TOPIC No. 2-40 アジア太平洋経済協力会議(APEC)

01. アジア太平洋経済協力 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02.APEC by外務省
03.APEC(アジア太平洋経済協力) by経済産業省
04.ASIA-PASIFIC ECONOMIC COOPERATION
05.アジア経済研究所APEC研究センター
06.アジア太平洋経済協力会議(APEC)関連文書 by東京大学東洋文化研究所/ 田中明彦研究室

「横浜ビジョン」採択 APEC首脳会議閉幕

2010/11/14 中国新聞ニュ−ス

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議は14日、横浜市のパシフィコ横浜で首脳宣言「横浜ビジョン」を採択した。菅直人首相主催の昼食会を経て閉幕する。

 地域全体をカバーする「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」構想を推進する方針を確認。議長を務めた菅首相は、米国や中国など参加21カ国・地域の首脳に、政府の環太平洋連携協定(TPP)を含む経済連携の基本方針を説明する。

 横浜ビジョンでは、APECが目指すべき姿を「共同体」と位置付け、参加国・地域の一層の関係緊密化を目指すことなどが記される。FTAAP実現に向けた具体策としては、TPPなど複数の枠組みを土台に活用することで合意する。

 域内の先進国が2010年までに貿易・投資の自由化達成を目指すとした「ボゴール目標」の評価についても議論し、報告書をまとめる。

 15年ぶりの日本開催となった今年のAPECは全国各地で閣僚会合を開き、自由貿易の推進や成長戦略策定に向け、議論を重ねてきた。来年は米国が議長国となり、ハワイで首脳会議が開かれる予定。

横浜で「第二の開国」目指すと首相、APEC・CEOサミット/神奈川

2010年11月14日 神奈川新聞

 アジア太平洋経済協力会議(APEC497件)の首脳と経済界の代表らが投資や貿易について議論するAPEC・CEOサミットが13日、横浜市内のホテルで開かれ、日米中の首脳が講演した。オバマ米大統領はアジアへの輸出拡大を目指す決意を述べ、中国の胡錦濤国家主席はさらなる経済成長に意欲をみせた。菅直人首相は環太平洋連携協定(TPP)協議に着手することを表明、“第二の開国”を目指す考えを示した。

 菅首相は151年前に横浜が開港されたことに触れ、「この横浜は当時、外国に向かって開かれた港のひとつ。今では日本で屈指の港になった」と紹介。その上で「その横浜で皆さんに申し上げたいことがある。日本は今再び大きく国を開いていくことを決断した」と話した。

 経済連携協定を結び、自由貿易圏を形成している国が増えていることに触れ、「わが国はこの潮流に立ち遅れてきた」と説明。日本が繁栄するため、「世界、アジア地域とともに成長の道を歩むことを抜きに日本の繁栄は考えられない」と述べ、TPP参加へ強い意欲を示した。

 菅首相の講演を受け、オバマ米大統領は「日本を含むアジア諸国で起きていることはアメリカにも大きな影響を与える」と述べ、高い経済成長を続けているアジア地域の重要性が増しているという認識を示した。TPPについて「市場開放を実現し、輸出を増やしていきたい」と話し、急成長を続けるAPEC497件地域で米国の輸出拡大を目指す考えを表明した。胡主席は「中国は引き続き開放(政策の継続)をもって改革を促す」と強調。「世界との共同発展を堅持する」と述べ、各国と協調しながら経済発展を進める考えを強調した。

 CEOサミットは日本経団連主催で、約千人が参加。会場内には世界各国メディアの30台以上のテレビカメラが並び、100人を超える記者が集まった。12、13の両日で計11人の首脳が登壇、世界に向けて自らの考えを発信した。

菅首相、TPP交渉参加国会合にオブザーバー出席

2010.11.14 14:35 MSN産経新聞

14日、横浜で開かれたTPP交渉参加国会合に出席した菅首相(左端)とオバマ大統領(右から5人目)ら各国首脳=AP

 菅直人首相は14日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて開かれた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP=トランス・パシフィック・パートナーシップ)の協定交渉参加国首脳会合(9カ国)にオブザーバーとして出席した。会合はオバマ米大統領が議長を務めた。

 首相は、9日に閣議決定した政府の「経済連携の基本方針」を説明した後、「わが国は再び大きく国を開くとの決意のもと、高いレベルの経済連携を進める。そのために抜本的国内改革も推進する」と表明。

 さらに、「交渉参加9カ国との間でアジア太平洋地域における貿易投資の自由化について緊密に協議をしていきたい」と述べた。

 会合では日本のオブザーバー参加に対して歓迎の意が示されたという。今回の会合は約20分間で、日本はAPEC議長として、オバマ大統領から参加の打診を受けた。 

32億人の最大市場を創設へ 日本構想、米中との攻防激化

2010年06月12日 中国新聞ニュ−ス

 アジアの需要を取り込み経済成長を確保する目的で、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国と日本、中国、インドなど6カ国の経済を統合し、世界人口の半分を占める32億人の巨大市場を創設しようという日本の構想は今年、正念場を迎える。16カ国首脳で構成する「東アジアサミット」で10月に、実現に向けた本格的な議論が始まるからだ。

 6月初旬の貿易相会合を皮切りに、11月の首脳会議まで続くアジア太平洋経済協力会議(APEC)では、米国が提案した別の統合案を議論。中国も独自の構想を進めており、アジア経済統合の主導権をめぐる日米中の攻防激化は必至だ。

 日本は、ASEAN加盟10カ国に日中、韓国とインド、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国を加えたアジア大洋州の16カ国(ASEANプラス6)全体をカバーする統合構想を、06年以来推進してきた。

 16カ国首脳は09年、構想実現に向けた政府間協議の開始で合意。関税分類など4分野について、まずASEAN内で今年議論を始め、その結果を10月に東アジアサミットに報告する。

