TOPIC No.2-41a '99年09-12月「プリンストン債」損害/クレスベール証券

群栄化学工業、「プリンストン債」損失で米地裁に提訴

9:19p.m. JST December 24, 1999
 クレスベール証券東京支店が販売した「プリンストン債」による国際的な詐欺事件で、債券を購入して多額の損失を計上した群栄化学工業は24日、会長としてプリンストングループを率いたマーチン・アームストロング氏らを相手取り、損害賠償を求める訴訟を米ニューヨーク連邦地裁に起こしたと発表した。

 提訴は日本時間の23日付で、アームストロング氏ら3個人と、プリンストン・エコノミックス・インターナショナル社など4法人を訴えた。賠償金額は明示していないが、9月中間決算で特別損失として計上した117億9300万円に、利息や懲罰的賠償責任を加えた数100億円程度という。会見した大井誠一常務は「日本国内でも、クレスベール証券東京支店の関係者に対する提訴の準備を進めている」と話している。

クレスベール証券が自己破産申請

9:28p.m. JST December 21, 1999
 クレスベール証券東京支店の本社であるクレスベール・インターナショナル(本社・ケイマン諸島)は21日、東京地裁に対し東京支店の破産を申し立てた。東京支店が販売していたプリンストン債が「紙くず同然」になっていることが発覚して以来、同支店は営業を休止していた。代理人の三宅省三弁護士は破産申し立ての理由を「プリンストン債をめぐる所得税法違反(脱税)事件で、東京地検による同支店の捜査は続いている。(破産申請は)顧客資産の返還業務に専念するため」としている。

 東京支店の説明では、販売したプリンストン債はこれまでに1276億円で、そのうちの未償還分は、約40社が購入した1061億円に上る。東京支店は、顧客口座ごとに資産を分別管理していたと説明しているが、金融監督庁の調べでは、プリンストン債の運用先である米国では分別管理されていなかった。破産申し立てをしても、破産法上は資産保全の効力が国内に限られ、海外には及ばない。

 代理人によると、東京支店が保有する資産は預金などを合わせ、約10億円程度とみられるが、詳細は同日に東京地裁が選任した保全管理人によって確定される。現時点では破産宣告の要件に当たるかどうかも不明だとしている。

ヤクルト本社も告発

1999年12月20日 14時27分 共同通信社
 ヤクルト本社は20日、業務上横領容疑で、元副社長熊谷直樹被告(69)を東京地検特捜部に告発したと発表した。告発によると、熊谷被告は香港の子会社「ヤクルトインターナショナル」の会長在任中の1993年12月ごろから94年6月ごろにかけて、デリバティブ(金融派生商品)取引に関連し、インターナショナル社の資金約7億円を、複数回にわたり仮名口座に送金するなどし、横領した。

クレスベール脱税事件でヤクルト前副社長を起訴

3:46p.m. JST December 20, 1999
 クレスベール証券東京支店の「プリンストン債」をめぐる脱税事件で、東京地検特捜部は20日、東京国税局の告発を受けて、ヤクルト本社前副社長の熊谷直樹容疑者(69)を所得税法違反(脱税)の罪と、同社の子会社の財テク益から約7億円を流用したとする業務上横領罪で東京地裁に起訴した模様だ。同支店前会長の瀬戸川明容疑者(65)についても脱税の罪で起訴するとみられる。

 関係者によると、ヤクルト本社の財務・経理部門を統括していた熊谷前副社長は、香港の子会社が金利などを組み合わせたデリバティブ(金融派生商品)取引などによる財テクを手がけた際に、運用益を自らの財テク専用口座に入金する手口で流用を繰り返し、総額で約7億円を着服した、とされる。

