米投資会社リップルウッド・ホールディングスを中心とする欧米の投資グループに譲渡することを承認し、正式に最終契約を結んだ。近く新行名を決め、3月2日に再出発する。将来的には普通銀行への転換を目指す。1998年10月に経営破たんし、特別公的管理下に置かれた長銀は、1年4カ月かかって、「外資系銀行」として独り立ちする。長銀破たん処理につぎ込まれた公的資金は、預金全額保護などの損失穴埋めの3兆6000億円、資本増強の2400億円、さらに98年3月に注入した公的資金の損失分1300億円と、合計4兆円にのぼる。

 長銀の損失3兆6000億円のうち、破たん時にすでに生じていたのは3兆2000億円で、特別公的管理の1年4カ月の間に損失は約4000億円膨らんだ。銀行破たんとしては世界最大規模となった同行の処理に、膨大なコストがかかったといえる。

 長銀の親会社となるのは、リップルウッドを中心に欧米の大手金融機関10社以上が出資するニューLTCBパートナーズ(本社・オランダ)。同社は預金保険機構が持つ長銀の全株式を10億円で買い取り、さらに長銀が発行する新株3億株を1200億円で引き受ける。また、再生委は、新生長銀の資本増強を支援するため、金融早期健全化法にもとづいて公的資金2400億円を資本注入する。自己資本比率は、大手都市銀行並みの13%程度になる見込み。

 新銀行の発足時の資金量は約10兆円で、トップの統合3行グループの10分の1と、大手銀行では最小規模となる。長銀の大多数の不良債権は整理回収機構に買い取られ、長銀に残る灰色債権にも十分な引当金が積まれる。

米リップルウッドへの譲渡で基本合意=来年3月に新生長銀発足−再生委

99年12月24日 20時41分 時事通信社
 金融再生委員会は24日、日本長期信用銀行を米リップルウッド・ホールディングス社を中心とした投資グループに譲渡することで基本合意した。同日夜、記者会見した越智通雄再生委員長は「来年2月中に最終合意し、新生長銀の実際の業務開始は来年3月になる」との見通しを明らかにした。

 長銀の譲渡が基本合意に達したことで、年明け以降、長銀と同様に一時国有化されている日本債券信用銀行や、金融整理管財人の管理下にある国民銀行の譲渡交渉に弾みが付きそうだ。 

長銀譲渡で合意書

1999年12月24日 19時07分 共同通信社
 金融再生委員会は24日、一時国有化している日本長期信用銀行を、米投資会社リップルウッド・ホールディングスを中核とする金融機関グループに売却するため、基本合意書を取り交わしたと発表した。  これにより、長銀は来年3月1日にも外資系金融機関として新たなスタートを切ることになる。

63億円の賠償求め提訴

1999年12月16日 18時16分 共同通信社
 破たんした日本長期信用銀行は16日、バブル期以降の旧経営陣が乱脈融資や無理な配当によって多額の損害を与えたとして、元頭取大野木克信被告(63)=証券取引法違反罪などで公判中=や堀江鉄弥元頭取(68)ら元取締役15人に、総額63億円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。金融再生法に基づき破たん認定された銀行の旧経営陣に対する初の提訴。

98年長銀考査、削除や改ざんあった 日銀が公表

8:24p.m. JST October 20, 1999
 日本銀行は20日、1998年5―6月に日本長期信用銀行に対し考査を行った際、長銀側が意図的に資料を隠したり、必要な情報を説明しなかったりした事実があった、と発表した。長銀はこの考査の直後、経営不安に陥り、破たん。特別公的管理(一時国有化)の下で、旧経営陣による粉飾決算などの不正行為の摘発が進んでいる。日銀はあらためて不正の事実を公表し、市場の信認を問うとともに、同日付で長銀に対し、対応の改善状況を報告するよう求めた。

 日銀考査局によると、長銀は考査期間中、提出を指示していた会議資料の一部について、不良資産の状況に関する部分を意図的に削除して地下倉庫に隠したり、切り抜いて差し替えたりしていた。また、一部の取引先の資産・負債状況について、考査に必要な情報を説明しなかったという。