 畠山襄・元通商産業審議官は「日本が統合を主導するには、農業分野を含む市場開放を一層進め、関係国の理解を得る方策が必要だ」と話している。

APECへ備え万全に 税関など4機関 外国船を検査

2010年06月12日 中日新聞

検査のため外国船に乗り込む4機関の担当者たち=富山新港で

富山新港 テロ関連物の有無確認

 十一月に横浜市で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)を前に、税関など関係四機関による合同の外国船舶立ち入り検査が十一日、富山新港(射水市奈呉の江)で始まった。不審人物の密航やテロ関連物資の密輸を阻止するため、関係機関が連携して警戒を強めている。

 検査には、大阪税関伏木税関支署、射水署、伏木海上保安部、法務省名古屋入国管理局富山出張所の担当官計二十七人が臨んだ。

 インドネシアからアルミを積んで入港した六千トン級のパナマ船に乗り込み、各機関の三人が一組となって検査に当たった。甲板やエンジンなど点検個所を分担し、爆発物や銃器などのテロ関連物や、不審人物の有無を調べた。

 国内では、福井市でのエネルギー大臣会合など、APECを前にした閣僚会合が各地で実施される。同税関の中村次雄統括監視官は「それぞれの機関が持っているノウハウや知識を発揮して、効率よく検査に当たってほしい」と話していた。

 四機関の合同検査は、テロリストの拠点となっている国を出・寄港した船舶を対象に、APECが終了して閣僚が帰国する十一月中旬まで続けられる。

緊張のテロ対策訓練

2010年06月12日 読売新聞 Yomiuri On-LINE

APEC控え 小田急・町田駅

通行人の救出訓練にあたる警察官ら(小田急・町田駅で)

 横浜市で11月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に向け、町田市の小田急線町田駅で11日朝、NBC(核・生物・化学)テロを想定した訓練が行われ、町田署員や公安機動捜査隊員、駅員約30人が参加した。

 男が同駅北口の通路に有毒な液体が入ったペットボトルを壁に投げつけて逃げ、通行人2人が気化ガスで倒れたという想定。防護服を着た署員や公安機動捜査隊員が駆けつけ、通行人の救出やペットボトルの検査・回収、現場の除染作業などの手順を確認していた。


WTO年内合意を「誓約」 APEC 金融危機で緊密協力

2008/11/24 MSN産経新聞

 APEC(アジア太平洋経済協力会議)は22日午後(日本時間23日早朝)、ペルーの首都リマで首脳会議を開き、WTO(世界貿易機関)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の細目合意について「来月に達成することを誓約」と明記したリマ特別声明を採択し、初日の討議を終えた。

 金融危機に対し「協調的かつ包括的な形で緊密に協力していく」ことも確認、ガルシア議長(ペルー大統領)の主張を反映し「われわれは18カ月で危機を克服できる」とした。

 最終日の23日は、地球温暖化問題やアジア太平洋地域での経済統合の可能性などについて討議、首脳宣言を採択し、一連の会議は閉幕する。

 特別声明では、WTO交渉の早期妥結について「努力」とした15日の緊急首脳会合(金融サミット)の文言から「誓約」と踏み込み、関係閣僚にジュネーブで会合を持つよう指示した。21カ国・地域の首脳が一致して強い意思を示したことで、WTO交渉進展の機運が高まりそうだ。

 麻生太郎首相は貿易保険を複数国間でカバーし合う「アジア太平洋貿易保険ネットワーク構想」を提案。会議後、記者団に「各国に評価された」と成果を強調。WTO交渉については合意の難しさを認めた上で「まとまるよう努力したい」と述べた。

 APEC首脳は、世界の成長センターとして高成長率を誇ってきたアジア太平洋地域にも金融危機の影響が広がっているとの認識を共有。各国・地域が金融部門を安定させ、「投資と消費を促進させるための異例の措置」を引き続き実施するとした。

 特別声明は、金融危機の再発防止のため金融規制・監督を改善し、IMF(国際通貨基金)や世界銀行が重要な役割を果たす必要性などを強調。貿易の維持に向けて十分な資金を直ちに確保することの重要性も確認した。(リマ 共同)

               ◇

 ■リマ特別声明(骨子)

 ・WTO(世界貿易機関)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)において、細目合意を来月に達成することを誓約

 ・金融危機対処のため、協調的かつ包括的な形で緊密に協力

 ・金融部門の安定、投資と消費の促進のための措置を引き続き実施

 ・世界経済の成長減速は保護主義的な動きにつながる恐れ

 ・金融規制や監督を効果的にすることが必要

 ・IMF(国際通貨基金)や世界銀行へ十分で、直ちに利用可能な資金が必要(共同)

成長センターに危機の影 新興国の産業にも影響

2008/11/24 中国新聞ニュ−ス

 【リマ23日共同】金融機関の破たんや大手自動車メーカーの経営難など欧米で猛威を振るう金融危機の影響が、アジアや南米の新興国にも及んできた。世界経済のけん引役と期待された「成長センター」の減速は欧米景気を一段と悪化させる悪循環を招きかねず、新興国の踏ん張りが世界経済の行方を左右しそうだ。

 今回のアジア太平洋経済協力会議(APEC)には、欧米に比べ金融危機の傷が浅いアジアや南米諸国が多数参加している。しかし途上国から「輸出が減速している」「中小企業を助けたいが財源がない」といった声が相次ぎ、先行きへの危機感は強い。

 APEC域内で経済の減速が目立つのが、一九九〇年代後半のアジア通貨危機の際に債務不履行寸前まで追い込まれた韓国だ。今夏以降、主力の自動車・電子産業の輸出が鈍化。韓国政府は通貨危機再来の懸念に対し「現在の外貨準備で十分に耐えられる」(李明博イ・ミョンバク大統領)と火消しに躍起だが、通貨ウォンや株価が下落。失業者が急増した約十年前の苦い記憶がよみがえる。

 南米については「製品輸出や出稼ぎ労働で米国に依存するメキシコ経済の不安が話題になった」(交渉筋)という。APECには参加していないが、アルゼンチンも危機説がくすぶっている。

 途上国は金融危機の深刻化以前から原油と食料価格の高騰でインフレが進行、消費の落ち込みで経済が傷んでいた。専門家は「金融危機が追い打ちを掛けた形だ。影響が出るのはむしろこれからだろう」(シンクタンク研究員)と警戒する。