 告発などによると、ヤクルト本社は、子会社分を含めて約406億円分のプリンストン債を購入。熊谷前副社長はその見返りにクレスベール側から受け取ったリベートなど約5億7000万円を申告せず、約2億4000万円を脱税した。また、瀬戸川前会長はプリンストン債の販売を成功させた特別賞与など約5億3000万円の所得を隠し、所得税約2億6000万円を免れた、とされる。

プリンストン債で提訴へ

1999年12月16日 13時05分
 プリンストン債をめぐる詐欺事件に絡み、同債を約118億円で購入した群栄化学工業(群馬県高崎市)は16日までに、米国プリンストングループや同債を管理していた米国リパブリック・ニューヨーク証券などを相手に、損害賠償を求める訴訟を年内にもニューヨーク連邦地裁に起こす方針を決めた。

ヤクルト前副社長、新たに財テク益8億円流用の疑い

03:17a.m. JST December 12, 1999
 クレスベール証券東京支店の「プリンストン債」をめぐる所得税法違反(脱税)容疑で逮捕されたヤクルト本社の前副社長熊谷直樹容疑者(69)が、香港にある同社の子会社の財テク益から約8億円を流用していた疑いのあることが関係者の話でわかった。うち約5億円は、クレスベール側からのリベートの受け皿となった口座とは別に、ペーパー会社名義の口座をシンガポールに開設して振り込ませていたとされる。東京地検特捜部なども、こうした隠し口座を使った流用に注目し、業務上横領容疑などにあたるとみて捜査を進めている模様だ。

 熊谷前副社長は、約5億3000万円のリベートなどを隠したとする脱税容疑のほか、プリンストン債を購入した際に同支店の前会長瀬戸川明容疑者(65)=同容疑で逮捕=側に支払った運用手数料からリベート分を値引きさせずに、会社に損害を与えたとされる商法違反(特別背任)容疑などが指摘されており、巧妙な手口で会社財産を私物化していた新たな容疑が浮上した形だ。

 同社によると、国税庁OBでヤクルト本社の財務・経理部門を統括していた前副社長は、金利などを複雑に組み合わせたデリバティブ(金融派生商品)を主体とした財テクの責任者で、香港の子会社「ヤクルトインターナショナルHK」でも会長を務めて財テクを仕切っていた。しかし、ヤクルト本社がデリバティブ取引や海外子会社の運用の失敗などで約1000億円にのぼる巨額損失を出し、1998年3月に引責辞任した。

 関係者によると、前副社長は、香港に作ったペーパー会社名義で、自らの財テク専用口座をシンガポールの証券会社支店に開設。93年と94年ごろ、その口座に約5億円が振り込まれた。前副社長は、カリブ海の英領ケイマン諸島に設立したペーパー会社名義のシンガポール口座にリベートを入金させていたが、今回見つかった口座はこれとは別という。

 これらの資金は、インターナショナル社が財テクによって得た運用益の一部といい、前副社長が私的に流用していた疑いが強いとみられている。前副社長は、こうした資金を自宅購入の資金繰りや個人的な財テクに回していたとされる。

アマダ、プリンストン債損失で米証券に損害賠償請求

6:46p.m. JST November 30, 1999
 クレスベール証券東京支店が販売したプリンストン債で損失を被った加工機製造販売、アマダ(神奈川県伊勢原市)のグループ3社は30日、投資資金を保管していた米国のリパブリック・ニューヨーク証券グループ3社と同証券の元幹部2人を相手取り、計約125億円の損害賠償を求める訴訟をニューヨーク連邦地裁に起こした、と発表した。

 アマダによると、同社など3社はプリンストン債の残高125億円を今年9月期決算で損失処理した。「リパブリック側は分別口座でアマダの運用資金を管理するとしていたのに、流用を認める保証を取り付けていたという。虚偽説明による詐欺的な行為だ」などと訴えている。