 日銀考査は、法的な拘束力はないが、考査先の金融機関が重大な契約違反を犯した場合は事実を公表し、場合によっては当座預金取引なども見直すことになっている。

 日銀は長銀についても「看過できない、非常に遺憾な行為と言わざるをえない」としたが、長銀がすでに一時国有化され、経営陣・株主とも一新されていることや、取引見直しなどで長銀の損失がさらに膨らめば国民負担が増える、との判断から公表にとどめることにした。

 長銀は同日付で「再び信頼を裏切る行為がないよう、内部管理体制の充実をはかりたい」とするコメントを発表した。

速やかに最終合意し、公的管理終了すること期待=長銀譲渡で金融監督庁長官

99年9月29日 18時22分 [東京 29日 ロイター]
 日野金融監督庁長官は、長銀の譲渡先が米リップルウッド・ホールディングスとなったことについて、「すみやかに契約締結に至り、特別公的管理が終了することを期待したい」と語った。記者会見で述べたもの。 同長官は、長銀の譲渡先決定について、「金融再生委員会の決定を、感無量で受け止めた」と感想を述べた。 また、同長官は、「新生長銀の業務展開・自己資本・収益力などについて、十分関心を持ちながら、特別公的管理の終了に向け作業の進ちょくを見守りたい」と語った。

新生長銀は収益率向上目指しており、他の邦銀に刺激与えると期待=金融再生委員長

99年9月28日 19時1分 [東京 28日 ロイター]
 柳沢金融再生委員長は、特別公的管理(一時国有化)中の日本長期信用銀行の譲渡先として選ばれた、ニュー・LTCB・パートナーズは、規模だけでなく、収益率の向上を明確に目標としており、他の邦銀にも大きな刺激を与えるものと期待している、との考えを示した。記者会見で、述べたもの。 ニュー・LTCB・パートナーズは、米リップルウッド・ホールディングLLCが中心となって組成した、外資系金融機関主体の投資コンソーシアム。

今井経団連会長の去就に注目 長銀社外取締役就任問題で

8:50p.m. JST September 28, 1999
 日本長期信用銀行の落ち着き先が米投資会社のリップルウッド・ホールディングスに決まり、新しい取締役の選出が始まる。すでに日米両国から、前米連邦準備制度理事会議長のポール・ボルカー氏など著名人の名前が挙がっているなかで、今井敬経団連会長の去就に経済界の注目が集まっている。

 初めての国有銀行譲渡とはいえ、財界トップが一民間銀行の役員に就くことへの違和感を口にする経済人は少なくないからだ。また、当面は回避されたものの融資の回収が実行されると、倒産する企業も出る可能性があり、「なぜわざわざ火中の栗を拾うのか」という批判も聞こえる。

 今井会長は28日、長銀の取締役就任について「要請はされているが、どうするかは決めていない」と述べ、慎重な姿勢を崩さなかった。しかし、長銀の行く末については、極めて強い関心を持っていることを明らかにしたうえで「経済への大きな影響が出る可能性が少しでもあれば、役員になるつもりだ」と述べ、就任の可能性を否定しなかった。

 今井会長の社外取締役登用を持ち込んだのは、東京府立一中(現日比谷高校)の同窓生で、前シティコープ在日代表でリップルウッドの代理人として動いていた八城政基氏。「6月ごろ、相談に乗っているうちに、持ちかけられた」と今井会長はいう。当初は気軽なつもりだったが、9月上旬になって、リップルウッドが金融再生委員長に提出した申請書類に名前が明記されていることを知って驚いた、ともいう。

長銀、米リップルウッドに譲渡へ 金融再生委が正式決定

9:01p.m. JST September 28, 1999
 金融再生委員会は28日、特別公的管理(一時国有化)している日本長期信用銀行を米投資会社のリップルウッド・ホールディングス(本社・ニューヨーク、ティム・コリンズ会長)グループに譲渡する方針を正式に決めた。リップルウッド側と長銀などが同日、「最優先交渉契約」を結んだ。年内に最終合意し、リップルウッド側は国が持つ長銀株を10億円で買収し、来年1月にも「新生長銀」として営業を始める。初の国有銀行の再生には、不良債権処理や資本注入などのために公的資金など総額4兆5000億円程度の国民負担が必要になった。