 日本はAPECの場で、各国が内需振興策などで自国経済を下支えすることが重要と主張、声明にも盛り込まれた。ただ、途上国が実行するには財政面の課題もあり、日本をはじめ国際社会による支援が不可欠だ。


APEC、シドニーで開幕へ

2007/09/04 NICHIGO PRESS

地球温暖化や貿易自由化がテーマ

日米中など21の国・地域の首脳が集結

 国際政治の世界でサミット(主要8カ国首脳会議、G8)と並ぶビッグ・イベント、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が9月2〜9日の日程でシドニーで開催される。日本の安倍晋三首相、米国のブッシュ大統領、中国の胡錦濤国家主席、ロシアのプーチン大統領など21の国・地域のトップが出席。この1週間(リーダーズ・ウイーク)は、世界中の注目がシドニーに集まる。また、各国・地域のトップだけでなく、外務大臣や貿易担当大臣(日本は経済産業大臣)など閣僚も参加。随行の役人やビジネス・リーダー、メディアを合わせると、7,000人以上がシドニーに集結する。これほど大きな政治イベントが豪州で開かれるのはもちろん初めて。豪州の歴史にとっても「記念すべき出来事」(ハワード首相)となりそうだ。

▼厳戒態勢、最高レベルに▼

  サミットの構成国は現在、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、ロシアの8カ国。このうち、欧州連合(EU)の4カ国を除く半数がAPEC加盟国だ。

  APECには世界最多の人口を有し、経済成長の著しい中国をはじめ、インドネシアなどの東南アジア諸国、台湾、韓国なども入っており、加盟国・地域の人口を合わせると、世界の4割に上る。

  そのような世界のトップ・リーダーが一堂に会することから、会場や要人の宿泊ホテルがテロリストの格好の標的となる可能性がある。会場となるオペラ・ハウスやガバメント・ハウスなど周辺の警戒度は会議開催期間中、最高レベルに引き上げられる。

  米国のイラク戦争に反対する抗議行動も、このリーダーズ・ウイークに合わせ、シドニーで行われる模様だ。デーリー・テレグラフ紙によると、首脳会議初日の8日には少なくとも1万5,000人が集まり、シドニー・タウン・ホールからハイド・パークにかけて行進するという。

  これに対し、約4,500人の警官が警備に当たる。高さ2.8メートルの鉄柵が立ち入り禁止区域になるオペラ・ハウス周辺を囲むように張り巡らされる。昨年11月にメルボルンで開かれた主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)でも、会場となったホテル周辺で約1,000人が参加した抗議デモがあり、警官隊と衝突。負傷者を出した。

  また、6月にドイツで行われたハイリゲンダム・サミットでは、デモ隊の一部が暴徒化し、火炎瓶や発炎筒が投げられ、約1,000人が重軽傷を負った。今回はここまでエスカレートすることはないと見られるが、デモ隊を阻止するため、場合によっては、高圧放水銃などが登場する事態もありそうだ。

▼温暖化対策がテーマ▼

  では、このビッグ・イベントで一体、何が話し合われるのか。

  議長国である豪州が、主要議題として掲げているのが地球温暖化対策だ。6月のハイリゲンダム・サミットでも協議され、来年7月に日本で開かれる「北海道洞爺湖サミット」でも主要テーマとなっている。いまや人類共通の最重要課題といっていい。

  この温暖化対策の国際的な取り組みでは、いわゆる「京都議定書」がある。議定書は「2008年〜12年」に二酸化炭素(CO2)の排出量を先進国全体で1990年比で5%削減することを目標としている。現在は、この京都議定書が定めていない2013年以降について国際社会がどのように対応するか(=ポスト京都議定書)に各国の関心が集まっている。

  京都議定書ではCO2排出量が急増している中国やインドが「途上国」に位置付けられ、削減義務はなかった。また、排出量で世界最大の米国が「経済成長を阻害する」との理由で離脱。豪州のハワード政権も同様な理由で批准していない。

  つまり、議定書には、CO2排出量トップの米国と、既に米国を上回っているとも言われている中国が抜けていることから、国際社会が温暖化対策を進める上で、当然ながら不十分な仕組みだった。

  そこで「ポスト京都議定書」では、先進国だけでなく、途上国も入れた枠組み、特に米国と中国が参加する仕組みが必要とされている。

▼ポスト京都向けコンセンサス▼

  ポスト京都議定書の議論は、実際には、今年12月のインドネシア・バリ島で180カ国以上が参加して開催される「気候変動枠組み条約第13回締約国会合」など国連の会議で協議が行われる。国連はポスト京都議定書の枠組みを2008年中に締結したい考えだ。

  この国連の動きを睨みながら、温暖化に関する国際会議がさまざまな形で、世界各地で開かれている。今回のAPEC首脳会議も、各国のコンセンサス作りに向けた重要な会議の1つとなる。

  既にAPECでは、5月に行われたダーウィンでのエネルギー担当相会合で、温室効果ガスを減らすため、各国・地域が省エネの目標を設定することで一致。さらに8月上旬のクーラムでの財務相会合では、ポスト京都議定書の「枠組みづくりで協力する」ことで合意した。

  首脳会議では、これらの合意を踏まえ、どこまで加盟国・地域が具体的に協力していくかが、話し合われる。ただ、京都議定書にあったようなCO2の削減目標の設定については、中国などから強い反対が出てくることは必至で、難しいとみられている。

▼域内の貿易自由化を模索▼

  APECは本来、貿易や投資を域内で活発化することが目的の会議。今回の首脳会議で、地球温暖化対策とともに主要議題となるのが、APEC域内全体の貿易を自由化する「アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)構想」だ。

  FTAAPは米国が主導し、昨年11月のハノイAPECで急浮上した。APEC域内の自由貿易構想では、中国が推す「東アジア自由貿易協定(EAFTA)」(ASEAN10カ国プラス3=日本、中国、韓国)や、日本が提案する「東アジア包括的経済連携協定(CEPEA)」(ASEANプラス3にインド、豪州、ニュージーランド)などがあるが、FTAAPはこれらをほぼ包括する形になる。