クレスベールからのリベートで財テク 元ヤクルト副社長

03:11a.m. JST November 20, 1999
 クレスベール証券東京支店が販売した「プリンストン債」をめぐり、ヤクルト本社の熊谷直樹・前副社長(69)が、同支店側から受けたリベートの一部を使って産廃処理会社のワラント債(新株引き受け権付き社債)をクレスベール側の関連会社名義で購入していたことが関係者の話でわかった。ワラント債は同支店の瀬戸川明・前会長(65)が勧め、送金手続きもクレスベール側が代行していたという。リベートが発覚するのを避ける「名義隠し」の狙いがあったとみられ、前副社長はリベートと財テク益の計6億円近くを申告していなかった。東京地検特捜部と東京国税局もこうした経緯を把握しているとされ、所得税法違反(脱税)容疑で調べている模様だ。

 関係者によると、熊谷前副社長は1995年から97年にかけて同支店から計約5億3000万円のリベートを受け取った。このリベートは香港にある同支店の関連会社「クレスベール・ファーイースト」から、前副社長が英領ケイマン諸島に設立登記したペーパーカンパニーのシンガポール口座に送金されたという。

 このうち約2億3000万円は、瀬戸川前会長の勧めで、当時茨城県にあった未上場の産廃処理会社のワラント債購入費用に充てられ、熊谷前副社長は利益を上げたとされる。

 このワラント債購入者の名義には、クレスベール・ファーイースト社の子会社が使われており、購入資金の送金手続きも、前副社長が委任する形でクレスベール側の関係者が行っていたという。瀬戸川前会長と熊谷前副社長が相談し、前副社長の名前が表面化するのを避けようと画策した可能性もあるとみられる。

 また、リベートのうち残りの約3億円について、前副社長は、一部を国内に持ち帰るなどしていたようだ。

日本電産 20億円、社長が穴埋め

1999年11月15日 18時54分 共同通信社
 日本電産(京都市)のプリンストン債への投資の失敗による損失20億円を、同社の永守重信社長が実質的に個人で穴埋めしたことが、15日発表した今年9月の中間決算で分かった。
経営が破たんしながら退職金を一銭も返還しない元銀行経営者がいる中で、経営トップが、こうした形で責任を明確にするのは珍しい。

私募債販売の実態を調査

999年11月2日 19時39分 共同通信社
 クレスベール証券東京支店が販売した「プリンストン債」約1200億円分が償還不能になるなど一連の疑惑で、証券取引等監視委員会は2日までに、証券取引法に基づき全国の証券会社90社に海外の会社が発行した私募債や私募投資信託の販売状況など、詳細な報告書を提出するよう求めた。

急拡大するプリンストン債被害=信組破たん、個人投資家にも波及

99年10月29日 21時2分[時事通信社]
 私募債券の「プリンストン債」をめぐる国際詐欺事件の被害が急拡大している。29日には、プリンストン債を購入した兵庫県の北兵庫信用組合が、同債の償還不能をきっかけに債務超過に陥り、経営破たんに追い込まれたほか、個人投資家向けに販売された商品ファンドの運用にも同債が組み込まれていたことが明らかになった。 

受け皿探しは難航も

1999年10月29日 18時28分 共同通信社
 クレスベール証券の「プリンストン債」購入による損失で北兵庫信用組合(兵庫県香住町)が兵庫県に破たんを申請し、金融整理管財人による公的管理で同信組の処理を進めることが29日決まった。今後はどの金融機関が同信組の事業を引き継ぐかが焦点となるが、受け皿探しは難航しそうだ。

瀬戸川会長に5億円

1999年10月29日 10時22分 共同通信社
 ドル建て私募債「プリンストン債」販売をめぐるリベート供与問題などで、金融監督庁から業務停止の行政処分を受けたクレスベール証券東京支店(東京都中央区)の瀬戸川明会長が、米国の親会社側から「裏賞与」として約5億円を受け取りながら、税務申告していなかったことが29日、関係者の話で分かった。