 リップルウッドは他の金融機関などとともに持ち株会社「ニュー・LTCB・パートナーズ」(オランダ)を設立。この会社を通じて1200億円を出資して「新生長銀」をこの持ち株会社の100%子会社にする。新生長銀の会長・社長兼最高経営責任者には、前シティコープ在日代表の八城政基氏が就く。

 出資はリップルウッドのほかに、米金融最大手のシティグループやABN−アムロ銀行GEキャピタル、ドイツ銀行など欧米の有力金融機関が参加する。こうした金融機関と、資産運用や証券化など事業分野ごとに提携して競争力を高め、5年後には業務純益を500億円まで伸ばし、株式を再上場する計画という。

 再生委側の要望で、リップルウッドが長銀から引き継ぐ貸し出し債権は少なくとも3年間そのまま融資が継続され、保有株式の大半は5年間、市場で売却されない契約になった。借り手や株式発行企業への悪影響を防ぐ狙いからだ。

 長銀は今年3月末の時点で不良債権処理にともなう損失の穴埋めとして、公的資金約3兆6000億円が投入された。リップルウッドへの譲渡時にはさらに、計約9000億円の公的資金が追加投入されるため、処理費用の総額は4兆5000億円程度にのぼる。

 追加投入分の内訳は、(1)今年4月以降に貸し倒れリスクが膨らんだ融資の引当金など(約4000億円)(2)長銀の保有株式の含み益を資本に組み入れる分(約2500億円)(3)新生長銀への資本注入(2400億円)。このうち、(3)は優先株として国が保有する。

 ほかに、譲渡後3年以内に想定以上の貸し倒れが起きた場合は国が負担するため、必要な公的資金はさらに増える可能性がある。

公的負担4・5兆円規模

1999年9月25日 18時10分 共同通信社
 米投資会社リップルウッド・ホールディングスに譲渡される日本長期信用銀行の破たん処理で、総額4兆5000億円規模の公的資金が当面、投入されることが25日までに固まった。長銀の債務超過分の穴埋めや譲渡後に貸し倒れとなる可能性がある灰色債権対策として、3兆8000億円から、4兆円が必要とされるのをはじめ、新生長銀の資本増強のために5000億円を上回る資金を注ぎ込む。

長銀再上場で収益還元

1999年9月25日 18時10分 共同通信社
 金融再生委員会は、日本長期信用銀行が米投資会社リップルウッド・ホールディングスに譲渡された後も1998年3月に実施した1300億円の資本注入で国が持つことになった同行の優先株を保有し続け、5〜7年後の株式再上場を待つ方針を固めた。譲渡に当たって実施する資本注入によって引き受ける優先株と合わせ、市場で高値売却して国に収益を還元。長銀の破たん処理費用の圧縮につなげる戦略。

検査妨害で長銀を刑事告発

1999年9月25日 16時36分 共同通信社
 金融監督庁は25日までに、日本長期信用銀行が1996年の大蔵省による検査の際に、融資関連の資料を改ざんするなどの妨害行為をしたとして銀行法違反(検査忌避)の疑いで同行を東京地検・警視庁に刑事告発した。

 監督庁は損失隠し商品を大量に販売していた外資系金融機関クレディ・スイスグループのデリバティブ(金融派生商品)専門銀行も同容疑で刑事告発する方針。

長銀を銀行法違反で告発=資料を改ざんの疑い−金融監督庁

99年9月25日 10時16分 時事通信社
 日本長期信用銀行(長銀)が金融監督庁の検査に対し、提出する資料を改ざんしたなどとして、同庁は25日までに、銀行法違反(検査忌避)の疑いで、法人としての長銀と、同行の担当者を氏名を特定しないまま、東京地検特捜部と警視庁捜査2課に告発、受理された。同庁は、クレディ・スイス(CS)グループの銀行についても、同容疑で告発する方針を固めている。 