  世界貿易の自由化に向け、現在、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が行われているが、各国は互いに譲らず、年内の妥結は難しい状況となっている。ドーハ・ラウンドが失敗に終われば、しばらくの間、新しい交渉は再開されず、国や地域によって保護主義が台頭する恐れがある。

  FTAAP構想は、まだ研究段階だが、APEC加盟国・地域で世界貿易の約半分を占めていることから、米国にとってドーハ・ラウンドが失敗した場合の「保険」とも見られている。

*APECとは

アジア太平洋地域の経済協力開発を目的に豪州のホーク首相(当時)が提唱したのがきっかけで1989年に設立された。当初は12カ国。同年にはキャンベラで第1回の非公式会合が開かれている。現在は21の国・地域が参加し、世界のGDP(国内総生産)の約半分を占める。参加しているのは、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポール、ブルネイ、ベトナム(以上アセアン)、米国、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー(以上米州)、豪州、ニュージーランド、パプアニューギニア(以上オセアニア)、日本、韓国、中国、香港、台湾、ロシア。

*リーダーズ・ウイークの日程予定 2〜3日 高級事務レベル会合 5〜6日 閣僚会議 6〜7日 ビジネス・サミット 8〜9日 首脳会議

▼インドも加盟か▼

  さらに、首脳会議では21の加盟国・地域のAPECのメンバーを拡大するかの問題も話し合われる。

  APECの新規加盟問題は、1997年にロシア、ペルー、ベトナムの加入が認められて以降、10年間凍結されている。現在11カ国・地域(インド、カンボジア、エクアドル、マカオ、モンゴル、パキスタン、パナマ、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)が加盟申請しているが、米国などはメンバー拡大に反対しているとみられ、結論は先送りされる可能性がある。

  一方、リーダーズ・ウイークでは、一連の会議の合間を縫って、日米首脳会談など首脳同士による2国間会談が積極的に開かれることになる。

  日豪関係では、安倍首相、ハワード首相、ブッシュ大統領の3カ国首脳会談が8日に開かれ、北朝鮮問題や中国の軍事力増強などが協議される。3カ国は外相レベルでは昨年3月、「日米豪戦略対話」としてスタート。首脳レベルでは初めてとなる。

▼選挙前にアピール▼

  APEC首脳会議は議長を務めるハワード首相にとって、国際社会に豪州を大きくアピールするとともに、自らの外交成果を国内に誇れる絶好の機会といえる。

  会議を成功裏に終わらせることによって、野党労働党に比べ劣勢にある支持率を挽回。11月にも行われる総選挙につなげたいところだ。

原油安定へ協調強化 APEC財務相会議閉幕

2005/09/09 The Sankei Shimbun

≪人民元切り上げ歓迎≫

 韓国・済州島で開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の財務相会議は9日、高騰する原油安定のため「産油国と石油消費国の協調を強化」することや7月の中国の人民元切り上げを歓迎することを盛り込んだ共同声明を採択、閉幕した。

 声明は「原油高騰の長期化がAPEC域内のリスク」との認識を表明。産油国には増産に向けて生産・石油精製能力を高めるための投資促進が必要とし、消費国には石油需要をゆがめる補助金などの削減に向けた取り組みを具体的に要請した。

 人民元切り上げについては「より柔軟な為替制度への移行を歓迎する」と評価。その上で、アジアの一部の国では「為替レートの一層の柔軟性」が引き続き必要との認識も示し、中国を念頭に為替制度を一段と円滑に運用するよう期待をにじませた。

 中国の金人慶・財政相は9日、会議終了後の記者会見で、人民元改革について「コントロールしながら時間をかけてやっていく」と述べた。キミット米財務副長官も「時間をかけてさらに柔軟性増すと思う」とし、段階的な人民元改革に理解を示した。

 声明は世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)については「金融サービス交渉での意義のある成果を目指す」とし、途上国も含め進展に向けた決意を表明。少子高齢化の課題に対応するため「年金・医療保険制度の改革促進」や国際協力のための専門家会合設置などを盛り込んだ特別宣言を採択した。

 次回会議は来年9月7、8の両日にベトナム・ハノイで開催する。(共同)


新ラウンド期限内合意を APEC貿易相会議閉幕

2003年06月03日 The Sankei Shimbun
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会議は3日、世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)の期限内合意への決意を示した議長声明や、域内を直撃した新型肺炎(SARS)の感染拡大阻止へ向けた特別声明と行動計画などを採択し、2日間の討議を終えた。

 議長声明は、新ラウンドについて「2004年末までの成功裏の終了が、APECの掲げる自由化目標には重要」として、交渉推進への強いメッセージを表明。目標期限内に大枠合意できなかった農業や非農産物の自由化交渉について推進などを求めた。

 一方、中国、台湾、香港、カナダ、シンガポールなど加盟国・地域を襲い、域内の国内総生産(GDP)成長率を0・5−1%下げたと試算される新型肺炎について、空港での共通の検査体制の確立や医療情報の共有などで感染拡大を抑え、経済回復を目指す行動計画や特別声明を採択した。

 また、日本が提案した域内の構造改革の行動計画作りを承認。1997年のアジア通貨危機の再来を防ぎ、貿易・投資の自由化を促進するため、域内の不良債権問題や経済法制の整備などで情報や経験を共有するのが目的で、10月にバンコクで開くAPEC首脳会議での採択を目指す。(共同)

新ラウンドや肺炎対策協議 APEC貿易相会議

2003年06月02日 The Sankei Shimbun
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会議が2日、タイのコンケンで2日間の日程で始まった。日本、米国、中国など環太平洋の加盟21カ国・地域の閣僚らが参加。域内の貿易円滑化の対策を打ち出すと同時に、世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)の期限内決着を確認する。

 域内の3分の2に当たる14カ国・地域に感染者が出た新型肺炎(SARS)対策で、空港での共通の健康審査の導入や情報共有を通じて感染拡大を阻止し、深刻な打撃を受けた域内経済の回復へ協力を強化するとの行動計画を採択する。