クレスベール証券会長らの解職を命令 業務停止11週間

9:50p.m. JST October 28, 1999
 日本企業が巨額の損失を被った「プリンストン債」を販売していたクレスベール証券東京支店(東京都中央区)に対し、金融監督庁は28日、瀬戸川明会長と沢田裕次・資本市場部担当取締役ら役員2人の解職を命じるとともに、11月1日から11週間の業務停止とする行政処分をした。債券販売先企業の財務担当者にリベートを渡したことなどが外国証券業者に関する法律に違反していると判断した。金融監督庁が証券会社に役員の解職を命じたのは初めて。同支店への処分はこれで3回目になる。

 監督庁は、同支店の違法行為が多岐にわたっているうえ、瀬戸川会長らが深く関与していたことを重視し、会長らの解任に踏み切ったとみられる。同支店側も法令違反の事実関係を認めているという。同法は、証券会社の役員が証券業務などで法令や行政処分に違反した場合、代表者や役員の解職を命じることができる、と定めている。

 同支店によるプリンストン債販売をめぐっては、証券取引等監視委員会が22日、(1)ヤクルト本社など顧客企業5社の財務担当者らに総額約6億2000万円のリベートを渡していた(2)客の要請に応じて虚偽の取引報告書や残高証明書を交付していた――などとして、行政処分をするよう監督庁などに勧告していた。

株主「損賠訴訟を」 元副社長リベート問題でヤクルトに

03:11a.m. JST October 23, 1999

 クレスベール証券東京支店から5億円を超すリベートを受け取っていたヤクルト本社の元副社長(69)について、同社の株主である都内の会社役員が、元副社長を相手取った損害賠償請求訴訟を起こすよう求める催告書を同社の監査役に送っていたことが分かった。来月中旬までに提訴されない場合、株主代表訴訟を起こす方針という。

 催告書は、5億円について「本来ならば、会社に帰属するか、購入代金がそのぶん値引きされるべきであり、元副社長が受け取ったのはおかしい」などと主張している。

 同社広報室は「催告書を受け取ったことは事実で、監査室で対応を検討中だ」とコメントしている。

クレスベール証券から法人顧客へのリベートは総額約6.2億円

99年10月22日 19時20分 [東京 22日 ロイター]
 証券取引等監視委員会は、クレスベール証券東京支店からの法人顧客へのリベートが総額約6.2億円であることを明らかにした。 この中で、証券監視委幹部は、クレスベール証券東京支店が、1994年9月ごろから1998年6月までの間に、プリンストン債の勧誘に際して、合計5社の法人顧客の担当者に、金銭を支払うことを約束した、としている。

プリンストン債リベート、アルプス電気など4社にも

03:06a.m. JST October 22, 1999
 クレスベール証券東京支店が「プリンストン債」の販売に際し、ヤクルト本社など顧客5社の担当者にリベートを支払っていたとされる疑惑で、残りの4社は「アルプス電気」(東京都大田区)、「カシオ計算機」(同渋谷区)、「SMC」(同港区)と「キッセイ薬品工業」(長野県松本市)であることが21日、関係者の話でわかった。4社の担当者へのリベートは数千万円から数百万円で、総額は約1億円にのぼるという。証券取引等監視委員会などもこうした事実を把握している模様で、監視委は近く同支店に対する行政処分を金融監督庁などに勧告するとみられる。

 アルプス電気では、100%子会社の2社が1995年に同債を購入し、今年9月現在で計217億円余りの残高がある。同社広報室は「リベートを受け取った担当者は13日付で退職しており、国税当局からも調査を受けている」と説明している。額など詳細については調査中という。

 カシオ計算機は96年に18億円分を買ったが、98年にすべて解約した。同社首脳は「現在の従業員にリベートを受け取っている者はいない。昨年、購入時の担当者を、会社の預金を持ち出したとして告訴しており、調べは捜査当局に任せている」と話している。

