TOPIC No.2-36d-3 銀行TOPIC(2000年09月-)

01.金融・銀行 YAHOO! News
02.信金・信組破たん、再編 YAHOO! News
03.不良債権処理  YAHOO! News
04.日本証券新聞 兜町ネット
05.金融経済新聞
06.全銀協(全国銀行協会)
07.投資教育協会


大手銀6グループが黒字予想 株損失一巡、赤字から一転

2009/05/19 中国新聞ニュース

 三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手銀行六グループの二〇一〇年三月期連結決算予想が十九日、出そろった。純損益の合計は八千九百五十億円の黒字で、〇九年三月期の計一兆一千七百九十三億円の大幅赤字から一転、全グループが黒字確保を予想した。金融危機に伴う市場混乱で膨らんだ保有株式の損失処理の一巡を見込んだ。

 〇九年三月期は、有価証券の損失処理に加え、国内景気の悪化による不良債権処理費用が急増。純損益の合計は五年ぶりに赤字に転落した。一〇年三月期は、黒字を見込むものの厳しい収益環境が続くとみられることから、〇五年三月期(約七千三百億円の黒字)以来の低水準にとどまる。

 三菱UFJが十九日発表した〇九年三月期決算は、純損益が二千五百六十九億円の赤字(前期は六千三百六十六億円の黒字)。一〇年三月期は三千億円の黒字を予想している。

金融危機で損失1兆円超 大手銀9月中間決算

2008/11/15  中国新聞ニュース

 三井住友フィナンシャルグループなど大手銀行五グループの二〇〇八年九月中間連結決算が十四日、出そろった。金融危機の影響で不良債権処理費用や証券化商品を含めた株式急落などの損失が急増。未発表の三菱UFJフィナンシャル・グループの予想を加えると危機関連の損失は総額一兆二百八十億円に達し、純利益は前年同期比57%減の四千六十億円に半減した。

 国内景気の悪化による不動産や建設業の倒産が増加したことに加え、投資信託販売の減少などで本業の利益を示す実質業務純益も軒並み大きく減少した。多額の損失を抱えた大手銀行が融資に一段と慎重となり、景気悪化に拍車をかける恐れがある。

 九月中間の不良債権処理費用の合計は、87%増の七千二百九十七億円。三井住友が前年同期比約二倍の二千二百四十一億円、みずほフィナンシャルグループも約二・四倍の千三百四億円を計上した。りそなホールディングスは約九・一倍の千二百六十五億円となった。

 〇九年三月期では一兆一千億円超になると見込んでおり、〇五年三月期以来、四年ぶりとなる多額の処理を迫られる。

 世界同時株安など市場の混乱による保有株式や米サブプライム住宅ローン問題関連の証券化商品による損失も九月中間で、みずほが千百十五億円を計上するなど二千九百八十三億円に上った。

 純利益は、三井住友が51・2%減の八百三十二億円と半減した。りそなは28・1%減、中央三井トラスト・ホールディングスは61・2%減、住友信託銀行が24・9%減となった。三菱UFJも61・0%減になる見通し。

 〇九年三月期は、計九千三百億円になる見込み。

 同日記者会見した三井住友の北山禎介きたやま・ていすけ社長は「下半期も国内外の景気減速を背景に処理コストが予想される」と述べた。

 三菱UFJは十八日に九月中間決算を公表する予定。

不良債権増え大幅減益へ 3メガバンク、9月中間

2008/10/23 中国新聞ニュース

 三菱UFJフィナンシャル・グループなど三メガバンクの二〇〇八年九月中間連結決算は、純利益の合計が五千億円に届かず、前年同期の約七千五百億円から大幅減益となる見通しとなったことが二十二日、分かった。

 景気低迷による取引先の業績悪化で不良債権処理費用が増加したことに加え、株価下落により保有株式の減損処理が拡大。収益源だった投資信託販売も低迷するなど本業の不振も深刻で「好調な部門は一つもない」(メガバンク幹部)ためだ。

 経営破たんした米証券大手リーマン・ブラザーズ向けの投融資でも、三菱UFJが最大二百五十億円、みずほフィナンシャルグループも二百億円、三井住友フィナンシャルグループも百億円程度の損失を計上した。

 三菱UFJは中間純利益二千七百億円を予想していたが、一千億円台に下方修正する方向で検討。二千五百億円を予想するみずほと二千百億円を予想する三井住友もそれぞれ大幅な下方修正は避けられない見通しだ。三グループとも十一月半ばに中間決算を公表する。

 大和総研の高井晃たかい・あきらチーフアナリストは「年度後半も本業の不振は変わらず、不良債権処理費用も高水準で続く」と指摘。〇九年三月期決算の予想も下方修正を迫られる見通し。米国発の金融危機の影響が実体経済の悪化を通じて邦銀にも拡大してきた。

偽造カードで1億超す被害 北洋銀、さらに拡大も

2007年10月24日 中国新聞ニュース

 北洋銀行(札幌市)の顧客の預金口座から偽造キャッシュカードで現金が引き出された問題で、北洋銀は被害が24日までに計138件、約1億1300万円に上ったと発表した。1口座当たりの被害額は最大約400万円。さらに約40件の口座が被害に遭っている可能性があり、特定を急いでいる。

 北洋銀は既に北海道警に被害を通報しており、道警は窃盗などの疑いで捜査を始める見通し。

 北洋銀によると、今月17日から東京、千葉、北海道の3都道県にあるコンビニなどの現金自動預払機(ATM)から現金が勝手に引き落とされた。被害は21日と22日に集中。暗証番号を生年月日にした口座が多く、計8回も引き出された口座もあった。

 流出した個人情報を基に、カードが偽造され、テレホンバンキングの機能を使い、生年月日などが暗証番号と確認されたとみられる。

「中国地方の雄、最高の金融グループを」山口FG発足

2006/10/02 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 山口銀行(山口県下関市)ともみじホールディングス(広島市)が経営統合して2日に発足する山口フィナンシャルグループ(FG)の福田浩一社長は1日、山口銀行本店で記者会見し、「最高の金融グループをつくりたい」などと抱負を述べた。

 当面のグループ運営に関しては「もみじ銀行の不良債権問題と決別し、地域活性化に取り組まなくてはならない」として、広島、山口両県などの経済活性化に貢献する考えを強調した。

 引き続き行われた設立記念式典には関係者約270人が参加。福田社長はあいさつで「中四国最大の金融グループとなり、多用な顧客ニーズに対応できるようにしなくてはならない」と決意を示した。

3メガバンク、公的資金完済へ 経営の自由度確保

2006/09/28 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 ■海外展開、株主還元を加速

 三井住友フィナンシャルグループの公的資金完済前倒しにより、3メガバンクの返済が終了し、金融システム正常化は最終段階に入ったといえそうだ。大手行は完済で経営の自由度を確保し、海外展開や株主還元などを加速する構え。ただ、紀陽ホールディングスに対し新たな公的資金投入が決定されるなど、金融機関ごとの経営格差は大きく、経営健全化への道程はなお不透明だ。

 金融危機回避のため、金融機関に投入された公的資金は平成10年以降、35機関で計12兆3869億円に上った。すでに半分以上が返済され残額は約5兆円となっているが、公的資金注入行は国に「経営健全化計画」を提出し、収益が計画を3割下回ると業務改善命令が出されるなど厳しい経営監視下に置かれる。また、国の関与を受けていることで信頼性が疑問視され、海外展開の足かせにもなっていた。

 平成18年3月期決算で大手行は不良債権処理のために積み立てた引当金戻し入れなどにより、最高益を計上。社債発行などの資金調達も行って公的資金返済の原資を確保し、三菱UFJが6月、みずほが7月に完済していた。完済を受けて、海外展開の強化や積極出店による経営基盤の強化、さらに株主への還元を図る構えだ。

 特に、国内融資業務が頭打ちとなる中、海外業務の拡充は急務となっており、完済に合わせ、三菱UFJが中国大手行に出資したほか、みずほも韓国大手2行と提携。さらに、ニューヨーク証券取引所への上場や米国金融持ち株会社設立に向け準備を急いでいる。低めに抑えてきた配当も三菱UFJ、みずほが今年3月期に増配、三井住友も19年3月期に増配を予定している。

 ただ、大手で残る三井トラストホールディングス(約4000億円)、りそなホールディングス(約2兆9000億円)はそれぞれ、「平成21年までに剰余金積み上げ」(田辺和夫三井トラスト社長)、「3〜4年以内に返済の財源を確保」(細谷英二りそな会長)としており、完済までなお数年かかる。紀陽HD、豊和銀行などの地銀も新たに公的資金を申請。地域金融機関の財政健全化にはまだまだ時間がかかる見通しだ。(納富優香)

都銀の貸出残高9年8カ月ぶり増 設備投資、住宅ローン拡大

2006/05/10 The Sankei Shimbun

 日銀が11日発表した4月の貸出・資金吸収動向(速報)によると、メガバンクなど「都銀等」の貸出残高(月中平均)が前年同月比0.1%増の207兆5309億円と平成8年8月以来、9年8カ月ぶりに増加に転じた。全国の銀行合計は1.2%増の384兆7326億円と3カ月連続で増えた。伸び率は3月より1.0ポイント上昇し、8年6月以来の高い水準となった。

 景気回復を背景に、企業の設備投資や個人向けの住宅ローンなどの資金需要が上向いたのが主な要因。

 都銀の貸出先は、資金が比較的に潤沢な大手企業の比率が高いことから、地方銀行、第2地方銀行に比べて貸出残高の回復が遅れていた。

 信用金庫と合わせた全体の残高は1.2%増の446兆9303億円と4カ月連続で前年水準を上回り、13年1月の集計開始以来で最も高い伸び。貸出債権流動化などの特殊要因を除いた銀行の貸し出しは2.1%増と9カ月連続で増加した。

スキミングで銀行カード偽造、2人を追送検…愛知

2006年05月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 旧UFJ銀行の現金自動預け払い機(ATM)で読み取った他人のカード情報を基に、キャッシュカードを偽造したとして、愛知県警捜査3課と南署などは8日、名古屋市南区本城町、自営業木村光秀(37)と三重県四日市市中川原、会社員富沢建司(39)の両被告(建造物侵入罪などで起訴済み)を、支払用カード電磁的記録不正作出容疑で名古屋地検に追送検した。

 銀行のキャッシュカードの不正作出容疑での送検は全国で初めて。

 調べでは、2人は2004年8月14日、木村被告の自宅で、スキミング装置で読み取ったカード情報を磁気カードに上書きし、キャッシュカードを不正に作った疑い。

 2人は、このカードを使い、同月16日から20日にかけて名古屋市内のATMなどで計980万円を引き出した。偽造カードの作製方法は、「インターネットや雑誌で調べた」と供述しているという。

新銀行東京、5年定期1.7% 業界最高水準

2006/05/08 The Sankei Shimbun

 新銀行東京は8日、開業1周年を記念して、5月15日から8月31日まで定期預金の特別金利キャンペーンを実施すると発表した。3年物が1.5%、5年物が1.7%でいずれも業界最高水準となる。預け入れは10万円からで、中途解約は原則として認めない。新銀行東京は3月末時点で預金残高が約3200億円に到達しているが、「キャンペーンによってさらに預金を獲得するとともに、知名度のアップも図りたい」(経営企画グループ)としている。

ATM利用限度額一日50万円に引き下げ 金融庁最終報告

2005/06/24 The Sankei Shimbun

 金融庁の「偽造キャッシュカード問題に関する研究会」は24日、偽造・盗難カードによる預金不正引き出しを防止するため、カードへの有効期限設定や一日当たりの利用限度を50万円程度まで下げるよう求めた最終報告を発表した。

 報告書は、金融機関に現金自動預払機(ATM)の安全性向上を求めるとともに、預金者にはカード管理意識を高めるよう呼び掛けている。

 具体的には、ATMで多額取引をする場合はICカード化が必須とし、カードに有効期限を設け、現在の4けたの暗証番号に英文字やかなの導入が望ましいとした。

 一日の利用限度額は一定額まで引き下げる必要があるとし、参考値として一日当たり50万円を示した。顧客の希望でコンビニATMでは使用不可とするなどの一定の制限も必要とした。預金者にカード利用の危険性を郵便やメールで説明する必要性も盛り込んだ。

 手のひらの静脈などで本人確認する生体認証については、情報保護の面で問題があることや技術的な途上段階にあるとも指摘した。

 ATMシステムの安全対策を検証するため金融庁や金融機関、メーカーなどによる検討会設置も提言した。(共同)

カード被害 盗難補償も検討 全銀協 保険導入など課題

2005/04/10 The Sankei Shimbun

 偽造キャッシュカードの被害補償をめぐる銀行業界の対応が整いつつあるが、ここに来て盗難カード被害の補償を求める声が高まっている。銀行界では「情報技術を悪用する偽造とは異なり、盗難は預金者個人の管理責任が問われる」と消極的な姿勢だが、被害者側は「手口の違いで補償を選別するのはおかしい」と反発しており、全国銀行協会は保険での補償など新たな仕組みの導入を検討する方針だ。

 全銀協は九日までに、スキミングなどの偽造カード被害で原則として銀行側が補償に応じるように運用規定のひな型である約款の見直し案をまとめた。

 この中で補償に応じない具体的な事例として(1)他人に暗証番号を知らせた(2)暗証番号をカード自体に書き留めた(3)預金者の過失でカードが第三者に渡った−などを明示。このほか、生年月日など推測されやすい番号を暗証番号に使わない、暗証番号のメモをカードと一緒に保管しない、などの注意事項も併記し、来週にも各行に通知する。

 ただ、全銀協の案では、盗難カードに対する補償には触れていない。一方で自民党は「日本郵政公社などを含む全金融機関を対象にした制度が必要」との観点から、盗難補償を含む法制度を検討中。民主党はすでに同様の法案を提出した。

 両党案には「選挙対策を意識している」(関係筋)との見方もあるため、今国会で可決されるかどうかは微妙だ。だが、こうした動きを受け全銀協も四月下旬以降、盗難補償に向け、約款の見直しを含めて対応策を検討する。

 被害者や弁護士らで組織する「銀行預金過誤払被害者の会」によると、偽造カード被害では一部の金融機関を除き、おおむね補償の方向で交渉中だが、盗難被害の交渉は難航している。約四十件、総額で約一億四千万円超の被害について、大手銀行を含む十五金融機関に補償を求めており、交渉が不調に終われば提訴するという。