 日本からは高市早苗経済産業副大臣らが出席。

 タイのタクシン首相は開幕演説で「多角的貿易体制強化のため、域内の経済格差縮小に取り組む必要がある」と訴えた。

 新ラウンドは、農業や非農産物など主要分野の対立解消が期待される9月のメキシコ・カンクンでのWTO閣僚会議の成功に向け、弾みをつけたい意向。

 また、アジアでのコピー商品横行に対応した知的財産権保護の対策や、域内の構造改革推進など日本が提案した課題でも基本合意を目指す。(共同)

2010年みんながネット接続を、APEC首脳会合閉幕

2000.11.16(20:26)asahi.com
 太平洋を取り巻く21の国と地域が参加し、ブルネイで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合は16日夕、「コミュニティーへの貢献」と題する首脳宣言を採択して閉幕した。宣言は、世界貿易機関(WTO)の新ラウンド(多角的貿易交渉)を2001年中に立ち上げることや、域内すべての人が2010年までにインターネットに接続できる環境を整えることを盛り込み、通商問題や情報技術(IT)化に対応できるような途上国の環境整備と人材育成に重点を置いている。

 焦点となっていた新ラウンドについては、2001年に立ち上げることで最終合意した。期限が先行し、先進国ペースで議論が進むことを警戒するマレーシアなど途上国の主張に配慮し、「バランスがとれ、十分に広範な交渉項目を2001年のできるだけ早い時期に策定する」という文言も併せて宣言に盛り込んだ。

 また、IT革命による新しい経済(ニューエコノミー)が、多くの人たちに様々な機会をもたらしている点を強調、「グローバル化の成果を享受するためのパスポート」としてITを利用するための戦略を打ち出した。

 具体的には、2010年までに、域内のすべての人々が、個人やコミュニティーを通じて、インターネットを利用できるようにする目標を設定。その第一歩として2005年までに、利用できる人を現在の3倍に増やすことを目指す、としている。

 さらに宣言の付属文書として、「ニューエコノミーのための行動指針」を発表。電気通信・ITサービスの貿易自由化、消費者保護、電子署名などの法律や制度の整備を進めることや、官民の協力強化、人材育成を課題に掲げている。

 日本政府は、IT化によて生じるデジタル・デバイド(情報格差)を埋めるため、九州・沖縄サミットで約150億ドルを供与することを表明しており、今回の首脳会合で森喜朗首相は「相当部分がAPEC地域内で活用されるよう留意する」と改めて表明。また、日本が議論を主導し、9つの加盟途上国・地域に、通商協定を実施するためのノウハウを提供したり、人材育成する「能力開発プラン」に、先進国やAPEC内の基金などから約1330万ドルを拠出することにも合意した。

北朝鮮のAPEC非公式参加に道 韓国大統領が提案

2000.11.16(16:45)asahi.com
 16日夕に閉幕するアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、議長国ブルネイのボルキア国王が議長総括の中で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のAPECへの非公式参加支持を表明することが明らかになった。韓国の金大中大統領がブルネイ側に働きかけたもので、加盟各国から異論は出ておらず、北朝鮮が国際的な経済の枠組みに関与する道が初めてひらけることになる。

 首脳会合で金大中大統領は(1)北朝鮮がAPEC作業部会にゲストとして参加することを支持してほしい(2)将来、しかるべき手続きをへて正式メンバーとして参加することに支持を得たい、と提案した。

 作業部会のゲストメンバーになった場合、議決権はないが、エネルギー、漁業など様々な分野で加盟各国と意見交換をすることが可能になるため、北朝鮮の改革と開放を促進する効果もあるとみられる。

 北朝鮮の非公式参加は、12、13の両日開かれたAPEC閣僚会合でも論議され、日本、ロシアなどが賛成の意向を表明した。

中国が北朝鮮のAPEC参加を歓迎、支持表明

2000.11.15(20:25)asahi.com
 韓国の金大中大統領は15日、中国の江沢民国家主席との会談で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のアジア太平洋経済協力会議(APEC)参加を支持してくれるよう求めた。江主席は「中国はこれを歓迎し、支持したい」と、参加支持を初めて正式に答えた。

 江主席は「北朝鮮はもともとアジア太平洋地域の一員で、APECの(カバーする)範囲だ」と付け加えた。

途上国のIT発展を支援 台湾がAPECで表明

2000.11.14(22:20)asahi.com
 情報技術(IT)の普及に頭を痛める途上国に対し、台湾が「パソコンなど機材を安く提供し、人材を訓練する費用を補助する」とアジア太平洋経済協力会議(APEC)の席上で提案、APECメンバーの支持と参加を呼びかけた。先進国と途上国の情報格差(デジタル・デバイド)を縮小する目的で、世界的なパソコン生産を誇る台湾が今会議の目玉とする政策だ。

 林信義経済部長によると、支援期間は2年。1年目は意見交換会や実務研修などを通して、訓練する。特にペーパーレス取引や中小企業に対する技術援助、電子商取引の習熟に力を入れる。途上国が訓練のため台湾に人を派遣する際は、費用を台湾が補助する。2年目はメンバーの個別の要望にこたえ、担当者を台湾から派遣する。

 国際的な存在感を高め、中国にも対抗しよう、という意図も透けて見える。林部長は報道陣に、「カナダ、香港が(援助側として)提案を支持してくれた。(援助受け入れ側では)特にタイが高く評価してくれた」と胸を張ってみせた。

新ラウンドの交渉難航 APEC閣僚会合閉幕

2000.11.13(21:20)asahi.com
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会合は13日、貿易・投資のいっそうの自由化・円滑化に向けて、より強固な基盤を作ることなどを確認する共同声明を採択して閉幕した。電子商取引など急速に進展する情報技術(IT)についても、新たな成長の機会ととらえ、ルール作りを急ぐことを確認した。ただ、世界貿易機関(WTO)の新ラウンド(多角的貿易交渉)の開始時期をめぐっては「来年中」の明記を求める先進国の主張に一部の途上国が難色を示したため、微妙な表現となり、15日からの首脳会合に決着を持ち越した。