新長銀の自己資本比率、12−15%に=市場の信認確保へ−再生委

99年9月24日 23時42分時事通信社
 金融再生委員会は24日、米投資会社のリップルウッド・ホールディングズによる買収が事実上決まった日本長期信用銀行の譲渡後の自己資本比率を、12−15%とする方針を固めた。大手都市銀行を上回る高率とし、市場の信認を得るのが狙い。 

リップルウッド、長銀人材呼び戻し高利益めざす

03:11a.m. JST September 25, 1999
 日本長期信用銀行を買収することが確実になった米投資会社リップルウッド・ホールディングスは、単独再建を実現させるために当分は長銀の主要部門の売却をしないで、収益性の高い業務の拡大を優先する計画を検討している。関係者は「これまで辞めた優秀な長銀行員らを積極的に呼び戻す。融資に重心を置いていた業務内容を変えて、高利益を生み出す体質にする」という。

 金融技術や人脈などを売り物にして政府や企業、個人客の多様なニーズにこたえる欧米の投資銀行のような金融機関をめざしており、(1)収益性が高く手数料収入が期待できる証券化ビジネス(2)企業の合併・買収(M&A)などの再編を手がける企業ビジネス(3)証券などの資産を顧客に代わって管理する業務(4)欧米の金融機関などと組んで資産を運用する国際ジョイントベンチャー業務――などを拡充する方針という。

 リップルに長銀買収の資金や経営ノウハウ、人材などを提供すると見られる欧米金融機関は、米証券最大手メリルリンチやモルガン・スタンレー・ディーン・ウィッタ、ペイン・ウエバー、GEキャピタル、米金融最大手シティグループに加え、オランダのABNアムロ、ドイツ銀など。資産運用や管理など別会社化が適している分野で、こうした企業と組んで合弁会社を設ける計画も検討されているという。新日鉄など国内有力企業にも出資を要請しているが、いまのところ了解は得られていない。

長銀譲渡で公的負担8000億円―1兆円

03:10a.m. JST September 25, 1999
 特別公的管理(一時国有化)下にある日本長期信用銀行が米投資会社リップルウッド・ホールディングスに譲渡されることが内定したが、金融再生委員会はこの譲渡のために新たに8000億―1兆円の公的資金を投入する方針を固めた。再生委は、長銀がかかえるゼネコンや流通業などの多額の「灰色債権」が回収対象となって倒産が発生したり、長銀が保有する多くの地方銀行株が一斉に市場に売却されて株価が下がり地銀の信用不安が広がったりするのを避けることを重視。その「必要コスト」として、新たな国民負担もやむを得ないと判断した。資本増強により新生長銀の自己資本比率は14%近くになる。

 再生委は28日にリップルウッドを最優先交渉先とすることを正式に決める。

 昨年10月に破たんした長銀には、預金者や投資家、健全な借り手の保護のためにすでに3兆5000億円が投じられている。今回の譲渡に伴って追加投入されるのは、(1)一時国有化後の資産劣化などに伴う損失穴埋めの追加分(4000億円程度)(2)長銀保有株の含み益を原資とする資本準備金(2000億―3000億円)(3)資本注入のための公的資金(2500億円程度)。(1)は預金者保護などのための追加措置で、(2)は本来は政府負担の軽減に回されるはずの含み益。(1)と(2)は国に返済されないため実質的な国民負担の増加となる。

 再生委は、こうした公的負担をする代わりに、灰色債権と地銀株の一定期間の「塩漬け」を求め、リップルウッドもこれを受け入れた。具体的には、譲渡後3年以内に灰色債権に損失(二次ロス)が出た場合、新生長銀はその債権を整理回収機構(RCC)に売却してロス分を回収できる。また、長銀の保有する株式約1兆8000億円(簿価)のうち多くが地銀、第2地銀の株で、上場している地銀、第2地銀の半数に当たる65行で上位10位以内の大株主になっている。金融債の販売先である地銀、第2地銀の株式については、いったんRCCに売却し、これを長銀子会社の長銀信託銀行に5年間信託してもらう形で保有し続ける。