大手銀行、不動産融資が急拡大 地価底打ち感 余剰資金、優良物件に

2005/04/10 The Sankei Shimbun

 日銀の量的緩和による金余り現象を背景にして、大手銀行が不動産融資を大幅に拡大させている。主な融資先は不動産ファンドで、銀行からの豊富な資金を都心部のオフィスビルなどに投資している。優良物件の争奪競争は激化しており、価格の高騰が起きている。企業向け貸し出しの急回復が見込めない中で不動産融資は銀行にとって高い利ざやが稼げる分野であり、「バブル再燃」を警戒しつつも、不動産向け融資の活況はしばらく続きそうだ。

 「収益性のある新分野として開拓している」(三井住友銀行幹部)。三井住友銀の三月末における不動産関連融資残高は、前年同月比25%増の五千億円超。四月からは投資銀行部門で「不動産ファイナンス営業部」を独立して発足し、スタッフ数も倍増した。

 融資の大半を占めるのは「ノンリコースローン(非遡及(そきゅう)型融資)」。借り手の返済義務の範囲を担保物件に限定した融資手法の一つで、不動産の価格下落に伴う債務を免除する代わりに、金利は通常より高めに設定されており、現在の不動産融資の主流となっている。

 中央三井信託銀行では、三月末現在のノンリコースローンの残高が九千五百億円とこの二年間で倍増した。住友信託銀行も前年比28%増の六千四百億円と増やしており、とくに中央三井信託は昨年九月末に貸し出し全体に占める割合が全体の10%に達した。

 このように大手行が不動産融資を拡大しているのは、バブル崩壊後に低迷を続けた地価に底打ち感が出てきたのに加え、五年目に入った日銀の量的緩和によって大量の余剰資金を抱えているからだ。企業向け貸し出しは一向に回復せず、資金の運用先を「利ざやの稼げるノンリコースローンにシフトしている」(信託銀幹部)のが現状だ。

 主な融資先は不動産会社などが設立する私募ファンド(基金)で、金融機関の融資や内外の機関投資家の資金を元手に不動産を取得して運用し、賃貸料などの収益を配当や返済に回す。「J−REIT(リート)」と呼ばれる不動産投資信託も資金の受け皿だ。

 これらのファンド勢が投資対象とする物件は、都心部の高層オフィスビルからホテル、商業施設、倉庫などに広がっており、不動産シンクタンクの住信基礎研究所によると、不動産投資市場の規模は昨年十二月末で4・3兆円。わずか一年半で2・8倍に膨れ上がったという。

 ただ、高水準で安定した賃料が見込める優良物件は限られており、金融機関同士やファンド同士の物件争奪競争は一段と激化。都心部で局地的に取引価格が高騰する一方で、投資利回りは低下しており、一部では「ミニバブルの様相」との指摘もある。先の公示地価でもこうした傾向が確認され、物価動向に目を光らせる日銀も「不動産価格の動きには注意が必要」(幹部)と注視する。

 しかし、住信基礎研の玉城逸彦研究部長は「過去のバブル期と違って収益性からかけ離れた水準まで価格上昇が続くとは考えにくい」と指摘しており、大手行も「あと一、二年は活況が続く」(幹部)と貸し出し姿勢を緩める気配はない。十年物の利回りが1%台前半の国債など他の運用手段よりもまだまだ魅力的であり、外資系ファンドの相次ぐ参入なども市場の広がりを支えている。

                   ◇

≪ノンリコースローン≫ 従来型の不動産を担保にした融資では返済が滞った場合、地価下落で担保価値が下がっていると借り手は他の財産を処分しても返済する必要がある。これに対し、ノンリコースローンは借り手が担保以外の一切の債務から免責される。価格下落のリスクを金融機関が負う格好だが、通常は金利が高めに設定され、収益性も他の貸し出しより高い。欧米では通常の手法だが、日本では約5年前から信託銀行を中心に拡大している。

韓国政府が在日信組協会に160億円支援へ

2005年04月02日 asahi.com

 韓国政府は1日、在日韓国人系の信用組合で作る在日韓国人信用組合協会(韓信協)に対し、約160億円を支援する方針を固めた。加盟信組に預金流出など不測の事態が起きた際の緊急融資資金として活用し、経営危機を回避する。1日にペイオフが全面解禁されたのを受け、韓国人系の信組の信用を補完し、在日韓国人向け金融を安定させようとの狙いだ。

 資金支援は、韓国の中央銀行である韓国銀行から、韓国の新韓銀行を通じて韓信協にほぼ無利子で融資する形で提供し、将来返済してもらう。韓信協にプールする方法などで緊急対応資金として活用する。現在、加盟信組は預金量が増えており、「信用補完」の意味合いが強いという。

 在日韓国人系信組は、在日韓国人向け金融の中心的役割を果たしてきた。バブル経済崩壊後、多額の不良債権を抱えた信組の再編などが相次ぎ、韓信協の加盟信組は90年代前半の39信組から現在は10信組になっている。10信組合わせた預金量は約5300億円。

 ペイオフは、金融機関が破綻(はたん)した場合の預金払い戻しの1人当たりの保証額を、元本1千万円とその利息までとする措置。1日から全面解禁され、預金者が金融機関を選ぶ目が厳しくなると予想され、経営の弱い金融機関から預金が流出する懸念も消えていない。

 金融庁は、地域金融機関に対しては、経営基盤を強化するために公的資金を投入する金融機能強化法(公的資金新法)を作っている。また、各業界の自主的な経営基盤の強化策が重要になっており、信用組合の全国組織である全国信用協同組合連合会は経営難に陥った信組に資本注入する制度を作っている。

偽造カード補償:地銀、信金、農協も 被害者救済が拡大

2005年04月02日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 全国地方銀行協会や全国信用金庫協会、農漁協の中央組織である農林中央金庫など計6団体・機関が1日、偽造カード被害の補償を巡る約款について、全国銀行協会と同様に、「預金者に責任がない限り原則として金融機関が被害補償する」と明記する方針を明らかにした。大手行中心だった偽造カードの被害補償への取り組みが中小金融機関に拡大することで、被害者救済のすそ野が飛躍的に広がりそうだ。

 他の3団体は、第二地方銀行協会、全国信用組合中央協会、全国労働金庫協会。6団体は、金融庁の「偽造キャッシュカード問題に関する研究会」の会合で、「全銀協の見直しに沿った約款改正を検討している」と表明した。

 偽造カードの被害補償については、3月31日に同研究会が発表した中間取りまとめの中で、(1)金融機関が原則として損害を負担するのが望ましい(2)預金者に重大な過失がある場合は例外だが、立証責任は金融機関が負うべきだ−−と結論付けていた。【斉藤信宏】

ペイオフ、平穏に全面解禁 預金者の選択で新時代に

2005/04/01 The Sankei Shimbun

 金融機関が破たんした際に預金の払戻保証が元本1000万円と、その利息に限定されるペイオフ制度が1日、全面解禁初日を迎えた。金融不安の後退などを背景に、預金の急激な移動もなく「窓口などはすべて通常通り」(大手銀行各行)で、平穏な滑り出しとなった。

 伊藤達也金融相は記者会見で「預金者は自らの判断と責任で金融商品や金融機関を選択することになり、金融機関が預金者の選択と信頼を競い合う新たな時代を迎えた」と発言。今後の金融行政について「金融システムが円滑で安定的な機能を発揮するよう役割を果たしていく」とした。

 谷垣禎一財務相も「金融機関はマーケットの規律の下で緊張感を持って経営基盤の強化を進め、それが金融システムの安定、信用秩序の強化につながることを期待する」と語った。

 大半の金融機関はペイオフ対応として、全面解禁後も全額保護が続く決済用預金を導入。マンション修繕積立金などを保護するため、住宅金融公庫の「マンションすまい・る債」に応募する管理組合数は2004年度は前年度比36%増加した。

 みずほ銀行が3月募集の個人向け国債を昨年12月の前回募集に比べて2・4倍の1200億円分売ったのをはじめ、大手銀行では軒並み個人向け国債の販売が好調。ペイオフ解禁を契機に、個人マネーの運用先も多様化しつつある。(共同)

偽造カード被害者団体、全銀協に補償の拡大を要請

2005/03/23 読売新聞 Yomiuri On-Line

 偽造キャッシュカードによって預金を不正に引き出された被害者の団体が23日、全国銀行協会(会長・西川善文三井住友銀行頭取)に対し、犯罪防止と被害補償の対象範囲の拡大などを求める要請書を提出した。

 提出したのは「銀行預金過誤払被害者の会」(本部・東京)など2団体と弁護団。

 全銀協は22日に、預金者に落ち度がない場合は原則として銀行が補償することとして、各行が預金者と交わす取り決め(約款)のひな型を改訂する方針を発表したが、団体側は要望書の中で、「約款の改定前の被害も補償対象とするよう銀行を指導する」「盗まれた預金通帳やキャッシュカードによる不正引き出しも補償の対象に加える」ことなどを求めた。

銀行が原則的に被害補償 全銀協、批判受け方針転換

2005/03/22 The Sankei Shimbun

 全国銀行協会(全銀協)の西川善文会長(三井住友銀行頭取)は22日の記者会見で、偽造キャッシュカードによる預金引き出し犯罪について、預金者に責任がない場合は原則として銀行が被害補償する方針を正式発表した。

 カードの取引規定(約款)のひな型として全銀協が定めている「規定試案」を4月中にも改定する方向で検討、全国の加盟銀行に新規定の採用を促す。

 全銀協は被害補償について、現行約款の運用によって対応できると説明してきたが、被害補償に消極的な銀行の姿勢への批判が強まったこともあり、「公平性と透明性を確保する必要がある」(西川会長)として方針転換した。

 全銀協の現在の規定では、利用者が届けた暗証番号と現金自動預払機(ATM)に入力された暗証番号が一致すれば、銀行は不正な預金引き出し被害の責任を負わないとしている。預金者に責任がないことを銀行が確認できた場合は補償することも示しているが、補償に応じる事例は少なく被害者らから不満が出ていた。

 改定では、預金者の責任の有無を立証する責任は銀行が負うとの考え方も盛り込む。預金者が責任を負うべき事例は明示しトラブル回避を図る。

 与野党が銀行の被害補償を法制化する検討を続けていることについて、西川会長は「既に規定の見直しに着手したので、民間の取り組みを見守ってほしい」と語った。(共同)

2信金に計270億円資本注入へ 信金中金

2005年03月21日 asahi.com

 全国の信用金庫の中央機関、信金中央金庫は21日までに、自己資本比率が低下している2信金に、計約270億円の資本注入を今月中に実施する方針を決めた。金融機関が破綻(はたん)した場合、普通預金でも元本1000万円とその利息までしか保護されなくなるペイオフ全面解禁を4月に控え、この2信金は資本を増強して財務体質を改善した方がよいと判断した。

 国内で営業する金融機関は、財務の健全性を示す基準として4%を超える自己資本比率が必要。今回の2信金への資本注入で、05年3月末時点で「全国のほぼすべての信金が、6%を超える自己資本比率を確保できる見通し」(信金中金首脳)という。

 信金中金は、自己資本比率が低下した信金に、劣後ローンや優先出資証券を引き受ける形で資本増強する制度を独自に設け、今回の2信金より以前に、31信金に対し、計約2200億円を注入している。

もみじ・山口銀が統合へ ペイオフで体質強化狙う

2005/03/18 中国新聞ニュース

 広島市のもみじホールディングス(HD)、子会社のもみじ銀行と下関市の山口銀行は十八日、経営統合を視野に業務資本提携をすると発表した。

 四月のペイオフ完全解禁を前に、顧客の信頼をつなぎ留めるためには、県を越えた統合で強固な経営基盤を築くことが必要と判断した。

 もみじHDが今年九月までに実施する五百億円程度の第三者割当増資を山口銀行が引き受け、大株主となる。その後、新しい持ち株会社を設立して傘下に銀行が入る案が有力だ。

 両社の預金残高の合計は六兆円を超え、全国の地銀・第二地銀で五位となる。

 山口銀は財務体質が比較的良いが、山口県内での貸し出しが伸び悩んでおり、資金需要のある広島県に進出して収益力を高めたい考えだ。不良債権処理が大きな課題として残っているもみじHDは財務基盤の強化が課題で、先行きに不安要因を抱える両社の思惑が一致した。

預金被害の補償明文化へ カード偽造問題で全銀協

2005/03/18 The Sankei Shimbun

 キャッシュカードの偽造による預金の不正引き出し被害が多発している問題で、全国銀行協会(全銀協)は、預金者に落ち度がない場合は原則として銀行側が被害補償することをカードの利用規定などに明文化するよう、全国の銀行に促す方針を固めた。預金者の落ち度の有無についても、銀行側に立証責任があることを利用規定に明記することも要請する。関係筋が18日明らかにした。

 カードの利用規定は、全銀協がひな型を作り、全国のほとんどの銀行が使用している。全銀協の新方針によって、被害者が補償を受けやすいようになり、預金者保護が前進する。

 銀行側は現在、使用された暗証番号が届け出た番号と一致していれば、偽造などの損害で責任を負わないと利用規定に記している。預金者に責任がないことを預金者自身が立証できなければ補償に応じないケースが多く、被害者などからの批判が強まっていた。(共同)

被害補償の法制化を検討 偽造カード問題で自民

2005/02/18 The Sankei Shimbun

 自民党は18日の財務金融部会・金融調査会合同会議で、偽造キャッシュカード問題対策のプロジェクトチームの設置を決めた。公明党などと連携し、金融機関による被害者への補償について、議員立法による今通常国会中の法制化を検討する。

 偽造カード事件では、金融機関による被害者への補償はほとんどなかった。東京三菱銀行などが預金者の過失がない場合に被害補償に応じる方針を表明するなど金融機関側も前向きの姿勢を示し始めているが、実際にどの程度補償されるか不明なため、統一ルール整備を求める声が強まっている。

 プロジェクトチームは、原則として一定額以上は金融機関が補償する米国や英国など諸外国の被害補償制度を参考に、被害者の過失の有無などケースに応じた補償制度の在り方を検討する。金融機関が行うべき偽造カード対策も協議する。(共同)

ICカード、8割強が検討 全国の地域銀行調査

2005/01/30 The Sankei Shimbun

 急増する偽造キャッシュカードによる預金引き出し被害を防ぐため、全国の地方銀行、第2地方銀行の8割強が、偽造されにくいICカードの導入を検討していることが、共同通信社の調査で29日分かった。

 調査では14行で偽造被害が確認され、地域銀行にとっても対策が急務となっていることが裏付けられた。4割強に当たる47行では1日当たりの預金引き出し制限を設けておらず、預金保護で課題を抱えている実態も浮かび上がった。

 調査には地銀64行と第2地銀48行の計112行がすべて回答。93行がICカード導入を検討しているとした。大手銀行を中心に従来の磁気カードから、ICカードや静脈のパターンなどを使って本人を確認する生体認証カードへの切り替えが始まっており、地域銀行でも追随する動きが加速しそうだ。