 新ラウンドの立ち上げ時期をめぐっては、事前の予想以上に交渉が難航。途上国の一部は、先進国主導の交渉入りに慎重な姿勢を崩していない。

 ただ新ラウンドを始める前提となる交渉項目については2001年中に合意するとの中間的な目標を共同声明に盛り込んだ。来年はWTOの閣僚会合の開催年でもあることから、通産省幹部は「実質的には『2001年』を盛り込んだ。首脳会合で、立ち上げの時期の明記にも合意することは十分可能」とみている。

 日本政府は、途上国から信頼を得ることが新ラウンドの促進策にもなるとして、途上国が通商協定を実施する際の実務ノウハウや、紛争処理能力などを高める能力開発計画をオーストラリアなどと提案、了承された。9カ国・地域のプロジェクト約300件に、先進国やAPEC内の基金などから約1330万ドルを拠出する。米国が提案し、バーシェフスキ米通商代表は「APECとして大きな意義がある」と強調した。

 また、アジア危機で浮き彫りになった途上国の市場機能の弱さを克服するため、それぞれに応じた経済法制度の整備や規制改革、人材育成への協力を強化することでも合意した。

 地域貿易協定(RTA)については、多角的貿易自由化のための「踏み台」として前向きにとらえることに合意。例外のない自由化を前提にすべきだとの主張もあったが、「WTOのルールに整合的であることが不可欠」であることを条件にすることで合意した。

 ITに関しては、ITにからむ貿易や投資、競争促進のルール整備へ向けて、WTOに専門家チームを設けることになった。

新ラウンド視野に途上国支援確認へ APEC閣僚会合

2000.11.12(11:22)asahi.com(時事)
 環太平洋の21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会合が12日午前(日本時間同)、ブルネイの首都バンダルスリブガワンで開幕した。日本から河野洋平外相と平沼赳夫通産相が出席。世界貿易機関(WTO)の次期貿易自由化交渉(新ラウンド)開始に向けた開発途上国支援のほか、原油の安定供給、IT(情報技術)分野の協力について議論し、13日に共同声明を採択する。

 各国は、新ラウンドの立ち上げに消極的な途上国の自由化意欲を促すため、法制整備、人材育成での支援強化を確認。また、加盟国間の自由貿易協定締結は「WTO体制を補完する」と評価し、域内の貿易・投資の自由化促進に活用する方向を打ち出すとみられる。

APEC域内経済、今年は4.3%成長 経済委が見通し

2000.11.12(01:45)asahi.com
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)経済委員会は、11日、2000年の経済展望など3報告書の概要を公表した。今年の域内経済成長率見通し(各国・地域の加重平均)は4.3%で、アジア経済危機後3年連続で上昇、来年は米国の減速で3.5%となるものの、成長基調は続くと予測している。また、将来の成長のため、経済構造改革を進めるとともに、電子商取引や起業家・中小企業育成など情報技術(IT)を生かす政策に域内各国・地域が重点的に取り組むべきだ、としている。APECは12日から閣僚会合に入り、貿易・投資の自由化に向けた途上国支援やITによる新たな経済発展の方策などについて議論する。

 報告書は、アジア危機の影響は全体に沈静化し、域内の景気回復の動きはさらに広がっていると分析している。今年の各国・地域の経済見通しは、最低の日本が1.5%、最も高い香港、韓国、シンガポールは8.5―9%で、「プラス成長のトレンドは来年も続く」と予測している。

 とくに、米国、カナダ、オーストラリアの域内先進3カ国が、ITのプラス影響などにより、4%以上の成長を続けていることに注目している。

 また、併せて公表したアジア危機後のAPEC経済に関する最終報告書は、2010年までの間、域内先進国は平均2.1%、発展途上国は5.4%の成長を続け、加盟国・地域全体では2.7%とアジア危機前と同水準の成長を予測。そのために、実効性のない金融機関の規制・監督や不十分な企業統治など、アジア危機で指摘された経済のぜい弱性の克服と、ITを生かせるよう構造改革を進めデジタルデバイド(情報格差)を解消する、という「2つの挑戦」が重要だと結論づけている。

 

露の天然ガス資源活用/APEC

2000.11.11 The Sankei Shimbun
 エネルギー安保強化 閣僚会議で検討へ

 ブルネイで十二日から開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議で、アジア地域におけるエネルギー供給の安定化に向けて、ロシアの天然ガス資源を見直す案が検討されることが十一日、明らかになった。中でも、ロシア・イルクーツクのガス田からは、中国を経由して朝鮮半島までパイプラインを建設する構想もあり、日本側の関係者も注目している。

 APECではアジア諸国が通貨危機を経て経済回復の途上にある中で、エネルギーの安定が市場の強化につながるとの認識で一致。しかし、最近の原油価格の高騰が、アジア各国の経済回復に不安材料を与えていることから、エネルギー源を多様化することが各国のセキュリティー(安全保障)につながるとの理由で、天然ガス資源を見直す方針だ。

 特に、一昨年にAPECに加盟したロシアは外貨獲得に向けて国内資源の売り込みに熱心で、天然ガスの産出量では世界一。中でもイルクーツクの北三五〇キロに位置するコビクチンスコエ・ガス田は、埋蔵量が一兆立方メートル以上とされ、イルクーツク州政府やBPアモコなどが出資する開発企業などが、中国から朝鮮半島までのパイプライン建設を検討。韓国も計画への参加を表明している。

 エネルギー問題のシンクタンク、日本エネルギー経済研究所では「韓国はパイプラインさえ敷設されれば、国内の配管網はほぼできており、メリットが大きい」(横地明宏主任研究員)とみる。イルクーツクのパイプライン計画には「日本の商社なども関心を示している」(通産省筋)といい、APECを機に事業化に向けて動きだす可能性もある。

 国際エネルギー機関(IEA)の調査では、二〇一〇年の世界の一次エネルギーに占める天然ガスの比率は二四%だが、アジアでは一二%と低い。特に「中国では環境問題から発電用エネルギーを石油や石炭から天然ガスに転換する動きも目立っている」(通産省・資源エネルギー庁)。