 ただ、再生委は、将来、長銀の経営再建が成功し、再上場して長銀の株価が上昇した場合に、株式売却益を得て今回投入する公的資金が全額回収できるようにする。

 長銀の新たな取締役会は日本人が半数以上を占める見通しだが、外国勢には前米連邦準備制度理事会(FRB)議長のポール・ボルカー氏や、資金提供する金融機関の関係者の名前が挙がっている。前米財務長官のロバート・ルービン氏に参加を打診した模様だが就任は流動的。日本勢には樋口広太郎・アサヒビール名誉会長、今井敬・新日本製鉄会長らが挙がっている。関係者は「社外取締役が経営陣を監視、指導するコーポレートガバナンスを導入したい」という。

 長銀では過去1、2年の間の経営不安の高まりとともに退職者が急増したので、リップルは、買収後は早急に人材の補強をはかる予定だ。「日本の産業金融に大きな貢献をした長銀の伝統を受け継ぐ人材を呼び戻し、もう一回、みんなで力を合わせて再興したい」といい、即戦力となるスタッフを積極的に募集する計画という。行員の成績に応じて自社株を割安で購入し、その後売却益を得ることもできるストックオプション制度の導入も検討している。

 再建が軌道に乗ったら株式公開する予定だが、ウォール街では「株式公開で手にする利益を大きくするためには、長銀の収益性を抜本的に改善しなければならない。日本の国民感情を逆なでしかねない不良資産の処理や本格リストラを避けながら効率性を追求する、という難題にどう取り組むのか、お手並み拝見だ」などの声があがっている。

長銀保有株売却で3000億円

1999年9月24日 20時40分 共同通信社
 金融再生委員会は24日、米投資会社リップルウッド・ホールディングスへの譲渡が固まった日本長期信用銀行の一部保有株を、譲渡の際に整理回収機構(RCC)に売却して3000億円近くを捻出(ねんしゅつ)、将来の貸し倒れなど2次損失対策として新生長銀の資本に繰り入れる方針を固めた。

長銀譲渡先、米リップルウッドに決定 大手初の外資参入

03:14a.m. JST September 23, 1999
 特別公的管理(一時国有化)下にある日本長期信用銀行が米投資会社のリップルウッド・ホールディングス(本社ニューヨーク、ティム・コリンズ会長)に譲渡されることが確実になった。来週の金融再生委員会で正式決定し、同社との間で「最優先交渉契約」を結ぶ。長銀買収のための同社の総投資額は1200億―1300億円になる見込み。正式契約を経て、来春には資産11兆円の国内最大規模の外資系金融機関が生まれる。

 リップルウッドは、預金保険機構が保有する長銀の全24億株を1株当たり数円で買い取り、100%株主になる。その後、米国企業などから集めたファンド資金で1200億円程度を追加出資する。

 昨秋、長銀が破たんした際に保有していた不良債権の多くは、整理回収機構に移管されたため、リップルウッドが引き継ぐ資産は、健全な債権や取引先の株式などを中心に約11兆円となる。この中に、経営不振の大手ゼネコンや大手流通業などへの「灰色債権」も含まれているが、リップルウッドは、貸し出し債権は3年間、保有株については5年間は少なくとも回収・売却せず、保有し続ける。

 政府は、長銀の債務超過を穴埋めするため、これまでに3兆5000億円の公的資金を投入した。貸し倒れ引当金約4000億円を譲渡前に上積みするほか、譲渡後の損失(2次ロス)についても政府が一定額を負担する。また、大手行と同様に、譲渡後に経営支援のため、公的資金約2500億円を資本注入し、自己資本比率を8―10%に高める。

 リップルウッドは、1995年に設立された投資会社。機関投資家から集めた資金で経営不振の企業を買収。経営を立て直した後に高値で売却することで、利益をあげている。新経営陣には、元シティコープ在日代表の八城政基氏らの名が挙がっている。

 金融債の発行による資金調達を当面は続け、企業向けの総合金融サービスを提供するホールセール(大口金融取引)銀行をめざす。

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