 ただコスト負担も大きいため、現時点で導入時期など具体的な計画があるのは数行にとどまっている。池田銀行(大阪府池田市)が6月にも生体認証カードを発行。千葉銀行や京都銀行などは1年以内をめどに新カードを出す方向で準備中だ。

 全国銀行協会(全銀協)は対策として1日当たりの引き出し限度額引き下げを促している。調査では、85行が新たに上限を設定したり、限度額の一段の引き下げや、利用者が任意に限度額を設定できるよう検討していると回答。上限額は100万−300万円程度とする銀行が多かった。

 偽造被害を補償する保険付きの預金は、秋田銀行や北国銀行(金沢市)など10行程度で導入済み。さらに60行が導入検討を始めている。

 すぐにできる対策としては、各行とも現金自動預払機(ATM)の画面にのぞき見防止措置を施したり、ATMで暗証番号変更ができるような機能変更を急いでいる。

 全銀協が25日に対策を取りまとめたことを受け、26日以降各行の取り組みを調べた。

 <ICカード> 集積回路(IC)チップを埋め込んだカード。従来の磁気カードと比べ、データ容量が数百−数千倍あり、読み取りも難しい。社員・学生の入退室管理や電子マネー決済など、複数の機能を実現できる。銀行のキャッシュカードに使った場合、利用状況などを記録し、顧客へのポイントサービスなどにも活用できる。磁気カードよりコストが高いのが難点。(共同)

カード被害者らが署名集め スキミング、抜本的対策求める

2005/01/30 The Sankei Shimbun

 銀行キャッシュカードの盗難や、スキミングで現金を引き出された被害者でつくる「ひまわり草の会」が29日、東京・有楽町で、政府や全国銀行協会(全銀協)に抜本的な対策を求める街頭署名活動を行った。

 会は昨年9月に結成され、街頭での署名集めは3回目。集まった署名は金融庁や全銀協に提出する。個別の銀行を相手取り、補償を求める訴訟を3月にも起こすことを検討しているという。

 東京や大阪などから集まった被害者は約10人。事件の舞台となったゴルフ場で、プレー後に夫が195万円の被害に遭ったという東京都板橋区の主婦(41)は「銀行と交渉したが個人では太刀打ちできなかった」。会の代表、中林由美江さん(55)は「多くの人に関心をもってもらい、大きな動きにしたい」と話した。(共同)

スキミングで偽造カード作成、7人を逮捕

2005/01/19 The Sankei Shimbun

 ゴルフ場の暗証番号付き貴重品ロッカーから銀行のキャッシュカードを盗み、カードのデータを機械で読み取るスキミングの手口で偽造カードを作り口座から預金を盗み出していたとして、警視庁と神奈川、千葉、静岡の各県警などは19日、窃盗容疑などで中国人と日本人の大掛かりな偽造グループへの一斉捜査に着手、指示役とみられる神奈川県の暴力団関係者ら7人を逮捕、さらに2人を取り調べている。

 警視庁などは、群馬県のゴルフ場の男性支配人(51)がスキミングの手引き役となった可能性があるとみており、十数カ所を家宅捜索している。

 スキミングでの銀行カード偽造をめぐる摘発は全国で初めて。被害は約3億円、最終的に10億円以上になるとみられる。

 捜索先は、旧・湘南観光開発(昨年に特別清算)経営の「レイクウッドゴルフクラブ富岡コース」(群馬県富岡市)など。同ゴルフ場では昨年11月下旬、利用客がカードを盗まれ多額の現金を引き出されており、同系列のコースではほかにも被害が続いていた。

 調べでは、グループは暴力団関係者が指示して、カードの窃盗役やスキミング役、現金引き出し役を日本人と中国人が担う綿密な役割を決め、横浜市中区の建物などを拠点に犯行を繰り返したとみられる。

 ゴルフ客が貴重品ロッカーを使う際、あらかじめ仕掛けた小型カメラなどで暗証番号を確認。プレー中に財布を盗み、ハンディスキマーと呼ばれる小型機械でキャッシュカードの個人情報を読み取り偽造カードを作製。

 ロッカーの暗証番号はカードの暗証番号と同じものを使うケースが多く、グループは簡単に現金自動預払機(ATM)で現金を引き出していたとみられる。

 カードと財布はスキミング後にすぐロッカーに戻しており、客はプレー後に銀行などに行った際に、残高を見て、初めて預金が消えていることに気付くという。

 昨年春ごろから「カードは手元にあるのに、口座の現金が引き出されている」との被害届が寄せられ、警視庁などが捜査していた。(共同)


利下げ受け、長期金利は1.2%割れ

2001.03.01(21:30)asahi.com
 1日の金融市場は、株安や日本銀行の利下げを受けて、長期金利が大幅に下がり、円も売られた。

 債券市場は、朝方から買いが先行し、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが大幅に低下(債券価格は上昇)、業者間取引市場で一時、年1.2%を割り込み、1.1%台後半まで低下(債券価格は上昇)した。金融システム不安の高まりを背景に長期金利が低下した1998年12月以来の低水準。

 この日の国債利回りは前日より0.100%幅低い1.200%ちょうどで終わった。

長期金利が1.3%割れ 日銀利下げと株安受け

2001.03.01(12:48)asahi.com
 金融市場では、日本銀行の利下げと株安を受けて債券の買いが先行。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一段と低下(債券価格は上昇)している。業者間取引市場で年1.3%を割り込み、1.2%台に低下(債券価格は上昇)した。1999年5月以来の低水準。市場では日銀の追加金融緩和期待が膨らんでいる。

泰道元理事長に懲役4年判決 旧コスモ信組背任事件

2001.02.20(20:42)asahi.com
 経営が破たんした東京都内のコスモ信用組合(1996年に解散)の元理事長で、大幅な担保不足のままペーパーカンパニーに153億円余りを不正に融資したとして背任罪に問われた泰道三八被告(56)に対し、東京地裁は20日、懲役4年(求刑懲役6年)の判決を言い渡した。木村烈裁判長は元理事長側の無罪主張をすべて退けて背任罪の成立を認定。「バブル崩壊による株価や地価の下落などの影響があったとはいえ、経営危機を無視して融資を実行し、結局破たんに導いたことは強く非難されなければならない」と述べた。泰道元理事長側は控訴する方針だ。

 木村裁判長は、併せて背任罪で起訴された元副理事長佐藤丈次被告(66)に懲役3年執行猶予4年(求刑懲役3年)▽同諏訪部安彦被告(71)に懲役2年6カ月執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)▽元専務理事笛木孝被告(57)に懲役2年6カ月執行猶予3年(同)▽信組のグループ会社の社長だった横山光政被告(60)に懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)を宣告した。

 判決は、同信組を普通銀行に転換して企業グループを作ることに執着していた泰道元理事長が、グループ会社を経営難から救済する目的で融資を計画し、92年1月から93年1月にかけて、ほかの被告を巻き込んで不正な融資を実行したと認定。「都の検査で犯行が発覚しないように秘密文書を作ったり正常債権を装ったりするなど手口は巧妙で悪質だ」と指摘した。

 さらに、元理事長の刑事責任について、同信組の破たん処理に都から公的資金200億円が投入されたことや、元理事長が破たん直後に5億円相当の私財を提供すると言明していたのにいまも被害弁償していないことなども挙げ、「主導的な役割に照らして実刑を免れない」と結論付けた。

住友信託銀とメリルリンチ、投資信託の商品開発で提携

2001.02.11(06:47)asahi.com
 住友信託銀行は10日、米大手証券メリルリンチ証券グループのメリルリンチ・インベストメント・マネジャーズと、投資信託の商品を共同開発し、住友信託の独自ブランドとして、全国の店舗で販売することを明らかにした。住友信託の商品開発力とメリルリンチグループの運用ノウハウを活用し、低金利が続く日本の公社債市場だけでなく、米国・ユーロ市場を含めた投資をしていくという。

 開発するのは「住信・メリルリンチ内外中期債ファンド」(固定利回り型と変動利回り型の2種類)で、2月下旬から販売する。住信側が、商品のリスクの度合いを設計し、これを反映してメリルリンチ側が運用方針を決める。

 銀行の顧客向けに、元本の安定性を重視するため、日米欧の債券市場で、最も安全度の高いトリプルAから比較的安全とされるシングルAの債券に投資し、株式には投資しない。また、外債については、全額為替ヘッジを行い、円ベースで安定したリターンを目指す。

ソニー銀行、免許予備審査を申請

2001.01.31 The Sankei Shimbun
 ソニーは三十一日、インターネット上の仮想店舗で営業する新たなネット専業銀行の免許予備審査を金融庁に申請した。異業種が免許申請して銀行業に参入するのは、イトーヨーカ堂などのアイワイ(IY)バンク銀行に次ぎ二行目。

 新銀行名は「ソニー銀行」で本店を東京都港区に置く。資本金は三百七十五億円でソニーが八○%、さくら銀行が一六%、JPモルガンが四%出資。社長には山一証券出身でソニー金融サービス事業準備室長の石井茂氏が就任。役員七人、当初社員約八十人で六月に開業、五年後に六十万口座、預金量一兆円を目指す。

 ソニー銀行は営業店舗を持たず、ネットとATM(現金自動預払機)を顧客との主な接点とする。従来型銀行に比べ経費を抑える分、預金金利を高めにするなどして顧客獲得を図る。

 企業は対象とせず、個人客向けサービスとしてまず円預金、投資信託、カードローン、振り込みなどを提供。初年度中に外貨預金、クレジットカード、住宅ローンなどに拡大する。

 さくら銀行や住友銀行、コンビニエンスストアのエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)店舗内のATMを活用するほか、郵便局のATM利用も検討。現実の世界とネット上の両方で活用できる電子マネーも導入する。

銀行の不良債権31兆8000億円に増 昨年9月現在

2001.01.30(23:10)asahi.com
 全国の銀行の2000年9月末現在の不良債権(リスク管理債権ベース)の残高は31兆8000億円で、同年3月期に比べ1兆4000億円(4.6%)増えたことが、金融庁の集計でわかった。リスク管理債権は半期ごとでみると、1999年9月期以降増える傾向にあるが、増加幅、率とも毎半期ごとに大きくなってきている。金融庁は、不良債権に対する貸し倒れ引当金が順調に積まれていることから、「残高は減らないものの、危機への備えは格段に向上している」と説明している。しかし、収益力改善のためには残高そのものを減らさなければならず、依然、金融機関の本格再生にとって大きな足かせになっている。

 2000年9月期に、不良債権をどれだけ処理したかを示す不良債権処分損は2兆3000億円で、同期の業務純益2兆5000億円の範囲内に収まった。これで、バブル経済崩壊後の1993年3月期からの処分損の累計は68兆円となった。

岐阜銀行、公的資金申請へ 東海銀の傘下に

2001.01.27(17:05)asahi.com
 第二地方銀行の岐阜銀行(本店・岐阜市)は26日、財務基盤を強化するため、公的資金を申請する方針を固めた。これに先立って、今年度中に90億円から100億円程度の第三者割当増資を実施する。その半分近くを、これまでも岐阜銀に人を派遣している東海銀行に引き受けるよう要請し、傘下に入る。2段階の増資で、自己資本比率を、健全性確保の目安とされる8%超に引き上げたい意向だ。東海地方の地銀、第二地銀で公的資金を申請するのは初めて。

 岐阜銀は同日の臨時取締役会で、第三者割当増資する方針を決定した。増資額の半額の、50億円程度を東海銀に引き受け要請する。東海銀では前向きに検討する意向だ。増資後の東海銀の持ち株比率は、現在の3%台から大きく増え、20%を超える見通し。

 残る50億円程度は、岐阜銀の取引先企業に要請する。岐阜銀は、そこでどれくらいの増資ができるかによって、公的資金の申請額を固める予定。自己資本比率を8%超にするには計200億円程度が必要なため、第三者割当増資が予定通り実現した場合で、申請額は100億円程度になると見られる。

 岐阜銀は経営破たんした千代田生命保険と協栄生命保険に対する損失処理などが響き、約13億円の当期赤字に転落。自己資本比率も、昨年9月末の段階で5.05%まで低下し、何らかの資本増強策をとる必要が生じていた。

都銀などの信託兼業、年内にも解禁 不動産参入には制限

2001.01.26(19:21)asahi.com
 金融庁は26日、都市銀行などが本体で、信託業務に参入することを認める規制緩和策を発表した。実現すれば、都銀本体で貸付信託や証券投資信託などの金銭信託や、有価証券の信託などを扱えるようになる。動産の信託などに限って兼業が認められていた地方銀行本体も、金銭信託などを扱えるようになる。ただ、不動産販売の仲介などの不動産関連業務と、遺言執行や遺産管理業務は参入の対象から外され、今後も信託専業銀行しか扱えない。今月末に始まる通常国会に、銀行法などの改正法案を提出し、年内の実施を目指す。

 今回認められなかった不動産関連業務などへの参入については、不動産業など関連業界などが反対していた。金融庁は「銀行業との業務の近さの観点から判断した」としている。

 都銀の信託業参入は1993年、子会社方式に限って認められたが、信託専業銀行の保護は維持された。しかし、その後に業態を超えた再編が進み、都銀などの参入規制の意味は薄れていた。

東京相和銀、米投資会社に譲渡正式決定 国民負担7千億

2001.01.25(20:48)asahi.com
 経営破たんした東京相和銀行の譲渡先が25日、米投資会社ローンスターに正式決定した。東京相和銀の金融整理管財人がこの方針を金融庁に諮り、承認された。6月11日に譲渡され、新銀行として営業を始める。これで、金融再生法に基づいて破たん処理された7つの銀行の譲渡先がすべて決まった。処理には総額約8兆円超の公的資金が投入される見込みだ。

 ローンスターは譲渡にともない、東京相和の受け皿会社として100%出資の新銀行を日本国内に設立し、預金と貸し出し資産をそれぞれ約1兆円ずつ引き継ぐ。新会社の自己資本は400億円以上とし、自己資本比率を国際業務が認められる8%以上にするという。債務超過の穴埋めなどを行うための国民負担が7000億円強になる見込み。

 新銀行の社長には、大橋宏・元住友信託銀行副社長、会長には寺沢芳男・元参議院議員で経済企画庁長官(元野村証券副社長)が就く。行名は未定。現在の正行員1700人のうち1085人以上を雇用し、破たん前に比べ、ほぼ半分の56店舗体制でスタートする方針。首都圏を基盤とした個人向けサービスに業務の重点を置き、外資系金融機関との提携なども検討するとしている。譲渡から5年後に、年間業務純益150億円を達成する目標を立てている。