 キッセイ薬品工業の保有残高は約35億円。同社によると、担当者は今年5月まで複数回にわたって計約3000万円を受け取っていた。「担当者は、知人4人を同支店に紹介した謝礼だったと認識していた。7月に返却している」と会社側は説明している。

 SMCは「プリンストン債のことについては一切ノーコメント」としている。 リベートには、債券購入の謝礼とともに、取引の継続を依頼する意味も含まれていたという。監視委は、こうしたリベートが証券取引法が禁止する「特別な利益提供を約束した勧誘」にあたるとみて検査を続けている。ヤクルト本社の元副社長(69)は5億円余りのリベートを受け取っていたことを認めており、東京国税局は所得税法違反(脱税)容疑で強制調査(査察)に乗り出している。

クレスベール証券への行政処分を金融再生委などに勧告=証券監視委

99年10月22日 19時20分[東京 22日 ロイター]
 証券取引等監視委員会は、クレスベール証券東京支店に対して行政処分を行うよう、金融再生委員会および金融監督庁に勧告した。 この中で、同監視委は、クレスベール証券の東京支店が、1)特別の利益を提供することを約束して勧誘する行為、2)有価証券の売買その他の取引に関する虚偽表示、3)虚偽の記載をした取引報告書の交付、4)有価証券を売却する場合における引受人の信用の供与−−などの事実があったとしている。

米クレスベール証券会長の公判始まる

0:01p.m. JST October 09, 1999
 くの日本企業をだまして私募債を売りつけたとして証券詐欺などの罪に問われた米クレスベール証券会長のマーティン・アームストロング被告(49)の公判が、ニューヨーク連邦地裁で始まった。会長はエコノミストとして名をはせた時期もあるが、経営していた企業グループはすでに破たんし、日本の各社が失った資産を取り戻すのは極めて難しい。

 マンハッタンのニューヨーク連邦地裁で7日行われた罪状認否で、会長は起訴事実を強く否認した。公判には母親(81)も付き添った。法廷を出て記者団に囲まれた会長は「あなた方が思っているよりずっとこの件は複雑。私は無罪。ほかには何も言えない」と短く答えた。

 アームストロング会長は、少年時代から収集癖で知られた。

 13歳で切手集めに熱中し、コレクター向けの雑誌に「1904年発行の2枚を含めた珍品の切手を売りたい」と投稿した。だが、数カ月後には作り話とわかってしまう。別の収集家が「それらの切手はすべて私の手元にある」と名乗り出たからである。まもなく切手趣味の団体から除名された。

 希少コイン、金や銀、原油の相場。投機の対象はめまぐるしく変わった。1987年には、投資実績を偽ったとして、米先物取引委員会から罰金1万ドルと1年間の取引停止処分を受けた。

 96年から今年夏までの間も、コインや骨とうの収集に数百万ドルを注いだ。連邦地検は、ドル建ての私募債「プリンストン債」を日本企業に売って得た資金が、私的な趣味に充てられたとみる。

クレスベール証券東京支店に10月4日から22日まで証券業務の停止命令=金融監督庁

99年9月29日 18時22分[東京 29日 ロイター]
 金融監督庁は、クレスベール証券東京支店に対して、10月4日から22日までの間、すべての証券業務の停止を命じる行政処分を行った、と発表した。

投資家へ説明会 クレスベール証券東京支店

10:43a.m. JST September 20, 1999
 金融監督庁が販売停止命令を出したクレスベール証券東京支店の「プリンストン債」が、事実上の債務不履行となっている問題で、同支店は20日午前、同債を購入した群栄化学工業など37社に対し、都内のホテルで説明会を開催した。5月に金融監督庁から検査を受けて以来の経緯や、同支店が把握している事件の状況などについて説明した。同支店の責任については否定し、親会社の米プリンストン・グローバル・マネジメントや、プリンストン債を管理していたリパブリック・ニューヨーク証券を相手に法的責任を追及する姿勢を示したとみられる。