 こうしたことから、APECでは「環境改善の視点や、長期の供給契約で賄えない需要について天然ガス問題が議論され、国境をまたぐパイプラインについてもテーマになる」(関係筋)という観測も出ている。

APEC閣僚会合、新ラウンドへ抽象的合意のみ

2000.06.06(23:50)asahi.com
 ダーウィンで行われているアジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易大臣会合は6日午後、閣僚だけによる会合を行った。世界貿易機関(WTO)の新たな多角的貿易交渉(新ラウンド)については、各国が早期立ち上げについて努力することで一致したが、具体的時期などの話には至らず、7日採択される議長声明でも抽象的な表現にとどまる見通しとなった。

 議長のベイル豪貿易相は、同日記者団に「APECメンバーの間には新ラウンド立ち上げについて、固い決意がある」と述べた。だが、それ以上の具体的な動きには言及しなかった。ムーアWTO事務局長は、同会合で「各国の大臣が積極的に協力してくれないと容易ではない」と発言したという。

 一方、深谷隆司通産相は、この会合で「21世紀の貿易秩序といった大局的な方向を打ち出すべきだ」として、特定の国の利益を優先させるような進め方を避けるべきであるとの見解を表明。記者団に「たぶん議長声明に加えられるだろう」との見通しを述べた。

 深谷通産相はまた、WTOに対する発展途上国の信頼を醸成するための措置として、(1)WTO協定実施のための途上国のキャパシティ・ビルディング(制度整備・人材育成)(2)投資、競争などWTOの新分野についてのセミナーの開催(3)低開発途上国に対する市場アクセスの改善を提案した。

 自由貿易協定については、深谷通産相から、日本が近年、WTOとの整合性が確保されれば柔軟に対応するという方針に転換したことを説明し、シンガポールなどと共同研究を始めていることを紹介した。シンガポールなどは自由貿易協定の促進に前向きな意見を表明したが、一部には「WTOがあくまで基本」という意見も出たという。

地域協定で初の本格討議

2000年5月22日 15時42分【シンガポール共同】
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)が6月6日からオーストラリアのダーウィンで開く貿易相会議の議題リストが、22日明らかになった。地域貿易協定をめぐる初めての本格討議を予定し、世界貿易機関(WTO)の次期多角的貿易交渉(新ラウンド)の推進なども主要テーマとなる。

アジア開発銀行総会が開幕、千野総裁が貧困削減を強調

5:45p.m. JST May 06, 2000 asahi.com
 アジア開発銀行(ADB、千野忠男総裁)の第33回年次総会が6日、タイ北部のチェンマイで始まった。冒頭の演説で千野総裁は、貧困の削減を究極の目標として掲げ、その実現のために民間の投資を積極的に活用しながら、地方を中心としたインフラの整備などに力を入れていく方針を明らかにした。

 千野総裁は、アジア経済が予想を上回る勢いで回復しているとしながらも、「持続的な成長を遂げるためには、企業及び金融部門のぜい弱性などを至急是正していく必要がある」と現状を分析。「貧困削減」のための具体的な行動として、(1)職業訓練などのセーフティーネットを確立する(2)国ごとに削減の目標を設定し、戦略を練る(3)インフラ整備のための民間投資を促すための環境を整える――ことなどを強調した。

新ラウンドで日米に溝

1999年9月12日 16時37分【オークランド共同通信社】
 日米韓3カ国の首脳は12日の会談で、来年スタートする世界貿易機関(WTO)の次期多角的貿易交渉(新ラウンド)を3年間とすることを確認したが、交渉分野や方式については日米首脳間で姿勢の違いが浮き彫りになった。

国際社会と協力し治安回復を 日中首脳会談

1:54p.m. JST September 12, 1999
 小渕恵三首相は12日午前、オークランド市内のホテルで江沢民・中国国家主席と約30分間会談した。席上、両首脳は東ティモール情勢について、インドネシア政府が国際社会の支援を受け入れ、治安を回復すべきだとの認識で一致。特に江主席は、東ティモール住民の自主的な意思を尊重すべきだと強調した。

 会談の中で小渕首相は「インドネシア政府が治安回復の責任を果たし得ないのであれば、速やかに国際社会の支援を受け入れ、治安を回復するよう求める」と表明。江主席も「国際社会がインドネシアと協力し措置を講じて、早期に安定、秩序を回復させるべきだ」と国際社会による東ティモール支援に前向きな考えを示した。

 また、江主席は米中関係について「一時期ユーゴの中国大使館誤爆事件という不愉快なこともあったが、現在関係は回復した」と説明。首相はこれを歓迎するとともに、「中国の年内WTO(世界貿易機関)加盟を引き続き支持し、主要国への働き掛けを続けたい」と強調した。

 さらに江主席は中台関係に言及、「汪道涵海峡両岸関係協会会長が(今秋予定通り)台湾を訪問するためには、台湾側が『二国論』を公に撤回することが前提だ」と改めて指摘した。(時事)

APEC、首脳会議始まる

2:42p.m. JST September 12, 1999
 太平洋を取り巻く21カ国・地域の経済協力などを話し合うアジア太平洋経済協力会議(APEC)は12日から首脳会議が始まった。アジア経済危機からの回復を確認し、経済危機の再発防止に向けた政策の必要性や、世界貿易機関(WTO)の新ラウンド(多角的貿易交渉)への積極姿勢を打ち出し、13日に首脳宣言を採択して閉幕する。東ティモール問題は正式な議題にはならない見通しだが、何らかの形で協議される可能性がある。

 小渕恵三首相は、首脳会議で、今年上半期の経済成長率が2四半期連続してプラスになったことなどを説明、「日本経済は最悪期を脱した」との認識を示すとともに、今後も切れ目なく景気対策を続け、アジア経済の回復の下支えをする姿勢を強調する。

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の弾道ミサイル問題などを協議する日米韓の3首脳会談が開かれるほか、2カ国首脳会談も活発に開かれる。小渕首相は12日に、中国の江沢民国家主席、フィリピンのエストラダ大統領との首脳会談に臨む。