 東京相和は1999年6月に経営破たんした後、譲渡先としていったんは米投資会社WLロスアンドカンパニーを選んで基本契約を交わした。だが、東京相和の旧経営陣のう回融資による見せかけ増資問題をきっかけに、ロス側が譲渡の条件変更を求めたため、契約を白紙に戻して譲渡先の選定作業をやり直していた。預金保険機構などは「譲渡時期は延びてしまったが、ロス側との基本契約時と比べて国民負担はほとんど変わらない」としている。

北海、道央、夕張の3信金、今秋めどに合併へ

2001.01.19(09:40)asahi.com
 北海道の中央部を営業エリアとする北海信用金庫(本店・余市町、佐藤明夫理事長)、道央信用金庫(同・札幌市、那須信夫理事長)、夕張信用金庫(同・夕張市、保科茂理事長)は18日、今秋をめどに合併することで最終合意し、基本協定書を締結した。合併後の預金量は計約3670億円で、道内信金で3番目となる。

 同日午後に3信金の理事長が札幌市内で共同記者会見し、発表した。合併後は3信金で規模がもっとも大きい「北海信用金庫」の名称を引き継ぎ、現・北海信金の本店が新信金の本店となる。

 3信金は来週にも「合併推進委員会」(仮称)を設置し、役員構成などについて協議を始める。職員はそのまま引き継ぐが、3信金で現在計32人いる理事は20人以内に削減する方針。また、支店の統廃合は当面行わないが、地域事情に応じて取り扱い業務を絞り込むという。

 合併のねらいについて、北海信金の佐藤理事長は「金融機関の経営環境が厳しさを増す中、スケールメリットを追求する必要がある。現在の3倍の利益率を目標にする」と説明。具体的な利点としては札幌市内の店舗網の充実などを挙げている。

 経営の健全性を示す自己資本比率は、昨年3月末の時点で北海が13.7%、道央が7.31%、夕張が14.67%で、いずれも国内基準の4%を上回っている。合併後は12%程度になる見通し。

大手銀行、生保に多大な影響 株安が金融機関を直撃

2001.01.13(00:33)asahi.com
 バブル崩壊後の最安値をうかがっていた東京株式市場は12日、反発したものの、先行きは「米市場次第」で、自律回復は期待できない状況にある。業績の回復途上で冷水を浴びた形の経済界は株価の動向をかたずをのんで見守っている。株価下落は、大手銀行や生命保険会社など金融機関にとりわけ大きな影響を及ぼす。現状の株価水準では多くの大手銀行が保有株式の含み損を抱える状態とみられる。決算期の3月末もこの水準だと、赤字決算に陥る可能性も出てくる。中小の経営破たんが続いた生保でも、経営体力を弱める株安を懸念する声が広がっている。

 「このままじゃ、ほとんどの大手銀行が含み損じゃないか」(大手銀行の役員)。東証平均株価(日経平均株価)が1万5000円台後半だった昨年9月末時点で、すでに大手銀行の一部では保有株式に含み損が出始めた。

 株式の含み益が枯渇すると、不良債権処理に大きく影響する。各行はここ数年、決算のたびに巨額の不良債権処理を行ってきたが、処理で生じた損失の穴埋めには、含み益がある株式を売却する「益出し」でまかなってきた。それが現状の株価水準では「もう売却益が出ない」(大手銀行の財務担当者)と悲鳴が漏れる。

 大手銀行の不良債権は昨年から再び増加する兆しがある。益出しができない状況で、昨年並みの処理を実行すると、赤字に転落するところも出てきそうだ。公的資金の注入を受ける際に公表した、黒字決算が続くとした経営健全化計画の目標を達成できなくなる。そうなると、金融庁から業務改善命令などの行政処分を受けてしまう。

 一段のリストラなど改善計画をつくることになるが、信用を落とし金融不安が再燃するおそれもある。「銀行が今一番気にしているのは、赤字決算になることだ」と日銀の中堅幹部は打ち明ける。

 生保各社も、株価下落で体力を消耗させている。さらに問題なのは、株価低下で今や生保の信用力の指標とみなされている「ソルベンシーマージン比率」が低下することだ。

 ソルベンシーマージン比率は生保の財務的な余力を表す指標で、現行の計算方式では株式の含み益の9割が算入される。含み益が減少すれば比率は低下するため、株価が下落していた昨年9月末時点では各社とも半年前に比べ、30から160ポイントも比率を落とした。

 比率が200%を超えていれば金融庁から業務改善命令を出されることはない。とはいうものの、200%以上でも経営が破たんした生保があったため、大手各社は500%から600%以上を1つの「信用力」の基準と見る向きが多い。株価下落で、大手でもこの数字を達成することが困難になるところが出てくるのは確実だ。

同栄信金と港信金、対等合併に合意

2001.01.12(15:19)asahi.com
 同栄信用金庫(本店・東京都港区、大貫久夫理事長)と港信用金庫(本店・東京都港区、真鍋勝理事長)は12日、10月をめどに対等合併することに合意した、と発表した。経営体力の強化と効率化が狙い。

 信金業界は、2002年4月に予定されているペイオフ(1000万円までしか預金を全額保護しない)解禁に備えて、体力強化のために合併など再編が進んでいる。

破たんした新潟中央銀元常務が事情聴取中に体調崩し死亡

2001.01.07(21:09)asahi.com
 一昨年10月に経営破たんした新潟中央銀行(本店・新潟市)の渡辺清毅・元常務(59)が6日、県警捜査二課の任意の事情聴取中に体調を崩し、救急車で病院に運ばれたが死亡した。同課は破たんを招いた旧経営陣の刑事責任を追及しており、渡辺元常務に対しても昨年末から数回にわたって事情を聴いていた。

 同課によると、聴取は6日午前9時ごろから、渡辺元常務の自宅のある高崎市の群馬県警高崎署で行われた。渡辺元常務は午後3時15分ごろ、突然腹痛を訴え、前橋市の病院に搬送されたが間もなく死亡した。死因は腹部の大動脈りゅう破たんによる出血性ショックだった。渡辺元常務は血圧が高かったという。

 新潟県警は「決して無理な聴取はしていない」と説明している。

農林中金、融資対象を緩和へ

2000.12.31(03:06)asahi.com
 農水省は、農協など農協系統団体や農林水産関連企業に限られている農林中央金庫の融資対象の規制を大幅に緩和する方針を固めた。金融庁と協議のうえ、2001年度中にも実施したい意向だ。市場原理の導入や輸入増による農産物の価格低下で主要融資先の農林水産業の地盤沈下が進む中で、情報技術(IT)関連企業などに融資の幅を広げ、業務基盤を強化するのが狙い。農林中金は財務基盤が良好で、海外の格付け機関による長期債務格付けは都市銀行を上回っているため、農林債券による低利の資金調達もできる。このため、融資条件も比較的有利にできるとみられ、優良貸付先を巡る都銀との競争が激化しそうだ。

 現在の農林中央金庫法では、一般企業への融資(関連産業貸し出し)対象は原則として、「農林水産業に関する事業を営む法人またはその役員」に限定している。このため、肥料、農薬、農業機械、紙・パルプ、スーパーや外食といった食品産業などが貸出先の中心だ。

 建設会社やコンピューターメーカーにも融資しているが、過去に農協関連の施設を建設したことがあったり、そのメーカーのコンピューターを農協系統組織で使っていたりするなどの理由が必要だった。

 農林中金側は「規制の全面撤廃が理想」としているが、都銀などの反発も予想される。このため、金融庁との調整によっては、一般企業向けの貸出残高に上限を設けるなど、一定の制約が残る可能性もある。

 農林中金の農協系統団体向け融資残高は、1995年3月時点の約1兆8400億円から1兆4300億円(今年3月)に減っている。関連産業貸し出しも同じ期間の比較で、7兆7800億円から6兆6400億円に落ち込んでいる。このため、残りは金融機関や公的機関向け貸し出しのほか、国債などで運用しているのが現状だ。

 また、今年打ち出された一連の農協改革の中で、各都道府県の信用農業協同組合連合会(信連)や単位農協まで含めた農協系統金融機関を「1つの金融機関」として機能させることが決まっており、系統金融機関のトップに立つ農林中金の経営をより安定させる狙いもある。

福岡シティ、九州、長崎の3銀行が統合へ

2000.12.29(17:32)asahi.com
 福岡シティ銀行(福岡市、四島司頭取)と九州銀行(長崎県佐世保市、渡辺祐資頭取)、長崎銀行(長崎市、高田浩司頭取)の第2地方銀行3行は29日、2001年度中に共同持ち株会社を設立し、経営統合する方針を明らかにした。預金量の合計は約3兆9300億円となり、第2地銀では北洋銀行(札幌市)に次いで全国2位、地方銀行の上位行並みとなる。2002年4月のペイオフ解禁(預金の全額保護の特例廃止)を控え、経営基盤を強化するのが狙いで、公的資金の注入も申請する。九州の他の第2地銀が合流する可能性もある。都市銀行が事実上、4大グループに集約されたのに対し、地銀や第2地銀の再編は進んでいない。不良債権の増加や株価低迷による含み益の減少で、多くの地銀や第2地銀は経営が厳しくなっており、今回の県境を越えた統合が再編機運を高めそうだ。

 経営統合する3行は、重複する支店の統廃合や行員の削減、コンピューターシステムの共同化など、経営合理化を進める。また自己資本比率を健全経営の目安とされる8%以上に高めるため、公的資金の注入を申請する考えだ。3行が地盤にする福岡、長崎両県は、それぞれ5行と4行の地銀、第2地銀が本店を置く全国有数の金融激戦地。景気低迷による融資先企業の業績悪化に加え、地価の下落が続いており、3行にとって今後も不良債権の処理が経営の重荷になるとみられていた。

 福岡シティ銀は3行の中では最も財務体質が良いが、大手百貨店そごうグループなどの破たんで不良債権処理の上積みを強いられ、2000年9月中間期は株式売却益の計上でかろうじて赤字転落を免れるなど、経営は厳しさを増している。九州銀は主地盤の佐世保市の経済が沈滞し、長崎銀は預金量が県内最下位など、いずれも単独での生き残りは難しく、他行との関係強化を探っていた。

経営健全化計画、大和銀や中央三井銀が計画に比べ低迷

2000.12.26(21:39)asahi.com
 金融再生委員会は26日、公的資金の注入により資本増強した22銀行に課している経営健全化計画の達成状況(2000年9月中間ベース)を発表した。計画通りに注入資金を回収できるかどうかにかかわってくる最終利益は、大手行12行中、大和銀行、東海銀行と中央三井信託銀行が、通期の最終利益の計画対比で14.6%、5.6%、30.4%と大きく低迷。中堅以下の10行では広島総合銀行など4行が計画を大きく下回り、うち3行は赤字だった。不良債権額が今年3月末に比べ減少したのは22行中10行にとどまった。

 大和銀や中央三井は、大阪府が銀行に対して外形標準課税を導入したため、会計処理上、最終利益が減った。東海は千代田生命保険向け債権に多額の引き当てをしたのが影響した。中堅以下で9月の最終利益が赤字だったのは広島総合銀行、北海道銀行、八千代銀行の3行。足利銀行も通期の最終利益の計画対比25.3%と低かった。

 残る15行は9月までの半期で通期計画の4割以上の最終利益を上げた。一時国有化を経て不良債権を大きく減らした新生銀行(旧日本長期信用銀行)と日本債券信用銀行は、半期で通期の最終利益計画に匹敵する額を上げた。

 銀行勘定の不良債権は、みずほフィナンシャルグループ傘下の3行やさくら銀行、東洋信託銀行が順調に減らした一方、横浜銀行と琉球銀行、八千代銀行が今年3月末と比べ4割以上増えた。

銀行業への参入規制、緩やかに 金融審が最終報告

2000.12.21(15:59)asahi.com
 金融審議会(金融庁長官の諮問機関)は21日、一般の事業会社の銀行業への進出をにらんで検討してきた参入ルールの最終報告をまとめた。立ち入り検査の対象を原則として出資比率が20%以上の株主にするほか、銀行の経営が悪化した時に健全性の確保を要求する株主を50%超の株主に限るなど、12月初めの中間報告時より参入規制を緩やかにしている。金融庁はこれを受けて、次期通常国会で、明確な株主審査規定がなかった銀行法と保険業法の改正を目指す。

 最終報告は、行政は出資比率が5%超の株主からチェックすべきだとし、株取得時に届け出を義務づけるよう提言している。

 さらに、出資比率が単体かグループで20%以上の株主か、5%超20%未満でも出資銀行に実質的な影響力のある株主は、「主要株主」と規定。株取得を金融当局による認可制とし、公序良俗の点で問題がないかや財務力、経営方針など適格性を調べる。

 また、情報公開資料や銀行との取引関係を示す書類の定期報告を要求。銀行の健全性がそこなわれる恐れがあるなど異常時は特別報告を求めたり、立ち入り検査を実施したりする。株主が銀行を財布代わりに使う「機関銀行」化を防ぐため、銀行からの融資を量的に制限することも求めている。

破たんの新潟中央銀が大光銀行など6行と営業譲渡契約

2000.12.21(20:02)asahi.com
 昨年10月に破たんした第2地銀の新潟中央銀行(本店・新潟市)の金融整理管財人は21日、大光銀行(本店・新潟県長岡市)など6つの地銀、第2地銀に分割して営業譲渡することを決めた。譲渡日は来年5月14日。預金保険機構によると、新潟中央銀行の債務超過額は今年9月末時点で1800億円程度とみられ、この穴埋めなどに必要な公的資金は2500億円を超す見通し。

 譲渡先は大光銀行のほか、第四銀行(本店・新潟市)、八十二銀行(本店・長野市)、群馬銀行、東和銀行(いずれも本店・前橋市)、東日本銀行(本店・東京都)。東和銀行以外の5行とは21日に譲渡契約を結んだ。東和銀行との譲渡契約は22日になる。

 6行が引き継ぐ貸し出し資産は合わせて3897億円で、譲渡価格は約2985億円(引当率23.4%)。残りの貸し出し資産4893億円は整理回収機構が時価で買い取る。また、79ある店舗のうち、13店舗を大光銀行が引き継ぐ。職員約1100人のうち再雇用されるのは267人だが、増える可能性もあるという。


韓国政府、在日系新銀行に出資の方針 受け皿一本化なら

2001.02.18(23:41)asahi.com
 経営破たんした在日韓国人系信用組合の受け皿銀行設立を巡り、韓国政府が、受け皿銀行構想が一本化されることを条件に、新銀行の増資に応じると表明したことが17日明らかになった。増資が実施されれば、日本国内にある金融機関の破たん処理に外国政府の公的資金が拠出される初めてのケースとなる。