プリンストン債が事実上デフォルト=保有企業の損失計上が不可避に

99年9月17日 20時24分 時事通信社
 クレスベール証券東京支店などが販売した私募債「プリンストン債」が、17日までに事実上の債務不履行(デフォルト)に陥った。同債の販売停止措置以降、同日までに上場・店頭公開企業24社が計980億円近くの保有を公表。中電工が130億円、群栄化学工業が117億円を今9月中間決算で特別損失に計上すると発表するなど、同債保有企業の損失計上は不可避の情勢だ。 

クレスベール証券東京支店、親会社関係者らを告発へ

02:18a.m. JST September 18, 1999
 外資系のクレスベール証券の東京支店(東京都中央区)が特定の投資家らに販売していた私募債「プリンストン債」を購入した日本企業約50社が巨額の損失を抱える恐れが出ている問題で、同支店はクレスベール証券の事実上の親会社で米国の投資会社「プリンストン・グローバル・マネジメント」の関係者らを詐欺などの疑いで近く東京地検に告発する方針を明らかにした。プリンストン社のマーティン・アームストロング会長(49)は、米ニューヨーク連邦地検に証券詐欺容疑で逮捕されている。プリンストン債の多くは日本企業が購入、16日に償還と利払いが予定されていたが実行されず、事実上、債務不履行になった。日米双方の司法捜査当局が国際的な詐欺疑惑の解明に乗り出す可能性が出てきた。

 クレスベール証券東京支店は、取締役会を開いて告発方針を決めた模様だ。告発対象には、同会長やプリンストン債の資金を管理していた米国の「リパブリック・ニューヨーク証券」の役員らを含めて検討しているが、証拠収集が難しいため、「被疑者不詳」になることもあり得るという。

 プリンストン債をめぐっては、金融監督庁が今月9日、大半が無価値の状態になるなど、顧客資産の保全に問題があるとして、東京支店に販売を半年間停止するよう命令している。

 東京支店関係者によると、支店はプリンストン債を販売して得た資金をリパブリック側に送金しており、「プリンストン側の運用報告書やリパブリック側の純資産残高表などとともに、顧客ごとに独立した分別口座で管理されていると説明を受けていた」としている。

 しかし、金融監督庁の検査などでリパブリック側にこうした分別口座は存在せず、資金はほとんど残っていなかったことが判明。同支店は、顧客企業の損失は会長とリパブリック側の責任であり、「われわれは報告書を信用するしかなかった」などと主張している。

 一方、同会長は、逮捕の1週間前の今月6日付で、「リパブリックの上席経営陣から分別口座が用いられていたと確認している」などとする顧客あての文書を東京支店に送っている。

 プリンストン債を購入した企業はほとんど日本国内に集中し、被害総額は1000億円を超える見通し。ヤクルト本社(東京都)や群栄化学工業(群馬県)など23社が、同債を簿価で計968億9300万円分保有していると発表している。

 日本企業のうち数社は損害賠償を含めた訴訟を検討しているが、一方で「東京支店側も被害者だと主張しているが、親子で一緒だ。賠償をどこに請求すればいいのか」との戸惑いの声も出ている。

 <クレスベール証券とプリンストン債> 1995年にマーティン・アームストロング会長の投資会社、プリンストン・グループの傘下に入った。プリンストン債は同グループの関連会社、プリンストン・グローバル・マネジメントが発行する私募債で、「トリプルA格の債券運用で高い利回りが期待できる」などとうたい、クレスベール証券が91年ごろから日本国内の企業に販売していた。集めた資金はリパブリック・ニューヨーク証券で管理されることになっていた。アームストロング会長は独自の景気予測を発表するなどして、国内外のマスコミにたびたび登場していた。