新ラウンド強く支持 APEC首脳宣言案の全容明らかに

03:10a.m. JST September 12, 1999
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議で13日採択される首脳宣言案の全容が11日明らかになった。域内経済が1997年夏以降のアジア経済危機から回復しつつあることに満足の意を示した上で、持続的な成長のために競争力の強化と構造改革に取り組む、としている。世界貿易機関(WTO)の新ラウンド(多角的貿易交渉)の立ち上げに「最大限に強力な支持」を表明、中国と台湾のWTOへの年内加盟を強く求めている。

 宣言案は本文5ページと、「競争と規制改革を強化するためのAPEC原則」からなる。

 宣言案では、WTOの新ラウンドを11月に開かれる米シアトルの閣僚会議で開始することに「最大限に強い支持」を表明、今回のAPEC閣僚会議の共同声明を踏まえて、広範でバランスのとれた議題を3年間で討議すること、市場参入機会の拡大について途上国に配慮すること、農業、サービスに加え、鉱工業製品の関税引き下げについても包括的に交渉することなどを求めている。

中国と台湾のWTO加盟促進については、国・地域名は挙げなかったものの、「加盟交渉が相当進んでいるWTO非加盟のAPECメンバー」という表現で特定し、hkさらに、「早ければ新ラウンド開始前」までに加盟交渉が妥結するよう強く求めている。

宣言案では、APECの通貨・金融危機への対応が十分でなかったことへの反省を踏まえて、首脳会議との連携不足が指摘されていた蔵相会議について、金融市場の監督強化や国内資本市場の整備といった分野で協力を深めるよう促している。また、コンピューター2000年問題で、準備や異常事態が発生した際の対応に、国境を超えた協力を最優先で進めるよう求めている。

APECの見直しも必要

1999年9月11日 16時37分 【オークランド共同通信社】
 与謝野馨通産相は11日、ニュージーランドのオークランドでアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせ開催されている企業経営者のシンポジウムで講演し「APECがアジア経済危機に十分対応できなかったことは反省すべきだ」と述べ、活動の見直しが必要との考えを示した。

米大統領、APECでニュージーランド入り

10:44a.m. JST September 11, 1999
 クリントン米大統領は11日朝、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に出席するためニュージーランドのオークランドに着いた。10日から各国首脳が次々とオークランド入りしており、中国の江沢民国家主席も11日午後に到着後、クリントン大統領との2カ国会談に臨む。小渕恵三首相は同日夜に着く予定だ。

 この日のオークランドは快晴。南半球のためまだ冬が終わったばかりで肌寒かったが、クリントン大統領の専用機が着くと、先住民族マオリが伝統的な踊りを披露した。上半身裸で腰ミノをつけた屈強そうな若者20人が「ワーホッ」などと叫びながら太鼓に合わせて体をゆすり、跳びはねた。

 戦いの前の儀式としての踊りといわれ、力強さにクリントン大統領もしばらく見入っていた。

小渕首相、APECでニュージーランドに出発

10:49a.m. JST September 11, 1999
 小渕恵三首相は11日午前、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の弾道ミサイル問題を話し合う日米韓首脳会談などに出席するため、ニュージーランド・オークランドに向け政府専用機で羽田を出発した。14日夕に帰国の予定。

首相11日APECへ出発

1999年9月10日 17時10分 共同通信社
 小渕首相は11日午前、ニュージーランド・オークランドで12、13両日に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため、羽田発の政府専用機で出発する。APEC首脳会議に先立ち、首相は12日昼(日本時間同日午前)、クリントン米大統領、金大中韓国大統領との3カ国首脳会談に臨み、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミサイル再発射問題などについて協議。

貿易自由化実施での成長率の伸び試算 APEC経済委

8:34p.m. JST September 08, 1999
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の経済委員会は8日、貿易自由化措置を実施した場合の成長率の伸びなどを試算した「APEC自由化の効果」を発表した。

 それによると、APECに参加している21カ国・地域が、これまでに約束した貿易自由化・円滑化措置を全部実施したと仮定すると、APEC域内の実質所得は、毎年750億ドル増加する。これは域内の国内総生産(GDP)の0.4%に相当する。世界全体のGDPも0.3%押し上げる。同様の条件で、2010年までの間に、APEC域内での貿易数量は3.3%伸び、世界全体の貿易数量は1.6%増える。また関税を撤廃したと仮定すれば、毎年の所得増加額はAPEC域内だけで2000億ドル、1.2%にまで増える。

米大統領がAPECでの日本の貢献求める書簡

03:09a.m. JST September 04, 1999
 世界貿易機関(WTO)の新ラウンド(多角的貿易交渉)を控えて、クリントン米大統領が小渕恵三首相に書簡を送り、ニュージーランドのオークランドで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、米国のめざす貿易自由化方針に日本が協力するよう求めていたことが2日、明らかになった。

 複数の関係者によると、書簡は8月下旬に出された。APECでの貿易自由化努力とともに、回復傾向にあるアジア経済を一層、力強いものにするための取り組みでも日本に協力を求めている。さらに、米国の企業が得意にする遺伝子組み換え作物の社会的な受け入れを進めることや、電子商取引や天然ガスなどAPECの既存のプロジェクトでも協力していくことを促す内容になっている。

 クリントン大統領は、今年11月末に米国のシアトルで開くWTO閣僚会議後に新ラウンドをスタートさせることを通商政策の柱としている。一方で、遺伝子組み換え作物や牛肉など農業分野では欧州連合(EU)と鋭く対立しており、米政府は、世界の貿易に占める比重が重いAPEC加盟国・地域の同意を取り付けたい意向だ。

WTO次期交渉で事前調整=9日からAPEC閣僚・首脳会議

99年9月4日 14時34分 時事通信社
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議と首脳会議が9日から13日にかけ、ニュージーランドのオークランドで開かれる。今年のAPECでは、来年から始まる世界貿易機関(WTO)の次期貿易自由化交渉へ向けた事前調整が最大のテーマとなる。また、アジア経済危機の反省に立った経済構造改革も主要議題となる見通しだ。

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