 韓国政府の指針は2月13日、受け皿銀行構想を進めている在日韓国人信用組合協会(韓信協)と在日本大韓民国民団(民団)中央本部、在日韓国商工会議所の幹部らを韓国大使館に集め、駐日大使を通じて伝えられた。

 関係者によると、韓国政府は増資に応じる前提として、(1)可能な限り3月末までに全在日同胞による単一の受け皿銀行構想を整えること(2)日本の金融当局から構想の受け入れが可能との内諾を得られること――を挙げ、この2点がクリアできれば、受け皿銀行の資本金の一部を出資することを検討できる、と伝えたという。

 また、出資の条件として、適正規模の資本金の確保、能力のある経営陣の招へい、これまでの不良債権の完全処理など、2次破たんを防ぐ対策を明確に示すことも求めている。出資には韓国政府が韓信協傘下の信組に預けている協力預金を使う意向で、最大で約360億円の拠出が可能という。

朝銀近畿の取引先向け相談窓口を開設 商工中金など

2001.01.04(16:51)asahi.com
 商工組合中央金庫と国民生活金融公庫、中小企業金融公庫は4日、経営破たんした朝銀近畿信用組合の取引先を対象にした融資の特別相談窓口を開設した。破たんによって取引企業の資金繰りに支障が出ないように対応するとしている。窓口はそれぞれ、近畿地方の支店10店舗以上に設置された。ほかの支店でも相談を受け付け、必要であれば特別相談窓口に取り次ぐ。

朝銀近畿信用組合が破たん 再生委、管財人管理を命令へ

2000.12.29(03:22)asahi.com
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)系在住者中心で最大の金融機関、朝銀近畿信用組合(本店・神戸市長田区)は、今後預金の払い戻しができなくなる恐れがあるとして事業継続を断念、28日までに、金融再生委員会に対し、金融再生法第8条に基づく破たん処理を申し出る方針を固めた。再生委はこれを受け、金融整理管財人による管理を命令する方針。営業は金融整理管財人の手で続けられ、預金は預金保険機構からの資金援助で全額保護される。

 再生委は、すでに破たん状態にある朝銀東京信用組合など6つの在日朝鮮人系信組に対し、金融整理管財人の派遣と公的資金投入の手続きに入ることも決める方針。これで在日朝鮮人系信組は受け皿として存続する4つの信組以外の14の信組すべてが金融整理管財人の管理下におかれることになる。金融当局は、在日朝鮮人系信組の預金者保護に必要な公的資金の総額は1兆円を超えるとの見通しを持っている。

 朝銀近畿は1997年に近畿圏の5朝銀信組が合併して誕生、翌98年に破たんした朝銀大阪信用組合の事業を譲り受けており、事実上の2次破たんといえる。朝銀大阪の事業を譲り受けた際には、国(預金保険機構)から約3100億円の公的資金が投入されている。

 近畿圏で唯一の在日朝鮮人系資金供給役だっただけに、在日朝鮮人経済、社会は大きな影響を受けるとみられる。派遣される管財人はただちに営業譲渡先を探す作業に入るが、日本の金融機関が受け皿になる可能性は小さい。また、受け皿として存続することになる朝銀北東、関東、中部、西の4つの在日朝鮮人系信組も経営の規模を考えると、なかなか引き受け手になれない状況だ。

 朝銀近畿は今年11月、国の検査の結果、2000年3月期の自己資本比率が0%を下回る債務超過の状態にあったと指摘され、抜本的な資本増強策や合併計画を出すか、事業継続を断念するか迫られていた。

 一方、今回管財人が派遣されることになるのは、いずれも昨年破たんを公表していた朝銀東京、千葉、新潟、長野、愛知、福井の6信組。それぞれ受け皿になることが決まっている朝銀関東と朝銀中部が検査の結果、受け皿として適格と判断されたため、破たん処理と公的資金投入作業に移されることになった。

関西興銀に200億円特融/日銀2000.12.21The Sankei Shimbun

 日銀は二十日、全国信用協同組合連合会を通じて、破たんした韓国系最大手の信用組合、関西興銀(大阪市)向けに特別融資(日銀特融)二百億円を実施した。預金引き出しが続き、破たんから営業日ベースで三日目を迎え資金不足に陥った。

韓国系2信組の破たんなどを正式認定 金融再生委員会

2000.12.16(21:03)asahi.com
 金融再生委員会は16日夜、在日の韓国系在住者中心で最大の信用組合関西興銀と同2位の東京商銀信用組合に対し、金融再生法8条に基づいて破たんと認定し、正式に金融整理管財人による管理を命じた。また、破たん状態にある朝銀宮城信用組合など朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)系在住者中心の7信組についても管財人の派遣を決定した。日本銀行は同日、全国信用協同組合連合会(全信組連)を通じ、関西興銀に対し特別融資(日銀特融)を実施し、必要な資金を供給することを決めた。

 9信組のうち関西興銀だけは、今回の処分を不服とし、行政訴訟を起こす方針を表明している。今後、管財人による管理にも抵抗することが予想されるため、再生委は関西興銀の管財人に、弁護士と公認会計士のほか、組織体としての預金保険機構をあてる。

 再生委は、破たん認定に抵抗した関西興銀に対しては、職権で再生法8条を発動した。金融機関側からの申し出を受ける形をとらない職権による破たん認定は、1998年12月に日本債券信用銀行に対し、一時国有化の措置である特別公的管理を発動したことがある程度で、極めて異例だ。東京商銀については15日中に、東京商銀が金融整理管財人による管理要請を再生委に出し、認められた。

 一方、管財人による管理を命じた北朝鮮系信組は、昨年5月に破たんを公表していた朝銀青森、宮城、広島、島根、山口、福岡、長崎の7つ。再生委はこれまで、受け皿になる信組が用意されていることを理由に管財人による管理を命じてこなかったが、今後預金者保護名目で多額の公的資金の投入が必要になるため、経営実態の解明と経営者の責任追及を強力に進める目的で、派遣することにした。

金融再生委、自主再建困難と断定/信組最大手・在日韓国系の関西興銀

2000.12.15 The Sankei Shimbun
 金融再生委員会など金融当局は十五日、経営不振に陥っていた信用組合最大手で在日韓国人系の関西興銀(本店・大阪市、李煕健会長)の自主再建が困難と断定し、金融再生法に基づく破たん処理を含めて最終調整に入った。近畿財務局が今年度内に自己資本比率を四%以上に引き上げるよう求めていたが、資本増強のメドが立たなかった。破たん処理された場合でも預金は全額保護される。

 関西興銀は在日韓国人信用組合協会(韓信協)の会長組合。他の在日韓国人系信組の再編にも大きな影響が出そうだ。

 近畿財務局は昨年十一月から関西興銀を検査し、九月十一日に検査結果を通知。それまで関西興銀は自己資本比率は四・六四%と公表していたが、検査結果で健全性の目安となる四%を割り込んだことから今年度内に四%を上回るよう資本増強を求めた。しかし増資のメドが立たなかった。

郵便局で銀行カードローン、大垣共立銀が来年から全国初

2000.12.09(08:47)asahi.com
 郵便局の現金自動預入払出機(ATM)で、銀行の個人向けカードローンの借り入れや返済ができるサービスを、来年1月15日から大垣共立銀行(岐阜県大垣市)が始める。銀行と郵貯のこうした形の提携は全国でも初めて。

 このサービスでは愛知、岐阜、三重、滋賀の4県の郵便局窓口に、大垣共立銀のローン機能が付いた郵貯カードの申込書を備え付ける。このカードを使えば郵貯の出し入れのほか、大垣共立銀の個人ローンを全国の郵便局や、大垣共立銀が提携する金融機関のATMで利用できるようになる。返済は郵貯の口座から引き落とされる。

 郵貯では、残高の一定の範囲内で借り入れはできるが、自前のカードローンは認められていない。銀行とのATM相互開放により、システム的には提携によるカード貸し出しが可能になっていたが、銀行側に「郵貯事業の拡大につながる」との意識があり、実現しなかった。大垣共立銀は、多数の郵便貯金利用者に自行の個人ローンを広げようと、実施に踏み切った。今後、全国的に追随する動きがでそうだ。

朝銀問題に大きな転機 管財人派遣検討/破たん処理さらに長期化

2000.12.02 The Sankei Shimbun
 昨年五月に破たんした全国十三の北朝鮮系朝銀信用組合の処理問題にからみ、金融当局が、金融整理管財人派遣の検討に入った。数々の疑惑に対する責任解明が叫ばれてきた朝銀問題は大きな転機を迎えた。

 北は青森から南は長崎まで全国十三の朝銀信組が一斉に破たんしたのは昨年五月中旬。その後、十九の健全な朝銀信組を四つのブロックに分けて再編成した四つの受け皿に事業譲渡する救済計画が、相次いで発表された。

 この処理スキームには前例がある。平成九年に破たんした朝銀大阪だ。受け皿として近県の四信組を朝銀近畿として統合。その処理で預保機構が約二千六百億円資金援助した。十三信組の処理にはさらに「一兆円規模の公的資金が必要」とみられている。

 だが、朝銀をめぐっては、国会などで、「各信組が独立した経営体でなく朝鮮総連の下部組織」「法令違反となる認定地区以外の遠隔地への融資」「総連系の学校施設などを担保にした過剰融資」「北朝鮮への不正送金」など数々の疑惑が浮上した。さらに破たんした朝銀愛知の場合、平成十年に北朝鮮系の商社社長が、当時の副理事長に横領された預金など十七億円の返還を求める民事訴訟を起こした。原告側は「北朝鮮や朝鮮総連への献金、対南工作の活動資金などに回された」と主張、不透明な経営実態に関心が集まった。

 大阪をはじめ破たんした朝銀でこれまで旧経営陣らの告発など責任解明が実現したケースはない。半面、韓国系の商銀信組は、平成四年以降に破たんした四つについて旧経営陣に対する背任罪の告発がなされ、民事訴訟も一件ある。

 このため、一部議員は「公的資金をつぎ込む前に、何がどうなっているのか、明らかにされなければ納得できない」(保守党の小池百合子氏)などと主張、金融庁による破たん信組の検査や金融整理管財人の派遣を求める声が高まった。金融当局にも「責任解明を求める世論を無視できない」(幹部)との声があがり、再生委と金融庁で検討に着手した。

 もっとも、受け皿が決まりながら譲渡に進まない状態が一年半経過していることは異例だ。この時点で管財人派遣となれば、改めて受け皿の認定も必要となり、さらなる長期化は免れない。

 在日本朝鮮信用組合協会は「責任追及は事業譲渡と別次元の話であり、借り手保護のため、処理を急いでほしい」と話している。

東京相和銀行の譲渡、白紙に 再入札実施へ

2000.12.01(00:39)asahi.com
 預金保険機構など東京相和銀行の金融整理管財人団と金融再生委員会は30日、経営破たんした東京相和銀行を米投資会社「WLロス・アンド・カンパニー」に譲渡する基本契約を解消し、同行譲渡の再入札を実施すると発表した。再入札では、資産判定の基準日をこれまでの昨年12月末から今年9月末に変更することで、公的資金の投入額が膨らむ見通しだ。譲渡交渉の見通しの悪さが交渉の失敗へとつながり、それが国民負担額を数百億円規模で膨らませる可能性もある。

 「破談の原因」とされるのは、東京相和の旧経営陣が、う回融資を利用した見せかけ増資の疑いで起訴された問題。これで190億円分の融資が実体のないものだと判明し、ロス社側が「今後、同じ問題が起きる可能性がある」として大幅な追加引き当てを求めた。しかし、国側が「他には同様のケースはない。透明性、公平性の観点から、契約変更は不可能」と突っぱねた。

 再入札には、ロス社も新たな条件で参加する方針。先の入札に参加した新生銀行も含め「複数社からの打診がある」(松田京司預金保険機構理事)という。だが、東京相和の貸し倒れ引当率は譲渡資産の27%に相当する約2700億円と、破たん銀行の中でも群を抜いて高い。零細な消費者金融会社向け融資を中心に不良債権が多いためだ。再入札では、さらにこれが上積みされる見通しだ。

住友信託とアイフル、事業者向けローンで合弁

2000.11.27(16:56)asahi.com
 住友信託銀行と消費者金融大手のアイフル(本社・京都市)は27日、中小企業や個人事業者向けのローンを取り扱う新会社「ビジネクスト」を来年1月に合弁で設立する、と発表した。大手銀行のブランド力と消費者金融の審査能力という両社のノウハウを活用して、中小企業の資金需要に対応する。銀行と消費者金融の企業向け融資での提携は今回が初めて。

 資本金は30億円。アイフルが60%、住友信託が40%を出資する。ローンは原則無担保、無保証で金利は10%台に抑える。電話やファクス、インターネットなどで申し込みを受け付けて、即時審査で翌日にも融資できるなど迅速さが特徴。来年春に営業を開始し、5年間で1000億円の貸出残高を目指す計画だ。

 両社は10月に、倒産した信販大手ライフの再建スポンサーに協力して名乗りを上げるなど提携を強めている。

「景気は来年度後半にかけ減速」全銀協会長が予測発言

2000.12.19(18:33)asahi.com
 西川善文・全国銀行協会長(住友銀行頭取)は19日の定例記者会見で、景気の現状について、今回の景気回復のけん引役となっている民間の設備投資は引き続き力強さがあるものの、9月ごろから「米国経済の減速懸念と株価の低迷で企業マインドが慎重化した」と指摘。先行きについては「景気の腰折れの可能性は小さいが、来年度後半にかけてスローダウンしていくのではないか」と予測した。ブッシュ政権が誕生する米国については「金融・財政政策とも相当程度の余裕があるので十分ソフトランディング(軟着陸)できるとみている」と述べた。

 株価低迷の一因として亀井静香・自民党政調会長らから批判を受けた、銀行の持ち合い株の売却の動きについて、銀行経営に与える株価の変動リスクを指摘した上で、「(株式の)簿価残高を極力圧縮していくしかない」と述べ、財務体質の健全化の観点から必要な措置、との考えを示した。また、不良債権の早期処理を促進するため、一部のアナリストなどから指摘され始めた銀行への公的資金再注入については、「意見は聞き及んでいるが、(住友銀行としては)全く必要がない」と述べた。

外形標準課税が経営直撃 大手16行/最終益2050億円減少へ

2000.11.26 The Sankei Shimbun
 都市銀行など大手十六行が発表した平成十二年九月中間決算によると、今年四月から東京都が導入し、大阪府が来年度から導入する外形標準課税の影響で、今年度は合計二千五十億円の利益が吹き飛ぶ見通しであることが二十五日明らかになった。十六行の予想最終利益八千六百六十億円の二割に当たり、改めて「銀行税」が大手銀行の経営を直撃していることが浮かび上がった。