プリンストン債保有企業一覧=9月17日現在

99年9月17日 18時31分 [東京 17日 ロイター]
 17日までに上場及び店頭登録27社が、プリンストン債を保有していることが明らかになった。27社の保有するプリンストン債の総額は 1049億8700万円。 このうち、群栄化学工業とスターゼン、中電工が、中間決算で全額を特別損失として処理すると発表している。また、加賀電子が帳簿価額の50%を特損処理するとしている。

 プリンストン債を保有している企業と帳簿価額の一覧は以下のとおり。              帳簿価額     会計処理  アルプス電気   217億8100万円               中電工      130億0000万円 中間期に全額特損処理  群栄化学工業   117億9300万円 中間期に全額特損処理   山洋電気 78億4000万円  ヤクルト本社 70億0000万円  アマダ       60億0000万円       丸善        56億2900万円  キッセイ薬品    35億0000万円       アマダソノイケ   35億0000万円   スターゼン 33億6000万円 中間期に全額特損処理     アマダワシノ    30億0000万円   アサツーDK    30億0000万円   SMC       24億0000万円  昭和飛行機工業   23億9000万円  日本電産 20億0000万円   ジャスコ 13億4300万円  戸田工業 10億0000万円  マスプロ電工 10億0000万円  参天製薬 9億9100万円    加賀電子      9億0000万円 中間期に50%を特損処理  都築電気 8億0000万円  卑弥呼 7億0000万円  イトーキクレビオ  5億1000万円  東和薬品      5億0000万円  サイゼリヤ     5億0000万円   ダイセキ 4億0000万円       シグマ光機     1億5000万円           <合計1049億8700万円>

 注:アルプス電気は、100%子会社のアルプス・クレジットとアルプス経理センターが保有しているもの。

 注:山洋電気は、特定金外信託で保有しているもの。

  注:ヤクルト本社は、特金のファンドにプリンストン債が組み入れられているもの。

プリンストン債、償還不能に 損失処理迫られる企業

9:56p.m. JST September 17, 1999
 金融監督庁が販売停止命令を出したクレスベール証券東京支店の「プリンストン債」が事実上、債務不履行になったことが17日明らかになった。また、新たに4社が同債を保有していることを公表した。債務不履行になったことで、保有企業は損失処理を迫られることが必至になっている。

 同証券によると、債券の発行元にあたるプリンストン・グローバル・マネジメント(PGM)が16日に償還と利払いを予定していたが、それが実行されなかった。米国にあるPGMの口座と、券面を管理するリパブリック・ニューヨーク証券の口座が米国証券取引委員会などによって凍結され、解除の見通しがたたないため、償還と利払いは不可能だと判断した。

 同証券は顧客企業にこの事実を伝えた。このため、同債を130億円分保有する中電工(本社・広島市)は9月中間決算で全額を特別損失として処理することを決めた。

 新たに同債を保有していることを公表したのは山洋電気(本社・東京)、戸田工業(本社・広島市)、都築電気(本社・東京)、卑弥呼(同)の4社で、簿価はそれぞれ78億4000万円、10億円、8億円、7億円。これまでに保有が明らかになった企業は23社、簿価の合計は約969億円にのぼった。9月中間決算で損失処理することを決めたのは一部にとどまっているが、残りの企業も損失処理は避けられない状況になっている。

山洋電気、金外信託でプリンストン債78億4000万円を保有=損害賠償請求を予定

99年9月17日 18時38分 [東京 17日 ロイター]
 山洋電気は、特定金外信託のなかでプリンストン債を78億4000万円保有している、と発表した。 業績に与える影響について山洋電気は、詳細については調査中で、公認会計士の意見も聞きながら会計上の損失処理を行う予定、としている。 また、不法行為に基づく損害賠償の請求を行う予定、という。

電工、プリンストン債130億円を中間期に特損計上へ

99年9月17日 18時42分[東京 17日 ロイター]
 中電工は、保有しているプリンストン債について、帳簿価額130億円を9月中間期に特別損失に計上する予定、と発表した。 中間期と2000年3月期(通期)の業績予想の修正は、数値がかたまり次第発表する、としている。