 外形標準課税は、大手銀行の業務粗利益に一定割合を課税する仕組み。東京都に対しては、十六行は中間決算で納税額として合計三百八十億円を計上。平成十三年三月期(通期)では八百十五億円を見込んでいる。

 また、大阪府も一年遅れで外形標準課税を導入する。課税は十三年度からだが、将来還付される税金を利益に含める「税効果会計」の上積み効果が圧縮されるため、今年度の決算も影響を受け、利益は十六行で千二百四十億円減少する見通しだ。特に、大阪に強い営業基盤を持つ住友銀行が二百六十六億円、三和銀行が二百六十二億円と大きな影響を被る。

 外形標準課税をめぐっては、課税対象となった都銀や地銀大手など二十一行が今年十月、都を相手取り行政訴訟を起こしている。

業務純益「三井住友」首位に/大手16行中間決算 不良債権なお重荷

2000.11.25 The Sankei Shimbun
 第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の「みずほフィナンシャルグループ」が二十四日、平成十二年九月中間決算(単独)を発表し、金融再編で誕生したビッグ4の中間決算が出そろった。本業のもうけを示す業務純益(一般貸し倒れ引当金繰り入れ後)は、住友銀行とさくら銀行が合併する「三井住友銀行」が前年同期比で四一・四%増の五千百五十億円を計上、トップに躍り出て収益力の強さを見せた。

 「みずほ」と「三井住友銀行」、三和銀行、東海銀行、東洋信託銀行が統合する「UFJグループ」、東京三菱銀行、三菱信託銀行の「三菱東京フィナンシャル・グループ」のビッグ4の業務純益をみると、「三井住友銀行」とともに「UFJ」は増益になったが、「みずほ」と「三菱東京」が大きく減益となった。

 一方、金融再生法基準による不良債権額は、四兆五千億円を超える「みずほ」がトップ。引当金を積み、売却を進めるなど最終処理を急いでいるものの、ビッグ4合計で十三兆円以上の残高となっている。

 ビッグ4の十二行にあさひ銀行、大和銀行、住友信託銀行、中央三井信託銀行の四行を加えた十六行では、日本信託銀行を除く十五行が経常黒字を確保した。ただ、取引先企業の倒産や地価下落を背景に、十六行合計の不良債権処理額は当初見込みの一・七倍の約一兆四千八百億円に膨らみ、依然として重荷であることも鮮明となった。

 不良債権処理額が膨らんだのはそごうグループ、千代田生命保険などの大型破たんによって貸し倒れ引当金の積み増しを迫られたため。経営不振にあえぐ融資先企業がさらに増えると、景気動向次第で、不良債権問題が再燃する恐れもありそうだ。

株売却で利益確保 大手11銀行中間決算

2000.11.23(01:32)asahi.com
 都市銀行と信託銀行など大手銀行14行のうち11行の2000年9月中間決算(単体ベース)が22日、出そろった。前年同期と同様、全行が経常黒字になったが、不良債権処理額は高水準のままで、年度当初の見込みを大幅に上回り、本業のもうけを示す業務純益を超える規模になった。このため、株式の売却益を処理費用に充てて利益を確保した。保有株式の含み益が大幅に減少する中で、下期も不良債権処理は高水準になる見込みで、銀行には厳しい経営環境が続くとみられる。

 大手11行は2001年3月期決算でも、全行が経常黒字を確保すると予想している。

 9月中間決算の業務純益は計1兆2397億円で、前年同期を上回った。企業向け融資の利ざや拡大による金利収入の増加や、人件費の削減によるリストラ効果のためだ。新しい融資形態などによる手数料収入が増えた銀行も多く、従来の金利収入に頼った経営から欧米型への脱皮も進みつつある。ただ全体に企業の借り入れ意欲が低調なことなどから、収益の伸びは小幅にとどまった。

 一方、不良債権処理額は、前年同期より1割多い計1兆3058億円だった。ただ、業務純益を大幅に上回る規模だった1998年3月期前後の最悪期に比べれば、少なくなっている。

 だが、年度当初の見込みを上回るペースで処理額が増えたため、年度全体の処理の見込み額は全体で当初より約1.5倍増に修正された。大手百貨店そごうグループの倒産や、建設準大手の熊谷組に対する総額4500億円の債権放棄などに加え、中小企業も含めた倒産件数の高水準が続いている影響が出た。

 不良債権処理に株式売却益を使う構図はここ数年続いているが、今年9月末時点では株価下落の影響もあって、株式の含み損を抱える大手行もあり、経営体力の低下が目立ち始めている。

不良債権処理、下期の増額懸念を示唆 西川全銀協会長

2000.11.21(19:55)asahi.com
 全国銀行協会の西川善文会長(住友銀行頭取)は21日の定例記者会見で、大手銀行の不良債権処理について「(今年度も)当初見込みを上回る」と述べ、下期以降の処理が膨らむ懸念を示唆した。西川会長は「不良債権処理のヤマは越えた」と従来の見解を繰り返したが、「いくつかの業種で、大きな構造改革の流れの中で経営自体を抜本的に見直さなければならない企業がある」と指摘。低迷する株価に言及するとともに「地価の下落なども影響している」と述べ、不良債権処理が依然として続くという認識を示した。

 大手銀行の2000年9月中間決算の発表は21日から始まったが、住友銀行をはじめ大手銀行の不良債権処理額は、大半が半期ベースの見込み額を上回り、2001年3月期決算での年間ベースの見込み額を増額修正する見通しだ。

 西川会長は、来年度以降の処理額について「予防的に臨んではいるが、我々の予想を超えることも起きてくる」と、見込み額を上回る可能性は否定できないとの見解を示した。

北九州支店廃止変更せず 日銀総裁

2000.11.21(21:48)asahi.com
 日本銀行の速水優総裁は21日の記者会見で、日銀北九州支店廃止に関して、地元関係者に見直しを求める声があることについて、「廃止する方針には変更はない」と述べた。その上で「原点にたち返って、私どもの考えを丁寧に地元に説明していくことが大事。相互理解を深めるため、これから説明の機会を求めていきたい」とし、支店廃止の方向で地元と調整する考えを改めて強調した。

大手銀行中間決算の不良債権処理、1兆4000億を突破

2000.11.09(20:10)asahi.com
 大手銀行15行が2000年9月中間決算で処理する不良債権総額は1兆4000億円程度と、当初計画よりも1.6倍に達する模様だ。千代田生命保険、そごうグループなどの大型破たんで、貸し倒れ引当金を追加計上したためだ。各行は持ち合い株式の売却益を不良債権処理の原資にあてるなどして、増益を確保したとみられる。不良債権処理額は峠を越えたものの、ゼネコン、流通など経営不振企業はまだ多く、今後の景気動向によっては再び不良債権問題が再燃しそうだ。

 大手行は今月下旬に9月中間決算を発表する。東京三菱、住友、三和の不良債権処理額は1500億―2000億円台にのぼり、第一勧業、さくら、あさひ、東海は1000億円台になる見込み。

 また、住友、第一勧業、あさひ、東海、大和、中央三井信託、安田信託の7行の処理額は当初計画より2倍程度に増える。各行が想定したよりも取引先企業の倒産が増えたのをはじめ、東海、あさひ、中央三井は、千代田生命の経営破たんで貸出金が回収できなくなる懸念が出て、引当金を積み増しした。

 過去の不良債権処理額は、大手15行計で1998年3月期と99年3月期がともに10兆円レベルだった。この時がピークで2000年3月期は約4兆2700億円と、処理額は半減した。しかし、2000年度に入っても、担保不動産の下落が続いているほか、企業の倒産も増加傾向にある。15行は当初、2001年3月期は約1兆7000億円の処理を計画していたが、半期で1兆円を超える水準となることで、大幅な見直しを迫られそうだ。

銀行買収に認可制/異業種の参入ルール「中間整理」」金融審部会

2000.11.09 The Sankei Shimbun
株式取得比率5%超は届出制

 メーカーなど異業種による銀行業参入のルールに関して銀行法の改正を議論している金融審議会(金融庁長官らの諮問機関)第一部会は八日の審議で、銀行経営に影響力を行使できる「主要株主」に対し、保有比率に応じて段階的なルールを課すことを決めた。焦点の銀行買収に際し新たに事前の認可制を導入、主要株主に対する立ち入り検査の権限も金融当局に与える方針を打ち出した。金融審は年内に最終報告書をまとめて金融庁に提出。一般から意見(パブリックコメント)を募ったうえで、金融庁は来年一月の次期通常国会に改正法案を提出する予定だ。

 この日は、これまでの論点をまとめた「中間整理」について審議。主要株主は銀行経営に不当な影響力を行使する可能性があることから、事業会社が新たに免許を取得する場合だけでなく、既存銀行の株式を一定以上取得する際に比率に応じて監督、検査が重要と指摘した。

 そのうえで、五〇%超の株主を「主要株主」とし、株式取得の際に二〇%以上(人事交流や取引などがあれば一五%以上)は金融庁による事前の認可制、五%超は当局への届出制を導入するなど取得比率に応じた段階的なルールの設定を検討。加えて、単独だけでなく、子会社も合わせたグループ単位や個人保有も規制の対象にするべきだとしている。さらに、「主要株主」に対し財務内容の報告を求める権限や立ち入り検査の権限を与えるべきだとしたが、検査は子銀行の経営が悪化した時などの「最後の手段」とすべきという指摘が上った。

 一方、銀行法や独占禁止法で禁止されている銀行の他業種参入は原則自由化の方向。ただ、「金融庁が他業種を監督するのは限界がある」とか「銀行の信用力に影響するような他業への進出は望ましくない」などの慎重論も上った。

         ◇

<異業種の銀行業参入に関する中間整理の論点>

 (1)異業種の銀行業参入に関するルール整備

 [1]銀行業の新規免許の取得にとどまらず、既存銀行の株式を相当数取得した「主要株主」に対しても監督・検査が必要

 [2]銀行業における新たなビジネス・モデルに即した規制が必要

 [3]既存銀行への参入には取得株式数に応じた段階的なルールを設定することが適当

 [4]主要株主や経営者の適格性の審査基準として、社会的信用や財務の健全性を重視

 [5]主要株主に対する監督や検査は金融当局に権限を与えることが適当。当局の権限乱用に対する規制体系の整備も必要

 (2)銀行業における新しいビジネスモデルと規制緩和

 [1]ノンバンクCD(現金自動支払機)での預金引き出しを認めることが適当。支店・営業所の出店の認可制を緩和

 [2]新しい形態の銀行のリスク管理については、自己資本比率規制以外に金利リスクなど状況に応じたリスクを考慮

 [3]銀行法上の付随業務を金融当局が明示し、付随業務の開始を簡単にするなど透明性を高める

「コンビニ銀行」来月にも開業 ヨーカ堂が予備免許申請

2000.11.06(20:25)asahi.com
 流通大手のイトーヨーカ堂は6日、銀行子会社の設立のための予備免許を金融庁に申請した。ヨーカ堂は、傘下のコンビニエンスストアのセブン―イレブンに設置する現金自動預入払出機(ATM)で、主に決済業務を手がける新しいタイプの銀行を目指して、事業計画をつめていた。金融庁の審査を経たあと正式に免許交付を受ける。早ければ来月にも、24時間、年中無休が原則の「コンビニ銀行」が誕生する。

 新銀行名は、イトーヨーカ堂のアルファベットの頭文字をとった「アイワイ(IY)バンク銀行」の予定。ヨーカ堂とセブン―イレブン・ジャパンは、予備免許取得後に30億円を出資して同銀行を設立する。

 関係者によると、来春までに三和銀行、さくら銀行、東京三菱銀行、あさひ銀行などから資本の払い込みを受け、資本金と資本準備金を計300億円程度まで充実させ、その後、他の金融機関や事業会社の協力を得て、600億円まで増やす。最終的にヨーカ堂グループの出資は50%超になる。

 新銀行の「支店」は全国に散らばるセブン―イレブン。ヨーカ堂は、ATMをまず首都圏の約50店に配置し、2002年春までに3500店まで拡大する。業務は、預金の出し入れや振り込み、公共料金の引き落としなどの決済サービスが中心になる。手数料は割安に抑える。IYバンクに口座を持つ預金者は、当座貸し越しで数万円程度の小口融資を受けることができる。

 提携先の都銀などの顧客がIYバンクのATMを利用した際に、提携先から徴収する手数料が主な収益源となる。預金で集めた資金は、国債など回収できない可能性が小さい金融商品で運用する。

 IYバンクは、一般事業会社が銀行業に参入した初のケースとなる。

「ヨーカ堂銀行」、年内の営業開始めざし来月免許申請へ

2000.07.29(03:43)asahi.com
 スーパー大手のイトーヨーカ堂は、傘下のコンビニエンスストア最大手、セブン―イレブン・ジャパン店舗へのATM(現金自動預入払出機)網による銀行の今秋設立を目指して、8月中に新規の銀行業免許取得を金融庁に申請する方針を固めた。ローンは当面、預金者への当座貸し越し程度に限り、従来の決済専業方針を実質的に維持して開業する意向。10月に銀行を設立してテストを始め、年内の営業開始にこぎつけたい考えで、銀行との提携による運営会社方式で先行する他のコンビニATM網への追撃態勢づくりを急ぐ。

 「ヨーカ堂銀行」は、開業時は首都圏のセブン―イレブンを中心とした約1000店にATMを設け、3年後までに各地の大都市部を含めた3500店に拡大する計画。銀行法で3年後の黒字確保を求められているため、当初は集客力の高い地域での展開に絞る。

 都市銀行の横断的なATMネットワーク(BANCS)への参加交渉などに備えて、ヨーカ堂は、決済システムに詳しい元日本銀行理事で、日本長期信用銀行が一時国有化されていた当時の頭取だった安斎隆氏に、新銀行の経営首脳に就任するよう求めている。安斎氏も受け入れる見通しだ。

 新銀行は、事実上の無店舗銀行ゆえに、預金口座開設は、電子メールで受け付け、ICカードを発行し、通帳は出さない方向。他の参加銀行の預金者がこのATMを利用する際には、画面がその銀行のものに切り替わる。

異業種の銀行業への参入に自民党が難色

01:26 a.m. JST April 12, 2000
 イトーヨーカ堂やソニーなど一般事業会社の銀行業への新規参入に、自民党が難色を示していることが分かった。3月中旬まで「歓迎」としていた同党金融問題調査会(金問調)の相沢英之会長が3月末、参入の基準づくりを急いでいた金融監督庁に対し「時期尚早だ」と伝えたもので、監督庁と金融再生委員会は、とまどいを隠せないでいる。