群栄化学が特損117億円 クレスベール証券取引

03:18a.m. JST September 15, 1999
 金融監督庁が販売停止命令を出したクレスベール証券(本社・ケイマン諸島)東京支店の「プリンストン債」について、中堅化学メーカーの群栄化学工業(本社・群馬県高崎市)は14日、保有する同債は回収不能と判断し、簿価117億9300万円を9月中間決算で損失処理する、と発表した。また、さらに10社がプリンストン債を保有していることが明らかになった。これまでに判明したプリンストン債の保有企業は計17社にのぼり、保有企業は広範囲に及んでいる。

 群栄化学は余剰資金の運用の一環として、1994年11月に同債を購入した。当初は数億円の取引だったが、比較的利回りが良かったため、徐々に購入額を増やした。これまでに利払いや償還が滞ったことはなかったが、クレスベール証券の事実上の親会社であるプリンストン・グローバル・マネジメントのマーティン・アームストロング会長が詐欺容疑で告発されたとの報道を受け、回収は困難と判断した。大井誠一常務は「告発の報道を見て、これは詐欺だと思った。成り行きによっては法的手段も検討する」と話す。

 ヤクルト本社は投資有価証券のファンドに組み入れる形で、簿価で数10億円分を保有していることを明らかにした。ただ、昨年3月期決算でデリバティブ(金融派生商品)取引に伴う損失を処理した際、同債券についても一括処理しており、「簿価の7、8割は引き当てが済んでいる」としている。

 このほか、アルプス電気と加賀電子が9月中間決算で損失処理する方針を固めている。サイゼリヤは「クレスベール証券から『償還は難しい』との連絡があった。損失がはっきりしている以上、できるだけ早く損失処理する」と話す。

 しかし、なかには「運用報告が毎月来ていたし、利払いもきちんとあった」といい、対応を決めていない企業も多い。4億円分購入していたダイセキは「8月にも利払いがあったばかり。購入元の国内証券会社を通じてクレスベール証券に確認しているが、元本は戻るものと理解している」(企画管理本部)という。

クレスベール証券取引の損失企業相次ぐ

03:17a.m. JST September 15, 1999
 クレスベール証券東京支店の「プリンストン債」で損害を受けた企業は、最終的に約50社、損失総額は約1100億円にのぼる見込み。国際的な詐欺事件に発展する可能性も出ている。ただ、「だまされたのは日本企業だけ」(当局関係者)との指摘もあり、日本企業のリスク管理の甘さが厳しく問われる形になった。

 米ニューヨーク連邦地検は13日、同証券の事実上の親会社である「プリンストン」グループのアームストロング会長を証券詐欺の疑いで連邦地裁に告発状を出した。顧客に、クレスベール証券東京支店を通じて集めた資金を分別運用すると約束しながら、一括して米国の証券会社に預けて運用し、大半が損失となっている。金融監督庁も日本の捜査当局への情報提供を検討している模様だ。

 「こんな手口に欧米の企業は引っかからない」と、金融監督庁幹部は指摘する。プリンストン債販売は、クレスベール東京支店が舞台となっていた。宣伝資料の中では「過去8年の実績は年25%の利回り」と高利回りをアピールし、「トリプルA格の債券で運用」と安全も強調していた。プロの財務担当者でなくとも、にわかには信じにくいうたい文句だ。

 モルガン・スタンレーの元社員が書いた内幕本「大破局」では、複雑で、素人では理解しにくいデリバティブ取引で、外資系金融機関からカモにされている日本企業の姿が描かれた。最近では、クレディ・スイスによる損失隠し商品の大量販売事件が行政処分の対象となった。こうした問題が頻発する背景には、リスク管理が甘いうえに、目先の決算対策に走ってデリバティブに簡単に手を出す日本企業の体質がある。

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