 金問調は3月17日、イトーヨーカ堂とソニーの担当副社長を呼び、事業計画の内容を聴いた。ふだん同調査会に出席しない加藤紘一代議士らも顔を見せる盛況ぶりで、相沢会長は直後の記者団への説明で「おおむね歓迎の空気だった」と話していた。

 ところが月末になって相沢会長は、監督庁幹部に(1)現行法では親会社の審査・監督ができない(2)米国は昨年5月から異業種の参入を原則禁止した(3)銀行が異業種に参入できない中で異業種の銀行参入を一方的に認めるのはおかしい、などと理由を挙げ、早急な参入許可にクギを刺した。

 谷垣禎一金融再生委員長(自民)は2月末の就任時に「沈滞した空気の中で金融機関に刺激を与えるだけでなく、全体の経済秩序に活を入れられる」と異業種の参入に前向きな発言をした。監督庁と再生委はこれを受け、3月から再生委内でも本格的な議論を始めるなど、作業速度を上げたところだった。

 金問調は、提出前に金融関連の法案を審理する存在で、異業種参入を認めるにあたり銀行法などの改正が必要な場合、金問調の理解と協力は不可欠だ。金融当局幹部は、相沢氏の挙げた理由がいずれも目新しいものでないため、この時期の態度表明に真意を測りかねている。


日銀ネットに来年導入の新決済めぐり金融界に混乱広がる

2000.11.03(22:14)asahi.com
 日本銀行が来年1月4日から、銀行や証券会社など金融機関同士の資金のやり取りや国債の売買を処理する日銀ネットに「即時グロス決済」(RTGS)を導入するのを受けて、準備に追われる金融機関や金融市場に戸惑いや混乱が広がっている。RTGSは取引を一つ一つその場で完了させる新方式で、「決済リスク」を抑えるのが目的だが、これまでの方式と比べ、手間もかかるうえ、決済のために用意すべき資金も大幅に増える。このため、新方式のテストが失敗したり、短期金利の上昇などの現象が出始めたりしている。切り替えが円滑にいかないと金融証券市場など経済全体にも影響が出かねない。日銀や金融機関の担当者は昨年末から今年初めのコンピューター西暦2000年問題(Y2K)と同様、2年続けて正月返上の作業になる。

 「買い注文を出した国債がまだ受け取れないが、どうなってるんですか」

 RTGS化に向けた10月29日の日曜日に実施したテスト取引で、国債のやりとりにトラブルが続出した。この日の想定では、国債の売買だけで全体で2万件以上、総額100兆円にのぼる取引をさばくはずだったが、約1割の取引が不成立になった。決済指示の集中によるシステムの停止や、不慣れなディーラーによる入力ミスなどが原因だ。

 本番ではあってはならないトラブルだが、日銀は「テストは問題点を洗い出すのが目的。次回以降、改善すればいい」と言う。最終テストは今後も11月、12月に計4日行う。各金融機関は内部チェックを含め年末から年明け3日までテストを繰り返す。

 RTGSでは、決済のためだけに用意しておく資金の量が大幅に増える。金融機関同士の資金決済額は1日ざっと140兆円。現行の「時点ネット決済」は一定のまとまった取引を相殺するため、実際の決済に充てる資金は数兆円で済むが、RTGSでは少なくとも30兆円程度に増えると見られる。

 このため、金融機関は新たに多額の資金調達が必要になる。特に規模が大きい都市銀行がまともに現金を用意しようとすれば、国債の売却や取引先からの資金の引き揚げをすることになり、市場金利の上昇や企業の資金繰り難を招きかねない。

 日銀はRTGSと同時に、各金融機関に対し短期国債などを担保に日中だけ無利息で資金を貸す制度を始め、金融機関の資金需要を支えて、経済への影響は出ないようにすることにしている。

 だが、金融機関の間では「初めての経験なので、導入当初は、決済の必要額よりも多めに担保や日銀当座預金の資金を積むのではないか」との見方が多く、これを反映して、短期金利が上昇する気配を見せ始めている。

大手銀行、中間決算の業績下方修正相次ぐ

2000.11.01(21:43)asahi.com
 都市銀行9行のうち東京三菱、さくら、東海、大和の4行が1日までに9月中間決算の業績見通しを当初予想(5月末時点)に比べて下方修正した。株式市場の低迷や千代田生命保険の経営破たんの影響などが出た。また、大半の都銀で株式の含み益を大幅に減らしており、不良債権処理などにも影響を与えそうだ。

 東京三菱は、3月末と比べ保有株の評価が3割以上も下落し、評価損を損失計上したため、中間期業績を下方修正した。連結経常利益、連結最終利益はそれぞれ当初予想に比べ、22.2%減の1400億円、42.8%減の400億円になる見通し。さくらも、子会社の収益が予想を下回り、連結経常利益、連結最終利益はそれぞれ8.3%減の1100億円、45.5%減の300億円に下方修正した。

 東海は経営破たんした千代田生命への拠出金(基金と劣後ローン)に引当金を計上した影響で、連結経常利益は53.8%減の300億円、連結最終利益は66.6%減の100億円に下方修正した。

 一方、住友は子会社が保有していた米ゴールドマン・サックス株の売却益を計上し、連結経常利益、連結最終利益はそれぞれ当初予想に比べ、85.7%増の2600億円、50%増の750億円になる見通し。

 各行は、株式市場の低迷に加え、持ち合い株の売り切りが加速し、有価証券の含み益を大幅に減らしている。さくらの有価証券の含み益は、3月末の6036億円から、379億円に減少しているほか、大和は、有価証券の含み損が486億円となった。

合併費用使って給与補てん 中央三井信託

2000.11.01(23:40)asahi.com
 中央三井信託銀行が、公的資金による資本増強を受ける際に国に提出した経営健全化計画の中で行員の給与減額を約束しながら、「合併費用」名目で資金をねん出し、給料が下がった行員に「調整金」として補てんすることが1日、分かった。衆院大蔵委員会で指摘を受けた相沢英之金融再生委員長は「当初考えた給与体系を暫定的にしろ変えたのであれば事前に連絡があるべきだ」と不快感を表明した。ただ、人員削減が進んだことで、補てん分を含めても人件費の削減計画は達成できるため、処分は出さない方針。

 中央三井信託は、合併前の中央信託銀と三井信託銀の平均給与より低い水準の新給与体系を全行員に適用すると約束していた。

 しかし、大幅に減収となる行員がいるため、「激変緩和措置」として2年3カ月間にわたって減収分を補てんすることを決めた。70億円を「合併費用」名目で特別損失として計上しており、来年1月に行員に支払う。

電子外為市場を創設へ 世界の50銀行とロイター

2000.10.24(21:39)asahi.com
 経済情報サービスのロイター・グループは24日、世界の大手銀行50行と共同でインターネット上に電子外国為替市場を創設する、と発表した。50行の外貨取引額は全世界の半分以上を占めており、新市場が定着すれば外為市場の構造は大きく変わることになる。

 共同声明によると、新市場は「Atriax」と名付けられ、企業や機関投資家の為替ディーラーが100カ国以上の通貨をオンライン取引できる。決済も自動的に処理される。

 新市場には、日本からも住友、三和、さくら、東海の各銀行とみずほファイナンシャルグループ、野村証券などが創設メンバーとして名を連ねている。運営は独立会社として行われ、筆頭株主はチェースマンハッタン、シティバンク、ドイツの各銀行とロイターが占める。

整理回収機構に約15億円返還命令 大阪地裁

2000.10.23(22:49)asahi.com
 負債約1300億円を抱えて倒産し、今年4月に民事再生手続き開始決定を受けた大手貸しビル業者高橋ビルディング(本社・大阪市北区)の監督委員が、再生手続き以前に整理回収機構に返済した約15億円について、「返済は無効だ」として返還を求めた申し立てに対し、大阪地裁(森宏司裁判長)は23日、「返済は、他の債権者の回収を難しくするものだった」として、同機構に全額返還を命じる決定をした。

 旧住宅金融専門会社(住専)の債権を引き継ぎ、回収に当たっている同機構によると、住専絡みの債権ですでに回収した貸金の返還を裁判所が命じたのは初めて。同機構はこれを不服として、近く監督委員を相手に正式の裁判を起こす予定だ。

 決定は「高橋ビルは債務超過に陥って財務状況がひっ迫し、他の金融機関からの借入金を返済するのが難しくなっていた」と指摘。これを踏まえて「同機構が同社の財務状況を知りながら有利な返済を受けていたことは、他の債権者を害したことになる」と判断した。

 決定によると、同機構は旧住専の日本住宅金融(1996年に解散)から高橋ビルに対する約57億円の債権を譲り受け、昨年3月末までに、この債権の約26%に当たる約15億円の返済を受け、残りの約42億円の債務を免除した。当時、銀行など他の金融機関は、同ビルから1年間に元本の約1%程度の返済しか受けていなかった。

 民事再生手続きの開始決定に基づき高橋ビルの経営者を監督するため大阪地裁が選任した監督委員は今年6月、「同機構を優遇した返済は、他の債権者への偏りのない返済を難しくするものだった」として、再生手続き前の返済行為を否認する申し立てをしていた。

 同機構は「高橋ビルよりも苦境に陥っている会社は数多くあり、同社の財務状況が危機にあったとはいえない」と主張し、「回収は正当だった」と反論していた。


インターリース、再建断念を発表

2000.10.24(13:31)asahi.com
 日本信販は24日、経営支援を続けてきた系列ノンバンク、インターリース(本社・東京)が同日開いた臨時取締役会で再建を断念し、特別清算する方針を決めた、と発表した。インターリースの負債総額は8000億円を超える見通しで、金融機関を除くと、戦後5番目の負債規模。この影響で、日本信販はすでに2001年3月期の配当を株式公開以来、初の無配とするなど、業績の下方修正を発表している。

大手ノンバンクのインターリースが破たん

2000.10.13(03:07)asahi.com
 経営再建中だった日本信販系の大手ノンバンク、インターリース(本社・東京)は12日、自主再建を断念し、特別清算する方針を固めた。負債総額は8000億円を超える見通しで、旧日本長期信用銀行系の日本リース(約2兆2000億円)、旧日本債券信用銀行系のクラウンリーシング(約1兆2000億円)などに次ぐ規模で、金融機関を除く企業倒産として戦後5番目の倒産となる。

 同社は工作機械や輸送用機械の総合リース会社だが、バブル時期に積極化した不動産融資が焦げ付き、経営危機に陥った。1997年に日本信販の資金支援や金融機関による低利融資などを柱とした再建計画をまとめたが、長引く景気低迷と不良債権が重荷となり、破たんに追い込まれた。

 主取引銀行のさくら銀行などでまとめた再建計画は10年間の長期にわたるものだったが、3000億円規模に上る不良債権処理が進まず、債務超過に陥っていた。人員削減や有利子負債の圧縮などに取り組む日本信販に追加支援の余裕はなく、自らが不良債権処理を急ぐ銀行の事情も重なり、計画は3年あまりでとん挫した。

 今年3月時点のインターリースに対する主な金融機関の貸出残高は、さくら銀行844億円、新生銀行563億円、太陽生命保険531億円、東洋信託銀行508億円、農林中央金庫505億円、三和銀行472億円、中央三井信託銀行449億円、住友信託銀行365億円、東海銀行353億円、三菱信託銀行349億円。


愛知県債と名古屋市債は大丈夫? 日銀が異例の調査

2000.10.07(13:01)asahi.com
 日本銀行名古屋支店が、愛知県債と名古屋市債を引き受けている金融機関に対し、経営への影響や、今後も両債券が市場で順調に売れるかどうかなど、異例の聞き取り調査をしていたことが明らかになった。地方債の多くは、市場実勢より高値で引き受けられている。その結果、買い手が付かないなどの状況が起きると、銀行経営に悪影響を及ぼしかねず、日銀はこうした金融機関の「負担」に頼る地方債の消化実態に警告を発したものだ。

 愛知県は1999年度に約3070億円(一般会計分)の県債を発行。東海銀行が約1570億円(銀行縁故債)を引き受けたほか、複数の銀行・証券が約640億円(市場公募債)を引き受けた。名古屋市も約1420億円の市債を発行、うち約7割を複数の銀行・証券が引き受けた。

 愛知県や名古屋市が発行する市場公募債は、慣行上、発行価格や利息など発行条件が東京都債と同一になっているが、実際には市場では東京都債より安い値で取引されている。金融機関は転売できずに差損を抱えたり、値下げしてさばいたりしているのが実態という。

 日銀の調査はこうした状況をチェックしたもので、地方銀行や信用金庫、証券会社数社を対象に今年3月に行われた。質問は引き受けや保有が、経営にどれだけの影響を与えるのかや、債権を市場で売却したりできるのか、など多岐にわたった。

ローン転売の新市場、来春創設へ 都市銀行中心に

2000.10.07(03:03)asahi.com
 都市銀行が中心になって、企業向け融資(ローン)債権を売買する新たな市場をつくる構想が6日までに固まった。取引ルールを統一し、市場での取引データを管理する協会を12月中に設立、来年4月から本格的な取引を始める。市場規模は20兆―40兆円ほどが見込まれる。欧米の金融機関の間では、債権を相互に売買して、自ら保有する貸出先が偏らないようにしたり、金利収入を高めたりすることが一般的だ。日本でも金融再編が進んだ結果、貸し出し債権の整理が迫られており、新市場は金融機関の経営に大きな影響を与えそうだ。

 協会は、「ジャパン・シンジケーション&ローントレーディング・アソシエーション」=JASLA(仮称)。住友銀行、日本興業銀行、東京三菱銀行の3行が設立の検討を進めていた。このほか富士銀行、三和銀行、さくら銀行やシティグループなど外資系金融機関が中心になり、9月中旬から会員の募集を始めた。

 債権の売却で資金を得たい金融機関と、金利収入を得たい金融機関のほか、ひとつの貸出先に債権が集中した金融機関がリスクを分散することなどに利用されると見られる。

 すでに正会員として銀行や証券会社、保険会社など約20社から内諾を得ており、発足時には100社程度の参加を見込んでいる。

 協会は、金融機関同士のローン売買を行う際の契約書や取引ルールを統一し、市場機能を整備する。売買契約が成立した案件の報告を受け、取引を管理する。

 当面は、金融機関同士が相対で取引する。売買は、原則として借入先の承諾を受けた債権を対象とし、売買後も、利払いなどは元の金融機関が窓口となる。将来は、インターネット上で売買契約を結ぶことができるシステムを整備する構想もある。

 ローン売買はこれまでも一部で行われていたが、市場の創設で取引の急拡大が見込まれる。

「関西さわやか銀行」で再出発 破たんの幸福銀

2000.10.07(00:10)asahi.com
 昨年5月に破たんした第2地方銀行、幸福銀行(本店・大阪市)が、米国の投資ファンド「アジア・リカバリー・ファンド」(ARF)傘下の受け皿会社に引き継がれることが6日、正式に決まった。同行の金融整理管財人と受け皿会社が営業譲渡契約を結んだ。受け皿会社は今月末にも銀行免許を申請。幸福銀は来年2月26日に譲渡され、「関西さわやか銀行」として再出発する。

 破たんした第2地銀、東京相和銀行(本店・東京)もARF傘下の受け皿会社に譲渡されて新銀行になり、持ち株会社の下で関西さわやか銀と経営統合される。

 幸福銀の債務超過額は今年3月期決算で約4300億円。この穴埋めや新銀行に引き継がれる貸し出し資産に対する貸し倒れ引当金の積み増し約1000億円、店舗閉鎖費用など計五千数百億円が国民負担となる見通しだ。

 新銀行は幸福銀の123店舗のうち81店舗を引き継ぎ、残りは引き継ぐ店舗に統合する。また、行員約2000人のうち1000人余りを再雇用する。資本金は240億円で、機関投資家などから出資を募る。このほか、優先株などの形で120億円の公的資金を申請し、資本増強を図る。発足時の自己資本比率は約9%になる見込みだ。

 頭取に就任する高橋修一元東京三菱銀行取締役は、この日の記者会見で、従来の顧客との取引を継続する一方で、「これまでの担保主義ではカバーできなかった中小・零細企業の資金ニーズに、1週間・24時間態勢で取り組んでいきたい」と方針を語った。

住生が住宅ローン債権を譲渡 3300億円、住友信託に

2000.10.06(08:24)asahi.com
 住友生命保険が、同社の保有する住宅ローン債権の約6割に相当する約3300億円分を住友信託銀行に譲渡することが5日、明らかになった。6日発表する。大手生保が住宅ローン事業を大幅に縮小するのは初めて。将来的には同事業から撤退する可能性も出てきた。住友生命はローン債権の担保権を持つ住生信用保証の株式も、金融庁の認可を得た上で、住友信託に譲渡する。住友グループの連携強化のなかで、住友信託は住宅ローン事業の拡大を図り、住友生命は保険事業に経営資源を集中する。

 関係者によると、住宅ローン債権は12月、保証会社の株式は来年3月にそれぞれ譲渡する予定。譲渡金額は未定。住友生命から住宅ローンを借り受けている人の一部は、譲渡後は、住友信託に返済することになる。

 個人向けの住宅ローンは、企業向けの貸し出しなどに比べて利ざやが厚く、都市銀行、信託銀行、生命保険会社が新たな商品を開発するなど、しのぎを削っている。こうした中で、住友生命は従来の人員や戦略で高度化、専門化する顧客ニーズにこたえていくよりも、経営資源の集中選択の点から、同じグループで同事業の強化を図っている住友信託に譲渡することを決めたとみられる。

 保険業界は、第一生命保険と安田火災海上保険、朝日生命保険、東京海上火災保険、日動火災海上保険の3社が、それぞれ業務提携するなど、新商品の開発をめぐって競争が激化しており、住友生命は、経営資源を保険事業に集中する。

 一方、住友信託の個人向けローン残高は、今回のローン債権譲渡で、現在の8000億円から1兆1000億円超になる。住友生命と住友信託は、業態の違いから顧客基盤がほとんど重なっておらず、住友信託は、住友生命の住宅ローン顧客を新規顧客として獲得できるほか、不動産取引など新たな取引展開を図ることが可能となる。

中央三井、大和・住友信託連合に参加へ

2000.07.27(03:06)asahi.com
 大和銀行と住友信託銀行が共同出資で設立した年金など資産管理専門の新信託銀行に、中央三井信託銀行が出資することが26日、固まった。27日に発表する。3行は新信託銀行を共同で運営し、新銀行の資本金は500億円で出資比率は均等にする。受託資産残高は90兆円を超え、資産管理業務では国内最大になる。3行は、資産管理インフラ(基礎基盤)部分を一本化することで設備投資を効率化し、顧客サービスを充実させて、成長性の高いこの分野で主導権をにぎるのが狙い。

 新信託銀行「日本トラスティ・サービス」は、6月に設立。10月から本格営業を始める。

 新信託銀行の業務は、大和、住友信託、中央三井が投資家から受託した年金や、投資信託などを一元的に管理する。運用の指示に従って有価証券を実際に売買したり、運用成績をまとめて投資家に報告したり、元利金の支払い業務を分担する。的確な運用実績や分析情報が提供できるシステム力が必要といわれる。

大光、第四銀など4行が受け皿に 破たんした新潟中央銀

2000.09.29(21:09)asahi.com
 昨年10月に破たんした第二地銀、新潟中央銀行(本店・新潟市)の金融整理管財人は29日、新潟県内の資産の大部分を第二地銀の大光銀行(本店・新潟県長岡市)と地方銀行の第四銀行(本店・新潟市)に、県外と新潟県内の一部資産を地方銀行の八十二銀行(本店・長野市)と第二地銀の東日本銀行(本店・東京都)にそれぞれ分割して営業譲渡することを決め、各行と基本合意契約を結んだ。

 各行が引き受ける具体的な資産や行員数、群馬県内にある資産の譲渡先については未定で、年内に決める方針だ。

大和銀ショックで加速、商法改正前倒しへの動き急

2000.09.23(14:42)asahi.com
 大和銀行の現旧経営陣が株主代表訴訟で総額7億7500万ドル(約830億円)の賠償命令を受けたことを契機に、経済界と政府・与党が協同歩調をとって、賠償額に上限を設けるなどの方向で商法改正を急ぐ動きが出てきた。しかし、取締役などの経営者の責任を明確にし、緊張感を持って経営にあたることが、損害賠償を招くような「事件」を防ぐ体制づくりにつながるという意見は有識者らに根強い。来夏の参院選をにらんで、経済界の意向を受けた改正が「票」にどう影響するかを見極めながらの作業となりそうだ。

 自民党は22日、株主総会の特別決議や取締役会決議を経て、取締役の損害賠償責任を年間報酬の2年分を上限にできることなどを盛り込んだ改正案要綱を、与党3党のプロジェクトチームに提出することを決め、来年の通常国会で成立を図る方針を明確にした。また、ある案件について訴訟を起こせる株主を、案件が明らかになった時点での株主に限るなど、「原告適格」の見直しも盛り込んでいる。現行法では6カ月間引き続き株式を保有している株主なら取得前に起こった案件についても訴訟を起こせる。これが企業経営者からは、「株主代表訴訟を起こしやすくしている」と不満を招いていた。

 現在は、株主代表訴訟で取締役が訴えられた場合、会社は訴訟にかかわることが難しい。これを、全監査役の同意が得られれば、会社が訴訟に補助参加し、訴えられた取締役を支援できるようにする。

 同日の閣議後の記者会見では、巨額の損害賠償について問題視する意見が相次いだ。相沢英之金融再生委員長は「払えるわけでもない金額を払えと言われたら本当に参っちゃうと思う。これから職責に就く人が委縮するのではないか」と自民党の動きに理解を示した。

 ただ、大企業の不祥事や放漫経営による破たんが相次いでいるだけに、自民党内部にも「大企業経営者の味方という批判を浴びないよう、国民に対して説得力のある説明が必要だ」という意見もある、という。

 経団連は「与党などの要請があれば、意見などを申し上げ協力したい」と与党の商法改正の動きを歓迎している。

 経済界の意向を受けた政府や与党の見直し論議の高まりに対して、法曹界などには、株主の権利を守るという本来の趣旨に背き株主よりは経営者の方を向いた改正になるとの警戒感がある。

大和銀旧経営陣に賠償命令 株主代表訴訟で大阪地裁

2000.09.20(20:44)asahi.com
 大和銀行ニューヨーク(NY)支店の元行員が不正取引で11億ドル(約1180億円)の損失を出した事件をめぐり、同行の株主が当時の取締役ら49人を相手に、損失など計14億5000万ドル(約1550億円)の損害賠償を求めた「大和銀行株主代表訴訟」で、20日、大阪地裁は11人に計7億7500万ドル(約830億円)を大和銀行に支払うよう命じる判決を言い渡した。

 池田光宏裁判長は「適切な検査方法を採用していれば不正取引を見抜いて、損失の拡大を防げた。取締役としての注意義務及び忠実義務に違反した事実が認められる」などと述べた。不正を見抜けなかった大企業の取締役の責任を認めた判断は珍しく、賠償額も異例の高額となった。賠償を命じられた被告は、いずれも控訴する予定。

 判決は、不正取引が続いた間にNY支店長などを務めた安井健二・元副頭取に11億ドルのうち5億3000万ドル(約560億円)の賠償を命じた。また、損失発生をただちに米国当局に知らせなかったことなどで米国の法令に違反したとして起訴され、罰金3億4000万ドル(約360億円)を支払ったことなどについて、「報告を遅らせるなどしたことは経営判断として誤りだった」と述べ、安井・元副頭取のほか、海保孝・頭取、安部川澄夫・元会長、藤田彬・元頭取ら計11人に総額2億4500万ドル(約260億円)の賠償を命じた。

 判決はまず、大和銀行の検査体制について「検査対象の元行員に書類をすべて用意させたことで、書類を改ざんする機会を与えた。大和銀行のリスク管理体制は実質的に機能していなかった。適切な検査方法を採用していれば、元行員の不正取引は見抜けた」として「重大な不備があった」と指摘した。そのうえで、検査体制を放置していたことについて、取締役として果たすべき任務に怠慢があったと認めた。

 また、米国金融当局への報告が遅れたことについては「わが国の経済が発展し、地球規模に拡大しているにもかかわらず、我が国内でのみ通用する非公式のローカルルールに固執した」と批判した。被告の取締役らが「大蔵省の示唆があった」と主張していることについて、「大蔵省の判断や指示に依存して銀行経営を行い、自らの責任において判断を行わないことは許されない」と退けた。

 大蔵省のかかわりについて判決は、当時の銀行局長が、藤田元頭取に「事件を公表する時期として9月は最悪である。大蔵省国際金融局と日本銀行に対する報告は不要だ」と述べた事実を認めたが、米当局への報告の先延ばしの命令・指示については「認定に足る証拠は提出されていない」と述べた。

 原告は、兵庫県尼崎市に住む大和銀行の元行員西村一朗さん(66)ら同行の株主。元行員が不正取引をしていた1984―95年に在任期間が重なる取締役と監査役に賠償を求めた。

 一方、被告側は「不正行為を防止するために内部統制システムを十分整備してきた。元行員の異常に巧妙な隠ぺい工作を発見するようなシステムを構築することは、法が要求する取締役の注意義務の範囲を超える」と主張した。

あさひ銀行と横浜銀行のATMを相互開放へ

2000.09.14(19:47)asahi.com
 あさひ銀行と横浜銀行は14日、今年度中にお互いのATM(現金自動預入払出機)を開放し、通常時間内であれば相手行の預金者が無料で預金を引き出したり、振り込み手数料を自行並みに優遇する、と発表した。住友銀行とさくら銀行、東海銀行と三和銀行と東洋信託銀行、みずほグループなど、合併・統合する大手各行がATMの相互開放を進めるなかで、首都圏に基盤を持つ両行も追随し、自行の顧客の利便性を確保する。

 対象となるのは、両行のすべてのATM機で、あさひ銀行959カ所、横浜銀行512カ所の合計1471カ所、合計5108台。当面は、引き出しや振り込みの分野だが、預け入れまで拡大する方向で検討している。さらに、両行は顧客利便の向上や経営の効率化がはかれる業務については、相互に協力する方針だ。

韓国系の信組関西興銀が自己資本比率4%割れ

2000.09.11(16:08)asahi.com
 在日韓国人系信用組合の最大手、信用組合関西興銀(本店・大阪市)が、近畿財務局の検査の結果、1999年3月期の自己資本比率が経営の健全性の目安とされる4%を割り込んだことが11日、明らかになった。同財務局は近く、関西興銀に対して、2000年3月期に自己資本比率が改善したかどうか報告を求める。その時点でも4%を割っていれば、早期是正措置の発動も含めて、具体的な経営改善策をとるよう求める見通しだ。関西興銀は、バブル期に普通銀行転換をめざして経営拡大路線を一貫してとったつけが尾を引き、経営不振が続いていた。

 韓国系信組をめぐっては今年4月以降、全国28組合を統合して新銀行を設立し、バブル崩壊後経営が行き詰まっている信組を救済しようという構想が進んでいる。関西興銀は、韓国系信組の中では預金、貸出金量合計の半分を占め、新銀行の柱になることが期待されていた。このため、今回の検査結果により、新銀行構想自体がとん挫するおそれもでてきた。

 同財務局は、昨年11月から今年3月末までかけて関西興銀に立ち入り検査を実施。1999年3月期時点では、自己資本比率が4%を割り込んだと認定した。

 関西興銀側は、その後今年3月までに実施した約78億円の増資や問題債権先の経営改善などによって自己資本比率が回復したと主張しているという。しかし、当局側は、関西興銀が自己査定に基づいて公表した今年3月末の自己資本比率5.09%は数%下回るとみている模様だ。

 関西興銀は55年、信組大阪興銀として設立された。93年、経営不振だった兵庫など近畿4県の商銀信組を吸収合併して関西興銀に改称。95年には破たんした岐阜商銀も合併した。今年3月期の預金量は1兆914億円、貸出金は9674億円。組合員数は8万2994人、職員数は約900人。

長期プライムレート年2.4%に 2カ月連続上げ

2000.09.07(21:36)asahi.com
 日本興業銀行、新生銀行、日本債券信用銀行は8日から、長期プライムレート(最優遇貸出金利)を0.2%幅引き上げ、年2.4%とする、と発表した。国債の需給悪化懸念などから、長期金利の指標となる10年ものの新発債の利回りが6日には年1.990%をつけるなど上昇(債券価格は下落)を続けていることを受け、2カ月連続して引き上げる。日本生命保険、第一生命保険も長期貸出金利の引き上げを決めており、市場金利の上昇が企業に対する貸出金利に影響を及ぼし始めた。

 長プラは、興銀の5年もの利付き金融債の表面利率に0.9%幅上乗せして決めている。今回の引き上げは、金融債の流通利回りの上昇を受けた措置。

 7日の長期金利は、売りが続いていた国債に買い戻しが入って価格が上昇したため、前日より0.07%幅下落し、年1.920%だった。ただ、市場では補正予算に伴う国債の増発で、国債の価格が値下がりする(長期金利は上昇)との見方が根強く、日銀のゼロ金利政策解除以降、金利は上昇基調にある。

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